JP2009052010A - 顔料分散液、カラーフィルタ用着色組成物、カラーフィルタ、及び液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】顔料、溶剤および分散剤を含有し、該顔料が臭素化亜鉛フタロシアニンを含有し、該分散剤が、親溶媒性を有するAブロック及び窒素原子を含む官能基を有するBブロックからなるブロック共重合体であり、そのアミン価が80mgKOH/g以上150mgKOH/g以下(有効固形分換算)である分散剤を含有する、顔料分散液、およびその用途。
【選択図】なし
Description
近年、技術革新の流れは急速であり、カラーフィルタに対しては、より高透過、高コントラスト且つ高濃度が要求されている。カラーフィルタの色を決める色材としては、耐熱、耐光性等の観点から一般には顔料が用いられるが、顔料種としては、固有の透過吸収スペクトルが可視光波長領域でバックライトの蛍光体スペクトルと合致するものが好適に用いられている。例えば、緑色顔料としては古くからハロゲン化銅フタロシアニン緑色顔料が各種黄色顔料との組み合わせにより実用化されている。
(a)緑色画素の高輝度化を目的として臭素化亜鉛フタロシアニン緑色顔料を用いた場合にこれまで問題となっていた、高コントラストと分散安定性の両立を実現した顔料分散液を提供すること。
(b)上記顔料分散液を用いて、現像性の良好なカラーフィルタ用着色組成物を提供すること。
(c)上記カラーフィルタ用着色組成物を用いて、高品質のカラーフィルタを提供すること。
(d)上記カラーフィルタ基板を使用した、高品質の液晶表示装置を提供すること。
(2) 前記ブロック共重合体からなる分散剤において、窒素原子を含む官能基成分のうち少なくとも20モル%以上が1〜3級アミノ基である、上記(1)に記載の顔料分散液。
(3) 前記ブロック共重合体からなる分散剤において、1〜3級アミノ基を有する繰返し単位が、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート由来である、上記(1)または(2)に記載の顔料分散液。
(4) 顔料の平均一次粒径が0.04μm以下である、上記(1)乃至(3)のいずれか一に記載の顔料分散液。
(6) さらに光重合開始系を含有してなる、上記(5)に記載のカラーフィルタ用着色組成物。
(7) 上記(5)または(6)に記載のカラーフィルタ用着色組成物を用いて作成した画素を有する、ことを特徴とするカラーフィルタ。
(8) 上記(7)に記載のカラーフィルタと、液晶駆動用基板を対向させ、両者の間に液晶を封入してなる、ことを特徴とする液晶表示装置。
(a)緑色画素の高輝度化を目的として臭素化亜鉛フタロシアニン緑色顔料を用いた場合にこれまで問題となっていた、高コントラストと分散安定性の両立を実現した顔料
分散液を提供し得る。
(b)上記顔料分散液を用いて、現像性の良好なカラーフィルタ用着色組成物を提供し得る。
(c)上記カラーフィルタ用着色組成物を用いて、高品質のカラーフィルタを提供し得る。
(d)上記カラーフィルタ基板を使用した、高品質の液晶表示装置を提供し得る。
尚、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリレート」等は、「アクリル及び/又はメタクリル」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」等を意味するものとし、例えば「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」を意味するものとする。また「全固形分」とは、顔料分散液または着色組成物に含まれる、後記する溶剤成分以外の全成分を意味するものとする。
また本発明において、「アミン価」とは、特に断りのない限り有効固形分換算のアミン価を表し、分散剤の固形分1gあたりの塩基量と当量のKOHの重量で表される値である。なお測定方法については後述する。
以下に本発明の顔料分散液の各構成成分を説明する。本発明に係る顔料分散液は、顔料、溶剤及び分散剤を必須成分とし、更に要すれば、上記成分以外の他の添加物等が配合されていてもよい。
以下、各構成成分を説明する。
[1−1]顔料
本発明の顔料分散剤に使用される顔料としては、臭素化亜鉛フタロシアニン顔料が必須である。
通常の亜鉛フタロシアニンは1分子中に16個の水素原子を有しており、これらの水素原子を臭素原子乃至塩素原子で置換したものが、本発明で使用される臭素化亜鉛フタロシアニン顔料である。中でも1分子中に臭素原子を平均13個以上含有する臭素化亜鉛フタロシアニンが、極めて高い透過率を示し、カラーフィルタの緑色画素を形成するのに適している点から好ましい。更には、1分子中に臭素原子を13〜16個有し、且つ1分子中に塩素を含まないか又は平均3個以下有する臭素化亜鉛フタロシアニンが好ましく、特に1分子中に臭素原子を平均14〜16個有し、且つ1分子中に塩素原子を含まないか又は平均2個以下有する臭素化亜鉛フタロシアニンが好ましい。
こうして得られた臭素化亜鉛フタロシアニン顔料を、必要に応じてアトライター、ボールミル、振動ミル、振動ボールミル等の粉砕機内で乾式摩砕し、ついで、ソルベントソルトミリング法やソルベントボイリング法等で顔料化することによって、透過率やコントラストの高い緑色を発色する臭素化亜鉛フタロシアニン顔料が得られる。顔料化方法には特に制限は無いが、容易に結晶成長を抑制でき、且つ比表面積の大きい顔料粒子が得られる点でソルベントソルトミリング処理を採用するのが好ましい。
こうして得られた臭素化亜鉛フタロシアニンは、単独で使用してもよいが、臭素化率乃至は塩素化率の異なる臭素化亜鉛フタロシアニンや、本発明の効果を損なわない範囲で、中心金属が他の金属に置換された臭素化フタロシアニンなどと混合して用いることができる。塩素化率及び臭素化率を変えることや、中心金属を変えることにより顔料としての色調が変わり、再現できる色相のバリエーションが増えることが期待できる。又、同じ緑色顔料でもC.I.ピグメントグリーン(P.G.)36や7等のハロゲン化銅フタロシアニンと混合しても良い。
個々の顔料粒子の粒径:X1,X2,X3,X4,・・・・,Xi,・・・・・・Xm
平均粒径 = ΣXi/m
これらの黄色顔料の平均一次粒子径は、通常0.2μm以下、好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.04μm以下である。顔料の微粒化に際しては、上述したソルベントソルトミリングのような手法が好適に用いられる。
また、本発明のカラーフィルタ用着色組成物における顔料の含有量は、固形分全量に対し、通常75重量%以下、好ましくは70重量%以下、より好ましくは60重量%以下であり、また通常10重量%以上、好ましくは20重量%以上、より好ましくは25重量%以上である。
顔料の量が多すぎると、顔料の分散状態が維持されにくく、凝集や沈降が生じ、結果として増粘や輝度、コントラストの低下という問題が生じる可能性があり、また少なすぎると、色濃度が薄く、カラーフィルタとして充分に機能しないという問題が生じる可能性がある。
溶剤は、本発明の顔料分散液や後述する着色組成物において、顔料、分散剤のほか、場合により配合した上記以外の成分などを溶解又は分散させ、粘度を調節する機能を有する。
かかる溶剤としては、各成分を溶解または分散させることができるものであればよい。
エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルのようなグリコールジアルキルエーテル類;
エチレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサノールジアセテートなどのグリコールジアセテート類;
シクロヘキサノールアセテートなどのアルキルアセテート類;
アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソアミルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチルアミルケトン、メチルブチルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルノニルケトン、メトキシメチルペンタノンのようなケトン類;
n−ペンタン、n−オクタン、ジイソブチレン、n−ヘキサン、ヘキセン、イソプレン、ジペンテン、ドデカンのような脂肪族炭化水素類;
シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキセン、ビシクロヘキシルのような脂環式炭化水素類;
