以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
実施の形態1
図2はこの発明の実施の形態1に係る定着装置及び定着装置の加熱方法を適用した画像形成装置としてのタンデム方式のフルカラープリンターを示すものである。なお、このタンデム方式のフルカラープリンターは、画像読取装置を備えており、フルカラーの複写機としても機能するようになっている。また、上記フルカラープリンターは、画像読取装置を備えていなくても良いのは勿論である。
図2において、1はタンデム方式のフルカラープリンターの本体を示すものであり、このフルカラープリンター本体1の一端側の上部には、原稿2の画像を読み取る画像読取装置(IIT:Image Input Ternal)3が配設されている。この画像読取装置3は、図示しない自動原稿搬送装置(ADF:Auto Document Feeder)によって、プラテンカバー4によって押圧された状態でプラテンガラス5上に搬送された原稿2を光源6によって照明し、原稿2からの反射光像を、フルレートミラー7及びハーフレートミラー8、9及び結像レンズ10からなる縮小光学系を介してCCD等からなる画像読取素子11上に走査露光して、この画像読取素子11によって原稿2の画像を所定のドット密度(例えば、1200dpiや2400dpi)で読み取るようになっている。
上記フルカラープリンターは、図2に示すように、各装置(各部)の動作を制御する制御手段としての制御部50と、ユーザからのプリント動作の指示を受け付けるためのユーザインタフェース(UI)51と、当該フルカラープリンターの電源をON/OFFするための電源スイッチ52とを備えている。
上記画像読取装置3によって読み取られた原稿2の画像は、例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)(各8bit)の3色の画像データとして画像処理装置12(Image Processing System)に送られ、この画像処理装置12では、原稿2の画像データに対して、シェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消し、色/移動編集等の所定の画像処理が施される。
そして、上記の如く画像処理装置12で所定の画像処理が施された画像データは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)(各8bit)の4色の画像データに変換され、次に述べるように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像形成部13Y、13M、13C、13KのROS14Y、14M、14C、14K(RasterOutputScanner)に送られ、これらのROS14Y、14M、14C、14Kでは、各色の画像データに応じてレーザービームLBによる画像露光が行われる。
ところで、上記タンデム方式のフルカラープリンター本体1の内部には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4つの画像形成部13Y、13M、13C、13Kが、水平方向に一定の間隔をおいて直列的に配置されている。
これらの4つの画像形成部13Y、13M、13C、13Kは、形成する画像の色以外はすべて同様に構成されており、大別して、矢印A方向に沿って所定の回転速度で回転する感光体ドラム15と、この感光体ドラム15の表面を一様に帯電する帯電手段としての一次帯電用のスコロトロン16と、当該感光体ドラム15の表面に各色に対応した画像を露光して静電潜像を形成するROS14と、感光体ドラム15上に形成された静電潜像を対応する色のトナーで現像する現像装置17と、クリーニング装置18とから構成されている。
上記ROS14は、図2に示すように、半導体レーザー19を画像データに応じて変調して、この半導体レーザー19からレーザービームLBを画像データに応じて出射する。この半導体レーザー19から出射されたレーザービームLBは、反射ミラー20、21を介して回転多面鏡22によって偏向走査され、図示しないf−θレンズで走査角度に応じて焦点距離が調整された状態で、複数枚の反射ミラー23、24等を介して像担持体としての感光体ドラム15上に走査露光される。
上記画像処理装置12からは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒 (K)の各色の画像形成部13Y、13M、13C、13KのROS14Y、14M、14C、14Kに各色の画像データが順次出力され、これらのROS14Y、14M、14C、14Kから画像データに応じて出射されるレーザービームLBが、それぞれの感光体ドラム15Y、15M、15C、15Kの表面に走査露光されて静電潜像が形成される。上記各感光体ドラム15Y、15M、15C、15K上に形成された静電潜像は、現像装置17Y、17M、17C、17Kによって、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像として現像される。
