JP2006318590A - 球面収差補正方法および記録再生装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 精度よく球面収差を補正する方法、および、精度よく球面収差を補正することが可能な記録再生装置を提供する。
【解決手段】 スピンドルサーボ、およびフォーカスサーボの動作中(ステップS7)に、TE信号の振幅が最大になるようにBEの位置を簡易調整し(ステップS8)、BEをステップS8によって決定された位置に保持した状態で、情報記録媒体の記録面に補正用データを記録し(ステップS15)、上記補正用データから得られる再生信号の振幅が最大になるように球面収差を精補正する(ステップS16)。
【選択図】 図1
【解決手段】 スピンドルサーボ、およびフォーカスサーボの動作中(ステップS7)に、TE信号の振幅が最大になるようにBEの位置を簡易調整し(ステップS8)、BEをステップS8によって決定された位置に保持した状態で、情報記録媒体の記録面に補正用データを記録し(ステップS15)、上記補正用データから得られる再生信号の振幅が最大になるように球面収差を精補正する(ステップS16)。
【選択図】 図1
Description
本発明は、光ディスク等の情報記録媒体に対してデータの記録および再生を行う記録再生装置、および、記録再生装置における球面収差補正方法に関するものである。
デジタルデータを記録・再生するための技術として、例えば、CD(Compact Disk)、MD(Mini-Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)などの光ディスク(光磁気ディスクを含む)を記録メディアに用いたデータ記録技術がある。光ディスクとは、金属薄板をプラスチックで保護した円盤に、レーザ光を照射し、その反射光の変化で信号を読み取る記録媒体の総称である。
光ディスクには、例えばCD、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD−ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)等の再生専用タイプのディスクと、MD、CD−R(Compact Disc - Recordable)、CD−RW(Compact Disc - ReWritable)、DVD−R(Digital Versatile Disc - Recordable)、DVD−RW(Digital Versatile Disc - ReWritable)、DVD+RW(Digital Versatile Disc + ReWritable)、DVD−RAM(Random Access Memory)等のユーザーデータが記録可能な記録可能タイプのディスクとがある。
記録可能タイプのディスクの記録方式には、光磁気記録方式、相変化記録方式、および色素膜変化記録方式等がある。このうち、色素膜変化記録方式はライトワンス記録方式とも呼ばれ、一度だけデータ記録が可能で書換不能であるため、データ保存用途などに好適とされる。一方、光磁気記録方式や相変化記録方式は、データの書換が可能な記録方式であり、音楽、映像、ゲーム、アプリケーションプログラム等の各種コンテンツデータの記録を始めとして各種用途に利用される。
更に近年、ブルーレイディスク(Blu-ray Disc)と呼ばれる高密度光ディスクが開発され、ディスクの著しい大容量化が図られている。
ブルーレイディスクのような高密度ディスクとしては、ディスク厚み方向に0.1mmのカバー層を有する構造が代表的である。
仮に、このような構造のブルーレイディスクに対して、波長405nmのレーザ(いわゆる青色レーザ)と、NA(Numerical Aperture)が0.85の対物レンズとの組み合わせによって記録・再生を行うとする。また、ディスクの記録層におけるフェイズチェンジマーク(相変化マーク)によって記録再生を行い、トラックピッチを0.32μm、線密度を0.12μm/bit、64KB(キロバイト)のデータブロックを1つの記録再生単位、フォーマット効率を約82%とすると、直径12cmのディスクに23.3GB(ギガバイト)程度の容量の情報を記録再生できる。また、同様のフォーマットで、線密度を0.112μm/bitとすると、25GBの容量の情報を記録再生できる。
以上に述べたような光ディスクに対して記録および再生を行う記録再生装置では、レーザ光の焦点位置をディスク記録面に合わせるように制御するフォーカスサーボ動作や、記録面上のトラック(ピット列やグルーブ)をトレースするように制御するトラッキングサーボ動作を行うことが必要となる。
また、フォーカスサーボに関しては、フォーカスループに適正なフォーカスバイアスを加えることが、適切なサーボ動作のために必要であることが知られている。
また、特に上述したブルーレイディスクのような高密度ディスクの場合、カバー層の厚みがディスクごとに異なるため、球面収差を補正する必要がある。また、記録層が多層構造となっているディスクでは、使用する記録層(記録面)に合わせてレーザ径を調整すること、つまり球面収差補正を行うことが必要となる。
このような球面収差の補正方法として、特許文献1〜3には、(1)フォーカスサーボ動作を開始し、レーザの焦点が記録面上に保たれるようにしながら、(2)光ディスクに記録されたデータ(補正用データ)を再生することで再生信号を得て、(3)上記(2)の再生信号が最大になるように、光ディスクの記録面におけるレーザ径を調整する(球面収差補正を行う)、という(1)〜(3)のステップからなる球面収差補正方法が記載されている。また、ビームの光径を調整するのに、BE(ビームエキスパンダ)または液晶パネルが用いられている。
しかしながら、特許文献1〜3の方法では、ディスクに予め記録されたデータを再生し、その再生信号を利用して球面収差補正を行っているので、上述した記録可能タイプのディスクに対しては、球面収差を補正することができないという問題がある。これは、記録可能タイプのディスクでは、球面収差補正のための品質の良いデータが記録されていないためである。
そこで、特許文献4には、ライタブルディスク(記録可能タイプのディスク)の記録再生時に球面収差を補正する場合、補正用データをディスクの試し書きエリアに書き込むことが記載されている。また、特許文献4では、この補正用データを書き込むときのレーザパワーを調整(粗OPC調整)することで、この補正用データを再生して得られる再生信号の品質を、フォーカスバイアスおよび球面収差補正を実行するのに適切な品質としている。
特開2002−352449号公報(2002年12月6日公開)
特開平10−269611号公報(1998年10月9日公開)
特開平9−251645号公報(1997年9月22日公開)
特開2004−241080号公報(2004年8月26日公開)
しかしながら、上記従来の技術のように、補正用データを書き込む際にフォーカスサーボ動作を行う、またはレーザパワーを調整するだけでは、信号の品質が十全であるとは言えず、改良の余地があった。
