JP2011099919A - 着色樹脂組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置及び有機elディスプレイ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 (A)顔料、及び(B)バインダ樹脂を含有し、(B)バインダ樹脂が、特定構造を有するビフェニル基を有する樹脂を含有し、且つ当該ビフェニル基を有する樹脂の含有量が(B)バインダ樹脂全量に対し、1重量%以上40重量%以下であることを特徴とする着色樹脂組成物、及びその用途。
【選択図】 なし
Description
近年、技術革新の流れは急速であり、カラーフィルタに対しては、より高透過率、且つ高コントラストが要求されてきた。高コントラストのカラーフィルタを形成するには、高度に微粒化し、且つ粒度分布を狭く制御した顔料を分散する必要があり、顔料粒径の制御の技術も急速に発展している。
(1)現像溶解性や画素形成能に優れ、画素のコントラスト比制御や色相制御との両立を保ちつつ、リタデーションを増大の方向へ調整しうる着色樹脂組成物を提供すること。
(2)このような着色樹脂組成物を用いることにより、結果として高透過率、高コントラスト、低膜厚のカラーフィルタを製造可能とすること。
(3)このようなカラーフィルタを備えることにより、斜め方向からの観察においても着色がなく視認性の良い液晶表示装置並びに有機ELディスプレイを提供すること。
即ち、本発明の要旨は以下に存する。
(1)(A)顔料、及び(B)バインダ樹脂を含有し、(B)バインダ樹脂が、ビフェニル基を有する樹脂を含有し、当該ビフェニル基を有する樹脂が、(i)及び(ii)からなる群より選択された少なくとも1つの化合物であり、且つ当該ビフェニル基を有する樹脂の含有量が(B)バインダ樹脂全量に対し、1重量%以上40重量%以下であることを特徴とする着色樹脂組成物。
(ii)下記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂(a)と不飽和基含有カルボン酸(b)との反応物に、多塩基酸及び/又はその無水物(c)を反応させて得られるビフェニ
ル構造を有するエチレン性不飽和化合物、
(2)(B)バインダ樹脂が、前記ビフェニル基を有する樹脂以外に、アルカリ可溶性樹脂を含有することを特徴とする前記(1)に記載の着色樹脂組成物。
(3)(C)分散剤を含有することを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の着色樹脂組成物。
(4)(D)重合性モノマーを更に含有することを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の着色樹脂組成物。
(5)(E)光重合開始剤類及び/又は熱重合開始剤類を含有することを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の着色樹脂組成物。
(6)前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の着色樹脂組成物を用いて作製された画素を有することを特徴とするカラーフィルタ。
(7)前記6に記載のカラーフィルタを具備することを特徴とする液晶表示装置。
(8)前記(6)に記載のカラーフィルタを具備することを特徴とする有機ELディスプレイ。
尚、「(メタ)アクリル」等は「アクリル及びメタクリルのうち少なくとも一つ」、「(メタ)アクリレート」等は、「アクリレート及びメタクリレートのうち少なくとも一つ」等を意味するものとし、例えば「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸及びメタクリル酸のうち少なくとも一つ」を意味するものとする。
本発明において、特に断りの無い限り、重量平均分子量とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)を指す。「C.I.」は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。
更に本発明において、カラーフィルタ用画素の「リタデーション(retardation)」と
は、以下の式で表されるRthを意味する。
<着色樹脂組成物>
本発明の着色樹脂組成物の各構成成分を以下に説明する。本発明に係る着色樹脂組成物は、(A)顔料、及び(B)バインダ樹脂を必須成分とし、更に要すれば、上記成分以外の添加物等を含有していてもよい。
本発明の着色樹脂組成物は、(A)顔料を必須成分とし、例えばカラーフィルタの画素等を形成する場合には、赤色顔料、青色顔料、緑色顔料、黄色顔料、紫色顔料、オレンジ顔料、ブラウン顔料等各種の色の顔料を使用することができる。
又、その化学構造としては、例えばアゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ベンツイミダゾロン系、イソインドリノン系、ジオキサジン系、インダンスレン系、ペリレン系等の有機顔料が挙げられる。これらの他に種々の無機顔料等も利用可能である。以下、使用できる顔料の具体例をピグメントナンバーで示す。以下に挙げる「C.I.」は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。
黄色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、1:1、2、3、4、5、6、9、10、12、13、14、16、17、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、41、42、43、48、53、55、61、62、62:1、63、65、73、74、75,81、83、87、93、94、95、97、100、101、104、105、108、109、110、111、116、117、119、120、126、127、127:1、128、129、133、134、136、138、139、142、147、148、150、151、153、154、155、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、172、173、174、175、176、180、181、182、183、184、185、188、189、190、191、191:1、192、193、194、195、196、197、198、199、200、202、203、204、205、206、207、208等を挙げることができる。これらの中で、好ましくはC.I.ピグメントイエロー83、117、129、138、139、150、154、155、180、185等であり、更に好ましくはC.I.ピグメントイエロー83、138、139、150、180等である。
通常の亜鉛フタロシアニンは1分子中に16個の水素原子を有しており、これらの水素
原子を臭素原子乃至塩素原子で置換したものが、本発明で特に好ましく使用される臭素化亜鉛フタロシアニン顔料である。中でも、1分子中に臭素原子を平均13個以上含有する臭素化亜鉛フタロシアニンが、極めて高い透過率を示し、カラーフィルタの画素を形成するのに適している点から特に好ましい。更には、1分子中に臭素原子を13〜16個有し、且つ1分子中に塩素を含まないか又は平均3個以下有する臭素化亜鉛フタロシアニンが好ましく、特に1分子中に臭素原子を平均14〜16個有し、且つ1分子中に塩素原子を含まないか、又は平均2個以下有する臭素化亜鉛フタロシアニンが好ましい。
上記の各種の顔料は、複数種を併用することもできる。例えば、色度の調整のために、顔料として、緑色顔料と黄色顔料とを併用したり、青色顔料と紫色顔料とを併用したりすることができる。
単独使用可能な黒色顔料としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉛、鉄黒、チタンブラック等が挙げられる。これらの中では、遮光率、画像特性の観点からカーボンブラック、チタンブラックが好ましい。
使用する(A)顔料の平均一次粒径を上記範囲とすることにより、消偏特性を良好に保ち、高いコントラストや透過率などを実現し、又、分散安定性が良好で、耐熱性や耐光性にも優れたカラーフィルタ用着色樹脂組成物を得ることができる。
先ず、顔料をクロロホルム中に超音波分散し、コロジオン膜貼り付けメッシュ上に滴下して、乾燥させ、透過電子顕微鏡(TEM)観察により、顔料の一次粒子像を得る。尚、有機顔料及びチタンブラック顔料の場合は、個々の顔料粒子の粒径を、同じ面積となる円の直径に換算した面積円相当径として、複数個(通常200〜300個程度)の顔料粒子についてそれぞれ粒径を求める。得られた一次粒径の値を用い、下式の計算式の通り個数平均値を計算し平均粒径を求める。
本発明の着色樹脂組成物における(A)顔料の含有量は、固形分全量に対し、通常50重量%以下、好ましくは40重量%以下、より好ましくは30重量%以下であり、又、通常0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上である。(A)顔料の量が多すぎると、顔料の分散状態が維持されにくく、凝集や沈降が生じ、結果として増粘や輝度、コントラストの低下という問題が生じる可能性があり、又、少なすぎると、色濃度が薄く、カラーフィルタとして充分に機能しないという問題が生じる可能性がある。
<(B)バインダ樹脂>
