JP4011306B2 - Ohcエンジン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、単一の動弁カムによって吸気バルブと排気バルブを開閉駆動するOHCエンジンに適用して有効な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、OHC(頭上カム軸)型の汎用エンジンでは、動弁カムはシリンダヘッド側に配設され、チェーンやコグベルト等によりクランクシャフトと同期して駆動される。動弁カムには、ロッカーシャフトを中心に揺動自在に設けられたロッカーアームのスリッパが摺接しており、動弁カムの回転に伴ってロッカーアームが揺動して吸気バルブと排気バルブの開閉が行われる。
【0003】
たとえば、特開平8−177416号公報には、このような動弁機構を採用したエンジンが記載されている。そこでは単一のカムシャフトにより吸、排気バルブが駆動され、カムシャフトと両バルブの間には、カムシャフトを挟んで対称的にカムフォロアが配置される。
【0004】
一方、汎用エンジンでは、装置軽量化のため、ロッカーアームを板金製としたものも検討されている。前述の公報のエンジンにおいても、図示されている形状からカムフォロアは板金製と考えられる。そこで、本発明者らも、板金製ロッカーアームについて種々検討を行い、これによりエンジン軽量化の面で一定の成果をあげることができた。また、板金製ロッカーアームを用いることにより、動弁カムのカム面と吸気、排気両バルブがカムの軸方向にオフセットしているエンジンにおいて、軸方向の長さの短いコンパクトな動弁系を実現することができた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、板金製ロッカーアームを採用した場合、カム面とバルブ位置とが離れているものではロッカーアームが三次元的な形状となり、加工に際し曲げや絞りなど複雑な工程が必要となる。この場合、板金製ロッカーアームを簡単な形状にしようとすると、前述の公報のように、各バルブ用のロッカーアームを2本のシャフトを用いて個別に支持するなどの工夫が必要となり、部品点数やサイズの点で不利になるという問題があった。
【0006】
また、板金製のものと従来の鍛造製や鋳造製のものとを比較すると、耐久性の点では後者の方が優れており、過酷な使用環境が予測される場合には、鍛造製あるいは鋳造製のものが望まれる。ところが、耐久信頼性向上を図るべく、鍛造製や鋳造製のロッカーアームを適用しようとすると、前述のようなカムとバルブがオフセットしたエンジンでは、板金製の場合のように動弁系をコンパクトにまとめることが困難となるという問題が生じる。
【0007】
このように、本発明者らの検討によれば、コストや耐久信頼性の面から板金製ロッカーアームの採用には一定の制約が存在する一方、それを鍛造製や鋳造製に単純に置き換えると、板金製のようなコンパクト化は難しいことが分かった。そこで、コストや耐久信頼性の要求とコンパクト化の要求とを共に満足し得る動弁構造の開発が望まれるに至った。
【0008】
本発明の目的は、製造が容易で耐久信頼性が高く、しかもコンパクトな動弁構造を達成し得るようにすることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のOHCエンジンは、エンジンの動弁室内に配設される単一のロッカーシャフトと、該ロッカーシャフトを挟んで配設される吸気、排気の両バルブと、カムシャフト上であって、前記吸気、排気の両バルブに対して一側にオフセットして配設される動弁カムと、前記ロッカーシャフトに軸支され、前記動弁カムと前記吸気、排気の両バルブとの間にそれぞれ介設されるロッカーアームとを備えるOHCエンジンであって、前記吸気、排気の両バルブは、前記ロッカーシャフトの軸方向に互いにオフセットして配設され、前記ロッカーアームは、前記ロッカーシャフトに軸支される1つの回転支持部を有し、前記吸気、排気の両バルブのうち前記動弁カムに近い位置にあるバルブを駆動する第1のロッカーアームと、該第1のロッカーアームの回転支持部の両側において前記ロッカーシャフトに軸支される2つの回転支持部を有し、前記吸気、排気の両バルブのうち前記動弁カムから遠い位置にあるバルブを駆動する第2のロッカーアームから構成されることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、1つの回転支持部を有し動弁カムに近い位置にあるバルブを駆動するするロッカーアームと、2つの回転支持部を有し動弁カムから遠い位置にあるバルブを駆動するロッカーアームとの2つのロッカーアームを立体交差させ、一方が他方を跨ぐ形としたので、吸気側と排気側の2個のロッカーアームをレイアウト効率良く配設することができ、カムシャフト軸方向長さの短いコンパクトな動弁構造を実現することが可能となる。従って、動弁カムと吸気バルブと、排気バルブがオフセットした形態のエンジンにおいて、板金製ロッカーアームのコンパクト性を維持しつつ、それに代えて鍛造製若しくは鋳造製のロッカーアームを使用することが可能となる。
