JP2009113819A - ウェットシート軟包体、及び該軟包体用ラベル - Google Patents

ウェットシート軟包体、及び該軟包体用ラベル Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明の課題は、使用時、開閉蓋を有する密封部材がフィルム袋の粘着層に貼付されるウェットシート軟包体において、密封部材と粘着層を隙間なく密着させることである。
【解決手段】 液体が含浸された複数枚のウェットシート2と、ウェットシート2を包装し且つシート取出口31が形成された柔軟なフィルム袋3と、シート取出口31を覆って前記フィルム袋3の表面に剥離可能に貼付されたラベル5と、を有し、ラベル5をフィルム袋3から剥離することにより、シート取出口31が開封されると共に、フィルム袋3の表面であってシート取出口31の周囲に粘着層53が露出しうるウェットシート軟包体1において、粘着層53とフィルム袋3の表面の間には、基材54が介在されており、基材54は、フィルム袋3を構成するフィルムよりも圧縮強度が高いフィルムで構成されている。
【選択図】 図2

Description

本発明は、薬剤、アルコールなどの液体が含浸されたウェットシートを包装袋で包装したウェットシート軟包体及び該軟包体用ラベルに関する。
アルコールなどの液体が含浸されたウェットシートを折り畳み、これを複数枚積層したものを柔軟なフィルム袋で包装したウェットシート軟包体が知られている。
かかるフィルム袋には、包装したウェットシートを個々に取り出すためのシート取出口が形成されている。さらに、前記シート取出口から液体の揮発を防ぐため、フィルム袋の表面に、前記シート取出口を密封状に覆う粘着ラベルが貼付されている。
上記フィルム袋でウェットシートが包装されたウェットシート軟包体の使用方法は、下記2つのタイプに大別される。
第1の使用法は、上記粘着ラベルとしてフィルム袋に再貼付可能なラベルを用い、該粘着ラベルをフィルム袋から剥離してシート取出口を開封し、ここからウェットシートを取り出した後、該粘着ラベルを元の箇所に再貼付して保管する。この使用法は、コスト的に安く、簡便であるが、粘着ラベルの剥離と再貼付を繰り返すため、気密性が低下してウェットシートが乾燥し易く、又、フィルム袋は柔軟であるため、ウェットシートを取出し難い。
第2の使用法は、粘着ラベルを剥離し、フィルム袋の表面に、シート取出口を密閉可能な開閉蓋を備える合成樹脂製の密封部材を貼付し、この密封部材の開閉蓋を開けてウェットシートを取出した後、開閉蓋を閉じて保管する。この使用法は、使用頻度に応じて開閉蓋の気密性が低下し難く、又、密封部材が合成樹脂製であるため、ウェットシートを取出し易い。
上記第2の使用法に用いられるウェットシート軟包体として、封入袋(本発明におけるフィルム袋に相当する)内にウェットティッシュの積層体を収納し且つウェットティッシュ取出口をシール材で密閉してなるウェットティッシュ包装体が知られている(特許文献1の[0018]など)。
該ウェットティッシュ包装体は、シール材を剥がしたときに、粘着剤が封入袋上面部側に残り、この粘着剤に、蓋板を具備するプラスチック製型材(本発明における密封部材に相当する)を貼付することによって使用される(特許文献1の[0030]など)。
特許第3190273号公報
しかしながら、上記公報記載のウェットティッシュ包装体は、貼付した型材と粘着剤の面の層間において微細な隙間が生じ、その隙間から液体が揮発することによって、ウェットティッシュが早期に乾燥し易いという問題点がある。
具体的には、柔軟な封入袋の上面に設けられた粘着剤は、封入袋に追従して変形し易く、一方、プラスチック製の型材は、曲がり難く平面的である。このため、型材を封入袋に押さえ付けた際、封入袋及び粘着剤が波状に歪んだ状態(皺が生じた状態)で、前記型材が粘着剤に接着することが多く、粘着剤の面と型材の層間に微細な隙間が生じ易い。このように隙間が生じると、該隙間から液体が揮発し、ウェットティッシュが早期に乾燥するので、その改善が求められている。
本発明の目的は、使用時、開閉蓋を有する密封部材がフィルム袋の粘着層に貼付されるウェットシート軟包体において、密封部材と粘着層を隙間なく密着させることができるように改良することである。
