JP2016222958A - 高強度アルミニウム合金板 - Google Patents

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Abstract

【課題】曲げ加工性を阻害せずに高強度化させた、骨格材あるいはパ補強材などの構造材用途の6000系アルミニウム合金板を提供する。
【解決手段】従来のアルミニウム合金組成や製造条件を大きく変えないことを前提に、Mn、Cr、Zrの1種または2種以上を含み、かつ、0.6≦Mg/[Si−0.15Mn−0.3Cr−0.1Zr]≦1.8のバランス式を満たす組成の、Al−Mg−Si系アルミニウム合金板の結晶粒のアスペクト比を大きくするという、簡便な方法で、曲げ加工性を低下させずに、塗装焼付処理など人工時効処理後(BH後)の強度を著しく高くし、自動車構造部材用としての要求強度を満たす。
【選択図】なし

Description

本発明はAl−Mg−Si系アルミニウム合金板に関するものである。本発明で言うアルミニウム合金板とは、熱間圧延板や冷間圧延板などの圧延板であって、溶体化処理および焼入れ処理などの調質(T4)が施された後の、使用される構造部材に成形される前のアルミニウム合金板を言う。また、以下の記載ではアルミニウムをアルミやAlとも言う。
近年、地球環境などへの配慮から、自動車等の車両の軽量化の社会的要求はますます高まってきている。かかる要求に答えるべく、自動車の材料として、鋼板等の鉄鋼材料にかえて、成形性や塗装焼付硬化性(ベークハード性、以下BH性とも言う)に優れた、より軽量なアルミニウム合金材の適用が増加しつつある。
自動車のアウタパネル、インナパネルなどの大型パネル材用のアルミニウム合金板としては、代表的にはAl−Mg−Si系のAA乃至JIS 6000系 (以下、単に6000系とも言う) アルミニウム合金板が例示される。この6000系アルミニウム合金板は、Si、Mgを必須として含む組成を有し、成形時には低耐力(低強度)で成形性を確保し、成形後のパネルの塗装焼付処理などの人工時効(硬化) 処理時の加熱により耐力(強度)が向上し、必要な強度を確保できる、塗装焼付硬化性が優れている。
自動車車体の更なる軽量化のためには、自動車部材のうちでも、前記パネル材を除く、フレーム、ピラーなどの骨格材あるいは、バンパ補強材、ドアビームなどの補強材などの自動車構造部材にアルミニウム合金材料の適用を拡大することが望まれる。
ただ、これら自動車構造部材は、前記自動車パネルに比べて一層の高強度化が必要である。このため、前記自動車パネル材に使用されている6000系アルミニウム合金板を、これら骨格材あるいは補強材に適用するためには、更に高強度化する必要がある。
ただ、このような高強度化を、従来の6000系アルミニウム合金板の組成や製造条件を大きく変えることなく、また曲げ加工性などを阻害せずに、達成することは、そうたやすいことではない。
従来から、BH性など、前記パネル材としての6000系アルミニウム合金板の特性を向上させるために、板の組織として、結晶粒のアスペクト比を制御することが、種々提案されている。
例えば、特許文献1では、前記自動車パネル材への成形性を向上させるために、6000系アルミニウム合金板の溶体化および焼入れ処理を含む調質処理後の板の、傾角15°以上の方位差を有する大傾角粒界による結晶粒の、平均結晶粒径を60μm以下とするとともに、粒度分布の標準偏差が15μm以下であり、かつアスペクト比を2.5以下に小さくすることが提案されている。
特許文献2では、高強度な5000系アルミニウム合金板の前記自動車パネル材への成形性を向上させるために、結晶粒のアスペクト比を3.0以上に大きくして、強度―伸びバランスを向上させることが提案されている。
特開2009−173973号公報 特開2009−24219号公報
ただ、これら従来のアスペクト比の制御は、前記パネル材を用途として、成形性を高くすることを目的としたものであり、前記骨格材あるいは補強材としては、強度が不足している。
これに対して、前記人工時効処理温度をより高温化して高強度化しようとしても、人工時効(硬化) 処理の温度には、処理効率や経費、焼き付けされた塗料の劣化、過時効による強度低下などからくる、限界や制約が当然あり、高温化できない事情もあり、BH後の強度には限界がある。