【0011】
また、前記ロッカーアームを鋳造または鍛造によって形成しても良く、これにより、耐久信頼性が向上すると共に、板金製ロッカーアームに比して加工工程を簡略化でき、製造コストの低減を図ることが可能となる。
【0012】
さらに、前記ロッカーアームにおいて、前記動弁カムのカム面と摺接するスリッパに、前記動弁カムの軸方向に沿って前記カム面端部を越えて延在する非接触部を設けても良い。これにより、ロッカーアームが傾いた場合でも、スリッパの一端部のみが片当たりし、その部分のカム面が摩耗するという事態を防止でき、装置の耐久信頼性向上を図ることが可能となる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の一実施の形態であるロッカーアームを使用したOHCエンジンの構成を示す説明図、図2は図1のエンジンにおけるシリンダ軸線方向の断面図である。
【0014】
図1のエンジンは、単気筒4サイクルガソリンエンジンであり、シリンダ軸線CLが天地方向に対し角度θだけ傾斜したいわゆる傾斜型のOHCエンジンとなっている。当該エンジンでは、エンジン本体1は、シリンダブロック2の下側にクランクケース3を一体に成形した構成となっており、鉄や、アルミニウム合金等の軽合金によって形成される。シリンダブロック2の上側には、アルミニウム合金等のシリンダヘッド4が取り付けられている。また、シリンダヘッド4の上側には、板金製若しくは合成樹脂製のロッカーカバー5が載置されている。
【0015】
クランクケース3は、その図1において右側の側面が大きく開口しており、メインベアリングケース取付面6となっている。メインベアリングケース取付面6には、アルミニウム合金等のメインベアリングケース7が取り付けられる。そしてこれにより、クランクケース3内にクランク室8が形成されると共に、その下部に潤滑オイル(以下、オイルと略記する)9が貯留されるオイルパン10が形成される。
【0016】
ベアリングケース7には、メインベアリング11aが圧入固定され、クランクシャフト12の一端側がそこで支持される。また、メインベアリング11aの外側にはオイルシール13aが圧入固定されている。
【0017】
クランクケース3のメインベアリングケース取付面6と反対側の壁面14には、メインベアリング11bが圧入固定されている。そして、このメインベアリング11bによってクランクシャフト12の他端側が支持される。また、メインベアリング11bの外側にもオイルシール13bが配されており、両オイルシール13a,13bにより、オイルパン10に貯留されたオイル9がクランクシャフト12部分からクランクケース3外に漏出しないようになっている。
【0018】
壁面14からクランクケース3の外部に延伸したクランクシャフト12の端部には、フライホイール15および冷却ファン16が取り付けられている。この冷却ファン16は、クランクケース3の外側、筐体57の内側に配置され、クランクシャフト12と共に回転して筐体57外部から冷却風を導入する。そして、この導入した冷却風によりエンジン本体1やシリンダヘッド4等の冷却を行う。さらに、筐体57の外側には、リコイル装置17が配設されており、リコイルレバーを手動にて引っ張ることによりクランクシャフト12が回転され、エンジンが始動するようになっている。
【0019】
シリンダブロック2の内部にはシリンダボア18が形成されている。シリンダボア18内には、ピストン19が摺動自在に嵌合されている。シリンダボア18の上端側はシリンダヘッド4によって閉塞されており、ピストン19の頂面とシリンダヘッド4の底壁面20とにより燃焼室21が形成されている。なお、燃焼室21の上部には、吸気バルブ22や排気バルブ23、点火プラグ等が臨まされている。
【0020】
ピストン19には、ピストンピンを介してコンロッド24の小端部25が回転自在に連結されている。また、コンロッド24の大端部26には、クランクシャフト12のクランクピン27が回転自在に連結されている。そしてこれにより、ピストン19の上下動に伴って、クランクシャフト12が回転する。
【0021】
