JP4010770B2 - エンジンのブリーザ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンのクランクケース内に発生するブローバイガスを吸気系に還流させるためのブリーザ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、レシプロ型のエンジンにおいては、シリンダとピストンの間隙からクランクケース内に吹き抜けたブローバイガスを吸気系に還流させるブリーザ装置が設けられている。一般にブローバイガスには、チェーン等の潤滑によって生じるオイルミストが含まれており、ブリーザ装置ではガス中のオイル分を分離した後、それをエアクリーナ等に還流させている。
【0003】
たとえばOHCエンジンでは、シリンダヘッド上部に配したロッカーカバーなどに気液分離室を設け、ブローバイガスをチェーン室を介してこの気液分離室に導入する。そして、この気液分離室内にてオイル分を分離させた上で、ロッカーカバーとエアクリーナとの間を連結するブローバイ通路を介して、ブローバイガスを吸気系に還流させている。
【0004】
また、ブリーザ装置としては、例えば、特開平8-74551号公報のようなものも知られている。このブリーザ装置では、クランクケースの一側壁に、クランクシャフトの軸受部外周を取り囲むように環状のブリーザ室が設けられる。このブリーザ室は、クランクシャフトのクランクウエブ部と対向して開口している。そして、ピストンの往復、すなわちクランクシャフトの回転に連動して、クランクウエブ部によってブリーザ室の入口を開閉させてブローバイガスの逆流を防止しつつブリーザ機能を確保している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ロッカーカバーなどに設けた気液分離室のみでは、ブローバイガス中からオイル分を十分に分離させることができないという問題があった。このため、オイル消費量が多くなると共に、オイルミストを含んだ空気がエアクリーナに流入するため、クリーナ機能が低下し易く、また、エンジンの燃焼性にも影響を及ぼすという問題があった。
【0006】
一方、特開平8-74551号公報のようなブリーザ装置の場合、クランクケース側壁にブリーザ室を設けるため、クランクケースの形状が複雑化し、それを成形するための型構造も複雑化する。また、クランクウエブ部にてブリーザ室入口を開閉させるため、両者の位置関係がブリーザ機能に影響し、部品の加工精度や組付精度が要求されるという問題があった。
【0007】
特に、シリンダを天地方向に対して傾斜配置した傾斜型のエンジンでは、クランクシャフト近傍にブリーザ室を設けると、ブリーザ室からエアクリーナまでの距離が遠くレイアウト性が良くないという問題が生じる。また、この場合、ブリーザ室とエアクリーナまでの距離が長いため、ブローバイガスの圧力損失が大きくなりブローバイ機能が低下するという問題があった。
【0008】
本発明の目的は、ブローバイガス中のオイル分を確実に分離し得るエンジンのブリーザ装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のエンジンのブリーザ装置は、シリンダヘッド側に配置された動弁装置と、クランクシャフトに設けた駆動部材と調時駆動部材を介して連結され、前記動弁装置をクランクシャフトと同期して作動させる従動部材とを備え、前記シリンダヘッドに前記調時駆動部材を収容する調時駆動部材室を設けてなるエンジンのブリーザ装置であって、前記シリンダヘッドに前記調時駆動部材室とは別室に形成され、前記エンジンのクランク室と連通し、前記クランク室から導入されたブローバイガス中のオイル分を分離する気液分離室と、前記気液分離室の上端部に形成され、シリンダ軸線およびクランクシャフト軸線と直角方向に延びるオイル還流室と、前記オイル還流室と前記調時駆動部材室との間に形成され、前記従動部材の中心軸近傍に開口して前記オイル還流室と前記調時駆動部材室との間を連通させる開口部とを有することを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、従動部材の中心軸近傍に開口部を設けたので、気液分離室内のブローバイガスを、従動部材の遠心力を利用して開口部から調時駆動部材室内へと導入する共に従動部材の外側へと飛ばすことにより、ブローバイガス中のオイル分を効率良く遠心分離することができる。