JP2009056089A - 衛生薄葉紙ロール - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
ロールを構成するシートを2プライ以上とし、巻き取り最外面に位置する衛生薄葉紙の米坪を、巻き取り最内面に位置する衛生薄葉紙の米坪より小さくし、巻き取り最外面に位置する衛生薄葉紙の密度を、巻き取り最内面に位置する衛生薄葉紙の密度より大きくした衛生薄葉紙ロールにより解決される。
【選択図】図2
Description
キッチンロールを例にとれば、シート(管芯)の幅は概ね220〜280mmであり、管芯の外径は30〜50mmとされる。シートの巻長さは10〜13mとされ、シートの管芯に対する巻き付けにより外径90〜130mmとされる。
このキッチンロールに代表される衛生薄葉紙ロールでは、通常、一方の手でロールを持ち、他方の手でロールからシートを必要な長さだけ連続的に巻き出し切断して使用するため、この使用の際における切断を容易に行えるようにすべく、通常、シートの長手方向の所定間隔おきに、シート幅方向に亘ってミシン目線が形成されている。
もっとも、例えば、料理中等で手が濡れていたり汚れていたりする場合は、衛生薄葉紙ロールをキッチン台などの台に縦置き(シート幅方向が垂直方向を向く置き方)し、一方の手側の肘などでロールの上面(端面)を押さえ、他方の手でロールからシートを必要な長さだけ連続的に巻き出し切断して使用することもある。
そこで本発明の主たる課題は、使用するにあたってシートを必要な長さだけ連続的に引き出して切断して得られる切断したシートの、巻き癖が小さく平坦になり易く使用し易い衛生薄葉紙ロールを提供することにある。
〔請求項1記載の発明〕
2枚以上の衛生薄葉紙が重ねられているシートがこれと実質的に同幅の管芯に巻き取られている衛生薄葉紙ロールであって、
前記シートは、巻き取り最外面に位置する衛生薄葉紙の米坪が、巻き取り最内面に位置する衛生薄葉紙の米坪より小さく、かつ、巻き取り最外面に位置する衛生薄葉紙の密度が、巻き取り最内面に位置する衛生薄葉紙の密度より大きい、ことを特徴とする衛生薄葉紙ロール。
シートの巻き取り最外面に位置する衛生薄葉紙の米坪を巻き取り最内面に位置する衛生薄葉紙の米坪より小さくするとともに、巻き取り最外面に位置する衛生薄葉紙の密度を巻き取り最内面に位置する衛生薄葉紙の密度より大きくすることで、巻き癖が小さく、切断後のシートが平坦になり易く使用し易くなる。
ここで、本発明における巻き取り最外面に位置する衛生薄葉紙とは、シートを構成する衛生薄葉紙のうち、管芯にシートを巻きつけるときに、常に最も外面に位置する衛生薄葉紙のことであり、反対に巻き取り最内面に位置する衛生薄葉紙とは、シートを構成する衛生薄葉紙のうち、管芯にシートを巻きつけるときに、常に最も管芯側に位置する衛生薄葉紙のことである。従って、2枚重ね(2プライとも呼ばれる)の場合は、巻き取り最外面の衛生薄葉紙と巻き取り外面の衛生薄葉紙とが同意であり、巻き取り最内面の衛生薄葉紙と巻き取り内面の衛生薄葉紙とが同意である。
他方、本発明における、密度とは米坪を1枚分の衛生薄葉紙の厚さで除することで得られる値である。
前記巻き取り最外面の衛生薄葉紙及び巻き取り最内面の衛生薄葉紙の米坪がともに10〜50g/m2の範囲にあり、
前記巻き取り最外面の衛生薄葉紙及び巻き取り最内面の衛生薄葉紙の密度がともに100〜250kg/m3の範囲にあり、
(巻き取り最内面の衛生薄葉紙の密度)/(巻き取り最外面の衛生薄葉紙の密度)の値Dが0.6≦D≦1.0の範囲にある、請求項1記載の衛生薄葉紙ロール。
上記数値範囲とすると、巻き癖がつきにくく、切断後に平坦になり易い効果が顕著となり、きわめて使用し易いものとなる。
前記巻き取り最外面の衛生薄葉紙及び巻き取り最内面の衛生薄葉紙の米坪において、
(巻き取り最内面の衛生薄葉紙の米坪)/(巻き取り最外面の衛生薄葉紙の米坪)の値Bが1.3≦Bの範囲にある、請求項1又は2記載の衛生薄葉紙ロール。
