JP2006350153A - 感光性組成物、感光性着色成物、カラーフィルタ、及び液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【構成】 フェノール樹脂(a)と不飽和基含有エポキシ化合物(b)の反応物をさらに多塩基性カルボン酸またはその無水物(c)と反応させて得られるバインダー樹脂(A)と、光重合開始剤(B)を含有する感光性組成物において、フェノール樹脂(a)が、1分子あたり2個以上の不飽和基を有する環状炭化水素化合物とフェノール類との重付加反応物であることを特徴とする感光性組成物。
【選択図】 なし
Description
顔料分散法の場合、通常分散剤などにより顔料を分散してなる着色組成物に、バインダー樹脂、光重合開始剤、光重合性モノマー等を添加して感光化した感光性着色組成物をガラス基板上にコートして乾燥後、マスクを用いて露光し、現像を行うことによって着色パターンを形成し、その後これを加熱してパターンを固着して画素を形成する。これらの工程を各色ごとに繰り返し、カラーフィルタを形成する。このように感光性着色組成物を用いたカラーフィルタの画像形成では、十分な解像性、基板との密着性、低現像残渣などが求められている。さらに近年では、色濃度が高い画素や光学濃度の高い樹脂ブラックマトリクスが要求されており、感光性着色組成物中における顔料やカーボンブラックなどの色材の含量が高くなる傾向にある。
さらに、エポキシ樹脂と不飽和基含有カルボン酸の反応物をさらに多塩基性カルボン酸またはその無水物と反応させて得られるバインダー樹脂を使用した感光性樹脂が開示されている(特許文献3参照)。しかしながら、原料として使用するエポキシ樹脂にはエポキシ化の試薬であるエピクロロヒドリン由来の塩素が残りやすく、エレクロトロニクス分野で使われる際に電気特性を悪化させることがあった。
本発明の第3の要旨は、透明基板上に、前記感光性着色組成物を用いて形成された画素を有するカラーフィルタに存する。
[感光性組成物]
本発明の感光性組成物は、バインダー樹脂(A)と光重合開始剤(B)を必須成分として含有し、必要に応じて光重合性モノマー等を含有する。
<バインダー樹脂(A)>
バインダー樹脂(A)は、フェノール樹脂(a)と不飽和基含有エポキシ化合物(b)の反応物をさらに多塩基性カルボン酸またはその無水物(c)と反応させて得られる。
フェノール樹脂(a)は、1分子当たり2個以上の不飽和基を有する環状炭化水素化合物(以下、単に「不飽和環状炭化水素化合物」と略記する)とフェノール類との重付加反応物である。
このバインダー樹脂(A)が良好な特性を示すのは、構成成分のフェノール樹脂(a)が環状炭化水素構造を有するためバルキーであり、適度な疎水性を有するため、露光部の現像液の浸透による浸食を防ぐことが考えられる。
不飽和環状炭化水素化合物は、特に限定されるものではないが、通常炭素数5〜20、好ましくは6〜12である。具体的には、ジシクロペンタジエン、テトラヒドロインデン、4−ビニルシクロヘキセン、5−ビニルノルボナ−2−エン、α―ピネン、β−ピネン、リモネンなどの不飽和脂肪族炭化水素化合物や、ジビニルベンゼンなどの不飽和芳香族炭化水素化合物が挙げられる。これらの中でもジシクロペンタジエンが特に好ましい。またジシクロペンタジエンは石油留分中に含まれることから、工業用ジシクロペンタジエンには他の脂肪族あるいは芳香族ジエン類等が不純物として含有されることがあるが、耐熱性、硬化性などを考慮すると、ジシクロペンタジエンが90重量%以上のものが望ましい。特に、純度95重量%以上のものが中でも好ましい。
また前述のフェノール樹脂(a)は、例えば新日本石油(株)製ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂DPP−6085、6095L、6095H、6115L、6115H、6125等のDPPシリーズなどが市販されており、好ましく用いられる。
不飽和基含有エポキシ化合物(b)としては、エチレン性不飽和二重結合を有するエポキシ化合物が挙げられ、具体例としては、グリシジルメタクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート(なお、本明細書において、「(メタ)アクリル〜」、「(メタ)アクリレート」等は、「アクリル〜またはメタクリル〜」、「アクリレートまたはメタクリレート」等を意味するものとする)、メチルグリシジルメタクリレート、あるいは特開平1−289820に記載の脂環式エポキシ含有不飽和化合物などが挙げられる。