また、前記骨格材あるいは補強材としては、前記パネル材のような高いプレス成形性は不要ではあるものの、素材板を前記自動車用構造部材に成形する際の成形性、例えば、V曲げ加工にて割れない程度の曲げ加工性が要求される。したがって、このような成形性を阻害しないで高強度化することも要求される。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであって、前記骨格材あるいは補強材などの自動車構造部材用として、従来の6000系アルミニウム合金板の組成や製造条件を大きく変えることなく、高強度化でき、部材へも成形できる、6000系アルミニウム合金板を提供することを目的とする。
この目的を達成するために、本発明の高強度アルミニウム合金板の要旨は、
質量%で、Mg:0.6〜2.0%、Si:0.6〜2.0%を含むとともに、Mn、Cr、Zrの1種または2種以上を合計で0.2〜1.0%含み、かつ、Mg、SiおよびMn、Cr、Zrの各含有量が0.6≦Mg/[Si−0.15Mn−0.3Cr−0.1Zr]≦1.8のバランス式を満たし、残部がAl及び不可避的不純物からなるAl−Mg−Si系アルミニウム合金板であって、この板の圧延平行断面においてSEM−EBSDにより観察される1000μm×1000μmの領域の、結晶粒の長軸の平均長さをD1、短軸の平均長さをD2としたとき、D1が100μm以下であり、かつ、D1/D2であるアスペクト比が3.0以上、10.0以下であることとする。
本発明では、従来のアルミニウム合金組成や製造条件を大きく変えないことを前提に、6000系アルミニウム合金板の結晶粒のアスペクト比とBH性の関係とを見直した。この結果、結晶粒のアスペクト比を大きくした方が、BH性が向上し、室温時効後でも、曲げ加工性を低下させずに、2%ストレッチ後185℃×20分のBH処理後の0.2%耐力を300MPa以上に高強度化できることを知見した。
因みに、6000系アルミニウム合金板の結晶粒のアスペクト比は、前記した通り公知であるものの、BH性との関係については未だ良く知られていない。
本発明では、6000系アルミニウム合金板の結晶粒のアスペクト比を大きくするという、簡便な方法で、曲げ加工性を低下させずに、塗装焼付処理など人工時効処理後(BH後)の強度を著しく高くできるため、自動車パネル材よりも高強度な、自動車構造部材用としての要求強度を、満たすことができる。
以下に、本発明の実施の形態につき、要件ごとに具体的に説明する。
(化学成分組成)
先ず、本発明のAl−Mg−Si系(以下、6000系とも言う)アルミニウム合金板の化学成分組成について、以下に説明する。本発明では、前記パネル材を除く、前記骨格材あるいは補強材用として、従来の組成や製造条件を大きく変えることなく、曲げ加工性を低下させずに、2%ストレッチ後185℃×20分のBH処理後の0.2%耐力を300MPa以上に高強度化する。
このような課題を組成の面から満たすようにするため、6000系アルミニウム合金板の組成は、質量%で、Mg:0.6〜2.0%、Si:0.6〜2.0%を含むとともに、Mn、Cr、Zrの1種または2種以上を合計で0.2〜1.0%含み、Mg、SiおよびMn、Cr、Zrの各含有量が0.6≦Mg/[Si−0.15Mn−0.3Cr−0.1Zr]≦1.8のバランス式を満たし、残部がAl及び不可避的不純物からなるものとする。
また、上記組成に加えて、更に、Cu:0.05〜0.5%、Ag:0.01〜0.2%、Sn:0.005〜0.3%の1種または2種以上を含むことができる。
なお、各元素の含有量の%表示は全て質量%の意味である。
上記6000系アルミニウム合金における、各元素の含有範囲と意義、あるいは許容量について以下に説明する。
Si:0.6〜2.0%
SiはMgとともに、塗装焼き付け処理などの人工時効処理時に、強度向上に寄与する時効析出物を形成して、人工時効硬化能を発揮し、前記骨格材あるいは補強材用としての必要な強度(耐力)を得るための必須の元素である。また、均熱処理時および熱間圧延時に、Mg、Mn、あるいは不純物のFeなどと化合物を生成し、結晶粒のアスペクト比を大きくする効果がある。
Siの含有量が少なすぎると、人工時効処理後の時効析出物の析出量が少なくなり、焼付け塗装処理時の強度増加量が低くなる。また、均熱処理および熱間圧延時に生成する前記化合物が少なくなり、溶体化処理時の再結晶時に、結晶粒のアスペクト比が3.0以下の球状の等軸粒になりやすく、強度が低くなる。
一方、Siの含有量が高すぎると、不純物のFeなどと粗大な晶出物を形成してしまい、曲げ加工性などの成形性を著しく低下させてしまう。また、板の製造時に熱延割れを生じやすくなる。
