JP2008210907A - 積層型サーミスタおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】低抵抗化を図りつつ酸化処理後のPTC特性を向上し、さらに酸化処理時における電極の酸化を防止する。
【解決手段】半導体セラミック層を(Ba1-w−xSrREαTiO+βSiO+zMnO・・・組成式(1)で示される化合物を含む焼結体から構成する。組成式(1)において、REは、Y、La、Ce、Sm、Er、Nd、Dyからなる群から選択される少なくとも1種で表されるとともに、w、x、z、β(いずれもmol)、およびα(Baサイト/Tiサイトのmol比)は、0≦w≦0.3、0.002≦x≦0.008、0≦z≦0.0015、1.02≦α≦1.1、2.35α−2.39<β<2.35α−2.32を満足する。内部電極はNi系金属材料およびBaTiO系材料から構成され、Ni系金属材料100重量部に対するBaTiO系材料の割合を10〜25重量部とするようにした。
【選択図】図2

Description

本発明は、内部電極にNi系金属を用い、正の抵抗温度特性を有する積層型サーミスタおよびその製造方法に関する。
サーミスタとして、正の抵抗温度特性を有する、つまり温度の上昇に対して抵抗が増加するサーミスタがある。このサーミスタはPTC(Positive Temperature Coefficient)サーミスタと称される。
PTCサーミスタは、チタン酸バリウム(BaTiO)を主成分とし微量の希土類元素等を添加して導電性をもたせた半導体磁器と電極とを備えて構成されており、例えば回路の過電流保護素子として、あるいは温度センサ等として広く利用されている。
近年、消費電力をできるだけ抑えるためにPTCサーミスタの低抵抗化の要望が強い。抵抗は電極面積に反比例するため、電極面積が大きいほど抵抗を低減することができる。しかし、従来の単板型の半導体磁器では電極面積を大きくすることに限界があり、近年の低抵抗化には応えられない。このため、単板型に代わるものとして、積層型のPTCサーミスタが提案されている(例えば特許文献1参照)。積層型PTCサーミスタは、半導体セラミック層と内部電極を交互に積層してなる積層体を一体焼成して得られた焼結体に外部電極を形成してなるもので、この積層型PTCサーミスタによれば、内部電極の電極面積を大幅に増やすことができ、それだけ低抵抗化を可能にでき、上述の要請に応えられる。
内部電極にはオーミック性、および焼成時の耐熱性に優れた金属を採用する必要がある。このような金属として、純NiあるいはNi系合金(以下、両者を総称して「Ni系金属材料」という)が有効である。しかし、このNi系金属材料を内部電極として採用する場合、通常の単板型と同様に大気中にて焼成すると電極が酸化されてしまうという問題がある。このため、Ni系金属材料の酸化を回避するために、還元雰囲気中で半導体セラミック層とNi系金属材料からなる内部電極とを同時に焼成している。但し、焼成時の酸素分圧が低すぎるとPTCサーミスタの粒界の吸着酸素が不足し、急激にPTC特性が劣化してしまう。このため、還元雰囲気中での焼成の後に、焼成温度より低い温度で酸化処理を行うことにより、PTC特性を改善することが行われている。特許文献1によると、正の抵抗温度特性を有する半導体磁器用セラミックグリーンシートとNi系金属材料からなる内部電極用ペーストを交互に積層して積層体を形成した後、該積層体を還元雰囲気中で一体焼成して焼結体を形成し、しかる後該焼結体を酸化処理する方法が記載されている。より具体的には、特許文献1では、その実施例において(Ba0.946Sr0.050.04)TiO+0.002Mn+0.012Si(モル比)の組成を採用し、酸素分圧10−9〜10−12MPaのH−N混合ガスを用いた還元雰囲気中にて1320℃で1時間焼成した後、上記焼成雰囲気より高い酸素分圧下で、かつ焼成温度より低い温度で酸化処理を行っている。
特開平5−47508号公報
しかしながら、半導体セラミック層とNi系内部電極を交互に積層した積層体を一体焼成する際に、半導体セラミック層とNi系内部電極との収縮挙動が近似せずに電極切れが生じ、そのため酸化処理の際に電極が酸化され易く、室温領域における抵抗が上昇してしまう。また、半導体セラミック層とNi系内部電極の密着性が悪く、デラミネーション不良が発生し易いといった問題もある。
さらに、積層型PTCサーミスタにはPTC特性が高いことも要求されるが、抵抗を低減するための手法がPTC特性を劣化させるものであってはならない。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、低抵抗化を図りつつ酸化処理後のPTC特性を向上し、さらに酸化処理時における電極の酸化を防止することのできる積層型PTCサーミスタおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は上記目的を達成するために、組成面、製造条件の観点から様々な検討を行った。その結果、以下の3つの要素を見出した。
(1)これまで単なる焼結助剤として考えられていたSiOは、Baサイト/Tiサイトのmol比と相関があり、両者が特定の関係にあるときに、低抵抗率と高いPTC特性を兼備することができる。
(2)PTCサーミスタの主成分をなすチタン酸バリウム(BaTiO)のBaサイトおよびTiサイトの各々を所定の半導体化剤で所定量だけ置換することにより、低抵抗率と高いPTC特性を兼備することができる。
(3)BaTiO系材料を、所定条件下でNi系内部電極に含ませることにより、半導体セラミック層とNi系内部電極との収縮挙動を近似させることができる。しかも、この手法を採用することによって、上記(1)、さらには上記(2)により得られる低抵抗率と高いPTC特性を阻害することがない。
以上の新規な知見に基づく本発明は、半導体セラミック層と内部電極とが交互に積層されるとともに、内部電極と電気的に接続された外部電極とを有し、正の抵抗温度特性を有する積層型サーミスタであって、内部電極はNi系金属材料およびBaTiO系材料から構成され、Ni系金属材料100重量部に対するBaTiO系材料の割合が10〜25重量部である。半導体セラミック層は、(Ba1-w−xSrREαTiO+βSiO+zMnO・・・組成式(1)で示される化合物を含む焼結体から構成され、組成式(1)において、REは、Y、La、Ce、Sm、Er、Nd、Dyからなる群から選択される少なくとも1種で表されるとともに、w、x、z、β(いずれもmol)、およびα(Baサイト/Tiサイトのmol比)は、以下を満足することを特徴とする。
0≦w≦0.3
0.002≦x≦0.008
0≦z≦0.0015
1.02≦α≦1.1
2.35α−2.39<β<2.35α−2.32
また、本発明は、上記した半導体セラミック層が、(Ba1−w−xSrREα(Ti1−yTM)O+βSiO+zMnO…組成式(2)で示される化合物を含む焼結体から構成され積層型サーミスタも提供する。組成式(2)において、REは、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、DyおよびErからなる群から選択される少なくとも1種の元素、TMは、V、NbおよびTaからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、w、x、y、z、β(いずれもmol)、およびα(Baサイト/Tiサイトのmol比)は、以下を満足することを特徴とする。