上記各画像形成部13Y、13M、13C、13Kの感光体ドラム15Y、15M、15C、15K上に、順次形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像は、図2に示すように、各画像形成部13Y、13M、13C、13Kの下方に配置された移動体としての中間転写ベルト(中間転写体)25上に、一次転写ロール26Y、26M、26C、26Kによって重ね合わせた状態で転写される。この中間転写ベルト25は、ドライブロール27と、テンションロール28と、ステアリングロール29と、給電ロール30が当接されたバックアップロール31と、アイドルロール32との間に一定のテンションで掛け回されており、図示しない定速性に優れた専用の駆動モーターによって回転駆動されるドライブロール27により、矢印B方向に沿って感光体ドラム15Y、15M、15C、15Kと等しい所定の速度で循環駆動されるようになっている。
上記中間転写ベルト25は、ポリイミドあるいはポリアミド等の樹脂にカーボンブラック等の帯電防止剤を適当量含有させたフィルム状の無端ベルトで構成されている。そして、その体積抵抗率は106 〜1014Ωcmとなるように形成されており、その厚みは、例えば、0.1mm程度に構成されている。
また、一次転写部は、中間転写ベルト25を挟んで感光体ドラム15に対向して配置される一次転写ロール26で構成されている。一次転写ロール26は、シャフトと、シャフトの周囲に固着された弾性層としてのスボンジ層とを有している。シャフトは、鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層は、カーボンブラック等の導電剤を配合したNBRとSBRとEPDMとのブレンドゴムで形成され、体積抵抗率が107.5 〜108.5 Ωcmのスボンジ状の円筒ロールである。
上記中間転写ベルト25上に多重に転写されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像は、バックアップロール31に中間転写ベルト25を介して圧接する二次転写ロール33によって、圧接力及び静電気力で記録媒体としての記録用紙34上に二次転写され、これらの各色のトナー像が転写された記録用紙34は、搬送ベルト35及び搬送ガイド36によって定着装置37へと搬送される。そして、上記各色のトナー像が転写された記録用紙34は、定着装置37によって熱及び圧力で定着処理を受け、プリンター本体1の外部に設けられた排出トレイ38上に排出される。
二次転写部は、中間転写ベルト25のトナー像担持面側に配置される二次転写ロール33と、バックアップロール31とによって構成される。バックアップロール31は、表面がカーボンを分散したEPDMとNBRとのブレンドゴムのチューブ、内部がEPDMゴムで構成されている。そして、その表面抵抗率が107 〜1010Ω/□となるように形成され、硬度は、例えば、70°(アスカーC硬度)に設定される。
また、二次転写ロール32は、シャフトと、シャフトの周囲に固着された弾性層としてのスポンジ層とで構成されている。シャフトは、鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層は、カーボンブラック等の導電剤を配合したNBRとSBRとEPDMとのブレンドゴムで形成され、体積抵抗率が107.5 〜108.5 Ωcmのスポンジ状の円筒ロールである。
上記記録用紙34は、図2に示すように、プリンター本体1の底部に配設された用紙トレイ39から所定のサイズや材質のものが、給紙ローラ40及び用紙搬送用のローラ対41、42、43からなる用紙搬送経路44を介して、レジストロール45まで一旦搬送されて停止される。上記用紙トレイ39から供給された記録用紙34は、所定のタイミングで回転駆動されるレジストロール45によって、搬送ガイド46を介して中間転写ベルト25の二次転写位置へ送出される。
また、上記フルカラープリンターによって記録用紙34の両面に画像を形成する場合には、定着装置37によって片面に画像が定着された記録用紙34を、そのまま機外に排出せずに、図示しない切り替えゲートによって、記録用紙34の搬送経路を下方に切り替え、図示しない反転用の用紙搬送路に一旦搬送する。そして、この反転用の用紙搬送路に搬送された記録用紙34は、その搬送方向を反転した状態で、図示しない両面用の用紙搬送路及び通常の用紙搬送経路44を介して、表裏が反転された状態で、再度、中間転写ベルト25の二次転写位置まで搬送され、裏面に画像が形成された後、定着装置37によって熱及び圧力で定着処理を受けて、プリンター本体1の外部に設けられた排出トレイ38上に排出される。
次に、本実施の形態に係るフルカラープリンターに用いられる定着装置37について説明する。
図3は本実施の形態に係る定着装置37の構成を示す概略構成図である。
