JP6866943B1 - 衛生薄葉紙用二次原反ロールの製造方法および衛生薄葉紙ロールの製造方法 - Google Patents

衛生薄葉紙用二次原反ロールの製造方法および衛生薄葉紙ロールの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6866943B1
JP6866943B1 JP2020036042A JP2020036042A JP6866943B1 JP 6866943 B1 JP6866943 B1 JP 6866943B1 JP 2020036042 A JP2020036042 A JP 2020036042A JP 2020036042 A JP2020036042 A JP 2020036042A JP 6866943 B1 JP6866943 B1 JP 6866943B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
base paper
roll
sheet
paper
laminated sheet
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2020036042A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021137187A (ja
Inventor
広大 中山
広大 中山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
New Oji Paper Co Ltd
Oji Holdings Corp
Original Assignee
Oji Holdings Corp
Oji Paper Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Oji Holdings Corp, Oji Paper Co Ltd filed Critical Oji Holdings Corp
Priority to JP2020036042A priority Critical patent/JP6866943B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6866943B1 publication Critical patent/JP6866943B1/ja
Publication of JP2021137187A publication Critical patent/JP2021137187A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Sanitary Thin Papers (AREA)
  • Paper (AREA)

Abstract

【課題】積層シート巻き取り時のシートの破断が防止された衛生薄葉紙用二次原反ロールの製造方法および衛生薄葉紙ロールの製造方法の提供。【解決手段】原紙シートが巻き取られた複数の一次原反ロールのそれぞれから原紙シートを繰り出し、当該複数の原紙シートを重ね合わせて積層シートとするとともに、積層シートを巻き取って衛生薄葉紙用二次原反ロールを製造する方法であって、原紙シートの長手方向への伸び率が異なる複数の原紙シートを用い、伸び率の大きい原紙シートほど衛生薄葉紙用二次原反ロールの外層側になるように巻き取り、および積層シート内において互いに隣接する原紙シート間における伸び率の差を0.5〜5.0%ポイントの範囲内とする衛生薄葉紙用二次原反ロールの製造方法。【選択図】図3