本発明は、液体が含浸された複数枚のウェットシートと、前記ウェットシートを包装し且つシート取出口が形成された柔軟なフィルム袋と、前記シート取出口を覆って前記フィルム袋の表面に剥離可能に貼付されたラベルと、を有し、前記ラベルを前記フィルム袋から剥離することにより、前記シート取出口が開封されると共に、前記フィルム袋の表面であって前記シート取出口の周囲に粘着層が露出しうるウェットシート軟包体において、前記粘着層とフィルム袋の表面の間には、基材が介在されており、前記基材は、前記フィルム袋を構成するフィルムよりも圧縮強度が高いフィルムで構成されていることを特徴とする。
ここで、上記圧縮強度は、JIS P 8126に準拠して測定される。
上記ウェットシート軟包体は、使用時、ラベルを剥離することによってシート取出口が開封されると共に該シート取出口の周囲に粘着層が露出する。該粘着層の表面から、開閉蓋を有する密封部材を押さえ付けることにより、密封部材の裏面を粘着層に貼付できる。
上記ウェットシート軟包体は、粘着層とフィルム袋の表面の間に基材が介在されており、この基材が、フィルム袋を構成するフィルムよりも圧縮強度が高いフィルムで構成されているので、前記基材は、フィルム袋に比して剛性が高く、変形しにくい。このため、上記密封部材を粘着層に押さえ付けた際、剛性の高い基材に支持された粘着層が波状に歪み難く、密封部材の裏面を粘着層の表面に隙間無く貼付することができる。
かかる密封部材が貼付されたウェットシート軟包体は、開閉蓋を開けることによって、シート取出口からウェットシートを取り出すことができる。一方、密封部材が貼付されたウェットシート軟包体は、開閉蓋を閉じることによって保管されるが、上記のように密封部材の裏面が粘着層の表面に隙間無く貼付されているので、液体の揮発を抑制でき、長期間に亘ってウェットシートの湿潤状態を保つことができる。
本発明の好ましいウェットシート軟包体は、前記フィルム袋に、平面視環状の切込線が形成されており、前記ラベルを前記フィルム袋から剥離することにより、前記切込線で囲われた領域が前記ラベルと共に前記フィルム袋から外れ、前記シート取出口が開封される。
上記好ましいウェットシート軟包体は、ラベルを剥離することにより、平面視環状の切込線で囲われた領域が取り外されるので、フィルム袋に比較的大きな開口からなるシート取出口を形成できる。このため、ウェットシートの取出を容易に行える。
また、本発明のウェットシート軟包体用ラベルは、液体が含浸された複数枚のウェットシートを包装したフィルム袋に形成されたシート取出口を覆うラベルにおいて、第1基材と第1粘着層と第2基材と第2粘着層とがこの順で積層された積層体を有し、前記第2基材は、前記フィルム袋を構成するフィルムよりも圧縮強度が高いフィルムで構成され、前記第1粘着層、第2基材及び第2粘着層を厚み方向に切り込んだ平面視環状の切り目が形成されており、前記切り目は、前記シート取出口を囲繞可能な大きさの環状に形成され、前記環状の切り目よりも外側における第1基材が第1粘着層に対して擬似接着されていることを特徴とする。
上記ウェットシート軟包体用ラベルは、環状の切り目がフィルム袋のシート取出口を囲繞するように位置合わせして、第2粘着層を介して、フィルム袋の表面に貼り付けられる。
上記ラベルを構成する積層体は、環状の切り目によって第1粘着層、第2基材及び第2粘着層が厚み方向に切り込まれ、且つ該切り目よりも外側に於ける第1基材が第1粘着層に対して擬似接着されている。このため、ラベルをフィルム袋から引き剥がすと、積層体は、切り目及び該切り目の外側に於ける第1基材と第1粘着層の層間を境に分離される。このため、フィルム袋の表面側に、シート取出口を囲繞するように、第1粘着層、第2基材及び第2粘着層(上から順)が残り、フィルム袋の表面側に第1粘着層が露出する。この露出した第1粘着層の表面に、密封部材の裏面が貼付される。
第2基材は、フィルム袋よりも圧縮強度が高いフィルムで構成されているので、上記露出した第1粘着層の表面に密封部材を押さえ付けた際、第1粘着層が波状に歪み難く、密封部材の裏面を第1粘着層の表面に隙間無く貼付することができる。
