JP2009163880A - 光ディスク記録再生装置とそのフォーカス処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】フォーカスジャンプ手段(DSP51)は、対物レンズ(13)を多層光ディスクのある記録層から他の記録層に移動させるための加速処理と、待機処理と、対物レンズの移動を停止させる減速処理を行い、加速処理において対物レンズの移動のために印加される加速パラメータの力積を対物レンズを停止させる減速パルスの力積より大きくする。
【選択図】 図10
Description
特に本発明は、2層以上の記録層を持つ多層光ディスクに対して記録再生が可能な光ディスク記録再生装置(光ディスクドライブ装置)において、各記録層間を移動するためのフォーカスジャンプ動作を確実かつ安定して行なわせるための技術に関する。
トラックジャンプ動作においては、図1(A)に図解したようにトラッキングエラー信号TEが時間を変数として正弦波状に変化するので、目標トラックに対するビームスポットの位置が正確に分かり、加減速のタイミングを正確に与えることが出来る。
図1(B)に図解したパルス波形は、たとえば、図4に図解する2軸アクチュエータ35を駆動して対物レンズ34を目標トラックに向けて移動させるため、ディジタルシグナルプロセッサ(DSP)51内のトラッキング制御手段がトラッキングドライバ57を介して2軸アクチュエータ35にトラックジャンプドライブ信号TJdrv として加速パルスACCEを与えて2軸アクチュエータによってトラッキング方向に移動される対物レンズ34を加速させ、その後、DSP51内のトラッキング制御手段がトラッキングドライバ57にトラックジャンプドライブ信号TJdrv として減速パルスDECCEを与えて対物レンズ34のトラッキング方向の移動を減速させることを示している。
そこで、図2(C)に図解したように、フォーカスジャンプ制御手段は、時点t1でフォーカスジャンプドライブ信号FJdrv として2軸アクチュエータを駆動するための加速パルスACCEを与え、そのときの対物レンズの移動速度を予測してフォーカスエラー信号FEがしきい値FEthを越えるであろう所定時間経過後の時点t2でフォーカスジャンプドライブ信号FJdrv として2軸アクチュエータ35を駆動するための減速パルスDECCEを与える。
すなわち、フォーカスジャンプ制御手段は予測によりフォーカスジャンプさせる光ディスク内の目標記録層の近傍で2軸アクチュエータの加速と減速を行っている。
特許文献2(国際出願公開公報WO98/05032)には微分フォーカスエラー信号の最大値からブレーキパルスの振幅を決定する技術が開示されている。
特許文献1(特開平10−143872号公報)および特許文献2(国際出願公開公報WO98/05032)に開示されているいずれの技法も、光ディスクの各記録層における反射率が正確に管理され、複数の記録層のそれぞれの記録層において、フォーカスエラーについて良好なS字カーブが得られるDVDビデオ装置などにおいては有効な手法である。
しかしながら、対物レンズの開口数を大きくし、高密度を図ったディスクドライブシステムにおいては、光ディスクの基板厚み変動に起因する収差の影響が大きくなる。たとえば、図3(A)に例示したように、開口数(NA)が小さいときはフォーカスエラーについて正負の特性が対称な形のS字カーブが得られるが、図3(B)に例示したようにNAが大きいときにはS字カーブが正負で非対称になることがある。
図3(B)に図解したように、S字カーブが正負で非対称になると、フォーカス方向に対物レンズ34を移動させる2軸アクチュエータに対する加速と減速の切り替えタイミングを正確に決定することができない。
対物レンズと、該対物レンズをフォーカス方向に移動させるフォーカスアクチュエータと、ビーム光を照射するビーム射出手段と、前記光ディスクからの戻り光を受光してフォーカスエラー信号および和信号を提供する受光手段と、前記ビーム射出手段からのビーム光を前記対物レンズに導き前記対物レンズに入射し、前記対物レンズから射出されるビームスポットが前記光ディスクに照射され、前記光ディスクからの戻り光を前記受光手段に導く光学系とを有する光ピックアップと、
前記多層光ディスクの1の記録層から他の記録層にフォーカスジャンプを開始するフォーカスジャンプ開始信号が印加されたとき、前記対物レンズからのビームスポットを前記他の記録層に位置決めするため前記対物レンズをフォーカス方向に移動させる加速パルス信号を前記フォーカスアクチュエータに出力し、第1待機時間だけ待機し、前記対物レンズの移動を停止させる第1減速パルス信号を前記フォーカスアクチュエータに出力する、フォーカスドライブ制御手段と
を具備し、
前記フォーカスドライブ制御手段は、
前記加速パルス信号として、前記対物レンズからのビームスポットが位置する1の記録層からフォーカスジャンプすべき他の記録層までのビームスポットの移動量に応じて規定される振幅とパルス継続時間との積で規定される第1力積の加速パルス信号を前記フォーカスアクチュエータに出力し、
前記第1減速パルス信号として、前記ビームスポットが前記他の記録層に位置決めされるように前記対物レンズを減速または停止させる、振幅とパルス継続時間との積で規定される第2力積のパルス信号を前記フォーカスアクチュエータに出力し、
前記第1減速パルス信号の第2力積は前記加速パルス信号の第1力積より小さい、
光ディスク記録再生装置が提供される。
また好ましくは、前記フォーカスドライブ制御手段は、前記加速パルス信号を出力し、前記第1減速パルス信号を出力した時、前記加速パルス信号を出力したときから第1の動作限界時間が経過するまで、前記受光手段により得られた前記和信号が最小値を示さないとき、前記対物レンズを前記多層光ディスクの表面から遠ざける第2減速パルス信号を前記フォーカスアクチュエータに出力する。
また好ましくは、前記フォーカスドライブ制御手段は、前記対物レンズの移動を停止させる前記第1減速パルス信号を前記フォーカスアクチュエータに出力した後、第2待機時間だけ待機し、前記第2待機時間待機しているとき、前記第1減速パルス信号により前記対物レンズが減速されて前記フォーカスエラー信号が加速時とは逆極性で最大値を示した後ゼロクロスしたときを検出したとき、前記対物レンズの移動を停止させる前記第2減速パルス信号を前記フォーカスアクチュエータに出力する。
好ましくは、前記フォーカスドライブ制御手段は、前記第2減速パルスとして、前記フォーカスエラー信号が前記他の記録層の合焦位置においてゼロクロスしたときの前記フォーカスエラー信号の微分値に第2係数を乗じた値の振幅と第1継続時間との積で規定される第3力積のパルス信号を前記フォーカスアクチュエータに出力する。
