JP4781441B2 - グラップル - Google Patents

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本発明は、作業機のアームに取付けられ、各種廃棄物(スクラップ)や各種チップ等を把持して積み込み、積み降ろし、集積等の作業を行なう場合に使用するグラップルに関する。
産業廃棄物等のトラックへの積み込み、積み降ろし、集積等の作業を行なうグラップルは、例えば油圧ショベルのバケットの代わりに作業用アームの先端に油圧シリンダにより回動可能に、あるいは吊り下げて取付けられる。このようなグラップルは、特許文献1に記載されているように、作業機の作業用アームに取付けられる上部構造体と、この上部構造体の下部に取付けられる下部フレームと、この下部フレームの外側に開閉可能に取付けられる複数本の爪および爪開閉用の油圧シリンダとを備える。下部フレームは底面に底板を溶接し、その底板には下部フレーム内の油圧ホース等の油圧機器の交換等、保守点検するための開口部を有する。そしてこの開口部には、下部フレーム内の油圧機器保護のため、カバーをボルトにより取付けて開口部を閉塞している。
特開2005−240431号公報
前述した従来のグラップルによりスクラップ等の処理対象物を把持する場合、処理対象物がカバーに当接し、爪の強い把持力が処理対象物を介してカバーに加わったり、グラップルの処理対象物に対する押付力の反力がカバーに加わると、カバーを底板に取付けているボルトに力が加わってボルトが折損し、カバーが落下する虞があるという問題点があった。
本発明は、上記問題点に鑑み、下部フレームの底板の開口部を閉塞するカバーを取付けるボルトの折損とこれに伴うカバーの落下の虞がない構造のグラップルを提供することを目的とする。
請求項1のグラップルは、作業機のアームに取付けられる上部構造体の下部に設けられ、周囲に複数本の爪と爪開閉用の油圧シリンダが取付けられる下部フレームと、
前記下部フレームの底面に固定された底板と、
前記底板に設けられた円形の開口部と、
中心に取付穴を有し、前記開口部の半径方向および上方への移動が規制された態様で前記開口部に回動可能に嵌合される前記開口部閉塞用の円形のカバーと、
前記底板の上面に置かれる前記カバー支持用のサポートと、
前記サポートの前記開口部の周方向の回動を規制する手段と、
前記サポートに設ける雌ねじ部材に上部のねじ部を螺合するか、または前記サポートに固定されて下部のナット螺合用ねじ部を下側にして取付けるカバー取付ボルトと、
前記カバー取付ボルトに外嵌されると共に、前記カバーの取付穴に相対的に回動可能に内嵌され、前記サポートと前記カバー取付ボルト下端の頭部との間、または前記サポートと前記カバー取付ボルト下端に螺合するナットとの間に介装して前記カバーの回動を許容する上下の微小隙間を前記カバーと前記底板との間に生じさせる円筒状のスペーサとを備えたことを特徴とする。
請求項2のグラップルは、請求項1に記載のグラップルにおいて、
前記スペーサと前記カバー取付ボルトの頭部または前記ナットとの間に、前記微小隙間調整用のシムを介装したことを特徴とする。
請求項3のグラップルは、請求項1または2に記載のグラップルにおいて、
前記サポート回動規制手段として、前記底板上に設けられ、前記上部構造体と前記爪開閉用の油圧シリンダとの間に配設される油圧ホースを中継する継手の取付座を用いたことを特徴とする。
請求項1の発明においては、サポートとカバー取付ボルトの頭部またはナットとの間で挟持されるスペーサにはカバー取付ボルトの締付力が加わるが、カバーにはこの締付力が加わらず、カバーは底板に対して回動可能に装着される。また、カバーを支持しているサポートは、底板上に置かれているので、底板に対して移動可能である。このため、グラップルにより処理対象物を把持した際、あるいは処理対象物からグラップル押付力の反力を受けた場合等において、把持力や反力が処理対象物を介してカバーに加わると、カバーが回動してその力を逃がす。また、仮にカバーに前記処理対象物より半径方向に移動する力が加わったとしても、前記サポートは底板上に置かれて移動可能であるから、サポート、カバー取付ボルトおよびサポートは底板に対して移動する。このため、カバー取付ボルトに無理な力がかからず、カバー取付ボルトの折損によるカバーの落下を防止することができる。