アミルホルメート、エチルホルメート、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸アミル、メチルイソブチレート、エチレングリコールアセテート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、イソ酪酸メチル、エチルカプリレート、ブチルステアレート、エチルベンゾエート、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、γ−ブチロラクトンのような鎖状又は環状エステル類;
3−メトキシプロピオン酸、3−エトキシプロピオン酸のようなアルコキシカルボン酸類;
ブチルクロライド、アミルクロライドのようなハロゲン化炭化水素類;
メトキシメチルペンタノンのようなエーテルケトン類;
アセトニトリル、ベンゾニトリルのようなニトリル類等が挙げられる。
上記溶剤中、塗布性、表面張力などのバランスが良く、組成物中の構成成分の溶解度が比較的高い点からは、グリコールアルキルエーテルアセテート類が好ましい。
なお沸点150℃以上の溶剤が、グリコールアルキルエーテルアセテート類であっても、またグリコールアルキルエーテル類であってもよく、この場合は、沸点150℃以上の溶剤を別途含有させなくてもかまわない。
また、溶剤の蒸気圧は、得られる塗膜の均一性の観点から、通常10mmHg以下、好ましくは5mmHg以下、より好ましくは1mmHg以下のものが使用できる。
本発明で使用される分散剤は、親溶媒性を有するAブロック及び窒素原子を含む官能基を有するBブロックからなるブロック共重合体であり、そのアミン価が80mgKOH/g以上150mgKOH/g以下(有効固形分換算)である。
中でも、(メタ)アクリル系ブロック共重合体が好ましく、以下、(メタ)アクリル系ブロック共重合体である場合を例に前記分散剤について説明する。
Bブロックは、窒素原子を含む官能基を有し、該官能基としては1〜3級アミノ基が好ましい。1〜3級アミノ基の含有比率は、窒素原子含有官能基全体の20モル%以上が好適であり、より好ましくは50モル%以上である。1〜3級アミノ基としては、好ましくは−NR41R42(但し、R41及びR42は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい環状又は鎖状のアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいアラルキル基を示す。)で表わされ、これを含む部分構造(繰返し単位)として好ましいものは、例えば下記式で表される。
中でも、R41及びR42はメチル基が好ましく、R43はメチレン基、エチレン基が好ましく、R44は水素原子もしくはメチル基であるのが好ましい。このような部分構造としては下記式で表されるジメチルアミノエチルアクリレートやジメチルアミノエチルメタアクリレート由来の構造などが、特に好適に用いられる。
上記の如きアミノ基を含有する部分構造は、1つのBブロック中に2種以上含有されていてもよい。その場合、2種以上のアミノ基含有部分構造は、該Bブロック中においてランダム共重合又はブロック共重合の何れの態様で含有されていてもよい。またアミノ基を含有しない部分構造が、Bブロック中に一部含まれていてもよく、そのような部分構造の例としては、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー由来の部分構造等が挙げられる。かかるアミノ基を含まない部分構造の、Bブロック中の含有量は、好ましくは0〜50重量%、より好ましくは0〜20重量%であるが、かかるアミノ基非含有部分構造はBブロック中に含まれないことが最も好ましい。
一方、分散剤のブロック共重合体を構成する、親溶媒性のAブロックは、上述したアミノ基等の窒素原子含有官能基を有さず、上述したBブロックを構成するモノマーと共重合しうるモノマーから成るものであれば、特に制限は無い。
上記式(VIII)で表される部分構造は、Aブロック中に5〜40モル%含まれていることが、特に好ましい。
詳細の作用機構は不明であるが、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート由来の部分構造、特に上記式にて表される部分構造を有することにより、水素結合性を高めることが可能であり、分散溶媒との親和性が向上し、分散系の安定性が増すものと考えられる。
リビング重合法にはアニオンリビング重合法、カチオンリビング重合法、ラジカルリビング重合法がある。アニオンリビング重合法は、重合活性種がアニオンであり、例えば下記スキームで示される。
アミン価が低すぎると、顔料表面への吸着力が不十分となり、十分な分散安定性を得ることができない。一方、アミン価が高すぎると逆にAブロックの分子量が不十分になることを意味するため、分散安定性が劣る。言い換えれば、最適な分散性を発現するためのアミン価が上記範囲にある、ということになる。
(但し、W:分散剤試料秤取量[g]、V:滴定終点での滴定量[mL]、S:分散剤試料の固形分濃度[wt%]を表す。)
また、このブロック共重合体の酸価は、該酸価の元となる酸性基の有無及び種類にもよるが、一般に低い方が好ましく、通常50mgKOH/g以下、好ましくは40以下、より好ましくは30以下である。
本発明においては、上述のものと同様の構造を有する市販の(メタ)アクリル系ブロック共重合体を適用することもできる。
なお、顔料の平均一次粒径が小さいときには、比表面積が増大することで単位面積当たりの分散剤吸着量が少なくなる。このような場合に、上述したABブロック共重合体またはABAブロック共重合体からなる分散剤は、他の構造の分散剤と比べて効果の差が非常に顕著に現れるため、特に好適に用いられるものである。本発明における分散剤は、顔料分散液中の顔料全量に対して5〜200重量%程度使用することが好ましく、10〜100重量%程度使用することがより好ましい。
本発明の顔料分散液および着色組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、上述したブロック共重合体からなる分散剤以外の分散剤を含有していてもよい。このような分散剤としては、例えば特開2006−343648号公報に記載の各種分散剤などが挙げられる。
本発明に係る顔料分散液には、顔料の分散性の向上、分散安定性の向上のために分散助剤として顔料誘導体等を添加しても良い。顔料誘導体としてはアゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ベンツイミダゾロン系、キノフタロン系、イソインドリノン系、イソインドリン系、ジオキサジン系、アントラキノン系、インダンスレン系、ペリレン系、ペリノン系、ジケトピロロピロール系、ジオキサジン系顔料等の誘導体が挙げられる。顔料誘導体の置換基としてはスルホン酸基、スルホンアミド基及びその4級塩、フタルイミドメチル基、ジアルキルアミノアルキル基、水酸基、カルボキシル基、アミド基等が顔料骨格に直接またはアルキル基、アリール基、複素環基等を介して結合したものが挙げられ、好ましくはスルホンアミド基及びその4級塩、スルホン酸基が挙げられ、より好ましくはスルホン酸基である。またこれら置換基は一つの顔料骨格に複数置換していても良いし、置換数の異なる化合物の混合物でも良い。顔料誘導体の具体例としてはアゾ顔料のスルホン酸誘導体、フタロシアニン顔料のスルホン酸誘導体、キノフタロン顔料のスルホン酸誘導体、イソインドリン顔料のスルホン酸誘導体、アントラキノン顔料のスルホン酸誘導体、キナクリドン顔料のスルホン酸誘導体、ジケトピロロピロール顔料のスルホン酸誘導体、ジオキサジン顔料のスルホン酸誘導体等が挙げられる。
顔料誘導体の添加量は、顔料に対して通常0.1重量%以上、また、通常30重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下、更に好ましくは5重量%以下である。添加量が少ないとその効果が発揮され難い傾向があり、逆に添加量が多過ぎると分散性、分散安定性がかえって悪くなることもあるためである。
本発明に係る顔料分散液には、後述するバインダー樹脂から選ばれた樹脂の一部または全部を含有していてもよい。具体的には、後述する顔料分散液の調製における分散処理工程において、前述の分散剤とともにバインダー樹脂を含有させることにより、該バインダー樹脂は、分散剤との相乗効果で分散安定性に寄与し、結果として分散剤の添加量を減らせる可能性があるため好ましい。このように、分散処理工程に使用される樹脂を、分散樹脂と称することがある。