また好ましくは、当該光ディスク記録再生装置は、前記フォーカスエラー信号を高域位相進み補償処理する高域位相進み補償フィルタ手段をさらに有し、前記フォーカスドライブ制御手段は、前記高域位相進み補償フィルタ手段で位相進み補償された前記フォーカスエラー信号が前記他の記録層の合焦位置においてゼロクロスしたとき前記第2減速パルスを前記フォーカスアクチュエータに出力する。
好ましくは、前記フォーカスドライブ制御手段は、前記対物レンズからのビームスポットが前記多層光ディスクの前記他の記録層に位置決めされたとき、前記フォーカスジャンプ動作によるフォーカス引き込み処理を終了してフォーカスサーボ制御に切り換える。
前記多層光ディスクの1の記録層から他の記録層にフォーカスジャンプを開始するフォーカスジャンプ開始信号が印加されたとき、前記対物レンズからのビームスポットを前記他の記録層に位置決めするため前記対物レンズをフォーカス方向に移動させる加速パルス信号を前記フォーカスアクチュエータに出力する第1の段階と、
第1待機時間だけ待機する第2の段階と、
前記対物レンズの移動を停止させる第1減速パルス信号を前記フォーカスアクチュエータに出力する第3の段階と
を有し、
前記第1の段階において、前記加速パルス信号として、前記対物レンズからのビームスポットが位置する1の記録層からフォーカスジャンプすべき前記他の記録層までのビームスポットの移動量に応じて規定される振幅とパルス継続時間との積で規定される第1力積の加速パルス信号を前記フォーカスアクチュエータに出力し、
前記第3の段階において、前記第1減速パルス信号として、前記ビームスポットが前記他の記録層に位置決めされるように前記対物レンズを減速または停止させる、振幅とパルス継続時間との積で規定される第2力積のパルス信号を前記フォーカスアクチュエータに出力し、
前記第1減速パルス信号の第2力積は前記加速パルス信号の第1力積より小さい、
光ディスク記録再生方法が提供される。
対物レンズと、該対物レンズをフォーカス方向に移動させるフォーカスアクチュエータと、ビーム光を照射するビーム射出手段と、前記光ディスクからの戻り光を受光してフォーカスエラー信号および和信号を提供する受光手段と、前記ビーム射出手段からのビーム光を前記対物レンズに導き前記対物レンズに入射し、前記対物レンズから射出されるビームスポットが前記光ディスクに照射され、前記光ディスクからの戻り光を前記受光手段に導く光学系とを有する光ピックアップと、
フォーカスドライブ制御手段と
を具備し、
当該フォーカスドライブ制御手段は、
前記受光手段からの信号に基づいてフォーカスエラー信号を生成するフォーカスエラー信号生成手段と、
前記受光手段からの信号に基づいて和信号を生成する和信号生成手段と、
を有し、
フォーカスジャンプ開始信号が印加されたとき、前記対物レンズからのビームスポットを前記多層光ディスクの1の記録層から他の記録層に位置決めするため前記対物レンズをフォーカス方向に移動させる加速パルス信号を前記フォーカスアクチュエータに出力し、
第1待機時間だけ待機し、
前記第1待機中に前記和信号が極小値を示し、その後、前記現在の和信号を前記多層光ディスクの記録層に記録されている前記他の記録層の反射率情報で除した値がしきい値を越えたとき前記対物レンズの移動を減速させる第1ブレーキパルスを前記フォーカスアクチュエータに出力し、
第2待機時間だけ待機し、
前記第2待機中に前記フォーカスエラー信号の絶対値が最大値を示した後、前記他の記録層の合焦位置においてゼロクロスしたとき、前記対物レンズの移動を停止する第2ブレーキパルスを前記フォーカスアクチュエータに出力する、
光ディスク記録再生装置が提供される。
フォーカスジャンプ開始信号が印加されたとき、対物レンズからのビームスポットを前記多層光ディスクの1の記録層から他の記録層に位置決めするため前記対物レンズをフォーカス方向に移動させる加速パルス信号をフォーカスアクチュエータに出力する段階と、 第1待機時間だけ待機する段階と、
前記第1待機中に前記和信号が極小値を示し、その後、前記光ディスクの戻り光から求めた現在の和信号を前記多層光ディスクの記録層に記録されている前記他の記録層の反射率情報で除した値がしきい値を越えたとき前記対物レンズの移動を減速させる第1ブレーキパルスを前記フォーカスアクチュエータに出力する段階と、
前記第2待機時間だけ待機する段階と、
前記第2待機中に前記光ディスクの戻り光から求めたフォーカスエラー信号の絶対値が最大値を示した後、前記他の記録層の合焦位置においてゼロクロスしたとき、前記対物レンズの移動を停止する第2ブレーキパルスを前記フォーカスアクチュエータに出力する段階と
を有する、光ディスク記録再生方法が提供される。
光ピックアップに搭載されている対物レンズのビームスポットを前記多層光ディスクの現在位置している1の記録層から他の記録層に移動させるため前記対物レンズをフォーカス方向に移動させるフォーカスアクチュエータに加速パルス信号を印加し、その後、前記他の記録層の近傍において前記対物レンズの移動を減速させる減速パルス信号を前記フォーカスアクチュエータに出力するフォーカスドライブ制御手段であって、上記加速パルス信号の力積を、上記減速パルス信号の力積よりもその絶対値を大きくして出力する、フォーカスドライブ制御手段を具備する、光ディスク記録再生装置が提供される。
光ピックアップに搭載されている対物レンズを上記多層光ディスクの現在ビームスポットが位置している1の記録層から他の記録層に移動させるためフォーカスアクチュエータに加速パルス信号を印加し、その後の第1減速パルス信号を前記フォーカスアクチュエータに印加し、前記光ディスクの戻り光から求めたフォーカスエラー信号が目標とする前記他の記録層上であるレベル以下になった際に第2減速パルス信号を行なうフォーカスドライブ制御手段を具備する、光ディスク記録再生装置が提供される。
基本事項
本発明の好適な実施の形態を述べるまえに、本発明の実施の形態の光ディスク記録再生装置および方法の基本事項および条件を述べる。
条件1.フォーカスエラー信号についてのS字のレベル変動の影響を受けないようにするために、フォーカスジャンプのための対物レンズの位置を移動させるアクチュエータの加速、減速のタイミングとパルスの振幅はあらかじめ決めておくか、和信号RFのレベルを考慮する。
力積とは、パルスの継続時間とパルスの振幅を乗じたものをいう。力積は、2軸アクチュエータに与えるエネルギーの総和を意味している。したがって、力積は2軸アクチュエータによって駆動される対物レンズの移動量の総和を意味している。
条件2.フォーカスエラーがあるレベル以下になったところで(合焦点位置の少し手前)対物レンズの移動速度を0に近づけるために、対物レンズを移動させるアクチュエータに減速パルス(ブレーキパルス)を与える。
条件1、2によれば、光ディスクの複数の記録層の層間距離が基準からずれていたり、各記録層近傍で常に一定のS字カーブが得られないような高密度ライタブル多層ディスクにおいても、記録層間のビームスポットの移動を安定に行なうことができる。