請求項2の発明によれば、前記スペーサと前記カバー取付ボルトの頭部または前記ナットとの間に、前記微小隙間調整用のシムを介装したので、シムの枚数でサポートとカバー取付ボルトの頭部またはナットとの間隔を調整することにより、カバーと底板との上下方向の微小隙間を、カバーの回動が可能でかつガタが最小となる程度に設定できる。このため、スペーサの上下寸法や底板の厚さの精度を高く製造する必要がなくなり、製造が容易となる。また、カバーと底板との隙間を最小に設定することができるので、ガタの小さいカバーの取付構造が実現できる。
請求項3の発明によれば、底板上に設ける油圧ホース中継継手の取付座をサポートの回動を規制する手段として兼用したので、部品点数を削減できる。
本発明を適用するグラップルの一実施の形態を示す一部省略側面図である。 この実施の形態のグラップルの内部構造を示す断面図である。 図1のグラップルの底板部を示す底面図である。 この実施の形態の下部フレーム内の油圧機器の配置を示す側面図である。 この実施の形態のサポートの取付構造を示す平面図である。 図5のA−A断面図である。 図6の部分拡大図である。 本発明のサポートの他の取付構造を示す平面図である。 図8のB−B断面図である。
図1は本発明のグラップルの一実施の形態を爪の一部を除いて示す側面図である。このグラップルは、油圧ショベル等の作業機の作業用アーム(図示せず)に取付けられる上部構造体1と、この上部構造体1の下部に設けられ、5角筒状をなす下部フレーム2とを備える。下部フレーム2の筒部2aの外面には、周方向に等間隔を有して設けられた2枚の平行板3aを有する複数個のブラケット3を設ける。2bは下部フレーム2の各コーナー部に設けた補強部である。各ブラケット3にピン4を中心に開閉可能に断面形状が4角形の中空構造をなす爪5を取付ける。6は爪開閉用の油圧シリンダであり、各油圧シリンダ6は、一端をブラケット3にピン8により連結し、他端を爪5にピン9により連結して爪5内に収容して取付けられる。この実施の形態においてはブラケット3および爪5が5本ずつ設けられる例を示しているが、本発明はこれらのブラケット3や爪5が2本以上設けられるグラップルに適用できる。また、油圧シリンダ6は爪5の外部に設ける場合もある。
上部構造体1は、油圧モータ10により前記下部フレーム2を旋回する旋回装置11と、この旋回装置11上に設けられたブラケット12とを有し、このブラケット12は作業用アームにピン付けするためのボス13と、作業用アームに取付けられるリンクに連結するためのボス14とを有する。なお、作業機の作業用アームに油圧シリンダにより回動可能に取付けるのではなく、垂下して取付ける構造のものとして用いることも可能である。
図2の断面図および図3の底面図に示すように、下部フレーム2の底面には底板2cを溶接により固定する。この例では底板2cの外周のブラケット3、3間に凹部16を形成し、この凹部16およびその上のコーナー部の切欠部にこれらに沿う曲板17を溶接している。また、底板2cには、凹部16に沿って補強板18を溶接している。これにより、爪5からブラケット3を介して底板2cや平面部2aに加わる力による応力集中を緩和し、下部フレーム2の強度を向上させている。
旋回装置11の中心には、油圧シリンダ6への作動油の供給を行なうためにブラケット12側の非旋回部と下部フレーム2側の旋回部との油路を接続するセンタージョイント20を設ける。図4の側面図および図6の断面図に示すように、底板2上にはその一部となる上板2dが溶接される。図4において、20は旋回装置11の非旋回部と旋回部の油圧回路を接続するセンタージョイント、21はこのセンタージョイント20と油圧シリンダ6とを接続する油圧ホース、22は油圧ホース21を中継する継手、24はこの継手22を取付ける取付座である。この取付座24は、各爪5の開閉用油圧シリンダ6に対応させて、上板2d上に等間隔に固定される。各取付座24はそれぞれ2個の取付穴24aを有し、各取付穴24aに継手22にねじ部を挿通してナット23を螺合することにより、継手22が取付座24に取付けられる。継手22と油圧シリンダ6との間の油圧ホース(図示せず)は、下部フレーム2の筒部2aに設けた開口部25(図2参照)を通して配設する。
図2と図6の断面図に示すように、上板2dには円形の開口部29aを設ける。底板2cには、開口部29aの直径より大きい直径を有する円形の開口部29bを設ける。そして、開口部29a,29bが同心となるように上板2dを底板2cに重ねて溶接することによって段部29cを有する開口部29を形成する。27はこの開口部29を塞ぐカバーである。このカバー27の外径は、上板2dの開口部29aの直径より大きく、底板30の開口部29bの直径よりやや小さく形成することにより、開口部29b内に下記の取付構造により回動可能に、かつ上方への移動を上板2dで規制した態様で収容される。
