JP2009144572A - 内燃機関のオイル供給構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】タイミングチェーンに供給されるオイルによってタイミングチェーンの駆動損失が大きくなるのを防止することができるとともに、オイル戻し量を十分に確保することができる内燃機関のオイル供給構造を提供すること。
【解決手段】シリンダヘッド3の側壁に落とし穴として開口面積の異なる開口部41および開口部42を形成し、開口面積の小さい開口部41を開口面積の大きい開口部42よりも上方に設置することにより、動弁室に供給されるオイルの量が比較的少ないときには、下方に位置する開口部42からオイルをタイミングチェーン22に供給し、動弁室9に供給されるオイルの量が多いときには、開口部41および開口部42からオイルを戻す。
【選択図】図5

Description

本発明は、内燃機関のオイル供給構造に関し、特に、シリンダヘッドの動弁室からタイミングチェーンにオイルを供給するためのオイル落とし穴を有する内燃機関のオイル供給構造に関する。
一般に、内燃機関のシリンダブロックの上部にはシリンダヘッドが締結されており、このシリンダヘッド内には吸気カムシャフトおよび排気カムシャフトを収納する動弁室が設けられ、オイルパンに充填されるオイルをオイルポンプやオイル供給通路を通して動弁室に供給して吸気カムシャフトおよび排気カムシャフトを潤滑するようにしている。
また、シリンダブロックとシリンダヘッドの側面には、ベルトチェーンが設けられており、このベルトチェーンは、クランクシャフトの端部に設けられたスプロケットと吸気カムシャフトおよび排気カムシャフトの端部に設けられたスプロケットとに巻回され、クランクシャフトの回転を吸気カムシャフトおよび排気カムシャフトに伝達するようにしている。
また、吸気カムシャフトおよび排気カムシャフトを潤滑したオイルは、動弁室に落下した後、シリンダヘッドの側壁に設けられたオイル落とし穴を通してタイミングチェーンに供給されるようになっており、タイミングチェーンを潤滑した後にシリンダブロックの下方に設けられたオイルパンに還流されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
特開2000−97103号公報
しかしながら、このような従来の内燃機関のオイル供給装置にあっては、オイル落とし穴の開口面積が大きくなっているため、オイルと押し穴からタイミングチェーンに供給されるオイルによってタイミングチェーンに大きなフリクションが加わってしまい、タイミングチェーンの駆動損失が発生してしまう。
具体的には、オイル落とし穴の開口面積を小面積にすれば、動弁室からオイル落とし穴を通してタイミングチェーンに供給されるオイル量を少なくすることができるが、エンジンの全ての運転領域、すなわち、エンジンの低回転数から高回転数までにおいてオイル落とし穴からオイルパンに還流されるオイルの量を十分に確保する必要がある。
特に、オイルポンプはクランクシャフトの回転数に比例して回転することから、高回転域では、動弁室に供給されるオイルの量が増大してしまうため、オイルの過補給時のオイル量に対してオイルの戻し性能を確保する必要がある。
仮に、オイル落とし穴の開口面積を小さくすれば、オイルの戻し量を少なくしてタイミングチェーンの駆動損失が発生するのを防止することができるが、現実的にはオイルの過補給時のオイルの戻し性能を確保する必要があるために、オイル落とし穴の開口面積を大きくせざるを得ない。
このため、エンジンの低回転域から中回転域までに動弁室に供給されたオイルの戻し量が多くなってしまうため、タイミングチェーンに大きなフリクションが加わってしまい、タイミングチェーンの駆動損失が発生してしまうのである。そして、タイミングチェーンの駆動損失が発生してしまうと、燃費が悪化する等のおそれがある。
本発明は、上述のような従来の問題を解決するためになされたもので、タイミングチェーンに供給されるオイルによってタイミングチェーンの駆動損失が大きくなるのを防止することができるとともに、オイル戻し量を十分に確保することができる内燃機関のオイル供給構造を提供することを目的とする。
