JP2009075443A - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】非通紙領域の温度を所定温度以下に維持して、定着装置部材の熱劣化やホットオフセットを防止し、かつスループット最大化を図る定着装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】ヒータ105は、第一の抵抗発熱体401と第二の抵抗発熱体402とを備え、サーミスタ101aが検知する温度が所定の定着温度となるように、抵抗発熱体401、402に供給する電力を制御するCPUと、2つ以上の定着条件によって抵抗発熱体401、402の通電比率を変更するCPUとを有し、抵抗発熱体401、402の通電比率と、ヒータ105または定着ベルトの非通紙領域の上限温度とに応じて、サーミスタ101bが検知する閾値温度を変更し、サーミスタ101bが検知する温度が所定の閾値温度となった時に、単位時間当たりに定着処理を行う記録紙の枚数を変更する。
【選択図】図1

Description

本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の電子写真方式の画像形成装置及びこれに用いられる定着装置に関するものである。
<定着装置>
従来、電子写真方式の複写機、レーザービームプリンタ等の画像形成装置に用いられる定着装置は、画像形成手段部で記録紙記録紙上に転写方式又は直接方式にて形成担持させた未定着トナー画像を記録紙記録紙上に定着させる。定着装置として、加熱された定着ローラと加圧ローラとの定着ニップ部で記録紙記録紙を挟持搬送して、加熱・加圧して未定着トナー画像を記録紙記録紙上に定着させる熱ローラ方式の定着装置が一般に用いられている。
近年では、省エネルギー化、又は電源ONから画像出力までの時間短縮(ウォームアップタイム短縮化、クイックスタート化)を実現するため、定着ベルト(フィルム)加熱方式の定着装置が実用化されている(特許文献1参照)。
この定着装置は、加熱体として低熱容量の板状セラミックヒータと、加圧部材としての加圧ローラとの間に、定着部材としての定着ベルトを介して定着ニップ部を形成し、定着ベルトを加圧ローラと共に回転させる。そして、定着ニップ部において、記録紙記録紙を搬送しながら加熱・加圧して、未定着トナー画像を記録紙記録紙上に定着させる。
このような定着ベルト加熱方式の定着装置は、従来の熱ローラ加熱方式の定着装置と比較して、定着部材としての定着ベルトや加熱体の熱容量が非常に小さいため、加熱体からの熱エネルギーを効率良く使用することができる。このため、定着ベルト加熱方式の定着装置は、画像形成装置の電源ONやスリープ状態から、画像形成可能まで定着部材を暖めるウォームアップタイムを短く、或いはウォームアップタイムをゼロにすることができるクイックスタートが可能である。さらに、クイックスタートが可能であるため、画像形成時以外の待機中に定着部材を予熱する必要が無いので、待機中の定着装置、及び画像形成装置の消費電力が小さくなり、省エネルギー化が可能である。
<非通紙部昇温>
ところで、定着ベルト加熱方式の定着装置においては、「非通紙部昇温」と呼ばれる問題がある。これは、記録紙搬送方向と直交する方向の幅が狭い記録紙、いわゆる小サイズ紙を連続通紙すると、加熱体の発熱領域(抵抗発熱体領域)で、かつ非通紙となる領域で定着装置部材(加熱体、定着ベルト、加圧ローラ)の昇温が発生する現象である。
通紙領域の加熱体温度は、記録紙に熱量が奪われながらも供給される電力(供給される熱量)によって、所定の定着温度となるように電力供給制御される。一方、非通紙領域の加熱体温度は、熱量が奪われない上に、抵抗発熱体から熱量が供給されるため、定着温度より昇温してしまう。従って、非通紙領域の加熱体、定着ベルト、加圧ローラの温度が高温となってしまう。非通紙領域が高温になると、定着装置部材の熱劣化や、非通紙領域の熱が通紙領域端部(記録紙端部)に回り込み、記録紙端部のトナーが過溶融となる。そして、過溶融トナーが定着ベルトに付着して、定着ベルト1周後に記録紙へ転移して定着され、記録紙を汚してしまう「ホットオフセット」現象が発生してしまう。
この非通紙部昇温は、熱ローラ定着装置と比較して、定着ベルト加熱方式の定着装置においては、熱容量の小さい加熱体や定着ベルトを用いているため、顕著に発生し易い。
<従来の非通紙部昇温対策>
このような問題を解決するため、非通紙領域の温度を検知して、単位時間当たりに定着処理を行う記録紙の枚数を変更する方法が提案されている。
例えば、特許文献2に記載されているように、非通紙部に配置した温度検知手段により、非通紙部の温度を検知し、閾値温度に到達後、段階的に給送間隔を切り替える(給送間隔を広げる)制御が提案されている。
しかしながら、この対策は、非通紙部昇温が発生する小サイズ紙において、単位時間当たりに定着処理を行う記録紙の枚数(スループット)が少なくなるため、画像形成装置の生産性が低下する。
さらに、他の非通紙部昇温対策として、発熱停止状態の検知温度や端部の検知温度、通紙枚数により閾値温度を決定し、スループット最大化を図ることが提案されている。
記録紙幅に応じて、閾値温度を変更し、スループット最大化を図ることが提案されている。
記録紙厚さに応じて、閾値温度を変更し、ホットオフセット防止やスループット最大化を図ることが提案されている。
また、特許文献3では、長手方向で異なる発熱分布となる複数の抵抗発熱体において、通紙枚数や非通紙領域の温度に応じて、複数の抵抗発熱体の通電比率を変更して、非通紙部昇温を低減することが提案されている。
長手方向の発熱分布が互いに異なる複数の抵抗発熱体において、記録紙の幅に応じて、複数の抵抗発熱体の通電比率を切り替えることにより、非通紙部昇温を低減することが提案されている。ここで、発熱分布が互いに連続的に異なる抵抗発熱体が提案されている。
少なくとも2つの抵抗発熱体において、長手方向の基準位置から単位長さ当たりの抵抗値(発熱量)が互いに連続的に異なり、一方の抵抗発熱体長手幅が他方の抵抗発熱体長手幅より短くする。そして、通電比率を記録紙幅に応じて、複数の抵抗発熱体の通電比率を変更することにより、中央のホットオフセットと端部の定着性を両立し、非通紙部昇温を低減する。さらに、記録紙が通紙基準から外れて搬送された場合でも定着不良が発生しにくいことが提案されている。
特開平4−204980号公報 特開2002−169413号公報 特開2001−183929号公報
上述したように、定着ベルト加熱方式の定着装置は、小サイズの記録紙を通紙した場合の非通紙部昇温が大きい。
その非通紙部昇温対策として、少なくとも2つの抵抗発熱体で、長手方向の基準位置から単位長さ当たりの抵抗値(発熱量)が互いに連続的に、又は段階的に異なる複数の抵抗発熱体において、通電比率を変更する通電比率制御手段を用いる。即ち、例えば中央通紙基準の画像形成装置の場合、中央部で発熱量が多い抵抗発熱体(R1)と、端部で発熱量が多い抵抗発熱体(R2)の少なくとも2つの抵抗発熱体において、通電比率を変更する通電比率制御手段を用いる。
この時、通紙可能な最大サイズ紙として、例えばA3縦(297mm幅)の記録紙を定着する場合は、通電比率を例えば「R1:R2=100:100」として、抵抗発熱体領域の加熱体の長手方向で発熱量が略均等となるように抵抗発熱体を設計すると良い。
小サイズ紙として、例えばB5縦(182mm幅)の記録紙を定着する場合は、通電比率を例えば「R1:R2=100:30」とする。端部で発熱量の多い抵抗発熱体(R2)の発熱量を小さくして、端部への熱供給量を減少させることで、抵抗発熱体端部の非通紙部の昇温を低減することができる。
A3縦〜B5縦間のサイズ紙は、例えば、B4縦(257mm幅)は「R1:R2=100:70」、A4縦(210mm幅)やリーガル縦(216mm幅)は「R1:R2=100:50」とする。B5縦以下のサイズ紙、例えば、葉書縦(100mm幅)は、「R1:R2=100:0」とする。このように、R2の比率を任意に設定して良い。
この発熱分布が長手方向で連続的に、又は段階的に異なる2つの抵抗発熱体の通電比率を変更して用いる構成と、従来の発熱分布が長手方向で均一なストレート形状の抵抗発熱体を用いる構成とを比較すると。前者の構成は、非通紙領域の抵抗発熱体の発熱量を減少させ、非通紙部昇温を低減できるので、スループットの低下を小さくすることができるため、生産性が向上した。すなわち、R2通電比率を小さくすることにより、非通紙部昇温が低減され、スループットをダウンさせるまでの小サイズ紙の通紙枚数を、より多くすることができるので生産性が向上する。
しかしながら、同じ小サイズ紙(例えばB5縦)の記録紙を定着する場合、非通紙領域の最大温度が所定温度となる時の第2の温度検知手段で検知する温度は、R1とR2の通電比率に応じて、大きく変わる。R1とR2の通電比率において、R2の通電比率を大きくすると非通紙部昇温が大きくなり、R2の通電比率を小さくすると記録紙端部における定着性が低下する。
従って、R2通電比率は、記録紙端部の定着性が維持できる最小値とするのが良い。よって、記録紙端部の定着性を維持するためには、記録紙のサイズに応じて通電比率を変更する必要がある。また、同じサイズにおいても、記録紙の種類によって定着性が異なるため、記録紙の重量や厚みに応じて通電比率を変更する必要がある。さらには、記録紙の重量や厚みが同じでも、上質紙のように表面が平滑な記録紙は定着性が良く、ボンド紙のような表面に凹凸がある記録紙は定着性が悪いので、記録紙の表面性に応じて通電比率を変更する必要がある。さらには、定着性に関係する要因、例えばプロセススピード(定着装置又は画像形成装置の記録紙搬送スピード)や、定着温度等によっても定着性が異なるので、R1とR2の通電比率を変更する必要がある。ここで、定着性とは、トナーと記録紙との接着力である。
このような定着条件に応じて、複数の抵抗発熱体の通電比率を変更する定着装置において、第2の温度検知手段で検知する閾値温度が一定のままでは、非通紙領域の温度を所定温度以下に維持し、かつスループット最大化(生産性最大化)を図ることが困難である。
そこで本発明は、非通紙領域の温度を所定温度以下に維持して、定着装置部材の熱劣化やホットオフセットを防止し、かつスループット最大化を図る定着装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明に係る定着装置及び画像形成装置の代表的な構成は、加熱体と、加熱体に当接して記録紙を搬送する定着ベルトと、前記定着ベルトを前記加熱体に密着させて定着ニップ部を形成する加圧部材と、加熱体または定着ベルトの通紙されうる全ての記録紙に対しての通紙領域に配置される第1の温度検知手段と、加熱体または定着ベルトの少なくとも通紙されうる最小通紙幅の記録紙に対しての非通紙領域に配置される第2の温度検知手段と、を有し、前記定着ニップ部で未定着画像を担持した記録紙を挟持搬送し、加熱及び加圧により未定着画像を記録紙に定着させる定着装置において、前記加熱体は、長手方向基準位置から長手方向端部にかけて単位長さ当たりの抵抗値が連続的に、又は段階的に小さくなる領域を含む第一の抵抗発熱体と、長手方向基準位置から長手方向端部にかけて単位長さ当たりの抵抗値が連続的に、又は段階的に大きくなる領域を含む第二の抵抗発熱体と、を短手方向に配列しており、前記第1の温度検知手段が検知する温度が所定の定着温度となるように、前記抵抗発熱体に供給する電力を制御する電力供給制御手段と、定着条件としてのプロセススピード、記録紙の幅、記録紙の長さ、記録紙の厚み、記録紙の重量、記録紙の表面性、連続プリント枚数、定着装置部材の初期温度、定着温度、環境、片面/両面プリントのうち、少なくとも2つ以上の条件によって、前記第一及び第二の抵抗発熱体の通電比率を変更する通電比率制御手段と、を有し、前記第一及び第二の抵抗発熱体の通電比率と、前記加熱体または定着ベルトの非通紙領域の上限温度とに応じて、前記第2の温度検知手段が検知する閾値温度を変更し、前記第2の温度検知手段が検知する温度が所定の閾値温度となった時に、単位時間当たりに定着処理を行う記録紙の枚数を変更することを特徴とする。
本発明によれば、非通紙領域の温度を所定温度以下に維持して、定着装置部材の熱劣化やホットオフセットを防止し、かつスループット最大化を図ることができる。
[第一実施形態]
本発明に係る定着装置及び画像形成装置の第一実施形態について、図を用いて説明する。