この定着装置37は、図3に示すように、無端状の周面を有する加熱部材(無端状のベルト部材)の一例としての定着ベルト61と、定着ベルト61の外周面に圧接して配設され、定着ベルト61に従動して回転する加圧部材あるいは圧接部材の一例としての加圧ロール62と、定着ベルト61の内側にて定着ベルト61を介して加圧ロール62に圧接配置される押圧パッド63と、押圧パッド63等を支持するパッド支持部材64と、定着ベルト61の外周面形状に倣って形成されるとともに定着ベルト61とは所定の間隙を持って配設され、定着ベルト61を長手方向に亘って電磁誘導加熱する加熱手段あるいは供給手段としての電磁誘導加熱部65と、定着ベルト61の内側にて定着ベルト61の内周面に沿って配設され、電磁誘導加熱部65による定着ベルト61の加熱効率を高めるフェライト部材67とによって、その主要部が構成されている。
また、この実施の形態に係る定着装置37では、後述するように、定着ベルト61が駆動され、加圧ロール62は、定着ベルト61の回動に伴って従動回転するように構成されている。このため、定着装置37は、定着ベルト61を駆動する駆動手段としての駆動モータ68を備えている。
さらに、この実施の形態に係る定着装置37では、必要に応じて定着ベルト61と加圧ロール62とが接離可能に構成されている。このため、定着装置37は、定着ベルト61側の取り付け位置を固定する一方で、加圧ロール62を定着ベルト61に対して接離する接離手段としてのラッチ機構69を有している。このラッチ機構69は、例えばモータや偏心カム等を組み合わせたもので構成することができる。
定着ベルト61は、図4(a)に示すように、内周面側から順に、耐熱性の高いシート状部材からなる基層61aと、導電層61bと、弾性層61cと、外周面となる表面離型層61dとが順次積層されて構成されている。また、各層の間には接着のためのプライマー層等が設けられる場合がある。
基層61aとしては、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、PEEK樹脂、PES樹脂、PPS樹脂、PFA樹脂、PTFE樹脂、FEP樹脂等のフレキシブルで機械的強度に優れ、耐熱性を有する材料が好適に用いられる。基層61aの厚さは、10〜150μm、好ましくは厚さ30〜100μmが適している。厚さが10μmより薄い場合には、定着ベルト61としての強度が得られず、厚さが150μmより厚い場合には、フレキシブル性が損なわれ、また熱容量が大きくなって温度立ち上がり時間が長くなるからである。この実施の形態では、厚さ80μmのポリイミド樹脂からなるシート状部材が使用されている。
導電層61bは、電磁誘導加熱部65が誘起する磁界により誘導発熱する層(発熱属) であり、鉄、コバルト、ニッケル、銅、アルミニウム、クロム等の金属層を1〜80μm程度の厚さで形成したものが用いられる。また、導電層61bの材質および厚さは、電磁誘導による渦電流によって充分な発熱が得られる固有抵抗値を実現するように適宜選択される。本実施の形態では、厚さ10μm程度の銅を使用している。
弾性層61cは、厚さが10〜500μm、好ましくは50〜300μmであって、耐熱性、熱伝導性に優れたシリコーンゴム、フッ素ゴム、フルオロシリコーンゴム等が用いられる。本実施の形態では、ゴム硬度15°(JIS−A:JIS−K A型試験機)、厚さ200μmのシリコーンゴムを使用している。
ところで、カラー画像を印刷する場合、特に写真画像等の印刷時には、記録用紙34上で大きな面積領域に亘ってベタ画像が形成されることが多い。そのため、記録用紙34やトナー像の凹凸に定着ベルト61の表面(表面離型層61d)が追従できない場合には、トナー像に加熱ムラが発生して、伝熱量が多い部分と少ない部分とで定着画像に光沢ムラが発生する。すなわち、伝熱量が多い部分は光沢度が高く、伝熱量が少ない部分では光沢度が低くなる。
このような現象は、弾性層61cの厚さが10μmより小さい場合に生じ易い。そこで、弾性層61cの厚さは、10μm以上、より好ましくは50μm以上に設定するのが好ましい。一方、弾性層61cが500μmより大きい場合には、弾性層61cの熱抵抗が大きくなり、定着装置60のクイックスタート性能が低下する。そこで、弾性層61cの厚さは、500μm以下、より好ましくは300μm以下に設定するのが好ましい。
また、弾性層61cのゴム硬度としては、高すぎると用紙Sやトナー像の凹凸に迫従しきれず定着画像に光沢ムラが発生し易い。そこで、弾性層61cのゴム硬度としては50°(JIS−A:JIS−K A型試験機)以下、より好ましくは35°以下が適している。
さらに、弾性層61cの熱伝導率λに関しては、λ=6×10-4〜2×10-3[cal/cm・sec・deg]が適している。熱伝導率λが6×10-4[ cal/cm・sec・deg]よりも小さい場合には熱抵抗が大きく、定着ベルト61の表層(表面離型層61d)における温度上昇が遅くなる。一方、熱伝導率λが2×10-3[cal/cm・sec・deg]よりも大きい場合には、硬度が過度に高くなったり、圧縮永久歪みが悪化する。そのため、熱伝導率λは6×10-4〜2×10-3[cal/cm・sec・deg]、より好ましくは8×10-4〜1.5×10-3[cal/cm・sec・deg]に設定するのが好ましい。