本発明に係る内燃機関のオイル供給構造は、上記目的達成のため、(1)シリンダブロックの上部に締結され、内部に動弁室を有するシリンダヘッドを有し、前記動弁室から前記シリンダヘッドの側面に設けられたタイミングチェーンにオイルを供給するオイル落とし穴が前記シリンダヘッドの側壁に形成された内燃機関のオイル供給構造において、前記オイル落とし穴が、前記動弁室に連通し、前記シリンダヘッドの高さ方向で異なる開口形状を有するものから構成されている。
この構成により、内燃機関の低・中回転域等のように動弁室に供給されるオイルの量が比較的少ないときには、落とし穴の全面からではなく、下方に開口するオイル落とし穴からオイルをタイミングチェーンに供給することができる。したがって、必要量以上のオイルがタイミングチェーンに供給されるのを防止して、タイミングチェーンの駆動損失が大きくなるのを防止することができる。この結果、燃費が悪化するのを防止することができる。
また、内燃機関の高回転域等のように動弁室に供給されるオイルの量が多いときには、オイル落とし穴の全面からオイルを戻すことができるので、タイミングチェーンを潤滑しながら多量のオイルをオイル戻し穴から戻すことができ、オイルの戻し性能を確保することができる。
このため、動弁室内に過補給されるオイルによって動弁室内にオイルが過渡に充填されてしまうのを防止することができ、例えば、シリンダヘッドと吸気通路を連通するPCV通路のシリンダヘッド側の開口端をオイルの液面が超えてしまい、PCV通路にオイルが吹き出してしまうのを防止すること等ができる。
上記(1)に記載の内燃機関のオイル供給構造において、(2)前記落とし穴は、少なくとも2つ以上の開口部から構成され、前記開口部が前記シリンダヘッドの高さ方向で異なる位置に形成されるものから構成されている。
この構成により、内燃機関の低・中回転域に動弁室に供給されるオイルの量が比較的少ないときには、落とし穴の全面からではなく、下方に位置する開口部からオイルをタイミングチェーンに供給することができる。したがって、必要量以上のオイルがタイミングチェーンに供給されるのを防止して、タイミングチェーンの駆動損失が大きくなるのを防止することができる。
また、内燃機関の高回転域に動弁室に供給されるオイルの量が多いときには、全ての開口部からオイルを戻すことができるので、タイミングチェーンを潤滑しながら多量のオイルをオイル戻し穴から戻すことができ、オイルの戻し性能を確保することができる。
上記(2)に記載の内燃機関のオイル供給構造において、(3)前記開口部のうち、上方に位置する開口部が、前記タイミングチェーンの直上に位置するものから構成されている。
この構成により、内燃機関の高回転域において、タイミングチェーンに多量のオイルを供給してタイミングチェーンを潤滑する必要がある場合には、上方に位置する開口部からもタイミングチェーンにオイルが供給されることになるが、この開口部がタイミングチェーンの直上に位置しているので、タイミングチェーンに効率良くオイルを供給してタイミングチェーンを潤滑することができる。
上記(1)に記載の内燃機関のオイル供給構造において、(4)前記開口部が単一の開口部から構成され、前記開口部が、前記シリンダヘッドの高さ方向において上方の開口面積に対して下方の開口面積が小さく形成されるものから構成されている。
この構成により、内燃機関の低・中回転域に動弁室に供給されるオイルの量が比較的少ないときには、落とし穴の全面からではなく、開口面積の小さい下方の開口からオイルをタイミングチェーンに供給することができる。したがって、必要量以上のオイルがタイミングチェーンに供給されるのを防止して、タイミングチェーンの駆動損失が大きくなるのを防止することができる。
また、内燃機関の高回転域に動弁室に供給されるオイルの量が多いときには、開口部の全面からオイルを戻すことができるので、タイミングチェーンを潤滑しながら多量のオイルをオイル戻し穴から戻すことができ、オイルの戻し性能を確保することができる。
