JP5238736B2 - 定着装置及びこれを搭載した画像形成装置 - Google Patents
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なぜならば、センタコアを複数のコア本体で構成する場合には、各コア本体の製造上の寸法バラツキ、具体的には、粉体を押し固めて焼成する際の収縮率(径方向及び軸線方向)がコア本体毎に異なるからである。
しかも、これら内径の異なるコア本体をシャフトに単に並べると、この振れの大きさの他、振れの方向も定まらず、ヒートローラの均一な発熱を実現できない。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消し、センタコアの組立性向上を図る定着装置及びこれを搭載した画像形成装置を提供することである。
そして、第1の発明によれば、コイルで発生させた磁界により加熱部材を誘導加熱してトナー画像の加熱溶融を行う方式(外包IH)を採用する。コア部を個々のコア本体に分割して構成すれば、各コア本体は加工精度や寸法精度を出し易い簡易な形状で済む。
第2の発明は、第1の発明の構成において、弾性部材は、金属製或いは耐熱性を有した樹脂製のばねであることを特徴とする。
第2の発明によれば、第1の発明の作用に加えてさらに、弾性部材がばね性を有した金属で構成させれば、高い強度の弾性部材が得られ、また、樹脂の構造に比して製造し易い。一方、ばね性を有した耐熱性樹脂で構成させれば、金属の構造に比して加熱によるロスが避けられる。
第3の発明によれば、第1や第2の発明の作用に加えてさらに、分割された各コア本体の軸心をシャフトの軸心に一致可能になれば、シャフトに対するコア本体の振れ精度が向上する。この結果、コア部の回転が安定してこの軸線方向の発熱ムラを防止でき、均一な発熱が実施可能になり、製造コストの低廉化の他、ウォームアップタイムの削減及び省エネルギー化に寄与する。
第4の発明によれば、第3の発明の作用に加えてさらに、最大の記録媒体サイズの搬送時に、加熱部材からコア側平坦面までの距離が加熱部材から軸側平坦面までの距離よりも大きくなるため、遮蔽部材の無い各コア本体の外周面が弾性部材で付勢されて加熱部材に対して揃い易くなる。よって、上記軸線方向の発熱ムラをより一層防止できる。
第5の発明によれば、第1から第4の発明の作用に加えてさらに、加熱部材の発熱性能を確保して良好なトナー画像が形成される結果、画像形成装置の信頼性が向上する。
図1は、一実施形態の画像形成装置1の構成を示した概略図である。画像形成装置1は、例えば外部から入力された画像情報に基づいて記録媒体の一例としての用紙の表面にトナー画像を転写して印刷を行うプリンタ、複写機、ファクシミリ装置、それらの機能を併せ持つ複合機等としての形態をとることができる。また、以下の実施形態では、記録媒体は用紙に限らず、用紙以外の記録媒体(OHPシートなど)であっても実施可能である。
装置本体2内において、その下部には、用紙を収納する給紙カセット5が配設されている。また、装置本体2内の中央部には、給紙カセット5に収容していない用紙を装置本体2へ供給するスタックトレイ6が配設されている。そして、装置本体2の上部には画像形成部7が設けられており、この画像形成部7は、画像形成装置1と接続されたPC等の上位装置から送信される文字や絵柄などの画像データに基づいて用紙に画像を形成する。
第1の搬送路9と第2の搬送路10とはレジストローラ対22の手前で合流しており、レジストローラ対22に到達した用紙はここで一旦待機し、スキュー調整とタイミング調整を行った後、二次転写部23に向けて送出される。
各画像形成ユニット26〜29は、感光体ドラム32と、感光体ドラム32の周面に対向して配設された帯電部33と、帯電部33の感光体ドラム32の回転方向下流側であって感光体ドラム32の周面上の特定位置にレーザビームを照射するレーザ走査ユニット34と、レーザ走査ユニット34からのレーザビーム照射位置の感光体ドラム32の回転方向下流側であって感光体ドラム32の周面に対向して配設された現像部35と、現像部35の感光体ドラム32の回転方向下流側であって感光体ドラム32の周面に対向して配設されたクリーニング部36とを備えている。
