JP7484827B2 - トイレットロール - Google Patents

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Description

本発明は、トイレットペーパーがロール状に巻き取られたトイレットロールに関する。
近年、トイレットロールにおけるトイレットペーパーの巻長(以下、トイレットロールの巻長ともいう)を長くすることによる、トイレットロールの持ち運びや保管時の省スペース化が図られている(特許文献1)。また、トイレットペーパーの坪量を低減することによって、トイレットロールの巻径を所定の寸法内に維持しつつ、トイレットロールの巻長を長くすることが知られている(特許文献2)。また、トイレットペーパーのロール密度を高くすることによって、トイレットロールの巻径を所定の寸法内に維持しつつトイレットペーパーの巻長を長くすることが知られている(特許文献3)。
特許第6712491号公報 特開2006-87703号公報 特開2018-061676号公報
しかしながら、トイレットロールの巻径を所定の寸法内に維持しつつ、トイレットロールの巻長を長くしようとすると、トイレットペーパーはきつめにロール状に巻かれることとなる。このとき、トイレットペーパーには、概して、トイレットロールの半径方向において相対的にロール中心に近い領域(内巻領域)において、トイレットロールの半径方向において相対的にロール中心から遠い(ロール外周側に近い)領域(外巻領域)におけるよりも、大きな圧力が掛かることとなる。これにより、トイレットロール内における半径方向の位置によってトイレットペーパーの紙質に差が生じ、トイレットロールの使い始めと使い終わりとでトイレットペーパーの風合いに差が生じる問題があった。
また、ロール密度を高めることでトイレットロールの巻長を長くしようとすると、トイレットロールの内巻領域にかかる圧力が大きくなり、内巻領域と外巻領域とでトイレットペーパーの紙質に差が生じ、トイレットロールの使い始めと使い終わりとでトイレットペーパーの風合いに差が生じる問題があった。
したがって、本発明は、巻長の長いトイレットロールであっても、使い始めと使い終わりとにおけるトイレットペーパーの風合いの差が抑制されたトイレットロールを提供することを目的とする。
鋭意検討の結果、本発明者は、トイレットロールに巻き取られたトイレットペーパーに掛かる圧力がトイレットロールの外周側の外巻領域よりもロール中心側の内巻領域で小さくなるようにトイレットロールの巻密度をトイレットロール内における位置に応じて調整することで、内巻領域に係る圧力を小さくし、トイレットロールの使い始めと使い終わりとでの風合いの差を抑制し得ることを見出した。
具体的には、本発明は、以下の構成を有する。
[1] 単プライのトイレットペーパーがロール状に巻き取られたトイレットロールであって、巻長は90m以上であり、前記トイレットロールのロール中心側の端部からの長さが前記巻長の85%以上95%以下の範囲の前記トイレットペーパーの領域に相当する前記トイレットロールの外巻領域に関して算出される前記トイレットロールの外巻密度ODEは、前記トイレットロールのロール中心側の端部からの長さが前記巻長の5%以上15%以下の範囲の前記トイレットペーパーの領域に相当する前記トイレットロールの内巻領域に関して算出される前記トイレットロールの内巻密度IDEよりも高く、前記トイレットロールのロール中心側の端部から前記巻長の90%の長さまで前記トイレットペーパーが巻き取られたロール状部分の巻密度として算出される外巻密度ODE90は、前記トイレットロールのロール中心側の端部から前記巻長の10%の長さまで前記トイレットペーパーが巻き取られたロール状部分の巻密度として算出される内巻密度IDE10の、1.00倍より大きく1.50倍以下であることを特徴とすトイレットロール。
[2] 単プライのトイレットペーパーがロール状に巻き取られたトイレットロールであって、巻長は90m以上であり、前記トイレットロールのロール中心側の端部からの長さが前記巻長の85%以上95%以下の範囲の前記トイレットペーパーの領域に相当する前記トイレットロールの外巻領域に関して算出される前記トイレットロールの外巻密度ODEは、前記トイレットロールのロール中心側の端部からの長さが前記巻長の5%以上15%以下の範囲の前記トイレットペーパーの領域に相当する前記トイレットロールの内巻領域に関して算出される前記トイレットロールの内巻密度IDEよりも高く、前記外巻密度ODEは、1.15m/cm2以上1.55m/cm2以下であり、および前記内巻密度IDEは、0.80m/cm2以上1.20m/cm2以下であることを特徴とすトイレットロール。
[3] 単プライのトイレットペーパーがロール状に巻き取られたトイレットロールであって、巻長は90m以上であり、前記トイレットロールのロール中心側の端部からの長さが前記巻長の85%以上95%以下の範囲の前記トイレットペーパーの領域に相当する前記トイレットロールの外巻領域に関して算出される前記トイレットロールの外巻密度ODEは、前記トイレットロールのロール中心側の端部からの長さが前記巻長の5%以上15%以下の範囲の前記トイレットペーパーの領域に相当する前記トイレットロールの内巻領域に関して算出される前記トイレットロールの内巻密度IDEよりも高く、前記トイレットペーパーにはエンボスが付与されており、前記外巻領域に関して測定される外巻領域エンボス深さは、前記内巻領域に関して測定される内巻領域エンボス深さよりも小さく、前記外巻領域エンボス深さは、80μm以上115μm以下であり、前記内巻領域エンボス深さは、85μm以上145μm以下であることを特徴とすトイレットロール。
[4] プライ数p(pは2以上の整数)のトイレットペーパーがロール状に巻き取られたトイレットロールであって、前記プライ数pと巻長L(m)は、式 L≧90/pの関係を満たし、前記トイレットロールのロール中心側の端部からの長さが前記巻長Lの85%以上95%以下の範囲の前記トイレットペーパーの領域に相当する前記トイレットロールの外巻領域に関して算出される前記トイレットロールの外巻密度ODEは、前記トイレットロールのロール中心側の端部からの長さが前記巻長Lの5%以上15%以下の範囲の前記トイレットペーパーの領域に相当する前記トイレットロールの内巻領域に関して算出される前記トイレットロールの内巻密度IDEよりも高く、前記トイレットロールのロール中心側の端部から前記巻長Lの90%の長さまで前記トイレットペーパーが巻き取られたロール状部分の巻密度として算出される外巻密度ODE90は、前記トイレットロールのロール中心側の端部から前記巻長Lの10%の長さまで前記トイレットペーパーが巻き取られたロール状部分の巻密度として算出される内巻密度IDE10の、1.00倍より大きく1.50倍以下であることを特徴とすトイレットロール。
[5] プライ数p(pは2以上の整数)のトイレットペーパーがロール状に巻き取られたトイレットロールであって、前記プライ数pと巻長L(m)は、式 L≧90/pの関係を満たし、前記トイレットロールのロール中心側の端部からの長さが前記巻長Lの85%以上95%以下の範囲の前記トイレットペーパーの領域に相当する前記トイレットロールの外巻領域に関して算出される前記トイレットロールの外巻密度ODEは、前記トイレットロールのロール中心側の端部からの長さが前記巻長Lの5%以上15%以下の範囲の前記トイレットペーパーの領域に相当する前記トイレットロールの内巻領域に関して算出される前記トイレットロールの内巻密度IDEよりも高く、前記外巻密度ODEは、1.10m/cm2以上1.75m/cm2以下であり、および前記内巻密度IDEは、0.90m/cm2以上1.40m/cm2以下であることを特徴とすトイレットロール。
[6] 前記トイレットペーパーにはエンボスが付与されていることを特徴とする請求項[4]または[5]に記載のトイレットロール。
[7] 前記エンボスはシングルエンボスであることを特徴とする[6]に記載のトイレットロール。
本発明によれば、トイレットロールの使い始めと使い終わりとにおけるトイレットペーパーの風合いの差が抑制されたトイレットロールを提供することができる。本発明によれば、巻長の長いトイレットロールの巻径を所定の寸法内にコンパクトに収めた場合であっても、トイレットロールの使い始めから使い終わりまでのトイレットペーパーの風合いの変化を小さくすることができる。したがって、本発明によれば、一般的なトイレットロールホルダー内に回転自在に収納することができる所定の寸法内の巻径を有し、使い始めから使い終わりまでのトイレットペーパーの風合いの変化が小さい、巻長の長いトイレットロールを提供することができる。また、本発明によれば、トイレットロールの持ち運びや保管時の省スペース化を図ることができる。
本発明の実施形態に係るトイレットロールの構成を説明するための図である。 本発明の実施形態に係るトイレットロールの構成を説明するための図である。 本発明の実施形態に係るトイレットロールの製造に適用可能な製造装置の例を示す図である。 エンボス深さの測定方法を説明するための図である。
以下、本発明の実施形態に係るトイレットロールを、図面を参照しながら説明する。図中、同一の符号は、同一または同様の構成を示すものとする。以下の実施形態および図面は例示の目的で記載したものであり、本発明を限定するものではない。
以下に記載される本発明の第1から第4の実施形態は、1枚のシートで形成されるいわゆる単プライのトイレットペーパーが巻き取られた単プライのトイレットロールに関する実施形態である。また、第5から第9の実施形態は、2以上の複数枚のシートで形成されるいわゆる複数プライのトイレットペーパーが巻き取られた複数プライのトイレットロールに関する実施形態である。
(第1の実施形態)
[トイレットロール]
図1は、本発明の第1の実施形態に係るトイレットロールの構成を説明するための概略斜視図である。
図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係るトイレットロール10は、1枚のシート11で構成されるいわゆる単プライのトイレットペーパー13が、円筒状の巻芯である紙管14に、所定長Lだけロール状に巻き回された、単プライのトイレットロールである。
[シート]
トイレットペーパー13の構成要素であるシート11は、繊維原料であるパルプ成分を含むスラリーを抄紙することによって得られる。
[パルプ成分]
パルプ成分としては、木材パルプ、非木材パルプ、古紙パルプを挙げることができる。
木材を原料として製造される木材パルプとしては、例えば、広葉樹パルプ(広葉樹クラフトパルプ(LKP))、針葉樹パルプ(針葉樹クラフトパルプ(NKP))、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ(DP)、ソーダパルプ(AP)、未晒しクラフトパルプ(UKP)、酸素漂白クラフトパルプ(OKP)等の化学パルプ等が挙げられる。また、セミケミカルパルプ(SCP)、ケミグラウンドウッドパルプ(CGP)等の半化学パルプ、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP、BCTMP)等の機械パルプが挙げられるが、特に限定されない。
木材以外の植物・動物を原料として製造される非木材パルプとしては、コットンリンターやコットンリント等の綿系パルプ、麻、麦わら、バガス等の非木材系パルプ、ホヤや海草等から単離されるセルロース、キチン、キトサン等が挙げられるが、特に限定されない。
古紙パルプとは、古紙、すなわちいったん抄紙されたパルプを原料として製造されるパルプである。古紙パルプとしては、例えば、牛乳パックのような液体を充填包装するための紙パックを原料とする、いわゆるミルクカートンパルプ、新聞や雑誌等を原料とする脱墨パルプが挙げられるが、特に限定されない。
パルプ成分は上記の1種を単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。これらパルプ成分はトイレットペーパー13の品質に大きく影響するので、要求品質に合わせて所定の種類および配合割合で適宜配合される。例えば、パルプ成分として、木材パルプのみを(100質量%で)用いることができる。
木材パルプとしては、針葉樹パルプおよび広葉樹パルプから選択される少なくとも1種を好ましく用いることができる。針葉樹パルプは、繊維が長く強度があり、抄造されるシートに強度を付与することができる。また、広葉樹パルプは、繊維が短く、しなやかであり、抄造されるシートに均一性、地合いのよさ、柔らかさなどを提供することができる。本発明の実施形態において、針葉樹パルプと広葉樹パルプを併用することが好ましく、針葉樹クラフトパルプ(NKP)と広葉樹クラフトパルプ(LKP)を併用することがより好ましい。
針葉樹パルプと広葉樹パルプとを併用する場合、針葉樹パルプと広葉樹パルプとの配合割合(質量比)を示すL/N比は、例えば、10/90~90/10とすることが好ましく、20/80以上とすることがより好ましく、30/70以上とすることがさらに好ましく、60/40以上とすることがさらになお好ましく、また、80/20以下とすることがより好ましく、70/30以下とすることがさらに好ましい。
[任意成分]
シート11には、要求品質および操業の安定のために、任意成分として様々な薬品が添加されていてもよい。任意成分としては、例えば、乾燥紙力剤、湿潤紙力剤、柔軟剤、嵩高剤、染料、香料、分散剤、濾水向上剤、ピッチコントロール剤、歩留向上剤、サイズ剤等を挙げることができる。乾燥紙力剤としては、例えば、カチオン化澱粉、ポリアクリルアミド(PAM)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等を挙げることができる。湿潤紙力剤としては、ポリアミドエピクロロヒドリン、尿素、メラミン、熱架橋性ポリアクリルアミド等を挙げることができる。柔軟剤としては、例えば、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、および両性イオン界面活性剤等を挙げることができる。上記の任意成分は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[トイレットペーパー]
本発明の第1の実施形態において、トイレットペーパー13は、単プライのトイレットペーパーであり、1枚のシート11で構成される。本明細書において、トイレットペーパー13とシート11は同義に解釈され得る。トイレットペーパー13には、柔らかさなどの手触り感や美粧性の向上等の目的でエンボスが付与されていてもよく、また、切り離し容易のために切り離し用ミシン目が形成されていてもよい。
[トイレットペーパーの坪量/シートの坪量]