本発明によれば、タイミングチェーンに供給されるオイルによってタイミングチェーンの駆動損失が大きくなるのを防止することができるとともに、オイル戻し量を十分に確保することができる内燃機関のオイル供給構造を提供することができる。
以下、本発明に係る内燃機関のオイル供給構造の実施の形態について、図面を用いて説明する。
(第1の実施の形態)
図1〜図5は、本発明に係る内燃機関のオイル供給構造の第1の実施の形態を示す図である。
まず、構成を説明する。
図1、図2において、内燃機関としてのエンジン1は、シリンダブロック2と、シリンダブロック2の上部に締結されるシリンダヘッド3と、シリンダヘッド3の下部に締結されるクランクケース4と、クランクケース4の下部に締結されるオイルパン5とを備えている。
シリンダヘッド3の上部にはカムハウジング6が締結されており、図4に示すように、このカムハウジング6には吸気カム7aを有する吸気カムシャフト7および排気カム8aを有する排気カムシャフト8が回転自在に支持されている。
また、図3に示すように、シリンダヘッド3の内部には動弁室9が設けられており、この動弁室9には後述するように吸気カムシャフト7および排気カムシャフト8を潤滑したオイルが落下するようになっている。なお、シリンダヘッド3の動弁室9の底面9aは平面状になっている。
また、図3に示すように、カムハウジング6にはシリンダヘッドカバーガスケット10を介してシリンダヘッドカバー11が締結されており、シリンダヘッド3は、シリンダヘッドガスケット12を介してシリンダブロック2に締結されている。
また、カムハウジング6およびシリンダヘッドカバー11の内部にはシャワーパイプ13(図4参照)が設けられており、このシャワーパイプ13は吸気カムシャフト7および排気カムシャフト8にオイルを滴下するようになっている。
また、シリンダブロック2には図示しないシリンダボアが形成されており、このシリンダボアには、ピストン14(図4参照)が摺動自在に設けられている。また、シリンダヘッド3には図示しない吸気通路に連通する吸気ポートおよび図示しない排気通路に連通する排気ポートが設けられており、シリンダヘッド3には、吸気ポートを開閉して吸気管とシリンダボアとを連通・遮断する吸気弁15が設けられているとともに排気ポートを開閉して排気管とシリンダボアとを連通・遮断する排気弁16が設けられている(図4参照)。
また、吸気弁15と吸気カムシャフト7の間にはロッカーアーム32が介装されており、ロッカーアーム32は、吸気カムシャフト7の回転に伴って揺動することにより、吸気弁15を開閉するようになっている。
また、排気弁16と排気カムシャフト8の間にも図示しないロッカーアームが介装されており、ロッカーアームは、排気カムシャフト8の回転に伴って揺動することにより、排気弁16を開閉するようになっている。
また、クランクケース4には、クランクシャフト17が配置されており、クランクシャフト17と吸気カムシャフト7および排気カムシャフト8との間にはカムシャフト駆動機構18が介装され、クランクシャフト17の回転がカムシャフト駆動機構18を介して、吸気カムシャフト7および排気カムシャフト8に伝達されることによって、吸気カムシャフト7および排気カムシャフト8が回転駆動されるようになっている。
カムシャフト駆動機構18は、クランクシャフト17の軸方向一端部に連結されたクランクスプロケット19と、シリンダヘッド3の吸気カムシャフト7の軸方向一端部に連結された吸気カムスプロケット20と、シリンダヘッド3の排気カムシャフト8の軸方向一端部に連結された排気カムスプロケット21と、クランクスプロケット19、吸気カムスプロケット20および排気カムスプロケット21に巻回され、クランクスプロケット19の駆動回転により吸気カムスプロケット20および排気カムスプロケット21を従動回転させるタイミングチェーン22とを備えている。
このタイミングチェーン22は、シリンダブロック2、クランクケース4およびシリンダヘッド3の前面(側面)に設置されている。本実施の形態では、カムシャフト駆動機構18が設けられている側が自動車の前面側に位置している。