上記数値範囲とすると、巻き癖がつきにくく、切断後に平坦になり易い効果がさらに顕著となり、きわめて使用し易いものとなる。
前記シートは、その長手方向の所定間隔おきにシート幅方向に亘るミシン目線が形成されている請求項1〜3の何れか1項に記載の衛生薄葉紙ロール。
使用の際の切断がしやすいものとなる。また、カールしづらい適度な長さを切断位置とすることができるようになる。
前記シートは、巻き取り最外面に位置される衛生薄葉紙に対して水分を塗布又は散布した後に、それよりも巻き取り内面に位置される複数又は単数の衛生薄葉紙を重ね合わせて製造されたものである、請求項1〜4の何れか1項に記載の衛生薄葉紙ロール。
巻き取り最外面に位置する衛生薄葉紙を他の衛生薄葉紙と重ねた後に又は重ねられるとともに、その水分が蒸発して縮みが生じるため、巻き癖がよりつきづらいものとなる。
また、油の裏抜けがし難いものとなり、例えば、油分の拭き取り性に優れるようになる。
なお、本明細書における衛生薄葉紙ロールとは、キッチンロールに限定されず、長尺な衛生薄葉紙が管芯に巻かれロール状としたものであり、衛生薄葉紙とは、使い捨ての薄葉紙をいい、例えば、ナプキン紙及び化粧紙、トイレットペーパー、ちり紙、ティシューペーパー、キッチンペーパー、ペーパータオル、キッチンタオル、紙製ワイプ、紙製ウェスなどである。
前記管芯2は、既知のものが利用できる。一般例を示せば、その外径Lは30〜50mm、幅Hは100〜183mm程度である。
他方、本形態のシート1aは、特徴的に2枚のキッチンペーパーが重ねられた所謂2プライの構造をなしており、巻き取り外面に位置する衛生薄葉紙Aの米坪が、巻き取り内面に位置する衛生薄葉紙Bの米坪より小さく、また、巻き取り外面に位置する衛生薄葉紙Aの密度が、巻き取り内面に位置する衛生薄葉紙Bの密度より大きいものとなっている。
3プライ以上とする場合、巻き取り最外面に位置する衛生薄葉紙Aと巻き取り最内面に位置する衛生薄葉紙Bとの間の中間層衛生用紙の米坪及び密度は、前記巻き取り最外面及び巻き取り最内面に位置する各衛生薄葉紙の米坪及び密度の間の数値範囲に設定するのがよい。
また、前記巻き取り最外面の衛生薄葉紙A及び巻き取り最内面の衛生薄葉紙Bの密度はともに100〜250kg/m3の範囲にあるのがよい。100kg/m3未満であると強度が落ち、実使用の際に破れの原因となり、250kg/m3を超えると硬くなりすぎて、使用する際に折りたたみにくくなる恐れがある。
さらに、本形態のキッチンロール10では、(巻き取り最内面の衛生薄葉紙の密度)/(巻き取り最外面の衛生薄葉紙の密度)の値Dが0.6≦D≦1.0の範囲にあるのがよい。値Dが0.6未満であると最内面の衛生薄葉紙と最外面の衛生薄葉紙間の巻き取りによるテンションの差が大きくなり、加工の際に均一に巻き取ることが困難となる。また、値Dが1.0を超えるとカールが大きくなる。
また、本形態のキッチンロール10では、(巻き取り最内面の衛生薄葉紙の米坪)/(巻き取り最外面の衛生薄葉紙の米坪)の値Bが1.3≦Bの範囲にあるのがよい。Bの値が1.3未満であるとカールを低減する効果が小さくなる。カールを低減する効果が最も期待できるのは、値Dと値Bが共に上記の範囲を満たす場合である。
特に好適には最外面の衛生薄葉紙Aが完全に乾燥しないうちに、他の衛生薄葉紙と重ね合わせるのがよい。この最外面の衛生薄葉紙Aの水塗布等量については衛生薄葉紙A1枚の重量に対して3〜6%程度がよく、少なくとも重ねあわせによって、隣接する衛生薄葉紙に水分を供給して、隣接する衛生薄葉紙との水分量差がなくなるような事態を招かない程度の塗布量とする。
このようにして製造したシート1aは、巻き取り最外面に位置する衛生薄葉紙Aを他の衛生薄葉紙と重ねたとき又は重ねた後など後段において、その水分が蒸発して縮みが生むことで、巻き癖がよりつきづらいものとなる。そのうえ、特にキッチンロールとした場合には、油の裏抜けがし難いものとなり、例えば、揚げ物の過剰な油分の吸収をするためや、キッチン周りの汚れの拭き取りに特に適するキッチンロールに要求される特性が優れるようになる。
