JP5698919B2 - 定着装置及びこれを搭載した画像形成装置 - Google Patents
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Description
しかしながら、上記文献1にはこの点については記載されておらず、また、上記文献2では、断熱層の厚さが伝熱層の厚さより大きく構成されている。つまり、これではベルトの熱容量が増え、ベルトの昇温に要する時間が却って長くなるという問題がある。
ここで、定着ベルト部材は、その内側から視て断熱層、発熱層、伝熱層の順に構成され、断熱層は発熱層で生じた熱のバックアップ部材への伝達を抑える一方、伝熱層は発熱層で生じた熱を定着ニップに伝達する機能をそれぞれ有しており、断熱層の厚さda<伝熱層の厚さdbを満たす。
また、内側に位置する断熱層が外側に位置する伝熱層よりも薄いため、定着ベルト部材の変形量が大きくなり、トナーを加熱するのに必要な定着ニップ幅を容易に確保できる。
第2の発明によれば、第1の発明の作用に加えてさらに、定着ベルト部材とバックアップ部材との間の接触熱抵抗を大きくすれば、定着ベルト部材の昇温に要する時間がより短くなる。この接触熱抵抗は、熱伝導率を厚さで除した値の逆数に相当する。
この結果、発熱層で生じた熱は、その内側に位置する断熱層には移動し難く、外側に位置する伝熱層に移動し易くなるので、定着ベルト部材からバックアップ部材への熱移動量が減り、定着ベルト部材の昇温に要する時間のさらなる短縮化を確実に達成できる。
第3の発明によれば、第1や第2の発明の作用に加えてさらに、弾性層を有した回転体を用いれば、この弾性層によって定着ニップ幅を増やすことができる。また、回転体は定着ベルト部材とは擦れ合わないため、定着ベルト部材の耐久性が向上するし、この定着ベルト部材の搬送も安定する。
第4の発明によれば、第1や第2の発明の作用に加えてさらに、押圧部材を用いれば、定着ベルト部材のより一層の低熱容量化を図ることができるし、さらに、この押圧部材が断熱層を有するため、押圧部材が定着ベルト部材で生じた熱を奪うこともない。
第5の発明によれば、第1から第4の発明の作用に加えてさらに、少ない定着熱容量でトナー画像が形成される結果、画像形成装置の信頼性が向上する。
図1は、一実施形態の画像形成装置1の構成を示した概略図である。画像形成装置1は、例えば外部から入力された画像情報に基づいて記録媒体の一例としての用紙の表面にトナー画像を転写して印刷を行うプリンタ、複写機、ファクシミリ装置、それらの機能を併せ持つ複合機等としての形態をとることができる。また、以下の実施形態では、記録媒体は用紙に限らず、用紙以外の記録媒体(OHPシートなど)であっても実施可能である。
装置本体2内において、その下部には、用紙を収納する給紙カセット5が配設されている。また、装置本体2内の中央部には、給紙カセット5に収容していない種類の用紙を装置本体2へ供給するスタックトレイ6が配設されている。そして、装置本体2の上部には画像形成部7が設けられており、この画像形成部7は、画像形成装置1と接続されたPC等の上位装置から送信される文字や絵柄などの画像データに基づいて用紙に画像を形成する。
第1の搬送路9と第2の搬送路10とはレジストローラ対22の手前で合流しており、レジストローラ対22に到達した用紙はここで一旦待機し、スキュー調整とタイミング調整を行った後、二次転写部23に向けて送出される。送出された用紙には、二次転写部23で中間転写ベルト40上のフルカラーのトナー画像が用紙に二次転写される。この後、定着ユニット14でトナー画像が定着された用紙は、必要に応じて第4の搬送路12で反転され、最初とは反対側の面にも二次転写部23でフルカラーのトナー画像が二次転写される。そして、反対面のトナー画像が定着ユニット14で定着された後、第3の搬送路11を通って排出ローラ対24により排出トレイ3に排出される。
各画像形成ユニット26〜29は、感光体ドラム32と、感光体ドラム32の周面に対向して配設された帯電部33と、帯電部33の感光体ドラム32の回転方向下流側であって感光体ドラム32の周面上の特定位置にレーザビームを照射するレーザ走査ユニット34と、レーザ走査ユニット34からのレーザビーム照射位置の感光体ドラム32の回転方向下流側であって感光体ドラム32の周面に対向して配設された現像部35と、現像部35の感光体ドラム32の回転方向下流側であって感光体ドラム32の周面に対向して配設されたクリーニング部36とを備えている。