また、表面離型層61dは、記録用紙34上に転写された未定着トナー像と直接的に接触する層であるため、離型性および耐熱性に優れた材料を使用する必要がある。したがって、表面離型層61dを構成する材料としては、例えばテトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、フルオロシリコーンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム等が好適に用いられる。
また、表面離型層61dの厚さは、5〜50μmが好ましい。表面離型層61dの厚さが5μmよりも薄い場合には、塗膜時に塗りムラが生じて離型性の悪い領域が形成されたり、耐久性が不足したりするといった問題が発生するからである。また、表面離型層61dが50μmを超える場合には、熱伝導が悪化するという問題が発生し、特に樹脂系の材質で形成された表面離型層61dでは硬度が高くなりすぎ、弾性層61cが有する機能を低下させるからである。なお、本実施の形態では、厚さ30μmのPFAを使用している。
ここで、表面離型層61dにおけるトナー離型性を向上するため、表面離型層61dにトナーオフセット防止のためのオイル(離型剤)を塗布するオイル塗布機構を定着ベルト61に当接させて配設することも可能である。特に、低軟化物質を含有しないトナーを用いた場合には効果的である。
なお、上記定着ベルト61に代えて、図4(b)に示すような定着ベルト161を用いても良い。この定着ベルト161は、耐熱性樹脂層161a、161cが二層に分けて形成され、これらの間に導電層161bが形成されている。そして、その表面に弾性層161dおよび表面離型層161eが積層されたものである。この定着ベルト161では、導電層161bである金属層を薄く形成しても、繰り返し曲げ変形を受けることによる劣化を抑制することができる。なお、耐熱性樹脂層161a、161cは耐熱性樹脂に限定されるものではない。
次に、加圧ロール62は、図3に示したように、芯材(コア)としての金属製の円筒状部材62aと、円筒状部材62aの表面にシリコーンゴム、発泡シリコーンゴム、フッ素ゴム、フッ素樹脂等の耐熱性を有する弾性層62bと、最外表面の表面離型層62cとで構成されている。そして、加圧ロール62は、定着ベルト61の回転軸と平行に配設されるとともに、両端部がバネ部材(不図示)によって定着ベルト61側に付勢されて支持されている。この実施の形態では、加圧ロール62は、定着ベルト61を介して総荷重294N(30kgf)で押圧パッド63に付勢されている。加圧ロール62は、定着ベルト61に従動して矢印C方向に回転されるように構成されている。なお、加圧ロール62を回転駆動するように構成しても良い。
押圧パッド63は、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の弾性材料や、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルサルフォン(PES)や液晶ポリマー(LCP)等の耐熱性樹脂等で形成されている。そして、押圧パッド63は、定着ベルト61の幅方向において、記録用紙34が通過する領域(通紙域)よりもやや広い領域に亘って配設され、この押圧パッド63の長手方向の略全長に亘って加圧ロール62が押圧されるように構成されている。
また、押圧パッド63の定着ベルト61との接触面は、加圧ロール62の外表面形状に倣って、凹状曲面で形成されている。そのため、定着ベルト61を介して加圧ロール62との間で充分に幅の広い定着ニップ部Nを形成することができる。
さらに、押圧パッド63と定着ベルト61との間には、定着ニップ部Nにおける押圧パッド63と定着ベルト61との摺動性を向上するため、摺動性に優れ、耐摩耗性が高いポリイミドフィルムやフッ素樹脂を含浸させたガラス繊維シート等からなる摺動シート63aが配設されている。さらに、定着ベルト61の内周面には潤滑剤が塗布されている。潤滑剤としては、アミノ変性シリコーンオイルやジメチルシリコーンオイル等が用いられる。これらにより、定着ベルト61と押圧パッド63との間の摩擦抵抗が小さくなり、定着ベルト61が円滑に回動させることを可能としている。
パッド支持部材64は、定着ベルト61の幅方向に軸線を有する棒状部材である。そして、パッド支持部材64の加圧ロール62と対向する部分には押圧パッド63が取り付けられており、定着ベルト61を介して加圧ロール62から押圧パッド63に作用する押圧力をパッド支持部材64によって負担している。そのため、パッド支持部材64を構成する材質としては、加圧ロール62から押圧力を受けた際の撓み量が所定のレベル以下、好ましくは1mm以下となる程度の剛性を有するものが用いられる。そのため、後述する電磁誘導加熱部65による磁束の影響によって加熱されにくい必要をも考慮して、例えば、ガラス繊維入りPPS、フェノール、ポリイミド、液晶ポリマー等の耐熱性樹脂、耐熱ガラス、固有抵抗が小さく誘導加熱の影響を受けにくいアルミニウム等の金属が用いられる。この実施の形態では、パッド支持部材64は、断面形状が加圧ロール62からの押圧力方向に長軸を有する長方形で形成されたアルミニウムで構成されている。
