JP4420920B2 - 光記録媒体駆動装置、フォーカスオン方法 - Google Patents
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Description
図12は、このような多層ディスクにおけるフォーカスオンの手法について例示している。この図12では、一例として、レーザ光が入射する側から順に第1記録層、第2記録層の2つの記録層が形成された2層ディスクについて、第2記録層にフォーカスオンする際の動作例について示している。
なお図12では、フォーカスオン時の全光量信号(例えば4分割ディテクタの場合にはプルイン(PI)信号)、FOK信号、フォーカスエラー信号、フォーカスドライブ信号の各波形と、各種閾値thとによりフォーカスオン動作を模式的に示している。
そして、このように対物レンズが光ディスク方向に駆動されるときの全光量信号を所定の閾値th-FOKでスライスしたFOK信号を生成し、このKOF信号がHとなる期間内で、フォーカスエラー信号のS字を検出する。具体的には、フォーカスエラー信号が図中の閾値th−1を超えた後にさらに閾値th−2を下回ることを条件としてS字の検出を行う。
この場合は、奥側に位置する第2記録層にフォーカスオンするので、2個目のS字が検出された時点でフォーカスオンを行う。つまりは、図示するようにしてFOK信号が再びHとなる期間内で、フォーカスエラー信号が閾値th−1を超えた後に閾値th−2を下回った時点でフォーカスオンを行うものである。
このBDについては、ディスク厚み方向に0.1mm程度のカバー層を有するディスク構造において、波長405nmのレーザ(いわゆる青色レーザ)とNA(Numerical Aperture)が0.85の対物レンズの組み合わせという条件下で、データを記録又は再生するものとされている。
従来、フォーカスオン時に設定されるべき球面収差補正値については、フォーカスオンを行う対象となるターゲット層に合わせた球面収差補正値を設定するものとされていた。
これに対し全光量信号は、L1層においても充分な信号振幅が得られており、球面収差による影響が非常に少ないことがわかる。
この際、全光量信号について図示する閾値thP-H、閾値thP-Lの2つの閾値を設け、全光量信号が閾値thP-Hを上回ったらH、その後閾値thP-Lを下回ったらLとなるようにしてFOK信号を生成するようにされる。
所定時間X以内にS字が検出された場合には、その時点から再度タイムカウントをやり直し、再度所定時間X以内にS字が検出されるか否かを判別する。そして、所定時間X以内にS字が検出されなかった場合には、対物レンズをこれまでと逆方向(つまり光ディスクから離れる方向)に駆動し、1つ目のS字が検出されたらそのタイミングでフォーカスオンを行う。この1つ目のS字については、FOK信号がHの期間内で、フォーカスエラー信号が図中閾値thF-ZLを下回った後にさらに閾値thF-Lを上回ったことを条件として検出する。
そこで、第1記録層にてフォーカスエラー信号振幅が増すように、第1記録層と第2記録層との中間点に合わせた球面収差補正値を設定した状態で第2記録層へのフォーカスオンを実行することが考えられる。すなわち、このように中間点に設定することで、第1記録層と第2記録層のフォーカスエラー信号の歪みの防止を図り、第2記録層へのフォーカスオン時に第1記録層のS字が検出できないといった事態の防止を図ろうというものである。
この点について、本出願人が実験を行った結果を図14に示す。
図14において、図14(a)はL0層(第2記録層)に合わせた球面収差補正値を設定した場合、図14(b)はL1層(第1記録層)に合わせた球面収差補正値を設定した場合、図14(c)はL0層とL1層の中間点に合わせた球面収差補正値を設定した場合のプルイン信号(PI)、フォーカスエラー信号(FE)の波形を示している。なお各図において、図中の縦破線より左側は対物レンズを光ディスクに近づく方向に駆動した際の波形を示し、同縦破線より右側では光ディスクから離れる方向に駆動した際の波形を示している。
このため、単に第1記録層と第2記録層との中間点に合わせた球面収差補正値に設定したのでは、装填される光ディスクごとにフォーカスオン動作時に得られるフォーカスエラー信号の振幅特性がばらついてしまい、結果として第2記録層へのフォーカスオン時に第1記録層のS字が検出できなくなるといった事態の防止を完全に図ることができないものとなる。