また、フォーカスエラー信号の微分値に比例した値をブレーキパルスとして対物レンズを移動させるアクチュエータに印加することにより、フォーカス引き込み動作を安定にする事も出来る。
本明細書において、多層の記録層を有する光ディスクのある記録層から他の記録層に対物レンズからのビームスポットをジャンプさせることをフォーカスジャンプ動作といい、目標の記録層にビームスポットが合焦したときをフォーカス引き込み完了という。
また、本発明の光ディスク記録再生装置においてフォーカスジャンプ動作の間、トラッキングサーボ制御が行なわれるが、トラッキングサーボ制御は本発明の主題ではないので、詳細な記述はと割愛する。同様に、本発明の光ディスク記録再生装置においてフォーカスサーボ制御しながら、スライドモータを駆動してトラックジャンプ動作が行なわれるが、その詳細な記述は割愛する。
第1実施の形態
図4〜図9(A)〜9(D)を参照して本発明の光ディスク記録再生装置および方法の第1実施の形態について述べる。
図4は本発明の光ディスク記録再生装置の基本的な実施の形態としての多層光ディスク記録再生装置(ディスクドライブ装置)の構成図である。
光ディスク記録再生装置は、光ピックアップ30と、サーボ基板50と、スピンドルモータ21と、ターンテーブル22と、チャッキングプレート23と、レーザダイオード(LD)ドライバ42と、和信号増幅器41とを有する。
図5は図4に図解した多層光ディスクの断面構成およびビームスポットがフォーカスジャンプする状態を図解した図である。
図4に図解した多層光ディスク10は、本実施の形態では、図5に図解したように、2層の情報記録層を持つ2層ディスクであり、基板11と、基板11に形成された第2層の記録層12および第1層の記録層13と、透光性のカバー層15を有している。図5は実線で図解した対物レンズ34からのビームスポットが第1の記録層13に照射されており、破線で示したように対物レンズ34からのビームスポットが第2の記録層12にフォーカスジャンプする状態を図解している。
光ピックアップ30は、レーザダイオード(LD)31、フォトディテクタ(PD)32、ビームスプリッタBS、コリメータレンズCLなどの光学要素から構成される光学系33、対物レンズ34、対物レンズ34をフォーカス方向およびトラッキング方向に駆動するための2軸アクチュエータ35等から構成されている。
2軸アクチュエータ35に代えて、フォーカス方向に対物レンズ34を駆動する第1のアクチュエータと、トラック方向に対物レンズ34を移動させる第2のアクチュエータとに分離されて構成されていてもよい。
光ピックアップ30はディジタルシグナルプロセッサ(DSP)51の制御のもとでスライドモータドライバ58によって駆動されるスライドモータ36によって光ディスク10のトラックを横切る方向に移動される。
フォトディテクタ32はたとえば、2〜4分割フォトディテクタのいずれかであり、2〜4個の分割ディテクタの検出信号からフォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TE、和信号RFが生成される。
サーボ基板50は、回路基板に搭載された、フォーカスエラー演算部51Aと、和信号演算部51Bと、トラッキングエラー演算部51Cと、3個並列に設けられた第1のローパスフィルタ(LPF)52と、3個並列に設けられたアナログ/ディジタル変換回路(ADC)53と、ディジタルシグナルプロセッサ(DSP)51と、3個並列に設けられたディジタル/アナログ変換回路(DAC)54と、3個並列に設けられた第2のローパスフィルタ(LPF)55と、2軸アクチュエータ35をフォーカス方向に駆動するフォーカスドライバ56と、2軸アクチュエータ35をトラッキング方向に駆動するトラッキングドライバ57と、スライドモータ36を駆動するスライドモータドライバ57と、スピンドルモータ21を駆動するスピンドルモータドライバ59と、制御マイクロコンピュータ60とを有する。
フォトディテクタ32の出力は和信号RFを増幅するRF増幅回路(RFアンプ)41に供給されると共にサーボ基板50内にも供給される。サーボ基板50に入力されたフォトディテクタ32の出力から、フォーカスエラー演算部51Aが演算してフォーカスエラー信号FEを生成し、和信号演算部51Bが演算した和信号RFを生成し、トラッキングエラー演算部51Cが演算してトラッキングエラー信TEを生成する。
生成された3つの信号FE,RF,TEは、3個並列に設けられたローパスフィルタ(LPF)52において高域成分が除去されて低域周波数成分が通過し、さらに通過した低域周波数成分が3個並列に設けられたAD変換器(ADC)53においてディジタル信号に変換され、変換されたディジタル信号が高速な演算処理を行うDSP51に出力される。
DSP51において位相補償され、かつ、低域周波数成分のフォーカスドライブ信号FdrV 、トラッキングドライブ信号TRdrV およびスライドモータドライブ信号SMdrV が、フォーカスドライバ56、トラッキングドライバ57、スライドモータドライバ58に印加されて、2軸アクチュエータ35およびスライドモータ36が駆動される。
2軸アクチュエータ35は対物レンズ34によって集光されるビームスポットを光ディスク10の希望する記録層に位置決めし、また、ビームスポットを希望するトラックに移動させる。スライドモータ36は光ピックアップ30をトラック方向に大きく移動させる。
図6は図4に図解したディジタルシグナルプロセッサ(DSP)が行う位相補償処理をブロック構成として図解した図である。
位相補償を行なうDSP51は、フォーカスエラー信号FEについて位相補償を行う第1の位相補償手段511、トラッキングエラー信号TEについて位相補償を行う第2の位相補償手段512、和信号RFおよびフォーカスエラー信号FEに基づいてフォーカス・オンおよびフォーカスジャンプタイミング信号を生成するタイミング信号生成手段513を有する。
DSP51は、第2の位相補償手段512で位相補償されたトラッキングエラー信号TEをローブースト(Low Boost)・フィルタ処理して低域成分のみ抽出してスライドモータドライバ58に出力するローブースト・フィルタ(LBF)手段516を有する。
第1のスイッチ514、第2のスイッチ515およびローブースト・フィルタ(LBF)手段516の出力信号は、3個並列に設けられたDAコンバータ(DAC)54でディジタル信号からアナログ信号に変換された各ドライブ信号は3個並列に設けられたローパスフィルタ(LPF)55で低域成分を通過させられた後、対応する各ドライバー、すなわち、フォーカスドライバ56、トラッキングドライバ57、スライドモータドライバ58に送られる。光ディスク10は制御用マイクロコンピュータ60の制御のもとで動作しているスピンドルモータドライバ59によって回転駆動されている。このように回転している光ディスク10に対して、スライドモータドライバ58はスライドモータ36を駆動して光ピックアップ30を光ディスク10のトラック方向に移動させ、フォーカスドライバ56およびトラッキングドライバ57は2軸アクチュエータ35を駆動して対物レンズ34のビームスポットについてフォーカスサーボ制御およびトラッキングサーボ制御を行う。