<画像形成装置>
図15は、本実施形態に係るタンデム型中間転写方式のカラー画像形成装置の模式的断面図である。
図15に示すように、カラー画像形成装置は、画像形成手段であるブラック(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の画像形成部、中間転写ベルト40、2次転写ローラ23、定着装置100で構成される。
先ず、イエロー(Y)画像形成部について説明する。感光ドラム1Yが矢印A方向に回転し、帯電ローラ2Yにより感光ドラム1Y表面が一様均一に帯電される。露光装置3Yが画像情報に応じたレーザー光を感光ドラム1Y表面に照射することにより、感光ドラム1Y上に静電潜像が形成される。静電潜像は、現像装置4Yによりイエロートナーが現像されることで、感光ドラム1Y上にイエロートナー画像が形成される。感光ドラム1Y上のイエロートナー画像は、1次転写ローラ15Yにより、矢印B方向に回転する中間転写ベルト40上に1次転写される。
1次転写を終了した感光ドラム1Yは、感光ドラム1Y上の1次転写残トナーを感光ドラムクリーニング装置7Yにより除去した後、次の画像形成に備える。
同様に、各々の画像形成部において、マゼンタトナー画像、シアントナー画像、ブラックトナー画像が順に、中間転写ベルト40上の前記イエロートナー画像に重ねて、1次転写される。
1次転写で形成された中間転写ベルト40上の4色の重ね合わせトナー画像は、2次転写ローラ23によって、記録紙P上に一括して2次転写された後、定着装置100に搬送され、記録紙P上にカラー画像が定着される。
2次転写を終了した中間転写ベルト40は、中間転写ベルト40上の2次転写残トナーを中間転写ベルトクリーニング装置30により除去した後、次の画像形成に備える。
なお、上記画像形成装置は、タンデム型と呼ばれ、複数の画像形成部が配置され、ほぼ中間転写ベルト1回転で1画像を形成できるため、高速化に適している。また、その他の一般的に使用されている白黒画像形成装置や1ドラム型のカラー画像形成装置を用いても良い。
<定着装置>
図2は定着ベルト加熱方式の定着装置100の模式的断面図である。
図2に示すように、定着装置100は、セラミックヒータ(加熱体)105と、定着ベルト(定着部材)103と、加圧ローラ(加圧部材)102と、サーミスタ101a、101bと、ホルダ(支持体)104とを備えている。
サーミスタ101a、101bは、ヒータ105の温度を検知する第1及び第2の温度検知手段である。ホルダ104は、ヒータ105の支持及び定着ベルト103の回転移動のガイドを兼ねる。
図3はヒータ105の模式的断面図である。図4(a)は従来のヒータ105の定着ベルト103の逆側の模式図である。図4(b)はヒータ105にサーモスイッチ120を当接した、従来のヒータ105の定着ベルト103の逆側の模式図である。図5はヒータ105の定着ベルト103側の模式図である。
ヒータ105は、定着ベルト103の回転方向(記録紙Pの移動方向)に直交する方向を長手とする低熱容量の横長の面状加熱体である。
図3に示すように、ヒータ105は、アルミナ(Al)や窒化アルミニウム(AlN)等のセラミックスを主成分とするセラミックス材や金属材等のヒータ基板(セラミックヒータ基板や金属ヒータ基板)106で構成される。ヒータ基板106は、窒化アルミニウムの熱伝導率約100W/(m・K)、厚み0.7mm、幅12mm、長さ400mmである。
図3、図4(a)、図4(b)に示すように、ヒータ基板106の定着ベルト103の逆側は、2本の抵抗発熱体108と導電パターン109とを、スクリーン印刷により塗工・焼成している。また、抵抗発熱体108上に絶縁層及び保護層としてのガラス層107(厚み約50μm)が被覆されている。

抵抗発熱体108は、A3縦が定着できるように、長さ320mmとした。抵抗発熱体108は、TaSiO、AgPd、TaN、RuO又はニクロム等の電気抵抗材料を抵抗調整して、厚み20μm、幅2mmを、隙間1mmで折り返したものである。導電パターン109は、抵抗発熱体108に電力を供給するための導電材料である。
なお、抵抗発熱体108を、ヒータ基板106の定着ベルト103側に形成しても良い。
図4(b)に示すように、サーモスイッチ120は、ヒータ105に当接されており、定着温度よりも高い所定温度で、抵抗発熱体に供給する電力を遮断する。サーモスイッチ120は、抵抗発熱体に供給する電力を制御する電力供給制御手段(CPU203)が故障し、ヒータ105が暴走した場合の安全手段である。
ヒータ105のサーモスイッチ120当接部は、サーモスイッチ120に熱が奪われて低温となるため、定着不良の問題が発生する。そこで、サーモスイッチ120当接部で、抵抗発熱体の幅を局所的に小さくして、抵抗値を大きくする。これにより、抵抗発熱体の発熱量を局所的に大きくして、サーモスイッチ120に奪われる熱量を補い、定着不良を防止できる。このような「局所的な」抵抗発熱体の抵抗値変化、又は発熱量変化は、本発明の「連続的な、又は段階的な」抵抗発熱体の抵抗値変化、又は発熱量変化とは異なるので、以降の図や説明から省くこととする。
図3、図5に示すように、ヒータ基板106の定着ベルト103側には、摺動層110が被覆されている。摺動層110は、定着ベルト幅方向において定着ベルト103を覆う。摺動層110は、定着ベルト103内面との摺動性を向上させるため、ポリイミド(PI)を主成分とする。
定着ベルト103の内面には、ヒータ105の摺動層110との間に、潤滑油としての耐熱性グリース(不図示)を約1000mg程度、略均一に塗布してある。なお、摺動層110として、ポリイミドを被覆したが、他の耐熱性材料を用いても良い。
図2に示すように、定着ベルト103は、その内周長がホルダ104の略外周長より若干長く採られており、ホルダ104に無張力にて外嵌されている。
図6は定着ベルト103の模式的断面図である。
図6で示すように、定着ベルト103は、ベース層103a(定着ベルト基材)上に、耐熱弾性層103bを被覆し、さらに耐熱離型層103cを被覆した無端ベルトである。ベース層103aとして、ポリイミド等の耐熱樹脂材よりも高熱伝導率である金属材の円筒状SUS材(厚み40μm、内径30mm、長さ340mm)を用いている。耐熱弾性層103bとして、画像光沢均一性向上のため、厚み300μmのシリコーンゴムを用いている。耐熱離型層103cとして、トナーTとの離型性を向上させるため、厚み30μmのPFAチューブを用いている。かかる構成により、クイックスタート性を向上させるために低熱容量化を図っている。一般的に、カラー画像形成装置には、耐熱弾性層を配置した定着ベルトを採用し、白黒画像形成装置には、耐熱弾性層が無い定着ベルトを採用する。
定着ベルト103は、厚み200μm以下、好ましくは20〜80μm程度の耐熱素材たるPTFE、PFA又はFEP等を主成分とする無端帯状体であるという単層構造であってもよい。また、定着ベルト103は、ベース層としての無端帯状体の外周面に、耐熱離型層を被覆するという複層構造や、ベース層の上に弾性層を被覆する構造も使用できる。ベース層には、ポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK、PES又はPPS等の耐熱樹脂材やSUS等の金属材を主成分とするものがある。耐熱離型層には、PTFE、PFA又はFEP等を主成分とするものがある。
図2に示すように、加圧ローラ102は、芯金102aに耐熱弾性層102bを被覆し、さらに耐熱離型層を被覆して硬度を下げた弾性ローラである。加圧ローラ102は、耐熱弾性層部長さ330mm、外径25mmである。加圧ローラ102の耐熱弾性層部長さは、ヒータ105の抵抗発熱体108が内側に入るように設計される。
芯金102aの直径は、18mmである。耐熱弾性層102bは、シリコーンゴムにてなるが、フッ素ゴム等を用いてもよい。耐熱離型層(フッ素樹脂層)は、厚み50μmのPFAチューブである。PTFE、PFA、FEP等のフッ素樹脂層を設けることにより、表面性及びトナーTに対する離型性が向上する。
ヒータ105及び定着ベルト103は、定着装置100に設けられた加圧機構(不図示)により、加圧ローラ102に加圧される。互いに圧接された定着ベルト103と加圧ローラ102との間には、未定着トナー画像を担持した記録紙Pが通紙される定着ニップ部Nが形成される。
また、加圧ローラ102は、定着装置100の外部に設けられた駆動機構(不図示)から駆動力を受けることにより搬送方向(矢印Y方向)に回転駆動される。加圧ローラ102の回転駆動により、加圧ローラ102と定着ベルト103の外周面の摩擦力で定着ベルト103に回転力が作用する。これにより、定着ベルト103の内周面が、定着ニップ部Nにおいて、ヒータ105に密着・摺動しながら、搬送方向(矢印X方向)に加圧ローラ102の周速度と略同じ周速度をもってホルダ104の外回りを回転状態になる。
定着ニップ部Nへ突入を開始した記録紙Pは、定着ベルト103及び加圧ローラ102に挟持・搬送されながら、ヒータ105の加熱により溶融・加圧された未定着トナー画像(未定着画像)を、定着画像として定着される。
(電力供給制御手段)
従来の抵抗発熱体108への電力供給制御手段について、図7(a)に基づいて説明する。図7(a)は、商用電源201から抵抗発熱体108への電力供給経路を示す模式図である。
図7(a)に示すように、抵抗発熱体108は、トライアック200を介して、画像形成装置に接続される商用電源201から電力供給を受けるようになっている。商用電源201から抵抗発熱体108への電力供給は、処理装置(CPU)203により制御されている。
ヒータ105上の通紙領域には、ヒータ105の温度情報(アナログ情報)を検知するサーミスタ(第1の温度検知手段)101aが配置されている。ここで、通紙領域とは、セラミックヒータ105または定着ベルト103の通紙されうる全ての記録紙が通紙する領域をいう。サーミスタ101aは、ヒータ105を定着温度に制御するヒータ温度制御用サーミスタである。
サーミスタ101aにより検知されたアナログ情報は、A/D変換回路202によりデジタル情報に変換され、CPU203に入力される。CPU203は、入力されたヒータ105の温度情報と所定の目標とする定着温度とを比較する。そして、その差分から、トライアック200を介して、商用電源201から抵抗発熱体108への供給電力をPID制御(比例、微分、積分制御)し、ヒータ105の温度が所定の定着温度になるように制御する。ヒータ105の温度を所定の定着温度に制御することにより、定着ベルト103の表面温度は、トナーを記録紙に定着可能な所定温度に制御される。
(電力供給手段による電力供給量調節方法)
図8(a)、図8(b)は、電力供給手段による電力供給量調節方法の一例として位相制御を示す模式図である。
CPU203は、ヒータ105の温度情報を所定周期毎に監視し、所定周期毎に抵抗発熱体108への供給電力を補正する。本実施形態では、所定周期期間において、商用電源201から入力される交流電源の位相範囲を決定する位相制御を採用している。
この位相制御は、図8(b)で示すように、交流電源の半波において、ゼロクロス検知からK(msec)後に出力をONするように、位相範囲を変化させて、電力を制御する。例えば、図8(a)で示すように、K=0msecで全ON(100%電力)、K=5msec(50Hz時)又は4.167msec(60Hz時)で50%電力、K=10msec(50Hz時)又は8.333msec(60Hz時)で0%(OFF)である。
本実施形態は、図8(a)で示すように、所定周期期間を、4半波(40msec/50Hz時、33.33msec/60Hz時)とすると、4半波毎に、サーミスタ101aの検知温度に応じて、Kの時間を変化させる。そして、図18で示すように、電力を例えば5%刻みで変化させて、ヒータ105を所定の定着温度に制御する。
図8(a)は、全ON=100%電力に対して、電力を50%とする位相制御の50%電力を示している。図18は、電力%と位相角、及びゼロクロスからの時間の関係の一例を示す。
図9は、電力供給制御手段による電力供給量調節方法の他の一例として波数制御を示す模式図である。
所定周期に亘る商用電源201から抵抗発熱体108への供給電力量の調節は、図8に示すような位相制御に限定されるものではない。例えば、図9で示すように、商用電源201から入力される交流電源の半波毎に商用電源201から抵抗発熱体108への電力供給に供されるか否かを選択する波数制御という制御方法もある。