0≦w≦0.3
0.001≦x+y≦0.005
0.2≦y/(x+y)≦0.8
0≦z≦0.0015
1.02≦α≦1.1
2.35α−2.39<β<2.35α−2.32
組成式(1)、(2)のいずれを採用する場合であっても、半導体セラミック層を構成する焼結体の空隙率は5〜25%であることが好ましい。
上記した本発明の積層型サーミスタを作製するには、Ni系金属材料と、Ni系金属材料の平均粒径に対して0.15〜0.9倍の平均粒径を有するBaTiO系材料とを用い、Ni系金属材料100重量部に対するBaTiO系材料の割合が10〜25重量部である内部電極用ペーストを作製する。次いで、半導体セラミック層形成用のシートと内部電極用ペーストとが交互に積層された積層体を得た後、この積層体を還元雰囲気中で焼結し、焼結体を得る。そして、得られた焼結体を酸化雰囲気中で熱処理するのである。
Ni系金属材料としては例えばNi粉末を、BaTiO系材料としては例えばBaTiO粉末を用いることができる。
積層体の焼結温度は1180〜1280℃とすることが好ましい。
以上説明したように、本発明によれば、高いPTC特性を備えつつ、積層型PTCサーミスタの低抵抗化を図ることができる。
以下、実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
図1は、本実施の形態における積層型サーミスタの構成を示す断面図である。
積層型サーミスタ1は直方体状のもので、半導体セラミック層2と内部電極3とを交互に積層して積層体を形成し、この積層体を一体焼成して本体4が構成されている。内部電極3は、Ni系金属材料およびBaTiO系材料から構成される。本体4は、上記積層体を還元雰囲気中にて高温焼成した後、低温の酸化処理を施すことによって形成されたものである。
本体4の左端面4aおよび右端面4bには各内部電極3の一端面3aのみが交互に露出しており、他の端面3bは半導体セラミック層2の内部に位置して本体4内に埋設されている。また、上記本体4の左端面4aおよび右端面4bには外部電極5が形成されており、この外部電極5は内部電極3の一端面3aと電気的に接続されている。例えばAgやAg−Pd合金を焼付けて外部電極5とすることができる。
本発明において、半導体セラミック層2は下記の組成式(1)または組成式(2)で示される化合物を含む焼結体から構成される。
(Ba1−w−xSrREαTiO+βSiO+zMnO…(1)
(Ba1−w−xSrREα(Ti1−yTM)O+βSiO+zMnO…(2)
組成式(1)において、REは、Y、La、Ce、Sm、Er、Nd、Dyからなる群から選択される少なくとも1種の元素である。
組成式(2)において、REは、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、DyおよびErなる群から選択される少なくとも1種の元素である。また、組成式(2)におけるTMは、V、NbおよびTaからなる群から選択される少なくとも1種の元素である。
以下、組成式(1)、組成式(2)について順次説明する。
組成式(1)において、w、x、z、β(いずれもmol)、およびα(BaサイトとTiサイトのmol比)はそれぞれ以下を満足する。
0≦w≦0.3、
0.002≦x≦0.008、
0≦z≦0.0015、
1.02≦α≦1.1、
βは、1.02≦α≦1.1の範囲において2.35α−2.39<β[mol]<2.35α−2.32。
なお、組成式(1)において、(Ba1−w−xSrREαTiOの項は、チタン酸バリウム(BaTiO)のBaサイトの一部をSr、REで置換することを示している。ただし、SrによるBaサイトの置換は任意である。
Sr置換量[w]
Baの一部をSrで置換することによりキュリー温度を変動させることができる。但し、wが増加するにつれてキュリー温度が低下し、wが0.3を超えるとキュリー温度と室温との差が小さくなるため、wの上限は0.3とする。本発明においては、25℃における抵抗率(以下、R25℃または室温抵抗率ということがある)の2倍に抵抗率がなる温度をキュリー温度と定義する。
キュリー温度は、PTCサーミスタの用途に応じて調整する必要がある。例えば、電池パック内にPTCサーミスタを入れて電池セルの温度を検出する場合があるが、電池パックに要求されるキュリー温度は80〜90℃である。よって、本発明のPTCサーミスタを電池パック用に用いる場合には、wを0.05≦w≦0.075の範囲とすればよい。また後述する実施例で示すように、所定量のSrでBaサイトの一部を置換することにより、Srで置換しない場合よりもPTC特性を向上させることができる。高いキュリー温度を得たい場合には、wは、0≦w≦0.25の範囲とすることが好ましく、さらには0.05≦w≦0.15とすることが好ましい。PTC特性を重視する場合には、wは、0.05≦w≦0.3の範囲とすることが好ましく、さらには0.1≦w≦0.3とすることが好ましい。
RE置換量[x]
REは半導体化剤として機能し、組成式(1)において、その量を示すxは、0.002≦x≦0.008の範囲とする。この範囲で、高いPTC特性を得ることができる。これに対し、xが0.002未満では、半導体セラミック層2を構成する磁器を半導体化させることが困難である。また、xが0.008を超えると、室温抵抗率が高くなるとともに、PTC特性が低下してしまう。
xは、0.002≦x≦0.006の範囲とすることが好ましく、さらには0.003≦x≦0.005とすることが好ましい。REのなかでは室温抵抗率が低く、かつPTC特性が高いという理由から、Y、Smが特に好ましい。
MnO量[z]
本発明において、MnOは、PTC特性を向上させるのに有効である。ただし、zが0.0015molを超えると室温抵抗率が高くなるとともに、PTC特性が劣化してしまう。そこで本発明は組成式(1)において、MnO量を示すzを0≦z≦0.0015とする。zは、0.0002≦z≦0.0013の範囲とすることが好ましく、さらには0.0005≦z≦0.0012とすることが好ましい。
BaサイトとTiサイトのmol比[α]
BaサイトとTiサイトのmol比を示すαが1.02未満またはαが1.1を超えると、室温抵抗率が高くなり、PTC特性が劣化してしまう。したがって、本発明のαは1.02≦α≦1.1とする。αは1.02≦α≦1.08の範囲とすることが好ましく、さらには1.02≦α≦1.05とすることが好ましい。
SiO量[β]
SiOは焼結助剤として機能するが、BaサイトとTiサイトのmol比と相関があり、両者が特定の関係にあるときに、低抵抗率と高いPTC特性を兼備することができる。すなわち、αおよびβを2.35α−2.39<β<2.35α−2.32に制御することにより、室温抵抗率およびPTC特性を積層型サーミスタ1として好ましい値とすることができる。この式において、1.02≦α≦1.1である。
次に、組成式(2)について説明する。
組成式(2)において、w、x、y、z、β(いずれもmol)、およびα(BaサイトとTiサイトのmol比)はそれぞれ以下を満足する。
0≦w≦0.3
0.001≦x+y≦0.005
0.2≦y/(x+y)≦0.8、
0≦z≦0.0015、
1.02≦α≦1.1、
βは、1.02≦α≦1.1の範囲において2.35α−2.39<β[mol]<2.35α−2.32。