一方、シリンダヘッド4内には、シリンダ軸線CL上に、クランクシャフト12と平行にカムシャフト28が配設されている。カムシャフト28は、動弁カム29とスプロケット31とが一体に形成した構成となっている。そして、調時動弁系30により、動弁カム29はクランクシャフト12と同期して駆動される。
【0022】
これに対しクランクシャフト12には、スプロケット32が固着されている。また、シリンダブロック2とシリンダヘッド4には、チェーン室50,51が形成されており、両スプロケット31,32の間は、これらのチェーン室50,51内に配設されたチェーン33にて連結されている。そして、これらのスプロケット31,32およびチェーン33により調時動弁系30が形成される。なお、スプロケット31の歯数は、スプロケット32の歯数の2倍となっており、クランクシャフト12が2回転すると動弁カム29が1回転するようになっている。また、チェーン33は、チェーンテンショナ55によって適宜張力が付与されている。
【0023】
動弁カム29と吸気、排気の両バルブ22,23との間には、吸気側ロッカーアーム34aと排気側ロッカーアーム34bがそれぞれ配設されている。図3〜図5はロッカーアーム34a,34bの配設状態を示す説明図であり、図3はシリンダヘッド4上方からロッカーアーム34a,34bを見た場合、図4は図3の矢示A方向から見た場合、図5は図3の矢示B方向から見た場合をそれぞれ示している。また、図6はロッカーアーム34a,34bの構成を示す斜視図である。
【0024】
図3〜6に示すように、ロッカーアーム34a,34bは、ロッカーサポート59に支持されたロッカーシャフト36を中心として揺動自在に取り付けられている。本実施の形態では、ロッカーアーム34a,34bには、鍛造にて形成された鉄製の部材が使用されており、図3に良く示されているように、ロッカーアーム34aがロッカーアーム34bを跨ぐ形で配設されている。
【0025】
ロッカーアーム34a,34bの一端側にはそれぞれ、動弁カム29のカム面29aに摺接するスリッパ35a,35bが形成されている。また、スリッパ35a,35bとは反対端側には、吸気バルブ22や排気バルブ23と当接する調整ねじ56が取り付けられるねじ孔64a,64bが形成されている。
【0026】
さらに、ロッカーアーム34a,34bの中央部には回転支持部61a,61bが設けられており、そこにはロッカーシャフト36が挿通されるシャフト孔62a,62bが形成されている。本実施の形態では、ロッカーアーム34aには回転支持部61aが2個設けられており、それぞれにシャフト孔62aが形成されている。これは、動弁カム29から遠い位置にあるバルブを駆動するロッカーアーム34aに安定した揺動動作を行わせるためであり、そのためスリッパ35a近傍に回転支持部61a1が、また、吸気バルブ22近傍に回転支持部61a2が設けられている。そして、ロッカーアーム34aには、両回転支持部61a1,61a2を接続すべく連結部63が設けられ、この連結部63によって二股形状のロッカーアームが形成される。
【0027】
図3に示すように、ロッカーアーム34bの回転支持部61bは、2個あるロッカーサポート59の内側に挟み込まれるように取り付けられる。また、ロッカーアーム34aの回転支持部61aは、ロッカーサポート59の外側にロッカーサポート59を挟み込むように取り付けられる。そして、シャフト孔62a,62bには、図1,3に示すように、ロッカーシャフト36が挿通される。これにより、両ロッカーアーム34a,34bは、ロッカーシャフト36に揺動自在かつガタなく支持されてシリンダヘッド4上部に取り付けられる。
【0028】
ここで、当該エンジンでは、前述のようにロッカーアーム34aがロッカーアーム34bを跨ぐ形で配設される。この場合、ロッカーアーム34bは、図3に示すように、その一端が回転支持部61bの図中右側にて排気バルブ23と当接される。一方、他端側は回転支持部61bの左側紙面奥方向に延び、その先のスリッパ35aにて動弁カム29と接触する。これに対し、ロッカーアーム34aは、下側の回転支持部61a2の図中左側にて吸気バルブ22と当接される。また、その一端が回転支持部61a1の右側紙面奥方向に延び、その先のスリッパ35bにて動弁カム29と接触する。そして、両回転支持部61a1,61a2を接続する連結部63がロッカーアーム34bを跨ぐ形で配設される。
【0029】