Description

本発明は、衛生薄葉紙の製造に関し、特には、衛生薄葉紙用二次原反ロールの製造方法および衛生薄葉紙ロールの製造方法に関する。
衛生薄葉紙の製造には、原紙シートが巻き取られた複数の一次原反ロールのそれぞれから原紙シートを繰り出し、当該複数の原紙シートを互いに重ね合わせて積層シートとするとともに、当該積層シートを巻芯に巻き取って製造された衛生薄葉紙用二次原反ロールが用いられている。
この衛生薄葉紙用二次原反ロールから繰り出された積層シートは、必要に応じてスリット加工、エンボス加工、ミシン目加工、折り畳み、巻き取り、裁断等の工程を経て、所定の量および寸法の紙束の形態またはロールの形態の衛生薄葉紙製品に加工される。
トイレットロールやキッチンタオルロールのようなロールの形態の衛生薄葉紙製品の製造において、衛生薄葉紙用二次原反ロールから繰り出されたシートは、必要に応じてエンボス加工、ミシン目加工が施されつつ、所定の長さだけ別の巻芯(紙管)に巻き取られる。形成された巻取は、次いで、所定の製品幅に裁断されて、ロールの形態の衛生薄葉紙製品、すなわち衛生薄葉紙ロールとなる。
特許文献1から3には、衛生薄葉紙用二次原反ロールの製造およびそれを用いた衛生薄葉紙製品の製造についての記載がある。また、特許文献4には、衛生薄葉紙用二次原反ロールから製造されたトイレットロールおよびその製造方法についての記載がある。
特開2002−347146号明細書 特開2009−219562号明細書 特開2016−137061号明細書 特開2013−208297号明細書
しかしながら、衛生薄葉紙用二次原反ロールの製造において、積層シートを巻芯に巻き取った際に、一の原紙シートの巻取径とその外層に積層される他の原紙シートの巻取径とに、原紙シートの紙厚分だけ差異が生じる。この巻取径の差異に起因して、積層シート内の外層側の他の原紙シートには、内層側の一の原紙シートと比べて大きな張力が作用しやすい。
また、生産性の観点から、積層シートの巻き取り速度は、より高速であることが好ましい。近年、積層シートの巻き取り速度には、600〜1,500m/分のような高速が用いられている。高速での巻き取り時には、積層シートに、大きな張力が作用しやすい。
そのため、たとえ巻取径の差異が紙厚分だけだったとしても、積層シートの巻き取り時に、一の原紙シートの巻取径とその外層に積層される他の原紙シートの巻取径との差異に起因して外層側の他の原紙シートに過大な張力が作用し、当該他の原紙シートが破断するおそれがある。
また、例えばトイレットロールのようなロールの形態の衛生薄葉紙製品である衛生薄葉紙ロールの製造において、衛生薄葉紙用二次原反ロールから繰り出された積層シートを紙管のような巻芯に巻き取ってログとも称される巻取を形成する際にも、同様の問題が生じ得る。なお、以下、ログ形成用の巻芯を「紙管」とも称するが、紙管の原料は必ずしも紙である必要はなく、ログ形成用の巻芯を紙に限定することを意図するものではない。
ログ形成時の積層シートの巻き取り速度には、例えば、100〜300m/分程度の速度が用いられている。この速度は、原紙シートから衛生薄葉紙用二次原反ロールを製造する際の積層シートの巻き取り速度よりも低速ではある。しかしながら、ログ形成用の紙管の直径には、一般に30〜50mm程度の小さい径が用いられるため、ログ形成の際に紙管に巻き取られる積層シートの曲がり具合(曲率)は、概して、衛生薄葉紙用二次原反ロールに巻き取られている積層シートの曲がり具合よりも大きくなる。
そのため、ログ形成時の積層シートの巻き取りの際に、一の原紙シートの巻取径とその外層に積層される他の原紙シートの巻取径との差異に起因して外層側の他の原紙シートに過大な張力が作用しやすく、当該他の原紙シートが破断するおそれがある。
本発明は、積層シートの巻き取り時に一の原紙シートの巻取径と一の原紙シートの外層に積層される他の原紙シートの巻取径との差異に起因する原紙シートの破断を防止できる衛生薄葉紙用二次原反ロールの製造方法および衛生薄葉紙ロールの製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者は、原紙シートの長手方向への伸び率が異なる複数の原紙シートを用い、伸び率の大きい原紙シートほど衛生薄葉紙用二次原反ロールの外層側になるように巻き取り、および積層シート内において互いに隣接する原紙シート間における前記伸び率の差を0.5〜5.0%ポイントの範囲内とすることにより、原紙シートの破断が防止された衛生薄葉紙用二次原反ロールおよび衛生薄葉紙ロールが得られることを見出した。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[1] 原紙シートが巻き取られた複数の一次原反ロールのそれぞれから原紙シートを繰り出し、当該複数の原紙シートを重ね合わせて積層シートとするとともに、積層シートを巻き取ってトイレットロール用二次原反ロールを製造する方法であって、
原紙シートの長手方向への伸び率が異なる複数の原紙シートを用い、伸び率の大きい原紙シートほどトイレットロール用二次原反ロールの外層側になるように巻き取り、および
積層シート内において互いに隣接する原紙シート間における伸び率の差を0.5〜5.0%ポイントの範囲内とするトイレットロール用二次原反ロールの製造方法。
[2] 積層シート内において、互いに隣接する原紙シート間における伸び率の差を2.0〜4.0%ポイントの範囲内とすることを特徴とする[1]に記載のトイレットロール用二次原反ロールの製造方法。
[3] 複数の原紙シートのうちの少なくとも2枚の原紙シートの伸び率は、少なくとも2枚の原紙シートを異なるクレープ率で抄造することにより調整されたことを特徴とする[1]または[2]のいずれかに記載のトイレットロール用二次原反ロールの製造方法。
[4] [1]から[3]のいずれかに記載の製造方法によって製造されたトイレットロール用二次原反ロールから積層シートを繰り出して巻き取ることによりログを形成するログ形成工程を含むトイレットロールの製造方法であって、
ログ形成工程において、積層シートを、積層シートを構成する複数の原紙シートのうち伸び率の大きい原紙シートほどログの外層側になるように巻き取るトイレットロールの製造方法。
] 原紙シートが巻き取られた3以上の複数の一次原反ロールのそれぞれから原紙シートを繰り出し、当該複数の原紙シートを重ね合わせて積層シートとするとともに、積層シートを巻き取って衛生薄葉紙用二次原反ロールを製造する方法であって、
原紙シートの長手方向への伸び率が異なる複数の原紙シートを用い、伸び率の大きい原紙シートほど衛生薄葉紙用二次原反ロールの外層側になるように巻き取り、
積層シート内において、互いに隣接する原紙シート間における伸び率の差を0.5〜5.0%ポイントの範囲内とし、および
互いに隣接する原紙シート間における衛生薄葉紙用二次原反ロールの内層側の原紙シートの伸び率に対する外層側の原紙シートの伸び率の比を、内層側から外層側に向かうにつれて徐々に小さくなるようにする衛生薄葉紙用二次原反ロールの製造方法。
] 積層シート内において、互いに隣接する原紙シート間における伸び率の差を2.0〜4.0%ポイントの範囲内とすることを特徴とする[]に記載の衛生薄葉紙用二次原反ロールの製造方法。
] 複数の原紙シートのうちの少なくとも2枚の原紙シートの伸び率は、少なくとも2枚の原紙シートを異なるクレープ率で抄造することにより調整されたことを特徴とする[]または[]のいずれかに記載の衛生薄葉紙用二次原反ロールの製造方法。
] []から[]のいずれかに記載の製造方法によって製造された衛生薄葉紙用二次原反ロールから積層シートを繰り出して巻き取ることによりログを形成するログ形成工程を含む衛生薄葉紙ロールの製造方法であって、
ログ形成工程において、積層シートを、積層シートを構成する複数の原紙シートのうち伸び率の大きい原紙シートほどログの外層側になるように巻き取る衛生薄葉紙ロールの製造方法。
本発明によれば、積層シートを巻芯に巻き取る際に一の原紙シートの巻取径とその外層の他の原紙シートの巻取径との差異に起因して外層側の他の原紙シートに作用する張力を、適度に抑制することができる。これによって、衛生薄葉紙用二次原反ロールの製造における積層シートの巻き取りの際に、巻取径の差に起因する張力による外層側の他の原紙シートの破断を防止することができる。また、衛生薄葉紙用二次原反ロールを用いて衛生薄葉紙ロールを製造する際に、衛生薄葉紙用二次原反ロール製造の後工程における積層シートの形状変化に起因する皺発生や破断を防止することができる。本発明は、トイレットペーパー、ペーパータオル、キッチンペーパー、ティシュペーパーのような衛生薄葉紙製品全般を製造するために好ましく用いられ、特には、トイレットロール、ペーパータオルロール、キッチンペーパーロールのような衛生薄葉紙ロールの製造に好ましく用いられる。
