JP2003034852A - 曲げ加工性に優れた構造部材用アルミニウム合金板 - Google Patents

曲げ加工性に優れた構造部材用アルミニウム合金板

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JP2003034852A
JP2003034852A JP2001224633A JP2001224633A JP2003034852A JP 2003034852 A JP2003034852 A JP 2003034852A JP 2001224633 A JP2001224633 A JP 2001224633A JP 2001224633 A JP2001224633 A JP 2001224633A JP 2003034852 A JP2003034852 A JP 2003034852A
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Tetsuya Masuda
哲也 増田
Yasuo Takagi
康夫 高木
Shigenobu Yasunaga
繁信 安永
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 曲げ加工性に優れた構造部材用Al合金厚板
を提供することを目的とする。 【解決手段】 2.5mm 以上の板厚を有する構造部材用
アルミニウム合金板であって、調質後の0.2%耐力を100
〜150MPaの範囲および組織を圧延方向と平行な板厚方向
断面において圧延方向に伸長させた結晶粒とし、更に、
同断面における板厚中央部の結晶粒のアスペクト比 (圧
延方向の平均粒径r L1と板厚方向の平均粒径r T1との比
r L1/r T1 )を3 以上とするとともに前記平均粒径 r
L1 を80μm以上とし、かつ板表層部の結晶粒の圧延方
向の平均粒径r L2を70μm 以下としたことである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2.5mm 以上の板厚
を有する曲げ加工性に優れた構造部材用アルミニウム合
金板( 以下、アルミニウムを単にAlと言う) に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】輸送機のパネル類やフレーム類などのAl
合金板製構造部材は、Al合金板素材をを曲げ加工して、
L字型、コの字型、ハット型などの構造部材断面形状に
成形されて用いられることが多い。この場合、Al合金板
素材は概ね90°の曲げ角度で曲げ加工される。
【0003】これら構造部材用のAl合金板としては、従
来から構造部材用Al合金として汎用されるAA乃至JIS 規
格に規定されるAl-Mg 系の5000系Al合金やAl-Mg-Si系の
6000系Al合金 (以下、AA乃至JIS は省略) などの、2.5m
m 以上の板厚を有する厚板のAl合金熱延板が用いられ
る。
【0004】しかし、従来から用いられている、構造部
材用Al合金の熱延板では、2.5mm 以上に厚肉化乃至厚板
化した場合に、そして、外観性の点から板曲げ部 (曲げ
コーナー部) の曲げ半径が2mm 以下の例えば0mm などと
小さく (鋭く) なった場合に、曲げ部に、肌荒れや著し
い場合には割れが生じるという問題がある。
【0005】この曲げ加工した際の問題に対しては、従
来から、曲げ部における曲げ半径を大きくするか、曲げ
幅を狭くする、あるいはAl合金板の板厚をより薄くす
る、更にAl合金板の耐力を100MPa以下の低耐力に下げる
などの改善手段が採用されてきた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの改善
手段では、いずれも構造部材側の設計形状などの変更を
余儀なくされる問題につながる。そして、ひいては厚板
化および曲げ半径の極小化ができず、構造部材用途への
Al合金板の適用自体の意義を失わせる問題につながる。
そして、この制約や使いにくさが、特に曲げ加工が必要
な構造部材用途へのAl合金板の適用を大きく制約してい
た。
【0007】本発明はこの様な事情に着目してなされた
ものであって、その目的は、曲げ加工性に優れた構造部
材用Al合金厚板を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明の曲げ加工性に優れた構造部材用アルミニウ
ム合金板の請求項1 の要旨は、2.5mm 以上の板厚を有す
る構造部材用アルミニウム合金板であって、調質後の0.
