JP2008214026A5 - - Google Patents
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Description
本発明は、作業機のアームに取付けられ、各種廃棄物や各種チップ等を把持して積み込み、積み降ろし、集積等の作業を行なう場合に使用するグラップルに関する。
産業廃棄物等のトラックへの積み込み、積み降ろし、集積等の作業を行なうグラップルは、例えば油圧ショベルのバケットの代わりに作業用アームの先端に油圧シリンダにより回動可能に、あるいは吊り下げて取付けられる。このようなグラップルは、特許文献1に記載されているように、作業機の作業用アームに取付けられる上部構造体と、上部構造体の下部に周方向に間隔を有して設けられる複数個の爪取付け用のブラケットと、各ブラケットにそれぞれ根本部を外嵌して枢着軸を中心に内外方向に開閉可能に取付けられる複数本の爪と、爪開閉用の油圧シリンダとを備える。
特許文献1においては、爪開閉用の油圧シリンダを保護するため、爪の外面に設けたシリンダカバーの外側面に開口窓を設け、その開口窓に蓋体を着脱可能に取付けたものが開示されている。
特許文献1に記載されたグラップル等の従来のグラップルにおいて、爪が最も開いた状態で油圧シリンダを覆うことができる構造にしている。しかしながら、把持する対象物の量を確保する関係上、爪の開閉範囲はある程度大きく確保する必要があるため、爪が最も閉じた状態では油圧シリンダのボトム側端部(爪の根本側)を蓋体で覆い切ることができず(すなわち隙間が出来る。)、ボトム側端部が露出し、産業廃棄物等の処理作業において、飛散あるいは弾かれた金属片や塵埃等がシリンダカバーと蓋体とで囲まれた油圧シリンダ収容室内に入り、油圧シリンダを損傷することがあるという問題点があった。特にピストンロッドの損傷が問題となる。
また、グラップルは、その構造上、爪の開閉に伴う爪の回動中心の位置と、油圧シリンダの爪開閉動作に伴う油圧シリンダの揺動中心の位置が相違するため、油圧シリンダのボトム側端部とこれをカバーする蓋体との間隔が爪の開閉に伴って変化し、爪が最も閉じた状態において、爪の根本部と蓋体との間の間隔が最も縮まる。しかしこの最も閉じた状態における油圧シリンダのボトム側端部と蓋体との間隔を基準にして蓋体の取付け位置を決定すると、爪をある程度開いた状態では油圧シリンダのボトム側端部と蓋体との間の隙間が大きくなる。このため、産業廃棄物等の処理作業において、飛散あるいは弾かれた金属片や塵埃等の異物が油圧シリンダ収容室内に入り、やはり油圧シリンダを損傷することがあるという問題点があった。
また、特許文献1のように、シリンダカバーや蓋体を爪の外側に設ける場合、これらの板厚が薄いと、障害物や廃棄物等がシリンダカバーや蓋体に衝突したり強い力で押圧された場合、シリンダカバーや蓋体が変形するため、ある程度の厚みを確保する必要がある。このため、シリンダカバーや蓋体の重量も大きくなり、これが爪の重量に加わり、グラップル全体の重量が増す。ここでグラップルとこれにより把持される処理対象物との総重量は作業機の規模により制限されるため、グラップルの重量が増すと、その分だけグラップルによる処理容量が減少し、同じ処理量を得るにはその総重量に耐え得るより大型の作業機が必要になるという問題点もある。
そこで爪を中空構造にして爪内に開閉用の油圧シリンダを収容する構造が考えられる。しかし、このような爪開閉用の油圧シリンダを爪内に収容する構造としても、やはり爪を閉じた状態では油圧シリンダのボトム側端部が露出するという問題点がある。また、前記爪の開閉に伴う爪の回動中心の位置と、油圧シリンダの伸縮に伴うボトム側端部の揺動中心の位置が相違するため、爪をある程度開いた状態ではやはり油圧シリンダのボトム側端部と爪の根本部の外面板との間に大きな隙間が発生することは避けられず、前記同様に爪内に異物が混入して油圧シリンダを損傷するという問題点がある。
本発明は、上記問題点に鑑み、廃棄物やチップ等の処理作業において、金属片や塵埃等の異物による油圧シリンダの損傷が防止し得る保護手段を有するグラップルを提供することを目的とする。
請求項1のグラップルは、作業機のアームに取付けられる上部構造体と、
