JP5698919B2 - 定着装置及びこれを搭載した画像形成装置 - Google Patents

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本発明は、トナー画像を担持した記録媒体をベルトと加圧ローラとのニップ間に通しながら、未定着トナーを加熱溶融させて記録媒体に定着させる定着装置及びこれを搭載した画像形成装置に関するものである。
この種の画像形成装置においては近年、定着装置でのウォームアップタイムの短縮や省エネルギー等の要望から、熱容量を少なく設定できるベルト方式が注目されている。また、近年、急速加熱や高効率加熱の可能性をもった電磁誘導加熱方式(IH)が注目されており、カラー画像を定着させる際の省エネルギー化の観点から、電磁誘導加熱をベルト方式と組み合わせたものが多数製品化されている。
この電磁誘導加熱方式においては、ベルトの外側に電磁誘導のための磁界を発生させるコイルを配置した構造(いわゆる外包IH)が提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。詳しくは、当該ベルトは発熱層を備えており、コイルで生じた磁束が発熱層を通過すると、この発熱層に渦電流が発生し、その固有抵抗により発熱してベルトの加熱が行われる。そして、ウォームアップタイムの削減を図るべく、特許文献1ではベルトとコイルとの間に断熱材を配置し、ベルトからコイルへの熱の移動を防止する。一方、特許文献2ではベルトがその内側から視て順番に断熱層、発熱層、伝熱層を備えており、このベルトの内側に配置されているバックアップ部材への熱の移動を防止する。
特開2003−76172号公報 特開2007−41373号公報
ところで、定着装置の低熱容量化を図ってさらなるウォームアップタイムの短縮を達成するためには、まず、ベルトの熱容量を小さくする必要がある。
しかしながら、上記文献1にはこの点については記載されておらず、また、上記文献2では、断熱層の厚さが伝熱層の厚さより大きく構成されている。つまり、これではベルトの熱容量が増え、ベルトの昇温に要する時間が却って長くなるという問題がある。
次に、上述のさらなるウォームアップタイムの短縮化を図るには、ベルトとバックアップ部材との間の接触熱抵抗を大きくし、ベルトからバックアップ部材への熱移動を抑制することが効果的である。しかし、上記文献1には当該点についても記載されていない。一方、上記文献2ではベルトの内面の表面粗さを規定するが、当該表面粗さのベルトを形成することは非常に困難であり、仮に表面粗さがベルト回転方向又はベルト長手方向にばらついた場合にはベルト温度にムラが生じるため、やはりベルトの昇温に要する時間が長くなる。また、定着不良も発生してしまう。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消し、低熱容量化を図ってさらなるウォームアップタイムの短縮化を達成する定着装置及びこれを搭載した画像形成装置を提供することである。
上記目的を達成するための第1の発明は、記録媒体に画像を定着するための定着装置であって、外部加熱によって発熱する発熱層を有するとともに、搬送される記録媒体の幅方向に延びた軸線周りに回転し、記録媒体上のトナー画像を加熱してこの記録媒体に定着させる定着ベルト部材と、定着ベルト部材の内側に設けられ、この定着ベルト部材の外面に接触する加圧回転体との間にニップを形成させるバックアップ部材とを具備し、定着ベルト部材は、発熱層の内面側に配置され、この発熱層で生じた熱のバックアップ部材への伝達を抑える断熱層と、発熱層の外面側に配置され、この発熱層で生じた熱を記録媒体と接触する側に伝達する伝熱層とを有し、断熱層の厚さをda、伝熱層の厚さをdbとしたとき、da<dbを満たす。
第1の発明によれば、バックアップ部材が定着ベルト部材の内面に接触し、定着ベルト部材は軸線方向に亘って加圧回転体からの押圧力を受ける。これにより、定着ベルト部材と加圧回転体との間にはトナー画像を記録媒体に定着させる定着ニップが形成される。
ここで、定着ベルト部材は、その内側から視て断熱層、発熱層、伝熱層の順に構成され、断熱層は発熱層で生じた熱のバックアップ部材への伝達を抑える一方、伝熱層は発熱層で生じた熱を定着ニップに伝達する機能をそれぞれ有しており、断熱層の厚さda<伝熱層の厚さdbを満たす。