図9の制御では、所定周期期間を14半波(140msec/50Hz時、116.67msec/60Hz時)とし、14半波毎にサーミスタ101aの検知温度に応じて、ON半波数とOFF半波数とを変化させて、ヒータ105を所定の定着温度に制御する。14半波の内、7半波をON、7半波をOFFとすることで、14半波全ON=100%電力に対して、電力を50%とする波数制御である。
本実施形態で採用した位相制御は、波数制御と比較して、例えば図8(a)と図18、及び図9の場合、電力を微小単位で変化させて制御できる(位相制御:5%刻み、波数制御:約7%刻み)。
さらに波数制御は半波毎にONとOFFが繰り返されるのに対して、位相制御は半波内でON/OFFできる。このため、位相制御は、定着装置100で使用する電流変化を小さくでき、電流変化による蛍光灯のちらつき(フリッカー)を小さくできる。しかしながら、位相制御は、ノイズ(高調波電流等)の発生が多いため、回路上に高価なフィルター等が必要になる。
波数制御は、位相制御と比較して、定着装置で使用する電流変化が大きいので、この電流変化による蛍光灯のちらつき(フリッカー)が大きいという欠点を持つ。しかし、ノイズ(高調波電流等)の発生が少ないため、回路上に高価なフィルター等が不要で安価である利点を持つ。
また、波数制御は、所定周期期間が長いほど、所定周期期間内の半波数が多くなるので、電力を微小単位で変化させる利点を持つ。しかしながら、所定周期期間が長くなるほど、ヒータ105の温度変動に対しての応答性が悪くなる欠点を持つ。逆に、波数制御は、所定周期期間が短いほど、所定周期期間の半波数が少なくなるので、電力を微小単位で変化させることができなくなるが、所定周期期間が短いので、定着ヒータの温度変動に対して応答性が良くなる。
従って、波数制御は、このトレードオフの関係において、適度な所定周期期間を、定着装置構成に合わせて選択する必要がある。位相制御と波数制御のどちらを採用するかは、定着装置構成、及び画像形成装置構成や電源電圧(100Vや120V、220Vや240V)等に応じて、任意に選択すると良い。
第2の温度検知手段としてのサーミスタ101bは、ヒータ105の非通紙領域の温度を検知するサーミスタである。定着ニップ部Nに記録紙として小サイズ紙が通紙された場合、定着ベルト103、ヒータ105、加圧ローラ102の非通紙領域の温度が上昇する。ここで、非通紙領域とは、ヒータ105または定着ベルト103の少なくとも通紙されうる最小通紙幅の記録紙が通紙されない領域をいう。
定着装置部材(定着装置の構成部材)の破損や記録紙P端部のホットオフセットが発生することを防止するため、サーミスタ101bで非通紙領域の温度を測定する。所定の閾値温度を検知すると、スループット制御手段(不図示)により、単位時間当たりに定着処理を行う記録紙Pの枚数を変更する非通紙部昇温防止制御が行われる。
スループット制御手段(不図示)は、給送間隔を広げて、定着ニップ部Nに挿入する記録紙の間隔を広げる。なお、スループット制御手段は、これに限定されるものではなく、プロセススピード(記録紙搬送スピード)を遅くする等、単位時間当たりに定着処理を行う記録紙の枚数を変更する手段であればよい。
図2の定着装置100で、サーミスタ101aで定着温度としてヒータ温度を200℃に設定した場合、プロセススピード=100mm/sec(A4横で約20ppm)で、記録紙を連続通紙する。すると、通紙領域の定着ベルト103表面温度は、約160℃〜170℃となり、ヒータ温度に対して、通紙領域の定着ベルト表面温度は約30〜40℃低下した温度となる。ここで、ppm=Page Per Minute(1分間当たりの通紙枚数)である。
<非通紙部昇温>
次に、非通紙部昇温に関して説明する。定着ベルト(フィルム)加熱方式の定着装置において、「非通紙部昇温」の問題がある。
すなわち、記録紙搬送方向と直交する方向の幅が狭い記録紙(いわゆる小サイズ紙)として、例えばB5縦(182mm幅)を、A3縦(297mm幅)がプリント可能な画像形成装置で連続通紙する。この場合、加熱体の発熱領域(抵抗発熱体領域)かつ非通紙となる領域で、定着装置部材(加熱体、定着ベルト、加圧ローラ)の昇温が発生する。
非通紙領域が高温になると、定着装置部材の熱劣化による破損が発生してしまう。例えばより具体的には、加熱体としてのヒータ105が高温になると、例えば、潤滑油としての耐熱性グリースが熱劣化して油分が揮発し、摺動層110の磨耗が速くなる。そして、定着ベルト103のベース層103aとしてのSUS層が磨耗して、定着ベルト103が破断して、目標とする寿命に到達できなくなる。また、サーミスタ101bにおいて、サーミスタ101bの耐熱温度を超えて破損した場合、正確に温度を検知できなくなる。また、定着ベルト103が高温になると、ベース層103aと耐熱弾性層103bとの接着剤、又は耐熱弾性層103bと耐熱離型層103cとの接着剤が熱劣化して、各層が剥がれてしまい定着ベルト103が破損してしまう。また、耐熱弾性層103bの熱劣化による破断、耐熱離型層103cの溶融による離型性の低下等が発生する。また、加圧ローラ102が高温となると、定着ベルト103と同様に、接着剤の熱劣化による各層の剥がれ、耐熱弾性層の破断、離型層の溶融等が発生する。
さらに、非通紙部昇温の問題として、非通紙領域の熱が定着装置部材を介して、通紙領域端部(記録紙端部)に回り込み、記録紙端部のトナーが過溶融となり、過溶融トナーが定着ベルトに付着する。定着ベルトに付着した過溶融トナーは、定着ベルト1周後に、再び記録紙へ転移して定着され、記録紙を汚してしまう(ホットオフセット現象)。
この非通紙部昇温は、全ての加熱方式の定着装置で発生する現象である。定着ベルト(フィルム)加熱方式の定着装置は、熱ローラ定着装置と比較して、熱容量の小さい加熱体や定着ベルトを採用している。このため、特に非通紙部昇温が顕著に発生し易い。
図11は従来の抵抗発熱体の長手における非通紙部昇温を説明する模式図である。なお、図11は中央通紙基準の例を示す。
図11に示すように、通紙領域の加熱体温度(ヒータ105温度)は、記録紙、例えばB5縦に熱量が奪われながらも供給される電力(供給される熱量)によって、所定の定着温度D1となるように電力供給制御される。一方、非通紙領域では、熱量が奪われない上に、抵抗発熱体から熱量が供給されるため、定着温度より昇温して、D2温度まで上昇してしまう。
D2温度は、非通紙領域上限温度であり、定着装置に応じて、定着装置部材の耐熱温度又はホットオフセット発生温度等から任意に設定される。
この上限温度D2が定着装置部材の耐熱性で決定される定着装置では、例えば定着ベルトの耐熱弾性層の耐熱温度が表面温度で230℃の場合には、前記耐熱弾性層の表面温度が230℃となる温度として、ヒータ105温度でD2=260℃と設定する。耐熱弾性層の無い定着ベルトにおいては、耐熱離型層、例えばPFAチューブの耐熱温度が260℃の場合には、前記耐熱離型層が260℃となる温度として、ヒータ105温度でD2=280℃に設定する。
また、トナーの物性にもよるが、非通紙部の高温となった熱が定着ベルト103、ヒータ105や加圧ローラ102を介して通紙領域に回り込み、記録紙P端部のトナーがホットオフセットを発生することを防止する上限温度とする。この場合には、ホットオフセットが発生しない非通紙部温度の上限温度が例えば定着ベルト103表面温度で210℃の定着装置の場合には、ヒータ105温度でD2=240℃に設定する。
この時の、サーミスタ101bで検知される温度D3を閾値温度とする。サーミスタ101bが温度D3を検知すると、記録紙の給送間隔を変更するスループット制御手段(不図示)によって、記録紙間距離(時間)を広くするように、給送間隔を広げることで、非通紙領域の温度をD2温度以下となるように制御する。給送間隔を広げると同時に、定着温度を低下させても良い。
具体的に、例えば本実施形態では、プロセススピード=100mm/sec(A4横で20ppm)、紙間:90mm、紙間一定でB5縦は約17.3ppmである。B5縦のプリント開始時は、約17.3ppmのスループットとし、非通紙部昇温が発生して、サーミスタ101bが閾値温度を検知した時点以降、スループット制御手段によって、記録紙の給送間隔を広げる。これにより、例えば10ppmにスループットをダウンさせて、非通紙部昇温を防止する。
なお、非通紙領域において、抵抗発熱体の端部で加熱体温度が若干低下するのは、端部から熱の放熱が発生しているためである。
<通電比率と閾値温度>
そこで、本実施形態は、非通紙部昇温を低減する方法として、図1で示す長手方向に連続的に単位長さ当たりの抵抗値が変化する複数の抵抗発熱体を配置したヒータを用いる。
図1は本実施形態のヒータ105aの定着ベルト103と逆側の抵抗発熱体の模式図である。
図1に示すようにヒータ105aは、抵抗発熱体が短手方向に3本配置(配列)されている。両側2本の第一の抵抗発熱体401(R1)は、中央部で抵抗値が大きく(中央部で発熱量が大きく)端部で抵抗値が小さい(端部で発熱量が小さい)。中央1本の第二の抵抗発熱体402(R2)は、中央部で抵抗値が小さく(中央部で発熱量が小さく)端部で抵抗値が大きい(端部で発熱量が大きい)。すなわち、抵抗発熱体401は長手方向基準位置から長手方向端部にかけて単位長さ当たりの抵抗値(発熱量)が小さくなる。抵抗発熱体402は長手方向基準位置から長手方向端部にかけて単位長さ当たりの抵抗値(発熱量)が大きくなる。
端部高発熱の第二の抵抗発熱体402(R2)がトライアック200bに接続されている。中央高発熱の第一の抵抗発熱体401(R1)がトライアック200aに接続されている。
本実施形態の抵抗発熱体への電力供給制御手段について、図7(b)に基づいて説明する。図7(b)は、本実施形態における商用電源201から抵抗発熱体への電力供給経路を示す模式図である。
図7(b)に示すように、図7(a)のトライアック200を2個のトライアック200a、200bに変えている。従って、図1で示す両側2本の抵抗発熱体401と中央1本の抵抗発熱体402は、それぞれトライアック200aと200bに接続され、独立に電力供給手段に接続されているため、CPU203により、異なる電力を独立に供給できるようになっている。通電比率制御手段としての処理装置(CPU)204がCPU203に接続され、トライアック200aと200bの通電比率(即ちR1とR2の通電比率)を独立に制御できるような構成となっている。
本実施形態では、CPU204をCPU203と別個に配置したが、電力供給制御手段としてのCPU203の中に、CPU204の通電比率制御手段の機能を組み込んで、CPU203が通電比率制御手段を兼ねる構成としても良い。
図1のヒータ105aは、短手方向に対称に抵抗発熱体が基板106に配置されている。このため、朝一やスリープ状態等の室温からのヒータ立ち上げ時に、図1のヒータ105aは、短手方向で温度分布に偏りが小さいため、熱応力が小さく、ヒータ割れが発生しにくい。
ヒータ105aは、抵抗発熱体の抵抗値を連続的に、又は段階的に変化させるのに、抵抗発熱体の厚みを一定として、短手方向の幅を連続的に、又は段階的に長手方向で変化させる方法を用いている。又、抵抗発熱体の短手方向の幅を一定として、厚みを連続的に、又は段階的に長手方向で変化させる方法や、抵抗発熱体の幅と厚みを一定として、抵抗発熱体材料自体の抵抗値を連続的に、又は段階的に長手方向で変化させる方法を用いても良い。
本実施形態では、抵抗発熱体が3本配置された短手方向に対称で、抵抗発熱体の厚みを一定として、短手方向の幅を長手方向で連続的に変化させることにより、抵抗値を変化させる図1で示すヒータ105aを用いた。
抵抗発熱体401及び402の長手方向の長さは、A3縦が定着できるように、320mm幅とした。
図13は、図1で示すヒータ105aでの抵抗発熱体の長手における非通紙部昇温を説明する模式図である。図1で示す両側2本の中央高発熱の抵抗発熱体401の通電比率=R1、中央1本の端部高発熱の抵抗発熱体402の通電比率=R2とする。
図13は、図11の従来例と同様に、小サイズの記録紙、例えばB5縦を連続通紙して、非通紙部温度がD2温度となる状態であり、CPU204の通電比率制御手段により、R1とR2の通電比率を変化させた場合を示す。実線(1)がR1:R2=100:100、中太線(2)がR1:R2=100:50、大太線(3)がR1:R2=100:0を示す。
