JP5381682B2 - 着色樹脂組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置及び有機elディスプレイ - Google Patents

着色樹脂組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置及び有機elディスプレイ Download PDF

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Description

本発明は着色樹脂組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置及び有機ELディスプレイに関する。更に詳しくは、色材として臭素化亜鉛フタロシアニン顔料を含有し、分散安定性が高く、析出物が少なく、カラーフィルタ用途に供した際に色特性や製版特性に優れる着色樹脂組成物と、該着色樹脂組成物を用いて形成された画素を有するカラーフィルタ、及び該カラーフィルタを備えた液晶表示装置に関する。
従来、液晶表示装置等に用いられるカラーフィルタを製造する方法としては、顔料分散法、染色法、電着法、印刷法が知られている。中でも、分光特性、耐久性、パターン形状及び精度等の観点から、平均的に優れた特性を有する顔料分散法が最も広範に採用されている。
近年、技術革新の流れは急速であり、カラーフィルタに対しては、より高透過、高コントラスト且つ高濃度が要求されている。カラーフィルタの色を決める色材としては、耐熱、耐光性等の観点から一般には顔料が用いられるが、顔料種としては、固有の透過吸収スペクトルが可視光波長領域でバックライトの蛍光体スペクトルと合致するものが好適に用いられている。例えば、緑色顔料としては古くからハロゲン化銅フタロシアニン顔料が各種黄色顔料との組み合わせにより実用化されている。
一方、世界規模での環境問題の深刻さからより消費電力の低い液晶ディスプレイの開発は急務となっている。液晶ディスプレイは従来のCRTに比べ、インチあたりの消費電力は低いが、大画面化によりその効果が相殺されてしまう。カラーフィルタの透過性をあげること、すなわち高輝度化は低消費電力、バックライトの低コスト化につながる重要な課題である。
こうした状況下、近年、緑色画素の高輝度化に関して、特許文献1乃至2に記載のような、特定の色相を有する新しいフタロシアニン緑色顔料、具体的には臭素化亜鉛フタロシアニン緑色顔料が提案され、従来のハロゲン化銅フタロシアニン緑色顔料との差異化が実現された。
CRTに匹敵する画像のために、液晶ディスプレイは高輝度であることと同時に高コントラストであることが求められるが、当該臭素化亜鉛フタロシアニン緑色顔料は、コントラストを上げるために微細化していくと分散安定性が極度に低下し、二次凝集体による光散乱の影響で、テレビ用としてはコントラスト性能が不十分になるという問題点があった。
さらに微細化された臭素化亜鉛フタロシアニン緑色顔料を用いた顔料分散液は、分散安定性を保つことが難しく、再凝集による増粘、経時での顔料の結晶化、それに続く析出によるコントラスト低下などの問題も起こった。
高透過性をもつ微粒化された当該顔料を如何に安定に分散液中に存在させるかは、近年極めて重要な技術課題となっている。
特開2004−70342号公報 特開2004−70343号公報
本発明は上述の課題に鑑みてなされたもので、その目的は下記の通りである。
(a)カラーフィルタにおける緑色画素の高輝度化を目的として臭素化亜鉛フタロシアニン顔料を用いた場合に問題となっていた、
(1)経時での粘度の上昇、
(2)経時でのコントラストの低下、
(3)経時での結晶発生
等が改善された、高コントラストで分散安定性に優れ、かつ現像性あるいはインクジェット印刷性能が良好な着色樹脂組成物を提供すること。
(b)上記着色樹脂組成物を用いて、高品質のカラーフィルタを提供すること。
(c)上記カラーフィルタを使用した、高品質の液晶表示装置を提供すること。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、臭素化亜鉛フタロシアニン骨格の部分構造に対する活量係数の相対値と、その含有量が特定の関係を満たす混合溶媒を用いることにより分散安定性が保たれた臭素化亜鉛フタロシアニンの顔料分散液や着色樹脂組成物を実現し、又、当該着色樹脂組成物を使用することによって、高品質のカラーフィルタ及び当該カラーフィルタを具備する液晶表示装置を提供し得ることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の要旨は、下記(1)〜(13)に存する。
(1)(A)顔料、及び(B)溶媒を含有し、
(A)顔料が臭素化亜鉛フタロシアニン顔料を含有し、
(B)溶媒が下記式(0)を満たす、溶媒1〜溶媒nのn種類の溶媒を含有することを特徴とする着色樹脂組成物。
γ+・・・+γ+・・・+γ=110〜1000 ・・・(0)(上記式(0)において、
nは1〜10の整数を表し、
iは1〜nの整数を表し、
γは溶媒iの、臭素化亜鉛フタロシアニン顔料の部分構造に対する活量係数の相対値を表す。又、n≧2の場合、Wは溶媒1〜溶媒nのn種類の溶媒の合計100重量部に対する溶媒iの重量部を表し、n=1の場合、W=W=100である。)
(2) 前記臭素化亜鉛フタロシアニン顔料が、C.I.(カラーインデックス)ピグメントグリーン58を含有することを特徴とする、前記(1)に記載の着色樹脂組成物。
(3) (B)溶媒が、n種類の溶媒の一つとして、1,3―ブチレングリコールジアセテート及びプロピレングリコールジアセテートのうち少なくとも一方を含むことを特徴とする、前記(1)又は(2)に記載の着色樹脂組成物。
(4) (B)溶媒が、n種類の溶媒の一つとして、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテートを含むことを特徴とする、前記(1)乃至(3)のいずれか1項に記載の着色樹脂組成物。
(5) (B)溶媒が、n種類の溶媒の一つとして、プロピレングリコールジアセテート、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルのうち少なくとも一つを含むことを特徴とする、前記(1)又は(2)に記載の着色樹脂組成物。
(6) (B)溶媒が、n種類の溶媒の一つとして、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含むことを特徴とする、前記(1)、(2)又は(5)に記載の着色樹脂組成物。
(7) (C)分散剤を含有することを特徴とする、前記(1)乃至(6)のいずれか1項に記載の着色樹脂組成物。
(8) (D)バインダ樹脂を含有することを特徴とする、前記(1)乃至(7)のいずれか1項に記載の着色樹脂組成物。
(9) (E)重合性モノマーを含有することを特徴とする、前記(1)乃至(8)のいずれか1項に記載の着色樹脂組成物。
(10) カラーフィルタ用である、前記(1)乃至(9)のいずれか1項に記載の着色樹脂組成物。
(11) 前記(1)乃至(10)のいずれか1項に記載の着色樹脂組成物を用いて作製された画素を有することを特徴とするカラーフィルタ。
(12) 前記(11)に記載のカラーフィルタを具備する液晶表示装置。
(13) 前記(11)に記載のカラーフィルタを具備する有機ELディスプレイ。
本発明は以下に挙げる効果を奏する。
(a)カラーフィルタにおける緑色画素の高輝度化を目的として臭素化亜鉛フタロシアニン顔料を用いた場合に、
(1)経時での粘度の上昇、
(2)経時でのコントラストの低下、
(3)経時での結晶発生
等の問題点が改善された、高コントラストで分散安定性に優れ、かつ現像性あるいはインクジェット印刷性能が良好な着色樹脂組成物を提供することができる。
(b)上記着色樹脂組成物を用いて、高品質のカラーフィルタを提供することができる。
(c)上記カラーフィルタを使用した、高品質の液晶表示装置を提供することができる。
図1は、バックライト37の発光スペクトルを表す図である。 図2は、着色板の平行透過光および直交透過光の色度を測定する方法を説明するための模式的な図である。 図3は、偏光板33、35のスペクトル特性を示す図である。 本発明のカラーフィルタを備えた有機EL素子の一例を示す断面概略図である。
以下に、本発明の構成要件等について詳細に説明するが、これらは本発明の実施態様の一例であり、これらの内容に限定されるものではない。
尚、「(メタ)アクリル」等は「アクリル及びメタクリルのうち少なくとも一つ」、「(メタ)アクリレート」等は、「アクリレート及びメタクリレートのうち少なくとも一つ」等を意味するものとし、例えば「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸及びメタクリル酸のうち少なくとも一つ」を意味するものとする。
又、「全固形分」とは、顔料分散液または着色樹脂組成物に含まれる溶媒成分以外の全成分を意味するものとする。
本発明において、重量平均分子量とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)を指す。
又、本発明において、「アミン価」とは、特に断りのない限り有効固形分換算のアミン価を表し、分散剤の固形分1gあたりの塩基量と当量のKOHの重量で表される値である。なお、測定方法については後述する。
又、「C.I.ピグメントグリーン」等の用語は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。
以下に本発明の着色樹脂組成物の各構成成分を説明する。本発明に係る着色樹脂組成物は、臭素化亜鉛フタロシアニン顔料、及び溶媒を必須成分とし、更に要すれば、上記成分以外の添加物等を含有していてもよい。
<(A)顔料>
本発明の着色樹脂組成物では、(A)顔料の必須成分として、臭素化亜鉛フタロシアニン顔料を使用する。
通常の亜鉛フタロシアニンは1分子中に16個の水素原子を有しており、これらの水素原子を臭素原子乃至塩素原子で置換したものが、本発明で好ましく使用される臭素化亜鉛フタロシアニン顔料である。中でも1分子中に臭素原子を平均13個以上含有する臭素化亜鉛フタロシアニンが、極めて高い透過率を示し、カラーフィルタの緑色画素を形成するのに適している点から好ましい。更には、1分子中に臭素原子を13〜16個有し、且つ1分子中に塩素を含まないか又は平均3個以下有する臭素化亜鉛フタロシアニンが好ましく、特に1分子中に臭素原子を平均14〜16個有し、且つ1分子中に塩素原子を含まないか又は平均2個以下有する臭素化亜鉛フタロシアニンが好ましい。特に好ましくは、C.I.ピグメントグリーン58である。
このような臭素化亜鉛フタロシアニン顔料は、特開昭50−130816号公報等に開示されている公知の製造方法で製造できる。例えば、芳香環の水素原子の一部又は全部が臭素の他、塩素等のハロゲン原子で置換されたフタル酸やフタロニトリルを適宜出発原料として使用して、顔料を合成する方法が挙げられる。この場合、必要に応じてモリブデン酸アンモニウム等の触媒を用いてもよい。
他の方法としては、塩化アルミニウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム等の混合物からなる110〜170℃程度の溶融物中で、亜鉛フタロシアニンを臭素ガスで臭素化する方法が挙げられる。この方法においては、溶融塩中の塩化物と臭化物の比率を調節したり、塩素ガスの導入量や反応時間を変化させたりすることによって、臭素含有量の異なる種々の臭素化亜鉛フタロシアニンの比率を任意にコントロールすることができる。
反応終了後、得られた混合物を塩酸等の酸性水溶液中に投入すると、生成した臭素化亜鉛フタロシアニンが沈殿する。その後、ろ過、洗浄、乾燥等の後処理を行って、臭素化亜鉛フタロシアニンを得る。
こうして得られた臭素化亜鉛フタロシアニンは、単独で使用してもよいが、臭素化率乃至は塩素化率の異なる臭素化亜鉛フタロシアニンや、本発明の効果を損なわない範囲で、中心金属が他の金属に置換された臭素化フタロシアニンなどと混合して用いることができる。塩素化率及び臭素化率を変えることや、中心金属を変えることにより顔料としての色調が変わり、再現できる色相のバリエーションが増えることが期待できる。又、同じ緑色顔料でも、後述するC.I.ピグメントグリーン(P.G.)36や7等のハロゲン化銅フタロシアニンと混合しても良い。
臭素化亜鉛フタロシアニンを含む緑色顔料の平均一次粒径は、通常0.1μm以下、好ましくは0.04μm以下、より好ましくは0.03μm以下、さらに好ましくは0.025μm以下であり、また通常0.005μm以上である。
平均一次粒径を上記上限値以下とすることにより、組成物中に異物が発生し難く、消偏性が低く、十分なコントラストと光透過率を有する画素を形成することができ、また下限値以上とすることにより、分散安定性が良好で、十分な耐熱性・耐光性を担保した着色樹脂組成物を得ることができる。
なお、顔料の平均一次粒径は次の方法で求めることができる。すなわち、顔料をクロロ
ホルム中に超音波分散し、コロジオン膜貼り付けメッシュ上に滴下して、乾燥させ、透過型電子顕微鏡(TEM)観察により、顔料の一次粒子像を得る。この像から一次粒径を測定し、下式の計算式の通り個数平均値を計算し平均粒径を求める。
有機顔料の場合は、個々の顔料粒子の粒径を、同じ面積となる円の直径に換算した面積円相当径として、複数個、通常200〜300個程度の顔料粒子についてそれぞれ粒径を求めた後、下式の計算式の通り個数平均値を計算し平均粒径を求める。
こうして得られた臭素化亜鉛フタロシアニン顔料を、必要に応じてアトライター、ボールミル、振動ミル、振動ボールミル等の粉砕機内で乾式摩砕し、ついで、ソルベントソルトミリング法やソルベントボイリング法等で顔料化することによって、透過率やコントラストの高い緑色を発色する臭素化亜鉛フタロシアニン顔料が得られる。顔料化方法には特に制限は無いが、容易に結晶成長を抑制でき、且つ比表面積の大きい顔料粒子が得られる点でソルベントソルトミリング法を採用するのが好ましい。
ソルベントソルトミリング法とは、合成直後の粗顔料と、無機塩と、有機溶媒とを混練摩砕することを意味する。具体的には、粗顔料と、無機塩と、それを溶解しない有機溶媒とを混練機に仕込み、その中で混練摩砕を行う。この際の混練機としては、例えばニーダーやミックスマーラー、もしくは、特開2006−77062号公報に記載されているような環状の固定円盤と同心の回転円盤の間隙部分の形成された粉砕空間を有する連続混練機等が好適に使用される。
上記無機塩としては、水溶性無機塩が好適に使用でき、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等の無機塩を用いることが好ましい。又、これら無機塩の粒子径は0.5〜50μmであることがより好ましい。このような無機塩は、通常の無機塩を微粉砕することで容易に得られる。
本発明の着色樹脂組成物に用いる(A)顔料としては、臭素化亜鉛フタロシアニン顔料が必須であるが、必要に応じて、他の緑色顔料、又は黄色顔料等の緑色顔料以外のものを併用してもよい。以下、使用できる顔料の具体例をピグメントナンバーで示す。
緑色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、36、45、48、50、51、54、及び55等を挙げることができる。
黄色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、1:1、2、3、4、5、6、9、10、12、13、14、16、17、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、41、42、43、48、53、55、61、62、62:1、63、65、73、74、75,81、83、87、93、94、95、97、100、101、104、105、108、109、110、111、116、117、119、120、126、127、127:1、128、129、133、134、136、138、139、142、147、148、150、151、153、154、155、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、172、173、174、175、176、180、181、182、183、184、185、188、189、190、191、191:1、192、193、194、195、196、197、198、1
99、200、202、203、204、205、206、207、208等を挙げることができる。この中でも、好ましくはC.I.ピグメントイエロー83、117、129、138、139、150、154、155、180、185等、さらに好ましくはC.I.ピグメントイエロー83、138、139、150、180等を挙げることができる。
なお、(A)顔料としては、本発明の効果を損なわない範囲で、上述以外の顔料を含有してもよい。又、これらの顔料は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
又、これらの(A)顔料全体の平均一次粒径は、通常0.2μm以下、好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.04μm以下、特に好ましくは0.025μm以下であり、また通常0.005μm以上である。上記顔料の微粒化に際しては、前述したソルベントソルトミリング法のような手法が好適に用いられる。
本発明の着色樹脂組成物における(A)顔料の含有量は、全固形分に対し、通常75重量%以下、好ましくは70重量%以下、より好ましくは60重量%以下であり、また通常10重量%以上、好ましくは20重量%以上、より好ましくは25重量%以上である。
(A)顔料の量を上記上限値以下とすることにより、現像液溶解性やインクジェット印刷性などを維持するために必要な共存成分の量を十分に確保することができる。
また下限値以上とすることにより、必要以上に厚膜化することなく、カラーフィルタの画素に求められる色濃度を達成することができる。
<(B)溶媒の活量係数>
(B)溶媒は、本発明の着色樹脂組成物において、(A)顔料のほか、場合により配合した他の成分などを溶解又は分散させ、粘度を調節する機能を有する。
本発明における(B)溶媒は、下記式(0)を満たす、溶媒1〜溶媒nのn種類の溶媒を含有する。
γ+・・・+γ+・・・+γ=110〜1000 (0)
(上記式(0)において、nは1〜10の整数を表し、iは1〜nの整数を表し、γは溶媒iの、臭素化亜鉛フタロシアニン顔料の部分構造に対する活量係数の相対値を表す。又、n≧2の場合、Wは溶媒1〜溶媒nのn種類の溶媒の合計100重量部に対する溶媒iの重量部を表し、n=1の場合、W=W=100である。)
なお、本発明における「溶媒1」「溶媒2」等は、n種類の溶媒を呼び分けるために便宜上番号を付けた呼称であり、その数値自体に特に意味は無い。
活量係数の相対値を表すγは、各々独立に、通常0.01〜100であり、好ましくは0.01〜60、より好ましくは0.01〜10、更に好ましくは0.01〜5である。活量係数の相対値γを上記の範囲に制御することにより、着色樹脂組成物における(A)顔料の分散安定性が向上する。
前記式(0)において、nは1〜10の整数を表し、好ましくは1〜8、より好ましくは1〜6、特に好ましくは1〜4の整数を表し、最も好ましくは1または2である。nの値を上記上限値以下とすることにより、本発明の効果がより顕著に現れ、溶媒の品質や添加量の工程上の振れに起因する品質の振れの可能性が少なくなり、また製造プロセス上の煩雑さも低下するため好ましい。
本発明における(B)溶媒は、前記式(0)を満たすn種類の溶媒を含有し、式(0)の値(右辺)が110以下であると、着色樹脂組成物中に臭素化亜鉛フタロシアニン顔料が析出しやすくなる傾向がある。逆に、1000以上であると、当該顔料の分散安定性が著しく低下する場合がある。
尚、活量係数の算出は、ドルトムントデータバンクソフトウエアパッケージ(Dortmund
Data Bank Software Package)2007年版に内蔵のドルトムント修正UNIFAC法
(Modified UNIFAC(Dortmund))2007年度版で実施する。なお、例えばC.I.ピ
グメントグリーン58の部分構造としては、臭素原子団(−Br)4個、芳香族系炭素原子団(−C=)4個、芳香族系炭素+脂肪族系炭素原子団(−C−CH)1個を仮定して、これに対する活量係数(すなわち活量係数の相対値)を、各溶媒の分子構造全体から算出する。また臭素化率や塩素化率の異なる臭素化亜鉛フタロシアニン顔料の場合も、同様に部分構造を仮定することにより、各溶媒につき活量係数の相対値を求めることができる。
このように、活量係数の相対値に応じた含有割合を満たす混合溶媒(但しn=1の場合は単独溶媒)を使用することにより、着色樹脂組成物における臭素化亜鉛フタロシアニン顔料の析出が抑制される理由は定かではないが、以下のように推測される。
すなわち、本発明のような顔料分散体は、共存する樹脂成分や分散剤(以下樹脂成分等)が主として吸着などにより顔料の近傍に存在することによって、これら樹脂成分等の立体的あるいは電気的な相互反発作用により、顔料本体同士の接近、つまり顔料の凝集を防ぎ、顔料分散体としての色特性などを確保している。