従って、新たな部品を追加することなく、より確実にオイル分を分離することができ、オイル消費量の低減やエンジン燃焼性の向上が図られる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の一実施の形態であるブリーザ装置を使用したOHCエンジンの構成を示す説明図、図2は図1のエンジンにおけるシリンダ軸線方向の断面図である。
【0012】
図1のエンジンは、単気筒4サイクルガソリンエンジンであり、シリンダ軸線CLが天地方向に対し角度θだけ傾斜したいわゆる傾斜型のOHCエンジンとなっている。当該エンジンでは、エンジン本体1は、シリンダ2の下側にクランクケース3を一体に成形した構成となっており、鉄や、アルミニウム合金等の軽合金によって形成される。シリンダ2の上側には、アルミニウム合金製のシリンダヘッド4が取り付けられている。また、シリンダヘッド4の上側には、板金製若しくは合成樹脂製のロッカーカバー5が載置されている。
【0013】
クランクケース3は、その図1において右側の側面が大きく開口しており、メインベアリングケース取付面6となっている。メインベアリングケース取付面6には、アルミニウム合金製のメインベアリングケース7が取り付けられる。そしてこれにより、クランクケース3内にクランク室8が形成されると共に、その下部に潤滑オイル(以下、オイルと略記する)9が貯留されるオイルパン10が形成される。
【0014】
ベアリングケース7には、メインベアリング11aが圧入固定され、クランクシャフト12の一端側がそこで支持される。また、メインベアリング11aの外側にはオイルシール13aが圧入固定されている。
【0015】
クランクケース3のメインベアリングケース取付面6と反対側の壁面14には、メインベアリング11bが圧入固定されている。そして、このメインベアリング11bによってクランクシャフト12の他端側が支持される。また、メインベアリング11bの外側にもオイルシール13bが配されており、両オイルシール13a,13bにより、オイルパン10に貯留されたオイル9がクランクシャフト12部分からクランクケース3外に漏出しないようになっている。
【0016】
壁面14からクランクケース3の外部に延伸したクランクシャフト12の端部には、フライホイール15および冷却ファン16が取り付けられている。この冷却ファン16は、クランクケース3の外側、筐体57の内側に配置され、クランクシャフト12と共に回転して筐体57外部から冷却風を導入する。そして、この導入した冷却風によりエンジン本体1やシリンダヘッド4等の冷却を行う。さらに、筐体57の外側には、リコイル装置17が配設されており、リコイルレバー17aを手動にて引っ張ることによりクランクシャフト12が回転され、エンジンが始動するようになっている。
【0017】
シリンダ2の内部にはシリンダボア18が形成されている。シリンダボア18内には、ピストン19が摺動自在に嵌合されている。シリンダボア18の上端側はシリンダヘッド4によって閉塞されており、ピストン19の頂面とシリンダヘッド4の底壁面20とにより燃焼室21が形成されている。なお、燃焼室21の上部には、吸気バルブ22や点火プラグ68、図示しない排気バルブ等が臨まされている。
【0018】
ピストン19には、ピストンピン23を介してコンロッド24の小端部25が回転自在に連結されている。また、コンロッド24の大端部26には、クランクシャフト12のクランクピン27が回転自在に連結されている。そしてこれにより、ピストン19の上下動に伴って、クランクシャフト12が回転する。
【0019】
一方、シリンダヘッド4内には、シリンダ軸線CL上に、クランクシャフト12と平行にカムシャフト28が配設されている。カムシャフト28は、動弁カム29とスプロケット(従動部材)31とが一体になった構成となっており、スプロケット31が回転することにより動弁装置が作動するようになっている。そして、調時動弁系30により、動弁カム29はクランクシャフト12と同期して駆動される。