したがって、Siの含有量は0.6〜2.0%の範囲とする。
Mg:0.6〜2.0%
Mgも、Siとともに強度向上に寄与する時効析出物を形成して、人工時効硬化能を発揮し、高い強度(耐力)を得るための必須の元素である。また、均熱処理時および熱間圧延時に、Si、Mn、あるいは不純物のFeなどと化合物を生成し、結晶粒のアスペクト比を大きくする効果がある。
Mg含有量が少なすぎると、人工時効処理後の析出物の析出量が少なくなりすぎて、強度が低くなってしまう。また、均熱処理および熱間圧延時に生成する前記化合物が少なくなり、溶体化処理時の再結晶時に、結晶粒のアスペクト比が3.0以下の球状の等軸粒になりやすく、強度が低くなる。
一方、Mg含有量が高すぎると、粗大な晶出物および析出物が形成されて、曲げ加工性も著しく低下する。
したがって、Mgの含有量は0.6〜2.0%の範囲とする。
Mn、Cr、Zr:合計で0.2〜1.0%
Mn、Cr、Zrは、Mg、Si、Feなどと化合物を生成し、結晶粒のアスペクト比を大きくする効果がある。
これらの元素の含有量が少なすぎると、均熱および熱間圧延中に生成する前記化合物量が少なくなり、溶体化処理中に再結晶が生じやすいため、結晶粒のアスペクト比が3.0未満となって、球状の等軸粒になりやすい。
一方で、含有量が多すぎると、粗大な化合物が形成してしまい、曲げ加工性を大幅に劣化させる。
このため、Mn、Cr、Zrは、1種または2種以上を合計で0.2〜1.0%の範囲で含有させる。
バランス式
以上の組成において、本発明では更に、Mg、SiおよびMn、Cr、Zrの各含有量が、0.6≦Mg/[Si−0.15Mn−0.3Cr−0.1Zr]≦1.8のバランス式を満たすものとする。
前記した通り、MgとSiは強化に寄与する時効析出物を形成する。このため、効率よく時効析出物を生成するためには、固溶しているMgとSiのバランスを一定の範囲とすることが望ましい。 また、Mn、Cr、Zrは、MgやSiと化合物を生成するが、本発明者らは、Mn、Cr、Zrは、特にSiとの化合物を多く形成し、Mn、Cr、Zrの含有量が、Siの含有量との関係で多すぎると、人工時効処理で生成するSiを含有する析出物量が低下し、BH性が低下することを見出した。
このため、Mn、Cr、ZrがSiと化合物を生成することで、固溶Siが低減してしまうことも考慮して、BH性を向上させるためには、MgとSiとの単純なバランスの問題だけではなく、更に、Mn、Cr、Zrとのバランスも加えて、お互いの含有量をバランスさせることが必要となる。
すなわち、Mg/[Si−0.15Mn−0.3Cr−0.1Zr]のバランス式が0.6未満では、各元素が前記した各々の含有量を満足したとしても、強化に寄与する時効析出物を形成するMg原子が不足し、人工時効処理で生成する析出物量が低下して、焼付け硬化量(BH性)が小さくなる。
一方、Mg/[Si−0.15Mn−0.3Cr−0.1Zr]のバランス式が、1.8を超えて大きくなると、各元素が前記した各々の含有量を満足したとしても、強化に寄与する時効析出物を形成するSi原子が不足し、人工時効処理で生成する析出物量が低下して、焼付け硬化量(BH性)が同じく小さくなる。
したがって、Mg、SiおよびMn、Cr、Zrの各含有量は、0.6≦Mg/[Si−0.15Mn−0.3Cr−0.1Zr]≦1.8のバランス式を満たすものとする。
その他の元素
その他、本発明では、アルミニウム合金板の高強度化のために、更に、Cu:0.05〜0.5%、Ag:0.01〜0.2%、Sn:0.005〜0.3%の1種または2種以上を含むことができる。
因みに、これらの元素は、共通してBH性を向上させて板を高強度させる効果があるので、高強度化の同効元素と見なせるが、その具体的な機構には、共通する部分も、異なる部分も勿論ある。Cu、Agは人工時効硬化能(BH性)を向上させるのに有用で、比較的低温短時間の人工時効処理の条件で、板組織の結晶粒内へのGPゾーンなどの化合物相の析出を促進させて高強度化する効果がある。Snは原子空孔を捕獲することで、室温でのMgやSiの拡散を抑制し、室温における強度増加(室温時効)を抑制し、人工時効処理時に、捕獲していた空孔を放出し、MgやSiの拡散を促進し、BH性を高くして高強度化する効果がある。
但し、これらの元素各々含有量が大きすぎると、粗大な化合物を形成するなどして、板の製造が困難となり、強度や曲げ加工性も低下する。また、耐食性も劣化する。したがって、含有させる場合には、前記した範囲の各含有量とする。
不純物
