JP2008305490A - 光記録媒体駆動装置、フォーカスオン制御方法、プログラム - Google Patents

光記録媒体駆動装置、フォーカスオン制御方法、プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】迷光が生じる場合にも目標の記録層に適正にフォーカスオンできるようにする。
【解決手段】光記録媒体の表面から記録層までの公差を含む距離情報と、媒体取付面を基準として上記レーザ光の焦点位置とフォーカス駆動信号値との関係を表すための位置−駆動値対応情報とを記憶しておく。そして、これら距離情報と位置−駆動値対応情報とに基づき、レーザ光の焦点位置が上記記録層の下限位置となるときのフォーカス駆動信号値と上限位置となるときのフォーカス駆動信号値とを得た上で、これらのフォーカス駆動信号値間以外の区間を上記反射光信号についてのマスク区間として設定する。これにより、フォーカスオン動作を行うにあって、サーボ引き込みの対象区間が記録層の下限位置から上限位置までに対応する区間となるようにすることができ、迷光に伴う誤ったS字信号に基づきフォーカスサーボの引き込みが行われてしまうことを防止できる。
【選択図】図6

Description

本発明は、光の照射により情報の記録及び/又は再生が行われる光記録媒体について記録及び/又は再生を行う光記録媒体駆動装置と、上記光記録媒体に形成される記録層にフォーカスをオンするためのフォーカスオン動作について制御するフォーカスオン制御方法に関する。また、本発明の光記録媒体駆動装置を実現するためのプログラムに関する。
デジタルデータを記録・再生するための技術として、例えばCD(Compact Disc),MD(Mini-Disc),DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray Disc:登録商標)などの、光ディスク記録媒体(光磁気ディスクを含む)を記録メディアに用いたデータ記録技術がある。光ディスク記録媒体(単に光ディスクとも言う)は、ピットやマークによって信号が記録される円盤にレーザ光を照射し、その反射光の変化で信号が読み取られる記録メディアの総称である。
このような光ディスクについて、記録層に記録される情報の読み出しを行うにあたっては、その記録層にレーザ光のフォーカスをオンするためのフォーカスオン動作が行われる。
図9は、従来のフォーカスオン動作について説明するための図として、光ディスクの断面構造と、対物レンズによって集光されるレーザ光の様子と、フォーカスエラー信号(FE)と、さらにフォーカスドライブ信号(FD)との関係を示している。
ここでは、第1記録層と第2記録層の2つの記録層を有する光ディスクを例示している。
この図に示されるように、フォーカスオン動作を行うにあたっては、フォーカスドライブ信号のレベルを徐々に上げていって対物レンズを光ディスクに近づけるようにして駆動する。このように対物レンズを光ディスクに近づける方向に駆動していくと、フォーカスエラー信号には、レーザ光の焦点位置がそれぞれ光ディスク表面、記録層に達するタイミングに応じて所定の変化が現れる。具体的に、図中時点t1と示すドライブ信号レベルが0とされる状態から徐々にドライブ信号レベルを上昇させてレーザ光焦点位置を上昇させていくと、先ずは時点t2の焦点位置が光ディスクの表面に達する前後期間で、フォーカスエラー信号には図のようなS字波形(S字信号)が現れる。さらにドライブ信号レベルを上げていき、時点t3の第1記録層に達するタイミングの前後期間と、時点t4の第2記録層に達する前後期間においても、それぞれフォーカスエラー信号にはS字信号が現れる。図示するようにしてこのようなS字波形は、レーザ光の焦点位置が表面、記録層に達した時点でゼロクロスするような波形となる。
従来のフォーカス動作では、このようなフォーカスエラー信号の性質を利用し、S字信号の検出数をカウントした結果に基づき目標の記録層にフォーカスオンするようにされている。例えば、第1記録層にフォーカスオンするとしたときは、上記のように対物レンズを駆動していったときに得られるフォーカスエラー信号をモニタし、2回目のS字信号のゼロクロスタイミングでフォーカスサーボの引き込みを行う。また、第2記録層にフォーカスオンするとしたときは、同様にフォーカスエラー信号をモニタし、3回目に現れるS字信号のゼロクロスタイミングでフォーカスサーボの引き込みを行うようにされている。
なお、関連する従来技術については下記特許文献を挙げることができる。
特開2005−174383号公報 特開平5−182273号公報
しがしながら、例えば光ディスクが図9にて示したような記録層を多層有する多層ディスクとされる場合は、図中の破線丸印により囲うようにして、フォーカスエラー信号中の本来あるべきでない位置にS字波形が検出されてしまうとがある。これは、迷光と呼ばれる光の影響である。
ここで、多層ディスクの場合、各記録層にレーザ光を到達させることができるように、表面側から最も遠い記録層以外は入射光の一部を透過するように構成されるが、このことに伴い、媒体からの反射光は1つの記録層のみからではなく複数の記録層から得られることになる。このような複数の記録層からの反射光が、多層ディスクの場合における迷光の発生要因となる。
また、迷光は、光ディスクの記録層の数に関わらず、例えば光学部品のバラツキや取付精度などにも起因して発生するものでもある。例えば、光学部品の取付精度が低い場合などには、光ディスクからの反射光の2次光、3次光などが設計時に想定していなかった位置に回ってしまい、これに伴って本来検出されるべきではない光がフォトディテクタにて検出されてしまうことで迷光が生じる可能性がある。
このような迷光によってフォーカスエラー信号に本来あるべきでないS字波形が現れてしまった場合、先に説明した従来手法によるフォーカスオン動作を行うと、誤った位置(タイミング)でフォーカスサーボの引き込みが行われてしまうことになる。つまり、その場合には目標の記録層に適正にフォーカスオンすることができなくなってしまうことになる。
このとき、迷光の発生自体を防止することも考えられるが、迷光の発生を完全に防止することは非常に困難である。また、迷光防止のための光学部品が追加されることによっては、その分装置の大型化やコストアップが助長されてしまう。
そこで、本発明では以上のような問題点に鑑み、光記録媒体駆動装置として以下のように構成することとした。
つまり、光記録媒体が取り付けられる媒体取付手段と、少なくとも上記光記録媒体に対して接離する方向となるフォーカス方向に移動可能に保持された対物レンズを介して上記光記録媒体に対してレーザ光を照射すると共に、上記レーザ光の照射に応じて得られる上記光記録媒体からの反射光の検出を行うヘッド手段とを備える。
また、上記対物レンズを上記フォーカス方向に駆動するフォーカス手段と、上記ヘッド手段で検出された反射光に基づく反射光信号を生成する信号生成手段とを備える。
また、フォーカスオン動作として、上記フォーカス手段に与えるフォーカス駆動信号値を制御して上記対物レンズを上記フォーカス方向に駆動させ、そのときに得られる上記反射光信号の所定の変化点を検出した結果に基づきフォーカスサーボの引き込みを行うフォーカスオン手段を備える。
