JPH08177442A - 縦軸エンジンおよびその潤滑装置 - Google Patents

縦軸エンジンおよびその潤滑装置

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 クランク室内の潤滑油を攪拌、飛抹して、ス
クロール型クランク室壁を経由し、動弁装置、ロッカー
室等の内部を潤滑して再びクランク室に戻る潤滑油通路
を備えたものとすることにより、潤滑状態を良好にし、
潤滑装置の製造コストを低減し、保守を容易にする。 【構成】 下部クランク室１０９の潤滑油を潤滑油攪拌
用リング１０３により攪拌、飛抹し、クランク室１０１
に設けてあるスクロール状の壁面１０５に沿ってエンジ
ンＥの上方に導き、動弁装置の各部品を潤滑し、プッシ
ュロッド９、１０とプッシュロッドカバー１０６、１０
７との空間部を経由して、ロッカー室２５の収納部品を
潤滑した後、ドレインパイプ１０８を経て下部クランク
室１０９に戻る通路により構成したもの。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、エンジンのクランク軸
に潤滑油攪拌用リングを設けて、クランク室の潤滑油中
で回転させることにより、スクロール型クランク室壁を
経由して動弁装置、ロッカー室等の内部を潤滑し再びク
ランク室に戻す潤滑油の通路を設けた縦軸エンジンおよ
びその潤滑装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】従来、縦軸エンジンにおける潤滑油の潤
滑装置として、実公平６−１８００８号公報に示すもの
では、図３ないし図４に示すように、縦軸エンジンのク
ランク軸ＣＲにより駆動するオイルスプラッシャＳによ
ってクランク室Ｋ内の潤滑油Ａを攪拌して、エンジン各
部を潤滑するものであり、上部オイル供給通路Ｐよりロ
ッカー室Ｒに潤滑油Ａを送出し、ロッカー室Ｒの各部を
給油し、下部排出通路Ｑよりクランク室Ｋに戻すように
なっており、通路Ｐ、Ｑは何れもクランク室Ｋに開口し
て、各通路に一方向に開閉する一方向弁Ｖ１、Ｖ２を設
け、かつ、カムａ、タペットｂ、プッシュロッドｃ、ロ
ッカーアームｄを介して弁ｅを駆動する弁駆動機構をシ
リンダ側方に設け、シリンダに設けた潤滑油の出入孔Ｌ
をシリンダとほぼ同じ高さとし、クランク室Ｋにも開口
してシリンダ内部の運動部品を潤滑するようにしたもの
が提案されている。また、本願出願人が先に提案した特
開平６−２００７７６号公報に示すものでは、弁を駆動
する動弁機構を、シリンダの側方に配設しないで、クラ
ンク室よりロッカー室への潤滑油供給通路と排出通路を
単一の通路で兼用したものも提案されている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】従来の縦軸エンジンに
おける潤滑装置としては、上述したとおり、クランク室
よりロッカー室に潤滑油の供給通路と排出通路を別々に
設けたものと、潤滑油の供給通路と排出通路を単一の通
路で兼用したものがあるが、この中で、潤滑油の供給通
路と排出通路を別々に設けたものは、一方向弁を設けて
いるため構造が複雑となり、かつ、エンジンが傾斜運転
されて一方向弁が潤滑油で塞がれた場合など潤滑油の流
れを一方向に誘導することが困難であり、ロッカー室に
過度の潤滑油が残留して、燃焼室に流入するなどの不具
合も発生し、さらに、クランク軸が傾斜した場合には潤
滑油がシリンダに設けた出入孔に出入して、潤滑油の潤
滑状態を良好に保持することが困難になるなどの問題を
有している。
【０００４】また、潤滑油の供給通路と排出通路を単一
の通路で兼用したものにあっては、一つの通路で供給、
排出を兼用するため、供給、排出のバランスが難しく、
また、エンジンが傾斜運転されて、通路のクランク室開
口部が潤滑油で塞がれた場合には、ロッカー室よりの潤
滑油の排出が不可能となり、ロッカー室に過度の潤滑油
が残留し、弁案内部より燃焼室に潤滑油が流入するなど
の問題を有している。
【０００５】本発明は、上述した従来の欠点を除去する
ためになされたものであって、縦軸エンジンのクランク
軸下端に潤滑油攪拌用リングを設けて、これをクランク
室内の潤滑油中で回転させることにより、スクロール型
クランク室壁を経由してエンジン上方に導き、動弁装
置、ロッカー室等の内部を潤滑させた後、再びクランク