このように本発明においては、ロッカーアーム34a,34bを立体交差させ、一方が他方を跨ぐ形で配設したので、カムシャフト軸方向長さの短いコンパクトな動弁構造を実現することができる。特に、動弁カム29と吸、排気バルブ22,23がオフセットした形態のエンジンにおいても、鍛造製若しくは鋳造製のロッカーアームを使用しつつ、板金製ロッカーアームと同様に動弁系をコンパクト化することが可能となる。また、両ロッカーアーム34a,34bの形状も、鍛造、鋳造の障害となるような複雑形状とならないため、板金製のものに比して製造コストの低減を図ることが可能となる。従って、鍛造若しくは鋳造製ロッカーアームを使用しながら、動弁系のレイアウトをコンパクトにまとめることができ、耐久信頼性が向上すると共に、シリンダヘッドの小型化を図ることが可能となる。
【0030】
一方、動弁カム29のカム面29aには、前述のようにスリッパ35a,35bが摺接している。図7は、図5のX−X線に沿った断面図であり、スリッパ35a,35bとカム面29aとの位置関係を示している。本実施の形態においては、図7に示すように、スリッパ35a,35bはカム面29aに対して軸方向にオフセットされた位置に配されており、その一部が軸方向に沿ってカム面29aを越えて延在する形となっている。すなわち、スリッパ35a,35bは、図7に一点鎖線Pにて示した位置まで共に延在し、カム面29aの端部Qを越えた部分(P−Q間)に、カム面29aと接触しない非接触部65が形成されている。これは換言すると、カム面29aにはスリッパ35a,35bの一方の端部E1のみが摺接し、非接触部65側の端部E2はカム面29aには当接していないことになる。
【0031】
従来、このスリッパ35a,35bの摺接面はその全長においてカム面29aと摺接しており、その両端部がカム面29aに当接していた。しかしながら、このようにスリッパ両端部がカム面に当たると、ロッカーアーム34a,34bが図5においてY方向に傾くと、スリッパ35a,35bのバルブ側端部E2のみが片当たりし、カム面29aが偏摩耗するという問題が生じる。これに対し当該ロッカーアーム34a,34bでは、端部E2がカム面29a外にあるため、かかる場合であってもエッジ当たりによりカム面29aが損傷を受けることはない。従って、カム面29aの摩耗が防止され、装置が長寿命化し耐久信頼性の向上を図ることが可能となる。
【0032】
また、ロッカーアーム34a,34bの他端側は、吸気バルブ22や排気バルブ23の先端部と調整ねじ56を介して当接されている。ロッカーアーム34a,34bの端部にはねじ孔64a,64bが形成されており、図4に示すように、そこに調整ねじ56がねじ込まれる。調整ねじ56は、その下端部が吸気バルブ22や排気バルブ23の上端部と当接するように調整され、ロックナット66にてロッカーアーム34a,34bに固定される。一方、吸気バルブ22や排気バルブ23は、バルブスプリング37により閉弁方向に付勢されており、調整ねじ56も上方へ押圧される。これにより、ロッカーアーム34a,34bはロッカーシャフト36を中心に回転方向の力を受け、スリッパ35a,35bが動弁カム29に押し付けられる。
【0033】
そして、動弁カム29が回転しカム面29aによりロッカーアーム34a,34bが揺動すると、調整ねじ56が吸気バルブ22や排気バルブ23を押し下げ、バルブが開けられる。一方、カム面29aを通過すると、吸気バルブ22や排気バルブ23はバルブスプリング37によって閉じられる。また、それと共に調整ねじ56も押し上げられ、ロッカーアーム34a,34bが揺動する。すなわち、動弁カム29の回転に伴ってロッカーアーム34a,34bが揺動し、これにより、吸気バルブ22および排気バルブ23の開閉が行われる。
【0034】
一方、調時動弁系30は、コンロッド24の大端部26に設けられたスクレーパ38によって潤滑される。スクレーパ38は、図2に示すように、大端部26の下側部材39から下方、すなわち、クランクシャフト12の径方向に延伸形成され、図2に一点鎖線にて示すような軌跡を描きつつ、クランクシャフト12の回転に伴って揺動運動する。そしてこれにより、オイルパン10に溜まったオイル9が掻き上げられ、スクレーパ38が油面40から出る際にオイル9がチェーン33に跳ねかけられ、調時動弁系30の潤滑が行われる。
【0035】
スクレーパ38は、略L字形の断面を有しており、底壁41と、底壁41の一端側に底壁41と一体に立設された側壁42とから構成されている。なお、本実施の形態では、底壁41と側壁42との間の角度αは90°に形成されているが、両者の角度は直角には限定されず、60°〜90°程度の間で適宜選択し得る。
【0036】