また、上記光記録媒体の表面から記録層までの公差を含む距離の情報と、その情報内容として、上記媒体取付手段の媒体取付面の位置を基準とした上記レーザ光の焦点位置と上記フォーカス駆動信号値との対応関係を表すための位置−駆動値対応情報とが記憶される記憶手段と、さらに制御手段を備える。
そして、上記制御手段は、上記記憶手段に記憶される上記距離情報と上記位置−駆動値対応情報とに基づき、上記焦点位置が上記記録層の下限位置となるときのフォーカス駆動信号値と上限位置となるときのフォーカス駆動信号値とを得る記録層区間駆動値取得処理と、上記記録層区間駆動値取得処理によって得た各フォーカス駆動信号値間以外の区間を上記反射光信号についてのマスク区間として上記フォーカスオン手段に設定するマスク区間設定処理とを実行するものである。
上記のように本発明では、光記録媒体の表面から記録層までの公差を含む距離情報(つまり規格上定められている表面を基準とした記録層の下限位置までの距離と上限位置までの距離の情報)と、媒体取付面を基準として上記レーザ光の焦点位置とフォーカス駆動信号値との関係を表すための位置−駆動値対応情報とが記憶手段に記憶される。そして、これら距離情報と位置−駆動値対応情報とに基づき、レーザ光の焦点位置が上記記録層の下限位置となるときのフォーカス駆動信号値と上限位置となるときのフォーカス駆動信号値とが得られ、これらのフォーカス駆動信号値間以外の区間が上記反射光信号についてのマスク区間として上記フォーカスオン手段に設定される。
これにより、フォーカスオン動作を行うにあって、サーボ引き込みの対象区間が、記録層の下限位置から上限位置までに対応する区間となるようにすることができる。
このようにして本発明によれば、フォーカスオン動作を行うにあってのサーボ引き込みの対象区間を、記録層の下限位置から上限位置までに対応する区間に制限することができる。これにより、迷光の影響によって(記録層付近でない)誤ったタイミングでフォーカスサーボの引き込みが実行されてしまうといったことを効果的に回避することができ、この結果、迷光が生じる場合にも目標の記録層に適正にフォーカスオンすることができる。
そして、このように迷光が生じる場合にも記録層に適正にフォーカスオンすることができれば、迷光を防止するための光学部品を敢えて設ける必要がなくなり、装置の部品点数の削減が図られ、それによって装置小型化や製造コストの削減を図ることができる。
以下、発明を実施するための最良の形態(以下実施の形態とする)について説明していく。
図1は、本発明の光記録媒体駆動装置の一実施形態としての、ディスクドライブ装置の内部構成を示したブロック図である。
このディスクドライブ装置としては、図示する光ディスクDとして、例えばCD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray Disc:登録商標)のそれぞれに対応可能に構成される。また、これに伴い、図中光ピックアップ1としては、波長λ=780nm、650nm、405nmの異なるレーザ光を選択的に照射することが可能に構成されている。
また、この場合、ディスクドライブ装置としては、例えばデータ再生のみが可能な再生専用装置として構成される場合を例示する。このディスクドライブ装置では、ピット・ランドの組み合わせでデータが記憶される再生専用のROMディスクとしての光ディスクDのみでなく、記録可能型として、ライトワンス型やリライタブル型の光ディスクDについての再生も可能とされる。
また、特に本実施の形態の場合、光ディスクDについては、記録層が1つのみのSL(Single Layer)と、記録層を2層有するDL(Dual Layer)との双方に対応可能とされる。
図1において、先ず光ディスクDは、ディスクドライブ装置に装填されると、ディスククランプ部2aによってそのセンターホール部分がクランプされて固定される。そして光ディスクDは、このようにディスククランプ部2aによって固定された状態で、スピンドルモータ2によって一定線速度(CLV)で回転駆動される。
再生時には、回転駆動される光ディスクD上のトラックにピット或いはマークで記録された情報の読出が光ピックアップ(光学ヘッド)1によって行われる。
なお、光ディスクDには、再生専用の管理情報として、例えばディスクの物理情報等がエンボスピット又はウォブリンググルーブによって記録されるが、これらの情報の読出も光ピックアップ1により行われる。さらに記録可能型の光ディスクDに対しては、グルーブトラックのウォブリングとして埋め込まれたADIP情報が記録されているが、その読み出しも光ピックアップ1によって行うことができる。
光ピックアップ1内には、レーザ光源となるレーザダイオードや、反射光を検出するためのフォトディテクタ、レーザ光の出力端となる対物レンズ、レーザ光を対物レンズを介してディスク記録面に照射し、またその反射光をフォトディテクタに導く光学系等が形成される。この場合の光ピックアップ1は、波長780nm、650nm、405nmのレーザ光を択一的に出力可能に構成される。
光ピックアップ1内において、上記対物レンズは2軸機構によってトラッキング方向及びフォーカス方向に移動可能に保持されている。
また光ピックアップ1全体はスレッド機構3によりディスク半径方向に移動可能とされている。
また光ピックアップ1におけるレーザダイオードはレーザドライバ9からのドライブ信号(ドライブ電流)によってレーザ発光駆動される。
また、本実施の形態の場合、光ディスクDとしてはBDにも対応するので、光ピックアップ1内には球面収差を補正するための球面収差補正機構も備えられる(図示せず)。この球面収差補正機構は、後述するSA(球面収差)補正ドライバ15によって駆動され、これによって球面収差が補正される。
光ディスクDからの反射光情報はフォトディテクタによって検出され、受光光量に応じた電気信号とされてマトリクス回路4に供給される。
マトリクス回路4には、フォトディテクタとしての複数の受光素子からの出力電流に対応して電流電圧変換回路、マトリクス演算/増幅回路等を備え、マトリクス演算処理により必要な信号を生成する。
例えば再生データに相当するRF信号(再生データ信号)、サーボ制御のためのフォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TEなどを生成する。
また、グルーブのウォブリングに係る信号、即ちウォブリングを検出する信号としてプッシュプル信号PPを生成する。
またこの場合、マトリクス回路4は、後述するシステムコントローラ10からの制御に基づき、少なくともフォーカスエラー信号FEの増幅率を変化させるように構成されている。
マトリクス回路4から出力される再生データ信号(RF信号)はデータ信号処理回路5へ、フォーカスエラー信号FE及びトラッキングエラー信号TEはサーボ回路11へ、プッシュプル信号PPはウォブル信号処理回路6へ、それぞれ供給される。
データ信号処理回路5は、再生データ信号の2値化処理を行う。また、PLL処理を行って再生クロックを生成する。さらには、上記2値化処理後の2値データ列から同期信号を検出する処理なども行う。