室に戻す潤滑油通路を備えた縦軸エンジンおよびその潤
滑装置とすることにより、潤滑油の供給、排出機能を独
立させて供給、排出の均衡をはかり、潤滑状態を良好に
保持し、かつ、潤滑装置の構造を簡単にして製造コスト
を低減させることを目的とする。
【０００６】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明は、エン
ジンに通常の運転状態において、クランク軸中心線を鉛
直とし、該クランク軸の動力取出部の反対側に吸排気弁
を駆動するカム及びプッシュロッド等からなる動弁装置
を設け、前記プッシュロッドとプッシュロッドカバーの
間に形成された空間部をロッカ−室と連通させ、かつ、
クランク室には潤滑油を動弁装置に導くスクロール型の
室壁を設けてクランク室からロッカ−室に至る潤滑油の
供給通路を形成し、前記クランク軸下端に潤滑油攪拌用
リングを設け、さらに、前記ロッカー室下部よりクラン
ク室下部に傾斜した潤滑油の排出通路を設けてなること
を特徴とする縦軸エンジンおよびその潤滑装置とするこ
とにより、上記目的を達成しようとするものである。
【０００７】
【作用】上記構成によりなる本発明においては、エンジ
ンの通常の運転状態において、クランク軸中心線を鉛直
とし、該クランク軸の動力取出部の反対側に吸排気弁を
駆動する動弁装置を設け、プッシュロッドカバーとプッ
シュロッドにより形成される空間部をクランク室とロッ
カー室に開口し、該クランク室にスクロール型の室壁を
設け、かつ、前記クランク軸下端に潤滑油攪拌用リング
を設け、さらに、前記ロッカー室下部よりクランク室下
部に傾斜した潤滑油の排出通路を設けてなる縦軸エンジ
ンおよびその潤滑装置とすることにより、クランク室内
の潤滑油を、クランク軸下端に設けた潤滑油攪拌用リン
グにより攪拌、飛抹して、スクロール型クランク室壁に
沿ってエンジン上方に導き、プッシュロッドカバーとプ
ッシュロッドにより形成された空間部を経由してロッカ
ー室に供給し、シリンダヘッド各部を潤滑させた後、ロ
ッカー室下部より傾斜した排出通路を経由して、クラン
ク室下部に戻る潤滑油の潤滑装置となるため、潤滑油の
逆流を防止する機構とし、かつ、潤滑油の供給、排出機
能を独立させて、供給、排出のバランスを適正に維持し
うるとともに、潤滑装置の構造を簡単なものとすること
ができる。
【０００８】
【実施例】以下引き続き、本発明の縦軸エンジンおよび
その潤滑装置の要旨をさらに明確にするため、図１ない
し図２を利用して一実施例を説明する。Ｅは本発明によ
る縦軸エンジン（以下単にエンジンという）であり、１
はクランク軸で、これの下方より見て反時計方向に回転
し、また、２はクランク歯車で、該クランク軸１と一体
をなして回転する。さらに、３はカム歯車であり、カム
軸４のまわりに回転し、クランク歯車２と歯合してい
る。また、２０はカムで、カム歯車３と一体をなして回
転し、カム軸４に軸支されたカム２０には、軸Ｓのまわ
りに回転自在に揺動する排気側カムフォロアＭおよび吸
気側カムフォロアＮの接触平面が当接し、排気側カムフ
ォロアＭ、吸気側カムフォロアＮの位置関係とカム２０
の回転方向は図２に示す通りで、まず、排気側カムフォ
ロアＭが作動し、ついで、吸気側カムフォロアＮが作動
すると、排気側カムフォロアＭ、吸気側カムフォロアＮ
は揺動し、ついで排気側プッシュロッド１０、吸気側プ
ッシュロッド９を介して図示しない吸排気弁を作動する
ようになっている。
【０００９】さらに、１００は点火プラグで、エンジン
Ｅの上方のプッシュロッド９、１０間に配設されてお
り、また、１０２は冷却ファンで、冷却風をエンジンＥ
の上方より送り込んで該エンジンＥを冷却する。また、
１０３は、クランク軸１の下端に該クランク軸１と一体
に回転可能に装着された潤滑油攪拌用リングであり、１
０５はクランク室１０１にスクロール状に形成した壁面
である。さらに、１０４はクランク軸１の主軸受であっ
て、該クランク室１０１の軸受部に嵌装されていて、ま
た、１０６、１０７はプッシュロッドカバーで、プッシ
ュロッド９、１０を囲んでいる。また、２５はロッカー
室であり、１０８はドレインパイプで、該ロッカー室２
５と前記クランク室１０１に取付けられている下部クラ
ンク室１０９間に斜め下に傾斜して接続されており、通
常の運転状態で、ドレインパイプ１０８の下部クランク