第1の搬送路9や第2の搬送路10は、給紙カセット5やスタックトレイ6から繰り出されてきた用紙を二次転写部23側に搬送するものであり、装置本体2内で所定の位置に配設された複数の搬送ローラ対43と、二次転写部23の手前に配設され、画像形成部7における画像形成動作と給紙動作とのタイミングを取るためのレジストローラ対22とを備えている。
〔定着ユニットの詳細〕
次に、本実施形態の画像形成装置1に適用された定着ユニット14の詳細について説明する。
さらに、加熱ベルト48は、その基材の厚みが例えば35μm(1μm=1×10−6m)の強磁性材料(例えばNi電鋳基材)であり、その表層に厚み200〜500μm程度の薄膜の弾性層(例えば、シリコンゴム)が形成され、その外面には離型層(例えば、PFA)が形成されており、その発熱温度を例えば150〜200℃の範囲に調整される。なお、加熱ベルト48に発熱機能を持たせない場合はPI等の樹脂ベルトであってもよい。
この他に定着ユニット14は、ヒートローラ46及び加熱ベルト48の外側にIHコイルユニット50を備えている(図1には示されていない)。IHコイルユニット50は、誘導加熱コイル52をはじめ一対のアーチコア54、同じく一対のサイドコア56及びセンタコア(コア部)58から構成されている。
図2の例では、ヒートローラ46及び加熱ベルト48の円弧状の部分で誘導加熱を行うため、誘導加熱コイル(コイル)52は円弧状の外面に沿う仮想的な円弧面上に配置されている。実際には、ヒートローラ46及び加熱ベルト48の外側に、コイルボビン53が配置されており、このボビン53上に誘導加熱コイル52が巻線状に配置される構成である。コイルボビン53は、ヒートローラ46の外面に沿う半円筒形状に成形されている。なお、ボビン53の材質は、耐熱性樹脂(例えばPPS、PET、LCP)であることが好ましく、また、コイル52のコイルボビン53への固定は、例えばシリコン系接着剤を用いて行う。
図2でみてセンタコア58はIHコイルユニット50の中央に位置し、その両側で対をなすように上記のアーチコア54及びサイドコア56が配置されている。このうち両側のアーチコア54は、互いに対称をなす断面アーチ形に成形されたフェライト製コアであり、それぞれ全長は誘導加熱コイル52が配置された領域よりも長い。また、両側のサイドコア56は、ブロック形状に成形されたフェライト製のコアである。両側のサイドコア56は各アーチコア54の一端(図2では下端)に連結して設けられており、これらサイドコア56は誘導加熱コイル52が配置された領域の外側を覆っている。
なお、図2の例では、ヒートローラ46の内側にサーミスタ及びサーモスタット62が設置されている。サーミスタ等62は、ヒートローラ46の特に誘導加熱による発熱量の大きい箇所の内側に配置されている。また、より実用的には、加熱ベルト48に対して非接触タイプのセンサをコイルユニット50の下方に配置して、このベルト48の外面温度を検出することもできる。
図2,3に示されたセンタコア58は、例えば断面円筒形状をなすフェライト製コアである(外径約18mm)。センタコア58は、その中央には軸方向に例えば非磁性金属(SUS等)や耐熱性樹脂(PPS、PET、LCP等)のシャフト59が挿通され、ヒートローラ46と略同様に、用紙の最大通紙幅13インチ(約340mm程度)に対応するだけの長さを有している。
また、センタコア58には、その外面に沿って遮蔽部材60が取り付けられている。遮蔽部材60は薄板状をなし、全体的に円弧状に湾曲して形成されている。なお、遮蔽部材60は例えば図示のようにセンタコア58の肉厚部分に埋め込んだ状態に設置されていてもよいし、センタコア58の外面に貼り付けた状態で設置されていていてもよい。遮蔽部材60のセンタコア58への貼り付けは、例えばシリコン系接着剤を用いて行うことができる。
図3は、センタコア58の周辺の平面図である。センタコア58は、通紙方向(図3中の矢印方向)と直交する用紙の幅方向に延びており、その全長は最大通紙幅(例えばA3縦、A4横)よりも僅かに大きい。
IHコイルユニット50には例えばステッピングモータ66が装備されており、シャフト59はこのモータ66からの動力により回転する。このためシャフト59の一端部には従動ギヤ59aが取り付けられており、この従動ギヤ59aにステッピングモータ66の出力ギヤ66aが噛み合わされている。ステッピングモータ66を駆動すると、その動力によってシャフト59が回転し、センタコア58を長手方向の軸線回りに回転させることができる。