このように、断熱層の厚さdaを伝熱層の厚さdbよりも小さくすれば、定着ベルト部材の熱容量は少なくなるため、従来に比して定着ベルト部材の昇温に要する時間が短くて済み、さらなるウォームアップタイムの削減及び省エネルギー化に寄与する。
また、内側に位置する断熱層が外側に位置する伝熱層よりも薄いため、定着ベルト部材の変形量が大きくなり、トナーを加熱するのに必要な定着ニップ幅を容易に確保できる。
第2の発明は、第1の発明の構成において、断熱層の熱伝導率をλa、伝熱層の熱伝導率をλbとしたとき、λa<λb、及び、λa/da<λb/dbを満たすことを特徴とする。
第2の発明によれば、第1の発明の作用に加えてさらに、定着ベルト部材とバックアップ部材との間の接触熱抵抗を大きくすれば、定着ベルト部材の昇温に要する時間がより短くなる。この接触熱抵抗は、熱伝導率を厚さで除した値の逆数に相当する。
そこで、定着ベルト部材の断熱層の熱伝導率λaをその伝熱層の熱伝導率λbよりも小さく、さらに、断熱層側の接触熱抵抗の逆数λa/daを伝熱層側の接触熱抵抗の逆数λb/dbよりも小さく設定し、断熱層側の接触熱抵抗を伝熱層側の接触熱抵抗よりも大きくする。
この結果、発熱層で生じた熱は、その内側に位置する断熱層には移動し難く、外側に位置する伝熱層に移動し易くなるので、定着ベルト部材からバックアップ部材への熱移動量が減り、定着ベルト部材の昇温に要する時間のさらなる短縮化を確実に達成できる。
第3の発明は、第1や第2の発明の構成において、バックアップ部材は、弾性層を有して定着ベルト部材を巻回する回転体であることを特徴とする。
第3の発明によれば、第1や第2の発明の作用に加えてさらに、弾性層を有した回転体を用いれば、この弾性層によって定着ニップ幅を増やすことができる。また、回転体は定着ベルト部材とは擦れ合わないため、定着ベルト部材の耐久性が向上するし、この定着ベルト部材の搬送も安定する。
第4の発明は、第1や第2の発明の構成において、バックアップ部材は、断熱層を有して定着ベルト部材の一部分を押圧する押圧部材であることを特徴とする。
第4の発明によれば、第1や第2の発明の作用に加えてさらに、押圧部材を用いれば、定着ベルト部材のより一層の低熱容量化を図ることができるし、さらに、この押圧部材が断熱層を有するため、押圧部材が定着ベルト部材で生じた熱を奪うこともない。
第5の発明は、第1から第4の定着装置を搭載し、これを用いて画像形成部で形成されたトナー画像を記録媒体に定着させる画像形成装置であることを特徴とする。
第5の発明によれば、第1から第4の発明の作用に加えてさらに、少ない定着熱容量でトナー画像が形成される結果、画像形成装置の信頼性が向上する。
本発明によれば、定着ベルト部材の断熱層の厚さがその伝熱層の厚さよりも小さくされており、低熱容量化を図ってさらなるウォームアップタイムの短縮化を図ることができる定着装置及びこれを搭載した画像形成装置を提供することができる。
一実施形態の画像形成装置の構成を示した概略図である。 定着ユニットの外観斜視図である。 定着ユニットの構造例(第1実施例)を示す縦断面図である。 図3の定着ベルトの部分拡大図である。 本実施例と比較例とによる昇温時間の結果の説明図である。 定着ユニットの構造例(第2実施例)を示す縦断面図である。 定着ユニットの構造例(第3実施例)を示す縦断面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は、一実施形態の画像形成装置1の構成を示した概略図である。画像形成装置1は、例えば外部から入力された画像情報に基づいて記録媒体の一例としての用紙の表面にトナー画像を転写して印刷を行うプリンタ、複写機、ファクシミリ装置、それらの機能を併せ持つ複合機等としての形態をとることができる。また、以下の実施形態では、記録媒体は用紙に限らず、用紙以外の記録媒体(OHPシートなど)であっても実施可能である。
図1に示される画像形成装置1は、例えばタンデム型のカラープリンタである。この画像形成装置1は、内部で用紙にカラー画像を形成(プリント)する四角箱状の装置本体2を備え、この装置本体2の上面部には、カラー画像が印刷された用紙を排出するための排出トレイ3が設けられている。