前記上部構造体の下部フレームに周方向に間隔を有して設けられる複数個の爪取付け用のブラケットと、
断面形状が4角形の中空構造を成し、前記各ブラケットにそれぞれ根本部を外嵌して枢着軸を中心に内外方向に開閉可能に取付けられる複数本の爪と、
前記各爪内に収容され、一方側端部が前記ブラケットにおける前記枢着軸より爪開閉方向の外側となる位置に回動可能に連結され、他方側端部が前記爪の中途部分に回動可能に連結して取付けられる爪開閉用の油圧シリンダと、
前記ブラケットの上面に設けられて前記ブラケットの上面部を覆い、前記爪が開いた状態において前記爪の根本部の外面板により覆われると共に、前記爪が閉じた状態において露出する固定カバーと、
その内縁部が前記固定カバーの外縁部に隣接して前記油圧シリンダの前記一方側端部を覆い、かつ前記内縁部を前記ブラケットに軸支して回動可能に取付けられ、前記爪が開いた状態において前記爪の根本部の外面板により覆われると共に、前記爪が閉じた状態において一部が露出すると共に、残部が前記爪の根本部の外面板により覆われる可動カバーとを備えたことを特徴とする。
前記上部構造体の下部フレームに周方向に間隔を有して設けられる複数個の爪取付け用のブラケットと、
断面形状が4角形の中空構造を成し、前記各ブラケットにそれぞれ根本部を外嵌して枢着軸を中心に内外方向に開閉可能に取付けられる複数本の爪と、
前記各爪内に収容され、一方側端部が前記ブラケットにおける前記枢着軸より爪開閉方向の外側となる位置に回動可能に連結され、他方側端部が前記爪の中途部分に回動可能に連結して取付けられる爪開閉用の油圧シリンダと、
前記ブラケットの上面に設けられて前記ブラケットの上面部を覆い、前記爪が開いた状態において前記爪の根本部の外面板により覆われると共に、前記爪が閉じた状態において露出する固定カバーと、
その内縁部が前記固定カバーの外縁部に隣接して前記油圧シリンダの前記一方側端部を覆い、かつ前記内縁部を前記ブラケットに軸支して回動可能に取付けられ、前記爪が開いた状態において前記爪の根本部の外面板により覆われると共に、前記爪が閉じた状態において一部が露出すると共に、残部が前記爪の根本部の外面板により覆われる可動カバーとを備えたことを特徴とする。
請求項2のグラップルは、請求項1に記載のグラップルにおいて、
前記固定カバーおよび爪を閉じた状態における前記可動カバーの外面が、前記枢着軸を中心とする円弧状となるように構成されることを特徴とする。
前記固定カバーおよび爪を閉じた状態における前記可動カバーの外面が、前記枢着軸を中心とする円弧状となるように構成されることを特徴とする。
請求項3のグラップルは、請求項1または2に記載のグラップルにおいて、
前記爪の根本部の側面板の内面若しくは前記ブラケットの外面の少なくともいずれか一方の面に、他方の面に当接するスライドプレートを設けたことを特徴とする。
前記爪の根本部の側面板の内面若しくは前記ブラケットの外面の少なくともいずれか一方の面に、他方の面に当接するスライドプレートを設けたことを特徴とする。
請求項4のグラップルは、請求項3に記載のグラップルにおいて、
前記爪の前記側面板に切欠部を設けると共に、前記側面板の外面に前記切欠部を覆う補強板を固着し、前記スライドプレートを前記切欠部に嵌めると共に前記スライドプレートを前記補強板を介して挿通される固定具により固定して取付けたことを特徴とする。
前記爪の前記側面板に切欠部を設けると共に、前記側面板の外面に前記切欠部を覆う補強板を固着し、前記スライドプレートを前記切欠部に嵌めると共に前記スライドプレートを前記補強板を介して挿通される固定具により固定して取付けたことを特徴とする。
請求項1のグラップルにおいて、爪の開き(閉じ)動作の際には爪の外面板の上方(下方)への移動および油圧シリンダの上方(下方)への揺動に伴い可動カバーも上方(下方)に回動する。すなわち、爪、油圧シリンダ開閉に伴って可動カバーが爪や油圧シリンダの動きを妨げない位置になるように連動するので、可動カバーは爪の根本部の外面板に常に近接した微小隙間を保ったままの状態で油圧シリンダの一方側端部を覆う。このように、爪の開閉動作の全工程で爪の外面板と固定カバーや可動カバーとの間は微小間隔を保ったままとすることができ、作業中における金属片や塵埃等の異物が爪内に入って油圧シリンダを損傷することを防止することができる。