本発明は、上記従来の問題に鑑みたものであり、その目的は、高精度の球面収差補正方法、および、高精度の球面収差補正を行うことが可能な記録再生装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明にかかる球面収差補正方法は、レーザ光の焦点が上記記録面上に保持され、かつTE(トラッキングエラー)信号の振幅が最大になるように球面収差が粗補正されている状態で、情報記録媒体の記録面に補正用データを記録する補正用データ記録工程と、記録面に記録された補正用データから得られる補正用再生信号の振幅が最大になるように球面収差を精補正する球面収差精補正工程とを含むことを特徴とする。
球面収差補正が行われず、球面収差が大きい状態では、TE信号の振幅が小さくなる。すると、レーザをトラックに追従させる能力が低下し、さらには、トラッキングサーボが外れる、つまり、レーザがトラックから外れてしまうことがある。その結果、書き込むべきデータが、光ディスク等の情報記録媒体のトラックから外れた位置に記録されてしまうことがある。
しかし、上記構成によると、補正用データ記録工程では、TE信号の振幅が最大になるように球面収差が粗補正され、粗補正された状態で補正用データを記録する。そのため、レーザ光をトラックに追従させた状態で補正用データを記録することができる。ゆえに、補正用データの品質が高まるという効果を奏する。
また、カバー層の厚みの異なるディスクに対しても、均一な補正用データを記録することができる。つまり、個々のディスクによる補正用データのばらつきが小さくなる。その結果、ディスクによってカバー層の厚み等が異なる場合でも、球面収差を精度よく補正することができる。
また、上記球面収差補正方法は、上記補正用データ記録工程の前に、情報記録媒体に補正用データが記録されているかどうかを確認する補正用データ確認工程を含み、上記補正用データ確認工程によって既に補正用データが記録されていることが確認されたときには、上記補正用データ記録工程を行わずに球面収差精補正工程を行うことが好ましい。
上記構成によると、補正用データを一旦記録すれば、その補正用データを球面収差精補正に用いればよく、球面収差精補正のたびに補正用データを記録する必要がない。これによって、球面収差補正にかかる時間を短くすることができる。
また、上記球面収差補正方法は、上記球面収差精補正工程の前に、補正用再生信号の品質を評価する信号品質評価工程を含み、上記信号品質評価工程によって、補正用再生信号の品質が所定の基準に達しないと判断されたとき、上記補正用データ記録工程を行うことが好ましい。
上記構成によると、上記信号品質評価工程によって、情報記録媒体の傷、または汚れ等による補正用データの品質の悪化を検出することができる。そして、補正用データの品質が悪化した場合は、新たな補正用データを記録するので、品質のよい補正用データを利用して球面収差精補正工程を行うことができ、球面収差補正の精度が向上する。
また、上記球面収差精補正の補正結果に係る情報を不揮発性メモリに記録する補正結果記録工程を含み、上記球面収差精補正工程は、上記不揮発性メモリに記録された補正結果を利用することが好ましい。
上記構成によると、一度球面収差精補正工程を行えば、その結果を次回以降の球面収差補正に利用することができる。これによって球面収差精補正に係る時間を短縮することができるので、この方法を記録再生装置に適用すれば記録再生装置の立ち上がり時間を短縮することができる。
また、上記球面収差補正方法は、上記球面収差精補正工程後に、TEバランスの調整を行うトラッキングエラーバランス調整工程を含むことが好ましい。
上記構成によると、球面収差精補正工程を行うことによって生じたTEを補正することができ、トラックに追従する性能をより高めることができる。
また、上記補正用データ記録工程は、補正用データをランダム信号として上記記録面に記録し、上記球面収差精補正工程は、このランダム信号を平均化した結果に基づいて球面収差を精補正することが好ましい。
上記構成によると、このように平均化されたランダム化信号を利用することで、単一信号によって記録された再生信号を利用する場合よりも、球面収差精補正時の誤差を小さくすることができる。
上記課題を解決するために、本発明にかかる記録再生装置は、レーザ光によって情報記録媒体の記録面に情報の記録および再生を行う記録再生装置であって、上記記録面にデータを記録する記録手段と、上記記録面における上記レーザ光の球面収差を補正する球面収差補正手段と、上記記録面上に上記レーザ光の焦点を保持するフォーカス調整手段とを備え、上記フォーカス調整手段の動作中に、上記球面収差補正手段はTE信号の振幅が最大になるように球面収差を粗補正すると共に、上記記録手段は記録面に補正用データを記録するようになっており、上記球面収差補正手段は、さらに、記録面に記録された補正用データから得られる補正用再生信号の振幅が最大になるように球面収差を精補正するようになっていることを特徴とする。
上記構成によると、レーザ光が記録面のトラックに追従している状態で、補正用データを記録することができる。従って、補正用データおよび補正用再生信号の品質が向上し、それによって球面収差補正の精度も向上する。
また、上記記録再生装置は、上記補正用再生信号の品質を評価する再生信号品質評価手段を備えることが好ましい。
上記構成によると、上記信号品質評価手段によって、補正用再生信号の品質を評価することができる。これによって、情報記録媒体の傷、または汚れ等による補正用再生信号の品質の悪化を検出することができる。そして、信号品質評価手段によって補正用再生信号の品質が悪化していると判断された場合は、新たな補正用データを記録することで、品質のよい補正用データ、および補正用再生信号を利用した球面収差精補正が可能となり、球面収差補正の精度が向上する。
また、上記記録手段は、上記補正用データをランダム信号として上記記録面に記録するようになっており、上記球面収差補正手段は、ランダム信号を平均化した結果に基づいて球面収差を精補正するようになっていることが好ましい。
上記構成によると、平均化されたランダム化信号を利用することで、単一信号によって記録された再生信号を利用する場合よりも、球面収差精補正時の誤差を小さくすることができる。
以上のように、本発明にかかる球面収差補正方法は、レーザ光の焦点が記録面上に保持され、かつTE信号の振幅が最大になるように球面収差が粗補正されている状態で、情報記録媒体の記録面に補正用データを記録する補正用データ記録工程と、上記補正用データから得られる再生信号の振幅が最大になるように球面収差を精補正する球面収差精補正工程とを含む。
ゆえに、レーザ光をトラックに追従させた状態で、補正用データを記録することができる。従って、補正用データの品質が高まる。また、カバー層の厚みの異なるディスクに対しても、均一な補正用データを記録することができる。つまり、個々のディスクによる補正用データのばらつきが小さくなる。その結果、ディスクによってカバー層の厚み等が異なる場合でも、球面収差を精度よく補正することができる。
〔実施の形態1〕
<ディスクドライブ装置の構成>
本発明の記録再生装置の実施の一形態について図2〜4に基づいて説明すれば、以下の通りである。
<ディスクドライブ装置の構成>
本発明の記録再生装置の実施の一形態について図2〜4に基づいて説明すれば、以下の通りである。
図2は、本実施の形態のディスクドライブ装置(記録再生装置)を示すブロック図である。
本実施の形態のディスクドライブ装置は、レーザ光の照射によって、ディスク1(情報記録媒体)の記録面に対する情報の記録および再生を行う記録再生装置である。