装置本体2内において、その下部には、用紙を収納する給紙カセット5が配設されている。また、装置本体2内の中央部には、給紙カセット5に収容していない種類の用紙を装置本体2へ供給するスタックトレイ6が配設されている。そして、装置本体2の上部には画像形成部7が設けられており、この画像形成部7は、画像形成装置1と接続されたPC等の上位装置から送信される文字や絵柄などの画像データに基づいて用紙に画像を形成する。
図1で視て装置本体2の左部には、給紙カセット5から繰り出された用紙を後述の二次転写部23に搬送する第1の搬送路9が配設されており、装置本体2の右部から左部にかけては、スタックトレイ6から繰り出された用紙を二次転写部23に搬送する第2の搬送路10が配設されている。また、装置本体2内の左上部には、二次転写部23で画像が転写された用紙に対して定着処理を行う定着ユニット(定着装置)14と、定着処理の行われた用紙を排出トレイ3に搬送する第3の搬送路11とが配設されている。
給紙カセット5は、装置本体2の外部(例えば図1の手前側)に引き出すことにより用紙の補充を可能にする。この給紙カセット5は収納部16を備えており、この収納部16には、給紙方向のサイズが異なる少なくとも2種類の用紙を選択的に収納可能である。なお、収納部16に収納されている用紙は、給紙ローラ17及び捌きローラ対18により1枚ずつ第1の搬送路9側に繰り出される。
スタックトレイ6は、装置本体2の外面にて開閉可能であり、その手差し部19には用紙が1枚ずつ載置されるか、又は複数枚が積載される。なお、手差し部19に載置された用紙はピックアップローラ20及び捌きローラ対21により1枚ずつ第2の搬送路10側に繰り出される。
第1の搬送路9と第2の搬送路10とはレジストローラ対22の手前で合流しており、レジストローラ対22に到達した用紙はここで一旦待機し、スキュー調整とタイミング調整を行った後、二次転写部23に向けて送出される。送出された用紙には、二次転写部23で中間転写ベルト40上のフルカラーのトナー画像が用紙に二次転写される。この後、定着ユニット14でトナー画像が定着された用紙は、必要に応じて第4の搬送路12で反転され、最初とは反対側の面にも二次転写部23でフルカラーのトナー画像が二次転写される。そして、反対面のトナー画像が定着ユニット14で定着された後、第3の搬送路11を通って排出ローラ対24により排出トレイ3に排出される。
画像形成部7は、ブラック(B)、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)の各トナー画像を形成する4つの画像形成ユニット26〜29を備える他、これら画像形成ユニット26〜29で形成した各色別のトナー画像を重畳して担持する中間転写部30を備えている。
各画像形成ユニット26〜29は、感光体ドラム32と、感光体ドラム32の周面に対向して配設された帯電部33と、帯電部33の感光体ドラム32の回転方向下流側であって感光体ドラム32の周面上の特定位置にレーザビームを照射するレーザ走査ユニット34と、レーザ走査ユニット34からのレーザビーム照射位置の感光体ドラム32の回転方向下流側であって感光体ドラム32の周面に対向して配設された現像部35と、現像部35の感光体ドラム32の回転方向下流側であって感光体ドラム32の周面に対向して配設されたクリーニング部36とを備えている。
なお、各画像形成ユニット26〜29の感光体ドラム32は、図示しない駆動モータにより図中の反時計回り方向に回転する。また、各画像形成ユニット26〜29の現像部35には、各現像装置51にブラックトナー、イエロートナー、シアントナー及びマゼンタトナーをそれぞれ含む二成分現像剤がそれぞれ収納されている。
中間転写部30は、画像形成ユニット26の近傍位置に配設された後ローラ38と、画像形成ユニット29の近傍位置に配設された前ローラ39と、画像形成ユニット28の上方に配置されたテンションローラ42と、後ローラ38と前ローラ39とテンションローラ42とに跨って配設された中間転写ベルト40と、各画像形成ユニット26〜29の感光体ドラム32における現像部35の感光体ドラム32の回転方向下流側の位置に中間転写ベルト40を介して感光体ドラム32に圧接可能に配設された4つの一次転写ローラ41とを備えている。なお、テンションローラ42は中間転写ベルト40に適切な張力を付与する。