さらに、上記ウェットシート軟包体用ラベルは、第1粘着層にまで切り込まれているので、上記のように積層体を分離する際に、第1粘着層の粘着剤が糸を引くように延びることを防止できる。
本発明のウェットシート軟包体は、フィルム袋の表面に露出する粘着層がフィルム袋よりも変形し難い基材によって支持されている。このため、フィルム袋の表面に露出した粘着層と密封部材の間に隙間が生じ難く、密封部材と粘着層の間から液体が揮発することを防止できる。
従って、本発明のウェットシート軟包体は、ラベルを剥離し、密封部材を貼付した後、長期間に亘ってウェットシートの湿潤状態を保つことができる。
また、本発明のウェットシート軟包体用ラベルは、上記ウェットシート軟包体に用いることにより、長期間に亘ってウェットシートの湿潤状態を保つことができるウェットシート軟包体を構成できる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1及び図2に於いて、1は、液体が含浸された複数枚のウェットシート2と、前記ウェットシート2を包装し且つシート取出口31が形成された柔軟なフィルム袋3と、前記シート取出口31を覆って前記フィルム袋3の表面に剥離可能に貼付されたラベル5と、を有するウェットシート軟包体を示す。
このウェットシート軟包体1は、ラベル5を剥離することにより、図7に示すように、フィルム袋3の表面に平面視環状の粘着層53(ラベル5の第1粘着層53)が露出する。該ウェットシート軟包体1は、図9に示すように、前記露出した粘着層53の表面に、開封蓋91を有する密封部材9の裏面を貼付して使用される。
以下、具体的に各構成要素毎に分説して、本発明のウェットシート軟包体1を説明する。
上記ウェットシート2の液体は、特に限定されず、用途に応じて適宜選択される。例えば、水、アルコール、界面活性剤、除菌剤、抗菌剤、防腐剤、香料などの液体が挙げられる。これらは1種単独で、又2種以上混合して用いることができる。本発明のウェットシート軟包体1は、密封部材との密着性に優れているので、極めて揮発し易い液体(例えば、アルコール濃度30%以上(好ましくはアルコール濃度50%以上)のアルコール水溶液など)を用いても、ウェットシート2の早期乾燥を防止できる。
上記ウェットシート2は、吸液性(吸水性及び/又は吸油性)を有していれば特に限定されず、例えば、吸液性を有する材料を含む不織布、織布、紙、多孔質フィルムなどを用いることができる。前記吸液性を有する材料としては、綿などの天然繊維、パルプ、アクリル系、オレフィン系、セルロース系、PVA系などの合成繊維(又は合成樹脂フィルム)などを例示できる。
上記ウェットシート2は、適宜の形状に折り畳まれ、その複数枚が重ね合わされた態様で(シート集合体で)、フィルム袋3内に収納されている。
フィルム袋3は、柔軟性及び耐液性を有するフィルムから構成されている。なお、本発明において、フィルムとは、一般にシートと呼ばれている枚葉体が含まれる。
フィルム袋3を構成するフィルムの材質は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。代表的には、金属薄膜が積層されたベースフィルムにシーラント層が積層されている積層フィルムなどが挙げられる。前記ベースフィルムとしては、例えば、アルミニウムを蒸着した合成樹脂フィルム(例えばアルミ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム)などが挙げられる。前記シーラント層としては、ポリエチレン層などが挙げられる。
フィルム袋3のフィルム厚は、通常、30μm〜100μm程度である。
上記フィルムにてシート集合体を包み、該フィルムの端部を接着(熱シールなど)することにより、上記フィルム袋3が形成されている。該フィルム袋3の形態は、通常、ピロー包装であるが、他の包装形態でも構わない。
かかるフィルム袋3の一面には、前記シート集合体の各ウェットシート2を取り出すためのシート取出口31が形成されている。
シート取出口31は、フィルム袋3に形成された平面視環状の切込線32から形成されている。該切込線32で囲われた領域を取り除くことによって、シート取出口31が開封される。