さらに、パッド支持部材64には、高透磁率の材質(例えば、フェライトやパーマロイ等)から構成され、電磁誘導加熱部65による加熱効率を高めるためのフェライト部材67や、定着ベルト61の温度を検知する温度検知手段としてのサーミスタ70がバネ部材71を介して定着ベルト61の内周面に圧接されるように固定されている。この場合、定着ベルト61の長手方向中央部にサーミスタ70が配置され、定着ベルト61の一方の端部に他のサーミスタ(不図示)が配置されている。また、パッド支持部材64には、定着ベルト61に接触、または近接するように、サーモスイッチ(不図示)も配設されている。なお、温度検知手段としては、定着ベルト61の温度を検知するサーミスタ70等に代えて、またはかかるサーミスタ70等に加えて、加圧ロール62の表面温度を検知するサーミスタを設けた構成を採ることもできる。
また、パッド支持部材64の軸方向両端部には、図5に示すように、定着ベルト61を支持するとともに、駆動モータ68によってこの定着ベルト61を回動させるための走行ガイド80が配置されている。そして、定着ベルト61は、その両端部の内周面が走行ガイド80で支持されることで、当該定着ベルト61は所定の形状(例えば、略円形)を維持しながら回動するように構成されている。ここで、図5は定着ベルト61が走行ガイド80によって支持される構成を説明する図であり、記録用紙34の搬送方向上流側から見た定着装置60の一方の端部領域を示している。
図5に示したように、走行ガイド80は、定着ベルト61の端部に挿入されて定着ベルト61を支持するエンドキャップ81と、エンドキャップ81と一体的に構成されエンドキャップ81よりも定着ベルト61の軸方向外側に配置される駆動ギア82と、パッド支持部材64と一体的に構成され、これらエンドキャップ81および駆動ギア82を回動可能に保持する回転軸83とを有している。なお、駆動ギア82には、駆動モータ68に設けられた駆動ギア(不図示)が噛合されている。
そして、定着ベルト61は、図5に示すように、定着ベルト61の幅方向両端部において、両端部の内周面が駆動ギア82と一体化したエンドキャップ81に支持されながら回動する。なお、ラッチ機構69によって加圧ロール62が定着ベルト61に圧接している場合には、加圧ロール62が定着ベルト61の回動に伴って従動回転する。また、定着ベルト61は、駆動ギア82によって定着ベルト61の幅方向への移動(ベルトウォーク)が制限され、定着ベルト61に片寄りが生じるのが抑えられている。
次に、電磁誘導加熱部65について述べる。電磁誘導加熱部65は、図3に示すように、定着ベルト61の幅方向に沿って、定着ベルト61の外周面形状に倣った円弧形状の曲面を定着ベルト61側に有する台座65aと、台座65aに支持された励磁コイル65bと、この励磁コイル65bに高周波電流を供給する給電手段の一例としての励磁回路65cとで主要部が構成されている。
台座65aは、絶縁性および耐熱性を有する材料からなり、例えば、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、液晶ポリマー樹脂等を用いることができる。また、励磁コイル65bとしては、例えば、耐熱性の絶縁材料(例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等)によって相互に絶縁された直径φ0.1〜0.5mmの銅線材を複数本束ねたリッツ線を長円形状や楕円形状、長方形状等の閉ループ状に複数回(例えば、11ターン)巻いたものが用いられる。そして、励磁コイル65bは接着剤によって固められることでその形状を維持しながら台座65aに固定されている。
また、励磁コイル65bおよびフェライト部材67と、定着ベルト61の導電層61bとの間の距離は、可能な限り近接させて設置することが磁束の吸収効率を高めるために好ましいことから、これらの距離は5mm以内、例えば、2.5mm程度に設定されている。
電磁誘導加熱部65では、励磁回路65cから励磁コイル65bに高周波電流が供給されると、励磁コイル65bの周囲に磁束が生成消滅を繰り返す。ここで、高周波電流の周波数は、例えば10〜500kHzに設定されるが、本実施の形態では20〜100kHzに設定している。励磁コイル65bからの磁束が定着ベルト61の導電層61bを横切ると、定着ベルト61の導電層61bにはその磁界の変化を妨げるような磁界が発生し、それによって導電層61b内に渦電流が発生する。そして、導電層61bでは、渦電流 (・)によって導電層61bの表皮抵抗(R)に比例したジュール熱(W=I2 R)が発生し、定着ベルト61は加熱されることになる。