本発明の着色組成物は、少なくとも前述した顔料分散液および後述するバインダー樹脂を含有していればよく、これら以外の成分としては、カラーフィルタ形成材料として使用できるものであれば、特に制限無く使用できる。例えば、特開昭60−184202号公報などに記載されたいわゆるリフトオフ方式のカラーフィルタ製造工程に用いる熱硬化性樹脂組成物、特開2004−220036号公報などに記載されたインクジェット方式のカラーフィルタ製造工程に用いる熱硬化性樹脂組成物、後述する光重合性樹脂組成物など、いずれのタイプの樹脂組成物であってもよい。着色組成物が光重合性組成物である場合には、光重合開始系を必須成分とする。
以下、本発明の着色組成物が光重合性樹脂組成物である場合を例に、詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
バインダー樹脂としては、前述したように、どのような手段により硬化する着色組成物とするかにより、好ましい樹脂は異なる。光重合性樹脂組成物の場合、バインダー樹脂としては、例えば特開平7−207211号、特開平8−259876号、特開平10−300922号、特開平11−140144号、特開平11−174224号、特開2000−56118号、特開2003−233179号などの各公報等に記載される公知の高分子化合物を使用することができるが、好ましくは
[2−1−1]:エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体に対し、該共重合体が有するエポキシ基の少なくとも一部に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、或いは該付加反応により生じた水酸基の少なくとも一部に多塩基酸無水物を付加させて得られる、アルカリ可溶性樹脂
[2−1−2]主鎖にカルボキシル基を含有する直鎖状アルカリ可溶性樹脂
[2−1−3]前記カルボキシル基含有樹脂のカルボキシル基部分に、エポキシ基含有不飽和化合物を付加させた樹脂
[2−1−4](メタ)アクリル系樹脂
[2−1−5]カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂
等が挙げられる。以下、これら各樹脂について説明する。
特に好ましい樹脂の一つとして、「エポキシ基含有(メタ)アクリレート5〜90モル%と、他のラジカル重合性単量体10〜95モル%との共重合体に対し、該共重合体が有するエポキシ基の10〜100モル%に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、或いは該付加反応により生じた水酸基の10〜100モル%に多塩基酸無水物を付加させて得られるアルカリ可溶性樹脂」が挙げられる。
式(1)において、R7とR8が連結して形成される環は、脂肪族環であるのが好ましく、飽和又は不飽和の何れでもよく、又、炭素数が5〜6であるのが好ましい。
バインダー樹脂にこれらの構造を導入することによって、本発明の着色組成物をカラーフィルタや液晶表示素子に使用する場合に、該着色組成物の耐熱性を向上させたり、該着色組成物を用いて形成された画素の強度を増すことが可能である。
尚、一般式(1)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体において、前記一般式(1) で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートに由来する繰返し単位は、「他のラジカル重合性単量体」に由来する繰返し単位中、5〜90モル%含有するものが好ましく、10〜70モル%含有するものが更に好ましく、15〜50モル%含有するものが特に好ましい。
これらの溶剤の使用量は、得られる共重合体100重量部に対し、通常30〜1000重量部、好ましくは50〜800重量部である。溶剤の使用量がこの範囲外では共重合体の分子量の制御が困難となる。
又、アゾ化合物触媒としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスカルボンアミド等が挙げられる。
続いて、エポキシ樹脂含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体のエポキシ基部分に、不飽和一塩基酸(重合性成分)と、多塩基酸無水物(アルカリ可溶性成分)とを反応させる。
具体例としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o−、m−、p−ビニル安息香酸、α−位がハロアルキル基、アルコキシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基などで置換された(メタ)アクリル酸等のモノカルボン酸等が挙げられる。中でも好ましくは(メタ)アクリル酸である。これらの1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの不飽和一塩基酸は、通常、前記共重合体が有するエポキシ基の10〜100モル%に付加させるが、好ましくは30〜100モル%、より好ましくは50〜100モル%に付加させる。不飽和一塩基酸の付加割合が少なすぎると、着色組成物の経時安定性等に関して、残存エポキシ基による悪影響が懸念される。尚、共重合体のエポキシ基に不飽和一塩基酸を付加させる方法としては、公知の方法を採用することができる。
例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水クロレンド酸等の二塩基酸無水物;無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物等の三塩基以上の酸の無水物が挙げられる。中でも、テトラヒドロ無水フタル酸、及び/又は無水コハク酸が好ましい。これらの多塩基酸無水物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの多塩基酸無水物は、通常、前記共重合体が有するエポキシ基に、不飽和一塩基酸を付加させることにより生じる水酸基の10〜100モル%に付加させるが、好ましくは20〜90モル%、より好ましくは30〜80モル%に付加させる。この付加割合が多すぎると、現像時の残膜率が低下する場合があり、少なすぎると溶解性が不十分となる可能性がある。尚、当該水酸基に多塩基酸無水物を付加させる方法としては、公知の方法を採用することができる。
また、現像性を向上させるために、生成したカルボキシル基の一部に、重合性不飽和基を有さないグリシジルエーテル化合物を付加させてもよい。
又、この両方を付加させてもよい。
上述のバインダー樹脂の、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、3000〜100000が好ましく、5000〜50000が特に好ましい。分子量が3000未満であると、耐熱性や膜強度に劣る可能性があり、100000を超えると現像液に対する溶解性が不足する傾向がある。又、分子量分布の目安として、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)の比は、2.0〜5.0が好ましい。
主鎖にカルボキシル基を含有する直鎖状アルカリ可溶性樹脂としては、カルボキシル基を有していれば特に限定されず、通常、カルボキシル基を含有する重合性単量体を重合して得られる。
カルボキシル基含有重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアジピン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアジピン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシブチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシブチルアジピン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシブチルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシブチルヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシブチルフタル酸等のビニル系単量体;アクリル酸にε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン類を付加させたものである単量体;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートにコハク酸、マレイン酸、フタル酸、或いはそれらの無水物等の酸或いは無水物を付加させた単量体等が挙げられる。これらは複数種使用してもよい。