2%耐力を100 〜150MPaの範囲および組織を圧延方向と平
行な板厚方向断面において圧延方向に伸長させた結晶粒
とし、更に、同断面における板厚中央部の結晶粒のアス
ペクト比 (圧延方向の平均粒径r L1と板厚方向の平均粒
径r T1との比 r L1/r T1 )を3 以上とするとともに前記
平均粒径r L1 を80μm 以上とし、かつ板表層部の結晶
粒の圧延方向の平均粒径r L2を70μm 以下としたことで
ある。
【0009】この目的を達成するための前記結晶粒平均
粒径のより好ましい態様は、請求項2 の要旨のように、
前記平均粒径 r L1 を100 μm 以上とし、かつ板表層部
の結晶粒の圧延方向の平均粒径r L2を50μm 以下とする
ことである。
【0010】この目的を達成するための前記板厚中央部
の結晶粒アスペクト比のより好ましい態様は、請求項3
の要旨のように、板厚中央部の結晶粒のアスペクト比を
4 以上とすることである。
【0011】この目的を達成するためのより好ましいAl
合金組成は、請求項4 の要旨のように、Mg:2.2〜4.0%を
含む5000系Al合金熱延板である。また、請求項5 の要旨
のように、Si:0.4〜1.3%、Mg:0.4〜1.2%( 質量% 、以下
同じ) を含む過剰Si型6000系Al合金熱延板である。
【0012】本発明者らは、Al合金板組織と曲げ加工性
との関係を究明した結果、Al合金板の結晶粒形状や大き
さと曲げ加工性とが相関していることを知見した。
【0013】即ち、Al合金板分野で、通常、プレス成形
性などの観点から好ましいとされる等軸で微細な結晶粒
組織 (圧延方向と平行な板厚方向断面におけるアスペク
ト比が1 程度の等軸な (球状の) 結晶粒) は、曲げ加工
においては、却って、曲げ加工性を低下させる。その一
方で、前記プレス成形性の観点から好ましくないとされ
る前記圧延方向に伸長させた結晶粒で比較的粗大な結晶
粒は、逆に、前記厚板化および曲げ半径の極小化した際
の厳しい曲げ加工性を向上させる。
【0014】そして、Al合金板の板厚方向のおける部位
の結晶粒の大きさを制御し、板厚中央部の結晶粒を板表
層部の結晶粒よりも比較的大きな特定粒径の結晶粒と
し、かつ、板表層部の結晶粒を比較的細かい特定粒径の
結晶粒とすることによって、前記曲げ加工性を更に向上
させることができる。
【0015】このような本発明要旨とすることによっ
て、前記厚板化および曲げ半径の極小化した曲げ加工に
適応した構造部材用Al合金板を提供でき、90°などの汎
用される曲げ角度に曲げ加工した際の、曲げ部の肌荒れ
や割れの発生を防止乃至抑制できる。
【0016】この結果、前記従来技術における、曲げ加
工での曲げ半径や曲げ幅の変更、あるいはAl合金板の板
厚や耐力の変更が不要となる。そして、曲げ加工が必要
な構造部材用途へのAl合金板の適用を制約している大き
な問題がなくなる。したがって、本発明は請求項6 のよ
うに、概ね90°の曲げ角度で曲げ加工される構造部材用
に適している。また、請求項7 のように、前記曲げ加工
の際の曲げ半径が2mm 以下である曲げ加工に適してい
る。
【0017】
【発明の実施の形態】(結晶粒組織)本発明Al合金板の結
晶粒組織の規定を、図1 に示すAl合金板の例を用いて説
明する。図1 において、1 はAl合金板、A は圧延方向と
平行な板厚方向断面、2aは板表層部の結晶粒、2bは板厚
中央部 (板厚t 方向の中央部) の結晶粒である。なお、
本発明で、板厚中央部とは、板厚中心乃至1/2 板厚t の
部位の組織を言い、板表層部とは、表面の酸化皮膜直下
のAl合金組織を言う。
【0018】図1 において、本発明では、Al合金板1 の
板表層部から板厚中央部に至る、結晶粒組織を、図示す
る結晶粒2aや2bのように、圧延方向と平行な板厚断面A