なお、その際には、定着ベルト61の温度は、サーミスタ70での計測値に基づいて、プリンターの制御部50(図2参照)が励磁コイル65bに供給する電力量または高周波電流の供給時間等を制御することにより、所定の温度に維持されている。
そして、この実施の形態のフルカラープリンターにおいては、トナー像を形成する動作が開始されるのと略同時に、定着装置60では、定着ベルト61を駆動する駆動モータ68および電磁誘導加熱部65に電力が供給され、定着装置37が起動する。すると定着ベルト61が回動する。なお、この時点では、加圧ロール62はラッチ機構69によって定着ベルト61から離間している。加えて、定着ベルト61が電磁誘導加熱部65と対向する加熱領域を通過することで、定着ベルト61の導電層61bには渦電流が誘導され、定着ベルト61は発熱する。その後、所定のタイミングでラッチ機構69によって加圧ロール62が定着ベルト61に圧接される。すると、定着ベルト61に従動して加圧ロール62が回動する。そして、定着ベルト61が均一に所定の温度に加熱された状態で、未定着トナー像を担持した記録用紙34が、定着ベルト61と加圧ロール62とが圧接された定着ニップ部Nに送り込まれる。通紙領域における定着ニップ部N内では、記録用紙34および記録用紙34に担持されたトナー像は、加熱および加圧され、トナー像が記録用紙34上に定着される。その後、記録用紙34は、定着ベルト61の曲率の変化によって定着ベルト61から剥離されて、プリンター本体1の排出部に設けられた排紙トレイ38に搬送される。その際に、定着後の記録用紙34を定着ベルト61から完全に分離するための補助手段として、定着ベルト61の定着ニップ部Nの下流側に、剥離補助部材75を配設することも可能である。
この実施の形態に係る定着装置37では、定着ベルト61がトナー像の定着に必要な所定の温度に均一に加熱されているので、光沢ムラやオフセット等の発生が抑制された良好なトナー像を形成することができる。また、定着ベルト61は熱容量が極めて小さいため、高速に定着ベルト61を加熱することができるので、ウォームアップタイムを極めて短くすることができるとともに、オンデマンド性に優れているので待機時の電力消費も大きく低減することが可能である。
また、押圧パッド63により、定着ベルト61を介して加圧ロール62との間で充分に広いニップ幅を形成することができるので、定着ニップ部Nにおける熱の伝達を充分に行うことが可能となって、良好な定着性能を得ることができる。
ところで、この実施の形態では、記録材上の未定着像を定着する定着装置であって、周回移動する加熱部材と、前記加熱部材に圧接した状態で周回移動し、当該加熱部材との間に前記記録材を通過させるための定着ニップ部を形成する加圧部材と、前記加熱部材を発熱させるか又は加熱することにより、当該加熱部材の少なくとも前記定着ニップ部に対応した領域を加熱する加熱手段と、前記加熱部材の温度を検知するための温度検知手段を有する定着装置において、前記加熱部材を定着可能温度に加熱するための立ち上げシーケンスを、前記温度検知手段の温度検知情報に基づいて、前記加熱手段への通電を複数段にわたって制御する制御手段を備えるように構成されている。
また、この実施の形態では、第1段目の立ち上げシーケンスは、前記加熱部材の温度が最初に前記定着可能温度に達するまでのシーケンスであるように構成されている。
さらに、この実施の形態では、第2段目の立ち上げシーケンスは、前記加熱部材の設定温度を、前記温度検知手段によって検知された温度より所定の温度だけ高く設定した温度とし、当該第二の立ち上げシーケンスは、前記設定温度を所定の温度以下かつ所定時間内の温度差が所定の温度以下になることで終了するように構成されている。
又、この実施の形態では、第3段目の立ち上げシーケンスは、前記加熱部材の設定温度を、前記定着可能温度とし、P制御、PI制御あるいはPID制御の少なくともいずれか1つを用いて、前記加熱部材の温度が前記設定温度となるように制御するように構成されている。
では次に、多段階のウォームアップシーケンスについて詳細に説明する。
図6は、図2に示す制御部50の制御ブロック図である。なお、制御部50は、プリンター全体の制御を司る機能を有しているが、ここでは、定着装置37の動作に関連するブロックのみを示している。
制御部50のCPU(Central Processing Unit)55は、ROM(Read On1y Memory)56に記憶されたプログラムに従い、RAM(Random Access Memory)57との間で適宜データのやりとりを行いながら処理を実行する。また、制御部50は、時間を計測するタイマ58を具備している。この制御部50には、入出力インタフェース55を介して、電源スイッチ52からの電源ON情報、UI51における操作指示情報、およびサーミスタ70からの温度検知情報が入力されるようになっている。一方、この制御部50は、入出カインタフェース59を介して、定着ベルト61を駆動する駆動モータ68、定着ベルト61に対して加圧ロールを接離させるラッチ機構69、および励磁コイル65bに電力を供給して定着ベルト61を加熱させる励磁回路65cに制御信号を出力している。