室１０９への開口部１１０は、潤滑油油面Ｌより下方に
なっている。
【００１０】次に、本実施例の作用について説明する。
まず、エンジンＥを運転すると、クランク軸１が回転
し、該クランク軸１の下端に装着した潤滑油攪拌用リン
グ１０３が作動して、下部クランク室１０９内の潤滑油
を攪拌、飛抹して、スクロール状に形成した壁面１０５
に沿ってエンジンＥの上方に導き、主軸受１０４、クラ
ンク歯車２、カム歯車３、カム２０、軸Ｓ、排気側カム
フォロアＭおよび吸気側カムフォロアＮの接触面等を潤
滑し、さらに、カム歯車３、カム２０の作動によって加
勢された潤滑油はプッシュロッド９、１０とプッシュロ
ッドカバー１０６、１０７との空間部を通ってロッカー
室２５に至り、図示しない弁、ロッカーアーム、弁バネ
等のロッカー室収納部品を潤滑する。
【００１１】その後、ロッカー室２５に溜まった潤滑油
は、ドレインパイプ１０８を経て下部クランク室１０９
に戻るが、ドレインパイプ１０８の下部クランク室１０
９への開口部１１０は、図１に示すように、通常の運転
状態では、潤滑油油面Ｌよりも下方となっており、ドレ
インパイプ１０８はシリンダ中心線に対して斜め下に傾
斜しているため、潤滑油の逆流を防止することができ
る。
【００１２】なお、本発明に係わる縦軸エンジンおよび
その潤滑装置は、前記実施例にのみに限定されることな
く、さらに、各構成要素の各部の形状や、その配設方
法、個数、大きさ、材質、また、作動方法等は、前記し
た目的、作用および後記する発明の効果が達成される範
囲内においてそれぞれ任意に定められてよく、これらの
変更はいずれも本発明の要旨を何ら変更するものでない
ことは申すまでもない。
【００１３】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明は、
エンジンの通常の運転状態において、鉛直方向に配設し
たクランク軸の動力取出部の反対側に動弁装置を設け、
プッシュロッドカバー内の空間部をクランク室とロッカ
−室に開口し、クランク室にスクロール型の室壁を設
け、クランク軸下端に潤滑油攪拌リングを装着し、ロッ
カ−室下部よりクランク室下部に潤滑油の排出通路を設
けた縦軸エンジンおよびその潤滑装置とすることによ
り、潤滑油が逆流しない機構とし、かつ、潤滑油の供
給、排出機能を独立させて、潤滑状態を良好に保持する
とともに、潤滑装置を簡単な構造として、製造コストを
低減し、保守を容易にする効果がある。以上説明したよ
うに、本発明は、従来にない独特の効果を奏し、まこと
に実用的で優れた発明である。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施例を示す断面図である。
【図２】本発明の一実施例における動弁装置の要部を示
すもので、（ａ）はこれの平面図、（ｂ）は（ａ）の側
面図である。
【図３】従来の縦軸エンジンおよびその潤滑装置を示す
断面図である。
【図４】従来の縦軸エンジンを示すもので、（ａ）はこ
れの側断面図、（ｂ）は（ａ）の平面図である。
【符号の説明】
１ クランク軸 １０１ クランク室 １０３ 潤滑油攪拌用リング １０５ 壁面 １０６、１０７ プッシュロッドカバー １０８ ドレインパイプ １０９ 下部クランク室 ２５ ロッカー室 ９、１０ プッシュロッド Ｅ 縦軸エンジン

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 エンジンに通常の運転状態において、ク
    ランク軸中心線を鉛直とし、該クランク軸の動力取出部
    の反対側に吸排気弁を駆動するカム及びプッシュロッド
    等からなる動弁装置を設け、前記プッシュロッドとプッ
    シュロッドカバーの間に形成された空間部をロッカ−室
    と連通させ、かつ、クランク室には潤滑油を動弁装置に
    導くスクロール型の室壁を設けてクランク室からロッカ
    −室に至る潤滑油の供給通路を形成し、前記クランク軸
    下端に潤滑油攪拌用リングを設け、さらに、前記ロッカ
    ー室下部よりクランク室下部に傾斜した潤滑油の排出通
    路を設けてなることを特徴とする縦軸エンジンおよびそ
    の潤滑装置。
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