本発明の着色樹脂組成物に用いる(B)バインダ樹脂は、ビフェニル基を有する樹脂を含有し、当該ビフェニル基を有する樹脂が、(i)及び(ii)からなる群より選択された少なくとも1つの化合物であり、且つ当該ビフェニル基を有する樹脂の含有量が(B)バインダ樹脂全量に対し、1重量%以上40重量%以下であることを特徴とする。
(i)下記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂(a)と不飽和基含有カルボン酸(b)とを反応させて得られるビフェニル構造を有するエチレン性不飽和化合物、
(ii)下記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂(a)と不飽和基含有カルボン酸(b)との反応物に、多塩基酸及び/又はその無水物(c)を反応させて得られるビフェニル構造を有するエチレン性不飽和化合物、
本発明の着色樹脂組成物において、上記特定構造を有する樹脂を上記特定量で含有することにより、当該組成物を用いて形成されるカラーフィルタ用画素のリタデーションを増大の方向へ調整することが可能となる。
上記一般式(2)で表される化合物は、例えば下記一般式(3)で表される化合物とフェノール類とを酸触媒の存在下で縮合反応させることにより得ることができる。
上記一般式(3)のXにおいて、ハロゲン原子としては塩素原子、臭素原子等が、低級アルキル基としてはメチル基、エチル基、t−ブチル基等が、低級アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基等が、それぞれ好ましいものとして挙げられる。
フェノール、
クレゾール、エチルフェノール、n−プロピルフェノール、イソブチルフェノール、t−ブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、キシレノール、メチルブチルフェノール、ジ−t−ブチルフェノール等を代表例とするアルキルフェノールの各種o−、m−、p−異性体、
ビニルフェノール、アリルフェノール、プロペニルフェノール、エチニルフェノール等を代表例とするアルケニルフェノールの各種o−、m−、p−異性体、
シクロペンチルフェノール、シクロヘキシルフェノール、シクロヘキシルクレゾール等を代表例とするシクロアルキルフェノール、
又はフェニルフェノール等の置換フェノール類が挙げられる。
上記縮合反応を行う場合、フェノール類の使用量は一般式(3)で表される化合物1モルに対して好ましくは0.5〜20モル、特に好ましくは2〜15モルである。
又、係る縮合反応においては酸触媒を用いるのが好ましく、酸触媒としては種々のものが使用できるが、塩酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸、シュウ酸、三弗化ホウ素、無水塩化アルミニウム、塩化亜鉛などが好ましく、特にp−トルエンスルホン酸、硫酸、塩酸が好ましい。上記縮合反応は無溶剤下で、或いは有機溶剤の存在下で行うことができる。
反応終了後、中和処理或は水洗処理を行って生成物のpH値を3〜7、好ましくは5〜7に調節する。水洗処理は常法に従って行えばよい。
上記中和処理或いは水洗処理を行った後、減圧加熱下で未反応のジヒドロキシベンゼン類及び溶剤を留去して生成物の濃縮を行って、前記一般式(2)で表される化合物を得ることができる。
例えば、一般式(2)で表される化合物と過剰のエピクロルヒドリン、エピブロムヒドリン等のエピハロヒドリンの溶解混合物に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物を予め添加し、又は添加しながら20〜120℃の温度で1〜10時間反応させることにより、一般式(1)で表されるエポキシ樹脂(a)を得ることができる。
尚、エポキシ樹脂(a)中のエポキシ基と不飽和基含有カルボン酸(b)とを反応させる方法としては公知の手法を用いることができる。例えば、エポキシ樹脂(a)と不飽和基含有カルボン酸(b)とを、トリエチルアミン、ベンジルメチルアミン等の3級アミン、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩、ピリジン、トリフェニルホスフィン等を触媒として、有機溶剤中、反応温度50〜150℃で数〜数十時間反応させることにより、エポキシ樹脂にカルボン酸を付加することができる。
一方、(ii)は、上述する一般式(1)で表されるエポキシ樹脂(a)と不飽和基含有カルボン酸(b)との反応物に、下記の多塩基酸及び/又はその無水物(c)を反応させて得られるビフェニル構造を有するエチレン性不飽和化合物である。
又、本発明においては、このようにして多塩基酸及び/又はその無水物(c)を付加後、生成したカルボキシル基の一部にエポキシ基含有化合物(d)を付加させてもよい。
一般に顔料には、その製造方法にもよるが、結晶性や粒子形状に起因する異方性が多少なりとも存在する。顔料の分散体(「分散液」ということもある。)においては、例えば顔料を取り巻くバインダ樹脂等が、顔料に吸着するための官能基や、吸着部位ではないが顔料と相互作用を生じる官能基を有し、顔料と連動して挙動するため、顔料と同様に多少配向し異方性を示すことが考えられる。これら多数の極微な異方性が系中に存在するものの、分散液や組成物の塗布膜は、通常、全体として等方性を示す。が、カラーフィルタ用画素形成工程の、特にポストベーク工程では、膜厚方向に若干の収縮圧力がかかり、極微な異方性を持つ物質に一定の方向性が加わるため、僅かではあるが、位相差が生じると考えられる。又、材料による収縮率の僅かな違いも位相差として発現する可能性があると考えられる。
更に、ビフェニル基を有する樹脂の酸価については、150以下であるのが好ましい。より好ましくは110以下である。酸価をこれらの範囲にすることで分散液の粘度が高くなりすぎるのを防ぐことができる。
本発明の着色樹脂組成物に使用する(B)バインダ樹脂は、上述した特定構造を有するビフェニル基を有する樹脂以外の樹脂(以下、「その他のバインダ樹脂」と称することがある。)をも含有する。その他のバインダ樹脂としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限無く上述した特徴を持った樹脂と併用することができる。
その他のバインダ樹脂としては、着色樹脂組成物を、どのような手段により硬化させ、カラーフィルタを作製するかにより、適したタイプの樹脂を選択すればよい。尚、着色樹脂組成物が光重合性組成物である場合には、後述する光重合開始剤類を併用することが好ましい。
又、特に光重合性樹脂の場合、更にカルボキシル基等を有するアルカリ可溶性樹脂は、アルカリ現像性の点から好ましい。
本発明の着色樹脂組成物が光重合性樹脂組成物の場合、前記特定構造を有するビフェニル基を有する樹脂以外の(B)バインダ樹脂(以下、(B’)バインダ樹脂と称することがある。)としては、例えば、特開平7−207211号、特開平8−259876号、特開平10−300922号、特開平11−140144号、特開平11−174224号、特開2000−56118号、特開2003−233179号、特開2007−270147号などの各公報等に記載された様々な高分子化合物を使用することができるが、好ましくは、
(B’−1):エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体に対し、当該共重合体が有するエポキシ基の少なくとも一部に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、或いは当該付加反応により生じた水酸基の少なくとも一部に多塩基酸無水物を付加させて得られる樹脂、
(B’−2):主鎖にカルボキシル基を含有する直鎖状アルカリ可溶性樹脂、
(B’−3):前記カルボキシル基含有樹脂のカルボキシル基部分に、エポキシ基含有不飽和化合物を付加させた樹脂、
(B’−4):(メタ)アクリル系樹脂等が挙げられる。
中でも、(B’−1)樹脂が特に好ましい。
以下、これらの各樹脂について説明する。
本発明の着色樹脂組成物に用いる(B’)バインダ樹脂の中でも、特に好ましい(B’)バインダ樹脂の一つとして、「エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体に対し、当該共重合体が有するエポキシ基の少なくとも一部に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、或いは当該付加反応により生じた水酸基の少なくとも一部に多塩基酸無水物を付加させて得られる樹脂」(以下、(B’−1)樹脂と称することがある。」が挙げられる。
一般式(11)において、R87とR88が連結して形成される環は、脂肪族環であるのが好ましく、飽和又は不飽和の何れでもよく、又、炭素数が5〜6であるのが好ましい。
(B’)バインダ樹脂にこれらの構造を導入することによって、本発明の着色樹脂組成物をカラーフィルタや液晶表示素子に使用する場合に、当該着色樹脂組成物の耐熱性を向上させたり、当該着色樹脂組成物を用いて形成された画素の強度を増すことが可能である。
前記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体において、前記一般式(1)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートに由来する繰返し単位は、「他のラジカル重合性単量体」に由来する繰返し単位中、5〜90モル%含有するものが好ましく、10〜70モル%含有するものが更に好ましく、15〜50モル%含有するものが特に好ましい。