又、主鎖にカルボキシル基を含有する直鎖状アルカリ可溶性樹脂は、上記のカルボキシル基含有重合性単量体に、カルボキシル基を有さない他の重合性単量体を共重合させてもよい。
本発明における主鎖にカルボキシル基を含有する直鎖状アルカリ可溶性樹脂の酸価は、通常30〜500KOHmg/g、好ましくは40〜350KOHmg/g、さらに好ましくは50〜300KOHmg/gである。
前記、主鎖にカルボキシル基を含有する直鎖状アルカリ可溶性樹脂の、カルボキシル基部分にエポキシ基含有不飽和化合物を付加させた樹脂も特に好ましい。
例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、グリシジル−α−エチルアクリレート、クロトニルグリシジルエーテル、(イソ)クロトン酸グリシジルエーテル、N−(3,5−ジメチル−4−グリシジル)ベンジルアクリルアミド、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等の非環式エポキシ基含有不飽和化合物も挙げることができるが、耐熱性や、後述する顔料の分散性の観点から、脂環式エポキシ基含有不飽和化合物が好ましい。
一般式(3a)〜(3m)における、R12のアルキレン基は、炭素数1〜10であるものが好ましい。具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等が例示できるが、好ましくはメチレン基、エチレン基、プロピレン基である。又、R13の炭化水素基としては、炭素数が1〜10であるものが好ましく、アルキレン基、フェニレン基等が挙げられる。
これらの脂環式エポキシ基含有不飽和化合物は、1種類を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
中でも、一般式(3c)で表される化合物が好ましく、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
又、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は、通常2000〜100000、好ましくは4000〜50000、更に好ましくは5000〜30000である。
(メタ)アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸エステルを単量体成分とし、これらを重合してなるポリマーをいう。好ましい(メタ)アクリル系樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸及びベンジル(メタ)アクリレートを含む単量体成分を重合してなるポリマー、及び下記一般式(4)及び/又は(5)で表される化合物を必須とする単量体成分を重合してなるポリマー、を挙げることができる。
(メタ)アクリル酸及びベンジル(メタ)アクリレートを含む単量体成分を重合してなるポリマーは、顔料との親和性が高いという点で、好ましく用いられる。
まず、一般式(4)の化合物について説明する。
一般式(4)で表されるエーテルダイマーにおいて、R1aおよびR2aで表される置換基を有していてもよい炭素数1〜25の炭化水素基としては、特に制限はないが、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、t−アミル、ステアリル、ラウリル、2−エチルヘキシル等の直鎖状または分岐状のアルキル基;フェニル等のアリール基;シクロヘキシル、t−ブチルシクロヘキシル、ジシクロペンタジエニル、トリシクロデカニル、イソボルニル、アダマンチル、2−メチル−2−アダマンチル等の脂環式基;1−メトキシエチル、1−エトキシエチル等のアルコキシで置換されたアルキル基;ベンジル等のアリール基で置換されたアルキル基;等が挙げられる。これらの中でも特に、メチル、エチル、シクロヘキシル、ベンジル等のような酸や熱で脱離しにくい1級または2級炭素の置換基が耐熱性の点で好ましい。なお、R1aおよびR2aは、同種の置換基であってもよいし、異なる置換基であってもよい。
一般式(5)中、R1bは、好ましくは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基を表し、さらに好ましくは水素原子、メチル基である。
また、一般式(6)中、R2b、R3b、R4bの有機基としては、それぞれ独立して、例えばアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アシル基、カルボキシル基、又はアシルオキシ基等が挙げられ、好ましくは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜18のシクロアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数3〜18のシクロアルケニル基、炭素数1〜15のアルコキシ基、炭素数1〜15のアルキルチオ基、炭素数1〜15のアシル基、炭素数1のカルボキシル基、又は炭素数1〜15のアシルオキシ基であり、更に好ましくは、炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数3〜15のシクロアルキル基である。
L1、L2は2価の連結基、L3は2価の連結基又は直接結合であれば特に限定を受けないが、少なくともL1又はL2のどちらかは炭素数1以上の連結基であるのが好ましい。また、L1、L2、L3は、それぞれ独立に、直接結合、炭素数1〜15のアルキレン、−O−、−S−、−C(=O)−、炭素数1〜15のアルケニレン、フェニレン、あるいはそれらの組み合わせが好ましい。
また、一般式(6)の好ましいものとしては、下記一般式(7)で表される化合物を挙げることができる。
一般式(7)中、R5b、R6bの有機基としては、それぞれ独立して、例えばアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アシル基、カルボキシル基、又はアシルオキシ基等が挙げられ、好ましくは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜18のシクロアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数3〜18のシクロアルケニル基、炭素数1〜15のアルコキシ基、炭素数1〜15のアルキルチオ基、炭素数1〜15のアシル基、炭素数1のカルボキシル基、又は炭素数1〜15のアシルオキシ基であり、更に好ましくは、炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数3〜15のシクロアルキル基である。
また、R1bのアルキル基、R2b、R3b、R4b、の各有機基、L1、L2、L3の2価の連結基、Xのアダマンチル基は、それぞれ独立して置換基を有していてよく、具体的には以下の置換基を挙げることができる。
また、上記置換基の位置関係は特に限定されず、複数の置換基を有する場合、同種でも異なっていてもよい。
一般式(5)で表される化合物の具体例としては下記が挙げられる。
前記重合後に酸基を付与しうるモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するモノマー;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有するモノマー;2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアネート基を有するモノマー等が挙げられる。
これら酸基を導入するための単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
また[2−1−4](メタ)アクリル系樹脂は、ラジカル重合性二重結合を有するものであってもよい。
本発明の(メタ)アクリル系樹脂が、[2−1−4a]の項で説明した、前記一般式(4)の化合物を必須の単量体成分とするポリマーである場合、エポキシ基を有することが好ましい。
エポキシ基を導入するには、例えば、エポキシ基を有するモノマー(以下「エポキシ基を導入するための単量体」と称することもある。)を、単量体成分として重合すればよい。
[2−1−4]の(メタ)アクリル系樹脂を得る際の単量体成分は、上記必須の単量体成分のほかに、必要に応じて、他の共重合可能なモノマーを含んでいてもよい。
また、特に(メタ)アクリル系樹脂の一部または全部を、後述するように分散剤として用いる場合は、(メタ)アクリル酸ベンジルを用いることが好ましく、その含有量は、通常全単量体成分中1〜70重量%、好ましくは5〜60重量%であるのがよい。