図2に示すように、本実施の形態のディスクドライブ装置は、ディスク1を回転させるディスク駆動機構、ディスク1にレーザ光を照射すると共に、ディスク1からの反射光を検出する光学ピックアップ2に接続され、光学ピックアップ2をディスク1の径方向に移動させるスレッドモータ6(ステッピングモータ)、およびこれらの部材の動作を制御する制御機構を備える。
本実施の形態のディスクドライブ装置は、制御機構として、モータドライバ14、レーザドライバ3、スレッドモータ6(ステッピングモータ)、RF処理回路7、ADC8(アナログデジタル変換器)、信号処理回路9、デジタルサーボ処理回路10、PWM(Pulse Width Modulation)信号生成回路11、PDM信号生成回路12、PWMドライバ13、システムコントローラ15、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)16、収差センサ31、移動パルス生成手段32、およびRF−AGC電圧モニタ回路38を備える。
ディスク1は、光を利用して情報を記録再生できる情報記録媒体であればよい。本実施の形態では、ディスク1は相変化(フェイズチェンジ)記録方式を採用した光ディスクとするが、勿論他の光ディスクであってもよい。
また、ディスク1の記録面には、データを記録するために、予め溝(グルーブ)が形成され、このグルーブはデータ記録のためのデータトラック(グルーブトラック)となっている。上記グルーブは一定の周期で蛇行(ウォブリング)して形成されており、ディスクドライブ装置は、このウォブリングからウォブリング信号を読み出すことができる。このウォブリング信号は記録用のクロックを生成するのに使われる。また、このウォブリングにはADIP(ADdress In Pre-groove)として、ディスクのアドレス等が記録されている。
ディスク駆動機構は、ディスク1を載置するターンテーブル(図示せず)、およびターンテーブルを回転させることでディスク1を回転させるスピンドルモータ5を備える。ディスクドライブ装置がディスク1に対して情報の記録または再生を行うときには、スピンドルモータ5がディスク1をCLV(一定線速度)で回転させる。
光学ピックアップ2は、ディスク1にレーザ光を照射することで情報を記録し、また、反射光を検出することで情報を読み出すものである。光学ピックアップ2の構成について、図2および図4に基づいて説明する。
図4は、本実施の形態に係る光学ピックアップ2の要部構造を示す平面図である。
図2・4に示すように、光学ピックアップ2は、レーザ光を出射するLD21(光源、レーザダイオード)と、このレーザ光がディスク1に反射されて生じた反射光を検出するフォトディテクタ29と、光源21から出射されたレーザ光をディスク1に導くと共にディスク1からの反射光をフォトディテクタ29に導く光学系とを備える。また、光学ピックアップ2は、BE43に接続されたBE駆動手段4と、BE駆動手段4に接続された位置検出センサ42と、対物レンズ27に接続された対物レンズ駆動手段26とを備える。
なお、図2にはLD21からディスク1に向かって出射されるレーザ光を点線矢印で示す。また図4には、LD21から出射されるレーザ光およびディスク1からの反射を点線で示す。
光学系は、コリメータレンズ22、ビームスプリッタ23、BE43(ビームエキスパンダ、球面収差補正レンズ群)、および対物レンズ27を、光源21からディスク1に向かってこの順で備える。
なお、LD21は、本実施の形態では、波長405nmのいわゆる青色レーザを出射するものとする。また、LD21はレーザドライバ3に接続されており、レーザドライバ3からのドライブ信号(ドライブ電流)によってレーザを出射するように駆動される。
LD21から出射されたレーザ光は、コリメータレンズ22によって平行光とされた後、入射光と反射光とを分離するビームスプリッタ23を透過し、球面収差補正に用いられるBE43、および、レーザ光をディスク1の記録面に集光させる対物レンズ27を順に通って、ディスク1の記録面に焦点を結ぶ。なお、本実施の形態の対物レンズ27のNAは0.85であるとする。
こうしてディスク1の記録面に照射されたレーザ光によって生じた反射光は、対物レンズ27、BE43を通り、ビームスプリッタ23によってフォトディテクタ29側に導かれる。ビームスプリッタ23とフォトディテクタ29との間の光路上には、コリメータレンズ28(集光レンズ)が設置されている。コリメータレンズ28は、フォトディテクタ29上に反射光を集光する。
フォトディテクタ29は複数の受光素子(図示せず)を含む。各受光素子は、反射光を受光すると、受光光量に応じた電流、つまり電気信号(光検出信号)を光学ピックアップ2内の図示しないIV変換回路に送る。IV変換回路はこの光検出信号の電流値を電圧値に変換する。電圧値に変換された光検出信号は、図2に示すように、RF処理回路7に送られる。RF処理回路7の動作については後述する。
BE駆動手段4は、BE43を光軸方向(ディスク1の記録面に垂直な方向)に移動させるモータである。つまり、BE駆動手段4は、対物レンズ27とBE43との距離を変化させる。これによって、ディスク1の記録面上におけるレーザ光の径が変化し、球面収差が補正される。BE43の位置は位置検出センサ42によって検出される。BE43の位置とは、例えば、対物レンズ27とBE43との距離であればよい。
また、対物レンズ駆動手段26は、対物レンズ27を光軸方向(フォーカス方向)および光軸方向に垂直な方向(トラッキング方向)に移動させることで、フォーカス調整およびトラッキング調整を行う。つまり、対物レンズ27は、二軸機構によって制御されている。球面収差補正、フォーカス補正(フォーカスサーボ)、およびトラッキング補正(トラッキングサーボ)の詳細については後述する。
レーザドライバ3は、上述したようにLD21にドライブ信号を送ることで、LD21からレーザ光を出射させる。
図2に示すように、RF処理回路7は、光学ピックアップ2から送られる光検出信号に基づいて、再生信号(RF信号)、ウォブリング信号、およびエラー信号(TE信号、FE信号)を生成する。これら信号は次の回路、すなわち信号処理手段9、ADC8、またはRF−AGC電圧モニタ回路38に送られる。
より詳しく述べると、RF処理回路7は、RFEQ71(RFイコライザー)、ウォブリング信号生成手段72、およびエラー信号生成手段73を備える。
このうちRFEQ71は、上述の光検出信号から、再生されたデータに相当する高周波信号(再生信号、つまりRF信号)を生成する。生成されたRF信号は、信号処理回路9に送られる。信号処理回路9の動作については後述する。なお、再生されたデータとは、フェイズチェンジマークとしてディスク1記録され、光学ピックアップ2によって読み出されたデータである。
また、ウォブリング信号生成手段72は、上述の光検出信号から、グルーブのウォブリングに係る信号(ウォブリング信号)を生成し、信号処理回路9に送る。信号処理回路の動作については後述する。
また、エラー信号生成手段73は、電流電圧変換回路、およびマトリクス演算/増幅回路等(図示せず)を備える。エラー信号生成手段73は、これらの回路によるマトリクス演算処理を行うことで、上述の光検出信号から、TE(トラッキングエラー)信号およびFE(フォーカスエラー)信号等のエラー信号を生成する。これらエラー信号は、ADC8に送られ、後述するように、TE信号およびFE信号は、トラッキングサーボ制御およびフォーカスサーボ制御にそれぞれ利用される。