31はカバー取付ボルト、32は底板2c上に置かれるカバー27取付け用のサポート、33はサポート32とボルト31の頭部31aとの間に介装する円筒状のスペーサ、34はボルト31を挿通しスペーサ33とボルト頭部31aとの間に介装したワッシャである。このワッシャ34はボルト31の頭部31aと一体をなす構造であってもよい。
35はサポート32上に溶接した円筒体、36はこの円筒体35上に溶接した雌ねじ部材(ナット)である。この実施の形態のサポート32は、中心にボルト31を挿通する円穴32aを有する。また、このサポート32は、図5に示すように、直板部32bの一端に分岐部32c,32dを形成し、直板部32bの端部と分岐部32c,32dをそれぞれ前記取付座24の間に置いて開口部29aを跨ぐにように上板2d上に置くことによりセットされる。このとき、直板部32bの端部および分岐部32c,32dと取付座24との間に隙間Gが形成され、サポート32はカバー27の動きに呼応して底板2c上を移動可能である。
図6とその部分拡大図である図7に示すように、この実施の形態のカバー27は3枚の円板38,39,40を重ねて溶接することにより構成される。そして上円板38はその中心に前記スペーサ33の外径よりやや大きな内径の前記円穴27aを有する。中円板39はその中心にワッシャ34の外径よりやや大きな円穴39aを有する。下円板40は、ボルト31の保護のために設けたもので、下円板40の下面はボルト31の頭部の下面より下側に位置する。下円板40の円穴40aはワッシャ34を挿通可能なサイズでかつボルト31の頭部31aに嵌合して回す工具が挿通可能なサイズを有する。
カバー27の取付けは次のようになされる。円筒体35および雌ねじ部材36を固着したサポート32を図5に示したように上板2d上にセットしておく。そしてスペーサ33およびワッシャ34を嵌めたボルト31をカバー27の円穴27a内に挿通し、ボルト31をサポート32の中心の円穴32a、円筒体35にそれぞれ挿通し、ボルト31の上端のねじ部31bを雌ねじ部材36に螺合し、締め付ける。
このとき、カバー27をスペーサ33に対して回動可能とする。すなわち、スペーサ33の上下方向の高さ、すなわちサポート32の下面とワッシャ34との間の間隔が、上板2dの厚みとカバー27の上円板38の厚みとを加えた総和の厚みよりわずかに大きくなるように設定する。これにより、上板2dの下面とカバー27の上面との間に上下方向に微小隙間g(図7参照)が形成され、ボルト31の締付力でサポート32とワッシャ34との間でスペーサ33を強く挟持しても、この締付力はカバー27には加わらず、カバー27はボルト31(スペーサ33)を中心に回動可能とした状態で保持することができる。また、前述のように、サポート32はカバー27の動きに呼応して移動可能である。
このため、グラップルにより処理対象物を把持した際、あるいは処理対象物からグラップル押付力の反力を受けた場合等において、処理対象物を介して把持力や反力がカバー27に加わると、カバー27が回動してその力を逃がす。また、仮にカバー27に処理対象物が衝突し、これによってスペーサ33やボルト31に半径方向に移動する力が加わり、カバー27がその外周と底板2cの開口部29bの内周との間の隙間分だけ移動したとしても、サポート32は底板2c上に置かれて移動可能であるから、サポート32、ボルト31およびスペーサ33は底板2cに対して移動する。このため、ボルト31に無理な力がかからず、ボルト31の折損によるカバー27の落下を防止することができる。
また、ボルト31をワッシャ34、スペーサ33、サポート32、円筒体35に挿通して雌ねじ部材36に螺合することによってカバー27を開口部29に取付けたり、ボルト31を取付け時と逆に回してカバー27を外すため、サポート32を底板2c上で回り止めすることは必要である。このサポート32の回り止めのため、上板2d上に設ける油圧ホース中継継手22の取付座24をサポート32の回動を規制する手段として兼用したので、部品点数を削減できる。ボルト31をサポート32から外してカバー27を取外した状態では、サポート32を横移動させ、さらに傾斜させることにより、開口部29から下方に抜き取ることができるので、サポート32等が油圧ホース21の交換等の保守点検作業の邪魔になることはない。
なお図6、図7に示した実施の形態においては、サポート32上に円筒体35を固着することにより、ボルト31として長いものを使用する構成としている。これにより、ボルト31の弾性をその長さ分だけ増大させ、ボルト31に作用する力を可及的に弾性的に(柔軟に)受けるようにしてボルト31の弛み止めを図っている。
