JP2024053886A - オイル回収構造 - Google Patents

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健太 高谷
Kenta Takaya
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Abstract

【課題】チェーンカバー内において、タイミングチェーンによって掻き上げられたオイルを再飛散させることなく、効率的に回収することが可能なオイル回収構造を提供する。【解決手段】タイミングチェーン35を覆うように、エンジンに組み付けられるチェーンカバー10内におけるオイル回収構造である。エンジン幅方向における、タイミングチェーン35を上方に送る側の第1カムスプロケット33の軸心33aよりも外側で、且つ、上方から見てタイミングチェーン35と重なる位置に設けられた、ヘッドカバー40から下方に延びる第1壁部51と、第1壁部51との間に空間53を形成するように、エンジン幅方向における、第1壁部51よりも外側で、且つ、上方から見てタイミングチェーン35と重ならない位置に設けられた、ヘッドカバー40から下方に延びる第2壁部52と、を備えている。【選択図】図2

Description

本発明は、タイミングチェーンを覆うようにエンジンに組み付けられる、チェーンカバー内におけるオイル回収構造に関するものである。
従来から、クランクシャフトが延びる方向であるエンジン長手方向の一方端において、クランクシャフトに固定されたクランクスプロケットと、動弁機構を構成する2つのカムシャフトにそれぞれ固定された2つのカムスプロケットと、に架け渡されるタイミングチェーンを収容するように、エンジンの一端面に組み付けられるチェーンカバーが知られている。
このようなエンジンにおいて、オイルパン内に貯留されたオイルは、オイルポンプによって汲み上げられて、シリンダブロックやシリンダヘッドなどに形成されたオイル通路に圧送されることにより、冷却や潤滑を要する要素(例えば動弁機構やクランクシャフトやタイミングチェーンなど)に供給された後、各要素全体に行き渡りながら滴下してオイルパンに戻るのが一般的である。
もっとも、チェーンカバー内では、タイミングチェーンに供給されたオイルが、回転するタイミングチェーンによって掻き揚げられることで飛散して、チェーンカバーの上方を覆うヘッドカバー等に付着するため、オイルを良好にオイルパンに回収し難いという問題がある。
そこで例えば特許文献1には、チェーンの上方を覆うロッカーカバー(ヘッドカバー)の裏側における、2つのカムシャフト間に、ロッカーカバーに付着したオイルをチェーンめがけて滴下させることが可能なリブを形成するようにしたロッカーカバーが開示されている。
特開2003-035118号公報
ところで、車両に搭載されたエンジンは通常傾いているところ、チェーンカバー内のオイル回収性を向上させるという観点からは、タイミングチェーンによって飛散するオイルを、チェーンカバーにおける、相対的に低い側となる側壁部に沿って滴下させて、オイルパンに戻すのが好ましい。
もっとも、傾いているエンジンにおける2つのカムスプロケットは、タイミングチェーンを上方に送る側のカムスプロケットが相対的に低い側に位置し、タイミングチェーンを下方に送る側のカムスプロケットが相対的に高い側に位置していることが多い。このため、タイミングチェーンによって飛散するオイルは、タイミングチェーンを上方に送るカムスプロケット側から下方に送るカムスプロケット側へ、換言すると、相対的に低い側壁部側ではなく、相対的に高い側壁部側へ移動する流れを生じ易い。それ故、チェーンカバー内では、オイル回収性が悪化する傾向にあるが、上記特許文献1のものでは、この点について何ら対策が講じられていない。
また、上記特許文献1のものでは、相対的に高い側壁部側へ移動するオイルのうち、リブで集められてタイミングチェーンに滴下されたオイルは再飛散するが、再飛散したオイルは、エンジン内のブローバイガスの流れに沿うため、オイルが落ちにくい状態となってオイルパンに戻り難くなり、オイル回収性がさらに悪化するという問題もある。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、エンジンのチェーンカバー内において、回転するタイミングチェーンによって掻き上げられたオイルを再飛散させることなく、効率的に回収することが可能なオイル回収構造を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明に係るオイル回収構造では、回転するタイミングチェーンによって掻き上げられたオイルを、上方から見てタイミングチェーンと重ならない位置に設けられた壁部に沿って下方に落とすようにしている。
