JP5538047B2 - 定着装置及びこれを搭載した画像形成装置 - Google Patents
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Description
しかしながら、仮に、当該薄肉の摺動ベルトの構成と上記各文献の構成とを組み合わせても、磁束抑制部材や消磁用のコイルが、いずれも定着ローラ及び加熱ベルトの外側に配置されており、定着装置が大型になるという問題がある。
また、後者の消磁用のコイルが別途必要になると、装置の製造コストの低廉化を図れないし、さらに、当該各コイル間の距離に相当する幅の用紙には対応できるが、これら消磁用のコイルの距離よりも短い幅の用紙には対応できない。
ここで、可撓する定着ベルト部材では、その発熱層の厚み方向を貫通して定着ベルト部材の内側に向かう貫通磁束が発生するが、これら定着ベルト部材の内側と定着部材の外側との空間には、非磁性・良導電性の磁束抑制部材が配置されている。
このように、非磁性・良導電性の磁束抑制部材を定着ベルト部材の内側に配置すれば、従来の如く磁束抑制部材を定着ローラ及び定着ベルト部材の外側に配置した場合に比して、定着装置の省スペース化を図ることができ、また、従来のような消磁用のコイルを別途配置する必要がないため、その製造コストの低廉化も達成できる。
第2の発明によれば、第1の発明の作用に加えてさらに、上記磁束抑制部材の他、定着ベルト部材の内面に接触する磁性の発熱部材も定着ベルト部材の内側に配置でき、省スペース化と共に前記磁性の発熱部材も貫通磁束により発熱し、エネルギーロスが抑制される。
第3の発明によれば、第2の発明の作用に加えてさらに、磁性の発熱部材は、定着ベルト部材の軸線方向長さよりも小さい幅の記録媒体の連続搬送によって定着ベルト部材の軸線方向の両端部分の温度が上昇した場合に移動して磁束抑制部材による磁束抑制効果を得ており、定着装置の省スペース化を図りつつ、定着ベルト部材の両端部分の過剰な温度上昇(定着ベルト部材の過昇温)を防止できる。
第4の発明は、第1や第2の発明の構成において、磁束抑制部材は、定着ベルト部材の内面に沿って移動可能に構成されていることを特徴とする。
第5の発明は、第4の発明の構成において、磁束抑制部材は、定着ベルト部材の軸線方向長さよりも小さい幅の記録媒体を連続搬送した場合に、この磁束抑制部材に磁束を導くように移動することを特徴とする。
第6の発明によれば、第1や第2の発明の作用に加えてさらに、定着ベルト部材の内側と定着部材の外側との間は、定着ベルト部材の内面に対して近接・離間する磁束抑制部材を配置できる空間があり、定着部材はより小型である。よって、この場合にも熱容量がより一層少なくて済む。
第7の発明は、第3から第6の発明の構成において、定着ベルト部材の温度、或いは記録媒体の幅に基づき、発熱部材による移動、若しくは、磁束抑制部材による移動、又は、磁束抑制部材による近接・離間移動させる信号をその駆動部に出力する制御手段を備えることを特徴とする。
第8の発明は、第1から第7の定着装置を搭載し、これを用いて画像形成部で形成されたトナー画像を記録媒体に定着させる画像形成装置であることを特徴とする。
図1は、一実施形態の画像形成装置1の構成を示した概略図である。画像形成装置1は、例えば外部から入力された画像情報に基づいて記録媒体の一例としての用紙の表面にトナー画像を転写して印刷を行うプリンタ、複写機、ファクシミリ装置、それらの機能を併せ持つ複合機等としての形態をとることができる。また、以下の実施形態では、記録媒体は用紙に限らず、用紙以外の記録媒体(OHPシートなど)であっても実施可能である。
装置本体2内において、その下部には、用紙を収納する給紙カセット5が配設されている。また、装置本体2内の中央部には、給紙カセット5に収容していない種類の用紙を装置本体2へ供給するスタックトレイ6が配設されている。そして、装置本体2の上部には画像形成部7が設けられており、この画像形成部7は、画像形成装置1と接続されたPC等の上位装置から送信される文字や絵柄などの画像データに基づいて用紙に画像を形成する。