本発明の実施形態の製造方法により製造される衛生薄葉紙用二次原反ロールを示す概略模式図である。 本発明の実施形態に適用可能な一次原反ロールを製造する抄紙機の例を示す模式図である。 本発明の実施形態に適用可能なプライ機の例を示す模式図である。 本発明の実施形態に適用可能なログ加工機の例を示す模式図である。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。以下の実施形態および図面は例示の目的で記載したものであり、本発明を限定するものではない。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態の、衛生薄葉紙用二次原反ロール(以下、単に「薄葉紙用二次原反ロール」または「二次原反ロール」ともいう)を製造するための方法について説明する。
(衛生薄葉紙用二次原反ロール)
本実施形態の製造方法により製造される二次原反ロールは、2プライ以上のマルチプライの衛生薄葉紙を製造するために用いられる。2プライ以上のマルチプライは、2プライ、3プライ、4プライ、5プライ、またはそれ以上のプライであってもよい。
図1は、本実施形態の衛生薄葉紙用二次原反ロールの製造方法により製造される衛生薄葉紙用二次原反ロールの構成を説明するための概略模式図である。図1(a)は、二次原反ロールの側面図を示す。図1(a)に示されるように、二次原反ロール58は、積層シート52がロール状に巻かれたものである。図1(b)は、図1(a)のIbの部分を示す積層シート52の部分拡大図である。図1(b)に示されるように、積層シート52は、複数の原紙シート31が重ね合わされたものである。本例においては、原紙シート31a,31b,31cのような3枚の原紙シート31が積層されているが、本発明の実施形態において、積層シート52を構成する複数の原紙シート31の数はこれに限定されず、2枚、3枚、4枚、5枚、またはそれ以上であってもよい。
(原紙シート)
原紙シート31は、繊維原料であるパルプ成分を含むスラリーを抄紙することによって得られる。
(パルプ成分)
パルプ成分としては、木材パルプ、非木材パルプ、脱墨パルプを挙げることができる。木材パルプとしては例えば、広葉樹パルプ(広葉樹クラフトパルプ(LKP))、針葉樹パルプ(針葉樹クラフトパルプ(NKP))、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ(DP)、ソーダパルプ(AP)、未晒しクラフトパルプ(UKP)、酸素漂白クラフトパルプ(OKP)等の化学パルプ等が挙げられる。また、セミケミカルパルプ(SCP)、ケミグラウンドウッドパルプ(CGP)等の半化学パルプ、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP、BCTMP)等の機械パルプが挙げられるが、特に限定されない。非木材パルプとしてはコットンリンターやコットンリント等の綿系パルプ、麻、麦わら、バガス等の非木材系パルプ、ホヤや海草等から単離されるセルロース、キチン、キトサン等が挙げられるが、特に限定されない。脱墨パルプとしては古紙を原料とする脱墨パルプが挙げられるが、特に限定されない。パルプ成分は上記の1種を単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。これらパルプ成分は衛生用紙の品質に大きく影響するので、要求品質に合わせて所定の種類および配合割合で適宜配合される。
(任意成分)
原紙シートには、要求品質および操業の安定のために、任意成分として様々な薬品が添加されていてもよい。任意成分としては、例えば、乾燥紙力剤、湿潤紙力剤、柔軟剤、嵩高剤、染料、香料、分散剤、濾水向上剤、ピッチコントロール剤、歩留向上剤等を挙げることができる。乾燥紙力剤としては、例えば、カチオン化澱粉、ポリアクリルアミド(PAM)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等を挙げることができる。湿潤紙力剤としては、ポリアミドエピクロロヒドリン、尿素、メラミン、熱架橋性ポリアクリルアミド等を挙げることができる。柔軟剤としては、例えば、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤等を挙げることができる。上記の任意成分は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(坪量)
原紙シートの坪量は、要求品質に合わせて、例えば、7〜30g/m2とすることができる。例えば、原紙シートの坪量は、好ましくは9g/m2以上とすることができ、および好ましくは17g/m2以下とすることができる。坪量は、日本工業規格JIS P8124の規定に従って測定される。
(伸び率)
原紙シートの長手方向への伸び率は、要求品質や操業性の観点から、例えば、5%〜40%とすることができる。例えば、原紙シートの長手方向への伸び率は、好ましくは20%以上とすることができ、および好ましくは35%以下とすることができる。原紙シートの長手方向への伸び率が小さいと、例えば肌触りや吸水量などの要求品質が十分に満たされない場合がある。原紙シートの長手方向への伸び率が大きいと、製造装置や加工装置の操業が不安定になる場合がある。本実施形態における伸び率は、次のように定義され、測定される。
<伸び率>
本実施形態における原紙シートの長手方向への伸び率(以下、単に「伸び率」ともいう)とは、原紙シートが破断するまで原紙シートのMD方向である長手方向に引張力を付与した際の、原紙シートの単位長さ当たりの伸び量を百分率で示したものである。伸び率の測定は、日本工業規格JIS P8113に規定される引張破断伸びに準じて行う。測定試料の寸法は、幅25mm、長さ150mmとする。伸び率は、異なる5箇所から裁断して採取した試料の測定値の平均値として求める。試料は、積層シートを構成する複数の原紙シートが一体となった状態で、任意の箇所で長手方向に沿って100mmの位置でマーキングをしたのち、そのマーキング位置を含むようにして長手方向に150mm、幅方向に沿って25mmの矩形に裁断し、その裁断したものを各層に剥がして採取する。測定は、剥がした試料毎に行うこととし、試料の固定は先にマーキングした箇所にて行う。マーキングを行うのは、各層を剥がす際に少なからず生じ得る伸びを考慮するためである。また、後加工(例えば、積層シートを構成する原紙シートをプライ接合させるためのコンタクトエンボス加工や、ミシン目付与)を行った後の状態の積層シートから試料を採取する場合は、試料は、ミシン目やコンタクトエンボス部分を含まないように採取する。
(一次原反ロール)
本実施形態の衛生薄葉紙用二次原反ロールの製造には、原紙シートがロール状に巻かれた一次原反ロールが用いられる。本実施形態に適用可能な一次原反ロールは、当技術分野において知られている製紙技術により製造することができる。例えば、一次原反ロールは、抄紙機を用いて原紙シートを形成しつつ、形成された原紙シートを巻芯に巻き取る工程によって得ることができる。
(一次原反ロールの製造)
図2を参照して、本実施形態に適用可能な一次原反ロールの製造について説明する。
[抄紙機]
図2は、本発明の実施形態に適用可能な一次原反ロールを製造する抄紙機の例を模式的に示す。
この抄紙機1は、ワイヤーパート40、プレスパート42、ドライパート44、カレンダーパート45、およびリールパート46を備えている。
ワイヤーパート40は、抄き網を無端ベルトに構成したワイヤ2,3と、パルプスラリーを吹き付けるヘッドボックス8と、を備える。本実施形態ではツインワイヤフォーマ方式の抄紙機が用いられているが、円網フォーマ方式、サクションプレストフォーマ方式、クレセントフォーマ方式等の知られている抄紙機が用いられてもよい。
抄紙機に供給されるパルプスラリーは、パルプ成分に、水、および必要に応じて紙力剤などの任意成分を添加し、叩解処理をしてスラリー状としたものである。
ワイヤーパート40において、ヘッドボックス8からワイヤ2,3のニップ部に向かってパルプスラリー9が薄く噴き付けられる。
次に、フォーミングロール12によって、ワイヤ2とワイヤ3は圧着されることで、噴き付けられたパイプスラリーは、ワイヤ2,3の網目から水分が搾り取られて、湿紙10となる。このワイヤーパート40での工程は、総称して「湿紙製造工程」とも呼ばれる。
次にワイヤ3の回動によって、ワイヤ3上の湿紙10はプレスパート42に送られる。プレスパート42は、フェルトを無端ベルトに構成したドライヤーフェルト22と、ドライヤーフェルト22に当接するように配置され、ドライヤーフェルト22の走行とともに回転する、複数のフェルトロールと、を備える。
