JP2008260280A - ペレット形状のポリエステルの輸送方法および貯蔵方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ペレット形状の脂肪族ポリエステルを圧力気体流と共に輸送配管を介し気力輸送するペレット形状の脂肪族ポリエステルの気力輸送方法であって、気力輸送に用いる気体に含まれる水分量を低減し気体の露点を0℃以下に調整する気体除湿工程と、気体除湿工程において露点が0℃以下に調整された気体を圧縮する気体圧縮工程と、気体圧縮工程において圧縮された圧力気体をペレット形状の脂肪族ポリエステル1トン当たり50Nm3/時間〜600Nm3/時間で輸送配管内に供給する圧力気体供給工程と、圧力気体供給工程において輸送配管に供給された圧力気体流と共にペレット形状の脂肪族ポリエステルを輸送配管を介し気力輸送する輸送工程と、を有することを特徴とするペレット形状の脂肪族ポリエステルの気力輸送方法。
【選択図】図1
Description
ポリマーペレットを乾燥する方法については、例えば、特許文献1に記載のように樹脂成形材料のペレットを貯蔵カプセルに供給し、真空処理して脱気乾燥する方法が記載されている。また所定の乾燥炉も使用される。
この場合、例えば、ポリエステル等の樹脂は、吸湿した水分により加水分解を生じるおそれがある。特に、生分解性機能を有する脂肪族ポリエステルは、一般に吸湿性が高く、ポリマーペレット中の水分量を管理しないと、保管時にポリマーペレット中の水分が原因とされる加水分解により著しく劣化する傾向がある。その結果、引張特性等の機械特性に優れたポリエステルが得られない場合がある。このため、ポリマーペレットが一旦水分を吸湿した場合、乾燥等の後処理によってポリマーペレット中の水分を除去する必要がある。
しかし、このような後処理は、乾燥装置や脱気装置を使用するため設備が大掛かりで過大になるばかりか、エネルギーロスが大きいな等省エネルギーの観点からも問題がある。また、乾燥後のポリマーペレットを長距離輸送する場合、再び水分を吸湿することの防止は困難である。
ここで、本発明が適用されるペレット形状のポリエステルの輸送方法では、気体により気力輸送されるポリエステルは、主たる構成単位が脂肪族ジカルボン酸及び脂肪族ジオールである脂肪族ポリエステルであることが好ましい。
また、ペレット形状のポリエステルの気力輸送に用いる気体は、空気であることが好ましい。
また、露点が0℃以下の気体により気力輸送されたペレット形状のポリエステルの含水率が、0.1重量%以下であることが好ましい。
さらに、ペレット形状のポリエステルの気力輸送に用いる気体の温度が0℃以上、80℃以下であることが好ましい。
さらに、輸送工程において、輸送配管に供給された圧力気体流と共にペレット形状の脂肪族ポリエステルを予め露点が0℃以下の気体が充填された貯蔵設備に気力輸送することが好ましい。
ここで、貯蔵容器中に貯蔵されたペレット形状のポリエステルの含水率が0.1重量%以下であることが好ましい。
さらに、貯蔵容器中に充填される気体の温度が0℃以上、80℃以下であることが好ましい。
本実施の形態で使用する脂肪族ポリエステルとしては、主たる繰り返し単位が脂肪族ジカルボン酸単位および脂肪族ジオール単位であるジオール/ジカルボン酸系脂肪族ポリエステルと、主たる繰り返し単位が脂肪族オキシカルボン酸であるオキシカルボン酸系脂肪族ポリエステルと、芳香族−脂肪族共重合ポリエステル等が挙げられる。これらの脂肪族ポリエステルは、1種または2種以上を任意の比率で組み合わせてもよい。
これらの脂肪族ポリエステルの中では、ジオール/ジカルボン酸系脂肪族ポリエステルが特に好ましい。ここで、脂肪族ジカルボン酸単位は、脂肪族ジカルボン酸又はその誘導体から形成される構成単位であり、脂肪族ジオール単位は、脂肪族ジオール又はその誘導体から形成される構成単位である。以下、ジオール/ジカルボン酸系脂肪族ポリエステルについて説明する。