前記ミシン目線1bは、既知のパーフォレーションロール(ミシン刃ロール)設備によって形成することができる。すなわち、シート1aの幅Hより幅広のロール上に、多数の刃を幅方向に沿って配設して刃列を形成し、この刃列を所定間隔Mと同じピッチでロールの円周方向に複数設けたパーフォレーションロールを、回転させつつ走行するシート1aに当接させることにより、シート1aの幅方向に亘るミシン目線1bを、長手方向の所定間隔Mおきに形成することができる。
なお、ミシン目線1bは、例えば、三重線、四重線又はそれ以上の複数重とすることもできる。複数重のミシン目線を形成するにあたっては、複数重の適宜の刃列のパーフォレーションロールを備えるパーフォレーションロール設備により形成することができる。
また、この場合のミシン目線1bは、シート幅方向全体にわたって二重に形成されている必要はなく、例えば、シート1aの側部のみが二重に形成されていてもよい。
さらに、ミシン目線1bを二重とする場合において、特開2003−276936号公報などを参考に、例えば、カット部分を千鳥状としたり、あるいは一方のミシン目線のカット部分の端部とこのカット部分の端部に最も近接した他方のミシン目線のカット部分の端部とを結ぶ直線に対する、ミシン目線のなす角を直角又は鋭角としたりして、切断の容易化などを図ることもできる。
ここで「引張り強さ」とは、JIS P 8113に規定される引張り特性試験方法に準拠して測定される乾燥時引張り強さを意味する。シート1a自体、つまりミシン目線1bのないシート1aの引張り強さではなく、ミシン目線1bのあるシート1aを対象とし、ミシン目線1bを跨いで測定した引張り強度を意味する。
なお、ミシン目線1bにおけるシート長手方向の引張り強さを10〜200cNに設定し、引張り強さの比率を、1.0〜50%に設定するためには、ミシン目線1bのタイ長さを0.9〜2.5mmに、カット長さを0.9〜37.5mmにするとともに、タイカット比(タイ:カット)を1:15〜1:1に設定すればよい。
従って、シート巻出し時にかかるせん断力に対し、シート1aが長手方向及び幅方向に自在に伸びて、長手方向や幅方向の裂けが生じ難くなる。よって、所望のミシン目線1bできれいに切断することができ、シート1aは使いやすい状態で分断される。
シート1a自体の引張強さが、シート長手方向において200cN未満であると、紙力が低いのでシート取出し時に破れたり、水に濡れたときに破れてしまったりする。他方、シート1a自体の引張強さが、シート長手方向において2200cNを超えると、紙力が強すぎるため、シートに柔軟性がなくなり、使い勝手が悪くなる。一方、シート1a自体の引張強さが、シート幅方向において100cN未満であると、紙力が低いので、シート取出し時に破れたり、水に濡れたときに破れてしまったりする。他方、シート1a自体の引張強さが、シート幅方向において800cNを超えると、紙力が強すぎるため、シートに柔軟性がなくなり、使い勝手が悪くなる。ここでの「引張り強さ」も、JIS P 8113に規定される引張り特性試験方法に準拠して測定されるものであり、ミシン目線1bのないシート部分1aの乾燥時の引張り強さである。
このような引張り強さの比率は、抄き出し水流速度/ワイヤー速度の比(J/W比)を調節し、適宜流れ方向に配向した繊維の量を幅方向に配向した繊維の量よりも多くするなどによって、調節することができる。
ただし、NBKP及びLBKPが質量比で100:0〜40:60の原料パルプを用いるのが好適である。NBKPを用いたことによる強度向上と、LBKPを用いたことによる柔軟性向上とを両立させたシート1aとなる。これによりシート1aの柔らかさなどを損なわずに、シート巻出し時におけるミシン目線1bでの不本意な分断が抑制される。