データ信号処理回路5において、上記2値化処理により得られた2値データ列は後段のデコード部7に対して供給される。また、生成された上記再生クロックは、図示は省略したが各部の動作クロックとして供給される。また検出された同期信号はデコード部7に対して供給される。
デコード部7は、上記2値データ列についての復調処理を行う。即ち、再生データの復調、デインターリーブ、ECCデコード、アドレスデコード等の各種復調処理を行う。
再生時においては、上記データ信号処理回路5で復号された2値データ列、及び同期信号に基づく復調タイミングで示されるタイミングで、上記2値データ列に対する復調処理を行い、再生データを得る。デコード部7で再生データにまでデコードされたデータは、ホストインタフェース8に転送され、システムコントローラ10の指示に基づいてホスト機器100に転送される。ホスト機器100とは、例えばコンピュータ装置やAV(Audio-Visual)システム機器などである。
また、デコードされたアドレスデータは、システムコントローラ10に対して供給される。
光ディスクDが記録可能型ディスクである場合、光ディスクDにはウォブリンググルーブによってディスクの物理情報などの管理情報やADIP情報などが記録されている。
ウォブル信号処理回路6は、システムコントローラ10からの指示に基づき、マトリクス回路4からのプッシュプル信号PPからこのように光ディスクDのウォブリンググルーブによって記録された情報を検出し、これをシステムコントローラ10に対して供給する。
サーボ回路11は、マトリクス回路4からのフォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TEから、フォーカス、トラッキング、スレッドの各種サーボ信号を生成しサーボ動作を実行させる。
即ちフォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TEに応じてフォーカスサーボ信号、トラッキングサーボ信号を生成し、これらを2軸ドライバ14のドライブ信号(フォーカスドライブ信号FD、トラッキングドライブ信号TD)として供給することで、光ピックアップ1内の2軸機構のフォーカスコイル、トラッキングコイルを上記各サーボ信号に応じたドライブ信号により駆動制御する。これによって光ピックアップ1、マトリクス回路4、サーボ回路11、2軸ドライバ14、2軸機構によるトラッキングサーボループ及びフォーカスサーボループが形成される。
またサーボ回路11は、システムコントローラ10からのトラックジャンプ指令に応じて、トラッキングサーボループをオフとし、ジャンプパルスを出力することで、トラックジャンプ動作を実行させる。
またサーボ回路11は、トラッキングエラー信号TEの低域成分として得られるスレッドエラー信号や、システムコントローラ10からのアクセス実行制御などに基づき、スレッドドライバ13によりスレッド機構3を駆動させる。スレッド機構3には、図示しないが、光ピックアップ1を保持するメインシャフト、スレッドモータ、伝達ギア等による機構を有し、スレッドドライブ信号に応じてスレッドモータを駆動することで、光ピックアップ1の所要のスライド移動が行われる。
また、サーボ回路11は、光ディスクDに形成される記録層にフォーカスオンするためのフォーカスオン動作を実行する。ここで言うフォーカスオン動作とは、フォーカスサーボループがオフとされる状態から目標の記録層においてフォーカスサーボの引き込みを行うまでの一連の動作を指す。
具体的に、サーボ回路11は、このフォーカスオン動作として、フォーカスサーボループがオフとされる状態で2軸ドライバ14に供給するフォーカスドライブ信号FDのレベルを上昇させていくことで、光ピックアップ1内の対物レンズ(つまりレーザ光の焦点位置)を光ディスクDに近づける方向に駆動させる。そして、このように対物レンズを駆動したときに得られるフォーカスエラー信号FEをモニタし、そこに得られる所定の変化点を検出した結果に基づきフォーカスサーボループをオンとしてフォーカスサーボの引き込みを行う。
ここで、先の図9を参照して説明したように、従来手法では、レーザ光焦点位置がそれぞれ表面、記録層に達したときにフォーカスエラー信号FEにS字波形が得られることを利用して、例えば第1記録層にフォーカスオンする場合は表面のS字検出後の次のS字のゼロクロスタイミングでサーボ引き込みを行い、第2記録層にフォーカスオンする場合は表面のS字検出後における2度目のS字のゼロクロスタイミングでサーボ引き込みを行うようにされている。すなわち、目標の記録層を第N層としたとき、N+1個目のS字のゼロクロスタイミングでサーボの引き込みを行うものとされている。
これに対し、本実施の形態の場合のサーボ回路11では、後述するフォーカスエラー信号FEについてのマスク区間が設定される関係から、このような従来手法と異なるフォーカスオン動作を行うものとされる。具体的には、上記のように対物レンズを光ディスクDに近づける方向に駆動していったときに得られるフォーカスエラー信号FEについて、常にその2度目のS字のゼロクロスタイミングでサーボ引き込みを行うようにされている。
またサーボ回路11は、SA補正ドライバ15に対する球面収差補正値の設定を行うことが可能に構成される。すなわち、サーボ回路11は、システムコントローラ10からの指示に基づく球面収差補正値をSA補正ドライバ15に対して設定することができる。SA補正ドライバ15は、設定された球面収差補正値に応じた駆動信号により光ピックアップ1内の球面収差補正機構を駆動する。
また、サーボ回路11は、フォーカスバイアスの設定も可能に構成される。すなわち、システムコントローラ10からの指示に基づくフォーカスバイアスを上述したフォーカスサーボループに対して加算することができる。
スピンドルサーボ回路12はスピンドルモータ2をCLV回転させる制御を行う。
スピンドルサーボ回路12は、データ信号処理回路5にて生成される再生クロックを現在のスピンドルモータ2の回転速度情報として得、これを所定のCLV基準速度情報と比較することで、スピンドルエラー信号を生成する。
なお、光ディスクDが記録可能型ディスクである場合には、ウォブル信号に対するPLL処理で生成されるクロックを現在のスピンドルモータ2の回転速度情報として得ることができるので、これを所定のCLV基準速度情報と比較することでスピンドルエラー信号を生成することもできる。
そしてスピンドルサーボ回路12は、スピンドルエラー信号に応じて生成したスピンドルドライブ信号を出力し、スピンドルドライバ16によりスピンドルモータ2のCLV回転を実行させる。
またスピンドルサーボ回路12は、システムコントローラ10からのスピンドルキック/ブレーキ制御信号に応じてスピンドルドライブ信号を発生させ、スピンドルモータ2の起動、停止、加速、減速などの動作も実行させる。
以上のようなサーボ系及び再生系の各種動作はマイクロコンピュータで形成されたシステムコントローラ10により制御される。
システムコントローラ10は、ホストインタフェース8を介して与えられるホスト機器100からのコマンドに応じて各種処理を実行する。