この中間転写部30では、各画像形成ユニット26〜29の一次転写ローラ41の位置で、中間転写ベルト40上に各色別のトナー画像がそれぞれ重ね合わせて転写されて、最後にはフルカラーのトナー画像となる。
第1の搬送路9や第2の搬送路10は、給紙カセット5やスタックトレイ6から繰り出されてきた用紙を二次転写部23側に搬送するものであり、装置本体2内で所定の位置に配設された複数の搬送ローラ対43と、二次転写部23の手前に配設され、画像形成部7における画像形成動作と用紙の搬送動作とのタイミングを取るためのレジストローラ対22とを備えている。
定着ユニット14は、画像形成部7でトナー画像が転写された用紙を加熱及び加圧することにより、未定着トナー画像を用紙に定着させる処理を行うものである。定着ユニット14は、加圧ローラ(加圧回転体)44と可撓性を有した定着ベルト(定着ベルト部材)45とを備え、このうち加圧ローラ44が例えば金属製の芯金と弾性体の表層及び離型層を有するものであり、定着ベルト45が金属製の基材と弾性体の表層及び離型層を有するものである。なお、定着ユニット14の詳細な構造についてはさらに後述する。
用紙の搬送方向で視て、定着ユニット14の上流側及び下流側にはそれぞれ搬送路47が設けられており(図1)、二次転写部23を通って搬送されてきた用紙は上流側の搬送路47を通じて加圧ローラ44と定着ベルト45との間のニップに導入される。そして、加圧ローラ44及び定着ベルト45間を通過した用紙は下流側の搬送路47を通じて第3の搬送路11に案内される。
第3の搬送路11は、定着ユニット14で定着処理の行われた用紙を排出トレイ3に搬送する。このため第3の搬送路11には、適宜位置に搬送ローラ対49が配設されるとともに、その出口には上記の排出ローラ対24が配設されている。
〔定着ユニットの詳細〕
次に、本実施形態の画像形成装置1に適用された定着ユニット14の詳細について説明する。
図2は、定着ユニット14の外観斜視図であり、図3は、この定着ユニット14の構造例を示す縦断面図である。なお、これら図2,3では、画像形成装置1に実装した状態から向きを約90°反時計回りに転回させて示している。したがって、図1中で視て下方から上方への用紙搬送方向は、図2,3でみると右方から左方となる。なお、装置本体2がより大型(複合機等)である場合、図3に示される向きで実装されることもある。また、この他のレイアウトとして、図3に示される状態から左右いずれかに傾斜した姿勢で定着ユニット14が画像形成装置1内に配置される場合もある。
本実施例の定着ユニット14は、上記のように加圧ローラ44及び定着ベルト45を備えている。加圧ローラ44は、金属製(鉄)の芯金上に厚み4mm程度の発泡シリコンゴムの弾性層を形成し、さらに厚さ50μm(1μm=1×10−6m)程度のPFAチューブを被せた直径25mm程度のローラ(表面硬度(アスカーC)42°)としている。なお、加圧ローラ44の内側にはハロゲンヒータが設けられていてもよい。
〔定着ベルト部材〕
定着ベルト45は、その基材の厚みが40μmの強磁性材料(Ni電鋳基材)であり、発熱層72として機能する(図4)。そして、本実施例の定着ベルト45は、後述の如く発熱層72の内面側に厚さ100μm程度の断熱層(低熱伝導のシリコンゴム)70を有する一方、発熱層72の外面側に厚さ300μm程度の伝熱層(高熱伝導のシリコンゴム)74が形成され、その外面には表面離型層(厚さ30μm程度のPFAチューブ)が形成されており、その発熱温度を150〜200℃の範囲に調整される直径40mm程度の無端状の薄肉ベルトである。
この定着ベルト45の表面温度は、ベルト45の径方向外側に所定距離をおいて配置された非接触タイプの赤外線温度センサ60で測定される(図3)。
また、図2に示されるように、加圧ローラ44にはステッピングモータ66が装備されており、加圧ローラ44はこのモータ66からの動力により、搬送される用紙の幅方向に延びた軸線回りに回転する。この加圧ローラ44の回転駆動(図3で視て反時計回り)に伴い、定着ベルト45が従動回転(図3で視て時計回り、その外周面速度:約270mm/sec)し、定着ベルト45と加圧ローラ44との間には定着ニップが形成される。