具体的には、例えば、スチレン、スチレンのα−、o−、m−、又はp−位がアルキル基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、エステル基などで置換された誘導体等のビニル芳香族類;ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸−iso−プロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−sec−ブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボロニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸プロパギル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ナフチル、(メタ)アクリル酸アントラセニル、(メタ)アクリル酸アントラニノニル、(メタ)アクリル酸ピペロニル、(メタ)アクリル酸サリチル、(メタ)アクリル酸フリル、(メタ)アクリル酸フルフリル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフリル、(メタ)アクリル酸ピラニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェネチル、(メタ)アクリル酸クレジル、(メタ)アクリル酸−1,1,1−トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオルエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロ−n−プロピル、(メタ)アクリル酸パーフルオロ−iso−プロピル、(メタ)アクリル酸トリフェニルメチル、(メタ)アクリル酸クミル、(メタ)アクリル酸3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル等の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジプロピルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジ−iso−プロピルアミド、(メタ)アクリル酸アントラセニルアミド等の(メタ)アクリル酸アミド;(メタ)アクリル酸アニリド、(メタ)アクリロイルニトリル、アクロレイン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、N−ビニルピロリドン、ビニルピリジン、酢酸ビニル等のビニル化合物類;シトラコン酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル等の不飽和ジカルボン酸ジエステル類;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド等のモノマレイミド類;N−(メタ)アクリロイルフタルイミド等が挙げられる。
又、共重合反応に使用されるラジカル重合開始剤は、ラジカル重合を開始できるものであれば特に限定されるものではなく、通常用いられている有機過酸化物触媒やアゾ化合物触媒を使用することができる。
続いて、エポキシ樹脂含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体のエポキシ基部分に、不飽和一塩基酸(重合性成分)と、多塩基酸無水物とを反応させる。
具体例としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o−、m−、又はp−ビニル安息香酸、α−位がハロアルキル基、アルコキシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基などで置換された(メタ)アクリル酸等のモノカルボン酸等が挙げられる。中でも好ましくは(メタ)アクリル酸である。これらの1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの不飽和一塩基酸は、通常、前記共重合体が有するエポキシ基の10〜100モル%に付加させるが、好ましくは30〜100モル%、より好ましくは50〜100モル%に付加させる。不飽和一塩基酸の付加割合が少なすぎると、着色樹脂組成物の経時安定性等に関して、残存エポキシ基による悪影響が懸念される。尚、共重合体のエポキシ基に不飽和一塩基酸を付加させる方法としては、公知の方法を採用することができる。
例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水クロレンド酸等の二塩基酸無水物;無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物等の三塩基以上の酸の無水物が挙げられる。中でも、テトラヒドロ無水フタル酸及び無水コハク酸が好ましい。これらの多塩基酸無水物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの多塩基酸無水物は、通常、前記共重合体が有するエポキシ基に、不飽和一塩基酸を付加させることにより生じる水酸基の10〜100モル%に付加させるが、好ましくは20〜90モル%、より好ましくは30〜80モル%に付加させる。この範囲での付加割合の調整が、組成物の濡れ拡がり性の制御に有効であると考えられる。又、この付加割合が多すぎると、現像時の残膜率が低下する場合があり、少なすぎると溶解性が不十分となる可能性がある。尚、当該水酸基に多塩基酸無水物を付加させる方法としては、公知の
方法を採用することができる。
上述した樹脂の、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、3000〜100000が好ましく、5000〜50000が特に好ましい。分子量が3000未満であると、耐熱性や膜強度に劣る可能性があり、100000を超えると現像液に対する溶解性が不足する傾向がある。又、分子量分布の目安として、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)の比は、2.0〜5.0が好ましい。
<(B’−2)主鎖にカルボキシル基を含有する直鎖状アルカリ可溶性樹脂(以降、(B’−2)樹脂と称することがある。)>
(B’−2)主鎖にカルボキシル基を含有する直鎖状アルカリ可溶性樹脂としては、カルボキシル基を有していれば特に限定されず、通常、カルボキシル基を含有する重合性モノマーを重合して得られる。
ハク酸であり、更に好ましいのは、(メタ)アクリル酸である。
又、(B’−2)樹脂は、上記のカルボキシル基含有重合性モノマーに、カルボキシル基を有さない他の重合性モノマーを共重合させてもよい。
他の重合性モノマーとしては、特に限定されないが、特開2009−52010号公報に記載されているもの等が挙げられる。又、これら重合性モノマーのうち、顔料分散性に優れる点からは、特にベンジル(メタ)アクリレートを含む共重合体樹脂が好ましい。
又、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は、通常2000〜80000、好ましくは3000〜50000、更に好ましくは4000〜30000である。重量平均分子量が小さすぎると、着色組成物の安定性に劣る場合がある。又、逆に大きすぎると、現像液に対する溶解性が悪化する可能性がある。
前記(B’−2)主鎖にカルボキシル基を含有する直鎖状アルカリ可溶性樹脂の、カルボキシル基部分にエポキシ基含有不飽和化合物を付加させた樹脂も特に好ましい。
エポキシ基含有不飽和化合物としては、分子内にエチレン性不飽和基及びエポキシ基を有するものであれば、特に限定されるものではない。
一般式(3a)〜(3m)における、R12のアルキレン基は、炭素数1〜10であるものが好ましい。
具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等が例示できるが、好ましくはメチレン基、エチレン基、プロピレン基である。
中でも、一般式(3c)で表される化合物が好ましく、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
又、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は、通常2000〜100000、好ましくは4000〜50000、更に好ましくは5000〜30000である。重量平均分子量が小さすぎると、着色組成物の安定性に劣る場合がある。又、逆に大きすぎると、現像液に対する溶解性が悪化する恐れがある。
<(B’−4)(メタ)アクリル系樹脂(以降、(B’−4)樹脂と称することがある。)>
(メタ)アクリル系樹脂としては、下記一般式(4)及びで表される化合物を必須とするモノマー成分を重合してなる(B’−4)樹脂を挙げることができる。
していてもよい炭素数1〜25の炭化水素基を示す。
以下、一般式(4)の化合物について詳述する。