ところが、顔料に対する吸着性が樹脂成分等よりも高い溶媒成分が、系中に一定量以上存在する場合、顔料の大半に優先的に溶媒和(吸着)した溶媒分子によって、他の樹脂成分等が顔料の近傍に存在することが妨げられる。
しかし、これら溶媒分子自体は、顔料の分散に用いられる樹脂成分等に比べて、立体的相互作用や電気的相互作用がはるかに小さいため、顔料の分散状態を維持することができず、溶媒和した顔料の濃度が溶媒種によって決まる一定濃度を越えると、析出物となってしまう。すなわち、式(0)で表される数値が一定値以下の場合は臭素化亜鉛フタロシアニン顔料の析出が発生すると考えられる。
一方、式(0)で表される数値が一定値を越える場合、上記のような溶媒が顔料に直接吸着する作用は弱いため、上記のような機構で析出物が発生することはほとんど無いと考えられる。
が、顔料と、共存する樹脂成分等の間の吸着平衡で生成する、これら「樹脂成分等が吸着していない臭素化亜鉛フタロシアニン顔料」が、ほとんど溶媒和しないため、速やかに析出して平衡系の外に出てしまう。
結果として、吸着平衡が樹脂成分等の吸着が外れる方向へ動くことで、さらに臭素化亜鉛フタロシアニン顔料の析出が進んでしまうと考えられる。
以上のことから着色樹脂組成物における臭素化亜鉛フタロシアニン顔料の析出を抑制するためには、前記式(0)で表したように、活量係数の相対値に応じた含有割合を満たす混合溶媒(但しn=1の場合は単独溶媒)を使用することが必要であると推測される。
<(B)溶媒の種類と含有量>
前記式(0)を満たすn種の溶媒は、カラーフィルタ用着色樹脂組成物に通常使用されるものの中から適宜選択し、その含有量を調整することによって前記式(0)を満たすよう、混合割合を決定すればよい。具体的には、例えば以下のものから適宜選択することができるが、これらの溶媒に限定されるものではない。
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコール−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、メトキシメチルペンタノール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、ト
リエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテルのようなグリコールモノアルキルエーテル類;
エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルのようなグリコールジアルキルエーテル類;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテートのようなグリコールアルキルエーテルアセテート類;
エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサノールジアセテートなどのグリコールジアセテート類;
シクロヘキサノールアセテートなどのアルキルアセテート類;
アミルエーテル、プロピルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ブチルエーテル、ジアミルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジヘキシルエーテルのようなエーテル類;
アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソアミルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチルアミルケトン、メチルブチルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルノニルケトン、メトキシメチルペンタノンのようなケトン類;
エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、メトキシメチルペンタノール、グリセリン、ベンジルアルコールのような1価又は多価アルコール類;
n−ペンタン、n−オクタン、ジイソブチレン、n−ヘキサン、ヘキセン、イソプレン、ジペンテン、ドデカンのような脂肪族炭化水素類;
シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキセン、ビシクロヘキシルのような脂環式炭化水素類;
ベンゼン、トルエン、キシレン、クメンのような芳香族炭化水素類;
アミルホルメート、エチルホルメート、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸アミル、メチルイソブチレート、エチレングリコールアセテート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、イソ酪酸メチル、エチルカプリレート、ブチルステアレート、エチルベンゾエート、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、γ−ブチロラクトンのような鎖状又は環状エステル類;
3−メトキシプロピオン酸、3−エトキシプロピオン酸のようなアルコキシカルボン酸類;
ブチルクロライド、アミルクロライドのようなハロゲン化炭化水素類;
メトキシメチルペンタノンのようなエーテルケトン類;
アセトニトリル、ベンゾニトリルのようなニトリル類等。
上記に該当する市販の溶媒としては、ミネラルスピリット、バルソル#2、アプコ#18ソルベント、アプコシンナー、ソーカルソルベントNo.1及びNo.2、ソルベッソ#150、シェルTS28 ソルベント、カルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート、ジグライム(いずれも商品名)などが挙げられる。
本発明に係る(B)溶媒としては、式(0)を満たすn種類の溶媒を含有することが必要であるが、本発明の効果を損なわない限り、他の溶媒を含有していてもよい。
このような「他の溶媒」の含有量は、(B)溶媒総量中、個々の溶媒種につき通常1重量%未満、好ましくは0.5重量%以下であり、また合計で通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下であり、少ないほうが好ましい。
前記式(0)を満たすn種類の溶媒の組み合わせとしては、例えば1,3−ブチレングリコールジアセテート(以下、「1,3BGDA」と称することがある。臭素化亜鉛フタロシアニン顔料の部分構造に対する活量係数の相対値γ=2.29。以下同様。)と、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート(以下、「DGBEA」と称することがある。γ=0.78。)との組み合わせが挙げられる。この場合、これら2種の溶媒の合計100重量部に対する各々の重量部を、1,3BGDA21〜100重量部、DGBEA79〜0重量部に制御することにより、前記式(0)の値を110〜229に制御することができる。より好ましくは、この範囲の中から、後述するように着色樹脂組成物の粘度などを考慮し、所望の割合を決定する。
なお、前述した例示溶媒の中で、γの値が比較的大きなものとしては、例えば、シクロヘキサン(γ=1.81)、1,3−ブチレングリコールジアセテート(γ=2.29)、プロピレングリコールジアセテート(γ=2.92)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(γ=3.29)、プロピレングリコールモノターシャリーブチルエーテル(γ=3.56)、エチレングリコールジアセテート(γ=4.3)等が挙げられ、又、比較的小さなものとしては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(γ=0.94)、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート(γ=0.78)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(γ=0.62)等が挙げられる。
尚、本発明の着色樹脂組成物を、後述するフォトリソグラフィ法によるカラーフィルタ用画素の形成に使用する場合には、組成物の粘度上昇や顔料析出の抑制、及び得られる画素の光学特性や製版性の面から、(B)溶媒が、プロピレングリコールジアセテート、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートのうち少なくとも一つを含むことが好ましい。特に、(B)溶媒に含まれるn種類の溶媒の一つとして、プロピレングリコールジアセテート、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルのうち少なくとも一つを含み、且つプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含み、これら2種以上の溶媒を前記式(0)を満たす割合で併用することが好ましい。
一方、本発明の着色樹脂組成物を、後述するインクジェット法によるカラーフィルタ用画素の形成に使用する場合には、組成物の粘度上昇や顔料析出の抑制、及び得られる画素の光学特性や製版性の面から、(B)溶媒が、1,3―ブチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート及びジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテートのうち少なくとも一方を含むことが好ましい。特に、(B)溶媒に含まれるn種類の溶媒の一つとして、1,3―ブチレングリコールジアセテート及びプロピレングリコールジアセテートのうち少なくとも一方を含み、且つジエチレングリコールモノ−n
−ブチルエーテルアセテートを含み、これら2種以上の溶媒を前記式(0)を満たす割合で併用することが好ましい。
これら以外でも、使用を試みる各溶媒について、前述の方法にてγを計算し、それらの含有量を前記式(0)を満たすように決めることにより、本発明の効果を奏する着色樹脂組成物を得ることが出来る。
尚、前記式(0)を満たすn種類の溶媒の各々は、(B)溶媒中に占めるその割合が著しく小さい場合、本発明の効果に寄与しない可能性がある。従って、(B)溶媒におけるn種の溶媒の各々の割合は、通常1重量%以上、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上である。但し、(B)溶媒中における割合の上限値は、100重量%である。
<フォトリソグラフィー法にてカラーフィルタの画素を形成する場合>
フォトリソグラフィー法にてカラーフィルタの画素を形成する場合、溶媒としては沸点が100〜200℃(圧力1013.25[hPa]条件下。以下、沸点に関しては全て同様。)の範囲のものを選択するのが好ましい。より好ましくは120〜170℃の沸点をもつものである。
上記溶媒中、塗布性、表面張力などのバランスが良く、組成物中の構成成分の溶解度が比較的高い点からは、グリコールアルキルエーテルアセテート類が好ましい。
また、グリコールアルキルエーテルアセテート類は、単独で使用してもよいが、他の溶媒を併用してもよい。併用する溶媒として、特に好ましいのはグリコールモノアルキルエーテル類である。中でも、特に組成物中の構成成分の溶解性からプロピレングリコールモノメチルエーテルが好ましい。なお、グリコールモノアルキルエーテル類は極性が高く、添加量が多すぎると顔料が凝集しやすく、後に得られる着色樹脂組成物の粘度が上がっていくなどの保存安定性が低下する傾向があるので、溶媒中のグリコールモノアルキルエーテル類の割合は(B)溶媒全体の中で5重量%〜30重量%が好ましく、5重量%〜20重量%がより好ましい。
また、150℃以上の沸点をもつ溶媒を併用することも好ましい。このような高沸点の溶媒を併用することにより、着色樹脂組成物は乾きにくくなるが、急激に乾燥することによる顔料分散液の相互関係の破壊を起こし難くする効果がある。高沸点溶媒の含有量は、(B)溶媒全体に対して3重量%〜50重量%が好ましく、5重量%〜40重量%がより好ましく、5重量%〜30重量%が特に好ましい。高沸点溶媒の量が少なすぎると、例えばスリットノズル先端で色材成分などが析出・固化して異物欠陥を惹き起こす可能性があり、また多すぎると組成物の乾燥速度が遅くなり、後述するカラーフィルタ製造工程における、減圧乾燥プロセスのタクト不良や、プリベークのピン跡といった問題を惹き起こすことが懸念される。
なお、沸点150℃以上の溶媒が、グリコールアルキルエーテルアセテート類であっても、またグリコールアルキルエーテル類であってもよく、この場合は、沸点150℃以上の溶媒を別途含有させなくてもかまわない。
<インクジェット法にてカラーフィルタの画素を形成する場合>
インクジェット法にてカラーフィルタの画素を形成する場合、溶媒としては、沸点が、通常・BR>P30℃以上300℃以下、好ましくは150℃以上280℃以下のものが適当である。沸点が低すぎると、得られる塗膜の均一性が不良になる傾向がある。逆に沸点が高すぎると、後述するように、着色樹脂組成物の乾燥抑制の効果は高いが、熱焼成後においても塗膜中に残留溶媒が多く存在し、品質上の不具合を生じたり、真空乾燥などでの乾燥時間が長くなり、タクトタイムを増大させるなどの不具合を生じたりする場合がある。
また、溶媒の蒸気圧は、得られる塗膜の均一性の観点から、通常10mmHg以下、好ましくは5mmHg以下、より好ましくは1mmHg以下のものが使用できる。
なお、インクジェット法によるカラーフィルタ製造において、ノズルから発せられるインクは数〜数十pLと非常に微細であるため、ノズル口周辺あるいは画素バンク内に着弾する前に、溶媒が蒸発してインクが濃縮・乾固する傾向がある。これを回避するためには溶媒の沸点は高い方が好ましく、具体的には、沸点180℃以上の溶媒を含むことが好ましい。より好ましくは、沸点が200℃以上、特に好ましくは沸点が220℃以上である溶媒を含有する。また、沸点180℃以上である高沸点溶媒は、本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物に含まれる(B)溶媒全体の中で、50重量%以上であることが好ましく、70重量%以上がより好ましく、90重量%以上が最も好ましい。高沸点溶媒が50重量%未満である場合には、液滴からの溶媒の蒸発防止効果が十分に発揮されない場合もある。
好ましい高沸点溶媒として、例えば前述の各種溶媒の中ではジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサノールジアセテート、トリアセチン、プロピレングリコールジアセテートなどが挙げられる。
さらに、顔料分散液や着色樹脂組成物の粘度調整や固形分の溶解度調整のためには、沸点が180℃より低い溶媒を一部含有することも効果的である。このような溶媒としては、低粘度で溶解性が高く、低表面張力であるような溶媒が好ましく、エーテル類、エステル類やケトン類などが好ましい。中でも特に、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、シクロヘキサノールアセテートなどが好ましい。
一方、溶媒がアルコール類を含有すると、インクジェット法における吐出安定性が劣化する場合がある。よって、アルコール類は(B)溶媒全体の中で20重量%以下とすることが好ましく、10重量%以下がより好ましく、5重量%以下が特に好ましい。
本発明の着色樹脂組成物全体に占める(B)溶媒の含有量は、特に制限はないが、その上限は通常99重量%以下とする。(B)溶媒が99重量%を超える場合は、顔料、分散剤などが少なくなり過ぎて塗布膜を形成するには不適当である。一方、(B)溶媒含有量の下限は、塗布に適した粘性などを考慮して、通常75重量%以上、好ましくは80重量%以上、更に好ましくは82重量%以上である。
<(C)分散剤>
本発明における着色樹脂組成物は、さらに分散剤を含有することが好ましい。
本発明に使用される分散剤に特に制限はなく、本発明の効果を損なわない限り、顔料分散液やカラーフィルタ用着色樹脂組成物に通常使用されるものの中から適宜選択すればよいが、例えば(C−1)窒素原子を含有するグラフト共重合体、(C−2)窒素原子を含有するアクリル系ブロック共重合体、及び(C−3)ウレタン樹脂分散剤から選ばれた1つ以上の分散剤を含有することが好ましい。特に、臭素化亜鉛フタロシアニン顔料の分散性の点からは、(C−2)窒素原子を有するアクリル系ブロック共重合体を含有する分散剤が好ましい。
これら(C−1)〜(C−3)はいずれも、これに含まれる窒素原子が顔料表面に対して親和性をもち、窒素原子以外の部分が媒質に対する親和性を高めることにより、全体として分散安定性の向上に寄与するものと推定される。
分散剤の性能は、その固体表面に対する吸着挙動により大きく左右される。分子のアーキテクチャーと吸着挙動の関係については、同じユニットを用いた場合は、ランダム共重合<グラフト共重合体<ブロック共重合体、の順で吸着挙動が優れていることが知られて
いる(例えば、Jones and Richards,"Polymers at Surfaces and Interfaces"p281)。
詳しいメカニズムは不明であるが、以下のことが推察される。
即ち、通常のランダム共重合体の場合、共重合体を構成するモノマーは、重合体形成時に、立体的に及び/又は電気的に、共重合体中に安定的に配置される確率が高くなる。モノマーが安定的に配置された部分(分子)は、立体的に及び/又は電気的に安定しているため、顔料に吸着するとき、かえって障害となる場合がある。これに対し、グラフト共重合体あるいはブロック共重合体のように分子配列が制御された樹脂は、分散剤の吸着を妨げる部分を、顔料と分散剤との吸着部から離れた位置に配置することができる。つまり、顔料と分散剤との吸着部には吸着に最適な部分を、溶剤親和性が必要な部分にはそれに適した部分を配置することができる。特に結晶子サイズの小さい顔料の分散には、この分子配置が良好な分散性に影響するものと推察される。
<(C−1)窒素原子を含有するグラフト共重合体>
(C−1)窒素原子を含有するグラフト共重合体(以下、「分散剤(C−1)」と称す場合がある。)は、顔料を極めて効率よく分散しうる点で好ましい。その理由は明らかではないが、顔料と分散剤との吸着の障害となる部分(分子)が、顔料への吸着部周辺に配置することを、積極的に排斥し得る構造を有しているためと推察される。窒素原子を含有するグラフト共重合体としては、主鎖に窒素原子を含有する繰り返し単位を有するものが好ましい。中でも、下記一般式(I)で表される繰り返し単位又は/及び下記一般式(II)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。
(上記一般式(I)において、R51は炭素数1〜5のアルキレン基を表し、Aは水素原子又は後述する一般式(III)〜(V)のいずれかで表される基を示す。)
(上記一般式(II)において、R51およびAは、それぞれ前記一般式(I)におけると同義である。)
前記一般式(I)および(II)において、R51はメチレン基、エチレン基、プロピレン基等の直鎖状又は分岐状の炭素数1〜5のアルキレン基を表し、好ましくは炭素数2〜
3であり、更に好ましくはエチレン基である。
Aは水素原子又は下記一般式(III)〜(V)のいずれかを表すが、好ましくは下記式
(III)で表される構造である。
(上記一般式(III)中、Wは炭素数2〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を表
し、中でもブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基等の炭素数4〜7のアルキレン基が好ましい。pは1〜20の整数を表し、好ましくは5〜10の整数である。)
(上記一般式(IV)中、Yは2価の連結基を表し、中でもエチレン基、プロピレン基等の炭素数1〜4のアルキレン基、又はエチレンオキシ基、プロピレンオキシ基等の炭素数1〜4のアルキレンオキシ基が好ましい。Wはエチレン基、プロピレン基、ブチレン基等の直鎖状又は分岐状の炭素数2〜10のアルキレン基を表し、中でもエチレン基、プロピレン基等の炭素数2〜3のアルキレン基が好ましい。Yは水素原子又は−CO−R52(R52はエチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の炭素数1〜10のアルキル基を表し、中でもエチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等の炭素数2〜5のアルキル基が好ましい。)を表す。qは、1〜20の整数を表し、好ましくは5〜10の整数である。)
(上記一般式(V)中、Wは炭素数1〜50のアルキル基又は水酸基を1〜5個有する炭素数1〜50のヒドロキシアルキル基を表し、中でもステアリル等の炭素数10〜20のアルキル基、モノヒドロキシステアリル等の水酸基を1〜2個有する炭素数10〜20
のヒドロキシアルキル基が好ましい。)