第1の搬送路9と第2の搬送路10とはレジストローラ対22の手前で合流しており、レジストローラ対22に到達した用紙はここで一旦待機し、スキュー調整とタイミング調整を行った後、二次転写部23に向けて送出される。送出された用紙には、二次転写部23で中間転写ベルト40上のフルカラーのトナー画像が用紙に二次転写される。この後、定着ユニット14でトナー画像が定着された用紙は、必要に応じて第4の搬送路12で反転され、最初とは反対側の面にも二次転写部23でフルカラーのトナー画像が二次転写される。そして、反対面のトナー画像が定着ユニット14で定着された後、第3の搬送路11を通って排出ローラ対24により排出トレイ3に排出される。
各画像形成ユニット26〜29は、感光体ドラム32と、感光体ドラム32の周面に対向して配設された帯電部33と、帯電部33の感光体ドラム32の回転方向下流側であって感光体ドラム32の周面上の特定位置にレーザビームを照射するレーザ走査ユニット34と、レーザ走査ユニット34からのレーザビーム照射位置の感光体ドラム32の回転方向下流側であって感光体ドラム32の周面に対向して配設された現像部35と、現像部35の感光体ドラム32の回転方向下流側であって感光体ドラム32の周面に対向して配設されたクリーニング部36とを備えている。
第1の搬送路9や第2の搬送路10は、給紙カセット5やスタックトレイ6から繰り出されてきた用紙を二次転写部23側に搬送するものであり、装置本体2内で所定の位置に配設された複数の搬送ローラ対43と、二次転写部23の手前に配設され、画像形成部7における画像形成動作と用紙の搬送動作とのタイミングを取るためのレジストローラ対22とを備えている。
〔定着ユニットの詳細〕
次に、本実施形態の画像形成装置1に適用された定着ユニット14の詳細について説明する。
また、図2に示されるように、加圧ローラ44にはステッピングモータ86が装備されており、加圧ローラ44はこのモータ86からの動力により、搬送される用紙の幅方向に延びた軸線回りに回転する。この加圧ローラ44の回転駆動(図3で視て反時計回り)に伴い、摺動ベルト45が従動回転(図3で視て時計回り)する。加圧ローラ44は摺動ベルト45に圧接しているので、摺動ベルト45と加圧ローラ44との間にはニップが形成される。
詳しくは、本実施例では、この摺動ベルト45の内面にて加圧ローラ44との対峙部分に、定着ローラ(定着部材)46が設けられている。この定着ローラ46は、例えば金属製(SUS)の芯金上に厚み5〜10mm程度のシリコンゴムスポンジ層を積層した直径30mm程度のローラであり、摺動ベルト45の直径よりも小さな直径となるように構成されている。
なお、本実施例では定着ローラ46の例で説明しているが、低熱容量化を図る点を鑑みれば、定着ローラ46に替えて薄板状の摺動部材(定着部材)を採用してもよい。この摺動部材の両端は、定着ローラ46と同様に定着ユニット14の図示しないカバー等に支持され、摺動部材の下面部分が回転する摺動ベルト45の内面に擦れ合って接触し、摺動ベルト45と加圧ローラ44との間にフラットなニップを形成できる。
この他に定着ユニット14は、摺動ベルト45の外側にIHコイルユニット(電磁誘導加熱ユニット)50を備えている(図1,2には示されていない)。IHコイルユニット50は、細い線材を束ねたリッツ線である誘導加熱コイル52をはじめ、一対のアーチコア54やサイドコア56、及びセンタコア58から構成されている。
図3の例では、摺動ベルト45の円弧状の部分で誘導加熱を行うため、誘導加熱コイル52は摺動ベルト45の円弧状の外面に沿う仮想的な円弧面上に配置されている。実際には、摺動ベルト45の外側に、コイルボビン53が配置されており、このボビン53上に誘導加熱コイル52が巻線状に配置される構成である。なお、ボビン53の材質は、耐熱性樹脂(例えばPPS、PET、LCP)であることが好ましく、また、コイル52のコイルボビン53への固定は、例えばシリコン系接着剤を用いて行う。