上記平面視環状の切込線32は、実質的に端部のない無端状の切込線であり、図示したような平面視楕円形状のほか、平面視円形状、平面視矩形状、平面視三角形状、その他任意の形状に形成できる。
なお、シート取出口31は、上記平面視環状の切込線32から形成されている場合に限られず、例えば、フィルム袋3に形成された有端状の切込線(例えば、平面視直線状、平面視ジグザグ状などの切込線)から構成されていてもよいし、或いは、フィルム袋3に形成された穿設孔から構成されていてもよい。
シート取出口31は、収納されたウェットシート2を取り出すことができる大きさの開口或いは切込目などで構成されていれば特に限定されるものではない。
上記切込線32としては、ハーフカット線(フィルム袋3の厚み方向に断面略V字状に切り込んだ非貫通の切込線)が好ましい。もっとも、切込線32は、例えば、ミシン目線(ミシン針の縫い目跡のように、フィルム袋3の厚み方向に貫通する短い貫通線が断続的に形成された切込線)でもよいし、貫通線などでもよい。
なお、切込線32がミシン目線や貫通線の場合であっても、フィルム袋3の表面には、そのシート取出口31を覆うようにラベル5が貼り付けられているので、フィルム袋3によってウェットシート2が密封包装されている。
上記シート取出口31を覆うように、上記フィルム袋3の表面には、ウェットシート軟包体用のラベル5が剥離可能に貼付されている。
このラベル5は、図3〜図5に示すように、平面視略楕円状の多層構造体である。
ラベル5の平面視形状は、上記の形状に限定されず、例えば、平面視円形状、平面視略矩形状などの任意である。また、ラベル5の一縁部は延出されている。この該延出部分は、摘み部5aとして利用される部分である。
なお、第1基材52の一縁部のみを、第2基材54の縁部よりも外側に延出させることにより、該第1基材52の一縁部を摘み部として利用することもできる。
ラベル5の層構成は、上方から下方に、意匠印刷層51、第1基材52、第1粘着層53、第2基材54、及び第2粘着層55がこの順で積層された積層体を有する。
この積層体には、平面視環状の切り目57が形成されている。該切り目57は、前記積層体のうち、第1粘着層53、第2基材54及び第2粘着層55を厚み方向に切り込むことによって形成されている。
該平面視環状の切り目57は、シート取出口31を囲繞可能な大きさに形成されている。
さらに、前記切り目57を基準にして、その切り目57の外側(ラベル5の中心から離れる側)において、剥離層56が積層されている。この剥離層56は、前記切り目57の外側における第1基材52と第1粘着層53の層間に形成されている。
上記第1基材52は、特に限定されず、例えば、ポリエステルフィルムなどの合成樹脂フィルム、紙、合成紙などのフィルム、及び2枚以上のフィルムが積層された積層フィルム、及び金属蒸着層が積層された積層フィルムなどを用いることができる。
意匠印刷層51は、好ましくは前記第1基材52の表面に設けられている。もっとも、意匠印刷層51は、第1基材52の裏面に設けてもよい。意匠印刷層51は、従来公知の印刷法によって、所望のデザインが印刷された層である。
第2基材54は、フィルム袋3を構成するフィルムよりも圧縮強度が高いフィルムで構成されている。この条件を満たしていれば、第2基材54を構成するフィルムの材質は、特に限定されず、従来公知のフィルムを用いることができる。第2基材54を構成するフィルムは、フィルム袋3を構成するフィルムとの関係において相対的に選択されるが、例えば、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートなどの二軸延伸ポリエステルフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム、発泡ポリエステルフィルム、発泡ポリプロピレンフィルム、合成紙などが挙げられる。
第2基材54を構成するフィルムの圧縮強度の具体的な値は、例えば、10N〜80Nであり、好ましくは20N〜70Nである。一方、フィルム袋3を構成するフィルムの圧縮強度は、例えば、0.2N〜30Nである。