分散剤(C−1)における一般式(I)又は一般式(II)で表される繰り返し単位の含有率は、高い方が好ましく、通常50モル%以上であり、好ましくは70モル%以上である。一般式(I)で表される繰り返し単位と、一般式(II)で表される繰り返し単位の、両方を併有してもよく、その含有比率に特に制限は無いが、一般式(I)の繰り返し単位を多く含有していた方が好ましい。一般式(I)又は一般式(II)で表される繰り返し単位の合計数は、1分子中に通常1〜100、好ましくは10〜70、更に好ましくは20〜50である。
又、分散剤(C−1)は一般式(I)及び一般式(II)以外の繰り返し単位を含んでいてもよく、他の繰り返し単位としては、例えばアルキレン基、アルキレンオキシ基などが例示できる。
(C−1)のグラフト共重合体は、その末端が−NHまたは−R51−NH(但しR51は、前記一般式(I)におけるR51と同義である)のものが好ましい。
なお、分散剤(C−1)はグラフト共重合体であれば、主鎖が直鎖状であっても分岐していてもよい。
分散剤(C−1)のアミン価は、通常5〜100mgKOH/gであり、好ましくは10〜70mgKOH/gであり、更に好ましくは15〜40mgKOH/g以下である。アミン価が低すぎると分散安定性が低下し、粘度が不安定になることがあり、逆に高すぎると残渣が増加したり、液晶パネルを形成した後の電気特性が低下することがある。なお、分散剤のアミン価は、分散剤試料中の溶剤を除いた固形分1gあたりの塩基量と当量のKOHの重量で表し、次の方法により測定する。
100mLのビーカーに分散剤試料の0.5〜1.5gを精秤し、50mLの酢酸で溶解する。pH電極を備えた自動滴定装置を使って、この溶液を0.1mol/LのHClO4酢酸溶液にて中和滴定する。滴定pH曲線の変曲点を滴定終点とし次式によりアミン価を求める。
アミン価[mgKOH/g]=(561×V)/(W×S)
(但し、W:分散剤試料秤取量[g]、V:滴定終点での滴定量[mL]、S:分散剤試料の固形分濃度[重量%]を表す。)
分散剤(C−1)のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、3000〜100000が好ましく、5000〜50000が特に好ましい。重量平均分子量が3000未満であると、顔料の凝集を防ぐことができず、高粘度化ないしはゲル化してしまうことがあり、100000を超えるとそれ自体が高粘度となり、また有機溶剤への溶解性が不足する場合がある。
分散剤(C−1)の合成方法は、公知の方法が採用でき、例えば特公昭63−30057号公報に記載の方法を用いることができる。
本発明において、分散剤(C−1)としては、上述のものと同様の構造を有する市販のグラフト共重合体を適用することもできる。
<(C−2)アクリル系ブロック共重合体>
(C−2)アクリル系ブロック共重合体(以下「分散剤(C−2)」と称す場合がある。)は、(A)顔料を極めて効率よく分散しうる点で好ましい。その理由は明らかではないが、分子配列が制御されていることにより、分散剤が顔料に吸着する際に障害となる構造が少ないためと推察される。
分散剤(C−2)のアクリル系ブロック共重合体としては、親溶剤性を有するAブロック及び窒素原子を含む官能基を有するBブロックからなるブロック共重合体が好ましい。
具体的にはBブロックとしては、窒素原子含有官能基として側鎖に4級アンモニウム塩基、及び/又はアミノ基を有するBブロックが挙げられ、親溶剤性のAブロックとしては、4級アンモニウム塩基、及び/又はアミノ基を有さないAブロックが挙げられる。これらAブロックおよびBブロックからなる、ABブロック共重合体、及び/又はA−BAブロック共重合体が好ましい。以下、これらを例に、より詳細に説明する。
Bブロックにおける4級アンモニウム塩基は、好ましくは−N313233・Z(但し、R3132及びR33は、各々独立に、水素原子、又は置換されていてもよい環状若しくは鎖状の炭化水素基を表す。或いは、R31、R32及びR33のうち2つ以上が互いに結合して、環状構造を形成していてもよい。Zは、対アニオンを表す。)で表される4級アンモニウム塩基である。この4級アンモニウム塩基は、直接主鎖に結合していてもよいが、2価の連結基を介して主鎖に結合していてもよい。
−N313233・Zにおいて、R31、R32及びR33のうち2つ以上が互いに結合して形成する環状構造としては、例えば5〜7員環の含窒素複素環単環又はこれらが2個縮合してなる縮合環が挙げられる。該含窒素複素環は芳香性を有さないものが好ましく、飽和環であればより好ましい。具体的には、例えば下記のものが挙げられる。
(上記式中、RはR31、R32及びR33のうち何れかの基を表す。これらの環状構造は、更に置換基を有していてもよい。)
−N313233におけるR31、R32及びR33としてより好ましいのは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜3のアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基、又は置換基を有していてもよいベンジル基である。
4級アンモニウム塩基を有するBブロックとしては、下記一般式(VI)で表される部分構造を含有するものが好ましい。
(上記一般式(VI)中、R31、R32及びR33は各々独立に、水素原子、又は置換されていてもよい環状若しくは鎖状の炭化水素基を表す。或いは、R31、R32及びR33のうち2つ以上が互いに結合して、環状構造を形成していてもよい。R34は、水素原子又はメチル基を表す。Xは、2価の連結基を表し、Zは、対アニオンを表す。)
一般式(VI)において、R31、R32及びR33の炭化水素基は、それぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数6〜20の芳香族基を有する置換基が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ベンジル基、フェニル基等を挙げることができる。中でもメチル基、エチル基、プロピル基及びベンジル基が好ましい。
一般式(VI)において、2価の連結基Xとしては、例えば、炭素数1〜10のアルキレン基、アリーレン基、−CONH−R35−、−COO−R36−(但し、R35及びR36は、それぞれ独立に、直接結合、炭素数1〜10のアルキレン基、又は炭素数1〜10のエーテル基(−R37−O−R38−:R37及びR38は、各々独立にアルキレン基)を表す。)等が挙げられ、好ましくは−COO−R36−である。
又、対アニオンのZとしては、Cl、Br、I、ClO 、BF 、CHCOO、PF 等が挙げられる。
ブロック共重合体としては(メタ)アクリル系ブロック共重合体が好ましく、以下、前記ブロック共重合体が(メタ)アクリル系ブロック共重合体である場合を中心に、本発明における分散剤について説明する。
一方、Bブロックは、窒素原子を含む官能基としてアミノ基を含有していてもよく、該アミノ基としては1〜3級アミノ基が好ましい。特に、本発明の必須成分である臭素化亜鉛フタロシアニン顔料の分散性が良好である点から、Bブロックが1〜3級アミノ基を有していることが好ましい。分散剤(C−2)のアクリル系ブロック共重合体を構成する単量体組成において、該1〜3級アミノ基を有する単量体の割合は20モル%以上が好適であり、より好ましくは50モル%以上である。アミノ基の量を上記下限値以上とすることにより、顔料に対する分散剤の吸着性を十分に確保し、高い分散安定性を得ることができる。
1〜3級アミノ基の中でも特に3級アミノ基が好ましい。該3級アミノ基として、具体的には−NR4142(但し、R41及びR42は、各々独立に、置換基を有していてもよい環状又は鎖状のアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいアラルキル基を表す。)で表される構造などが挙げられる。このような構造を有する繰り返し単位としては、例えば下記一般式で表される構造が挙げられる。
(但し、R41及びR42は、上述したR41及びR42と同義であり、R43は炭素数1以上のアルキレン基、R44は水素原子又はメチル基を表す。)
中でも、R41及びR42はメチル基が好ましく、R43はメチレン基又はエチレン基が好ましい。R44は水素原子もしくはメチル基であるのが好ましいが、より好ましくはメチル基である。このような部分構造としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート由来の構造が、特に好適に用いられる。
上記の如きアミノ基を含有する部分構造は、1つのBブロック中に2種以上含有されていてもよい。その場合、2種以上のアミノ基含有部分構造は、該Bブロック中においてランダム共重合又はブロック共重合の何れの態様で含有されていてもよい。
また、前述の4級アンモニウム塩基やアミノ基等の、窒素原子含有官能基を含有しない部分構造が、Bブロック中に一部含まれていてもよく、そのような部分構造の例としては、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー由来の部分構造等が挙げられる。かかる窒素原子含有官能基を含まない部分構造の、Bブロック中の含有量は、好ましくは0〜50重量%、より好ましくは0〜20重量%であるが、当該部分構造はBブロック中に含まれないことが最も好ましい。
分散剤(C−2)のアクリル系ブロック共重合体を構成する親溶媒性のAブロックとしては、上述したアミノ基等の窒素原子含有官能基を有さず、上述したBブロックを構成するモノマーと共重合しうるモノマーから成るものであれば、特に制限は無い。
親溶媒性のAブロックとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン系モノマー;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、グリシジル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、エチルアクリル酸グリシジル、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;(メタ)アクリル酸クロライドなどの(メタ)アクリル酸塩系モノマー;酢酸ビニル系モノマー;アリルグリシジルエーテル、クロトン酸グリシジルエーテルなどのグリシジルエーテル系モノマーなどのコモノマーを共重合させたポリマー構造が挙げられる。
中でもAブロックとして、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどのポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートを共重合成分として含む(すなわち、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート由来の部分構造を含む)ものが好ましく、特に下記式(VII)で表される部分構造を有
するAブロックが好ましい。
(式中、gは1〜5の整数を表し、R60は水素原子又はメチル基を表す。)
上記式(VII)で表される部分構造は、分散剤(C−2)を構成する単量体換算で、1
分子中に3〜20モル%含まれることが好ましく、3〜10モル%含まれることが特に好ましい。
作用機構の詳細は不明であるが、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート由来の部分構造、特に上記式にて表される部分構造を有することにより、分散剤分子の水素結合性を高めることが可能であり、分散溶媒との親和性が向上し、分散系の安定性が増すものと考えられる。
また、Aブロックは、適度な疎水性を付与することにより、溶剤の非極性部分へのなじみを良くする点において、特に下記一般式(VIII)で表される、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー由来の部分構造を含むことが好ましい。
(上記一般式(VIII)中、R39は、水素原子又はメチル基を表す。R40は、置換基を有していてもよい環状又は鎖状のアルキル基、置換基を有していてもよいアリ−ル基、又は置換基を有していてもよいアラルキル基を表す。)
なお、顔料との親和性が高く、なじみが良いという点では、R40は環状の基であることが好ましい。
上記(メタ)アクリル酸エステル系モノマー由来の部分構造は、1つのAブロック中に
2種以上含有されていてもよい。もちろん該Aブロックは、更にこれら以外の部分構造を含有していてもよい。2種以上のモノマー由来の部分構造がAブロック中に存在する場合、各部分構造は該Aブロック中においてランダム共重合又はブロック共重合の何れの態様で含有されていてもよい。Aブロック中に上記(メタ)アクリル酸エステル系モノマー由来の部分構造以外の部分構成を含有する場合、当該(メタ)アクリル酸エステル系モノマー以外の部分構造の、Aブロック中の含有量は、好ましくは0〜99重量%、より好ましくは0〜85重量%である。
本発明で用いられる分散剤(C−2)は、このようなAブロックとBブロックとからなる共重合体、好ましくはABブロック又はABAブロック共重合体を含有する。中でもABブロック共重合体が好ましい。このようなブロック共重合体は、例えば以下に示すリビング重合法にて調製される。
リビング重合法にはアニオンリビング重合法、カチオンリビング重合法、ラジカルリビング重合法がある。具体的には、例えば特開2007−270147号公報に記載の方法が挙げられる。
分散剤(C−2)の固形分1gのアミン価は、有効固形分換算で通常1〜300mgKOH/g程度であるが、その好ましい範囲は、Bブロックが4級アンモニウム塩基を有する場合と有さない場合とで異なる。
即ち、分散剤(C−2)のABブロック共重合体及びA−BAブロック共重合体の、Bブロックが4級アンモニウム塩基を有する場合、該共重合体1g中の4級アンモニウム塩基の量は、0.1〜10mmolであることが好ましい。この範囲内とすることにより、着色樹脂組成物の良好な耐熱性と分散性を兼備することができるため好ましい。このようなブロック共重合体中には、製造過程で生じたアミノ基が含有される場合があり、そのアミン価は、通常、共重合体1gあたり1〜100mgKOH/g程度、好ましくは1〜50mgKOH/g、より好ましくは1〜30mgKOH/gである。
又、Bブロックに4級アンモニウム塩基を含まない場合、該共重合体のアミン価は、通常なら、50〜300mgKOH/g程度、好ましくは50〜200mgKOH/g、より好ましくは80mgKOH/g以上150mgKOH/g以下、更に好ましくは90〜150mgKOH/gであり、最も好ましくは100〜140mgKOH/gである。
4級アンモニウム塩基の量およびアミン価がいずれも低すぎる場合には、分散剤分子の顔料表面への吸着力が不十分となり、十分な分散安定性を得ることが困難となる。一方、4級アンモニウム塩基の量が多すぎたり、アミン価が高すぎる場合には、相対的にAブロックの分子量が小さくなり、分散安定性が不十分となる場合がある。言い換えれば、最適な分散性を発現するために、4級アンモニウム塩基の量やアミン価が上記範囲にある、ということになる。尚、本発明のアミン価の測定方法は前述の通りである。
又、分散剤(C−2)の酸価は、該酸価の元となる酸性基の有無及び種類にもよるが、一般に低い方が好ましく、通常100mgKOH/g以下であり、好ましくは50mgKOH/g以下、より好ましくは40mgKOH/g以下、最も好ましくは30mgKOH/g以下である。
分散剤(C−2)の分子量は、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で通常1000以上、100,000以下の範囲である。ブロック共重合体の分子量を上記下限値以上とすることにより、高い分散安定性を有することができ、上限値以下とすることにより、良好な現像性、解像性を担保することができる。
本発明においては、分散剤(C−2)として上述のものと同様の構造を有する市販のアクリル系ブロック共重合体を適用することもできる。
本発明の着色樹脂組成物は、特に臭素化亜鉛フタロシアニン顔料の分散性の点を考えると、上述の分散剤(C−2)を含有することが好ましい。分散剤としてこのようなブロック共重合体を用いることにより、顔料表面への強固な吸着と、高い溶媒親和性を同時に満たすことができるため、高い分散安定性を発現することができる。
なお、酸性処理された顔料を使用する場合には、分散剤のアミン価を高めることで、顔料表面への吸着力が増すため、一層分散安定性が向上し、好ましい。
また、顔料の平均一次粒径が小さいときには、比表面積が増大するため、顔料の単位表面積当たりの分散剤吸着量が少なくなる。このような場合に、分散剤(C−2)は、他の構造の分散剤と比べて効果の差が非常に顕著に現れるため、特に好適に用いられる。
本発明における分散剤は、着色樹脂組成物中の(A)顔料全体に対して5〜200重量%程度使用することが好ましく、10〜100重量%程度使用することがより好ましい。
<(C−3)ウレタン樹脂分散剤>
(C−3)ウレタン樹脂分散剤(以下「分散剤(C−3)」と称す場合がある。)としては、ポリイソシアネート化合物と、同一分子内に水酸基を1個又は2個有する化合物と、同一分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物とを反応させることによって得られるウレタン樹脂が特に好ましい。
上記ポリイソシアネート化合物の例としては、例えば国際公開パンフレットWO2008/153000A1に記載された各化合物等が挙げられる。
中でも好ましいのは有機ジイソシアネートの三量体で、最も好ましいのはトリレンジイソシアネートの三量体とイソホロンジイソシアネートの三量体であり、これらを単独で用いても、複数種併用してもよい。
イソシアネートの三量体の製造方法としては、前記ポリイソシアネート類を適当な三量化触媒、例えば第3級アミン類、ホスフィン類、アルコキシド類、金属酸化物、カルボン酸塩類等を用いてイソシアネート基の部分的な三量化を行い、触媒毒の添加により三量化を停止させた後、未反応のポリイソシアネートを溶剤抽出、薄膜蒸留により除去して目的のイソシアヌレート基含有ポリイソシアネートを得る方法が挙げられる。
同一分子内に水酸基を1個又は2個有する化合物としては、ポリエーテルグリコール、ポリエステルグリコール、ポリカーボネートグリコール、ポリオレフィングリコール等、又はこれらの化合物の片末端水酸基が炭素数1〜25のアルキル基でアルコキシ化されたもの、若しくはこれら2種類以上の混合物が挙げられる。
ポリエーテルグリコールとしては、ポリエーテルジオール、ポリエーテルエステルジオール、又はこれら2種類以上の混合物が挙げられる。これらの具体例としては、国際公開パンフレットWO2008/153000A1に記載された各化合物等が挙げられる。
ポリエーテルグリコールとして最も好ましいのは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、又はこれらの化合物の片末端水酸基が炭素数1〜25のアルキル基でアルコキシ化された化合物である。
ポリエステルグリコールとして最も好ましいのは、ポリカプロラクトングリコール又は炭素数1〜25のアルコールを開始剤としたポリカプロラクトン、より具体的には、モノオールにε−カプロラクトンを開環付加重合して得られる化合物である。
ポリカーボネートグリコール及びポリオレフィングリコールとしては、例えば国際公開パンフレットWO2008/153000A1に記載された各化合物等が挙げられる。
これらの同一分子内に水酸基を1個又は2個有する化合物のうち、特にポリエーテルグリコールとポリエステルグリコールが好ましい。
同一分子内に水酸基を1個又は2個有する化合物の数平均分子量は、通常300〜10
,000、好ましくは500〜6,000、更に好ましくは1,000〜4,000である。
上記同一分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物において、活性水素、即ち、酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子に直接結合している水素原子としては、水酸基、アミノ基、チオール基等の官能基中の水素原子が挙げられ、中でもアミノ基、特に1級のアミノ基の水素原子が好ましい。また、3級アミノ基としては、例えば、炭素数1〜4のアルキル基を有するジアルキルアミノ基や、該ジアルキルアミノ基が連結してヘテロ環構造を形成している基、より具体的には、イミダゾール環、又はトリアゾール環が挙げられるが、中でもジメチルアミノ基及びイミダゾール環が分散安定性に優れるため好ましい。
同一分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物についても、その具体例としては、例えば国際公開パンフレットWO2008/153000A1に記載された各化合物等が挙げられる。
これらの中でも、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、1−(3−アミノプロピル)イミダゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール等が好ましい。
