JP2010144057A - 着色樹脂組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置及び有機elディスプレイ - Google Patents

着色樹脂組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置及び有機elディスプレイ Download PDF

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達寛 大畑
Hisanaga Tanooka
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Abstract


【課題】耐水性に優れ、現像液に対する溶解性が良好で、現像行程における現像液シミの問題が改善され、且つ基板上の非画像部に着色樹脂組成物の未溶解物が残存することがなく、基板との密着性にも優れ、硬化性等の画像形成能を低下させることがなく、高透過率、高コントラスト、低膜厚のカラーフィルタを製造し得る顔料分散液及び着色樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)顔料、(B)分散剤を含有し、(A)顔料がC.I.ピグメントレッド177、及び/又は特定の顔料Yを含有し、(B)分散剤が、親溶媒性のAブロックと、窒素原子を含む官能基を有するBブロックからなるブロック共重合体であり、且つアミン価が有効固形分換算で80mgKOH/g以上150mgKOH/g以下であることを特徴とする顔料分散液、及び該顔料分散液に、更に(C)バインダ樹脂等を含有することを特徴とする着色樹脂組成物とその用途。
【選択図】 なし

Description

本発明は、顔料分散液、着色樹脂組成物(以下、任意に「レジスト」と称することがある。)、カラーフィルタ、液晶表示装置及び有機ELディスプレイに関する。詳しくは、高度に微粒化された顔料を少量の添加量で効率よく分散することが可能で、色特性が非常に優れ、製版プロセスに適した現像性を有する着色樹脂組成物、この着色樹脂組成物を用いて画素を形成したカラーフィルタ、及びこのカラーフィルタを備えた液晶表示装置並びに有機ELディスプレイに関する。
従来、液晶表示装置等に用いられるカラーフィルタを製造する方法としては、顔料分散法、染色法、電着法、印刷法が知られている。中でも、分光特性、耐久性、パターン形状及び精度等の観点から、平均的に優れた特性を有する顔料分散法が最も広範に採用されている。
近年、技術革新の流れは急速であり、カラーフィルタに対しては、より高透過率、且つ高コントラストが要求されてきた。高コントラストのカラーフィルタを形成するには、高度に微粒化し、かつ粒度分布を狭く制御した顔料を分散する必要があり、顔料粒径の制御の技術も急速に発展している。必然的に顔料の表面積は増大する方向であり、分散剤等の添加量は増加する傾向にある。
一方、一定の色濃度を有し、かつ膜厚の薄い画素を形成するには、着色樹脂組成物に含まれる、顔料以外の成分を制限する必要もある。しかし、感光性、溶解性、硬化性などの画像形成性に寄与する成分が相対的に減少することにより、本来必要な画像形成性能が失われるという問題が生じやすい。即ち、例えば顔料の高濃度化による画素厚さの低減(低膜厚化)を試みると、組成物の硬化性が低下することにより画素の表面平滑性が低下し、液晶の配向不良を引き起こす。又、分散剤の増量により現像液に対する溶解性が低下することや、分散剤により現像液に対する溶解性が低下することで、所定の時間内に現像が出来ない場合や、現像可能であっても現像後の非画像部への着色樹脂組成物の未溶解物が残存し易くなる場合がある。更に、基板上の非画素部に着色樹脂組成物の未溶解物が残存すると、得られるカラーフィルタは、透過率やコントラストの低下などを引き起こすほか、パターンエッジ部に残存した場合には、ITO膜の剥離や、液晶セル化工程でのシール性劣化を起こすなど、後工程にまで影響を及ぼすような事態となる。
又、近年の着色樹脂組成物は、有機溶媒に有機顔料を分散させたものが主であるが、顔料製造からカラーフィルタ製造までの、製品管理や製造工程上の問題で、水分を含んでしまう可能性がある。これにより分散系が破壊され、増粘を引き起こすことや、極端な場合、顔料が凝集して沈降を起こすことがある。特に、C.I.ピグメントレッド177や後述する特定の黄色顔料等の一部顔料を使用した場合、このような現象が顕著に現れることがある。更に、現像工程においては、着色樹脂組成物を用いてフォトリソグラフィ法によりカラーフィルタの画素を形成した場合、該画素が現像液に含まれる水分により、局部的に色が変化し、シミが出ることもある。鋭意検討の結果、顔料分散液及び着色樹脂組成物の耐水性や、画素における現像液シミの発生は、幾つかの要因によって変化することがわかり、分散剤の構造は、コントラスト比や着色力等の色特性に影響するだけでなく、耐水性や現像液シミ等にも、大きな影響を与えていることを見出した。すなわち、C.I.ピグメントレッド177や後述する特定の黄色顔料等のような微量な水分の混入により増粘しやすい顔料を使用した着色樹脂組成物において、水分による分散系の破壊を緩和し、着色樹脂組成物の耐水性を向上させ、現像液シミを抑制するには、特定の分散剤の使用が有効である。
更に、近年、電気的信頼性も非常に重要視されている。液晶表示素子の電極間に充電された電荷が、種々の要因により時間とともに減衰し、液晶層に所定の電荷が印加されなくなるという問題が起こることがある(電圧保持率の低下)。公知の分散剤にはこの要因となり、電気的信頼性が低いものが多い。
これらの問題を解決するために、アクリル系ブロック共重合体の構造や酸価等を改良し、少量の添加で顔料分散性を改良する試みがなされている(特許文献1、2、3、4参照)。
しかしながら、本発明者らの検証によれば、これらの分散剤を用いても、上記C.I.ピグメントレッド177や後述する特定の黄色顔料等のような微量な水分の混入により増粘しやすいの分散安定性を保つには不十分であり、再凝集による増粘や、経時凝集によるコントラスト低下などの問題が依然として残っている。
特開2004−287298号 特開2004−287366号 特開2006−265528号 特開2006−321979号
本発明は上述の課題に鑑みてなされたもので、その目的は下記の通りである。
1)画素の高輝度化を目的として、C.I.ピグメントレッド177や後述する特定の黄色顔料等のような微量な水分の混入により増粘しやすい顔料を用いた場合、これまで問題となっていた、高コントラストと分散安定性の両立を実現した顔料分散液及び着色樹脂組成物を提供すること。具体的には、耐水性に優れ、現像液に対する溶解性が良好で、現像行程における現像液シミの問題が改善され、且つ基板上の非画像部に着色樹脂組成物の未溶解物が残存することがなく、基板との密着性にも優れ、硬化性等の画像形成能を低下させることがなく、高透過率、高コントラスト、低膜厚のカラーフィルタを製造し得る着色樹脂組成物を提供すること。
2)上記顔料分散液及び着色樹脂組成物を用いて、高品質で良好な現像性を有するカラーフィルタを提供すること。
3)上記カラーフィルタ基板を使用した、高品質の液晶表示装置及び有機ELディスプレイを提供すること。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、C.I.ピグメントレッド177や後述する特定の黄色顔料等のような微量な水分の混入により増粘しやすい顔料に、親溶媒性のAブロックと、窒素原子を含む官能基を有するBブロックからなるブロック共重合体であり、且つアミン価が有効固形分換算で80mgKOH/g以上150mgKOH/g以下である分散剤を使用することによって、微粒化された微量な水分の混入により増粘しやすい顔料についても、高コントラストと分散安定性の両立を実現し得ることを見出し、本発明の完成に至った。
即ち、本発明の要旨は、以下に存する。
(1)(A)顔料、(B)分散剤を含有し、(A)顔料がC.I.ピグメントレッド177、及び/又は以下の定義にて表される顔料Yを含有し、(B)分散剤が、親溶媒性のAブロックと、窒素原子を含む官能基を有するBブロックからなるブロック共重合体であり、且つアミン価が有効固形分換算で80mgKOH/g以上150mgKOH/g以下であることを特徴とする顔料分散液。
<顔料Y>
下記構造式(I)
Figure 2010144057
で表されるアゾバルビツール酸のニッケルとの1:1錯体、その互換異性体、及びこれらのうち少なくとも一方の化合物の結晶格子中に他の化合物が挿入されてなる結晶からなる群より選ばれた少なくとも一つの結晶からなる顔料。
(2)(B)分散剤における窒素原子を含む官能基のうち、1級〜3級アミノ基の含有割合が、1分子中20モル%以上であることを特徴とする前記(1)に記載の顔料分散液。(3)(B)分散剤における1級〜3級アミノ基を有する繰り返し単位が、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートに由来することを特徴とする前記(2)に記載の顔料分散液。
(4)(B)分散剤のAブロックが、Aブロック中で下記一般式(II)で表される部分構造を5ないし40モル%含有することを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の顔料分散液。
Figure 2010144057
(上記一般式(II)において、nは1〜5のいずれかの整数を示す。Rは、水素原子又はメチル基を表す。)
(5)(A)顔料が平均一次粒径40nm以下である有機顔料を含有することを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の顔料分散液。
(6)前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の顔料分散液、及び(C)バインダ樹脂を含有することを特徴とする着色樹脂組成物。
(7)(A)顔料、(B)分散剤及び(C)バインダ樹脂を含有し、(A)顔料がC.I.ピグメントレッド177、及び/又は前記の定義にて表される顔料Yを含有し、(B)分散剤が、親溶媒性のAブロックと、窒素原子を含む官能基を有するBブロックからなるブロック共重合体であり、且つアミン価が有効固形分換算で80mgKOH/g以上150mgKOH/g以下であることを特徴とする着色樹脂組成物。
(8)(D)重合性モノマーを含有することを特徴とする前記(6)又は(7)に記載の着色樹脂組成物。
(9)(E)光重合開始剤類、及び/又は熱重合開始剤類を含有することを特徴とする前記(6)〜(8)のいずれか1項に記載の着色樹脂組成物。
(10)(B)分散剤以外のブロック共重合体を含有することを特徴とする前記(6)〜(9)のいずれか1項に記載の着色樹脂組成物。
(11)カラーフィルタ用である前記(6)〜(10)のいずれか1項に記載の着色樹脂組成物。
(12)前記(6)〜(11)のいずれか1項に記載の着色樹脂組成物を用いて作製された画素を有することを特徴とするカラーフィルタ。
(13)前記(12)に記載のカラーフィルタを具備することを特徴とする液晶表示装置。
(14)前記(12)に記載のカラーフィルタを具備することを特徴とする有機ELディスプレイ。
本発明によれば、以下に挙げる効果を奏する。
1) 画素の高輝度化を目的として、微粒化された増粘性の高い顔料を用いた場 合、
これまで問題となっていた、高コントラストと分散安定性の両立を実現した顔料分散液及び着色樹脂組成物を提供し得る。具体的には、耐水性に優れ、現像液に対する溶解性が良好で、現像行程における現像液シミの問題が改善され、且つ基板上の非画像部に着色樹脂組成物の未溶解物が残存することがなく、基板との密着性にも優れ、硬化性等の画像形成能を低下させることがなく、高透過率、高コントラスト、低膜厚のカラーフィルタを製造し得る着色樹脂組成物を提供し得ること。
2) 上記顔料分散液及び着色樹脂組成物を用いて、高品質で良好な現像性を有するカラーフィルタを提供し得ること。
3) 上記カラーフィルタ基板を使用した、高品質の液晶表示装置及び有機ELディスプレイを提供し得ること。
以下に、本発明の構成要件及び実施の形態等について詳細に説明するが、これらは本発明の実施態様の一例であり、これらの内容に限定されるものではない。
尚、「(メタ)アクリル」等は「アクリル及びメタクリルのうち少なくとも一つ」、「(メタ)アクリレート」等は、「アクリレート及びメタクリレートのうち少なくとも一つ」等を意味するものとし、例えば「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸及びメタクリル酸のうち少なくとも一つ」を意味するものとする。
又、「全固形分」とは、顔料分散液または着色樹脂組成物に含まれる、後記する溶媒成分以外の全成分を意味するものとする。
本発明において、特に断りの無い限り、重量平均分子量とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)を指す。「C.I.」は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。
更に、本発明において、「アミン価」とは、特に断りのない限り有効固形分換算のアミン価を表し、分散剤の固形分1gあたりの塩基量と当量のKOHの重量で表される値である。尚、測定方法については後述する。一方、「酸価」とは、特に断りのない限り有効固形分換算の酸価を表し、中和滴定することで算出する。
<顔料分散液の構成成分>
以下に本発明の顔料分散液の各構成成分を説明する。本発明に係る顔料分散液は、特定の(A)顔料、溶媒及び(B)分散剤を必須成分とし、更に要すれば、上記成分以外の他の添加物等が配合されていてもよい。以下、各構成成分を説明する。
<(A)顔料>
本発明の顔料分散液又は着色樹脂組成物に使用される(A)顔料としては、C.I.ピグメントレッド177、及び/又は以下の定義にて表される顔料Yを含有することが必須である。
本発明において、顔料Yとは、下記構造式(I)
Figure 2010144057
で表されるアゾバルビツール酸のニッケルとの1:1錯体、その互換異性体、及びこれらのうち少なくとも一方の化合物の結晶格子中に他の化合物が挿入されてなる結晶からなる群より選ばれた少なくとも一つの結晶からなる顔料を意味する。
又、挿入される化合物としては、メラミン又はメラミン誘導体が好ましく、中でも特に下記一般式(IX)で表される化合物が好ましい。
Figure 2010144057
式中、R21、R22及びR23は各々独立に、水素原子、又は水酸基で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表す。R21ないしR23としては、いずれも水素原子である場合が最も好ましい。
又、前記構造式(I)で表わされるアゾバルビツール酸のニッケルとの1:1錯体及びその互換異性体(以下、併せてアゾニッケル錯体化合物と称することがある。)からなるホスト化合物の結晶格子中に挿入される、いわゆるゲスト化合物である前記一般式(IX)で表される化合物の量は、ホスト化合物に対して、通常5〜200重量%、好ましくは5〜120重量%であり、より好ましくは10〜100重量%である。なお、挿入されている前記一般式(IX)で表される化合物の量は、溶媒などで洗出不可能であり、元素分析値から算出することができる。前記一般式で表される化合物は、ホスト化合物に含まれるニッケル1原子に対し、2分子含有されていることが、特に好ましい。このような化合物は、例えば特開2005−325350号公報等に記載の方法にて製造することができる。
本発明における顔料Yに該当する化合物としては、C.I.ピグメントイエロー150などが挙げられる。顔料Yは、1種類を単独で使用しても、複数種併用してもよい。
尚、本発明の顔料分散液及び着色樹脂組成物は、カラーフィルタの画素等を形成する場合、発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、その他の赤色顔料や、黄色顔料、青色顔料、緑色顔料、紫色顔料、オレンジ顔料、ブラウン顔料等各種の色の顔料を使用することができる。
又、併用する顔料の化学構造としては、例えばアゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ベンツイミダゾロン系、イソインドリノン系、ジオキサジン系、インダンスレン系、ペリレン系等の有機顔料が挙げられる。この他に、種々の無機顔料等も利用可能である。
以下、併用できる顔料の具体例をピグメントナンバーで示す。
先ず、赤色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、12、14、15、16、17、21、22、23、31、32、37、38、41、47、48、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、50:1、52:1、52:2、53、53:1、53:2、53:3、57、57:1、57:2、58:4、60、63、63:1、63:2、64、64:1、68、69、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90:1、1 01、101:1、104、108、108:1、109、112、113、114、122、123、144、146、147、149、151、166、168、169、170、172、173、174、175、176、178、179、181、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、214、216、221、224、230、231、232、233、235、236、237、238、239、242、243、245、247、249、250、251、253、254、255、256、257、258、259、260、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276等を挙げることができる。これらの中で、好ましくはC.I.ピグメントレッド48:1、122、168、202、206、207、209、224、242、254等であり、更に好ましくはC.I.ピグメントレッド209、224、254等である。
黄色顔料としては、例えばC.I.ピグメントイエロー1、1:1、2、3、4、5、6、9、10、12、13、14、16、17、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、41、42、43、48、53、55、61、62、62:1、63、65、73、74、75,81、83、87、93、94、95、97、100、101、104、105、108、109、110、111、116、117、119、120、126、127、127:1、128、129、133、134、136、138、139、142、147、148、150、151、153、154、155、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、172、173、174、175、176、180、181、182、183、184、185、188、189、190、191、191:1、192、193、194、195、196、197、198、199、200、202、203、204、205、206、207、208、215等を挙げることができる。これらの中で、好ましくはC.I.ピグメントイエロー83、117、129、138、139、150、154、155、180、185、215等であり、更に好ましくはC.I.ピグメントイエロー83、138、139、150、180、215等である。
青色顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、19、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78、79等を挙げることができる。これらの中で、好ましくはC.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6等であり、更に好ましくはC.I.ピグメントブルー15:6等である。
緑色顔料としては、C.I.ピグメントグリーン1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、36、45、48、50、51、54、55、58等を挙げることができる。これらの中で、好ましくはC.I.ピグメントグリーン7、36、58等である。
紫色顔料としては、C.I.ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49、50、ピグメントブルー80等を挙げることができる。これらの中で、好ましくはC.I.ピグメントバイオレット19、23等であり、更に好ましくはC.I.ピグメントバイオレット23等である。
オレンジ顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ1、2、5、13、16、17、19、20、21、22、23、24、34、36、38、39、43、46、48、49、61、62、64、65、67、68、69、70、71、72、73、74、75、77、78、79等を挙げることができる。これらの中で、好ましくはC.I.ピグメントオレンジ38、71等である。
又、併用可能な無機顔料として、硫酸バリウム、硫酸鉛、酸化チタン、黄色鉛、ベンガラ、酸化クロム等が挙げられる。上記各種の顔料は、複数種を併用することもできる。
本発明の着色樹脂組成物を使用してカラーフィルタの樹脂ブラックマトリックスを形成する場合には、黒色顔料を使用することができる。黒色顔料を単独で使用してもよく、赤色、緑色、青色等の顔料を混合して使用してもよい。また、無機顔料であっても有機顔料であってもよい。
又、本発明に使用される無機顔料、有機顔料は、平均一次粒径が、通常100nm以下、好ましくは40nm以下、より好ましくは10nm以上30nm以下である。本発明は、高度に微粒化された顔料を含む組成物の場合に特に有効であるため、平均一次粒径10nm以上30nm以下である顔料を含む場合が特に好ましい。
平均一次粒径は、大きすぎると消偏特性が悪化してコントラストが不十分となり、ひどい場合には透過率が低下するといった、根本的な色特性を劣化させる懸念や、粗粒を形成して、突起異物を発生させ、カラーフィルタの歩留りを低下させたり、プロセスフィルターの閉塞の原因になったりする等、生産上の問題が生じる場合がある。逆に小さすぎると、顔料の比表面積が増大することによる分散安定性の低下や、顔料が分子状態に近づくことによる耐熱性、耐光性の悪化などの問題が生じる場合がある。
顔料の一次粒径は次の方法で求めることができる。まず、顔料をクロロホルム中に超音波分散し、コロジオン膜貼り付けメッシュ上に滴下して、乾燥させ、透過電子顕微鏡(TEM)観察により、顔料の一次粒子像を得る。なお、有機顔料及びチタンブラック顔料の場合は、個々の顔料粒子の粒径を、同じ面積となる円の直径に換算した面積円相当径として、複数個(通常200〜300個程度)の顔料粒子についてそれぞれ粒径を求める。得られた一次粒径の値を用い、下式の計算式の通り個数平均値を計算し平均粒径を求める。
個々の顔料粒子の粒径:X,X,X,X,・・・・,X,・・・・・・X
平均粒径 = ΣX/m
本発明の顔料分散液における(A)顔料の含有量は、固形分全量に対し、通常90重量%以下、好ましくは85重量%以下、より好ましくは80重量%以下であり、また通常20重量%以上、好ましくは30重量%以上、より好ましくは40重量%以上である。
又、後述する本発明の着色樹脂組成物における(A)顔料の含有量は、全固形分に対して、通常1重量%以上、好ましくは5重量%以上であり、又、通常80重量%以下、好ましくは70重量%以下である。
(A)顔料の割合が少な過ぎると、色濃度に対する膜厚が大きくなり過ぎて、液晶セル化の際のギャップ制御等に悪影響を及ぼす可能性がある。一方で、逆に(A)顔料の割合が多過ぎると、十分な画像形成性が得られなくなることがある。
尚、後述するカラーフィルタの各色の画素毎に、これを形成する着色樹脂組成物中の顔料含有量を最適な範囲に調整することも好ましい。
<(B)分散剤>
本発明の顔料分散液及び着色樹脂組成物に使用される(B)分散剤は、親溶媒性のAブロックと、窒素原子を含む官能基を有するBブロックからなるブロック共重合体であり、そのアミン価が有効固形分換算で80mgKOH/g以上150mgKOH/g以下である。
中でも、(メタ)アクリル系ブロック共重合体が好ましい。(B)分散剤に含まれる窒素原子が顔料表面に対して親和性をもち、窒素原子以外の部分が媒質に対する親和性を高めることにより、全体として分散安定性の向上に寄与するものと推定される。