フェノール樹脂(a)中の水酸基と不飽和基含有エポキシ化合物(b)中のエポキシ基を反応させる方法としては公知の手法を用いることができる。例えば、上記エポキシ樹脂と不飽和基含有カルボン酸とをトリエチルアミン、ベンジルメチルアミン等の3級アミン、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩、ピリジン、トリフェニルホスフィン等を触媒として有機溶剤中反応温度50〜150℃で数〜数十時間反応させることによりエポキシ樹脂にカルボン酸を付加することができる。該触媒の使用量は、反応原料混合物に対して好ましくは0.01から10重量%、特に好ましくは0.3から5重量%である。また反応中の重合を防止するために、重合防止剤(例えばメトキノン、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、tert−ブチルカテコール、フェノチアジン等)を使用することが好ましく、その使用量は、反応原料混合物に対して好ましくは0.01〜10重量%、特に好ましくは0.1から5重量%である。
フェノール樹脂(a)中の水酸基に不飽和基含有エポキシ化合物(b)を付加させる割合は、通常90〜100モル%である。エポキシ基の残存は保存安定性に悪影響を与えるため、エポキシ基1当量に対して、通常0.8から1.5当量、さらに好ましくは0.9から1.1当量の割合で反応を行う。
フェノール樹脂(a)と不飽和基含有エポキシ化合物(b)に反応させたときに生成される水酸基に付加させる多塩基性カルボン酸またはその無水物(c)としては、公知のものが使用でき、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、クロレンド酸、メチルテトラヒドロフタル酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸等の二塩基性カルボン酸またはその無水物;トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸等の多塩基性カルボン酸またはその無水物が挙げられる。中でも好ましくは、テトラヒドロ無水フタル酸または無水コハク酸がよい。
上記のフェノール樹脂(a)に、不飽和基含有エポキシ化合物(b)を付加させた後、多塩基性カルボン酸またはその無水物(c)を付加させる方法としては、公知の方法を用いることが出来る。
本発明のバインダー樹脂(A)の酸価(mgKOH/g)は、通常10以上、好ましくは50以上であり、通常200以下、好ましくは150以下である。酸価が低すぎると十分な溶解性が得られず、酸価が高すぎると硬化性が不足し、表面性が悪化する。
<光重合開始剤(B)>
本発明に用いられる光重合開始剤は、活性光線によりエチレン性不飽和基を重合させる化合物であれば特に限定されないが、本発明の感光性組成物が、重合可能な基を有する化合物としてエチレン性化合物を含む場合には、光を直接吸収するか光増感されて、分解反応または水素引き抜き反応を起こし、重合活性ラジカルを発生する機能を有する光重合開始剤を使用するのが好ましい。
光重合開始剤の含有率は、本発明の感光性組成物の全固形分に対して、通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、更に好ましくは0.5重量以上であり、通常30重量%以下、好ましくは10重量%以下である。含有率が低すぎると感度低下を起こすことがあり、反対に高すぎると未露光部分の現像液に対する溶解性が低下し、現像不良を誘起させやすい。
<光重合性モノマー>
本発明においては、バインダー樹脂(A)と光重合開始剤(B)に加え、さらに光重合性モノマー(光重合性化合物)を使用するのが感度等の点で好ましい。本発明に用いられる光重合性モノマーとしては、エチレン性不飽和基を少なくとも1個有する化合物を挙げることができる。分子内にエチレン性不飽和基を有する化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、アクリロニトリル、スチレン、エチレン性不飽和結合を1個有するカルボン酸と多(単)価アルコールのモノエステル等が挙げられる。
多塩基性カルボン酸及び不飽和カルボン酸と、多価ヒドロキシ化合物のエステル化反応により得られるエステルとしては必ずしも単一物ではないが代表的な具体例を挙げれば、アクリル酸、フタル酸、及びエチレングリコールの縮合物、アクリル酸、マレイン酸、及びジエチレングリコールの縮合物、メタクリル酸、テレフタル酸及びペンタエリスリトールの縮合物、アクリル酸、アジピン酸、ブタンジオール及びグリセリンの縮合物等がある。
[感光性着色組成物]
本発明の感光性組成物をカラーフィルター用途などに使用する場合には、感光性組成物に色材を配合して、感光性着色組成物を調製する。
<色材(C)>