つまり、本発明の光記録媒体駆動装置は、複数の記録層を有する光記録媒体について記録又は再生を行う光記録媒体駆動装置であって、先ず、少なくとも信号読出のために上記光記録媒体に対するレーザ光照射及び反射光検出を行うとともに、少なくともレーザ光のフォーカス機構及び球面収差補正機構を有する複数波長単眼式のヘッド手段を備える。
また、上記ヘッド手段で得られる反射光情報に基づき上記フォーカス機構を駆動して、上記光記録媒体の上記記録層へのフォーカスオン制御を実行するフォーカス制御手段と、球面収差補正値に基づいて上記球面収差補正機構を駆動して球面収差補正を実行する球面収差補正手段とを備える。
さらに、上記光記録媒体における上記レーザ光の入射する側に最も近い第1記録層以外の記録層をターゲット層としたフォーカスオン動作を行うべき状態となったことに応じ、上記ターゲット層と上記第1記録層との中間点に合わせた球面収差補正値を所要の値だけシフトさせた球面収差補正値が上記球面収差補正手段に設定されるように制御すると共に、上記所要の値だけシフトさせた球面収差補正値の設定状態で上記フォーカス制御手段による上記ターゲット層へのフォーカスオン制御が実行されるように制御する制御手段と、上記ヘッド手段で得られる反射光に基づき再生信号品質の評価指標となる評価値を生成する評価値生成手段とを備えるものである。
そして、上記制御手段は、上記光記録媒体の所定の記録層に初回にフォーカスオンすべき状態となったことに応じ、上記所定の記録層について予め設定された球面収差補正値の初期値を基準としてその値をそれぞれ異なる値に変化させてそれらを上記球面収差補正値にそれぞれ設定させたときに上記評価値生成手段で得られた評価値をそれぞれ取得した結果に基づき、上記評価値が所定以上良好となったときの上記初期値からのシフト値を決定し、そのシフト値を補正シフト値として取得すると共に、上記第1記録層以外の記録層をターゲット層としたフォーカスオン動作を行うべき状態となったことに応じては、上記ターゲット層と上記第1記録層との中間点に合わせた球面収差補正値を上記補正シフト値と固定のオフセット値とに基づきシフトさせた球面収差補正値が上記球面収差補正手段に設定されるように制御する。
そして、上記固定のオフセット値は、上記複数波長単眼式のヘッド手段を備えたことに伴うフォーカスエラー信号の振幅値の低下を改善することのできる予め設定された値である。
図1は、本発明の実施の形態としてのディスクドライブ装置の内部構成について示すブロック図である。
このディスクドライブ装置としては、図示する光ディスクDとして、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray Disc:登録商標)のそれぞれに対応可能に構成される。また、これに伴い、図中光ピックアップ1としては、波長λ=780nm、650nm、405nmのそれぞれ波長の異なるレーザ光を共通の対物レンズを用いて照射するように構成された、いわゆる3波長単眼式のピックアップが採用されている。
また、このディスクドライブ装置は、データ再生のみが可能な再生専用装置とされる。この場合、ピット・ランドの組み合わせでデータが記憶される再生専用のROMディスクとしての光ディスクDのみでなく、記録可能型として、ライトワンス型やリライタブル型の光ディスクDについての再生も可能とされる。
ここで一例として、次の図2には2つの記録層を有する2層BDによる光ディスクDの断面構造を示す。
2層BDの場合、図示するようにしてレーザ光が入射する側から順にカバー層→L1層→L0層→基板の順に各層が形成される。この場合、レーザ光の入射側に最も近いL1層(第1記録層とも呼ぶ)は、カバー層の表面からおよそ75μmとなる位置に形成される。また、奥側のL0層(第2記録層とも呼ぶ)は、カバー層の表面からおよそ100μmの位置に形成される。
図1に示すディスクドライブ装置では、このようにして光ディスクDに形成されるL1層、L0層に対して選択的にフォーカスオンすることが可能に構成されることで、各層に記録される情報の読み出しが可能とされている。
そして再生時には、光ピックアップ(光学ヘッド)1によって光ディスクD上のトラックにピット或いはマークで記録された情報の読出が行われる。