このカムシャフト駆動機構18は、吸気カムシャフト7および排気カムシャフト8がシリンダブロック2の上部のシリンダヘッド3に、クランクシャフト17がシリンダブロック2下部のクランクケース4にそれぞれ配置されている関係上、クランクスプロケット19と吸気カムスプロケット20および排気カムスプロケット21との間には大きな高低差が存在している。
また、カムシャフト駆動機構18の下方には、クランクシャフト17によってオイルポンプ23を回転駆動するオイルポンプ駆動機構24が設けられている。オイルポンプ駆動機構24は、クランクシャフト17のクランクスプロケット19に対してクランクケース4側(図2では右側)に連結されたクランクスプロケット25と、オイルポンプ23の軸方向一端部に連結されたオイルポンプスプロケット26と、クランクスプロケット25およびオイルポンプスプロケット26に巻回され、クランクスプロケット19の駆動回転によりオイルポンプスプロケット26を従動回転させるオイルポンプドライブチェーン27とを備えている。
このカムシャフト駆動機構18およびオイルポンプ駆動機構24は、シリンダヘッド3シリンダブロック2およびクランクケース4の前面側、すなわち、軸方向一端部側において取り付けられたアルミニウム合金製のタイミングチェーンカバー28によって外方から覆われて収容されている。
そして、クランクスプロケット19と排気カムスプロケット21との間には、クランクスプロケット19および排気カムスプロケット21の間に位置するタイミングチェーン22の張架部分においてタイミングチェーン22の張力を調整するチェーンテンショナ装置29が設けられている。
また、吸気カムスプロケット20とクランクスプロケット19との間には、吸気カムスプロケット20およびクランクスプロケット19の間に位置するタイミングチェーン22の張架部分に摺接してガイドするチェーンガイド30が設けられている。この場合、クランクシャフト17の軸方向一端部は、タイミングチェーンカバー28よりも外方に突出しており、クランクシャフト17の軸方向一端部にクランクプーリ31が連結されている。
また、吸気カムシャフト7および排気カムシャフト8の内部には図示しないオイル通路が形成されており、このオイル通路は、吸気カムシャフト7および排気カムシャフト8の軸線方向に沿って延在している。
また、シリンダブロック2およびシリンダヘッド3には上下方向に延在するオイル通路が形成されており、オイルポンプ23によってオイルパン5から汲み上げられたオイルは、シリンダブロック2およびシリンダヘッド3のオイル通路を通って吸気カムシャフト7および排気カムシャフト8のオイル通路に供給されるようになっている。
一方、図5に示すように、シリンダヘッド3の前面の側壁3aにはオイル落とし穴である開口部41および開口部42が設けられており、この開口部41および開口部42は動弁室9に連通し、動弁室9に落下したオイルを動弁室9から排出してタイミングチェーン22に供給するとともに、シリンダブロック2およびクランクケース4とタイミングチェーンカバー28との間の空間を通してオイルパン5に戻すようになっている。
図2に示すように、動弁室9の底面9aは、第1の底面9bと第2の底面9cとから構成されており、第2の底面9cはシリンダヘッド3の前面側に位置し、第1の底面9bよりも低くなっている。
また、開口部41は円形状をしており、第1の底面9bよりも上方に位置している。また、開口部42は開口部41よりも大きい面積の角形状をしており、開口部42の高さ方向中央部は第1の底面9bに位置し、下端は第2の底面9cよりも下方に位置している。また、開口部42よりも上方に位置する開口部41は、タイミングチェーン22の直上に位置している。
また、開口部41および開口部42の総開口面積は、エンジン1の高回転時に、吸気カムシャフト7および排気カムシャフト8を潤滑するために動弁室9にオイルを過補給するときに、オイルが動弁室9に滞留することなくオイルパン5に十分な量を戻すことができるものに設定されている。
