JP2009060856A - 酸性水中油型乳化油脂組成物 - Google Patents

酸性水中油型乳化油脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】 加熱、冷凍等の調理工程においても乳化が安定で油分離が殆どなく、また冷凍及び加熱を繰り返した後でも油分離が殆どなく、且つ口溶け、食感が良く、風味に優れた酸性水中油型乳化油脂組成物を提供すること。
【解決手段】 予備乳化後或いは仕上げ乳化後に卵黄グラニュール画分を添加することを特徴とする酸性水中油型乳化油脂組成物の製造方法に従って、酸性水中油型乳化油脂組成物を作製すること。
【選択図】 なし

Description

本発明は、マヨネーズ・ドレッシング類等をはじめとする酸性水中油型乳化油脂組成物に関する。
マヨネーズ・ドレッシング類等をはじめとする酸性水中油型乳化油脂組成物は、食品の種々の用途に用いられるようになってきている。特に、それらが冷凍食品に用いられる場合、加熱調理およびその後の冷凍保存中に乳化破壊が発生して、油分離が著しくなり、外観、口溶け、食感が著しく悪化し、商品価値が損なわれてしまうという課題があり、改善が望まれてきた。
これまで加熱調理、冷凍保存時の乳化安定性や冷凍と加熱の繰り返しに対する耐性を高めた酸性水中油型乳化組成物として、油分量を通常の70%程度から40%未満にまで極端に減らすことで、見た目の油分離を防ぐ方法が採られてきた。この方法によれば、油分を減らすことで見た目の油分離は改善されるものの、本質的な乳化安定性は向上しておらず、強い加熱条件、あるいは長期間冷凍保存される場合には、乳化が破壊され油の分離が発生するという課題があった。また、油分量が少ないことから、保存性を確保するためには醸造酢の配合量を増やさざるを得ず、そのため風味のバランスが悪くなることがあった。また、物性維持のために増粘安定剤を多く配合する必要があり、口溶けが通常のマヨネーズ類よりも著しく悪いという課題がある。そこで通常と同様の油分量でも耐冷凍性、耐熱性及び冷凍と加熱の繰り返し耐性を有するマヨネーズ・ドレッシング類が望まれてきた。しかしながら、これまでそのような酸性水中油型乳化油脂組成物については、殆ど報告がなされていない。また、別の改善策として特許文献1には、油分量は75重量%であるが、ホスホリパーゼA2で酵素処理した卵黄のグラニュール画分を他の材料と混合・撹拌して乳化して得たマヨネーズが記載されている。この方法によれば改善は見られるものの、乳化安定性が十分ではなく、加熱調理時、冷凍保管時に油の分離が見られ、また冷凍及び加熱を繰り返すと加熱調理時、冷凍保管時に油の分離が見られ、乳化状態を維持するには不十分であり、さらなる改善が望まれていた。
特開2003−274903号公報
加熱、冷凍等の調理工程においても乳化が安定で油分離が殆どなく、また冷凍及び加熱を繰り返した後でも油分離が殆どなく、且つ口溶け、食感が良く、風味に優れた酸性水中油型乳化油脂組成物を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、予備乳化時には卵黄成分として卵黄プラズマ画分のみを含み、予備乳化後或いは乳化後に卵黄グラニュール画分を添加すれば、工程においても油分離がほとんどなく乳化が安定で且つ口溶け、食感が良く風味に優れた酸性水中油型乳化組成物を得られることを見い出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の第一は、予備乳化後或いは仕上げ乳化後に卵黄グラニュール画分を添加することを特徴とする酸性水中油型乳化油脂組成物の製造方法に関する。好ましい実施態様は、予備乳化時には卵黄プラズマ画分を含むことを特徴とする上記記載の酸性水中油型乳化油脂組成物の製造方法に関する。より好ましくは、油脂含量が、酸性水中油型乳化油脂組成物全体中40〜85重量%である上記記載の酸性水中油型乳化油脂組成物の製造方法、更に好ましくは、卵黄グラニュール画分がホスホリパーゼにより酵素処理されていることを特徴とする上記記載の酸性水中油型乳化油脂組成物の製造方法、特に好ましくは、卵黄プラズマ画分がホスホリパーゼにより酵素処理されていることを特徴とする上記記載の酸性水中油型乳化油脂組成物の製造方法に関する。