<試験方法>
試験方法の手順は図4を参照しながら説明する。1枚の衛生薄葉紙に対し、約20cm離れた位置からスプレー糊(コクヨS&T株式会社製「TY−LAS22N」)を衛生薄葉紙の一方面に全体に均一に3秒間噴霧し、その後、相互の流れ方向・幅方向が一致するように他の衛生薄葉紙1枚を貼り合わせ、2枚重ねのシート11を構成した(以下、単にシートという)。
次いで、このシートを、図4(A)〜(B)に示すとおり、1cm(幅方向)×20cm(流れ方向)に裁断し、直径1.2cm、長さ30cmのステンレス製パイプ13に巻き付ける。その際、KOKUYO製「メンディングテープT−118(18mm×35m)」14を18mm×6mmの大きさに切って巻き始め部分をパイプに固定する。併せて巻き終わり部分(いわゆるテール部分)も巻きが解けないように前記メンディングテープ14で同様に固定する。
この巻き付け状態で、恒温恒湿室(温度:20℃、湿度:50%)に24時間安置し、安置後に、巻き終わり部分の固定を外し、鉛直方向において巻き始め部分が上側に、巻き終わり部分が下側になるようにパイプを水平方向に設置する。
次いで、図4(C)に示すとおり、テール部分のメンディングテープ14を剥がして巻きを解除し、パイプをその軸心方向が水平となるように保持して、シート11のパイプ13に接着していない側のテール端が最下方となる一旦引き延ばした後、すぐにこの引き延ばしを解除する。
その引き延ばしの解除後に、シート11のパイプ側の端部からシートの最も下方に位置する部分までの距離Rを測定する。Rの値が大きい程、巻き癖が小さく、Rの値が小さい程、巻き癖が大きいといえる。
この試験を、巻き取り外面及び巻き取り内面の衛生薄葉紙の米坪及び密度を変更して作成した各種のシートについて行った。各シートにおける衛生薄葉紙の米坪及び密度と、前記値D及び値Bについては評価とともに下記表1に示す。
なお、試験の評価は、「とても良い(R≧10cm、◎)」、「良い(7≦R<10cm、○)」、「やや悪い(4.5≦R<7cm、△)」、「悪い(R<4.5cm、×)」の4段階とした。
以上のとおり、本発明の衛生薄葉紙ロールによれば、巻き癖の低下が達成される。
Claims (5)
- 2枚以上の衛生薄葉紙が重ねられているシートがこれと実質的に同幅の管芯に巻き取られている衛生薄葉紙ロールであって、
前記シートは、巻き取り最外面に位置する衛生薄葉紙の米坪が、巻き取り最内面に位置する衛生薄葉紙の米坪より小さく、かつ、巻き取り最外面に位置する衛生薄葉紙の密度が、巻き取り最内面に位置する衛生薄葉紙の密度より大きい、ことを特徴とする衛生薄葉紙ロール。 - 前記巻き取り最外面の衛生薄葉紙及び巻き取り最内面の衛生薄葉紙の米坪がともに10〜50g/m2の範囲にあり、
前記巻き取り最外面の衛生薄葉紙及び巻き取り最内面の衛生薄葉紙の密度がともに100〜250kg/m3の範囲にあり、
(巻き取り最内面の衛生薄葉紙の密度)/(巻き取り最外面の衛生薄葉紙の密度)の値Dが0.6≦D≦1.0の範囲にある、請求項1記載の衛生薄葉紙ロール。 - 前記巻き取り最外面の衛生薄葉紙及び巻き取り最内面の衛生薄葉紙の米坪において、
(巻き取り最内面の衛生薄葉紙の米坪)/(巻き取り最外面の衛生薄葉紙の米坪)の値Bが1.3≦Bの範囲にある、請求項1又は2記載の衛生薄葉紙ロール。 - 前記シートは、その長手方向の所定間隔おきにシート幅方向に亘るミシン目線が形成されている請求項1〜3の何れか1項に記載の衛生薄葉紙ロール。
- 前記シートは、巻き取り最外面に位置される衛生薄葉紙に対して水分を塗布又は散布した後に、それよりも巻き取り内面に位置される複数又は単数の衛生薄葉紙を重ね合わせて製造されたものである、請求項1〜4の何れか1項に記載の衛生薄葉紙ロール。
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