色材は、本発明に係る感光性組成物を着色するものをいう。色材としては、染顔料が使用できるが、耐熱性、耐光性等の点から顔料が好ましい。顔料としては青色顔料、緑色顔料、赤色顔料、黄色顔料、紫色顔料、オレンジ顔料、ブラウン顔料、黒色顔料等各種の色の顔料を使用することができる。また、その構造としてはアゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系、ジオキサジン系、インダンスレン系、ペリレン系等の有機顔料の他に種々の無機顔料等も利用可能である。以下、使用できる顔料の具体例をピグメントナンバーで示す。以下に挙げる「C.I.ピグメントレッド2」等の用語は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。
12、14、15、16、17、21、22、23、31、32、37、38、41、47、48、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、50:1、52:1、52:2、53、53:1、53:2、53:3、57、57:1、57:2、58:4、60、63、63:1、63:2、64、64:1、68、69、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90:1、101、101:1、104、108、108:1、109、112、113、114、122、123、144、146、147、149、151、166、168、169、170、172、173、174、175、176、177、178、179、181、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、214、216、220、221、224、230、231、232、233、235、236、237、238、239、242、243、245、247、249、250、251、253、254、255、256、257、258、259、260、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276を挙げることができる。この中でも、好ましくはC.I.ピグメントレッド48:1、122、168、177、202、206、207、209、224、242、254、さらに好ましくはC.I.ピグメントレッド177、209、224、254を挙げることができる。
黄色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、1:1、2、3、4、5、6、9、10、12、13、14、16、17、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、41、42、43、48、53、55、61、62、62:1、63、65、73、74、75,81、83、87、93、94、95、97、100、101、104、105、108、109、110、111、116、117、119、120、126、127、127:1、128、129、133、134、136、138、139、142、147、148、150、151、153、154、155、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、172、173、174、175、176、180、181、182、183、184、185、188、189、190、191、191:1、192、193、194、195、196、197、198、199、200、202、203、204、205、206、207、208を挙げることができる。この中でも、好ましくはC.I.ピグメントイエロー83、117、129、138、139、150、154、155、180、185、さらに好ましくはC.I.ピグメントイエロー83、138、139、150、180を挙げることができる。
これらの中で、カーボンブラックが遮光率、画像特性の観点から好ましい。カーボンブラックの例としては、以下のようなカーボンブラックが挙げられる。
XC72R、ELFTEX−8コロンビヤン カーボン社製:RAVEN11、RAVEN14、RAVEN15、RAVEN16、RAVEN22RAVEN30、RAVEN35、RAVEN40、RAVEN410、RAVEN420、RAVEN450、RAVEN500、RAVEN780、RAVEN850、RAVEN890H、RAVEN1000、RAVEN1020、RAVEN1040、RAVEN1060U、RAVEN1080U、RAVEN1170、RAVEN1190U、RAVEN1250、RAVEN1500、RAVEN2000、RAVEN2500U、RAVEN3500、RAVEN5000、RAVEN5250、RAVEN5750、RAVEN7000
他の黒色顔料の例としては、チタンブラック、アニリンブラック、酸化鉄系黒色顔料、及び、赤色、緑色、青色の三色の有機顔料を混合して黒色顔料として用いることができる。
これら各種の顔料は、複数種を併用することもできる。例えば、色度の調整のために、顔料として、緑色顔料と黄色顔料とを併用したり、青色顔料と紫色顔料とを併用したりすることができる。