信号処理回路9は、図示しない変復調回路、内部メモリ、内部メモリ内に設けられたECCブロック、さらに、2値化回路(図示せず)、PLL(Phase Lock Loop)回路(図示せず)、スピンエラー信号生成部(図示せず)を備える。
変復調回路は、データ再生時には、デコーダ(復号器)として機能し、記録時にはエンコーダ(符号器)として機能する。
ECCブロックは、記録時にはECC(エラー訂正コード、Error Correction Code)を付加する(ECCエンコード処理を行う)ECCエンコーダとして機能し、再生時にはRF信号に対してエラー検出・訂正を行う(ECCデコード処理を行う)ECCデコーダとして機能する。
データ再生時には、信号処理回路9は、RFEQ71から送られたRF信号に対して、2値化回路による2値化処理、およびPLL回路による再生クロック生成処理等を行う。
変復調回路は、上記2値化処理、および再生クロック生成処理等を経た信号に対して、上記再生クロックに基づくRLL(Run Length Limited)コードの復調処理、すなわちデコード処理を行う。こうして復調されたRF信号は、信号処理回路9の内部メモリに送られる。
この内部メモリ内のECCブロックによって、上述したように、RF信号に対するエラー検出・訂正処理(ECCデコード処理)が行われる。また、内部メモリでは、デインターリーブ等の処理も行われる。こうしてECCデコード処理等を終えた再生データは、システムコントローラ15の指示に基づいて、読み出され図示しないホストシステムに転送される。
再生時にRF処理回路7から信号処理回路9に送られるウォブリング信号は、信号処理回路9の変復調回路にて、ADIPアドレスを構成するデータストリームに復調される(アドレスデコードされる)。このアドレスデコードによって得られるアドレス値は、システムコントローラ15に送られる。
また、信号処理回路9は、ウォブリング信号に対してもRF信号と同様、PLL回路のPLL処理を行うことで、クロックを生成する。このクロックは、各部(レーザドライバ3、および信号処理回路9内部のスピンドルエラー信号生成部)に送られ、例えばデータ記録時にエンコードクロックとして用いられる。
RF信号は変復調回路にて復調された後、ECCブロックにてECCデコード処理(エラー検出・訂正処理)される。つまりECCブロックは、信号品質評価手段に含まれる。
ディスク1にはデータがかたまり(ブロック、またはクラスタ)として記録されている。ECCブロックは、データの個々のかたまりを単位としてECCでコード処理を行う。ECCブロックは、このとき訂正できなかったデータの数をシンボルエラー数(エラーレート)として検出することができる。
ECCブロックによって検出されたエラーレートは、システムマイコンに送られる。システムマイコンは、レジスタを読み取ることによりエラーレート得ることができる。
RF信号の品質とは、このエラーレートであってもよい。つまり、エラーレートが所定の値以下であれば、品質がよいことになる。例えば、上記所定の値を100と設定設定してもよい。システムマイコンによって得られたエラーレートと予め設定された基準値とを比較することで、RF信号の記録品質の品質を評価する。また、RF信号の品質とは、RF信号のジッター値等で評価されるものであってもよく、この場合は、ジッター値が所定の値以下であれば、品質がよいことになる。
一方、データの記録時には、図示しないホストシステムから信号処理回路9に、記録すべきデータ(記録データ)が転送されてくる。
この記録データは上述した信号処理回路9の内部メモリに送られてバッファリングされる。信号処理回路9は、バッファリングされた記録データに対して、エンコード処理、つまり、ECC、インターリーブ、およびサブコード等の付加を行う。ECC付加(ECCエンコード、エラー訂正符号化処理)は、上述したECCブロックが行う。ECCブロックによりECCエンコードされることにより、この記録データはディスク1にランダムな信号として記録されることになる。この「ランダム」とは、2Tから8Tがランダムに記録されるという意である。記録された信号が2Tおよび8Tだけになると、データ再生時のRF−AGC電圧モニタ回路38の電圧が不安定となる。
こうしてECCエンコードされた記録データは、変復調回路によってエンコードされる。つまり、変復調回路は、データの記録時にはエンコーダ(符号器)として機能することで、記録すべき入力データ・ビット列(記録データ)を変調方式に従ってエンコードする。本実施の形態では、変復調回路は、ECCエンコードされた記録データに対して、RLL(1−7)PP方式の変調を施すものとする。
信号処理回路9におけるこれらエンコード処理は、エンコードクロックを基準クロックとして行われる。なお、このエンコードクロックは、上述したようにウォブリング信号から生成されたクロックを用いる。
信号処理回路9は、こうしてエンコードされた記録データとクロックを、レーザドライブパルスとしてレーザドライバ3に送る。
次に、システムコントローラ15が、ディスク1の記録層の特性、ディスク1の記録面上でのレーザ光のスポット形状、記録線速度等に対して、記録時のレーザ光の強さ、およびレーザドライブパルス波形が最適になるようにレーザドライバ3にライトストラテジ設定を行う。その後、信号処理回路9からレーザドライバ3に上記レーザドライブパルスが送られる。
レーザドライバ3は、信号処理回路9から送られたレーザドライブパルスを光学ピックアップ2内のLD21に送ることによって、LD21からレーザ光を出射させる。こうして、ディスク1の記録面に、記録データに応じたピット(フェイズチェンジマーク)が形成される。
また、LDのレーザ光出力は外部の温度に影響されて変化する。このため、本実施の形態のように光学ピックアップ2の光源としてLDを用いる場合には、レーザ光出力を一定にするために、レーザドライバ3は自動光出力制御(以下、APCと称する)回路を備える。また、光学ピックアップ2内にはモニタ用ディテクタ50が設けられている(図2)。本実施の形態のディスクドライブ装置は、このモニタ用ディテクタ50によってLD21からのレーザ光出力をモニタしながら、レーザドライバ3のAPC回路によって、レーザ光出力が温度などによらず一定になるように制御する。
なお、データ記録時および再生時のレーザ出力の目標値、すなわち記録レーザパワーおよび再生レーザパワーを示す信号は、システムコントローラ15から信号処理回路9を介してレーザドライバ3に送られる。そして、レーザドライバ3は、この目標値になるようにLD21からのレーザ光出力を制御する。
次に、フォーカスサーボ、トラッキングサーボ、スレッドサーボ、スピンドルサーボについて説明する。
これらサーボ系の動作が開始されると、LD21からレーザ光が出射され、FGサーボ、つまり後述のスピンドルサーボによって、ディスク1が回転される。そして、フォトディテクタ29からの光検出信号に基づいて、RF処理回路7のエラー信号生成手段73がエラー信号(FE信号およびTE信号)を生成する。これらエラー信号は、ADC8に送られ、そこでデジタル信号データに変換された後、デジタルサーボ処理回路10に送られる。