分散剤(C−3)の原料の好ましい使用比率は、ポリイソシアネート化合物100重量部に対し、同一分子内に水酸基を1個又は2個有する化合物が、通常10〜200重量部、好ましくは20〜190重量部、更に好ましくは30〜180重量部、同一分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物が、通常0.2〜25重量部、好ましくは0.3〜24重量部である。
同一分子内に水酸基を1個または2個以上有する化合物の含有量が、上記範囲よりも多いと、化合物合成時に反応点が多すぎてゲル化する等、合成が困難になる場合があり、また上記範囲より少ない場合は、分散剤のいわゆるteil部分が短くなるため、分散能が不十分となるおそれがある。
又、同一分子内に活性水素とアミノ基を有する化合物の含有量が、上記範囲より多いと、顔料に吸着しないフリーの吸着基が多くなり、これらが着色樹脂組成物中で反応点となると考えられ、保存安定性に悪影響が出るおそれがある。上記範囲より少ない場合には、分散剤が顔料に吸着しづらくなるため、分散剤として十分に機能しなくなる可能性がある。
分散剤(C−3)の製造は、ウレタン樹脂製造の公知の方法に従って行われ、例えば国際公開パンフレットWO2008/153000A1に記載された方法に準じて製造することができる。
同一分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物の導入量は、反応により得られる分散剤(C−3)のアミン価で1〜100mgKOH/gの範囲に制御するのが好ましく、より好ましくは5〜80mgKOH/gの範囲であり、更に好ましくは10〜60mgKOH/gの範囲である。アミン価が上記範囲以下であると分散能力が低下する傾向があり、また、上記範囲を超えると現像性が低下しやすくなる。なお、以上の反応で得られた分散剤(C−3)にイソシアネート基が残存する場合には、更にアルコールやアミノ化合物でイソシアネート基を潰すと該分散剤分子の経時安定性が高くなるので好ましい。
分散剤(C−3)のGPCで測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、通常1,000〜200,000、好ましくは2,000〜100,000、より好ましくは3,000〜50,000の範囲である。分子量が1,000未満では分散性及び分散安定性が劣り、200,000を超えると溶解性が低下し、分散性が劣ると同時に反応の制御が困難となる。
<(C−4)その他の分散剤>
本発明の着色樹脂組成物に用いられる分散剤は上記の各種分散剤(C−1)〜(C−3)以外に、その他の分散剤(以下「分散剤(C−4)」と称す場合がある。)を含有していてもよい。
その他の分散剤としては、例えば、ポリアリルアミン系分散剤、アミノ基を持つモノマーとマクロモノマーからなる分散剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系分散剤、ポリオキシエチレンジエステル系分散剤、ポリエーテルリン酸系分散剤、ポリエステルリン酸系分散剤、ソルビタン脂肪族エステル系分散剤、脂肪族変性ポリエステル系分散剤等を挙げることができる。
このような分散剤の具体例としては、EFKA(エフカーケミカルズビーブイ(EFKA)社製)、Disperbyk(ビックケミー社製)、ディスパロン(楠本化成社製)、SOLSPERSE(ルーブリゾール社製)、KP(信越化学工業社製)、ポリフロー(共栄社化学社製)、アジスパー(味の素ファインテクノ社製)等のシリーズ名で市販のものを挙げることができる。
上述の分散剤(C−1)〜(C−4)は1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を併用してもよい。
本発明の着色樹脂組成物は、上述した各種分散剤のうち、(C−1)窒素原子を含有するグラフト共重合体、(C−2)窒素原子を含有するアクリル系ブロック共重合体、及び(C−3)ウレタン樹脂分散剤から選択された一つ以上の分散剤を含むことが好ましく、(C−2)窒素原子を含有するアクリル系ブロック共重合体を含むことがさらに好ましい。
尚、本発明の(A)顔料における必須成分である臭素化亜鉛フタロシアニン顔料を最も良好に分散し得る点から、(C−2)窒素原子を含有するアクリル系ブロック共重合体の中でも特に、窒素原子含有官能基として、側鎖にアミノ基を有し、かつアミン価が80mgKOH/g以上150mgKOH/g以下(有効固形分換算)である分散剤が、最も好ましい。
本発明の着色樹脂組成物において、(C)分散剤の含有割合は、(A)顔料に対して通常95重量%以下、好ましくは65重量%以下、更に好ましくは50重量%以下であり、また、通常5重量%以上、好ましくは7重量%以上、特に好ましくは10重量%以上である。(C)分散剤の含有割合を下限値以上とすることにより、再凝集や増粘を抑制することができ、高い分散性および分散安定性を有する組成物を得ることができる。また上限値以下とすることにより、相対的に着色樹脂組成物中の(A)顔料割合が高くなるため、高い着色力を担保でき、カラーフィルタの画素に求められる色濃度を薄膜で達成することが可能となる。よって、液晶セル化工程でのセルギャップ制御不良等の惹起を抑制することができる。
<分散助剤>
本発明に係る着色樹脂組成物は、顔料分散性の向上、分散安定性の向上のために分散助剤を含有してもよい。分散助剤としては、例えば顔料誘導体等が挙げられる。
顔料誘導体としては例えば、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ベンツイミダゾロン系、キノフタロン系、イソインドリノン系、ジオキサジン系、アントラキノン系、インダンスレン系、ペリレン系、ペリノン系、ジケトピロロピロール系、ジオキサジン系顔料等の誘導体が挙げられる。
これらの顔料誘導体の置換基としては、スルホン酸基、スルホンアミド基及びその4級
塩、フタルイミドメチル基、ジアルキルアミノアルキル基、水酸基、カルボキシル基、アミド基等が挙げられる。これらの置換基は顔料骨格に直接結合していてもよく、又はアルキル基、アリール基、複素環基等を介して結合していてもよい。前記置換基のうち、スルホンアミド基及びその4級塩、スルホン酸基が好ましく、スルホン酸基がより好ましい。
これらの置換基は、一つの顔料骨格に複数置換していてもよいし、置換数の異なる化合物の混合物でもよい。
顔料誘導体の具体例としては、アゾ系顔料のスルホン酸誘導体、フタロシアニン系顔料のスルホン酸誘導体、キノフタロン系顔料のスルホン酸誘導体、アントラキノン系顔料のスルホン酸誘導体、キナクリドン系顔料のスルホン酸誘導体、ジケトピロロピロール系顔料のスルホン酸誘導体、ジオキサジン系顔料のスルホン酸誘導体等が挙げられる。中でも好ましくは、ピグメントイエロー138のスルホン酸誘導体、ピグメントイエロー139のスルホン酸誘導体、ピグメントレッド254のスルホン酸誘導体、ピグメントレッド255のスルホン酸誘導体、ピグメントレッド264のスルホン酸誘導体、ピグメントレッド272のスルホン酸誘導体、ピグメントレッド209のスルホン酸誘導体、ピグメントオレンジ71のスルホン酸誘導体、ピグメントバイオレット23のスルホン酸誘導体等が挙げられる。
又、分散助剤は、上記に挙げられる顔料そのものの誘導体でなくても、これと類似の化学構造である化合物であっても良い。
分散助剤の添加量は、(A)顔料に対して通常0.1重量%以上、また、通常30重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下、更に好ましくは5重量%以下である。添加量が少ないとその効果が発揮され難い傾向があり、逆に添加量が多過ぎると分散性、分散安定性がかえって悪くなることもあるためである。
<(D)バインダ樹脂>
本発明の着色樹脂組成物は、少なくとも、前述した(A)顔料と、(B)溶媒を含有し、さらに前記の(C)分散剤、及び以下に述べる(D)バインダ樹脂を含有することが好ましい。本発明に使用される(D)バインダ樹脂としては、カラーフィルタに使用可能なものであれば、特に制限無く使用することができる。
例えば、特開昭60−184202号公報などに記載されたいわゆるリフトオフ方式のカラーフィルタ製造工程に用いる熱硬化性樹脂組成物、特開2004−220036号公報などに記載されたインクジェット方式のカラーフィルタ製造工程に用いる熱硬化性樹脂組成物、特開平7−207211号、特開平8−259876号、特開平10−300922号、特開平11−140144号、特開平11−174224号、特開2000−56118号、特開2003−233179号、特開2007−270147号などの各公報等に記載された光重合性樹脂組成物などが挙げられる。着色樹脂組成物を、どのような手段により硬化させ、カラーフィルタを作製するかに依り、適したタイプの樹脂組成物を選択すれば良い。着色樹脂組成物が光重合性組成物である場合には、後述する光重合開始系を含有することが好ましい。
本発明の着色樹脂組成物は、後述するように、フォトリソグラフィ法、又はインクジェット方式によるカラーフィルタの製造に用いられることが好ましく、光重合性(フォトリソグラフィ法又はインクジェット方式の場合)、または熱硬化性(インクジェット方式の場合)であることが好ましい。
以下、本発明の着色樹脂組成物が光重合性樹脂組成物である場合、及び熱硬化性樹脂組成物である場合を例に、詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明に使用される(D)バインダ樹脂として、特に好ましくは、例えば、(D−1)
エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体に対し、該共重合体が有するエポキシ基の少なくとも一部に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、或いは該付加反応により生じた水酸基の少なくとも一部に多塩基酸無水物を付加させて得られる樹脂、及び(D−2)(メタ)アクリル系樹脂等が挙げられる。以下、これら各樹脂について説明する。
<(D−1)エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体に対し、該共重合体が有するエポキシ基の少なくとも一部に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、或いは該付加反応により生じた水酸基の少なくとも一部に多塩基酸無水物を付加させて得られる樹脂>
本発明において、特に好ましい(D)バインダ樹脂の一つとして、「エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体に対し、該共重合体が有するエポキシ基の少なくとも一部に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、或いは該付加反応により生じた水酸基の少なくとも一部に多塩基酸無水物を付加させて得られる樹脂」(以下、(D−1)樹脂と称することがある。」が挙げられる。より具体的には、「エポキシ基含有(メタ)アクリレート5〜90モル%と、他のラジカル重合性単量体10〜95モル%との共重合体に対し、該共重合体が有するエポキシ基の10〜100モル%に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、或いは該付加反応により生じた水酸基の10〜100モル%に多塩基酸無水物を付加させて得られる樹脂」が挙げられる。
臭素化亜鉛フタロシアニン顔料を含有するカラーフィルタ用着色樹脂組成物は、現像液に対する溶解性が劣る傾向があり、実際には、該組成物を塗布、乾燥、露光及び現像することにより、フォトリソグラフィ法にてカラーフィルタを製造することが困難である場合がある。
又、一般に、例えば顔料分散液の粘度安定性が低く、経時で増粘しても、これにバインダ樹脂や溶媒等を加えてカラーフィルタ用着色樹脂組成物を調製すると、該組成物の粘度が低下し、粘度安定性が改善することが多い。しかし、臭素化亜鉛フタロシアニン顔料を含む顔料分散液の場合は、カラーフィルタ用着色樹脂組成物とすることにより、むしろ激しく増粘する傾向があり、粘度安定性が確保しにくいことがわかった。更に、該カラーフィルタ用着色樹脂組成物は、保存中に経時で異物が発生・増加しやすく、コントラストも経時で低下していく傾向がある。
このような問題を解決し、臭素化亜鉛フタロシアニン顔料を含むカラーフィルタ用着色樹脂組成物について、
・カラーフィルタ用着色樹脂組成物の粘度安定性を向上させ、
・該着色樹脂組成物の現像液に対する溶解性を向上させ、かつ、経時のコントラスト低下や異物の発生を抑制し、
・さらに、得られる画素の欠けの防止、及び直線性の向上などを、
達成するために、以下に説明する(D−1)樹脂の使用が、特に有効である。
(D−1)樹脂を構成する「エポキシ基含有(メタ)アクリレート」としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等が例示できる。中でもグリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。これらのエポキシ基含有(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと共重合させる他のラジカル重合性単量体としては、下記一般式(1)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートが好ましい。
上記一般式において、R81〜R88は各々独立して、水素原子、又は炭素数1〜3のアルキル基を示すが、R87及びR88は互いに連結して環を形成していてもよい。
一般式(1)において、R87とR88が連結して形成される環は、脂肪族環であるのが好ましく、飽和又は不飽和の何れでもよく、又、炭素数が5〜6であるのが好ましい。
中でも、一般式(1)で表される構造としては、下記式(1a)、(1b)、又は(1c)で表される構造が好ましい。
(D)バインダ樹脂にこれらの構造を導入することによって、本発明の着色樹脂組成物をカラーフィルタや液晶表示素子に使用する場合に、該着色樹脂組成物の耐熱性を向上させたり、該着色樹脂組成物を用いて形成された画素の強度を増すことが可能である。
尚、一般式(1)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記一般式(1)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートとしては、当該構造を有する限り公知の各種のものが使用できるが、特に下記一般式(2)で表されるものが好ましい。
上記式(2)中、R89は水素原子又はメチル基を示し、R90は前記一般式(1)で表される構造を示す。
前記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体において、前記一般式(1)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートに由来する繰返し単位は、「他のラジカル重合性単量体」に由来する繰返し単位中、5〜90モル%含有するものが好ましく、10〜70モル%含有するものが更に好ましく、15〜50モル%含有するものが特に好ましい。
尚、前記一般式(1)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレート以外の、「他のラジカル重合性単量体」としては、特に限定されるものではない。具体的には、例えば、国際公開パンフレットWO2008/156148A1に記載の化合物等が挙げられ、中でも、着色樹脂組成物に優れた耐熱性及び強度を付与させるためには、スチレン、ベンジル(メタ)アクリレート、及びモノマレイミドから選択された少なくとも一種を使用することが有効である。特に「他のラジカル重合性単量体」に由来する繰返し単位中、これらスチレン、ベンジル(メタ)アクリレート、及びモノマレイミドから選択された少なくとも一種に由来する繰返し単位の含有割合が、1〜70モル%であるものが好ましく、3〜50モル%であるものが更に好ましい。
尚、前記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、前記他のラジカル重合性単量体との共重合反応は、公知の溶液重合法にて行うことができる。具体的な反応条件、使用する溶媒や触媒などについては、例えば国際公開パンフレットWO2008/156148A1の記載に準じて適宜選択することができる。
本発明において、前記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと前記他のラジカル重合性単量体との共重合体としては、エポキシ基含有(メタ)アクリレートに由来する繰返し単位5〜90モル%と、他のラジカル重合性単量体に由来する繰返し単位10〜95モル%と、からなるものが好ましく、前者20〜80モル%と、後者80〜20モル%とからなるものが更に好ましく、前者30〜70モル%と、後者70〜30モル%とからなるものが特に好ましい。
エポキシ基含有(メタ)アクリレートが少なすぎると、後述する重合性成分及び多塩基酸無水物の付加量が不十分となる場合があり、一方、エポキシ基含有(メタ)アクリレートが多すぎて、他のラジカル重合性単量体が少なすぎると、耐熱性や強度が不十分となる可能性がある。
続いて、エポキシ樹脂含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体のエポキシ基部分に、不飽和一塩基酸(重合性成分)と、多塩基酸無水物とを反応させる。
エポキシ基に付加させる「不飽和一塩基酸」としては、公知のものを使用することができ、例えば、エチレン性不飽和二重結合を有する不飽和カルボン酸が挙げられる。
具体例としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o−、m−、又はp−ビニル安息香酸、α−位がハロアルキル基、アルコキシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ
基などで置換された(メタ)アクリル酸等のモノカルボン酸等が挙げられる。中でも好ましくは(メタ)アクリル酸である。これらの1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
このような成分を付加させることにより、本発明で用いる(D)バインダ樹脂に重合性を付与することができる。
これらの不飽和一塩基酸は、通常、前記共重合体が有するエポキシ基の10〜100モル%に付加させるが、好ましくは30〜100モル%、より好ましくは50〜100モル%に付加させる。不飽和一塩基酸の付加割合が少なすぎると、着色樹脂組成物の経時安定性等に関して、残存エポキシ基による悪影響が懸念される。尚、共重合体のエポキシ基に不飽和一塩基酸を付加させる方法としては、公知の方法を採用することができる。
更に、共重合体のエポキシ基に不飽和一塩基酸を付加させたときに生じる水酸基に付加させる「多塩基酸無水物」としては、公知のものが使用できる。
例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水クロレンド酸等の二塩基酸無水物;無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物等の三塩基以上の酸の無水物が挙げられる。中でも、テトラヒドロ無水フタル酸及び無水コハク酸が好ましい。これらの多塩基酸無水物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
このような成分を付加させることにより、本発明で用いる(D)バインダ樹脂にアルカリ可溶性を付与することができる。又、インクジェット方式のカラーフィルタ製造時に、(画素バンク内ブラックマトリックスで囲まれた画素形成用エリア内での)組成物の濡れ拡がり性(以下、単に「組成物の濡れ拡がり性」と称することがある。)向上が期待できる。
これらの多塩基酸無水物は、通常、前記共重合体が有するエポキシ基に、不飽和一塩基酸を付加させることにより生じる水酸基の10〜100モル%に付加させるが、好ましくは20〜90モル%、より好ましくは30〜80モル%に付加させる。この範囲での付加割合の調整が、組成物の濡れ拡がり性の制御に有効であると考えられる。又、この付加割合が多すぎると、現像時の残膜率が低下する場合があり、少なすぎると溶解性が不十分となる可能性がある。尚、当該水酸基に多塩基酸無水物を付加させる方法としては、公知の方法を採用することができる。
更に、本発明の着色樹脂組成物を光重合性の組成物とする場合には、光に対する感度を向上させるために、前述の多塩基酸無水物を付加させた後、生成したカルボキシル基の一部にグリシジル(メタ)アクリレートや重合性不飽和基を有するグリシジルエーテル化合物を付加させてもよい。また、現像性を向上させるために、生成したカルボキシル基の一部に、重合性不飽和基を有さないグリシジルエーテル化合物を付加させてもよい。又、この両方を付加させてもよい。