対物レンズ34のトラッキング制御、および、スライドモータ36を用いたトラックジャンプ制御は、本発明の主題ではないので、詳細な記述は割愛する。トラッキング制御の概要は図1A〜1Bを参照して上述した。
図7は図4に図解した多層光ディスク記録再生装置(ディスクドライブ装置)に光ディスクが装荷された後にDSP51が行なう第1実施の形態としてのフォーカス引き込み(フォーカスジャンプ)動作を示すフローチャートである。
図8A〜8Cは第1実施の形態のフォーカス引き込みの際のフォーカスエラー信号FE、和信号RFおよびフォーカスジャンプドライブ信号FJdrv の変化を示したグラフである。
DSP51は図8Cの時点t1において制御マイクロコンピュータ60からフォーカス引き込み(フォーカスジャンプ)開始指令を受けると、対物レンズ34が徐々に光ディスク10に徐々に近づくようにフォーカスドライバ56に図8Cに図解した一定の傾きで傾斜状に増加するフォーカスジャンプドライブ信号FJdrv を出力する。それにより、フォーカスドライバ56から2軸アクチュエータ35にフォーカスジャンプドライブ信号FJdrv が印加され、2軸アクチュエータ35が対物レンズ34をフォーカス方向に移動させる。対物レンズ34の移動に応じた信号がフォトデタクタ32で検出され、フォーカスエラー信号生成部(演算部)51Aにおいてフォトデタクタ32の検出信号から図8Aに図解したフォーカスエラー信号FEが生成され、和信号生成部(演算部)51Bにおいてフォトデタクタ32の検出信号から図8Bに図解した和信号RFが生成され、トラッキングエラー信号生成部(演算部)51Cにおいてフォトデタクタ32の検出信号からトラッキングエラー信号TEが生成される。
フォーカスジャンプドライブ信号FJdrv の傾きは、対物レンズ34および2軸アクチュエータ35の慣性、応答性などを考慮した上で、対物レンズ34の移動速度が遅すぎて応答性が低下せず、対物レンズ34の移動速度が速すぎて目標記録層をビームスポットがオーバーシュートしないような値とする。
DSP51は、図8(A)の時点t2においてフォーカスエラー信号FEが予め決められたレベルFEonを上回り(S2)、図8(B)の時点t3において和信号RFがレベルPIonを上回ったことを検出した後(S3)、図8(A)の時点t4においてフォーカスエラー信号FEがゼロクロス(ZC)し、その絶対値がゼロクロスしきい値FEzcより小さくなることを検出すると(S4)、その時点t4のフォーカスエラー信号FEの微分値:(dFE /dt)を計算し、時点t4とほぼ同じ図8(C)の時点t5においてその微分値に比例した振幅Abrk=k×(dFE /dt)(kは比例定数)の第1ブレーキパルス信号BRK1(または第1減速パルスDECCE1)をある一定時間△tbrkの間、フォーカスドライバ56に出力する(S5)。それにより、対物レンズ34の移動が停止される。
第1ブレーキパルス信号BRK1は、対物レンズ34の移動を停止させる信号であり、その時の対物レンズ34の移動加速度に応じた力積のパルス信号とするため時点t4のフォーカスエラー信号FEの微分値:(dFE /dt)に比例した振幅にしている。
DSP51が上記方法でブレーキパルスBRK1の振幅の大きさと極性を決めた場合、フォーカスサーボをかける光ディスク10の記録層の反射率の大小によりブレーキパルスBRK1の振幅Abrkが最適点からずれることになる。これを防ぐために、DSP51は和信号RFのレベルPItnを考慮して、Abrk=((dFE /dt)/PItn)×kr(krは和信号RFのレベルを用いる場合の比例定数)を用いて光ディスク10の記録層の反射率に依存せず常に最適なブレーキパルスを与える。
その後、DSP51は時点t6において、負極性のフォーカスエラー信号FEが正極性となる間にゼロクロスを検出したとき、フォーカスジャンプ処理が終了したと想定して、フォーカスループを閉じて、フォーカスサーボ制御に移行させる(S6)。フォーカスサーボ制御により、対物レンズ34はフォーカスジャンプされた位置に制御(維持)される。
ステップS7〜S8:その後もDSP51は光ディスク記録再生装置の状態を監視しており、たとえば、和信号RFの信号レベルを監視している。もしディスクドライブ装置(光ディスク記録再生装置)に強い振動などの外乱が発生しデフォーカスが大きくなり、時点t7において、DSP51が同期引き込み(プルイン)レベル状態を示す和信号RFがレベルPIoff を下回ることを検出すると(S7)、DSP51は時点t7とほほ同じ時点t8において振幅Aoffの第2ブレーキパルスBRK2を期間△toffだけフォーカスドライバ56に出力し(S8)、2軸アクチュエータ35を介して対物レンズ34を光ディスク10から遠ざけて、対物レンズ34が光ディスク10に衝突して破損することを防止する。このときは、DSP51によってフォーカスサーボ制御は強制的にオフにされる。
力積(Abrk×△tbrk)の値としては、フォーカスエラー信号FEがしきい値FEZCを下回ったとき(時点t4)のフォーカスエラー信号の微分値(dFE /dt)に比例するように振幅Abrkとプレーキ時間△tbrkの両方を変化させても、上記同様の効果が得られる。
図9(A)は図4に図解したDSPにおいてフォーカスエラー信号を補償するための高域位相進み補償フィルタのブロック図であり、図9(B)は図9(A)に図解した高域位相進み補償フィルタの振幅および位相についての周波数特性図であり、図9(C)は図9(A)の高域位相進み補償フィルタを通さない場合(破線)と高域位相進み補償フィルタを通した場合(実線)のフォーカスエラー(FE)信号の波形図であり、図9(D)は図9(A)の高域位相進み補償フィルタを通さない場合(破線)と高域位相進み補償フィルタを通した場合(実線)のブレーキパルス信号の波形図である。
第1実施の形態では時点t4におけるステップ4のフォーカスエラー信号FEのゼロクロスの判定に位相補償しない生のフォーカスエラー信号FErを用いているが、第1実施の形態の変形態様として、図9Aに図解したようにDSP51内の高域位相進み補償フィルタ511を通したフォーカスエラー信号FEfを用いるとフォーカスジャンプしてフォーカスオンした時のオーバーシュートが改善されるという利点がある。
第1実施の形態においては、時点t4におけるフォーカスエラー信号の微分値に比例した値を第1ブレーキパルスBRK1として出力すると言う手法を用いることにより、フォーカス引き込み(フォーカスジャンプ)動作を安定にする事が出来る。
特に、第1実施の形態の変形態様として述べた、時点t4の検出には高域位相進み補償フィルタを通過した後のフォーカスエラー信号FEfを用いてゼロクロスを検出して判断し、ブレーキパルスBRKfの振幅の算出には高域位相進み補償フィルタを通過した後のフォーカスエラー信号FEfの微分値を用いることが望ましい。