ワイヤーパート40から送られてきた湿紙10は、ドライヤーフェルト22の表面に載置され、ドライヤーフェルト22の繊維に湿紙10の水分を吸収させることにより、湿紙10は脱水される。このプレスパート42での工程は、総称して「脱水工程」とも呼ばれる。
次に、プレスパート42によって脱水された湿紙10は、ドライパート44に送られる。ドライパート44では、加熱可能な円柱状のヤンキードライヤー26を備え、湿紙10を乾燥させて水分を除去する。すなわち、内部に蒸気を吹き込み、加熱状態としたヤンキードライヤー26の外周面に、湿紙10を圧着させて乾燥させ、湿紙であったシートを乾燥状態のシートとする。ヤンキードライヤー26の外周面に対向して熱風の噴射口を有するフード28をさらに設け、フード28からの熱風も合わせて湿紙10に加えて乾燥させるようにしてもよい。ヤンキードライヤー26の外周面で乾燥したシートは、クレーピングドクター29によってクレープと呼ばれる非常に細かい波状の皺がつけられながら、ヤンキードライヤー26の表面から引き剥がされる。このドライパート44での工程は、総称して「乾燥工程」とも呼ばれる。特に、シートへのクレープ付与に関連する一連の工程は、「クレーピング」とも呼ばれる。クレーピングは、シートに柔らかさ、嵩高さ(バルク感)、吸収性、美観(クレープの形状)、手触り感などを付与するために行われる。
引き剥がされたシート31は、カレンダーパート45に送られる。カレンダーパートは、1対のカレンダーロール53、54を備え、このカレンダーロール対により上下からシート31を挟み込み、押圧する。これによって、シート31が圧縮され、紙厚の調整および均一化、ならびに表面の平滑化などがなされる。この工程は、総称して「カレンダー加工」とも呼ばれる。
カレンダーパート45から送られたシート31は、次いで、リールパート46へ送られる。リールパート46では、シート31をリール34の巻芯38に固定し、リール34を回転させて、シート31を巻き取っていく。これにより、シート31がロール状に巻き取られた紙ロール36が得られる。このリールパート46での工程は、総称して「巻取工程」とも呼ばれる。以下、シート31を、「原紙シート」または単に「原紙」ともいうものとする。
このようにして、原紙シート31を巻き取った形態の紙ロール36が得られる。この紙ロール36は、本実施形態による二次原反ロールを製造するための一次原反ロールとして用いることができる。
(衛生薄葉紙用二次原反ロールの製造)
次に、図3を参照して、一次原反ロールから、本発明の実施形態による衛生薄葉紙用二次原反ロールを製造する方法を説明する。本例では、原紙シート3枚を積層した3プライの二次原反ロールを製造する。しかしながら、本実施形態は、これに限定されず、2以上の複数の原紙シートを積層するマルチプライの二次原反ロールの製造に適用可能である。
[プライ機]
図3は、本発明の実施形態による薄葉紙用二次原反ロールの製造に適用可能なプライ機の例を示す模式図である。
3本の一次原反ロール36a,36b,36cそれぞれから繰り出された原紙31a,31b,31cは、ペーパーロール51において積層される。原紙の積層体(以下、「積層シート」ともいう)52は、必要に応じてスリッターパート55によって所定の幅に切断されつつ、リールドラム56によって案内されて、巻芯上にロール化される。これにより、図1に示されるような、積層シート52がロール状に巻き取られた二次原反ロール58が得られる。
図1および図3に示されるように、本実施形態では、積層シート52は、その構成原紙である原紙31a,31b,31cが二次原反ロール58の巻取の内層側から外層側に向かって原紙31a、原紙31b、原紙31cの順に積層されるように、重ね合わされ巻き取られている。
ここで、本実施形態では、積層シート52の各層を構成する3つの原紙31a,31b,31cとして、それぞれ伸び率の異なる原紙シートが用いられる。
詳細には、本実施形態による二次原反ロール58において、互いに隣接して積層シート52の一部を構成する原紙31aと原紙31bとは、巻取の外層側の原紙31bの伸び率が内層側の原紙31aの伸び率よりも0.5〜5.0%ポイントだけ大きくなる関係を有する。同様に、互いに隣接して積層シート52の一部を構成する原紙31bと原紙31cとは、巻取の外層側の原紙31cの伸び率が巻取の内層側の原紙31bの伸び率よりも0.5〜5.0%ポイントだけ大きくなる関係を有する。
つまり、本実施形態の製造方法は、伸び率の異なる複数の原紙シートを用い、伸び率の大きい原紙シートほど二次原反ロールの巻取の外層側になるように重ね合わせて巻き取り、積層シート内で互いに隣接する原紙シート間の伸び率の差を0.5〜5.0%ポイントの範囲内とするものである。
二次原反ロール58において、積層シート52が2枚の原紙シートからなる場合、あるいは4枚以上の原紙シートを含む場合も、同様に、巻取外層側の原紙シートの伸び率がその内層側に隣接する原紙シートの伸び率よりも0.5〜5.0%ポイントだけ大きくなるようにすればよい。
本実施形態の二次原反ロールの製造方法によれば、積層シート内において互いに隣接する原紙シート間に適度な伸び率の差が設けられ、積層シートを巻芯に巻き取る際に積層シート内で巻取径の差異に起因して巻取外層側の原紙シートに作用する張力を適度に抑制することができる。これによって、衛生薄葉紙用二次原反ロールの製造において、積層シートを巻き取る際の積層シート内での巻取径の差異に起因する巻取外層側の原紙シートの破断を防止することができる。また、原紙シート間の適度な伸び率の差により、製造された衛生薄葉紙用二次原反ロールを用いて衛生薄葉紙ロールを製造する際に、二次原反ロール製造の後工程における積層シートの形状変化に起因する皺発生や破断を防止することができる。
積層シート内において互いに隣接する原紙シート間の伸び率の差が0.5%ポイント未満であると、二次原反ロールの製造工程における積層シートの破断の発生を防止する効果が十分に得られにくいおそれがある。また、積層シート内において互いに隣接する原紙シート間の伸び率の差が5.0%ポイントを超えると、二次原反ロールから繰り出される積層シートを用いる後工程において、一の原紙シートとその外層側の他の原紙シートとの間の収縮率の違いの影響により、他の原紙シートがだぶついて皺やプライ剥がれが生じおよび/または一の原紙シートに張力による破断が生ずるおそれがある。
本実施形態に適用可能な原紙シートの伸び率は、種々の方法によって制御されていてもよい。例えば、原紙シートの伸び率は、パルプスラリー中の原紙の原料(パルプ成分、添加剤等の任意成分)の種類や配合割合を異ならせたり、パルプの叩解度を異ならせたりするなど、原材料の面から制御されていてもよい。また、原紙シートの伸び率は、原紙シートの製造条件、例えば一次原反ロールの製造の際に抄紙機に適用する製造条件を異ならせるなど、製造装置の面から制御されていてもよい。また、原紙シートの伸び率は、抄造された紙シートに対してエンボス加工のような加工を施すなど、後加工の面から制御されていてもよい。また、原紙シートの伸び率は、これらの方法の任意の組み合わせにより制御されていてもよい。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。特段の記載のない限り、第1の実施形態に適用可能な構成は、本実施形態に適用可能である。
第2の実施形態の衛生薄葉紙用二次原反ロールの製造方法により製造される二次原反ロールは、3プライ以上のマルチプライの衛生薄葉紙を製造するために用いられる。3プライ以上のマルチプライは、3プライ、4プライ、5プライ、またはそれ以上のプライであってもよい。
図1および図3を参照して、本実施形態においても、積層シート52は、その構成原紙である原紙31a,31b,31cが二次原反ロール58の巻取の内層側から外層側に向かって原紙31a、原紙31b、原紙31cの順に積層されるように、重ね合わされ巻き取られている。
また、本実施形態においても、積層シート52の各層を構成する3つの原紙31a,31b,31cとして、それぞれ伸び率の異なる原紙シートが用いられる。
詳細には、本実施形態による二次原反ロール58において、互いに隣接して積層シート52の一部を構成する原紙31aと原紙31bとは、巻取の外層側の原紙31bの伸び率が内層側の原紙31aの伸び率よりも0.5〜5.0%ポイントだけ大きくなる関係を有する。同様に、互いに隣接して積層シート52の一部を構成する原紙31bと原紙31cとは、巻取の外層側の原紙31cの伸び率が内層側の原紙31bの伸び率よりも0.5〜5.0%ポイントだけ大きくなる関係を有する。