RE、TM置換量[0.001≦x+y≦0.005、0.2≦y/(x+y)≦0.8]
BaサイトのREによる置換量およびTiサイトのTMによる置換量の合計を示すx+yが少なくなると室温抵抗率が高く、かつPTCジャンプが小さくなる傾向にある。また、x+yが多くなるとPTCジャンプが小さくなる。そこで本発明では、0.001≦x+y≦0.005とする。好ましいx+yは0.002≦x+y≦0.005、さらに好ましいx+yは0.002≦x+y≦0.004である。
本発明において、BaサイトのREによる置換量およびTiサイトのTMによる置換量の比率を示すy/(x+y)の値が室温抵抗率およびPTC特性に影響を与える。y/(x+y)の値が小さくなるか、または大きくなると室温抵抗率が高くなるとともに、PTCジャンプが小さくなる傾向にある。そこで本発明は、0.2≦y/(x+y)≦0.8とする。好ましくは0.3≦y/(x+y)≦0.7、より好ましくは0.35≦y/(x+y)≦0.67である。
なお、組成式(2)においてSr置換量[w]、MnO量[z]、BaサイトとTiサイトのmol比[α]、SiO量[β]を上記範囲内とする理由は、組成式(1)の箇所で示した理由と同じであるから、ここでの説明は割愛する。
組成式(1)または組成式(2)の組成を採用することにより、低抵抗化を図りつつ酸化処理後に高いPTC特性を得ることができる。
組成式(1)によれば、25℃における抵抗率R25℃(以下、R25℃または室温抵抗率ということがある)を2×10Ωcm以下、以下の式(3)によるPTCジャンプ(桁数)を1.6以上とすることができる。
PTCジャンプ=Log10(R200℃/R25℃)…(3)
200℃:200℃における抵抗率
25℃:25℃における抵抗率
また、組成式(2)によれば、25℃における抵抗率R25℃(以下、R25℃または室温抵抗率ということがある)を1×10Ωcm以下、以下の式(4)によるPTCジャンプ(桁数)を4以上とすることができる。
PTCジャンプ=Log10(R250℃/R25℃)…(4)
250℃:250℃における抵抗率
25℃:25℃における抵抗率
本発明による半導体セラミック層2は焼結体で構成されるが、その空隙率は5〜25%である。空隙率は室温抵抗率およびPTC特性と相関があり、空隙率が5%未満と低すぎるとPTC特性が劣化する。一方、空隙率が25%を超えると、室温抵抗率が大きくなり、PTC特性も劣化する。好ましい空隙率は10〜25%、さらに好ましくは10〜23%である。空隙率を変動させる要因として、組成および還元焼成条件が挙げられる。組成が本発明の範囲内でも、還元焼成条件によっては空隙率が5〜25%の範囲外の値になる。
<積層型サーミスタの製造方法>
上記した積層型サーミスタ1を作製するには、原料を配合した後に仮焼し、得られた仮焼体を粉砕してスラリーを作製する。そして、そのスラリーを用いて半導体セラミック層用グリーンシートを作製した後、グリーンシートの上面に内部電極用ペーストを印刷して内部電極3を形成する。次いで、グリーンシートを積層して得られた積層体を焼結し、得られた本体4に対して酸化処理(熱処理)を施すのである。本発明は、上記組成式(1)または組成式(2)の組成を採用するとともに、Ni系金属材料およびBaTiO系材料を用いて内部電極3を形成することを特徴としている。
以下、各工程について詳述する。
主成分の原料として、酸化物または加熱により酸化物となる化合物を用いる。具体的にはBaCO、TiO、SrCO、SiO、Mn(NO6HO、REの酸化物(例えばY23)、TMの酸化物(例えば、Nb)を用いることができる。なお、上述した原料に限らず、2種以上の金属を含む複合酸化物の粉末を原料としてもよい。原料として粉末状のものを用いる場合、その原料粉末の平均粒径は0.1〜3.0μmの範囲で適宜選択すればよい。
原料を上記組成式(1)または上記組成式(2)の組成になるようにそれぞれ秤量した後、原料を純水ならびに粉砕用ボールとともにナイロン製ポット内に入れて4〜8時間粉砕混合した後、乾燥させ混合粉末を得る。この混合粉末を仮成形し、1000〜1150℃の範囲内で所定時間保持する仮焼を行う。このときの雰囲気はNまたは大気とすればよい。仮焼の保持時間は0.5〜5時間の範囲で適宜選択すればよい。
次いで、この仮焼体を解砕して得た仮焼粉を粉砕用ボールとともにナイロン製ポットに入れ、これに溶剤、バインダおよび可塑剤を添加して10〜20時間混合し、所定粘度のスラリーを得る。この半導体セラミック層用スラリー中の溶剤、バインダ、可塑剤の含有量には制限はないが、例えば、溶剤の含有量は10〜50重量%、バインダの含有量は1〜10重量%程度の範囲で設定することができる。また、スラリー中には、必要に応じて分散剤等を10重量%以下の範囲で含有させることができる。
得られたスラリーを、ポリエステルフィルム等の上にドクターブレード法等で塗布、乾燥して厚さ10〜100μmのグリーンシートを作製する。このグリーンシートを短冊状に打ち抜いて多数の半導体セラミック層用グリーンシートを得る。
続いて、内部電極用ペーストを作製する。なお、以上では半導体セラミック層用スラリーおよび内部電極用ペーストを順番に作製しているが、並行して作製してもよいし、逆の順番でもよいことはいうまでもない。
内部電極用ペーストは、Ni系金属材料、BaTiO系材料、有機バインダ、有機溶剤等を混合して作製することができる。
有機バインダは公知のものを用いることができ、例えばセルロース系樹脂、エポキシ樹脂、アリール樹脂、アクリル樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、アルキド樹脂、ロジンエステル等のバインダを用いることができる。
有機溶剤も公知のものを用いることができ、例えばターピネオール、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、テレピン油、α−テレビネオール、エチルセロソルブ、ブチルフタレート等の溶剤を用いることができる。
内部電極用ペースト中の有機バインダおよび有機溶剤の含有量は、特に限定されず、通常の含有量、たとえば、有機バインダは5〜10重量%程度、有機溶剤は10〜50重量%程度とすればよい。また、内部電極用ペースト中には必要に応じて各種分散剤、可塑剤、誘電体、絶縁体等から選択される添加物が10重量%以下の範囲で含有されてもよい。
Ni系金属材料は上述の通りNi粉末またはNi合金粉末を含む。Ni合金粉末としては、例えばNi−Pd粉末を用いることができる。
BaTiO系材料としてBaTiO粉末を用いることができるのはもちろんのこと、BaTiOを主成分とする粉末を用いることもできる。BaTiOを主成分とする粉末にはBaおよびTi以外の元素が1種または2種以上含まれるが、この元素が半導体セラミック層2を構成する元素であることが、積層体焼成時における半導体セラミック層2と内部電極3との収縮挙動を近似させる上で好ましく、半導体セラミック層2の組成とBaTiO系材料の組成がほぼ同一であることが最も好ましい。
Ni系金属材料100重量部に対するBaTiO系材料の割合は10〜25重量部とする。この範囲でBaTiO系材料を含有させることにより、室温抵抗率を低減することができるとともに、PTC特性が向上する。BaTiO系材料の添加割合が10重量部未満の場合、室温抵抗率低減およびPTC特性向上という効果は得られず、BaTiO系材料の粒径によっては添加前よりも室温抵抗率が増加してしまう。一方、BaTiO系材料の添加割合が25重量部を超えると、PTC特性向上という効果は得られず、室温抵抗率低減という効果も小さくなってしまう。BaTiO系材料の割合は15〜23重量部であることが好ましく、さらに好ましい割合は15〜20重量部である。