例えば、ホスト機器100から光ディスクDに記録されている或るデータの転送を求めるリードコマンドが供給された場合、システムコントローラ10は、まず指示されたアドレスを目標としてシーク動作制御を行う。即ちサーボ回路11に指令を出し、シークコマンドにより指定されたアドレスをターゲットとする光ピックアップ1のアクセス動作を実行させる。
その後、その指示されたデータ区間のデータをホスト機器100に転送するために必要な動作制御を行う。即ち光ディスクDから読み出される信号(再生データ信号)についてデータ信号処理回路5、デコード部7における再生処理を実行させ、要求されたデータを転送する。
また、システムコントローラ10は、光ディスクDが装填されることに応じて、光ディスクDのディスク種別と記録層の数を判定するための処理を実行する。なお、このようなディスク種別や記録層の数を判定する処理としては、例えば光ディスクDに記録されるそれら種別・層数の情報を読み出したり、或いは対物レンズをフォーカス方向に駆動したときに得られる反射光信号(例えばフォーカスエラー信号FEなど)を検出した結果に基づき行うなど、従来より提案されている手法に基づく処理が実行されればよく、ここで特に限定されるべきものではない。
また、システムコントローラ10に対しては、図示するようにしてメモリ10aが接続されている。このメモリ10aは、例えば不揮発性メモリとされ、システムコントローラ10が各種の制御処理を実行する上で必要な情報が格納される。
特に本実施の形態の場合、このメモリ10aには、後述する実施の形態としてのフォーカスオン動作を実現するための処理動作をシステムコントローラ10に実行させるための制御プログラムPrが格納されている。
また、この場合のメモリ10aには、実施の形態としてのフォーカスオン動作を実現する上で必要となるフォーカスオン制御用情報Finfが格納されている。なお、このフォーカスオン制御用情報Finfの内容については後述する。
なお、この図1の例では、ホスト機器100に接続されるディスクドライブ装置として説明したが、本発明の光記録媒体駆動装置としては他の機器に接続されない形態もあり得る。その場合は、操作部や表示部が設けられたり、データ入出力のインタフェース部位の構成が、図1とは異なるものとなる。つまり、ユーザ操作に応じて記録や再生が行われるとともに、各種データの入出力のための端子部が形成されればよい。
もちろん光記録媒体駆動装置の構成例としては他にも多様に考えられ、例えば記録が可能な構成とすることもできる。すなわち、本発明の光記録媒体駆動装置としては、記録再生装置、または記録専用装置の形態もあり得る。
続いて、上記構成によるディスクドライブ装置によって行われる実施の形態としてのフォーカスオン動作について説明する。
実施の形態のフォーカスオン動作は、例えば図6や図7に示されるように、フォーカスエラー信号FEにおける、目標の記録層があるとされる区間以外の区間をマスクすることによって、迷光の発生に伴い本来得られるべきでない位置に生じるS字波形の影響を排除しようとするものである。
このようなマスク区間の設定を可能とするために、実施の形態のディスクドライブ装置に対しては、図1に示したようなフォーカスオン制御用情報Finfを予め格納しておくようにされている。
図2〜図4は、フォーカスオン制御用情報Finfについて説明するための図である。
先ず、フォーカスオン制御用情報Finfとしては、図2に示すようなディスク種別ごとの表面から記録層までの公差を含む距離の情報が格納される。
例えば、本実施の形態のディスクドライブ装置では、光ディスクDとしてCD、DVD、BDに対応可能とされている。これらCD、DVD、BDには、それぞれ仕様が異なるもの(例えば再生専用のROMタイプ、追記型としてのR(Recordable)タイプ、リライタブル型のRW(Re-Writable)タイプのものなど)がある。ここで言うディスク種別とは、これらディスクの仕様の別を指す。
そして、光ディスクDの表面から記録層までの距離には、仕様ごとにその許容範囲が定められている。このように仕様ごとに規定されている表面から記録層までの距離の情報を、上記ディスク種別ごとの表面から記録層までの公差を含む距離の情報(以下、単に種別−記録層距離対応情報とも呼ぶ)として格納している。
なお確認のために述べておくと、仕様によっては記録層を多層有するものがあるので、上記種別−記録層距離対応情報において、このように記録層を多層有する仕様(ディスク種別)については表面から各記録層までの公差を含む距離の情報が対応づけられていることになる。
また、フォーカスオン制御用情報Finfとしては、次の図3に示されるようなフォーカスドライブ信号FDの電圧値(V)とレーザ光の焦点位置(Z)との対応関係を表すための情報も格納される。
本実施の形態の場合、このような対応関係を表す情報としては、ディスククランプ部2aにおける光ディスクDのクランプ面(媒体取付面)を基準としてフォーカスドライブ信号FDの電圧値(V)とレーザ光の焦点位置(Z)との対応関係を表す関数の情報を格納しておくようにされる。すなわち、光ディスクDのクランプ面の位置をZ=0として、電圧値Vと焦点位置Zとの関係を表す関数とされる。
ここで、図4を参照して、このような関数の導出手法について説明する。
図4は、図1に示したディスククランプ部2aにより、図中破線で示す光ディスクDがクランプされて取り付けられた状態を示すと共に、このように取り付けられた光ディスクDの表面位置と対物レンズの位置、及び対物レンズによって集光されるレーザ光の焦点位置の関係を模式的に示している。
先ず、この場合のディスククランプ部2aには、図示するようにして凸状の断面形状が与えられ、この凸部に対して光ディスクDのセンターホールが勘合されることで、光ディスクDがディスククランプ部2aによってクランプされる。すなわち、これによって光ディスクDがドライブ装置側に取り付けられる。このように光ディスクDが取り付けられた状態において、ディスククランプ部2aにおける光ディスクDの表面(ディスク表面)側と接する面をクランプ面とする。
図3に示したような、光ディスクDのクランプ面を基準としてフォーカスドライブ信号FDの電圧値(V)とレーザ光の焦点位置(Z)との対応関係を表す関数を導出するためには、先ずは2軸ドライバ14に与えるフォーカスドライブ信号FDの電圧値(V)と、それに応じた対物レンズ(ひいてはレーザ光の焦点位置)の移動量との関係が割り出されている必要がある。すなわち、フォーカス駆動系の感度(低域感度)情報が必要となる。
但し、このようなフォーカス駆動系の低域感度の情報のみでは、上記クランプ面、すなわち光ディスクD側との相対的な位置関係を表すことができないものとなる。
そこで、本実施の形態のディスクドライブ装置の製造時には、予め対物レンズのメカ0位置Zmz(フォーカスドライブ信号FDの電圧値V=0の状態での対物レンズの位置)からクランプ面までのフォーカス方向の距離(図中L1)を計測しておくようにされる。この距離L1を計測しておけば、この距離L1と対物レンズの焦点距離L2との差分(L1−L2)を計算することで、メカ0位置での焦点位置Zmz-spからクランプ面までの距離を求めることができる。すなわち、この差分L1−L2により、メカ0位置での焦点位置Zmz-spとクランプ面位置との関係を定義することができる。