本実施の形態で使用するジオール/ジカルボン酸系脂肪族ポリエステルのジオール単位として、下記式(I)で表わされるジオール又はその誘導体(以下適宜、ジオール又はその誘導体を「ジオール成分」ということがある。)から形成されるものが好ましい。また、ジカルボン酸単位として、下記式(II)で表わされるジカルボン酸又はその誘導体(以下適宜、ジカルボン酸又はその誘導体を「ジカルボン酸成分」という。)から形成されるものが好ましい。
先ず、式(I)で表わされるジオールについて説明する。
式(I)において、R1は、鎖中に酸素原子を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基を表わす。R1は、鎖状脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基のいずれであってもよい。また、R1は、分岐鎖を有していてもよい。
さらに、ジオール成分としては、上記の式(I)のジオールの誘導体も好適に用いることができる。式(I)のジオールの誘導体の例としては、例えば、式(I)のジオールと酢酸とのエステル化合物等が挙げられる。
これらの中でも、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール等とポリプロピレングリコール等との共重合体が好ましい。
式(III)で表わされるアルキレングリコールの縮合体の分子量が100万〜200万の場合、得られる脂肪族ポリエステルの融点の低下が小さくなるので好ましい。
次に、式(II)で表わされるジカルボン酸について説明する。
式(II)において、R2は、2価の脂肪族炭化水素基を表わす。また、R2は、鎖状脂肪族炭化水素基であってもよく、脂環式炭化水素基であってもよい。さらに、R2は、分岐鎖を有していてもよい。
ただし、R2が鎖状脂肪族炭化水素基である場合、R2は、−(CH2)m−で表わされる2価の鎖状脂肪族炭化水素基であることが好ましい。なお、mは、通常1以上、通常10以下、好ましくは6以下の整数である。
また、R2が脂環式炭化水素基である場合、R2の炭素数は、通常3以上、好ましくは4以上、通常10以下、好ましくは8以下である。
本実施の形態で使用する脂肪族ポリエステルは、式(I)で表わされるジオール及び式(II)で表されるジカルボン酸に加え、必要に応じて用いられる他の共重合成分との共重合体であってもよい。
他の共重合成分の具体的な例としては、2官能のオキシカルボン酸、不飽和ジカルボン酸、架橋構造を形成するための多官能化合物が挙げられる。ここで多官能化合物としては、3官能以上の多価アルコール、3官能以上の多価カルボン酸またはその無水物、3官能以上のオキシカルボン酸等が挙げられる。これらの他の共重合成分の中でも、高重合度のポリエステルが容易に製造できることから、オキシカルボン酸が好適に使用される。
2官能のオキシカルボン酸の使用量は、通常、ポリエステルを構成する全単量体単位に対して、下限が通常0.02モル%以上、好ましくは0.5モル%以上、より好ましくは1.0モル%以上であり、上限が、通常30モル%以下、好ましくは20モル%以下、より好ましくは10モル%以下である。
多官能化合物の使用量は、ポリエステルを構成する全単量体単位に対して、通常、0.001モル以上、好ましくは0.01モル以上、より好ましくは0.1モル以上であり、一方、その上限は通常、5モル%以下、好ましくは0.5モル%以下、より好ましくは0.2モル%以下である。使用量が過度に多いとゲルが発生する傾向がある。
粘度管:ウベローデ粘度管
測定温度:30℃
溶媒:フェノール/テトラクロロエタン(1:1重量比)溶液
ポリエステル濃度:0.5g/dl
末端カルボキシル基量は、通常、公知の滴定方法により算出される。本実施の形態では、脂肪族ポリエステルをベンジルアルコールに溶解し0.1N NaOHにて滴定した値であり、1×106g当たりのカルボキシル基当量である。