また、焼成前におけるBaTiO系材料の粒径(平均粒径)は、Ni系金属材料の粒径(平均粒径)の0.15〜0.9倍とする。BaTiO系材料の粒径をこの範囲内とすることにより室温抵抗率が低減する。BaTiO系材料の粒径がNi系金属材料の粒径の0.15倍未満、または0.9倍を超えると、BaTiO系材料添加による室温抵抗率低減という効果が小さいか、もしくはその効果を奏しない。BaTiO系材料の粒径はNi系金属材料の粒径の0.15〜0.7倍であることが好ましく、0.15〜0.5倍であることがより好ましい。
内部電極用ペーストを作製した後、グリーンシートの上面に内部電極用ペーストをスクリーン印刷等で印刷して内部電極3を形成する。内部電極3はその一端面3aのみがグリーンシートの端縁まで延びて、他の端面3bはグリーンシートの内側に位置するように形成する。
次いで、半導体セラミック層2と内部電極3とが交互に重なり、かつ内部電極3の一端面3aが半導体セラミック層2の左端縁、右端縁に交互に露出するようグリーンシートを積層し、その上面および下面に内部電極3が形成されていない半導体セラミック層2を重ねる。これをプレスで積層方向に加圧、圧着する。圧着体をカッター等で所望のサイズに切断し、積層体とする。これにより、上記各内部電極3の一端面3aのみが積層体の左端面または右端面に露出し、残りの端面3bは積層体の内部に封入されることとなる。
積層体を大気中、400〜600℃で1〜2時間加熱保持してバインダを除去する。その後、還元雰囲気中、1180〜1280℃で0.5〜4時間積層体を焼結し、本体4を得る。還元雰囲気は例えば水素と窒素の混合雰囲気とすることができ、還元雰囲気中で焼結するのは、内部電極3としてのNi系金属電極の酸化を防止するためである。
続いて本体4に対して酸化雰囲気中、酸化処理(熱処理)を施す。酸化処理の条件は内部電極3の酸化を防止しつつ、かつ半導体セラミック層2のPTC特性を改善することができるものとする。例えば、大気中、500〜850℃で本体4を0.5〜6時間加熱保持することにより、酸化処理を行うことができる。酸化処理温度が500℃未満では、酸化処理が十分に進行しない。また酸化処理温度が850℃を超えると、内部電極3が酸化してしまう。酸化処理の温度は550〜650℃、酸化処理時間は0.4〜6時間、さらには0.4〜3時間とすることが好ましい。酸化処理の際、酸素濃度を変動させることにより、室温抵抗率およびPTC特性を変動させることができる。酸素濃度は酸化処理温度および酸化処理時間に応じて設定する必要があり、酸化処理温度が550〜650℃、酸化処理時間が2時間のときには酸素濃度は10〜30%程度とすればよく、酸化処理時間が2時間であっても酸化処理温度がより高温のときには酸素濃度は1.0%以下、さらには0.1〜0.5%程度とすることが好ましい。なお、酸化処理の温度および時間は本体4の寸法に応じて適宜設定する必要がある。
酸化処理後の本体4の左端面4aおよび右端面4bに外部電極用ペーストを塗布した後、大気中、550〜650℃で焼き付けて外部電極5を形成して外部電極5と内部電極3の一端面3aとを電気的に接続することにより、図1に示した積層型サーミスタ1を得ることができる。外部電極用ペーストとしては、例えばAgペーストやAg−Pdペーストを用いることができる。
以下、本発明を具体的な実施例に基づいて説明する。実施例1〜6では組成式(2)を対象とした実験結果を示し、実施例7〜12では組成式(1)を対象とした実験結果を示す。
BaCO、TiO、SrCO、RE酸化物、TM酸化物、SiOおよびMn(NO・6HOを下記の組成になるようにそれぞれ秤量した後、純水ならびに粉砕用ボールとともにナイロン製ポット内に入れて6時間混合した後、乾燥させ混合粉末を得た。なお、RE酸化物、TM酸化物は以下の通りである。また、下記組成の2.35α−2.39および2.35α−2.32は、各々0.007、0.077となり、β=0.05であるから、2.35α−2.39<β<2.35α−2.32を満足する。
(Ba0.772Sr0.223RE1.02(Ti1−yTM)O+0.05SiO+0.001MnO
RE(x):Gd
TM(y):Nb
RE酸化物:Gd
TM酸化物:Nb
以上の混合粉末を仮成形し、1150℃で4時間保持する仮焼を行った。このときの雰囲気は大気中とした。次いで、この仮焼体を解砕して得た仮焼粉末(平均粒径1μm)を粉砕用ボールとともにナイロン製ポットに入れ、これに溶剤、バインダおよび可塑剤を添加して20時間混合し、半導体セラミック層形成用スラリーを得た。なお、溶剤、バインダ、可塑剤の種類および配合比はそれぞれ以下の通りとした。
溶剤(アセトン、MEK(メチルエチルケトン)、トルエン):
粉末100重量部に対して50重量部配合した。
バインダ(アクリル樹脂):
粉末100重量部に対して5重量部配合した。
可塑剤(ブチルベンジルフタレート):
粉末100重量部に対して2.5重量部配合した。
得られた半導体セラミック層形成用スラリーをポリエステルフィルムの上にドクターブレード法で塗布、乾燥して厚さ80μmのグリーンシートを作製した。このグリーンシートを50mm×50mmの寸法に打ち抜いて多数枚のセラミック層用グリーンシートを得た後、グリーンシートの上面に内部電極用ペーストをスクリーン印刷で印刷して内部電極を形成した。なお、内部電極用ペーストは、平均粒径0.6μmのNi粉末100重量部に対して平均粒径0.1μm、0.3μm、0.5μmのBaTiO粉末を0〜30重量部加えるとともに、これに溶剤としてジヒドロターピネオールおよびバインダとしてエチルセルロースを添加して三本ロール混練して調製したものである。なお、溶剤、バインダの配合比はそれぞれ以下の通りとした。
溶剤:Ni粉末100重量部に対して50重量部配合した。
バインダ:Ni粉末100重量部に対して5重量部配合した。
内部電極の一端面がセラミック層の左端部、右端部に交互に露出するようグリーンシートを積層し、その上面および下面に、内部電極が形成されていないグリーンシートを重ね、これをプレスで積層方向に加圧、圧着した。圧着体をカッターで切断し、2mm×1.2mm×1.2mmの積層体を得た。
積層体を大気中、600℃で2時間加熱保持してバインダを除去した後、還元雰囲気中、1200℃で2時間、積層体を焼結し、焼結体を得た。還元雰囲気は水素と窒素の混合雰囲気とし、水素と窒素の比率は1:99とした。
続いて焼結体を大気中、800℃で2時間加熱保持することにより、酸化処理を行った。なお、酸素濃度は0.2%とした。酸化処理後の焼結体の左端面および右端面にAgペーストを塗布した後、大気中650℃で焼き付けて外部電極を形成し、図1に示す構成の積層型サーミスタ1を得た。得られた積層型サーミスタ1について、25〜250℃における抵抗率を測定し、かつ式(4)に基づきPTCジャンプを求めた。得られた試料No.1〜9、比較例1〜9の結果を表1に示す。また、試料No.1〜3、比較例1〜3の室温抵抗率およびPTCジャンプを図2に、試料No.4〜6、比較例4〜6の室温抵抗率およびPTCジャンプを図3に、試料No.7〜9、比較例7〜9の室温抵抗率およびPTCジャンプを図4に、それぞれ示す。