以上の構成において、この実施の形態に係る定着装置を適用したフルカラプリンターでは、次のようにして、ウォームアップ時間を短くすることができるのは勿論のこと、ウォームアップ時間を短くするために、加熱部材として熱容量の小さい部材を用い、当該熱容量の小さい加熱部材を短時間に加熱できる加熱方式を採用した場合であっても、加熱部材の不本意な温度低下等に起因する生産性の低下を防止することができ、ウォームアップ時間を短縮しつつ、従来並みの生産性を維持することが可能となっている。
図7は、定着装置37における複数段階のウォームアップシーケンス処理の流れを説明するためのフローチャートを示している。
まず、制御部50は、図1に示すように、画像形成動作のトリガがあるか否かを判別し(ステップ101)、画像形成動作のトリガありと判別した場合には、駆動モータ68を起動して、定着ベルト61の駆動を開始するとともに(ステップ102)、第一の立ち上げシーケンスに従って電力供給を開始する。
ここで、画像形成動作のトリガとしては、例えば、電源スイッチ52の投入、あるいは自動原稿搬送装置への原稿のセット、プラテンカバー4の開閉、UI52のキーの操作など、ユーザが画像形成動作を開始する際に、当該画像形成動作に伴って行う動作が挙げられる。
そして、制御部50は、第一の立ち上げシーケンスに伴って、定着ベルト61の設定目標温度TnをT2に設定し、励磁回路65cによって励磁コイル65a、65bへの電力の供給を開始する(ステップ104)。
図1は、定着装置37における立ちあげシーケンス動作および定着動作の一例を示す図であり、ここでは、例えば、電源スイッチ52の投入時や、長期間にわたって画像形成動作が行われなかった後など、室温T0にある定着ベルト61を加熱する例を示している。なお、図1において、横軸は開始時刻からの経過時間tを、縦軸のうち左側は定着ベルト温度Tを、右側は励磁回路65cから供給される投入電力Pを、それぞれ示している。また、図1において、実線は定着ベルト温度Tを、破線は投入電力Pを、それぞれ示している。
このとき、励磁回路65cには、投入電力Pとして、定着装置37に割り当てられた電力の最大値である第一の電力P1(ここでは1100W相当)が投入される。これにより、定着ベルト61は急速に加熱されていく。なお、この時点で、プリンターの他の部位にはそれほど電力供給がなされておらず、このプリンターで使用可能な電力(1.5kVA:AC100V×15A)のほとんどを定着装置37の励磁回路65cに供給することができる。また、開始時刻をt=0としてタイマ54による計時が開始される(ステップ105)。
次に、制御部50は、サーミスタ70の検知温度Txから定着ベルト61の温度を取得し(ステップ106)、定着ベルト61の温度が設定温度T2以上となったか否かを判別する(ステップ107)。そして、定着ベルト61の温度が設定温度T2以上となっていない場合には、ステップ106に戻り、当該定着ベルト61の温度が設定温度T2以上となるまで待機する。
その間、図1に示すように、時刻t2においてユーザによりUI52に設けられた図示しないプリントボタン等が押されると、画像形成動作(トナー像の形成、転写、用紙搬送等)が開始される。これに伴い、励磁回路65cに対する投入電力Pは、第一の電力P1よりも低い第二の電力P2(ここでは750W〜800W程度)まで低減される。これにより、定着ベルト61の昇温レートは若干減少するものの、定着ベルト61はさらに加熱されていく。なお、第一の電力P1と第二の電力P2との差分の電力は、帯電器16やROS13等、他の部位に供給される。なお、時刻t2は、ユーザによりUI52に設けられた図示しないプリントボタン等が押された時刻であって、ユーザによってその都度決められるものであり、一律な値をとるものではないが、本発明者等がユーザによる使用状況を調査したところ、時刻t2は平均で約3秒程度であった。
つまり、時刻t2は、画像形成動作のトリガがあった後の経過時間であり、画像形成動作のトリガは、電源スイッチ52の投入や、自動原稿搬送装置への原稿のセット、プラテンカバー4の開閉、UI52のキーの操作など、ユーザが画像形成動作を開始する際に、当該画像形成動作に伴って行う動作であるから、ユーザは、通常、自動原稿搬送装置への原稿のセットや、プラテンカバー4の開閉、UI52のキーの操作などを行った後、約3秒程度でプリントボタン等を押す動作を行っていることになる。
そして、この例では、図1に示すように、経過時間tが第一の設定時間t1に達するのと同時に、サーミスタ温度Txに基づいて取得される定着ベルト61の検知温度Tが第一の設定温度T1に到達し、ラッチ機構69により加圧ロール62が定着ベルト61に圧接され、加圧ロール62は定着ベルト61の回動に伴って従動して回動し始める。その後、定着ベルト61は、第二の設定温度T2に到達する。ここで、第二の設定温度T2に達する時刻をt7とした。この時刻t7までが第一の立ちあげシーケンスであり、第一の立ち上げシーケンスにおける目標設定温度はT2で、その時刻t7から第二の立ち上げシーケンスが開始する。