フォトインタラプタ74からの検出信号は入力ドライバを通じて制御用ICに入力され、これに基づいて制御用ICはセンタコア58の基準位置を検出することができる。一方、制御用ICには、図示しない画像形成制御部から現在の用紙サイズに関する情報が通知される。これを受けて制御用ICは、半導体メモリ(ROM)から用紙サイズに適した回転角度(基準位置を0度としたときの角度)の情報を読み出し、その目標とする回転角度に到達する分の駆動パルスを一定周期で出力する。駆動パルスは出力ドライバを通じてステッピングモータ66に印加され、これを受けてステッピングモータ66が作動する。なお、各種の用紙サイズに応じたセンタコア58の回転角度の調整についてはさらに後述する。
図4(A)に示されているように、3種類の遮蔽部材60a,60b,60cは、センタコア58の軸方向で用紙の幅方向中央に関して対称に設けられており、このうち第1遮蔽部材60aがセンタコア58の両端部に配置され、そこから中央に向かって順に第2遮蔽部材60b、第3遮蔽部材60cが並べられている。このとき、最も内側(中央寄り)に位置する第3遮蔽部材60cは、最小の用紙サイズに対応した通紙域W1の外側に設けられている。また、第2遮蔽部材60bは、中間の用紙サイズに対応した通紙域W2の外側に設けられており、そして、これより1サイズ大きい通紙域W3の外側に第1遮蔽部材60aが設けられている。このような配置であれば、例えば最大の用紙サイズを13インチ(340mm)として、これより小さい用紙サイズをA3(297mm)、A4縦(210mm)、A5縦(149mm)の3種類とし、合計4種類の用紙サイズに対応することができる。各遮蔽部材60a,60b,60cの軸方向の長さWP1,WP2,WP3は、それぞれ対応する用紙サイズに合わせて設定されている。
図4(B),(G):上記のように4種類の用紙サイズに対応する場合、第1遮蔽部材60aの周方向でみた幅は、センタコア58の中心角A1で240度に設定されている。
図4(C),(F):また第2遮蔽部材60bの周方向でみた幅は、中心角A2で160度に設定されている。
図4(D),(E):そして第3遮蔽部材60cの周方向でみた幅は、中心角A3で80度に設定されている。
図5(A):センタコア58の回転に伴い、両端部の第1遮蔽部材60aを退避位置に切り替えた場合の動作例を示す。この場合、誘導加熱コイル52の発生させる磁界がサイドコア56、アーチコア54及びセンタコア58を通じて加熱ベルト48及びヒートローラ46を通過する。このとき強磁性体である加熱ベルト48及びヒートローラ46に渦電流が発生し、それぞれの材料の持つ固有抵抗によりジュール熱が発生してヒートローラ46や加熱ベルト48の加熱が行われる。
詳しくは、センタコア58は、例えば計8個のコア本体58a〜58dがシャフト59に配置され、センタコア58の断面図である図6に示される如く、センタコア58の幅方向中央に関してセンタコア58の軸方向で対称に設けられている。
まず、本実施例のコア本体58aは1本のシャフト59に計2個配置され、大きいサイズの用紙に対応した位置、つまり、上述した第1遮蔽部材60aに対応してそれぞれ配置されている。
続いて、本実施例のコア本体58cは1本のシャフト59に計2個配置されており、上述したコア本体58bの位置よりも小さいサイズの用紙に対応した位置、つまり、上述の第3遮蔽部材60cに対応し、さらに、本実施例のコア本体58dは1本のシャフト59に計2個配置されており、上述したコア本体58cの位置よりも小さいサイズの用紙に対応した位置、つまり、遮蔽部材60を備えない位置にそれぞれ配置される。
そして、これらキャップがシャフト59に固定されると、コア本体58a等のシャフト59からの脱落を防止できる。これにより、図4に示されるように、第1遮蔽部材60aを有したコア本体58aがシャフト59の外周面の両端側にそれぞれ配置され、そこから中央に向かって順に、第2遮蔽部材60bを有したコア本体58b、第3遮蔽部材60cを有したコア本体58c、遮蔽部材60を有しないコア本体58dがそれぞれ配置される。
具体的には、本実施例のシャフト59は、図6に示される如くその外周面が断面D字形状で構成されており、センタコア58の回転軸線に沿って延びる軸側平坦面89を有し、この軸側平坦面89の周方向両端が断面円形の円形外周面89sに連なっている。