〔バックアップ部材〕
詳しくは、本実施例の定着ベルト45は定着ローラ(回転体)46に巻回されている。この定着ローラ46は、金属製(アルミニウム:厚さ2mm程度)の芯金上に厚み8mm程度の発泡シリコンゴムの弾性層が形成された直径40mm程度のローラ(表面硬度(アスカーC)35°)である。そして、定着ローラ46の弾性層が定着ベルト45の内面に接触し、定着ベルト45は軸線方向に亘って加圧ローラ44からの押圧力(300N)を受ける。これにより、定着ベルト45と加圧ローラ44との間にはトナー画像を用紙に定着させる略フラットな定着ニップが形成される。
〔外部加熱〕
この他に定着ユニット14は、定着ベルト45の外側にIHコイルユニット50を備えている(図1,2には示されていない)。IHコイルユニット50は、細い線材を束ねたリッツ線である誘導加熱コイル52をはじめ、一対のアーチコア54やサイドコア56から構成されている。
〔コイル〕
図3の例では、定着ベルト45の円弧状の部分で誘導加熱を行うため、誘導加熱コイル52は定着ベルト45の円弧状の外面に沿う仮想的な円弧面上に配置されている。実際には、定着ベルト45の外側に、コイルボビン(図示しない)が配置されており、このボビン上に誘導加熱コイル52が巻線状に配置される構成である。なお、ボビンの材質は、耐熱性樹脂(例えばPPS、PET、LCP)であることが好ましく、また、コイル52のコイルボビンへの固定は、例えばシリコン系接着剤を用いて行う。
〔アーチコア、サイドコア〕
図3で視てアーチコア54及びサイドコア56はIHコイルユニット50の両側で対をなすように配置されている。このうち両側のアーチコア54は、互いに対称をなす断面アーチ形に成形されたフェライト製コアであり、それぞれ全長は誘導加熱コイル52が配置された領域よりも長い。また、両側のサイドコア56は、ブロック形状に成形されたフェライト製のコアである。両側のサイドコア56は各アーチコア54の一端に連結して設けられており、これらサイドコア56は誘導加熱コイル52が配置された領域の外側を覆っている。
アーチコア54は、定着ベルト45の長手方向(軸線方向)に間隔をおいて複数箇所に配置されている。また、サイドコア56は、この定着ベルト45の軸線方向に間隔をあけずに連続して配置されている。サイドコア56を配置する範囲の全長は誘導加熱コイル52が配置された領域の長さに対応する。なお、各コア54,56の配置は、例えば誘導加熱コイル52の磁束密度(磁界強度)分布に合わせて決定されており、アーチコア54がある程度の間隔をおいて配置されている分、その抜けた箇所でサイドコア56が磁束の集束効果を補い、長手方向での磁束密度分布(温度分布)を均している。
アーチコア54及びサイドコア56の外側には、図示しない例えば樹脂製のコアホルダが設けられており、このコアホルダによりアーチコア54及びサイドコア56が支持される構造である。コアホルダの材質もまた、耐熱性樹脂(例えばPPS、PET、LCP)であることが好ましい。なお、アーチコア54とは別に、IHコイルユニット50の中央にセンタコアを配置しても良い。
上述した定着ユニット14では、不図示の高周波電源からコイル52に高周波電流が供給されると、誘導加熱コイル52で発生した磁束がサイドコア56及びアーチコア54を通じて定着ベルト45を通過する。このとき強磁性体である定着ベルト45の発熱層72に渦電流が発生し、その固有抵抗によりジュール熱が発生して定着ベルト45の加熱が行われる。
ところで、本実施例の定着ベルト45は、その内側から、換言すれば、図4の定着ローラ側から定着ニップの用紙に接触する側を視て断熱層70、発熱層72、伝熱層74、及び表面離型層76の順に構成され、発熱層72を基準に視れば、断熱層70が定着ローラ46寄りに、伝熱層74は定着ニップ寄りにそれぞれ配置されている。
そして、発熱層72で生じた熱は、前者の断熱層70によって定着ローラ46に伝達し難くなり、後者の伝熱層74によって表面離型層76を介して定着ニップ側の表面に伝達される。
具体的には、本実施例では、定着ベルト45の断熱層70の厚さdaが100μmに設定されるのに対し、定着ベルト45の伝熱層74の厚さdbは300μmに設定され、断熱層70の厚さdaが伝熱層74の厚さdbよりも小さくされている。つまり、断熱層70の温度上昇に必要な熱量は、伝熱層74の温度上昇に必要な熱量に比して少なくなる。