ただし、上記圧縮強度は、JIS P 8126に準拠して測定される数値である。該JIS P 8126では、円形の細長い溝に、試験片を差し込んで筒状にし、この試験片に垂直方向の荷重を掛けて、試験片が圧壊するまでの荷重を測定する。
さらに、第2基材54を構成するフィルムは、耐溶剤性に優れていることが好ましい。第2粘着層55として溶剤型粘着剤を用いた場合に、該粘着剤によって第2基材54が浸食されることを防止できるからである。
第2基材54の厚みは、フィルムの材質によって異なるものの、通常、30μm〜200μm程度である。
上記第1粘着層53は、第2基材54の表面にベタ状に設けられている。該第1粘着層53の裏面は、第2基材54の表面に十分な接着力で接着されている。
第1粘着層53の表面のうち切り目57で囲繞された領域は、第1基材52に密着している。従って、第1基材52と第2基材54は、切り目57で囲繞された領域において、第1粘着層53を介して一体的に接着されている。
なお、第1粘着層53の表面と第1基材52の裏面との接着強度は、第2粘着層55の裏面とフィルム袋3の表面との接着強度よりも大きい。
他方、切り目57の外側における第1基材52の裏面には、剥離層56が設けられている。従って、切り目57の外側において、第1基材52に設けられた剥離層56の裏面は、これに対面する第1粘着層53の表面に、剥離可能に密着している。なお、摘み部5aにおいても、第1基材52と第1粘着層53の間に剥離層56が介在している。
かかる剥離層56は、第1粘着層53に対して擬似接着しうる層である。
ここで、擬似接着とは、僅かな剥離力で層間剥離できる程度に弱く付着している状態をいう。
剥離層56は、第1基材52の裏面のうち、第1基材52の周縁から切り目57までの範囲に、剥離剤を塗工することによって形成される。
前記剥離剤としては、例えば、シリコーンや超微粒子などを含む溶剤型又はエマルジョン型の樹脂溶液、電離放射線硬化型樹脂溶液、紫外線硬化型インキなどの印刷インキなどを例示できる。
剥離層56の厚みは、通常、0.5〜5μm程度である。
第2粘着層55は、第2基材54の裏面にベタ状に設けられている。該第2粘着層55の表面は、第2基材54の裏面に十分な接着力で接着されている。
上記第1粘着層53及び第2粘着層55は、各種の粘着剤を塗工することによって形成されている。
第1粘着層53及び第2粘着層55を構成する粘着剤は、特に限定されず、感圧型粘着剤などを用いることができる。なお、感圧型粘着剤とは、弱い圧力下で瞬間的に接着力を生じるものをいう。該感圧型粘着剤の材質としては、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤などを用いることができる。
また、上記感圧型粘着剤は、塗工前の性状による分類で、ホットメルト型粘着剤、溶剤型粘着剤、エマルジョン型粘着剤などを用いることができる。
ホットメルト型粘着剤は、加熱溶融することにより塗工可能となる粘着剤である。ホットメルト型粘着剤は、通常、ベースポリマー及び粘着付与剤を含有し、必要に応じて、ワックス、安定剤などの添加剤を含有する。ホットメルト型粘着剤のベースポリマーとしては、例えば、エチレン−酢酸ビニル系樹脂などのオレフィン系樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸系樹脂などのアクリル系樹脂;スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン−ブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)などの熱可塑性エラストマー;合成ゴム;ポリエステルなどが挙げられる。また、粘着付与剤としては、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石油樹脂などが挙げられる。