重合性不飽和基を有さないグリシジルエーテル化合物の具体例としては、フェニル基やアルキル基を有するグリシジルエーテル化合物等が挙げられる。市販品として、例えば、ナガセ化成工業社製の商品名「デナコールEX−111」、「デナコールEX−121」、「デナコールEX−141」、「デナコールEX−145」、「デナコールEX−146」、「デナコールEX−171」、「デナコールEX−192」等がある。
尚、このような樹脂の構造に関しては、例えば特開平8−297366号公報や特開2001−89533号公報にも記載されている。
上述のバインダ樹脂の、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、3000〜100000が好ましく、5000〜50000が特に好ましい。分子量が3000未満であると、耐熱性や膜強度に劣る可能性があり、100000を超えると現像液に対する溶解性が不足する傾向がある。又、分子量分布の目安として、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)の比は、2.0〜5.0が好ましい。
<(D−2)(メタ)アクリル系樹脂>
本発明において、特に好ましい(D)バインダ樹脂の一つとして、「(メタ)アクリル系樹脂」(以下、「(D−2)樹脂」と称することがある。)が挙げられる。本発明における「(メタ)アクリル系樹脂」とは、必須成分として、下記一般式(X)で表される化合物を含有する単量体成分を重合してなる共重合体を意味する。
上記一般式(X)において、R1bおよびR2bは、それぞれ独立して、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜25の炭化水素基を示す。
前述の通り、臭素化亜鉛フタロシアニン顔料、特に微粒化された臭素化亜鉛フタロシアニン顔料、を含有するカラーフィルタ用着色樹脂組成物は、経時で増粘しやすく、現像液に対する溶解性が比較的低いため、インクジェット方式やフォトリソグラフィ法にてカラーフィルタを製造することが困難である場合がある。仮に、現像液の調整や、長時間の現像等の手法で、カラーフィルタパターンを作成しても、得られた画素は欠けやすく、破片が画素表面に再付着したり、画素の直線部分がシャープさに欠けるため、パネルの光漏れを起こしやすいことがわかった。
このような問題を解決し、微粒化された顔料、特に微粒化された臭素化亜鉛フタロシアニン顔料を含むカラーフィルタ用着色樹脂組成物について、
・カラーフィルタ用着色樹脂組成物の粘度安定性を向上させ、
・該着色樹脂組成物の現像液に対する溶解性を向上させ、
・更に得られる画素の欠けの防止、直線性の向上などを達成する
には、以下に説明する(D−2)樹脂の使用が、特に有効である。
以下、まずは一般式(X)で表される化合物について説明する。
一般式(X)で表されるエーテルダイマーにおいて、R1bおよびR2bで表される置換基を有していてもよい炭素数1〜25の炭化水素基としては、特に制限はないが、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、t−アミル、ステアリル、ラウリル、2−エチルヘキシル等の直鎖状または分岐状のアルキル基;フェニル等のアリール基;シクロヘキシル、t−ブチルシクロヘキシル、ジシクロペンタジエニル、トリシクロデカニル、イソボルニル、アダマンチル、2−メチル−2−アダマンチル等の脂環式基;1−メトキシエチル、1−エトキシエチル等のアルコキシで置換されたアルキル基;ベンジル等のアリール基で置換されたアルキル基;等が挙げられる。これらの中でも特に、メチル、エチル、シクロヘキシル、ベンジル等のような酸や熱で脱離しにくい1級または2級炭素の置換基が耐熱性の点で好ましい。なお、R1bおよびR2bは、同種の置換基であってもよいし、異なる置換基であってもよい。
前記エーテルダイマーの具体例としては、例えば、国際公開パンフレットWO2008/156148A1に記載の化合物等が挙げられる。
これらの中でも特に、ジメチル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジエチル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジシクロヘキシル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジベンジル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエートが好ましい。
これらエーテルダイマーは、1種のみ単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
前記(D−2)樹脂を得る際の、単量体成分中における前記エーテルダイマーの割合は、特に制限されないが、全単量体成分中、通常2〜60重量%、好ましくは5〜55重量%、さらに好ましくは5〜50重量%である。エーテルダイマーの量が多すぎると、重合の際、低分子量のものを得ることが困難になったり、あるいはゲル化し易くなったりする場合があり、一方、少なすぎると、透明性や耐熱性などの塗膜性能が不充分となる場合がある。
(D−2)樹脂は、酸基を有することが好ましい。酸基を有することにより、得られる着色樹脂組成物が、酸基とエポキシ基が反応してエステル結合を形成する架橋反応(以下、酸−エポキシ硬化と略する)により硬化が可能な着色樹脂組成物、あるいは未硬化部をアルカリ現像液で顕像可能な組成物、とすることができる。前記酸基としては、特に制限されないが、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基、カルボン酸無水物基等が挙げられる。
(D−2)樹脂1分子中に含まれるこれら酸基は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
(D−2)樹脂に酸基を導入するには、例えば、酸基を有するモノマー、及び/又は「重合後に酸基を付与しうるモノマー」(以下「酸基を導入するための単量体」と称することもある。)を、単量体成分として使用すればよい。なお、「重合後に酸基を付与しうるモノマー」を単量体成分として使用する場合には、重合後に、後述するような酸基を付与するための処理が必要となる。
前記酸基を有するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸やイタコン酸等のカルボキシル基を有するモノマー;N−ヒドロキシフェニルマレイミド等のフェノール性水酸基を有するモノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等のカルボン酸無水物基を有するモノマー等が挙げられるが、これらの中でも特に、(メタ)アクリル酸が好ましい。
前記重合後に酸基を付与しうるモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するモノマー;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有するモノマー;2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアネート基を有するモノマー等が挙げられる。
これら酸基を導入するための単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
(D−2)樹脂を得る際の単量体成分が、前記酸基を導入するための単量体をも含む場合、その含有割合は特に制限されないが、通常は全単量体成分中5〜70重量%、好ましくは10〜60重量%である。酸基を導入するための単量体の量が多すぎると、高粘度となり塗膜を形成しにくくなったり、アルカリ可溶性が過剰となりパターン形成や塗膜の対薬品性が低下する可能性があり、逆に少なすぎると、得られる共重合体の酸価が低くなり
、酸価導入による利点が充分に発揮されない可能性がある。又、酸基を導入するための単量体の量を前記範囲内で調整することにより、組成物の濡れ拡がり性を適切に制御することができる。
又、(D−2)樹脂は、ラジカル重合性二重結合を有するものであってもよい。
前記(D−2)樹脂にラジカル重合性二重結合を導入するには、例えば「重合後にラジカル重合性二重結合を付与しうるモノマー」(以下「ラジカル重合性二重結合を導入するための単量体」と称することもある。)を、単量体成分として重合した後に、後述するようなラジカル重合性二重結合を付与するための処理を行えばよい。
重合後にラジカル重合性二重結合を付与しうるモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸等のカルボキシル基を有するモノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等のカルボン酸無水物基を有するモノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、o−(またはm−、またはp−)ビニルベンジルグリシジルエーテル等のエポキシ基を有するモノマー等が挙げられる。これらラジカル重合性二重結合を導入するための単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
(D−2)樹脂を得る際の単量体成分が、前記ラジカル重合性二重結合を導入するための単量体をも含む場合、その含有割合は特に制限されないが、通常は全単量体成分中5〜70重量%、好ましくは10〜60重量%である。
さらに、本発明に係る(D−2)樹脂は、エポキシ基を有することが好ましい。
エポキシ基を導入するには、例えば、エポキシ基を有するモノマー(以下「エポキシ基を導入するための単量体」と称することもある。)を、単量体成分として重合すればよい。
前記エポキシ基を有するモノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、o−(またはm−、またはp−)ビニルベンジルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらエポキシ基を導入するための単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
(D−2)樹脂を得る際の単量体成分が、前記エポキシ基を導入するための単量体をも含む場合、その含有割合は特に制限されないが、通常は全単量体成分中5〜70重量%、好ましくは10〜60重量%であるのがよい。
(D−2)樹脂を得る際の単量体成分は、上記の単量体成分のほかに、必要に応じて、他の共重合可能なモノマーを含んでいてもよい。
他の共重合可能なモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸メチル2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸エステル類;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のN−置換マレイミド類;ブタジエン、イソプレン等のブタジエンまたは置換ブタジエン化合物;エチレン、プロピレン、塩化ビニル、アクリロニトリル等のエチレンまたは置換エチレン化合物;酢酸ビニル等のビニルエステル類等が挙げられる。
これらの中でも、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、スチレンが、透明性が良好で、耐熱性を損ないにくい点で好ましい。これら共重合可能な他のモノマーは、1種のみ用いても2種以上を併用してもよ
い。
又、特に(D−2)樹脂の一部または全部を、前述の分散樹脂として使用する場合(即ち、後述する分散処理工程にて使用する場合)は、(メタ)アクリル酸ベンジルを用いることが好ましく、その含有量は、通常全単量体成分中1〜70重量%、好ましくは5〜60重量%であるのがよい。
前記(D−2)樹脂を得る際の単量体成分が、前記共重合可能な他のモノマーをも含む場合、その含有割合は特に制限されないが、95重量%以下が好ましく、85重量%以下がより好ましい。
なお、本発明に係る(D−2)樹脂としては、実質的に
・前記一般式(X)で表される単量体、
・酸基を有するモノマー及び/又は重合後に酸基を付与しうるモノマー、並びに
・他の重合可能なモノマー、
からなる共重合体であることが、特に好ましい。
(D−2)樹脂は、公知の手法により合成することができ、例えば国際公開パンフレットWO2008/156148A1に記載の方法に準じて製造することができる。
前記(D−2)樹脂の重量平均分子量は、特に制限されないが、好ましくはGPCにて測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が2000〜200000、より好ましくは4000〜100000である。重量平均分子量が200000を超える場合、高粘度となりすぎ塗膜を形成しにくくなる場合があり、一方2000未満であると、十分な耐熱性を発現しにくくなる傾向がある。
前記(D−2)樹脂が酸基を有する場合、好ましい酸価は5〜500mgKOH/g、より好ましくは10〜400mgKOH/gである。酸価が5mgKOH/g未満の場合、アルカリ現像に適用することが難しくなる場合がある。また、500mgKOH/gを超える場合、高粘度となりすぎ塗膜を形成しにくくなる傾向がある。又、酸価を前記範囲内で調整することにより、組成物の濡れ拡がり性を適切に制御することができる。
尚、酸価が比較的高い場合、これを含む着色樹脂組成物の、粘度の経時変化(増粘)が生じにくくなるため好ましく、酸価が比較的低い場合、これを含む着色樹脂組成物の、コントラストの経時変化(低下)が生じにくくなるため、好ましい。
尚、(D−2)樹脂、即ち一般式(X)で示される化合物を必須の単量体成分とする共重合体は、例えば、特開2004−300203号公報及び特開2004−300204号公報に記載の化合物を挙げることが出来る。
本発明の着色樹脂組成物を調製する際、予め調製した顔料分散液を用いる場合には、(D−2)樹脂を前述の分散樹脂として用いて、即ち、分散剤や分散助剤などと共に、後述する分散処理工程に使用することが好ましい。
(D−2)樹脂を分散樹脂として使用することにより、顔料分散液の経時の粘度の上昇がなく、安定した分散性が得られ、また該顔料分散液を用いてなるカラーフィルタ用着色樹脂組成物は、高いコントラストを示すため好ましい。
又、(D−2)樹脂をパターン形成用の樹脂として、顔料分散液に後から加えるか、或いは顔料分散液を用いずに製造される着色樹脂組成物に使用することにより、得られるカラーフィルタ用着色樹脂組成物の粘度が安定し、これを用いて形成されるパターンが欠けにくくなるため好ましい。
本発明の着色樹脂組成物は、前述したように、光硬化性(光重合性)であっても熱硬化性であっても、その両方の作用により硬化するものであってもよい。
熱硬化作用を用いて硬化させる場合、(D)バインダ樹脂としては、前述の(D−1):「エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体に対し、該共重合体が有するエポキシ基の少なくとも一部に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、或いは該付加反応により生じた水酸基の少なくとも一部に多塩基酸無水物を付加させて得られる樹脂」、及び/又は以下に挙げる(D−3)エポキシ基を有する樹脂が好ましい。又、これらを併用する場合が特に好ましい。
なお、インクジェット方式にてカラーフィルタ用画素を形成する場合には、輝度を低下させる場合がある光重合開始剤を必要とせず、また光硬化プロセスを省いて生産性を上げることができる点から、熱硬化性の着色樹脂組成物を使用することが好ましい。
<(D−3)エポキシ基を有する樹脂>
(D−3)エポキシ基を有する樹脂(以下「(D−3)樹脂」と称することがある。)としては、樹脂分子内にエポキシ基を有していれば特にその構造に限定はない。
中でも好ましいものとしては、側鎖にエポキシ基を有する脂環式ポリエーテル化合物、ポリグリシジルエーテル化合物、ポリグリシジルエステル化合物、ポリグリシジルアミン化合物、エポキシ基を有する(メタ)アクリレートを1種単独または2種以上重合させてなる重合体、あるいは、エポキシ基を有する(メタ)アクリレートと他の単量体との共重合体などが挙げられる。
(D−3)樹脂の具体例を以下に挙げるが、これらに限定されるものではない。
<(D−3−1)側鎖にエポキシ基を有する脂環式ポリエーテル化合物>
側鎖にエポキシ基を有する脂環式ポリエーテル化合物としては、例えば2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物などの、側鎖にエポキシ基を有するポリシクロヘキシルエーテルが挙げられる。このような化合物の市販品としては、例えばEHPE3150(ダイセル化学工業社製)などが挙げられる。
<(D−3−2)ポリグリシジルエーテル化合物>
ポリグリシジルエーテル化合物としては、例えば、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル型エポキシ、ビス(4−ヒドロキシフェニル)のジグリシジルエーテル型エポキシ、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)のジグリシジルエーテル型エポキシ、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル型エポキシ、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル型エポキシ、テトラメチルビスフェノールAのジグリシジルエーテル型エポキシ、エチレンオキシド付加ビスフェノールAのジグリシジルエーテル型エポキシ、ジハイドロオキシルフルオレン型エポキシ、ジハイドロオキシルアルキレンオキシルフルオレン型エポキシ、ビスフェノールA/アルデヒドノボラック型エポキシ、フェノール
ノボラック型エポキシ、クレゾールノボラック型エポキシ、及びポリグリシジルエーテル樹脂として、ビスフェノールSエポキシ樹脂、フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、トリスフェノールエポキシ樹脂、フェノールとジシクロペンタジエンとの重合エポキシ樹脂、フェノールとナフタレンとの重合エポキシ樹脂等のフェノール樹脂タイプエポキシ樹脂が挙げられる。
これらの(ポリ)グリシジルエーテル化合物は、残存するヒドロキシル基に酸無水物や2価の酸化合物等を反応させカルボキシル基を導入したものであってもよい。
<(D−3−3)ポリグリシジルエステル化合物>
ポリグリシジルエステル化合物としては、例えば、ヘキサヒドロフタル酸のジグリシジルエステル型エポキシ、フタル酸のジグリシジルエステル型エポキシ等が挙げられる。
<(D−3−4)ポリグリシジルアミン化合物>
ポリグリシジルアミン化合物としては、例えば、ビス(4−アミノフェニル)メタンのジグリシジルアミン型エポキシ、イソシアヌル酸のトリグリシジルアミン型エポキシ等が、それぞれ挙げられる。
<(D−3−5)エポキシ基を有する(メタ)アクリレートを1種単独または2種以上重合・BR>ウせてなる重合体>
本発明の(D−3)樹脂の一例としては、上記化合物などのエポキシ基を有する(メタ)アクリレートを1種単独または2種以上重合させてなる重合体(以下、「(D−3−5)樹脂」と称することがある。)が挙げられる。
(D−3−5)樹脂の原料となる、エポキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば(メタ)アクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸グリシジル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジル、α−n−ブチルアクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸−3,4−エポキシブチル、(メタ)アクリル酸− 4,5−エポキシペンチル、(メタ)アクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、α−エチルアクリル酸−6,7−エポキシヘプチル等が挙げられる。特に好ましくは、(メタ)アクリル酸グリシジルが挙げられる。
<(D−3−6)エポキシ基を有する(メタ)アクリレートと他の単量体との共重合体>
本発明の(D−3)樹脂の他の一例として、(D−3−5)の項で挙げた「エポキシ基を有する(メタ)アクリレート」と、他の単量体との共重合体も挙げられる。以下、該共重合体を「(D−3−6)樹脂」と称することがある。他の単量体の含有量は、(D−3−6)樹脂を構成する全単量体のうち、通常10〜70モル%、好ましくは15〜60モル%である。
他の単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸イソボロニルの如き(メタ)アクリル酸のエステル、及びスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルナフタレンの如きビニル芳香族系化合物を挙げることができる。