本実施形態での通電比率は、位相制御の電力%の比率とした。電力%と位相角、及びゼロクロスからの時間の関係を図18に示す。電力%は、位相制御における抵抗発熱体へ供給する電力Wの比率を示し、実際のR1とR2の電力Wは、R1とR2の電力%によって決定されるものである。従って、電力%と実際のR1及びR2の電力Wとは異なる。
例えば、定格電圧時の電力100%時にR1=700W、R2=400Wの抵抗発熱体において、総電力(R1電力+R2電力)として、例えば約600W以上必要とする。これは、通紙領域のサーミスタ101aの検知温度を所定の定着温度に維持するためである。この時、(2)の「R1:R2=100:50」の場合、例えばR1=電力70%=490Wの時に、R2=電力35%=140W、総電力=630Wとする。同様に、(1)の「R1:R2=100:100」の場合、例えばR1=電力55%=385Wの時に、R2=電力55%=220W、総電力=605Wとする。同様に、(3)の「R1:R2=100:0」の場合、例えばR1=電力90%=630Wの時に、R2=電力0%=0W、総電力=630Wとする。
なお、図1の連続的又は段階的に抵抗値が変化する変化量、及び、各抵抗発熱体の抵抗値(電力W)は、定着装置構成に応じて、任意に設定して良い。通電比率「R1:R2=100:100」の場合に、発熱体領域又は最大サイズの通紙幅領域において、長手方向で発熱量が均一となるように、抵抗値の変化量を決定すると良い。また、発熱抵抗体の抵抗値(電力W)は、通紙時に、サーミスタ101aの検知温度が定着温度を維持するのに、十分余裕を持った電力Wとなるような抵抗値を設定すると良い。
なお、本実施形態においては、通電比率「R1:R2=100:100」の時に、最大サイズであるA3縦の通紙領域において、長手方向の加熱体温度が略均一となるように抵抗発熱体401及び402が設計されている。
図13で示すように、(1)は従来例の図11と同等レベルであり、B5縦10枚で非通紙部温度がD2温度となる。サーミスタ101bの閾値温度D3で、スループット制御手段(不図示)により、紙間を広げるように給送間隔を広げて、スループットを例えば約17.3ppmから10ppmにスループットダウンする必要がある。
(2)はB5縦50枚で非通紙部温度がD2温度となり、この時のサーミスタ101bの閾値温度D4で、スループット制御手段により、スループットを例えば約17.3ppmから10ppmにスループットダウンする必要がある。
(3)はB5縦100枚で非通紙部温度がD2となり、この時のサーミスタ101bの閾値温度D5で、スループット制御手段により、スループットを例えば約17.3ppmから10ppmにスループットダウンする必要がある。このように、R2の通電比率を小さくすると、抵抗発熱体端部の発熱量が減少するので、非通紙部昇温が小さくなり、スループットダウンさせるまでの通紙枚数が多くなり、即ち生産性が向上する。
図13で示すように、R1とR2の通電比率を変更することにより、非通紙領域のヒータ105a温度が所定温度D2到達時に、サーミスタ101bで検知する温度が大きく変化してしまう。これは、本実施形態の中央通紙基準のヒータ105において、次のような抵抗発熱体401、402を用いていることによる。抵抗発熱体401は、抵抗発熱体の抵抗値(発熱量)が中央から端部にかけて、単位長さ当たりの抵抗値(発熱量)が連続的に小さくなる。抵抗発熱体402は、単位長さ当たりの抵抗値(発熱量)が連続的に大きくなる。
従って、このようなR1とR2の通電比率を変更する構成においては、サーミスタ101bで検知する閾値温度が一定のままでは、非通紙領域の温度を所定温度以下に維持することが困難であり、又はスループットが必要以上に低下して生産性が低下してしまう。
例えば(1)「R1:R2=100:100」の時に閾値温度をD5とした場合、非通紙領域の温度がD2に達する以前の通紙開始からすぐにスループットダウンして、生産性が低下してしまう。逆に、例えば(3)「R1:R2=100:0」の時に閾値温度をD3とした場合、非通紙領域の温度がD2を超えてもスループットダウンせずに、定着部材の熱劣化による破損、又はホットオフセットが発生してしまう。
よって、非通紙領域の温度を所定温度以下に維持する、又はスループット最大化のためには、前記通電比率に応じて、前記閾値温度を変更することが必要である。
ここで、R1とR2の通電比率は、下記の定着条件のうち、少なくとも2つ以上の条件によって決定され、その通電比率と、非通紙領域の上限温度とに応じて、閾値温度を決定する。定着条件としては、プロセススピード(記録紙搬送スピード)、記録紙の幅、記録紙の長さ、記録紙の厚み、記録紙の重量、記録紙の表面性、連続プリント枚数、定着装置部材の温度、定着温度、環境、両面プリントがある。
前述したように、R1とR2の通電比率において、R2通電比率を大きくすると、抵抗発熱体端部の発熱量が大きく、非通紙部昇温が大きくなる。このため、定着装置部材の熱劣化や記録紙端部のホットオフセットが発生し易くなり、スループットダウンさせるタイミングを速くする必要があるので、生産性が低下する。
逆に、R2通電比率を小さくすると抵抗発熱体端部の発熱量が小さく、非通紙部昇温が小さくなる。このため、スループットダウンさせるタイミングを遅くでき、生産性が向上する。しかしながら、R2通電比率を小さくすると、ヒータの発熱量が端部に行くに従って小さくなるので、記録紙端部における定着性が低下する。
従って、R2通電比率は、記録紙端部の定着性が維持できる最小値とするのが良い。よって、記録紙端部の定着性を確保するためには、記録紙のサイズ、即ち記録紙の幅に応じて通電比率を変更する必要がある。これは、記録紙の幅が大きい場合には、R2の通電比率を大きくする必要があり、記録紙の幅が小さい場合には、R2の通電比率を小さく設定できる。
前記定着条件による通電比率の変更と、通電比率と非通紙領域の上限温度とに応じた閾値温度の変更に関して具体的に説明する。
(D2=定着装置部材の耐熱温度)
図19は、プロセススピード=100mm/sec、非通紙領域上限温度(非通紙領域のヒータ上限温度)D2=定着装置部材の耐熱温度=260℃、定着温度(通紙領域のヒータ温度)=210℃とした時のR1とR2の通電比率と閾値温度の一例を示す。上段にR1:R2の通電比率、下段に閾値温度を示す。定着条件は、記録紙の幅(紙幅)、記録紙の重量(紙重量)である。D2温度は、例えば定着ベルト103の耐熱弾性層103bの耐熱温度として、定着ベルト表面温度230℃となるヒータ温度260℃に設定されている。定着温度210℃は、210g/m以下の記録紙を定着できる温度に設定されている。「記録紙の幅」は、記録紙搬送方向と垂直方向における記録紙の長さである。
図19に示すように、R1とR2の通電比率は、記録紙の幅に応じて、記録紙端部の定着性が確保できる最小値となるように設定されるため、記録紙の幅が小さくなるに従い、R2の通電比率が小さくなっている。そして、その通電比率に応じて、非通紙領域のヒータ温度がD2温度以下、即ち260℃以下となるようにサーミスタ101bの検知温度である閾値温度が決定される。従って、記録紙の幅が小さくなるに従い、R2の通電比率が減少し、閾値温度も低下している。同じ記録紙の幅でも記録紙の重量に応じて、通電比率が異なるのは、記録紙の重量に応じて定着性が異なるためである。図19においては、210g/m以下の記録紙を定着できる温度に定着温度が設定されているため、110g/m以下の記録紙を定着するには若干高めの定着温度である。従って、定着性に余裕があるので、110g/m以下の記録紙に対して、R2の通電比率を小さくしても記録紙端部の定着性は十分確保できる。
よって、定着条件として、記録紙の幅、記録紙の重量に応じて、R1とR2の通電比率を変化させ、その通電比率と、D2温度とに応じて、閾値温度を変化させることにより、定着装置部材の熱劣化を防止し、スループット最大化を図ることができる。
記録紙の幅、記録紙の重量は、画像形成装置の検知手段(不図示)で検知しても良いし、ユーザーが画像形成装置に入力しても良い。
また、記録紙の幅(紙幅)が275mm以上でR1:R2=「100:100」の場合、抵抗発熱体401及び402は320mm幅である。よって、非通紙領域の抵抗発熱体長さは、22.5mm以下となり、非通紙領域幅が小さく、非通紙部昇温は、定着装置部材端部への放熱があるため、ほとんど発生しない。従って、記録紙の幅が275mm以上の場合には、スループットダウンさせる必要が無いので、スループット制御手段をOFFしても良い。本実施形態のように、閾値温度を270℃と非常に高く設定して、サーミスタ101bが検知しない温度としても良い。よって、この時の閾値温度を括弧()付きとしてある。
(D2=記録紙端部のホットオフセット発生温度)
図20は、ほぼ図19と同条件であるが、非通紙領域上限温度D2として、図19では「D2=定着装置部材の耐熱温度」としていたが、図20では「D2=記録紙端部のホットオフセット発生温度」とした一例である。定着条件は、記録紙の幅(紙幅)、記録紙の重量(紙重量)である。
図20で示すように、記録紙端部のホットオフセットを防止するため、例えば110g/m以下の記録紙の場合は、非通紙領域の定着ベルト表面温度を210℃以下となるようにD2=240℃に設定する。例えば111g/m以上の記録紙の場合は、非通紙領域の定着ベルト表面温度を220℃以下となるようにD2=250℃に設定する。記録紙の重量に応じてD2温度を変更するのは、軽い記録紙は定着性が良いのでホットオフセットが発生し易く、重い記録紙は定着性が悪いのでホットオフセットが発生し難いためである。記録紙の重量に応じて、ホットオフセット発生温度が異なるので、D2に温度差が発生する。
一般的に、定着装置部材の耐熱温度よりもホットオフセット発生温度の方が低いので、図20は、図19と比較して、R1とR2の通電比率は同じであるが、D2温度が低いため、閾値温度が低く設定されている。さらに、記録紙の重量に応じて、D2温度が異なるため、閾値温度も記録紙重量に応じて、異なる設定となっており、軽い記録紙に対しては閾値温度を低く設定して、重い記録紙に対しては閾値温度を高く設定する。これにより、ホットオフセットを防止し、スループット最大化を図ることができる。
(記録紙の重量)
図21は、ほぼ図20と同条件であるが、図20では定着温度を一定としていたが、図21では記録紙の重量に応じて、定着温度を変更した一例である。定着条件は、記録紙の幅(紙幅)、記録紙の重量(紙重量)、定着温度である。
一般的に、重い記録紙は、定着性が悪いために定着温度(ヒータ温度)を高く設定し、即ち定着ベルト表面温度を高く設定して定着性を確保する必要があるが、ホットオフセットが発生しにくく、ホットオフセット発生温度が高い。一方、軽い記録紙は、定着性が良いために定着温度(ヒータ温度)を低く設定し、即ち定着ベルト表面温度を低く設定しても定着性を確保できるが、ホットオフセットが発生し易く、ホットオフセット発生温度が低い。従って、重い記録紙を定着するのに必要な定着温度を、軽い記録紙に適用すると、ホットオフセットが発生し易くなる。よって、記録紙の重量に応じて、定着温度を変更することにより、小サイズの記録紙を連続通紙した時のホットオフセット発生までの枚数、即ち、スループットをダウンさせるまでの枚数をより多く確保することができる。
図21で示すように、図20と比較して、110g/m以下の記録紙の場合は、例えば定着温度を210℃から200℃に変更しているため、記録紙端部の定着性を確保するため、R2の通電比率を高く設定している。しかし、小サイズの記録紙を通紙して、非通紙領域の温度がD2へ上昇するまでの小サイズ紙の通紙枚数は、定着温度210℃の時よりも200℃の方がより多くできるので、スループット最大化を図ることができた。記録紙の幅が同一でも記録紙の重量によってR1とR2の通電比率が異なるのは、記録紙端部のヒータ温度、即ち記録紙端部の定着ベルト表面温度による定着性の影響度が重い記録紙の方が大きいためである。即ち、R2通電比率を小さくして、若干記録紙端部の定着ベルト表面温度を低下さても軽い記録紙では定着性の低下は少ないが、重い記録紙では定着性の低下が大きい。従って、軽い記録紙ではR2通電比率を小さくできるが、重い記録紙ではR2通電比率を大きくする必要がある。