溶剤型粘着剤は、グラビアコーティングなどの印刷や各種コーターによって塗工可能な粘着剤であり、塗工後乾燥して使用される。溶剤型粘着剤は、ベースポリマー及び粘着付与剤(必要に応じて添加剤が含まれる)を、トルエンや酢酸エチルなどの有機溶剤に溶解させたものである。溶剤型粘着剤のベースポリマーとしては、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル系樹脂、熱可塑性エラストマー、合成ゴムなどが挙げられる。粘着付与剤は、上記例示の通りである。
好ましくは、第1粘着層53は、ホットメルト型粘着剤が用いられる。ホットメルト型粘着剤は、塗工後も比較的軟らかいため、ウェットシート軟包体1の使用時に、第1粘着層53の表面に貼り付けられる密封部材が、該第1粘着層53の表面に良好に密着しやすくなるからである。
このホットメルト型粘着剤を用いた第1粘着層53の表面は、ショアA硬度20〜70程度が好ましい。ただし、ショアA硬度は、JIS K 7215に準拠して測定される値をいう。
また、密封部材の裏面に対する第1粘着層53の粘着力は、2〜8N/25mm程度が好ましい。前記粘着力が余りに小さいと、密封部材が不用意に剥がれる虞があり、粘着力が余りに大きいと、密封部材を取り外して再利用することが困難となるからである。
また、第1粘着層53は、ベースポリマーとしてスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)またはアクリル系樹脂を含むホットメルト型粘着剤を用いることが好ましい。SISまたはアクリル系樹脂を含むホットメルト型粘着剤は、耐アルコール性が高く、アルコールを含むウェットシート2が包装されたフィルム袋3に使用しても、粘着力が低下し難いからである。また、SISまたはアクリル系樹脂を含むホットメルト型粘着剤は、ポリプロピレン成形品に対する接着性が高いので、ポリプロピレン製の密封部材を第1粘着層53の表面に良好に密着させることができる。
一方、第2粘着層55は、好ましくは溶剤型粘着剤が用いられる。塗工後の溶剤型粘着剤は、ホットメルト型粘着剤に比して硬いため、露出した第1粘着層53の表面に密封部材を貼付する際、比較的硬い第2粘着層55と剛性の高い第2基材54とが相乗して、それらの上に積層された第1粘着層53が波状に歪むことを防止できるからである。
上記ラベル5は、図2に示すように、切り目57でフィルム袋3の切込線32(シート取出口31)を囲繞するように、切り目57で囲われた領域をシート取出口31に対応させ、第2粘着層55を介してフィルム袋3の表面に貼り付けられている。
上記ウェットシート軟包体1は、使用時、先ずラベル5を剥離する。
具体的には、ラベル5の摘み部5aのうち、第1基材52を指で摘む。なお、摘み部5aにおいては、第1基材52と第1粘着層53の間に剥離層56が介在しているので、摘み部5aに指を掛けると、第1基材52のみが捲れ上がり、摘み部5aにおける第1基材52を容易に摘むことができる。
図6に示すように、該摘み部5aを起点としてラベル5を引き剥がす。
上記ラベル5を構成する積層体は、環状の切り目57によって第1粘着層53、第2基材54及び第2粘着層55が切り込まれ、且つ該切り目57よりも外側に於ける第1基材52と第1粘着層53の層間に剥離層56が設けられている。このため、前記切り目57で囲われた領域58(第1粘着層53、第2基材54及び第2粘着層55のうち切り目57で囲われた領域58)は切り目57を境に積層体から分離され、該領域58が第1基材52と一体となってフィルム袋3から剥離されると共に、切り目57よりも外側における第1基材52が積層体から剥離される。
上記ラベル5を構成する積層体は、第1粘着層53にまで切り込まれているので、切り目57を境に上記領域58を分離する際に、第1粘着層53の粘着剤が糸を引くように延びることを防止できる。
なお、前記切り目57で囲われた領域58に於ける第2粘着層55の裏面は、フィルム袋3の切込線32で囲われた領域33に接着しているので、例えばハーフカット線からなる切込線32が完全に切断され、該切込線32で囲われた領域33は、同時に捲り取られる。
切込線32で囲われた領域33が取り除かれた後には、シート取出口31が開封される。
上記のようにしてラベル5を剥離した後には、図7及び図8に示すように、フィルム袋3の表面には、開封されたシート取出口31を取り囲むように、平面視環状の第1粘着層53、第2基材54及び第2粘着層55の積層物が残存する。