前記(メタ)アクリル系樹脂を得る際の単量体成分が、前記共重合可能な他のモノマーをも含む場合、その含有割合は特に制限されないが、95重量%以下が好ましく、85重量%以下がより好ましい。
前記単量体成分の重合方法に特に制限はなく、従来公知の各種方法を採用することができるが、特に、溶液重合法によることが好ましい。なお、重合温度や重合濃度(重合濃度=[単量体成分の全重量/(単量体成分の全重量+溶媒重量)]×100とする)は、使用する単量体成分の種類や比率、目標とするポリマーの分子量によって異なる。重合温度に関しては、好ましくは40〜150℃、さらに好ましくは重合温度60〜130℃である。また重合濃度に関しては、好ましくは重合濃度5〜50%、さらに好ましくは10〜40%である。
また分子量調整のために、連鎖移動剤を添加してもよい。連鎖移動剤としては、例えば、n−ドデシルメルカプタン、メルカプト酢酸、メルカプト酢酸メチル等のメルカプタン系連鎖移動剤、α−メチルスチレンダイマー等が挙げられるが、好ましくは、連鎖移動効果が高く、残存モノマーを低減でき、入手も容易な、n−ドデシルメルカプタン、メルカプト酢酸がよい。連鎖移動剤を使用する場合、その使用量は、用いる単量体の組み合わせや、反応条件、目標とするポリマーの分子量等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、ゲル化することなく重量平均分子量が数千〜数万のポリマーを得ることができる点で、通常は全単量体成分に対して0.1〜15重量%、より好ましくは0.5〜10重量%である。
前記アクリル系樹脂を得る際に、単量体成分として、前述した酸基を付与しうるモノマーを用いることにより酸基を導入する場合、重合後に酸基を付与するための処理を行う必要がある。該処理は、用いるモノマーの種類によって異なるが、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのような水酸基を有するモノマーを用いた場合には、コハク酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、マレイン酸無水物等の酸無水物を付加させればよい。グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有するモノマーを用いた場合には、N−メチルアミノ安息香酸、N−メチルアミノフェノール等のアミノ基と酸基を有する化合物を付加させるか、もしくは、まず(メタ)アクリル酸のような酸を付加させ、結果生じた水酸基に、コハク酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、マレイン酸無水物等の酸無水物を付加させればよい。2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアネート基を有するモノマーを用いた場合には、例えば、2−ヒドロキシ酪酸等の水酸基と酸基を有する化合物を付加させればよい。
該処理は、用いるモノマーの種類によって異なるが、例えば、(メタ)アクリル酸やイタコン酸等のカルボキシル基を有するモノマーを用いた場合には、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、o−(またはm−、またはp−)ビニルベンジルグリシジルエーテル等の、エポキシ基とラジカル重合性二重結合とを有する化合物を付加させればよい。無水マレイン酸や無水イタコン酸等のカルボン酸無水物基を有するモノマーを用いた場合には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の、水酸基とラジカル重合性二重結合とを有する化合物を付加させればよい。グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、o−(またはm−、またはp−)ビニルベンジルグリシジルエーテル等の、エポキシ基を有するモノマーを用いた場合には、(メタ)アクリル酸等の酸基とラジカル重合性二重結合とを有する化合物を付加させればよい。
尚、前記(メタ)アクリル系樹脂成分のうち、一般式(4)で表される化合物を必須の単量体成分とするポリマーは、それ自体公知の化合物であり、例えば、特開2004−300203号公報及び特開2004−300204号公報に記載の化合物を挙げることが出来る。
エポキシアクリレート樹脂は、エポキシ樹脂にα,β−不飽和モノカルボン酸又はエステル部分にカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルを付加させ、さらに、多塩基酸無水物を反応させることにより合成される。かかる反応生成物は化学構造上、実質的にエポキシ基を有さず、かつ「アクリレート」に限定されるものではないが、エポキシ樹脂が原料であり、かつ「アクリレート」が代表例であるので、慣用に従いこのように命名したものである。
エポキシ樹脂の他の例としては共重合型エポキシ樹脂が挙げられる。共重合型エポキシ樹脂としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルメチルシクロヘキセンオキサイド、ビニルシクロヘキセンオキサイドなど(以下「共重合型エポキシ樹脂の第1成分」と称す。)とこれら以外の1官能エチレン性不飽和基含有化合物(以下、「共重合型エポキシ樹脂の第2成分」と称す。)、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、スチレン、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、α−メチルスチレン、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、下記一般式(8)で表される化合物から選ばれる1種又は2種以上、とを反応させて得られた共重合体が挙げられる。
一般式(8)の化合物としては、例えば、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート;メトキシジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、等のアルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
このような共重合型エポキシ樹脂としては、具体的には日油社製の「CP−15」、「CP−30」、「CP−50」、「CP−20SA」、「CP−510SA」、「CP−50S」、「CP−50M」、「CP−20MA」等が例示される。
エステル部分にカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルとしては、アクリル酸−2−サクシノイルオキシエチル、アクリル酸−2−マレイノイルオキシエチル、アクリル酸−2−フタロイルオキシエチル、アクリル酸−2−ヘキサヒドロフタロイルオキシエチル、メタクリル酸−2−サクシノイルオキシエチル、メタクリル酸−2−マレイノイルオキシエチル、メタクリル酸−2−フタロイルオキシエチル、メタクリル酸−2−ヘキサヒドロフタロイルオキシエチル、クロトン酸−2−サクシノイルオキシエチル等が挙げられ、好ましくは、アクリル酸−2−マレイノイルオキシエチル及びアクリル酸−2−フタロイルオキシエチルであり、特にアクリル酸−2−マレイノイルオキシエチルが好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
多塩基酸無水物の付加量は、生成するエポキシアクリレート樹脂の酸価が10〜150mg−KOH/gの範囲となるような量が好ましく、更に20〜140mg−KOH/gの範囲が特に好ましい。樹脂の酸価が小さすぎるとアルカリ現像性に乏しくなり、また、樹脂の酸価が大きすぎると硬化性能に劣る傾向が認められる。
バインダー樹脂としては、また、例えば特開2005−154708号公報などに記載のアクリル系のバインダーも用いることができる。
上述した各種バインダー樹脂のうち、特に好ましいのは、[2−1−1]の「エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体に対し、該共重合体が有するエポキシ基の少なくとも一部に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、或いは該付加反応により生じた水酸基の少なくとも一部に多塩基酸無水物を付加させて得られるアルカリ可溶性樹脂」である。