それに加えて、第2の実施形態による二次原反ロール58においては、積層シート52内で隣接して積層された3つの原紙31a,31b,31cは、巻取の内層側の原紙31aの伸び率に対するその巻取外層側に隣接する原紙31bの伸び率の比と、当該原紙31bの伸び率に対するその巻取外層側に隣接する原紙31cの伸び率の比と、を比較した際に、巻取外層側の原紙シート間における伸び率の比の方が小さくなる関係を有する。
つまり、第2の実施形態の製造方法は、伸び率の異なる3以上の複数の原紙シートを用い、伸び率の大きい原紙シートほど二次原反ロールの巻取の外層側になるように重ね合わせて巻き取り、積層シート内で互いに隣接する原紙シート間の伸び率の差を0.5〜5.0%ポイントの範囲内とし、および積層シート内において、巻取内層側の原紙シートの伸び率に対するその外層側に隣接する原紙シートの伸び率の比を、巻取の外層側の原紙シート間における当該伸び率の比の方が内層側の原紙シート間における当該伸び率の比よりも小さくなるようにするものである。
積層シートを構成する原紙シートの枚数が4以上である場合においても、同様に、積層シート内において、巻取内層側の原紙シートの伸び率に対するその外層側に隣接する原紙シートの伸び率の比を、巻取の外層側の原紙シート間における伸び率の比の方が内層側の原紙シート間における伸び率の比よりも小さくなるようにすればよい。その結果、本実施形態により製造された二次原反ロールにおいて、互いに隣接する原紙シート間における巻取の内層側の原紙シートの伸び率に対する巻取の外層側の原紙シートの伸び率の比、すなわち、外層側の原紙シートの伸び率を内層側の原紙シートの伸び率で割った値は、巻取の内層側から外層側に向かうにつれて徐々に小さくなる関係を有する。
本実施形態の二次原反ロールの製造方法によれば、上述した第1の実施形態の発明の効果と同様の発明の効果に加えて、さらに以下のような発明の効果を奏し得る。
すなわち、積層シート内において、互いに隣接する原紙シート間における巻取の内層側の原紙シートの伸び率に対する巻取の外層側の原紙シートの伸び率の比を、巻取の内層側から外層側に向かうにつれて徐々に小さくなるようにすることにより、積層シート内で巻取径の差異に起因して巻取外層側の原紙シートに作用する張力を必要以上に抑制することが防止され、積層シートを適度な張力で巻芯に巻き取ることができる。
また、積層シート内において、互いに隣接する原紙シート間における巻取の内層側の原紙シートの伸び率に対する巻取の外層側の原紙シートの伸び率の比を、巻取の内層側から外層側に向かうにつれて徐々に小さくなるようにすることにより、そのようにしなかった場合と比べて、積層シート内の最も巻取内層側の原紙シートと最も巻取外層側の原紙シートとの間の伸び率の差を小さくし得る。そのため、原紙シートの伸び率の違いに起因する積層シートの表裏面の性状の差を小さくすることができ、最終的に得られる衛生薄葉紙製品の要求品質の制御に寄与し得る。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態は、積層シートが2以上の複数の原紙シートから構成される態様、すなわち、2プライ、3プライ、4プライ、またはそれ以上のマルチプライの衛生薄葉紙ロールを製造するための二次原反ロールの製造に適用可能である。特段の記載のない限り、上述の実施形態に適用可能な構成は、本実施形態に適用可能である。
第3の実施形態においては、一次原反ロールの製造の際に抄紙機に適用する製造条件を異ならせることにより伸び率を調整した原紙シートを、二次原反ロールの製造に用いる。
紙のクレープ率と伸び率とは必ずしも比例関係を示すものではないが、概して、クレープを付与した紙の伸び率はそのクレープ率に影響を受け、クレープ率が高いほど伸び率が高い傾向を示す。本実施形態においては、一次原反ロールの製造の際に抄紙機に適用する製造条件のうち、特には、クレーピングのための条件を異ならせてクレープ率を調整することにより伸び率を制御した原紙シートを用いる。
<クレープ率>
本実施形態における原紙シートのクレープ率とは、抄紙機におけるヤンキードライヤーと巻取リールの周速差(巻取リールの周速≦ヤンキードライヤーの周速)に基づいて定義されるものであり、次式(I)によって算出される。
クレープ率(%)=100×(ヤンキードライヤーの周速(m/分)−巻取リールの周速(m/分))÷巻取リールの周速(m/分)・・・(I)
図2を参照して、具体的には、抄紙機1において、ヤンキードライヤー26の周速および巻取リール34の周速のうちのいずれか一方または両方を変動させることによって、得られる原紙シート31のクレープ率を調整することができる。
原紙シートのクレープ率は、要求品質や操業性の観点から、例えば、10〜40%とすることができる。例えば、原紙シートのクレープ率は、好ましくは28%以下であり、より好ましくは26%以下である。また、例えば、原紙シートのクレープ率は、好ましくは15%以上である。クレープ率を上記範囲内とすることにより、表面に適度な凹凸構造を付与して良好な肌触りや吸水性を得つつ、使用時の耐久性の低下を防止することができる。
1つの例では、例えば、各原紙シートのクレープ率を16〜25%とし、原紙シート間のクレープ率の差を1〜7%に調整することで、本実施形態に適用可能な、各伸び率が20〜35%の範囲内であり、伸び率の差が0.5〜5.0%となる関係を有する複数の原紙シートを得ることができる。
本実施形態の二次原反ロールの製造方法によれば、二次原反ロールの製造に一次原反ロールの製造工程を含む場合、単にクレープ率を異ならせることによって原紙シートの伸び率を簡単に調整することができる。例えば、原紙の所定の原料(パルプ成分、添加剤等の任意成分)からその種類、パルプ叩解条件、配合割合等の原料面での条件を変更することなく、同一のパルプスラリーを用いて伸び率の異なる原紙シートを製造することができるので、複数の所望の伸び率の原紙シートを得るために配合等を異ならせた複数のパルプスラリーを準備する必要がない。そのため、一次原反ロールの製造における原料調製の複雑化が防止され、一次原反ロールの原料調製に起因した生産性の低下が防止される。その結果、二次原反ロールの積層シートに用いられる複数の原紙シート間における伸び率の関係の制御が容易になり、二次原反ロールの製造が簡単になる。
また、本実施形態の二次原反ロールの製造方法によれば、二次原反ロールの製造に、同一のパルプスラリーを用いクレープ率を異ならせることによって伸び率が調整された複数の原紙シートを用いることによって、原紙シートの原料の違いに起因する最終製品の質感や性状の変動を防止することができる。
なお、本発明の実施形態において、積層シートを構成する複数の原紙シートの原料(パルプスラリー)は、要求品質等に応じて異なるものであってもよく、必ずしも全ての原紙シートの原料が同一である必要はない。複数の原紙シートのうちの少なくとも2枚の原紙シートの伸び率を、当該少なくとも2枚の原紙シートを異なるクレープ率で抄造することにより調整することで、本実施形態の効果が奏される。当然ながら、複数の原紙シートのうちのより多くの原紙シートの伸び率を、当該より多くの原紙シートを異なるクレープ率で抄造することにより調整することで、より大きな効果が奏される。上述した、原紙シートの原料の違いに起因する質感の変動を防止する効果は、特に、積層シートの表裏両面の原紙シートが、同一のパルプスラリーを用いクレープ率を異ならせることによって伸び率が調整されている場合に、顕著となる。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態である衛生薄葉紙ロールの製造方法について説明する。
本発明の実施形態の衛生薄葉紙ロールの製造には、本発明の実施形態の衛生薄葉紙用二次原反ロールの製造方法により製造された衛生薄葉紙用二次原反ロールが用いられる。特段の記載のない限り、上述の実施形態に適用可能な構成は、本実施形態に適用可能である。
衛生薄葉紙用二次原反ロールの積層シートは、ログ加工機と通称される装置による再巻き取りの工程を経て、衛生薄葉紙ロールに加工される。
図4は、本発明の実施形態に適用可能なログ加工機の例を模式的に示す。
図3に示されるプライ機により製造された本発明の実施形態の二次原反ロール58は、図4に示されるログ加工機60の二次原反ロール用スタンドにセットされる。二次原反ロール58から繰り出された積層シート52は、巻取装置66により所定の長さだけ巻芯(紙管)に巻き取られて、ログ68が形成される。所定の長さは、衛生薄葉紙ロールの製品長さとすることができ、例えば15〜200mとすることができる。紙管の直径は、要求スペックに応じて適宜設定可能であり、例えば30〜50mmとすることができる。ログ形成の際に、例えば積層シート52のプライ剥がれを防止するための筋エンボス装置64による筋状のエンボス加工(「プライボンディング」ともいう)や不図示のミシン目加工装置による切り取り用ミシン目形成加工などの、必要に応じた加工が施されてもよい。