よって、記録紙の幅、記録紙の重量、定着温度に基づくR1とR2の通電比率と、非通紙領域上限温度とに応じて、閾値温度を変更することにより、ホットオフセットを防止し、スループット最大化を図ることができる。
定着温度は、記録紙の重量に応じて画像形成装置が自動的に決定しても良いし、ユーザーが画像形成装置に入力しても良い。
また、図21では、記録紙の幅が同一でも記録紙の重量に応じて、R1とR2の通電比率を異ならせる構成としたが、制御を簡単にするため、記録紙の幅が同一の場合は記録紙の重量によらず、R1とR2の通電比率を同一として、閾値温度のみを変更する構成でも良い。
(記録紙の厚み)
図22は、ほぼ図21と同条件であるが、図21では記録紙の重量に応じて、R1とR2の通電比率及び閾値温度を変更する構成であるが、図22では記録紙の厚みに応じてR1とR2の通電比率及び閾値温度を変更する構成の一例である。定着条件は、記録紙の幅(紙幅)、記録紙の厚み(紙厚)、定着温度である。
一般的に、記録紙の厚みと、記録紙の重量は略比例関係である。厚い記録紙は、定着性が悪いために定着温度(ヒータ温度)を高く設定し、即ち定着ベルト表面温度を高く設定して定着性を確保する必要がある。しかし、ホットオフセットが発生しにくく、ホットオフセット発生温度が高い。一方、薄い記録紙は、定着性が良いために定着温度(ヒータ温度)を低く設定し、即ち定着ベルト表面温度を低く設定しても定着性を確保できる。しかし、ホットオフセットが発生し易く、ホットオフセット発生温度が低い。
従って、厚い記録紙を定着するのに必要な定着温度を、薄い記録紙に適用すると、ホットオフセットが発生し易くなる。よって、記録紙の厚みに応じて、定着温度を変更することにより、小サイズの記録紙を連続通紙した時のホットオフセット発生までの枚数、即ち、スループットをダウンさせるまでの枚数をより多く確保することができる。
図22で示すように、R1とR2の通電比率、及び閾値温度は、記録紙の厚みに応じて変更する構成となっている。
記録紙の幅が同一でも記録紙の厚みによってR1とR2の通電比率が異なるのは、記録紙端部のヒータ温度、即ち記録紙端部の定着ベルト表面温度による定着性の影響度が厚い記録紙の方が大きいためである。即ち、R2通電比率を小さくして、若干記録紙端部の定着ベルト表面温度を低下さても薄い記録紙では定着性の低下は少ないが、厚い記録紙では定着性の低下が大きい。従って、薄い記録紙ではR2通電比率を小さくできるが、厚い記録紙ではR2通電比率を大きくする必要がある。
よって、記録紙の幅、記録紙の厚み、定着温度に基づくR1とR2の通電比率と、非通紙領域上限温度とに応じて、閾値温度を変更することにより、ホットオフセットを防止し、スループット最大化を図ることができる。
記録紙の厚みは、画像形成装置の検知手段(不図示)で検知しても良いし、ユーザーが画像形成装置に入力しても良い。
図22では、記録紙の幅が同一でも記録紙の厚みに応じて、R1とR2の通電比率を異ならせる構成としたが、制御を簡単にするため、記録紙の幅が同一の場合は記録紙の厚みによらず、R1とR2の通電比率を同一として、閾値温度のみを変更する構成でも良い。
(記録紙の表面性)
図23は、ほぼ図21と同条件であるが、記録紙の表面性に応じて、R1とR2の通電比率及び閾値温度を変更する一例である。定着条件は、記録紙の幅(紙幅)、記録紙の重量(紙重量)、定着温度、記録紙の表面性(紙表面性)である。
一般的に、記録紙の重量が同一でも記録紙の表面性によって定着性が大きく異なる。記録紙の表面性が良い(平滑性が高い)と定着性が良く、記録紙の表面性が悪い(平滑性が低い、荒れている、凹凸がある)と定着性が悪い。
重量が同一で、通常の普通紙と称する表面が比較的平滑な記録紙と比較して、例えばボンド紙と称する記録紙は、表面が荒れていて定着性が悪い。また、普通紙と比較して、例えばコート紙と称する記録紙は、表面にコート処理が施され、記録紙表面が非常に平滑で定着性が良い。さらに、ボンド紙と比較して、例えばエンボス紙と称する記録紙は、型押し等により成形され、凹凸の段差が大きいので定着性が悪い。
これは、記録紙表面が平滑であるほど、未定着トナーが記録紙表面の凹部に落ち込まずに、定着部材(本実施形態では定着ベルト)と未定着トナーとの接触性が良いため、定着部材の熱を未定着トナーが十分受け取って溶融するために定着性が良い。一方、記録紙表面が荒れているほど、又は凹凸の段差が大きいほど、未定着トナーが紙表面や凹部に入りこみ、定着部材と未定着トナーの接触性が悪いため、定着部材の熱を未定着トナーが十分受け取ることができずに溶融しないために定着性が悪い。
エンボス紙のように凹凸の段差が大きい場合には、凸部の定着性は良いが、凹部は未定着トナーが定着部材と接触できないため、未定着トナーのままとなる場合もある。従って、記録紙の重量が同一でも記録紙の表面性に応じて、定着温度を変更する必要がある。
図23では、記録紙を表面性により分類し、例えば一般的な記録紙を普通紙、ボンド紙をラフ紙と称して、記録紙重量が同一でも普通紙モードとラフ紙モードの2種の定着モードを備えている。110g/m以下のボンド紙は、110g/m以上の普通紙と定着性が略同等のため、定着温度、R1とR2の通電比率、及び閾値温度、D2温度を、110g/m以上の普通紙と同じ設定としている。
このように、記録紙の幅、記録紙の重量、定着温度、記録紙の表面性に基づくR1とR2の通電比率と、非通紙領域上限温度とに応じて、閾値温度を変更する。これにより、表面性の異なる記録紙においても定着性を確保し、ホットオフセットを防止して、スループット最大化を図ることができる。
記録紙の表面性は、画像形成装置の検知手段(不図示)で検知しても良いし、ユーザーが画像形成装置に入力しても良い。一般的には、普通紙、コート紙、ラフ紙、エンボス紙等と称する記録紙の分類を、ユーザーが画像形成装置に入力し、それに応じて、画像形成装置が定着設定を変更する構成である。
(プロセススピード)
図24は、ほぼ図21と同条件であるが、プロセススピードに応じて、R1とR2の通電比率及び閾値温度を変更する一例である。定着条件は、記録紙の幅(紙幅)、記録紙の重量(紙重量)、定着温度、プロセススピード(P.S.)である。
例えば、600dpiの画像形成装置において、1200dpiの画像を出力するために、プロセススピード(記録紙搬送スピード)を600dpi時の半分として、画像形成スピードを低下させて出力する画像形成装置もある。このような画像形成装置においては、プロセススピードで定着性が異なるので、R1とR2の通電比率及び閾値温度を変更する必要がある。
一般的に、プロセススピードが速い場合には定着性が悪いので、定着温度を高く設定するとともに、R2通電比率を大きくして、記録紙端部の定着性を確保する。そして、ホットオフセット発生温度が高いので、閾値温度を高く設定する必要がある。一方、プロセススピードが遅い場合には定着性が良いので、定着温度を低く設定するとともに、R2通電比率を小さくしても、記録紙端部の定着を確保できる。そして、ホットオフセット発生温度が低いので、閾値温度を低く設定する必要がある。
図24で示すように、R1とR2の通電比率、及び閾値温度は、プロセススピードに応じて変更する構成となっている。
このように、記録紙の幅、記録紙の重量、定着温度、プロセススピードに基づくR1とR2の通電比率と、非通紙領域上限温度とに応じて、閾値温度を変更する。これにより、プロセススピードが変更された場合でも、ホットオフセットを防止して、スループット最大化を図ることができる。
(記録紙の長さ)
図25は、ほぼ図21と同条件であるが、記録紙の長さに応じて、R1とR2の通電比率及び閾値温度を変更する一例である。定着条件は、記録紙の幅(紙幅)、記録紙の重量(紙重量)、定着温度、記録紙の長さ(紙長)である。
ここで、「記録紙の長さ」は、記録紙搬送方向における記録紙の長さである。
一般的に、図2の定着装置100で示すような定着ベルト加熱方式の定着装置は、記録紙の先端部で定着性が良く、記録紙の後端部で定着性が悪い。これは、定着ニップ部Nの記録紙通過中は、加圧ローラ102の熱が記録紙に奪われて、加圧ローラ102表面温度が低下するため、記録紙後端部で定着性が悪い。一方、紙間では、高温の定着ベルト103と加圧ローラ102が接触して加熱されることにより、加圧ローラ102表面温度が上昇するため、記録紙先端部で定着性が良い。
従って、図25で示すように、記録紙の長さが短い場合には定着性が良いので、R2通電比率を小さくしても、記録紙端部の定着性が確保できる。そして、R2通電比率を小さくすると、閾値温度を小さくする必要がある。一方、記録紙長さが長い場合には定着性が悪いので、R2通電比率を大きくして、記録紙端部の定着性を確保する必要がある。そして、R2通電比率を大きくすると、閾値温度を大きくする必要がある。
従って、図25は、図21と比較すると、記録紙の長さが短い場合に、R2の通電比率を小さくすることにより、非通紙部昇温を低減でき、スループットをダウンさせるまでの通紙枚数がより多いので、スループット最大化できる利点を持つ。
このように、記録紙の幅、記録紙の重量、定着温度、記録紙の長さに基づくR1とR2の通電比率と、非通紙領域上限温度とに応じて、閾値温度を変更する。これにより、記録紙の長さが異なる場合に対して、記録紙後端部の定着性を確保するとともに、ホットオフセットを防止し、スループット最大化を図ることができる。
記録紙の長さは、画像形成装置の検知手段(不図示)で検知しても良いし、ユーザーが画像形成装置に入力しても良い。
(連続プリント枚数)
図26は、プロセススピード=100mm/sec、非通紙領域上限温度D2=記録紙端部ホットオフセット発生温度、記録紙の重量=64〜110g/mの時、連続プリント枚数に応じて、R1とR2の通電比率及び閾値温度を変更する一例を示す。定着条件は、記録紙の幅(紙幅)、定着温度、連続プリント枚数である。
一般的に、図2の定着装置100で示すような定着ベルト加熱方式の定着装置は、1枚の記録紙においては、前述したように、紙間で加圧ローラ102表面温度が上昇して、定着ニップ部Nの記録紙通過中に加圧ローラ102表面温度が低下する。そして、1ジョブ(1つのプリントジョブ)において記録紙を連続プリントする場合には、前記の紙間と定着ニップ部Nの記録紙通過中における加圧ローラ102表面温度の上昇と低下を繰り返す。そして、全体的には、加圧ローラ102表面温度が上昇するので、連続プリント枚数が増加すると定着性が良化する。
図14にこの様子を示す。図14は、室温からの立ち上げと連続プリント時の定着ベルト及び加圧ローラの表面温度A〜Dの推移を示す模式図である。計測した温度は、通紙領域の定着ベルト103表面温度(実線A)、非通紙領域の定着ベルト103表面温度(実線B)、通紙領域の加圧ローラ102表面温度(実線C)、非通紙領域の加圧ローラ102表面温度(実線D)である。
画像形成装置本体がプリント信号を受信すると、立ち上げ時にヒータ105aが室温から定着温度まで上昇する。定着ニップ部Nに記録紙が通紙されるプリント中も記録紙に奪われる熱量分がヒータ105aに供給されるため、ヒータ105aが定着温度に維持される。
よって、図14に示すように、通紙領域の定着ベルト103表面温度(実線A)は、立ち上げ時に所定温度まで上昇し、その後のプリント時も所定温度に維持される。
一方、非通紙領域の定着ベルト103表面温度(実線B)は、プリント時においても記録紙に熱が奪われないので、ヒータ105aに供給される熱量によって、前記所定温度を超えて、徐々に上昇する。
通紙領域の加圧ローラ102表面温度(実線C)は、立ち上げ時に、定着ニップ部Nにおいて定着ベルト103から熱供給を受けることにより、上昇する。そして、プリントが開始されると、図14の「P」で示す定着ニップ部Nの記録紙通過中においては、通過する記録紙に熱が奪われるために、加圧ローラ102表面温度が低下する。図14の「紙間」で示す記録紙と記録紙の間(紙間)においては、定着ニップ部Nにおいて、加圧ローラ102が定着ベルト103から熱供給を受けて、加圧ローラ102表面温度は上昇する。記録紙の連続プリントによって、この加圧ローラ102表面温度の上昇と低下を繰り返すことにより、全体的には、加圧ローラ102表面温度が上昇することにより、定着性が上昇する。
一方、非通紙領域の加圧ローラ102表面温度(実線D)は、プリント時においても記録紙に熱が奪われないので、ヒータ105aに供給される熱量によって温度上昇する非通紙領域の定着ベルト103から熱供給を受けることにより、徐々に上昇する。