Figure 2008210907
表1および図2〜4に示すように、BaTiO粉末をNi粉末100重量部に対して10重量部以上添加して内部電極を形成することにより、BaTiO粉末を添加しない場合よりも室温抵抗率が低減され、かつPTCジャンプが向上する。但し、その添加量が30重量部以上になると、室温抵抗率が増加し、BaTiO粉末を添加しない場合よりもPTCジャンプが低くなる。
したがって、BaTiO粉末添加による室温抵抗率低減およびPTC特性向上という効果を得るには、BaTiO粉末をNi粉末に対して10〜25重量部添加することが好ましい。特に、BaTiO粉末の添加量が20重量部のときに室温抵抗率が低く、かつPTCジャンプが大きいことから、BaTiO粉末の添加量は20重量部近傍、具体的には15〜23重量部とすることがより好ましい。
ここで、内部電極用ペーストを作製する際にBaTiO粉末をNi粉末に対して20重量部添加した試料No.8と、BaTiO粉末を添加せずに内部電極用ペーストを作製した比較例7の焼結体断面をSEM(Scanning Electron Microscope:走査型電子顕微鏡)により観察した。試料No.8のSEM像を図5に、比較例7のSEM像を図6にそれぞれ示す。なお、SEM観察した各焼結体は上述した酸化処理を施した後のものである。
図5に示すように、BaTiO粉末をNi粉末に対して20重量部添加した試料No.8についてはほぼ均一な厚さを有する内部電極が形成されており、電極切れは観察されなかった。また試料No.8の端部にブラスト処理を施し、Ni内部電極を露出させた後、Agペーストを塗布し、Ni内部電極の抵抗率を測定したところ、1.0×10−5Ωcmという低い抵抗率が得られた。この結果からも、Ni内部電極に所定量のBaTiO粉末を含有させることにより、Ni内部電極の酸化が防止されることが確認できた。
これに対し、BaTiO粉末を添加しなかった比較例7については、図6中、白矢印で示す箇所に電極切れが生じており、この箇所近傍の内部電極は酸化されていた。比較例7について、試料No.8と同様の条件でNi内部電極の抵抗率を測定したところ、5.0×10−5Ωcmであった。
以上の結果から、半導体セラミック層の組成が同一であっても、内部電極にBaTiO系材料を所定量含有させることにより、室温抵抗率およびPTC特性が相違することがわかった。そして、内部電極に本発明が推奨する範囲内でBaTiO系材料を含有させることにより、低抵抗化を図りつつ酸化処理後のPTC特性が向上し、さらに酸化処理時における内部電極の酸化を防止することができることが確認できた。
表2に示す平均粒径を有するNi粉末およびBaTiO粉末を用い、Ni粉末100重量部に対するBaTiO粉末の添加量を10〜25重量部とした以外は、実施例1と同様にして積層型サーミスタを作製した。得られた積層型サーミスタについて、実施例1と同様に、室温抵抗率およびPTCジャンプを測定した。その結果を表2に示す。
Figure 2008210907
表2に示すように、Ni粉末に対するBaTiO粉末添加量が同一であっても、Ni粉末に対するBaTiO粉末の粒径比を変動させることにより、室温抵抗率およびPTCジャンプが変動する。
Ni粉末に対するBaTiO粉末の粒径比が0.17〜0.83の場合には、粒径比が0.1または1の場合よりも室温抵抗率が低く、かつ4.0桁以上という高いPTCジャンプが得られている。したがって、Ni粉末に対するBaTiO粉末の粒径比は0.15〜0.9とすることが好ましい。
特に、粒径比が0.17、0.5のときに室温抵抗率が低く、かつPTCジャンプが大きいことから、Ni粉末に対するBaTiO粉末の粒径比は0.15〜0.7とすることがより好ましい。
<比較例>
Ni粉末100重量部に対するBaTiO粉末添加量を5重量部または30重量部とした以外は上記実施例2と同様の条件で積層型サーミスタを作製した。得られた積層型サーミスタについて、実施例2と同様に、室温抵抗率およびPTCジャンプを測定した。その結果を表3に示す。
Figure 2008210907
表3に示すように、Ni粉末に対するBaTiO粉末添加量が5重量部、つまり本発明が推奨する範囲より少ない場合には、Ni粉末に対するBaTiO粉末の粒径比を変動させてもPTCジャンプは変動せず、室温抵抗率についても5.0×10Ωcm以下とすることができない。
Ni粉末に対するBaTiO粉末添加量が30重量部、つまり本発明が推奨する範囲よりも多い場合にも、Ni粉末に対するBaTiO粉末の粒径比を変動させても5.0×10Ωcm以下の室温抵抗率を得ることができない。
以上の結果から、Ni粉末に対するBaTiO粉末の粒径比を0.15〜0.9とすることによる室温抵抗率低減およびPTCジャンプ向上という効果は、Ni粉末に対するBaTiO粉末添加量が本発明が推奨する範囲内にある場合の特有の効果であることが確認できた。
実施例3では組成式(2)におけるx+y、y/(x+y)の限定理由を示す。
RE酸化物、TM酸化物を以下の通りとし、最終組成が下記組成となるように調整するとともに、Ni粉末(平均粒径:0.6μm)100重量部に対してBaTiO粉末(平均粒径:0.3μm)を20重量部添加して内部電極用ペーストを調製した以外は、実施例1と同様にして積層型サーミスタを作製した。
(Ba0.772Sr0.223RE1.02(Ti1−yTM)O+0.05SiO+0.001MnO
RE(x)、TM(y):表4、表5
RE酸化物:Y、Gd、La、Ce、Pr、Sm、Dy、Er、Nd
TM酸化物:Nb、V、Ta
得られた積層型サーミスタについて、実施例1と同様に、室温抵抗率を測定し、かつPTCジャンプを求めた。その結果を表4、表5に示す。
表4、表5に示すように、REでBaサイトまたはTMでTiサイトの一方しか置換していない場合(No.11、26、27、30、33、38、39、42)には、PTCジャンプが4未満となるか、またはR25℃が1.0×10Ωcmを超える。
x+y(mol)が0.001未満(No.12〜14)か、0.005を超えると(No.27〜30)では、PTCジャンプが4未満の特性となってしまう。これに対して、x+yが0.001〜0.005の範囲(No.15、17〜22、24、25)にあると、室温抵抗率が1.0×10Ωcm以下、かつPTCジャンプが4以上の特性を得ることができる。x+yは0.003近傍が最も好ましい。
y/(x+y)についてみると、y/(x+y)が0.2未満または0.8を超える(No.16、23)と、PTCジャンプが4未満の特性となってしまう。これに対して、y/(x+y)が0.2〜0.8の範囲(No.17〜22、24、25)にあると、室温抵抗率が1.0×10Ωcm以下、かつPTCジャンプが4以上の特性を得ることができる。
本発明において、本体の空隙率は5〜25%である。空隙率は室温抵抗率およびPTC特性と相関があり、空隙率が5%未満と低すぎるとPTC特性が劣化する。一方、空隙率が25%を超えると、室温抵抗率が大きくなり、PTC特性も劣化する。例えば表4のNo.36の空隙率は27%(25%超の値)であり、本発明が推奨する範囲外である。No.37は室温抵抗率が2.0×10Ωcmと低く、PTCジャンプも0.1と低い。