一般式(4)で表されるエーテルダイマーにおいて、R1a及びR2aで表される置換基を有していてもよい炭素数1〜25の炭化水素基としては、特に制限はないが、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、t−アミル、ステアリル、ラウリル、2−エチルヘキシル等の直鎖状または分岐状のアルキル基;フェニル等のアリール基;シクロヘキシル、t−ブチルシクロヘキシル、ジシ
クロペンタジエニル、トリシクロデカニル、イソボルニル、アダマンチル、2−メチル−2−アダマンチル等の脂環式基;1−メトキシエチル、1−エトキシエチル等のアルコキシで置換されたアルキル基;ベンジル等のアリール基で置換されたアルキル基等が挙げられる。これらの中でも特に、メチル、エチル、シクロヘキシル、ベンジル等のような酸や熱で脱離しにくい1級又は2級炭素の置換基が耐熱性の点で好ましい。尚、R1a及びR2aは、同種の置換基であってもよいし、異なる置換基であってもよい。
ては、特に制限されないが、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基、カルボン酸無水物基等が挙げられる。樹脂1分子中に含まれるこれらの酸基は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
前記重合後に酸基を付与しうるモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するモノマー;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有するモノマー;2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアネート基を有するモノマー等が挙げられる。
(B’−4)樹脂を得る際のモノマー成分が、前記酸基を導入するためのモノマーをも含む場合、その含有割合は特に制限されないが、通常は全モノマー成分中5〜70重量%、好ましくは10〜60重量%である。酸基を導入するためのモノマーの量をこの範囲に調整することにより、良好な電気特性や現像性を得ることができる。
前記(B’−4)樹脂にラジカル重合性二重結合を導入するには、例えば「重合後にラジカル重合性二重結合を付与しうるモノマー」(以下「ラジカル重合性二重結合を導入するためのモノマー」と称することもある。)を、モノマー成分として重合した後に、後述するようなラジカル重合性二重結合を付与するための処理を行えばよい。
前記エポキシ基を有するモノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート
、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、o−(またはm−、またはp−)ビニルベンジルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらエポキシ基を導入するためのモノマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
他の共重合可能なモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸メチル2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸エステル類;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のN−置換マレイミド類;ブタジエン、イソプレン等のブタジエンまたは置換ブタジエン化合物;エチレン、プロピレン、塩化ビニル、アクリロニトリル等のエチレンまたは置換エチレン化合物;酢酸ビニル等のビニルエステル類等が挙げられる。
前記(B’−4)(メタ)アクリル系樹脂を得る際のモノマー成分が、前記共重合可能な他のモノマーをも含む場合、その含有割合は特に制限されないが、95重量%以下が好ましく、85重量%以下がより好ましい。含有割合が多すぎると、現像性が悪化する可能性がある。
尚、酸価が比較的高い場合、これを含む着色樹脂組成物の、粘度の経時変化(増粘)が生じにくくなるため好ましく、酸価が比較的低い場合、これを含む着色樹脂組成物の、コントラストの経時変化(低下)が生じにくくなるため、好ましい。
本発明の(B’)バインダ樹脂としては、又、例えば特開2005−154708号公
報等に記載のアクリル系の樹脂を用いることもできる。
又、本発明の着色樹脂組成物に用いる(B’)バインダ樹脂としては、前述の各種樹脂のうち1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
更に、(B)バインダ樹脂全量(即ち、前記ビフェニル基を有することを特徴とするバインダ樹脂、及びこれ以外の(B’)バインダ樹脂)の含有割合は、全固形分中、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上であり、又、通常80重量%以下、好ましくは60重量%以下である。(B)バインダ樹脂の含有量が少なすぎると、膜が脆くなり、基板への密着性が低下する場合がある。逆に、多すぎた場合、露光部への現像液の浸透性が高くなり、画素の表面平滑性や感度が悪化することがある。
溶媒は、本発明の着色樹脂組成物において、(A)顔料、及び(B)バインダ樹脂のほか、場合により配合したこれら以外の成分等を溶解又は分散させ、粘度を調節する機能を有する。
溶媒としては、特に制限がなく、各成分を溶解又は分散させることができるものであればよい。
又、これら溶剤に該当する市販のものとしては、ミネラルスピリット、バルソル#2、アプコ#18ソルベント、アプコシンナー、ソーカルソルベントNo.1及びNo.2、ソルベッソ#150、シェルTS28 ソルベント、カルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート、ジグライム(いずれも商品名)などが挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
フォトリソグラフィー法にてカラーフィルタの画素を形成する場合、溶媒としては沸点が100〜200℃(圧力1013.25[hPa]条件下。以下、沸点に関しては全て同様。)の範囲のものを選択するのが好ましい。より好ましくは120〜170℃の沸点をもつものである。沸点を上記の範囲に制御することにより、気泡の跡が残り、欠陥となってしまったり、又、所定の時間に乾燥が終了せず、画素中に色ムラ等の問題が発生したりするのを防ぐことができる。
上記溶媒中、塗布性、表面張力などのバランスが良く、組成物中の構成成分の溶解度が比較的高い点からは、グリコールアルキルエーテルアセテート類が好ましい。
る顔料分散液の相互関係の破壊を起こし難くする効果がある。高沸点溶媒の含有量は、溶媒全体に対して3重量%〜50重量%が好ましく、5重量%〜40重量%がより好ましく、5重量%〜30重量%が特に好ましい。高沸点溶媒の量が少なすぎると、例えばスリットノズル先端で色材成分などが析出・固化して異物欠陥を惹き起こす可能性があり、また多すぎると組成物の乾燥速度が遅くなり、後述するカラーフィルタ製造工程における、減圧乾燥プロセスのタクト不良や、プリベークのピン跡といった問題を惹き起こすことが懸念される。
尚、沸点150℃以上の溶媒が、グリコールアルキルエーテルアセテート類であっても、又、グリコールアルキルエーテル類であってもよく、この場合は、沸点150℃以上の溶媒を別途含有させなくてもかまわない。
インクジェット法にてカラーフィルタの画素を形成する場合、溶媒としては、沸点が、通常130℃以上300℃以下、好ましくは150℃以上280℃以下のものが適当である。沸点が低すぎると、得られる塗膜の均一性が不良になる傾向がある。逆に沸点が高すぎると、後述するように、着色樹脂組成物の乾燥抑制の効果は高いが、熱焼成後においても塗膜中に残留溶媒が多く存在し、品質上の不具合を生じたり、真空乾燥などでの乾燥時間が長くなり、タクトタイムを増大させるなどの不具合を生じたりする場合がある。
尚、インクジェット法によるカラーフィルタ製造において、ノズルから発せられるインクは数〜数十pLと非常に微細であるため、ノズル口周辺あるいは画素バンク内に着弾する前に、溶媒が蒸発してインクが濃縮・乾固する傾向がある。これを回避するためには溶媒の沸点は高い方が好ましく、具体的には、沸点180℃以上の溶媒を含むことが好ましい。より好ましくは、沸点が200℃以上、特に好ましくは沸点が220℃以上である溶媒を含有する。また、沸点180℃以上である高沸点溶媒は、本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物に含まれる溶媒全体の中で、50重量%以上であることが好ましく、70重量%以上がより好ましく、90重量%以上が最も好ましい。高沸点溶媒が50重量%未満である場合には、液滴からの溶媒の蒸発防止効果が十分に発揮されない場合もある。
更に、顔料分散液や着色樹脂組成物の粘度調整や固形分の溶解度調整のためには、沸点が180℃より低い溶媒を一部含有することも効果的である。このような溶媒としては、低粘度で溶解性が高く、低表面張力であるような溶媒が好ましく、エーテル類、エステル類やケトン類などが好ましい。中でも特に、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、シクロヘキサノールアセテートなどが好ましい。