この他のFe、V、Ti、B、Znなどは、鋳塊の溶解原料としてのスクラップなどから混入しやすい不可避的不純物であり、少ない方が好ましいが、溶解精錬の効率化もあり、JISなどの規格で許容している含有量とする。
(結晶粒)
以上の6000系合金の化学成分組成とした上で、本発明では、T4調質された6000系アルミニウム合金板の組織を規定する。すなわち、この板の圧延平行断面においてSEM−EBSDにより観察される1000μm×1000μmの領域の、結晶粒の長軸の平均長さ(結晶粒の長軸の平均結晶粒径)をD1、短軸の平均長さ(結晶粒の短軸の平均結晶粒径)をD2としたとき、D1を100μm以下とし、かつ、長軸/短軸のD1/D2(平均軸比)であるアスペクト比を3.0以上、10.0以下とする。
測定の再現性のためには、前記D1、D2の測定につき、前記板の圧延平行断面における測定部位は前記板の板厚中心部とし、測定方法は、後方散乱電子回折像システムを搭載した、倍率75倍、電界放出型走査電子顕微鏡(以下、SEM−EBSD法とも言う)にて、視野が前記1000μm×1000μmの領域(範囲)にて行うことが好ましい。
この組織規定は、従来のアルミニウム合金組成や製造条件を大きく変えないこと、あるいは成形性を低下させないことを前提として、6000系アルミニウム合金板のBH性を向上させて高強度化を図るための、重要で必須の手段である。
結晶粒の長軸の平均長さ(結晶粒の長軸の平均結晶粒径)D1が、100μmを超えて粗大化した場合には、例え前記アスペクト比の範囲を満足しても、BH性が向上しない。
また、D1/D2の長軸短軸比であるアスペクト比が3.0未満では、従来と同じ球状の等軸粒となるため、BH性が向上しない。
一方で、前記D1がD2に比して大きくなり過ぎるなどして、前記アスペクト比が10.0を超えて大きくなった場合でも、BH性が向上しない。
ここで、前記SEM−EBSD法による測定の場合、前記D1、D2の測定対象、あるいは前記D1、D2の規定対象となる結晶粒は、傾角15°以上の結晶粒とする。
傾角15°以上の結晶粒は、結晶方位の相違(傾角)が15°以上、180°以下の大傾角粒界の結晶粒であり、このような大傾角粒界の結晶粒のアスペクト比がBH性に大きく影響する。
一方、前記SEM−EBSD法により測定される結晶粒のうち、結晶方位の相違(傾角)が15°未満の小傾角粒界の結晶粒は、傾角が小さいほど、前記大傾角粒界の結晶粒よりも、BH性向上への効果(寄与)が小さくなる。
このため、前記SEM−EBSD法による前記D1、D2の測定対象を、傾角15°以上の大傾角粒界の結晶粒とすることで、より確実にBH性を向上させることができる。
D1、D2、アスペクト比の測定
これら本発明で規定する前記D1、D2、アスペクト比、あるいは大傾角粒界の結晶粒の平均割合は、いずれも前記SEM−EBSD法によって測定する。この場合の板の組織の測定部位は、通常のこの種組織の測定部位と同じく、この板の幅方向断面の板厚中央部(中心部)とする。そして、この板厚中央部の任意の箇所から採取した5個の測定試験片(5箇所の測定箇所)の各測定値を平均化したものを、本発明で規定する。
測定エリアは、板厚中央部(中心部)の任意の3点について、圧延方向に平行断面について、1000μm×1000μmの領域に対して、1.0μmのピッチで電子線を照射し、傾角15°以上の大傾角粒界の結晶粒を球状と仮定したときの結晶粒の長軸D1および短軸D2の長さを測定し、前記平均化した。
前記SEM−EBSD法は、集合組織の測定方法として汎用され、電界放出型走査電子顕微鏡(Field Emission Scanning Electron Microscope:FESEM)に、後方散乱電子回折像[EBSD: Electron Backscatter Diffraction Pattern] システムを搭載した結晶方位解析法である。この測定方法は、他の集合組織の測定方法に比して、高分解能ゆえに高測定精度である。そして、この方法によって、板の同じ測定部位の前記D1、D2、アスペクト比を同時に高精度に測定できる利点がある。
これら開示された前記SEM−EBSD法は、前記FESEM(FE−SEM)の鏡筒内にセットしたAl合金板の試料に、電子線を照射してスクリーン上にEBSDを投影する。これを高感度カメラで撮影して、コンピュータに画像として取り込む。コンピュータでは、この画像を解析して、既知の結晶系を用いたシミュレーションによるパターンとの比較によって、結晶の方位が決定される。算出された結晶の各方位は3次元オイラー角として、位置座標(x、y)などとともに記録される。このプロセスが全測定点に対して自動的に行なわれるので、測定終了時には数万〜数十万点の結晶方位データが得られる。