分散剤の性能は、その固体表面に対する吸着挙動により大きく左右される。分子のアーキテクチャーと吸着挙動の関係については、同じユニットを用いた場合は、ランダム共重合<グラフト共重合体<ブロック共重合体、の順で吸着挙動が優れていることが知られている(例えば、Jones and Richards,"Polymers at Surfaces and Interfaces"p281)。
以下、(メタ)アクリル系ブロック共重合体を例に(B)分散剤について説明する。
Bブロックが有する窒素原子含有官能基としては、1〜3級アミノ基も好ましい。1〜3級アミノ基の含有比率は、窒素原子含有官能基全体の20モル%以上が好適であり、より好ましくは50モル%以上である。1〜3級アミノ基の中でも特に3級アミノ基が好ましい。該3級アミノ基として、具体的には−NR4142(但し、R41及びR42は、各々独立に、置換基を有していてもよい環状又は鎖状のアルキル基、置換基を有していてもよいアリル基、又は置換基を有していてもよいアラルキル基を表す。)で表される構造などが挙げられる。このような構造を有する繰り返し単位としては、例えば下記一般式で表される構造が挙げられる。
Figure 2010144057
(但し、R41及びR42は、上記のR41及びR42と同義であり、R43は炭素数1以上のアルキレン基、R44は水素原子又はメチル基を表す。)
中でも、R41及びR42はメチル基が好ましく、R43はメチレン基又はエチレン基が好ましい。R44は水素原子もしくはメチル基であるのが好ましいが、より好ましくはメチル基である。このような部分構造としては、下記一般式で表されるジメチルアミノエチルアクリレートやジメチルアミノエチルメタアクリレートに由来する構造などが、特に好適に用いられる。
Figure 2010144057
(式中、R44は前述と同義である。)
又、好ましい構造式として、下記構造式で表される構造を挙げることもできる。
Figure 2010144057
上記の如きアミノ基を含有する部分構造は、1つのBブロック中に2種以上含有されていてもよい。その場合、2種以上のアミノ基含有部分構造は、該B−ブロック中においてランダム共重合又はブロック共重合の何れの態様で含有されていてもよい。又、アミノ基を含有しない部分構造が、Bブロック中に含まれていてもよく、該部分構造の例としては、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー由来の部分構造等が挙げられる。係るアミノ基を含まない部分構造の、Bブロック中の含有量は、好ましくは0〜50重量%、より好ましくは0〜20重量%であるが、係る4級アミノ基非含有部分構造はBブロック中に含まれないことが最も好ましい。
一方、(B)分散剤のアクリル系ブロック共重合体を構成する親溶媒性のAブロックとしては、上述したアミノ基等の窒素原子含有官能基を有さず、上述したBブロックを構成するモノマーと共重合しうるモノマーから成るものであれば、特に制限は無い。
(B)分散剤のアクリル系ブロック共重合体を構成する親溶媒性のAブロックとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン系モノマー;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、グリシジル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、エチルアクリル酸グリシジル、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;(メタ)アクリル酸クロライドなどの(メタ)アクリル酸塩系モノマー;酢酸ビニル系モノマー;アリルグリシジルエーテル、クロトン酸グリシジルエーテルなどのグリシジルエーテル系モノマーなどのコモノマーを共重合させたポリマー構造が挙げられる。
中でも、Aブロックとして、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどのポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートを共重合成分として含む(すなわち、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート由来の部分構造を含む)ものが好ましく、特に下記一般式(II)で表される部分構造を有するAブロックが好ましい。
Figure 2010144057
(上記一般式(II)において、nは1〜5のいずれかの整数を示す。Rは、水素原子
又はメチル基を表す。)
上記一般式(II)で表される部分構造は、Aブロック中に5〜40モル%含まれていることが、特に好ましい。作用機構の詳細は不明であるが、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート由来の部分構造、特に上記式にて表される部分構造を有することにより、分散剤分子の立体反発を高めることが可能であり、分散系の安定性が増すものと考えられる。Aブロック中における上記一般式(II)で表される部分構造の含有割合を5〜40%モルに制御することにより、上記のような効果が充分に発揮し、分散系の安定性が向上できる。
更に、Aブロックは、特に下記一般式(VIII)で表される、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー由来の部分構造を有することが好ましい。
Figure 2010144057
上記一般式(VIII)中、R39は、水素原子又はメチル基を表す。R40は、置換基を有していてもよい環状又は鎖状のアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいアラルキル基を表す。
前記一般式(II)又は(VIII)で表わされる部分構造は、1つのAブロック中に2種以上含有されていてもよい。勿論、該Aブロックは、更にこれら以外の部分構造を含有していてもよい。2種以上のモノマー由来の部分構造がAブロック中に存在する場合、各部分構造は該Aブロック中においてランダム共重合又はブロック共重合の何れの態様で含有されていてもよい。
本発明の顔料分散液及び着色樹脂組成物に用いる(B)分散剤は、このようなAブロックとBブロックとからなる、ABブロック又はABAブロック共重合型高分子化合物である。中でもABブロック共重合体が好ましい。このようなブロック共重合体は、例えばリビング重合法にて調製される。
リビング重合法にはアニオンリビング重合法、カチオンリビング重合法、ラジカルリビング重合法がある。具体的には、例えば特開2007−270147号公報に記載の方法が挙げられる。
本発明の顔料分散液及び着色樹脂組成物は、親溶媒性のAブロックと、窒素原子を含む官能基を有するBブロックからなるABブロック共重合体又はABAブロック共重合体であり、そのアミン価が有効固形分換算で80mgKOH/g以上150mgKOH/g以下である(B)分散剤を用いることが必須である。この中でも、より好ましくは90mgKOH/g以上、更に好ましくは100mgKOH/g以上である。
本発明においては、アミン価が実効的な顔料吸着基量を示すこととなり、アミン価が低すぎると、顔料表面への吸着力が不十分となり、十分な分散安定性を得ることができない。一方、アミン価が高すぎると逆にAブロックの分子量が不十分になることを意味するため、顔料の凝集防止機能を充分発現する事が出来ず分散安定性が劣る。言い換えれば、最適な分散性を発現するためのアミン価が上記範囲にある、ということになる。又、(B)分散剤としてこのようなブロック共重合体を用いることにより、顔料表面への強固な高分子吸着と、高い溶媒親和性を同時に満たすことができるため、高い分散安定性を発現することができる。又、アミン価を高めることで特に酸性処理された顔料表面への吸着力が増すため、一層分散安定性が向上する。
尚、分散剤のアミン価(有効固形分換算)は、分散剤試料中の溶媒を除いた固形分1gあたりの塩基量と当量のKOHの重量で表し、次の方法により測定する。100mLのビーカーに分散剤試料の0.5〜1.5gを精秤し、50mLの酢酸で溶解する。pH電極を備えた自動滴定装置を使って、この溶液を0.1mol/LのHClO酢酸溶液に
て中和滴定する。滴定pH曲線の変曲点を滴定終点とし次式によりアミン価を求める。
アミン価[mgKOH/g]=(561×V)/(W×S)(但し、W:分散剤試料秤取量[g]、V:滴定終点での滴定量[mL]、S:分散剤試料の固形分濃度[wt%]を表す。)
又、このブロック共重合体の酸価は、該酸価の元となる酸性基の有無及び種類にもよるが、一般に低い方が好ましい。又、その分子量は、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で通常1000以上、100,000以下の範囲である。ブロック共重合体の分子量が小さすぎると分散安定性が低下し、大きすぎると現像性、解像性が低下する傾向にある。
本発明においては、上述のものと同様の構造を有する市販の(メタ)アクリル系ブロック共重合体を適用することができる。
又、Bブロックにおける窒素原子を含む官能基成分のうち少なくとも20モル%以上が1〜3級アミノ基であることが特に好ましい。これより少ないと、たとえアミン価として上記の範囲にあったとしても十分な吸着力を得ることができず、高い分散安定性が得られない場合もある。
尚、顔料の平均一次粒径が小さいときは、比表面積が増大することで単位面積当たりの分散剤吸着量が少なくなる。このような場合、上述したABブロック共重合体またはABAブロック共重合体からなる(B)分散剤は、他の構造の分散剤と比べて効果の差が非常に顕著に現れるため、特に好適に用いられるものである。本発明における(B)分散剤は、顔料分散液中の顔料全量に対して5〜200重量%程度使用することが好ましく、10〜100重量%程度使用することがより好ましい。
本発明の顔料分散液および着色樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、上述したブロック共重合体からなる(B)分散剤以外の分散剤(以降、(B’)分散剤と称することがある。)を含有していてもよい。このような(B’)分散剤としては、例えば、以下に詳述するアクリル系ブロック共重合体が(A)顔料を効率よく分散しうるため、好ましい。理由は明らかではないが、分子配列が制御されていることにより、分散剤が顔料に吸着する際に障害となる構造が少ないためと推察される。
又、(B’)分散剤のアクリル系ブロック共重合体としては、側鎖に4級アンモニウム塩基を有するB’ブロックと、4級アンモニウム塩基を有さないA’ブロックとからなるA’B’ブロック共重合体、及び/又はA’B’A’ブロック共重合体が特に好ましい。
アクリル系ブロック共重合体のブロック共重合体を構成するB’ブロックは、4級アンモニウム塩基を有する。4級アンモニウム塩基は、好ましくは−N+313233
・Z(但し、R31、R32及びR33は、各々独立に、水素原子、又は置換されていてもよい環状若しくは鎖状の炭化水素基を表す。或いは、R31、R32及びR33のうち、2つ以上が互いに結合して、環状構造を形成していてもよい。Zは、対アニオンを表す。)で表わされる4級アンモニウム塩基を有する。この4級アンモニウム塩基は、直接主鎖に結合していてもよいが、2価の連結基を介して主鎖に結合していてもよい。
−N+313233・Zにおいて、R31、R32及びR33のうち2つ以上
が互いに結合して形成する環状構造としては、例えば5〜7員環の含窒素複素環単環又は
これらが2個縮合してなる縮合環が挙げられる。該含窒素複素環は芳香性を有さないものが好ましく、飽和環であればより好ましい。具体的には、例えば下記のものが挙げられる。
Figure 2010144057
上記式中、RはR31、R32、及びR33のうち何れかの基を表す。これらの環状構造は、更に置換基を有していてもよい。
−N+313233におけるR31、R32、R33としては、それぞれ独立に、より好ましいのは、置換基を有していてもよい炭素数1〜3のアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、又は置換基を有していてもよいベンジル基である。
4級アンモニウム塩基を有するB’ブロックとしては、下記一般式(VII)で表わされる部分構造を含有するものが好ましい。
Figure 2010144057
上記一般式(VII)中、R31、R32及びR33は各々独立に、水素原子、又は置換されていてもよい環状若しくは鎖状の炭化水素基を表す。或いは、R31、R32、及びR33のうち2つ以上が互いに結合して、環状構造を形成していてもよい。R34は、水素原子又はメチル基を表す。Xは、2価の連結基を表し、Zは、対アニオンを表す。
一般式(VII)において、R31、R32、及びR33の炭化水素基は、それぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20の芳香族基を有する置換基が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ベンジル基、フェニル基等を挙げることができる。中でもメチル基、エチル基、プロピル基、ベンジル基が好ましい。
一般式(VII)において、2価の連結基Xとしては、例えば、炭素数1〜10のアルキレン基、アリーレン基、−CONH−R35−、−COO−R36−(但し、R35及びR36は、それぞれ独立に、直接結合、炭素数1〜10のアルキレン基、又は炭素数1〜10のエーテル基(−R37−O−R38−:R37及びR38は、各々独立にアルキレン基)を表わす。)等が挙げられ、好ましくは−COO−R36−である。
又、対アニオンのZとしては、例えばCl、Br、I、ClO 、BF 、CHCOO、PF 等が挙げられる。
尚、これらのアクリル系ブロック共重合体は、B’ブロック中に、本発明の特徴である前記(B)分散剤と同様の3級アミノ基を若干有していてもよい。これは、3級アミノ基の4級化反応が完全に完了していない場合に残るものであり、そのアミン価は、通常10mgKOH/g以下程度である。
又、上記の如き特定の4級アンモニウム塩基を含有する部分構造は、1つのB’ブロック中に2種以上含有されていてもよい。その場合、2種以上の4級アンモニウム塩基含有部分構造は、該B’ブロック中において、ランダム共重合又はブロック共重合の何れの態様で含有されていてもよい。又、該4級アンモニウム塩基を含有しない部分構造が、B’ブロック中に含まれていてもよく、該部分構造の例としては、後述の(メタ)アクリル酸エステル系モノマー由来の部分構造等が挙げられる。係る4級アンモニウム塩基を含まない部分構造の、B’ブロック中の含有量は、好ましくは0〜50重量%、より好ましくは0〜20重量%であるが、係る4級アンモニウム塩基非含有部分構造はB’ブロック中に含まれないことが最も好ましい。
一方、(B’)分散剤のブロック共重合体を構成するA’ブロックとしては、前述した(B)分散剤におけるAブロックと同様の構造が挙げられる。
これらのアクリル系ブロック共重合体は、本発明の特徴である(B)分散剤と同様の方法にて重合することができる。
又、このブロック共重合体、即ち、(B’)分散剤の酸価は、該酸価の元となる酸性基の有無及び種類にもよるが、一般に低い方が好ましく、通常100mgKOH/g以下であり、その分子量は、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で通常1000以上、100000以下の範囲である。ブロック共重合体の分子量が小さすぎると、分散安定性が低下し、逆に大きすぎると、現像性、解像性が低下する傾向にある。
本発明においては、(B’)分散剤として、上述のものと同様の構造を有する市販のアクリル系ブロック共重合体を適用することができる。
<溶媒>
溶媒は、本発明の顔料分散液及び着色組成物において、顔料、分散剤のほか、場合により配合した上記以外の成分などを溶解又は分散させ、粘度を調節する機能を有する。
溶媒としては、各成分を溶解又は分散させることができるものであればよい。
このような溶媒としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコール−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、メトキシメチルペンタノール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテルのようなグリコールモノアルキルエーテル類;
エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルのようなグリコールジアルキルエーテル類;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテートのようなグリコールアルキルエーテルアセテート類;
エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサノールジアセテートなどのグリコールジアセテート類;
シクロヘキサノールアセテートなどのアルキルアセテート類;
アミルエーテル、プロピルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ブチルエーテル、ジアミルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジヘキシルエーテルのようなエーテル類;
アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソアミルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチルアミルケトン、メチルブチルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルノニルケトン、メトキシメチルペンタノンのようなケトン類;
エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、メトキシメチルペンタノール、グリセリン、ベンジルアルコールのような1価又は多価アルコール類;
n−ペンタン、n−オクタン、ジイソブチレン、n−ヘキサン、ヘキセン、イソプレン、ジペンテン、ドデカンのような脂肪族炭化水素類;
シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキセン、ビシクロヘキシルのような脂環式炭化水素類;
ベンゼン、トルエン、キシレン、クメンのような芳香族炭化水素類;
アミルホルメート、エチルホルメート、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸アミル、メチルイソブチレート、エチレングリコールアセテート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、イソ酪酸メチル、エチルカプリレート、ブチルステアレート、エチルベンゾエート、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、γ−ブチロラクトンのような鎖状又は環状エステル類;
3−メトキシプロピオン酸、3−エトキシプロピオン酸のようなアルコキシカルボン酸類;
ブチルクロライド、アミルクロライドのようなハロゲン化炭化水素類;
メトキシメチルペンタノンのようなエーテルケトン類;
アセトニトリル、ベンゾニトリルのようなニトリル類等が挙げられる。
上記に該当する市販の溶媒としては、ミネラルスピリット、バルソル#2、アプコ#1
8ソルベント、アプコシンナー、ソーカルソルベントNo.1及びNo.2、ソルベッソ#150、シェルTS28 ソルベント、カルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート、ジグライム(いずれも商品名)などが挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<フォトリソグラフィー法にてカラーフィルタの画素を形成する場合>
フォトリソグラフィー法にてカラーフィルタの画素を形成する場合、溶媒としては沸点が100〜200℃(圧力1013.25[hPa]条件下。以下、沸点に関しては全て同様。)の範囲のものを選択するのが好ましい。より好ましくは120〜170℃の沸点をもつものである。沸点を上記の範囲に制御することにより、気泡の跡が残り、欠陥となってしまったり、又、所定の時間に乾燥が終了せず、画素中に色ムラ等の問題が発生したりするのを防ぐことができる。
上記溶媒中、塗布性、表面張力などのバランスが良く、組成物中の構成成分の溶解度が比較的高い点からは、グリコールアルキルエーテルアセテート類が好ましい。
又、グリコールアルキルエーテルアセテート類は、単独で使用してもよいが、他の溶媒を併用してもよい。併用する溶媒として、特に好ましいのはグリコールモノアルキルエーテル類である。中でも、特に組成物中の構成成分の溶解性からプロピレングリコールモノメチルエーテルが好ましい。なお、グリコールモノアルキルエーテル類は極性が高く、添加量が多すぎると顔料が凝集しやすく、後に得られる着色樹脂組成物の粘度が上がっていくなどの保存安定性が低下する傾向があるので、溶媒中のグリコールモノアルキルエーテル類の割合は溶媒全体の中で5重量%〜30重量%が好ましく、5重量%〜20重量%がより好ましい。
又、150℃以上の沸点をもつ溶媒を併用することも好ましい。このような高沸点の溶媒を併用することにより、着色樹脂組成物は乾きにくくなるが、急激に乾燥することによる顔料分散液の相互関係の破壊を起こし難くする効果がある。高沸点溶媒の含有量は、溶媒全体に対して3重量%〜50重量%が好ましく、5重量%〜40重量%がより好ましく、5重量%〜30重量%が特に好ましい。高沸点溶媒の量が少なすぎると、例えばスリットノズル先端で色材成分などが析出・固化して異物欠陥を惹き起こす可能性があり、また多すぎると組成物の乾燥速度が遅くなり、後述するカラーフィルタ製造工程における、減圧乾燥プロセスのタクト不良や、プリベークのピン跡といった問題を惹き起こすことが懸念される。
尚、沸点150℃以上の溶媒が、グリコールアルキルエーテルアセテート類であっても、またグリコールアルキルエーテル類であってもよく、この場合は、沸点150℃以上の溶媒を別途含有させなくてもかまわない。
<インクジェット法にてカラーフィルタの画素を形成する場合>
インクジェット法にてカラーフィルタの画素を形成する場合、溶媒としては、沸点が、通常130℃以上300℃以下、好ましくは150℃以上280℃以下のものが適当である。沸点が低すぎると、得られる塗膜の均一性が不良になる傾向がある。逆に沸点が高すぎると、後述するように、着色樹脂組成物の乾燥抑制の効果は高いが、熱焼成後においても塗膜中に残留溶媒が多く存在し、品質上の不具合を生じたり、真空乾燥などでの乾燥時間が長くなり、タクトタイムを増大させるなどの不具合を生じたりする場合がある。
又、溶媒の蒸気圧は、得られる塗膜の均一性の観点から、通常10mmHg以下、好ましくは5mmHg以下、より好ましくは1mmHg以下のものが使用できる。
尚、インクジェット法によるカラーフィルタ製造において、ノズルから発せられるインクは数〜数十pLと非常に微細であるため、ノズル口周辺あるいは画素バンク内に着弾す
る前に、溶媒が蒸発してインクが濃縮・乾固する傾向がある。これを回避するためには溶媒の沸点は高い方が好ましく、具体的には、沸点180℃以上の溶媒を含むことが好ましい。より好ましくは、沸点が200℃以上、特に好ましくは沸点が220℃以上である溶媒を含有する。また、沸点180℃以上である高沸点溶媒は、本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物に含まれる溶媒全体の中で、50重量%以上であることが好ましく、70重量%以上がより好ましく、90重量%以上が最も好ましい。高沸点溶媒が50重量%未満である場合には、液滴からの溶媒の蒸発防止効果が十分に発揮されない場合もある。
好ましい高沸点溶媒として、例えば前述の各種溶媒の中ではジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサノールジアセテート、トリアセチンなどが挙げられる。
さらに、顔料分散液や着色樹脂組成物の粘度調整や固形分の溶解度調整のためには、沸点が180℃より低い溶媒を一部含有することも効果的である。このような溶媒としては、低粘度で溶解性が高く、低表面張力であるような溶媒が好ましく、エーテル類、エステル類やケトン類などが好ましい。中でも特に、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、シクロヘキサノールアセテートなどが好ましい。