具体的には、本発明は、クランクスプロケットおよび動弁機構の2つのカムスプロケットに巻き掛けられるタイミングチェーンを覆うように、エンジンに組み付けられるチェーンカバー内におけるオイル回収構造を対象としている。
そして、このオイル回収構造は、エンジン幅方向における、上記タイミングチェーンを上方に送る側のカムスプロケットの軸心よりも外側で、且つ、上方から見て上記タイミングチェーンと重なる位置に設けられた、上記チェーンカバーの上方を覆うヘッドカバーから下方に延びる第1壁部と、上記第1壁部との間に空間を形成するように、エンジン幅方向における、上記第1壁部よりも外側で、且つ、上方から見て上記タイミングチェーンと重ならない位置に設けられた、上記ヘッドカバーから下方に延びる第2壁部と、を備えていることを特徴とするものである。
この構成によれば、ヘッドカバーから下方に延びる第1壁部を、タイミングチェーンを上方に送る側のカムスプロケット(仮に「第1カムスプロケット」という。)の軸心よりも外側で、且つ、上方から見てタイミングチェーンと重なる位置に設けることから、回転するタイミングチェーンによって掻き上げられたオイルを、第1カムスプロケット側から、タイミングチェーンを下方に送るカムスプロケット側へ移動する前に、エンジン幅方向外側から第1壁部に当てることができる。
このようにして第1壁部に当ったオイルは、第1壁部と第2壁部の間に形成される空間内で、第1壁部→ヘッドカバーの下面→第2壁部の順に沿って流れるが、第2壁部は上方から見てタイミングチェーンと重ならない位置に設けられていることから、回転するタイミングチェーンにオイルを当てることなく、換言すると、オイルを再飛散させることなく、第2壁部から下方に落とすことができる。このように、本発明によれば、回転するタイミングチェーンによって掻き上げられたオイルを、回転するタイミングチェーンの影響を受けない領域で落とすことが可能となることから、オイルパンへのオイルの回収性を高めることができる。
以上説明したように、本発明に係るオイル回収構造によれば、エンジンのチェーンカバー内において、回転するタイミングチェーンによって掻き上げられたオイルを再飛散させることなく、効率的に回収することができる。
本発明の実施形態に係るオイル回収構造が適用されるエンジンを模式的に示す図である。 図1のII部の拡大図である。 オイル回収構造におけるオイルの流れを模式的に示す図である。
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。図1~3における、矢印Xはクランクシャフト(図示せず)の延びる方向であるエンジン長手方向一方側を、矢印Yはエンジン幅方向一方側を、矢印Zはエンジン長手方向とエンジン幅方向とに直交するエンジン上下方向上側をそれぞれ示している。なお、エンジン1は傾いていることから、エンジン上下方向は鉛直上下方向と一致していない。
また、図1~3では、図を見易くするために、エンジン1のエンジン長手方向一方側を覆うチェーンカバー10およびヘッドカバー40におけるエンジン長手方向と直交する面(壁部)を透視して表している。
-エンジンの全体構成-
図1は、本実施形態に係るオイル回収構造が適用されるエンジン1を模式的に示す図である。図1では、エンジン1を、エンジン長手方向一方側から見ている。エンジン1は、シリンダヘッドおよびシリンダブロックで構成されるエンジン本体部3と、エンジン本体部3(シリンダブロック)の下面に結合されるオイルパン5と、オイルポンプ(図示せず)と、エンジン本体部3(シリンダヘッド)をエンジン上下方向の上側から覆うヘッドカバー40と、動弁機構と、チェーンカバー10と、を備えている。
このエンジン1では、図1に示すように、クランクシャフト20のエンジン長手方向一方側の端部がエンジン本体部3から突出しており、かかる突出した端部にクランクスプロケット21が固定されている。なお、クランクスプロケット21は、オイルポンプのドライブシャフト(図示せず)に固定されたスプロケット(図示せず)と、ドライブチェーン(図示せず)を介して繋がっている。
オイルポンプは、クランクシャフト20の回転運動が伝達されると、オイルパン5に貯留されているオイルを吸引し、吸引したオイルをエンジン本体部3に形成されているオイル通路(図示せず)に圧送することによって、エンジン1における潤滑や冷却を要する要素(動弁機構やクランクシャフト20やタイミングチェーン35など)に供給するようになっている。このようにして、潤滑や冷却を要する要素に供給されたオイルは、各要素の全体に行き渡りながら当該各要素を冷却・潤滑しつつ滴下してオイルパン5に戻るようになっている。