また、シリンダヘッド3の上方にはブローバイガス還流通路(以下、PCV通路という)43の一端部が取付けられており、このPCV通路43は、他端部が図示しない吸気マニホールドに取付けられている。このPCV通路43は、公知のようにエンジン1のシリンダとピストン14の隙間から吹き抜けるガスを吸気マニホールドを通してエンジン1に導いて再燃焼させるものである。
次に、作用を説明する。
図4に示すように、オイルパン5に貯留されるオイルは、オイルポンプ23によって矢印で示されるように汲み上げられ、クランクシャフト17、ピストン14、吸気カムシャフト7、排気カムシャフト8等の潤滑対象に供給される。また、吸気カム7a、排気カム8aおよびロッカーアーム32にはシャワーパイプ13を介してオイルが供給される。
また、吸気カムシャフト7、排気カムシャフト8、吸気カム7a、排気カム8aおよびロッカーアーム32に供給されたオイルは動弁室9の底面9aに落下して動弁室9に貯留される。
ここで、エンジン1の回転数が低回転域または中回転域にあっては、動弁室9に供給されるオイルの量が比較的少ないため、動弁室9の底面9aに落下したオイルは、第1の底面9bから第2の底面9cに移動して開口部42から排出される。
開口部42から排出されるオイルは、タイミングチェーン22、チェーンテンショナ装置29およびチェーンガイド30を潤滑した後、オイルパン5に戻される。このとき、動弁室9に供給されるオイル量は比較的少ないため、開口部42のみからオイルを戻した場合であっても、オイルの戻し性能に影響を与えることはない。
また、エンジン1の回転数が高回転域にあっては、動弁室9に供給されるオイルの量が多いため、動弁室9の底面9aに落下したオイルは、第1の底面9bから第2の底面9cに移動して開口部41および開口部42から排出される。
開口部41および開口部42から排出されるオイルは、タイミングチェーン22、チェーンテンショナ装置29およびチェーンガイド30を潤滑した後、オイルパン5に戻される。また、開口部42はタイミングチェーン22の直上に設けられているため、開口部42から排出されるオイルは、タイミングチェーン22に直ちに供給される。
このように本実施の形態では、シリンダヘッド3の側壁に落とし穴として開口面積の異なる開口部41および開口部42を形成し、開口面積の小さい開口部41を開口面積の大きい開口部42よりも上方に設置したので、動弁室9に供給されるオイルの量が比較的少ないときには、下方に位置する開口部42からオイルをタイミングチェーン22に供給することができる。
したがって、必要量以上のオイルがタイミングチェーン22に供給されるのを防止して、タイミングチェーン22の駆動損失が大きくなるのを防止することができる。この結果、燃費が悪化するのを防止することができる。
また、動弁室9に供給されるオイルの量が多いときには、開口部41および開口部42からオイルを戻すことができるので、タイミングチェーン22を潤滑しながら多量のオイルを開口部41および開口部42からオイルパン5に戻すことができ、オイルの戻し性能を確保することができる。
特に、本実施の形態では、開口部41および開口部42の総開口面積を、吸気カムシャフト7および排気カムシャフト8を潤滑するために動弁室9にオイルを過補給するときに、オイルが動弁室9に滞留することなくオイルパン5に十分な量を戻すことができるものに設定されているので、オイルの戻し性能を十分に確保することができる。
このため、動弁室9に過補給されるオイルによって動弁室9内にオイルが過渡に充填されてしまうのを防止することができ、PCV通路43のシリンダヘッド3側の開口端をオイルの液面が超えてしまい、PCV通路43にオイルが吹き出してしまうのを防止すること等ができる。
また、本実施の形態では、上方に位置する開口部42をタイミングチェーン22の直上に位置させたので、オイルの戻し量が多いときにタイミングチェーン22に多量のオイルを供給してタイミングチェーン22を潤滑する必要がある場合には、開口部41からタイミングチェーン22に効率良くオイルを供給してタイミングチェーン22を潤滑することができる。