しかも、この断熱層70は、上述した低熱伝導シリコンゴムで構成され、その熱伝導率λaは0.1W/mKに設定されている。これに対し、高熱伝導シリコンゴムで構成された伝熱層74は、その熱伝導率λbが0.5W/mKに設定されており、断熱層70の熱伝導率λaも伝熱層74の熱伝導率λbに比して小さな値に設定されている。つまり、発熱層72で生じた熱は、断熱層70よりも伝熱層74に伝わり易くなる。
換言すれば、断熱層70において、その熱伝導率λaを厚さdaで除した値λa/daは1000W/mKになる。一方、伝熱層74において、その熱伝導率λbを厚さdbで除した値λb/dbは1667W/mKになるので、断熱層70のλa/daが伝熱層74のλb/dbよりも小さくなる。
ここで、当該熱伝導率λを厚さdで除した値の逆数は接触熱抵抗に相当する。
つまり、接触熱抵抗の大きさは、層の厚さdに比例するのに対し、層の熱伝導率λに反比例し、接触熱抵抗の値が大きくなるに連れて、当該層における熱の移動が困難になる。
この点を本実施例について云えば、断熱層70の接触熱抵抗da/λaは0.001mK/Wになり、伝熱層74の接触熱抵抗db/λbは0.0006mK/Wになることから、発熱層72で生じた熱は、断熱層70よりも伝熱層74に伝わり易く、定着ベルト45から定着ローラ46への熱移動を抑制できるのである。
より詳しくは、本実施例の定着ベルト45、及び、比較例の定着ベルトの表面温度が180℃に到達するまでに要する時間(昇温時間)をそれぞれ計測した。
この比較例の定着ベルトは、その断熱層の厚さだけが上記断熱層70よりも厚い500μmで形成されているが、その熱伝導率は断熱層70と同じであり、また、その伝熱層の厚さや熱伝導率の大きさも上記伝熱層74と同じである。
そして、これらの昇温時間を計測した結果、図5に示されるように、比較例の定着ベルトでは30秒必要であったのに対し、本実施例の定着ベルト45では27秒で済み、本実施例の昇温時間が1割程度短縮された。
このように、ベルト昇温時間は、少なくとも断熱層の厚さだけを薄くすれば、短縮できることが分かる。
〔定着ユニットの他の構造例〕
ところで、昇温時間を短くできる定着ベルト45を備えた定着ユニット14には、上述の実施例のみならず、種々の態様が考えられる(図6,7)。
詳しくは、これら図6及び図7の実施例については、上記実施例と同一機能を奏する構成には同一の符号を付してその説明を省略すると、まず、図6の定着ユニット14では、IHコイルユニット50に替えて加熱ローラ50Aを備えている。
加熱ローラ50Aの内部にはハロゲンヒータが設置されており、このハロゲンヒータの熱で定着ベルト45を加熱している。なお、IHコイルユニット50を用いればハロゲンヒータよりも発熱効率が良いが、加熱ローラ50Aのスペースのみで済むため、画像形成装置1の省スペース化に寄与する。
次に、上記各実施例では、定着ベルト45の内側に定着ローラ46がそれぞれ設けられていた。
しかしながら、定着ユニット14の低熱容量化を図る点を鑑みれば、バックアップ部材には、定着ローラ46に替えて定着ベルト45と接する側に断熱層を有した摺動部材(押圧部材)80であってもよい(図7)。
この例の摺動部材80の両端は、定着ローラ46と同様に定着ユニット14の図示しないカバー等に支持され、摺動部材80の下面部分が回転する定着ベルト45の内面に擦れ合って接触し、定着ベルト45と加圧ローラ44との間にフラットな定着ニップを形成している。
以上のように、上記各実施例によれば、バックアップ部材(図2,6の定着ローラ46、図7の摺動部材80)が定着ベルト45の内面に接触し、定着ベルト45は軸線方向に亘って加圧ローラ44からの押圧力を受ける。これにより、定着ベルト45と加圧ローラ44との間にはトナー画像を用紙に定着させる定着ニップが形成される。
ここで、定着ベルト45は、その内側から視て断熱層70、発熱層72、伝熱層74、及び表面離型層76の順に構成され、断熱層70は発熱層72で生じた熱のバックアップ部材46,80への伝達を抑える一方、伝熱層74は発熱層72で生じた熱を定着ニップに伝達する機能をそれぞれ有しており、断熱層70の厚さda<伝熱層74の厚さdbを満たす。