動弁機構は、クランクシャフト20に対するカムシャフト31,32の相対位相角を変更して、吸気バルブ(図示せず)および排気バルブ(図示せず)の開閉時期を制御するものであり、第1カムシャフト31(例えば吸気バルブを駆動する吸気カムシャフト)と、当該第1カムシャフト31とエンジン幅方向に並ぶ第2カムシャフト32(例えば排気バルブを駆動する排気カムシャフト)と、第1および第2カムスプロケット33,34と、タイミングチェーン35と、チェーンテンショナ36と、チェーンガイド37と、を有している。
第1カムスプロケット33は、第1カムシャフト31のエンジン長手方向一方側の端部に固定されている一方、第2カムスプロケット34は、第2カムシャフト32のエンジン長手方向一方側の端部に固定されている。タイミングチェーン35は、無端状であり、図1に示すように、クランクスプロケット21と第1カムスプロケット33と第2カムスプロケット34とに巻き掛けられていて、クランクシャフト20の回転運動を、第1および第2カムシャフト31,32に伝達する役割を担っている。チェーンテンショナ36は、タイミングチェーン35を押圧することによって、タイミングチェーン35に張力を与えるように構成されている。チェーンガイド37は、タイミングチェーン35のエンジン幅方向における振動を抑えるよう構成されている。
本実施形態では、クランクシャフト20の回転運動に伴って、第1カムスプロケット33が図1の矢印Aの向きに回転し、これにより、タイミングチェーン35が図1の矢印Bの向きに移動するようになっている。それ故、請求項との関係では、本実施形態の第1カムスプロケット33が、本発明の「タイミングチェーンを上方に送る側のカムスプロケット」に相当する。また、第2カムスプロケット34は「タイミングチェーンを下方に送る側のカムスプロケット」に相当する。
チェーンカバー10は、タイミングチェーン35を覆うように、エンジン本体部3におけるエンジン長手方向一方側の端面に組み付けられている。チェーンカバー10は、エンジン長手方向と直交する壁部(図示せず)と、第1および第2側壁部11,12と、底壁部13と、を有していて、上方が開放しているが、チェーンカバー10の上方はヘッドカバー40で覆われている。
-オイル回収構造-
本実施形態では、エンジン1が図1の左側(図2の矢印B参照)に傾いていることから、第1側壁部11側が相対的に低い側となり、第2側壁部12側が相対的に高い側となっている。傾いているエンジン1では、チェーンカバー10内のオイル回収性を向上させるという観点からは、回転するタイミングチェーン35によって掻き上げられて飛散するオイルを、相対的に低い側となる第1側壁部11に沿って滴下させて、オイルパン5に戻すのが好ましい。
もっとも、タイミングチェーン35によって掻き上げられて飛散するオイルは、タイミングチェーン35の回転に沿って、第1カムスプロケット33側から第2カムスプロケット34側へ、換言すると、相対的に低い側である第1側壁部11側ではなく、相対的に高い側である第2側壁部12側へ移動する流れを生じ易いため、チェーンカバー10内では、オイル回収性が悪化する傾向にある。
また、第2側壁部12側へ移動するオイルのうち、タイミングチェーン35上に滴下されたオイルは再飛散することになるが、再飛散したオイルは、エンジン1内のブローバイガスの流れに沿うため、オイルが落ちにくい状態となってオイルパン5に戻り難くなり、オイル回収性がさらに悪化するケースも想定される。
そこで、本実施形態に係るオイル回収構造では、回転するタイミングチェーン35によって掻き上げられたオイルを、鉛直上方から見てタイミングチェーン35と重ならない位置に設けられた壁部に沿って下方に(オイルパン5まで)落とすようにしている。
図2は、図1のII部の拡大図であり、図3は、オイル回収構造におけるオイルの流れを模式的に示す図である。具体的には、本実施形態に係るオイル回収構造では、図2に示すように、エンジン幅方向における、第1カムスプロケット33の軸心33aよりも外側で、且つ、鉛直上方から見てタイミングチェーン35と重なる位置に設けられた、ヘッドカバー40の頂壁部41から下方に延びる第1壁部51と、下方に開放する空間53を第1壁部51との間に形成するように、エンジン幅方向における、第1壁部51よりも外側で、且つ、鉛直上方から見てタイミングチェーン35と重ならない位置に設けられた、ヘッドカバー40の頂壁部41から下方に延びて、チェーンカバー10の第1側壁部11と繋がる第2壁部52と、を備えるようにしている。