デジタルサーボ処理回路10は、図示しないフォーカスドライブ信号生成部、トラッキングドライブ信号生成部、およびスレッドドライブ信号生成部を備える。これら信号生成部は、各エラー信号から、フォーカス、トラッキング、スレッドの各サーボドライブ信号を生成し、各サーボ動作を実行させるものである。すなわち、FE信号、およびTE信号に基づいて、フォーカスドライブ信号、トラッキングドライブ信号、およびスレッドドライブ信号をそれぞれ生成する。言い換えると、デジタルサーボ処理回路10は、図示しないフォーカスサーボイコライザー演算部、トラッキングサーボイコライザー演算部、およびスレッドサーボイコライザー演算部として機能する。また、デジタルサーボ処理回路10は、後述するように、図示しないトラックジャンプ信号生成部を備える。
フォーカスドライブ信号生成部は、デジタル信号データとして送られてきたFE・TE信号に対して、位相差補償等のためのフィルタリングおよびループゲイン処理等の所定の演算を行うことによって、フォーカスドライブ信号およびトラッキングドライブ信号をそれぞれ生成する。
こうして生成されたフォーカスドライブ信号およびトラッキングドライブ信号は、PWM信号生成回路11に送られる。PWM信号生成回路11は、フォーカスドライブ信号およびトラッキングドライブ信号をアナログ信号に変換し、PWMドライバ13に送る。
PWMドライバ13は、対物レンズ駆動手段26にフォーカスドライブ信号およびトラッキングドライブ信号を送る。
対物レンズ駆動手段26はフォーカスコイルおよびトラッキングコイルを備える二軸機構である。PWMドライバ13は、フォーカスドライブ信号によってこのフォーカスコイルに電流を印加し、フォーカスサーボ動作を実行させる。また、PWMドライバ13は、トラッキングドライブ信号によってこのトラッキングドライブコイルに電流を印加し、トラッキングサーボ動作を実行させる。こうして、フォーカス調整およびトラッキング調整が実行される。
以上のように、光学ピックアップ2、RF処理回路7、デジタルサーボ処理回路10、対物レンズ駆動手段26によるトラッキングサーボループおよびフォーカスサーボループが形成されることになる。
また、デジタルサーボ処理回路10のトラックジャンプ信号生成部は、システムコントローラ15からのトラックジャンプ指令に応じて、トラッキングサーボループをオフとし、さらにPWM信号生成回路11にジャンプドライブ信号を送る。そして、PWM信号生成回路11は、PWMドライバ13にジャンプドライブ信号を送る。こうして、トラックジャンプ動作が実行される。
また、デジタルサーボ処理回路10のスレッドドライブ信号生成部は、スレッドドライブ信号を生成し、このスレッドドライブ信号によってスレッドモータ6を駆動する。詳しく述べると、上述したように、TE信号が、RF処理回路7からADC8を介してデジタルサーボ処理回路10に送られる。スレッドドライブ信号生成部は、このTE信号の低域成分として得られるスレッドエラー信号、およびシステムコントローラ15から送られるアクセス実行制御信号等に基づいて、スレッドドライブ信号を生成する。スレッドドライブ信号は、デジタルサーボ処理回路10からスレッドモータ6に送られる。スレッドモータ6は、図示しないが、光学ピックアップ2を保持するメインシャフト、モータ部、および伝達ギア等を備え、デジタルサーボ処理回路10からのスレッドドライブ信号に応じてモータ部を駆動することによって、光学ピックアップ2がディスク1の径方向にスライド移動される。
また、デジタルサーボ処理回路10は、信号処理回路9からのスピンドルエラー信号をもとにCLV回転を制御する。詳しく述べると、信号処理回路9は、上述したようにウォブリング信号に対してPLL処理を行うことでクロックを生成する。さらに信号処理回路9は、このクロックを現在のスピンドルモータ5の回転速度情報として、CLV基準速度情報と比較することでスピンドルエラー信号を生成する。
こうして信号処理回路9で生成されたスピンドルエラー信号は、デジタルサーボ処理回路10に送られる。デジタルサーボ処理回路10のスピンドル駆動信号生成手段(図示せず)は、このスピンドルエラー信号に対してイコライザー処理を行ってスピンドル駆動信号を生成する。このスピンドル駆動信号は、PDM信号生成回路12に送られ、そこでアナログ値に変換され、モータドライバ14に送られる。モータドライバ14は、このアナログ値に変換されたスピンドル駆動信号(スレッド送り信号)に基づいてスレッド駆動信号を生成し、スレッドモータ6に送る。
また、モータドライバ14は、上記アナログ値に変換されたスピンドル駆動信号を、スピンドルモータ5に送る。スピンドルモータ5は、スピンドル駆動信号に基づいてターンテーブルを回転させる。
この回転に基づいて、モータドライバ14はスピンドル回転信号を生成する。モータドライバ14は、スピンドル回転信号(FGパルス)を信号処理回路9の変復調回路に送る。このスピンドル回転信号(FGパルス)と、予め設定された回転数に見合った信号との差が、スピンドルエラー信号として生成される。この予め設定された回転数は、信号処理回路9内部にある基準クロックに基づいて設定される。このスピンドルエラー信号をもとに、スピンドルの回転FGサーボ(スピンドルサーボ)が行われる。また、ディスクからのウォブリング信号をもとに、ディスク1のCLV回転制御が行われる。
以上のサーボ系および記録再生系の各種動作は、マイクロコンピュータによって形成されたシステムコントローラ15により制御される。また、システムコントローラ15は図示しないホストシステムからのATAPIコマンドに応じて各種処理を実行する。
例えば、ディスク1にデータを記録するとき、まず、図示しないホストシステムからデータ記録コマンドがシステムコントローラ15に送られる。システムコントローラ15は、データ記録命令を受け取ると、スレッドモータ6によって、ディスク1上のデータを記録すべき位置に光学ピックアップ2を移動させる。そして、上述したように、信号処理回路9が、ホストシステムから送られてきたデータに対して変復調回路、およびECCエンコーダ等によるエンコード処理を行う。
その後、上述したように、エンコード処理を経た記録データに基づくレーザドライブパルスが生成され、信号処理回路9からレーザドライブ3にそのレーザドライブパルスが送られることで、データの記録が実行される。
また、例えばディスク1からデータを読み出すとき、すなわちディスク1に記録されている或るデータの転送をホストシステムに転送するとき、ディスクドライブ装置は、以下のような動作を行う。まず、図示しないホストシステムから、データリードコマンドがシステムコントローラ15に送られる。データリードコマンドはシークコマンドを含み、シークコマンドは、再生すべきデータのディスク1上での記録位置(アドレス位置)の情報を含む。システムコントローラ15は、この記録位置を目標としたシーク動作制御を行う。すなわち、システムコントローラ15は、デジタルサーボ処理回路10に信号を送り、スレッドモータ6によって、シークコマンドにより指定されたアドレス位置に光学ピックアップ2を移動させる。
その後、上述したように、ディスク1からデータが読み出され、変復調回路、およびECCデコーダ等によるデータの復号が行われる。こうして指定されたアドレス位置のデータが複合化され、ホストシステムに転送される。