トイレットペーパー13の坪量は、すなわち当該単プライのトイレットペーパー13を構成する1枚のシート11の坪量である。トイレットペーパー13の坪量は、日本工業規格JIS P8124の規定に従ってシート11の坪量を測定することにより得ることができる。
本発明の実施形態おいて、トイレットペーパー13の坪量は、好ましくは13.0g/m2以上21.0g/m2以下であり、より好ましくは14.0g/m2以上19.0g/m2以下である。
坪量が13.0g/m2より低くなると、概して、含有パルプ量の減少などによる吸水量の低下等により使用感が悪くなり、また、トイレットペーパー13の強度が低くなって意図しない破断が発生しやすくなり得る。
坪量が21.0g/m2より高くなると、概して、トイレットペーパー13の紙厚が厚くなり、トイレットロール10の巻径を所定の寸法に維持することが困難になり得る。
トイレットペーパー13の坪量が13.0g/m2以上21.0g/m2以下の範囲内であると、トイレットペーパー13の強度、吸水量、使用感が確保されつつ、トイレットロール10の巻径DRを所定の寸法に維持することが容易となる。
本例では、トイレットペーパー13の一端は、ピックアップ糊(接着剤)によって紙管14の外周に対して接着固定されている。これにより、トイレットペーパー13が紙管14から剥がれて離脱することが防止されている。
[紙管]
紙管14は、円筒形状を有しており、その周りにトイレットペーパー13が巻き回されてトイレットロール10となる。紙管14の外径であるコア径DCは、トイレットロール10を回転支持するためのトイレットロールホルダーの部材(コア芯やフック等)のサイズに応じて設定される。コア径は、好ましくは37mm以上42mm以下、より好ましくは38mm以上41mm以下である。
[トイレットロールの巻径]
図1を参照して、トイレットロール10の巻径とは、トイレットロール10においてロール状に巻き回されているトイレットペーパー13のロール径(直径)をいう。
本発明の実施形態において、製品スペックとしての、すなわち使用開始前のトイレットロール10の巻径DRは、一般的なトイレットロールホルダー内に収まり、その中で回転自在に支持され得るサイズに設定される。トイレットロール10の巻径DRは、好ましくは105mm以上130mm以下であり、より好ましくは110mm以上125mm以下であり、さらに好ましくは110mmより大きく125mmより小さい。
トイレットロール10の巻径DRを105mm未満とすると、トイレットロール10の巻長が制限され得る。また、105mm未満の巻径でトイレットロール10の長い巻長を確保しようとすると、トイレットロール10に用いられるトイレットペーパー13の紙厚や坪量等が制限されて、強度の確保等が困難になり得る。あるいはまた、きつく巻かれることによりトイレットペーパー13に圧力が掛かってその風合いや使用感が劣化し、また、エンボスが付与されている場合はエンボスが潰れることによりトイレットロール10の美粧性が悪くなり得る。
巻径は、例えば、ノギスなどを用いて測定することができる。トイレットロールのロール形状は必ずしも真円ではないため、ロールの円周方向の複数箇所でロール径(直径)を測定して、その平均値として巻径を求めてもよい。
[トイレットロールの幅]
トイレットロール10の幅Hとは、トイレットロール10に巻き取られたトイレットペーパー13の幅方向(CD)におけるトイレットロールの長さをいう。トイレットロール10の幅Hは、一般に、幅広のトイレットロールの断裁によって製品幅のトイレットロールを得る工程を含む製法に起因して、当該トイレットロール10に巻き取られているトイレットペーパー13の幅と長さが等しい。本発明の実施形態において、トイレットロール10の幅Hは、一般的なトイレットロールホルダー内に収まり、その中で回転自在に支持され得る長さに設定される。トイレットロール10の幅H、すなわちトイレットペーパー13の幅は、例えば、110mm~120mmであってもよく、114mm程度であることが多い。幅は、例えば、ノギスやメジャーなどを用いて測定することができる。
[トイレットロールの巻長]
トイレットロール10の巻長とは、トイレットロール10においてロール状に巻き回されたトイレットペーパー13の長さをいう。本発明の実施形態において、製品スペックとしての使用開始前のトイレットロール10の巻長Lは、90m以上であり、好ましくは90m以上180m以下であり、より好ましくは100m以上150m以下であり、さらに好ましくは、トイレットペーパー13にエンボスが付与されている場合には、110m以上140m以下であり、エンボスが付与されていない場合には、120m以上150m以下である。
トイレットロール10の巻長Lが90m未満であると、1ロール当りの巻長が短く、その巻径DRを所定の寸法の範囲内に収めた場合に、所望とする、トイレットロール10の持ち運びや保管時の省スペース化の効果が得られない。また、トイレットロール10を使用する際に、すぐに使い切ってしまうことによる、トイレットロール10の頻繁な補充が必要となる。
トイレットロール10の巻長Lが90m以上であると、1ロール当りのトイレットペーパー13の長さが長く、巻径DRを所定の寸法内に収めた場合にトイレットロール10の持ち運びや保管時の省スペース化の効果が得られる。
トイレットロール10の巻長Lが長すぎると、概して、トイレットロール10の巻径DRは大きくなり、トイレットロール10は、一般的なトイレットロールホルダーに収まり難くなる。このとき、トイレットロール10の巻径DRを所定の寸法内に収めようとすると、きつく巻かれることによりトイレットロール10内でトイレットペーパー13にかかる圧力が増大して、トイレットペーパーの風合い、使用感、トイレットロールの美粧性等が悪くなる傾向となる。
トイレットロール10の巻長Lは、例えば、実測により求めることができる。
[トイレットロールの巻密度]
本明細書において、トイレットロール10の巻密度DEとは、トイレットロール10の巻長Lにプライ数p(本例ではp=1)を乗じた値を、トイレットロール10のロール断面積Aで除した値をいう。トイレットロールの巻密度は、トイレットロール10においてロール状に巻き回されたトイレットペーパー13の巻きの強さを示す指標となる。概して、巻密度が高いほど巻きがきつく、巻密度が低いほど巻きが緩い。
詳細には、トイレットロール10の巻密度は、次式(I)によって計算される。
(巻密度DE(m/cm2))=(巻長L(m)×プライ数p)÷(ロール断面積A(cm2)) ・・・(I)
図2の(c)から(e)は、トイレットロール10の軸方向に直交する方向に沿って取ったトイレットロール10の断面を示す概略図である。
図2の(c)を参照して、巻長Lのトイレットロール10のロール断面積Aは、トイレットロール10の軸方向に直交する方向に沿って取ったトイレットロール10の断面において、巻き回されたトイレットペーパー13によって形成される外径ODおよび内径IDを有する円環形状部分(図中、ハッチング部分)の占める面積である。ロール断面積Aは、外径ODを直径とする円の面積から、内径IDを直径とする円の面積を引いたものに相当する。
円環形状部分の外径ODは、トイレットロール10の巻径DRに相当する。また、円環形状部分の内径IDは、紙管14のコア径DCに相当する。したがって、トイレットロール10のロール断面積Aは、次式(II)によって計算することができる。
(ロール断面積A(cm2))={(巻径DR(cm)÷2)2×3.14-(コア径DC(cm)÷2)2×3.14} ・・・(II)
例えば、トイレットロール10の巻長Lが120m、巻径DRが114mmであり、紙管14のコア径DCが40mmである場合、本発明の実施形態において、トイレットペーパー13は単プライであってプライ数pは1であるので、上式(I)および(II)より、その巻密度DEは、(120m×1)÷{(11.4cm÷2)2×3.14-(4.0cm÷2)2×3.14}を計算して、1.34m/cm2となる。
[トイレットロールの外巻領域]
図2の(a)および(b)は、巻長Lのトイレットロール10からトイレットペーパー13を巻き解く前後である展開前と展開後の状態を示す概略図である。図2の(b)を参照して、トイレットロールの外巻領域ORとは、トイレットロール10のロール中心側の端部13eからの長さがトイレットロール10の巻長Lの85%以上95%以下の範囲のトイレットペーパー13の領域である。図2の(a)を参照して、外巻領域ORは、トイレットロール10内において円筒形状をなす。
[トイレットロールの内巻領域]
図2の(b)を参照して、トイレットロールの内巻領域IRとは、トイレットロール10のロール中心側の端部13eからの長さがトイレットロール10の巻長Lの5%以上15%以下の範囲のトイレットペーパー13の領域である。図2の(a)を参照して、内巻領域IRは、トイレットロール10内において円筒形状をなす。図2の(a)を参照して、トイレットロール10の外巻領域ORは、内巻領域IRよりも、トイレットロール10の半径方向においてロールの中心から遠いロール外周側に位置する。
[トイレットロールの外巻密度]
トイレットロール10の外巻密度ODEとは、トイレットロール10の外巻領域ORに関して算出されるトイレットロール10の巻密度をいう。
図2の(d)は、図2の(c)に示される巻長Lのトイレットロール10からトイレットペーパー13を巻き解いていき、トイレットペーパー13の外巻領域ORがトイレットロール10の表面に現れるように、その巻長OLを0.85L~0.95Lの範囲の長さとした状態の、トイレットロール10を示す。この巻長OLまでトイレットペーパー13が巻き回されたトイレットロール10のロール状部分の巻密度が、トイレットロール10の外巻密度ODEとなる。
この状態におけるトイレットロール10の巻径ODRは、実測により求めることができる。外巻密度ODEは、上記の式(I)および(II)を準用して、下式(I’)および(II’)によって求めることができる。
(外巻密度ODE(m/cm2))=(巻長OL(m)×プライ数p)÷(ロール断面積OA(cm2)) ・・・(I’)
(ロール断面積OA(cm2))={(巻径ODR(cm)÷2)2×3.14-(コア径DC(cm)÷2)2×3.14} ・・・(II’)
式中、プライ数pは1であり、巻長OLは、0.85L~0.95Lの長さである。図2の(c)に示されるトイレットロール10の巻長Lが120mである場合、図2の(d)に示されるトイレットロール10のロール状部分の巻長OLは、102m~114mの範囲である。
[トイレットロールの内巻密度]
トイレットロール10の内巻密度IDEとは、トイレットロール10の内巻領域IRに関して算出されるトイレットロール10の巻密度をいう。
図2の(e)は、巻長Lのトイレットロール10からトイレットペーパー13を巻き解いていき、トイレットペーパー13の内巻領域IRがトイレットロール10の表面に現れるように、その巻長ILを0.05L~0.15Lの範囲の長さとした状態の、トイレットロール10を示す。この巻長ILまでトイレットペーパー13が巻き回されたトイレットロール10のロール状部分の巻密度が、トイレットロール10の内巻密度IDEとなる。
この状態におけるトイレットロール10の巻径IDRは、実測により求めることができる。内巻密度IDEは、上記の式(I)および(II)を準用して、下式(I’’)および(II’’)によって求めることができる。
(内巻密度IDE(m/cm2))=(巻長IL(m)×プライ数p)÷(ロール断面積IA(cm2)) ・・・(I’’)
(ロール断面積IA(cm2))={(巻径IDR(cm)÷2)2×3.14-(コア径DC(cm)÷2)2×3.14} ・・・(II’’)
式中、プライ数pは1であり、巻長ILは、0.05L~0.15Lの長さである。図2の(c)に示されるトイレットロール10の巻長Lが120mである場合、図2の(d)に示されるトイレットロール10のロール状部分の巻長ILは、6m~18mの範囲である。
なお、同様にして、トイレットロール10の外巻領域ORおよび内巻領域IR以外のトイレットロール10のロール半径方向における所定の領域に関して、トイレットロール10の巻密度を算出することができる。つまり、トイレットロール10の巻長Lよりも短い任意の長さのトイレットペーパー13の領域によって紙管14周りに巻き回されるロール状部分の巻密度を、式(I)および(II)を準用して算出することができる。
トイレットペーパー13の全長である巻長Lに対する百分率で表した「トイレットロール10の巻長Lよりも短い任意の長さ」がn%(0<n<100)である場合の巻密度を巻密度DEnと記載する場合、外巻密度ODEは、巻密度DEn(85≦n≦95)に相当し、内巻密度IDEは、巻密度DEn(5≦n≦15)に相当する。
本発明の第1の実施形態に係るトイレットロール10は、単プライのトイレットペーパーがロール状に巻き取られたトイレットロールであって、巻長は90m以上であり、トイレットロール10のロール中心側の端部13eからの長さがトイレットロール10の巻長Lの85%以上95%以下の範囲のトイレットペーパー13の領域であるトイレットロールの外巻領域ORに関して算出されるトイレットロールの巻密度である外巻密度ODEが、トイレットロール10のロール中心側の端部13eからの長さがトイレットロール10の巻長Lの5%以上15%以下の範囲のトイレットペーパー13の領域であるトイレットロールの内巻領域IRに関して算出されるトイレットロールの巻密度である内巻密度IDEよりも高いことを特徴とする。
すなわち、本実施形態において、巻密度DEn(85≦n≦95)に相当する外巻密度ODEは、巻密度DEn(5≦n≦15)に相当する内巻密度IDEよりも高い。
[作用効果]
従来のトイレットロールにおいては、概して、トイレットロール10の半径方向において相対的にロール中心側に位置する領域において、トイレットロール10の半径方向において相対的にロール外周側に位置する領域におけるよりも、高い圧力(内圧)が掛かる。また、トイレットロール内でトイレットペーパーに高い圧力が掛かると、圧縮による紙厚の低減(トイレットペーパーの高密度化)や、エンボスが付与されている場合にはエンボスの潰れが生じて、トイレットペーパーの風合いやトイレットロールの美粧性の悪化につながる。この現象は、巻長の長いトイレットペーパーにおいて顕著である。
そのような従来のトイレットロールの問題に対して、本発明の実施形態に係るトイレットロール10では、トイレットロール10の半径方向において相対的にロール外周側に位置する外巻領域ORに関して算出される外巻密度ODEが、トイレットロール10の半径方向において相対的にロール中心側に位置する内巻領域IRに関して算出される内巻密度IDEよりも高くなるように、トイレットロールの半径方向における位置に応じて、トイレットロールの巻密度が調整されている。