このように、定着ベルト45の断熱層70の厚さdaを伝熱層74の厚さdbよりも小さくすれば、定着ベルト45の熱容量は少なくなるため、従来に比して定着ベルトの昇温に要する時間が短くて済み、さらなるウォームアップタイムの削減及び省エネルギー化に寄与する。
また、発熱層72の内側に位置する断熱層70が外側に位置する伝熱層74よりも薄いため、定着ベルト45の変形量が大きくなり、トナーを加熱するのに必要な定着ニップ幅を容易に確保できる。
さらに、定着ベルト45とバックアップ部材46,80との間の接触熱抵抗を大きくすれば、定着ベルト45の昇温に要する時間がより短くなる。この接触熱抵抗は、熱伝導率λを厚さdで除した値の逆数に相当する。
そこで、定着ベルト45の断熱層70の熱伝導率λaを伝熱層74の熱伝導率λbよりも小さく、さらに、断熱層70側の接触熱抵抗の逆数λa/daを伝熱層74側の接触熱抵抗の逆数λb/dbよりも小さく設定し、断熱層70側の接触熱抵抗を伝熱層74側の接触熱抵抗よりも大きくする。
この結果、定着ベルト45の発熱層72で生じた熱は、その内側に位置する断熱層70には移動し難く、外側に位置する伝熱層74に移動し易くなるので、定着ベルト45からバックアップ部材46,80への熱移動量が減り、定着ベルト45の昇温に要する時間のさらなる短縮化を確実に達成できる。
さらにまた、図2,6の実施例の如く弾性層を有した定着ローラ46を用いれば、この弾性層によって定着ニップ幅を増やすことができる。また、定着ローラ46は定着ベルト45とは擦れ合わないため、定着ベルト45の耐久性が向上するし、この定着ベルト45の搬送性も向上する。
また、図7の実施例の如く摺動部材80を用いれば、定着ベルト45のより一層の低熱容量化を図ることができるし、さらに、この摺動部材80が断熱層を有するため、摺動部材80が定着ベルト45で生じた熱を奪う量は少ない。
さらに、少ない定着熱容量でトナー画像が形成される結果、画像形成装置1の信頼性が向上する。
本発明は上述した実施形態に制約されることなく、種々に変形して実施可能である。
例えば本実施例では画像形成装置としてプリンタに具現化した例を示しているものの、本発明の画像形成装置は、複合機、複写機やファクシミリ等にも当然に適用可能である。
そして、これらいずれの場合にも上記と同様に、低熱容量化を図ってさらなるウォームアップタイムの短縮化を達成できるとの効果を奏する。
1 プリンタ(画像形成装置)
7 画像形成部
14 定着ユニット(定着装置)
44 加圧ローラ(加圧回転体)
45 定着ベルト(定着ベルト部材)
46 定着ローラ(回転体、バックアップ部材)
50 IHコイルユニット(外部加熱)
50A 加熱ローラ(外部加熱)
70 断熱層
72 発熱層
74 伝熱層
80 摺動部材(押圧部材、バックアップ部材)

Claims (2)

  1. 記録媒体に画像を定着するための定着装置であって、
    外部加熱によって発熱する発熱層を有するとともに、搬送される前記記録媒体の幅方向に延びた軸線周りに回転し、前記記録媒体上のトナー画像を加熱してこの記録媒体に定着させる定着ベルト部材と、
    前記定着ベルト部材の内側に設けられてこの定着ベルト部材の一部分を押圧し、この定着ベルト部材の外面に接触する加圧回転体との間にニップを形成させる押圧部材とを具備し、
    前記押圧部材は、
    前記定着ベルト部材と接する面に断熱層を有し、
    前記定着ベルト部材は、
    前記発熱層の内面側に配置されてこの発熱層で生じた熱の前記押圧部材への伝達を抑え、前記押圧部材に接触してこの押圧部材により直接押圧されるシリコンゴムで形成された断熱層と、前記発熱層の外面側に配置されてこの発熱層で生じた熱を前記記録媒体と接触する側に伝達するシリコンゴムで形成された伝熱層とを有し、前記断熱層の厚さをda、前記伝熱層の厚さをdbとしたとき、
    da<db
    を満たすことを特徴とする定着装置。
  2. 請求項1に記載の定着装置であって、
    前記断熱層の熱伝導率をλa、前記伝熱層の熱伝導率をλbとしたとき、
    λa<λb、及び、λa/da<λb/db
    を満たすことを特徴とする定着装置。
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