本実施の形態で使用する脂肪族ポリエステルの製造方法は、公知の重縮合反応方法が採用できる。また、この際の重縮合反応は、従来から採用されている適切な条件を設定することができ、特に制限されない。また、通常は、エステル化反応を進行させた後、減圧操作を行なうことによってさらに重合度を高めることができる。
例えば、脂肪族オキシカルボン酸を反応系に導入する時期及び方法は、ジオール成分とジカルボン酸成分との重縮合反応以前であれば特に限定されず、(1)予め触媒を脂肪族オキシカルボン酸溶液に溶解させた状態で混合する方法、(2)原料仕込み時に触媒を系に導入すると同時に混合する方法等が挙げられる。
多官能成分単位を形成する化合物の導入時期は、重合初期の他のモノマーやオリゴマーと同時に仕込むようにしてもよい。または、エステル交換反応後、減圧を開始する前に仕込むようにしてもよいが、他のモノマーやオリゴマーと同時に仕込むほうが工程の簡略化の点で好ましい。
ゲルマニウム化合物としては、例えば、テトラアルコキシゲルマニウム等の有機系ゲルマニウム化合物、酸化ゲルマニウム、塩化ゲルマニウム等の無機ゲルマニウム化合物等が挙げられる。中でも、価格や入手の容易さ等から、酸化ゲルマニウム、テトラエトキシゲルマニウム及びテトラブトキシゲルマニウム等が好ましく、特には、酸化ゲルマニウムが好適である。
チタン化合物としては、例えば、テトラプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラフェニルチタネート等のテトラアルコキシチタン等の有機系チタン化合物が挙げられる。中でも、価格や入手の容易さ等から、テトラプロピルチタネート、テトラブチルチタネート等が好ましい。尚、必要に応じて他の触媒の併用を妨げない。触媒は1種又は2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
そして、最後に遠心脱水機等にて水分除去した後に貯蔵容器である貯槽サイロに輸送されるが、このとき、本実施の形態が適用されるポリマーペレットの輸送方法、および貯蔵方法が使用される。
即ち、遠心脱水機等にて水分除去された直後ポリマーペレット中の水分量を低く抑えた状態で、ポリマーペレットを速やかに露点を制御した気体と接触させることにより、ポリマーペレットの吸湿を回避し、その後の煩雑な乾燥炉の使用や脱気乾燥工程を省略することができる。
遠心脱水機等にて水分除去された直後のポリマーペレット中の水分量は、通常、0.3重量%以下、好ましくは0.25重量%以下、より好ましくは0.2重量%以下、特に0.15重量%以下に制御すると、保存時の加水分解が問題とならない0.1重量%以下の水分量のポリマーペレットが容易に得られるので好ましい。
図1には、所定の製造装置から供給されたポリマーペレットを貯蔵する貯槽サイロ16a,16b(貯蔵容器、貯蔵設備)と、ポリマーペレットの気力輸送に使用する空気(Air)を除湿し圧縮した後、送り出す除湿機17とが示されている。
また、貯槽サイロ16a,16bの槽底には、内部に貯蔵したポリマーペレットを排出するためのペレット出口配管26a,26bがそれぞれ設けられている。
さらに、空気輸送配管23から分岐し、貯槽サイロ16a,16bの槽底に設けられたペレット出口配管26a,26bと結合し、貯槽サイロ16a,16b内から排出されるポリマーペレットを、装置外に移送するための空気を供給する空気輸送配管25が配設されている。
除湿機17の空気供給口21から除湿機17内に導入された空気は、除湿機17に内蔵された除湿ロータ(図示せず)を通過する際に、空気中に含まれた水分が除湿材によって吸着される(気体除湿工程)。その後、図示しない空気圧縮機により圧縮され(気体圧縮工程)、除湿機17の空気排出口22より排出される。
ここで、気体の露点とは、一般に、気体中の水蒸気の分圧を飽和水蒸気圧とする温度であって、徐々に冷却された気体に含まれる水分が凝縮し、露ができ始めるときの温度である。
