JP6383179B2 - 耐リジング性に優れたアルミニウム合金板およびその製造方法 - Google Patents
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本発明のアルミニウム合金板は、基本的にはAl−Mg−Si系合金もしくはAl−Mg−Si−Cu系合金からなるものであれば良く、その具体的な成分組成は特に制約されるものではないが、通常は、質量%でMg:0.2〜1.5%、Si:0.3〜2.0%を含有し、かつMn:0.03〜0.6%、Cr:0.01〜0.4%、Zr:0.01〜0.4%、Fe:0.03〜1.0%、Ti:0.005〜0.3%、Zn:0.03〜2.5%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有し、さらにCuが1.5%以下に規制され、残部がAlおよび不可避的不純物よりなる成分組成とすることが好ましい。
Mgは本発明で対象としている合金系で基本となる合金元素であって、Siとともに強度向上に寄与する。Mg量は、0.2〜1.5%とすることが好ましい。Mg量が0.2%未満では塗装焼付時に析出硬化によって強度向上に寄与するG.P.ゾーンの生成量が少なくなるため、充分な強度向上が得られない。一方1.5%を超えれば、粗大なMg−Si系の金属間化合物が生成され、プレス成形性、主に曲げ加工性が低下する。特に、最終板のプレス成形性、主に曲げ加工性をより良好にするためには、Mg量は0.3〜0.9%の範囲内とすることがより好ましい。
Siも本発明の合金系で基本となる合金元素であって、Mgとともに強度向上に寄与する。またSiは、鋳造時に金属Siの晶出物として生成される。この金属Si粒子の周囲が冷間圧延時に付与される加工によって変形されて、溶体化処理の際に再結晶核の生成サイトとなるため、再結晶組織の微細化にも寄与する。Si量は、0.3〜2.0%とすることが好ましい。Si量が0.3%未満では上記の効果が充分に得られず、一方2.0%を超えれば粗大なSi粒子や粗大なMg−Si系の金属間化合物が生じて、プレス成形性、特に曲げ加工性の低下を招く。特に、プレス成形性と曲げ加工性とのより良好なバランスを得るためには、Si量は0.5〜1.3%の範囲内がより好ましい。
これらの元素は、強度向上や結晶粒微細化、あるいは時効性(焼付硬化性)の向上に有効であり、いずれか1種または2種以上を添加する。これらのうちMn、Cr、Zrは強度向上と結晶粒の微細化および組織の安定化に効果がある元素である。Mn量が0.03%未満、もしくはCr、Zr量がそれぞれ0.01%未満では、上記の効果が充分に得られない。一方、Mn量が0.6%を超えるか、あるいはCr、Zr量がそれぞれ0.4%を超えれば、上記の効果が飽和するばかりでなく、多数の金属間化合物が生成されて成形性、特に曲げ加工性に悪影響を及ぼすおそれがある。従って、Mnは0.03〜0.6%の範囲内、Cr、Zrはそれぞれ0.01〜0.4%の範囲内とすることが好ましい。
Cuは強度向上および成形性向上のために添加されることがある元素である。Cu量が1.5%を超えれば耐食性(耐粒界腐食性、耐糸錆性)が低下することから、Cu量は1.5%以下とすることが好ましい。また、より耐食性の改善を図りたい場合はCu量を1.0%以下とすることが好ましく、特に耐食性を重視する場合は、Cu量は0.05%以下に規制することが望ましい。
Al−Mg−Si系合金、Al−Mg−Si−Cu系合金においては、高温時効促進元素あるいは室温時効抑制元素であるAg、In、Cd、Be、あるいはSnを微量添加することがある。本発明の場合も微量添加であればこれらの元素の添加も許容され、それぞれ0.01〜0.3%の範囲内であれば特に所期の目的を損なうことはない。さらに、鋳塊組織の微細化にはScの添加も効果があるとされており、本発明の場合も微量のScを添加しても良く、Sc量0.01〜0.2%の範囲内であれば特に支障はない。
例えば、地金や中間合金に含まれている通常知られている範囲内のGa、V、Ni等の不可避的不純物は、本発明の効果を妨げるものではないため、このような不可避的不純物の含有も許容される。
さらに、本発明のアルミニウム合金板において特に耐リジング性を確実かつ安定して向上させるためには、合金の成分組成を前述のように調整するばかりでなく、最終板であるアルミニウム合金板の結晶粒径を、板厚方向の各部位で適切に制御することが極めて重要であり、あわせて中層部での結晶方位を制御することが極めて重要である。
アルミニウム合金板における具体的な結晶粒径分布について、例えば、図1に示すように、Al−Mg−Si系もしくはAl−Mg−Si−Cu系アルミニウム合金板の表面から板厚1/8面までの層(S1)の任意の面での結晶粒径をd1、板厚1/8面から板厚2/8面までの層(S2)の任意の面の結晶粒径をd2、板厚2/8面から板厚3/8面までの層(S3)の任意の面の結晶粒径をd3、板厚3/8面から板厚4/8面までの層(S4)の任意の面の結晶粒径をd4とした場合を考える。