アゾ系染料としては、例えば、C.I.アシッドイエロー11,C.I.アシッドオレンジ7,C.I.アシッドレッド37,C.I.アシッドレッド180,C.I.アシッドブルー29,C.I.ダイレクトレッド28,C.I.ダイレクトレッド83,C.I.ダイレクトイエロー12,C.I.ダイレクトオレンジ26,C.I.ダイレクトグリーン28,C.I.ダイレクトグリーン59,C.I.リアクティブイエロー2,C.I.リアクティブレッド17,C.I.リアクティブレッド120,C.I.リアクティブブラック5,C.I.ディスパースオレンジ5,C.I.ディスパースレッド58,C.I.ディスパースブルー165,C.I.ベーシックブルー41,C.I.ベーシックレッド18,C.I.モルダントレッド7,C.I.モルダントイエロー5,C.I.モルダントブラック7等が挙げられる。
この他、フタロシアニン系染料として、例えば、C.I.パッドブルー5等が、キノンイミン系染料として、例えば、C.I.ベーシックブルー3,C.I.ベーシックブルー9等が、キノリン系染料として、例えば、C.I.ソルベントイエロー33,C.I.アシッドイエロー3,C.I.ディスパースイエロー64等が、ニトロ系染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー1,C.I.アシッドオレンジ3,C.I.ディスパースイエロー42等が挙げられる。
<有機溶剤>
有機溶剤としては特に制限は無いが、例えば、ジイソプロピルエーテル、ミネラルスピリット、n−ペンタン、アミルエーテル、エチルカプリレート、n−ヘキサン、ジエチルエーテル、イソプレン、エチルイソブチルエーテル、ブチルステアレート、n−オクタン、バルソル#2、アプコ#18ソルベント、ジイソブチレン、アミルアセテート、ブチルブチレート、アプコシンナー、ブチルエーテル、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキセン、メチルノニルケトン、プロピルエーテル、ドデカン、Socal solvent No.1およびNo.2、アミルホルメート、ジヘキシルエーテル、ジイソプロピルケトン、ソルベッソ#150、酢酸ブチル(n、sec、t)、ヘキセン、シェル TS28 ソルベント、ブチルクロライド、エチルアミルケトン、エチルベンゾネート、アミルクロライド、エチレングリコールジエチルエーテル、エチルオルソホルメート、メトキシメチルペンタノン、メチルブチルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルイソブチレート、ベンゾニトリル、エチルプロピオネート、メチルセロソルブアセテート、メチルイソアミルケトン、メチルイソブチルケトン、プロピルアセテート、アミルアセテート、アミルホルメート、ビシクロヘキシル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジペンテン、メトキシメチルペンタノール、メチルアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、プロピルプロピオネート、プロピレングリコール−t−ブチルエーテル、メチルエチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、カルビトール、シクロヘキサノン、酢酸エチル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸、3−エトキシプロピオン酸、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、ジグライム、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールアセテート、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール−t−ブチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、トリプロピレングリコールメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等の有機溶剤を具体的に挙げることができる。
<顔料分散剤>