このように、前記SEM−EBSD法には、透過電子顕微鏡を用いた電子線回折法よりも、観察視野が広く、数百個以上の多数の結晶粒に対する、前記D1、D2、アスペクト比の情報を、数時間以内で得られる利点がある。また、結晶粒毎の測定ではなく、指定した領域を任意の一定間隔で走査して測定するために、測定領域全体を網羅した上記多数の測定ポイントに関する、上記各情報を得ることができる利点もある。これらFESEMにEBSDシステムを搭載した結晶方位解析法の詳細は、神戸製鋼技報/Vol.52 No.2(Sep.2002)P66-70などに詳細に記載されている。
ここで、前記D1、D2の各平均結晶粒径は、長軸と短軸各々の平均結晶粒径=(Σx)/n(ここで、nは測定した結晶粒の数、xはそれぞれの結晶粒径を示す)の式により、それぞれ算出する。
(製造方法)
次ぎに、本発明アルミニウム合金板の製造方法について以下に説明する。本発明アルミニウム合金板は、製造工程自体は常法あるいは公知の方法であり、上記6000系成分組成のアルミニウム合金鋳塊を鋳造後に均質化熱処理し、熱間圧延、冷間圧延が施されて所定の板厚とされ、更に溶体化焼入れなどの調質処理が施されて製造される。
但し、これらの製造工程中で、本発明のアスペクト比で規定する組織を得るためには、後述する通り、所定の工程を好ましい条件範囲とする。このような好ましい条件としなければ、本発明のアスペクト比で規定する組織を得ることが難しくなる可能性がある。
溶解、鋳造冷却速度
先ず、溶解、鋳造工程では、上記6000系成分組成範囲内に溶解調整されたアルミニウム合金溶湯を、連続鋳造法、半連続鋳造法(DC鋳造法)等の通常の溶解鋳造法を適宜選択して鋳造する。ここで、本発明の規定範囲内にアスペクト比を制御するために、鋳造時の平均冷却速度について、液相線温度から固相線温度までを30℃/分以上と、できるだけ大きく(速く)することが好ましい。
このような、鋳造時の高温領域での温度(冷却速度)制御を行わない場合、この高温領域での冷却速度は必然的に遅くなる。このように高温領域での平均冷却速度が遅くなった場合、この高温領域での温度範囲で粗大に生成する晶出物の量が多くなって、本発明の範囲に本発明のアスペクト比で規定する組織を制御することができなくなる可能性が高くなる。
均質化熱処理
次いで、前記鋳造されたアルミニウム合金鋳塊に、熱間圧延に先立って、均質化熱処理を施す。この均質化熱処理(均熱処理)は、通常の目的である、組織の均質化(鋳塊組織中の結晶粒内の偏析をなくす)の他に、均質化熱処理おいて、本発明のアスペクト比で規定する組織とすることが重要となる。このため、均質化熱処理を2回均熱或いは2段均熱で実施することが好ましい。
2回均熱とは、1回目の均熱後に、一旦室温を含む200℃以下の温度まで冷却し、更に、再加熱し、その温度で一定時間維持した後に、熱延を開始する。これに対して、2段均熱とは、1回目の均熱後に冷却はするものの、200℃未満までは冷却せず、より高温で冷却を停止した上で、その温度で維持した後に、そのままの温度か、より高温に再加熱した上で熱延を開始する。
2回均熱における1回目、あるいは2段均熱における1段目の均熱条件は、500℃以上、融点未満の温度範囲で、2時間以上の保持時間の範囲から適宜選択される。
但し、これら1回目、1段目の均熱時の室温から均熱温度までの平均昇温速度は80℃/hr以上の急速加熱とし、微細な遷移元素系分散粒子を生成させて、本発明の規定範囲内に前記D1やアスペクト比を制御するために、平均昇温速度を速くする。平均昇温速度が80℃/hr未満と遅いと、遷移元素系分散粒子が粗大化して、前記D1やアスペクト比で規定する組織とすることができなくなる可能性がある。
その一方で、1回目均熱後の均熱温度から室温までの平均冷却速度、1段目均熱後の均熱温度から200℃以上の冷却停止温度までの平均冷却速度は、40℃/hr以下、好ましくは30℃/hr以下と、常法に反して、平均冷却速度をできるだけ小さく(遅く)することで、冷却中の前記微細な遷移元素系分散粒子の析出及び成長を促進し、前記D1やアスペクト比で規定する組織に制御する。
2回目あるいは2段目の均熱条件は、熱延開始温度以上、500℃以下の温度範囲で2時間以上の保持時間の範囲から選択し、1回目の均熱、冷却後の鋳塊を再加熱し、熱延開始温度まで冷却するか、あるいは熱延開始温度まで再加熱してその近傍で保持する。また、1段目の均熱後の鋳塊を、熱延開始温度まで冷却して、その近傍で保持しても良い。これら2回目あるいは2段目の均熱温度は、1回目あるいは1段目の均熱温度よりも低温とする。