本発明に従えば、加熱、冷凍等の調理工程においても乳化が安定で油分離が殆どなく、また冷凍及び加熱を繰り返した後でも油分離が殆どなく、且つ口溶け、食感が良く風味に優れた酸性水中油型乳化油脂組成物を提供できる。
以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。本発明の酸性水中油型乳化油脂組成物は、食用油脂、卵液を主原料としており、マヨネーズ・ドレッシング類として使用されるものであり、pHは7未満である。特に衛生的な保存性を高めるためにはpHが5.0以下のものが好ましく、pH4.5以下がより好ましい。油相は、主に食用油脂を含有してなり、ほかに乳化剤、着色料などを含有してもよい。水相は、主に卵液、食酢、水を含有してなり、ほかに澱粉などの増粘剤、食塩などの呈味剤、などを含有してもよい。なお、本発明の酸性水中油型乳化油脂組成物は、澱粉を含有していても、マヨネーズと呼ぶ。
本発明の酸性水中油型乳化油脂組成物の油脂含量については、特に制約がないが、通常油脂含量が多いほど安定性が悪いため、油脂含量が多い場合ほど本発明の顕著な効果が認められ、耐冷凍性と耐熱性の観点からは酸性水中油型乳化油脂組成物全体中40〜85重量%が好ましく、さらに冷凍と加熱の繰り返しに対する耐性に加え、風味及び口溶けを加味すると50〜85重量%以上がより好ましく、不要な添加物を加えなくても日本農林規格のマヨネーズ規格に合致することから65〜85重量%が最も好ましい。
本発明に用いる卵液は、卵黄プラズマ画分を0.1重量%以上含んでいれば特に制約がなく、殻付き卵を割り卵白を除去したもの、殺菌済みの液卵を用いることができる。必要に応じてそれらに食塩、糖類等を添加したものを用いても良い。ただし、予備乳化後或いは乳化後に卵黄グラニュール画分を添加することが必須である。予備乳化後或いは乳化後に卵黄グラニュール画分を添加することで加熱、冷凍時の安定性が顕著に向上していると考えられる。
卵黄は、プラズマ画分とグラニュール画分の2つの画分に分けられ、本発明でいうプラズマ画分とは、卵黄を遠心分離した時に得られる上澄み区分を、またグラニュール画分とは、遠心分離により沈殿する顆粒状の沈殿物をいう。卵黄プラズマ画分は、油を乳化する作用はあるものの乳化を安定に保つ効果があまり強くなく、一方、卵黄グラニュール画分は単独では油を乳化する作用は低いものの、一端形成された乳化構造を維持する効果が高いと考えられる。
卵黄の分画方法には、特に制約を受けないが、プラズマ画分、グラニュール画分は、例えば以下に示される方法により得られる。卵黄と同量の0.17M食塩水を卵黄に添加し、攪拌を行った後、10,000Gで45分間遠心分離を実施することで、上清としてプラズマ画分、沈殿としてグラニュール画分が得られる。
本発明の製造方法を用いれば、プラズマ画分、グラニュール画分は酵素処理を実施していなくても効果が認められるが、ホスホリパーゼA2による酵素反応を実施したプラズマ画分及び/又はグラニュール画分により顕著な効果が得られる。そのため、プラズマ画分及び/又はグラニュール画分は、ホスホリパーゼA2による酵素処理をしておく方が好ましい。本発明で用いるホスホリパーゼとしては、例えば、ノボザイムジャパン(株)製レシターゼ10L、新日本化学(株)製スミチームPLA1などを用いることができる。