ここで、第1壁部51は、オイルが第2カムスプロケット34側へ移動する前に、オイルを回収する役割を担う一方、第2壁部52は、回収されたオイルを再飛散させることなく下方に落とす役割を担っている。このため、第1壁部51は、第1カムスプロケット33の軸心33aよりも外側に設けられていればよいが、効率的にオイルを回収するという観点からは、鉛直上方から見てタイミングチェーン35と重なる範囲内において、できるだけエンジン幅方向における外寄りに設けるのが好ましい。一方、第2壁部52は、鉛直上方から見てタイミングチェーン35と重ならない位置にあるのであれば、必ずしもチェーンカバー10の第1側壁部11と繋がっていなくてもよい。
本実施形態に係るオイル回収構造によれば、ヘッドカバー40の頂壁部41から下方に延びる第1壁部51を、第1カムスプロケット33の軸心33aよりも外側で、且つ、鉛直上方から見てタイミングチェーン35と重なる位置に設けていることから、図2の矢印Aで示すように回転するタイミングチェーン35によって掻き上げられたオイルを、第1カムスプロケット33側から第2カムスプロケット34側(第2側壁部12側)へ移動する前に、図2の太線矢印Cで示すように、エンジン幅方向外側から第1壁部51に当てることができる。
このようにして、回転するタイミングチェーン35によって掻き上げられて第1壁部51に当ったオイルは、第1壁部51と第2壁部52の間に形成される、下方に開放する空間53内で、図2の太線矢印Dで示すように、第1壁部51→ヘッドカバー40の頂壁部41→第2壁部52の順に沿って流れる。
そうして、第2壁部52は鉛直上方から見てタイミングチェーン35と重ならない位置に設けられていることから、回転するタイミングチェーン35にオイルを当てることなく、換言すると、オイルを再飛散させることなく、図3の太線矢印A示すように、第2壁部52から、相対的に低い側である第1側壁部11を伝って下方に落として、効率的にオイルパン5に戻すことができる(図3のB部参照)。このように、本実施形態によれば、タイミングチェーン35の回転で掻き上げられたオイルを、回転するタイミングチェーン35の影響を受けない領域で落とすことが可能となることから、オイルパン5へのオイルの回収性を高めることができる。
(その他の実施形態)
本発明は、実施形態に限定されず、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
上記実施形態では、第1カムシャフト31を吸気カムシャフトとし、第2カムシャフト32を排気カムシャフトとしたが、これに限らず、第1カムシャフト31を排気カムシャフトとし、第2カムシャフト32を吸気カムシャフトとしてもよい。
また、上記実施形態では、オイルポンプで吸引したオイルをエンジン本体部3に形成されているオイル通路に圧送することによって、タイミングチェーン35に供給するようにしたが、これに限らず、タイミングチェーン35へのオイルの供給はどのような態様で行ってもよい。
このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
本発明によると、回転するタイミングチェーンによって掻き上げられたオイルを再飛散させることなく、回収することができるので、エンジンのチェーンカバー内におけるオイル回収構造に適用して極めて有益である。
1 エンジン
10 チェーンカバー
21 クランクスプロケット
33 第1カムスプロケット
33a 軸心
34 第2カムスプロケット
35 タイミングチェーン
40 ヘッドカバー
51 第1壁部
52 第2壁部
53 空間

Claims (1)

  1. クランクスプロケットおよび動弁機構の2つのカムスプロケットに巻き掛けられるタイミングチェーンを覆うように、エンジンに組み付けられるチェーンカバー内におけるオイル回収構造であって、
    エンジン幅方向における、上記タイミングチェーンを上方に送る側のカムスプロケットの軸心よりも外側で、且つ、上方から見て上記タイミングチェーンと重なる位置に設けられた、上記チェーンカバーの上方を覆うヘッドカバーから下方に延びる第1壁部と、
    上記第1壁部との間に空間を形成するように、エンジン幅方向における、上記第1壁部よりも外側で、且つ、上方から見て上記タイミングチェーンと重ならない位置に設けられた、上記ヘッドカバーから下方に延びる第2壁部と、を備えていることを特徴とするオイル回収構造。
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