即ち、制御部50は、図7に示すように、サーミスタ70の検知温度に基づいて、定着ベルト61の温度が第二の設定温度T2以上になったことを判別すると、第二の立ち上げシーケンスに移行する(ステップ109)。
この第二の立ち上げシーケンスでは、制御部50は、目標設定温度Tnを前記サーミスタ70の検知温度Txに所定の温度Tyを足し加えた値に設定して、定着ベルト61の温度を制御する。ここで、所定の温度Tyとしては、例えば、10〜15℃程度に設定されるが、これ以外の値に設定しても勿論良い。
また、制御部50は、第二の立ち上げシーケンスにおいて、定着ベルト61の温度が異常昇温を検知する所定の温度Tn以下か否かを常時判別するとともに(ステップ111)、定着ベルト61の温度Tの変化率が所定値以下となったか否かを判別し(ステップ112)、定着ベルト61の温度Tの変化率が所定値以下となっていない場合には、ステップ109に戻り、第二の立ち上げシーケンスを継続する。
なお、制御部50は、定着ベルト61の温度が所定の温度Tnを超えたと判別した場合には、異常昇温と判断して電力の供給を停止する(ステップ115)。
そして、サーミスタ70の検知温度Txの温度変化率が所定の値以下になる時刻t8まで第二の立ちあげシーケンスが継続される。ここで、温度変化率の所定の値としては、例えば、10〜20℃/sec程度に設定される。
未定着トナー像を担持した記録用紙34が定着ニップ部Nに突入する時刻t3において、定着動作が開始される。これにより、定着ベルト61の熱は、記録用紙34に奪われ、定着ベルト61の温度Tは、図1に示すように急激に低下する。
そして、制御部50は、サーミスタ70の検知温度Txの温度変化率が所定の値以下になったことを判別すると、第三の立ち上げシーケンスに移行し、設定目標温度Tnを一定温度T2に設定するとともに(ステップ113)、P,PIあるいはPID制御で定着ベルト61の温度が設定温度T2に等しくなるように制御を行う(ステップ114)。
よって、図1に示すように、サーミスタ70の検知温度Txの温度変化率が所定の値以下になった時刻t8以降は、目標設定温度を再びT2に戻し、P,PIあるいはPID制御を行い、目標温度T2を維持するように電力制御を行うようになっている。
そして、その後は、連続して複数枚の記録用紙34に定着処理を行う場合、定着ベルト61の温度Tが第一の設定温度T1から第三の設定温度T3の範囲内となるように、より詳しくは、定着ベルト温度Tが第二の設定温度T2を超えないように、定着ベルト61に対する励磁回路65cの給電制御が行われていく。ただし、定着ベルト61はある程度加熱された状態となっているため、定着ベルト温度Tは第一の設定温度T1以上に維持される。
なお、第二の立ち上げシーケンスに移行した後、ユーザがプリント動作を中止した場合など、記録用紙34が給紙されない場合には、制御部50は、例えば、第二の立ち上げシーケンスに移行してからの経過時間を計測し、当該計測時間が所定時間に達した場合には、サーミスタ70の検知温度Txの温度変化率にかかわらず、第三の立ち上げシーケンスに移行するように切り替えられる。
また、定着装置37における定着動作が終了した後は、当該定着装置37への給電が停止され、定着ベルト61の温度は、室温T0へと変化する。
以上説明したように、この実施の形態に係る定着装置37では、立ち上げシーケンスを三段階設け、それぞれに設定温度を設けることで、単一のシーケンスによる電力制御の弊害を改善し、生産性の劣化を防ぐことが出来る。
そして、この実施の形態では、立ち上げシーケンス動作中に、画像形成装置のシステムで定着装置37に許容される最大電力を投入するようにしたので、さらにウォームアップ時間を短縮することが可能になる。
また、このような構成を採用することで、定着装置37をきわめて短時間に使用可能な状態までもっていくことができ、ユーザにとっては待ち時間を減らすことが可能になる。また、ウォームアップ前に定着ベルト61を予熱しておく必要がないため、待機電力を低減することができる。
なお、この実施の形態では、電磁誘導加熱部65を用いて定着ベルト61を電磁誘導加熱していたが、これに限られるものではない。例えば、定着ニップ部N近傍の定着ベルト61の内側に加熱手段あるいは供給部材としてのセラミックヒータを設け、定着ベルト61を局所加熱することにより、定着ベルト61を急速加熱する方式の定着装置に対しても、本実施の形態で用いた手法を同様に適用することができる。
また、本実施の形態では、ラッチ機構69を用いて、定着ベルト61に対して加圧ロール62を接離するように構成したが、これに限られるものではなく、加圧ロール62に対して定着ベルト61側をラッチするように構成してもよい。さらに、本実施の形態では、加圧ロール62が定着ベルト61と接触させることにより、定着ベルト61の熱を奪わせていたが、これに限られるものではない。例えば、加圧ロール62とは別に定着ベルト61に接離可能なロール等の圧接部材を設け、この圧接部材を定着ベルト61に圧接させることにより、定着ベルト61の熱を奪わせることも可能である。