図4に示されるように、本実施形態において、積層シート52は、二次原反ロール58において巻取の半径方向内側に向いていた積層シート52の面はログ68においても巻取の半径方向内側に向き、二次原反ロール58において巻取の半径方向外側に向いていた積層シート52の面はログ68においても巻取の半径方向外側に向くように、巻き取られる。ここで上述のように、本発明の実施形態の二次原反ロール58において、積層シート52を構成する複数の原紙シート31は、伸び率の大きい原紙シートほど巻取の外層側になるように配置されている。つまり、本実施形態では、ログ形成工程において、積層シートの巻き取りの向きを変更することなく、積層シートを、積層シートを構成する複数の原紙シートのうち伸び率の大きい原紙シートほどログの外層側になるように巻き取ることによって、ログを形成する。
形成されたログ68は、次いで必要に応じて不図示の加工装置により所定の幅(製品幅)に裁断されて、ロールの形態の衛生薄葉紙製品、すなわち衛生薄葉紙ロールとなる。
このように、本実施形態によると、積層シート内において互いに隣接する原紙シート間には適度な伸び率の差が設けられている。そのため、ログ形成工程のような、二次原反ロール製造の後工程において、二次原反ロールから繰り出された積層シートを巻き取る際に、積層シートの巻き取りの向きを規制して積層シートを構成する複数の原紙シートのうち伸び率の大きい原紙シートほど巻取の外層側になるように巻き取ることによって、積層シート内で巻取径の差異に起因して巻取外層側の原紙シートに作用する張力を、適度に抑制することができる。これによって、積層シート内での巻取径の差異に起因する巻取外層側の原紙シートの破断を防止することができる。
積層シート内において互いに隣接する原紙シート間の伸び率の差が0.5%ポイント未満であると、積層シートを巻き取る際の積層シートの破断の発生を抑制する効果が十分に得られにくい。また、積層シート内において互いに隣接する原紙シート間における伸び率の差が5.0%ポイントを超えると、二次原反ロールから繰り出される積層シートを用いる後工程において、一の原紙シートとその外層側の他の原紙シートとの間の収縮率の違いの影響により、他の原紙シートがだぶついて皺が生じおよび/または一の原紙シートに張力が作用して破断が生じるおそれがある。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(評価)
実施例で用いた評価は、以下の試験方法に従った。
<二次原反ロール製造時の紙切れ頻度>
巻取長さ30,000mの一次原反ロールから、図3に示すプライ機により、加工速度800m/分で、巻取長さ4,000mの二次原反ロールを製造する際の、一次原反ロールの巻取長さ(30,000m)当たりの紙切れの頻度(回)を計測した。
紙切れの頻度は低いほど(すなわち、紙切れの回数は少ないほど)生産性が高く好ましい。紙切れの頻度は、好ましくは1回以下であり、より好ましくは0回である。
<ログ形成時の紙切れ頻度および皺発生頻度>
巻取長さ4,000mの二次原反ロールから、図4に示すログ加工機により、加工速度200m/分で、巻取長さ25mの衛生薄葉紙ロール製造用ログを形成する際の、二次原反ロールの巻取長さ(4,000m)当たりの紙切れの頻度(回)および二次原反ロールの巻取長さ(4,000m)当たりの皺発生の頻度(箇所)を計測した。
紙切れの頻度は低いほど(すなわち、紙切れの回数は少ないほど)生産性が高く好ましい。紙切れの頻度は、好ましくは1回以下であり、より好ましくは0回である。
また、皺発生の頻度は低いほど(すなわち、皺発生の箇所数は少ないほど)生産性および品質が高く好ましい。皺発生の頻度は好ましくは1回以下であり、より好ましくは0回である。
(実施例1)
図2に示す抄紙機により、同一配合のパルプスラリーを用いて、坪量17g/m2、紙厚120μmの、様々な伸び率の複数の原紙シートを製造し、各々につき巻取長さ30,000mの一次原反ロールを得た。各原紙シートの伸び率は20〜35%の範囲内となるようにし、様々な伸び率を得るための原紙シートの伸び率の制御は、原紙シート製造時の抄紙機の製造条件のうちヤンキードライヤーの周速および巻き取りリールの周速の一方または両方を制御して原紙シートのクレープ率を異ならせることにより行った。
得られた一次原反ロールの中から3本の一次原反ロールを用いて、図3に示すプライ機により、加工速度800m/分で、巻芯径200mm、巻取長さ4,000mの3プライの二次原反ロールを製造した。各原紙シートの原紙シートの長手方向への伸び率を上述した定義に従って測定し、二次原反ロールを構成する積層シート内において互いに隣接する原紙シート間の原紙シートの長手方向への伸び率の差を求めた。これを繰り返し、下記第1表に示す試料番号1から9の、隣接する原紙シート間の伸び率の差が異なる合計9本の二次原反ロールを得た。なお、各試料には、二次原反ロールの巻取内層側の原紙シート間の伸び率の差と巻取り外層側の原紙シート間の伸び率の差とが同一の値の二次原反ロールを採用した。
各試料の二次原反ロールを製造した際に、上述した二次原反ロール製造時の紙切れ頻度の試験方法に従い、一次原反ロールの巻取長さ(30,000m)当たりの紙切れの頻度(回)を計測した。試験結果を第1表に示す。
Figure 0006866943
積層シート内において互いに隣接する原紙シート間における原紙シートの長手方向への伸び率の差が0.4%ポイント以下であるとき、複数回の紙切れが発生した。伸び率の差が0.5%ポイント以上であるとき、紙切れの発生回数は1回以下であり、伸び率の差が2.0%ポイント以上であるとき、紙切れは発生しなかった。
(実施例2)
図4に示すログ加工機により、実施例1で得た二次原反ロールから、速度200m/分で積層シートを繰り出し、直径38mmの紙管に巻き取って、巻取長さ25m、3プライのログを形成した。
上述したログ形成時の紙切れ頻度および皺発生頻度の試験方法に従い、二次原反ロールの巻取長さ(4,000m)当たりの紙切れの頻度(回)、および皺発生の頻度(箇所)を計測した。試験結果を第2表に示す。
Figure 0006866943
積層シート内において互いに隣接する原紙シート間における原紙シートの長手方向への伸び率の差が大きいほど、紙切れの頻度は低くなる傾向が見られた。また、隣接して積層される原紙シート間における伸び率の差が小さいほど、皺発生の頻度は低くなる傾向が見られた。
詳細には、積層シート内において互いに隣接する原紙シート間における原紙シートの長手方向への伸び率の差が0.4%ポイント以下であるとき、複数回の紙切れが発生した。伸び率の差が0.5%ポイント以上であるとき、紙切れの発生回数は1回以下であり、伸び率の差が2.0%ポイント以上であるとき、紙切れは発生しなかった。
また、積層シート内において互いに隣接する原紙シート間における伸び率の差が6.0%ポイント以上であるとき、複数個所で皺発生が観察された。伸び率の差が5.0%ポイント以下であるとき、皺発生の頻度は1箇所以下であり、伸び率の差が4.0%ポイント以下であるとき、皺発生は観察されなかった。
(発明の用途)
本発明を適用可能な衛生薄葉紙としては、例えば、ティシュペーパー、ちり紙、ペーパータオル、キッチンペーパー、およびトイレットペーパー等を挙げることができる。
本発明の実施形態の衛生薄葉紙ロールの製造方法は、例えばトイレットロール、ペーパータオルロール、キッチンペーパーロールのようなロールの形態の衛生薄葉紙の製造に適用することができる。
また、本発明の実施形態の二次原反ロールの製造方法は、例えば箱入りまたは袋入りのティシュペーパー、ちり紙、ペーパータオル、キッチンペーパーのような紙束の形態の衛生薄葉紙製品の製造にも適用することができる。
例えば、紙束の形態の衛生薄葉紙製品の製造においては、あらかじめ所定の製品幅にスリット加工された衛生薄葉紙用二次原反ロールから繰り出されたシートは、折り畳み機構によって折り畳まれながら重ね合わされ、製品長さに裁断されて束にされる。束は次いで箱詰めまたは袋詰めされるなどして、紙束の形態の衛生薄葉紙製品となる。
1 抄紙機
2,3 ワイヤ
8 ヘッドボックス
9 パルプスラリー
10 湿紙
12 フォーミングロール
22 ドライヤーフェルト
26 ヤンキードライヤー
28 フード
31 シート/原紙
34 リール
36 紙ロール
38 巻芯
40 ワイヤーパート
42 プレスパート
44 ドライパート
45 カレンダーパート
46 リールパート
51 ペーパーロール
52 積層シート
53 カレンダーロール
54 カレンダーロール
55 スリッターパート
56 リールドラム
58 二次原反ロール
60 ログ加工機
64 筋エンボス装置
66 巻取装置
68 ログ