【0020】
これに対しクランクシャフト12には、スプロケット(駆動部材)32が固着されている。また、シリンダ2とシリンダヘッド4には、チェーン室(調時駆動部材室)50,51が形成されており、両スプロケット31,32の間は、これらのチェーン室50,51内に配設されたチェーン(調時駆動部材)33にて連結されている。そして、これらのスプロケット31,32およびチェーン33により調時動弁系30が形成される。なお、スプロケット31の歯数は、スプロケット32の歯数の2倍となっており、クランクシャフト12が2回転すると動弁カム29が1回転するようになっている。また、チェーン33は、チェーンテンショナ55によって適宜張力が付与されている。
【0021】
動弁カム29にはカム面29aが形成されており、このカム面29aにはロッカーアーム34の一端側に形成されたスリッパ35が摺接している。そして、この動弁カム29とロッカーアーム34とによって動弁装置が形成される。ロッカーアーム34は、揺動式のものが吸気用と排気用に2個設けられている。これらのロッカーアーム34は、それぞれロッカーサポート59に支持されたロッカーシャフト36を中心として揺動自在に取り付けられている。ロッカーアーム34の他端側は、吸気バルブ22や図示しない排気バルブの先端部とアジャストスクリュウ56を介して接続されている。そして、動弁カム29によりロッカーアーム34が揺動すると、吸気バルブ22や排気バルブが駆動される。また、吸気バルブ22や排気バルブは、バルブスプリング37により閉弁方向に付勢されており、これにより、吸気バルブ22等が動弁カム29の回転に伴って開閉される。
【0022】
一方、調時動弁系30は、コンロッド24の大端部26に設けられたスクレーパ38によって潤滑される。スクレーパ38は、図2に示すように、大端部26の下側部材39から下方、すなわち、クランクシャフト12の径方向に延伸形成され、下側部材39から延びるアーム69と、アーム69の先端部に立設されたディップ片70とからなり、全体がL字形状に形成されている。ここではディップ片70は、図1に示すように、アーム69の調時動弁系30を臨む側に形成されており、クランクシャフト12の軸方向に向かって延びている。そして、スクレーパ38は、図2に一点鎖線にて示すような軌跡を描きつつクランクシャフト12の回転に伴って揺動運動する。これにより、オイルパン10に溜まったオイル9が掻き上げられ、スクレーパ38が油面40から出る際にオイル9がチェーン33に跳ねかけられ、調時動弁系30の潤滑が行われる。
【0023】
このようなスクレーパ38の揺動運動に伴い、ディップ片70によってオイル9が掻き上げられ、チェーンテンショナ55の根本部分近傍方向へ飛ばされる。また、その一部はクランクケース3の内壁に当たってチェーン33方向に跳ね返る。これにより、チェーン33にオイル9の飛沫をかけることができ、動弁系30にオイル9を確実に供給できる。
【0024】
このようにしてチェーン33に跳ねかけられたオイル9は、チェーン33の移動と共にシリンダヘッド4側に運ばれ、スプロケット31の潤滑も行われる。また、スプロケット32もチェーン33に付着したオイル9によって潤滑される。
【0025】
ところで、チェーン33に付着したオイル9は、その一部がシリンダヘッド4側にて遠心力によって振り飛ばされる。すなわち、チェーン33がスプロケット31に巻き付く際に、その一部がスプロケット31の円周方向に飛ばされチェーン33から分離する。当該エンジンでは、スプロケット31の上方にはロッカーカバー5が配設されており、オイル9の飛沫はロッカーカバー5の天井面53に当たる。そして、天井面53に付着したオイル9は、天井面53に沿って下方に流れ、チェーン室51,50を伝ってオイルパン10に戻される。
【0026】
また、ロッカーカバー5の天井面53の一部には、図1に示すように、凸部54が形成されており、天井面53に付着したオイル9がこの凸部54から滴下するようにもなっている。この凸部54は、動弁カム29とスリッパ35との摺接部の上方に位置しており、ここから滴下するオイル9によって前記摺接部が潤滑されるようになっている。