気力輸送に使用される空気の温度が過度に低いと、ポリマーペレット中の水分量を低減させるために長時間を要する傾向がある。空気の温度が過度に高いと、比較的融点が低い脂肪族ポリエステルが軟化しスネークスキンが発生する傾向がある。また、加水分解反応が促進する傾向がある。
本実施の形態では、ポリマーペレットは、露点が0℃以下に調整された圧縮空気により気力輸送されることにより、含水率が0.1重量%以下、好ましくは0.05重量%以下、さらに好ましくは、0.02重量%以下に保たれた状態で貯槽サイロ16a,16b内に貯蔵される。ペレットの含水率の下限は特に制限はない。
脂肪族ポリエステルのペレットは、通常、含水率が0.1重量%以下の状態で製品として出荷される。本実施の形態では、気力輸送に使用する気体の露点を0℃以下に管理することにより、含水率を0.1重量%以下に維持することが可能となる。
本実施の形態では、上述した範囲の風量で圧縮空気を空気輸送配管23に供給することにより、ポリマーペレットの輸送速度は、通常、1t/時間〜20t/時間、好ましくは2t/時間〜10t/時間、さらに好ましくは3t/時間〜8t/時間で気力輸送される。
このように、露点が0℃以下に調整された空気が貯槽サイロ16a,16b内に充填されていることにより、例えば、ポリマーペレットが吸湿性を有する場合であっても、貯槽サイロ16a,16b内にペレットは、含水率が増大することなく貯蔵されている。
図1に示すように、ペレット出口配管26a,26bにより貯槽サイロ16a,16bから排出されたポリマーペレットは、除湿機17によって露点が0℃以下に調整され空気輸送配管25を経て供給された空気により、ポリマーペレットが水分を吸着しないように乾燥状態が保たれたまま製造装置外に気力輸送される。
尚、本実施の形態において、ポリマーペレットが吸湿性を有する場合とは、平衡含水率が0.1重量%以上であるポリマーのペレットを言う。また平衡含水率とは、温度30℃、湿度70%の状態で吸湿と放湿が見かけ上平衡に達したときの含水率である。
また、ポリマーペレットを気力輸送するための気体として空気を使用したが、これに限定されるものでなく、気力輸送するポリマーのペレットの性質等に応じ、例えば、窒素ガス、アルゴンガス、二酸化炭素ガス等を使用することできる。
ポリマーのペレットの形状は、粒状、不定形状、平板状、円柱状,球状等が挙げられ、特に限定されることはない。また、ペレットの大きさは、最も長い部分の長さが20mm以下に加工されたものが好ましく、通常1mm〜5mm程度が好ましい。
ポリマーペレットの含水率は、水分測定装置(ダイアインスツルメンツ社製CA−100型)及び水分気化装置(ダイアインスツルメンツ社製VA−100型)を用いた電量滴定法により測定した。試料とするポリマーペレットの重量は、0.2g〜1gである。水分気化装置におけるポリマーペレットの加熱条件は、250℃である。
ポリマーペレットの気力輸送に使用する気体の露点は、露点測定器(株式会社いすず製作所社製形式ISUZU−1A)を用い、以下の手順で測定した。
(i) 露点を測定する気体を露点測定器の冷却筒に連続的に吹き付ける。
(ii)気体が連続的に吹き付けられた冷却筒にエタノールを入れ、その中にドライアイスの小片を少しずつ投入し、注意深く撹拌しながら徐々に冷却する。そして、冷却筒の鏡面を目視にて観察し、鏡面上に露が生じた時点でドライアイスの投入を止める。尚、鏡面上に露が生じた時点の、冷却筒中のエタノールの温度をT1とする。
(iii)次いで、冷却筒に入れたエタノール及びドライアイスを撹拌し、冷却筒の鏡面上の露が消えるまで徐々に温度を上昇させる。鏡面上の露が消える時点の冷却筒中のエタノールの温度をT2とする。
(iv)T1とT2との平均値を、その気体の露点とする。