分散処理においては、特に顔料分散剤として高分子分散剤を用いると経時の分散安定性に優れるので好ましい。高分子分散剤としては、例えば、ウレタン系分散剤、ポリエチレンイミン系分散剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系分散剤、ポリオキシエチレングリコールジエステル系分散剤、ソルビタン脂肪族エステル系分散剤、脂肪族変性ポリエステル系分散剤等を挙げることができる。このような分散剤の具体例としては、商品名で、EFKA(エフカーケミカルズビーブイ(EFKA)社製)、Disperbik(ビックケミー社製)、ディスパロン(楠本化成(株)製)、SOLSPERSE(ゼネカ社製)、KP(信越化学工業(株)製)、ポリフロー(共栄社化学(株)社製)等を挙げることができる。これらの分散剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。顔料分散剤の含有量は、感光性着色組成物の固形分中、通常50重量%以下、好ましくは30重量%以下である。
また、基板との密着性を改善するため、シランカップリング剤を添加することも可能である。シランカップリング剤の種類としては、エポキシ系、メタクリル系、アミノ系等種々の物が使用できるが、特にエポキシ系のシランカップリング剤が好ましい。
[感光性着色組成物の製造方法]
本発明の感光性着色組成物は、常法に従って製造される。例えば、まず、色材、溶剤、および分散剤とを各所定量秤量し、分散処理工程において、色材を分散させて液状の着色組成物(インク状液体)とする。この分散処理工程では、ペイントコンディショナー、サンドグラインダー、ボールミル、ロールミル、ストーンミル、ジェットミル、ホモジナイザーなどを使用することができる。この分散処理を行うことによって色材が微粒子化されるため、感光性着色組成物の塗布特性が向上し、製品のカラーフィルタ基板の透過率が向上する。
感光性着色組成物中の光重合性モノマーの含有量は、全固形分に対して、通常90重量%以下、であり、好ましくは80重量%以下である。含有率が高すぎると、露光部への現像液の浸透性が高くなり、画素のシャープ性や密着性が悪化する。
[3]カラーフィルタ基板の製造
[3-1]透明基板(支持体)
次に、カラーフィルタ基板、およびカラーフィルタの製造方法について説明する。カラーフィルタの透明基板としては、透明で適度の強度があれば、その材質は特に限定されるものではない。材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスルホンの熱可塑性樹脂製シート、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂などの熱硬化性樹脂シート、または各種ガラスなどが挙げられる。この中でも、耐熱性の観点からガラス、耐熱性樹脂が好ましい。
透明基板上に、ブラックマトリクスを設け、通常、赤色、緑色、青色の画素画像を形成することにより、本発明のカラーフィルタを製造することができる。上記感光性着色組成物は、黒色、赤色、緑色、青色のうち少なくとも一種のレジスト形成用塗布液として使用される。ブラックレジストに関しては、透明基板上素ガラス面上、赤色、緑色、青色に関しては透明基板上に形成された樹脂ブラックマトリクス形成面上、または、クロム化合物その他の遮光金属材料を用いて形成した金属ブラックマトリクス形成面上に、塗布、加熱乾燥、画像露光、現像および熱硬化の各処理を行って各色の画素画像を形成する。
これらの金属遮光膜は、一般にスパッタリング法によって形成され、ポジ型フォトレジストにより、膜状に所望のパターンを形成した後、クロムに対しては硝酸第二セリウムアンモニウムと過塩素酸および/または硝酸とを混合したエッチング液を用い、その他の材料に対しては、材料に応じたエッチング液を用いて蝕刻され、最後にポジ型フォトレジストを専用の剥離剤で剥離することによって、ブラックマトリクスを形成することができる。
[3-3]画素の形成
ブラックマトリクスを設けた透明基板上に、赤色、緑色、青色のうち一色の着色材料を含有する感光性着色組成物を塗布し、乾燥した後、塗布膜の上にフォトマスクを重ね、このフォトマスクを介して画像露光、現像、必要に応じて熱硬化または光硬化により画素画像を形成させ、着色層を作成する。この操作を、赤色、緑色、青色の三色の感光性着色組成物について各々行うことによって、カラーフィルタ画像を形成することができる。
基板に感光性着色組成物を塗布した後の塗布膜の乾燥は、ホットプレート、IRオーブン、コンベクションオーブンを使用した乾燥法によるのが好ましい。通常は、予備乾燥の後、再度加熱させて乾燥させる。予備乾燥の条件は、前記溶剤成分の種類、使用する乾燥機の性能などに応じて適宜選択することができる。乾燥時間は、溶剤成分の種類、使用する乾燥機の性能などに応じて、通常は、40〜80℃の温度で15秒〜5分間の範囲で選ばれ、好ましくは50〜70℃の温度で30秒〜3分間の範囲で選ばれる。