図3で視てセンタコア58はIHコイルユニット50の中央に位置し、その両側で対をなすように上記のアーチコア54及びサイドコア56が配置されている。このうち両側のアーチコア54は、互いに対称をなす断面アーチ形に成形されたフェライト製コアであり、それぞれ全長は誘導加熱コイル52が配置された領域よりも長い。また、両側のサイドコア56は、ブロック形状に成形されたフェライト製のコアである。両側のサイドコア56は各アーチコア54の一端に連結して設けられており、これらサイドコア56は誘導加熱コイル52が配置された領域の外側を覆っている。
センタコア58は、例えば断面四角形状をなすフェライト製コアであり、摺動ベルト45と略同様に、用紙の最大通紙幅13インチ(約340mm程度)に対応するだけの長さを有してアーチコア54に固定されている。なお、このセンタコア58に相当するコアはアーチコア54と一体形成であってもよい。
ここで、図3にも示される如く、定着ローラ46の外側と摺動ベルト45の内側との間には大きな空間が形成されており、この空間に磁束抑制部材60が配置される。
具体的には、磁束抑制部材60は、全体的に円弧状に湾曲した平面視板状の部材で形成され、非磁性・良導電性の材料(例えばアルミニウム或いは銅)で構成されており、摺動ベルト45を挟んでIHコイルユニット50に対向する位置、より詳しくは、摺動ベルト45の内側であって、その内面からやや離れた位置に設けられている。
このような配置であれば、例えば最大の用紙サイズを13インチ(340mm)として、これより小さい用紙サイズをA3(297mm)、A4縦(210mm)、A5縦(149mm)の3種類とし、合計4種類の用紙サイズに対応することができる。
また、磁束抑制部材60の移動時期や移動量はコントローラ(制御手段)90からの駆動信号によって実施される(図6)。
詳しくは、コントローラ90は移動判定部92や移動設定部94を備えている。この移動判定部92は、上記赤外線温度測定装置80で検知された摺動ベルト45の非通紙域の温度や、画像形成装置1の操作パネルで設定或いはクライアントPCからの印刷ジョブで指定された用紙のサイズに基づいて、磁束抑制部材60を上記遮蔽位置に移動するか否かを判別する。
移動設定部94は、磁束抑制部材60の移動時期や移動量を設定する。詳しくは、摺動ベルト45の非通紙域の温度上昇率が大きな場合には磁束抑制部材60の移動時期を早く設定でき、また、用紙の幅に応じた遮蔽部60a〜60cを対応させるため、磁束抑制部材60の移動量を設定しており、いずれの用紙の幅であっても、この幅よりも外側領域の磁路に磁束抑制部材60が常に挿入されるように設定できる。
再び図3に戻り、本実施例では、誘導発熱部材(発熱部材)70が摺動ベルト45の誘導発熱層の機能を補足している。具体的には、誘導発熱部材70は、摺動ベルト45と磁束抑制部材60との間に配置され、摺動ベルト45の内面に接触し、コイル52からの磁束によって発熱可能に構成されている。なお、誘導発熱部材70は上記軸線方向に延び、その両端は定着ユニット14の図示しないカバー等に固定される。
ところで、定着ローラ46の外側と摺動ベルト45の内側との間に大きな空間が形成された定着ユニット14には、上述の実施例のみならず、種々の態様が考えられる(図7〜図11)。
詳しくは、これら図7〜図11の実施例については、上記実施例と同一機能を奏する構成には同一の符号を付してその説明を省略すると、まず、図7の定着ユニット14では、誘導発熱部材70が、図7でみて右側のサイドコア56に対する磁気経路上の他、左側のサイドコア56に対する磁気経路上にも配置されており、薄肉の摺動ベルト45による発熱をより一層補足できる。
しかし、この図8の実施例では、磁束抑制部材60の両端が定着ユニット14の図示しないカバー等に固定され、コイル52で生じた磁束の経路上に配置されているのに対し、誘導発熱部材70の一端がモータ87側に連結されており、磁束抑制部材60を用紙の幅に対応した各遮蔽位置になるように、誘導発熱部材70を摺動ベルト45の周方向に沿って移動させる。
この磁束抑制部材60は、搬送する用紙が大きなサイズの場合にはセンタコア58から離間して、図9でみて右側のサイドコア56に対応する磁気経路よりもさらに下側に退避し、小さなサイズの場合には、その用紙の幅に対応した各遮蔽位置にてコイル52で生じた磁束を遮蔽するように、センタコア58に近接して磁束を遮蔽する。