ポリエステル0.25gを、フェノール/テトラクロロエタン(重量比1/1)の混合溶媒を用い、濃度(c)0.5g/dlの試料溶液を調製する。次に、ウベローデ型毛細粘度管により、30℃で原液との相対粘度(ηrel)を測定し、この相対粘度(ηrel)−1から求めた比粘度(ηsp)と濃度(c)との比(ηsp/c)を求める。
ポリエステル樹脂をベンジルアルコールに溶解し、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液で中和滴定することにより測定する(単位:μモル/g)。
JIS K 7210に準拠し、荷重2.16kg、温度190℃で、ポリエステルのメルトフローインデックス(MFR)を測定する。
ポリマーペレットを、ポリエステル/アルミニウム/ポリエチレンの複合フィルム袋中に密閉し、60℃のオーブンに5日間保存する。次に、複合フィルム袋から取り出したポリマーペレットについて、ポリステルの還元粘度(ηsp/c)を測定し、5日間保存前後の還元粘度(ηsp/c)の変化を観察する。
攪拌装置、窒素導入口及び加熱装置温度計を備えた反応容器(A)及び攪拌装置、窒素導入口、加熱装置、温度計及び減圧用排気口を備えた反応容器(B)を用い、以下の条件でポリブチレンサクシネートラクテート(PBSL)を製造する。
窒素雰囲気下、反応容器(A)に、コハク酸100重量部、1,4−ブタンジオール88.5重量部、リンゴ酸0.4重量部、並びに、二酸化ゲルマニウム(触媒)を予め1重量%溶解させた88%乳酸水溶液5.4重量部を供給する。
次に、反応容器(A)の系内を撹拌しながら220℃に昇温し反応時間2.5時間で反応を行う。反応終了後、この反応生成物を、反応容器(B)に移し、徐々に減圧度を下げながら230℃で4.5時間重縮合反応を行い、脂肪族ポリエステルを得た。最終到達減圧度は0.07×103Paであった。
この脂肪族ポリエステルを、0.6MPaの加圧下で樹脂温度230℃以下に冷却しながら反応槽の底部に取り付けられたダイヘッドから、ストランドとして押し出す。押し出された溶融状態のストランドを、12℃の冷却水が流れる傾斜したスライダーで冷却水と接触させて冷却する。冷却されたストランドは、冷却ステージ下部に設けられたカッターにより引き取られ、連続的にペレット状に切断され、その後、アフタークーラー、脱水機、振動ふるいを経由して回収された。回収されたペレット中の含水量は0.12重量%〜0.15重量%であった。
得られたポリブチレンサクシネートラクテート(PBSL)の還元粘度(ηsp/c)は2.50、末端カルボキシル基量は25当量/トンであった。
前述した脂肪族ポリエステルの製造例で製造されたポリブチレンサクシネートラクテート(PBSL)を使用し、ハニカム型吸着式除湿装置を使用して−30℃の露点の圧縮空気を輸送配管に供給し、PBSLのポリマーペレットを貯槽サイロに気力輸送した。この際の圧縮空気の温度は30℃であった。このときの輸送配管中の風量は720Nm3/時間であり、ポリマーペレットは2t/時間の速度で貯槽サイロに気力輸送した。
貯槽サイロに輸送されたポリマーペレットの含水率を測定したところ0.05重量%であった。このように、生分解性機能を有するPBSLのペレットを、露点が−30℃の圧縮空気により気力輸送することにより、気力輸送後の含水率が大幅に低下した状態で、PBSLのペレットを安定的に貯槽サイロに貯蔵されることが分かる。
また、PBSLのメルトフローインデックス(MFR)は4.4g/10分であった。さらに、複合フィルム袋中に5日間密閉した後に測定したPBSLの還元粘度(ηsp/c)は2.45であった。この結果から、保管中に加水分解反応等が促進せず、安定した状態でPBSLのペレットが保管されたことが分かる。
前述した脂肪族ポリエステルの製造例で製造されたポリブチレンサクシネートラクテート(PBSL)を使用し、32℃で湿度70%の未処理の外気(露点26℃)を使用した圧縮空気を輸送配管に供給し、PBSLのポリマーペレットを貯槽サイロに気力輸送した。このときの輸送配管中の風量は720Nm3/時間であり、ポリマーペレットは2t/時間の速度で貯槽サイロに気力輸送することができた。