また、爪を中空構造にしてその中に油圧シリンダを収容する構造としたので、爪の外面にシリンダカバーや蓋体を設ける場合に比較してグラップルの重量を軽量化することができ、グラップルの処理容量を増大させ、小型の作業機を用いて比較的容量の大きなグラップルを取付けて作業を行なうことができ、作業の能率向上、経済化、省エネルギー化が図れる。
請求項2の発明によれば、前記爪を閉じた状態における前記固定カバーおよび可動カバーの外面は、前記枢着軸を中心とする円弧状をなすため、爪の全閉状態あるいはこれに近い状態における開閉動作時において、爪の根本部の外面板を可動カバーに近接させた場合であってもこれらが相互に干渉することがなく、このため、爪の根本部の外面板と可動カバーとの間の隙間をより小さくすることができ、爪内への金属片や塵埃等の異物の侵入がより効果的に防止される。
請求項3の発明によれば、爪の開閉動作に伴い、鋼板でなる爪の側面板またはブラケットにスライドプレートが当接し摺動するため、金属板同士が接触して摺動する場合の異音が発生せず、爪の側面板とブラケットとの間の隙間を小さくすることができ、側面板とブラケットとの間の隙間からの異物の侵入を防止することができる。また、金属板同士が接触して摺動する場合の異音が発生せず、近隣への騒音による迷惑が防止できる。また、スライドプレートを爪の側面板またはブラケットに密着させて構成できるため、爪とブラケットとの間のガタが少なくなり、作業中に爪に発生する捻り力を枢着軸のみならず、スライドプレートによっても受けることができ、枢着軸への負担が軽減される。
請求項4の発明によれば、爪の根本部の側面板に設けた切欠部と補強板との間にスライドプレートを嵌合して固定具により固定する構造としたので、スライドプレートの側面板による保持が強固に行なわれ、スライドプレートの取付けが容易になると共に、スライドプレートの取付け部近傍が補強されるので、スライドプレート取付け部の変形を防止することができる。
図1は本発明のグラップルの一実施の形態を示す斜視図、図2はこのグラップルの一部を除いて示す斜視図、図3はこのグラップルの平面図である。このグラップルは、油圧ショベル等の作業用アーム(図示せず)に取付けられる上部構造体1と、筒状をなすその下部フレーム2の周囲に周方向に等間隔を有して設けられた2枚の平行板3aを有する複数個のブラケット3と、各ブラケット3に取付けられる断面形状が4角形の中空構造をなす爪4と、各爪4に収容して取付けられる爪開閉用の油圧シリンダ5とを備える。この実施の形態においてはブラケット3および爪4が5個ずつ設けられた例を示しているが、本発明はこれらのブラケット3や爪4が2個以上設けられるグラップルに適用できる。
上部構造体1は、油圧モータ6により前記下部フレーム2を旋回する旋回装置8と、この旋回装置8上に設けられたブラケット9とを有し、このブラケット9は作業用アームにピン付けするためのボス10と、作業用アームに取付けられるリンクに連結するためのボス11とを有する。7は油圧シリンダ5への作動油の供給を行なうためにブラケット9側の非旋回部と下部フレーム2側の旋回部との油路を接続するセンタージョイントである。
下部フレーム2は、図4の斜視図および図5の側面図に示すように、円形または多角形の筒部2aの上面にそれぞれ旋回装置8の被旋回体に固定する上板2bを溶接し、筒部2aの底面に底板2cを溶接してなる。下部フレーム2の筒部2aに前記各ブラケット3を構成する平行板3a、3aを溶接する。各ブラケットを構成する平行板3a、3aの下部の下部フレーム2の中心側寄りの位置(爪4の開閉方向に見て内側の位置)にはそれぞれ爪取付け用の貫通孔12を設けると共に、平行板3a、3aの下部の対向面にはこれらの貫通孔12に連通する貫通孔を有するボス13を溶接する。また、ブラケット3を構成する一対の平行板3a、3aの対向面における前記ボス13より上部でかつ下部フレーム2の中心側からボス13よりも離れた位置(爪4の開閉方向に見て外側の位置)には、それぞれ油圧シリンダ5取付け用の貫通孔14を設けると共に、平行板3a、3aの相互の対向面にはそれぞれ貫通孔14に連通するボス15、15を溶接する。