具体的には、この磁束抑制部材60は、摺動ベルト45の回転中心と定着ローラ46の回転中心とを結んだ線上を移動できる。磁束抑制部材60と摺動ベルト45との距離が近くなれば、磁束抑制効果が高くなるからである。
そして、磁束抑制部材60は、搬送される用紙が大きなサイズの場合にはセンタコア58から離間し、搬送される用紙が小さなサイズの場合にはセンタコア58に近接して磁束を遮蔽する。
つまり、この貫通磁束が磁束抑制部材60の内側の面に略垂直な一方向に通過すると、磁束抑制部材60の周方向に誘導電流が発生し、そこから貫通磁束と逆向きの反磁束を発生させる。この反磁束と上記貫通磁束とが打ち消し合ってキャンセルされることで、磁束抑制部材60は磁束を遮蔽できる(磁束抑制効果)。
さらに、図8の実施例の如く、誘導発熱部材70は、小さなサイズの用紙の連続通紙によって摺動ベルト45の両端部分の温度が上昇した場合に移動して磁束抑制部材60による磁束抑制効果を得ており、定着ユニット14の省スペース化を図りつつ、摺動ベルト45の過昇温を防止できる。
さらに、図3,7,9,10の実施例によれば、非磁性・良導電性の磁束抑制部材60は、小さなサイズの用紙の連続通紙によって摺動ベルト45の両端部分の温度が上昇した場合に移動し、その磁束抑制効果を得ており、定着ユニット14の省スペース化を図りつつ、摺動ベルト45の過昇温を防止できる。
また、この図11の磁束抑制部材60は、小さなサイズの用紙の連続通紙によって摺動ベルト45の両端部分の温度が上昇した場合に近接し、その磁束抑制効果を得ており、定着ユニット14の省スペース化を図りつつ、摺動ベルト45の過昇温を防止できる。
さらにまた、少ない定着熱容量で済み、また、用紙の搬送されない領域の過昇温を防止して良好なトナー画像が形成される結果、画像形成装置1の信頼性が向上する。
また、本実施例では画像形成装置としてプリンタに具現化した例を示しているものの、本発明の画像形成装置は、複合機、複写機やファクシミリ等にも当然に適用可能である。
7 画像形成部
14 定着ユニット(定着装置)
44 加圧ローラ(加圧回転体)
45 摺動ベルト(定着ベルト部材)
46 定着ローラ(定着部材)
50 IHコイルユニット(電磁誘導加熱ユニット)
60 磁束抑制部材
70 誘導発熱部材(発熱部材)
80 サーミスタ
90 コントローラ(制御手段)
96 移動駆動部(駆動部)
Claims (3)
- 記録媒体に画像を定着するための定着装置であって、
磁界の電磁誘導によって発熱する発熱層を有するとともに、搬送される前記記録媒体の幅方向に延びた軸線周りに回転し、前記記録媒体上のトナー画像を加熱してこの記録媒体に定着させる定着ベルト部材と、
前記定着ベルト部材の外面に沿って配置され、磁束を発生させて前記発熱層を誘導加熱する電磁誘導加熱ユニットと、
前記定着ベルト部材の内側に設けられ、この定着ベルト部材の外面に接触する加圧回転体との間にニップを形成させる定着部材と、
これら定着ベルト部材の内側と定着部材の外側との空間内で前記記録媒体の幅に対応した通紙域の外側に配置され、前記発熱層を貫通した磁束をその内側の面に通過させて前記通紙域の外側の磁束を遮蔽する非磁性・良導電性の磁束抑制部材と、
前記定着ベルト部材と前記磁束抑制部材との間に配置され、この定着ベルト部材の内面に接触しつつ、磁界の電磁誘導によって発熱する発熱部材とを備え、
前記発熱部材は、前記定着ベルト部材の内面に沿って移動可能に構成されており、
前記定着ベルト部材の軸線方向長さよりも小さい幅の記録媒体を連続搬送した場合、前記磁束抑制部材から離間して前記磁束抑制部材を前記定着ベルト部材に対し表出させる位置に移動することで、前記磁束抑制部材に前記磁束を導くことを特徴とする定着装置。 - 請求項1に記載の定着装置であって、
前記定着ベルト部材の温度、或いは前記記録媒体の幅に基づき、前記発熱部材を移動させる信号をその駆動部に出力する制御手段を備えることを特徴とする定着装置。 - 請求項1又は2に記載の定着装置を搭載し、これを用いて画像形成部で形成されたトナー画像を前記記録媒体に定着させることを特徴とする画像形成装置。
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