図10〜図11(A)〜11(C)を参照して本発明の光ディスク記録再生装置および方法の第2実施の形態について述べる。
図10は図4に図解した制御マイクロコンピュータ60からDSP51にフォーカスジャンプ開始指令が出てからDSP51によるフォーカスジャンプが完了するまでの処理を示すフローチャートである。図10において、ステップD1〜D3はDSP51がフォーカスドライバ56を介して2軸アクチュエータ35を駆動して対物レンズ34をフォーカス方向に移動させる動作を示し、ステップS11〜S15はDSP51による監視・判断処理を示し、ステップT1〜T4はDSP51によるタイマおよびタイミング処理を示す。
第1実施の形態においては、フォーカスドライブ制御手段としてのDSP51は、フォーカスジャンプドライブ信号FJdrv として一定傾斜で増加する信号をフォーカスドライバ56を介して2軸アクチュエータ35に出力し、目標記録層にビームスポットが到達したとき第1ブレーキパルスBRK1をフォーカスドライバ56を介して2軸アクチュエータ35に出力して対物レンズ34の移動を停止させるフォーカス引き込み動作の例を述べたが、第2実施の形態においては、DSP51は、図11(C)に図解したように、加速パルス信号ACCEを出力する加速段階(処理)P1、待機段階(処理)P2、第1減速パルス信号DECCEを2軸アクチュエータ35に出力する減速段階(処理)P3の処理を行なう。
第2実施の形態によれば、ビームスポットを現在の記録層から目標となる記録層へ、高速にかつ安定して移動させることが可能となる。
DSP51が制御マイクロコンピュータ60からフォーカスジャンプ開始指令を受けると、フォーカスジャンプ手段(またはフォーカスドライブ手段)としてのDSP51のフォーカスジャンプ処理が始まる。
加速パルス信号ACCEとして、メモリに記憶されている振幅Aacce にオフセット値Afd _LPF を加算するのは、このオフセット値を加算しないと希望するだけ対物レンズ34が移動しないからである。
ステップD2〜D3:DSP51内のフォーカスドライブ手段は、加速パルスACCEを時間△tdrv出力した経過後、時点d2において時間△twait の待ち時間中はフォーカスジャンプドライブ信号FJdrv の低域成分の値Afd _LPF のみをオフセット値としてフォーカスドライバ56に出力しつづける(D2、図11(C))。待機時間にオフセット値Afd _LPF のフォーカスジャンプドライブ信号FJdrv を2軸アクチュエータ35に出力するのは、このオフセット値のフォーカスジャンプドライブ信号FJdrv を2軸アクチュエータ35に印加することにより、事実上、待機状態になるからである。
DSP51は、図11(C)に図解したフォーカスジャンプ期間の加速過程P1、待ち時間P2、減速過程P3のいずれの状態においても、あらかじめ決められた出力振幅をフォーカスジャンプドライブ信号FJdrv の低域成分のオフセット値Afd _LPF だけオフセットさせた値の加速パルスACCEおよび減速パルスDECCEを出力する。
上記オフセット値Afd _LPF としては、上述した待機中に測定したものに限らず、第1実施の形態において述べたように、フォーカスサーボ制御中に事前に測定した、フォーカスエラー信号FEの低域成分を用いてもよい。
フォーカス引き込みの時と同様に、フォーカスドライブ制御手段としてのDSP51は加速パルスおよび減速パルスの時間または振幅を変えて力積を調整しても良いし、振幅と時間の両方で調整を行なっても良い。
具体的に述べると、ステップS11において、DSP51は時点t11において、フォーカスエラー信号FEがしきい値FEfjより大きくなったかを検出する。その後、DSP51は、図11C(に)図解した加速パルスACCEの終了後の時点d2が経過した後に、図11(C)に図解した減速パルスDECCEが出力されて時点t2において和信号RFが極小値になったことを検出する(ステップS12)。
DSP51は、ステップS13において、フォーカスエラー信号の絶対値がしきい値FEfjより大きくなり、かつ時点t11におけるフォーカスエラー信号FEとは逆極性であることを検出する。さらにステップS4において、DSP51は、フォーカスエラー信号FEが絶対値として極大値を示したのちゼロクロスに向かって変化し、時点t14においてフォーカスエラー信号FEの絶対値がしきい値FEfj-zc より小さくなったときを検出したときフォーカスジャンプ動作が終了したと判断して、ステップS15において、フォーカスループを閉じてフォーカスサーボ制御に移行させる。
上記方法によれば、光ディスク10の複数の記録層の層間距離が基準からずれていたり、各記録層近傍でフォーカスエラー信号について常に一定のS字カーブが得られないような高密度ライタブル多層ディスクにおいても、記録層間を安定にビームスポットを移動させることが可能となる。
図12〜図13(A)〜13(C)を参照して本発明の第3実施の形態として、フォーカスジャンプに関する光ディスク記録再生装置および方法について述べる。
図12は第3実施の形態としてのフォーカスジャンプが完了するまでの処理を示すフローチャートである。
図13(A)〜13(C)は第3実施の形態のフォーカスジャンプ動作におけるフォーカスエラー信号FE、和信号RFおよびフォーカスジャンプドライブ信号FJdrv の波形図である。
図12において、図10と同様、ステップD1〜D4はDSP51がフォーカスドライバ56を介して2軸アクチュエータ35を駆動して対物レンズ34をフォーカス方向に移動させる動作を示し、ステップS11〜S15はDSP51による監視・判断処理を示し、ステップT1〜T4はDSP51によるタイマおよびタイミング処理を示す。
図12に図解した本発明の第3実施の形態におけるステップS11〜S14、ステップD1〜D3、ステップT1〜T4の処理は、図10を参照して述べた第2実施の形態と同様である。
第3実施の形態においても、図13(A)の時点t14において和信号RFのレベルを用いた第2減速パルスDECCE2の振幅Abrk2 の算出の仕方については、第1実施の形態の場合と全く同様であり、時点t14におけるフォーカスエラー信号の微分値(dFE /dt)を和信号RFのレベルPILnで除算した値に比例係数kfj _PIを乗じた値、Abrk2 =((dFE /dt)/PILn)×kfj _PIを用いることにより、光ディスク10の記録層の反射率の影響を受けない安定したフォーカスジャンプが可能となる。
第3実施の形態においても、第2実施の形態の変形態様として述べたように、図5(A)に図解した高域位相進み補償フィルタ511を用いてフォーカスエラー信号FEについて高域位相進み補償を施したフォーカスエラー信号FEfをゼロクロス判定に用いることによりフォーカスオンした後の対物レンズ34から光ディスク10の記録層に出力されるビームスポットのオーバーシュートを減少させることが出来る。