エポキシ基を有する(メタ)アクリレートとして、特に好ましくは(メタ)アクリル酸グリシジルが挙げられる。他の単量体として、特に好ましくは(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、及びα−メチルスチレンが挙げられる。
又、本発明おける(D−3)樹脂に使用されるエポキシ基は、通常1,2−エポキシ基であるが、経時安定性の向上又は柔軟性の付与等の目的で、1,3−エポキシ基(オキセタン)、4,3−エポキシシクロへキシル基を使用することも出来る。
又、(D−3)樹脂において、芳香族環を含有しないもの、若しくは、無置換又はp(パラ)位に置換基を有するフェニル基を含有するものは加熱処理による変色が抑えられるため好適である。このようなエポキシ化合物としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、置換基を有していてもよいフルオレン骨格を有するエポキシ樹脂、グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体等を挙げることができる。
(D−3)樹脂の重量平均分子量(Mw)としては、通常300以上好ましくは500以上であり通常100,000以下、好ましくは50,000以下である。分子量が小さ
すぎると、耐熱性、膜強度に劣る傾向があり、大きすぎると溶解性が不足したり、塗布液としての液特性が非ニュートニアンとなる可能性があったりすることがある。また、分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は2.0以上5.0以下が好ましい。
(D−3)樹脂の割合は、本発明の着色樹脂組成物における全固形分中、好ましくは0.5重量%以上、さらに好ましくは1重量%以上であり、通常80重量%以下、好ましくは70重量%以下、さらに好ましくは60重量%以下である。(D−3)樹脂の割合が少なすぎると耐薬品性の向上効果があまり期待できなくなり、多すぎると保存安定性が不十分となる傾向がある。
なお、(D−3)樹脂を(D−1)樹脂と併用する場合、(D−3)樹脂の含有量は、(D−1)樹脂に対して、通常0.5モル%以上、好ましくは1.0モル%以上であり、通常70モル%以下、好ましくは65モル%以下である。(D−3)樹脂が少なすぎると耐薬品性が不十分となる傾向があり、多すぎると保存安定性が不十分となる可能性がある。
尚、本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物は、本発明の効果が損なわれない範囲であれば、上述の(D−1)樹脂、(D−2)樹脂及び(D−3)樹脂以外のバインダ樹脂を含有しても良い。
本発明における(D)バインダ樹脂としては、前述の各種バインダ樹脂のうち1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の着色樹脂組成物において、(D)バインダ樹脂の含有割合は、全固形分中、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上であり、又、通常80重量%以下、好ましくは60重量%以下である。(D)バインダ樹脂の含有量がこの範囲よりも少ないと、膜が脆くなり、基板への密着性が低下することがある。逆に、この範囲よりも多いと、膜の硬度が不足したり、着色力が不足したりする場合があり、又、露光部への現像液の浸透性が高くなり、画素の表面平滑性や感度が悪化する場合がある。
<その他の成分>
本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物は、必要に応じ上記以外の成分を含有していてもよい。このような成分としては、(E)重合性モノマー、光重合開始系及び/又は熱重合開始剤、界面活性剤、熱重合防止剤、可塑剤、保存安定剤、表面保護剤、密着向上剤、現像改良剤、染料等が挙げられる。
<(E)重合性モノマー>
本発明に係る(E)重合性モノマーは、重合可能な低分子化合物であれば特に制限はないが、エチレン性二重結合を少なくとも1つ有する付加重合可能な化合物(以下、「エチ、レン性化合物」と称す)が好ましい。エチレン性化合物とは、本発明の着色樹脂組成物が活性光線の照射を受けた場合に、後述の光重合開始系の作用で、或いは加熱により後述する熱重合開始剤の作用で、付加重合して硬化するようなエチレン性二重結合を有する化合物である。なお、本発明における単量体は、いわゆる高分子物質に相対する概念を意味し、狭義の単量体以外に二量体、三量体、オリゴマーも含有する概念を意味する。
エチレン性化合物としては、例えば、不飽和カルボン酸、それとモノヒドロキシ化合物とのエステル、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル、芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル、不飽和カルボン酸と多価カルボン酸及び前述の脂肪族ポリヒドロキシ化合物、芳香族ポリヒドロキシ化合物等の多価ヒドロキシ化合物とのエステル化反応により得られるエステル、ポリイソシアネート化合物と(
メタ)アクリロイル含有ヒドロキシ化合物とを反応させたウレタン骨格を有するエチレン性化合物等が挙げられる。
脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、例えば、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、グリセロールアクリレート等のアクリル酸エステルが挙げられる。また、これらアクリレートのアクリル酸部分を、メタクリル酸部分に代えたメタクリル酸エステル、イタコン酸部分に代えたイタコン酸エステル、クロトン酸部分に代えたクロトン酸エステル、又は、マレイン酸部分に代えたマレイン酸エステル等が挙げられる。
芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、例えば、ハイドロキノンジアクリレート、ハイドロキノンジメタクリレート、レゾルシンジアクリレート、レゾルシンジメタクリレート、ピロガロールトリアクリレート等が挙げられる。
不飽和カルボン酸と多価カルボン酸及び多価ヒドロキシ化合物とのエステル化反応により得られるエステルは、必ずしも単一物ではなく、混合物であっても良い。代表例としては、例えば、アクリル酸、フタル酸及びエチレングリコールの縮合物、アクリル酸、マレイン酸及びジエチレングリコールの縮合物、メタクリル酸、テレフタル酸及びペンタエリスリトールの縮合物、アクリル酸、アジピン酸、ブタンジオール及びグリセリンの縮合物等が挙げられる。
ポリイソシアネート化合物と(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物とを反応させたウレタン骨格を有するエチレン性化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート;トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート等と、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシ(1,1,1−トリアクリロイルオキシメチル)プロパン、3−ヒドロキシ(1,1,1−トリメタクリロイルオキシメチル)プロパン等の(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物との反応物が挙げられる。
その他、本発明に用いられるエチレン性化合物としては、例えば、エチレンビスアクリルアミド等のアクリルアミド類;フタル酸ジアリル等のアリルエステル類;ジビニルフタレート等のビニル基含有化合物等も有用である。
また、エチレン性化合物は酸基を有するモノマーであってもよい。酸基を有するモノマーとしては、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルであり、脂肪族ポリヒドロキシ化合物の未反応のヒドロキシル基に非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸基を持たせた多官能モノマーが好ましく、特に好ましくは、このエステルにおいて、脂肪族ポリヒドロキシ化合物がペンタエリスリトール及びジペンタエリスリトールのうち少なくとも一つであるものである。
これらのモノマーは1種を単独で用いても良いが、製造上、単一の化合物を用いることは難しいことから、2種以上を混合して用いても良い。また、必要に応じてモノマーとして酸基を有しない多官能モノマーと酸基を有する多官能モノマーを併用しても良い。
酸基を有する多官能モノマーの好ましい酸価としては、0.1〜40mgKOH/gであり、特に好ましくは5〜30mgKOH/gである。多官能モノマーの酸価が低すぎると現像溶解特性が落ち、高すぎると製造や取扱いが困難になり光重合性能が落ち、画素の
表面平滑性等の硬化性が劣る傾向がある。従って、異なる酸基の多官能モノマーを2種以上併用する場合、或いは酸基を有しない多官能モノマーを併用する場合、全体の多官能モノマーとしての酸基が上記範囲に入るように調整することが好ましい。
本発明において、より好ましい酸基を有する多官能モノマーは、東亞合成社製TO1382として市販されているジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートのコハク酸エステルを主成分とする混合物である。この多官能モノマーの他の多官能モノマーを組み合わせて使用することもできる。
本発明において、上述したエチレン性化合物は、分子量が650以下、好ましくは550以下、より好ましくは400以下、かつ二重結合当量が150以下、好ましくは140以下、より好ましくは110以下であるものが適当である。またそれらの下限は特に限定されず、付加重合が可能な化学構造をとり得る範囲であればよい。
これらの中でも、画素の“欠け”を少なくし、より直線性に優れた画素を形成することができる点からは、比較的分子量が小さく、かつ二重結合当量が小さい化合物が好ましい。例えば、分子量が400以下であり、かつ二重結合当量が110以下の、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルが好ましいものとして挙げられ、さらに具体的には、例えば、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等が挙げられる。
なお、得られるカラーフィルタ用着色樹脂組成物の感度の点からは分子量が400を超えるエチレン性化合物を使用することが好ましい。この様な化合物としては、特にジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が好ましい。これらは、前述の分子量が400以下、かつ二重結合当量が150以下(より好ましくは110以下)であるエチレン性化合物と組み合わせて使用することにより、バランスのよい組成物が得られるため好ましい。
(E)重合性モノマーの配合率は、本発明の着色樹脂組成物の全固形分中、通常0重量%以上、好ましくは5重量%以上、更に好ましくは10重量%以上であり、通常80重量%以下、好ましくは70重量%以下、更に好ましくは50重量%以下、特に好ましくは40重量%以下である。又、(A)顔料に対する比率は、通常0重量%以上、好ましくは5重量%以上、更に好ましくは10重量%以上、特に好ましくは20重量%以上であり、通常200重量%以下、好ましくは100重量%以下、更に好ましくは80重量%以下である。
<光重合開始剤類、及び/又は熱重合開始剤類>
本発明の着色樹脂組成物は、光重合開始剤類、及び/又は熱重合開始剤類を更に含むことが好ましい。ただし、硬化の方法はこれらの開始剤によるもの以外でもよい。
特に、本発明の着色樹脂組成物が、(D)バインダ樹脂成分としてエチレン性二重結合を有する樹脂を含む場合や、前述する(E)重合性モノマー成分としてエチレン性化合物を含む場合には、光を直接吸収し、又は光増感されて分解反応あるいは水素引き抜き反応を起こし、重合活性ラジカルを発生する機能を有する光重合開始剤類、及び/又は熱によって重合活性ラジカルを発生する熱重合開始剤類を含有することが好ましい。なお、本発明において光重合開始剤類としての成分とは、光重合開始剤(以降、(F−1)成分と称することがある。)に重合加速剤(以降、(F−2)成分と称することがある。)、増感色素(以降、(F−3)成分と称することがある。)などの付加剤が併用されている混合物を意味する。
<光重合開始剤類>
本発明の着色樹脂組成物に含有されていてもよい光重合開始剤類は、通常、(F−1)光重合開始剤と、必要に応じて添加される(F−3)増感色素、(F−2)重合加速剤等の付加剤との混合物として用いられ、光を直接吸収し、或いは光増感されて分解反応または水素引き抜き反応を起こし、重合活性ラジカルを発生する機能を有する成分である。
光重合開始剤類を構成する(F−1)光重合開始剤としては、例えば、特開昭59−152396号、特開昭61−151197号各公報等に記載のチタノセン誘導体類;特開平10−300922号、特開平11−174224号、特開2000−56118号各公報等に記載されるヘキサアリールビイミダゾール誘導体類;特開平10−39503号公報等に記載のハロメチル化オキサジアゾール誘導体類、ハロメチル−s−トリアジン誘導体類、N−フェニルグリシン等のN−アリール−α−アミノ酸類、N−アリール−α−アミノ酸塩類、N−アリール−α−アミノ酸エステル類等のラジカル活性剤、α−アミノアルキルフェノン誘導体類;特開2000−80068号公報等に記載のオキシムエステル系誘導体類、アントラキノン誘導体類、アセトフェノン誘導体類、チオキサントン誘導体類、安息香酸エステル誘導体類、アクリジン誘導体類、フェナジン誘導体類、及びアンスロン誘導体類などが挙げられる。
これらの具体例としては、例えば国際公開パンフレットWO2008/156148A1や、特開2009−276741号公報に記載の化合物等が挙げられる。
これら(F−1)光重合開始剤の中では、α−アミノアルキルフェノン誘導体類、オキシムエステル系誘導体類、安息香酸エステル誘導体類およびチオキサントン誘導体類がより好ましい。
α−アミノアルキルフェノン誘導体類としては、2−メチル−1〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、4−ジメチルアミノエチルベ
ンゾエ−ト、4−ジメチルアミノイソアミルベンゾエ−ト、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、2−エチルヘキシル−1,4−ジメチルアミノベンゾエート、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、
7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノベンゾイル)クマリン、4−(ジエチルアミノ)カルコン等が挙げられる。
又、オキシムエステル系誘導体類としては、1,2−オクタンジオン、1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕、2−(o−ベンゾイルオキシム)、エタノン、1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕、1−(o−アセチルオキシム)等が挙げられる。
安息香酸エステル誘導体類としては、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸エチル等が挙げられる。
チオキサントン誘導体類としては、チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等が挙げられる。
又、本発明の着色樹脂組成物は、特に光重合開始剤類を含む場合、必要に応じて更に(F−2)重合加速剤を配合することができる。(F−2)重合加速剤としては、例えば、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等のN,N−ジアルキルアミノ安息香酸アルキルエステル類;2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール等の複素環を有するメルカプト化合物;脂肪族
多官能メルカプト化合物等のメルカプト化合物類等が挙げられる。
これらの(F−1)光重合開始剤および(F−2)重合加速剤は、それぞれ1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
さらに、感応感度を高める目的で、(F−3)増感色素を併用してもよい。(F−3)増感色素としては、国際公開パンフレットWO2008/156148A1に記載の化合物などが挙げられるが、中でも好ましいものは、アミノ基含有増感色素であり、更に好ましいものは、アミノ基およびフェニル基を同一分子内に有する化合物であり、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−アミノベンゾフェノン、4−アミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4−ジアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物が特に好ましい。
(F−3)増感色素もまた1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の着色樹脂組成物において、これらの光重合開始剤類((F−1)光重合開始剤、(F−2)重合加速剤及び(F−3)増感色素)の含有割合は、全固形分中、通常0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、また、通常40重量%以下、好ましくは30重量%以下である。この含有割合が著しく低いと露光光線に対する感度が低下する原因となることがあり、反対に著しく高いと未露光部分の現像液に対する溶解性が低下し、現像不良を誘起したり、又、開始剤そのものの影響で、即ち、開始剤自身の吸光特性により、画素の透過率が下がるところで輝度が低下したりすることがある。
<熱重合開始剤類>
本発明の着色樹脂組成物に含有されていてもよい熱重合開始剤類の具体例としては、アゾ系化合物、有機過酸化物および過酸化水素等を挙げることができる。中でもアゾ系化合物が好適に用いられ、これらの具体例としては、国際公開パンフレットWO2008/156148A1に記載の化合物などが挙げられる。
尚、上述した(F−1)光重合開始剤の中には、例えばα―アミノアルキルフェノン誘導体のように熱重合開始剤としても働くものがある。そのため、熱重合開始剤として、(F−1)光重合開始剤の例として挙げた中から選択した化合物を使用してもよい。
これらの熱重合開始剤類は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
着色樹脂組成物中の熱重合開始剤類の割合が少な過ぎると膜の硬化が不十分であり、カラーフィルタとしての耐久性が不足する場合がある。多過ぎると熱収縮の度合が大きくなり、熱硬化後にヒビ割れ、クラックの発生が起こるおそれがある。また、保存安定性が低下する傾向が見られる。従って、熱重合開始剤類の含有割合は、本発明の着色樹脂組成物の全固形分中0〜30重量%、特に0〜20重量%の範囲とすることが好ましい。
<界面活性剤>
界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、非イオン系、両性界面活性剤等、各種のものを用いることができるが、諸特性に悪影響を及ぼす可能性が低い点で、非イオン系界面活性剤を用いるのが好ましい。界面活性剤の濃度範囲としては、全組成物量に対して通常0.001重量%以上、好ましくは0.005重量%以上、更に好ましくは0.01重量%以上、最も好ましくは0.03重量%以上、また、通常10重量%以下、好ましくは1重量%以下、更に好ましくは0.5重量%以下、最も好ましくは0.3重量%以下の範囲が用いられる。
<芳香族カルボン酸系化合物>
本発明に係る着色樹脂組成物は、芳香族カルボン酸系化合物を含有することが好ましい。
特に、(C)分散剤として前述の(C−2)ブロック共重合体を含有する場合は、これを用いたカラーフィルタ用着色樹脂組成物は、経時で増粘する傾向が高い。また、該着色樹脂組成物を用いて形成された画素は、欠けが生じる傾向がある。
そこで、本発明の着色樹脂組成物に、芳香族カルボン酸系化合物を含有させることにより、これらの経時の増粘を抑制し、また得られる画素の欠けを防止することができるため好ましい。
なお、該芳香族カルボン酸系化合物は、後述する顔料分散液の調製時に含有させることにより、顔料分散液そのものの経時増粘を抑制し、またこれを用いて調製されるカラーフィルタ用着色樹脂組成物の経時増粘も抑制することができる。また、顔料分散液に対し、種々の成分を加えてカラーフィルタ用着色樹脂組成物を調製する際に、後から加える成分の一つとして含有させることにより、カラーフィルタ用着色樹脂組成物の経時増粘を抑制することも可能である。更に、顔料分散液を調製せず、カラーフィルタ用着色樹脂組成物を構成する成分を一度に、または順次配合することにより、該着色樹脂組成物を調製する場合には、構成成分の一つとして、任意のタイミングで配合してもよい。