一方、溶媒がアルコール類を含有すると、インクジェット法における吐出安定性が劣化する場合がある。よって、アルコール類は溶媒全体の中で20重量%以下とすることが好ましく、10重量%以下がより好ましく、5重量%以下が特に好ましい。
本発明の着色樹脂組成物全体に占める溶媒の含有量は、特に制限はないが、その上限は通常99重量%以下とする。溶媒が99重量%を超える場合は、(A)顔料、(B)分散剤などが少なくなり過ぎて塗布膜を形成するには、不適当である。一方、溶媒含有量の下限は、塗布に適した粘性などを考慮して、通常50重量%以上、好ましくは60重量%以上、更に好ましくは70重量%以上である。
<分散助剤>
本発明の着色樹脂組成物には、顔料の分散性の向上、分散安定性の向上のために分散助剤として顔料誘導体等を含有しても良い。顔料誘導体としてはアゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ベンツイミダゾロン系、キノフタロン系、イソインドリノン系、イソインドリン系、ジオキサジン系、アントラキノン系、インダンスレン系、ペリレン系、ペリノン系、ジケトピロロピロール系、ジオキサジン系顔料等の誘導体が挙げられる。顔料誘導体の置換基としてはスルホン酸基、スルホンアミド基及びその4級塩、フタルイミドメチル基、ジアルキルアミノアルキル基、水酸基、カルボキシル基、アミド基等が顔料骨格に直接またはアルキル基、アリール基、複素環基等を介して結合したものが挙げられ、好ましくはスルホンアミド基及びその4級塩、スルホン酸基が挙げられ、より好ましくはスルホン酸基である。またこれら置換基は一つの顔料骨格に複数置換していても良いし、置換数の異なる化合物の混合物でも良い。顔料誘導体の具体例としてはアゾ顔料のスルホン酸誘導体、フタロシアニン顔料のスルホン酸誘導体、キノフタロン顔料のスルホン酸誘導体、イソインドリン顔料のスルホン酸誘導体、アントラキノン顔料のスルホン酸誘導体、キナクリドン顔料のスルホン酸誘導体、ジケトピロロピロール顔料のスルホン酸誘導体、ジオキサジン顔料のスルホン酸誘導体等が挙げられる。
中でも、キノフタロン顔料のスルホン酸誘導体が好ましく、より好ましくはアントラキノン顔料のスルホン酸誘導体である。
顔料誘導体の添加量は、(A)顔料に対して通常0.1重量%以上、また、通常30重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下、更に好ましくは5重量%以下である。
添加量を上記の範囲に制御することにより、顔料誘導体としての効果が発揮され、又、分散性、分散安定性が悪くなるのを防ぐことができる。
<分散樹脂>
本発明に係る着色樹脂組成物には、後述する(C)バインダ樹脂から選ばれた樹脂の一部または全部を含有していてもよい。具体的には、後述する顔料分散液の調製における分散処理工程において、前述の(B)分散剤とともに、(C)バインダ樹脂を含有させることにより、該(C)バインダ樹脂が、(B)分散剤との相乗効果で(A)顔料の分散安定性に寄与する。結果として(B)分散剤の添加量を減らせる可能性があるため好ましい。又、現像性が向上し、基板の非画素部に未溶解物が残存せず、画素の基板への密着性が向上する、といった効果も奏するため好ましい。
このように、分散処理工程に使用される(C)バインダ樹脂を、分散樹脂と称することがある。分散樹脂は、顔料分散液中の顔料全量に対して5〜200重量%程度使用することが好ましく、10〜100重量%程度使用することがより好ましい。
分散樹脂としては、後述する各種(C)バインダ樹脂を使用することができるが、特に後述する(メタ)アクリル系樹脂が好ましい。
分散樹脂の酸価は0mgKOH/g以上が好ましく、1mgKOH/g以上がより好ましく、5mgKOH/g以上が最も好ましく、また300mgKOH/g以下が好ましく、200mgKOH/g以下がより好ましく、150mgKOH/g以下が最も好ましい。酸価を上記の範囲に制御することにより、アルカリ現像性が良好となり、合成上等においても、取り扱いやすくなる。
又、分散樹脂のGPCにて測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は、1000以上が好ましく、1500以上がより好ましく、2000以上が最も好ましく、また200000以下が好ましく、50000以下がより好ましく、30000以下が最も好ましい。分子量を上記の範囲に制御することにより、アルカリ現像性が良好となり、又、分散安定性が低下するのを防ぐこともできる。
<芳香族カルボン酸系化合物>
本発明の顔料分散液及び着色樹脂組成物は、更に、芳香族カルボン酸系化合物を含有していてもよい。
本発明に使用される前記のブロック共重合体を含有する(B)分散剤は、顔料分散液及び着色樹脂組成物の耐水性向上や、画素の現像液における水シミの抑制に有効であるため好ましいが、これを用いたカラーフィルタ用着色樹脂組成物は、経時で増粘する傾向が高い。又、該着色樹脂組成物を用いて形成された画素は、欠けが生じる傾向がある。
尚、該芳香族カルボン酸系化合物は、顔料分散液の調製時に含有させることにより、顔料分散液そのものの経時増粘を抑制し、またこれを用いて調製されるカラーフィルタ用着色樹脂組成物の経時増粘も抑制することができる。又、顔料分散液に対し、種々の成分を加えてカラーフィルタ用着色樹脂組成物を調製する際に、後から加える成分の一つとして含有させることにより、カラーフィルタ用着色樹脂組成物の経時増粘を抑制することも可能である。更に、顔料分散液を調製せず、カラーフィルタ用着色樹脂組成物を構成する成分を一度に、または順次配合することにより、該着色樹脂組成物を調製する場合には、構成成分の一つとして、任意のタイミングで配合してもよい。
以下、芳香族カルボン酸系化合物について、説明する。
芳香族カルボン酸系化合物としては、芳香族基とカルボキシル基を有するものであれば如何なる構造を有するものであってもよい。芳香族基としては、例えばフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。これらの中で、フェニル基が特に好ましい。
これら芳香族基は、置換基を有していてもよく、その置換基の種類や数は特に限定されない。具体的には、例えば、後述する一般式においてXで示される置換基が好ましい。また、カルボキシル基は一つであっても、複数、例えば2乃至3個であってもよいが、前述した該化合物の効果が顕著である点から、好ましくは1分子中に1個である。
芳香族カルボン酸系化合物の分子量は、通常500以下、好ましくは350以下、また通常150以上である。分子量を500以下とすることにより、後述するとおり、該化合物の顔料への接近が容易となり、粘度増加の抑制効果を確実に発揮できる。
芳香族カルボン酸系化合物としては、特に、下記一般式(IV)にて表わされるものが好ましい。
Figure 2010144057
(上記一般式(IV)中、Zはメチレン基または−O−を表し、mは0〜3の整数を表す。但しmが2または3の場合、m個のZは同じであっても、異なっていてもよい。)
は、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ベンジル基、フェネチル基、ベンジルオキシ基、または−COOX(但し、Xは炭素数1〜7のアルキル基またはフェニル基を表す)を示し、これらの基はいずれも置換基を有していてもよい。)で表される化合物が好ましい。
前記一般式におけるXは、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ベンジル基、フェネチル基、ベンジルオキシ基、または−COOX(但し、Xは炭素数1〜7のアルキル基またはフェニル基を表す)を示す。
の定義中の、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、および炭素数1〜4のアルコキシ基について、具体例を以下に説明する。
炭素数1〜4のアルキル基;例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等の如き炭素数4以下のアルキル基。
炭素数2〜5のアルケニル基;例えば、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、等の如き炭素数2〜5のアルケニル基。
炭素数1〜4のアルコキシ基;例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基等の如き炭素数4程度以下のアルコキシ基。
またXの定義中、COOXにおけるXは、炭素数1〜7のアルキル基またはフェニル基である。炭素数1〜7のアルキル基の例としては、例えばメチル基、エチル基、n
−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、第二ブチル基、第三ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、第三ペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、5−メチルヘキシル基等が挙げられる。
これらの基は、いずれも置換基を有していてもよく、その置換基の具体例としては、例えば次の基を挙げることができる。
ヒドロキシ基;
低級アルキル基;例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、第二ブチル基、第三ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、第三ペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、5−メチルヘキシル基等の如き炭素数7以下のアルキル基。
低級アルコキシ基;例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、第二ブトキシ基、第三ブトキシ基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、5−メチルヘキシル基等の如き炭素数7以下のアルコキシ基。
低級アルケニルカルボニルオキシ基;例えば、アクリロイルオキシ基、クロトニルオキシ基等の如きアルケニル基部分の炭素数3以下のアルケニルカルボニルオキシ基。
フェニル基;
ベンジル基;
フェノキシ基;
ベンジルオキシ基。
又、前記一般式(IV)で表される化合物において、該化合物の、前述した効果が著しい点から、置換基Xとしては、置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜5のアルケニル基、及び−COOXから選ばれる基であることが好ましい。置換基Xのより好ましい具体例としては、ベンジルオキシカルボニル基、メトキシカルボニル基、ビニルカルボニルオキシエチレンオキシカルボニル基、イソプロピル基、t−ブチル基、メチロール基、ビニル基等が挙げられる。
さらに、置換基Xの位置は、可能な範囲内であれば特に制限されないが、ベンゼン環上の−(Z−COOH基に対してo−位又はp−位が好ましく、o−位のみの置換が特に好ましい。
置換基Xにおいて、以上に具体的に記載されていない基は、既に挙げた基から任意に組み合わせて、或いは、一般的に知りえる常識に従って選択される。
前記一般式(IV)で表される化合物は、フタル酸モノエステル化合物であることが特に好ましい。具体的には、例えば次のものを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2010144057
前記芳香族カルボン酸系化合物、より具体的には、前記一般式(IV)で表される芳香族カルボン酸系化合物は、市販品を購入、又は既知の方法で合成することにより、容易に入手できる。
本発明の着色樹脂組成物における、芳香族カルボン酸系化合物の含有量は、着色樹脂組成物としての効果が損なわれない範囲であれば特に制限されないが、最終的に調製された着色樹脂組成物の全固形分に対して、通常20重量%以下、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下であり、また通常0.1重量%以上が適当である。
芳香族カルボン酸系化合物を、この範囲で含有させることにより、顔料分散液や着色樹脂組成物の粘度増加を防止し、また“欠け”が少なく直線性に優れた画素を形成することができる。
如何なる理論にも拘泥するわけではなく、またその詳細は不明であるが、芳香族カルボン酸系化合物を含有させることによる粘度増加の防止理由は、次のとおり推定している。即ち、本発明で分散剤として用いるブロック共重合体は、アミノ基等の窒素原子含有官能基を多く含有しており、ある種の組成においては、この分散剤のアミノ基等と他の成分が反応し粘度上昇をきたす可能性がある。
ここで、通常、顔料は微粒子として存在し、分散剤は、顔料粒子に吸着して分散能力を発揮している。顔料は、一般的に芳香族基をもつ化合物であり、他の芳香族基と親和性を有する。
本発明の顔料分散液及び着色樹脂組成物に芳香族カルボン酸系化合物を含む場合、芳香族カルボン酸系化合物がもつ芳香族基の親和性により、該化合物が顔料粒子へ接近すれば、必然的に、カルボキシル基も顔料へ接近し、顔料に吸着する分散剤と相互作用を行い得ると考える。この顔料表面による、芳香族カルボン酸系化合物のカルボキシル基と、分散剤のアミノ基の相互作用により、分散剤のアミノ基が関与する粘度上昇を抑制するものと考えられる。さらに、顔料粒子への接近は、高分子化合物では困難であり、それを容易にするためには、分子量500以下であることが効果的であると考える。
<着色樹脂組成物>
本発明の着色樹脂組成物は、少なくとも、前述した(A)顔料、(B)分散剤及び下記
(C)バインダ樹脂を含有し、更に要すれば、これらの成分以外の添加物等を含有していてもよい。又、前記の溶媒、及び後述する(D)重合性モノマー、(E)光重合開始剤類、及び/又は熱重合開始剤類等を含有することが特に好ましい。
尚、本発明の着色樹脂組成物は、予め調製しておいた顔料分散液に、その他の成分を混合することにより調製しても良く、また全ての成分を同時に、または順次混合してもよい。
これらの必須成分以外の成分としては、本願明細書に記載された各種成分以外にも、カラーフィルタ形成材料として使用できるものであれば、特に制限無く使用できる。
<(C)バインダ樹脂>
本発明の着色樹脂組成物に使用する(C)バインダ樹脂としては、カラーフィルタに使用可能なものであれば、特に制限無く使用することができる。
例えば、特開昭60−184202号公報などに記載されたいわゆるリフトオフ方式のカラーフィルタ製造工程に用いる熱硬化性樹脂組成物、特開2004−220036号公報などに記載されたインクジェット方式のカラーフィルタ製造工程に用いる熱硬化性樹脂組成物、後述する光重合性樹脂組成物などが挙げられる。着色樹脂組成物を、どのような手段により硬化させ、カラーフィルタを作製するかに依り、適したタイプの樹脂組成物を選択すれば良い。着色樹脂組成物が光重合性組成物である場合には、後述する光重合開始系を含有することが好ましい。
本発明の着色樹脂組成物は、後述するように、フォトリソグラフィ法、又はインクジェット方式によるカラーフィルタの製造に用いられることが好ましく、光重合性(フォトリソグラフィ法又はインクジェット方式の場合)、又は熱硬化性(インクジェット方式)であることが好ましい。
以下、本発明の着色樹脂組成物が光重合性樹脂組成物である場合、及び熱硬化性樹脂組成物である場合を例に、詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の着色樹脂組成物が光重合性樹脂組成物の場合、(C)バインダ樹脂としては、例えば特開平7−207211号、特開平8−259876号、特開平10−300922号、特開平11−140144号、特開平11−174224号、特開2000−56118号、特開2003−233179号、特開2007−270147号などの各公報等に記載された公知の高分子化合物を使用することができるが、好ましくは、
(C−1):エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体に対し、該共重合体が有するエポキシ基の少なくとも一部に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、或いは該付加反応により生じた水酸基の少なくとも一部に多塩基酸無水物を付加させて得られる、アルカリ可溶性樹脂、
(C−2):主鎖にカルボキシル基を含有する直鎖状アルカリ可溶性樹脂、
(C−3):前記カルボキシル基含有樹脂のカルボキシル基部分に、エポキシ基含有不飽和化合物を付加させた樹脂、
(C−4):(メタ)アクリル系樹脂、
(C−5):カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂等が挙げられる。
以下、これら各樹脂について説明する。
<(C−1)エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体に対し、該共重合体が有するエポキシ基の少なくとも一部に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、或いは該付加反応により生じた水酸基の少なくとも一部に多塩基酸無水物を付加させて得られる樹脂>
本発明の着色樹脂組成物に用いる(C)バインダ樹脂の中でも、特に好ましい(C)バ
インダ樹脂の一つとして、「エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体に対し、該共重合体が有するエポキシ基の少なくとも一部に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、或いは該付加反応により生じた水酸基の少なくとも一部に多塩基酸無水物を付加させて得られる樹脂」(以下、(C−1)樹脂と称することがある。」が挙げられる。より具体的には、「エポキシ基含有(メタ)アクリレート5〜90モル%と、他のラジカル重合性単量体10〜95モル%との共重合体に対し、該共重合体が有するエポキシ基の10〜100モル%に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、或いは該付加反応により生じた水酸基の10〜100モル%に多塩基酸無水物を付加させて得られる樹脂」が挙げられる。
(C−1)樹脂を構成する「エポキシ基含有(メタ)アクリレート」としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等が例示できる。中でもグリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。これらのエポキシ基含有(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと共重合させる他のラジカル重合性単量体としては、下記一般式(1)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートが好ましい。
Figure 2010144057
上記一般式において、R81〜R88は各々独立して、水素原子、又は炭素数1〜3のアルキル基を示すが、R87及びR88は互いに連結して環を形成していてもよい。
一般式(1)において、R87とR88が連結して形成される環は、脂肪族環であるのが好ましく、飽和又は不飽和の何れでもよく、又、炭素数が5〜6であるのが好ましい。
中でも、一般式(1)で表される構造としては、下記式(1a)、(1b)、又は(1c)で表される構造が好ましい。
(C)バインダ樹脂にこれらの構造を導入することによって、本発明の着色樹脂組成物をカラーフィルタや液晶表示素子に使用する場合に、該着色樹脂組成物の耐熱性を向上させたり、該着色樹脂組成物を用いて形成された画素の強度を増すことが可能である。
尚、一般式(1)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
Figure 2010144057
前記一般式(1)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートとしては、当該構造を有する限り公知の各種のものが使用できるが、特に下記一般式(2)で表されるものが好ましい。
Figure 2010144057
上記式(2)中、R89は水素原子又はメチル基を示し、R90は前記一般式(1)で表される構造を示す。
前記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体において、前記一般式(1)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートに由来する繰返し単位は、「他のラジカル重合性単量体」に由来する繰返し単位中、5〜90モル%含有するものが好ましく、10〜70モル%含有するものが更に好ましく、15〜50モル%含有するものが特に好ましい。
尚、前記一般式(1)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレート以外の、「他のラジカル重合性単量体」としては、特に限定されるものではない。具体的には、例えば、スチレン、スチレンのα−、o−、m−、又はp−位がアルキル基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、エステル基などで置換された誘導体等のビニル芳香族類;ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸−iso−プロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−sec−ブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボロニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸プロパギル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ナフチル、(メタ)アクリル酸アントラセニル、(メタ)アクリル酸アントラニノニル、(メタ)アクリル酸ピペロニル、(メタ)アクリル酸サリチル、(メタ)アクリル酸フリル、(メタ)アクリル酸フルフリル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフリル、(メタ)アクリル酸ピラニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェネチル、(メタ)アクリル酸クレジル、(メタ)アクリル酸−1,1,1−トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオルエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロ−n−プロピル、(メタ)アクリル酸パーフルオロ−iso−プロピル、(メタ)アクリル酸トリフェニルメチル、(メタ)アクリル酸クミル、(メタ)アクリル酸3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル等の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジプロピルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジ−iso−プロピルアミド、(メタ)アクリル酸アントラセニルアミド等の(メタ)アクリル酸アミド;(メタ)アクリル酸アニリド、(メタ)アクリロイルニトリル、アクロレイン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、N−ビニルピロリドン、ビニルピリジン、酢酸ビニル等のビニル化合物類;シトラコン酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル等の不飽和ジカルボン酸ジエステル類;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド等のモノマレイミド類;N−(メタ)アクリロイルフタルイミド等が挙げられる。
これら「他のラジカル重合性単量体」の中で、着色樹脂組成物に優れた耐熱性及び強度を付与させるためには、スチレン、ベンジル(メタ)アクリレート、及びモノマレイミドから選択された少なくとも一種を使用することが有効である。特に「他のラジカル重合性単量体」に由来する繰返し単位中、これらスチレン、ベンジル(メタ)アクリレート、及びモノマレイミドから選択された少なくとも一種に由来する繰返し単位の含有割合が、1〜70モル%であるものが好ましく、3〜50モル%であるものが更に好ましい。