また、これら2回目あるいは2段目の均熱温度までの平均昇温速度や、均熱後の均熱温度からの平均冷却速度も、前記した1回目あるいは1段目の平均昇温速度や、平均冷却速度と同じ条件とする。
熱間圧延
均質化熱処理を行った鋳塊の熱間圧延は、圧延する板厚に応じて、鋳塊 (スラブ) の粗圧延工程と、仕上げ圧延工程とから構成される。これら粗圧延工程や仕上げ圧延工程では、リバース式あるいはタンデム式などの圧延機が適宜用いられる。
熱延開始温度としての熱間粗圧延の開始温度は350℃以上、400℃以下とする。熱間粗圧延の開始温度が350℃未満では、熱延が困難となり、逆に400℃を超えた場合、遷移元素系分散粒子が粗大に析出して、前記アスペクト比で規定する組織に制御できない可能性が高くなる。
このような熱間粗圧延後に、好ましくは、終了温度を300〜350℃の範囲とした熱間仕上圧延を行う。この熱間仕上圧延の終了温度が300℃未満と低すぎる場合には、圧延荷重が高くなって生産性が低下する。一方、加工組織を多く残さず再結晶組織とするために、熱間仕上圧延の終了温度を高くした場合、この温度が350℃を超えると、遷移元素系分散粒子が粗大に析出して、前記アスペクト比で規定する組織に制御できない可能性が高くなる。
冷間圧延
冷間圧延では、上記熱延板を圧延して、所望の最終板厚の冷延板 (コイルも含む) に製作する。但し、結晶粒をより微細化させるためには、冷間圧延率は60%以上であることが望ましく、また前記荒鈍と同様の目的で、冷間圧延パス間で中間焼鈍を行っても良い。
溶体化および焼入れ処理
冷間圧延後、溶体化処理と、これに続く、室温までの焼入れ処理を行う。この溶体化焼入れ処理については、通常の連続熱処理ラインを用いてよい。ただ、Mg、Siなどの各元素を十分に固溶し、高い析出強化量を得るためには、530℃以上、溶融温度以下の溶体化処理温度で10秒以上保持した後、その保持温度から100℃までの平均冷却速度を20℃/秒以上とすることが好ましい。
予備時効処理:再加熱処理
このような溶体化処理後に焼入れ処理して室温まで冷却した後、1時間以内に冷延板を予備時効処理(再加熱処理)する。室温までの焼入れ処理終了後、予備時効処理開始(加熱開始)までの室温保持時間が長すぎると、室温時効により前記したSiリッチのMg−Siクラスタが生成してしまい、前記MgとSiのバランスが良いMg−Siクラスタを増加させことができにくくなる。したがって、この室温保持時間は短いほど良く、溶体化および焼入れ処理と再加熱処理とが、時間差が殆ど無いように連続していても良く、下限の時間は特に設定しない。
この予備時効処理は、60〜120℃での保持時間を10時間以上、40時間以下保持する。これによって、本発明で規定する前記MgとSiのバランスが良いMg−Siクラスタが形成される。
予備時効温度が60℃未満か、または保持時間が10時間未満であると、この予備時効処理をしない場合と同様となって、前記したSiリッチのMg−Siクラスタを抑制し、前記MgとSiのバランスが良いMg−Siクラスタを増加させにくくなり、焼付塗装後の耐力が低くなりやすい。
一方、予備時効条件が120℃を超える、または、40時間を超えては、析出核の生成量が多すぎてしまい、焼付け塗装前の曲げ加工時の強度が高くなりすぎ、曲げ加工性が劣化しやすい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらは何れも本発明の技術的範囲に含まれる。
次に本発明の実施例を説明する。本発明の前記アスペクト比で規定する組織が異なる6000系アルミニウム合金板を、組成や製造条件を変えて作り分けて製造した。そして、板製造後室温に100日間保持後の、As耐力やBH性(塗装焼付け硬化性)、曲げ加工性を各々測定、評価した。これらの結果を表1、2に示す。
具体的な前記作り分け方は、表1に示す組成の6000系アルミニウム合金板を、表2に示すように、均熱条件、熱間粗圧延開始温度、溶体化処理温度などの条件を種々変えて行った。ここで、表1中の各元素の含有量の表示において、各元素における数値をブランクとしている表示は、その含有量が検出限界以下であることを示す。
(板の製造条件)