酵素反応は、必要に応じて反応条件を設定すれば良いが、例えば、以下に例示される方法により実施することができる。卵黄のグラニュール画または、プラズマ画分にホスホリパーゼを所定量添加し、pHを7.0で維持し、45℃で攪拌しながら温調し、反応を実施する。酵素反応の進行は、脂肪酸の分解率を測定することにより把握することができる。脂肪酸の分解率は、50%以上が好ましく、60%以上がさらに好ましく、70%以上が好適である。脂肪酸の分解率が所定時間反応を実施後、酵素を失活させて反応を終了させる。酵素の失活条件は、酵素量、液量、攪拌効率等により異なるが、例えば70℃、10分間程度攪拌を行いながら加熱することにより行うことができる。
本発明の酸性水中油型乳化油脂組成物の製造方法として、予備乳化後或いは乳化後に卵黄グラニュール画分を添加するのであれば特に限定はなく、以下の方法が挙げられる。即ち、食酢、増粘剤、食酢や食塩や糖類以外の呈味材を混合・撹拌した後、卵黄プラズマ画分を添加・撹拌して水相とする。そこへさらに油脂を添加しながらホモミキサー等で予備乳化を実施後、卵黄グラニュール画分を添加し、コロイドミル等を用いて仕上げ乳化を実施する。ここで、卵黄グラニュール画分を添加する前にコロイドミル等を用いて仕上げ乳化を実施し、それから卵黄グラニュール画分を添加して撹拌してもよい。
本発明では、予備乳化後或いは仕上げ乳化後にグラニュール画分を添加することが特徴であるが、通常、マヨネーズ、ドレッシング類を調製する場合、卵液は、予備乳化時に分割せず、一括で添加する。
本発明の製造方法で得られた酸性水中油型乳化油脂組成物は、そのままでも他の食材と混合しても使用でき、様々な食品に包み込む包餡用、トッピング用、充填用あるいは塗布用として使用することができる。使用できる食品としては、例えば、焼き込み調理パン、パニーニ、ワッフル、サンドイッチ、サラダ、サラダ、惣菜、ハンバーグ、ミートボール、はんぺん、ちくわ、フライ食品、から揚げ、お好み焼き、たこ焼き、ピザ、焼き肉等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。前記記載の食品のうち、焼き込み調理パン、ハンバーグ、たこ焼きに本発明の酸性水中油型乳化油脂組成物を用いることができる。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例において「部」や「%」は重量基準である。
<冷凍、加熱時の乳化安定性>
実施例、比較例において、マヨネーズ(酸性水中油型乳化油脂組成物)をポリ袋に100gずつ分けヒートシールしたのち、80℃の恒温水槽で60分間加熱した(表2の1回目加熱に該当)。それから、―20℃にて72時間冷凍を行い、その後80℃の恒温水槽で60分間加熱した(表2の2回目加熱に該当)。同じ条件でさらに冷凍と加熱をもう1回繰り返した。3回の加熱時のマヨネーズ(酸性水中油型乳化油脂組成物)の乳化安定性を10人の訓練された作業員の目視により、以下の評価基準で評価し、その平均を評価点とした。5点:油分離が全くなし、4点:わずかに表面に油の浮きが見られる、3点:表面に油がでており、油が一部パンに染み込んでいる、2点:油分離は著しく、マヨネーズの上部に油の層が浮いているのがはっきりわかる、1点:油分離が顕著で、マヨネーズが完全に油と水相の2層に分かれている。また、−20℃で所定期間保管後に、80℃の恒温槽で60分間加熱後の状態を評価した。
なお本願では、上記の条件で冷凍、加熱時の乳化安定性を評価しているが、同様の効果の確認は、冷凍温度であれば−18〜−50℃、加熱温度であれば50〜130℃で本願の効果を好適に確認できる。
<風味評価>