本発明の着色樹脂組成物全体に占める溶媒の含有量は、特に制限はないが、その上限は通常99重量%以下とする。溶媒が99重量%を超える場合は、(A)顔料、(B)バインダ樹脂などが少なくなり過ぎて塗布膜を形成するには、不適当である。一方、溶媒含有量の下限は、塗布に適した粘性などを考慮して、通常50重量%以上、好ましくは60重量%以上、更に好ましくは70重量%以上である。
本発明の着色樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で上記成分と併用して、(C)分散剤を更に含有することができる。
(C)分散剤の種類は、本発明の効果を損なわない限り特に制限はないが、例えば、
(C−1)窒素原子を含有するグラフト共重合体(以下、(C−1)分散剤と称することがある。)、
(C−2)窒素原子を含有するアクリル系ブロック共重合体(以下、(C−2)分散剤と称することがある。)からなる群より選択された1つ以上の分散剤を含有することが好ましい。
(C−1)分散剤は、例えば特開2008−248255号公報に記載されているようなものがある。
本発明の着色樹脂組成物は(C−1)分散剤を含有する場合、当該(C−1)分散剤の含有量が、着色樹脂組成物中の顔料成分に対して、通常10〜300重量%である。好ましくは20〜100重量%であり、特に好ましくは30〜80重量%である。
(C−2)アクリル系ブロック共重合体は、(A)顔料を極めて効率よく分散しうる点で好ましい。その理由は明らかではないが、分子配列が制御されていることにより、分散剤が顔料に吸着する際に障害となる構造が少ないためと推察される。
又、本発明のアクリル系ブロック共重合体として、特に親溶媒性基を有するAブロック、及び窒素原子含有官能基を有するBブロックからなるブロック共重合体が好ましい。
係るアクリル系ブロック共重合体を構成するBブロックは、4級アンモニウム塩基、及び/又はアミノ基を有する単位構造を有し、顔料吸着機能を持つ部位である。
X1は、2価の連結基を表す。
又、R31、R32、R33は、それぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜15の芳香族炭化水素基、置換されていてもよい炭素数7〜20のアラルキル基等が好ましい。
又、上記一般式において、2価の連結基X1としては、例えば、炭素数1〜10のアルキレン基、アリーレン基、−CONH−R35−、−COO−R36−(但し、R35及びR36は、それぞれ独立に、直接結合、炭素数1〜10のアルキレン基、又は炭素数1〜10のエーテル基(−R37−O−R38−:R37及びR38は、各々独立にアルキレン基を表す。)等が挙げられ、好ましくは−COO−R36−である。
又、上記特定の4級アンモニウム塩基を含有する部分構造は、1つのBブロック中に2種以上含有されていてもよい。その場合、2種以上の4級アンモニウム塩基含有部分構造は、当該Bブロック中において、ランダム共重合又はブロック共重合の何れの態様で含有されていてもよい。更に、当該4級アンモニウム塩基を含有しない部分構造が、Bブロック中に含まれていてもよく、又、当該部分構造の例としては、後述の(メタ)アクリル酸エステル系モノマー由来の部分構造等が挙げられる。4級アンモニウム塩基を含まない部分構造のBブロック中の含有量は、好ましくは0〜50重量%、より好ましくは0〜20重量%であるが、4級アンモニウム塩基非含有部分構造はBブロック中に含まれないことが最も好ましい。
一方、係るアクリル系ブロック共重合体を構成するBブロックとして、1〜3級アミノ基を含む場合、当該1〜3級アミノ基を有する単量体の含有割合は、当該共重合体を構成する単量体組成において、20モル%以上であることが好適であり、より好ましくは50モル%以上である。
R42は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい環状又は鎖状のアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいアラルキル基を示す。)で表され、又、これを含む部分構造(繰返し単位)として好ましいものは、例えば下記式で表されるような構造が挙げられる。
中でも、R41及びR42はメチル基が好ましく、R43はメチレン基、エチレン基が好ましく、R44は水素原子もしくはメチル基であるのが好ましい。このような部分構造としては下記式で表されるジメチルアミノエチルアクリレートやジメチルアミノエチルメタアクリレート由来の構造等が、特に好適に用いられる。
更に、上記アミノ基を含有する部分構造は、1つのBブロック中に2種以上含有されていてもよい。その場合、2種以上のアミノ基含有部分構造は、該Bブロック中においてランダム共重合又はブロック共重合の何れの態様で含有されていてもよい。又、アミノ基を含有しない部分構造が、Bブロック中に一部含まれていてもよく、そのような部分構造の例としては、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー由来の部分構造等が挙げられる。係るアミノ基を含まない部分構造の、Bブロック中の含有量は、好ましくは0〜50重量%、より好ましくは0〜20重量%であるが、係るアミノ基非含有部分構造はBブロック中に含まれないことが最も好ましい。
又、R1は水素原子またはメチル基を示し、
Vは炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基を示す。又、Vとして、エチル基であることが特に好ましい。)
上記一般式(VIII)で表される部分構造は、当該(メタ)アクリル系共重合体を構成する単量体換算で1分子中に3〜20モル%含まれていることが好ましく、3〜10モル%含まれていることが最も好ましい。
る。
前記一般式(VIII)で表わされる部分構造は、1つのAブロック中に2種以上含有されていてもよい。勿論、当該Aブロックは、更にこれら以外の部分構造を含有していてもよい。2種以上のモノマー由来の部分構造がAブロック中に存在する場合、各部分構造は該Aブロック中においてランダム共重合又はブロック共重合の何れの態様で含有されていてもよい。
リビング重合法にはアニオンリビング重合法、カチオンリビング重合法、ラジカルリビング重合法がある。具体的には、例えば特開2007−270147号公報に記載の方法が挙げられる。
即ち、(C−2)分散剤のABブロック共重合体及びABAブロック共重合体の、Bブロックが4級アンモニウム塩基を有する場合、当該共重合体1g中の4級アンモニウム塩基の量は、0.1〜10mmolであることが好ましい。この範囲外では、良好な耐熱性と分散性を兼備することができない場合がある。このようなブロック共重合体中には、製造過程で生じたアミノ基が含有される場合があり、そのアミン価は、通常、共重合体1gあたり1〜100mgKOH/g程度、好ましくは1〜50mgKOH/g、より好ましくは1〜30mgKOH/gである。
尚、分散剤のアミン価(有効固形分換算)は、分散剤試料中の溶剤を除いた固形分1gあたりの塩基量と当量のKOHの重量で表し、次の方法により測定する。100mLのビーカーに分散剤試料の0.5〜1.5gを精秤し、50mLの酢酸で溶解する。pH電極を備えた自動滴定装置を使って、この溶液を0.1mol/L HClO4酢酸溶液にて中和滴定する。滴定pH曲線の変曲点を滴定終点とし次式によりアミン価を求める。
(但し、W:分散剤試料秤取量[g]、V:滴定終点での滴定量[mL]、S:分散剤試料の固形分濃度[wt%]を表す。)
又、このブロック共重合体の酸価は、該酸価の元となる酸性基の有無及び種類にもよるが、一般に低い方が好ましく、通常100mgKOH/g以下であり、好ましくは50mgKOH/g以下、より好ましくは40mgKOH/g以下、最も好ましくは30mgKOH/g以下である。又、その分子量は、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で通常1000以上、100,000以下の範囲である。
本発明においては、上述のものと同様の構造を有する市販の(メタ)アクリル系ブロッ
ク共重合体を適用することもできる。
(C)分散剤としては、上記各種(C−1)、及び(C−2)分散剤以外の分散剤(以下、(C−3)分散剤と称することがある。)を含有していてもよい。
本発明の着色樹脂組成物は、上述した各種分散剤のうち、特に(C−2)分散剤を含むことが特に好ましい。
尚、本発明の着色樹脂組成物において、(C)分散剤の含有割合は、(A)顔料に対して0〜200重量%程度使用することが好ましく、10〜100重量%程度使用することがより好ましい。(C)分散剤の含有割合をこの範囲に制御することにより、必要且つ十分な量の分散剤が顔料表面に付着するため、着色樹脂組成物の着色力を低下させずに、凝集を効果的に防ぐことが可能となり、また高粘度化ないしゲル化を避けることができるため、高い分散安定性を確保することができる。
本発明の着色樹脂組成物には、顔料の分散性の向上、分散安定性の向上のために分散助剤として顔料誘導体等を更に含有していてもよい。
顔料誘導体としては、例えば特開2009−52010号公報記載の分散助剤が挙げられる。
顔料誘導体の添加量は、(A)顔料に対して通常0.1重量%以上、また、通常30重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下、更に好ましくは5重量%以下である。添加量を上記の範囲に制御することにより、顔料誘導体としての効果が発揮され、又、分散性、分散安定性が悪くなるのを防ぐことができる。