すなわち、本発明においては、外巻密度ODEよりも内巻密度IDEを相対的に小さくしており、これにより、単プライの巻長の長いトイレットロール10においても、内巻領域IRのトイレットペーパー13に掛かる圧力を小さくすることができる。これにより、内圧を起因とした圧縮による紙厚の低減(トイレットペーパーの高密度化)やエンボスが付与されている場合のエンボスの潰れを抑制することができる。
したがって、本発明によれば、トイレットロール10の使い始めと使い終わりとにおけるトイレットペーパーの風合いの差を抑制することができる。
また、本実施形態において、さらに、外巻領域ORと内巻領域IRとの間に位置する中間領域(例えば、トイレットロール10のロール中心側の端部13eからの長さがトイレットロール10の巻長Lの15%より大きく85%未満である範囲のトイレットペーパー13の領域)などの外巻領域ORおよび内巻領域IRとは異なる領域においても、巻密度の調整を行ってもよい。例えば、中間領域において内巻領域IRから外巻領域ORへ向かうにつれて巻密度が徐々に低くなるような構成としてもよい。これによれば、トイレットペーパーの長さ方向における風合いの差の抑制の効果が増大し、トイレットロールの使い始めから使い終わりまでのトイレットペーパーの風合いの変化を低減することができる。
[本発明の実施形態に係るトイレットロールの製造に適用可能な製造装置および方法]
図3を参照しつつ、本発明の実施形態に係るトイレットロール10を製造するために適用可能な製造装置および製造方法の例について説明する。具体的には、図1および図2に構成が示されるトイレットロール10は、例えば、以下のようにして製造され得る。
[原反ロールの製造]
まず、トイレットペーパー13の構成要素であるシート11を製造するための、原反ロール11Rを製造する。詳細には、不図示の抄紙機を用い、抄紙用スラリー(紙料)から、幅広(トイレットロールの幅Hの数倍から二十数倍程度の幅)で長尺なシート11Lを抄造しつつ巻き取って、シート11Lが巻き取られた単プライの原反ロール11Rを製造する。
抄紙機としては、例えば、ツインワイヤフォーマ方式、円網フォーマ方式、サクションプレストフォーマ方式、クレセントフォーマ方式等の知られている抄紙機を用いることができる。
抄紙機は、クレープ加工を行うクレーピング部を備えていてもよい。クレーピング部では、原反ロール製造工程において、抄造されるシート(ウェブ)を乾燥させる間に、必要に応じて、シートに対し、クレーピングドクターによってクレープと呼ばれる非常に細かい波状の皺を付与することができる。クレープにより、シートに柔らかさ、嵩高さ(バルク感)、吸収性、美観(クレープの形状)、良好な手触り感などを付与することができる。
また、抄紙機は、カレンダー部を備えていてもよい。カレンダー部では、乾燥されたシートに対して、必要に応じて、カレンダーロール対により上下からシートを挟み込み押圧する、カレンダー処理を施すことができる。これによって、シート11Lは圧縮されて、紙厚の調整および均一化、ならびに表面の平滑化などがなされる。なお、カレンダー加工部は抄紙機とは別に設けられていてもよく、カレンダー処理は、原反ロール製造工程以降の任意の製造工程において行われてもよい。カレンダー処理は、複数段階に分けて行われてもよい。
[トイレットロールの製造]
図3は、本発明の実施形態に係るトイレットロール10の製造に用いることのできる製造装置の例を示す模式図である。
[トイレットロールの製造装置の例]
図3には、原反ロール11Rを用いてトイレットロール10を製造することのできる製造装置の構成例が示されている。
原反ロール11Rは、原反ロールスタンドに対して回転可能に取り付けられ、シート繰出装置(不図示)によって回転駆動されつつシート11Lを繰り出す。
原反ロール11Rからシート11Lが繰り出される速度を、シートの繰出速度Vuと称するものとする。シート繰出装置としては、シート11Lを原反ロール11Rから所定の繰出速度で繰出可能であるとともに、かかる繰出速度を無段階で変更することのできる、知られている任意の装置を用いることができる。シート繰出装置は、例えば、原反ロール11Rの巻芯に通されたシャフトを回転駆動可能な駆動部による回転数の制御によって、シート11Lの繰出速度を調整するものであってもよい。あるいはまた、シート繰出装置は、原反ロール11Rの外周に当接して原反ロール11Rを回転駆動する回転駆動ベルトの回転駆動速度の制御によって、シート11Lの繰出速度を調整するものであってもよい。繰出速度の調整のための回転数や回転駆動速度の制御は、例えば駆動部に対する供給電圧や供給電流の変更により行うことができる。
原反ロール11Rから繰り出されたシート11Lは、案内ロール30に巻き掛けられて案内されて、原反ロールスタンドの下流側に配されたエンボス加工部21に搬送される。このエンボス加工部21の下流側には、さらにミシン目形成部25および巻取部26が順に配されている。
[エンボス加工部]
シート11Lには、エンボスが付与されてもよい。エンボス加工部21は、端的には、シート11Lに対してエンボス加工を施して、その紙面の実質的全域に亘ってエンボスを付与するユニットである。エンボス加工とは、エンボス加工の対象となるシートの両面のうちの一方の表面にエンボス凸部を、他方の表面にエンボス凸部の裏側で構成されるエンボス凹部を形成する加工をいう。
エンボス加工部21は、エンボスロールとバックアップロールとからなるロールセットを備えている。バックアップロールは、例えばエアシリンダなど、知られている任意の手段により変位させることができる。
バックアップロールは、バックアップロールの変位によってエンボスロールと接する第1の位置と、エンボスロールから離間する第2の位置と、に選択的に変位することができるように構成されていてもよい。
エンボスロールは、所望のエンボスパターンに対応する凹凸部分を外周面に有するロールである。本例では、エンボスロールの外周面には、図4の(a)に示されるトイレットペーパー13(シート11)のエンボスパターンに対応した凹凸部が形成されている。エンボスロールの少なくとも凹凸部分は金属にて形成されており、エンボスロールは、雄(凸)のスチールロールであってもよい。このエンボスロールは、図示しない駆動手段により回転駆動されるようになっている。
バックアップロールは、エンボスロールに当接させて用いられる従動ロールであり、円筒状の外形を有する。バックアップロールの表面部分は、弾性変形可能な硬質合成ゴムなどの硬質なゴム状弾性体にて形成されている。
図3を参照して、エンボス加工を行う場合、原反ロール11Rからエンボス加工部21に搬送されたシート11Lは、バックアップロールとエンボスロールとの間を通る通紙経路に挿通される。シート11Lは、バックアップロールによってエンボスロールに押圧されつつ、エンボスロールの駆動力を受けて、ロールセットの下流側に送出される。このバックアップロールとエンボスロールとの間における押圧により、シート11Lにエンボスが形成される。
なお、無エンボスのトイレットロールを製造する場合など、シート11Lに対するエンボス加工が不要な場合は、原反ロール11Rから搬送されたシート11Lは、バックアップロールのみに案内されるなどして、エンボスロールと接触させることなく、下流側に案内されてもよい。
エンボス加工部21を経たシート11Lは、その下流側に配された案内ロール32に巻き掛けられる。
[案内ロール/エキスパンダーロール]
案内ロール32は、エンボス加工部21から送出されたシート11Lを下流側に導く。案内ロール32は、エキスパンダーロールであってもよい。
エキスパンダーロールとは、シート走行時に発生するシートの皺や縮みを除去するためのロールである。製紙技術の分野において抄紙工程や塗工工程で用いられているものを、用いることができ、適用可能なエキスパンダーロールの種類に、特に制限はない。
適用可能なエキスパンダーロールの種類には、例えば、弓形に湾曲した非回転の軸の外周に、ボールベアリングが内蔵されたスプールを介してゴム製筒体を回転自在に装着したゴムエキスパンダーロール、またはゴム製筒体をかぶせていないスチールエキスパンダーロール、全体形状が湾曲状のエキスパンダーロールであって、螺旋状溝を設けたもの、全体形状が直線状であって、回転軸と一体に回転するロールの表面に、その中央部分から左右対称に螺旋状溝を設けたウォームロール、などが挙げられる。
エキスパンダーロール32が湾曲したロールである場合、静止した軸を中心として湾曲したロールが回転することによって、その拡幅効果により、シート11Lを中心部分から外側に向かって押し出し、皺を伸ばし縮みを取り除くことができる。これは、シート11Lが一般的なストレートロール(全体形状が直線状であり、溝等が形成されていないロール)と十分な抱き角度を持って接しながら流れている場合、シート11Lはそのロール軸と垂直な方向に進むという原理に基づくものである。
エキスパンダーロール32が、全体形状が直線状のロールである場合、回転軸と一体に回転するロールの表面に当接するシート11Lは、エキスパンダーロール32の表面に設けられたエキスパンダーロール32の中央部分から左右対称に延びる螺旋状溝に沿って拡幅されるように押し出される。これにより、シート11Lの皺を伸ばし縮みを取り除くことができる。
図3を参照して、エンボス加工部21とその下流側のミシン目形成部25との間には、シート11Lをミシン目形成部25に送り込むための給送手段Fが設けられている。エキスパンダーロール32は、給送手段Fの上流側、好ましくは、給送手段Fの上流側近傍に設けられて、給送手段Fに送り込まれることとなる走行するシート11Lの皺や縮みを取り除く。これにより、エキスパンダーロール32を介さずにシート11Lを給送手段Fに通すことによって生じ得た皺の発生を防止することができる。
案内ロールまたはエキスパンダーロール32によって案内されたシート11Lは、その下流側に配された給送手段Fに送り込まれる。
[給送手段]
本発明の実施形態において、給送手段Fとは、送り込まれてきた長尺のシートを、駆動力をもって送り出すことが可能に構成された手段をいう。
給送手段Fの例には、例えば、フィードロールが挙げられる。フィードロールは、シート11Lとの間に滑りが生じないような構造を有する少なくとも一本の駆動ロール(送りロールとも称される)を含む構成を有する。フィードロールは、非限定的に、シート11Lを2本のロールで挟み込み上下(シート11Lの両面側)から一定の圧力で押し合ってその給送を規制するロールの形態(ピンチロールとも称される)であってもよく、また、送りロールとニップロールとを含み、ニップロールによりシート11Lを送りロールに対して圧を掛けて押し付けて送りロールの駆動力により給送を行う形態であってもよく、また、この他、知られている任意の形態をとっていてもよい。
シート11Lは、給送手段Fによって、その下流側に配されたミシン目形成部25に送り込まれる。
[ミシン目形成部]
シート11Lには、ミシン目が形成されてもよい。
ミシン目形成部25は、端的には、送り込まれてきたシートに対してミシン目を形成する、ミシン目形成を施すユニットである。
ミシン目形成部25は、シート11Lを幅方向に横切る破断用ミシン目を、シート11Lの長手方向(MD方向)に沿って、一定間隔毎に形成可能に構成されている。破断用ミシン目の形成には、知られている任意のミシン目形成手段を用いることができる。
本例では、ミシン目形成手段は、駆動回転される回転刃ホルダー28hであって、この回転刃ホルダーの回転軸線と平行な方向に沿って一直線状をなす刃先が不連続となった櫛歯状カッター28cが取り付けられた回転刃ホルダー28hと、この回転刃ホルダー28hと対向して固定状態に保持される固定刃ホルダー29hであって、刃先が回転刃ホルダー28hの回転軸線と平行な方向に沿って一直線状に連続する直線状カッター29cが取り付けられた固定刃ホルダー29hと、を備えている。
ミシン目形成手段は、長尺のシート11Lを、これら回転刃ホルダー28hの櫛歯状カッター28cと固定刃ホルダー29hの直線状カッター29cとの間に通過させる。これによりシート11Lの幅方向に沿って櫛歯状カッター28cの刃先に対応した破断用ミシン目が、シート11Lの幅方向両側端縁に跨がって形成される。
より詳細には、シート11Lは、固定刃ホルダー29hに取り付けられた直線状カッター29cの刃先を横切るように通過し、このシート11Lの通過速度に応じた周速で回転刃ホルダー28hの櫛歯状カッター28cが回転する。櫛歯状カッター28cが直線状カッター29cを通過する際にミシン目がシート11Lに形成される。櫛歯状カッター28cと直線状カッター29cとで形成されるミシン目は、シート11Lの幅方向両側端縁に跨がって延在し、かつシート11Lをその幅方向に沿って切り離すための破断用ミシン目となる。
なお、ミシン目が不要な場合は、回転刃ホルダー28hの櫛歯状カッター28cの刃先がシート11Lと接触しないような位置姿勢に回転刃ホルダー28hを保持することで、回転刃ホルダー28hの櫛歯状カッター28cの刃先および直線状カッター29cの刃先のいずれとも接触させずにシート11Lを通過させればよい。
ミシン目形成部25を通過したシート11Lは、その下流側に配された巻取部26に送出される。
[巻取部]
巻取部26は、ミシン目形成部25から送出されたシート11Lの先端部を、軸方向に長尺の巻芯(紙管14L)に接着剤を介して巻き付けてシート11Lを紙管14Lに所定長だけ巻き取り、その後、切断手段であるカッターロール33によりシート11Lの後端部を切断して、幅広の、すなわちCD方向の寸法が大きいトイレットロール10Lを形成する。この幅広トイレットロール10Lは、巻取ロールとも称される。
詳細には、巻取部26は、ワインディングロールW、ニップロールN、およびベッドロールBを備える。ワインディングロールW、ニップロールN、およびベッドロールBは、シート11Lを巻き取るために製造装置に搭載される紙管14Lを取り囲むように配置されている。ワインディングロールW、ニップロールN、およびベッドロールBは、それぞれ、不図示の駆動装置により速度を無段階で変更可能に回転駆動され得る。各ロールの回転駆動速度の制御は、駆動装置に対する供給電圧や供給電流の変更により行うことができる。
ミシン目形成部25から送出されたシート11Lは、巻取部26において、ワインディングロールWに巻き掛けられ、次いで、ニップロールNと紙管14Lとの間に通され、さらに、ベッドロールBと紙管14Lとの間に通されて、紙管14Lに巻き回される。ワインディングロールW、ニップロールN、およびベッドロールBは、紙管14Lに巻き回されたシート11Lの外周に当接し、図3において矢印で記される各々の回転方向に回転駆動され、これにより、シート11Lは紙管14Lの周りにロール状に巻き取られていき、トイレットロール10Lが形成される。