アルミニウム合金板の具体的な製造条件は以下の通りとした。表1に示す各組成のアルミニウム合金鋳塊を、DC鋳造法により共通して溶製した。この際、各例とも共通して、鋳造時の平均冷却速度について、液相線温度から固相線温度までを50℃/分とした。続いて、鋳塊を、各例とも表2に示す、室温から均熱温度までの平均昇温速度、均熱温度、均熱時間、均熱温度から室温までの平均冷却速度で、1回目の均熱処理をした後、2回目の均熱処理を行った。2回目の均熱処理は、各例とも共通する条件で行い、室温から均熱温度までの平均昇温速度を100℃/hr、均熱温度を480℃とし、保持時間を6hrとして、表2に示す各熱延開始温度まで、均熱温度からの平均冷却速度を20℃/hrとした。
熱間粗圧延後は、各例とも共通して、続く仕上げ圧延にて、各例とも終了温度を300〜350℃の範囲として、厚さ5.0mmまで熱延し、熱間圧延板とした。熱間圧延後のアルミニウム合金板を、冷延パス途中の中間焼鈍無しで加工率60%の冷間圧延を行い、厚さ2.0mmの冷延板とした。
更に、この各冷延板を、各例とも共通して、連続式の熱処理設備で巻き戻し、巻き取りながら、連続的に調質処理(T4)した。具体的には、表2に示す各溶体化処理温度とし、この溶体化処理温度までの平均加熱速度を10℃/秒として、目標溶体化処理温度に到達後5秒保持して行い、その後、平均冷却速度を100℃/秒とした水冷を行うことで室温まで冷却した。この冷却直後に、各例とも共通して、100℃×8時間の予備時効処理を行った。予備時効処理後は徐冷(放冷)を行った。
これら調質処理後100日間室温放置した後の各最終製品板の板厚中央から供試板 (ブランク) を切り出し、各供試板の結晶粒組織の、前記D1、D2、アスペクト比を、測定対象を傾角15°以上の大傾角粒界の結晶粒として、前記した方法で測定した。また、これら各供試板の強度や曲げ加工性を測定、評価した。
これらの結果を表2に示す。
(BH性)
前記各供試板の、0.2%耐力(As耐力:T4材=成形とBH前の板の耐力)、2%のストレッチ後に人工時効硬化処理した後(BH後)の0.2%耐力を引張試験により各々求めた。
前記2%のストレッチは、素材板の構造部材への成形として曲げ加工を模擬したものであり、人工時効硬化処理(BH)は185℃×20分の条件とした。
表2に、前記As0.2%耐力、前記BH後0.2%耐力、BH性として前記BH後0.2%耐力の前記As0.2%耐力からの増加量を順に示す。
前記引張試験は、前記各供試板から、各々JISZ2201の5号試験片(25mm×50mmGL×板厚)を採取し、室温にて引張り試験を行った。このときの試験片の引張り方向を圧延方向と平行方向とした。また、評点間距離50mmで、引張速度は5mm/分とし、試験片が破断するまで一定の速度で行った。機械的特性測定のN数は5とし、各々平均値で算出した。
(曲げ加工性)
曲げ加工性の評価は前記各供試板について行い、試験条件は、圧延方向に長軸をとって、幅30mm×長さ35mmの試験片を作成し、JIS Z 2248に準拠して、2000kgfの荷重をかけて、曲げ半径2.0mmで90°のV字曲げを行った。
このV曲げ部の、肌荒れ、微小な割れ、大きな割れの発生などの表面状態を目視観察し、以下の基準にて目視評価し、6点以上を合格とした。
9:割れなし、肌荒れなし、8;割れなし、僅かに肌荒れ、7;割れなし、肌荒れあり、6;微小な割れが僅かにあり、5;微小な割れあり、4;微小な割れが全面にあり、3;大きな割れ有、2;大きな割れがあり破断寸前、1;破断。
表2に示す発明例1〜7は、表1の通り、本発明の成分組成範囲内で、0.6≦Mg/[Si−0.15Mn−0.3Cr−0.1Zr]≦1.8のバランス式も満たし、かつ好ましい条件範囲で製造されている。このため、これら各発明例は、表2に示す通り、前記アスペクト比が本発明で規定する範囲内である。
この結果、各発明例は、室温時効後であっても、表2に示す通り、2%ストレッチ後185℃×20分のBH処理後の0.2%耐力が300MPa以上であり、BH性に優れ、かつ曲げ加工性にも優れている。
これに対して、表2の比較例1〜4は、発明例と同じ表1の合金例1を用いている。しかし、これら各比較例は、表2に示す通り、均熱条件、熱間粗圧延の開始温度、溶体化処理温度などの製造条件が、好ましい条件を外れている。この結果、比較例1〜4は、表2に示す通り、前記アスペクト比が本発明で規定する範囲から外れ、同じ合金組成である発明例1に比して、室温時効後のBH性か曲げ加工性のいずれか、あるいは両方が劣っている。
このうち、比較例1は1回目の均熱時の平均昇温速度が遅すぎる。このため、前記アスペクト比が本発明で規定する範囲から外れて小さすぎ、等軸粒になっており、BH性が低く、曲げ加工性も劣る。