上記説明を踏まえ、図3に示す関数を導出する手法について説明すると、先ずは上記のような電圧値(V)とレーザ光の焦点位置の移動量との関係を示す低域感度の情報を取得しておく。また、これと共に、対物レンズのメカ0位置Zmzからクランプ面までの距離L1を計測し、この距離L1と対物レンズの焦点距離L2との差分L1−L2を計算しておく。
上記低域感度情報は、Z=0の位置がメカ0位置での焦点位置Zmz-sp(つまり電圧値V=0)を表すものとなっているので、この低域感度情報においてZ=0の位置がクランプ面の位置に相当するものとなるように、Z側の値を上記差分L1−L2の値を用いてシフトさせる。例えば、簡単な一例を挙げると、上記低域感度情報としての関数がZ=aVなどであったとした場合には、Z=aV−(L1−L2)とするなどして、Z側の値をL1−L2の値だけマイナス側にシフトさせる。
このような手順により、図3に示すような光ディスクDのクランプ面を基準としてフォーカスドライブ信号FDの電圧値(V)とレーザ光の焦点位置(Z)との対応関係を表す関数を生成することができる。そして、この関数の情報をフォーカスオン制御用情報Finfとしてメモリ10aに格納しておく。
図5〜図7は、実施の形態としてのフォーカスオン動作について説明するための図である。これら図5〜図7の各図では、光ディスクDの断面構造と共に、フォーカスドライブ信号FD(電圧値V)と、対物レンズによって集光されるレーザ光の焦点位置と、フォーカスエラー信号FEとの関係を表している。
なお、ここでは図示するようにして第1記録層D-L1と第2記録層D-L2との2つの記録層が形成された光ディスクDが装填された場合を例に説明を行う。
先ず、本実施の形態のフォーカスオン動作では、図5に示されるような表面区間以外をマスクした上での表面位置検出動作が行われる。
先ずシステムコントローラ10は、予め設定されたディスク反りなどによる光ディスクDの表面位置誤差範囲を表す所定値αと、メモリ10aにフォーカスオン制御情報Finfとして格納される先の図3に示した関数の情報とに基づき、表面があるとされる区間以外をマスクするためのマスク範囲を計算する。
ここで、図3に示した関数によれば、Z=0の位置が、理想的な光ディスクDの表面位置となるが、実際には光ディスクDが取り付けられた際のたわみや光ディスクD自身が有する反りなどにより、光ディスクDの表面位置がクランプ面と一致しないことが想定される。このため、上記所定値αを用いて、これら反りなどを考慮した場合の光ディスクDの表面位置誤差範囲(図中、表面下限位置Zsd〜表面上限位置Zsu)を定義する。この表面位置誤差範囲内を対象としてサーボ回路11による表面検出が行われることで、迷光の影響を排除した表面検出が可能となる。
具体的に、システムコントローラ10は、上記関数の情報を用いて、Zの値が「−α」のときの電圧値V(図中Vsd)と、「α」のときの電圧値V(図中Vsu)を計算する。そして、これら電圧値Vsd〜電圧値Vsu以外の区間を、フォーカスエラー信号FEについてのマスク区間としてサーボ回路11に設定する。
その上で、サーボ回路11にフォーカスオン動作の開始を指示する。先の図1の説明から理解されるように、この場合のサーボ回路11は、上記フォーカスオン動作の開始指示に応じ、フォーカスドライブ信号FDの電圧値Vを徐々に上昇させて対物レンズを光ディスクDに近づける方向に駆動すると共に、そのときに得られるフォーカスエラー信号FEをモニタする動作を開始する。その上で、先ずはフォーカスエラー信号FEに得られる1つ目のS字のゼロクロスタイミングを検出する(つまり表面位置を検出する)ことになるが、上記のようにしてこの場合は、電圧値Vsd〜電圧値Vsu以外の区間がマスク区間とされるので、この表面検出動作は電圧値Vsd〜電圧値Vsuの区間(つまり表面位置誤差範囲)を対象としてのみ行われるものとなる。
サーボ回路11は、上記のような表面検出動作によって検出した表面位置の検出タイミングにて出力していたフォーカスドライブ信号FDの電圧値(Vsaとする)を、システムコントローラ10に対して供給する。
ここで、一般的に光ディスクDの表面からの反射光は、記録層からの反射光と比較してその光量が小さいものとなる。このことを考慮して本実施の形態では、上記のようなサーボ回路11による表面検出動作が行われるタイミングで、フォーカスエラー信号FEの感度を上げるようにされる。このように表面検出動作時にフォーカスエラー信号FEの感度が上げられることで、表面検出がより確実に行われるようにすることができる。
図6、図7は、上記のような表面検出動作後に続く動作を模式的に表している。
図6は、第1記録層D-L1がフォーカスオンのターゲット層とされた場合について説明するための図である。
システムコントローラ10は、上記のようにしてサーボ回路11から供給される表面検出時の電圧値Vsaを取得すると、先ずはこの電圧値Vsaを上記関数におけるVの値として代入してZの値を計算することで、表面検出位置(図6中のZsa)の情報を得る。
そして、システムコントローラ10は、先の図2に示したようなディスク種別ごとの表面から記録層までの距離情報から、光ディスクDの種別に応じた表面−記録層間の距離の情報を取得する。つまりこの場合は、予め判定された光ディスクDの種別の情報と対応づけられている表面−第1記録層間の公差も含む距離(表面−第1記録層下限位置の距離Zl1d、及び表面−第1記録層上限位置の距離Zl1u)の情報を取得する。
さらに、これら第1記録層下限位置までの距離Zl1d、第1記録層上限位置までの距離Zl1uの値のそれぞれを、上記関数が基準とするクランプ面位置を基準とした値に変換するために、
Zsa+Zl1d=Zl1da,Zsa+Zl1u=Zl1ua
を計算する。
その上で、システムコントローラ10は、このように計算されたクランプ面位置を基準とした第1記録層下限位置までの距離Zl1da、及び第1記録層上限位置までの距離Zl1uaと、上記関数の情報とに基づき、レーザ光の焦点位置がこれら距離Zl1da、距離Zl1uaとなる位置にくるときの電圧値Vl1da、電圧値Vl1uaを計算する。
そして、これら電圧値Vl1da〜Vl1ua以外の区間を、フォーカスエラー信号FEについてのマスク区間としてサーボ回路11に新たに設定する。
これによりサーボ回路11は、上述したような表面検出後において、この新たに設定されたマスク区間以外の区間で得られるフォーカスエラー信号FEを対象として2度目のS字波形の検出を行うようにされる。
先に述べたように、この場合のサーボ回路11は、フォーカスオン動作として、2度目のS字波形のゼロクロスタイミングでフォーカスサーボの引き込みを行うように構成されている。つまり、上記のようなシステムコントローラ10からのマスク区間の設定が行われることで、この場合は電圧値Vl1da〜Vl1uaの区間としての、仕様上定めれた第1記録層の下限位置〜上限位置までの範囲内を対象としてのみ、S字のゼロクロスタイミングに基づくサーボ引き込みが行われるようにすることができる。