このようにして形成された幅広トイレットロール10L、すなわち巻取ロール10Lは、次いで、不図示の切断部により、製品スペック等に応じた所定幅Hに切断されて個々のトイレットロール10となる。
[発明の達成手段]
上述のように、本発明の実施形態に係るトイレットロール10は、トイレットロール10の半径方向において相対的にロール外周側に位置する外巻領域ORに関して算出される外巻密度ODEが、トイレットロール10の半径方向において相対的にロール中心側に位置する内巻領域IRに関して算出される内巻密度IDEよりも高いことを特徴とする。このような、トイレットロール10内の半径方向における位置に応じた巻密度の関係を満たす本発明の構成を達成するための手段の例について説明する。
図3の製造装置において、巻取部26のワインディングロールWの回転によるシート11Lの巻取速度Vwは、シート繰出機能による原反ロール11Rからのシート11Lの操出速度Vuよりも大きい速度であって好ましくは一定の速度差を有するように制御され、これにより、原反ロール11Rと巻取ロール(トイレットロール10L)との間でシート11Lの張り具合の調整(「ドロー調整」とも称される)がなされている。ドロー調整は、原反ロール11Rからシート11Lを繰り出してから巻取ロール10Lに巻き取るまでの巻取ロール形成工程において、シート11Lに過大な張力が生じたり、シート11Lが弛んだりして、紙切れや紙の皺寄りの原因となるような不都合が生じたりすることを防止するために行われる。
このように決定されるワインディングロールWの巻取速度Vwに対して、その下流に位置するニップロールNの回転速度VnまたはベッドロールBの回転速度Vbを適宜調整することで、本発明の実施形態に係るトイレットロール10の巻密度を達成することができる。
具体的には、例えば、速度の相対的な大小関係を「ニップロールNの回転速度Vn>ワインディングロールWの巻取速度Vw」とした場合、上流側のロールWの回転速度(巻取速度)よりも下流側のロールNの回転速度が大きいので、シート11Lは、両ロール間で張力を受けつつ巻かれていくこととなり、巻密度は高くなる。したがって、トイレットロール10Lの巻取工程において、シート11Lの巻き始め(内巻領域IR)と比べて巻き終わり(外巻領域OR)において回転速度Vnと巻取速度Vwとの速度差がより大きくなるように速度制御をすることにより、内巻領域IRよりも外巻領域ORに関して巻密度を高くすることができる。このとき、ニップロールNよりもさらに下流側に位置するベッドロールBの回転速度Vbは、「ベッドロールBの回転速度Vb≧ニップロールNの回転速度Vn」とすることで、弛みや巻皺等の発生が抑制されたトイレットロール10Lを得ることができる。ベッドロールBの回転速度VbとニップロールNの回転速度Vnとを同一とした場合、シート11Lに不要な張力が掛かることが防止される。
同様に、例えば、速度の相対的な大小関係を「ベッドロールBの回転速度Vb>ワインディングロールWの巻取速度Vw」とした場合、上流側のロールWの回転速度(巻取速度)よりも下流側のロールBの回転速度が大きいので、シート11Lは、両ロール間で張力を受けつつ巻かれていくこととなり、巻密度は高くなる。したがって、トイレットロール10Lの巻取工程において、シート11Lの巻き始め(内巻領域IR)と比べて巻き終わり(外巻領域OR)において回転速度Vbと巻取速度Vwとの速度差がより大きくなるように速度制御をすることにより、内巻領域IRよりも外巻領域ORに関して巻密度を高くすることができる。
このとき、ワインディングロールWの下流であってベッドロールBの上流に位置するニップロールNの回転速度Vnは、「ベッドロールBの回転速度Vb≧ニップロールNの回転速度Vn≧ワインディングロールWの巻取速度Vw」としてもよい。特には、「ベッドロールBの回転速度Vb=ニップロールNの回転速度Vn>ワインディングロールWの巻取速度Vw」、または「ベッドロールBの回転速度Vb>ニップロールNの回転速度Vn=ワインディングロールWの巻取速度Vw」とすることで、シート11Lに対して相対的に大きい張力を掛けることができ、巻密度を容易に増大させることができる。
あるいはまた、ワインディングロールWの巻取速度Vwに対して、その上流に位置するフィードロールFの給送速度Vfを適宜調整することで、本発明の実施形態に係るトイレットロール10の巻密度を達成することができる。
具体的には、例えば、速度の相対的な大小関係を「ワインディングロールWの巻取速度Vw>フィードロールFの給送速度Vf」とした場合、上流側のロールFの回転速度(給紙速度)よりも下流側のロールWの回転速度(巻取速度)が大きいので、シート11Lは、両ロール間で張力を受けつつトイレットロール10Lに巻かれていくこととなり、巻密度は高くなる。したがって、トイレットロール10Lの巻取工程において、シート11Lの巻き始め(内巻領域IR)と比べて巻き終わり(外巻領域OR)において巻取速度Vwと給送速度Vfとの速度差が相対的に大きくなるように、フィードロールFからの連続給紙速度の調整を行って張力を制御することにより、内巻領域IRよりも外巻領域ORに関して巻密度を高くすることができる。
外巻密度ODEを内巻密度IDEよりも高くするための速度調整制御は、段階的に行ってもよく、あるいはまた、連続的に行ってもよい。段階的な速度調整制御によれば、制御がシンプルになり得る。連続的な速度調整制御によれば、トイレットロール10の巻密度を漸次的に増大させることが可能となるため、トイレットロールの使い始めと使い終わりとの風合いの差だけでなく、トイレットロールの使い始めから使い終わりまでの間のトイレットペーパーの風合いの変化を小さくすることができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。特段の記載のない限り、上述の実施形態に適用可能な構成は、本実施形態に適用可能である。
第2の実施形態に係るトイレットロールは、第1の実施形態のバリエーションである。
図2の(b)を参照して、本明細書において、トイレットロール10のロール中心側の端部13eからの長さがトイレットロール10の巻長Lの90%となる位置のラインを「90%ライン」とも称するものとする。同様に、トイレットロール10のロール中心側の端部13eからの長さがトイレットロール10の巻長Lの10%となる位置のラインを「10%ライン」と称するものとする。
本明細書において、トイレットロール10のロール中心側の端部13eから巻長Lの90%の長さ(0.90L)まで、すなわち90%ラインまで、トイレットペーパー13が巻き取られたロール状部分の巻密度DEn(n=90)として算出される外巻密度ODEを「外巻密度ODE90」と記載するものとする。また、本明細書において、トイレットロール10のロール中心側の端部13eから巻長Lの10%の長さ(0.10L)まで、すなわち10%ラインまで、トイレットペーパー13が巻き取られたロール状部分の巻密度DEn(n=10)として算出される内巻密度IDEを「内巻密度IDE10」と記載するものとする。
第2の実施形態に係るトイレットロール10は、第1の実施形態と同様の構成を有し、さらに、外巻密度ODE90が、内巻密度IDE10の、1.00倍より大きく1.50倍以下であり、好ましくは1.05倍以上1.45倍以下であり、より好ましくは1.10倍以上1.40倍以下であることを特徴とする。
外巻密度ODE90は、第1の実施形態で説明した式(I’)および(II’)を用いて算出することができる。このとき、巻長OLとして、巻長Lの90%の長さである長さ0.90Lを用いる。また、巻長Lのトイレットロール10からトイレットペーパー13を巻き解いていき、トイレットペーパー13の外巻領域ORのうち90%ラインを含む領域である外巻領域OR90がトイレットロール10の表面(外周面)に現れるようにし、巻き解かれたトイレットペーパー13の部分を90%ラインで切断して取り除いた状態のトイレットロール10(図2の(d)に示されるロール状部分を参照)について実測される巻径の値を、巻径ODRとして用いる。このようにして算出される外巻密度ODE90を、以降、「外巻領域OR90に関して算出される外巻密度ODE90」とも称するものとする。
同様に、内側巻密度IDE10は、第1の実施形態で説明した式(I’’)および(II’’)を用いて算出することができる。このとき、巻長ILとして、巻長の10%の長さである長さ0.10Lを用いる。また、巻長Lのトイレットロール10からトイレットペーパー13を巻き解いていき、トイレットペーパー13の内巻領域IRのうち10%ラインを含む領域である内巻領域IR10がトイレットロール10の表面(外周面)に現れるようにし、巻き解かれたトイレットペーパー13の部分を10%ラインで切断して取り除いた状態のトイレットロール10(図2の(e)に示されるロール状部分を参照)についての実測される巻径の値を、巻径IDRとして用いる。このようにして算出される内巻密度IDE10を、以降、「内巻領域IR10に関して算出される内巻密度IDE10」とも称するものとする。
[作用効果]
本第2の実施形態に係るトイレットロール10は、第1の実施形態に係るトイレットロール10と同様の作用効果に加えて、さらに、以下の作用効果を奏し得る。
すなわち、本実施形態において、外巻領域OR90に関して算出される外巻密度ODE90は、内巻領域IR10に関して算出される内巻密度IDE10の1.00倍より大きく1.50倍以下であり、好ましくは1.05倍以上1.45倍以下であり、より好ましくは1.10倍以上1.40倍以下である。
これに対して、外巻領域OR90に関して算出される外巻密度ODE90が内巻領域IR10に関して算出される内巻密度IDE10の1.00倍以下である場合は、内巻密度IDE10は外巻密度ODE90と同等かそれ以上である。この場合、内巻領域IRが受ける圧力(内圧)の低減効果は得られず、外巻領域ORと内巻領域IRとの間でトイレットペーパー13の風合いの差が大きくなる。
また、外巻領域OR90に関して算出される外巻密度ODE90が内巻領域IR10に関して算出される内巻密度IDE10の1.50倍を超える場合は、外巻領域ORに高い圧力(内圧)が掛かる。そのため、外巻領域ORのトイレットペーパー13は圧縮を受け、紙厚の低減(トイレットペーパー13の高密度化)やエンボスが付与されている場合にはエンボスの潰れが生じ、ふんわり感が得られ難くなる。また、外巻領域ORに高い圧力が掛かるため、相対的に緩く巻かれている内巻領域IRは、その影響を受けて変形しやすくなる。
本実施形態のように、外巻領域OR90に関して算出される外側巻密度ODE90が、内巻領域IR10に関して算出される内側巻密度IDE10の1.00倍より大きく1.50倍以下であると、内巻領域IRにおける圧力(内圧)の低減効果と、外巻領域ORにおける過度の圧力増大の防止効果と、が共に奏され得る。したがって、外巻領域ORと内巻領域IRとの間でトイレットペーパー13の風合いの差が小さく、トイレットロールの使い始めから使い終わりまでの風合いの差が生じにくい。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。特段の記載のない限り、第1および第2の実施形態に適用可能な構成は、本実施形態に適用可能である。
第3の実施形態に係るトイレットロールは、第1の実施形態または第2の実施形態のバリエーションである。第3の実施形態に係るトイレットロールは、第1の実施形態または第2の実施形態と同様の構成を有し、さらに、外巻密度ODEが、1.15m/cm2以上1.55m/cm2以下であり、および内巻密度IDEが、0.80m/cm2以上1.20m/cm2以下であることを特徴とする。
第3の実施形態における外巻密度ODEは、第1の実施形態において定義したのと同様に、トイレットロール10のロール中心側の端部13eからの長さがトイレットロール10の巻長Lの85%以上95%以下の範囲のトイレットペーパー13の領域であるトイレットロールの外巻領域ORに関して算出されるトイレットロールの巻密度をいい、巻長を0.85Lから0.95Lの長さとした場合の巻密度DEn(85≦n≦95)に相当する。
また、第3の実施形態における内巻密度IDEは、第1の実施形態において定義したのと同様に、トイレットロール10のロール中心側の端部13eからの長さがトイレットロール10の巻長Lの5%以上15%以下の範囲のトイレットペーパー13の領域であるトイレットロールの内巻領域IRに関して算出されるトイレットロールの巻密度をいい、巻長を0.05Lから0.15Lの長さとした場合の巻密度DEn(5≦n≦15)に相当する。
外巻密度ODEおよび内巻密度IDEは、上述の実施形態において説明した式(I)、(II)等を準用して、計算によって算出することができる。
例えば、トイレットロール10のロール中心側の端部13eからの長さがトイレットロール10の巻長Lのn%の位置にあるn%ラインを含む外巻領域ORn(85≦n≦95)または内巻領域IRn(5≦n≦15)に関して外巻密度ODEまたは内巻密度IDEを求めたい場合は、式(I)および(II)において、巻長として長さ(n/100)L、(85≦n≦95または5≦n≦15)を用い、巻径として、n%ラインまでトイレットペーパーを巻き解いて切断し取り除いた状態のトイレットロールの巻径を実測して、その値を式に代入することにより、求めることができる。
巻長OLが0.85Lから0.95Lの長さである場合の(85≦n≦95の場合の)巻密度である外巻密度ODEは、好ましくは1.15m/cm2以上1.55m/cm2以下であり、より好ましくは1.20m/cm2以上1.50m/cm2以下であり、さらに好ましくは1.25m/cm2以上1.45m/cm2以下である。
巻長ILが0.05Lから0.15Lの長さである場合の(5≦n≦15の場合の)巻密度である内巻密度IDEは、外巻密度ODEより低い値であって、好ましくは0.80m/cm2以上1.20m/cm2以下であり、より好ましくは0.85m/cm2以上1.15m/cm2以下であり、さらに好ましくは0.90m/cm2以上1.10m/cm2以下である。
[作用効果]
第3の実施形態に係るトイレットロール10は、第1の実施形態または第2の実施形態で説明した効果と同様の作用効果に加えて、以下の作用効果を奏し得る。
本実施形態に係るトイレットロール10では、トイレットロール10の半径方向において相対的にロール外周側に位置する外巻領域ORに関して算出される外巻密度ODEは、トイレットロール10の半径方向において相対的にロール中心側に位置する内巻領域IRに関して算出される内巻密度IDEよりも高くなるように、巻密度が調整されている。内側となる内巻領域IRにおける内巻密度IDEは、外側となる外巻領域ORにおける外巻密度ODEよりも低い。
かかる構成において、外巻密度ODEが1.15m/cm2を下回る場合は、内巻密度IDEもまた1.15m/cm2を下回ることとなる。この場合、トイレットペーパー13は比較的緩めにロール状に巻かれることとなる。そのため、巻径DRが大きくなって、トイレットロール10が一般的なトイレットホルダーに収まらなくなることがある。