前述の各種バインダー樹脂は、特に前述の分散剤等との併用による相乗効果により、分散安定性に寄与し、結果として分散剤の添加量を減少させることができるため、現像性が向上した、具体的には例えば、基板上の非画像部に未溶解物が残存することなく基板との密着性に優れた、高濃度の色画素を形成し得るといった効果を奏し、好ましい。
このように、分散処理工程に使用するバインダー樹脂としては、前述した各種樹脂を使用することができるが、特に[2−1−4]の(メタ)アクリル系樹脂が好ましく、その中でも前記一般式(4)で表される化合物を必須とするモノマー成分を重合してなるポリマーが最も好ましい。
本発明のカラーフィルタ用着色組成物には、更に、必要に応じ上記成分以外の固形分を配合できる。このような成分としては、光重合性モノマー、光重合開始系成分、有機カルボン酸、有機カルボン酸無水物、界面活性剤、熱重合防止剤、可塑剤、保存安定剤、表面保護剤、密着向上剤、現像改良剤、染料等が挙げられる。
光重合性モノマーは、重合可能な低分子化合物であれば特に制限はないが、エチレン性二重結合を少なくとも1つ有する付加重合可能な化合物(以下、「エチレン性化合物」と称す)が好ましい。エチレン性化合物とは、本発明の着色組成物が活性光線の照射を受けた場合、後述の光重合開始系の作用により付加重合し、硬化するようなエチレン性二重結合を有する化合物である。なお、本発明における単量体は、いわゆる高分子物質に相対する概念を意味し、狭義の単量体以外に二量体、三量体、オリゴマーも含有する概念を意味する。
不飽和カルボン酸と多価カルボン酸及び多価ヒドロキシ化合物とのエステル化反応により得られるエステルは、必ずしも単一物ではなく、混合物であっても良い。代表例としては、例えば、アクリル酸、フタル酸及びエチレングリコールの縮合物、アクリル酸、マレイン酸及びジエチレングリコールの縮合物、メタクリル酸、テレフタル酸及びペンタエリスリトールの縮合物、アクリル酸、アジピン酸、ブタンジオール及びグリセリンの縮合物等が挙げられる。
また、エチレン性化合物は酸価を有するモノマーであってもよい。酸価を有するモノマーとしては、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルであり、脂肪族ポリヒドロキシ化合物の未反応のヒドロキシル基に非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸基を持たせた多官能モノマーが好ましく、特に好ましくは、このエステルにおいて、脂肪族ポリヒドロキシ化合物がペンタエリスリトール及び/又はジペンタエリスリトールであるものである。
酸基を有する多官能モノマーの好ましい酸価としては、0.1〜40mgKOH/gであり、特に好ましくは5〜30mgKOH/gである。多官能モノマーの酸価が低すぎると現像溶解特性が落ち、高すぎると製造や取扱いが困難になり光重合性能が落ち、画素の表面平滑性等の硬化性が劣る傾向がある。従って、異なる酸基の多官能モノマーを2種以上併用する場合、或いは酸基を有しない多官能モノマーを併用する場合、全体の多官能モノマーとしての酸基が上記範囲に入るように調整することが好ましい。
光重合開始剤は、通常、加速剤及び必要に応じて添加される増感色素等の付加剤との混合物(光重合開始系)として用いられる。光重合開始系は、光を直接吸収し、或いは光増感されて分解反応又は水素引き抜き反応を起こし、重合活性ラジカルを発生する機能を有する成分である。
光重合開始系成分を構成する光重合開始剤としては、例えば、特開昭59−152396号、特開昭61−151197号各公報に記載のチタノセン化合物を含むメタロセン化合物や、特開平10−39503号公報記載のヘキサアリールビイミダゾール誘導体、ハロメチル−s−トリアジン誘導体、N−フェニルグリシン等のN−アリール−α−アミノ酸類、N−アリール−α−アミノ酸塩類、N−アリール−α−アミノ酸エステル類等のラジカル活性剤、α-アミノアルキルフェノン系化合物、特開2000−80068号公報に記載されているオキシムエステル系開始剤等が挙げられる。
2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシカルボニルナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のハロメチル化トリアジン誘導体;
2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン等のアントラキノン誘導体;
ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ジ−クロライド、ジ−シクロペンタジェニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジェニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル−1一イル、ジ−シクロペンタジェニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル−1−イル、ジ−シクロペンタジェニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジェニル−Ti−2,6一ジープルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジェニル−Ti−2,4−ジ−フルオロフエニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジェニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジェニル−Ti−ビス−2,6−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジェニル−Ti−2,6−ジ−フルオロ−3−(ピル−1−イル)−フェニ−1−イル等のチタノセン誘導体;
これら光重合開始剤及び加速剤は、それぞれ1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
増感色素もまた1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
本発明の着色組成物は、分子量1000以下の有機カルボン酸および/または有機カルボン酸無水物を含有していてもよい。
これら分子量1000以下の有機カルボン酸及び/又は有機カルボン酸無水物を添加することによって、高いパターン密着性を保ちながら、着色組成物の未溶解物の残存をより一層低減することが可能である。
界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、非イオン系、両性界面活性剤等、各種のものを用いることができるが、諸特性に悪影響を及ぼす可能性が低い点で、非イオン系界面活性剤を用いるのが好ましい。界面活性剤の濃度範囲としては、全組成物量に対して通常0.001重量%以上、好ましくは0.005重量%以上、更に好ましくは0.01重量%以上、最も好ましくは0.03重量%以上、また、通常10重量%以下、好ましくは1重量%以下、更に好ましくは0.5重量%以下、最も好ましくは0.3重量%以下の範囲が用いられる。
熱重合防止剤としては、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ピロガロール、カテコール、2,6−t−ブチル−p−クレゾール、β−ナフトール等が用いられる。熱重合防止剤の配合量は、組成物の全固形分に対し0重量%以上、3重量%以下の範囲であることが好ましい。
可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等が用いられる。これら可塑剤の配合量は、組成物の全固形分に対し、通常10重量%以下の範囲であることが好ましい。
次に、本発明に係る着色組成物(以下、レジストと称することがある)を調製する方法を説明する。
又、顔料としては上述の臭素化亜鉛フタロシアニンを含む緑色顔料を含有することが必須ではあるが、調色用に他の顔料と混合して分散を行ってもよい。
サンドグラインダーを用いて分散処理を行なう場合は、0.1から数mm径のガラスビーズ、又は、ジルコニアビーズを用いるのが好ましい。分散処理する際の温度は、通常0℃以上、好ましくは室温以上、また、通常100℃以下、好ましくは80℃以下の範囲に設定する。なお、分散時間は、顔料分散液の組成、及びサンドグラインダーの装置の大きさなどにより適正時間が異なるため、適宜調整する必要がある。
次に、本発明に係るカラーフィルタについて説明する。
本発明に係るカラーフィルタは、基板上に上述の着色組成物を用いて画素が形成されたことを特徴とする。