本発明の着色樹脂組成物には、前述した(B)バインダ樹脂もしくはその他のバインダ樹脂から選ばれた樹脂の一部又は全部を下記の分散樹脂として含有していてもよい。
具体的には、後述する分散処理工程において、前述の(C)分散剤等の成分とともに、(B)バインダ樹脂を含有させることにより、当該(B)バインダ樹脂が、(C)分散剤との相乗効果で(A)顔料の分散安定性に寄与する。結果として(C)分散剤の添加量を減らせる可能性があるため好ましい。又、現像性が向上し、基板の非画素部に未溶解物が残存せず、画素の基板への密着性が向上する、といった効果も奏するため好ましい。
分散樹脂としては、前述した各種(B)バインダ樹脂を使用することができるが、特に(B’−2)樹脂、(B’−3)樹脂、及び(B’−4)樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1つの樹脂が好ましい。
本発明の着色樹脂組成物は、必要に応じ更に上記以外の成分を含有していてもよい。このような成分としては、(D)重合性モノマー、(E)光重合開始剤類及び/又は熱重合開始剤類、界面活性剤、熱重合防止剤、可塑剤、保存安定剤、表面保護剤、密着向上剤、現像改良剤、染料等が挙げられる。
これらモノマーは1種を単独で用いてもよいが、製造上、単一の化合物を用いることは難しいことから、2種以上を混合して用いても良い。また、必要に応じてモノマーとして酸基を有しない多官能モノマーと酸基を有する多官能モノマーを併用してもよい。
本発明の着色樹脂組成物は、塗膜を硬化させる目的で、(E)光重合開始剤類、及び/又は熱重合開始剤類を更に含むことが好ましい。但し、硬化の方法はこれらの開始剤によるもの以外でもよい。
特に、本発明の着色樹脂組成物が、(B)バインダ樹脂成分としてエチレン性二重結合を有する樹脂を含む場合や、前述する(D)重合性モノマー成分としてエチレン性化合物を含む場合には、光を直接吸収し、又は光増感されて分解反応あるいは水素引き抜き反応を起こし、重合活性ラジカルを発生する機能を有する光重合開始剤類、及び/又は熱によって重合活性ラジカルを発生する熱重合開始剤類を含有することが好ましい。
<光重合開始剤類>
本発明の着色樹脂組成物に含有されていてもよい(E)光重合開始剤類は、通常、(E−1)光重合開始剤と、必要に応じて添加される(E−3)増感色素、(E−2)重合加速剤等の付加剤との混合物として用いられ、光を直接吸収し、或いは光増感されて分解反応または水素引き抜き反応を起こし、重合活性ラジカルを発生する機能を有する成分である。
これら光重合開始剤の中では、α−アミノアルキルフェノン誘導体類、オキシムエステル系誘導体類、ビイミダゾール誘導体類、アセトフェノン誘導体類、及びチオキサントン誘導体類がより好ましい。
本発明の着色樹脂組成物において、更に(E)光重合開始剤類に、感応感度を高める目
的で(E−3)増感色素が用いられることがある。(E−3)増感色素は、画像露光光源の波長に応じて、適切なものが用いられるが、例えば特開平4−221958号、特開平4−219756号各公報等に記載のキサンテン系色素;特開平3−239703号、特開平5−289335号各公報等に記載の複素環を有するクマリン系色素;特開平3−239703号、特開平5−289335号各公報等に記載の3−ケトクマリン系色素;特開平6−19240号公報等に記載のピロメテン系色素;特開昭47−2528号、特開昭54−155292号、特公昭45−37377号、特開昭48−84183号、特開昭52−112681号、特開昭58−15503号、特開昭60−88005号、特開昭59−56403号、特開平2−69号、特開昭57−168088号、特開平5−107761号、特開平5−210240号、特開平4−288818号各公報等に記載のジアルキルアミノベンゼン骨格を有する色素等を挙げることができる。
本発明の着色樹脂組成物において、これら(E)光重合開始剤類((E−1)光重合開始剤、(E−2)重合加速剤及び(E−3)増感色素)の含有割合は、全固形分中、通常0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、又、通常40重量%以下、好ましくは30重量%以下である。この含有割合が著しく低いと露光光線に対する感度が低下する原因となることがあり、反対に著しく高いと未露光部分の現像液に対する溶解性が低下し、現像不良を誘起したり、又、開始剤そのものの影響で、即ち、開始剤自身の吸光特性により、画素の透過率が下がるところで輝度が低下したりすることがある。
本発明の着色樹脂組成物に含有されていてもよい熱重合開始剤類の具体例としては、アゾ系化合物、有機過酸化物および過酸化水素等を挙げることができる。これらのうち、アゾ系化合物が好適に用いられる。
アゾ系化合物としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキセン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド(2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル)、2,2−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−
ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−エチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(ジメチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(ジメチル−2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンテン)等を挙げることができ、これらのうちでも、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等が好ましい。
これらの熱重合開始剤類は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
着色樹脂組成物中の熱重合開始剤類の割合が少な過ぎると膜の硬化が不十分であり、カラーフィルタとしての耐久性が不足する場合がある。多過ぎると熱収縮の度合が大きくなり、熱硬化後にヒビ割れ、クラックの発生が起こるおそれがある。また、保存安定性が低下する傾向が見られる。従って、熱重合開始剤類の含有割合は、本発明の着色樹脂組成物の全固形分中0〜30重量%、特に0〜20重量%の範囲とすることが好ましい。
本発明の着色樹脂組成物は、更に界面活性剤を含有していてもよい。界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性界面活性剤等、各種のものを用いることができるが、電圧保持率や有機溶媒に対する相溶性等の諸特性に悪影響を及ぼす可能性が低い点で、非イオン性界面活性剤を用いるのが好ましい。
これら界面活性剤の含有割合は、本発明の着色樹脂組成物の全固形分中において、通常0.001重量%以上、好ましくは0.005重量%以上、更に好ましくは0.01重量%以上である。又、通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下、更に好ましくは1重量%以下の範囲で用いられる。界面活性剤の含有量をこの範囲に制御することによって、実際のラインにおいてオーバーコートを塗布した際に、オーバーコートが弾かれてしまう可能性がなくなり、又、キュア後に塗布膜がひび割れたりして、膜しわになることも少なくなる。
本発明の着色樹脂組成物は、当該組成物を構成する成分を一度に、又は順次混合して調製してもよいが、以下に述べるように、予め顔料分散液を調製し、これに前記ビフェニル基を有する(B)バインダ樹脂及び他の成分を混合することが好ましい。
以下、本発明の着色樹脂組成物を調製する方法の一例を説明するが、調製方法に特に制限はなく、以下に述べる方法に限定されるわけではない。
本発明の着色樹脂組成物は、先ず、少なくとも(A)顔料、(B)バインダ樹脂、及び任意に(C)分散剤、分散助剤、及び分散樹脂(好ましくは(B)バインダ樹脂の一部または全部)、溶媒等を含有してなる顔料分散液を調製し、これと(B)バインダ樹脂(残部)、及び任意に用いられる(D)重合性モノマー、(E)光重合開始剤類及び/又は熱重合開始剤類等、他の成分を混合して調製することが好ましい。
サンドグラインダーを用いて分散処理を行なう場合は、0.1〜数mm径のガラスビーズ、又はジルコニアビーズを用いるのが好ましい。分散処理する際の温度は、通常0℃以
上、好ましくは室温以上、又、通常100℃以下、好ましくは80℃以下の範囲に設定する。尚、分散時間は、インキ状液体の組成、及びサンドグラインダーの装置の大きさ等により適正時間が異なるため、適宜調整する必要がある。
尚、分散処理工程及び混合処理の各工程において、微細なゴミが混入することがあるため、得られたインキ状液体をフィルタ等によって濾過処理することが好ましい。
本発明の着色樹脂組成物は、通常、すべての構成成分が溶媒中に溶解或いは分散された状態である。これが基板上へ供給され、カラーフィルタや、表示装置の構成部材が形成される。
以下、本発明の着色樹脂組成物の応用例として、カラーフィルタの画素としての応用、及びそれらを用いた液晶表示装置(パネル)並びに有機ELディスプレイについて説明する。