また、外巻密度ODEが1.55m/cm2を上回る場合は、トイレットペーパー13が比較的きつめにロール状に巻かれることとなり、紙厚方向に掛かる圧力の影響が大きくなる。そのため、圧縮により、トイレットペーパー13が押し潰されて固くなったり、トイレットペーパー13にエンボスが付与されている場合はエンボスが潰れたりして、トイレットペーパー13の風合いやトイレットロール10の外観の美粧性が劣ってしまうことがある。
また、内巻密度IDEが、0.80m/cm2を下回る場合は、内巻領域IRが位置するロール中心側でトイレットペーパー13の巻きが緩めとなる。そのため、内巻領域IRに含まれるトイレットペーパー13の部分が、トイレットロール10の軸方向(紙管14の長さ方向)に位置ずれして、ロールの幅Hを飛び出す不具合が生じる恐れがある。
また、内巻密度IDEが、1.20m/cm2を上回る場合は、外巻密度ODEも1.20m/cm2を上回ることとなる。この場合、トイレットロール10内でトイレットペーパー13の紙厚方向に掛かる圧力の影響が大きくなる。これにより、トイレットペーパー13が押し潰されて固くなったり、トイレットペーパー13にエンボスが付与されている場合はエンボスが潰れたりして、トイレットペーパー13の風合いやトイレットロール10の外観の美粧性が劣ることがある。
本実施形態では、外巻密度ODEが、1.15m/cm2以上1.55m/cm2以下であり、かつ、内巻密度IDEが、0.80m/cm2以上1.20m/cm2以下であるように巻密度が調整されている。本実施形態の構成によれば、トイレットロール10内の位置によって巻密度が異なりつつもその巻密度のバランスが良好であり、上述の懸念事項の発生が防止されたトイレットロールを提供することができる。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。特段の記載のない限り、第1から第3の実施形態に適用可能な構成は、本実施形態に適用可能である。
第4の実施形態は、第1から第3の実施形態のバリエーションである。第4の実施形態は、第1から第3のいずれかの実施形態と同様の構成に加えて、さらに、以下の(1)から(4)の構成を有する。
(1)トイレットペーパー13にはエンボスが付与されている。
(2)外巻領域ORに関して測定される外巻領域エンボス深さは、内巻領域IRに関して測定される内巻領域エンボス深さよりも小さい。
(3)外巻エンボスの深さは、80μm以上115μm以下である。
(4)内巻エンボスの深さは、85μm以上145μm以下である。
[エンボス]
図4の(a)は、図2の(b)に示されるトイレットロール10の展開図の一部に対応する概略図であり、トイレットロール10から巻き解かれたトイレットペーパー13の外巻領域ORおよび内巻領域IRの近傍を、1の図面で模式的に示すものである。
図4の(a)および(b)を参照して、本実施形態に係るトイレットペーパー13(シート11)には、両面のうちの一方の表面にエンボス凸部を有し他方の表面にエンボス凸部の裏側で構成されるエンボス凹部を有する構成のエンボスが付与されている。エンボスは、主に、手触り感(柔らかさ)、しなやかさ、嵩高さ、吸水性、美粧性のような品質を向上させることを目的として付与され得る。特に手触り感や美粧性を向上させる目的のために、トイレットペーパー13は、好ましくは、エンボス凹部がトイレットロール10の外周側の表面に位置し、エンボス凸部がトイレットロール10の内周側の表面に位置するように、トイレットロール10に巻き回されている。また、そのためのエンボスパターンとしては、シート11に対してその紙面の実質的全域に亘って形成される点状、線状、またはこれらを組み合わせた任意のエンボスパターンが適用可能である。
[エンボス深さ]
第4の実施形態において、外巻領域ORに関して測定される外巻領域エンボス深さは、内巻領域IRに関して測定される内巻領域エンボス深さよりも小さくなるように構成されている。
「外巻領域OR」とは、図2の(a)および(b)を参照して前述したように、巻長Lのトイレットロール10からトイレットペーパー13を巻き解いた状態において、トイレットロール10のロール中心側の端部13eからの長さがトイレットロール10の巻長Lの85%以上95%以下の範囲のトイレットペーパー13の領域である。
「外巻領域ORに関して測定される外巻領域エンボス深さD1」とは、外巻領域ORをトイレットペーパー13の長さ方向に二分するように引かれたラインである「90%ライン」(図4の(a)参照)に沿って測定される、外巻領域OR内に含まれるエンボス凹部の深さDである(図4の(b)参照)。例えば、トイレットロール10の巻長Lが120mであるとき、90%ラインは、トイレットロール10のロール中心側の端部13eからの長さが108mの位置にある。
同様に、「内巻領域IR」とは、図2の(a)および(b)を参照して前述したように、巻長Lのトイレットロール10からトイレットペーパー13を巻き解いた状態において、トイレットロール10のロール中心側の端部13eからの長さがトイレットロール10の巻長Lの5%以上15%以下の範囲のトイレットペーパー13の領域である。
「内巻領域IRに関して測定される内巻領域エンボス深さD2」とは、内巻領域IRをトイレットペーパー13の長さ方向に二分するように引かれたラインである「10%ライン」(図4の(a)参照)に沿って測定される、内巻領域IR内に含まれるエンボス凹部の深さDである(図4の(b)参照)。例えば、トイレットロール10の巻長Lが120mであるとき、10%ラインは、トイレットロール10のロール中心側の端部13eからの長さが12mの位置にある。
[エンボス深さの測定方法]
図4を参照して、エンボス深さD(D1,D2)は、形状測定レーザマイクロスコープを用いてエンボスの高低差を測定して求める。形状測定レーザマイクロスコープは、点光源であるレーザ光源を、対物レンズを介して、観察視野内のX-Y平面を複数に分割したピクセルにスキャンし、ピクセル毎の反射光を受光素子で検出する。そして、対物レンズを高さ(Z軸)方向に駆動し、最も反射光量の高いZ軸位置を焦点として、高さ情報と反射光量を検出する。このようにしてスキャンを繰り返すことにより、全体に焦点の合った光量超深度画像と高低画像(情報)が得られる。レーザ光源は、ピンホール共焦点光学系であるので、測定精度が高い。
形状測定レーザマイクロスコープとして、ワンショット3Dマイクロスコープ(VR-3200)(KEYENCE社製)を用いることができる。また、レーザマイクロスコープの画像の観察・測定・画像解析ソフトウェアとしては、製品名「VR-H1A」を使用することができる。測定条件は、倍率12倍、視野面積24mm×18mmの条件で測定する。なお、測定倍率と視野面積は、求めるエンボスの大きさによって、適宜変更してもよい。
次の手順に従って、エンボス深さの解析を行う。
(1) 対象画像について面形状補正によって視野全体のうねりを除去する。
(2) 線粗さの測定によって、測定対象とする1つのエンボスを挟んだ2点間の粗さプロファイルを計測し、傾き補正を行う。
(3) エンボスの平面方向における位置X(μm)とエンボス深さZ(μm)のデータからエンボスの開始点X1と終了点X2のエンボス深さZ1、Z2を求める(図4の(c)参照)。
(4) エンボス深さZ1とZ2の平均値をエンボス深さの極大値Zmaxとし、エンボスの開始点X1と終了点X2との間に位置するエンボス深さの極小値Zminとの差をエンボス深さΔZとする(図4の(c)参照)。
ΔZ=Zmax ― Zmin
(5)上記(1)から(4)の測定を、トイレットペーパー13の任意の10個のエンボスについて行い、ΔZの平均値をエンボス深さDとする。
詳細には、「外巻領域ORに関して測定される外巻領域エンボス深さD1」については、任意の10個のエンボスは、「90%ライン」(図4の(a)参照)上のエンボスから選択する。90%ライン上のエンボスの個数が10未満である場合は、90%ラインからの距離が近いエンボスを選択する。
また、「内巻領域IRに関して測定される内巻領域エンボス深さD2」については、任意の10個のエンボスは、「10%ライン」(図4の(a)参照)上のエンボスから選択する。10%ライン上のエンボスの個数が10未満である場合は、10%ラインの近傍からの距離が近いエンボスを選択する。
[作用効果]
本実施形態のトイレットロールは、エンボス品であり、外巻領域ORに関して測定される外巻領域エンボス深さD1が、内巻領域IRに関して測定される内巻領域エンボス深さD2よりも小さくなるように構成されている。つまり、内巻領域IRでは外巻領域ORよりもエンボス深さが大きく、エンボスによるふんわり感が得られやすい。そのため、内圧による圧縮等の影響を相殺する効果を奏し得、内巻領域と外巻領域との風合いの差を抑制することができる。
また、本実施形態において、外巻領域エンボス深さD1(90%ラインに沿って測定)は、80μm以上115μm以下であり、好ましくは85μm以上110μm以下であり、より好ましくは90μm以上105μm以下である。加えて、内巻領域エンボス深さD2(10%ラインに沿って測定)は、85μm以上145μm以下であり、好ましくは90μm以上140μm以下であり、より好ましくは95μm以上135μm以下である。エンボス深さをかかる範囲内とすることで、エンボス付与の所望の効果、例えば、手触り感(柔らかさ)、しなやかさ、嵩高さ、吸水性、美粧性のような品質の向上効果を奏し得ると共に、エンボス深さが深くなりすぎることにより巻径が所定の寸法を超えてしまうことを防止することができる。
[発明の達成手段]
1つのトイレットロール内でトイレットペーパーの長さ方向の領域に応じてエンボス深さを異ならせる制御は、エンボス加工時の加工条件の変更により行うことができる。
図3に示される製造装置のエンボス加工部21を参照して、エンボス加工は、エンボスパターンを構成する凸構造を有するエンボスロールと硬質なゴム状弾性体を表面に有するバックアップロールとの間にシート11Lを通し、シート11Lに対してエンボスパターンを型押しすることによって行われる。このエンボスパターンを型押しする際に、その押し込み量および/または押し込み圧を変更することによって、上記範囲のエンボス深さを有するエンボス形状を形成することができる。押し込み量および/または押し込み圧を大きくすることにより、エンボス深さを深くすることができる。
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。特段の記載のない限り、上述の実施形態に適用可能な構成は、本実施形態に適用可能である。
図1に示される第1の実施形態に係るトイレットロール10は、1枚のシート11で構成される単プライのトイレットペーパー13が巻き取られた単プライのトイレットロールであるのに対して、第5の実施形態に係るトイレットロール10は、2以上の複数のシート11で構成される複数プライのトイレットペーパー13が巻き取られた複数プライのトイレットロールである。
第5の実施形態に係るトイレットロールは、以下の(1)から(3)の構成を有する。
(1)トイレットロールは、pプライ(pは2以上の整数)のトイレットペーパーがロール状に巻き取られたトイレットロールである。
(2)プライ数pと巻長L(m)は、式 L≧90/pの関係を満たす。
(3)トイレットロールのロール中心側の端部からの長さが巻長Lの85%以上95%以下の範囲のトイレットペーパーの領域に相当するトイレットロールの外巻領域に関して算出されるトイレットロールの外巻密度ODEは、トイレットロールのロール中心側の端部からの長さが巻長Lの5%以上15%以下の範囲のトイレットペーパーの領域に相当するトイレットロールの内巻領域に関して算出されるトイレットロールの内巻密度IDEよりも高い。
構成(1)に関し、本実施形態において、トイレットペーパー13を構成するシート11の数であるプライ数pは2以上であり、好ましくは2以上4以下であり、より好ましくは2である。
構成(2)に関し、プライ数pと巻長L(m)は、式 L≧90/pの関係を満たすところ、巻長Lは、好ましくは45m以上であり、より好ましくは45m以上90m以下であり、さらに好ましくは50m以上75m以下であり、トイレットペーパー13にエンボスが付与されている場合は、好ましくは60m以上70m以下であり、エンボスが付与されていない場合は、好ましくは65m以上75m以下である。
複数プライの本実施形態において、トイレットロール10の巻長Lが45m未満であると、1ロール当りの巻長が短く、その巻径DRを所定の寸法の範囲内に収めた場合に、所望とする、トイレットロール10の持ち運びや保管時の省スペース化の効果が得られない。また、トイレットロール10を使用する際に、すぐに使い切ってしまうことによる、トイレットロール10の頻繁な補充が必要となる。
トイレットロール10の巻長Lが長すぎると、概して、トイレットロール10の巻径DRは大きくなり、トイレットロール10は、一般的なトイレットロールホルダーに収まり難くなる。このとき、トイレットロール10の巻径DRを所定の寸法内に収めようとすると、きつく巻かれることによりトイレットロール10内でトイレットペーパー13にかかる圧力が増大して、トイレットペーパーの風合い、使用感、トイレットロールの美粧性等が悪くなる傾向となる。
構成(3)に関し、本実施形態における「トイレットロールの外巻密度ODE」、および「トイレットロールの内巻密度IDE」は、第1の実施形態において図2を参照して説明したのと同様の方法および計算式により、計算により求めることができる。つまり、下式を計算に用いることができる。
(外巻密度ODE(m/cm2))=(巻長OL(m)×プライ数p)÷(ロール断面積OA(cm2)) ・・・(I’)
(ロール断面積OA(cm2))={(巻径ODR(cm)÷2)2×3.14-(コア径DC(cm)÷2)2×3.14} ・・・(II’)
(内巻密度IDE(m/cm2))=(巻長IL(m)×プライ数p)÷(ロール断面積IA(cm2)) ・・・(I’’)
(ロール断面積IA(cm2))={(巻径IDR(cm)÷2)2×3.14-(コア径DC(cm)÷2)2×3.14} ・・・(II’’)
式中、プライ数pはp≧2(pは整数)であり、巻長OLは、0.85L~0.95Lの長さであり、巻長ILは、0.05L~0.15Lの長さである。巻径ODR、巻径IDRおよびコア径DCは、実測することができる。
なお、図2の(b)において、「L≧90」との記載があるが、これはプライ数pがp=1である実施形態についての巻長を規定するものである。プライ数pがp≧2(pは整数)である第5の実施形態においては、「L≧90/p」によって巻長が規定される。
[トイレットロール10の巻径DR]