表5に示すように、REについては、Y以外のGd、La、Ce、Pr、Sm、Dy、ErおよびNd、また、TMについてはNb以外のVおよびTaであっても、x+yおよびy/(x+y)が各々本発明の範囲にあると、室温抵抗率が1.0×10Ωcm以下、かつPTCジャンプが4以上の特性を得ることができる。表4、表5より、REとしてYおよびGdの1種または2種、TMとしてNbを選択した場合に、室温抵抗率およびPTCジャンプの特性が最も優れることがわかる。
Figure 2008210907
Figure 2008210907
実施例4では組成式(2)におけるα、βの限定理由を示す。
下記の組成となるように原料を秤量し、Ni粉末(平均粒径:0.6μm)100重量部に対してBaTiO粉末(平均粒径:0.3μm)を20重量部添加して内部電極用ペーストを調製した以外は、実施例1と同様にして積層型サーミスタを作製した。
(Ba0.772Sr0.223REα(Ti1−yTM)O+βSiO+0.001MnO
x=0.0015、y=0.0015(x+y=0.0030、y/(x+y)=0.5)
得られた積層型サーミスタについて、実施例1と同様に、室温抵抗率、PTCジャンプを求め、また、焼結体の空隙率を測定した。その結果を表6に示す。
Figure 2008210907
表6に示すように、αを固定してβを変動させることにより、室温抵抗率、PTC特性および空隙率が変動する。αに対してβが小さすぎても、また大きすぎても室温抵抗率、PTC特性が劣化してしまう。例えばβの値が0.05molと同一であるNo.82とNo.86とを比較すると、αが1.02であるNo.82については室温抵抗率が1.0×10[Ωcm]以下を示し、かつPTCジャンプが4以上と高いPTC特性を示すのに対して、αが1.04であるNo.86についてはPTCジャンプが1と低い。つまり、0.05molというSiO添加量はαが1.02の場合には適しているが、αが1.04の場合には不適である。
同様に、βの値が0.24molと同一であるNo.97とNo.100とを比較すると、αが1.10であるNo.100については室温抵抗率が低く、かつPTCジャンプが4とPTC特性も高いが、αが1.08であるNo.97については室温抵抗率が高く、PTCジャンプが1と低い。
図7は、No.80〜101のαおよびβをプロットしたグラフである。図7中、室温抵抗率が1×10[Ωcm]以下で、かつPTCジャンプが4以上のPTC特性を有する試料は円(○)でプロットし、室温抵抗率またはPTC特性が上記範囲外のものをばつ(×)でプロットした。その結果、上記特性を兼備する試料のαおよびβは、2.35α−2.39<β<2.35α−2.32(但し、1.02≦α≦1.1)を満足することが確認できた。つまり、αおよびβを上記範囲内に制御することにより、室温抵抗率およびPTC特性を積層型サーミスタとして好ましいものとすることができる。したがって、βは単独で決定すべきではなく、αに応じて決定すべきである。αおよびβは、2.35α−2.37≦β≦2.35α−2.34の関係にある程好ましい。
No.102〜105のように、αが1.02未満またはαが1.10を超えると、室温抵抗率が高くなり、PTC特性が劣化してしまう。したがって、本発明ではαを1.02≦α≦1.1とする。αは1.02≦α≦1.08の範囲とすることが好ましく、さらには1.02≦α≦1.05とすることが好ましい。
表6のNo.101について、仮焼温度を表7に示すように変えた以外は、実施例と同様にして積層型サーミスタを作製した。得られた積層型サーミスタについて、室温抵抗率を求めた。また式(4)に基づきPTCジャンプを求めた。その結果を表7に示す。
表7に示すように、仮焼温度を変えることにより、室温抵抗率およびPTC特性が変動することがわかる。また、表7より、本発明の効果を享受するために、組成式(2)の組成を採用する場合には仮焼温度を1000〜1150℃とすることが好ましい。
Figure 2008210907
実施例5では組成式(2)におけるwの限定理由を示す。
下記の組成となるように原料を秤量し、Ni粉末(平均粒径:0.6μm)100重量部に対してBaTiO粉末(平均粒径:0.3μm)を20重量部添加して内部電極用ペーストを調製した以外は、実施例1と同様にして積層型サーミスタを作製した。ただし、wは表8に示す通りとした。得られた積層型サーミスタについて、実施例1と同様に、室温抵抗率を測定し、かつ式(4)に基づきPTCジャンプを求め、また、焼結体の空隙率を測定した。その結果を表8に示す。
(Ba0.995−x−wSr1.02(Ti1−yNb)O+0.05SiO+0.001MnO
x=0.0015、y=0.0015(x+y=0.0030、y/(x+y)=0.5)
表8に示すように、BaをSrで置換することによりキュリー温度およびPTC特性が変動することがわかる。wが多くなるにつれてPTC特性が向上するが、その一方でキュリー温度が低下してしまうため、wは0≦w≦0.3、さらには0≦w≦0.25とすることが好ましい。4を超えるPTCジャンプを得たい場合には、wは、0.05≦w≦0.3の範囲とすることが好ましく、さらには0.1≦w≦0.3とすることが好ましい。
Figure 2008210907
実施例6では組成式(2)におけるzの限定理由を示す。
下記の組成となるように原料を秤量し、Ni粉末(平均粒径:0.6μm)100重量部に対してBaTiO粉末(平均粒径:0.3μm)を20重量部添加して内部電極用ペーストを調製した以外は、実施例1と同様にして積層型サーミスタを作製した。ただし、zは表9に示す通りとした。得られた積層型サーミスタについて、実施例1と同様に、室温抵抗率を測定し、かつ式(4)に基づきPTCジャンプを求め、また、焼結体の空隙率を測定した。その結果を表9に示す。
(Ba0.772Sr0.2231.02(Ti1−yNb)O+0.05SiO+zMnO
x=0.0015、y=0.0015(x+y=0.0030、y/(x+y)=0.5)
表9に示すように、MnO量が0〜0.002molの場合には4以上というPTCジャンプを示したが、その量が0.1molになるとPTC特性が得られなくなった。
また表9に示すように、MnO量が0.001molの場合にはMnO量が0molの場合と同等の室温抵抗率を示すが、MnO量が0.002molの場合には室温抵抗率が大幅に増加する。
したがって、低い室温抵抗率および高いPTC特性を兼備するには、MnO量、つまりzは0≦z≦0.0015、さらには0.0005≦z≦0.001とすることが好ましい。
Figure 2008210907
実施例7は組成式(1)の組成を採用した場合にも、Ni内部電極に所定量のBaTiO系材料を含有させることによる効果が得られるかを確認するために行った実験である。
BaCO、TiO、SrCO、SiO、RE酸化物としてのY、およびMn(NO・6HOを下記の組成になるようにそれぞれ秤量し、1150℃で仮焼を行った以外は、実施例1と同様にして積層型サーミスタを作製した。得られた積層型サーミスタについて、実施例1と同様に、室温抵抗率を測定した。また式(3)に基づきPTCジャンプを求めた。その結果を表10に示す。
(Ba0.772Sr0.2230.005αTiO+0.05SiO+0.001MnO
Figure 2008210907