貯槽サイロに輸送されたPBSLのポリマーペレットの含水率を測定したところ0.2重量%であった。このように、PBSLのペレットを、露点が26℃(0℃を超える)の圧縮空気を用いて気力輸送することにより、気力輸送されたPBSLのペレットの含水率が増大することが分かる。
また、PBSLのメルトフローインデックス(MFR)は6.1g/10分であった。この結果から、気力輸送中に含水率が増大したPBSLは溶融時の熱安定性が低く,フィルムや容器などの成形には適さないことが分かる。
さらに、複合フィルム袋中に5日間密閉した後に測定したPBSLの還元粘度(ηsp/c)は2.33であった。この結果から、生分解性機能を有するPBSLは、含水率が増大したことにより保管中の加水分解反応により劣化しやすく、保管特性が悪化したことが分かる。
Claims (11)
- 露点が0℃以下の気体を使用し、吸湿性のペレット形状のポリエステルを気力輸送することを特徴とするペレット形状のポリエステルの輸送方法。
- 気体により気力輸送されるポリエステルは、主たる構成単位が脂肪族ジカルボン酸及び脂肪族ジオールである脂肪族ポリエステルであることを特徴とする請求項1に記載のペレット形状のポリエステルの輸送方法。
- ペレット形状のポリエステルの気力輸送に用いる気体は、空気であることを特徴とする請求項1又は2に記載のペレット形状のポリエステルの輸送方法。
- 露点が0℃以下の気体により気力輸送されたペレット形状のポリエステルの含水率が、0.1重量%以下であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のペレット形状のポリエステルの輸送方法。
- ペレット形状のポリエステルの気力輸送に用いる気体の温度が0℃以上、80℃以下であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のペレット形状のポリエステルの輸送方法。
- ペレット形状の脂肪族ポリエステルを圧力気体流と共に輸送配管を介し気力輸送するペレット形状の脂肪族ポリエステルの気力輸送方法であって、
気力輸送に用いる気体に含まれる水分量を低減し当該気体の露点を0℃以下に調整する気体除湿工程と、
前記気体除湿工程において露点が0℃以下に調整された気体を圧縮する気体圧縮工程と、
前記気体圧縮工程において圧縮された圧力気体をペレット形状の脂肪族ポリエステル1トン当たり50Nm3/時間〜600Nm3/時間で輸送配管内に供給する圧力気体供給工程と、
前記圧力気体供給工程において輸送配管に供給された圧力気体流と共にペレット形状の脂肪族ポリエステルを当該輸送配管を介し気力輸送する輸送工程と、を有する
ことを特徴とするペレット形状の脂肪族ポリエステルの気力輸送方法。 - 前記気体除湿工程において、気力輸送に用いる気体の露点を−10℃以下に調整することを特徴とする請求項6に記載のペレット形状の脂肪族ポリエステルの気力輸送方法。
- 前記輸送工程において、前記輸送配管に供給された圧力気体流と共にペレット形状の脂肪族ポリエステルを予め露点が0℃以下の気体が充填された貯蔵設備に気力輸送することを特徴とする請求項6又は7に記載のペレット形状の脂肪族ポリエステルの気力輸送方法。
- 貯蔵容器中に露点が0℃以下の気体を充填し、当該貯蔵容器中に吸湿性のペレット形状のポリエステルを貯蔵することを特徴とするペレット形状のポリエステルの貯蔵方法。
- 前記貯蔵容器中に貯蔵されたペレット形状のポリエステルの含水率が0.1重量%以下であることを特徴とする請求項9に記載のペレット形状のポリエステルの貯蔵方法。
- 前記貯蔵容器中に充填される気体の温度が0℃以上、80℃以下であることを特徴とする請求項9又10に記載のペレット形状のポリエステルの貯蔵方法。
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