比較例2は、1回目の均熱後の平均冷却速度が速すぎる。このため、前記アスペクト比が本発明で規定する範囲から外れて小さすぎ、等軸粒になっており、BH性が低く、曲げ加工性も劣る。
比較例3は、溶体化処理温度が低すぎる。このため、前記D1が100μmを超えて粗大化しており、アスペクト比も本発明で規定する範囲から外れて大きすぎる。このため、BH後の0.2%耐力は高いものの、As0.2%耐力が高いために、BH性自体は低く、曲げ加工性が劣る。
比較例4は 1回のみの均熱処理である。このため、前記アスペクト比が本発明で規定する範囲から外れて小さすぎ、等軸粒になっており、BH性が低く、BH後の0.2%耐力が低すぎる。
表2の比較例5〜10は、好ましい条件範囲で製造しているものの、表1の合金番号8〜13を各々用いており、合金組成が各々本発明範囲を外れている。
このため、これら比較例は、表2に示す通り、この結果、記アスペクト比が本発明で規定する範囲から外れるか、例えこれが範囲内であっても、発明例に比して、室温時効後のBH性か曲げ加工性のいずれか、あるいは両方が劣っている。
比較例5は表1の合金8であり、Mgが少なすぎる。このため、BH性が発明例に比して劣っている。
比較例6は表1の合金9であり、Siが少なすぎる。このため、前記アスペクト比が本発明で規定する範囲から外れて小さすぎ、等軸粒になっており、BH性が低く、BH後の0.2%耐力が低すぎる。
比較例7は表1の合金10であり、Siが多すぎる。このため、熱延割れを生じて、圧延板が製造できなかった。
比較例8は表1の合金11であり、Mn、Cr、Zrの1種または2種以上の合計量が少なすぎる。このため、前記アスペクト比が本発明で規定する範囲から外れて小さすぎ、等軸粒になっており、BH性が低く、BH後の0.2%耐力が低すぎる。
比較例9、10は表1の合金12、13であり、Mn、Cr、Zrの1種または2種以上の合計量が多すぎる。このため、前記D1が100μmを超えて粗大化しており、アスペクト比も本発明で規定する範囲から外れて大きすぎる。このため、BH性が低く、曲げ加工性も劣る。
表2の比較例11、12は、表1の合金14、15の通り、各元素の含有量自体は各々の規定範囲内であるものの、0.6≦Mg/[Si−0.15Mn−0.3Cr−0.1Zr]≦1.8のバランス式から組成が外れている。
比較例11は、表1の合金14の通り、前記バランス式を下限に外れ、Mgが不足している。このため、BH性が低く、BH後の0.2%耐力が低すぎる。
比較例12は、表1の合金15の通り、前記バランス式を上限に外れ、Siが不足している。このため、やはりBH性が低く、BH後の0.2%耐力が低すぎる。
以上の実施例の結果から、室温時効後でも、曲げ加工性を阻害せずに、185℃×20分のBH後の0.2%耐力を300MPa以上に高強度化させるためには、本発明で規定する組成や前記アスペクト比を満たす必要性があることが裏付けられる。
Figure 2016222958
Figure 2016222958
本発明によれば、曲げ加工性を阻害せずに高強度化させた6000系アルミニウム合金板を提供できる。この結果、パネル材を除く、フレーム、ピラーなどの骨格材あるいは、バンパ補強材、ドアビームなどの補強材などの自動車構造部材として、6000系アルミニウム合金板の適用を拡大できる。

Claims (2)

  1. 質量%で、Mg:0.6〜2.0%、Si:0.6〜2.0%を含むとともに、Mn、Cr、Zrの1種または2種以上を合計で0.2〜1.0%含み、かつ、Mg、SiおよびMn、Cr、Zrの各含有量が0.6≦Mg/[Si−0.15Mn−0.3Cr−0.1Zr]≦1.8のバランス式を満たし、残部がAl及び不可避的不純物からなるAl−Mg−Si系アルミニウム合金板であって、この板の圧延平行断面においてSEM−EBSDにより観察される1000μm×1000μmの領域の、結晶粒の長軸の平均長さをD1、短軸の平均長さをD2としたとき、D1が100μm以下であり、かつ、D1/D2であるアスペクト比が3.0以上、10.0以下であることを特徴とする高強度アルミニウム合金板。
  2. 前記アルミニウム合金板が、更に、Cu:0.05〜0.5%、Ag:0.01〜0.2%、Sn:0.005〜0.3%の1種または2種以上を含む請求項1に記載の高強度アルミニウム合金板。
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