また、内燃機関の高回転域に動弁室9に供給されるオイルの量が多いときには、開口部41および開口部42からオイルを戻すことができるので、タイミングチェーン22を潤滑しながら多量のオイルを開口部41および開口部42からオイルパン5に戻すことができ、オイルの戻し性能を確保することができる。
このため、動弁室9に過補給されるオイルによって動弁室9内にオイルが過渡に充填されてしまうのを防止することができ、例えば、シリンダヘッド3と吸気通路を連通するPCV通路43のシリンダヘッド側の開口端をオイルの液面が超えてしまい、PCV通路にオイルが吹き出してしまうのを防止すること等ができる。
また、開口部41および開口部42の総開口面積が、エンジン1の高回転時に、吸気カムシャフト7および排気カムシャフト8を潤滑するために動弁室9にオイルを過補給するときに、オイルが動弁室9に滞留することなくオイルパン5に十分な量を戻すことができるものに設定されているので、エンジン1の高回転時にオイルの戻し性能を十分に確保することができる。
(第2の実施の形態)
図6は、本発明に係る内燃機関のオイル供給構造の第2の実施の形態を示す図であり、第1の実施の形態と同一の構成には同一の番号を付して説明を省略する。
図6において、シリンダヘッド3の側壁3aにはオイル落とし穴である逆三角形状の開口部51が形成されており、この開口部51は、シリンダヘッド3の高さ方向で異なる開口面積、すなわち、開口形状となっている。
すなわち、単一の開口部51は、上部開口部51aと下部開口部51bとを備えており、上部開口部51aの開口面積が下部開口部51bの開口面積よりも大きくなっている。すなわち、開口部51は、シリンダヘッド3の高さ方向で異なる開口形状を有している。
また、下部開口部51bの下端は第2の底面9cよりも下方に位置している。なお、上部開口部51aと下部開口部51bは、開口部51の高さ方向中央部を挟んで上方に位置するものを上部開口部51aとし、開口部51の高さ方向中央部を挟んで下方に位置するものを下部開口部51bとする。
なお、開口部51の開口面積は、エンジン1の高回転時に吸気カムシャフト7および排気カムシャフト8を潤滑するために動弁室9にオイルを過補給するときに、オイルが動弁室9に滞留することなくオイルパン5に十分な量を戻すことができるものに設定されている。
本実施の形態では、動弁室9に供給されるオイルの量が比較的少ないときには、底面9aに落下したオイルは、第1の底面9bから第2の底面9cに移動して下部開口部51bから排出される。下部開口部51bから排出されるオイルは、タイミングチェーン22、チェーンテンショナ装置29およびチェーンガイド30を潤滑した後、オイルパン5に戻される。このとき、動弁室9に供給されるオイル量は比較的少ないため、下部開口部51bのみからオイルを戻した場合であっても、オイルの戻し性能に影響を与えることはない。
また、動弁室9に供給されるオイルの量が多いときには、底面9aに落下したオイルは、第1の底面9bから第2の底面9cに移動して上部開口部51aおよび下部開口部51b、すなわち、開口部51の全面から排出される。
開口部51から排出されるオイルは、タイミングチェーン22、チェーンテンショナ装置29およびチェーンガイド30を潤滑した後、オイルパン5に戻される。
このように本実施の形態では、シリンダヘッド3の側壁に落とし穴として単一の開口部51を形成し、シリンダヘッド3の高さ方向において、上方に位置する上部開口部51aの開口面積を上部開口部51aの下方に位置する下部開口部51bを小さく形成したので、動弁室9に供給されるオイルの量が比較的少ないときには、下部開口部51bからオイルをタイミングチェーン22に供給することができる。
したがって、必要量以上のオイルがタイミングチェーン22に供給されるのを防止して、タイミングチェーン22の駆動損失が大きくなるのを防止することができる。この結果、燃費が悪化するのを防止することができる。
また、動弁室9に供給されるオイルの量が多いときには、開口部51の全面からオイルを戻すことができるので、タイミングチェーン22を潤滑しながら多量のオイルを開口部51からオイルパン5に戻すことができ、オイルの戻し性能を確保することができる。