なお、光ディスクDには、再生専用の管理情報として、例えばディスクの物理情報等がエンボスピット又はウォブリンググルーブによって記録されるが、これらの情報の読出も光ピックアップ1により行われる。さらに記録可能型の光ディスクDに対しては、グルーブトラックのウォブリングとして埋め込まれたADIP情報が記録されているが、その読み出しも光ピックアップ1によって行うことができる。
また光ピックアップ1全体はスレッド機構3によりディスク半径方向に移動可能とされている。
また光ピックアップ1におけるレーザダイオードはレーザードライバ9からのドライブ信号(ドライブ電流)によってレーザ発光駆動される。
なお、上記球面収差補正機構を含めた光ピックアップ1内の構成については後述する。
マトリクス回路4には、フォトディテクタとしての複数の受光素子からの出力電流に対応して電流電圧変換回路、マトリクス演算/増幅回路等を備え、マトリクス演算処理により必要な信号を生成する。
例えば再生データに相当するRF信号(再生データ信号)、サーボ制御のためのフォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TEなどを生成する。
また、グルーブのウォブリングに係る信号、即ちウォブリングを検出する信号としてプッシュプル信号PPを生成する。
さらに本実施の形態の場合、後述するフォーカスオン動作時に用いられるプルイン(Pull in)信号PIも生成する。
データ信号処理回路5において、上記2値化処理により得られた2値データ列は後段のデコード部7に対して供給される。また、生成された上記再生クロックは、図示は省略したが各部の動作クロックとして供給される。また検出された同期信号はデコード部7に対して供給される。
再生時においては、上記データ信号処理回路5で復号された2値データ列、及び同期信号に基づく復調タイミングで示されるタイミングで、上記2値データ列に対する復調処理を行い、再生データを得る。デコード部7で再生データにまでデコードされたデータは、ホストインタフェース8に転送され、システムコントローラ10の指示に基づいてホスト機器100に転送される。ホスト機器100とは、例えばコンピュータ装置やAV(Audio-Visual)システム機器などである。
また、デコードされたアドレスデータは、システムコントローラ10に対して供給される。
ウォブル信号処理回路6は、システムコントローラ10からの指示に基づき、マトリクス回路4からのプッシュプル信号PPからこのように光ディスクDのウォブリンググルーブによって記録された情報を検出し、これをシステムコントローラ10に対して供給する。
即ちフォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TEに応じてフォーカスドライブ信号FD、トラッキングドライブ信号TDを生成し、光ピックアップ1内の2軸機構のフォーカスコイル、トラッキングコイルを駆動することになる。これによって光ピックアップ1、マトリクス回路4、サーボ回路11、2軸機構によるトラッキングサーボループ及びフォーカスサーボループが形成される。
またサーボ回路11は、システムコントローラ10からのトラックジャンプ指令に応じて、トラッキングサーボループをオフとし、ジャンプドライブ信号を出力することで、トラックジャンプ動作を実行させる。
また、特に多層ディスクとしての光ディスクDに対応したフォーカス制御として、サーボ回路11は、フォーカスエラー信号FEに基づきフォーカスジャンプ制御も行う。
また、サーボ回路11は、フォーカスバイアスの設定も可能に構成される。すなわち、システムコントローラ10からの指示に基づくフォーカスバイアスを上述したフォーカスサーボループに対して加算することができる。
スピンドルサーボ回路12は、データ信号処理回路5にて生成される再生クロックを現在のスピンドルモーター2の回転速度情報として得て、これを所定のCLV基準速度情報と比較することでスピンドルエラー信号を生成する。
なお、光ディスクDが記録可能型ディスクである場合には、ウォブル信号に対するPLL処理で生成されるクロックを現在のスピンドルモーター2の回転速度情報として得ることができるので、これを所定のCLV基準速度情報と比較することでスピンドルエラー信号を生成することもできる。
そしてスピンドルサーボ回路12は、スピンドルエラー信号に応じて生成したスピンドルドライブ信号を出力し、スピンドルドライバ13によりスピンドルモーター2のCLV回転を実行させる。