なお、これらのフェイズチェンジマークによるデータの記録再生時には、システムコントローラ15は、ウォブリング信号からアドレスデコードされて得られるADIPアドレスを用いて、ディスク1の目標位置へのアクセスや、記録再生動作を行う。
図3は、本実施の形態のディスクドライブ装置のうち、球面収差補正にかかる部材およびその周辺の部材を示すブロック図である。なお、図2に示す部材と同様の機能を有する部材については、同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。
本実施の形態のディスクドライブ装置は、上述したように、BE43をBE駆動手段4によって駆動することで球面収差を補正する。また、球面収差の補正は、ディスク1のデータ(補正用データ)を再生して得られる再生信号の振幅が最大になるようにBE43を移動させることによって実行される。また、本実施の形態のディスクドライブ装置では、補正用データは、TE信号の振幅が最大になるようにBE43の位置が調整された状態で書き込まれる。
図2を参照して説明したように、デジタルサーボ処理回路10はフォーカスサーボループおよびトラッキングサーボループを形成すると共に、球面収差補正にも関与する。
デジタルサーボ処理回路10は、上述したように、フォーカスドライブ信号生成部、トラッキングドライブ信号生成部、スレッドドライブ信号生成部を備えるが、その他にも、パルスカウント手段103、球面収差制御手段104、およびTE信号測定手段105を備える。
BE駆動手段4には、収差センサ31が接続されている。収差センサ31は、BE駆動手段4によるBE43の移動量を検出できるようになっている。例えば、BE43が一定距離移動する毎に、収差センサ31からパルスが発生するようになっている。収差センサ31は、このパルスを移動パルス生成手段32に送る。
移動パルス生成手段32は、アンプOPおよびコンパレータ回路COMPを備える。アンプOPは、収差センサ31から送られたパルスを増幅する。コンパレータ回路COMPは、増幅されたパルスを波形整形して移動パルスを生成する。こうして生成された移動パルスはデジタルサーボ処理回路10のパルスカウント手段103に送られる。
パルスカウント手段103は、移動パルス生成手段32からの移動パルス数をカウントして、システムコントローラ15から指定されたパルス数と比較し、比較結果を球面収差制御手段104に送る。球面収差制御手段104は、この比較結果に基づいて、PWM信号生成回路11、およびPWMドライバ13を通してBE駆動手段4によりBE43を駆動させる。
デジタルサーボ処理回路10のTE信号測定手段105は、RF処理回路7のエラー信号生成手段73からTE信号を受け取り、その振幅の大きさを測定する。TE信号測定手段105は、システムコントローラ15の指示を受けることによって、測定したTE信号の振幅の大きさの情報(TE信号振幅情報)をシステムコントローラ15に送る。
補正用データを書き込むとき、システムコントローラ15は、このTE信号の振幅の情報に基づいて球面収差制御手段104にBEドライブコマンドを送り、TE信号の振幅が最大になるようにBE43の位置を調整する(球面収差を粗補正する)ことができる。
つまり、球面収差制御手段104は、上述したように、システムコントローラ15からのBEドライブコマンド、パルスカウント手段103からのパルス数の比較結果、および位置検出センサ42からのBE位置情報に基づいて、BEドライブ信号を生成する。
こうして生成されたBEドライブ信号は、球面収差制御手段104から、PWM信号生成回路11を介してPWMドライバ13に送られる。
PWMドライバ13はBE用PWMドライバ40を備え、BE用PWMドライバ40は、BEドライブ信号を受け取り、BE駆動手段4にBEドライブ信号を送る。図3中、BE駆動手収差用PWMドライバ13からBE駆動手段4に向かう2本の矢印はそれぞれ、BEドライブ信号の正転、逆転、つまりBE駆動手段4であるモータの+、−の信号を意味する。以上のようにして、BE駆動手段4は、BEドライブ信号に従ってBE43の位置を移動させる。
光学ピックアップ2は、このようにBE43の位置が調整された状態で、ディスク1に対して補正用データを書き込むことができる。
また、このようにして書き込まれた補正用データを用いて球面収差補正を行う(球面収差を精補正する)ときは、光学ピックアップ2で補正用データを読み出すことで、球面収差補正用の再生信号(補正用再生信号)を検出する。
データの再生については、既に述べた通りである。ただし、補正用データの再生時には、以下に述べるように、RF−AGC電圧モニタ回路38が用いられることが好ましい。
補正用データを読み出すことで光学ピックアップ2によって検出された光検出信号は、RF処理回路7内のRFEQ71に入力され、補正用再生信号が生成される。次いで、この補正用再生信号はRFEQ71からRF−AGC電圧モニタ回路38に入力される。RF−AGC電圧モニタ38は、補正用再生信号の振幅に応じて動作し、補正用再生信号をDC電圧に変換する。このDC電圧はシステムコントローラ15のADCにて読み取られる。ADCからは、このDC電圧の大きさを表すアナログ信号が球面収差制御手段104に送られる。球面収差制御手段104は、DC電圧の大きさが最大になるようにBE駆動手段4を制御することで、BE43の位置を調節する。このようにして、球面収差が精補正される。
<球面収差補正方法>
図1のフローチャートに基づいて、図2〜4に示すディスクドライブ装置を用いて球面収差を補正する際の処理の流れについて説明する。
<球面収差補正方法>
図1のフローチャートに基づいて、図2〜4に示すディスクドライブ装置を用いて球面収差を補正する際の処理の流れについて説明する。
ディスク1が挿入されると、まず、ディスクドライブ装置は図示しない温度測定手段により装置内の温度を測定する(ステップS1)。ここで測定された温度は、温度により変化する要素(例えばライトストラテジ、サーボゲイン等)を調整するために使用される。
次に、DSP(ディジタルシグナルプロセッサ)のオフセット調整、つまり、サーボ系(フォーカスサーボ、トラッキングサーボ)のオフセット調整を行う(ステップS2、S3)。これらステップでは、上述のIV変換回路、およびエラー信号生成手段73の回路のオフセットを調整する。再生、記録で調整しているのは、IV変換回路、エラー信号生成手段が記録と再生でゲインが異なるため、両方でオフセット調整しないと再生から記録に切り替わったときにオフセットが発生し、サーボが不安定になることを避けるためである。
次に、BEを初期化、つまり、BE43を基準位置に移動させる(ステップS4)。上述したように、BE43の位置は、位置検出センサ42によって検出され、球面収差制御手段104は、BE43の位置が基準位置から大きくずれている場合には、ステップでBE43を基準位置に移動させるように動作する。球面収差制御手段104の動作については、図3を参照して説明したとおりである。ただし、BE43が基準位置からずれていない場合には、このステップは省略する。基準位置とは、BE43の最適位置に近いか、最適位置であることが好ましいが、これに限らない。なお、BE43の移動パルスおよび移動方向は、この基準位置を基準として測定される。