カラーフィルタの透明基板としては、透明で適度の強度があれば、その材質は特に限定されるものではない。材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスルホンの熱可塑性樹脂製シート、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂などの熱硬化性樹脂シート、又は各種ガラスなどが挙げられる。この中でも、耐熱性の観点からガラスまたは耐熱性樹脂が好ましい。
上述の透明基板上にブラックマトリクスを設け、更に通常は赤色、緑色、青色の画素画像を形成することにより、本発明に係るカラーフィルタを製造することができる。上記着色組成物は、赤色、緑色、青色の画素のうち、緑色の画素(レジストパターン)形成用塗布液として使用される。当該緑色レジストを用い、透明基板上に形成された樹脂ブラックマトリクス形成面上、又は、クロム化合物その他の遮光金属材料を用いて形成した金属ブラックマトリクス形成面上に、塗布、加熱乾燥、画像露光、現像及び熱硬化の各処理を行なって画素画像を形成する。
これらの金属遮光膜は、一般にスパッタリング法によって形成され、ポジ型フォトレジストにより、膜状に所望のパターンを形成した後、クロムに対しては硝酸第二セリウムアンモニウムと過塩素酸及び/又は硝酸とを混合したエッチング液を用い、その他の材料に対しては、材料に応じたエッチング液を用いて蝕刻され、最後にポジ型フォトレジストを専用の剥離剤で剥離することによって、ブラックマトリクスを形成することができる。
画素の形成方法は、使用する着色組成物の種類により異なるが、ここでは着色組成物として光重合性組成物を用いた場合を例に説明する。
ブラックマトリクスを設けた透明基板上に、赤色、緑色、青色のうち一色の着色組成物を塗布し、乾燥した後、塗布膜の上にフォトマスクを重ね、このフォトマスクを介して画像露光、現像、必要に応じて熱硬化又は光硬化により画素画像を形成させ、着色層を作成する。この操作を、赤色、緑色、青色の三色の着色組成物について各々行なうことによって、カラーフィルタ画像を形成することができる。
基板に着色組成物を塗布した後の塗布膜の乾燥は、ホットプレート、IRオーブン、コンベクションオーブンを使用した乾燥法によるのが好ましい。通常は、予備乾燥の後、再度加熱させて乾燥させる。予備乾燥の条件は、前記溶剤成分の種類、使用する乾燥機の性能などに応じて適宜選択することができる。乾燥温度及び乾燥時間は、溶剤成分の種類、使用する乾燥機の性能などに応じて選択されるが、具体的には、乾燥温度は通常40℃以上、好ましくは50℃以上、また、通常80℃以下、好ましくは70℃以下の範囲であり、乾燥時間は通常15秒以上、好ましくは30秒以上、また、通常5分間以下、好ましくは3分間以下の範囲である。
画像露光は、着色組成物の塗布膜上に、ネガのマトリクスパターンを重ね、このマスクパターンを介し、紫外線又は可視光線の光源を照射して行なう。この際、必要に応じ、酸素による光重合性層の感度の低下を防ぐため、光重合性層上にポリビニルアルコール層などの酸素遮断層を形成した後に露光を行なってもよい。上記の画像露光に使用される光源は、特に限定されるものではない。光源としては、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、蛍光ランプなどのランプ光源や、アルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー、窒素レーザー、ヘリウムカドミニウムレーザー、半導体レーザーなどのレーザー光源などが挙げられる。特定の波長の光を照射して使用する場合には、光学フィルタを利用することもできる。
本発明に係るカラーフィルタは、本発明に係る着色組成物を用いた塗布膜に対し、上記の光源によって画像露光を行なった後、有機溶剤、又は、界面活性剤とアルカリ性化合物とを含む水溶液を用いて現像を行なうことによって、基板上に画像を形成して製造することができる。この水溶液には、更に有機溶剤、緩衝剤、錯化剤、染料又は顔料を含ませることができる。
現像処理の条件には特に制限はないが、現像温度は通常10℃以上、中でも15℃以上、更には20℃以上、また、通常50℃以下、中でも45℃以下、更には40℃以下の範囲が好ましい。現像方法は、浸漬現像法、スプレー現像法、ブラシ現像法、超音波現像法などの何れかの方法によることができる。
現像の後のカラーフィルタには、熱硬化処理を施す。この際の熱硬化処理条件は、温度は通常100℃以上、好ましくは150℃以上、また、通常280℃以下、好ましくは250℃以下の範囲で選ばれ、時間は5分間以上、60分間以下の範囲で選ばれる。これら一連の工程を経て、一色のパターニング画像形成は終了する。この工程を順次繰り返し、ブラック、赤色、緑色、青色をパターニングし、カラーフィルタを形成する。なお、4色のパターニングの順番は、上記した順番に限定されるものではない。
本発明に係るカラーフィルタは、このままの状態で画像上にITOなどの透明電極を形成して、カラーディスプレー、液晶表示装置などの部品の一部として使用されるが、表面平滑性や耐久性を高めるため、必要に応じ、画像上にポリアミド、ポリイミドなどのトップコート層を設けることもできる。また一部、平面配向型駆動方式(IPSモード)などの用途においては、透明電極を形成しないこともある。
次に、本発明に係る液晶表示装置(パネル)の製造法について説明する。本発明に係る液晶表示装置は、通常、上記本発明に係るカラーフィルタ上に配向膜を形成し、この配向膜上にスペーサを散布した後、対向基板と貼り合わせて液晶セルを形成し、形成した液晶セルに液晶を注入し、対向電極に結線して完成する。配向膜は、ポリイミド等の樹脂膜が好適である。配向膜の形成には、通常、グラビア印刷法及び/又はフレキソ印刷法が採用され、配向膜の厚さは数10nmとされる。熱焼成によって配向膜の硬化処理を行なった後、紫外線の照射やラビング布による処理によって表面処理し、液晶の傾きを調整しうる表面状態に加工される。
周辺をシールされた液晶セルは、パネル単位に切断した後、真空チャンバー内で減圧とし、上記液晶注入口を液晶に浸漬した後、チャンバー内をリークすることによって、液晶を液晶セル内に注入する。液晶セル内の減圧度は、通常1×10-2Pa以上、好ましくは1×10-3以上、また、通常1×10-7Pa以下、好ましくは1×10-6Pa以下の範囲である。また、減圧時に液晶セルを加温するのが好ましく、加温温度は通常30℃以上、好ましくは50℃以上、また、通常100℃以下、好ましくは90℃以下の範囲である。
減圧時の加温保持は、通常10分間以上、60分間以下の範囲とされ、その後、液晶中に浸漬される。液晶を注入した液晶セルは、液晶注入口を、UV硬化樹脂を硬化させて封止することによって、液晶表示装置(パネル)が完成する。
<実施例1〜2及び比較例1〜6>
[1]緑色顔料の合成
[1−1]合成例1:臭素化亜鉛フタロシアニンaおよびbの合成
フタロジニトリル、塩化亜鉛を原料として亜鉛フタロシアニンを製造した。これの1−クロロナフタレン溶液は、600〜700nmに光の吸収を有していた。ハロゲン化は、塩化スルフリル3.1重量部、無水塩化アルミニウム3.7重量部、塩化ナトリウム0.46重量部、亜鉛フタロシアニン1重量部を40℃で混合し、臭素4.4重量部を滴下して行った。80℃で15時間反応し、その後、反応混合物を水に投入し、臭素化亜鉛フタロシアニン粗顔料を析出させた。この水性スラリーをろ過し、80℃の湯洗浄を行い、90℃で乾燥させ、3.0重量の精製された臭素化亜鉛フタロシアニン粗顔料を得た。
得られた臭素化亜鉛フタロシアニン顔料a及びbは、質量分析によるハロゲン含有量分析から平均組成ZnPcBr14Cl2で(Pc:フタロシアニン)、1分子中に平均14個の臭素を含有するものであった。また透過型電子顕微鏡(日立製作所社製H−9000UHR)で測定した一次粒径の平均値は、顔料aが0.050μm、顔料bが0.023μmであった。なお顔料の平均一次粒径は、顔料aおよびbを各々、クロロホルム中に超音波分散し、コロジオン膜貼り付けメッシュ上に滴下して、乾燥させ、透過型電子顕微鏡(TEM)観察により、顔料の一次粒子像を得、この像から一次粒径を測定し平均粒径を求めた。
[2−1]合成例2:分散剤Cの合成
分子量約5000を有するポリエチレンイミン50重量部、n=5のポリカプロラクトン40重量部、及びステアリン酸6重量部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート300重量部と混合し、150℃3時間、窒素雰囲気下にて攪拌した。こうして合成した分散剤のアミン価は54mgKOH/g、酸価は10mgKOH/gであった。