図6に示すように、爪4は内面板4aと左右の側面板4bと外面板4cとを溶接により一体化した4角形の断面形状をなす。内面板4aは爪4により比較的小さいサイズの把持対象物について作業する際に、爪4間から把持対象物が漏れることを防止するため、側面板4bから左右に張り出した張り出し部4a1を有する。この張り出し部4a1の張り出し量は作業対象により種々に変更される。
また、爪4の根本部の側面板4bの下部には爪4をブラケット3に取付けるための貫通孔17と、この貫通孔17に連通する貫通孔を有するボス19を、両側面板4bの外面に溶接する。また、爪4の中途部の両側面板4bには油圧シリンダのロッド側端部を連結するピンを挿着するための貫通孔20を設けると共に、両側面板4bの内面には、これらの貫通孔20にそれぞれ連通する貫通孔を有するボス21、21を溶接する。
両側面板4bの根本部には、油圧シリンダ5の油圧ホース(図示せず)をボトム側ポート22(図2参照)に接続、分離する等のメンテナンス作業や爪4の内部の掃除等を行なうための開口部23を設ける。また、両側面板4bの貫通孔20の近傍には、油圧ホース(図示せず)をロッド側ポート25(図2参照)に接続、分離する等のメンテナンス作業や爪4内の掃除等を行なうための開口部24を設ける。また、外面板4cの中間部には、油圧シリンダ5の取付け、取外しを行なう際に油圧シリンダ5を抜き差しするための開口部26を設ける。この開口部26は、爪4の長手方向に長い楕円形部26aとこの楕円形部26aに連続し、油圧シリンダ5のロッド部を通すための幅狭の半長円部26bとからなる。また、外面板4cの根本部には後述の可動カバー27のメンテナンスのための楕円形の開口部29を設ける。これらの開口部23、24、26、29の周囲にはねじ孔30を設け、これらの開口部23、24、26、29を蓋板32〜35により塞ぎ、ねじ孔30に螺合するボルト31によってこれらの蓋板32〜35を固定する。28はボルト31の頭部を保護するために側面板4bや外面板4cに溶接したボルトガードである。
蓋板32〜35は爪4を構成する内面板4a、側面板4b、外面板4cの厚み(例えば19mm)より薄い例えば半分程度の厚み(例えば6〜9mm)とすることにより、軽量化を図る。なお、側面板4bの中途部分の開口部24は、ロッド側ポート25が油圧シリンダ5の上面側に設けられるときには開口部26で代用できるから必ずしも必要ではない。
爪4のブラケット3への取付けは、爪4の根本部の貫通孔17およびボス19の位置を、ブラケット3の下部に設けた貫通孔12およびボス13に位置を合わせてこれらのボス13、19および貫通孔12、17に枢着軸18を挿着することにより、爪4をブラケット3に枢着軸18を中心に内外方向に開閉可能に取付ける。
油圧シリンダ5のボトム側端部は、この端部に設けたボス36(図2参照)をブラケット3に設けたボス15、15間に嵌合し、連結用の軸37を貫通孔14およびこれらのボス15、36に挿着して油圧シリンダ5のボトム側端部をブラケット3に回動可能に連結する。また、ボス15にその半径方向に設けた貫通孔38および軸37の抜け止め孔(図示せず)に挿着するピンやボルトからなる抜け止め部材(図示せず)により軸37を抜け止めする。
油圧シリンダ5のロッド側端部は、この端部に設けたボス39(図2参照)を爪4の中途部に設けた貫通孔20およびボス21の位置に合わせ、これらの貫通孔20およびボス21、39に軸40を挿着して油圧シリンダ5のロッド側端部を爪4の中途部に回動可能に連結する。また、ボス21に半径方向に設けた貫通孔41および軸40の抜け止め孔(図示せず)に挿着するピンまたはボルトからなる抜け止め部材(図示せず)によりこの軸40を抜け止めする。