図14〜図17(A)〜17(C)を参照して、本発明の第4実施の形態としての光ディスク記録再生装置および方法について述べる。
本発明の第4実施の形態と第3実施の形態との相違点は、第4実施の形態において、第1減速パルスDECCE1を出すタイミングが第3実施の形態とは異なることである。その他は第3実施の形態と同様である。
第4実施の形態においては、あらかじめ光ディスクの各記録層にビームスポットをフォーカスさせた時の和信号RFのレベルPIL1〜PILnを知っておく必要があり、事前に個々の光ディスクの記録層にビームスポットをフォーカスさせたときの和信号RFのレベルPIL1〜PILnを測定して光ディスクに記憶しておく。
図14に図解した光ディスク10Aは、図5に図解した2層の記録層を有する光ディスク10とは異なり、3層の記録層を有し、上記和信号RFのレベルPIL1〜PIL3を記録している部分を有する。
光ディスク10Aの第1記録層14のリードイン(read=in )エリアRIに、この光ディスク10Aの総記録層数および各記録層12〜14の反射率が記録されている。最初に第1記録層14にフォーカスされ、そこからこれらの情報が読み出された後、DSP51内部のメモリ(図示せず)に記録される。第1記録層14の和信号RFのレベルPIl1が分かれば、第2および第3記録層13、12の反射率レベルRLl2〜RLl3から第2および第3記録層13、12における和信号RFのレベルPILn=PIL1×RLn /RLL1を算出できる。
図15(A)に示すように、総記録層数nが分かっていれば、和信号RFのピークをn個読み取るまで対物レンズ34を光ディスク10Aの各記録層に近づけていくことによっても、各記録層12〜14での和信号RFのレベルを知ることが可能である。
時点t01以降は、和信号RFの最大値が判定レベルJLを越えている。
時点t02において第3層の記録層の和信号を検出したと同時に、DSP51は、対物レンズ34を光ディスク10Aから引き離すための負のフォーカスドライブ信号−FDRV(負極性のフォーカスジャンプドライブ信号FJdrv )をフォーカスドライバ56に出力する。
図16は本発明の第4実施の形態における制御用マイクロコンピュータ60からDSP51にフォーカスジャンプ指令が出てからフォーカスジャンプが完了するまでのフォーカス制御処理を示すフローチャートである。図16において、図12と同様、ステップD1〜D4はDSP51がフォーカスドライバ56を介して2軸アクチュエータ35を駆動して対物レンズ34をフォーカス方向に移動させる動作を示し、ステップS11〜S15はDSP51による監視・判断処理を示し、ステップT1〜T4はDSP51によるタイマおよびタイミング処理を示す。
図17(A)〜17(C)は本発明の第4実施の形態のフォーカスジャンプ動作における、フォーカスエラー信号FE(図17(A))、現在の和信号RFをフォーカスすべき目標の記録層における和信号のレベルPIlk+1で除した(割った)値(図17(B))、およびフォーカスジャンプドライブ信号FJdrv (図17(C))の波形図である。
ステップD1において、フォーカスドライブ制御手段としてのDSP51は、フォーカスドライバ56に振幅A acce、期間Δtdrv の加速パルスACCEを与え(図17(C)、時点d1)、DSP51が和信号RFが極小値を示した時を検出した(ステップS12、図17Bの時点t12)の後、DSP51は、図17(B)に図解した現在の和信号RFを光ディスク10Aのビームスポットを照射させる目標記録層での和信号RFのレベルPIlk+1で除算した値がしきい値PIRatio を越えたことを検出したとき(ステップS12A、図17(B)、時点t12a)、DSP51はフォーカスドライバ56に第1減速パルスDECCE1を出力する(図17(C)、時点d2)。
本発明の光ディスク記録再生装置および方法は上述した実施の形態に限定されるものではない。
たとえば、図4に図解した本発明の実施の形態のフォーカスジャンプ処理手段の実施の形態としての上述したDSP51の処理機能を有しているものであれば、DSP51に限らず、種々の回路装置またはコンピュータとソフトウエアによる信号処理によって実現することができる。
上述した実施の形態において、高速な実時間処理が必要な処理をDSP51で担当させ、光ディスク記録再生装置の総合的な処理を制御マイクロコンピュータ60に分担させた例を述べたが、制御マイクロコンピュータ60とDSP51との処理内容の分担は適宜変更することができる。
さらに、DSP51の処理内容、たとえば、図6を参照して述べた位相補償処理などをハードウエア回路で実現することもできる。
本発明によれば、高密度ライタブル多層光ディスクを用いた光ディスク記録再生装置においても、記録層間の安定したビームスポットの移動が可能となる。
Claims (20)
- 複数の記録層を持つ多層光ディスクにデータを記録する、または、前記多層光ディスクに記録されているデータを再生する記録・再生動作に対応してビームスポットを前記多層光ディスクの1の記録層から他の記録層に移動させるフォーカスジャンプ動作を行い当該他の記録層についてフォーカス引き込みを行う光ディスク記録再生装置であって、
対物レンズと、該対物レンズをフォーカス方向に移動させるフォーカスアクチュエータと、ビーム光を照射するビーム射出手段と、前記光ディスクからの戻り光を受光してフォーカスエラー信号および和信号を提供する受光手段と、前記ビーム射出手段からのビーム光を前記対物レンズに導き前記対物レンズに入射し、前記対物レンズから射出されるビームスポットが前記光ディスクに照射され、前記光ディスクからの戻り光を前記受光手段に導く光学系とを有する光ピックアップと、
前記多層光ディスクの1の記録層から他の記録層にフォーカスジャンプを開始するフォーカスジャンプ開始信号が印加されたとき、前記対物レンズからのビームスポットを前記他の記録層に位置決めするため前記対物レンズをフォーカス方向に移動させる加速パルス信号を前記フォーカスアクチュエータに出力し、第1待機時間だけ待機し、前記対物レンズの移動を停止させる第1減速パルス信号を前記フォーカスアクチュエータに出力する、フォーカスドライブ制御手段と
を具備し、
前記フォーカスドライブ制御手段は、
前記加速パルス信号として、前記対物レンズからのビームスポットが位置する1の記録層からフォーカスジャンプすべき他の記録層までのビームスポットの移動量に応じて規定される振幅とパルス継続時間との積で規定される第1力積の加速パルス信号を前記フォーカスアクチュエータに出力し、
前記第1減速パルス信号として、前記ビームスポットが前記他の記録層に位置決めされるように前記対物レンズを減速または停止させる、振幅とパルス継続時間との積で規定される第2力積のパルス信号を前記フォーカスアクチュエータに出力し、