次に、図示しないディスク検出手段にて、ターンテーブル上のディスクの有無を判定する(ステップS5)。ディスク検出では、図示しないチルトセンサからターンテーブルに向けて出射される光によって生じる反射光の有無と、LD21からターンテーブル上にレーザ光を出射することによってフォーカスサーチを行い、このレーザ光によって生じる反射光の有無とで、ターンテーブル上のディスクの有無を判別する。
ディスク1がターンテーブル上に載置されている場合(ステップS5でYes)は、ディスク有りとして次のステップに進む。ディスク1がターンテーブル上に載置されていない場合(ステップS5でNo)は、球面収差補正動作を終了する(ステップS6)。
次に、フォーカスサーボ動作およびスピンドルサーボ動作を開始(ONに)する(ステップS7)。フォーカスサーボ動作およびスピンドルサーボ動作については、既に述べた通りである。
次に、フォーカスサーボがONである状態で、BEの簡易調整を行う(球面収差を粗補正する、ステップS8)。このステップでは、デジタルサーボ処理回路10のTE信号測定手段105で、TE信号の振幅測定を行う。上述したように、TE信号振幅情報は、TE信号測定手段105からシステムコントローラ15に送られる。システムコントローラ15は、このTE信号振幅情報に基づくBEドライブコマンドを生成し、球面収差制御手段104に送る。このとき、BEドライブコマンドは、TE信号の振幅が最大になるように、球面収差制御手段104にBE43を駆動させるものとする。つまり、球面収差制御手段104は、BE用PWMドライバ40にBEドライブ信号を送ることで、このTE信号の振幅が最大になる位置にBE43を移動させる。
次に、トラッキングサーボおよびスレッドサーボを開始(ONに)する(ステップS9)。
次に、FG閉ループ調整(ステップS10)およびTG閉ループ調整(ステップS11)を行う。つまり、フォーカスサーボ、トラッキングサーボの閉ループゲイン調整を行う。そして、フォーカスサーボ、およびトラッキングサーボを終了する。
次に、ディスク情報の読み取りを行う(ステップS12)。このステップでは、ディスク1に補正用データを書き込むために必要な情報を読み取る。この情報には、ディスク1の種類、および記録条件等が書かれている。
次に、レーザ光をディスク1の所定エリア(補正用データ記録領域)に移動させる(ステップS13)。この所定エリアとは、ディスクの記録面のうち、オプションで使用できるエリアであればよい。オプションで使用できるエリアとしては、例えばOPC(Optimum Power Control)エリア等の試し書きエリアが挙げられる。OPCエリアとは、ディスクにデータを記録する際の最適なレーザのパワーや、ライトストラテッジ等を決定するためのテストライトを行うエリアである。
次に、上述した所定エリアに、補正用データが記録されているかどうかをRF信号の有無で判定する(ステップS14)。つまり、上述の所定エリアから得られるRF信号の振幅が規定値以上であれば、補正用データが書き込まれていると判定し(No)、上記振幅が規定値未満なら補正用データが記録されていないと判断する(Yes)。
ステップS14でNoなら、ステップS15に進み、BE43をステップS8で調整された位置に保持した状態で、上述した所定エリアに補正用データを記録する(補正用データ記録工程)。このとき、上述したように、ランダム化信号が記録されることが好ましい。なお、データの記録については既に述べた通りである。
一方、ステップS14でYesなら、ステップS16に進む。このステップでは、補正用データを再生することで得られるRF信号(補正用再生信号)の振幅が最大になるようにBE43の位置を調整する。つまり、球面収差の精補正を行う(球面収差精補正工程)。
BE43の精調整では、まず、光学ピックアップ2で補正用再生信号を検出する。検出された補正用再生信号は、RF処理回路7内のRFEQ71に入力される。次いで、補正用再生信号は、RFEQ71からRF−AGC電圧モニタ回路38に送られる。RF−AGC電圧モニタ38は、補正用再生信号を、補正用再生信号の振幅に比例したDC電圧に変換するものである。そして、RFE−AGC電圧モニタ回路38にて平均化されたDC電圧が、システムコントローラ15のADCに送られる。このDC電圧の大きさを表すアナログ信号が球面収差制御手段104に送られる。コントローラ15は、球面収差制御手段104に信号を送り、ADCで受け取られるDC電圧の大きさが最大になるようにする。球面収差制御手段104は、DC電圧の大きさが最大になるようにBE駆動手段4を制御することで、BE43の位置を調節する(ステップS16)。
また、このステップS16で得られる補正用再生信号の品質が、上述したように所定の基準に満たない(品質が悪い)と判断された場合は、ステップS15にて補正用データの記録を行えばよい。なお、この場合、品質の悪くなった補正用データは、BE43の位置調整後に消去すればよい。
狭義の球面種差精補正工程がBE43の位置調整を行う工程であり、広義の球面収差精補正工程が補正用データを再生する工程と補正用再生信号の品質を評価する信号品質評価工程とを含んでいるとすると、本実施の形態では、広義の球面収差精補正工程は、補正用再生信号の品質を評価する信号品質評価工程を含んでおり、信号品質評価工程は、BE43の位置を決定する(狭義の球面収差精補正工程を実行する)前に行われるとも言える。
こうしてBE43の位置が決定されるが、ステップS16でBE43を移動させるとレーザ光がトラッキング方向にずれるので、次にTEバランス調整を行う(ステップS17)。このステップによって、レーザ光のトラッキング方向のずれを低減させ、レーザ光をトラックに精度よく追随させることができる。
ステップS17を終えると、ディスクドライブ装置は球面収差補正動作を終了し、INTを開始する。つまり、ディスク1に対する情報の記録または再生動作を行う。
また、ディスクドライブ装置が、例えばSRAM(スタティック・ランダム・アクセス・メモリ)やフラッシュ・メモリ等の不揮発性メモリを備えることが好ましい。そして、ステップS16によって精調整されたBE43の位置の情報を、この不揮発性メモリに記録する補正結果記録工程をステップS16後(例えばS16とS17との間)に行い、この不揮発性メモリに記録された位置情報を次回からの球面収差補正におけるステップS16で利用することで、BE43の調整範囲を絞ることができる。これによって、ディスクドライブ装置の立ち上がり時間を短縮することができる。また、この記録された位置情報は、ディスクにこの位置情報を記録したディスクドライブ装置と同じディスクドライブ装置に挿入された場合に有効に用いることができる。よって、この位置情報は、ディスクドライブ装置のシリアルNO.等、個々のディスクドライブ装置を特定できる識別情報を含むことが好ましい。
記録可能タイプのディスクでは、新しいディスクの場合は、補正用データをディスクに書き込む必要がある。しかし、上述したように、ディスクのカバー層の厚さにはばらつきがあり、それぞれのディスクでBE43の最適位置は異なる。そのため、BE43の位置を調整せずにBE43の位置が大きくずれている状態で補正用データを書き込むと、補正用データにばらつきが生じる他、補正用データの品質、つまり補正用再生信号の品質が悪くなる。この品質の悪い補正データでBE43の精調整を行うと、ディスクに記録した信号にエラーが多くなるという不都合を生じる。