次に爪4内への金属片や塵埃等の異物の侵入防止構造について説明する。ブラケット3を構成する2枚の平行板3a、3aの上面部は枢着軸18を中心とする円弧上にあるように弧状に形成する。そしてこの弧状をなす上面部における、下部フレーム2からボス15の近傍にいたる箇所にわたり、平行板3a、3a間への金属片や塵埃等の侵入防止のための枢着軸18を中心とする円弧に沿う弧状の固定カバー43を溶接する。また、2枚の平行板3a、3aの下面部も枢着軸18を中心とする円弧上にあるように弧状に形成し、下部フレーム2から爪4の開閉に伴って爪の根本部が移動する範囲にわたり、平行板3a、3a間への金属片や塵埃等の異物の侵入防止のため、前記円弧に沿う弧状の固定カバー44を溶接する。これらの固定カバー43、44はブラケット3の補強の役目も果たす。
可動カバー27は次のようにして取付ける。図7に示すように、前記ブラケット3に設けるボス15、15の上面に、それぞれ一対の取付け部材45、46をボス15の軸心方向に並べて溶接する。これらの部材45、46のうち、平行板3a側に近い部材45には貫通孔45aを設け、他方の部材46にはねじ孔46aを設ける。また、平行板部3aには貫通孔45aとねじ孔46aと同軸線上に貫通孔47を設ける。
一方、可動カバー27の一端側の下面には、図8の側面図、図9の平面図に示すように、前記部材45、46間に挿入して軸支させるための取付け片48、48を設け、これらの取付け片48、48に貫通孔48aを設ける。また、可動カバー27の固定カバー43の反対側の端部、すなわち外端部の下面の両側には、この可動カバー27が油圧シリンダ5のチューブ上に安定的に跨いで支持されるための鞍部材49をねじ等の固定具50により(溶接でもよい)取付けると共に、可動カバー27の外端部側に油圧シリンダ5のチューブを避けるための弧状の切欠部51を設ける。また、爪4が閉じた際の可動カバー27の位置が、爪4の枢着軸18を中心とする円弧上にあるように規制するため、ブラケット3に当接させるストッパ52を溶接する。また、可動カバー27には、油圧シリンダ5のボス36を避けるための4角形の開口部53を設ける。
この可動カバー27は、取付け片48をボス15に設けた取付け部材45、46間に嵌め、ブラケット3の平行板部3aの貫通孔47より軸54(図10〜図13参照)を挿入し、この軸54を取付け部材45の貫通孔45a、取付け片48の貫通孔48aに挿入して取付け部材46のねじ孔46aに軸54の先端の雄ねじ部を螺合することにより、ボス15に回動可能に取付ける。なおこの軸54としては雄ねじ部を有するものではなく、ピンを用いることもできる。この可動カバー27の内縁部(下部フレーム2に近い側の縁部)は、固定カバー43の外縁部に近接する。
次に固定カバー43、可動カバー27の作用を図10〜図13の断面図により説明する。図10〜図13に示すように、固定カバーの外面は、爪4の枢着軸18を中心とする円弧状となるように構成される。図10は油圧シリンダ5が最も収縮した状態、すなわち爪4が全開の状態であり、このとき、外面板4cの根本部は下部フレーム2に最も近接した位置にある。このとき、固定カバー43のほとんど全部と、可動カバー27の全部が爪4の外面板4cにより覆われた状態であり、側面板4bとブラケット3との間も微小隙間が保たれるため、金属片や塵埃等の異物が爪4内に侵入するおそれはない。また、可動カバー27は、その外縁部の鞍部材49が油圧シリンダ5のチューブに乗った状態で、可動カバー27外縁部が上に持ち上げられた状態である。
この全開状態から油圧シリンダ5を伸長させて爪4を閉じ方向に動作させると、図11に示すように、外面板4cの根本部は枢着軸18を中心とする円弧上にある固定カバー43の上面に沿い、固定カバー43との間に微小間隔を保ちながら動く。したがってこの場合にも金属片や塵埃等の異物が爪4内に侵入するおそれがない。このように外面板4cの根本部が固定カバー43上に沿って動く際に、油圧シリンダ5のチューブは軸40を中心に下方に揺動するが、これに伴い、可動カバー27は、その外縁部の鞍部材49が油圧シリンダ5のチューブに乗った状態で軸54を中心に下方に回動するので、可動カバー27が爪4の外面板4cに干渉することがなく、爪4の動きを妨げない。
爪4が更に閉じ、図12に示すように、爪4の外面板4cの根本側端部が固定カバー43と可動カバー27との境界を超える際あるいは超えた際に、可動カバー27に設けたストッパ52がブラケット3の平行板3aの周辺部に当接し、それ以上の可動カバー27の下方への回動を防ぐ。このとき、固定カバー43の外縁部と可動カバー27の内縁部が最も近接し、両者間からの金属片や塵埃等の異物の侵入を防ぐ。このとき、可動カバー27は枢着軸18を中心とした円弧上にある。