【0027】
シリンダヘッド4の内部にはさらに、チェーン室(調時駆動部材室)51とは別に、ブローバイガスを吸気系に還流させるブリーザ装置として、ガス中のオイル分を分離させるための気液分離室43が設けられている。図3は、図2においてシリンダヘッド4を気液分離室43に沿って断面した状態を示す説明図である。図1,3に示すように、気液分離室43は、シリンダ軸線CLに沿ってチェーン室51と平行に形成されており、その上下端が開口したトンネル状の部屋となっている。また、気液分離室43の下端側(クランク室8側)開口部は、シリンダ2に形成されたガス導入口52と連通しており、このガス導入口52とチェーン室50を介してクランク室8と連通している。
【0028】
ガス導入口52は、図1に示すように、シリンダ2の上端部にチェーン室50から分岐する形で形成されている。ガス導入口52は、シリンダ2上面にて開口しており、シリンダ2上にシリンダヘッド4を載置すると、その上面開口が気液分離室43の下端開口部と連通する。
【0029】
ガス導入口52は、チェーン33の側面方向、すなわち、チェーン室50においてチェーン33の作動方向と直角方向でクランクシャフト12の長手方向(図1において右方向)の面50aに形成されている。ここで、チェーン33に付着したオイル9は、チェーン33の動作に伴い専らチェーン33の外側(スプロケット径方向側)に飛散し、その側面方向への飛散は少ない。従って、本エンジンにおいては、チェーン33の側面方向にガス導入口52を配することにより、ガス導入口52にオイル9がなるべく入り込まないよう配慮している。
【0030】
また、ガス導入口52は、図1に示すように、その底面が下方向(クランク室8方向)に向かって傾斜している。すなわち、気液分離室43側からチェーン室50側に向けて傾斜面71が形成されている。従って、ブローバイガスから分離されたオイル9は、気液分離室43からこの斜面を伝って容易にチェーン室50に流下する。また、この傾斜面71により、エンジン自体がクランクシャフト長手方向(特に図1において右側が低くなる場合)に傾いても、オイルの流れを確保できる。
【0031】
気液分離室43の上端側(エアクリーナ47側)開口部は、リードバルブ44を介してロッカーカバー5内の気液分離室45と連通している。気液分離室45は、ブローバイ通路46を介してエアクリーナ47に接続されている。さらに、エアクリーナ47は、気化器48を介してシリンダヘッド4内の吸気ポート49と接続されている。
【0032】
また、気液分離室43の上端部には、気液分離室43から分岐する形でオイル還流室72が形成されている。本実施の形態では、このオイル還流室72は、気液分離室43から図2において下方向、すなわち、シリンダ軸線CLおよびクランクシャフト12軸線と直角方向に延伸形成されている。
【0033】
図4は、オイル還流室72の構成を示す説明図である。オイル還流室72とチェーン室51との間には、チェーン室51と連通した開口部73が形成されている。この開口部73は、スプロケット31の中心軸O近傍に設けられており、開口部73の中心Xがスプロケット31の半径中央位置Yより中心軸O寄りとなるよう配設されている。
【0034】
また、オイル還流室72の底面74は、外壁75側から前記開口部73に向かって下方向、すなわち、クランク室8方向に傾斜している。従って、オイル還流室72に流入したオイル9は、底面74の傾斜に沿って開口部73へと導かれ、チェーン室51内に流入するようになっている。
【0035】
このような構成からなる気液分離室43では、クランク室8からチェーン室50に流入したブローバイガスは、ガス導入口52を介して気液分離室43内に流入する。そして、気液分離室43内を流通することにより、その中のオイルミスト分が気液分離室43の壁面に付着し、ブローバイガスとオイルミストの分離が行われる。この際、気液分離室43内にて分離されたオイル分は、気液分離室43からガス導入口52へと流下する。すなわち、気液分離室43において、ブローバイガスのオイル分は分離されて下方へと流れ、その一方でガス分は上方へと流通する。そして、分離されたオイル9はチェーン室50の壁面を伝ってオイルパン10に戻され、オイル分を落としたガスは、気液分離室45へと送られる。