表10に示すように、組成式(1)を採用する場合にも、実施例1で示した組成式(2)を採用する場合と同様の傾向が確認できた。つまり、半導体セラミック層の組成が同一であっても、内部電極にBaTiO系材料を所定量含有させることにより、室温抵抗率およびPTC特性が相違する。BaTiO粉末添加による室温抵抗率低減およびPTC特性向上という効果を得るには、Ni粉末100重量部に対してBaTiO粉末を10〜25重量部添加することが好ましい。
表11に示す平均粒径を有するNi粉末およびBaTiO粉末を用い、Ni粉末100重量部に対してBaTiO粉末を20重量部添加して内部電極用ペーストを調製した以外は、実施例7と同様にして積層型サーミスタを作製した。得られた積層型サーミスタについて、実施例7と同様に室温抵抗率を測定し、また式(3)に基づきPTCジャンプを求めた。その結果を表11に示す。
Figure 2008210907
表11に示すように、組成式(1)を採用する場合にも、Ni粉末に対するBaTiO粉末の粒径比を0.15〜0.9とすることが室温抵抗率低減かつPTC特性向上という効果を得る上で有効であることが確認できた。
実施例9では組成式(1)におけるα、βの限定理由を示す。
下記組成となるように原料の秤量を行い、Ni粉末100重量部に対してBaTiO粉末を20重量部添加して内部電極用ペーストを調製した以外は、実施例7と同様にして積層型サーミスタを作製した。得られた積層型サーミスタについて、実施例7と同様に室温抵抗率を測定し、また式(3)に基づきPTCジャンプを求めた。その結果を表12に示す。
(Ba0.772Sr0.2230.005αTiO+βSiO+0.0010MnO
Figure 2008210907
試料No.153〜156のように、αが1.02未満またはαが1.10を超えると、室温抵抗率が高くなる。したがって、組成式(1)を採用する場合も、αは1.02≦α≦1.1とする。
また、αに対してβが小さすぎても、また大きすぎても室温抵抗率および/またはPTC特性が劣化してしまう。例えばβの値が0.05molと同一である試料No.133と試料No.137とを比較すると、αが1.02である試料No.133については室温抵抗率が1.4×10[Ωcm]と低くかつPTCジャンプが3.2桁という特性を示すが、αが1.04である試料No.137についてはPTC特性が不十分である。つまり、0.05molというSiO添加量はαが1.02の場合には適量であるが、αが1.04の場合には少なすぎるといえる。
同様に、βの値が0.24molと同一である試料No.148と試料No.151とを比較すると、αが1.10である試料No.151については室温抵抗率が低くかつPTC特性が高いが、αが1.08である試料No.148については室温抵抗率が高すぎ、PTC特性ではなくNTC特性を示した。つまり、0.24molというSiO添加量はαが1.08の場合には多すぎるが、モル比Baサイト/Tiサイトが1.10の場合には適量であるといえる。
したがって、組成式(1)を採用する場合も、βは単独で決定すべきではなく、αに応じて決定すべきである。本発明者が表12の結果を整理した結果、所望の室温抵抗率およびPTC特性を兼備した試料については、2.35α−2.39<β<2.35α−2.32(但し、1.02≦α≦1.1)を満足することを確認した。
実施例10は組成式(1)における好ましいwの範囲を確認するために行った実験である。
下記組成となるように原料の秤量を行い、Ni粉末100重量部に対してBaTiO粉末を20重量部添加して内部電極用ペーストを調製した以外は、実施例7と同様にして積層型サーミスタを作製した。得られた積層型サーミスタについて、実施例7と同様に室温抵抗率を測定し、また式(3)に基づきPTCジャンプを求めた。その結果を表13に示す。
(Ba0.995−wSr0.0051.02TiO+0.05SiO+0.0010MnO
Figure 2008210907
表13に示すように、Srの添加によりキュリー温度およびPTCジャンプを変動させることができる。wが増加するにつれてPTC特性が向上するが、その一方でキュリー温度が低下してしまうため、wは0≦w≦0.3、さらには0≦w≦0.25とすることが好ましい。2.2以上のPTCジャンプを得たい場合には、wは、0.05≦w≦0.3の範囲とすることが好ましく、さらには0.1≦w≦0.3とすることが好ましい。
実施例11は組成式(1)における好ましいxの範囲を確認するために行った実験である。
下記組成になるように原料の秤量を行うとともに、xの値を0.003mol、0.005molまたは0.010molとした。REとしては本発明が推奨するLa、Nd、Sm、Yの他、比較例としてYbを使用した。そしてNi粉末100重量部に対してBaTiO粉末を20重量部添加して内部電極用ペーストを調製した以外は、実施例7と同様にして積層型サーミスタを作製した。得られた積層型サーミスタについて、実施例7と同様に室温抵抗率を測定し、また式(3)に基づきPTCジャンプを求めた。さらに密度を測定した。それらの結果を表14に示す。なお、室温抵抗率の欄で「高」と表示されているのは、室温抵抗率が1×10Ωcm以上のものである。
(Ba0.777−xSr0.223RE1.00TiO+0.05SiO+0.0010MnO
(Ba0.777−xSr0.223RE1.02TiO+0.05SiO+0.0010MnO
Figure 2008210907
表14に示すように、REとしてYbを用いた場合にはA/B、xの値ならびに還元焼成温度を種々変動させても、所望のPTC特性を得ることができなかった。これに対し、REとしてLa、Nd、Sm、Yを用い、かつA/Bが1.02の場合には低い室温抵抗率ならびに高いPTC特性を兼備することができた。但し、A/Bが1.02の場合にはxが0.010molになるとPTC特性が低下することから、xは0.002〜0.008molとすることが好ましい。
なお、1300℃で還元焼成した場合には、各試料とも高い密度を示すが、0.5以上のPTCジャンプを得ることはできなかった。1300℃で還元焼成した場合には、焼結体が緻密であるためにその後に酸化処理を施したとしても、酸素が焼結体の内部に浸透しにくく、酸化処理が十分に進行しないためであると推察される。
実施例12は組成式(1)における好ましいzの範囲を確認するために行った実験である。
下記組成となるように原料粉末の秤量を行い、Ni粉末100重量部に対してBaTiO粉末を20重量部添加して内部電極用ペーストを調製した以外は、実施例7と同様にして積層型サーミスタを作製した。得られた積層型サーミスタについて、実施例7と同様に室温抵抗率を測定し、また式(3)に基づきPTCジャンプを求めた。その結果を表15に示す。
(Ba0.772Sr0.2230.0051.02TiO+0.05SiO+zMnO
Figure 2008210907
表15に示すように、Mn量が0〜0.002molの場合には2.5以上というPTCジャンプを示したが、その量が0.1molになるとPTC特性ではなくNTC特性を示した。
したがって、低い室温抵抗率および高いPTC特性を兼備するには、MnO量、つまりzは0≦z≦0.0015、さらには0.0005≦z≦0.001とすることが好ましい。
下記組成となるように原料の秤量を行い、Ni粉末100重量部に対してBaTiO粉末を20重量部添加して内部電極用ペーストを調製した以外は、実施例7と同様にして積層型サーミスタを作製した。得られた積層型サーミスタについて、実施例7と同様に室温抵抗率を測定し、また式(3)に基づきPTCジャンプを求めた。さらに空隙率を測定した。その結果を表16に示す。