特に、本実施の形態では、開口部51の総開口面積を、吸気カムシャフト7および排気カムシャフト8を潤滑するために動弁室9ににオイルを過補給するときに、オイルが動弁室9に滞留することなくオイルパン5に十分な量を戻すことができるものに設定したので、オイルの戻し性能を十分に確保することができる。
なお、第1の実施の形態では、シリンダヘッド3の異なる高さに形成される2つの開口部41および開口部42を設け、第2の実施の形態では、シリンダヘッド3の高さ方向において、上方の開口面積に対して下方の開口面積が小さい逆三角形の単一の開口部51を設けているが、開口部は3つ以上であってもよい。
また、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であってこの実施の形態に制限されるものではない。本発明の範囲は上記した実施の形態のみの説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
以上のように、本発明に係る内燃機関のオイル供給構造は、タイミングチェーンに供給されるオイルによってタイミングチェーンの駆動損失が大きくなるのを防止することができるとともに、オイル戻し量を十分に確保することができるという効果を有し、シリンダヘッドの動弁室からタイミングチェーンにオイルを供給するためのオイル落とし穴を有する内燃機関のオイル供給構造等として有用である。
本発明に係る内燃機関のオイル供給構造の第1の実施の形態を示す図であり、内燃機関の分解図である。 本発明に係る内燃機関のオイル供給構造の第1の実施の形態を示す図であり、タイミングチェーン近傍の内燃機関の断面図である。 本発明に係る内燃機関のオイル供給構造の第1の実施の形態を示す図であり、シリンダヘッドガスケット、シリンダヘッド、カムハウジング、シリンダヘッドカバーガスケットおよびシリンダヘッドカバーの分解図である。 本発明に係る内燃機関のオイル供給構造の第1の実施の形態を示す図であり、オイルの潤滑経路を示す図である。 本発明に係る内燃機関のオイル供給構造の第1の実施の形態を示す図であり、タイミングチェーンとシリンダヘッドを内燃機関の前方側から見た正面図である。 本発明に係る内燃機関のオイル供給構造の第2の実施の形態を示す図であり、タイミングチェーンとシリンダヘッドを内燃機関の前方側から見た正面図である。
符号の説明
1 エンジン(内燃機関)
2 シリンダブロック
3 シリンダヘッド
3a 側壁
9 動弁室
22 タイミングチェーン
41 開口部(オイル落とし穴)
42 開口部(オイル落とし穴)
43 PCV通路
51 開口部(オイル落とし穴)

Claims (4)

  1. シリンダブロックの上部に締結され、内部に動弁室を有するシリンダヘッドを有し、前記動弁室から前記シリンダヘッドの側面に設けられたタイミングチェーンにオイルを供給するオイル落とし穴が前記シリンダヘッドの側壁に形成された内燃機関のオイル供給構造において、
    前記オイル落とし穴が、前記動弁室に連通し、前記シリンダヘッドの高さ方向で異なる開口形状を有することを特徴とする内燃機関のオイル供給構造。
  2. 前記落とし穴は、少なくとも2つ以上の開口部から構成され、前記開口部が前記シリンダヘッドの高さ方向で異なる位置に形成されることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のオイル供給構造。
  3. 前記開口部のうち、上方に位置する開口部が、前記タイミングチェーンの直上に位置することを特徴とする請求項2に記載の内燃機関のオイル供給構造。
  4. 前記開口部が単一の開口部から構成され、前記開口部が、前記シリンダヘッドの高さ方向において上方の開口面積に対して下方の開口面積が小さく形成されることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のオイル供給構造。
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