第1の搬送路9や第2の搬送路10は、給紙カセット5やスタックトレイ6から繰り出されてきた用紙を二次転写部23側に搬送するものであり、装置本体2内で所定の位置に配設された複数の搬送ローラ対43と、二次転写部23の手前に配設され、画像形成部7における画像形成動作と用紙の搬送動作とのタイミングを取るためのレジストローラ対22とを備えている。
〔定着ユニットの詳細〕
次に、本実施形態の画像形成装置1に適用された定着ユニット14の詳細について説明する。
定着ベルト45は、その基材の厚みが40μmの強磁性材料(Ni電鋳基材)であり、発熱層72として機能する(図4)。そして、本実施例の定着ベルト45は、後述の如く発熱層72の内面側に厚さ100μm程度の断熱層(低熱伝導のシリコンゴム)70を有する一方、発熱層72の外面側に厚さ300μm程度の伝熱層(高熱伝導のシリコンゴム)74が形成され、その外面には表面離型層(厚さ30μm程度のPFAチューブ)が形成されており、その発熱温度を150〜200℃の範囲に調整される直径40mm程度の無端状の薄肉ベルトである。
また、図2に示されるように、加圧ローラ44にはステッピングモータ66が装備されており、加圧ローラ44はこのモータ66からの動力により、搬送される用紙の幅方向に延びた軸線回りに回転する。この加圧ローラ44の回転駆動(図3で視て反時計回り)に伴い、定着ベルト45が従動回転(図3で視て時計回り、その外周面速度:約270mm/sec)し、定着ベルト45と加圧ローラ44との間には定着ニップが形成される。
詳しくは、本実施例の定着ベルト45は定着ローラ(回転体)46に巻回されている。この定着ローラ46は、金属製(アルミニウム:厚さ2mm程度)の芯金上に厚み8mm程度の発泡シリコンゴムの弾性層が形成された直径40mm程度のローラ(表面硬度(アスカーC)35°)である。そして、定着ローラ46の弾性層が定着ベルト45の内面に接触し、定着ベルト45は軸線方向に亘って加圧ローラ44からの押圧力(300N)を受ける。これにより、定着ベルト45と加圧ローラ44との間にはトナー画像を用紙に定着させる略フラットな定着ニップが形成される。
この他に定着ユニット14は、定着ベルト45の外側にIHコイルユニット50を備えている(図1,2には示されていない)。IHコイルユニット50は、細い線材を束ねたリッツ線である誘導加熱コイル52をはじめ、一対のアーチコア54やサイドコア56から構成されている。
図3の例では、定着ベルト45の円弧状の部分で誘導加熱を行うため、誘導加熱コイル52は定着ベルト45の円弧状の外面に沿う仮想的な円弧面上に配置されている。実際には、定着ベルト45の外側に、コイルボビン(図示しない)が配置されており、このボビン上に誘導加熱コイル52が巻線状に配置される構成である。なお、ボビンの材質は、耐熱性樹脂(例えばPPS、PET、LCP)であることが好ましく、また、コイル52のコイルボビンへの固定は、例えばシリコン系接着剤を用いて行う。
図3で視てアーチコア54及びサイドコア56はIHコイルユニット50の両側で対をなすように配置されている。このうち両側のアーチコア54は、互いに対称をなす断面アーチ形に成形されたフェライト製コアであり、それぞれ全長は誘導加熱コイル52が配置された領域よりも長い。また、両側のサイドコア56は、ブロック形状に成形されたフェライト製のコアである。両側のサイドコア56は各アーチコア54の一端に連結して設けられており、これらサイドコア56は誘導加熱コイル52が配置された領域の外側を覆っている。
具体的には、本実施例では、定着ベルト45の断熱層70の厚さdaが100μmに設定されるのに対し、定着ベルト45の伝熱層74の厚さdbは300μmに設定され、断熱層70の厚さdaが伝熱層74の厚さdbよりも小さくされている。つまり、断熱層70の温度上昇に必要な熱量は、伝熱層74の温度上昇に必要な熱量に比して少なくなる。
ここで、当該熱伝導率λを厚さdで除した値の逆数は接触熱抵抗に相当する。