また、図7は、光ディスクDの第2記録層をターゲット層としてフォーカスオンする場合を例示しているが、この場合も、サーボ回路11から供給された表面検出時の電圧値Vsaと関数とに基づき、表面検出位置Zsaを計算する動作は共通となる。この場合は、図2のディスク種別ごとの表面から記録層までの距離情報から、光ディスクDの種別に応じた表面−第2記録層間の公差も含む距離(表面−第2記録層下限位置の距離Zl2d、及び表面−第2記録層上限位置の距離Zl2u)の情報を取得する点のみが異なる。
その後は、同様にZsa+Zl2d=Zl2da,Zsa+Zl2u=Zl2uaを計算して、上記距離Zl1d、距離Zl1uの値のそれぞれを上記関数が基準とするクランプ面位置を基準とした値に変換した上で、それら距離Zl2da、距離Zl2uaと上記関数の情報とに基づき、レーザ光の焦点位置が距離Zl2da、距離Zl2uaとなる位置にくるときの電圧値Vl2da、電圧値Vl2uaを計算する。そして、これら電圧値Vl2da〜Vl2ua以外の区間を、フォーカスエラー信号FEについてのマスク区間としてサーボ回路11に新たに設定する。
この場合もサーボ回路11は、このように設定されたマスク区間以外の区間で得られるフォーカスエラー信号FEを対象として、表面検出後の2度目のS字検出・サーボ引き込みを行うようにされる。これによって、第2記録層D-L2をターゲット層とする場合も、上記電圧値Vl2da〜Vl2uaの区間としての、仕様で定められた記録層の下限位置〜上限位置までの範囲内を対象としてのみ、S字のゼロクロスタイミングに基づくサーボ引き込みが行われるようにすることができる。
上記のようにして本実施の形態のフォーカスオン動作によれば、仕様で規定された記録層の下限位置〜上限位置までの範囲内を対象としてのみ、S字検出に基づくサーボ引き込みが行われるようにすることができる。つまりこれにより、記録層があるとして保証される最小限の範囲を対象としてサーボ引き込みが行われるようにすることができ、この結果、迷光の発生に伴うサーボ引き込みの失敗を効果的に防止することができる。つまり、迷光が生じる場合にも適正に目標の記録層にフォーカスオンすることができる。
このようにして迷光が生じる場合にも目標の記録層にフォーカスオンすることができれば、迷光防止のための構成を省略することができ、この結果、部品点数の削減が図られ、装置の小型化やコスト削減を図ることができる。
なお、上記により説明した本実施の形態のフォーカスオン動作によれば、万が一記録層の下限−上限範囲内に迷光が生じてしまった場合にも、サーボ引き込み自体は成功させることができる。但し、このように記録層の下限−上限範囲内に迷光が生じている場合には、記録層にジャストフォーカスとなるように引き込みが行われることまでは保証できない。しかしながら、一般的にディスクドライブ装置では、フォーカスサーボの引き込み後において、実際にデータ再生して得られる例えばジッター値やエラーレートなどを評価値としてフォーカスバイアス調整などの微調整が行われることになる。
つまりこの場合、フォーカスサーボの引き込み自体に失敗しないことが重要であり、上記のようにして実施の形態のフォーカスオン動作によって引き込みさえ行われれば、このような微調整動作によってデータ記録/再生をより適正に行うことのできる状態へと導くことができるものである。
続いて、次の図8のフローチャートを参照して、上記により説明した実施の形態としてのフォーカスオン動作を実現するために行われるべき処理動作について説明する。
なお、この図8に示す処理動作は、システムコントローラ10がメモリ10a内に格納される制御プログラムPrに基づき実行するものである。また、この図に示す処理動作が行われるにあたっては、既にディスクドライブ装置に装填された光ディスクDについてのディスク種別・層数についての判定処理が行われた状態にあるとする。
図8において、先ずステップS101では、第N層をターゲットとしたフォーカスオン処理が開始となる。そして、次のステップS102では、表面誤差±αと関数とに基づき表面下限位置Zsd、表面上限位置Zsuに対応する電圧値Vsd、Vsuを計算する。すなわち、予め設定された所定値αと、メモリ10a内のフォーカスオン制御用情報Finfとして格納される関数の情報を読み出し、関数のZの値として「−α」、「+α」を代入してそれぞれ電圧値Vsd、電圧値Vsuを計算する。
続くステップS103では、Vsd〜Vsu以外の範囲をFEマスク範囲としてサーボ回路に指示する。すなわち、先に説明したようにして、電圧値Vsd〜電圧値Vsu以外の区間(範囲)を、フォーカスエラー信号FEについてのマスク区間としてサーボ回路11に設定する。
そして、次のステップS104では、マトリクス回路4を制御してフォーカスエラー信号FEの感度を上昇させ、続くステップS105では、サーボ回路11にフォーカスオン動作の開始を指示する。
ステップS106では、サーボ回路11による表面検出動作が成功したか否かを判別する。サーボ回路11より表面検出に失敗したとの通知があり、ステップS106にて否定結果が得られた場合は、図示するようにしてエラー処理を行う。例えばこのエラー処理としては、サーボ回路11に対してフォーカスオン動作のリトライを指示する処理を実行して、再度、表面検出動作から開始されるようにすればよい。
また、サーボ回路11による表面検出動作が成功したとして、上記ステップS106にて肯定結果が得られた場合は、ステップS107に進み、表面検出時電圧値Vsaを取得する。すなわち、先に説明したようにして表面検出に応じてはそのタイミングにおいて出力していた電圧値Vsaがサーボ回路11から供給されるので、これを取得する。
続くステップS108では、マトリクス回路4を制御して、フォーカスエラー信号FEの感度を下げる。そして、次のステップS109では、電圧値Vsaから表面検出位置Zsaを計算する。つまり、上記関数のVの値として電圧値Vsaを代入してZsaの値を計算する。
続くステップS110では、ディスク種別に応じた表面〜第N層までの距離を読み出す。すなわち、フォーカス制御用情報Finfとして格納されるディスク種別ごとの表面から記録層までの公差も含む距離の情報に基づき、既に判定されている光ディスクDの種別の情報と対応づけられている第N記録層の下限位置までの距離ZlNd、第N記録層の上限位置までの距離ZlNuの情報を読み出す。
さらに、次のステップS111では、表面検出位置Zsaに基づき、距離ZlNd、ZlNuをクランプ面位置を基準とした距離ZlNda、ZlNuaに変換する。具体的には、Zsa+ZlNd=ZlNda、Zsa+ZlNu=ZlNuaを計算する。
続くステップS112では、ZlNda〜ZlNuaに応じた電圧値範囲VlNda〜VlNuaを計算する。すなわち、上記ステップS111の計算処理で算出した距離ZlNda、ZlNuaと、上記関数の情報とに基づき、レーザ光の焦点位置がこれら距離ZlNda、距離ZlNuaとなる位置にくるときの電圧値Vl1da、電圧値Vl1uaを計算する。
その上で、次のステップS113において、これら電圧値Vl1da〜Vl1ua以外の範囲をFEマスク範囲としてサーボ回路11に指示する。つまり、これによってサーボ回路11では、表面検出動作後において、フォーカスエラー信号FEについてのマスク区間が、第N記録層の下限−上限位置の区間を除く区間に設定し直されることになる。