前記第1減速パルス信号の第2力積は前記加速パルス信号の第1力積より小さい、
光ディスク記録再生装置。 - 前記フォーカスドライブ制御手段は、
前記第1待機時間だけ待機しているときまたは当該フォーカスジャンプ動作前のフォーカスサーボ制御時に前記受光手段から得られた、前記フォーカスエラー信号から低域成分を抽出したオフセット信号を入手し、
前記加速パルス信号の振幅に前記オフセット信号を加算した振幅の加速パルス信号を前記フォーカスアクチュエータに出力し、
前記第1待機時間待機している期間に前記オフセット信号の値のフォーカスドライブ信号を前記フォーカスアクチュエータに出力し、
前記第1減速パルス信号の振幅に前記オフセット信号を加算した振幅の前記第1減速パルス信号を前記フォーカスアクチュエータに出力する、
請求項1に記載の光ディスク記録再生装置。 - 前記フォーカスドライブ制御手段は、前記加速パルス信号を出力し、前記第1減速パルス信号を出力した時、前記加速パルス信号を出力したときから第1の動作限界時間が経過するまで、前記受光手段により得られた前記和信号が最小値を示さないとき、前記対物レンズを前記多層光ディスクの表面から遠ざける第2減速パルス信号を前記フォーカスアクチュエータに出力する、
請求項1または2に記載の光ディスク記録再生装置。 - 前記フォーカスドライブ制御手段は、
前記対物レンズの移動を停止させる前記第1減速パルス信号を前記フォーカスアクチュエータに出力した後、第2待機時間だけ待機し、
前記第2待機時間待機しているとき、前記第1減速パルス信号により前記対物レンズが減速されて前記フォーカスエラー信号が加速時とは逆極性で最大値を示した後ゼロクロスしたときを検出したとき、前記対物レンズの移動を停止させる前記第2減速パルス信号を前記フォーカスアクチュエータに出力する、
請求項3に記載の光ディスク記録再生装置。 - 前記フォーカスドライブ制御手段は、前記第2減速パルスとして、前記フォーカスエラー信号が前記他の記録層の合焦位置においてゼロクロスしたときの前記フォーカスエラー信号の微分値に第2係数を乗じた値の振幅と第1継続時間との積で規定される第3力積のパルス信号を前記フォーカスアクチュエータに出力する、
請求項3または4に記載の光ディスク記録再生装置。 - 当該光ディスク記録再生装置は、前記フォーカスエラー信号を高域位相進み補償処理する高域位相進み補償フィルタ手段をさらに有し、
前記フォーカスドライブ制御手段は、前記高域位相進み補償フィルタ手段で位相進み補償された前記フォーカスエラー信号が前記他の記録層の合焦位置においてゼロクロスしたとき前記第2減速パルスを前記フォーカスアクチュエータに出力する、
請求項3〜5のいずれかに記載の光ディスク記録再生装置。 - 前記フォーカスドライブ制御手段は、前記対物レンズからのビームスポットが前記多層光ディスクの前記他の記録層に位置決めされたとき、前記フォーカスジャンプ動作によるフォーカス引き込み処理を終了してフォーカスサーボ制御に切り換える、
請求項1〜6のいずれかに記載の光ディスク記録再生装置。 - 複数の記録層を持つ多層光ディスクにデータを記録する、または、前記多層光ディスクに記録されているデータを再生する記録・再生動作に対応してビームスポットを前記多層光ディスクの1の記録層から他の記録層に移動させるフォーカスジャンプ動作を行い当該他の記録層についてフォーカス引き込みを行う光ディスク記録再生方法であって、
前記多層光ディスクの1の記録層から他の記録層にフォーカスジャンプを開始するフォーカスジャンプ開始信号が印加されたとき、前記対物レンズからのビームスポットを前記他の記録層に位置決めするため前記対物レンズをフォーカス方向に移動させる加速パルス信号を前記フォーカスアクチュエータに出力する第1の段階と、
第1待機時間だけ待機する第2の段階と、
前記対物レンズの移動を停止させる第1減速パルス信号を前記フォーカスアクチュエータに出力する第3の段階と
を有し、
前記第1の段階において、前記加速パルス信号として、前記対物レンズからのビームスポットが位置する1の記録層からフォーカスジャンプすべき前記他の記録層までのビームスポットの移動量に応じて規定される振幅とパルス継続時間との積で規定される第1力積の加速パルス信号を前記フォーカスアクチュエータに出力し、
前記第3の段階において、前記第1減速パルス信号として、前記ビームスポットが前記他の記録層に位置決めされるように前記対物レンズを減速または停止させる、振幅とパルス継続時間との積で規定される第2力積のパルス信号を前記フォーカスアクチュエータに出力し、
前記第1減速パルス信号の第2力積は前記加速パルス信号の第1力積より小さい、
光ディスク記録再生方法。 - 複数の記録層を有し、1の記録層に記録層の数および各記録層の反射率情報が記録されている多層光ディスクにデータを記録する、または、前記多層光ディスクに記録されているデータを再生する記録・再生動作に対応してビームスポットを前記多層光ディスクの1の記録層から他の記録層に移動させるフォーカスジャンプ動作を行い、当該他の記録層についてフォーカス引き込みを行う光ディスク記録再生装置であって、
対物レンズと、該対物レンズをフォーカス方向に移動させるフォーカスアクチュエータと、ビーム光を照射するビーム射出手段と、前記光ディスクからの戻り光を受光してフォーカスエラー信号および和信号を提供する受光手段と、前記ビーム射出手段からのビーム光を前記対物レンズに導き前記対物レンズに入射し、前記対物レンズから射出されるビームスポットが前記光ディスクに照射され、前記光ディスクからの戻り光を前記受光手段に導く光学系とを有する光ピックアップと、
フォーカスドライブ制御手段と
を具備し、
当該フォーカスドライブ制御手段は、
前記受光手段からの信号に基づいてフォーカスエラー信号を生成するフォーカスエラー信号生成手段と、
前記受光手段からの信号に基づいて和信号を生成する和信号生成手段と、
を有し、
フォーカスジャンプ開始信号が印加されたとき、前記対物レンズからのビームスポットを前記多層光ディスクの1の記録層から他の記録層に位置決めするため前記対物レンズをフォーカス方向に移動させる加速パルス信号を前記フォーカスアクチュエータに出力し、
第1待機時間だけ待機し、
前記第1待機中に前記和信号が極小値を示し、その後、前記現在の和信号を前記多層光ディスクの記録層に記録されている前記他の記録層の反射率情報で除した値がしきい値を越えたとき前記対物レンズの移動を減速させる第1ブレーキパルスを前記フォーカスアクチュエータに出力し、
第2待機時間だけ待機し、
前記第2待機中に前記フォーカスエラー信号の絶対値が最大値を示した後、前記他の記録層の合焦位置においてゼロクロスしたとき、前記対物レンズの移動を停止する第2ブレーキパルスを前記フォーカスアクチュエータに出力する、