この点を本実施例について云えば、断熱層70の接触熱抵抗da/λaは0.001m2K/Wになり、伝熱層74の接触熱抵抗db/λbは0.0006m2K/Wになることから、発熱層72で生じた熱は、断熱層70よりも伝熱層74に伝わり易く、定着ベルト45から定着ローラ46への熱移動を抑制できるのである。
この比較例の定着ベルトは、その断熱層の厚さだけが上記断熱層70よりも厚い500μmで形成されているが、その熱伝導率は断熱層70と同じであり、また、その伝熱層の厚さや熱伝導率の大きさも上記伝熱層74と同じである。
このように、ベルト昇温時間は、少なくとも断熱層の厚さだけを薄くすれば、短縮できることが分かる。
ところで、昇温時間を短くできる定着ベルト45を備えた定着ユニット14には、上述の実施例のみならず、種々の態様が考えられる(図6,7)。
詳しくは、これら図6及び図7の実施例については、上記実施例と同一機能を奏する構成には同一の符号を付してその説明を省略すると、まず、図6の定着ユニット14では、IHコイルユニット50に替えて加熱ローラ50Aを備えている。
次に、上記各実施例では、定着ベルト45の内側に定着ローラ46がそれぞれ設けられていた。
この例の摺動部材80の両端は、定着ローラ46と同様に定着ユニット14の図示しないカバー等に支持され、摺動部材80の下面部分が回転する定着ベルト45の内面に擦れ合って接触し、定着ベルト45と加圧ローラ44との間にフラットな定着ニップを形成している。
また、発熱層72の内側に位置する断熱層70が外側に位置する伝熱層74よりも薄いため、定着ベルト45の変形量が大きくなり、トナーを加熱するのに必要な定着ニップ幅を容易に確保できる。
そこで、定着ベルト45の断熱層70の熱伝導率λaを伝熱層74の熱伝導率λbよりも小さく、さらに、断熱層70側の接触熱抵抗の逆数λa/daを伝熱層74側の接触熱抵抗の逆数λb/dbよりも小さく設定し、断熱層70側の接触熱抵抗を伝熱層74側の接触熱抵抗よりも大きくする。
さらにまた、図2,6の実施例の如く弾性層を有した定着ローラ46を用いれば、この弾性層によって定着ニップ幅を増やすことができる。また、定着ローラ46は定着ベルト45とは擦れ合わないため、定着ベルト45の耐久性が向上するし、この定着ベルト45の搬送性も向上する。
さらに、少ない定着熱容量でトナー画像が形成される結果、画像形成装置1の信頼性が向上する。
例えば本実施例では画像形成装置としてプリンタに具現化した例を示しているものの、本発明の画像形成装置は、複合機、複写機やファクシミリ等にも当然に適用可能である。
7 画像形成部
14 定着ユニット(定着装置)
44 加圧ローラ(加圧回転体)
45 定着ベルト(定着ベルト部材)
46 定着ローラ(回転体、バックアップ部材)
50 IHコイルユニット(外部加熱)
50A 加熱ローラ(外部加熱)
70 断熱層
72 発熱層
74 伝熱層
80 摺動部材(押圧部材、バックアップ部材)
Claims (2)
- 記録媒体に画像を定着するための定着装置であって、
外部加熱によって発熱する発熱層を有するとともに、搬送される前記記録媒体の幅方向に延びた軸線周りに回転し、前記記録媒体上のトナー画像を加熱してこの記録媒体に定着させる定着ベルト部材と、
前記定着ベルト部材の内側に設けられてこの定着ベルト部材の一部分を押圧し、この定着ベルト部材の外面に接触する加圧回転体との間にニップを形成させる押圧部材とを具備し、
前記押圧部材は、
前記定着ベルト部材と接する面に断熱層を有し、
前記定着ベルト部材は、
前記発熱層の内面側に配置されてこの発熱層で生じた熱の前記押圧部材への伝達を抑え、前記押圧部材に接触してこの押圧部材により直接押圧されるシリコンゴムで形成された断熱層と、前記発熱層の外面側に配置されてこの発熱層で生じた熱を前記記録媒体と接触する側に伝達するシリコンゴムで形成された伝熱層とを有し、前記断熱層の厚さをda、前記伝熱層の厚さをdbとしたとき、
da<db
を満たすことを特徴とする定着装置。 - 請求項1に記載の定着装置であって、
前記断熱層の熱伝導率をλa、前記伝熱層の熱伝導率をλbとしたとき、
λa<λb、及び、λa/da<λb/db
を満たすことを特徴とする定着装置。
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