複数プライの本実施形態において、トイレットロール10の巻径DRは、好ましくは100mm以上140mm以下であり、より好ましくは110mm以上135mm以下であり、さらに好ましくは110mmより大きく130mm以下である。
トイレットロール10の巻径DRは、一般的なトイレットロールホルダー内に収まり、その中で回転自在に支持され得るサイズに設定される。トイレットロール10の巻径DRを100mm未満とすると、トイレットロール10の巻長が短く制限され得る。また、100mm未満の巻径でトイレットロール10の長い巻長を確保しようとすると、トイレットロール10に用いられるトイレットペーパー13の紙厚や坪量等が制限されて、強度の確保等が困難になり得る。あるいはまた、きつく巻かれることによりトイレットペーパー13に圧力が掛かってその風合いや使用感が劣化し、また、エンボスが付与されている場合はエンボスが潰れることによりトイレットロール10の美粧性が悪くなり得る。
[紙管のコア径]
紙管14の外径であるコア径DCは、単プライの実施形態の場合と同様であり、トイレットロール10を回転支持するためのトイレットロールホルダーの部材(コア芯やフック等)のサイズに応じて設定され、好ましくは37mm以上42mm以下、より好ましくは38mm以上41mm以下である。
[坪量]
複数プライの本実施形態において、トイレットペーパー13の坪量は、当該複数プライのトイレットペーパー13を構成する複数のシート11の1枚当たりの坪量として算出する。トイレットペーパー13の坪量は、日本工業規格JIS P8124の規定に従って測定することにより得ることができる。
複数プライの本実施形態おいて、トイレットペーパー13の坪量は、シート1枚当たり、好ましくは10.0g/m2以上18.0g/m2以下であり、より好ましくは11.0g/m2以上17.0g/m2以下である。
坪量が、シート1枚当たり10.0g/m2より低くなると、概して、含有パルプ量の減少などによる吸水量の低下等により使用感が悪くなり、また、トイレットペーパー13の強度が低くなって意図しない破断が発生しやすくなり得る。
坪量が、シート1枚当たり18.0g/m2より高くなると、概して、トイレットペーパー13の紙厚が厚くなり、トイレットロール10の巻径を所定の寸法に維持することが困難になり得る。
トイレットペーパー13の坪量が、シート1枚当たり10.0g/m2以上18.0g/m2以下の範囲内であると、トイレットペーパー13の強度、吸水量、使用感が確保されつつ、トイレットロール10の巻径DRを所定の寸法に維持することが容易となる。
[作用効果]
第5の実施形態に係るトイレットロール10は、第1の実施形態に係るトイレットロール10が単プライ品であるのに対して、複数プライ品である。第5の実施形態に係るトイレットロール10は、以下の作用効果を奏し得る。
本実施形態に係るトイレットロール10では、トイレットロール10の半径方向において相対的にロール外周側に位置する外巻領域ORに関して算出される外巻密度ODEが、トイレットロール10の半径方向において相対的にロール中心側に位置する内巻領域IRに関して算出される内巻密度IDEよりも高くなるように、トイレットロールの半径方向における位置に応じて、トイレットロールの巻密度が調整されている。
すなわち、本実施形態においては、外巻密度ODEよりも内巻密度IDEを相対的に小さくしている。これにより、2プライ以上の複数プライのトイレットロール10の巻長を長くしても、内巻領域IRのトイレットペーパー13に掛かる圧力を小さくすることができる。これにより、内圧を起因とした圧縮による紙厚の低減(トイレットペーパーの高密度化)や、エンボスが付与されている場合のエンボスの潰れを抑制することができる。
したがって、本発明によれば、トイレットロール10の使い始めと使い終わりとにおけるトイレットペーパーの風合いの差を抑制することができる。
また、本実施形態において、さらに、外巻領域ORと内巻領域IRとの間に位置する中間領域(例えば、トイレットロール10のロール中心側の端部13eからの長さがトイレットロール10の巻長Lの15%より大きく85%未満である範囲のトイレットペーパー13の領域、図2を参照)などの外巻領域ORおよび内巻領域IRとは異なる領域においても、巻密度の調整を行ってもよい。例えば、中間領域において内巻領域IRから外巻領域ORへ向かうにつれて巻密度が徐々に低くなるような構成としてもよい。これによれば、トイレットペーパーの長さ方向における風合いの差の抑制の効果が増大し、トイレットロールの使い始めから使い終わりまでのトイレットペーパーの風合いの変化を低減することができる。
(第6の実施形態)
第6の実施形態に係るトイレットロールは、第5の実施形態のバリエーションである。特段の記載のない限り、第5の実施形態に適用可能な構成は、本実施形態に適用可能である。
第6の実施形態に係るトイレットロール10は、第5の実施形態と同様の構成を有し、さらに、「トイレットロールのロール中心側の端部から巻長Lの90%の長さまでトイレットペーパーが巻き取られたロール状部分の巻密度として算出される外巻密度ODE90」が、「トイレットロールのロール中心側の端部から巻長Lの10%の長さまでトイレットペーパーが巻き取られたロール状部分の巻密度として算出される内巻密度IDE10」の、1.00倍より大きく1.50倍以下であり、好ましくは1.05倍以上1.45倍以下であり、より好ましくは1.10倍以上1.40倍以下である。
外巻密度ODE90は、第5の実施形態で説明した式(I’)および(II’)を用いて算出することができる。このとき、巻長OLとして、巻長Lの90%の長さである長さ0.90Lを用いる。また、巻長Lのトイレットロール10からトイレットペーパー13を巻き解いていき、トイレットペーパー13の外巻領域ORのうち90%ラインを含む領域である外巻領域OR90がトイレットロール10の表面(外周面)に現れるようにし、巻き解かれたトイレットペーパー13の部分を90%ラインで切断して取り除いた状態のトイレットロール10(図2の(d)に示されるロール状部分を参照)について実測される巻径の値を、巻径ODRとして用いる。このようにして算出される外巻密度ODE90を、「外巻領域OR90に関して算出される外巻密度ODE90」とも称する。
同様に、内側巻密度IDE10は、第1の実施形態で説明した式(I’’)および(II’’)を用いて算出することができる。このとき、巻長ILとして、巻長の10%の長さである長さ0.10Lを用いる。また、巻長Lのトイレットロール10からトイレットペーパー13を巻き解いていき、トイレットペーパー13の内巻領域IRのうち10%ラインを含む領域である内巻領域IR10がトイレットロール10の表面(外周面)に現れるようにし、巻き解かれたトイレットペーパー13の部分を10%ラインで切断して取り除いた状態のトイレットロール10(図2の(e)に示されるロール状部分を参照)についての実測される巻径の値を、巻径IDRとして用いる。このようにして算出される内巻密度IDE10を、「内巻領域IR10に関して算出される内巻密度IDE10」とも称する。
[作用効果]
本第6の実施形態に係るトイレットロール10は、第5の実施形態に係るトイレットロール10と同様の作用効果に加えて、さらに、以下の作用効果を奏し得る。
すなわち、本実施形態において、外巻領域OR90に関して算出される外巻密度ODE90は、内巻領域IR10に関して算出される内巻密度IDE10の1.00倍より大きく1.50倍以下であり、好ましくは1.05倍以上1.45倍以下であり、より好ましくは1.10倍以上1.40倍以下である。
これに対して、外巻領域OR90に関して算出される外巻密度ODE90が内巻領域IR10に関して算出される内巻密度IDE10の1.00倍以下である場合は、内巻密度IDE10は外巻密度ODE90と同等かそれ以上である。この場合、内巻領域IRが受ける圧力(内圧)の低減効果は得られず、外巻領域ORと内巻領域IRとの間でトイレットペーパー13の風合いの差が大きくなる。
また、外巻領域OR90に関して算出される外巻密度ODE90が内巻領域IR10に関して算出される内巻密度IDE10の1.50倍を超える場合は、外巻領域ORに高い圧力(内圧)が掛かる。そのため、外巻領域ORのトイレットペーパー13は圧縮を受け、紙厚の低減(トイレットペーパー13の高密度化)やエンボスが付与されている場合にはエンボスの潰れが生じ、ふんわり感が得られ難くなる。また、外巻領域ORに高い圧力が掛かるため、相対的に緩く巻かれている内巻領域IRは、その影響を受けて変形しやすくなる。
本実施形態のように、外巻領域OR90に関して算出される外側巻密度ODE90が、内巻領域IR10に関して算出される内側巻密度IDE10の1.00倍より大きく1.50倍以下であると、内巻領域IRにおける圧力(内圧)の低減効果と、外巻領域ORにおける過度の圧力増大の防止効果と、が共に奏され得る。したがって、外巻領域ORと内巻領域IRとの間でトイレットペーパー13の風合いの差が小さく、トイレットロールの使い始めから使い終わりまでの風合いの差が生じにくい。
(第7の実施形態)
第7の実施形態に係るトイレットロールは、第5の実施形態または第6の実施形態のバリエーションである。特段の記載のない限り、第5の実施形態または第6の実施形態に適用可能な構成は、本実施形態に適用可能である。
第7の実施形態に係るトイレットロールは、第5の実施形態または第6の実施形態と同様の構成を有し、さらに、外巻密度ODEが、1.10m/cm2以上1.75m/cm2以下であり、および前記内巻密度IDEは、0.90m/cm2以上1.40m/cm2以下である。
第7の実施形態における外巻密度ODEは、上述の実施形態において定義したのと同様に、トイレットロール10のロール中心側の端部13eからの長さがトイレットロール10の巻長Lの85%以上95%以下の範囲のトイレットペーパー13の領域であるトイレットロールの外巻領域ORに関して算出されるトイレットロールの巻密度をいい、巻長を0.85Lから0.95Lの長さとした場合の巻密度DEn(85≦n≦95)に相当する。
また、第7の実施形態における内巻密度IDEは、上述の実施形態において定義したのと同様に、トイレットロール10のロール中心側の端部13eからの長さがトイレットロール10の巻長Lの5%以上15%以下の範囲のトイレットペーパー13の領域であるトイレットロールの内巻領域IRに関して算出されるトイレットロールの巻密度をいい、巻長を0.05Lから0.15Lの長さとした場合の巻密度DEn(5≦n≦15)に相当する。
外巻密度ODEおよび内巻密度IDEは、上述の実施形態において説明した式(I)、(II)等を準用して、計算によって算出することができる。
詳細には、トイレットロール10の巻密度は、次式(I)によって計算される。
(巻密度DE(m/cm2))=(巻長L(m)×プライ数p)÷(ロール断面積A(cm2)) ・・・(I)
(ロール断面積A(cm2))={(巻径DR(cm)÷2)2×3.14-(コア径DC(cm)÷2)2×3.14} ・・・(II)
例えば、トイレットロール10のロール中心側の端部13eからの長さがトイレットロール10の巻長Lのn%の位置にあるn%ラインを含む外巻領域ORn(85≦n≦95)または内巻領域IRn(5≦n≦15)に関して外巻密度ODEまたは内巻密度IDEを求めたい場合は、式(I)および(II)において、巻長として長さ(n/100)L、(85≦n≦95または5≦n≦15)を用い、巻径として、n%ラインまでトイレットペーパーを巻き解いて切断し取り除いた状態のトイレットロールの巻径を実測して、その値を式に代入することにより、求めることができる。
巻長OLが0.85Lから0.95Lの長さである場合の(85≦n≦95の場合の)巻密度である外巻密度ODEは、1.10m/cm2以上1.75m/cm2以下である。また、外巻密度ODEは、トイレットペーパー13にエンボスが付与されている場合は、好ましくは1.15m/cm2以上1.60m/cm2以下であり、より好ましくは1.20m/cm2以上1.50m/cm2以下であり、およびトイレットペーパー13にエンボスが付されていない場合は、好ましくは、1.30m/cm2以上1.70m/cm2以下であり、より好ましくは、1.40m/cm2以上1.65m/cm2以下である。
巻長ILが0.05Lから0.15Lの長さである場合の(5≦n≦15の場合の)巻密度である内巻密度IDEは、外巻密度ODEより低い値であって、0.90m/cm2以上1.40m/cm2以下である。また、内巻密度IDEは、トイレットペーパー13にエンボスが付与されている場合は、好ましくは0.95m/cm2以上1.30m/cm2以下であり、より好ましくは1.00m/cm2以上1.20m/cm2以下であり、およびトイレットペーパー13にエンボスが付されていない場合は、好ましくは、1.00m/cm2以上1.35m/cm2以下であり、より好ましくは、1.10m/cm2以上1.30m/cm2以下である。
[作用効果]
第7の実施形態に係るトイレットロール10は、第5の実施形態または第6の実施形態で説明した効果と同様の作用効果に加えて、以下の作用効果を奏し得る。
本実施形態に係るトイレットロール10では、トイレットロール10の半径方向において相対的にロール外周側に位置する外巻領域ORに関して算出される外巻密度ODEは、トイレットロール10の半径方向において相対的にロール中心側に位置する内巻領域IRに関して算出される内巻密度IDEよりも高くなるように、巻密度が調整されている。内側となる内巻領域IRにおける内巻密度IDEは、外側となる外巻領域ORにおける外巻密度ODEよりも低い。
かかる構成において、外巻密度ODEが1.10m/cm2を下回る場合は、内巻密度IDEもまた1.10m/cm2を下回ることとなる。この場合、トイレットペーパー13は比較的緩めにロール状に巻かれることとなる。そのため、巻径DRが大きくなって、トイレットロール10が一般的なトイレットホルダーに収まらなくなることがある。
また、外巻密度ODEが1.75m/cm2を上回る場合は、トイレットペーパー13が比較的きつめにロール状に巻かれることとなり、紙厚方向に掛かる圧力の影響が大きくなる。そのため、圧縮により、トイレットペーパー13が押し潰されて固くなったり、トイレットペーパー13にエンボスが付与されている場合はエンボスが潰れたりして、トイレットペーパー13の風合いやトイレットロール10の外観の美粧性が劣ってしまうことがある。
また、内巻密度IDEが、0.90m/cm2を下回る場合は、内巻領域IRが位置するロール中心側でトイレットペーパー13の巻きが緩めとなる。そのため、内巻領域IRに含まれるトイレットペーパー13の部分が、トイレットロール10の軸方向(紙管14の長さ方向)に位置ずれして、ロールの幅Hを飛び出す不具合が生じる恐れがある。