また、補正用データを書き込むときに球面収差が大きい場合、つまり、ビームの光径を調整するBE43の位置が最適な位置から大きくずれている場合には、レーザパワーを調整するだけでは信号品質を改善するには限界がある。また、信号品質をよくしようとしてレーザパワーをどんどん上げていくと、ディスク1にダメージを与え、逆に信号品質が悪くなることが考えられる。
本実施の形態のディスクドライブ装置は、レーザパワーを上げることなく本来調整すべきであるビームの光径を、BE43の位置をTE信号が最大になるように粗調整することにより、ディスク1にダメージを与えることなく、次に行う精調整のための信号を記録することが可能である。
本実施の形態のディスクドライブ装置および球面収差補正方法は、上述したように補正用のデータを記録する前にBEの位置を調節しておくことで、つまり球面収差の粗補正を行うことによって、補正用データの品質を高めることができる。その結果、球面収差補正の精度が高まるので、ディスク1に記録されるデータから得られる信号の品質が高まる。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明の球面収差補正方法は、精度よく球面収差を補正することができるので、光ディスクに対して情報の記録および再生を行うディスクドライブ装置における球面収差補正に好適に用いることができる。また、本発明の記録再生装置は、ディスクドライブ装置として好適に用いることができる。
1 ディスク(情報記録媒体)
2 光学ピックアップ
4 BE駆動手段(球面収差補正手段)
5 スピンドルモータ
6 スレッドモータ
7 RF処理回路
8 ADC
9 信号処理回路
10 デジタルサーボ処理回路
11 PWM信号生成回路
12 PDM信号生成回路
13 PWMドライバ
14 モータドライバ
15 システムコントローラ
21 LD(光源)
26 対物レンズ駆動手段(フォーカス調整手段、トラッキング調節手段)
27 対物レンズ(フォーカス調整手段、トラッキング調節手段)
42 位置検出センサ
43 BE(球面収差補正手段)
2 光学ピックアップ
4 BE駆動手段(球面収差補正手段)
5 スピンドルモータ
6 スレッドモータ
7 RF処理回路
8 ADC
9 信号処理回路
10 デジタルサーボ処理回路
11 PWM信号生成回路
12 PDM信号生成回路
13 PWMドライバ
14 モータドライバ
15 システムコントローラ
21 LD(光源)
26 対物レンズ駆動手段(フォーカス調整手段、トラッキング調節手段)
27 対物レンズ(フォーカス調整手段、トラッキング調節手段)
42 位置検出センサ
43 BE(球面収差補正手段)
Claims (9)
- レーザ光の焦点が情報記録媒体の記録面上に保持され、かつトラッキングエラー信号の振幅が最大になるように球面収差が粗補正されている状態で、上記記録面に補正用データを記録する補正用データ記録工程と、
記録面に記録された補正用データから得られる補正用再生信号の振幅が最大になるように球面収差を精補正する球面収差精補正工程とを含むことを特徴とする球面収差補正方法。 - 上記補正用データ記録工程の前に、情報記録媒体に補正用データが記録されているかどうかを確認する補正用データ確認工程を含み、
上記補正用データ確認工程によって既に補正用データが記録されていることが確認されたときには、上記補正用データ記録工程を行わずに球面収差精補正工程を行うことを特徴とする請求項1に記載の球面収差補正方法。 - 上記球面収差精補正工程の前に、補正用再生信号の品質を評価する信号品質評価工程を含み、
上記信号品質評価工程によって、補正用再生信号の品質が所定の基準に達しないと判断されたときに、上記補正用データ記録工程を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の球面収差補正方法。 - 上記球面収差精補正の補正結果に係る情報を不揮発性メモリに記録する補正結果記録工程を含み、
上記球面収差精補正工程は、上記不揮発性メモリに記録された補正結果を利用することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の球面収差補正方法。 - 上記球面収差精補正工程後に、トラッキングエラーバランスの調整を行うトラッキングエラーバランス調整工程を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の球面収差補正方法。
- 上記補正用データ記録工程は、補正用データをランダム信号として上記記録面に記録し、
上記球面収差精補正工程は、このランダム信号を平均化した結果に基づいて球面収差を精補正することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の球面収差補正方法。 - レーザ光によって情報記録媒体の記録面に情報の記録および再生を行う記録再生装置であって、
上記記録面にデータを記録する記録手段と、
上記記録面における上記レーザ光の球面収差を補正する球面収差補正手段と、
上記記録面上に上記レーザ光の焦点を保持するフォーカス調整手段とを備え、
上記フォーカス調整手段の動作中に、上記球面収差補正手段はトラッキングエラー信号の振幅が最大になるように球面収差を粗補正すると共に、上記記録手段は記録面に補正用データを記録するようになっており、
上記球面収差補正手段は、さらに、上記補正用データから得られる補正用再生信号の振幅が最大になるように球面収差を精補正するようになっていることを特徴とする記録再生装置。 - 上記補正用再生信号の品質を評価する信号品質評価手段を備えることを特徴とする請求項7に記載の記録再生装置。
- 上記記録手段は、上記補正用データをランダム信号として上記記録面に記録するようになっており、
上記球面収差補正手段は、ランダム信号が平均化された結果に基づいて球面収差を精補正するようになっていることを特徴とする請求項7または8に記載の記録再生装置。
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JP2005141905A JP2006318590A (ja) | 2005-05-13 | 2005-05-13 | 球面収差補正方法および記録再生装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009104756A (ja) * | 2007-10-25 | 2009-05-14 | Sony Corp | 光ディスク装置、制御方法、及びプログラム |
-
2005
- 2005-05-13 JP JP2005141905A patent/JP2006318590A/ja active Pending
Cited By (2)
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JP2009104756A (ja) * | 2007-10-25 | 2009-05-14 | Sony Corp | 光ディスク装置、制御方法、及びプログラム |
US8391112B2 (en) | 2007-10-25 | 2013-03-05 | Sony Corporation | Optical disk apparatus, control method, and program |
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