画像露光は、感光性着色組成物の塗布膜上に、ネガのマトリクスパターンを重ね、このマスクパターンを介し、紫外線または可視光線の光源を照射して行う。この際、必要に応じ、酸素による光重合性層の感度の低下を防ぐため、光重合性層上にポリビニルアルコール層などの酸素遮断層を形成した後に露光を行ってもよい。上記の画像露光に使用される光源は、特に限定されるものではない。光源としては、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、蛍光ランプなどのランプ光源や、アルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー、窒素レーザー、ヘリウムカドミニウムレーザー、半導体レーザーなどのレーザー光源などが挙げられる。特定の波長の光を照射して使用する場合には、光学フィルタを利用することもできる。
本発明に係るカラーフィルタは、感光性着色組成物による塗布膜を、上記の光源によって画像露光を行った後、有機溶剤、または、界面活性剤とアルカリ性化合物とを含む水溶液を用いる現像によって、基板上に画像を形成して調製することができる。この水溶液には、さらに有機溶剤、緩衝剤、錯化剤、染料または顔料を含ませることができる。
現像処理の条件は特に制限はなく、通常、現像温度は10〜50℃の範囲、中でも15〜45℃、特に好ましくは20〜40℃で、現像方法は、浸漬現像法、スプレー現像法、ブラシ現像法、超音波現像法などのいずれかの方法によることができる。
フタロシアニン系顔料、バインダー樹脂としてのポリイミド系樹脂を含む硬化性着色組成物を、基板に塗布し、エッチング法により画素画像を形成する方法によっても製造することができる。また、(2)フタロシアニン系顔料を含む感光性着色組成物を着色インキとし
て用い、印刷機によって、透明基板上に直接画素画像を形成する方法や、(3)フタロシア
ニン系顔料を含む感光性着色組成物を電着液として用い、基板をこの電着液に浸漬させ所定パターンにされたITO電極上に、着色膜を析出させる方法などが挙げられる。さらに、(4)フタロシアニン系顔料を含む感光性着色組成物を塗布したフィルムを、透明基板に貼りつけて剥離し、画像露光、現像し画素画像を形成する方法や、(5)フタロシアニン系顔料を含む感光性着色組成物を着色インキとして用い、インクジェットプリンターにより画素画像を形成する方法、などが挙げられる。カラーフィルタの製造方法は、カラーフィルタ用感光性着色組成物の組成に応じ、これに適した方法が採用される。
現像の後のカラーフィルタ基板には、熱硬化処理を施す。この際の熱硬化処理条件は、温度は100〜280℃の範囲、好ましくは150〜250℃の範囲で選ばれ、時間は5〜60分間の範囲で選ばれる。これら一連の工程を経て、一色のパターニング画像形成は終了する。この工程を順次繰り返し、ブラック、赤色、緑色、青色をパターニングし、カラーフィルタを形成する。なお、4色のパターニングの順番は、上記した順番に限定されるものではない。
又、このようにして着色パターンの画素画像を形成したとき、テーパー角が小さいと遮光性パターンと赤色、緑色、青色画素画像との重なり部分の厚さが低減されるので、該基板を基準面とする、各画素画像内における表面の最高点と最低点の差(以下、画素内段差という。)がいずれの画素画像についても通常0.7μm以下、好ましくは0.5μm以下、更に好ましくは0.4μm以下である。画素内段差が大きすぎると盛り上がり部分によるITO膜の断線がおそれがあり、良質なカラーフィルターを得ることができない。
カラーフィルタは、このままの状態で画像上にITOなどの透明電極を形成して、カラーディスプレー、液晶表示装置などの部品の一部として使用されるが、表面平滑性や耐久性を高めるため、必要に応じ、画像上にポリアミド、ポリイミドなどのトップコート層を設けることもできる。また一部、平面配向型駆動方式(IPSモード)などの用途においては、透明電極を形成しないこともある。
次に、液晶表示装置(パネル)の製造法について説明する。液晶表示装置は、通常、カラーフィルタ上に配向膜を形成し、この配向膜上にスペーサーを散布した後、対向基板と貼り合わせて液晶セルを形成し、形成した液晶セルに液晶を注入し、対向電極に結線して完成する。配向膜は、ポリイミド等の樹脂膜が好適である。配向膜の形成には、通常、グラビア印刷法及び/またはフレキソ印刷法が採用され、配向膜の厚さは数10nmとされる。熱焼成によって配向膜の硬化処理を行った後、紫外線の照射やラビング布による処理によって表面処理し、液晶の傾きを調整しうる表面状態に加工される。
周辺をシールされた液晶セルは、パネル単位に切断した後、真空チャンバー内で減圧とし、上記液晶注入口を液晶に浸漬した後、チャンバー内をリークすることによって、液晶を液晶セル内に注入する。液晶セル内の減圧度は、通常、1×10-2〜1×10-7Paであるが、好ましくは1×10-3〜1×10-6Paである。また、減圧時に液晶セルを加温するのが好ましく、加温温度は通常30〜100℃であり、より好ましくは50〜90℃である。減圧時の加温保持は、通常10〜60分間の範囲とされ、その後液晶中に浸漬される。液晶を注入した液晶セルは、液晶注入口をUV硬化樹脂を硬化させて封止することによって、液晶表示装置(パネル)が完成する。