光ディスク記録再生装置。 - 前記フォーカスドライブ制御手段は、前記加速パルス信号として、前記対物レンズからのビームスポットが位置する前記1の記録層からフォーカスジャンプすべき前記他の記録層までのビームスポットの移動量に応じて規定される振幅とパルス継続時間との積で規定される第1力積の加速パルス信号を前記フォーカスアクチュエータに出力する、
請求項9に記載の光ディスク記録再生装置。 - 前記フォーカスドライブ制御手段は、前記第1減速パルス信号として、前記ビームスポットが前記他の記録層の近傍に位置決めされるように前記対物レンズを減速させる、振幅とパルス継続時間との積で規定される第2力積のパルス信号を前記フォーカスアクチュエータに出力する、
請求項9または10に記載の光ディスク記録再生装置。 - 前記第1減速パルス信号の第2力積は、前記加速パルス信号の第1力積より小さい、
請求項11に記載の光ディスク記録再生装置。 - 前記フォーカスドライブ制御手段は、
前記第1待機時間だけ待機しているときまたは当該フォーカスジャンプ動作前のフォーカスサーボ制御時に得られたフォーカスエラー信号から低域成分を抽出したオフセット信号を入手し、
前記加速パルス信号の振幅に前記オフセット信号を加算した振幅の加速パルス信号を前記フォーカスアクチュエータに出力し、
前記第1待機時間待機している期間に前記オフセット信号の値のフォーカスドライブ信号を前記フォーカスアクチュエータに出力し、
前記第1ブレーキパルスの振幅に前記オフセット信号を加算した振幅の第1減速パルス信号を前記フォーカスアクチュエータに出力し、
前記第2待機時間待機している期間に前記オフセット信号の値のフォーカスドライブ信号を前記フォーカスアクチュエータに出力し、
前記第2ブレーキパルスの振幅に前記オフセット信号を加算した振幅の第2減速パルス信号を前記フォーカスアクチュエータに出力する、
請求項10に記載の光ディスク記録再生装置。 - 前記フォーカスドライブ制御手段は、前記加速パルス信号を出力し、前記第1減速パルス信号を出力した時、前記加速パルス信号を出力したときから第1の動作限界時間が経過するまで、前記和信号が最小値を示さないとき、前記対物レンズを前記多層光ディスクの表面から遠ざける減速パルス信号を前記フォーカスアクチュエータに出力する、
請求項9〜13のいずれか記載の光ディスク記録再生装置。 - 前記フォーカスドライブ制御手段は、前記第2ブレーキパルスとして、前記フォーカスエラー信号が前記他の記録層の合焦位置においてゼロクロスしたときの前記フォーカスエラー信号の微分値に第2係数を乗じた値の振幅と第1継続時間との積で規定される第3力積のパルスを前記フォーカスアクチュエータに出力する、
請求項9〜14のいずれか記載の光ディスク記録再生装置。 - 当該光ディスク記録再生装置は、前記フォーカスエラー信号を高域位相進み補償処理する高域位相進み補償フィルタ手段をさらに有し、
前記フォーカスドライブ制御手段は、前記高域位相進み補償フィルタ手段で位相進み補償されたフォーカスエラー信号がゼロクロスしたとき、前記第2ブレーキパルスを前記フォーカスアクチュエータに出力する、
請求項9〜15のいずれかに記載の光ディスク記録再生装置。 - 前記フォーカスドライブ制御手段は、前記対物レンズからのビームスポットが前記多層光ディスクの前記他の記録層に位置決めされたとき、前記フォーカスジャンプ動作によるフォーカス引き込み処理を終了してフォーカスサーボ制御に切り換える、
請求項9〜16のいずれかに記載の光ディスク記録再生装置。 - 複数の記録層を有し、1の記録層に記録層の数および各記録層の反射率情報が記録されている多層光ディスクにデータを記録する、または、前記多層光ディスクに記録されているデータを再生する記録・再生動作に対応してビームスポットを前記多層光ディスクの1の記録層から他の記録層に移動させるフォーカスジャンプ動作を行い、当該他の記録層についてフォーカス引き込みを行う光ディスク記録再生方法であって、
フォーカスジャンプ開始信号が印加されたとき、対物レンズからのビームスポットを前記多層光ディスクの1の記録層から他の記録層に位置決めするため前記対物レンズをフォーカス方向に移動させる加速パルス信号をフォーカスアクチュエータに出力する段階と、 第1待機時間だけ待機する段階と、
前記第1待機中に前記和信号が極小値を示し、その後、前記光ディスクの戻り光から求めた現在の和信号を前記多層光ディスクの記録層に記録されている前記他の記録層の反射率情報で除した値がしきい値を越えたとき前記対物レンズの移動を減速させる第1ブレーキパルスを前記フォーカスアクチュエータに出力する段階と、
前記第2待機時間だけ待機する段階と、
前記第2待機中に前記光ディスクの戻り光から求めたフォーカスエラー信号の絶対値が最大値を示した後、前記他の記録層の合焦位置においてゼロクロスしたとき、前記対物レンズの移動を停止する第2ブレーキパルスを前記フォーカスアクチュエータに出力する段階と
を有する、
光ディスク記録再生方法。 - 複数の記録層を持つ多層光ディスクにデータを記録する、または、多層光ディスクに記録されているデータを再生する記録・再生動作に対応してレーザスポットを前記多層光ディスクの1の記録層から他の記録層に移動させるためのフォーカスジャンプ動作を行い、当該他の記録層についてフォーカス引き込みを行う光ディスク記録再生装置であって、
光ピックアップに搭載されている対物レンズのビームスポットを前記多層光ディスクの現在位置している1の記録層から他の記録層に移動させるため前記対物レンズをフォーカス方向に移動させるフォーカスアクチュエータに加速パルス信号を印加し、その後、前記他の記録層の近傍において前記対物レンズの移動を減速させる減速パルス信号を前記フォーカスアクチュエータに出力するフォーカスドライブ制御手段であって、上記加速パルス信号の力積を、上記減速パルス信号の力積よりもその絶対値を大きくして出力する、フォーカスドライブ制御手段
を具備する、光ディスク記録再生装置。 - 複数の記録層を持つ多層光ディスクにデータを記録する、または、記録されているデータを再生する記録・再生動作に対応してレーザスポットを前記多層光ディスクの1の記録層から他の記録層に移動させるためのフォーカスジャンプ動作を行い、当該他の記録層についてフォーカス引き込みを行うフォーカスジャンプ処理手段を有する光ディスク記録再生装置であって、
光ピックアップに搭載されている対物レンズを上記多層光ディスクの現在ビームスポットが位置している1の記録層から他の記録層に移動させるためフォーカスアクチュエータに加速パルス信号を印加し、その後の第1減速パルス信号を前記フォーカスアクチュエータに印加し、前記光ディスクの戻り光から求めたフォーカスエラー信号が目標とする前記他の記録層上であるレベル以下になった際に第2減速パルス信号を行なうフォーカスドライブ制御手段
を具備する、光ディスク記録再生装置。
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