以下、芳香族カルボン酸系化合物について、説明する。
芳香族カルボン酸系化合物としては、芳香族基とカルボキシル基を有するものであれば如何なる構造を有するものであってもよい。芳香族基としては、例えばフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。これらの中で、フェニル基が特に好ましい。
これら芳香族基は、置換基を有していてもよく、その置換基の種類や数は特に限定されない。具体的には、例えば、後述する一般式においてXで示される置換基が好ましい。また、カルボキシル基は一つであっても、複数、例えば2乃至3個であってもよいが、前述した該化合物の効果が顕著である点から、好ましくは1分子中に1個である。
芳香族カルボン酸系化合物の分子量は、通常500以下、好ましくは350以下、また通常150以上である。分子量を500以下とすることにより、後述するとおり、該化合物の顔料への接近が容易となり、粘度増加の抑制効果を確実に発揮できる。
芳香族カルボン酸系化合物としては、特に、下記一般式
(上記一般式中、Zはメチレン基または−O−を表し、mは0〜3の整数を表す。但しmが2または3の場合、m個のZは同じであっても、異なっていてもよい。)
は、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ベンジル基、フェネチル基、ベンジルオキシ基、または−COOX(但し、Xは炭素数1〜7のアルキル基またはフェニル基を表す)
を示し、これらの基はいずれも置換基を有していてもよい。)で表される化合物が好ましい。
前記一般式で表される化合物の中でも、フタル酸モノエステル化合物であることが特に好ましく、具体的には、例えば次のものを挙げることができる。
前記芳香族カルボン酸系化合物、より具体的には、前記一般式で表される芳香族カルボン酸系化合物は、市販品を購入、又は既知の方法で合成することにより、容易に入手できる。
本発明の着色樹脂組成物における、芳香族カルボン酸系化合物の含有量は、着色樹脂組成物としての効果が損なわれない範囲であれば特に制限されないが、最終的に調製された着色樹脂組成物の全固形分に対して、通常20重量%以下、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下であり、また通常0.1重量%以上が適当である。
芳香族カルボン酸系化合物を、この範囲で含有させることにより、着色樹脂組成物の粘度増加を防止し、また“欠け”が少なく直線性に優れた画素を形成することができる。 如何なる理論にも拘泥するわけではなく、またその詳細は不明であるが、芳香族カルボン酸系化合物を含有させることによる粘度増加の防止理由は、次のとおり推定している。
即ち、本発明の着色樹脂組成物において、前記(C)分散剤を使用する場合、その多くは、アミノ基等の窒素原子含有官能基を多く含有しており、ある種の組成においては、この分散剤のアミノ基等と他の成分が反応し粘度上昇をきたす可能性がある。
ここで、通常、顔料は微粒子として存在し、分散剤は、顔料粒子に吸着して分散能力を発揮している。顔料は、一般的に芳香族基をもつ化合物であり、他の芳香族基と親和性を有する。
芳香族カルボン酸系化合物がもつ芳香族基の親和性により、該化合物が顔料粒子へ接近すれば、必然的に、カルボキシル基も顔料へ接近し、顔料に吸着する分散剤と相互作用を行い得ると考える。この顔料表面による、芳香族カルボン酸系化合物のカルボキシル基と、分散剤のアミノ基の相互作用により、分散剤のアミノ基が関与する粘度上昇を抑制する
ものと考えられる。さらに、顔料粒子への接近は、高分子化合物では困難であり、それを容易にするためには、分子量500以下であることが効果的であると考える。
<熱重合防止剤>
熱重合防止剤としては、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ピロガロール、カテコール、2,6−t−ブチル−p−クレゾール、β−ナフトール等が用いられる。熱重合防止剤の配合量は、組成物の全固形分に対し0重量%以上、3重量%以下の範囲であることが好ましい。
<可塑剤>
可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等が用いられる。これら可塑剤の配合量は、組成物の全固形分に対し、通常10重量%以下の範囲であることが好ましい。
<着色樹脂組成物の調製>
次に、本発明の着色樹脂組成物を調製する方法を説明する。
前述の通り、本発明の着色樹脂組成物は、予め調製しておいた顔料分散液に、その他の成分を混合することにより調製しても良く、また全ての成分を同時に、又は順次混合してもよい。以下では、前者の方法に従って調製する場合を例に説明するが、これに限定されるものではない。
尚、本発明の着色樹脂組成物は、適用したいカラーフィルタの製造プロセスに応じて、光硬化性(光重合性)であっても熱重合性であってもよい。
まず、(A)顔料、(B)溶媒及び(C)分散剤を各所定量秤量し、分散処理工程において、(A)顔料を分散させて顔料分散液を調製する。この分散処理工程では、ペイントコンディショナー、サンドグラインダー、ボールミル、ロールミル、ストーンミル、ジェットミル、ホモジナイザーなどを使用することができる。この分散処理を行なうことによって色材が微粒子化されるため、着色樹脂組成物の塗布特性が向上し、製品のカラーフィルタにおける画素の透過率が向上する。
(A)顔料を分散処理する際には、上述の通り、分散樹脂や分散助剤などを適宜併用するのが好ましい。
サンドグラインダーを用いて分散処理を行なう場合は、0.1から数mm径のガラスビーズ、又は、ジルコニアビーズを用いるのが好ましい。分散処理する際の温度は、通常0℃以上、好ましくは室温以上、また、通常100℃以下、好ましくは80℃以下の範囲に設定する。なお、分散時間は、顔料分散液の組成、及びサンドグラインダーの装置の大きさなどにより適正時間が異なるため、適宜調整する必要がある。
上記分散処理によって得られた顔料分散液に、(B)溶媒、場合によっては、更なる(D)バインダ樹脂、(E)重合性モノマー、光重合開始系や熱重合開始剤、及び上記以外の成分などを混合し、均一な分散溶液とすることにより、着色樹脂組成物を得る。なお、分散処理工程及び混合の各工程においては、微細なゴミが混入することがあるため、得られた顔料分散液をフィルタなどによって、ろ過処理することが好ましい。
<カラーフィルタの製造>
次に、本発明のカラーフィルタについて説明する。
本発明のカラーフィルタは、基板上に上述の着色樹脂組成物を用いて形成された画素を有することを特徴とする。
<透明基板(支持体)>
カラーフィルタの透明基板としては、透明で適度の強度があれば、その材質は特に限定されるものではない。材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスルホンなどの熱可塑性樹脂製シート、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂などの熱硬化性樹脂シート、又は各種ガラスなどが挙げられる。これらの中で、耐熱性の観点からガラスまたは耐熱性樹脂が好ましい。
透明基板及びブラックマトリックス形成基板には、接着性などの表面物性の改良のため、必要に応じ、コロナ放電処理、オゾン処理、シランカップリング剤や、ウレタン系樹脂などの各種樹脂の薄膜形成処理などを行なってもよい。透明基板の厚さは、通常0.05mm以上、好ましくは0.1mm以上、また、通常10mm以下、好ましくは7mm以下の範囲とされる。また、各種樹脂の薄膜形成処理を行なう場合、その膜厚は、通常0.01μm以上、好ましくは0.05μm以上、また、通常10μm以下、好ましくは5μm以下の範囲である。
<ブラックマトリックス>
上述の透明基板上にブラックマトリックスを設け、更に通常は赤色、緑色、青色の画素画像を形成することにより、本発明に係るカラーフィルタを製造することができる。
ブラックマトリックスは、遮光金属薄膜又はブラックマトリックス用感光性着色樹脂組成物を利用して、透明基板上に形成される。遮光金属材料としては、金属クロム、酸化クロム、窒化クロムなどのクロム化合物、ニッケルとタングステン合金などが用いられ、これらを複数層状に積層させたものであってもよい。
これらの金属遮光膜は、一般にスパッタリング法によって形成され、ポジ型フォトレジストにより、膜状に所望のパターンを形成した後、クロムに対しては硝酸第二セリウムアンモニウムと過塩素酸、及び/又は硝酸とを混合したエッチング液を用い、その他の材料に対しては、材料に応じたエッチング液を用いて蝕刻され、最後にポジ型フォトレジストを専用の剥離剤で剥離することによって、ブラックマトリックスを形成することができる。
この場合、まず、蒸着又はスパッタリング法などにより、透明基板上にこれら金属又は金属・金属酸化物の薄膜を形成する。次いで、この薄膜上に着色樹脂組成物の塗布膜を形成した後、ストライプ、モザイク、トライアングルなどの繰り返しパターンを有するフォトマスクを用いて、塗布膜を露光・現像し、レジスト画像を形成する。その後、この塗布膜にエッチング処理を施してブラックマトリックスを形成することができる。
ブラックマトリックス用感光性着色樹脂組成物を利用する場合は、黒色の色材を含有する着色樹脂組成物を使用して、ブラックマトリックスを形成する。例えば、カーボンブラック、黒鉛、鉄黒、アニリンブラック、シアニンブラック、チタンブラックなどの黒色色材単独又は複数、もしくは、無機又は有機の顔料、染料の中から適宜選択される赤色、緑色、青色などの混合による黒色色材を含有する着色樹脂組成物を使用し、後述する赤色、緑色、青色の画素を形成する方法と同様にして、ブラックマトリックスを形成することができる。
なお、インクジェット方式にてカラーフィルタ(の画素)を作製する場合、まず基板上に隔壁パターン(ブラックマトリックス)を設け、そのパターン内(以下「画素バンク内」と称することがある。)に画素形成用のインク(着色樹脂組成物)をダイレクトに付与
し、カラーフィルタを作製する。インクの微小液滴を所望の位置に描画できるため、カラーフィルタの高生産性、低コスト化が達成できる。
インクジェット方式によるカラーフィルタのブラックマトリックスは、従来必要とされている遮光機能のみならず、画素バンク内に打ち込まれたRGBインクが混色しないための隔壁としての機能も果たしているため、従来のフォトリソグラフィ法によるカラーフィルタの場合に比べ、膜厚が厚い(通常は膜厚1.5μm以上、好ましくは1.8〜2.5μm程度、より好ましくは2.0〜2.3μm程度の厚さである。)という特徴がある。また、RGBインクの混色を防ぐために、ブラックマトリックスの上面に撥液処理を施す場合が多い。
従って、従来用いられてきた金属クロム、酸化クロム、窒化クロム等のクロム化合物や、ニッケルとタングステン合金等の遮光金属材料からなるブラックマトリックスより、黒色色材を含む感光性材料を用いて形成された、樹脂ブラックマトリックスの方が好ましい。
インクジェット方式にて本発明のカラーフィルタを作製する場合、樹脂ブラックマトリックスは上述のようにブラックマトリックス用感光性着色樹脂組成物を用いて、一般的なフォトリソグラフィ法にて形成すればよい。続いて、透明基板表面の親水化とブラックマトリックスパターンの撥液化を、各々化学的処理あるいは物理的処理により施す。
<画素の形成>
画素の形成方法は、使用する着色樹脂組成物の種類により異なる。まずは、着色樹脂組成物として光重合性組成物を用い、フォトリソ法にて画素を形成する場合を例に説明する。
ブラックマトリックスを設けた透明基板上に、赤色、緑色、青色のうち一色の着色樹脂組成物を塗布し、乾燥した後、塗布膜の上にフォトマスクを重ね、このフォトマスクを介して画像露光、現像、必要に応じて熱硬化又は光硬化により画素を形成する。この操作を、赤色、緑色、青色の三色の着色樹脂組成物について各々行なうことによって、カラーフィルタ画像を形成することができる。
本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物は、緑色画・BR>F形成用の材料として使用する。
カラーフィルタ用着色樹脂組成物の塗布は、スピナー法、ワイヤーバー法、フローコート法、ダイコート法、ロールコート法、スプレーコート法などによって行なうことができる。中でも、ダイコート法によれば、塗布液使用量が大幅に削減され、かつ、スピンコート法によった際に付着するミストなどの影響が全くなく、更には異物発生が抑制されるなど、総合的な観点から好ましい。
塗布膜は厚過ぎると現像が困難となったり、液晶セル化工程でのギャップ調整が困難となることがある。一方、薄過ぎると顔料濃度を高めることが困難となり、所望の色を発現させることが不可能となることがある。塗布膜の厚さは、乾燥後の膜厚として、通常0.2μm以上、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは0.8μm以上、また、通常20μm以下、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下の範囲である。
次に、インクジェット方式にて画素を形成する場合について説明する。
樹脂ブラックマトリックスを設けた基板上の画素バンク内に、本発明の着色樹脂組成物を用いてインクジェット装置により描画し、乾燥および光硬化および/または熱硬化にて該組成物を完全に硬化させ、画素を形成することによりカラーフィルタを得る。なお、本発明の着色樹脂組成物は、緑色画素形成用の材料として使用する。なお画素形成用の着色樹脂組成物としては、R(赤)、G(緑)、B(青)の3色が使用される場合が多いが、
これらに限定されない。
<塗布膜着色樹脂組成物の乾燥>
基板に着色樹脂組成物を用いて形成された塗布膜着色樹脂組成物の乾燥は、ホットプレート、IRオーブン、コンベクションオーブン等を使用して行うことが好ましい。通常は、予備乾燥の後、再加熱して乾燥させる。
予備乾燥の条件は、前記溶媒成分の種類、使用する乾燥機の性能などに応じて適宜選択することができる。乾燥温度及び乾燥時間は、溶媒成分の種類、使用する乾燥機の性能などに応じて選択されるが、具体的には、乾燥温度は通常40℃以上、好ましくは50℃以上、また、通常80℃以下、好ましくは70℃以下の範囲であり、乾燥時間は通常15秒以上、好ましくは30秒以上、また、通常5分間以下、好ましくは3分間以下の範囲である。
再加熱乾燥の温度条件は、予備乾燥温度より高い温度が好ましく、具体的には、通常50℃以上、好ましくは70℃以上、また、通常200℃以下、好ましくは160℃以下、特に好ましくは130℃以下の範囲である。また、乾燥時間は、加熱温度にもよるが、通常10秒以上、中でも15秒以上、また、通常10分以下、中でも5分の範囲とするのが好ましい。乾燥温度は、高いほど透明基板に対する接着性が向上するが、高過ぎるとバインダ樹脂が分解し、熱重合を誘発して現像不良を生ずる場合がある。なお、この塗布膜の乾燥工程としては、温度を高めず減圧チャンバー内で乾燥を行なう減圧乾燥法を用いてもよい。好ましい乾燥条件は、0.1〜1Torr、乾燥時間は10秒〜60分の範囲である。
又、本発明の着色樹脂組成物が光重合性である場合は、この乾燥工程に続き、露光工程を行う。
<露光工程>
露光工程は、着色樹脂組成物に、紫外線又は可視光線を照射して行なう。この際、必要に応じ、酸素による重合阻害を防ぐため、塗布膜上にポリビニルアルコール層などの酸素遮断層を形成した後に露光を行なってもよい。尚、フォトリソグラフィ法の場合は、塗布膜上に、ネガのマトリックスパターンを重ね、このマスクパターンを介して露光する。
上記の画像露光に使用される光源は、特に限定されるものではない。光源としては、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、蛍光ランプなどのランプ光源や、アルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー、窒素レーザー、ヘリウムカドミニウムレーザー、半導体レーザーなどのレーザー光源などが挙げられる。特定の波長の光を照射して使用する場合には、光学フィルタを利用することもできる。
本発明のカラーフィルタをフォトリソグラフィ法にて作製した場合は、さらに現像工程に移る。
<現像工程>
本発明のカラーフィルタは、本発明の着色樹脂組成物を用いた塗布膜に対し、上記の光源によって画像露光を行なった後、有機溶媒、又は、界面活性剤とアルカリ性化合物とを含む水溶液を用いて現像を行なうことによって、基板上に画像を形成して製造することができる。この水溶液には、更に有機溶媒、緩衝剤、錯化剤、染料又は顔料を含ませることができる。
アルカリ性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、ケイ酸
ナトリウム、ケイ酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、水酸化アンモニウムなどの無機アルカリ性化合物や、モノ−・ジ−又はトリエタノールアミン、モノ−・ジ−又はトリメチルアミン、モノ−・ジ−又はトリエチルアミン、モノ−又はジイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノ−・ジ−又はトリイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジイミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、コリンなどの有機アルカリ性化合物が挙げられる。
これらのアルカリ性化合物は、2種以上の混合物であってもよい。
又、界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、モノグリセリドアルキルエステル類などのノニオン系界面活性剤、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキル硫酸塩類、アルキルスルホン酸塩類、スルホコハク酸エステル塩類などのアニオン性界面活性剤、アルキルベタイン類、アミノ酸類などの両性界面活性剤が挙げられる。
有機溶媒としては、例えば、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、プロピレングリコール、ジアセトンアルコールなどが挙げられる。有機溶媒は、単独でも水溶液と併用して使用できる。
現像処理の条件には特に制限はないが、現像温度は通常10℃以上、中でも15℃以上、更には20℃以上、また、通常50℃以下、中でも45℃以下、更には40℃以下の範囲が好ましい。現像方法は、浸漬現像法、スプレー現像法、ブラシ現像法、超音波現像法などの何れかの方法によることができる。
<熱硬化処理>
現像の後のカラーフィルタには、熱硬化処理を施す。この際の熱硬化処理条件は、温度は通常100℃以上、好ましくは150℃以上、また、通常280℃以下、好ましくは250℃以下の範囲で選ばれ、時間は5分間以上、60分間以下の範囲で選ばれる。これら一連の工程を経て、一色のパターニング画像形成は終了する。この工程を順次繰り返し、ブラック、赤色、緑色、青色をパターニングし、カラーフィルタを形成する。なお、これら4色のパターニングの順番は、上記した順番に限定されるものではない。
又、インクジェット方式にてカラーフィルタを作製する場合において、本発明の着色樹脂組成物が光重合性である場合は前記露光工程後、熱硬化性である場合はインクジェット方式による塗布工程後に、熱硬化処理を行う。好ましい熱硬化処理の条件は、上述と同様である。
なお、本発明のカラーフィルタは、上述の製造方法の他に、(1)バインダ樹脂として、ポリイミド系樹脂を含む着色樹脂組成物を、基板に塗布し、エッチング法により画素を形成する方法によっても製造することができる。また、(2)本発明の着色樹脂組成物を着色インキとして用い、印刷機によって、透明基板上に直接画素画像を形成する方法や、(3)本発明の着色樹脂組成物を電着液として用い、基板をこの電着液に浸漬させ所定パターンにされたITO電極上に、着色膜を析出させる方法、(4)本発明の着色樹脂組成物を塗布したフィルムを、透明基板に貼りつけて剥離し、画像露光、現像し画素画像を形成する方法などが挙げられる。カラーフィルタの製造方法は、カラーフィルタ用着色樹脂組成物の組成に応じ、これに適した方法が採用される。
<透明電極の形成>
本発明のカラーフィルタは、このままの状態で画素上にITOなどの透明電極を形成して、有機ELディスプレー、液晶表示装置などの部品の一部として使用されるが、表面平滑性や耐久性を高めるため、必要に応じ、画素上にポリアミド、ポリイミドなどのトップ
コート層を設けることもできる。また一部、平面配向型駆動方式(IPSモード)などの用途においては、透明電極を形成しないこともある。
<液晶表示装置(パネル)>
次に、本発明の液晶表示装置(パネル)の製造法について説明する。本発明の液晶表示装置は、通常、上記本発明のカラーフィルタ上に配向膜を形成し、この配向膜上にスペーサを形成又は散布した後、対向基板と貼り合わせて液晶セルを形成し、形成した液晶セルに液晶を注入し、対向電極に結線して完成する。配向膜は、ポリイミド等の樹脂膜が好適である。配向膜の形成には、通常、グラビア印刷法及び/又はフレキソ印刷法が採用され、配向膜の厚さは数10nmとされる。熱焼成によって配向膜の硬化処理を行なった後、紫外線の照射やラビング布による処理によって表面処理し、液晶の傾きを調整しうる表面状態に加工される。