[1]密着性及び画素シャープ性の比較
< 合成例1 >
新日本石油化学株式会社製DPP(ジシクロペンタジエン・フェノール重合物、重量平均分子量500、OH当量178)214部、グリシルメタクリレート酸174部、p−メトキシフェノール0.2 部、トリフェニルホスフィン5部、プロピレングリコールモ
ノメチルエーテルアセテート255部を反応容器に仕込み、100℃でエポキシ当量が12000以上 になるまで撹拌した。酸価が目標に達するまで9時間を要した(エポキシ当量14500)。次いで更にテトラヒドロ無水フタル酸145部を添加し、120℃で4時間反応させ、酸価100、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量2600のバインダー樹脂I溶液を得た。バインダー溶液の全塩素濃度は20ppm以下であった。
新日本石油化学株式会社製DPP−6125(ジシクロペンタジエン・フェノール重合物、重量平均分子量600 、OH当量185)93 部、グリシジルメタクリレート81部、p−メトキシフェノール0.1部、トリフェニルホスフィン2.5部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート130部を反応容器に仕込み、100℃でエポキシ当量が12000以上になるまで加熱撹拌をした。酸価が目標に達するまで9 時間を
要した( 15000) 。次いで更にテトラヒドロ無水フタル酸74gを添加し、120℃で4 時間反応させ、酸価98 、重量平均分子量3500のバインダー樹脂II溶液を得た。バインダー溶液の全塩素濃度は20ppm以下であった。
< 合成例3 >
日本化薬(株)製XD1000(ジシクロペンタジエン・フェノール重合物のポリグリシジルエーテル、重量平均分子量700、エポキシ当量252)300部、アクリル酸87部、p−メトキシフェノール0.2部、トリフェニルホスフィン5部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート255部を反応容器に仕込み、100℃で酸価が3.0mgKOH/gになるまで撹拌した。酸価が目標に達するまで9時間を要した( 酸価2.5)。次いで更にテトラヒドロ無水フタル酸145部を添加し、120℃で4時間反応させ、酸価100、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量2600のバインダー樹脂III溶液を得た。バインダー溶液の全塩素濃度は280ppmであった。
合成例1で得られたバインダー樹脂I溶液を52重量部(固形分換算35重量部)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを5重量部、CGI−124(チバガイギー社製)4重量部、更にカーボンブラック分散体(カーボン濃度25%)56重量部を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに混合して感光性黒色組成物を得た。
実施例1のバインダー樹脂Iをバインダー樹脂IIに変更した以外は実施例1と同様の処理を行って黒色画素を形成した。
<比較例1>
実施例1のバインダー樹脂IをEA4805(三菱化学社製、クレゾールノボラック型エポキシアクリレートのテトラヒドロ無水フタル酸付加物。酸価100)に変更した以外は実施例1と同様の処理を行って黒色画素を形成した。
実施例1のバインダー樹脂IをZAR(日本化薬社製、ビスフェノールA型エポキシアクリレートのテトラヒドロ無水フタル酸付加物。酸価100。)に変更した以外は実施例1と同様の処理を行って黒色画素を形成した。
<比較例3>
実施例1のバインダー樹脂IをACA200M(ダイセル化学工業社製、カルボン酸を有するアクリル樹脂の3,4−エポキシシクロヘキシルアクリレート付加物。酸価115。)に変更した以外は実施例1と同様の処理を行って黒色画素を形成した。
<比較例4>
実施例1のバインダー樹脂Iをバインダー樹脂IIIに変更した以外は実施例1と同様の
処理を行って黒色画素を形成した。
得られた画素を、以下の項目で評価し、表−1に結果を記した。
<密着性>
20μmのマスクパターンを忠実に再現する露光量における解像可能なレジストの最小パターン寸法を200倍の倍率で顕微鏡観察した。最小パターン寸法が10μm以下を密着性が○、10μmを超えるものを×とし、表−1の結果を得た。
20μmのマスクパターンを忠実に再現する露光量における細線黒色画素の形状を1000倍の倍率で顕微鏡観察した。直線性の良好なものをシャープ性○、突起や凸凹のあるレジストパターンを×し、表−1の結果を得た。
<バインダー溶液の全塩素濃度>