45μm≦d4≦150μm ・・・(1)
(d1+d2+d3)/3≦80μm ・・・(2)
上記(1)および(2)式を満たし、
さらに、特に成形のきつい条件でも優れた耐リジング性を得るためには、
C>10%のとき、C/G≧2 ・・・(3)
10%≧C>5%のとき、C/G≧1.5 ・・・(4)
5%≧Cのとき、C/G≧1.2 ・・・(5)
上記(3)〜(5)式のいずれかを満たすように制御する必要がある。
次に、前述のような結晶粒径の分布を有する本発明の耐リジング性に優れたアルミニウム合金板を製造するための方法について説明する。
Claims (4)
- Mg及びSiを含有するアルミニウム合金板であって、
前記合金板の組成として、質量%でMg:0.2〜1.5%、Si:0.3〜2.0%を含有し、かつMn:0.03〜0.6%、Cr:0.01〜0.4%、Zr:0.01〜0.4%、Fe:0.03〜1.0%、Ti:0.005〜0.3%、Zn:0.03〜2.5%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有し、さらにCuが1.5%以下に規制され、残部がAlおよび不可避的不純物よりなり、
板厚方向に8に等分に分割した場合、前記合金板表面から板厚1/8面までの、1/3面と2/3面の平均の結晶粒径をd1、板厚1/8面から板厚2/8面までの、1/3面と2/3面の平均の結晶粒径をd2、板厚2/8面から板厚3/8面までの、1/3面と2/3面の平均の結晶粒径をd3、板厚3/8面から板厚4/8面までの、1/3面と2/3面の平均の結晶粒径をd4としたときに、
45μm≦d4≦150μm・・・(1)
(d1+d2+d3)/3≦80μm・・・(2)
の両式を満たし、
前記板厚3/8面から板厚4/8面までの領域内での任意の圧延方向−圧延せん断方向面における、Cube方位面積率をC、Goss方位面積率をGとしたときに、
C>10%のとき、C/G≧2・・・(3)
10%≧C>5%のとき、C/G≧1.5・・・(4)
5%≧Cのとき、C/G≧1.2・・・(5)
のいずれかの式を満たすことを特徴とする耐リジング性に優れたアルミニウム合金板。 - 50μm≦d4≦150μmを満たすことを特徴とする請求項1に記載の耐リジング性に優れたアルミニウム合金板。
- 60μm≦d4≦150μmを満たすことを特徴とする請求項1に記載の耐リジング性に優れたアルミニウム合金板。
- 耐リジング性に優れたアルミニウム合金板の製造方法であって、
質量%でMg:0.2〜1.5%、Si:0.3〜2.0%を含有し、かつMn:0.03〜0.6%、Cr:0.01〜0.4%、Zr:0.01〜0.4%、Fe:0.03〜1.0%、Ti:0.005〜0.3%、Zn:0.03〜2.5%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有し、さらにCuが1.5%以下に規制され、残部がAlおよび不可避的不純物よりなるように溶製されたアルミニウム合金を鋳造する鋳造工程と、
前記鋳造工程により得られた鋳塊を圧延する熱間圧延工程および冷間圧延工程と、
前記圧延工程により得られた圧延板に対して中間焼鈍を行う中間焼鈍工程と、
前記中間焼鈍後の圧延板に対して、最終圧延方向に0.2%以上3%以下のひずみを付与するひずみ付与工程と、
前記ひずみ付与工程後の圧延板を溶体化する溶体化処理工程と、
を含み、
前記冷間圧延工程は、前記熱間圧延工程の圧延方向から90°回転させた圧延方向で行うクロス圧延を含み、
前記アルミニウム合金板は、
板厚方向に8に等分に分割した場合、前記合金板表面から板厚1/8面までの、1/3面と2/3面の平均の結晶粒径をd 1 、板厚1/8面から板厚2/8面までの、1/3面と2/3面の平均の結晶粒径をd 2 、板厚2/8面から板厚3/8面までの、1/3面と2/3面の平均の結晶粒径をd 3 、板厚3/8面から板厚4/8面までの、1/3面と2/3面の平均の結晶粒径をd 4 としたときに、
45μm≦d 4 ≦150μm・・・(1)
(d 1 +d 2 +d 3 )/3≦80μm・・・(2)
の両式を満たし、
前記板厚3/8面から板厚4/8面までの領域内での任意の圧延方向−圧延せん断方向面における、Cube方位面積率をC、Goss方位面積率をGとしたときに、
C>10%のとき、C/G≧2・・・(3)
10%≧C>5%のとき、C/G≧1.5・・・(4)
5%≧Cのとき、C/G≧1.2・・・(5)
のいずれかの式を満たすことを特徴とする耐リジング性に優れたアルミニウム合金板の製造方法。
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