Claims (8)

  1. 原紙シートが巻き取られた複数の一次原反ロールのそれぞれから前記原紙シートを繰り出し、当該複数の原紙シートを重ね合わせて積層シートとするとともに、前記積層シートを巻き取ってトイレットロール用二次原反ロールを製造する方法であって、
    原紙シートの長手方向への伸び率が異なる前記複数の原紙シートを用い、前記伸び率の大きい原紙シートほど前記トイレットロール用二次原反ロールの外層側になるように巻き取り、および
    前記積層シート内において互いに隣接する原紙シート間における前記伸び率の差を0.5〜5.0%ポイントの範囲内とすることを特徴とするトイレットロール用二次原反ロールの製造方法。
  2. 前記積層シート内において、互いに隣接する原紙シート間における前記伸び率の差を2.0〜4.0%ポイントの範囲内とすることを特徴とする請求項1に記載のトイレットロール用二次原反ロールの製造方法。
  3. 前記複数の原紙シートのうちの少なくとも2枚の原紙シートの前記伸び率は、前記少なくとも2枚の原紙シートを異なるクレープ率で抄造することにより調整されたことを特徴とする請求項1または2に記載のトイレットロール用二次原反ロールの製造方法。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載の製造方法によって製造された前記トイレットロール用二次原反ロールから前記積層シートを繰り出して巻き取ることによりログを形成するログ形成工程を含むトイレットロールの製造方法であって、
    前記ログ形成工程において、前記積層シートを、前記積層シートを構成する前記複数の原紙シートのうち前記伸び率の大きい原紙シートほど前記ログの外層側になるように巻き取ることを特徴とするトイレットロールの製造方法。
  5. 原紙シートが巻き取られた3以上の複数の一次原反ロールのそれぞれから前記原紙シートを繰り出し、当該複数の原紙シートを重ね合わせて積層シートとするとともに、前記積層シートを巻き取って衛生薄葉紙用二次原反ロールを製造する方法であって、
    原紙シートの長手方向への伸び率が異なる前記複数の原紙シートを用い、前記伸び率の大きい原紙シートほど前記衛生薄葉紙用二次原反ロールの外層側になるように巻き取り、
    前記積層シート内において、互いに隣接する原紙シート間における前記伸び率の差を0.5〜5.0%ポイントの範囲内とし、および
    前記互いに隣接する原紙シート間における前記衛生薄葉紙用二次原反ロールの内層側の原紙シートの伸び率に対する前記外層側の原紙シートの伸び率の比を、前記内層側から前記外層側に向かうにつれて徐々に小さくなるようにすることを特徴とする衛生薄葉紙用二次原反ロールの製造方法。
  6. 前記積層シート内において、互いに隣接する原紙シート間における前記伸び率の差を2.0〜4.0%ポイントの範囲内とすることを特徴とする請求項に記載の衛生薄葉紙用二次原反ロールの製造方法。
  7. 前記複数の原紙シートのうちの少なくとも2枚の原紙シートの前記伸び率は、前記少なくとも2枚の原紙シートを異なるクレープ率で抄造することにより調整されたことを特徴とする請求項5または6に記載の衛生薄葉紙用二次原反ロールの製造方法。
  8. 請求項からのいずれか一項に記載の製造方法によって製造された前記衛生薄葉紙用二次原反ロールから前記積層シートを繰り出して巻き取ることによりログを形成するログ形成工程を含む衛生薄葉紙ロールの製造方法であって、
    前記ログ形成工程において、前記積層シートを、前記積層シートを構成する前記複数の原紙シートのうち前記伸び率の大きい原紙シートほど前記ログの外層側になるように巻き取ることを特徴とする衛生薄葉紙ロールの製造方法。
JP2020036042A 2020-03-03 2020-03-03 衛生薄葉紙用二次原反ロールの製造方法および衛生薄葉紙ロールの製造方法 Active JP6866943B1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020036042A JP6866943B1 (ja) 2020-03-03 2020-03-03 衛生薄葉紙用二次原反ロールの製造方法および衛生薄葉紙ロールの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020036042A JP6866943B1 (ja) 2020-03-03 2020-03-03 衛生薄葉紙用二次原反ロールの製造方法および衛生薄葉紙ロールの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP6866943B1 true JP6866943B1 (ja) 2021-04-28
JP2021137187A JP2021137187A (ja) 2021-09-16