またスピンドルサーボ回路12は、システムコントローラ10からのスピンドルキック/ブレーキ制御信号に応じてスピンドルドライブ信号を発生させ、スピンドルモーター2の起動、停止、加速、減速などの動作も実行させる。
システムコントローラ10は、ホストインタフェース8を介して与えられるホスト機器100からのコマンドに応じて各種処理を実行する。
例えば、ホスト機器100から光ディスクDに記録されている或るデータの転送を求めるリードコマンドが供給された場合、システムコントローラ10は、まず指示されたアドレスを目標としてシーク動作制御を行う。即ちサーボ回路11に指令を出し、シークコマンドにより指定されたアドレスをターゲットとする光ピックアップ1のアクセス動作を実行させる。
その後、その指示されたデータ区間のデータをホスト機器100に転送するために必要な動作制御を行う。即ち光ディスクDから読み出される信号(再生データ信号)についてデータ信号処理回路5、デコード部7における再生処理を実行させ、要求されたデータを転送する。
また、後に説明する本実施の形態としてのフォーカスオン動作を実現するための処理動作も行うが、これについても後述する。
もちろん光記録媒体駆動装置の構成例としては他にも多様に考えられ、例えば記録が可能な構成とすることもできる。すなわち、本発明のディスクドライブ装置としては、記録再生装置、及び記録専用装置の形態もあり得る。
図3において、半導体レーザ(レーザダイオード)81から出力されるレーザ光は、コリメータレンズ82で平行光とされ、ビームスプリッタ83を透過して、球面収差補正レンズ群としての可動レンズ87、固定レンズ88を介して進行し、対物レンズ84から光ディスクDに照射される。なお球面収差補正レンズ群87,88についてはエキスパンダと呼ばれる。可動レンズ87を駆動することで球面収差補正が行われることから、以下、特に可動レンズ87については球面収差補正レンズ87とも呼ぶ。
また球面収差補正レンズ87は、レーザ光の波面をデフォーカスする機能を持つ。即ち球面収差補正レンズ87は、図示するようにして駆動信号Sdが供給されるアクチュエータ90によって光軸方向であるJ方向に移動可能とされており、この移動によって、対物レンズ84の物点を調整する。
つまり、アクチュエータ90に対して上記駆動信号Sdにより前後移動を実行させる制御を行うことで、球面収差補正を実行させることができる。
即ち、半導体レーザ81から対物レンズ84までの光路中において挿入した液晶パネルにおいて、レーザ光を透過させる領域と遮蔽する領域の境界を可変調整することで、レーザ光の径を可変して球面収差補正を行うものである。
この場合には、液晶パネルを駆動する液晶ドライバに対して、透過領域を可変させるように制御を行うことになる。
図4において、図1に示したマトリクス回路4からのフォーカスエラー信号FEは、サーボ回路11内におけるA/D変換器21によりデジタルデータに変換されて、フォーカスサーボ演算部22に入力される。
フォーカスサーボ演算部22では、デジタルデータとされて入力されるフォーカスエラー信号FEに対して位相補償等のためのフィルタリングやループゲイン処理などの所定の演算を行ってフォーカスサーボ信号を生成する。
このフォーカスサーボ信号は、図示するスイッチSWにおける端子t2に供給される。
また、端子t1に対してはD/A変換器25が接続され、図示するようにしてこのD/A変換器25の出力がフォーカスドライバ26を介してフォーカスドライブ信号FDとして出力されるようになっている。
フォーカスオン制御については、先ずはスイッチSWにおいて端子t3を選択させ、固定電圧23を出力させることで、二軸機構91によって対物レンズ84を光ディスクDに近づく方向に駆動させることができる。そして、その後、プルイン信号PIやフォーカスエラー信号FEについて、所定閾値に基づく条件判定を行い、その結果フォーカスオンすべき状態となった場合には、端子t2に切り換え、フォーカスサーボの引き込みを行う。つまり、これによってターゲット層へのフォーカスオン制御が行われる。
上記キック電圧の印加開始後、フォーカスエラー信号FEと所定閾値とに基づく条件判定からフォーカスサーボの引き込みがOKとされる状態となったとされた場合は、端子t3を選択してブレーキ電圧としての固定電圧23を出力させ、その後において端子t2を選択することで、ジャンプ先の記録層におけるフォーカスサーボの引き込みが行われる。これによってフォーカスジャンプ動作が行われる。