次に、本発明のカラーフィルタ(以下、「カラーフィルタ基板」と称することがある。)について説明する。
本発明のカラーフィルタは、基板上に上述の着色樹脂組成物を用いて形成された画素を有することを特徴とする。
カラーフィルタの透明基板としては、透明で適度の強度があれば、その材質は特に限定されるものではない。材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスルホンの熱可塑性樹脂製シート、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂等の熱硬化性樹脂シート、又は各種ガラス等が挙げられる。これらの中で、耐熱性の観点からガラスまたは耐熱性樹脂が好ましい。
上述の透明基板上にブラックマトリックスを設け、更に通常は赤色、緑色、青色の画素画像を形成することにより、本発明に係るカラーフィルタを製造することができる。本発明の着色樹脂組成物は、通常赤色、緑色および青色である画素の形成用塗布液として使用される。
ステン合金等が用いられ、これらを複数層状に積層させたものであってもよい。
これらの金属遮光膜は、一般にスパッタリング法によって形成され、ポジ型フォトレジストにより、膜状に所望のパターンを形成した後、クロムに対しては硝酸第二セリウムアンモニウムと過塩素酸、及び/又は硝酸とを混合したエッチング液を用い、その他の材料に対しては、材料に応じたエッチング液を用いて蝕刻され、最後にポジ型フォトレジストを専用の剥離剤で剥離することによって、ブラックマトリックスを形成することができる。
インクジェット方式にて本発明のカラーフィルタを作製する場合、樹脂ブラックマトリックスは上述のようにブラックマトリックス用感光性着色樹脂組成物を用いて、一般的なフォトリソグラフィ法にて形成すればよい。続いて、透明基板表面の親水化とブラックマトリックスパターンの撥液化を、各々化学的処理あるいは物理的処理により施す。
画素の形成方法は、使用する着色樹脂組成物の種類により異なる。まずは、着色樹脂組成物として光重合性組成物を用い、フォトリソグラフィ法にて画素を形成する場合を例に説明する。
ブラックマトリックスを設けた透明基板上に、赤色、緑色、青色のうち一色の着色樹脂組成物を塗布し、乾燥した後、塗布膜の上にフォトマスクを重ね、このフォトマスクを介
して画像露光、現像、必要に応じて熱硬化又は光硬化により画素画像を形成させ、着色層を作成する。この操作を、赤色、緑色、青色の三色の着色樹脂組成物について各々行なうことによって、カラーフィルタ画像を形成することができる。
樹脂ブラックマトリックスを設けた基板上の画素バンク内に、本発明の着色樹脂組成物を用いてインクジェット装置により描画し、乾燥および光硬化および/または熱硬化にて該組成物を完全に硬化させ、画素を形成することによりカラーフィルタを得る。なお、画素形成用の着色樹脂組成物としては、R(赤)、G(緑)、B(青)の3色が使用される場合が多いが、これらに限定されない。
基板に着色樹脂組成物を塗布してなる塗布膜の乾燥は、ホットプレート、IRオーブン、コンベクションオーブンを使用した乾燥法によるのが好ましい。通常は、予備乾燥の後、再度加熱させて乾燥させる。
予備乾燥の条件は、前記溶媒成分の種類、使用する乾燥機の性能等に応じて適宜選択することができる。乾燥温度及び乾燥時間は、溶媒成分の種類、使用する乾燥機の性能等に応じて選択されるが、具体的には、乾燥温度は通常40℃以上、好ましくは50℃以上、また、通常80℃以下、好ましくは70℃以下の範囲であり、乾燥時間は通常15秒以上、好ましくは30秒以上、また、通常5分間以下、好ましくは3分間以下の範囲である。
再加熱乾燥の温度条件は、予備乾燥温度より高い温度が好ましく、具体的には、通常50℃以上、好ましくは70℃以上、また、通常200℃以下、好ましくは160℃以下、特に好ましくは130℃以下の範囲である。また、乾燥時間は、加熱温度にもよるが、通常10秒以上、中でも15秒以上、また、通常10分以下、中でも5分の範囲とするのが好ましい。乾燥温度は、高いほど透明基板に対する接着性が向上するが、高過ぎるとポリマーが分解し、熱重合を誘発して現像不良を生ずる場合がある。なお、この塗布膜の乾燥工程としては、温度を高めず減圧チャンバー内で乾燥を行なう減圧乾燥法を用いてもよい。好ましい乾燥条件は、0.1〜1Torr、乾燥時間は10秒〜60分の範囲である。
又、本発明の着色樹脂組成物が光重合性である場合は、この乾燥工程に続き、露光工程を行う。
画像露光は、着色樹脂組成物の塗布膜上に、ネガのマトリクスパターンを重ね、このマスクパターンを介し、紫外線又は可視光線の光源を照射して行なう。この際、必要に応じ、酸素による光重合性層の感度の低下を防ぐため、光重合性層上にポリビニルアルコール層等の酸素遮断層を形成した後に露光を行なってもよい。
本発明のカラーフィルタをフォトリソグラフィ法にて作製した場合は、さらに現像工程に移る。
本発明のカラーフィルタは、本発明の着色樹脂組成物を用いた塗布膜に対し、上記の光源によって画像露光を行なった後、有機溶媒、又は、界面活性剤とアルカリ性化合物とを含む水溶液を用いて現像を行なうことによって、基板上に画像を形成して製造することができる。この水溶液には、更に有機溶媒、緩衝剤、錯化剤、染料又は顔料を含ませることができる。
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、モノグリセリドアルキルエステル類等のノニオン系界面活性剤、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキル硫酸塩類、アルキルスルホン酸塩類、スルホコハク酸エステル塩類等のアニオン性界面活性剤、アルキルベタイン類、アミノ酸類等の両性界面活性剤が挙げられる。
現像処理の条件には特に制限はないが、現像温度は通常10℃以上、中でも15℃以上、更には20℃以上、また、通常50℃以下、中でも45℃以下、更には40℃以下の範囲が好ましい。現像方法は、浸漬現像法、スプレー現像法、ブラシ現像法、超音波現像法等の何れかの方法によることができる。
現像の後のカラーフィルタには、熱硬化処理を施すことが好ましい。この際の熱硬化処理条件は、温度は通常100℃以上、好ましくは150℃以上、また、通常280℃以下、好ましくは250℃以下の範囲で選ばれ、時間は5分間以上、60分間以下の範囲で選ばれる。これら一連の工程を経て、一色のパターニング画像形成は終了する。この工程を順次繰り返し、ブラック、赤色、緑色、青色をパターニングし、カラーフィルタを形成する。なお、4色のパターニングの順番は、上記した順番に限定されるものではない。
尚、本発明のカラーフィルタは、上記した製造方法の他に、(1)バインダ樹脂としてポリイミド系樹脂を含む、本発明の着色樹脂組成物を、基板に塗布し、エッチング法により画素画像を形成する方法によっても作製することができる。又、(2)本発明の着色樹脂組成物を着色インキとして用い、印刷機によって、透明基板上に直接画素画像を形成する方法、(3)本発明の着色樹脂組成物を電着液として用い、基板をこの電着液に浸漬させ所定パターンにされたITO電極上に、着色膜を析出させる方法、更に、(4)本発明の着色樹脂組成物を塗布したフィルムを、透明基板に貼りつけて剥離し、画像露光、現像し画素画像を形成する方法、(5)本発明の着色樹脂組成物を着色インキとして用い、インクジェットプリンターにより画素画像を形成する方法等によっても作製することができる。
カラーフィルタの作製方法は、本発明の着色樹脂組成物の組成に応じ、これに適した方法が採用される。
本発明のカラーフィルタは、このままの状態で画像上にITO等の透明電極を形成して、カラーディスプレー、液晶表示装置等の部品の一部として使用されるが、表面平滑性や耐久性を高めるため、必要に応じ、画像上にポリアミド、ポリイミド等のトップコート層を設けることもできる。また一部、平面配向型駆動方式(IPSモード)等の用途においては、透明電極を形成しないこともある。
次に、本発明の液晶表示装置(パネル)の製造法について説明する。本発明の液晶表示装置は、通常、上記本発明のカラーフィルタ上に配向膜を形成し、この配向膜上にスペーサを散布した後、対向基板と貼り合わせて液晶セルを形成し、形成した液晶セルに液晶を注入し、対向電極に結線して完成する。配向膜は、ポリイミド等の樹脂膜が好適である。配向膜の形成には、通常、グラビア印刷法及び/又はフレキソ印刷法が採用され、配向膜の厚さは数10nmとされる。熱焼成によって配向膜の硬化処理を行なった後、紫外線の照射やラビング布による処理によって表面処理し、液晶の傾きを調整しうる表面状態に加工される。
周辺をシールされた液晶セルは、パネル単位に切断した後、真空チャンバー内で減圧とし、上記液晶注入口を液晶に浸漬した後、チャンバー内をリークすることによって、液晶を液晶セル内に注入する。液晶セル内の減圧度は、通常1×10-2Pa以上、好ましく
は1×10-3以上、また、通常1×10-7Pa以下、好ましくは1×10-6Pa以下の範囲である。また、減圧時に液晶セルを加温するのが好ましく、加温温度は通常30℃以上、好ましくは50℃以上、また、通常100℃以下、好ましくは90℃以下の範囲であ
る。
液晶の種類には特に制限がなく、芳香族系、脂肪族系、多環状化合物等、従来から知られている液晶であって、リオトロピック液晶、サーモトロピック液晶等の何れでもよい。サーモトロピック液晶には、ネマティック液晶、スメスティック液晶及びコレステリック液晶等が知られているが、何れであってもよい。