このようなスクレーパ38の揺動運動に伴い、底壁41によってオイル9が掻き上げられると共に、底壁41によって掻き上げられたオイル9が、側壁42に案内されて側壁42とは反対側に跳ね上げられる。すなわち、スクレーパ38の側方にもオイル9の飛沫が3次元的に斜めに跳ね上げられ、チェーンテンショナ55の根本部分近傍方向へ飛ばされる。また、その一部はクランクケース3の内壁に当たってチェーン33方向に跳ね返る。従って、スクレーパ38に対し、メインベアリングケース7側にオフセットして配置されたチェーン33にオイル9の飛沫をかけることができ、チェーン33にオイル9を確実に供給できる。
【0037】
このようにしてチェーン33に跳ねかけられたオイル9は、チェーン33の移動と共にシリンダヘッド4側に運ばれ、スプロケット31の潤滑も行われる。また、スプロケット32もチェーン33に付着したオイル9によって潤滑される。
【0038】
ところで、チェーン33に付着したオイル9は、その一部がシリンダヘッド4側にて遠心力によって振り飛ばされる。すなわち、チェーン33がスプロケット31に巻き付く際に、その一部がスプロケット31の円周方向に飛ばされチェーン33から分離する。当該エンジンでは、スプロケット31の上方にはロッカーカバー5が配設されており、オイル9の飛沫はロッカーカバー5の天井面53に当たる。そして、天井面53に付着したオイル9は、天井面53に沿って下方に流れ、チェーン室51,50を伝ってオイルパン10に戻される。
【0039】
また、ロッカーカバー5の天井面53の一部には、図1に示すように、凸部54が形成されており、天井面53に付着したオイル9がこの凸部54から滴下するようにもなっている。この凸部54は、動弁カム29とスリッパ35a,35bとの摺接部の上方に位置しており、ここから滴下するオイル9によって前記摺接部が潤滑されるようになっている。
【0040】
シリンダヘッド4の内部にはさらに、チェーン室51とは別に気液分離室43が設けられている。また、ロッカーカバー5内には、この気液分離室43とリードバルブ44を介して連通した気液分離室45が形成されている。さらに、気液分離室45は、ブローバイ通路46を介してエアクリーナ47に接続されている。なお、エアクリーナ47は、気化器48を介してシリンダヘッド4内の吸気ポート49に接続されている。
【0041】
これらの気液分離室43,45は、クランク室8内に貯留されるブローバイガスをエアクリーナ47に還流させる際に、ブローバイガスに含まれるオイル9のミスト分を分離させるためのものである。当該エンジンでは、気液分離室43は、シリンダボア18とは別に形成されたチェーン室50に開口している。すなわち、シリンダブロック2のチェーン室50上端部には、ガス導入口52が設けられており、チェーン室50に流入したブローバイガスは、ガス導入口52を介して気液分離室43内に流入する。そして、気液分離室43内を流通することにより、その中のオイルミスト分が気液分離室43の壁面に付着し、ブローバイガスとオイルミストの分離が行われる。この際、気液分離室43内にて分離されたオイル分は、気液分離室43およびチェーン室50の壁面を伝ってオイルパン10に戻される。
【0042】
また、リードバルブ44を経てロッカーカバー5内に流入したブローバイガスは、さらに、気液分離室45内にてオイルミスト分の分離が行われる。つまり、気液分離室45に入ったブローバイガス中のオイルミスト分が、気液分離室45の壁面に付着し、さらに気液分離が行われる。なお、ロッカーカバー5の下面側には、図示しないオイルリターン孔が設けられており、気液分離室45の壁面に付着したオイル分は、そこからチェーン室51,50に流出し、チェーン室51,50の壁面を伝ってオイルパン10に戻される。
【0043】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0044】
たとえば、前述の実施の形態では鍛造製のロッカーアームを使用した例を示したが、鋳造製のロッカーアームを使用することも可能である。その場合、スリッパのカム接触面に耐摩耗性のチップを取り付けたり、埋め込んだりしても良く、これにより、装置の耐久信頼性の向上が図られる。また、前述の例では、吸気側ロッカーアーム34aを二股に形成し、排気側ロッカーアーム34bを跨ぐ形としたが、これとは逆にロッカーアーム34bを二股に形成し、ロッカーアーム34aを跨ぐ形としても良い。
【0045】
一方、前述の実施の形態では、傾斜型エンジンに本発明を適用したものを示したが、シリンダ軸線が天地方向に沿って配置された通常のエンジンに本発明を適用することも勿論可能である。また、単気筒の空冷エンジンを例として示したが、本発明を多気筒の空冷エンジンや、単気筒または多気筒の水冷エンジンに適用することも可能である。
【0046】