なお、本実施の形態が採用するフォーカスジャンプ動作の具体例については後述する。
先にも述べたようにBDについては、高NA化に伴いカバー層の厚みの差に起因した球面収差が生じることから、その補正を行うことが必須となる。本実施の形態のディスクドライブ装置としても、このような球面収差補正を行うために、先の図3に示したような球面収差補正機構(固定レンズ88、可動レンズ87、アクチュエータ90)やSA補正ドライバ14を備えている。
例えばL0層(第2記録層)についての初回のフォーカスオン時において、一度フォーカスサーボをオンできたときに、このように初期値を基準として球面収差補正値の設定を変えながら光ピックアップ1による信号読み出しを実行させ、そのとき得られたRF信号振幅値を評価値としてその値を最良(この場合は最大)とする上記初期値からのシフト値を補正シフト値として決定する。
以降、各記録層での信号読み出し時には、その記録層についての初期値に当該補正シフト値bを加算(或いは減算)した球面収差補正値を設定する。
しかし、この手法は対物レンズを往復させなければならないという点でフォーカスオンに要する時間を多く要してしまうという問題があった。
このようにして中間点に合わせて球面収差補正値を設定した場合にもL0層とL1層でのフォーカスエラー信号に歪みが残るのは、光ディスクDの個体ごとのカバー厚の誤差に起因して、光ディスクDごとに最適な球面収差補正値がばらつくためである。
具体的には、中間点の球面収差補正値(SA_L1+SA_L0/2)を、先の球面収差補正値の自動調整時に求められた補正シフト値bに基づきシフトさせた値をL0層へのフォーカスオン時の球面収差補正値として設定するものである。
そして、この球面収差補正値SA_FOの設定状態でL0層をターゲット層としたフォーカスオン動作を実行するものである。
また、この図に示す処理動作を実行するのに先立っては、先に説明したような球面収差補正値の自動調整処理によって既に補正シフト値bが求まっている状態にあることを前提とする。
このステップS106の処理として、球面収差補正値SA_L0+bの設定指示がサーボ回路11に対して行われることで、L0層へのフォーカスオン完了後は、L0層にとって最適とされる球面収差補正値を設定することができ、最適な球面収差補正値の設定状態でL0層における信号読み出し動作を実行させることができる。
ここで、このようなフォーカスエラー信号FEの振幅値低下の面でみると、特に本実施の形態の場合のように、光ピックアップ1として例えば3波長など複数の波長のレーザ光を共通の対物レンズ84を介して照射する複数波長単眼式のピックアップが採用される場合には、その構成上、フォーカスエラー信号FEの振幅値が低下する傾向となってしまうことが明らかとなった。
上記もしているように、補正シフト値bに基づき中間点の球面収差補正値をシフトさせた図5の手法によれば、充分な安定性をもってL0層へのフォーカスオン動作を行うことができるが、このような複数波長単眼式の光ピックアップとした場合の振幅低下を考慮し、さらなるフォーカスオン動作の安定化を図るとする場合には、次の図7に示すようなフォーカスオン動作とすることもできる。
具体的には、球面収差補正値SA_FO=SA_L1+SA_L0/2+b+Δを設定する。
ここで、オフセット値Δとしては、上述したような複数波長単眼式の光ピックアップ1を採用したことに伴うフォーカスエラー信号FEの振幅値の低下を改善することのできる値を、例えば実際に球面収差補正値の設定をそれぞれ変化させたときのフォーカスエラー信号FEの振幅値を測定した結果に基づき決定しておき、それを工場出荷時などの所定の段階で個々のディスクドライブ装置に対して設定しておく。
以降のステップS203〜S206については、先の図5に示したステップS103〜S106と同様の処理を実行する。
なお、これら図9(a)(b)の各図においては、縦軸の目盛が振幅値のレベルを表している。また、中心の目盛を境に右側の波形は対物レンズ84を光ディスクDに近づく方向に駆動した場合の波形を、また左側は遠ざける方向に駆動した場合の波形を示している。
この点からも、図7に示した手法が採られる場合にはより安定してL0層へのフォーカスオン動作を実行できることが理解できる。