本発明のカラーフィルタを用いて有機ELディスプレイを作成する場合、例えば図4に示すように、まず透明支持基板10上に、着色樹脂組成物により形成されたパターン(画素20、または隣接する画素20の間に設けられた樹脂ブラックマトリックス(図示せず))が形成されてなるカラーフィルタを作製し、該カラーフィルタ上に有機保護層30および無機酸化膜40を介して有機発光体500を積層することによって、有機EL素子を作製することができる。なお、画素20の内、少なくとも一つは本発明の着色樹脂組成物を用いて作製されたものである。
[1](B)バインダ樹脂A〜Hの合成
<合成例1:バインダ樹脂Aの合成>
反応槽として冷却管を付けたセパラブルフラスコを準備し、他方、モノマー滴下槽として、ジメチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート30部、メタクリル酸68部、メタクリル酸シクロヘキシル102部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂(株)製「パーブチルO」)7.8部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート60部をよく攪拌混合したものを準備し、連鎖移動剤滴下槽として、n−ドデカンチオール3.5部、プロピレングリコールモノメチルエーテル32 部をよく攪拌混合したものを準備した。
日本化薬(株)製「NC3000」(一般式(1)において、P=H、R=H、n=1〜7、重量平均分子量1900、エポキシ当量288)400部、アクリル酸102部、p−メトキシフェノール0.3部、トリフェニルホスフィン5部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート264部を反応容器に仕込み、95℃で酸価が3mgKOH/g以下になるまで攪拌した。酸価が目標に達するまで9時間を要した。次いで、更にテトラヒドロ無水フタル酸180部を添加し、95℃で4時間反応させ、酸価102mgKOH/g、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が3200のアルカリ可溶性樹脂Bを得た。
日本化薬(株)製「NC3000」(一般式(1)において、P=H、R=H、n=1〜7、重量平均分子量1900、エポキシ当量288)400部、アクリル酸102部、p−メトキシフェノール0.3部、トリフェニルホスフィン5部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート264部を反応容器に仕込み、95℃で9時間攪拌した。酸価0.6mgKOH/g、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が2900の樹脂Cを得た。
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート145重量部を窒素置換しながら攪拌し、120℃に昇温した。ここにスチレン10重量部、グリシジルメタクリレート85.2重量部およびトリシクロデカン骨格を有するモノアクリレート(日立化成社製FA−513M)66重量部を滴下し、及び2.2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル8.47重量部を3時間かけて滴下し、更に90℃で2時間攪拌し続けた。次に反応容器内を空気置換に変え、アクリル酸43.2重量部にトリスジメチルアミノメチルフェノール0.7重量部およびハイドロキノン0.12重量部を投入し、100℃で12時間反応を続けた。その後、テトラヒドロ無水フタル酸(THPA)18重量部、トリエチルアミン0.7重量部を加え、100℃3.5時間反応させた。こうして得られたバインダ樹脂DのGPCにより測定した重量平均分子量Mwは約8400、酸価32mgKOH/gであった。
日本化薬(株)製「NC7000H」(下記構造式で表される化合物、エポキシ当量230、重量平均分子量1500)400部、アクリル酸125部、p−メトキシフェノール0.3部、トリフェニルホスフィン5部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート264部を反応容器に仕込み、95℃で酸価が3mgKOH/g以下になるまで攪拌した。酸価が目標に達するまで9時間を要した。
バインダ樹脂Fは、日本化薬(株)製「ZAR−1035」を用いる。
<実施例1〜6及び比較例1〜5>
[2]着色樹脂組成物の調製
(A)顔料として、DIC社製C.I.ピグメントグリーン58を5.99重量部、ランクセス社製E4GN−GTを3.48重量部、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート60.00重量部、(C)分散剤として下記分散剤Aを固形分換算で2.37重量部、及びバインダ樹脂として、合成例1のバインダ樹脂Aを固形分換算で3.16重量部、径0.5mmのジルコニアビーズ225重量部をステンレス容器に充填し、ペイントシェーカーにて6時間分散させて緑色顔料分散液を調製した。
<分散剤A:ビックケミー社製分散剤「BYK−LPN6919」>
メタクリル酸系ABブッロク共重合体であり、アミン価は、121mgKOH/g、酸価は1mgKOH/g以下である。
カラーフィルタ用透明ガラス基板(旭硝子製AN−100)に、上記[2]で得られた着色樹脂組成物をそれぞれスピンコート塗布し、80℃のホットプレートにて3分間プリベークを行い、乾燥塗布膜を形成した。塗布に際しては、下記ポストベーク後、色座標y=0.600の膜厚となるように回転数を調整した。
その後、230℃のオーブンにて30分間ポストベークを行い着色樹脂膜を形成した。乾燥後の着色樹脂膜の膜厚は3.0μm程度であった。
0.1nmまでの微小なリタデーションが測定できる大塚電子(株)製RETS−100を用いて、回転検光子法にて3次元屈折率測定を行い、非接触式膜厚計で求められた値を膜厚として使用し、波長550nmにおける厚み方向(z)のリタデーションRthを求めた。Rthは膜厚3.0μmあたりの値とした。上記[3]で得られた着色樹脂膜の厚み位相差の測定結果をまとめて表2に示す。
上記[3]で得られた着色樹脂膜を用い、日立分光光度計U−3010にて、C光源でのx、y、Yを測定し、色座標y=0.600でのY値を算出した。Y値は、実施例1の値を基準値として、各Y値と基準値との差をY値の低下値とする。
尚、Y値の判定については、Y値の低下が0.50未満のものを○、0.5以上のものを×とした。各Y値、各Y値の低下値、及び各Y値に対する判定の結果は、表2に示す通りである。
又、このような着色樹脂組成物を用いることにより、結果として高透過率、高コントラスト、低膜厚のカラーフィルタを製造することができ、引いては斜め方向からの観察においても着色がなく視認性の良い液晶表示装置並びに有機ELディスプレイを提供することができる。
20 画素
30 有機保護層
40 無機酸化膜
50 透明陽極
51 正孔注入層
52 正孔輸送層
53 発光層
54 電子注入層
55 陰極
100 有機EL素子
500 有機発光体
Claims (8)
- (A)顔料、及び(B)バインダ樹脂を含有し、
(B)バインダ樹脂が、ビフェニル基を有する樹脂を含有し、
当該ビフェニル基を有する樹脂が、(i)及び(ii)からなる群より選択された少なくとも1つの化合物であり、且つ当該ビフェニル基を有する樹脂の含有量が(B)バインダ樹脂全量に対し、1重量%以上40重量%以下であることを特徴とする着色樹脂組成物。
(i)下記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂(a)と不飽和基含有カルボン酸(b)とを反応させて得られるビフェニル構造を有するエチレン性不飽和化合物、
(ii)下記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂(a)と不飽和基含有カルボン酸(b)との反応物に、多塩基酸及び/又はその無水物(c)を反応させて得られるビフェニル構造を有するエチレン性不飽和化合物、
- (B)バインダ樹脂が、前記ビフェニル基を有する樹脂以外に、アルカリ可溶性樹脂を含有することを特徴とする請求項1に記載の着色樹脂組成物。
- (C)分散剤を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の着色樹脂組成物。
- (D)重合性モノマーを更に含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の着色樹脂組成物。
- (E)光重合開始剤類及び/又は熱重合開始剤類を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の着色樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の着色樹脂組成物を用いて作製された画素を有することを特徴とするカラーフィルタ。
- 請求項6に記載のカラーフィルタを具備することを特徴とする液晶表示装置。
- 請求項6に記載のカラーフィルタを具備することを特徴とする有機ELディスプレイ。
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