図12の状態からさらに爪4が閉じる際に、爪4の外面板4cの根本側端部は可動カバー27の上面の円弧に沿って一定の微小間隔を保ったまま移動するから、この移動状態からさらには図13に示すように爪4が最も閉じた状態にわたり、爪4と可動カバー27との間から金属片や塵埃等の異物の侵入が防止される。図13のように爪4が最も閉じた状態では、可動カバー27の一部が爪4の外面板4cにより覆われずに露出し、残部が外面板4cにより覆われた状態となる。
このように、この実施の形態のグラップルにおいては、固定カバー43と可動カバー27とを備えたもので、爪4の開閉の全過程において、爪4の外面板4cでブラケット3や油圧シリンダ5のボトム側端部を覆うカバー27、43に対して微小間隔を保って覆うことができる。
すなわち、このグラップルにおいては、爪4の閉じ(開き)動作の際には爪4の外面板4cの下方(上方)への移動および油圧シリンダ5の下方(上方)への揺動に伴い可動カバー27も連動して下方(上方)に回動するので、爪4および油圧シリンダ5の開閉動作に伴って常に可動カバー27が爪4や油圧シリンダ5の動きを妨げない位置となる。このため、可動カバー27は爪4の根本部の外面板4cに常に近接した微小隙間を保ったままの状態で油圧シリンダ5のボトム側端部を覆うので、爪4の開閉の全範囲にわたり、金属片や塵埃等の異物が爪4内に入ることを防止することができ、爪4内に侵入する金属片や塵埃等の異物による油圧シリンダ5の損傷を防止することができる。
また、中空構造の爪4の中に油圧シリンダ5を収容する構造としたので、爪4の外面にシリンダカバーや蓋体を設ける場合に比較してグラップルの重量を軽量化することができ、グラップルの処理容量を増大させ、小型の作業機を用いて比較的容量の大きなグラップルを取付けて作業を行なうことができ、作業の能率向上、経済化、省エネルギー化が図れる。
また、固定カバー43や可動カバー27は平板状のものを用いることも可能であるが、この実施の形態のように枢着軸18を中心とする弧状とすることが理想的である。すなわち固定カバー43は弧状をなすので、爪4の閉じ動作の前半において、爪4の外面板4cと固定カバー43との間が相互に干渉することなく、両者の間隔を微小の一定隙間を保つことができる。また、爪4が閉じ動作の後半において、可動カバー27の外面は、枢着軸18を中心とする円弧状をなすため、爪の根本部の外面板4cの端部を可動カバー27に近接させた場合であってもこれらが相互に干渉することがなく、このため、爪4の根本部の外面板4cと可動カバー27との間の隙間をより小さくすることができ、爪4内への金属片や塵埃等の異物の侵入がより効果的に防止される。
次に爪4の側面板4bの内面とブラケット3の平行板3aの外面との間に設けるスライドプレートについて説明する。図6、図14に示すように、爪4の側面板4bの根本側にはスライドプレート55を取付けるための切欠部56を設ける。57はこの切欠部56の外面側を覆うように側面板4bにより固着された補強板である。この補強板57は、切欠部56を覆い、その近傍から前記開口部23の回りの外面板4c側の縁部に沿って設けることにより、開口部23の周囲の根本部を補強する。スライドプレート55は硬質合成樹脂製であり、図15に示すように、補強板57の内面に当てるように切欠部56内に嵌め込み、補強板57に設けた貫通孔59にボルト60を挿通してスライドプレート55に設けたねじ孔61に螺合して締結することにより、切欠部56に固定する。62はボルト60の頭部を保護するために補強板57に溶接したボルトガードである。
このようなスライドプレート55を設ければ、爪4の開閉動作に伴い、鋼板でなるブラケット3の平行板3aに合成樹脂製のスライドプレート55が当接し摺動するため、金属板同士が接触して摺動する場合の異音が発生せず、爪4の側面板4bとブラケット3との間の隙間を小さく構成することができ、側面板4bとブラケット3との間の隙間からの異物の侵入を防止することができ、さらに近隣への騒音による迷惑が防止できる。また、スライドプレート55をブラケット3に密着させて構成できるため、爪4とブラケット3との間のガタが少なくなり、作業中に爪4に発生する捻り力を枢着軸18のみならず、スライドプレート55によっても担うことができ、枢着軸18への負担が軽減される。