つまり、図7に示した手法としては、オフセット値Δの加算によってサーボにとって良い方向に球面収差補正値をシフトさせることでフォーカスエラー信号FEの振幅値を上昇させることができ、これによってより安定したフォーカスオン動作を実現することができるというものである。
以下、この点について説明する。
これに応じ対物レンズ84の光ディスクDに近づく方向への駆動が開始され、フォーカスエラー信号FEとしては図のようにL1層におけるS字の片方の波形(振幅値が低下する方向の波形)が得られることになる。
しかし、このように球面収差補正値をターゲット層に合わせた状態でフォーカスジャンプ動作を開始すると、例えば上記の例のようにL0層にフォーカスジャンプを行う場合は、ジャンプ動作に入る前のL1層でのフォーカスサーボが非常に不安定となってしまい、最悪の場合サーボが外れてしまう可能性がある。
また、ターゲット層に合わせた球面収差補正値を設定していると、ジャンプ前の層でのフォーカスエラー信号FEの振幅値が低下することに伴って閾値thFJ-1,thFJ-2による条件が成立しない可能性があり、これによってジャンプ動作を行うことができなくなってしまう虞があった。
このようにして球面収差補正値をターゲット層に合わせていた従来では、フォーカスジャンプ動作の安定化が図られないことになる。
そこで、本実施の形態では、フォーカスジャンプを行うにあたって設定されるべき球面収差補正値SA_FJとして、SA_FJ=SA_L1+SA_L0/2+bを計算し、これを設定した状態でフォーカスジャンプ動作を実行するものとしている。
そして、このようなフォーカスジャンプ指示があった場合は、ステップS302において、球面収差補正値SA_FJ=SA_L1+SA_L0/2+bを計算する。
以下、ステップS303では球面収差補正値SA_FJの設定指示として、算出した球面収差補正値SA_FJをサーボ回路11に指示することで、SA補正ドライバ14に当該球面収差補正値SA_FJを設定させ、続くステップS304ではフォーカスジャンプ実行制御として、サーボ回路11に先の図10にて説明したフォーカスジャンプ動作を実行させる。
これにより、ターゲット層へのフォーカスジャンプ完了後において、その層にとって最適とされる球面収差補正値を設定することができ、最適な球面収差補正値の設定状態で信号読み出し動作を行うことができる。
例えば、これまでの説明では、記録層を2層有する場合において、レーザ光の入射側に最も近い第1記録層以外の第2記録層をターゲット層としたフォーカスオン動作(及びフォーカスジャンプ動作)を行う場合について説明したが、本発明としては、記録層が3層以上とされる場合において、上記第1記録層以外の任意の記録層をターゲット層としたフォーカスオン動作を行う場合にも適用できる。
具体的に、記録層が3層以上とされる場合としても、第1記録層とターゲット層との中間点に合わせた球面収差補正値を、所要の値だけシフトさせた球面収差補正値を設定した状態でターゲット層へのフォーカスサーボオン動作を行うものとすれば、実施の形態で例示したように 個々のカバー厚ムラや複数波長単眼式の光ピックアップが採用される場合のフォーカスエラー信号振幅の低下に対応した適正なフォーカスオン動作を行うことができる。
液晶パネルを用いた球面収差補正機構とする場合には、液晶ドライバに対し、液晶パネルの所要のセルに電圧印加を指示する駆動信号Sdを供給するように構成すればよい。このとき、補正シフト値bやオフセット値Δは遮蔽率で換算した値となり、これら補正シフト値bやオフセット値Δの加算(或いは減算)に応じて遮蔽率が変化するように電圧を印加すべきセルの個数が制御されることになる。
なお、何れにせよ補正シフト値を求めるにあたり用いる評価値としては、記録媒体からの反射光情報に基づき生成されて再生信号品質の評価指標となる値であればよく、特にこれまでで例示したものに限定されるべきものではない。
Claims (2)
- 複数の記録層を有する光記録媒体について記録又は再生を行う光記録媒体駆動装置であって、
少なくとも信号読出のために上記光記録媒体に対するレーザ光照射及び反射光検出を行うとともに、少なくともレーザ光のフォーカス機構及び球面収差補正機構を有する複数波長単眼式のヘッド手段と、
上記ヘッド手段で得られる反射光情報に基づき上記フォーカス機構を駆動して、上記光記録媒体の上記記録層へのフォーカスオン制御を実行するフォーカス制御手段と、