尚、前記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、前記他のラジカル重合性単量体との共重合反応には、公知の溶液重合法が適用される。使用する溶媒はラジカル重合に不活性なものであれば特に限定されるものではなく、通常用いられている有機溶媒を使用することができる。
その溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート等のジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類等の酢酸エステル類;エチレングリコールジアルキルエーテル類;メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール等のジエチレングリコールジアルキルエーテル類;トリエチレングリコールジアルキルエーテル類;プロピレングリコールジアルキルエーテル類;ジプロピレングリコールジアルキルエーテル類;1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、オクタン、デカン等の炭化水素類;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶媒;乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等の乳酸エステル類;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。これらの溶媒は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの溶媒の使用量は、得られる共重合体100重量部に対し、通常30〜1000重量部、好ましくは50〜800重量部である。溶媒の使用量がこの範囲外では共重合体の分子量の制御が困難となる。
又、共重合反応に使用されるラジカル重合開始剤は、ラジカル重合を開始できるものであれば特に限定されるものではなく、通常用いられている有機過酸化物触媒やアゾ化合物触媒を使用することができる。その有機過酸化物触媒としては、公知のケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアリルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネートに分類されるものが挙げられる。
その具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシル−3、3−イソプロピルヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジクミルヒドロパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、イソブチルパーオキサイド、3,3,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等が挙げられる。
又、アゾ化合物触媒としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスカルボンアミド等が挙げられる。
これらの中から、重合温度に応じて、適当な半減期のラジカル重合開始剤が1種又は2種以上使用される。ラジカル重合開始剤の使用量は、共重合反応に使用される単量体の合計100重量部に対して、0.5〜20重量部、好ましくは1〜10重量部である。
共重合反応は、共重合反応に使用される単量体及びラジカル重合開始剤を溶媒に溶解し、攪拌しながら昇温して行ってもよいし、ラジカル重合開始剤を添加した単量体を、昇温、攪拌した溶媒中に滴下して行ってもよい。又、溶媒中にラジカル重合開始剤を添加し昇温した中に単量体を滴下してもよい。反応条件は目標とする分子量に応じて自由に変えることができる。
本発明の着色樹脂組成物に(C)バインダ樹脂を更に含有した場合、前記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと前記他のラジカル重合性単量体との共重合体としては、エポキシ基含有(メタ)アクリレートに由来する繰返し単位5〜90モル%と、他のラジカル重合性単量体に由来する繰返し単位10〜95モル%と、からなるものが好ましく、前者20〜80モル%と、後者80〜20モル%とからなるものが更に好ましく、前者30〜70モル%と、後者70〜30モル%とからなるものが特に好ましい。
エポキシ基含有(メタ)アクリレートが少なすぎると、後述する重合性成分及び多塩基酸無水物の付加量が不十分となる場合があり、一方、エポキシ基含有(メタ)アクリレートが多すぎて、他のラジカル重合性単量体が少なすぎると、耐熱性や強度が不十分となる可能性がある。
続いて、エポキシ樹脂含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体のエポキシ基部分に、不飽和一塩基酸(重合性成分)と、多塩基酸無水物とを反応させる。
エポキシ基に付加させる「不飽和一塩基酸」としては、公知のものを使用することができ、例えば、エチレン性不飽和二重結合を有する不飽和カルボン酸が挙げられる。
具体例としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o−、m−、又はp−ビニル安息香酸、α−位がハロアルキル基、アルコキシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基などで置換された(メタ)アクリル酸等のモノカルボン酸等が挙げられる。中でも好ましくは(メタ)アクリル酸である。これらの1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
このような成分を付加させることにより、本発明で用いる(D)バインダ樹脂に重合性を付与することができる。
これらの不飽和一塩基酸は、通常、前記共重合体が有するエポキシ基の10〜100モル%に付加させるが、好ましくは30〜100モル%、より好ましくは50〜100モル%に付加させる。不飽和一塩基酸の付加割合が少なすぎると、着色樹脂組成物の経時安定性等に関して、残存エポキシ基による悪影響が懸念される。尚、共重合体のエポキシ基に不飽和一塩基酸を付加させる方法としては、公知の方法を採用することができる。
更に、共重合体のエポキシ基に不飽和一塩基酸を付加させたときに生じる水酸基に付加させる「多塩基酸無水物」としては、公知のものが使用できる。
例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水クロレンド酸等の二塩基酸無水物;無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物等の三塩基以上の酸の無水物が挙げられる。中でも、テトラヒドロ無水フタル酸及び無水コハク酸が好ましい。これらの多塩基酸無水物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
このような成分を付加させることにより、(C)バインダ樹脂にアルカリ可溶性を付与することができる。又、インクジェット方式のカラーフィルタ製造時に、(画素バンク内ブラックマトリックスで囲まれた画素形成用エリア内での)組成物の濡れ拡がり性(以下、単に「組成物の濡れ拡がり性」と称することがある。)向上が期待できる。
これらの多塩基酸無水物は、通常、前記共重合体が有するエポキシ基に、不飽和一塩基酸を付加させることにより生じる水酸基の10〜100モル%に付加させるが、好ましくは20〜90モル%、より好ましくは30〜80モル%に付加させる。この範囲での付加割合の調整が、組成物の濡れ拡がり性の制御に有効であると考えられる。又、この付加割合が多すぎると、現像時の残膜率が低下する場合があり、少なすぎると溶解性が不十分となる可能性がある。尚、当該水酸基に多塩基酸無水物を付加させる方法としては、公知の方法を採用することができる。
更に、本発明の着色樹脂組成物を光重合性の組成物とする場合には、光に対する感度を向上させるために、前述の多塩基酸無水物を付加させた後、生成したカルボキシル基の一部にグリシジル(メタ)アクリレートや重合性不飽和基を有するグリシジルエーテル化合物を付加させてもよい。また、現像性を向上させるために、生成したカルボキシル基の一部に、重合性不飽和基を有さないグリシジルエーテル化合物を付加させてもよい。又、この両方を付加させてもよい。
重合性不飽和基を有さないグリシジルエーテル化合物の具体例としては、フェニル基やアルキル基を有するグリシジルエーテル化合物等が挙げられる。市販品として、例えば、
ナガセ化成工業社製の商品名「デナコールEX−111」、「デナコールEX−121」、「デナコールEX−141」、「デナコールEX−145」、「デナコールEX−146」、「デナコールEX−171」、「デナコールEX−192」等がある。
尚、このような樹脂の構造に関しては、例えば特開平8−297366号公報や特開2001−89533号公報に記載されている。
上述した樹脂の、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、3000〜100000が好ましく、5000〜50000が特に好ましい。分子量が3000未満であると、耐熱性や膜強度に劣る可能性があり、100000を超えると現像液に対する溶解性が不足する傾向がある。又、分子量分布の目安として、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)の比は、2.0〜5.0が好ましい。
本発明の着色樹脂組成物に使用する(C−1)樹脂の酸価は、通常10〜200mgKOH/g、好ましくは15〜150mgKOH/g、更に好ましくは25〜100mgKOH/gである。酸価をこれらの範囲に制御することにより、現像液に対する溶解性が低下したり、膜荒れが生じたりするのを防ぐことができる。
<(C−2)主鎖にカルボキシル基を含有する直鎖状アルカリ可溶性樹脂(以降、(C−2)樹脂と称することがある。)>
(C−2)主鎖にカルボキシル基を含有する直鎖状アルカリ可溶性樹脂としては、カルボキシル基を有していれば特に限定されず、通常、カルボキシル基を含有する重合性モノマーを重合して得られる。
カルボキシル基含有重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアジピン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアジピン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシブチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシブチルアジピン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシブチルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシブチルヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシブチルフタル酸等のビニル系モノマー;アクリル酸にε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン類を付加させたものであるモノマー;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートにコハク酸、マレイン酸、フタル酸、或いはそれらの無水物等の酸或いは無水物を付加させたモノマー等が挙げられる。これらは複数種使用してもよい。
中でも好ましいのは、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸であり、更に好ましいのは、(メタ)アクリル酸である。
又、(C−2)樹脂は、上記のカルボキシル基含有重合性モノマーに、カルボキシル基を有さない他の重合性モノマーを共重合させてもよい。
他の重合性モノマーとしては、特に限定されないが、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシメチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;スチレン及びその誘導体等のビニル芳香族類;N−ビニルピロリドン等のビニル化合物類;N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−ベンジルマレイミド等のN−置換マレイミド類;ポリメチル(メタ)アクリレートマクロモノマー、ポリスチレンマクロモノマー、ポリ2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートマクロモノマー、ポリエチレングリコールマクロモノマー、ポリプロピレングリコールマクロモノマー、ポリカプロラクトンマクロモノマー等のマクロモノマー類等が挙げられる。これらは複数種併用してもよい。
特に好ましいのは、スチレン、メチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−フェニルマレイミドである。
本発明の着色樹脂組成物に用いる(C−2)樹脂は、更に水酸基を有していてもよい。水酸基含有モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらを上述の各種モノマーと共重合させることにより、カルボキシル基および水酸基を有する樹脂を得ることができる。
本発明の着色樹脂組成物に使用できる(C−2)樹脂として、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸と、メチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルマレイミド等の水酸基を含まない重合性モノマーと、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有モノマーとの共重合体;(メタ)アクリル酸と、メチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体;(メタ)アクリル酸とスチレンとの共重合体;(メタ)アクリル酸とスチレンとα−メチルスチレンとの共重合体;(メタ)アクリル酸とシクロヘキシルマレイミドとの共重合体等が挙げられる。顔料分散性に優れる点からは、特にベンジル(メタ)アクリレートを含む共重合体樹脂が好ましい。
又、本発明の着色樹脂組成物に用いる(C−2)樹脂の酸価は、通常30〜500mgKOH/g、好ましくは40〜350mgKOH/g、更に好ましくは50〜300mgKOH/gである。酸価をこれらの範囲に制御することにより、現像液に対する溶解性が低下したり、膜荒れが生じたりするのを防ぐことができる。
又、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は、通常2000〜80000、好ましくは3000〜50000、更に好ましくは4000〜30000である。重量平均分子量が小さすぎると、着色組成物の安定性に劣る傾向があり、大きすぎると、現像液に対する溶解性が悪化する傾向がある。
<(C−3)(C−2)の樹脂のカルボキシル基部分に、エポキシ基含有不飽和化合物を付加させた樹脂(以降、(C−3)樹脂と称することがある。)>
前記(C−2)主鎖にカルボキシル基を含有する直鎖状アルカリ可溶性樹脂の、カルボキシル基部分にエポキシ基含有不飽和化合物を付加させた樹脂も特に好ましい。
エポキシ基含有不飽和化合物としては、分子内にエチレン性不飽和基及びエポキシ基を
有するものであれば、特に限定されるものではない。
例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、グリシジル−α−エチルアクリレート、クロトニルグリシジルエーテル、(イソ)クロトン酸グリシジルエーテル、N−(3,5−ジメチル−4−グリシジル)ベンジルアクリルアミド、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等の非環式エポキシ基含有不飽和化合物も挙げることができるが、耐熱性や、後述する(A)顔料の分散性の観点から、脂環式エポキシ基含有不飽和化合物が好ましい。
ここで、脂環式エポキシ基含有不飽和化合物としては、その脂環式エポキシ基として、例えば、2,3−エポキシシクロペンチル基、3,4−エポキシシクロヘキシル基、7,8−エポキシ〔トリシクロ[5.2.1.0]デシ−2−イル〕基等が挙げられる。又、エチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基に由来するものであるのが好ましく、好適な脂環式エポキシ基含有不飽和化合物としては、下記一般式(3a)〜(3m)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2010144057
式(3a)〜(3m)中、R11は水素原子又はメチル基を、R12はアルキレン基を、R13は2価の炭化水素基をそれぞれ示し、nは1〜10の整数である。
一般式(3a)〜(3m)における、R12のアルキレン基は、炭素数1〜10であるものが好ましい。具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等が例示できるが、好ましくはメチレン基、エチレン基、プロピレン基である。又、R13の炭化水素基としては、炭素数が1〜10であるものが好ましく、アルキレン基、フェニレン基等が挙げられる。
これらの脂環式エポキシ基含有不飽和化合物は、1種類を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
中でも、一般式(3c)で表される化合物が好ましく、3,4−エポキシシクロヘキシル
メチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
前記(C−2)の樹脂のカルボキシル基部分に、前記エポキシ基含有不飽和化合物を付加させるには、公知の手法を用いることができる。例えば、カルボキシル基含有樹脂とエポキシ基含有不飽和化合物とを、トリエチルアミン、ベンジルメチルアミン等の3級アミン;ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩;ピリジン、トリフェニルホスフィン等の触媒の存在下、有機溶媒中、反応温度50〜150℃で数時間〜数十時間反応させることにより、樹脂のカルボキシル基にエポキシ基含有不飽和化合物を導入することができる。
エポキシ基含有不飽和化合物を導入したカルボキシル基含有樹脂の酸価は、通常10〜200mgKOH/g、好ましくは20〜150mgKOH/g、更に好ましくは30〜150mgKOH/gである。酸価をこれらの範囲に制御することにより、現像液に対する溶解性が低下したり、膜荒れが生じたりするのを防ぐことができる。
又、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は、通常2000〜100000、好ましくは4000〜50000、更に好ましくは5000〜30000である。重量平均分子量が小さすぎると、着色組成物の安定性に劣る傾向があり、大きすぎると、現像液に対する溶解性が悪化する傾向がある。
<(C−4)(メタ)アクリル系樹脂(以降、(C−4)樹脂と称することがある。)>
(メタ)アクリル系樹脂としては、下記一般式(4)及びで表される化合物を必須とするモノマー成分を重合してなる(C−4)樹脂を挙げることができる。
Figure 2010144057
上記一般式(4)中、R1aおよびR2aは、それぞれ独立に、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜25の炭化水素基を示す。
以下、一般式(4)の化合物について詳述する。
一般式(4)で表されるエーテルダイマーにおいて、R1a及びR2aで表される置換基を有していてもよい炭素数1〜25の炭化水素基としては、特に制限はないが、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、t−アミル、ステアリル、ラウリル、2−エチルヘキシル等の直鎖状または分岐状のアルキル基;フェニル等のアリール基;シクロヘキシル、t−ブチルシクロヘキシル、ジシクロペンタジエニル、トリシクロデカニル、イソボルニル、アダマンチル、2−メチル−2−アダマンチル等の脂環式基;1−メトキシエチル、1−エトキシエチル等のアルコキシで置換されたアルキル基;ベンジル等のアリール基で置換されたアルキル基等が挙げられる。これらの中でも特に、メチル、エチル、シクロヘキシル、ベンジル等のような酸や熱で脱離しにくい1級または2級炭素の置換基が耐熱性の点で好ましい。尚、R1aおよびR2aは、同種の置換基であってもよいし、異なる置換基であってもよい。
前記エーテルダイマーの具体例としては、例えば、ジメチル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジエチル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(n−プロピル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソプロピル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(n−ブチル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソブチル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−ブチル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−アミル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ステアリル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ラウリル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(2−エチルヘキシル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(1−メトキシエチル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(1−エトキシエチル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジベンジル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジフェニル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジシクロヘキシル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−ブチルシクロヘキシル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ジシクロペンタジエニル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(トリシクロデカニル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソボルニル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジアダマンチル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(2−メチル−2−アダマンチル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート等が挙げられる。
これらの中でも特に、ジメチル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジエチル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジシクロヘキシル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジベンジル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエートが好ましい。