この連続プリント時における全体的な通紙領域の加圧ローラ102表面温度上昇による定着性の上昇を補正し、定着性を一定に維持する。このため、例えば連続プリント枚数に応じて、定着温度(ヒータ105a温度)を低下させる、即ち定着ベルト103表面温度を低下させる「枚数制御」が提案され、実用化されている。
従って、通紙領域の加圧ローラ102表面温度の全体的な上昇により定着性が上昇し、さらに同時に、定着ベルト103と加圧ローラ102の非通紙部昇温による熱量が各々の部材を介して、通紙領域の記録紙端部に回り込み、記録紙端部の定着性がさらに上昇する。よって、前述した記録紙端部のホットオフセットも発生し易くなる。
よって、例えば図26で示すように、連続プリント枚数に応じて、定着温度を低下させる枚数制御を行い、記録紙端部の定着性が上昇しているのでR2通電比率を小さくする。さらにホットオフセットが発生し易くなるので非通紙領域上限温度D2を低下させるとともに、閾値温度を低下させる必要がある。
このように、記録紙の幅、定着温度、連続プリント枚数に基づくR1とR2の通電比率と、非通紙領域上限温度とに応じて、閾値温度を変更する。これにより、連続プリントによる加圧ローラ102表面温度上昇を補正して、定着性を一定に維持すると同時に、ホットオフセットを防止し、スループット最大化を図ることができる。
図26は、記録紙の重量が64〜110g/mの時に関して説明したが、111g/m以上の場合においても同様である。記録紙の幅、記録紙の重量、定着温度、連続プリント枚数に基づくR1とR2の通電比率と、非通紙領域上限温度とに応じて、閾値温度を変更する構成においても、同様の効果を得ることができる。
連続プリント枚数は、画像形成装置の検知手段(不図示)で検知する。
(定着装置部材の初期温度)
図27は、ほぼ図26と同条件であるが、定着装置部材の初期温度の条件を追加した一例である。定着条件は、記録紙の幅(紙幅)、定着温度、連続プリント枚数、定着装置部材の初期温度である。ここで、初期温度とは、プリント開始初期の温度をいう。
図26で説明したように、連続プリント枚数で加圧ローラ102温度が変動するため、定着性も変動する。朝一や長時間のスリープ状態の定着装置部材が室温まで冷えている状態からの連続プリント時は、図26で説明した。しかし、図26に従うと、連続プリント終了後、直ぐに次のジョブの連続プリントを開始する場合には、既に加圧ローラ102表面温度が高温なため、1枚目から定着性が良すぎて、小サイズ通紙時の記録紙端部にホットオフセットが発生するという問題が発生した。
そこで、図27に示すように、プリント開始時、例えば画像形成装置がプリント信号を受信した時に、サーミスタ101aによってヒータ105温度を検知する。そして、例えばヒータ105温度が80℃以下の場合には、図27の連続プリント枚数の1枚目からと同じ条件でプリントを開始する。ヒータ105温度が81℃〜120℃の場合には、図27の連続プリント枚数の51枚目からと同じ条件でプリントを開始する。ヒータ105温度が121℃以上の場合には、図27の連続プリント枚数の101枚目からと同じ条件でプリントを開始する。このような構成とすると、プリント開始時の定着装置の暖まり具合によらず、ホットオフセットを防止することができた。
このように、記録紙の幅、定着温度、連続プリント枚数、定着装置部材の初期温度に基づくR1とR2の通電比率と、非通紙領域上限温度とに応じて、閾値温度を変更する。これにより、定着装置部材の初期温度、即ち定着装置の暖まり具合、及び連続プリントによる加圧ローラ102の温度上昇を補正して、定着性を一定に維持すると同時に、ホットオフセットを防止し、スループット最大化を図ることができる。
図27では、定着装置部材の初期温度として、ヒータ105a温度を用いたが、これは既にサーミスタ101a及び101bがヒータ105温度を検知するために配置されているので、コストアップ無しに容易に温度検知可能なためである。
前述したように、定着性に対しては、加圧ローラ102表面温度の影響が大きいため、定着装置部材の初期温度として、加圧ローラ102表面温度を検知して、その温度に応じて、プリント開始する「枚数」を決定するのがより好適である。しかしながら、加圧ローラ102温度を検知するためには、新規の温度検知手段としてのサーミスタを追加する必要があるため、コストアップが発生する欠点を持つ。従って、本実施形態では、加圧ローラ102温度の代用として、ヒータ105a温度を、定着装置部材の初期温度として採用した。
また、加圧ローラ102温度の代用として、定着ベルト103温度を用いても良い。さらに、加圧ローラ102温度の代用として、前回のジョブのプリント終了から、次回のジョブのプリント開始までの時間、即ちジョブ間隔時間を計測し、この時間に応じて、加圧ローラ温度を推測して、プリント開始する「枚数」を決定しても良い。しかしながら、一般的に、このジョブ間隔時間は、画像形成装置の電源OFF/ONで消去されてしまうため、正確に計測できない欠点を持つ。
(環境(温度又は湿度))
図28は、環境(温度又は湿度)に応じて、R1とR2の通電比率及び閾値温度を変更する一例を示す。プロセススピード=100mm/sec、非通紙領域上限温度(非通紙領域のヒータ上限温度)D2=記録紙端部のホットオフセット発生温度、記録紙の重量=64〜110g/mとしている。定着条件は、記録紙の幅(紙幅)、定着温度、環境である。
一般的に、画像形成装置が設置されている環境(温度又は湿度)により、記録紙の温度及び湿度が変動することにより、定着性が変動する。低温環境では、記録紙の温度が低いので定着性が悪く、高温環境では、記録紙の温度が高いので定着性が良い。また、低湿環境では、記録紙の含有水分量が低いので定着性が良く、高湿環境では、記録紙の含有水分量が多いので定着性が悪い。従って、定着条件の「環境」として、温度と湿度の両方を考慮して定着設定を決定すると、より好適である。
図28で示すように、例えば17℃以上の常温環境と比較して、17℃未満の低温環境においては、記録紙の温度が低いので定着性が悪いため、定着温度を高く、かつR2の通電比率を高く設定して、記録紙端部の定着性を確保する。そして、定着性が悪いことからホットオフセットが発生しにくいので、非通紙領域上限温度D2を高く設定して、R1とR2の通電比率とD2温度とに応じて、閾値温度を高く設定する。
図28は、簡単な制御とするために、温度で説明したが、湿度、又は温度と湿度の両方を用いて、R1とR2の通電比率又は閾値温度を変更する構成でも良い。
よって、記録紙の幅、定着温度、環境に基づくR1とR2の通電比率と、非通紙領域上限温度とに応じて、閾値温度を変更することにより、環境に応じて定着性を確保し、ホットオフセットを防止し、スループット最大化を図ることができる。
図28は、記録紙の重量が64〜110g/mの時に関して説明したが、111g/m以上の場合においても同様である。記録紙の幅、記録紙の重量、定着温度、環境に基づくR1とR2の通電比率と、非通紙領域上限温度とに応じて、閾値温度を変更する構成においても、同様の効果を得ることができる。
環境(温度/湿度)は、画像形成装置の検知手段(不図示)で検知しても良いし、ユーザーが画像形成装置に入力しても良い。
(片面プリントと両面プリント)
図29は、片面プリントと両面プリントに応じて、R1とR2の通電比率及び閾値温度を変更する一例を示す。プロセススピード=100mm/sec、非通紙領域上限温度(非通紙領域のヒータ上限温度)D2=記録紙端部のホットオフセット発生温度、記録紙の重量=64〜110g/mとした。定着条件は、記録紙の幅(紙幅)、定着温度、片面/両面プリントである。なお、この両面プリントは、ユーザーが両面プリントを選択すると、画像形成装置内の両面プリント用記録紙搬送経路を用いて、自動的に両面プリントが実行される「自動両面」を主に想定している。片面プリント終了後の記録紙をユーザーが給送口に移動させて2面目をプリントする「手差し両面」は想定していない。
図29で示すように、例えば片面プリントと比較して、両面プリント時は、二度定着装置を通過するので、定着性が良いため、R2の通電比率を低く設定しても記録紙端部の定着性は良好である。また、2面目は一度定着装置を通過するので、記録紙温度が高いため、定着温度を1面目より下げても定着性は、1面目と同等以上である。
逆に、1面目と2面目の定着温度を同じとすると、1面目より2面目で定着性が良く、2面目の方が画像の光沢度が上昇し、1面目と2面目で画像光沢度が異なるという問題が発生してしまう。この1面目と2面目の画像光沢度差を減少させるためにも定着温度を1面目より2面目で低く設定すると良い。
定着ベルト加熱装置は、低熱容量のため、両面プリント時に生産性を向上させるために、1面目と2面目を交互に画像形成する方式でも、紙間でヒータ105温度、及び定着ベルト103表面温度の変更が可能である。ただし、2面目は、記録紙の温度が高く、ホットオフセットが発生し易いため、両面プリント時は、非通紙領域上限温度D2を低く設定する必要がある。
よって、記録紙の幅、定着温度、片面/両面プリントに基づくR1とR2の通電比率と、非通紙領域上限温度とに応じて、閾値温度を変更する。これにより、定着性及び画像光沢度を一定に維持すると同時に、ホットオフセットを防止し、スループット最大化を図ることができる。
図29は、記録紙の重量が64〜110g/mの時に関して説明したが、111g/m以上の場合においても同様である。記録紙の幅、記録紙の重量、定着温度、片面/両面プリントに基づくR1とR2の通電比率と、非通紙領域上限温度とに応じて、閾値温度を変更する構成においても、同様の効果を得ることができる。
(定着条件)
上述の如く、定着条件として、プロセススピード、記録紙の幅、記録紙の長さ、記録紙の厚み、記録紙の重量、記録紙の表面性、連続プリント枚数、定着装置部材の初期温度、定着温度、環境、片面/両面プリントがある。そして、この定着条件のうち少なくとも2つ以上の条件によって、R1とR2の通電比率を変更する定着装置がある。この定着装置において、非通紙領域の温度を所定温度以下に維持し、かつスループット最大化のためには、前記定着条件に基づくR1とR2の通電比率と、非通紙領域上限温度とに応じて、サーミスタ101bが検知する閾値温度を変更することが必要である。
前記通電比率が同一でも前記定着条件によって、非通紙領域の加熱体のピーク温度からサーミスタ101b位置での温度までの温度勾配が異なる。よって、非通紙領域上限温度に応じて、前記閾値温度を変更することにより、定着装置部材の熱劣化やホットオフセットを防止し、かつ記録紙の定着性を維持し、記録紙のスループット最大化を図ることができる。
非通紙領域上限温度は、定着条件と通電比率、さらには定着装置部材の耐熱温度、又はトナー特性(トナー溶融温度等)や記録紙の種類(厚み/重量/表面性)等に起因する記録紙端部のホットオフセット発生温度等から決定される。前記定着条件によって、定着性が異なるのと同様に、非通紙部昇温による記録紙端部のホットオフセットが発生する非通紙領域の温度、即ち非通紙領域上限温度(D2温度)も変化する。
(非通紙部昇温対策の手順)
図16は、本実施形態の非通紙部昇温対策の手順を示すフローチャートである。
まず、画像形成装置が画像形成信号(プリント信号)を受信する(S1)。そして、定着条件が決定される(S2)。定着条件に基づいて、抵抗発発熱体の通電比率が決定される(S3)。同時に、定着条件に基づいて、非通紙領域上限温度(D2)が決定される(S4)。
非通紙領域上限温度(D2)は、例えば、非通紙領域の昇温による記録紙端部のホットオフセット発生温度の場合には、プロセススピードや記録紙の厚み/重量/表面性等に応じて、ホットオフセット発生温度が異なるので、定着条件からS4で決定される。また、例えば、定着装置部材の耐熱温度の場合には、定着装置固有の所定値なので、一定値としても良く、この場合には、S4のステップを省略しても良い。
次に、S3の通電比率とS4の非通紙領域上限温度(D2)に応じて、非通紙領域の温度をD2以下に抑えるために、サーミスタ101bで検知する閾値温度が決定される(S5)。そして、画像形成が開始され(S6)、サーミスタ101bの検知温度を監視する(S7)。
サーミスタ101bの検知温度が閾値温度未満の場合には、そのままのスループットを維持して(S8)、その時のスループットAで画像形成が行われる。