実施例、比較例において、加熱、冷凍後のマヨネーズ(酸性水中油型乳化油脂組成物)を10人の訓練されたパネラーに食べてもらい、その際の各マヨネーズの風味を、以下の評価基準で評価し、その平均を評価点とした。5点:風味が良好である、4点:風味がほぼ良好であるが、ややバランスに欠けている、3点:風味のバランスが悪い、2点:風味のバランスが悪い、1点:バランスが悪く、不快感を感じる。
<口溶け評価>
実施例、比較例において、加熱、冷凍後のマヨネーズ(酸性水中油型乳化油脂組成物)を10人の訓練されたパネラーに食べてもらい、その際の各マヨネーズの口溶け感を、以下の評価基準で評価し、その平均を評価点とした。5点:食べた時口に残るねばりがなく良好である、4点:食べた時口の中に残るねばりがややある、3点:食べた時口の中に残るねばりがある、2点:食べた時口の中に残るねばりがかなりある、1点:食べた時口の中で粘りが顕著で不快感を感じる。
<食感評価>
実施例、比較例において、加熱、冷凍後のマヨネーズ(酸性水中油型乳化油脂組成物)を10人の訓練されたパネラーに食べてもらい、その際の各マヨネーズの食感を、以下の評価基準で評価し、その平均を評価点とした。5点:柔らかく口こなれが極めて良い、4点:柔らかく口こなれが良い、3点:やや固いが口こなれが悪くない、2点:モロモロとして口こなれが悪い、1点:ゴムの様に固く極めて悪い。
<卵黄グラニュール画分、プラズマ画分の調製>
卵黄1000gに1000mlの0.17M食塩水を添加し、攪拌を行った後、4℃で10,000Gで45分間遠心分離を実施して(使用機種名:高速冷却遠心機、型名:SCR20B、ローター:RPR10−2、日立工機株式会社製)、上清としてプラズマ画分、沈殿としてグラニュール画分を得た。グラニュール画分は、その後NHClを添加し、透析を行い、約1000gのグラニュール画分を得た。
<ホスホリパーゼ処理>
卵黄、または、卵黄グラニュール画分、卵黄プラズマ画分に対し、スミチームPLA1を50μl添加し、pHは未調整で45℃の恒温水槽にて温調しながら反応を4時間実施した。
(実施例1) マヨネーズ(酸性水中油型乳化油脂組成物)の作製
表1の配合に従い、グルタミン酸ナトリウム、食塩、上白糖、マスタードを醸造酢(酸度10%)と水に溶解して水相を調製後、卵黄プラズマ画分を水相に添加し、さらに菜種油を添加しながらホモミキサーで予備乳化を実施後、卵黄グラニュール画分を添加し、コロイドミル(製品名:MINI COLOIDER「MC−3」、(株)エスエムテー社製)により仕上げ乳化を実施しマヨネーズを得た。得られたマヨネーズの加熱・冷凍を繰り返し実施した場合と冷凍で保管した時の経日的な乳化安定性を表2に、加熱・冷凍を3回繰り返し実施した後の風味、喫食時の口溶け、食感を評価した結果を表3にまとめた。
Figure 2009060856
Figure 2009060856
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(実施例2〜4) マヨネーズ(酸性水中油型乳化油脂組成物)の作製
表1の配合に従い、実施例2ではグラニュール画分の代わりにホスホリパーゼ処理グラニュール画分を、実施例3ではプラズマ画分の代わりにホスホリパーゼ処理プラズマ画分を、また、実施例4ではグラニュール画分とプラズマ画分の代わりにホスホリパーゼ処理グラニュール画分とホスホリパーゼ処理プラズマ画分を用いた以外は、実施例1と同様にしてマヨネーズを調製した。得られたマヨネーズの加熱・冷凍を繰り返し実施した場合と冷凍で保管した時の経日的な乳化安定性を表2に、加熱・冷凍を3回繰り返し実施した後の風味、喫食時の口溶け、食感を評価した結果を表3にまとめた。
(実施例5) マヨネーズ(酸性水中油型乳化油脂組成物)の作製