従って、フィルム袋3の表面側であってシート取出口31の周囲に、環状の第1粘着層53が露出する。
この露出した第1粘着層53の表面に、下記密封部材9の裏面を貼付する。
密封部材9は、裏面が平坦状の平板部材の中央部に開口が形成され、該開口を開閉する開閉蓋91が設けられている。該開口は、ウェットシートを取り出すことができる十分な大きさの開口である。開閉蓋91は、密封部材9にヒンジ部などを介して取り付けられ、開閉蓋9を閉状態にすることによって、密封部材9の開口を気密状に閉塞できる。
密封部材9の材質は、特に限定されず、合成樹脂、金属などを例示できる。一般に、密封部材9は、ポリプロピレンなどの合成樹脂成形品からなる。
上記密封部材9の裏面を第1粘着層53の表面に押さえ付けることにより、密封部材9の裏面に第1粘着層53の表面が接着する。
この第1粘着層53の下方には、フィルム袋3を構成するフィルムよりも圧縮強度の高いフィルムからなる第2基材54が存在するので、上記密封部材9を第1粘着層53に押さえ付けた際、剛性の高い第2基材54に支持された第1粘着層53が波状に歪み難く、従って、密封部材9の裏面を第1粘着層53の表面に隙間無く貼付することができる(図9参照)。
かかる密封部材9が貼付されたウェットシート軟包体1は、開閉蓋91を開けることによって、シート取出口31からウェットシート2を取り出すことができる。一方、開閉蓋91を閉じることによって保管される。上記のように密封部材9の裏面は、シート取出口31を囲繞する平面視環状の第1粘着層53の表面に隙間無く貼付されているので、密封部材9とフィルム3の間から液体が揮発することもなく、長期間に亘ってウェットシート2の湿潤状態を保つことができる。
全てのウェットシート2を使い切った後、上記密封部材9は、ウェットシート軟包体1から剥離されて、新たなウェットシート軟包体1に再利用される。
なお、上記密封部材9は、平板部材からなるが、例えば、図10に示すように、開閉蓋91を有する密封部材9が、容器92の蓋となるように形成されていてもよい。該密封部材9は、裏面が平坦状に形成され且つ容器92の開口を閉塞可能な大きさの平板の周縁に、容器92のフランジ部93に嵌合する嵌合部94が形成されている。容器92は、ウェットシート軟包体1全体を収容可能な十分な容積を有する凹状に形成され、開口周縁部にフランジ部93が形成されている。
かかる容器態様の密封部材9についても、上記実施形態と同様にして、第1粘着部53の裏面に密封部材9の裏面を貼付した後、該密封部材9を容器92に嵌めて使用される。
また、上記実施形態では、本発明のウェットシート軟包体用のラベル5は、第1基材52、第1粘着層53、第2基材54、及び第2粘着層55がこの順で積層された積層体を有し、この積層体のうち、第1粘着層53、第2基材54及び第2粘着層55が切り目57によって厚み方向に切り込まれているが、(第1粘着層53まで切り込まずに)第2基材54及び第2粘着層55のみが切り目57によって厚み方向に切り込まれていてもよい。
さらに、他の実施形態として、本発明のウェットシート軟包体用のラベル5は、第1基材52、第1粘着層53、第2基材54、及び第2粘着層55がこの順で積層された積層体を有し、この積層体のうち、第1基材52の一部、第1粘着層53、第2基材54及び第2粘着層55が切り目57によって厚み方向に切り込まれていてもよい。
具体的には、図11に示すように、ラベル5を構成する積層体は、第1基材52、第1粘着層53、第2基材54、及び第2粘着層55を有するが、第1基材52が、上フィルム521と下フィルム522の少なくとも2層を有する積層フィルムからなる。なお、上フィルム521と下フィルム522の層間には、接着層523が設けられ、該接着層523を介して、上下フィルム521,522が一体化されている。また、意匠印刷層(図示せず)は、下フィルム522の表面に設けてもよいし、上フィルム521の裏面又は表面に設けてもよい。
切り目57は、第1基材52の下フィルム522、第1粘着層53、第2基材54及び第2粘着層55を厚み方向に切り込むことによって形成されている。