において、圧延方向に伸長させた結晶粒とする。
【0019】Al合金板1 の結晶粒の内、板厚中央部の結
晶粒2bと板表層部2aの結晶粒の形態が、特に2.5mm 以上
の厚板の場合に (板厚が厚くなるほど) 、前記厚板化お
よび曲げ半径の極小化した際のAl合金板1 の曲げ加工性
に大きく影響する。
【0020】まず、板厚中央部の結晶粒2bのアスペクト
比は、大きい方がAl合金板1 全体の曲げ変形性 (曲げ加
工性) が向上する。このため、断面A における、板厚中
央部の結晶粒2bのアスペクト比 (圧延方向の平均粒径r
L1と板厚方向の平均粒径r T1との比 r L1/r T1 )を3 以
上、より好ましくは4 以上とする。このアスペクト比が
3 未満、より厳しくは4 未満では板厚中央部のAl合金板
1 全体の曲げ加工性が向上せず、前記厚板化および曲げ
半径の極小化した条件の厳しい曲げ加工ほど、曲げ部の
割れが生じ易くなる。
【0021】更に、板厚中央部の結晶粒2bが大きい方
が、前記厚板化および曲げ半径の極小化した際のAl合金
板1 全体の曲げ加工性が向上する。Al合金板1 全体の曲
げ加工性向上のために、板厚中央部の結晶粒2bの平均粒
径 r L1 を80μm 以上、より好ましくは100 μm 以上と
する。但し、結晶粒2bが大き過ぎると加工組織となり、
0.2%耐力等が大きくなり過ぎるので、好ましい上限値は
500 μm とする。
【0022】次に、板表層部の結晶粒の圧延方向の平均
粒径r L2は、前記厚板化および曲げ半径の極小化した曲
げ加工の際の板曲げ部表層の肌荒れに大きく影響する。
板曲げ部表層の肌荒れは、前記大きな割れに至らぬ目視
できる比較的微小な表面割れである。このため、この肌
荒れが発生した場合には、曲げ加工部材の外観性を低下
させるとともに、耐久性などの信頼性を低下させる。し
たがい、前記比較的大きな割れと同様に、曲げ加工部材
を製品として不良とする。
【0023】この板曲げ部表層の肌荒れは、前記全体の
曲げ加工性の際の傾向とは異なり、曲げ加工の際のAl合
金板の板表層部の結晶粒組織が寄与し、結晶粒が微細な
ほど出にくい。したがって、本発明では、板表層部の結
晶粒の圧延方向の平均粒径r L2を70μm 以下、より好ま
しくは50μm 以下とする。
【0024】これらのAl合金板の結晶粒組織制御は、後
述する通り、Al合金板の製造のためのAl合金板の熱延工
程により主として行う。
【0025】但し、本発明では、曲げ加工性を阻害しな
い範囲で、前記アスペクト比が1 程度の等軸な再結晶粒
組織が混合した、混粒組織あるいは複合組織であること
を許容する。実際問題としても、熱延工程の制御によ
り、6000系Al合金板の組織を100%純粋な偏平結晶粒組織
とすることは難しく、また、そのように制御することも
経済的ではない。この意味も含め、また微細偏平結晶粒
自体のバラツキもあり、本発明では、請求項で平均粒径
としている通り、圧延方向の結晶粒の粒径r L と板厚方
向の粒径 rT の値 (測定値) を各々平均化している。
【0026】なお、これら結晶粒の粒径の測定は、圧延
方向と平行な方向断面を電解エッチングした後、同断面
を50倍の倍率の光学顕微鏡により、板厚×0.1mm の範囲
を10視野観察し、その平均値を測定 (算出) する。この
際、前記した通り、偏平結晶粒の中に等軸な再結晶粒が
存在すれば、この等軸な再結晶粒も含めて計測して平均
化する。
【0027】本発明で対象とする曲げ加工は、構造部材
用途に汎用される、L字型、コの字型、ハット型などの
構造部材断面形状に成形する際に用いられる、曲げ角度
が概ね90°の曲げ加工であって、前記2.5mm 以上に厚板
化および曲げ半径が2mm 以下に極小化した曲げ加工を特
に対象とする。