これらエーテルダイマーは、1種のみ単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
前記(C−4)樹脂を得る際の、モノマー成分中における前記エーテルダイマーの割合は、特に制限されないが、全モノマー成分中、通常2〜60重量%、好ましくは5〜55重量%、さらに好ましくは5〜50重量%である。エーテルダイマーの量が多すぎると、重合の際、低分子量のものを得ることが困難になったり、あるいはゲル化し易くなったりする場合があり、一方、少なすぎると、透明性や耐熱性等の塗膜性能が不充分となる場合がある。
(C−4)樹脂は、酸基を有することが好ましい。酸基を有することにより、得られる着色樹脂組成物が、酸基とエポキシ基が反応してエステル結合を形成する架橋反応(以下、酸−エポキシ硬化と略することがある。)により硬化が可能な着色樹脂組成物、あるいは未硬化部をアルカリ現像液で顕像可能な組成物、とすることができる。前記酸基としては、特に制限されないが、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基、カルボン酸無水物基等が挙げられる。樹脂1分子中に含まれるこれらの酸基は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
(C−4)樹脂に酸基を導入するには、例えば、酸基を有するモノマー、及び/又は「重合後に酸基を付与しうるモノマー」(以下「酸基を導入するためのモノマー」と称することもある。)を、モノマー成分として使用すればよい。なお、「重合後に酸基を付与しうるモノマー」をモノマー成分として使用する場合には、重合後に、後述するような酸基を付与するための処理が必要となる。
前記酸基を有するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸やイタコン酸等のカルボキシル基を有するモノマー;N−ヒドロキシフェニルマレイミド等のフェノール性水酸基を有するモノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等のカルボン酸無水物基を有するモノマー等が挙げられるが、これらの中でも特に、(メタ)アクリル酸が好ましい。
前記重合後に酸基を付与しうるモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するモノマー;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有するモノマー;2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアネート基を有するモノマー等が挙げられる。
これら酸基を導入するためのモノマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
(C−4)樹脂を得る際のモノマー成分が、前記酸基を導入するためのモノマーをも含む場合、その含有割合は特に制限されないが、通常は全モノマー成分中5〜70重量%、好ましくは10〜60重量%である。酸基を導入するためのモノマーの量をこの範囲に調整することにより、良好な電気特性や現像性を得ることができる。
又、(C−4)樹脂は、ラジカル重合性二重結合を有するものであってもよい。
前記(C−4)樹脂にラジカル重合性二重結合を導入するには、例えば「重合後にラジカル重合性二重結合を付与しうるモノマー」(以下「ラジカル重合性二重結合を導入するためのモノマー」と称することもある。)を、モノマー成分として重合した後に、後述するようなラジカル重合性二重結合を付与するための処理を行えばよい。
重合後にラジカル重合性二重結合を付与しうるモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸等のカルボキシル基を有するモノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等のカルボン酸無水物基を有するモノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、o−(またはm−、またはp−)ビニルベンジルグリシジルエーテル等のエポキシ基を有するモノマー等が挙げられる。これらラジカル重合性二重結合を導入するためのモノマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
(C−4)樹脂を得る際のモノマー成分が、前記ラジカル重合性二重結合を導入するためのモノマーをも含む場合、その含有割合は特に制限されないが、通常は全モノマー成分中5〜70重量%、好ましくは10〜60重量%である。ラジカル重合性二重結合を導入するためのモノマーの量をこの範囲に調整することにより、良好な製版特性が得られ、欠けが少なく、所望のテーパー角を有する画素を得ることができる。
(C−4)樹脂は、またエポキシ基を有することが好ましい。エポキシ基を導入するには、例えば、エポキシ基を有するモノマー(以下「エポキシ基を導入するためのモノマー」と称することもある。)を、モノマー成分として重合すればよい。
前記エポキシ基を有するモノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、o−(またはm−、またはp−)ビニルベンジルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらエポキシ基を導入するためのモノマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
(C−4)樹脂を得る際のモノマー成分が、前記エポキシ基を導入するためのモノマーをも含む場合、その含有割合は特に制限されないが、通常は全モノマー成分中5〜70重
量%、好ましくは10〜60重量%であるのがよい。エポキシ基を導入するためのモノマーの量をこの範囲に調整することにより、露光感度や色特性の低下を招くことなく、耐熱性等を向上させることができる。
(C−4)樹脂を得る際のモノマー成分は、上記必須のモノマー成分のほかに、必要に応じて、他の共重合可能なモノマーを含んでいてもよい。
他の共重合可能なモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸メチル2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸エステル類;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のN−置換マレイミド類;ブタジエン、イソプレン等のブタジエンまたは置換ブタジエン化合物;エチレン、プロピレン、塩化ビニル、アクリロニトリル等のエチレンまたは置換エチレン化合物;酢酸ビニル等のビニルエステル類等が挙げられる。
これらの中でも、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、スチレンが、透明性が良好で、耐熱性を損ないにくい点で好ましい。これら共重合可能な他のモノマーは、1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。 前記(C−4)(メタ)アクリル系樹脂を得る際のモノマー成分が、前記共重合可能な他のモノマーをも含む場合、その含有割合は特に制限されないが、95重量%以下が好ましく、85重量%以下がより好ましい。含有割合が多すぎると、現像性が悪化する可能性がある。
次に、(C−4)樹脂の製造方法(重合方法)について説明する。
前記単量体成分の重合方法に特に制限はなく、従来公知の各種方法を採用することができるが、特に、溶液重合法によることが好ましい。なお、重合温度や重合濃度(重合濃度=[単量体成分の全重量/(単量体成分の全重量+溶媒重量)]×100とする)は、使用する単量体成分の種類や比率、目標とするポリマーの分子量によって異なる。重合温度に関しては、好ましくは40〜150℃、さらに好ましくは重合温度60〜130℃である。また重合濃度に関しては、好ましくは重合濃度5〜50%、さらに好ましくは10〜40%である。
又、重合時に溶媒を用いる場合には、通常のラジカル重合反応で使用される溶媒を用いればよい。具体的には、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等のエステル類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類;トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;クロロホルム;ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これら溶媒は、1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。
前記単量体成分を重合する際には、必要に応じて、重合開始剤を使用してもよい。重合開始剤に特に制限は無いが、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘ
キサノエート等の有機過酸化物;2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)、1,1′−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等のアゾ化合物が挙げられる。これら重合開始剤は、1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。
尚、開始剤の使用量は、用いる単量体の組み合わせや、反応条件、目標とするポリマーの分子量等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、ゲル化することなく重量平均分子量が数千〜数万のポリマーを得ることができる点で、通常は全単量体成分に対して0.1〜15重量%、より好ましくは0.5〜10重量%である。
又、分子量調整のために、連鎖移動剤を添加してもよい。連鎖移動剤としては、例えば、n−ドデシルメルカプタン、メルカプト酢酸、メルカプト酢酸メチル等のメルカプタン系連鎖移動剤、α−メチルスチレンダイマー等が挙げられるが、好ましくは、連鎖移動効果が高く、残存モノマーを低減でき、入手も容易な、n−ドデシルメルカプタン、メルカプト酢酸がよい。連鎖移動剤を使用する場合、その使用量は、用いる単量体の組み合わせや、反応条件、目標とするポリマーの分子量等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、ゲル化することなく重量平均分子量が数千〜数万のポリマーを得ることができる点で、通常は全単量体成分に対して0.1〜15重量%、より好ましくは0.5〜10重量%である。
尚、一般式(4)の化合物を必須の単量体成分として使用する場合、前記重合反応においては、エーテルダイマーの環化反応が同時に進行するものと考えられるが、このときのエーテルダイマーの環化率は必ずしも100モル%である必要はない。
前記(C−4)樹脂を得る際に、単量体成分として、前述した酸基を付与しうるモノマーを用いることにより酸基を導入する場合、重合後に酸基を付与するための処理を行う必要がある。該処理は、用いるモノマーの種類によって異なるが、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのような水酸基を有するモノマーを用いた場合には、コハク酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、マレイン酸無水物等の酸無水物を付加させればよい。グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有するモノマーを用いた場合には、N−メチルアミノ安息香酸、N−メチルアミノフェノール等のアミノ基と酸基を有する化合物を付加させるか、もしくは、まず(メタ)アクリル酸のような酸を付加させ、結果生じた水酸基に、コハク酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、マレイン酸無水物等の酸無水物を付加させればよい。2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアネート基を有するモノマーを用いた場合には、例えば、2−ヒドロキシ酪酸等の水酸基と酸基を有する化合物を付加させればよい。
前記(C−4)樹脂を得る際に、単量体成分として、前述したラジカル重合性二重結合を付与しうるモノマーを用いることによりラジカル重合性二重結合を導入する場合、重合後にラジカル重合性二重結合を付与するための処理を行う必要がある。
該処理は、用いるモノマーの種類によって異なるが、例えば、(メタ)アクリル酸やイタコン酸等のカルボキシル基を有するモノマーを用いた場合には、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、o−(またはm−、またはp−)ビニルベンジルグリシジルエーテル等の、エポキシ基とラジカル重合性二重結合とを有する化合物を付加させればよい。無水マレイン酸や無水イタコン酸等のカルボン酸無水物基を有するモノマーを用いた場合には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の、水酸基とラジカル重合性二重結合とを有する化合物を付加させればよい。グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、o−(またはm−、またはp−)ビニルベンジルグリシジルエーテル等の、エポキシ基を有するモノマーを用いた場合には、(メタ)アクリル酸等の酸基とラジカル重合性二重結合とを有する化合物を付加させればよい。
前記(C−4)樹脂の重量平均分子量は、特に制限されないが、好ましくはGPCにて測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が2000〜200000、より好ましくは4000〜100000である。重量平均分子量が200000を超える場合、高粘度となりすぎ塗膜を形成しにくくなる場合があり、一方2000未満であると、十分な耐熱性を発現しにくくなる傾向がある。
前記(C−4)樹脂が酸基を有する場合、好ましい酸価は5〜500mgKOH/g、より好ましくは10〜400mgKOH/gである。酸価が5mgKOH/g未満の場合、アルカリ現像に適用することが難しくなる場合がある。また、500mgKOH/gを超える場合、高粘度となりすぎ塗膜を形成しにくくなる傾向がある。
尚、酸価が比較的高い場合、これを含む着色樹脂組成物の、粘度の経時変化(増粘)が生じにくくなるため好ましく、酸価が比較的低い場合、これを含む着色樹脂組成物の、コントラストの経時変化(低下)が生じにくくなるため、好ましい。
又、(C−4)樹脂、即ち、一般式(4)で示される化合物を必須の単量体成分とする共重合体は、例えば、特開2004−300203号公報及び特開2004−300204号公報に記載の化合物を挙げることが出来る。
本発明の着色樹脂組成物を調製する際、予め調製した顔料分散液を用いる場合には、(C−3)樹脂又は(C−4)樹脂を前述の分散樹脂として(即ち、分散剤や分散助剤などと共に、後述する分散処理工程に使用して)使用することが好ましい。
(C−3)又は(C−4)樹脂を分散樹脂として使用することにより、顔料分散液の経時の粘度の上昇がなく、安定した分散性が得られ、また該顔料分散液を用いてなるカラーフィルタ用着色樹脂組成物は、高いコントラストを示すため好ましい。
又、(C−4)樹脂をパターン形成用の樹脂として、顔料分散液に後から加えるか、或いは顔料分散液を用いずに製造される着色樹脂組成物に使用することにより、得られるカラーフィルタ用着色樹脂組成物の粘度が安定し、これを用いて形成されるパターンが欠けにくくなるため好ましい。
<(C−5)カルボキシル基を有するエポキシアクリレート樹脂(以降、(C−5)樹脂と称することがある。)>
(C−5)エポキシアクリレート樹脂は、エポキシ樹脂にα,β−不飽和モノカルボン酸又はエステル部分にカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルを付加させ、さらに、多塩基酸無水物を反応させることにより合成される。かかる反応生成物は化学構造上、実質的にエポキシ基を有さず、かつ「アクリレート」に限定されるものではないが、エポキシ樹脂が原料であり、かつ「アクリレート」が代表例であるので、慣用に従いこのように命名したものである。
原料となるエポキシ樹脂として、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂(例えば、ジャパンエポキシレジン社製の「エピコート828」、「エピコート1001」、「エピコート1002」、「エピコート1004」等)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のアルコール性水酸基とエピクロルヒドリンの反応により得られるエポキシ樹脂(例えば、日本化薬社製の「NER−1302」(エポキシ当量323,軟化点76℃))、ビスフェノールF型樹脂(例えば、ジャパンエポキシレジン社製の「エピコート807」、「EP−4001」、「EP−4002」、「EP−4004等」)、ビスフェノールF型エポキシ樹脂のアルコール性水酸基とエピクロルヒドリンの反応により得られるエポキシ樹脂(例えば、日本化薬社製の「NER−7406」(エポキシ当量350,軟化点66℃))、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニルグリシジルエーテル(例えば、ジャパンエポキシレジン社製の「YX−4000」)、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(例えば、日本化薬社製の「EPPN−201」、ジャパンエポキシレジン社製の「EP−152」、「EP−154」、ダウケミカル社製の「DEN−438」)、(o,m,p−)クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(例えば、日本化薬社製の「EOCN−102S」、「EOCN−1020」、「EOCN−104S」)、トリグリシジルイソシアヌレート(例えば、日産化学社製の「TEPIC」)、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂(例えば、日本化薬社製の「EPPN−501」、「EPN−502」、「EPPN−503」)、フルオレンエポキシ樹脂(例えば、新日鐵化学社製のカルドエポキシ樹脂「ESF−300」)、脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製の「セロキサイド2021P」、「セロキサイドEHPE」)、ジシクロペンタジエンとフェノールの反応によるフェノール樹脂をグリシジル化したジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(例えば、日本化薬社製の「XD−1000」、大日本インキ社製の「EXA−7200」、日本化薬社製の「NC−3000」、「NC−7300」)、および下記構造式で示されるエポキシ樹脂(特開平4−355450号公報参照)、等を好適に用いることができる。
Figure 2010144057
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
エポキシ樹脂の他の例としては共重合型エポキシ樹脂が挙げられる。共重合型エポキシ樹脂としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルメチルシクロヘキセンオキサイド、ビニルシクロヘキセンオキサイド等(以下「共重合型エポキシ樹脂の第1成分」と称す。)とこれら以外の1官能エチレン性不飽和基含有化合物(以下、「共重合型エポキシ樹脂の第2成分」と称す。)、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、スチレン、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、α−メチルスチレン、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、下記一般式(8)で表される化合物から選ばれる1種又は2種以上、とを反応させて得られた共重合体が挙げられる。
Figure 2010144057
式(8)中、R61は水素又はエチル基、R62は水素又は炭素数1〜6のアルキル基を示し、rは2〜10の整数である。
一般式(8)の化合物としては、例えば、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート;メトキシジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、等のアルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記共重合型エポキシ樹脂の分子量は約1000〜200000が好ましい。また、上記共重合型エポキシ樹脂の第1成分の使用量は、上記共重合型エポキシ樹脂の第2成分に対して好ましくは10重量%以上、特に好ましくは20重量%以上であり、好ましくは70重量%以下、特に好ましくは50重量%以下である。
このような共重合型エポキシ樹脂としては、具体的には日油社製の「CP−15」、「CP−30」、「CP−50」、「CP−20SA」、「CP−510SA」、「CP−50S」、「CP−50M」、「CP−20MA」等が例示される。
α,β−不飽和モノカルボン酸としては、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられ、好ましくは、アクリル酸及びメタクリル酸であり、特にアクリル酸が反応性に富むため好ましい。
エステル部分にカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルとしては、アクリル酸−2−サクシノイルオキシエチル、アクリル酸−2−マレイノイルオキシエチル、アクリル酸−2−フタロイルオキシエチル、アクリル酸−2−ヘキサヒドロフタロイルオキシエチル、メタクリル酸−2−サクシノイルオキシエチル、メタクリル酸−2−マレイノイルオキシエチル、メタクリル酸−2−フタロイルオキシエチル、メタクリル酸−2−ヘキサヒドロフタロイルオキシエチル、クロトン酸−2−サクシノイルオキシエチル等が挙げられ、好ましくは、アクリル酸−2−マレイノイルオキシエチル及びアクリル酸−2−フタロイルオキシエチルであり、特にアクリル酸−2−マレイノイルオキシエチルが好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
α,β−不飽和モノカルボン酸又はそのエステルとエポキシ樹脂との付加反応は、公知の手法を用いることができ、例えば、エステル化触媒存在下、50〜150℃の温度で反応させることにより実施することができる。エステル化触媒としてはトリエチルアミン、トリメチルアミン、ベンジルジメチルアミン、ベンジルジエチルアミン等の3級アミン;テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩等を用いることができる。
α,β−不飽和モノカルボン酸又はそのエステルの使用量は、原料エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対し0.5〜1.2当量の範囲が好ましく、さらに好ましくは0.7〜1.1当量の範囲である。α,β−不飽和モノカルボン酸又はそのエステルの使用量が少ないと不飽和基の導入量が不足し、引き続く多塩基酸無水物との反応も不十分となる。また、多量のエポキシ基が残存することも有利ではない。一方、該使用量が多いとα,β−不飽和モノカルボン酸又はそのエステルが未反応物として残存する。いずれの場合も硬化特性が悪化する傾向が認められる。