<アミン価(有効固形分換算)の測定方法>
100mLのビーカーに、上記合成により得られた分散剤中の0.5〜1.5gを精秤し、50mLの酢酸で溶解した。pH電極を備えた自動滴定装置を使って、この溶液を0.1mol/L HClO4酢酸溶液にて中和滴定した。滴定pH曲線の変曲点を滴定終点とし次式によりアミン価を求めた。
アミン価[mgKOH/g]=(561×V)/(W×S)
(但し、W:分散剤試料秤取量[g]、V:滴定終点での滴定量[mL]、S:分散剤試料の固形分濃度[wt%]を表す。)
[3−1]合成例3:分散樹脂Dの合成
反応槽として冷却管を付けたセパラブルフラスコを準備し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート400重量部を仕込み、窒素置換したあと、攪拌しながらオイルバスで加熱して反応槽の温度を90℃まで昇温した。
室温まで冷却し、重量平均分子量8000、酸価101mgKOH/gの重合体溶液を得た。
前記合成例3の、メタクリル酸シクロヘキシルをメタクリル酸ベンジルに変更した以外は全て同様の条件にて分散樹脂Eを合成した。その結果、重量平均分子量8000、酸価103mgKOH/gの重合体溶液を得た。
緑色顔料として合成例にて得られた臭素化亜鉛フタロシアニンaまたはbを7.24重量部及びC.I.ピグメントイエロー150を2.54重量部、また比較例4、5については緑色顔料としてC.I.ピグメントグリーン36を6.31重量部及びC.I.ピグメントイエロー150を3.47重量部使用し、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート60.00重量部、分散剤として表1に記載の各種を固形分換算で1.96重量部、および表1に記載の分散樹脂を固形分換算で3.26重量部、径0.5mmのジルコニアビーズ225重量部をステンレス容器に充填し、ペイントシェーカーにて6時間分散させて緑色顔料分散液を調製した。
<分散剤A:ビックケミー社製分散剤「BYK-LPN6919」>
メタクリル酸系ABブロック共重合体。アミン価は121mgKOH/g、酸価は1mgKOH/g以下である。
Bブロックに含まれる、窒素原子含有官能基を有する繰返し単位のうち、約100モル%が下記式(i)で表される構造であり、また下記式(ii)で表される繰返し単位の、Aブロックにおける割合は11モル%であった。
親溶媒性を有するAブロックと、窒素原子含有官能基を有するBブロックからなるメタクリル系ABブロック共重合体。窒素原子含有官能基(吸着基)が主に下記構造
[5−1]合成例5:バインダー樹脂Fの合成
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート145重量部を窒素置換しながら攪拌し120℃に昇温した。ここにスチレン20重量部、グリシジルメタクリレート57部およびトリシクロデカン骨格を有するモノアクリレート(日立化成(株)製FA−513M)82重量部を滴下し、更に120℃で2時間攪拌し続けた。次ぎに反応容器内を空気置換に変え、アクリル酸27重量部にトリスジメチルアミノメチルフェノール0.7重量部およびハイドロキノン0.12重量部を投入し、120℃で6時間反応を続けた。その後、テトラヒドロ無水フタル酸(THPA)52重量部、トリエチルアミン0.7重量部を加え、120℃3.5時間反応させた。こうして得られたバインダー樹脂FのGPCにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量Mwは約15000であった。
前記の各顔料分散液に他の成分を混合して、表2で表す着色組成物を調製した。
顔料分散液を調製直後、及び、23℃の恒温槽に7日間静置した後の粘度(20rpm)を東機産業社製E型粘度計「RE-80L」を用いて測定した。各実施例及び比較例の顔料分散液について、調製直後と調製7日後に測定した粘度を表3に示す。
[8−1]色度測定
50mm角、厚さ0.7mmのガラス基板(旭硝子社製、AN100)上に、上記着色組成物をスピンコーターで塗布した後、80℃で3分間乾燥した。次いで、2kW高圧水銀灯により、300mJ/cm2の露光量で全面露光処理を行った。その後、現像処理を、0.1重量%炭酸ナトリウム水溶液を使用し、現像液温度23℃で現像を行った。ついで、3kg/cm2の水圧で30秒間スプレー水洗処理を行い着色組成物塗布基板を作成した。その後、温度230℃で、30分間の熱硬化処理を行った。
こうして得られた塗布基板について、日立製作所製分光光度計U−3310により透過スペクトルを測定した。C光源にて算出した色度を表4に示す。
以下に示す方法により色度測定に用いた塗布基板(以下、着色板と称す)のコントラストを測定した。結果を表5に示す。
<着色板を用いた着色組成物のコントラスト測定>
図1(a),(b)は、いずれも、着色板の平行透過光および直交透過光の色度を測定する方法を説明するための模式的な図である。まず、図1(a)に示すように、上記[8−1]で得られた塗布基板(カラーフィルタに相当。以下「着色板34」と称す)の両側に偏光板33,35を重ねて、偏光板33,35の偏光軸を互いに平行にした状態で、一方の偏光板35の側からバックライト37の光36を当てて、他方の偏光板33を透過した光の輝度Lp(平行透過光の輝度)を色彩輝度計トプコンテクノハウス製「BM−5A」32を使用して、2゜視野の条件で測定した。
なお、バックライト37は、図2に示すような発光スペクトルを有るものを用いた。このスペクトルの測定は、コニカミノルタ製分光放射輝度計CS−1000Aと、光量を制御し、測定を容易にするため、ケンコー社製のフィルタ「NDフィルターND4」を用いて測定し算出した。また、偏光板33,35は、図3のスペクトル特性を持つものを用いた。
以上の結果より、次のことが明らかである。
(1)本発明に係る顔料分散液は、緑色画素の高輝度化を目的として臭素化亜鉛フタロシアニン緑色顔料を用いた場合にこれまで問題となっていた、高コントラストと分散安定性の両立を実現できる。
(2)本発明に係る顔料分散液を用いて調製した着色組成物を用いて作製したカラーフィルタは高輝度、高コントラストを両立した極めて高品質のものである。
1.本発明に係る顔料分散液は、緑色画素の高輝度化を目的として臭素化亜鉛フタロシアニン緑色顔料を用いた場合にこれまで問題となっていた、高コントラストと分散安定性の両立を実現し得る。
2.上記顔料分散液を用いて作製した着色組成物は、高輝度、高コントラスト及び長期保存安定性を両立し得る。
3.上記着色組成物を緑色画素として用いたカラーフィルタは極めて高い色特性を有する。
4.本発明に係る液晶表示装置は、高輝度、高コントラストを両立した緑色画素を有する極めて高品質なカラーフィルタを使用しているため、極めて高品質である。
33,35 偏光板
34 着色板
36 光
37 バックライト
Claims (8)
- 顔料、溶剤および分散剤を含有し、該顔料が臭素化亜鉛フタロシアニンを含有し、該分散剤が、親溶媒性を有するAブロック及び窒素原子を含む官能基を有するBブロックからなるブロック共重合体であり、そのアミン価が80mgKOH/g以上150mgKOH/g以下(有効固形分換算)である分散剤を含有する、ことを特徴とする顔料分散液。
- 前記ブロック共重合体からなる分散剤において、窒素原子を含む官能基成分のうち少なくとも20モル%以上が1〜3級アミノ基である、請求項1に記載の顔料分散液。
- 前記ブロック共重合体からなる分散剤において、1〜3級アミノ基を有する繰返し単位が、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート由来である、請求項1または2に記載の顔料分散液。
- 顔料の平均一次粒径が0.04μm以下である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の顔料分散液。
- 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の顔料分散液、およびバインダー樹脂を含有してなる、ことを特徴とするカラーフィルタ用着色組成物。
- さらに光重合開始系を含有してなる、請求項5記載のカラーフィルタ用着色組成物。
- 請求項5または6に記載のカラーフィルタ用着色組成物を用いて作成した画素を有する、ことを特徴とするカラーフィルタ。
- 請求項7に記載のカラーフィルタと、液晶駆動用基板を対向させ、両者の間に液晶を封入してなる、ことを特徴とする液晶表示装置。
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