表1の配合に従い、特開2003−274903号公報の実施例3に対応する比較例2と比較するために、卵をグラニュール画分のみではなく、プラズマ画分を併用している。製造方法は、実施例1と同様の方法で実施した。すなわち、表1の配合に従い、食塩を醸造酢(酸度10%)と水に溶解して水相を調製後、卵黄プラズマ画分を水相に添加し、さらに菜種油を添加しながらホモミキサーで予備乳化を実施後、ホスホリパーゼで処理した卵黄グラニュール画分を添加し、コロイドミル(製品名:MINI COLOIDER「MC−3」、(株)エスエムテー社製)により仕上げ乳化を実施しマヨネーズを得た。得られたマヨネーズの加熱・冷凍を繰り返し実施した場合と冷凍で保管した時の経日的な乳化安定性を表2に、加熱・冷凍を3回繰り返し実施した後の風味、喫食時の口溶け、食感を評価した結果を表3にまとめた。
(実施例6、7) マヨネーズ(酸性水中油型乳化油脂組成物)の作製
表1の配合に従い、油分を55%まで下げた配合において実施例1と同様の方法でサンプル作製を実施した。得られたマヨネーズの加熱・冷凍を繰り返し実施した場合と冷凍で保管した時の経日的な乳化安定性を表2に、加熱・冷凍を3回繰り返し実施した後の風味、喫食時の口溶け、食感を評価した結果を表3にまとめた。
(比較例1) マヨネーズ(酸性水中油型乳化油脂組成物)の作製
表1の配合に従い、グルタミン酸ナトリウム、食塩、上白糖、マスタードを醸造酢(酸度10%)と水に溶解して水相を調製後、未処理の殺菌卵黄を添加し、予備乳化を実施後、仕上げ乳化を実施した。得られたマヨネーズの加熱・冷凍を繰り返し実施した場合と冷凍で保管した時の経日的な乳化安定性を表2に、加熱・冷凍を3回繰り返し実施した後の風味、喫食時の口溶け、食感を評価した結果を表3にまとめた。
(比較例2) マヨネーズ(酸性水中油型乳化油脂組成物)の作製
表1の配合に従い、特開2003−274903号公報の実施例3に準ずる配合及び製造方法によりマヨネーズを得た。すなわち、卵黄5Kgに等量の水を加え均質化した後、5℃、14,000rpm、30分間の条件下で遠心分離を行い、沈殿部1.44Kgより卵黄のグラニュール画分を得た。得られた卵黄のグラニュール画分0.3Kgに水0.65Kg及び食塩0.05gを加えて均質化したものを3L容撹拌槽に充填し900IUのホスホリパーゼA2を添加して良く混合し、40℃品温で5時間酵素処理を行ってホスホリパーゼ処理卵黄グラニュール画分を得た。食塩を醸造酢(酸度10%)と水に溶解して水相を調製後、このホスホリパーゼ処理卵黄グラニュール画分を添加し、予備乳化を実施後、仕上げ乳化を実施することによりマヨネーズを得た。得られたマヨネーズの加熱・冷凍を繰り返し実施した場合と冷凍で保管した時の経日的な乳化安定性を表2に、加熱・冷凍を3回繰り返し実施した後の風味、喫食時の口溶け、食感を評価した結果を表3にまとめた。
(比較例3) マヨネーズ(酸性水中油型乳化油脂組成物)の作製
比較例1の未処理の卵黄の代わりにホスホリパーゼA2で処理した卵黄を用いて、比較例1と同様にマヨネーズを調製した。得られたマヨネーズの加熱・冷凍を繰り返し実施した場合と冷凍で保管した時の経日的な乳化安定性を表2に、加熱・冷凍を3回繰り返し実施した後の風味、喫食時の口溶け、食感を評価した結果を表3にまとめた。
(比較例4) マヨネーズ(酸性水中油型乳化油脂組成物)の作製
表1の配合に従い、製法を変えてマヨネーズを作製した。すなわち、水相調製後グラニュール画分を加え、予備乳化を実施した後プラズマ画分を添加し、仕上げ乳化を実施してマヨネーズを得た。得られたマヨネーズの加熱・冷凍を繰り返し実施した場合と冷凍で保管した時の経日的な乳化安定性を表2に、加熱・冷凍を3回繰り返し実施した後の風味、喫食時の口溶け、食感を評価した結果を表3にまとめた。
(比較例5) マヨネーズ(酸性水中油型乳化油脂組成物)の作製