ステップS113の処理を実行すると、この図に示す処理動作は終了となる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明としてはこれまでに説明した具体例に限定されるべきものではない。
例えば、これまでの説明では、光ディスクDの反りやたわみなどを考慮して、実際に表面検出を行って、目標の記録層の下限位置までの距離(ZlNd)、上限位置までの距離(ZlNu)を実際の表面検出位置に応じてクランプ面を基準とした値に変換した上で、記録層下限位置〜上限位置を除くマスク区間を設定するものとしたが、例えば光ディスクDの反りや取り付け時のたわみなどが無視できる程度に小さい場合などには、表面検出、及び記録層下限・上限位置までの距離の値の変換は省略し、上記距離ZlNd、ZlNuの値を用いて直接的に記録層下限位置〜上限位置を除くマスク区間の設定を行うこともできる。
このように表面位置検出自体を省略する場合、サーボ回路11としては、フォーカスオン動作として、単にマスク区間以外の区間で得られるフォーカスエラー信号FEのゼロクロスタイミングでサーボ引き込みを行うという動作を実行するように構成する。
また、これまでの説明では、フォーカス駆動系の低域感度の情報(電圧値がゼロの状態での焦点位置を基準として電圧値(V)と焦点位置(Z)との対応関係を表す情報)に対し、予め計測したメカ0位置での焦点位置からクランプ面(媒体取付面)までの距離(L1−L2)の情報を組み込むことで、クランプ面(媒体取付面)を基準として焦点位置(Z)と電圧値(V)との対応関係を表す情報を生成し、これをメモリ10aに格納しておくものとしたが、このように予め媒体取付面を基準とした情報とするのではなく、低域感度の情報とL1−L2の値とを別々の情報としてメモリ10aに格納しておくようにすることもできる。
但し、このように低域感度情報とL1−L2の値とを別々に格納しておいた場合は、焦点位置(Z)−電圧値(V)の換算を行うにあたって、装置側でその都度Zの値を上記L1−L2の値によってシフトさせるための計算処理を要するものとなってしまう。具体的に、例えば先の図8のステップS102において表面誤差±αに応じた電圧値Vsd、Vsuを得る際には、Z=−α+(L1−L2)、Z=α+(L1−L2)を計算した上で、これらのZの値となるときの電圧値Vを上記低域感度情報から得ることで、上記電圧値Vsd、Vsuを取得することになる。また、ステップS109にて表面検出位置Zsa(理想的にはクランプ面位置と一致し0となるべき値)を計算する際には、上記低域感度情報から表面検出時電圧値Vsaに応じた焦点位置Zの値を得た上で、このZの値からL1−L2の値を減算することで表面検出位置Zsaを計算する。さらに、ステップS112において電圧値範囲VlNda〜VlNuaを得るにあたっては、ZlNda+(L1−L2)、ZlNua+(L1−L2)を計算した上で、これらZの値となるときの電圧値Vを上記低域感度情報から得ることで、上記電圧値VlNda、VlNuaを取得することになる。
なお、このことを換言すれば、予めクランプ面位置がZ=0となるようにした対応情報を用いる実施の形態によれば、これらの不要な計算処理を省略することができることになる。
また、焦点位置(Z)−電圧値(V)の換算を行うにあたっては関数の情報を用いるものとしたが、これに代えて焦点位置(Z)−電圧値(V)の対応関係を表すテーブル情報などを用いることもできる。
また、光ディスクDの表面にて得られる反射光信号が充分なレベルで得られる場合などには、表面検出実行前にフォーカスエラー信号FEのゲインを上げる処理は省略することができる。
また、これまでの説明では、フォーカスエラー信号FEをモニタした結果に基づきフォーカスオン動作を行う場合を例示したが、このフォーカスエラー信号FEと同様に表面・記録層の合焦前後区間にS字波形などの所定の変化が観測される信号であれば、他の反射光信号を用いることができる。
また、これまでの説明では、フォーカスサーボの引き込みを行うタイミングを、S字信号のゼロクロスタイミングとしたが、厳密に言うと、ゼロクロスタイミングを待って引き込みを行った場合には、サーボループをオンするためのスイッチの切換タイムラグなどの影響で、目標とする記録層にジャストフォーカスとなる位置で引き込みを行うことができなくなってしまう可能性もある。
本発明において、フォーカスサーボの引き込みを行うタイミングとしては、反射光信号中において得られる、記録層にジャストフォーカスする状態で引き込みを行うことができるとして予め定められた所定の変化点が検出されたタイミングとされればよい。
また、これまでの説明では、フォーカス駆動系が電圧駆動とされる場合を例示したが、電流駆動とされる場合にも本発明は好適に適用できる。
また、これまでの説明では、光記録媒体がディスク形状とされる場合を例示したが、例えば矩形状など他の形状の光記録媒体とされる場合にも本発明は好適に適用できる。
実施の形態の光記録媒体駆動装置の内部構成を示したブロック図である。 実施の形態のフォーカスオン動作で用いられる、光記録媒体の表面から記録層までの公差を含む距離の情報について説明するための図である。 実施の形態のフォーカスオン動作で用いられる、媒体取付面の位置を基準としたレーザ光の焦点位置と上記フォーカス駆動信号値との対応関係を表す関数の情報について説明するための図である。 図3に示す関数の導出手法について説明するための図である。 実施の形態としてのフォーカスオン動作のうち、表面区間以外をマスクした上での表面位置検出動作について説明するための図である。 実施の形態のフォーカスオン動作として、第1記録層にフォーカスオンする場合の動作例について説明するための図である。 実施の形態のフォーカスオン動作として、第2記録層にフォーカスオンする場合の動作例について説明するための図である。 実施の形態としてのフォーカスオン動作を実現するために実行されるべき処理動作について示したフローチャートである。 従来のフォーカスオン動作(及び迷光)について説明するための図である。
符号の説明
1 光ピックアップ、2 スピンドルモーター、2a ディスククランプ部、3 スレッド機構、4 マトリクス回路、5 データ信号処理回路、6 ウォブル信号処理回路、7 デコード部、8 ホストインタフェース、9 レーザードライバ、10 システムコントローラ、10a メモリ、Finf フォーカスオン制御用情報、Pr 制御プログラム、11 サーボ回路、12 スピンドルサーボ回路、13 スレッドドライバ、14 2軸ドライバ、15 SA補正ドライバ、16 スピンドルドライバ、100 ホスト機器、D 光ディスク

Claims (6)

  1. 光記録媒体が取り付けられる媒体取付手段と、
    少なくとも上記光記録媒体に対して接離する方向となるフォーカス方向に移動可能に保持された対物レンズを介して上記光記録媒体に対してレーザ光を照射すると共に、上記レーザ光の照射に応じて得られる上記光記録媒体からの反射光の検出を行うヘッド手段と、
    上記対物レンズを上記フォーカス方向に駆動するフォーカス手段と、
    上記ヘッド手段で検出された反射光に基づく反射光信号を生成する信号生成手段と、