またスライドプレート55はブラケット3の平行板3aの外面に設けることもできるが、この実施の形態においては、爪4の根本部の側面板4bに設けた切欠部56と補強板57との間にスライドプレート55を嵌合してボルト60により固定する構造としたので、スライドプレート55の側面板4bによる保持が強固に行なわれ、スライドプレート55の取付けが容易になると共に、スライドプレート55の取付け部近傍が補強されるので、スライドプレート55の取付け部の変形を防止することができる。
なお、切欠部56はこの実施の形態のように切り込み状に設けるのではなく、周囲が閉じた開口部状に設けてもよい。
本発明のグラップルは、この実施の形態のように作業機の作業用アームに油圧シリンダにより回動可能に取付けるのではなく、垂下して取付ける構造のものとして用いることも可能である。
1:上部構造体、2:下部フレーム、3:ブラケット、3a:平行板、4:爪、4a:内面板、4b:側面板、4c:外面板、5:油圧シリンダ、6:油圧モータ、8:旋回装置、9:ブラケット、10、11:ボス、12:貫通孔、13:ボス、14:貫通孔、15:ボス、17:貫通孔、18:枢着軸、19:ボス、20:貫通孔、21:ボス、22、25:ポート、23、24、26、29:開口部、27:可動カバー、28:ボルトガード、30:ねじ孔、31:ボルト、32〜35:蓋板、36:ボス、37:軸、38:貫通孔、39:ボス、40:軸、41:貫通孔、43、44:固定カバー、45、46:取付け部材、47:貫通孔、48:取付け片、49:鞍部材、50:固定具、51:切欠部、52:ストッパ、53:開口部、54:軸、55:スライドプレート、56:切欠部、57:補強板、59:貫通孔、60:ボルト、61:ねじ孔、62:ボルトガード
Claims (4)
- 作業機のアームに取付けられる上部構造体と、
前記上部構造体の下部フレームに周方向に間隔を有して設けられる複数個の爪取付け用のブラケットと、
断面形状が4角形の中空構造を成し、前記各ブラケットにそれぞれ根本部を外嵌して枢着軸を中心に内外方向に開閉可能に取付けられる複数本の爪と、
前記各爪内に収容され、一方側端部が前記ブラケットにおける前記枢着軸より爪開閉方向の外側となる位置に回動可能に連結され、他方側端部が前記爪の中途部分に回動可能に連結して取付けられる爪開閉用の油圧シリンダと、
前記ブラケットの上面に設けられて前記ブラケットの上面部を覆い、前記爪が開いた状態において前記爪の根本部の外面板により覆われると共に、前記爪が閉じた状態において露出する固定カバーと、
その内縁部が前記固定カバーの外縁部に隣接して前記油圧シリンダの前記一方側端部を覆い、かつ前記内縁部を前記ブラケットに軸支して回動可能に取付けられ、前記爪が開いた状態において前記爪の根本部の外面板により覆われると共に、前記爪が閉じた状態において一部が露出すると共に、残部が前記爪の根本部の外面板により覆われる可動カバーとを備えたことを特徴とするグラップル。 - 請求項1に記載のグラップルにおいて、
前記固定カバーおよび爪を閉じた状態における前記可動カバーの外面が、前記枢着軸を中心とする円弧状となるように構成されることを特徴とするグラップル。 - 請求項1または2に記載のグラップルにおいて、
前記爪の根本部の側面板の内面若しくは前記ブラケットの外面の少なくともいずれか一方の面に、他方の面に当接するスライドプレートを設けたことを特徴とするグラップル。 - 請求項3に記載のグラップルにおいて、
前記爪の前記側面板に切欠部を設けると共に、前記側面板の外面に前記切欠部を覆う補強板を固着し、前記スライドプレートを前記切欠部に嵌めると共に前記スライドプレートを前記補強板を介して挿通される固定具により固定して取付けたことを特徴とするグラップル。
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