表1の配合に従い、実施例1、比較例4とは製法を変えて作製した。すなわち、水相調製後グラニュール画分とプラズマ画分を同時に予備乳化してからプラズマ画分を添加し、仕上げ乳化を実施しマヨネーズを得た。得られたマヨネーズの加熱・冷凍を繰り返し実施した場合と冷凍で保管した時の経日的な乳化安定性を表2に、加熱・冷凍を3回繰り返し実施した後の風味、喫食時の口溶け、食感を評価した結果を表3にまとめた。
比較例1は、加熱のみでも油分離が著しく、冷凍後では、油が完全に分離し組織が残っていなかった。比較例2については、1回加熱後では、乳化安定性が3.3と安定性は比較的高かったものの、冷凍後の2回目の加熱後では、乳化安定性が1.8と悪化し、さらに冷凍保存後3回目の加熱では、乳化安定性が1.2まで低下していた。1回目の加熱においては乳化がある程度安定であるという今回の結果は、特開2003−274903号公報の実施例3でホスホリパーゼ処理したグラニュールのみで乳化したマヨネーズの耐熱性が向上するという報告と一致する。しかしながら、2回目の加熱、3回目の加熱と冷凍と加熱が繰り返されることにより乳化安定性が著しく低下することが分かった。この結果、特許文献1に示される技術では加熱、冷凍の繰り返しても乳化安定性を維持できなかったが、本発明の技術では、加熱、冷凍を繰り返しても乳化安定性を維持できることから効果が明らかに異なることが明らかとなった。比較例3には、従来からのホスホリパーゼ処理した卵黄を用いているが、1回目の加熱では安定なものの、加熱と冷凍の繰り返しでは安定性が低く、従来技術では加熱、冷凍の繰り返しでは乳化安定性を維持することが困難であることが明らかとなった。比較例4、5は、実施例1と同配合であるが、製法が異なることで乳化安定性が大きく異なっている。
一方、実施例1は、ホスホリパーゼを処理していないグラニュール画分とプラズマ画分を組み合わせたものであるが、加熱、冷凍を3回繰り返した後と−20℃の冷凍で180日保管後においても状態が安定で、風味、口溶け、食感に優れていることが分かった。ホスホリパーゼ処理をしたグラニュール画分、ホスホリパーゼ処理したプラズマ画分を用いた実施例2〜4においては、卵黄の分画物にホスホリパーゼ処理を施していない実施例1に比べさらに安定性、風味、口溶け、食感がさらに良好であり、特にホスホリパーゼA2を反応させたグラニュール画分とプラズマ画分を併用した実施例4が最も乳化安定性、風味、口溶け、食感が優れていることが明らかとなった。特許文献1の特開2003−274903号公報の実施例3をベースに本発明の技術を導入した実施例5では、比較例2と比較しプラズマ画分で予備乳化を実施後グラニュール画分をすることで加熱、冷凍の繰り返しにおいても、また、180日もの長期間冷凍保管しても乳化安定性が向上することが分かった。また、油分を55%と減らした実施例6、7においてもプラズマ画分を予備乳化時に添加し、予備乳化後グラニュール画分を添加することで乳化安定性が良好で、風味、口溶け、食感に優れていることが分かった。

Claims (5)

  1. 予備乳化後或いは仕上げ乳化後に卵黄グラニュール画分を添加することを特徴とする酸性水中油型乳化油脂組成物の製造方法。
  2. 予備乳化時には卵黄プラズマ画分を含むことを特徴とする請求項1記載の酸性水中油型乳化油脂組成物の製造方法。
  3. 油脂含量が、酸性水中油型乳化油脂組成物全体中40〜85重量%である請求項1又は2記載の酸性水中油型乳化油脂組成物の製造方法。
  4. 卵黄グラニュール画分がホスホリパーゼにより酵素処理されていることを特徴とする請求項1〜3何れかに記載の酸性水中油型乳化油脂組成物の製造方法。
  5. 卵黄プラズマ画分がホスホリパーゼにより酵素処理されていることを特徴とする請求項1〜4何れかに記載の酸性水中油型乳化油脂組成物の製造方法。
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