また、内巻密度IDEが、1.40m/cm2を上回る場合は、外巻密度ODEも1.40m/cm2を上回ることとなる。この場合、トイレットロール10内でトイレットペーパー13の紙厚方向に掛かる圧力の影響が大きくなる。これにより、トイレットペーパー13が押し潰されて固くなったり、トイレットペーパー13にエンボスが付与されている場合はエンボスが潰れたりして、トイレットペーパー13の風合いやトイレットロール10の外観の美粧性が劣ることがある。
本実施形態では、外巻密度ODEが内巻密度IDEよりも高いという前提の下、外巻密度ODEが、1.10m/cm2以上1.75m/cm2以下であり、かつ、内巻密度IDEが、0.90m/cm2以上1.40m/cm2以下であるように巻密度が調整されている。本実施形態の構成によれば、トイレットロール10内の位置によって巻密度が異なりつつもその巻密度のバランスが良好であり、上述の懸念事項の発生が防止されたトイレットロールを提供することができる。
(第8の実施形態)
第8の実施形態に係るトイレットロールは、第5、第6または第7の実施形態のバリエーションである。特段の記載のない限り、第5、第6または第7の実施形態に適用可能な構成は、本実施形態に適用可能である。
第8の実施形態に係るトイレットロール10は、第5、第6または第7の実施形態と同様の構成を有し、さらに、トイレットペーパー13にはエンボスが付与されている。
エンボスは、トイレットペーパー13に対して、概して、柔らかさなどの手触り感や美粧性の向上等を目的として付与される。エンボスは、例えば、図3に例示されるようなトイレットロールの製造装置により、エンボス加工の対象となるシートをエンボス加工部21のロール対の間に挿通し押圧することにより、付与することができる。
本実施形態のトイレットロール10は複数プライであるため、複数プライを構成する各シートを積層してからエンボスを付与するいわゆるシングルエンボスや、各シートにエンボス加工を施してから積層するいわゆるダブルエンボスなど、特に限定されることなく任意の加工方法を採用することができる。
[作用効果]
第8の実施形態に係るトイレットロール10は、第5、第6または第7の実施形態で説明した効果と同様の作用効果に加えて、以下の作用効果を奏し得る。
本実施形態に係るトイレットロール10では、トイレットペーパー13にエンボスが付与される。本実施形態によれば、エンボス付与によって、トイレットペーパー13を構成する繊維の集合状態が一部破壊されるなどして、トイレットペーパー13の、ふんわり感、吸水性、美粧性等の品質が向上する。
(第9の実施形態)
第9の実施形態に係るトイレットロールは、第8の実施形態のバリエーションである。特段の記載のない限り、第8の実施形態に適用可能な構成は、本実施形態に適用可能である。
第9の実施形態に係るトイレットロール10では、トイレットペーパー13にはエンボスが付与されており、エンボスはシングルエンボスである。
シングルエンボスは、シート11を所定の重ね枚数分だけ重ねたトイレットペーパー13の一方の面からのみエンボスロールの凸部を押し当ててエンボスを形成する加工である。
[作用効果]
各シート11にエンボス処理を施した後にそれぞれのシート11を重ね合わせるダブルエンボスの場合、シングルエンボスと同様のエンボス高さ(エンボス凹凸)を付与すると、重ね合わせた後のトイレットペーパー13の紙厚が高くなり過ぎ、所定の巻直径を超える場合がある。また、所定の巻直径となるように各シート11に付与するエンボス高さを低くすることで、重ね合わせた後のトイレットペーパー13の紙厚を調整すると、エンボス付与による効果、例えばふんわり感、吸水性、美粧性のような品質の向上効果が劣ることとなる。
これに対して、シングルエンボスによれば、複数プライの全体に対して同じパターンのエンボス凹凸が付与されるので、上述のような問題が生じない。したがって、本実施形態によれば、所定の巻直径とふんわり感、吸水性、美粧性のような品質の向上効果の両立が容易となる。
(実施例101~118)
以下の製造工程を経て、本発明の実施形態に係る実施例101~118の単プライのトイレットロールを製造した。
(a)不図示のツインワイヤフォーマ方式の抄紙機により、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)と針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)との比率(L/N比)が65質量%:35質量%のパルプ組成を有する抄紙用スラリー(紙料)を用いて幅広のシート11Lを抄造し、シート11Lが巻き取られた原反ロール11Rを得た。
(b)原反ロール11Rを、図3に示される製造装置のシート繰出機能に搭載し、原反ロール11Rからシート11Lを引き出しつつ、実施例101から115にはエンボス加工を施してエンボス凹凸を付与しおよび実施例116から118にはエンボス加工を施さずに、ミシン目を形成し、シート11Lの端部を、ピックアップ糊を塗布した幅広の紙管14Lに押し当てて接着固定し、紙管14Lの周りにロール状に巻き取った。
(c)巻取長さが所定長に達した段階で、シート11Lの巻き取り終端を切断するとともに、シートの終端部をテールシール糊によりロール外周に接着固定して、幅広のトイレットロール10Lを得た。
(d)幅広のトイレットロール10Lを所定の幅寸法(114mm)に裁断して、シート11で構成される単プライのトイレットペーパー13がロール状に巻き取られたトイレットロール10を製造した。
(実施例201~214)
以下の製造工程を経て、本発明の実施形態に係る実施例201~214の2プライのトイレットロールを製造した。
(a)不図示のツインワイヤフォーマ方式の抄紙機により、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)と針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)との比率(L/N比)が65質量%:35質量%のパルプ組成を有する抄紙用スラリー(紙料)を用いて幅広のシート11Lを抄造し、シート11Lが巻き取られた原反ロール11Rを得た。
(b)2本の原反ロール11Rを、図3に示される製造装置のシート繰出機能に搭載し、2本の原反ロール11Rのそれぞれからシート11Lを引き出しつつ、実施例201から210においては11Lを重ね合わせた後に、実施例211においてはシート11Lを重ね合わせる前に、エンボス加工部21にてエンボス加工を施してエンボス凹凸を付与し、および実施例212~2114にはエンボス加工を施さずにシート11Lを重ね合わせ、次いで、ミシン目を形成し、シート11Lの端部を、ピックアップ糊を塗布した幅広の紙管14Lに押し当てて接着固定し、紙管14Lの周りにロール状に巻き取った。
(c)巻取長さが所定長に達した段階で、シート11Lの巻き取り終端を切断するとともに、シートの終端部をテールシール糊によりロール外周に接着固定して、幅広のトイレットロール10Lを得た。
(d)幅広のトイレットロール10Lを所定の幅寸法(114mm)に裁断して、2枚のシート11で構成される2プライのトイレットペーパー13がロール状に巻き取られたトイレットロール10を製造した。
(比較例101~104および比較例201~204)
表4に示される単プライの比較例101~104および表7に示される2プライの比較例201~204のトイレットロールを製造した。
(測定および評価)
製造された実施例および比較例のトイレットロールについて、以下の測定および評価を行った。なお、測定は、日本工業規格JIS P8111に準じた環境下(温度23±1°、湿度50±2%RH)で試料を調湿して行った。
<測定>
〔トイレットロールの巻長[m]〕
トイレットロールからトイレットペーパーを巻き解いて、トイレットペーパーの長さを実測した。測定は0.5m刻みで行い端数は切り捨てた。また、巻密度の測定などに用いる長さや巻長は、例えば、トイレットロールの製品スペックを基準とし、およびトイレットロールからトイレットペーパーを巻き解きつつ巻き解かれたトイレットペーパーの長さを測定し、それらの値を用いて、トイレットロールにおいてその段階で紙管に巻き回されているトイレットペーパーの長さを求めた。
〔トイレットロールの巻径[mm]〕
トイレットロールのロール外径をノギスにより測定し、小数点以下を四捨五入した。
〔紙管のコア径[mm]〕
トイレットロールの紙管の外径をノギスにより測定し、小数点以下を四捨五入した。
〔坪量[g/m2]〕
トイレットロールからトイレットペーパーを巻き解いて、日本工業規格JIS P8124の規定に従って、トイレットペーパーを構成するシートの1枚当たりの坪量を測定した。
〔巻密度〕
各トイレットロール試料に含まれるトイレットペーパーの全長(巻長)Lを100%の長さとしたときの巻密度を、下式(I)および(II)によって求めた。また、トイレットロールのロール中心側の端縁からの長さが90%(0.90L)、75%(0.75L)、50%(0.5)、25%(0.25L)、10%(0.10L)の長さのトイレットペーパーの領域が紙管周りに巻き回されてなるロール状部分の巻密度を、下式(I)および(II)を準用して、それらの長さを巻長として用いて、計算した。
(巻密度(m/cm2))=(巻長(m)×プライ数)÷(ロール断面積(cm2)) ・・・(I)
(ロール断面積(cm2))={(巻径(cm)÷2)2×3.14-(コア径DC(cm)÷2)2×3.14} ・・・(II)
〔エンボス深さ〕
トイレットロールのロール中心側の端縁からの長さが90%(0.90L)、および10%(0.10L)であるトイレットペーパーの位置(すなわち、90%ラインおよび10%ライン)において、上述の試験装置、条件、および解析方法に従って、エンボス深さを測定した。
〔HF値〕
トイレットロールのロール中心側の端縁からの長さが90%(0.90L)、75%(0.75L)、50%(0.5)、25%(0.25L)、10%(0.10L)の長さのトイレットペーパーの領域に関して、HF値を求めた。
HF値(ハンドフィール値)とは、衛生薄葉紙の滑らかさ、しなやかさ、ボリューム感などの手触り感を数値化して定量評価に用いることのできる指標となる数値である。実施例および比較例のトイレットペーパーのHF値を、ティシューソフトネスアナライザー(Emtec Electronic GmbH社製)を用いて測定した。サンプル台に、直径112.8mmの円形にカットした試料を設置し、この試料に対し、ブレード付きローターを100mNの押し込み圧力をかけて上方から押し込んだ。その後、ブレード付きローターを回転数が2.0回転/秒となるように回転させ、その時の振動周波数を測定した。また、直径112.8mmの円形にカットした別の試料に対し、ブレード付きローターを100mNと、60mNの圧力で押し込んだ際の上下方向の変形変位量を算出した。HF値は、振動周波数と変形変位量から、算出される値であり、計算のアルゴリズムはTP IIを用いた。なお、上記の測定は、各試料の巻外側トイレットペーパーの露出側表面と巻内側トイレットペーパーの露出側表面(すなわち、シートの表裏面)についてそれぞれ10回ずつ行い、得られた測定データからHampel identifierの方法で異常値を除外し、各表面について各々平均値を算出した。さらにこのようにして算出した、各表面のHF値の平均値から、両面のHF値の平均値を算出し、それをHF値として評価に用いた。なお、上記試料の測定はISO187に準拠した環境(温度23±1℃、相対湿度50±2%)で行った。また、測定の際には、付属の説明書に従い標準サンプル(eme tec ref.2X(nn.n))で校正し、アルゴリズムをTP IIに設定した。計算ソフトウェアにはemtec measurement system Ver.3.22を使用した。
なお、HF値の測定に用いる試料は、測定対象のトイレットペーパーの領域において、トイレットロールのロール中心側の端縁とは反対側のトイレットペーパーの端縁、すなわち外周側の端縁に近い側から切り出しを行った。具体的には、例えば、トイレットロールのロール中心側の端縁からの長さが90%(0.90L)の長さのトイレットペーパーの領域に関してHF値を求める場合には、トイレットペーパーの領域のうち90%ラインに近い側から、できるだけ間隔を開けないようにして、試料採取を行った。
HF値の値は、大きいほど、風合いが良いことを示す。外巻領域(90%)および内巻領域(10%)におけるHF値の差が大きいほど品質に差を感じる。外巻領域(90%)および内巻領域(10%)におけるHF値の差が5.0ポイントを超えると、使用時に品質差を感じる可能性があって好ましくないと評価した。外巻領域(90%)および内巻領域(10%)におけるHF値の差は、4.0ポイント以下がより好ましく、3.0ポイント以下がさらに好ましい。
表1~表7に、試験結果を示した。
(単プライ品の試験結果)
まず、表1から表4を参照して、単プライの実施例および比較例についての試験結果を検討する。
表1から表4に示されるように、実施例101から比較例104はいずれも、単プライのトイレットペーパーがロール状に巻き取られた単プライのトイレットロールであり、巻径は90m以上であった。また、各試料の幅寸法は114mmであり、コア径は38mm~41mmであった。
全単プライ試料のうち、実施例101から実施例115および比較例101から比較例103のトイレットペーパーにはエンボスが付与されていたが、実施例116、117、118、および比較例104のトイレットペーパーにはエンボスが付与されていなかった。そのためか、実施例116、117、118、比較例104のトイレットロールは、全単プライ試料中で最も巻長が長く、150mであった。
実施例101から実施例118(全単プライ実施例)のトイレットロールは、いずれも、トイレットロールのロール中心側の端部からの長さが巻長の85%以上95%以下の範囲のトイレットペーパーの領域に相当するトイレットロールの外巻領域に関して算出されるトイレットロールの外巻密度が、トイレットロールのロール中心側の端部からの長さが巻長の5%以上15%以下の範囲のトイレットペーパーの領域に相当するトイレットロールの内巻領域に関して算出されるトイレットロールの内巻密度よりも高かった。
また、実施例101から実施例118(全単プライ実施例)のトイレットロールは、いずれも、トイレットロールのロール中心側の端部から巻長の90%の長さまでトイレットペーパーが巻き取られたロール状部分の巻密度として算出される外巻密度が、トイレットロールのロール中心側の端部から巻長の10%の長さまでトイレットペーパーが巻き取られたロール状部分の巻密度として算出される内巻密度の、1.00倍より大きく1.50倍以下であった。