α,β−不飽和カルボン酸又はそのエステルが付加したエポキシ樹脂に、更に付加させる多塩基酸無水物としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、無水メチルヘキサヒドロフタル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレンド酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物等が挙げられ、好ましくは、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物であり、特に好ましい化合物は、無水テトラヒドロフタル酸及びビフェニルテトラカルボン酸二無水物である。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
多塩基酸無水物の付加反応に関しても公知の手法を用いることができ、α,β−不飽和カルボン酸又はそのエステルの付加反応と同様な条件下で継続反応させることにより実施することができる。
多塩基酸無水物の付加量は、生成するエポキシアクリレート樹脂の酸価が10〜150mgKOH/gの範囲となるような量が好ましく、更に20〜140mgKOH/gの範囲が特に好ましい。樹脂の酸価が小さすぎるとアルカリ現像性に乏しくなり、また、樹脂の酸価が大きすぎると硬化性能に劣る傾向が認められる。
その他、カルボキシル基を有する(C−5)エポキシアクリレート樹脂としては、例えば特開平6−49174号公報記載のナフタレン含有樹脂;特開2003−89716、特開2003−165830、特開2005−325331、特開2001−354735号公報記載のフルオレン含有樹脂;特開2005−126674、特開2005−55814、特開2004−295084号公報等に記載の樹脂を挙げることができる。
また、市販のカルボキシル基を有する(C−5)エポキシアクリレート樹脂を用いることもでき、市販品としては例えばダイセル社製の「ACA−200M」等を挙げることが出来る。
樹脂としては、また例えば特開2005−154708号公報等に記載のアクリル系の樹脂も用いることができる。
本発明の着色樹脂組成物に用いる(C)バインダ樹脂として、より好ましくは(C−1)樹脂、及び(C−4)(メタ)アクリル系樹脂であり、(C−4)(メタ)アクリル系樹脂の中でも、前記一般式(4)で表される化合物を必須とするモノマー成分を重合してなる樹脂が好ましい。特に好ましくは、(C−1)樹脂である。
尚、本発明の着色樹脂組成物は、本発明の効果が損なわれない範囲であれば、上述の(C−1)〜(C−5)樹脂以外のバインダ樹脂を含有してもよい。
又、本発明の着色樹脂組成物に用いる(C)バインダ樹脂としては、前述の各種樹脂のうち1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
更に、(C)バインダ樹脂の含有割合は、全固形分中、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上であり、又、通常80重量%以下、好ましくは60重量%以下である。(C)バインダ樹脂の含有量が少なすぎると、膜が脆くなり、基板への密着性が低下する場合がある。逆に、多すぎた場合、露光部への現像液の浸透性が高くなり、画素の表面平滑性や感度が悪化することがある。
<その他の成分>
本発明の着色樹脂組成物は、必要に応じ上記以外の成分を含有していてもよい。このような成分としては、(D)重合性モノマー、(E)光重合開始剤類、及び/又は熱重合開始剤類、界面活性剤、熱重合防止剤、可塑剤、保存安定剤、表面保護剤、密着向上剤、現像改良剤、染料等が挙げられる。
<(D)重合性モノマー>
(D)重合性モノマーは、重合可能な低分子化合物であれば特に制限はないが、エチレン性二重結合を少なくとも1つ有する付加重合可能な化合物(以下、「エチレン性化合物」と称す)が好ましい。エチレン性化合物とは、本発明の着色樹脂組成物が活性光線の照射を受けた場合に、後述の光重合開始系の作用で、或いは加熱により後述する熱重合開始剤の作用で、付加重合して硬化するようなエチレン性二重結合を有する化合物である。なお、本発明における単量体は、いわゆる高分子物質に相対する概念を意味し、狭義の単量体以外に二量体、三量体、オリゴマーも含有する概念を意味する。
エチレン性化合物としては、例えば、不飽和カルボン酸、それとモノヒドロキシ化合物とのエステル、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル、芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル、不飽和カルボン酸と多価カルボン酸及び前述の脂肪族ポリヒドロキシ化合物、芳香族ポリヒドロキシ化合物等の多価ヒドロキシ化合物とのエステル化反応により得られるエステル、ポリイソシアネート化合物と(メタ)アクリロイル含有ヒドロキシ化合物とを反応させたウレタン骨格を有するエチレン性化合物等が挙げられる。
脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、例えば、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、グリセロールアクリレート等のアクリル酸エステルが挙げられる。また、これらアクリレートのアクリル酸部分を、メタクリル酸部分に代えたメタクリル酸エステル、イタコン酸部分に代えたイタコン酸エステル、クロトン酸部分に代えたクロトン酸エステル、又は、マレイン酸部分に代えたマレイン酸エステル等が挙げられる。
芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、例えば、ハイドロキノンジアクリレート、ハイドロキノンジメタクリレート、レゾルシンジアクリレート、レゾルシンジメタクリレート、ピロガロールトリアクリレート等が挙げられる。
不飽和カルボン酸と多価カルボン酸及び多価ヒドロキシ化合物とのエステル化反応により得られるエステルは、必ずしも単一物ではなく、混合物であっても良い。代表例としては、例えば、アクリル酸、フタル酸及びエチレングリコールの縮合物、アクリル酸、マレイン酸及びジエチレングリコールの縮合物、メタクリル酸、テレフタル酸及びペンタエリスリトールの縮合物、アクリル酸、アジピン酸、ブタンジオール及びグリセリンの縮合物等が挙げられる。
ポリイソシアネート化合物と(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物とを反応させたウレタン骨格を有するエチレン性化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート;トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート等と、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシ(1,1,1−トリアクリロイルオキシメチル)プロパン、3−ヒドロキシ(1,1,1−トリメタクリロイルオキシメチル)プロパン等の(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物との反応物が挙げられる。
その他、エチレン性化合物としては、例えば、エチレンビスアクリルアミド等のアクリルアミド類;フタル酸ジアリル等のアリルエステル類;ジビニルフタレート等のビニル基含有化合物等も有用である。
また、エチレン性化合物は酸基を有するモノマーであってもよい。酸基を有するモノマーとしては、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルであり、脂肪族ポリヒドロキシ化合物の未反応のヒドロキシル基に非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸基を持たせた多官能モノマーが好ましく、特に好ましくは、このエステルにおいて、脂肪族ポリヒドロキシ化合物がペンタエリスリトール及びジペンタエリスリトールのうち少なくとも一つであるものである。
これらのモノマーは1種を単独で用いても良いが、製造上、単一の化合物を用いること
は難しいことから、2種以上を混合して用いても良い。また、必要に応じてモノマーとして酸基を有しない多官能モノマーと酸基を有する多官能モノマーを併用してもよい。
酸基を有する多官能モノマーの好ましい酸価としては、0.1〜40mgKOH/gであり、特に好ましくは5〜30mgKOH/gである。多官能モノマーの酸価が低すぎると現像溶解特性が落ち、高すぎると製造や取扱いが困難になり光重合性能が落ち、画素の表面平滑性等の硬化性が劣る傾向がある。従って、異なる酸基の多官能モノマーを2種以上併用する場合、或いは酸基を有しない多官能モノマーを併用する場合、全体の多官能モノマーとしての酸基が上記範囲に入るように調整することが好ましい。
又、より好ましい酸基を有する多官能モノマーは、東亞合成社製TO1382として市販されているジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートのコハク酸エステルを主成分とする混合物である。この多官能モノマーの他の多官能モノマーを組み合わせて使用することもできる。
本発明において、上述したエチレン性化合物は、分子量が650以下、好ましくは550以下、より好ましくは400以下、かつ二重結合当量が150以下、好ましくは140以下、より好ましくは110以下であるものが適当である。またそれらの下限は特に限定されず、付加重合が可能な化学構造をとり得る範囲であればよい。
これらの中でも、画素の“欠け”を少なくし、より直線性に優れた画素を形成することができる点からは、比較的分子量が小さく、かつ二重結合当量が小さい化合物が好ましい。例えば、分子量が400以下であり、かつ二重結合当量が110以下の、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルが好ましいものとして挙げられ、さらに具体的には、例えば、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等が挙げられる。
尚、得られるカラーフィルタ用着色樹脂組成物の感度の点からは分子量が400を超えるエチレン性化合物を使用することが好ましい。この様な化合物としては、特にジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が好ましい。これらは、前述の分子量が400以下、かつ二重結合当量が150以下(より好ましくは110以下)であるエチレン性化合物と組み合わせて使用することにより、バランスのよい組成物が得られるため好ましい。
(D)重合性モノマーの配合率は、本発明の着色樹脂組成物の全固形分中、通常0重量%以上、好ましくは5重量%以上、更に好ましくは10重量%以上であり、通常80重量%以下、好ましくは70重量%以下、更に好ましくは50重量%以下、特に好ましくは40重量%以下である。また、色材に対する比率は、通常0重量%以上、好ましくは5重量%以上、更に好ましくは10重量%以上、特に好ましくは20重量%以上であり、通常200重量%以下、好ましくは100重量%以下、更に好ましくは80重量%以下である。
<(E)光重合開始剤類、及び/又は熱重合開始剤類>
本発明の着色樹脂組成物は、塗膜を硬化させる目的で、(E)光重合開始剤類、及び/又は熱重合開始剤類を更に含むことが好ましい。ただし、硬化の方法はこれらの開始剤によるもの以外でもよい。
特に、本発明の着色樹脂組成物が、(C)バインダ樹脂成分としてエチレン性二重結合を有する樹脂を含む場合や、前述する(D)重合性モノマー成分としてエチレン性化合物を含む場合には、光を直接吸収し、又は光増感されて分解反応あるいは水素引き抜き反応を起こし、重合活性ラジカルを発生する機能を有する光重合開始剤類、及び/又は熱によって重合活性ラジカルを発生する熱重合開始剤類を含有することが好ましい。なお、本発明において光重合開始剤類としての(E)成分とは、光重合開始剤(以降、(E−1)成分と称することがある。)に重合加速剤(以降、(E−2)成分と称することがある。)、増感色素(以降、(E−3)成分と称することがある。)などの付加剤が併用されている混合物を意味する。
<光重合開始剤類>
本発明の着色樹脂組成物に含有されていてもよい(E)光重合開始剤類は、通常、(E−1)光重合開始剤と、必要に応じて添加される(E−3)増感色素、(E−2)重合加速剤等の付加剤との混合物として用いられ、光を直接吸収し、或いは光増感されて分解反応または水素引き抜き反応を起こし、重合活性ラジカルを発生する機能を有する成分である。
(E)光重合開始剤類を構成する(E−1)光重合開始剤としては、例えば、特開昭59−152396号、特開昭61−151197号各公報等に記載のチタノセン誘導体類;特開平10−300922号、特開平11−174224号、特開2000−56118号各公報等に記載されるヘキサアリールビイミダゾール誘導体類;特開平10−39503号公報等に記載のハロメチル化オキサジアゾール誘導体類、ハロメチル−s−トリアジン誘導体類、N−フェニルグリシン等のN−アリール−α−アミノ酸類、N−アリール−α−アミノ酸塩類、N−アリール−α−アミノ酸エステル類等のラジカル活性剤、α−アミノアルキルフェノン誘導体類;特開2000−80068号公報等に記載のオキシムエステル系誘導体類等が挙げられる。
具体的には、例えば、チタノセン誘導体類としては、ジシクロペンタジエニルチタニウムジクロライド、ジシクロペンタジエニルチタニウムビスフェニル、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス(2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムジ(2,6−ジフルオロフェニ−1−イル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムジ(2,4−ジフルオロフェニ−1−イル)、ジ(メチルシクロペンタジエニル)チタニウムビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル)、ジ(メチルシクロペンタジエニル)チタニウムビス(2,6−ジフルオロフェニ−1−イル)、ジシクロペンタジエニルチタニウム〔2,6−ジ−フルオロ−3−(ピロ−1−イル)−フェニ−1−イル〕等が挙げられる。
ビイミダゾール誘導体類としては、2−(2’−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(2’−クロロフェニル)−4,5−ビス(3’−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(2’−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(2’−メトキシフエニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、(4’−メトキシフエニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体等が挙げられる。
ハロメチル化オキサジアゾール誘導体類としては、2−トリクロロメチル−5−(2’−ベンゾフリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−〔β−(2’−ベンゾフリル)ビニル〕−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−〔β−(2’−(6''−ベンゾフリル)ビニル)〕−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−フリル−1,3,4−オキサジアゾール等が挙げられる。
ハロメチル−s−トリアジン誘導体類としては、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,
6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシカルボニルナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等が挙げられる。
又、α−アミノアルキルフェノン誘導体類としては、2−メチル−1〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、4−ジメチルアミノエチ
ルベンゾエ−ト、4−ジメチルアミノイソアミルベンゾエ−ト、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、2−エチルヘキシル−1,4−ジメチルアミノベンゾエート、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノ
ン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノベンゾイル)クマリン、4−(ジエチルアミノ)カルコン等が挙げられる。
又、オキシムエステル系誘導体類としては、1,2−オクタンジオン、1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕、2−(o−ベンゾイルオキシム)、エタノン、1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕、1−(o−アセチルオキシム)等が挙げられる。
その他に、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル類;
2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン等のアントラキノン誘導体類;
2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、α−ヒドロキシ−2−メチルフェニルプロパノン、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル−(p−イソプロピルフェニル)ケトン、1−ヒドロキシ−1−(p−ドデシルフェニル)ケトン、2−メチル−(4’−メチルチオフェニル)−2−モルホリノ−1−プロパノン、1,1,1−トリクロロメチル−(p−ブチルフェニル)ケトン等のアセトフェノン誘導体類;
チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体類;
p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸エチル等の安息香酸エステル誘導体類;
9−フェニルアクリジン、9−(p−メトキシフェニル)アクリジン等のアクリジン誘導体類;
9,10−ジメチルベンズフェナジン等のフェナジン誘導体類;
ベンズアンスロン等のアンスロン誘導体類等も挙げられる。
これら(E−1)光重合開始剤の中では、α−アミノアルキルフェノン誘導体類、オキシムエステル系誘導体類、およびチオキサントン誘導体類がより好ましい。
又、本発明の着色樹脂組成物は、特に(E)光重合開始剤類を含む場合、必要に応じて更に(E−2)重合加速剤を配合することができる。(E−2)重合加速剤としては、例えば、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等のN,N−ジアルキルアミノ安息香酸アルキルエステル類;2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール等の複素環を有するメルカプト化合物;脂肪族多官能メルカプト化合物等のメルカプト化合物類等が挙げられる。
これらの(E−1)光重合開始剤および(E−2)重合加速剤は、それぞれ1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の着色樹脂組成物において、更に(E)光重合開始剤類に、感応感度を高める目
的で、(E−3)増感色素が用いられることがある。(E−3)増感色素は、画像露光光源の波長に応じて、適切なものが用いられるが、例えば特開平4−221958号、特開平4−219756号各公報等に記載のキサンテン系色素;特開平3−239703号、特開平5−289335号各公報等に記載の複素環を有するクマリン系色素;特開平3−239703号、特開平5−289335号各公報等に記載の3−ケトクマリン系色素;特開平6−19240号公報等に記載のピロメテン系色素;特開昭47−2528号、特開昭54−155292号、特公昭45−37377号、特開昭48−84183号、特開昭52−112681号、特開昭58−15503号、特開昭60−88005号、特開昭59−56403号、特開平2−69号、特開昭57−168088号、特開平5−107761号、特開平5−210240号、特開平4−288818号各公報等に記載のジアルキルアミノベンゼン骨格を有する色素等を挙げることができる。
これらの(E−3)増感色素のうち好ましいものは、アミノ基含有増感色素であり、更に好ましいものは、アミノ基およびフェニル基を同一分子内に有する化合物である。(E−3)増感色素として特に好ましいのは、例えば、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−アミノベンゾフェノン、4−アミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4−ジアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾオキサゾール、2−(p−ジエチルアミノフェニル)ベンゾオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾ〔4,5〕ベンゾオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾ〔6,7〕ベンゾオキサゾール、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾチアゾール、2−(p−ジエチルアミノフェニル)ベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンズイミダゾール、2−(p−ジエチルアミノフェニル)ベンズイミダゾール、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−チアジアゾール、(p−ジメチルアミノフェニル)ピリジン、(p−ジエチルアミノフェニル)ピリジン、(p−ジメチルアミノフェニル)キノリン、(p−ジエチルアミノフェニル)キノリン、(p−ジメチルアミノフェニル)ピリミジン、(p−ジエチルアミノフェニル)ピリミジン等のp−ジアルキルアミノフェニル基含有化合物等である。このうち最も好ましいものは、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等の4,4’−ジアルキルアミノベンゾフェノンである。
(E−3)増感色素もまた1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の着色樹脂組成物において、これらの(E)光重合開始剤類((E−1)光重合開始剤、(E−2)重合加速剤及び(E−3)増感色素)の含有割合は、全固形分中、通常0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、また、通常40重量%以下、好ましくは30重量%以下である。この含有割合が著しく低いと露光光線に対する感度が低下する原因となることがあり、反対に著しく高いと未露光部分の現像液に対する溶解性が低下し、現像不良を誘起したり、又、開始剤そのものの影響で、即ち、開始剤自身の吸光特性により、画素の透過率が下がるところで輝度が低下したりすることがある。
<熱重合開始剤類>
本発明の着色樹脂組成物に含有されていてもよい熱重合開始剤類の具体例としては、アゾ系化合物、有機過酸化物および過酸化水素等を挙げることができる。これらのうち、アゾ系化合物が好適に用いられる。
アゾ系化合物としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキセン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド(2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル)、2,2−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−
ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−エチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(ジメチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(ジメチル−2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンテン)等を挙げることができ、これらのうちでも、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等が好ましい。