かかるラベル5は、第1粘着層53を越えて第1基材52の一部にまで切り目57が形成されているので、該切り目57によって第1粘着層53を厚み方向に確実に分断できる。このため、切り目57を境に上記領域58を分離する際に、第1粘着層53の粘着剤が糸を引くように延びることをより確実に防止できる。
上記他の実施形態に係るラベル5は、例えば、下記の方法に従って製造できる。
第2基材54の裏面に粘着剤を塗工して第2粘着層55を設け、且つ第2基材54の表面に粘着剤を塗工して第1粘着層53を設ける。他方、第1基材52の一部である下フィルム522の裏面の所定範囲に剥離剤を塗工して環状の剥離層56を設けておく。前記第2基材54の表面に設けられた第1粘着層53上に、前記剥離層56が設けられた下フィルム522の裏面を載せ、両者を接着させて積層物を得る。次に、この積層物の下フィルム552の表面(又は第2粘着層55の裏面)から、カッターなどを用いて、剥離層56の内側の縁にほぼ沿うように、平面視環状の切り目57を形成する。この切り目57を形成することによって、前記積層物全体が厚み方向に切り込まれる。最後に、接着層523を介して、下フィルム522の表面に上フィルム521を積層接着することにより、図11に示すような層構成のラベル5を製造できる。
かかる製法によれば、切り目57の形成を容易に行えるので好ましい。
本発明のウェットシート軟包体の一実施形態を示し、該軟方体を平面側から見た斜視図。 図1のI−I線断面図(横方向断面図)。 ラベルの平面図。 図3のII−II線断面図。 図3のIII−III線断面図。 ウェットシート軟包体のラベルを引き剥がしている途中の状態を示す一部省略横方向断面図。 ウェットシート軟包体からラベルを引き剥がした状態を示す斜視図。なお、ラベル引き剥がし後に貼付される密封部材を併せて示している。 図6のIV−IV線断面図。 密封部材が粘着層に貼付されたウェットシート軟包体を示す横方向断面図。 ウェットシート軟包体の他の使用例を示す横方向断面図。 他の実施形態に係るラベルを示す断面図。
符号の説明
1…ウェットシート軟包体、2…ウェットシート、3…フィルム袋、31…シート取出口、32…切込線、5…ラベル、52…第1基材、53…第1粘着層、54…第2基材、55…第2粘着層、56…剥離層、57…切り目、9…密封部材、91…開閉蓋

Claims (3)

  1. 液体が含浸された複数枚のウェットシートと、前記ウェットシートを包装し且つシート取出口が形成された柔軟なフィルム袋と、前記シート取出口を覆って前記フィルム袋の表面に剥離可能に貼付されたラベルと、を有し、
    前記ラベルを前記フィルム袋から剥離することにより、前記シート取出口が開封されると共に、前記フィルム袋の表面であって前記シート取出口の周囲に粘着層が露出しうるウェットシート軟包体において、
    前記粘着層とフィルム袋の表面の間には、基材が介在されており、
    前記基材は、前記フィルム袋を構成するフィルムよりも圧縮強度が高いフィルムで構成されていることを特徴とするウェットシート軟包体。
  2. 前記フィルム袋には、平面視環状の切込線が形成されており、
    前記ラベルを前記フィルム袋から剥離することにより、前記切込線で囲われた領域が前記ラベルと共に前記フィルム袋から外れ、前記シート取出口が開封される請求項1に記載のウェットシート軟包体。
  3. 液体が含浸された複数枚のウェットシートを包装したフィルム袋に形成されたシート取出口を覆うラベルにおいて、
    第1基材と第1粘着層と第2基材と第2粘着層とがこの順で積層された積層体を有し、
    前記第2基材は、前記フィルム袋を構成するフィルムよりも圧縮強度が高いフィルムで構成され、
    前記第1粘着層、第2基材及び第2粘着層を厚み方向に切り込んだ平面視環状の切り目が形成されており、
    前記切り目は、前記シート取出口を囲繞可能な大きさの環状に形成され、
    前記環状の切り目よりも外側における第1基材が、第1粘着層に対して擬似接着されていることを特徴とするウェットシート軟包体用ラベル。
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