【0028】曲げ角度が90°よりも小さくなる、前記し
た板厚以下に薄肉化する、あるいは、前記した曲げ半径
以上に大きくなるような、曲げ加工条件が緩くなる各場
合にも、本発明は適用可能であり、加工性向上効果を生
じる。ただ、このように曲げ加工条件が緩くなった場合
には、本発明でなくとも曲げ加工性向上は可能であり、
この点で本発明適用の意義が薄くなる。
【0029】なお、曲げ角度が180 °となるようなヘミ
ング加工などの場合には、2mm 以下の薄板が対象とな
り、また変形機構とそれに適した材料特性が異なるた
め、本発明では対象としない。
【0030】(Al合金)本発明で用いるAl合金は、構造部
材用途に汎用される、AA乃至JIS 規格に規定される、あ
るいはこれら規格を満足する、Mg:2.2〜4.0%を含む5000
系Al合金や、Si:0.4〜1.3%、Mg:0.4〜1.2%を含む過剰Si
型6000系Al合金が好ましい。
【0031】5000系Al合金においてMgが2.2%未満、6000
系Al合金においてSiが0.4%、Mgが0.4%未満では、構造部
材用途に必要な強度や耐久性が不足する。一方、5000系
Al合金においてMgが4.0%を超えると、また、6000系Al合
金においてSiが1.3%、Mgが1.2%を超えると、0.2%耐力が
150MPaを超え、構造部材用途に必要な曲げ加工の際に割
れが生じ易くなる。また、溶接割れが生じ易くなる。
【0032】これら組成のAl合金板の調質後の0.2%耐力
は100 〜150MPaの範囲とする。100MPa 未満では構造部
材用途に必要な強度や耐久性が不足する。一方、0.2%耐
力が150MPaを超えた場合、曲げ加工の際に割れが生じ易
くなる。
【0033】また、本発明におけるAl合金板の板厚は2.
5mm 以上とする。Al合金板の板厚が2.5mm 未満では、本
発明の曲げ加工性の課題は、耐力が150MPaを超える場合
を除いて、あまり問題とならず、構造部材用途としても
必要性がない。
【0034】(Al合金板の製造)本発明におけるAl合金板
自体は、溶解、鋳造、均質化熱処理、熱間圧延等の常法
工程により、板厚が2.5mm 以上の熱延板として製造され
る。そして、必要に応じて、5000系Al合金板では焼鈍
(質別記号O)、6000Al合金板系では溶体化焼き入れ処理
(T4)、人工時効処理(T5 〜T7) などの調質 (熱処理) さ
れる。
【0035】なお、更に、必要により中間焼鈍を施し、
冷間圧延によって冷延板としても良いが、中間焼鈍およ
び冷間圧延によって、Al合金板結晶粒は等軸微細な再結
晶粒組織となり易く、本発明で規定する板表層部から板
厚中央部に至る圧延方向に伸長させた結晶粒 (偏平結晶
粒) となりにくい。
【0036】前記熱延工程において、Al合金熱延板の組
織を、本発明で規定する板表層部から板厚中央部に至る
圧延方向に伸長させた結晶粒、および板厚中央部の結晶
粒のアスペクト比を制御するためには、熱延条件を制御
する。
【0037】例えば、5000系の場合、熱延における、仕
上げ温度を再結晶温度 (約300 ℃)以上とし、熱延開始
からの高温域での圧下率や歪み速度を比較的大きくし、
低温域での圧下率や歪み速度を比較的小さく制御するの
が好ましい。これに対し、熱延の仕上げ温度を再結晶温
度以下とした場合、また、低温域での圧下率や歪み速度
を比較的大きくした場合には、その後の焼鈍時に、主と
して、等軸な再結晶組織が発現しやすくなる。
【0038】そして、更に、板厚中央部の結晶粒の平均
粒径 r L1 を80μm 以上、より好ましくは100 μm 以上
とし、かつ板表層部の結晶粒の圧延方向の平均粒径r L2
を70μm 以下、より好ましくは50μm 以下とするために
も、熱延条件を制御する。例えば、前記した熱延開始か