実施例、比較例に用いられたバインダー溶液の塩素濃度を測定した。100ppm以下のものを○、100ppmを超えるものを×とし、表−1の結果を得た。
<実施例3>
カーボンブラック(三菱化学(株)製「MA−220」)19.7 g、分散剤としてBykchemie社製「Disperbyk-182」7.7 g、をPGMEA 72.6 gと混合し、粒子系0.5mmのジルコニアビーズ100 ccを加え、ペイントコンディショナーで10時間振とうし、カーボンブラックの分散液を得た。この分散液を50.7 g分取し、バインダー樹脂I溶液10.79g(固形分換算7.26 g)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬社製「DPHA」)1.82 g、光重合開始材としてチバスペシャリティケミカルズ製CGI-242 2.0 g、界面活性剤として大日本インキ社製メガファックF475 0.025g、有機溶媒としてPGMEA 38.2 gを加え、ブラックレジストを調整した。
実施例3で作成したカーボンブラック分散液を63.4 g分取し、バインダー樹脂としてEA4805(三菱化学社製、クレゾールノボラック型エポキシアクリレートのテトラヒドロ無水フタル酸付加物。酸価100)4.98 g、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬社製「DPHA」)1.25 g、光重合開始材としてチバスペシャリティケミ
カルズ製CGI-242 1.37 g、界面活性剤として大日本インキ社製メガファックF475 0.025g、有機溶媒としてPGMEA 29.0 gを加え、ブラックレジストを調整した。
このようにして得られたブラックレジストを実施例3と同様にして露光・現像・熱処理を施し、ブラックマトリクスパターンを得た。
得られた画素を、以下の項目で評価し、表−2に結果を記した。
<テーパー角>
上記のようにして得られた黒色画素の断面形状をSEM(日立製S−4500)で観察し、テーパー角を測定した。
<画素内段差>
赤色顔料(チバ・ガイギー社製「Cromophtal Red A2B」及びBASF社製「Paliotol Yellow K1841D」)7.7gとポリエステル系分散剤3.1gにPGMEA6.4gを混合し、0.5mmのジルコニアビーズを10cc加え、ペイントコンディショナーで5時間振とうして赤色顔料の分散液を得た。この分散液を7.48g分取し、バインダーとして化1のアクリル系樹脂1.0g、エチレン性化合物としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)「DPHA」)0.5g、光重合開始系としてビイミダゾール0.075g、ミヒラーズケトン0.045g、フッ素系界面活性剤(住友3M(株)「FC−430」)0.0004g、有機溶媒としてPGMEA1.51gを加え、赤色用カラーレジストを調製した。
した後、0.5重量%のジエタノールアミン水溶液を用いて現像することにより、ブラックマトリックスパターンの間に赤色画素のパターンを得た。次いで、試料を高圧水銀灯を用いて15000mj/cm2紫外線照射し、更に200℃のオーブン中で10分間熱処
理することにより、赤色画素画像を形成した。
また、赤色顔料の代りに、緑色顔料(東洋インキ製造社製「Lionol Green 6Y501」及びBASF社製「Paliotol Yellow K1841D」)を用いたこと以外は上述と全く同様の方法で緑色画素画像を形成し、画素内段差を測定した。
2 基板面
3 テーパー角
Claims (7)
- フェノール樹脂(a)と不飽和基含有エポキシ化合物(b)の反応物をさらに多塩基性カルボン酸またはその無水物(c)と反応させて得られるバインダー樹脂(A)と、光重合開始剤(B)を含有する感光性組成物において、フェノール樹脂(a)が、1分子あたり2個以上の不飽和基を有する環状炭化水素化合物とフェノール類との重付加反応物であることを特徴とする感光性組成物。
- フェノール樹脂(a)が、ジシクロペンタジエンとフェノールまたはクレゾールとの重付加反応物であることを特徴とする請求項1に記載の感光性組成物。
- 請求項1又は2に記載の感光性組成物及び色剤(C)を含有することを特徴とする感光性着色組成物。
- 色剤(C)が、黒色色材である請求項3に記載の感光性組成物。
- 透明基板上にパターンを画像形成したときの断面形状において、パターンの基板に接する面と、基板面との形成する角度が50度以下である請求項1乃至4の何れか1項に記載の感光性組成物。
- 透明基板上に、請求項3乃至5のいずれかに記載の感光性着色成物を用いて形成された画素を有するカラーフィルタ。
- 請求項6に記載のカラーフィルタを用いた液晶表示装置。
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