次いで、これら軸側平坦面89とコア側平坦面88との間に、板ばね92を挿入すると、軸側平坦面89とコア側平坦面88との平行が保たれたまま、軸側平坦面89が板ばね92の付勢力によってコア側平坦面88から離間する方向に移動する。これに伴い、コア本体58aの円形内周面88sのうち、シャフト59の中心を通ってコア側平坦面88に直交する直線に相当する部分がシャフト59の円形外周面89sで最も強く押圧されるため、コア本体58aはその径方向外側に向けて押圧される。
具体的には、センタコア58が図2に示される状態から180°回転し、磁気の遮蔽を行わない退避位置で考えると、遮蔽部材60は、加熱ベルト48からコア側平坦面88までの距離が加熱ベルト48から軸側平坦面89までの距離よりも大きくなる位置に設けられる。
詳しくは、図7,8に示された例もまた、上記実施例と同様に、分割したセンタコア58では軸側平坦面89とコア側平坦面88との平行が保持され、シャフト59に対して支持されている。しかし、図7の実施例では、波型状の板ばね(弾性部材)96が用いられており、分割したセンタコア58のそれぞれをシャフト59に配置する毎に、板ばね96を軸側平坦面89とコア側平坦面88との間に挿入する。
なお、上記各実施例では樹脂製のばねで説明しているが、金属製のばねであっても良い。
さらに、各コア本体58a〜58dやシャフト59を断面D字形状にすれば、形状が複雑にならないので、製造し易い。
本発明は上述した実施形態に制約されることなく、種々に変形して実施可能である。例えば、コア部の構成は回転するセンタコア或いは固定のセンタコアのいずれでも良く、適宜に変形可能である。
また、本実施例では画像形成装置としてプリンタに具現化した例を示している。しかし、本発明の画像形成装置は、複合機、複写機やファクシミリ等にも当然に適用可能である。
7 画像形成部
14 定着ユニット(定着装置)
46 ヒートローラ(加熱部材)
48 加熱ベルト(加熱部材)
50 IHコイルユニット
52 誘導加熱コイル(コイル)
58 センタコア(コア部)
58a〜58d コア本体
59 シャフト
60 遮蔽部材
88 コア側平坦面
89 軸側平坦面
92,96 ばね(弾性部材)
Claims (5)
- 記録媒体に画像を定着するための定着装置であって、
加熱部材の外面に沿って配置され、この加熱部材を誘導加熱するための磁界を発生させるコイルと、
このコイルを挟んで前記加熱部材の反対側に配置され、前記コイルの周囲にて磁路を形成するコア部とを具備し、
前記コア部は、
前記搬送される記録媒体の幅方向に交差する方向に分割して配置され、前記磁路を形成するべく磁性材料で構成されるとともに、その内周面に前記記録媒体の幅方向に沿って延びるコア側平坦面を有した断面D字形状の複数のコア本体と、
その外周面に前記複数のコア本体を配置させるとともに、この外周面に前記記録媒体の幅方向に沿って延びる軸側平坦面を有した断面D字形状のシャフトと、
これら軸側平坦面とコア側平坦面との平行を保つべくこれら軸側平坦面とコア側平坦面との間に配置されており、前記シャフトの外周面に対して前記コア本体の内周面を支持する弾性部材と
を備えることを特徴とする定着装置。 - 請求項1に記載の定着装置であって、
前記弾性部材は、金属製或いは耐熱性を有した樹脂製のばねであることを特徴とする定着装置。 - 請求項1又は2に記載の定着装置であって、
前記コア部の外周面に沿って設けられ、前記コイルで発生した磁界内で磁気を遮蔽可能な遮蔽部材をさらに具備し、
前記コア部は、その外周面が断面円形状に形成され、搬送される前記記録媒体の幅方向に延びた軸線周りに回転可能に構成されていることを特徴とする定着装置。 - 請求項3に記載の定着装置であって、
前記遮蔽部材が前記磁気の遮蔽を行わない場合に、前記加熱部材から前記コア側平坦面までの距離が前記加熱部材から前記軸側平坦面までの距離よりも大きくなることを特徴とする定着装置。 - 請求項1から4のいずれか一項に記載の定着装置を搭載し、これを用いて画像形成部で形成されたトナー画像を前記記録媒体に定着させることを特徴とする画像形成装置。
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