さらに、調時動弁系30をスプロケット31,32とチェーン33にて構成した例を示したが、これをコグプーリとコグベルトやタイミングプーリとタイミングベルトなど、他の公知の調時動弁系を適用することも可能である。なお、本発明において「回転」とは正逆両方向の円運動を含む概念であり、一方向の円運動のみを意味するものではない。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、単一の動弁カムによって吸気バルブと排気バルブを駆動するOHCエンジンにおいて、吸気側、排気側のロッカーアームを互いに立体的に交差させて配設するようにしたので、2個のロッカーアームをレイアウト効率良く配設することができ、カムシャフト軸方向長さの短いコンパクトな動弁構造を実現することが可能となる。従って、たとえば動弁カムと吸、排気バルブがオフセットした形態のエンジンにおいても、板金製ロッカーアームのコンパクト性を維持しつつ、それに代えて鍛造製若しくは鋳造製のロッカーアームを使用することが可能となる。
【0048】
また、ロッカーアームを鋳造または鍛造によって形成することにより、耐久信頼性が向上すると共に、板金製ロッカーアームに比して加工工程を簡略化でき、製造コストの低減を図ることが可能となる。
【0049】
さらに、ロッカーアームのスリッパに、動弁カムの軸方向に沿ってカム面を越えて延びる非接触部を設けることにより、スリッパのエッジが片当たりするのを防止できる。従って、ロッカーアームが傾いた場合であっても、片当たり部分のカム面が大きく摩耗するという事態を防止でき、装置の耐久信頼性向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態であるロッカーアームを使用したOHCエンジンの構成を示す説明図である。
【図2】図1のエンジンにおけるシリンダ軸線方向の断面図である。
【図3】図1のエンジンにおけるロッカーアームの配設状態を示す説明図であり、シリンダヘッド上方から見たロッカーアームを示している。
【図4】図1のエンジンにおけるロッカーアームの配設状態を示す説明図であり、図3の矢示A方向から見たロッカアームを示している。
【図5】図1のエンジンにおけるロッカーアームの配設状態を示す説明図であり、図3の矢示B方向から見たロッカアームを示している。
【図6】ロッカーアームの構成を示す斜視図である。
【図7】図5のX−X線に沿った断面図であり、スリッパとカム面との位置関係を示している。
【符号の説明】
22 吸気バルブ
23 排気バルブ
29 動弁カム
29a カム面
34a 吸気側ロッカーアーム
34b 排気側ロッカーアーム
35a,35b スリッパ
65 非接触部
Claims (4)
- エンジンの動弁室内に配設される単一のロッカーシャフトと、該ロッカーシャフトを挟んで配設される吸気、排気の両バルブと、カムシャフト上であって、前記吸気、排気の両バルブに対して一側にオフセットして配設される動弁カムと、前記ロッカーシャフトに軸支され、前記動弁カムと前記吸気、排気の両バルブとの間にそれぞれ介設されるロッカーアームとを備えるOHCエンジンであって、
前記吸気、排気の両バルブは、前記ロッカーシャフトの軸方向に互いにオフセットして配設され、
前記ロッカーアームは、前記ロッカーシャフトに軸支される1つの回転支持部を有し、前記吸気、排気の両バルブのうち前記動弁カムに近い位置にあるバルブを駆動する第1のロッカーアームと、該第1のロッカーアームの回転支持部の両側において前記ロッカーシャフトに軸支される2つの回転支持部を有し、前記吸気、排気の両バルブのうち前記動弁カムから遠い位置にあるバルブを駆動する第2のロッカーアームから構成されることを特徴とするOHCエンジン。 - 請求項1記載のOHCエンジンにおいて、前記ロッカーアームは、鋳造または鍛造によって形成されることを特徴とするOHCエンジン。
- 請求項1または2記載のOHCエンジンにおいて、前記ロッカーシャフトは2つのロッカーサポートにより支持され、前記第1のロッカーアームの回転支持部は前記2つのロッカーサポートに挟み込まれるように前記ロッカーシャフトに取り付けられ、前記第2のロッカーアームの回転支持部は前記2つのロッカーサポートを挟み込むように前記ロッカーシャフトに取り付けられるようにすることを特徴とするOHCエンジン。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のOHCエンジンにおいて、前記ロッカーアームは前記動弁カムのカム面と摺接するスリッパを有し、前記スリッパは、前記動弁カムの軸方向に沿って前記カム面端部を越えて延在する非接触部を有することを特徴とするOHCエンジン。
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