球面収差補正値に基づいて上記球面収差補正機構を駆動して球面収差補正を実行する球面収差補正手段と、
上記光記録媒体における上記レーザ光の入射する側に最も近い第1記録層以外の記録層をターゲット層としたフォーカスオン動作を行うべき状態となったことに応じ、上記ターゲット層と上記第1記録層との中間点に合わせた球面収差補正値を所要の値だけシフトさせた球面収差補正値が上記球面収差補正手段に設定されるように制御すると共に、上記所要の値だけシフトさせた球面収差補正値の設定状態で上記フォーカス制御手段による上記ターゲット層へのフォーカスオン制御が実行されるように制御する制御手段と、
上記ヘッド手段で得られる反射光に基づき再生信号品質の評価指標となる評価値を生成する評価値生成手段と
を備え、
上記制御手段は、
上記光記録媒体の所定の記録層に初回にフォーカスオンすべき状態となったことに応じ、上記所定の記録層について予め設定された球面収差補正値の初期値を基準としてその値をそれぞれ異なる値に変化させてそれらを上記球面収差補正値にそれぞれ設定させたときに上記評価値生成手段で得られた評価値をそれぞれ取得した結果に基づき、上記評価値が所定以上良好となったときの上記初期値からのシフト値を決定し、そのシフト値を補正シフト値として取得すると共に、上記第1記録層以外の記録層をターゲット層としたフォーカスオン動作を行うべき状態となったことに応じては、上記ターゲット層と上記第1記録層との中間点に合わせた球面収差補正値を上記補正シフト値と固定のオフセット値とに基づきシフトさせた球面収差補正値が上記球面収差補正手段に設定されるように制御し、
上記固定のオフセット値は、上記複数波長単眼式のヘッド手段を備えたことに伴うフォーカスエラー信号の振幅値の低下を改善することのできる予め設定された値である
光記録媒体駆動装置。 - 複数の記録層を有する光記録媒体について記録又は再生を行う光記録媒体駆動装置として、少なくとも信号読出のために上記光記録媒体に対するレーザ光照射及び反射光検出を行うとともに、少なくともレーザ光のフォーカス機構及び球面収差補正機構を有する複数波長単眼式のヘッド手段と、上記ヘッド手段で得られる反射光情報に基づき上記フォーカス機構を駆動して、上記光記録媒体の上記記録層へのフォーカスオン制御を実行するフォーカス制御手段と、球面収差補正値に基づいて上記球面収差補正機構を駆動して球面収差補正を実行する球面収差補正手段と上記ヘッド手段で得られる反射光に基づき再生信号品質の評価指標となる評価値を生成する評価値生成手段とを備えた光記録媒体駆動装置におけるフォーカスオン方法であって、
上記光記録媒体における上記レーザ光の入射する側に最も近い第1記録層以外の記録層をターゲット層としたフォーカスオン動作を行うべき状態となったことに応じ、上記ターゲット層と上記第1記録層との中間点に合わせた球面収差補正値を所要の値だけシフトさせた球面収差補正値が上記球面収差補正手段に設定されるように制御すると共に、上記所要の値だけシフトさせた球面収差補正値の設定状態で上記フォーカス制御手段による上記ターゲット層へのフォーカスオン制御が実行されるように制御するようにするとともに、
上記光記録媒体の所定の記録層に初回にフォーカスオンすべき状態となったことに応じ、上記所定の記録層について予め設定された球面収差補正値の初期値を基準としてその値をそれぞれ異なる値に変化させてそれらを上記球面収差補正値にそれぞれ設定させたときに上記評価値生成手段で得られた評価値をそれぞれ取得した結果に基づき、上記評価値が所定以上良好となったときの上記初期値からのシフト値を決定し、そのシフト値を補正シフト値として取得すると共に、上記第1記録層以外の記録層をターゲット層としたフォーカスオン動作を行うべき状態となったことに応じては、上記ターゲット層と上記第1記録層との中間点に合わせた球面収差補正値を上記補正シフト値と固定のオフセット値とに基づきシフトさせた球面収差補正値が上記球面収差補正手段に設定されるように制御し、
上記固定のオフセット値は、上記複数波長単眼式のヘッド手段を備えたことに伴うフォーカスエラー信号の振幅値の低下を改善することのできる予め設定された値である
フォーカスオン方法。
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