また、この実施の形態においては、図7に示すように、スペーサ33とボルト31の頭部31a(ワッシャ34)との間に、カバー27と上板2dとの微小隙間gを調整するためのシム41を介装している。
図7に示すようにシム41を設け、このシム41の枚数でサポート32とボルト31の頭部31aの間隔を調整することにより、カバー27と底板2cとの上下方向の微小隙間gをカバー27の回動が可能でかつガタが最小となる程度に設定できる。このため、スペーサ33の上下寸法や底板2c(上板2d)の厚さの精度を高く設定する必要がなくなり、製造が容易となる。また、カバー27と底板2cとの隙間を最小に設定することができるので、ガタの小さいカバー27の取付構造が実現できる。
上記実施の形態においては、下部フレーム2に爪5が5本設けられる例について示したが、爪5が4本の場合には、図8に示すように、前記サポート32の代わりに直板状のサポート32Xを、その両端を継手22の取付座24の間に周方向に多少の隙間を持たせて配置する。
また、この実施の形態においては、図9に示すように、ボルト31の向きを上下逆にしている。この場合、ボルト31の頭部31aはサポート32Xに対し、それぞれ互いに溶接されるワッシャ37、円筒体35を介して溶接により固定される。この場合、ねじ部31bは下向きとなり、ねじ部31bにスペーサ33を外嵌し、シム41、ワッシャ34を介してナット42を螺合してスペーサ33を締め付け、カバー27を回動可能に支持する。この実施の形態においても、ナット42を弛緩することにより、カバー27を開口部26に着脱することができる。
上記実施の形態においては、スペーサ33をサポート32,32Xと別体に構成したが、スペーサ33をサポート32と一体に構成してもよい。また、本発明は、上部構造体1と下部フレーム2との間に旋回装置8を持たない非旋回型のグラップルにも適用することができる。
1:上部構造体、2:下部フレーム、2a:筒部、2b:補強部、2c:底板、2d:上板、3:ブラケット、4:ピン、5:爪、6:爪開閉用の油圧シリンダ、8,9:ピン、10:油圧モータ、11:旋回装置、12:ブラケット、13,14:ボス、16:凹部、17:曲板、18:補強板、20:センタージョイント、21:油圧ホース、22:継手、23:ナット、24:取付座、27:カバー、27a:取付穴、29,29a,29b:開口部、29c:段部、31:カバー取付ボルト、31a:頭部、31b:ねじ部、32,32X:サポート、33:スペーサ、34:ワッシャ、35:円筒体、36:雌ねじ部材(ナット)、37:ワッシャ、38〜40:円板、39a,40a:円穴、41:シム、42:ナット

Claims (3)

  1. 作業機のアームに取付けられる上部構造体の下部に設けられ、周囲に複数本の爪と爪開閉用の油圧シリンダが取付けられる下部フレームと、
    前記下部フレームの底面に固定された底板と、
    前記底板に設けられた円形の開口部と、
    中心に取付穴を有し、前記開口部の半径方向および上方への移動が規制された態様で前記開口部に回動可能に嵌合される前記開口部閉塞用の円形のカバーと、
    前記底板の上面に置かれる前記カバー支持用のサポートと、
    前記サポートの前記開口部の周方向の回動を規制するサポート回動規制手段と、
    前記サポートに設ける雌ねじ部材に上部のねじ部を螺合するか、または前記サポートに固定されて下部のナット螺合用ねじ部を下側にして取付けるカバー取付ボルトと、
    前記カバー取付ボルトに外嵌されると共に、前記カバーの取付穴に相対的に回動可能に内嵌され、前記サポートと前記カバー取付ボルト下端の頭部との間、または前記サポートと前記カバー取付ボルト下端に螺合するナットとの間に介装して前記カバーの回動を許容する上下の微小隙間を前記カバーと前記底板との間に生じさせる円筒状のスペーサとを備えたことを特徴とするグラップル。
  2. 請求項1に記載のグラップルにおいて、
    前記スペーサと前記カバー取付ボルトの頭部または前記ナットとの間に、前記微小隙間調整用のシムを介装したことを特徴とするグラップル。
  3. 請求項1または2に記載のグラップルにおいて、
    前記サポート回動規制手段として、前記底板上に設けられ、前記上部構造体と前記爪開閉用の油圧シリンダとの間に配設される油圧ホースを中継する継手の取付座を用いたことを特徴とするグラップル。
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