らの高温域での圧下率や歪み速度を比較的大きくし、低
温域での圧下率や歪み速度を比較的小さく制御すること
により、板厚中央部の結晶粒を大きく、板表層部の結晶
粒を小さくすることができる。
【0039】
【実施例】次に、本発明の実施例を説明する。まず、表
1 に示すような6022、6111合金組成の過剰Si型6000系Al
合金鋳塊、5154、5454合金組成の5000系Al合金鋳塊を準
備した。そして、6000系Al合金鋳塊は550 ℃×4 時間の
範囲で均質化熱処理を施し、5000系Al合金鋳塊は500 ℃
×4 時間の範囲で均質化熱処理を施した。
【0040】その後、小型圧延機により、熱延条件を種
々変えて、結晶粒組織を種々変え、かつ熱延上がりの板
厚は3.0mm としたAl合金熱延板を準備した。なお、熱延
条件は、400 ℃以上の高温での圧下率 (高温圧下率) と
400 ℃未満の低温度での圧下率 (低温圧下率) および熱
延の仕上げ温度を種々変えた。これらの条件を表2 に示
す。
【0041】そして、これら熱延板から試験材を採取
し、同じ条件で、6000系Al合金はT4調質処理 (520 〜53
0 ℃×60秒の溶体化処理後、水焼入れ処理) 、5000系Al
合金熱延板を同じ条件でO 調質処理 (350 ℃×2 時間の
焼鈍処理) を各々行った。
【0042】調質後の試験材の、圧延方向と平行な板厚
断面における板厚中央部の結晶粒のアスペクト比、平均
粒径 r L1 、板表層部の結晶粒の圧延方向の平均粒径r
L2を各々測定した。なお、発明例においても、偏平結晶
粒の中に、若干の等軸な再結晶粒が存在していたので、
この等軸な再結晶粒も含めて計測して平均化した。ま
た、調質後の試験材の0.2%耐力、伸び等の機械的性質も
測定した。これらの結果を表2 に示す。
【0043】これら調質された発明例、比較例各々の熱
延板試験材を、各サンプル数を5 として、構造材の曲げ
加工を模擬して、図2 に示す、90°のV ブロック曲げを
行った。図2 において、1aは試験材、3 はポンチ、4 は
ダイスであり、ポンチ3 とダイス4 の先端部の角度R(曲
げ半径) は、前記厳しい曲げ加工を想定して0mm とし
た。そして、曲げの結果、サンプル5 個ともに曲げ部に
肌荒れも割れも生じていないものを〇、いずれかのサン
プルに肌荒れが生じたものを△、いずれかのサンプルに
割れが生じたものを×として評価した。
【0044】表2 から明らかな通り、圧延方向と平行な
板厚断面における板厚中央部の結晶粒のアスペクト比、
平均粒径 r L1 、板表層部の結晶粒の圧延方向の平均粒
径r L2、の本発明規定と耐力規定を満足する発明例No.1
〜8 は、2.5mm 以上の板厚で、曲げ半径を0mm とした、
厳しい曲げ加工であっても、曲げ部に肌荒れも割れも生
じておらず、曲げ加工性に優れている。
【0045】一方、これに対し、圧延方向と平行な板厚
断面における板厚中央部の結晶粒のアスペクト比、平均
粒径 r L1 、板表層部の結晶粒の圧延方向の平均粒径r
L2、の本発明規定と耐力規定のいずれかが外れる比較例
は、曲げ部に肌荒れも割れも生じており、曲げ加工性に
劣る。
【0046】以上の実施例の結果から、5000系、6000系
Al合金板における、曲げ加工性向上のための、本発明規
定の臨界的な意義が裏付けられる。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、曲げ加工性に優れた構
造部材用Al合金厚板を提供することが可能となる。した
がって、曲げ加工に際しての、あるいは曲げ加工を考慮
しての構造部材側の設計変更を余儀なくされる制約や使
いにくさがなくなり、Al合金板材の用途拡大を図れる点
で、工業的な価値が大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るAl合金板の結晶粒組織の規定を示