Family

ID=75638897

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020036042A Active JP6866943B1 (ja) 2020-03-03 2020-03-03 衛生薄葉紙用二次原反ロールの製造方法および衛生薄葉紙ロールの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6866943B1 (ja)

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101712690B1 (ko) * 2009-12-28 2017-03-06 다이오 페이퍼 코퍼레이션 티슈 페이퍼 제품용 2차 원단 롤의 제조방법
JP2017104499A (ja) * 2016-09-29 2017-06-15 大王製紙株式会社 キッチンペーパーロール
JP6816588B2 (ja) * 2017-03-17 2021-01-20 王子ホールディングス株式会社 ロール状トイレットペーパー

Also Published As

Publication number Publication date
JP2021137187A (ja) 2021-09-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2020072961A (ja) ティシュペーパー製品の製造方法
JP7060045B2 (ja) トイレットロール
JP6866944B1 (ja) 衛生薄葉紙用二次原反ロール
JP4429345B2 (ja) 衛生薄葉紙ロール
JP6866943B1 (ja) 衛生薄葉紙用二次原反ロールの製造方法および衛生薄葉紙ロールの製造方法
JP6816588B2 (ja) ロール状トイレットペーパー
JP6690395B2 (ja) トイレットペーパー
JP6863499B1 (ja) 衛生薄葉紙
JP6819805B1 (ja) 衛生薄葉紙
JP7028346B1 (ja) トイレットロール
JP6835282B1 (ja) 衛生薄葉紙の製造方法
JP7140213B2 (ja) トイレットロール
JP7287531B2 (ja) トイレットロール
JP7391371B2 (ja) 長尺トイレットペーパーロールの製造方法と、長尺トイレットペーパーロール
JP7287532B2 (ja) トイレットロール
JP7287530B2 (ja) トイレットロール
JP7416184B2 (ja) トイレットロール
JP7484827B2 (ja) トイレットロール
JP6915736B1 (ja) 衛生薄葉紙ロールの製造方法
JP7006754B1 (ja) トイレットロール
JP6879406B2 (ja) トイレットペーパー
JP2023136404A (ja) トイレットロール
JP2023137530A (ja) キッチンペーパーロール
JP2023099681A (ja) トイレットロール
JP2018153481A (ja) ロール状トイレットペーパー

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20201022

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20201022

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20201106

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20201201

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210126

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210309

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210322

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6866943

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250