サーミスタ101bの検知温度が閾値温度以上を検知した場合には、スループット制御手段(不図示)を動作させ、本実施形態においては、給送間隔を広げることにより、紙間を広げてスループットをダウンさせ(S9)、スループットBで画像形成が行われる。
そして、現在のプリント枚数fをカウントする(S10)。その枚数がジョブで要求されたプリント枚数Fに未達の場合には、プリントを継続して、サーミスタ101bの検知温度を監視する(S7)。さらに、スループットB中に、サーミスタ101bの検知温度が閾値温度以上を検知した場合には、スループットBよりもさらに紙間を広げたスループットCで画像形成が行われる(S9)。そして、プリント枚数fがそのジョブで要求されたプリント枚数Fとなってジョブが終了した場合(S10)、画像形成を終了する(S11)。
このようなステップによって、非通紙領域をD2温度以下に維持することにより、定着性の確保と、定着装置部材の熱劣化の防止、又は記録紙端部のホットオフセットを防止し、スループット最大化を図ることができる。
本実施形態における定着条件の画像形成装置への入力は、画像形成装置が一般的に知られている検知手段で検知できる定着条件は、自動で画像形成装置が検知すると良い。画像形成装置が自動的に検知できない定着条件は、コピーの場合は、例えば画像形成装置に付属した操作パネルから、ユーザーが定着条件を入力すると良い。また、プリントの場合には、例えばユーザーのパーソナルコンピュータから、プリントドライバー(パソコンから画像形成装置のプリント動作を制御するファームウェア)から、ユーザーが定着条件を入力すると良い。
さらに、上記では、小サイズの記録紙での非通紙部昇温対策に関して説明したが、逆に大サイズの記録紙端部の温度低下による定着不良を防止するために、抵抗発熱体の通電比率において、R1よりもR2の通電比率を大きくする場合にも本発明を適用できる。例えば、A3ノビ紙(A3より若干大きいサイズ)の記録紙を定着する場合、抵抗発熱体端部のヒータ温度は放熱によって温度低下する。このため、この放熱を補正するように、例えば「R1:R2=80:100」として、抵抗発熱体端部の発熱量を大きくして、記録紙端部の定着性を確保しても良い。この場合は、紙間での抵抗発熱体端部のヒータ温度上昇を考慮して、小サイズの記録紙を定着する場合のR2の通電比率を小さくする場合と比較して、前記閾値温度を高く設定すると、不必要なスループットダウンが発生せず、より好適である。
また、本実施形態は、R1とR2の通電比率を変更する方法として、位相制御で説明したが、波数制御においてもR1とR2において、所定周期期間におけるON半波数と、OFF半波数の比率の調整により、通電比率を変更することが可能である。
また、図19〜図29で、定着条件に基づくR1とR2の通電比率と、非通紙領域上限温度とに応じて、閾値温度を変更する具体例を説明したが、諸数値や組み合わせは図19〜図29に限定されるものではない。図19〜図29を適宜組み合わせる等、画像形成装置または定着装置に応じて任意に設定して良い。
[第二実施形態]
次に本発明に係る定着装置及び画像形成装置の第二実施形態について図を用いて説明する。上記第一実施形態と説明の重複する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
図10は本実施形態に係る定着ベルト加熱方式の定着装置300の模式的断面図である。
図10で示すように、定着装置300は、第1の温度検知手段としてのサーミスタ101aがヒータ105では無く、定着ベルト103内面に接触して、定着ベルト103内面温度を検知する。そして、定着ベルト103の内面温度を所定の定着温度となるように、電力供給制御手段により制御する。
図示しないが、逆に第1の温度検知手段としてのサーミスタ101aをヒータ105に配置し、第2の温度検知手段としてのサーミスタ101bを定着ベルト103の内面に接触させるように配置しても良い。
この構成によれば、実際に定着性に関わる定着ベルト103の表面温度を精度良く所定温度に制御できる。ただし、ヒータ105が暴走した場合に、暴走を検知するサーミスタは、図2の定着装置100で101aと101bの2つであったのに対して、図10の定着装置300で101aは又は101bの1つとなってしまい、安全性が低下する。安全性を同等とするために、ヒータ105に温度検知手段としてのサーミスタを1つ追加するとコストアップとなる。
[第三実施形態]
次に本発明に係る定着装置及び画像形成装置の第三実施形態について図を用いて説明する。上記第一実施形態と説明の重複する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
図12(a)及び図12(b)は、本実施形態におけるヒータ105b及びヒータ105cの定着ベルト103と逆側の抵抗発熱体の模式図である。なお、本実施形態は、中央通紙基準である。
図12(a)のヒータ105bは、図1のヒータ105aと類似の構成である。図12(a)で示すように、2本の抵抗発熱体403、404が、短手方向に配置されている。中央高発熱の抵抗発熱体403は、トライアック200aに接続される。端部高発熱の抵抗発熱体404は、トライアック200bに接続される。抵抗発熱体403、404は、それぞれ独立に電力を供給できるように電力供給手段に接続されている。抵抗発熱体403、404は、長手方向に連続的に抵抗値(発熱量)が変化している。
図12(b)のヒータ105cは、図12(a)と類似の構成である。図12(b)で示すように、抵抗発熱体403及び404は、長手方向に段階的に抵抗値(発熱量)が変化している。
図12(a)及び図12(b)のヒータ105b及びヒータ105cは、短手方向に非対称に抵抗発熱体が基板106に配置されている。このため、図12(a)及び図12(b)のヒータ105b及びヒータ105cは、短手方向で温度分布に偏りが大きいため、熱応力が大きく、ヒータ割れが発生しやすい。
窒化アルミ基板のように熱伝導率が高いヒータ基板(約100W/(m・K))の場合には、それほど大きな問題にはならない。しかし、アルミナ基板のように熱伝導率が低いヒータ基板(約20W/(m・K))の場合には、この熱応力の影響によるヒータ割れに注意が必要である。
[第四実施形態]
次に本発明に係る定着装置及び画像形成装置の第四実施形態について図を用いて説明する。上記第一実施形態と説明の重複する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
上記第一実施形態では、定着条件に基づくR1とR2の通電比率と、非通紙領域上限温度とに応じて、第2の温度検知手段としてのサーミスタ101bが検知する閾値温度を変更する実施形態について述べた。
本実施形態の定着装置では、定着装置の状態[立ち上げ時/プリント時]に基づくR1とR2の通電比率と、非通紙領域上限温度とに応じて、前記閾値温度を変更する。
図17は加熱体温度を示す図である。図17に示すように、定着装置は、画像形成装置がプリント信号を受け付けると、室温から定着温度(D1)までヒータ105aを立ち上げる(立ち上げ1)。その後、記録紙が定着装置に搬送され未定着トナーを定着する(プリント)。プリント終了後の定着装置は回転を停止して、ヒータ105aは、定着温度(D1)より低いスタンバイ温度(D6)に維持され、次のプリント動作まで待機する(スタンバイ)。次のプリント信号を画像形成装置が受け付けると、スタンバイ温度(D6)から定着温度(D1)までヒータ105aを立ち上げる(立ち上げ2)。その後、記録紙が定着装置に搬送され未定着トナーを定着する(プリント)。ここで、スタンバイ温度(D6)が設定されている場合には、上記のようにプリント終了後にスタンバイ状態に入る制御となり、スタンバイ温度(D6)が設定されていない場合には、プリント終了後にヒータOFFとなる。
R1とR2の通電比率を「R1:R2=100:100」以外に変更すると、ヒータ105aの総電力が小さくなる。従って、立ち上げ時(立ち上げ1、又は立ち上げ2)は、ヒータ105aを急速に暖めるために、例えば通電比率を「R1:R2=100:100」に設定するとともに、前記閾値温度を高く設定する。そして、小サイズの記録紙のプリント時は、非通紙部昇温を低減するために、例えばB5縦の場合、通電比率を「R1:R2=100:0」に設定するとともに前記閾値温度を低く設定する。これにより、定着装置部材の熱劣化やホットオフセットを防止し、スループット最大化と同時に、立ち上げ時間の短縮を図ることができる。
図13で説明したように、例えば(3)の「R1:R2=100:0」の時の閾値温度D5は、定着温度D1にかなり近い値となっている。立ち上げ時に「R1:R2=100:100」として立ち上げた場合、閾値温度がD5の場合、非通紙部昇温がほとんど発生していない。しかし、立ち上げ時のオーバーシュート等によってサーミスタ101bが閾値温度D5を検知して、スループット制御手段が動作して、1枚目からスループットダウンが発生してしまう。
そこで、立ち上げ時の「R1:R2=100:100」の時は、閾値温度を、(1)の「R1:R2=100:100」のD3に設定する。そして、小サイズ例えばB5縦の記録紙を通紙するプリント時の「R1:R2=100:0」に通電比率を変更すると同時に、閾値温度をD5に変更する。これにより、不要なスループットダウンの発生を防止することができる。
さらには、「R1:R2=100:0」に通電比率を変更した時点に閾値温度を変更しても良いが、ヒータ105a温度は前の通電比率「R1:R2=100:100」の時の熱履歴が残存している。このため、通電比率変更時点に直ぐ閾値温度を変更するのではなく、通電比率変更後の所定枚数後又は所定時間後に閾値温度をD3→D5に変更すると、誤検知を低減できるので、より好適である。
[第五実施形態]
次に本発明に係る定着装置及び画像形成装置の第五実施形態について図を用いて説明する。上記第一実施形態と説明の重複する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
上記第四実施形態では、定着装置の状態[立ち上げ時/プリント時]に基づくR1とR2の通電比率と、非通紙領域上限温度とに応じて、第2の温度検知手段としてのサーミスタ101bが検知する閾値温度を変更する実施形態について述べた。
本実施形態では、ヒータ105aに供給するプリント中の電力量に基づくR1とR2の通電比率と、非通紙領域上限温度とに応じて、前記閾値温度を変更する実施形態について述べる。本実施形態は、実施形態1と同様にヒータ105aを用いる。
前述したように、R1とR2の通電比率を「R1:R2=100:100」以外に変更すると、ヒータ105aの総電力が小さくなる。定着装置が十分に暖まっていない電源ON直後、又はヒータOFFやスタンバイ温調の待機中からのプリント初期において、R1とR2の通電比率を変更する。この際、ヒータ105aに供給する電力が不足し、通紙領域のヒータ105a温度を定着温度D1に維持できずに、ヒータ105a温度が低下して、定着不良となってしまう。
そこで、プリント初期は「R1:R2=100:100」として、十分な電力を加熱体としてのヒータ105aに供給する。そして、ある程度の連続プリント枚数を実行後、加圧ローラ温度が上昇して、ヒータ105aへ供給する電力量が小さくても定着温度を維持できるようになった時点で、R1とR2の通電比率を変更する。これにより、定着不良の発生を防止することができる。そして、このようにヒータ105aへ供給する電力量に適したR1とR2の通電比率に応じて、前記閾値温度を変更する必要がある。
例えば、通電比率「R1:R2=100:100」の時、R1=500W、R2=500Wで定格総電力1000Wの場合、小サイズの記録紙として例えばB5縦をプリントする時の通電比率「R1:R2=100:50」とする。この時の最大電力はR1=500W(500Wの電力100%)、R1=250W(500Wの電力50%)で総電力750Wとなる。
この条件下で、通電比率「R1:R2=100:100」として総電力1000Wを使用可能とする。朝一、B5縦のプリント初期は、実際に定着装置(特に加圧ローラ102)が十分暖まっていないので、電力供給制御手段により位相制御の例えば電力90%が使用される。この時、R1=450W、R2=450W、総電力900W、即ち定格電力の90%が使用されているので、通紙領域は定着温度D1に維持され、定着不良は発生しない。