す模式図である。
【図2】本発明に係る曲げ試験を示す説明図である。
【符号の説明】
1;Al合金板、2;結晶粒、A;圧延方向と平行な断面、
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22F 1/00 623 C22F 1/00 623 683 683 (72)発明者 安永 繁信 栃木県真岡市鬼怒ケ丘15番地 株式会社神 戸製鋼所真岡製造所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2.5mm 以上の板厚を有する構造部材用ア
    ルミニウム合金板であって、調質後の0.2%耐力を100 〜
    150MPaの範囲および組織を圧延方向と平行な板厚方向断
    面において圧延方向に伸長させた結晶粒とし、更に、同
    断面における板厚中央部の結晶粒のアスペクト比 (圧延
    方向の平均粒径r L1と板厚方向の平均粒径r T1との比 r
    L1/r T1 )を3 以上とするとともに、前記平均粒径 r
    L1 を80μm 以上とし、かつ板表層部の結晶粒の圧延方
    向の平均粒径r L2を70μm 以下としたことを特徴とする
    曲げ加工性に優れた構造部材用アルミニウム合金板。
  2. 【請求項2】 前記平均粒径 r L1 を100 μm 以上と
    し、かつ板表層部の結晶粒の圧延方向の平均粒径r L2
    50μm 以下とした請求項1に記載の曲げ加工性に優れた
    構造部材用アルミニウム合金板。
  3. 【請求項3】 前記板厚中央部の結晶粒のアスペクト比
    を4 以上とした請求項1または2に記載の曲げ加工性に
    優れた構造部材用アルミニウム合金板。
  4. 【請求項4】 前記アルミニウム合金板が、Mg:2.2〜4.
    0%を含む5000系アルミニウム合金熱延板である請求項1
    乃至3のいずれか1項に記載の曲げ加工性に優れた構造
    部材用アルミニウム合金板。
  5. 【請求項5】 前記アルミニウム合金板が、Si:0.4〜1.
    3%、Mg:0.4〜1.2%(質量% 、以下同じ) を含む過剰Si型6
    000系アルミニウム合金熱延板である請求項1乃至3の
    いずれか1項に記載の曲げ加工性に優れた構造部材用ア
    ルミニウム合金板。
  6. 【請求項6】 前記アルミニウム合金板が概ね90°の曲
    げ角度で曲げ加工されるものである請求項1乃至5のい
    ずれか1項に記載の曲げ加工性に優れた構造部材用アル
    ミニウム合金板。
  7. 【請求項7】 前記曲げ加工の際の曲げ半径が2mm 以下
    である請求項6に記載の曲げ加工性に優れた構造部材用
    アルミニウム合金板。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008190022A (ja) * 2007-02-07 2008-08-21 Kobe Steel Ltd Al−Mg−Si系合金熱延上り板およびその製造法
JP2014234542A (ja) * 2013-06-04 2014-12-15 株式会社Uacj 耐リジング性に優れたアルミニウム合金板
JP2015224377A (ja) * 2014-05-29 2015-12-14 株式会社Uacj 耐リジング性に優れたアルミニウム合金板
CN111263823A (zh) * 2017-12-27 2020-06-09 古河电气工业株式会社 铝合金材料及使用其的电缆、电线和弹簧部件

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