【0036】
リードバルブ44を経てロッカーカバー5内に流入したブローバイガスは、さらに、気液分離室45内にてオイルミスト分の分離が行われる。この場合、リードバルブ44以前の段階でオイル分は概ね分離されることから、気液分離室45内では、気液分離室43にても分離しきれなかった残りのオイルミスト分の分離が行われる。つまり、当該ブリーザ装置では、2段階に亘ってオイル分の分離が実施され、ブローバイガスからより確実にオイル分を分離できるようになっている。また、比較的オイル分離性が低い気液分離室45以前にほとんどのオイル分が分離されることから、気液分離室45の負担が軽減され、より効果的なオイル分の分離を行うことが可能となる。
【0037】
気液分離室45に入ったブローバイガスは、そこに含まれている残りのオイル分が気液分離室45の壁面に付着し、更なる気液分離が行われる。当該ロッカーカバー5の下面側には、図示しないオイルリターン孔が設けられており、気液分離室45の壁面に付着したオイル分は、そこからチェーン室51に流出する。そして、チェーン室51,50の壁面を伝ってオイルパン10に戻される。
【0038】
このように、当該ブリーザ装置では、新たな部品を追加することなく、オイル分を分離する気液分離室43をブリーザ装置に形成することができる。従って、装置や型の複雑化を招来することなく、コストを抑えつつ、ブローバイガス中のオイル分を確実に分離可能なブリーザ装置を構成することができる。また、傾斜型のエンジンにおいても、レイアウト性を損なうことなく、ブリーザ装置に気液分離室43を装備することができる。
【0039】
一方、本発明によるブリーザ装置では、気液分離室43内のブローバイガスは、負圧作動するリードバルブ44のみならず、スプロケット31の遠心力を利用して開口部73からチェーン室51に常時導入される。ここで、本発明によるブリーザ装置では、開口部73がスプロケット31の中心軸O近傍に形成されているため、開口部73付近ではスプロケット31の回転に伴う遠心力が強く作用する。従って、気液分離室43内のブローバイガスは、この遠心力の作用によって開口部73からチェーン室51内へと引き込まれる。回転するスプロケット31の中心近くに導入されたブローバイガスは、図3に示すように、遠心力によりスプロケット31の外側へと送り出され、天井面53へと向かう。
【0040】
この際、ブローバイガスは、遠心力によってスプロケット外側へと導かれると共に、遠心分離作用を受ける。すなわち、空気に比して比重の大きいオイル分は、遠心力によって飛ばされつつ空気から分離され天井面53等に付着する。これにより、ブローバイガスからオイル分が除去され、ガスの気液分離が行われる。従って、本発明のブリーザ装置では、開口部73の位置を中心軸O近傍に配置することにより、スプロケット31の遠心力を用いてブローバイガスを開口部73からチェーン室51に引き込むと共に、オイル分の遠心分離を行うことができ、気液分離をより確実に行うことが可能となる。また、リードバルブ44からロッカーカバー5内に流入するオイル分を減らすことができるため、気液分離室45の負担がさらに軽減され、オイル分の分離をより効果的に行うことが可能となる。
【0041】
なお、オイル還流室72は、気液分離室43から下方向に向かって形成されているため、エンジンがさらに傾きシリンダ軸線CLが水平近くなった場合であっても、気液分離室43にて分離されたオイル9は、オイル還流室72に流入する。従って、かかる場合であっても、オイル9がリードバルブ44を介して気液分離室45へ流入せず、オイル9はオイル還流室72から開口部73を通りチェーン室51へと戻される。
【0042】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0043】