スペーサは、対向基板とのギャップ(隙間)に応じた大きさのものが用いられ、通常2〜8μmのものが好適である。カラーフィルタ基板上に、フォトリソグラフィ法によって透明樹脂膜のフォトスペーサ(PS)を形成し、これをスペーサの代わりに活用することもできる。対向基板としては、通常、アレイ基板が用いられ、特にTFT(薄膜トランジスタ)基板が好適である。
対向基板との貼り合わせのギャップは、液晶表示装置の用途によって異なるが、通常2μm以上、8μm以下の範囲で選ばれる。対向基板と貼り合わせた後、液晶注入口以外の部分は、エポキシ樹脂等のシール材によって封止する。シール材は、UV照射及び/又は加熱することによって硬化させ、液晶セル周辺がシールされる。
周辺をシールされた液晶セルは、パネル単位に切断した後、真空チャンバー内で減圧とし、上記液晶注入口を液晶に浸漬した後、チャンバー内をリークすることによって、液晶を液晶セル内に注入する。液晶セル内の減圧度は、通常1×10−2Pa以上、好ましくは1×10−3Pa以上、また、通常1×10−7Pa以下、好ましくは1×10−6Pa以下の範囲である。また、減圧時に液晶セルを加温するのが好ましく、加温温度は通常30℃以上、好ましくは50℃以上、また、通常100℃以下、好ましくは90℃以下の範囲である。
減圧時の加温保持は、通常10分間以上、60分間以下の範囲とされ、その後、液晶中に浸漬される。液晶を注入した液晶セルは、液晶注入口を、UV硬化樹脂を硬化させて封止することによって、液晶表示装置(パネル)が完成する。
液晶の種類には特に制限がなく、芳香族系、脂肪族系、多環状化合物等、従来から知られている液晶であって、リオトロピック液晶、サーモトロピック液晶等の何れでもよい。サーモトロピック液晶には、ネマティック液晶、スメスティック液晶及びコレステリック液晶等が知られているが、何れであってもよい。
<有機ELディスプレイ>
本発明のカラーフィルタを用いて有機ELディスプレイを作成する場合、例えば図4に示すように、まず透明支持基板10上に、画素20(但し、画素20のうち少なくとも一部は、本発明の着色組成物を用いて形成されたものである)、および隣接する画素20の間に設けられた樹脂ブラックマトリックス(図示せず)が形成されてなる本発明のカラーフィルタを作製し、該カラーフィルタ上に有機保護層30および無機酸化膜40を介して有機発光体500を積層することによって、有機EL素子を作製することができる。
有機発光体500の積層方法としては、カラーフィルタ上面へ透明陽極50、正孔注入層51、正孔輸送層52、発光層53、電子注入層54、および陰極55を逐次形成していく方法や、別基板上へ形成した有機発光体500を無機酸化膜40上に貼り合わせる方
法などが挙げられる。このようにして作製された有機EL素子100を用い、例えば「有機ELディスプレイ」(オーム社、2004年8月20日発行、時任静士、安達千波矢、村田英幸著)に記載された方法等にて、有機ELディスプレイを作製することができる。
なお、本発明のカラーフィルタは、パッシブ駆動方式の有機ELディスプレイにもアクティブ駆動方式の有機ELディスプレイにも適用可能である。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。尚、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載によって限定されるものではない。
[1](D)バインダ樹脂及び(C)分散剤
<合成例1:バインダ樹脂Dの合成>
反応槽として冷却管を付けたセパラブルフラスコを準備し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート400重量部を仕込み、窒素置換したあと、攪拌しながらオイルバスで加熱して反応槽の温度を90℃まで昇温した。
一方、モノマー槽中にジメチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート30重量部、メタクリル酸60重量部、メタクリル酸シクロヘキシル110重量部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート5.2重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40重量部を仕込み、連鎖移動剤槽にn−ドデシルメルカプタン5.2重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート27重量部を仕込み、反応槽の温度が90℃に安定してからモノマー槽および連鎖移動剤槽から滴下を開始し、重合を開始させた。温度を90℃に保ちながら滴下をそれぞれ135分かけて行い、滴下が終了して60分後に昇温を開始して反応槽を110℃にした。3時間、110℃を維持した後、セパラブルフラスコにガス導入管を付け、酸素/窒素=5/95(v/v)混合ガスのバブリングを開始した。次いで、反応槽に、メタクリル酸グリシジル39.6重量部、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)0.4重量部、トリエチルアミン0.8重量部を仕込み、そのまま110℃で9時間反応させた。
室温まで冷却し、重量平均分子量8000,酸化101mgKOH/gの重合体溶液を得た。
<合成例2:バインダ樹脂Fの合成>
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート145重量部を、窒素置換しながら攪拌し、120℃に昇温した。ここにスチレン10重量部、グリシジルメタクリレート85.2重量部およびトリシクロデカン骨格を有するモノアクリレート(日立化成社製FA−513M)66重量部を滴下し、さらに2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル8.47重量部を3時間かけて滴下し、90℃で2時間攪拌し続けた。
次に反応容器内を空気置換し、アクリル酸43.2重量部に、トリスジメチルアミノメチルフェノール0.7重量部およびハイドロキノン0.12重量部を投入し、100℃で12時間反応を続けた。その後、テトラヒドロ無水フタル酸(THPA)28.5重量部、トリエチルアミン0.7重量部を加え、100℃で3.5時間反応させた。
こうして得られたバインダ樹脂の、GPCにより測定した重量平均分子量Mwは約8400、酸価は33mgKOH/gであった。
<分散剤A:ビックケミー社製分散剤「BYK−LPN6919」>
メタクリル酸系ABブロック共重合体であり、アミン価は、121mgKOH/g、酸価は1mgKOH/g以下である。
Bブロックに含まれる、窒素原子含有官能基を有する繰り返し単位のうち、約100モ
ル%が下記式(i)で表わされる構造であり、また下記式(ii)で表わされる繰り返し単位は、当該メタクリル酸系ブロック共重合体を構成する単量体換算で1分子中7.5モル%であった。
<実施例1〜4及び比較例1〜3>
[2]着色樹脂組成物のための顔料分散液
(A)顔料としてC.I.ピグメントグリーン58を6.68重量部、ランクセス社製黄色顔料E4GN−GTを3.50重量部、(D)バインダ樹脂として、合成例1にて得られたバインダ樹脂Dを固形分換算で3.39重量部、更に分散剤Aを固形分換算で2.55重量部、(B)溶媒として58.88重量部のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加し、径0.5mmのジルコニアビーズ225重量部をステンレス容器に充填し、ペイントシェーカーにて8時間分散させて緑顔料分散液を調製した。
[3]着色樹脂組成物の調製
前記の顔料分散液に他の成分を混合して、実施例1〜4、比較例1〜3は表−1に示す着色樹脂組成物を調製した。
[4]着色樹脂組成物の粘度変化
[3]で得られた着色樹脂組成物について、製造(調製)後、23℃の恒温槽で24時間静置した後の粘度(20rpm)、及び、5℃の冷蔵庫に2ヶ月間静置した後の粘度(20rpm)を東機産業社製E型粘度計「RE−80L」を用いて測定した。各実施例及び比較例の着色樹脂組成物についての調整24時間後の粘度と5℃2ヶ月経過後の粘度での変化率(増粘率)を比較し、10%以下であったものを○、10%を超えるものを×とした。その結果を表−2に示す。
[5]着色樹脂膜の製造
透明のガラス基板(旭ガラス製A110)に、[3]で得られた着色樹脂組成物をそれぞれスピンコート塗布し、80℃のホットプレートにて3分間プリベークを行った。塗布に際してはポストベーク後、色座標y=0.595となる膜厚となるように回転数を調整
した。
[6]カラーフィルタの製造
上記[5]で得られた着色樹脂膜に対し、高圧水銀灯により60mJ/cmで露光し
た後、0.04重量%水酸化カリウム水溶液(現像液温度23℃)を使用して0.25MPaのスプレー現像を行った。十分な水でリンスした後、クリーンエアで乾燥した。その後、230℃のオーブンにて30分間ポストベークを行った。乾燥後の着色樹脂膜の膜厚は3.0μm程度であった。
[7]カラーフィルタのコントラスト比の測定
図2(a),(b)は、いずれも、着色板の平行透過光および直交透過光の色度を測定する方法を説明するための模式的な図である。まず、図2(a)に示すように、上記[6]で得られたカラーフィルタ(以下「着色板34」と称す)の両側に偏光板33、35を重ねて、偏光板33、35の偏光軸を互いに平行にした状態で、一方の偏光板35の側からバックライト37の光36を当てて、他方の偏光板33を透過した光の輝度Lp(平行透過光の輝度)を色彩輝度計トプコンテクノハウス製「BM−5A」32を使用して、2゜視野の条件で測定した。
次に、図2(b)に示すように、偏光板33、35の偏光軸を互いに直交させた状態で、一方の偏光板35側からバックライト37の光36を当て、他方の偏光板33を透過した光の輝度Lc(直交透過光の輝度)を、色彩輝度計32にて上記Lpと同様に測定した。
尚、バックライト37は、図1に示すような発光スペクトルを有するものを用いた。このスペクトルの測定は、コニカミノルタ製分光放射輝度計CS−1000Aと、光量を制御し、測定を容易にするため、ケンコー社製のフィルター「NDフィルターND4」を用いて測定し、算出した。
又、偏光板33、35は、図3のスペクトル特性を持つものを用いた。
[6]で得られた各実施例および比較例のカラーフィルタのコントラスト比は、平行透過光の輝度Lpと直交透過光の輝度Lcから式Lp/Lcを用いて算出した。コントラスト比の測定は、着色樹脂組成物の製造(調製)後、23℃の恒温槽で12時間静置した後のコントラスト比、及び5℃の冷蔵庫に2ヶ月間静置した後に再度測定を行ったコントラスト比の変化率(低下率)を比較し、5%以下であったものを○、5%を超えるものを×とした。結果を表−2に示す。
上記表−2中、溶媒1は各々以下の化合物を表す。
PGDA:プロピレングリコールジアセテート、
CHN:シクロヘキサノン、
PGTBE:プロピレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル、
MBA:3−メトキシブチルアセテート、
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、
DMM:ジプロピレングリコールジメチルエーテル。
<実施例5、6及び比較例4〜6>
[8]着色樹脂組成物のための顔料分散液
合成例1で得られたバインダ樹脂Dのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液から40℃で2hPaの減圧下で溶媒を除去し、得られた重合体にジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテートを加えてバインダ樹脂Dの40%ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート溶液を得た。
次に緑色顔料としてC.I.ピグメントグリーン58を39.76重量部使用し、溶剤としてジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート322.55重量部、分散剤として前述の分散剤Aを固形分換算で8.85重量部、およびバインダ樹脂Dのジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート溶液をバインダ樹脂Dの固形分換算で15.90重量部、径0.5mmのジルコニアビーズ756重量部をステンレス容器に充填し、ペイントシェーカーにて6時間分散させて緑色顔料分散液Aを調製した。
[9]バインダ樹脂の合成
<合成例3:バインダ樹脂Gの合成>
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート145重量部を窒素置換しながら攪拌し120℃に昇温した。ここにスチレン20重量部、グリシジルメタクリレート57部およびトリシクロデカン骨格を有するモノアクリレート(日立化成(株)製FA−513M)82重量部を滴下し、更に120℃で2時間攪拌し続けた。次ぎに反応容器内を空気置換に変え、アクリル酸27重量部にトリスジメチルアミノメチルフェノール0.7重量部およびハイドロキノン0.12重量部を投入し、120℃で6時間反応を続けた。その後、テトラヒドロ無水フタル酸(THPA)52重量部、トリエチルアミン0.7重量部を加え、120℃3.5時間反応させた。こうして得られたバインダ樹脂GのGPCにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量Mwは約15000であった。
得られたバインダ樹脂G100重量部の溶液から40℃で2hPaの減圧下で溶媒を除去し、得られたバインダ樹脂Gに56.6重量部のジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテートを加えて、バインダ樹脂Gの40重量%ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート溶液を得た。
[10]着色組成物の調製
次に、上記緑色顔料分散液Aに、表−3に示す割合で各種成分を混合して、実施例5、6、及び比較例4〜6の着色樹脂組成物を調製した。
上記表−3に記載した「顔料分散液」の配合量は固形分換算の量であり、また「溶媒4」として挙げたジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテートの量は、「緑色顔料分散液A」に含まれるものと、着色樹脂組成物調製時に追添したものを合わせた量である。
[11]着色組成物の評価
[11−1]異物評価
表3の着色組成物につき、(i)調製後23℃で1日静置したもの、及び(ii)23℃で1日静置した後、35℃の恒温槽で一定期間保存したもの、を、5cm角のガラス基板(旭硝子社製「AN100」)上に、乾燥膜厚が1.5〜2.0μmの間に入るようにスピンコートし、80℃で3分間加熱し、さらに240℃で40分間加熱して着色板を作製した。なお恒温槽での保存期間は1日、3日、7日、14日、30日、60日、90日である。
得られた着色板の外縁から1cmより内側の表面全体を、光学顕微鏡を用いて5倍率で観察し、異物の個数を測定した。異物の個数が初めて100個を越えた日数を表−4に示す。
[11−2]インクジェット印刷評価
旭硝子社製無アルカリガラス基板「AN100」5cm角に黒色色材を含む感光性樹脂組成物
を塗布し、フォトリソグラフィ法によって、線幅20μm、開口幅220μm×700μm、厚み2.0μmのブラックマトリックスパターンを形成した。
この基板に、フッ素系ガスプラズマ処理にて撥液処理を施した後、ブラックマトリックスパターンにて形成された各画素の中心部に対して、インクジェット法により、実施例5,6および比較例4〜6で得られた着色樹脂組成物の約200pLを塗布した。続いて減
圧処理によって該塗布基板を乾燥し、さらに90℃のホットプレート上で10分間乾燥して画素を形成した。
得られた画素を光学顕微鏡で観察し、着色樹脂組成物がブラックマトリックススパターンの開口部にのみ存在する画素と、ブラックマトリックスパターン上にも着色硬化性組成物が存在する画素の数を数えた。
インクジェット印刷性能は、5cm角基板の中央部の25画素の中で、着色硬化性組成物が全てブラックマトリックスパターンの開口部内に塗布されたものを○、25画素中でブラックマトリックスパターン上にも着色硬化性組成物が存在する画素が1画素でも存在した場合を×とした。
なお、このインクジェット印刷評価の結果が「×」であるとは、組成物中の顔料が析出しインクジェットの吐出ノズルに付着することにより、組成物の吐出方向が安定せず、パターン開口部内に正しく着弾しない(ブラックマトリックスパターン上に着弾する)という現象が生じたことを表す。
上記表−4中、溶媒3は各々以下の化合物を表す。
PGDA:プロピレングリコールジアセテート、
1,3−BGDA:1,3−ブチレングリコールジアセテート
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、
DGBEA:ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート
DPMA:ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート。
本発明は、次のように有用な効果を奏し、その産業上の利用価値は極めて大である。
(a)緑色画素の高輝度化を目的として臭素化亜鉛フタロシアニン緑色顔料を用いた場合に問題となっていた、
(1)経時での粘度の上昇、
(2)経時でのコントラストの低下、
(3)経時での結晶発生
等が改善され、高コントラストで分散安定性に優れ、かつ現像性あるいはインクジェット印刷性能が良好な着色樹脂組成物を提供することができる。
(b)上記着色樹脂組成物を用いて、高品質のカラーフィルタを提供することができる。
(c)上記カラーフィルタを使用した、高品質の液晶表示装置を提供することができる。
32 色彩輝度計
33、35 偏光板
34 着色板
36 光
37 バックライト
10 透明支持基板
20 青色画素
30 有機保護層
40 無機酸化膜
50 透明陽極
51 正孔注入層
52 正孔輸送層
53 発光層
54 電子注入層
55 陰極
100 有機EL素子
500 有機発光体

Claims (9)

  1. (A)顔料、(B)溶媒、(C)分散剤及び(D)バインダー樹脂を含有し、
    (A)顔料がC.I.(カラーインデックス)ピグメントグリーン58を含有し、
    (B)溶媒が下記式(0)を満たす、溶媒1〜溶媒nのn種類の溶媒を含有し、
    更に該n種の溶媒のひとつとして、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテートを含有することを特徴とする着色樹脂組成物。
    γ1W1+・・・+γiWi+・・・+γnWn=110〜430 (0)
    (上記式(0)において、
    nは1〜10の整数を表し、
    iは1〜nの整数を表し、
    γiは溶媒iの、C.I.(カラーインデックス)ピグメントグリーン58の部分構造に対する活量係数の相対値を表す。又、n≧2の場合、Wiは溶媒1〜溶媒nのn種類の溶媒の合計100重量部に対する溶媒iの重量部を表し、n=1の場合、Wi=Wn=100である。)
  2. (B)溶媒が、n種類の溶媒の一つとして、1,3―ブチレングリコールジアセテート及びプロピレングリコールジアセテートのうち少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1に記載の着色樹脂組成物。
  3. (B)溶媒が、n種類の溶媒の一つとして、プロピレングリコールジアセテート、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルのうち少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の着色樹脂組成物。
  4. (B)溶媒が、n種類の溶媒の一つとして、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の着色樹脂組成物。
  5. (E)重合性モノマーを含有することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の着色樹脂組成物。
  6. カラーフィルタ用である請求項1〜のいずれか1項に記載の着色樹脂組成物。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載の着色樹脂組成物を用いて作製された画素を有することを特徴とするカラーフィルタ。
  8. 請求項に記載のカラーフィルタを具備する液晶表示装置。
  9. 請求項に記載のカラーフィルタを具備する有機ELディスプレイ。
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