そして、通電比率「R1:R2=100:100」のまま、B5縦の連続プリントの枚数が進んで定着装置(特に加圧ローラ102)が暖まって、電力供給制御手段により、位相制御の電力75%以下となる。この時点で(即ちR1=375W、R2=375W以下となった時点で)、通電比率「R1:R2=100:50」に切り替える。この時、R1=500W、R2=250W、総電力750W、即ち定格電力の75%が使用できるので、通電比率「R1:R2=100:50」に切り替えても、通紙領域は定着温度に維持され、定着不良は発生しない。
従来は、上記構成で、プリント初期に定格電力の90%(900W)が必要であった。しかし、プリント初期から通電比率「R1:R2=100:50」とした場合には、最大でもR1=500W、R2=250W、総電力750W、即ち定格電力の75%しかヒータ105aに供給されない。このため、150W(=900W−750W)分不足するため、通紙領域のヒータ105a温度を定着温度D1に維持できず、ヒータ105a温度が低下し、定着不良が発生していた。
よって本実施形態において、プリント初期は、R1とR2の通電比率を高く、例えば「R1:R2=100:100」に設定して、通紙領域の定着温度低下が発生しない十分な電力をヒータに供給可能として定着性を維持する。そして、定着装置が暖まって、通電比率を変更しても、通紙領域の定着温度低下が発生しない電力となった時点のプリント途中で、R1とR2の通電比率を低くする。例えば「R1:R2=100:50」に切り替えて、小サイズ通紙による非通紙部昇温を低減する。よって、ヒータ105aへの供給電力量に応じて、通電比率をプリント途中で切り替えることにより、プリント初期の定着性と、非通紙部昇温低減を両立することができる。
このように、ヒータ105aに供給する電力量に応じて、R1とR2の通電比率を変更する構成においても、上記実施形態と同様に、前記通電比率と、非通紙領域上限温度とに応じて、第2の温度検知手段が検知する閾値温度を変更する必要がある。
図13で説明したように、例えば(2)の「R1:R2=100:50」の時の閾値温度D4は、(1)の「R1:R2=100:100」の時の閾値温度D3より低い。プリント初期の「R1:R2=100:100」設定時に閾値温度がD4の場合、非通紙領域のヒータ105a温度がスループットダウンを必要とするD2温度に達成していない。しかし、サーミスタ101bが閾値温度D4を検知して、スループット制御手段が動作して、スループットダウンが発生してしまう。
そこで、本実施形態では、プリント初期の定着温度を維持するのに高電力が必要な間は、例えば通電比率「R1:R2=100:100」、閾値温度D3に設定して定着性とスループットを確保する。プリント枚数が進んで定着装置が暖まって定着温度を維持する電力が低下した後は、例えば通電比率「R1:R2=100:50」、閾値温度D4に設定して、定着性の確保と非通紙部昇温低減を達成することができる。
ヒータに供給する電力量に応じて、R1とR2の通電比率を、例えば「R1:R2=100:50」に変更した時点に閾値温度を変更しても良い。しかし、ヒータ105a温度は前のR1とR2の通電比率、例えば「R1:R2=100:100」の時の熱履歴が残存している。このため、通電比率変更時点と同時に閾値温度を変更するのではなく、通電比率変更後の所定枚数後又は所定時間後に閾値温度をD3→D4に変更すると、誤検知を低減できるので、より好適である。
また、本実施形態では、ヒータに供給する電力量に応じて、例えば通電比率を「R1:R2=100:100」→「R1:R2=100:50」と変更した。通電比率は、例えば「R1:R2=100:100」→「R1:R2=100:70」→「R1:R2=100:50」と段階的に変更しても良い。このように段階的に通電比率を変更することにより、非通紙部昇温をより効率的に低減して、スループット最大化を図ることができる。
又、通電比率「R1:R2=100:100」時のR1及びR2の定格電力が大きいほど、特にR1の定格電力が大きいほど、R2の通電比率を早く変更できる。即ちR2の通電比率が大きい設定での連続プリント枚数をより少なくできるので、前記定格電力は、定着装置及び画像形成装置が許容できる範囲で、できるだけ大きくすると良い。前記定格電力が大きい場合には、プリント初期に、通電比率「R1:R2=100:100」からスタートしないようにする。例えば、プリント初期に、通電比率「R1:R2=100:70」でスタートして、ヒータに供給する電力量に応じて、通電比率を「R1:R2=100:70」→「R1:R2=100:50」と変更する。
さらに、前記定格電力が大きい場合には、例えば、通電比率「R1:R2=100:100」の時、R1=600W、R2=600Wで定格総電力1200Wの場合を考えると。通電比率「R1:R2=100:50」の場合でも最大、R1=600W、R2=300W、総電力900Wである。この場合には、本実施形態において、朝一のプリント初期から通電比率「R1:R2=100:50」に設定しても、最大900Wをヒータに供給可能である。したがって、ヒータ温度の低下が発生せずに定着性を確保でき、かつプリント初期から非通紙部昇温を低減して、スループット最大化を図ることができる。しかしながら、ヒータの定格電力の増大は、電気安全規格や省エネルギー規格等から容易では無いので、ヒータ定格電力を大きくできない場合には、本実施形態が有効かつ効果的である。
以上、本発明の実施形態に関して説明したが、本発明の第一実施形態〜第五実施形態、及び図18〜図29における諸数値や模式図は、実施形態の説明を簡略化するための一例であって、定着装置や画像形成装置の構成及び設定等に応じて任意に定めることができる。
また、本発明は、実施形態で説明した定着装置や画像形成装置に限定されるものではなく、各実施形態を任意に組み合わせる等、他の形態の画像形成装置及び定着装置にも適用できる。
第一実施形態に係るヒータの模式図である。 第一実施形態に係る定着装置の模式的断面図である。 第一実施形態に係るヒータの模式的断面図である。 従来のヒータの模式図である。 第一実施形態に係るヒータの模式図である。 第一実施形態に係る定着ベルトの模式的断面図である。 (a)従来の電力供給制御手段の模式図である。(b)第一実施形態に係る電力供給制御手段の模式図である。 位相制御の模式図である。 波数制御の模式図である。 第二実施形態に係る定着装置の模式的断面図である。 従来のヒータの非通紙部昇温の模式図である。 第三実施形態に係るヒータの模式図である。 第一実施形態に係るヒータの非通紙部昇温の模式図である。 第一実施形態に係る定着ベルト及び加圧ローラの表面温度推移の模式図である。 第一実施形態に係る画像形成装置の模式的断面図である。 第一実施形態に係る非通紙部昇温対策のフローチャートである。 第四実施形態に係る定着装置の状態の模式図である。 電力%と位相角、及びゼロクロスからの時間の関係図である。 R1とR2の通電比率と閾値温度の関係図である。 R1とR2の通電比率と閾値温度の関係図である。 R1とR2の通電比率と閾値温度の関係図である。 R1とR2の通電比率と閾値温度の関係図である。 R1とR2の通電比率と閾値温度の関係図である。 R1とR2の通電比率と閾値温度の関係図である。 R1とR2の通電比率と閾値温度の関係図である。 R1とR2の通電比率と閾値温度の関係図である。 R1とR2の通電比率と閾値温度の関係図である。 R1とR2の通電比率と閾値温度の関係図である。 R1とR2の通電比率と閾値温度の関係図である。
符号の説明
N …定着ニップ部
P …記録紙
1 …感光ドラム
2 …帯電ローラ
3 …露光装置
4 …現像装置
7 …感光ドラムクリーニング装置
15 …1次転写ローラ
23 …2次転写ローラ
30 …中間転写ベルトクリーニング装置
40 …中間転写ベルト
100 …定着装置
101 …サーミスタ
102 …加圧ローラ(加圧部材)
102a …芯金
102b …耐熱弾性層
103 …定着ベルト
103a …ベース層
103b …耐熱弾性層
103c …耐熱離型層
104 …ホルダ
105 …セラミックヒータ(加熱体)
106 …ヒータ基板
107 …ガラス層
108 …抵抗発熱体
109 …導電パターン
110 …摺動層
120 …サーモスイッチ
200 …トライアック
201 …商用電源
202 …A/D変換回路
203、204 …CPU(電力供給制御手段、通電比率制御手段)
300 …定着装置
401〜404 …抵抗発熱体

Claims (7)

  1. 加熱体と、加熱体に当接して記録紙記録紙を搬送する定着ベルトと、前記定着ベルトを前記加熱体に密着させて定着ニップ部を形成する加圧部材と、加熱体または定着ベルトの通紙されうる全ての記録紙記録紙に対しての通紙領域に配置される第1の温度検知手段と、加熱体または定着ベルトの少なくとも通紙されうる最小通紙幅の記録紙記録紙に対しての非通紙領域に配置される第2の温度検知手段と、を有し、前記定着ニップ部で未定着画像を担持した記録紙記録紙を挟持搬送し、加熱及び加圧により未定着画像を記録紙記録紙に定着させる定着装置において、
    前記加熱体は、長手方向基準位置から長手方向端部にかけて単位長さ当たりの抵抗値が連続的に、又は段階的に小さくなる領域を含む第一の抵抗発熱体と、長手方向基準位置から長手方向端部にかけて単位長さ当たりの抵抗値が連続的に、又は段階的に大きくなる領域を含む第二の抵抗発熱体と、を短手方向に配列しており、
    前記第1の温度検知手段が検知する温度が所定の定着温度となるように、前記抵抗発熱体に供給する電力を制御する電力供給制御手段と、
    定着条件としてのプロセススピード、記録紙記録紙の幅、記録紙記録紙の長さ、記録紙記録紙の厚み、記録紙記録紙の重量、記録紙記録紙の表面性、連続プリント枚数、定着装置部材の初期温度、定着温度、環境、片面/両面プリントのうち、少なくとも2つ以上の条件によって、前記第一及び第二の抵抗発熱体の通電比率を変更する通電比率制御手段と、を有し、
    前記第一及び第二の抵抗発熱体の通電比率と、前記加熱体または定着ベルトの非通紙領域の上限温度とに応じて、前記第2の温度検知手段が検知する閾値温度を変更し、
    前記第2の温度検知手段が検知する温度が所定の閾値温度となった時に、単位時間当たりに定着処理を行う記録紙記録紙の枚数を変更することを特徴とする定着装置。
  2. 前記第一の抵抗発熱体と前記第二の抵抗発熱体の通電比率において、前記第二の抵抗発熱体の通電比率が大きいと前記閾値温度を高く設定し、前記第二の抵抗発熱体の通電比率が小さいと前記閾値温度を低く設定することを特徴とする請求項1記載の定着装置。
  3. 前記通電比率制御手段は、定着装置の立ち上げ時とプリント時で、前記第一及び第二の抵抗発熱体の通電比率を変更し、
    前記第一及び第二の抵抗発熱体の通電比率と、前記加熱体または定着ベルトの非通紙領域の上限温度とに応じて、前記閾値温度を変更することを特徴とする請求項1記載の定着装置。
  4. 前記通電比率制御手段は、前記加熱体に供給する電力量に応じて、前記第一及び第二の抵抗発熱体の通電比率を変更し、
    前記第一及び第二の抵抗発熱体の通電比率と、前記加熱体または定着ベルトの非通紙領域の上限温度とに応じて、前記閾値温度を変更することを特徴とする請求項1記載の定着装置。
  5. 前記定着ベルトは、ベース層の上に離型層を被覆した無端ベルト、又はベース層の上に弾性層を被覆した無端ベルト、又はベース層の上に弾性層を被覆しさらに弾性層の上に離型層を被覆した無端ベルトであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の定着装置。
  6. 前記加熱体は、アルミナや窒化アルミをベースとしたセラミックヒータ基板、又は金属をベースとした金属ヒータ基板であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の定着装置。
  7. 記録紙記録紙にトナー画像を形成する画像形成手段と、
    該画像形成手段にて形成された未定着画像を記録紙記録紙上に定着させる請求項1乃至6のいずれかの定着装置を具備することを特徴とする画像形成装置。
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