    フォーカスオン動作として、上記フォーカス手段に与えるフォーカス駆動信号値を制御して上記対物レンズを上記フォーカス方向に駆動させ、そのときに得られる上記反射光信号の所定の変化点を検出した結果に基づきフォーカスサーボの引き込みを行うフォーカスオン手段と、
    上記光記録媒体の表面から記録層までの公差を含む距離の情報と、その情報内容として、上記媒体取付手段の媒体取付面の位置を基準とした上記レーザ光の焦点位置と上記フォーカス駆動信号値との対応関係を表すための位置−駆動値対応情報とが記憶される記憶手段と、
    制御手段を備えると共に、
    上記制御手段は、
    上記記憶手段に記憶される上記距離情報と上記位置−駆動値対応情報とに基づき、上記焦点位置が上記記録層の下限位置となるときのフォーカス駆動信号値と上限位置となるときのフォーカス駆動信号値とを得る記録層区間駆動値取得処理と、
    上記記録層区間駆動値取得処理によって得た各フォーカス駆動信号値間以外の区間を上記反射光信号についてのマスク区間として上記フォーカスオン手段に設定するマスク区間設定処理とを実行する
    ことを特徴とする光記録媒体駆動装置。
  2. 上記フォーカスオン手段は、
    上記対物レンズを駆動させたときに得られる上記反射光信号における第1の変化点の検出後に第2の変化点が検出されたことに応じて、フォーカスサーボの引き込みを行うように構成され、
    上記制御手段は、
    上記記録層区間駆動値取得処理を実行するのに先立ち、
    上記光記録媒体の表面位置の誤差範囲情報と上記位置−駆動値対応情報とに基づき、上記焦点位置が上記光記録媒体の表面下限位置となるときのフォーカス駆動信号値と表面上限位置となるときのフォーカス駆動信号値とを得る表面区間駆動値取得処理と、
    上記表面区間駆動値取得処理によって得た各フォーカス駆動信号値間以外の区間を上記反射光信号についてのマスク区間として上記フォーカスオン手段に設定した上で、上記フォーカスオン手段に上記フォーカスオン動作を開始させるフォーカスオン動作開始制御処理と、
    上記フォーカスオン手段による上記第1の変化点の検出タイミングにおいて上記フォーカス手段に与えられていたフォーカス駆動信号値を取得する表面位置駆動値取得処理と、をさらに実行すると共に、
    上記記録層区間駆動値取得処理では、
    上記記憶手段に記憶される上記距離情報と上記位置−駆動値対応情報と、さらに上記表面位置駆動値取得処理で取得した上記フォーカス駆動信号値と基づき、上記焦点位置が上記記録層の下限位置となるときのフォーカス駆動信号値と上限位置となるときのフォーカス駆動信号値とを得るようにされる、
    ことを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体駆動装置。
  3. 上記制御手段は、
    上記フォーカスオン動作開始制御処理が実行されるのに先立ち、上記反射光信号の感度を上げるための感度制御処理を実行する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体駆動装置。
  4. 上記距離情報は、上記光記録媒体の種別ごとに表面から記録層までの公差を含む距離を表す情報とされ、
    上記制御手段は、上記記録層区間駆動値取得処理として、
    予め判定された上記光記録媒体の種別に応じた上記表面から記録層までの公差を含む距離の情報を上記距離情報から取得し、この取得した距離の情報と上記位置−駆動値対応情報とに基づき、上記焦点位置が上記光記録媒体の表面下限位置となるときのフォーカス駆動信号値と表面上限位置となるときのフォーカス駆動信号値とを得る、
    ことを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体駆動装置。
  5. 光記録媒体が取り付けられる媒体取付手段と、少なくとも上記光記録媒体に対して接離する方向となるフォーカス方向に移動可能に保持された対物レンズを介して上記光記録媒体に対してレーザ光を照射すると共に、上記レーザ光の照射に応じて得られる上記光記録媒体からの反射光の検出を行うヘッド手段と、上記対物レンズを上記フォーカス方向に駆動するフォーカス手段と、上記ヘッド手段で検出された反射光に基づく反射光信号を生成する信号生成手段と、フォーカスオン動作として、上記フォーカス手段に与えるフォーカス駆動信号値を制御して上記対物レンズを上記フォーカス方向に駆動させ、そのときに得られる上記反射光信号の所定の変化点を検出した結果に基づきフォーカスサーボの引き込みを行うフォーカスオン手段と、上記光記録媒体の表面から記録層までの公差を含む距離の情報と、その情報内容として、上記媒体取付手段の媒体取付面の位置を基準とした上記レーザ光の焦点位置と上記フォーカス駆動信号値との対応関係を表すための位置−駆動値対応情報とが記憶される記憶手段と、を備える光記録媒体駆動装置におけるフォーカスオン制御方法であって、
    上記記憶手段に記憶される上記距離情報と上記位置−駆動値対応情報とに基づき、上記焦点位置が上記記録層の下限位置となるときのフォーカス駆動信号値と上限位置となるときのフォーカス駆動信号値とを得る記録層区間駆動値取得手順と、
    上記記録層区間駆動値取得手順によって得た各フォーカス駆動信号値間以外の区間を上記反射光信号についてのマスク区間として上記フォーカスオン手段に設定するマスク区間設定手順と
    を備えることを特徴とするフォーカスオン制御方法。
  6. 光記録媒体が取り付けられる媒体取付手段と、少なくとも上記光記録媒体に対して接離する方向となるフォーカス方向に移動可能に保持された対物レンズを介して上記光記録媒体に対してレーザ光を照射すると共に、上記レーザ光の照射に応じて得られる上記光記録媒体からの反射光の検出を行うヘッド手段と、上記対物レンズを上記フォーカス方向に駆動するフォーカス手段と、上記ヘッド手段で検出された反射光に基づく反射光信号を生成する信号生成手段と、フォーカスオン動作として、上記フォーカス手段に与えるフォーカス駆動信号値を制御して上記対物レンズを上記フォーカス方向に駆動させ、そのときに得られる上記反射光信号の所定の変化点を検出した結果に基づきフォーカスサーボの引き込みを行うフォーカスオン手段と、上記光記録媒体の表面から記録層までの公差を含む距離の情報と、その情報内容として、上記媒体取付手段の媒体取付面の位置を基準とした上記レーザ光の焦点位置と上記フォーカス駆動信号値との対応関係を表すための位置−駆動値対応情報とが記憶される記憶手段と、を備えた光記録媒体駆動装置において実行されるべきプログラムであって、
    上記記憶手段に記憶される上記距離情報と上記位置−駆動値対応情報とに基づき、上記焦点位置が上記記録層の下限位置となるときのフォーカス駆動信号値と上限位置となるときのフォーカス駆動信号値とを得る記録層区間駆動値取得処理と、
    上記記録層区間駆動値取得処理によって得た各フォーカス駆動信号値間以外の区間を上記反射光信号についてのマスク区間として上記フォーカスオン手段に設定するマスク区間設定処理とを、上記光記録媒体駆動装置に実行させる
    ことを特徴とするプログラム。
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