有機過酸化物としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ジ−t−ブチル、クメンハイドロパーオキシド等が挙げられる。具体的には、ジイソブチリルパーオキシド、クミルパーオキシネオデカノエート、ジ−n−プロピルパーオキシジカルボネート、ジイソプロピルパーオキシジカルボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカルボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカルボネート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカルボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカルボネート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、ジメトキシブチルパーオキシジカルボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジ−n−オクタノイルパーオキシド、ジラウロイルパーオキシド、ジステアロイルパーオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ジ(4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキシル)プロパン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカルボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(3−メチルベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカルボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカルボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジ(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキシド、ジ−t−ヘキシルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキシド、p−メンタンハイドロパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド、t−ブチルハイドロパーオキシド、t−ブチルトリメチルシリルパーオキシド、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、ジ(3−メチルベンゾイル)パーオキシドとベンゾイル(3−メチルベンゾイル)パーオキシドとジベンゾイルパーオキシドの混合物等を挙げることができる。
尚、上述した(E−1)光重合開始剤の中には、例えばα―アミノアルキルフェノン誘導体のように熱重合開始剤としても働くものがある。そのため、熱重合開始剤として、(E−1)光重合開始剤の例として挙げた中から選択した化合物を使用してもよい。
これらの熱重合開始剤類は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
着色樹脂組成物中の熱重合開始剤類の割合が少な過ぎると膜の硬化が不十分であり、カラーフィルタとしての耐久性が不足する場合がある。多過ぎると熱収縮の度合が大きくなり、熱硬化後にヒビ割れ、クラックの発生が起こるおそれがある。また、保存安定性が低下する傾向が見られる。従って、熱重合開始剤類の含有割合は、本発明の着色樹脂組成物の全固形分中0〜30重量%、特に0〜20重量%の範囲とすることが好ましい。
<界面活性剤>
本発明の着色樹脂組成物は、更に界面活性剤を含有していてもよい。界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性界面活性剤等、各種のものを用いることができるが、電圧保持率や有機溶媒に対する相溶性等の諸特性に悪影響を及ぼす可能性が低い点で、非イオン性界面活性剤を用いるのが好ましい。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、花王社製の「エマール10」等のアルキル硫酸エステル塩系界面活性剤、花王社製の「ペレックスNB−L」等のアルキルナフタレンスルフォン酸塩系界面活性剤、花王社製の「ホモゲノールL−18」、「ホモゲノールL−100」等の特殊高分子系界面活性剤等が挙げられる。これらのうち、特殊高分子系界面活性剤が好ましく、特殊ポリカルボン酸型高分子系界面活性剤が更に好ましい。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、花王社製の「アセタミン24」等のアルキルアミン塩系界面活性剤、花王社製の「コータミン24P」、「コータミン86W」等の第4級アンモニウム塩系界面活性剤等が挙げられる。これらのうち、第4級アンモニウム塩系界面活性剤が好ましく、ステアリルトリメチルアンモニウム塩系界面活性剤が更に好ましい。
非イオン系性面活性剤としては、例えば、トーレシリコーン社製の「SH8400」;シリコーン社製の「KP341」等のシリコーン系界面活性剤;住友3M社製の「FC430」;大日本インキ化学工業社製の「F470」;ネオス社製の「DFX−18」等の弗素系界面活性剤;花王社製の「エマルゲン104P」、「エマルゲンA60」等のポリオキシエチレン系界面活性剤等が挙げられる。これらのうち、シリコーン系界面活性剤が好ましく、ポリジメチルシロキサンにポリエーテル基又はアラルキル基の側鎖が付加された構造を有する、いわゆるポリエーテル変性又はアラルキル変性シリコーン系界面活性剤が更に好ましい。
界面活性剤は2種類以上を併用してもよく、例えばシリコーン系界面活性剤/弗素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤/特殊高分子系界面活性剤、弗素系界面活性剤/特殊高分子系界面活性剤の組み合わせ等が挙げられる。中でも、シリコーン系界面活性剤/弗素系界面活性剤の組み合わせが好ましい。
このシリコーン系界面活性剤/弗素系界面活性剤の組み合わせとしては、例えばポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤/オリゴマー型弗素系界面活性剤の組み合わせ等が挙げられる。具体的には、例えば、ジーイー東芝シリコーン社製「TSF4460」/ネオス社製「DFX−18」、ビックケミー社製「BYK−300」/セイミケミカル社製「S−393」、信越シリコーン社製「KP340」/大日本インキ化学工業社製「F−478」、トーレシリコーン社製「SH7PA」/ダイキン社製「DS−401」、日本ユニカー社製「L−77」/住友3M社製「FC4430」等の組み合わせが挙げられる。
これら界面活性剤の含有割合は、全固形分中、通常0.001重量%以上、好ましくは0.005重量%以上、更に好ましくは0.01重量%以上である。又、通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下、更に好ましくは1重量%以下の範囲で用いられる。界面活性剤の含有量をこの範囲に制御することによって、実際のラインにおいてオーバーコートを塗布した際に、オーバーコートが弾かれてしまう可能性がなくなり、又、キュア後に
塗布膜がひび割れたりして、膜しわになることも少なくなる。
<熱重合防止剤>
熱重合防止剤としては、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ピロガロール、カテコール、2,6−t−ブチル−p−クレゾール、β−ナフトール等が用いられる。熱重合防止剤の配合量は、組成物の全固形分に対し0重量%以上、3重量%以下の範囲であることが好ましい。
<可塑剤>
可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等が用いられる。これら可塑剤の配合量は、組成物の全固形分に対し、通常10重量%以下の範囲であることが好ましい。
<顔料分散液及び着色樹脂組成物の調製方法>
本発明の着色樹脂組成物は、該組成物を構成する材料を一度に、または順次混合して調製してもよいが、以下に述べるように、予め顔料分散液を調製し、これに他の成分を混合することが好ましい。
以下、本発明の顔料分散液及び着色樹脂組成物を調製する方法の一例を説明するが、調製方法に特に制限はなく、以下に述べる方法に限定されるわけではない。
又、本発明の顔料分散液及び着色樹脂組成物は、前述したように「本発明の効果」等の点から、カラーフィルタ用顔料分散液及び着色樹脂組成物として用いることが好ましい。具体的には、カラーフィルタの画素形成用の材料として用いることが好ましい。
尚、本発明のカラーフィルタ用顔料分散液及び着色樹脂組成物は、適用したいカラーフィルタの製造プロセスに応じて、光硬化性(光重合性)であっても熱重合性であってもよい。
本発明の着色樹脂組成物は、先ず、少なくとも(A)顔料、(B)分散剤、及び任意に分散樹脂、溶媒等を含有してなる顔料分散液を調製し、これと(C)バインダ樹脂、及び任意に用いられる(D)重合性モノマー等、他の成分を混合して調製することが好ましい。
先ず、(A)顔料、(B)分散剤、及び任意に分散樹脂等を各所定量秤量し、分散処理工程において、(A)顔料を分散させてインキ状液体(顔料分散体又は顔料分散液)とする。この分散処理工程では、ペイントコンディショナー、サンドグラインダー、ボールミル、ロールミル、ストーンミル、ジェットミル、ホモジナイザー等を使用することができる。この分散処理を行なうことによって顔料が微粒子化されるため、着色樹脂組成物の塗布特性が向上し、製品のカラーフィルタ基板等の透過率が向上する。(A)顔料を分散処理する際には、上述の通り、分散助剤などを適宜併用するのが好ましい。
サンドグラインダーを用いて分散処理を行なう場合は、0.1〜数mm径のガラスビーズ、又はジルコニアビーズを用いるのが好ましい。分散処理する際の温度は、通常0℃以上、好ましくは室温以上、又、通常100℃以下、好ましくは80℃以下の範囲に設定する。尚、分散時間は、インキ状液体の組成、及びサンドグラインダーの装置の大きさ等により適正時間が異なるため、適宜調整する必要がある。
上記分散処理によって得られた顔料分散液に、(C)バインダ樹脂、及び任意に用いられる(D)重合性モノマー、(E)光重合開始剤類、及び/又は熱重合開始剤類、界面活性剤など、他の成分を混合し、均一な分散溶液とすることにより着色樹脂組成物を得る。
尚、分散処理工程及び混合処理の各工程において、微細なゴミが混入することがあるため、得られたインキ状液体をフィルタ等によって濾過処理することが好ましい。
<着色樹脂組成物の応用>
本発明の着色樹脂組成物は、通常、すべての構成成分が溶媒中に溶解或いは分散された状態である。これが基板上へ供給され、カラーフィルタや、表示装置の構成部材が形成される。
以下、本発明の着色樹脂組成物の応用例として、カラーフィルタの画素としての応用、及びそれらを用いた液晶表示装置(パネル)並びに有機ELディスプレイについて説明する。
<カラーフィルタ基板の製造>
次に、本発明のカラーフィルタ(以下、「カラーフィルタ基板」と称することがある。)について説明する。
本発明のカラーフィルタは、基板上に上述の着色樹脂組成物を用いて形成された画素を有することを特徴とする。
<透明基板(支持体)>
カラーフィルタの透明基板としては、透明で適度の強度があれば、その材質は特に限定されるものではない。材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスルホンの熱可塑性樹脂製シート、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂等の熱硬化性樹脂シート、又は各種ガラス等が挙げられる。これらの中で、耐熱性の観点からガラスまたは耐熱性樹脂が好ましい。
透明基板及びブラックマトリックス形成基板には、接着性等の表面物性の改良のため、必要に応じ、コロナ放電処理、オゾン処理、シランカップリング剤や、ウレタン系樹脂等の各種樹脂の薄膜形成処理等を行なってもよい。透明基板の厚さは、通常0.05mm以上、好ましくは0.1mm以上、また、通常10mm以下、好ましくは7mm以下の範囲とされる。また、各種樹脂の薄膜形成処理を行なう場合、その膜厚は、通常0.01μm以上、好ましくは0.05μm以上、また、通常10μm以下、好ましくは5μm以下の範囲である。
<ブラックマトリックス>
上述の透明基板上にブラックマトリックスを設け、更に通常は赤色、緑色、青色の画素画像を形成することにより、本発明に係るカラーフィルタを製造することができる。本発明の着色樹脂組成物は、通常赤色、緑色および青色である画素の形成用塗布液として使用される。
ブラックマトリックスは、遮光金属薄膜又はブラックマトリックス形成用塗布液(本発明の着色樹脂組成物であってもよい)を利用して、透明基板上に形成される。遮光金属材料としては、金属クロム、酸化クロム、窒化クロム等のクロム化合物、ニッケルとタングステン合金等が用いられ、これらを複数層状に積層させたものであってもよい。
これらの金属遮光膜は、一般にスパッタリング法によって形成され、ポジ型フォトレジストにより、膜状に所望のパターンを形成した後、クロムに対しては硝酸第二セリウムアンモニウムと過塩素酸、及び/又は硝酸とを混合したエッチング液を用い、その他の材料に対しては、材料に応じたエッチング液を用いて蝕刻され、最後にポジ型フォトレジストを専用の剥離剤で剥離することによって、ブラックマトリックスを形成することができる。
この場合、まず、蒸着又はスパッタリング法等により、透明基板上にこれら金属又は金属・金属酸化物の薄膜を形成する。次いで、この薄膜上に着色樹脂組成物の塗布膜を形成した後、ストライプ、モザイク、トライアングル等の繰り返しパターンを有するフォトマスクを用いて、塗布膜を露光・現像し、レジスト画像を形成する。その後、この塗布膜にエッチング処理を施してブラックマトリックスを形成することができる。
ブラックマトリックス形成用塗布液を利用する場合は、黒色顔料を含有する着色樹脂組成物を使用して、ブラックマトリックスを形成する。例えば、カーボンブラック、黒鉛、鉄黒、アニリンブラック、シアニンブラック、チタンブラック等の黒色顔料単独又は複数、もしくは、無機又は有機の顔料、染料の中から適宜選択される赤色、緑色、青色等の混合による黒色顔料を含有する着色樹脂組成物を使用し、以下の赤色、緑色、青色の画素画像を形成する方法と同様にして、ブラックマトリックスを形成することができる。
なお、インクジェット方式にてカラーフィルタ(の画素)を作製する場合、まず基板上に隔壁パターン(ブラックマトリックス)を設け、そのパターン内(以下「画素バンク内」と称することがある。)に画素形成用のインク(着色樹脂組成物)をダイレクトに付与し、カラーフィルタを作製する。インクの微小液滴を所望の位置に描画できるため、カラーフィルタの高生産性、低コスト化が達成できる。
インクジェット方式によるカラーフィルタのブラックマトリックスは、従来必要とされている遮光機能のみならず、画素バンク内に打ち込まれたRGBインクが混色しないための隔壁としての機能も果たしているため、従来のフォトリソグラフィ法によるカラーフィルタの場合に比べ、膜厚が厚い(通常は膜厚1.5μm以上、好ましくは1.8〜2.5μm程度、より好ましくは2.0〜2.3μm程度の厚さである。)という特徴がある。また、RGBインクの混色を防ぐために、ブラックマトリックスの上面に撥液処理を施す場合が多い。
従って、従来用いられてきた金属クロム、酸化クロム、窒化クロム等のクロム化合物や、ニッケルとタングステン合金等の遮光金属材料からなるブラックマトリックスより、黒色色材を含む感光性材料を用いて形成された、樹脂ブラックマトリックスの方が好ましい。
インクジェット方式にて本発明のカラーフィルタを作製する場合、樹脂ブラックマトリックスは上述のようにブラックマトリックス用感光性着色樹脂組成物を用いて、一般的なフォトリソグラフィ法にて形成すればよい。続いて、透明基板表面の親水化とブラックマトリックスパターンの撥液化を、各々化学的処理あるいは物理的処理により施す。
<画素の形成>
画素の形成方法は、使用する着色樹脂組成物の種類により異なる。まずは、着色樹脂組成物として光重合性組成物を用い、フォトリソグラフィ法にて画素を形成する場合を例に説明する。
ブラックマトリックスを設けた透明基板上に、赤色、緑色、青色のうち一色の着色樹脂組成物を塗布し、乾燥した後、塗布膜の上にフォトマスクを重ね、このフォトマスクを介して画像露光、現像、必要に応じて熱硬化又は光硬化により画素画像を形成させ、着色層を作成する。この操作を、赤色、緑色、青色の三色の着色樹脂組成物について各々行なうことによって、カラーフィルタ画像を形成することができる。
カラーフィルタ用着色樹脂組成物の塗布は、スピナー法、ワイヤーバー法、フローコート法、ダイコート法、ロールコート法、スプレーコート法等によって行なうことができる。中でも、ダイコート法によれば、塗布液使用量が大幅に削減され、かつ、スピンコート法によった際に付着するミスト等の影響が全くなく、更には異物発生が抑制される等、総合的な観点から好ましい。
塗布膜の厚さは、大き過ぎるとパターン現像が困難となるとともに、液晶セル化工程でのギャップ調整が困難となることがある一方で、小さ過ぎると顔料濃度を高めることが困難となり、所望の色発現が不可能となることがある。塗布膜の厚さは、乾燥後の膜厚として、通常0.2μm以上、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは0.8μm以上、また、通常20μm以下、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下の範囲である。
次に、インクジェット方式にて画素を形成する場合について説明する。
樹脂ブラックマトリックスを設けた基板上の画素バンク内に、本発明の着色樹脂組成物を用いてインクジェット装置により描画し、乾燥および光硬化および/または熱硬化にて該組成物を完全に硬化させ、画素を形成することによりカラーフィルタを得る。なお、画素形成用の着色樹脂組成物としては、R(赤)、G(緑)、B(青)の3色が使用される場合が多いが、これらに限定されない。
<塗布膜の乾燥>
基板に着色樹脂組成物を塗布してなる塗布膜の乾燥は、ホットプレート、IRオーブン、コンベクションオーブンを使用した乾燥法によるのが好ましい。通常は、予備乾燥の後、再度加熱させて乾燥させる。
予備乾燥の条件は、前記溶媒成分の種類、使用する乾燥機の性能等に応じて適宜選択することができる。乾燥温度及び乾燥時間は、溶媒成分の種類、使用する乾燥機の性能等に応じて選択されるが、具体的には、乾燥温度は通常40℃以上、好ましくは50℃以上、また、通常80℃以下、好ましくは70℃以下の範囲であり、乾燥時間は通常15秒以上、好ましくは30秒以上、また、通常5分間以下、好ましくは3分間以下の範囲である。
再加熱乾燥の温度条件は、予備乾燥温度より高い温度が好ましく、具体的には、通常50℃以上、好ましくは70℃以上、また、通常200℃以下、好ましくは160℃以下、特に好ましくは130℃以下の範囲である。また、乾燥時間は、加熱温度にもよるが、通常10秒以上、中でも15秒以上、また、通常10分以下、中でも5分の範囲とするのが好ましい。乾燥温度は、高いほど透明基板に対する接着性が向上するが、高過ぎるとポリマーが分解し、熱重合を誘発して現像不良を生ずる場合がある。なお、この塗布膜の乾燥工程としては、温度を高めず減圧チャンバー内で乾燥を行なう減圧乾燥法を用いてもよい。好ましい乾燥条件は、0.1〜1Torr、乾燥時間は10秒〜60分の範囲である。
又、本発明の着色樹脂組成物が光重合性である場合は、この乾燥工程に続き、露光工程を行う。
<露光工程>
画像露光は、着色樹脂組成物の塗布膜上に、ネガのマトリクスパターンを重ね、このマスクパターンを介し、紫外線又は可視光線の光源を照射して行なう。この際、必要に応じ、酸素による光重合性層の感度の低下を防ぐため、光重合性層上にポリビニルアルコール層等の酸素遮断層を形成した後に露光を行なってもよい。
上記の画像露光に使用される光源は、特に限定されるものではない。光源としては、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、蛍光ランプ等のランプ光源や、アルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー、窒素レーザー、ヘリウムカドミニウムレーザー、半導体レーザー等のレーザー光源等が挙げられる。特定の波長の光を照射して使用する場合には、光学フィルタを利用することもできる。
本発明のカラーフィルタをフォトリソグラフィ法にて作製した場合は、さらに現像工程に移る。
<現像工程>
本発明のカラーフィルタは、本発明の着色樹脂組成物を用いた塗布膜に対し、上記の光源によって画像露光を行なった後、有機溶媒、又は、界面活性剤とアルカリ性化合物とを含む水溶液を用いて現像を行なうことによって、基板上に画像を形成して製造することができる。この水溶液には、更に有機溶媒、緩衝剤、錯化剤、染料又は顔料を含ませることができる。
アルカリ性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、水酸化アンモニウム等の無機アルカリ性化合物や、モノ−・ジ−又はトリエタノールアミン、モノ−・ジ−又はトリメチルアミン、モノ−・ジ−又はトリエチルアミン、モノ−又はジイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノ−・ジ−又はトリイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジイミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、コリン等の有機アルカリ性化合物が挙げられる。
これらのアルカリ性化合物は、2種以上の混合物であってもよい。
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、モノグリセリドアルキルエステル類等のノニオン系界面活性剤、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキル硫酸塩類、アルキルスルホン酸塩類、スルホコハク酸エステル塩類等のアニオン性界面活性剤、アルキルベタイン類、アミノ酸類等の両性界面活性剤が挙げられる。
有機溶媒としては、例えば、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、プロピレングリコール、ジアセトンアルコール等が挙げられる。有機溶媒は、単独でも水溶液と併用して使用できる。
現像処理の条件には特に制限はないが、現像温度は通常10℃以上、中でも15℃以上、更には20℃以上、また、通常50℃以下、中でも45℃以下、更には40℃以下の範囲が好ましい。現像方法は、浸漬現像法、スプレー現像法、ブラシ現像法、超音波現像法等の何れかの方法によることができる。
<熱硬化(焼成)処理>
現像の後のカラーフィルタには、熱硬化処理を施すことが好ましい。この際の熱硬化処理条件は、温度は通常100℃以上、好ましくは150℃以上、また、通常280℃以下、好ましくは250℃以下の範囲で選ばれ、時間は5分間以上、60分間以下の範囲で選ばれる。これら一連の工程を経て、一色のパターニング画像形成は終了する。この工程を順次繰り返し、ブラック、赤色、緑色、青色をパターニングし、カラーフィルタを形成する。なお、4色のパターニングの順番は、上記した順番に限定されるものではない。
又、インクジェット方式にてカラーフィルタを作製する場合において、本発明の着色樹脂組成物が光重合性である場合は前記露光工程後、熱硬化性である場合はインクジェット方式による塗布工程後に、熱硬化処理を行う。好ましい熱硬化処理の条件は、上述と同様である。
尚、本発明のカラーフィルタは、上記した製造方法の他に、(1)バインダ樹脂としてポリイミド系樹脂を含む、本発明の着色樹脂組成物を、基板に塗布し、エッチング法によ