また、実施例101から実施例114および実施例116から実施例118のトイレットロールは、いずれも、外巻密度が1.15m/cm2以上1.55m/cm2以下であり、かつ、内巻密度が0.80m/cm2以上1.20m/cm2以下であった。
また、実施例115のトイレットロールは、他の試料と比べて坪量が19.8g/m2と高く、その分、巻長は、全試料中最も短く100mであった。内巻密度は0.80m/cm2以上1.20m/cm2以下の範囲内であったが、外巻密度は1.15m/cm2をやや下回る1.12m/cm2であった。
また、実施例101から実施例115のトイレットロールは、エンボス品であるところ、外巻領域(90%)に関して測定される外巻領域エンボス深さは、内巻領域に関して測定される内巻領域エンボス深さよりも小さく、外巻領域エンボス深さは、80μm以上115μm以下であり、内巻き領域エンボス深さは、85μm以上145μm以下であった。
実施例101から実施例118(全単プライ実施例)のトイレットロールは、外巻領域(90%)と内巻領域(10%)とで、HF値の差が小さく、数ポイント程度であり、5.0ポイント未満であって良好であった。
また、それに加え、実施例101から実施例118(全単プライ実施例)のトイレットロールは、HF値が、外巻領域(90%)と内巻領域(10%)以外の領域においても、ほぼ一定であり、トイレットペーパーの長さによらず、トイレットペーパーの全域について、風合いの変化が小さかった。
比較例101は、内巻領域(10%)の巻密度が外巻領域(90%)の巻密度よりも高く、外巻領域(90%)の巻密度は、内巻領域(10%)の巻密度の1.0倍未満であった。また、外巻領域(90%)と内巻領域(10%)とで、HF値の差が大きく、5.0ポイントを上回り、トイレットロールの使い始め部分と使い終わり部分とで、トイレットペーパーの品質に差があった。
比較例102は、内巻領域(10%)の巻密度と外巻領域(90%)の巻密度とは同程度であった。しかしながら、外巻領域(90%)と内巻領域(10%)とで、HF値の差が大きく、5.0ポイントを上回り、トイレットロールの使い始め部分と使い終わり部分とで、トイレットペーパーの品質に差があった。
比較例103は、内巻領域(10%)の巻密度が外巻領域(90%)の巻密度よりも高く、外巻領域(90%)の巻密度は、内巻領域(10%)の巻密度の1.0倍未満であった。また、巻長の100%の長さまでトイレットペーパーが巻き取られたロール状部分の巻密度として算出される巻密度(100%)が低く、そのため、巻径が非常に大きく、一般的なトイレットロールホルダー内に収まりその中で回転自在に支持され得る寸法をオーバーしていた。また、外巻領域(90%)と内巻領域(10%)とで、HF値の差が大きく、5.0ポイントを上回り、トイレットロールの使い始め部分と使い終わり部分とで、トイレットペーパーの品質に差があった。
ノーエンボス品である比較例104は、内巻領域(10%)の巻密度と外巻領域(90%)の巻密度とがほぼ同等であった。また、外巻領域(90%)と内巻領域(10%)とで、HF値の差が大きく、5.0ポイントを上回り、トイレットロールの使い始め部分と使い終わり部分とで、トイレットペーパーの品質に差があった。
(複数プライ品の試験結果)
次に、表5から表7を参照して、複数プライ(2プライ)の実施例および比較例についての試験結果を検討する。
表5から表7に示されるように、実施例201から比較例204はいずれも、2プライのトイレットペーパーがロール状に巻き取られた2プライのトイレットロールであり、巻径は100mm以上140mm以下であった。また、各試料の幅寸法は114mmであり、コア径は38mm~41mmであった。
全複数プライ試料のうち、実施例201から実施例210および比較例201から比較例203のトイレットペーパーにはシングルエンボスが付与されており、実施例211のトイレットペーパーにはダブルエンボスが付されており、実施例212から実施例214および比較例204にはエンボスが付与されていなかった。エンボスが付与されていない試料は、全複数プライ試料中で最も巻長が長く、75mであった。
実施例201から実施例214(全複数プライ実施例)のトイレットロールは、いずれも、トイレットロールのロール中心側の端部からの長さが巻長の85%以上95%以下の範囲のトイレットペーパーの領域に相当するトイレットロールの外巻領域に関して算出されるトイレットロールの外巻密度が、トイレットロールのロール中心側の端部からの長さが巻長の5%以上15%以下の範囲のトイレットペーパーの領域に相当するトイレットロールの内巻領域に関して算出されるトイレットロールの内巻密度よりも高かった。
また、実施例201から実施例214(全複数プライ実施例)のトイレットロールは、いずれも、トイレットロールのロール中心側の端部から巻長の90%の長さまでトイレットペーパーが巻き取られたロール状部分の巻密度として算出される外巻密度が、トイレットロールのロール中心側の端部から巻長の10%の長さまでトイレットペーパーが巻き取られたロール状部分の巻密度として算出される内巻密度の、1.00倍より大きく1.50倍以下であった。
また、実施例201から実施例214(全複数プライ実施例)のトイレットロールは、いずれも、外巻密度が1.10m/cm2以上1.75m/cm2以下であり、かつ、内巻密度が0.90m/cm2以上1.40m/cm2以下であった。
また、エンボス品である実施例201から実施例211のトイレットロールは、ノーエンボス品である実施例212から実施例214と比べて、HF値の値が大きく、風合いが良好であった。同様に、エンボス品である比較例201から比較例203は、ノーエンボス品である比較例204と比べて、HF値の値が大きく、風合いが良好であった。
また、実施例201から実施例211のトイレットロールと、比較例201から比較例203のトイレットロールとは、共にエンボス品であるところ、実施例201から実施例211のトイレットロールでは、外巻領域(90%)と内巻領域(10%)とで、HF値の差が小さく、数ポイント程度から5.0ポイント未満であって、良好であった。
また、実施例201から実施例214(全複数プライ実施例)のトイレットロールは、HF値が、外巻領域(90%)と内巻領域(10%)以外の領域においても、ほぼ一定であり、トイレットペーパーの長さによらず、トイレットペーパーの全域について、風風合いの変化が小さかった。
比較例201は、内巻領域(10%)の巻密度と外巻領域(90%)の巻密度とは、ほぼ同等であった。また、外巻領域(90%)と内巻領域(10%)とで、HF値の差が大きく、5.0ポイントを上回り、トイレットロールの使い始め部分と使い終わり部分とで、トイレットペーパーの品質に差があった。
比較例202は、内巻領域(10%)の巻密度が、外巻領域(90%)の巻密度よりも高かった。また、外巻領域(90%)と内巻領域(10%)とでHF値の差が大きく、10ポイントを上回り、トイレットロールの使い始め部分と使い終わり部分とで、トイレットペーパーの品質に差があった。
比較例203は、内巻領域(10%)の巻密度が外巻領域(90%)の巻密度よりも高く、外巻領域(90%)の巻密度は、内巻領域(10%)の巻密度の1.0倍未満であった。また、巻長の100%の長さまでトイレットペーパーが巻き取られたロール状部分の巻密度として算出される巻密度(100%)が低く、そのため、他の試料と比べて巻径が非常に大きかった。また、外巻領域(90%)と内巻領域(10%)とで、HF値の差が大きく、5.0ポイントを大きく上回り、トイレットロールの使い始め部分と使い終わり部分とで、トイレットペーパーの品質に差があった。
ノーエンボス品である比較例204は、内巻領域(10%)の巻密度と外巻領域(90%)の巻密度とがほぼ同等であった。また、外巻領域(90%)と内巻領域(10%)とで、HF値の差が大きく、5.0ポイントを上回り、トイレットロールの使い始め部分と使い終わり部分とで、トイレットペーパーの品質に差があった。
上述の実施形態においてトイレットロール10は紙管14を有するものとして、本発明を説明した。しかしながら、本発明は、それに限定されず、紙管14を有さない無芯トイレットロールにも適用可能である。
本発明はその特許請求の範囲に記載された事項のみから解釈されるべきものであり、上述した実施形態においても、本発明の概念に包含されるあらゆる変更や修正が記載した事項以外に可能である。つまり、上述した実施形態におけるすべての事項は、本発明を限定するためのものではなく、本発明とは直接的に関係のないあらゆる構成を含め、その用途や目的などに応じて任意に変更し得るものである。
B バックアップロール
F 給送手段
N ニップロール
Vb バックアップロールの回転速度
Vf フィードロールの給送速度
Vn ニップロールの回転速度
Vu シートの繰出速度
Vw ワインディングロールの巻取速度
W ワインディングロール
10 トイレットロール
10L 幅広トイレットロール
11 シート
11L 幅広シート
11R 原反ロール
13 トイレットペーパー
14 紙管(巻芯)
14L 幅広紙管
21 エンボス加工部
25 ミシン目形成部
26 巻取部
28c 櫛歯状カッター
28h 回転刃ホルダー
29c 直線状カッター
29h 固定刃ホルダー
30 案内ロール
32 案内ロールまたはエキスパンダーロール
33 カッターロール

Claims (7)

  1. 単プライのトイレットペーパーがロール状に巻き取られたトイレットロールであって、
    巻長は90m以上であり、
    前記トイレットロールのロール中心側の端部からの長さが前記巻長の85%以上95%以下の範囲の前記トイレットペーパーの領域に相当する前記トイレットロールの外巻領域に関して算出される前記トイレットロールの外巻密度ODEは、前記トイレットロールのロール中心側の端部からの長さが前記巻長の5%以上15%以下の範囲の前記トイレットペーパーの領域に相当する前記トイレットロールの内巻領域に関して算出される前記トイレットロールの内巻密度IDEよりも高く、
    前記トイレットロールのロール中心側の端部から前記巻長の90%の長さまで前記トイレットペーパーが巻き取られたロール状部分の巻密度として算出される外巻密度ODE90は、前記トイレットロールのロール中心側の端部から前記巻長の10%の長さまで前記トイレットペーパーが巻き取られたロール状部分の巻密度として算出される内巻密度IDE10の、1.00倍より大きく1.50倍以下であることを特徴とすトイレットロール。
  2. 単プライのトイレットペーパーがロール状に巻き取られたトイレットロールであって、
    巻長は90m以上であり、
    前記トイレットロールのロール中心側の端部からの長さが前記巻長の85%以上95%以下の範囲の前記トイレットペーパーの領域に相当する前記トイレットロールの外巻領域に関して算出される前記トイレットロールの外巻密度ODEは、前記トイレットロールのロール中心側の端部からの長さが前記巻長の5%以上15%以下の範囲の前記トイレットペーパーの領域に相当する前記トイレットロールの内巻領域に関して算出される前記トイレットロールの内巻密度IDEよりも高く、
    前記外巻密度ODEは、1.15m/cm2以上1.55m/cm2以下であり、および前記内巻密度IDEは、0.80m/cm2以上1.20m/cm2以下であることを特徴とすトイレットロール。
  3. 単プライのトイレットペーパーがロール状に巻き取られたトイレットロールであって、
    巻長は90m以上であり、
    前記トイレットロールのロール中心側の端部からの長さが前記巻長の85%以上95%以下の範囲の前記トイレットペーパーの領域に相当する前記トイレットロールの外巻領域に関して算出される前記トイレットロールの外巻密度ODEは、前記トイレットロールのロール中心側の端部からの長さが前記巻長の5%以上15%以下の範囲の前記トイレットペーパーの領域に相当する前記トイレットロールの内巻領域に関して算出される前記トイレットロールの内巻密度IDEよりも高く、
    前記トイレットペーパーにはエンボスが付与されており、
    前記外巻領域に関して測定される外巻領域エンボス深さは、前記内巻領域に関して測定される内巻領域エンボス深さよりも小さく、
    前記外巻領域エンボス深さは、80μm以上115μm以下であり、
    前記内巻領域エンボス深さは、85μm以上145μm以下であることを特徴とすトイレットロール。
  4. プライ数p(pは2以上の整数)のトイレットペーパーがロール状に巻き取られたトイレットロールであって、
    前記プライ数pと巻長L(m)は、式 L≧90/pの関係を満たし、
    前記トイレットロールのロール中心側の端部からの長さが前記巻長Lの85%以上95%以下の範囲の前記トイレットペーパーの領域に相当する前記トイレットロールの外巻領域に関して算出される前記トイレットロールの外巻密度ODEは、前記トイレットロールのロール中心側の端部からの長さが前記巻長Lの5%以上15%以下の範囲の前記トイレットペーパーの領域に相当する前記トイレットロールの内巻領域に関して算出される前記トイレットロールの内巻密度IDEよりも高く、
    前記トイレットロールのロール中心側の端部から前記巻長Lの90%の長さまで前記トイレットペーパーが巻き取られたロール状部分の巻密度として算出される外巻密度ODE90は、前記トイレットロールのロール中心側の端部から前記巻長Lの10%の長さまで前記トイレットペーパーが巻き取られたロール状部分の巻密度として算出される内巻密度IDE10の、1.00倍より大きく1.50倍以下であることを特徴とすトイレットロール。
  5. プライ数p(pは2以上の整数)のトイレットペーパーがロール状に巻き取られたトイレットロールであって、
    前記プライ数pと巻長L(m)は、式 L≧90/pの関係を満たし、
    前記トイレットロールのロール中心側の端部からの長さが前記巻長Lの85%以上95%以下の範囲の前記トイレットペーパーの領域に相当する前記トイレットロールの外巻領域に関して算出される前記トイレットロールの外巻密度ODEは、前記トイレットロールのロール中心側の端部からの長さが前記巻長Lの5%以上15%以下の範囲の前記トイレットペーパーの領域に相当する前記トイレットロールの内巻領域に関して算出される前記トイレットロールの内巻密度IDEよりも高く、
    前記外巻密度ODEは、1.10m/cm2以上1.75m/cm2以下であり、および前記内巻密度IDEは、0.90m/cm2以上1.40m/cm2以下であることを特徴とすトイレットロール。
  6. 前記トイレットペーパーにはエンボスが付与されていることを特徴とする請求項4または5に記載のトイレットロール。
  7. 前記エンボスはシングルエンボスであることを特徴とする請求項に記載のトイレットロール。
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