例えば、前述の実施の形態では、開口部73の中心Xがスプロケット31の半径中央位置Yより中心軸O寄りとなるよう配設した例を示したが、開口部73の図3,4において左端がOYの中心より中心軸O寄りにあれば、開口部73を大きく形成し、その中心Xが位置Yよりも外側にある場合であっても、遠心力の作用を利用することができる。
【0044】
また、気液分離室43の下部にチェーン室51と連通する連通孔を設け、ガス導入口52を省いても良い。但し、ガス導入口52を設けた方が、気液分離室43の通路長を長く取ることができ、分離効率を高めることができる。なお、ガス導入口52の形成は、現行の型の修正で対応でき、コスト的負担も少ない。さらに、気液分離室43は、シリンダボア18やチェーン室51と平行かつ同角度でなくとも良い。例えば、気液分離室43を、傾斜形成して通路長を稼ぐことも可能である。
【0045】
一方、前述の実施の形態では、傾斜型エンジンに本発明を適用したものを示したが、シリンダ軸線が天地方向に沿って配置された通常のエンジンに本発明を適用することも勿論可能である。また、単気筒の空冷エンジンに本発明を適用した例を示したが、本発明を多気筒の空冷エンジンや、単気筒または多気筒の水冷エンジンに適用することも可能である。
【0046】
さらに、シリンダ2とクランクケース3を一体に形成した例を示したがこれらを分離形成することも可能であり、シリンダヘッド4とシリンダ2とを一体に形成するようにしても良い。加えて、調時動弁系30を、スプロケット31,32とチェーン33にて構成した例を示したが、これをコグプーリとコグベルトやタイミングプーリとタイミングベルトなど、他の公知の調時動弁系を適用することも可能である。なお、本発明において「回転」とは正逆両方向の円運動をも含む概念であり、一方向の円運動のみを意味するものではない。
【0047】
【発明の効果】
本発明のブリーザ装置によれば、スプロケットの中心軸近傍に気液分離室とチェーン室とを連通する開口部を設けたので、気液分離室内のブローバイガスを、スプロケットの遠心力を利用して、開口部からチェーン室内へと導入する共にスプロケットの外側へと飛ばすことにより、ブローバイガス中のオイル分を効率良く遠心分離することができる。従って、新たな部品を追加することなく、より確実にオイル分を分離することができ、オイル消費量の低減やエンジン燃焼性の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態であるブリーザ装置を使用したOHCエンジンの構成を示す説明図である。
【図2】図1のエンジンにおけるシリンダ軸線方向の断面図である。
【図3】図2においてシリンダヘッドを気液分離室に沿って断面した状態を示す説明図である。
【図4】オイル還流室の構成を示す説明図である。
【符号の説明】
4 シリンダヘッド
8 クランク室
9 潤滑オイル
12 クランクシャフト
31 スプロケット(従動部材)
32 スプロケット(駆動部材)
33 チェーン(調時駆動部材)
43 気液分離室
50 チェーン室(調時駆動部材室)
72 オイル還流室
73 開口部
O スプロケット中心軸

Claims (1)

  1. シリンダヘッド側に配置された動弁装置と、クランクシャフトに設けた駆動部材と調時駆動部材を介して連結され、前記動弁装置をクランクシャフトと同期して作動させる従動部材とを備え、前記シリンダヘッドに前記調時駆動部材を収容する調時駆動部材室を設けてなるエンジンのブリーザ装置であって、
    前記シリンダヘッドに前記調時駆動部材室とは別室に形成され、前記エンジンのクランク室と連通し、前記クランク室から導入されたブローバイガス中のオイル分を分離する気液分離室と、
    前記気液分離室の上端部に形成され、シリンダ軸線およびクランクシャフト軸線と直角方向に延びるオイル還流室と、
    前記オイル還流室と前記調時駆動部材室との間に形成され、前記従動部材の中心軸近傍に開口して前記オイル還流室と前記調時駆動部材室との間を連通させる開口部とを有することを特徴とするエンジンのブリーザ装置。
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