り画素画像を形成する方法によっても作製することができる。又、(2)本発明の着色樹脂組成物を着色インキとして用い、印刷機によって、透明基板上に直接画素画像を形成する方法、(3)本発明の着色樹脂組成物を電着液として用い、基板をこの電着液に浸漬させ所定パターンにされたITO電極上に、着色膜を析出させる方法、更に、(4)本発明の着色樹脂組成物を塗布したフィルムを、透明基板に貼りつけて剥離し、画像露光、現像し画素画像を形成する方法、(5)本発明の着色樹脂組成物を着色インキとして用い、インクジェットプリンターにより画素画像を形成する方法等によっても作製することができる。
カラーフィルタの作製方法は、本発明の着色樹脂組成物の組成に応じ、これに適した方法が採用される。
<透明電極の形成>
本発明のカラーフィルタは、このままの状態で画像上にITO等の透明電極を形成して、カラーディスプレー、液晶表示装置等の部品の一部として使用されるが、表面平滑性や耐久性を高めるため、必要に応じ、画像上にポリアミド、ポリイミド等のトップコート層を設けることもできる。また一部、平面配向型駆動方式(IPSモード)等の用途においては、透明電極を形成しないこともある。
<液晶表示装置(パネル)>
次に、本発明の液晶表示装置(パネル)の製造法について説明する。本発明の液晶表示装置は、通常、上記本発明のカラーフィルタ上に配向膜を形成し、この配向膜上にスペーサを散布した後、対向基板と貼り合わせて液晶セルを形成し、形成した液晶セルに液晶を注入し、対向電極に結線して完成する。配向膜は、ポリイミド等の樹脂膜が好適である。配向膜の形成には、通常、グラビア印刷法及び/又はフレキソ印刷法が採用され、配向膜の厚さは数10nmとされる。熱焼成によって配向膜の硬化処理を行なった後、紫外線の照射やラビング布による処理によって表面処理し、液晶の傾きを調整しうる表面状態に加工される。
スペーサは、対向基板とのギャップ(隙間)に応じた大きさのものが用いられ、通常2〜8μmのものが好適である。カラーフィルタ基板上に、フォトリソグラフィ法によって透明樹脂膜のフォトスペーサ(PS)を形成し、これをスペーサの代わりに活用することもできる。対向基板としては、通常、アレイ基板が用いられ、特にTFT(薄膜トランジスタ)基板が好適である。
対向基板との貼り合わせのギャップは、液晶表示装置の用途によって異なるが、通常2μm以上、8μm以下の範囲で選ばれる。対向基板と貼り合わせた後、液晶注入口以外の部分は、エポキシ樹脂等のシール材によって封止する。シール材は、UV照射及び/又は加熱することによって硬化させ、液晶セル周辺がシールされる。
周辺をシールされた液晶セルは、パネル単位に切断した後、真空チャンバー内で減圧とし、上記液晶注入口を液晶に浸漬した後、チャンバー内をリークすることによって、液晶を液晶セル内に注入する。液晶セル内の減圧度は、通常1×10-2Pa以上、好ましく
は1×10-3以上、また、通常1×10-7Pa以下、好ましくは1×10-6Pa以下の範囲である。また、減圧時に液晶セルを加温するのが好ましく、加温温度は通常30℃以上、好ましくは50℃以上、また、通常100℃以下、好ましくは90℃以下の範囲である。
減圧時の加温保持は、通常10分間以上、60分間以下の範囲とされ、その後、液晶中に浸漬される。液晶を注入した液晶セルは、液晶注入口を、UV硬化樹脂を硬化させて封止することによって、液晶表示装置(パネル)が完成する。
液晶の種類には特に制限がなく、芳香族系、脂肪族系、多環状化合物等、従来から知ら
れている液晶であって、リオトロピック液晶、サーモトロピック液晶等の何れでもよい。サーモトロピック液晶には、ネマティック液晶、スメスティック液晶及びコレステリック液晶等が知られているが、何れであってもよい。
<有機ELディスプレイ>
本発明のカラーフィルタを用いて有機ELディスプレイを作成する場合、例えば図4に示すように、まず透明支持基板10上に、着色樹脂組成物により形成されたパターン(画素20、または隣接する画素20の間に設けられた樹脂ブラックマトリックス(図示せず))が形成されてなるカラーフィルタを作製し、該カラーフィルタ上に有機保護層30および無機酸化膜40を介して有機発光体500を積層することによって、有機EL素子を作製することができる。なお、画素20の内、少なくとも一つは本発明の着色樹脂組成物を用いて作製されたものである。
有機発光体500の積層方法としては、カラーフィルタ上面へ透明陽極50、正孔注入層51、正孔輸送層52、発光層53、電子注入層54、および陰極55を逐次形成していく方法や、別基板上へ形成した有機発光体500を無機酸化膜40上に貼り合わせる方法などが挙げられる。このようにして作製された有機EL素子100を用い、例えば「有機ELディスプレイ」(オーム社、2004年8月20日発行、時任静士、安達千波矢、村田英幸著)に記載された方法等にて、有機ELディスプレイを作製することができる。尚、本発明のカラーフィルタは、パッシブ駆動方式の有機ELディスプレイにもアクティブ駆動方式の有機ELディスプレイにも適用可能である。
以下に、実施例、及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。尚、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
[1](C)バインダ樹脂の合成
<合成例1:バインダ樹脂D(C−4)の合成例>
反応槽として冷却管を付けたセパラブルフラスコを準備し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート400重量部を仕込み、窒素置換したあと、攪拌しながらオイルバスで加熱して反応槽の温度を90℃まで昇温した。
一方、モノマー槽中にジメチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート30重量部、メタクリル酸60重量部、メタクリル酸シクロヘキシル110重量部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート5.2重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40重量部を仕込み、連鎖移動剤槽にn−ドデシルメルカプタン5.2重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート27重量部を仕込み、反応槽の温度が90℃に安定してからモノマー槽および連鎖移動剤槽から滴下を開始し、重合を開始させた。温度を90℃に保ちながら滴下をそれぞれ135分かけて行い、滴下が終了して60分後に昇温を開始して反応槽を110℃にした。3時間、110℃を維持した後、セパラブルフラスコにガス導入管を付け、酸素/窒素=5/95(v/v)混合ガスのバブリングを開始した。次いで、反応槽に、メタクリル酸グリシジル39.6部、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)0.4部、トリエチルアミン0.8部を仕込み、そのまま110℃で9時間反応させた。
室温まで冷却し、重量平均分子量8000、酸価101mgKOH/gの重合体溶液を得た。
<合成例2: バインダ樹脂Eの合成(C−3)の合成例>
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート114.0重量部を4つ口フラスコに入れ、窒素バブリングを行いながら85℃まで昇温した。これにベンジルメタクリレート114.4重量部、メタクリル酸25.9重量部、2,2’−アゾビス(イソブチロ
ニトリル)4.9263重量部をプロピレングリコール1-モノメチルエーテル2-アセタート96.45重量部に溶解し、4時間かけて滴下した。滴下後反応液を85℃に保ったままさらに2時間攪拌し、その後窒素バブリングを止めて100℃に昇温し1時間攪拌した。これにテトラエチルアンモニウムクロライドを0.6628重量部を加え、80℃で攪拌、溶解させ、さらに3,4−エポキシシクロヘキシル−1−メチルアクリレート15.93重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート23.90重量部を混合した溶液を1時間かけて滴下した。反応溶液を80℃に保ったまま30時間攪拌し、重量平均分子量26000、酸価90mgKOH/gの樹脂を得た。
<合成例3:バインダ樹脂Gの合成(C−1)の合成例>
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート145重量部を、窒素置換しながら攪拌し、120℃に昇温した。ここにスチレン10重量部、 グリシジルメタクリレー
ト85.2重量部およびトリシクロデカン骨格を有するモノアクリレート(日立化成社製FA−513M)66重量部を滴下し、さらに 2,2’−アゾビス−2−メチルブチロ
ニトリル8.47重量部を3時間かけて滴下し、90℃で2時間攪拌し続けた。
次に、反応容器内を空気置換し、アクリル酸43.2重量部に、トリスジメチルアミノメチルフェノール0.7重量部およびハイドロキノン0.12 重量部を投入し、100
℃で12時間反応を続けた。その後、テトラヒドロ無水フタル酸(THPA)28.5重量部、トリエチルアミン0.7重量部を加え、 100℃で3.5時間反応させた。
こうして得られたバインダ樹脂の、GPCにより測定した重量平均分子量Mwは約8400、酸価は33mgKOH/gであった。
<合成例4:バインダ樹脂Hの合成(C−4)の合成例>
反応槽として冷却管を付けたセパラブルフラスコを準備し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート400 重量部を仕込み、窒素置換したあと、攪拌しながらオ
イルバスで加熱して反応槽の温度を90℃ まで昇温した。
一方、モノマー槽中にジメチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート40重量部、メタクリル酸32重量部、メタクリル酸メチル66重量部、メタクリル酸ベンジル62重量部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート2.6 重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40 重量部を仕込み、連鎖移動剤槽にn−ドデシルメルカプタン5.2重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート27重量部を仕込み、反応槽の温度が90℃に安定してからモノマー槽および連鎖移動剤槽から滴下を開始し、重合を開始させた。温度を90℃ に保ちな
がら滴下をそれぞれ135分かけて行い、滴下が終了して60分後に昇温を開始して反応槽を110℃ にした。3時間、110℃を維持した後、室温まで冷却し、重量平均分子
量9500,酸価106mgKOH/gの30重量%重合体溶液を得た。
<実施例1〜6及び比較例1〜5>
[2]着色樹脂組成物の調製
<実施例1〜2、及び比較例1〜2、5>
(A)顔料として、C.I.ピグメントレッド177を9.47重量部、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート60.00重量部、(B)分散剤として表−1に記載の各種を固形分換算で2.37重量部、及び表−1に記載の(C)バインダ樹脂を固形分換算で3.15重量部、径0.5mmのジルコニアビーズ225重量部をステンレス容器に充填し、ペイントシェーカーにて6時間分散させて赤色顔料分散液を調製した。
<実施例3〜5、及び比較例3、4>
(A)顔料として、下記顔料Y−1を8.57重量部、溶媒としてプロピレングリコー
ルモノメチルエーテルアセテート60.00重量部、(B)分散剤として表−1に記載の各種を固形分換算で2.76重量部、及び表−1に記載の(C)バインダ樹脂を固形分換算で3.67重量部、径0.5mmのジルコニアビーズ225重量部をステンレス容器に充填し、ペイントシェーカーにて6時間分散させて黄色顔料分散液を調製した。
顔料Y−1は、前記構造式(I)で表されるアゾバルビツール酸のニッケルとの1:1錯体の結晶格子中に、下記構造式(IX−1)で表される化合物が挿入されてなる結晶からなる黄色顔料である。
Figure 2010144057
<実施例6>
(A)顔料として、C.I.ピグメントグリーン58を9.15重量部、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート60.00重量部、(B)分散剤として表−1に記載の各種を固形分換算で2.47重量部、及び表−1に記載の(C)バインダ樹脂を固形分換算で3.38重量部、径0.5mmのジルコニアビーズ225重量部をステンレス容器に充填し、ペイントシェーカーにて6時間分散させて緑色顔料分散液を調製した。
Figure 2010144057
分散剤A:ビックケミー社製分散剤「BYK−LPN6919」
メタクリル酸系ABブッロク共重合体であり、アミン価は、121mgKOH/g、酸価は1mgKOH/g以下である。
Bブロックに含まれる、窒素原子含有官能基を有する繰り返し単位のうち、約100モル%が下記式(i)で表わされる構造であり、また下記式(ii)で表わされる繰り返し単位の、Aブロックにおける割合は11モル%であった。
Figure 2010144057
分散剤B:ルーブリゾール社製「Solsperse 24000GR」
窒素原子を含有するグラフト共重合体である。吸着基が下記構造であり、アミン価が39mgKOH/g、酸価が33mgKOH/gであるポリエステル酸アミドアミン塩である高分子分散剤。
Figure 2010144057
分散剤C:ビックケミー社製「Disperbyk2000」
その他のアクリル系ブロック共重合体である。吸着基が主に下記構造であり、アミン価が10mgKOH/g程度である、主鎖がメタクリル酸由来の繰り返し単位からなるブロック共重合体の分散剤。
Figure 2010144057
分散剤I:ビックケミー社製「Disperbyk2001」
その他のアクリル系ブロック共重合体である。吸着基が主に下記構造であり、アミン価が63mgKOH/g程度である、主鎖がメタクリル酸由来の繰り返し単位からなるポリマーであるブロック共重合体。
Figure 2010144057
[2]着色顔料分散液の耐水性評価(実施例1〜6、比較例1〜5)
得られた顔料分散液につき、耐水性評価を行った。測定方法は、各々以下に記し、測定結果は表−2に示す。
先ず、得られた顔料分散液のカールフィッシャー法による電量滴定法にて水分測定を行った。いずれも水分は0.2%程度であったので、スターラーで攪拌しながら合計で水分が0.5%となるよう、純水を攪拌しながら着色組成物に滴下し、純水添加後12時間後の粘度と、35℃恒温槽にて1週間保管した粘度を東機産業社製E型粘度計「RE−80L」(20rpm)を用いて測定した。
各実施例及び比較例の顔料分散液についての粘度と1週間での粘度変化率(増粘率)を比較し、10%未満であったものを○、10%以上20%未満であったものを△、20%以上であったものを×とした。その結果を表−2に示す。
Figure 2010144057
続いて、上記各色の顔料分散液に、表−3、表−4及び表−5の記載に従って、各成分を混合し、着色樹脂組成物を調製した。
<実施例7〜8、及び比較例6〜8>
Figure 2010144057
<実施例9、及び比較例9>
Figure 2010144057
得られた上記実施例7〜9及び比較例6〜9の着色樹脂組成物につき、粘度変化、耐水性試験、現像液シミ、コントラスト比を測定した。測定方法は、各々以下に記し、測定結果は表−5に示す。
[3]着色樹脂組成物の粘度変化
[2]で得られた着色樹脂組成物について、調製12時間後、及び23℃の恒温槽に1
ヶ月静置した後の粘度(20rpm)を東機産業社製E型粘度計「RE−80L」を用いて測定した。実施例7〜9及び比較例6〜9の着色樹脂組成物について調製12時間後の粘度と1ヶ月での粘度変化率(増粘率)を比較し、4%未満であったものを○、4%以上
10%未満であったものを△、10%以上であったものを×とした。その結果を表−5に示す。
[4]着色樹脂膜の製造
クロムが蒸着されたガラス基板に、[2]で得られた着色樹脂組成物をそれぞれスピンコート塗布し、80℃のホットプレートにて3分間プリベークを行った。塗布に際してはポストベーク後、実施例7〜8及び比較例6〜8では色座標x=0.655、実施例9及
び比較例9では色座標y=0.6となる膜厚になるように回転数を調整した。
[5]光硬化部分上への現像液シミ測定
続いて、[4]で得られた着色樹脂膜に対し、高圧水銀灯により80mJ/cmで露光した後、あらかじめ導電率が3.26mS/mに調製した炭酸ナトリウム水溶液(現像温度26℃)を使用して0.05MPaのスプレー現像を行った。尚、現像時間はあらかじめ測定した溶解時間が25秒より短い際には40秒現像を行い、溶解時間が25秒より長い際はその溶解時間と比較して15秒長く現像した。
但し、溶解時間は、上記の方法で基板に対して着色樹脂組成物の塗布、乾燥、及び露光を行った後、現像した際に未露光部の着色樹脂組成物が現像液へ完全に溶解し、基板が露出するまでの時間をいう。
着色樹脂を塗布した基板を露光後、上述した現像時間にて現像した後、現像後残った光硬化部分上において(図5黒塗り部分)、50倍の光学顕微鏡にて局部的に色が変化した部分を現像液シミとして観測した。尚、図5では、左図が露光、現像後の直線状マスクパターン(幅5mm、長さ5cm)により作成されたパターンを示し、右図が実際の評価範囲(点線は評価範囲外)を表わす。5cm×5cm基板内にある3.5cm×3.5cm
四角枠内の着色樹脂膜の膜厚が一定であるため、評価自体は、図5の右図における四角枠内の黒塗りした部分に対して行った。具体的には、現像液シミの面積が四角枠内において黒塗りした光硬化部分の10%未満を○、10〜30%を△、30%以上を×とした。
この評価法に基づいて検討した結果を表−5に示す。
[6]カラーフィルタの製造
透明ガラス基板上に、上記[4]と同様にして形成された着色樹脂膜に対し、上記[5]と同様に現像を行い、十分な純水で洗浄した後、クリーンエアにより乾燥した。その後、230℃オーブンにて30分間ポストベークを行った後、着色樹脂膜の膜厚を測定したところおよそ2.2μmであった。
[7]カラーフィルタのコントラスト比の測定
図2(a)、(b)は、いずれも、着色板の平行透過光および直交透過光の色度を測定する方法を説明するための模式的な図である。まず、図2(a)に示すように、上記[6]で得られたカラーフィルタ(以下「着色板34」と称す)の両側に偏光板33、35を重ねて、偏光板33、35の偏光軸を互いに平行にした状態で、一方の偏光板35の側からバックライト37の光36を当てて、他方の偏光板33を透過した光の輝度Lp(平行透過光の輝度)を色彩輝度計トプコンテクノハウス製「BM−5A」32を使用して、2゜視野の条件で測定した。
次に、図2(b)に示すように、偏光板33、35の偏光軸を互いに直交させた状態で、一方の偏光板35側からバックライト37の光36を当て、他方の偏光板33を透過した光の輝度Lc(直交透過光の輝度)を、色彩輝度計32にて上記Lpと同様に測定した。
尚、バックライト37は、図1に示すような発光スペクトルを有するものを用いた。このスペクトルの測定は、コニカミノルタ製分光放射輝度計CS−1000Aと、光量を制御し、測定を容易にするため、ケンコー社製のフィルター「NDフィルターND4」を用いて測定し、算出した。
又、偏光板33、35は、図3の透過スペクトル特性を持つものを用いた。
[6]で得られた各実施例および比較例のカラーフィルタのコントラスト比は、平行透過光の輝度Lpと直交透過光の輝度Lcから式Lp/Lcを用いて算出した。結果を表−5に示す。
Figure 2010144057
本発明によれば、画素の高輝度化を目的として、C.I.ピグメントレッド177や特定の黄色顔料等のような微量な水分の混入により増粘しやすい顔料を用いた場合、これまで問題となっていた、高コントラストと分散安定性の両立を実現した顔料分散液及び着色樹脂組成物を提供できる。又、本発明の顔料分散液及び着色樹脂組成物を提供することによって、低膜厚のカラーフィルタを製造することができ、更に得られたカラーフィルタ基板を使用した、高品質の液晶表示装置及び有機ELディスプレイを提供することができる。
実施例で使用した、バックライト37の発光スペクトルを表す図である。 実施例における、着色板の平行透過光および直交透過光の色度を測定する方法を説明するための模式的な図である。 実施例で使用した、偏光板33、35のスペクトル特性を示す図である。 本発明のカラーフィルタを備えた有機EL素子の一例を示す断面概略図である。 実施例における現像液シミの評価方法を説明するための模式的な図である。
符号の説明
32 色彩輝度計
33,35 偏光板
34 着色板
36 光
37 バックライト
10 透明支持基板
20 青色画素
30 有機保護層
40 無機酸化膜
50 透明陽極
51 正孔注入層
52 正孔輸送層
53 発光層
54 電子注入層
55 陰極
100 有機EL素子
500 有機発光体

Claims (14)

  1. (A)顔料、(B)分散剤を含有し、(A)顔料がC.I.ピグメントレッド177、及び/又は以下の定義にて表される顔料Yを含有し、(B)分散剤が、親溶媒性のAブロックと、窒素原子を含む官能基を有するBブロックからなるブロック共重合体であり、且つアミン価が有効固形分換算で80mgKOH/g以上150mgKOH/g以下であることを特徴とする顔料分散液。
    <顔料Y>
    下記構造式(I)
    Figure 2010144057
    で表されるアゾバルビツール酸のニッケルとの1:1錯体、その互換異性体、及びこれらのうち少なくとも一方の化合物の結晶格子中に他の化合物が挿入されてなる結晶からなる群より選ばれた少なくとも一つの結晶からなる顔料。
  2. (B)分散剤における窒素原子を含む官能基のうち、1級〜3級アミノ基の含有割合が、1分子中20モル%以上であることを特徴とする請求項1に記載の顔料分散液。
  3. (B)分散剤における1級〜3級アミノ基を有する繰り返し単位が、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートに由来することを特徴とする請求項2に記載の顔料分散液。
  4. (B)分散剤のAブロックが、Aブロック中で下記式(II)で表される部分構造を5ないし40モル%含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の顔料分散液。
    Figure 2010144057
    (上記一般式(II)において、nは1〜5のいずれかの整数を示す。Rは、水素原子又はメチル基を表す。)
  5. (A)顔料が平均一次粒径40nm以下である有機顔料を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の顔料分散液。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の顔料分散液、及び(C)バインダ樹脂を含有することを特徴とする着色樹脂組成物。
  7. (A)顔料、(B)分散剤及び(C)バインダ樹脂を含有し、(A)顔料がC.I.ピグメントレッド177、及び/又は上記構造式(I)の定義にて表される顔料Yを含有し、(B)分散剤が、親溶媒性のAブロックと、窒素原子を含む官能基を有するBブロックからなるブロック共重合体であり、且つアミン価が有効固形分換算で80mgKOH/g以上150mgKOH/g以下であることを特徴とする着色樹脂組成物。
  8. (D)重合性モノマーを含有することを特徴とする請求項6又は7に記載の着色樹脂組成物。
  9. (E)光重合開始剤類、及び/又は熱重合開始剤類を含有することを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の着色樹脂組成物。
  10. (B)分散剤以外のブロック共重合体を含有することを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の着色樹脂組成物。
  11. カラーフィルタ用である請求項6〜10のいずれか1項に記載の着色樹脂組成物。
  12. 請求項6〜11のいずれか1項に記載の着色樹脂組成物を用いて作製された画素を有することを特徴とするカラーフィルタ。
  13. 請求項12に記載のカラーフィルタを具備することを特徴とする液晶表示装置。
  14. 請求項12に記載のカラーフィルタを具備することを特徴とする有機ELディスプレイ。
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