(Ba0.772Sr0.2230.005αTiO+βSiO+0.0010MnO
<比較例>
内部電極を作製する際にBaTiO粉末を添加しなかった以外は、上記実施例13と同様の条件で積層型サーミスタを作製した。得られた積層型サーミスタについて、実施例13と同様に室温抵抗率を測定し、また式(3)に基づきPTCジャンプを求めた。その結果を表17に示す。
Figure 2008210907
Figure 2008210907
表16に示すように、REとしてSm、La、Ce、Er、Nd、Dyを用いた場合にも、本発明の組成を採用しかつNi内部電極に所定量のBaTiO粉末を含有させることにより、室温抵抗率が低く、かつPTC特性が高いPTCサーミスタを得ることができた。なかでも、REとしてSmを用いた場合に、室温抵抗率が低く、かつPTC特性が高いことが確認できた。
一方、表17に示すように、Ni内部電極にBaTiO粉末を含有させなかった場合には、室温抵抗率が高く、実用的なPTCサーミスタを得ることができなかった。
本実施の形態における、積層型サーミスタを説明するための断面図である。 試料No.1〜3、比較例1〜3の室温抵抗率およびPTCジャンプを示すグラフである。 試料No.4〜6、比較例4〜6の室温抵抗率およびPTCジャンプを示すグラフである。 試料No.7〜9、比較例7〜9の室温抵抗率およびPTCジャンプを示すグラフである。 試料No.8のSEM像である。 比較例7のSEM像である。 試料No.80〜101のαおよびβをプロットしたグラフである。
符号の説明
1…積層型サーミスタ、2…半導体セラミック層、3…内部電極、4…本体、5…外部電極

Claims (7)

  1. 半導体セラミック層と内部電極とが交互に積層されるとともに、前記内部電極と電気的に接続された外部電極とを有し、正の抵抗温度特性を有する積層型サーミスタであって、
    前記内部電極はNi系金属材料およびBaTiO系材料から構成され、前記Ni系金属材料100重量部に対する前記BaTiO系材料の割合が10〜25重量部であり、
    前記半導体セラミック層は、(Ba1-w−xSrREαTiO+βSiO+zMnO・・・組成式(1)で示される化合物を含む焼結体から構成され、
    前記組成式(1)において、
    前記REは、Y、La、Ce、Sm、Er、Nd、Dyからなる群から選択される少なくとも1種で表されるとともに、
    w、x、z、β(いずれもmol)、およびα(Baサイト/Tiサイトのmol比)は、以下を満足することを特徴とする積層型サーミスタ。
    0≦w≦0.3
    0.002≦x≦0.008
    0≦z≦0.0015
    1.02≦α≦1.1
    2.35α−2.39<β<2.35α−2.32
  2. 半導体セラミック層と内部電極とが交互に積層されるとともに、前記内部電極と電気的に接続された外部電極とを有し、正の抵抗温度特性を有する積層型サーミスタであって、
    前記内部電極はNi系金属材料およびBaTiO系材料から構成され、前記Ni系金属材料100重量部に対する前記BaTiO系材料の割合が10〜25重量部であり、
    前記半導体セラミック層は、(Ba1−w−xSrREα(Ti1−yTM)O+βSiO+zMnO…組成式(2)で示される化合物を含む焼結体から構成され、
    前記組成式(2)において、
    前記REは、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、DyおよびErからなる群から選択される少なくとも1種の元素、
    前記TMは、V、NbおよびTaからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、
    w、x、y、z、β(いずれもmol)、およびα(Baサイト/Tiサイトのmol比)は、以下を満足することを特徴とする積層型サーミスタ。
    0≦w≦0.3
    0.001≦x+y≦0.005
    0.2≦y/(x+y)≦0.8
    0≦z≦0.0015
    1.02≦α≦1.1
    2.35α−2.39<β<2.35α−2.32
  3. 前記半導体セラミック層を構成する前記焼結体の空隙率は5〜25%であることを特徴とする請求項1または2に記載の積層型サーミスタ。
  4. 半導体セラミック層とNi系金属材料から構成される内部電極とが交互に積層されるとともに、前記内部電極と電気的に接続された外部電極とを有し、正の抵抗温度特性を有する積層型サーミスタの製造方法であって、
    前記Ni系金属材料と、前記Ni系金属材料の平均粒径に対して0.15〜0.9倍の平均粒径を有するBaTiO系材料とを用い、前記Ni系金属材料100重量部に対する前記BaTiO系材料の割合が10〜25重量部である内部電極用ペーストを作製する工程と、
    前記半導体セラミック層形成用のシートと前記内部電極用ペーストとが交互に積層された積層体を得る工程と、
    前記積層体を還元雰囲気中で焼結し、焼結体を得る工程と、
    前記焼結体を酸化雰囲気中で熱処理する工程と、を備え、
    前記半導体セラミック層は、(Ba1-w−xSrREαTiO+βSiO+zMnO・・・組成式(1)で示される化合物を含む前記焼結体から構成され、
    前記組成式(1)において、
    前記REは、Y、La、Ce、Sm、Er、Nd、Dyからなる群から選択される少なくとも1種で表されるとともに、
    w、x、z、β(いずれもmol)、およびα(Baサイト/Tiサイトのmol比)は、以下を満足することを特徴とする積層型サーミスタの製造方法。
    0≦w≦0.3
    0.002≦x≦0.008
    0≦z≦0.0015
    1.02≦α≦1.1
    2.35α−2.39<β<2.35α−2.32
  5. 半導体セラミック層とNi系金属材料から構成される内部電極とが交互に積層されるとともに、前記内部電極と電気的に接続された外部電極とを有し、正の抵抗温度特性を有する積層型サーミスタの製造方法であって、
    前記Ni系金属材料と、前記Ni系金属材料の平均粒径に対して0.15〜0.9倍の平均粒径を有するBaTiO系材料とを用い、前記Ni系金属材料100重量部に対する前記BaTiO系材料の割合が10〜25重量部である内部電極用ペーストを作製する工程と、
    前記半導体セラミック層形成用のシートと前記内部電極用ペーストとが交互に積層された積層体を得る工程と、
    前記積層体を還元雰囲気中で焼結し、焼結体を得る工程と、
    前記焼結体を酸化雰囲気中で熱処理する工程と、を備え、
    前記半導体セラミック層は、(Ba1−w−xSrREα(Ti1−yTM)O+βSiO+zMnO…組成式(2)で示される化合物を含む焼結体から構成され、
    前記組成式(2)において、
    前記REは、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、DyおよびErからなる群から選択される少なくとも1種の元素、
    前記TMは、V、NbおよびTaからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、
    w、x、y、z、β(いずれもmol)、およびα(Baサイト/Tiサイトのmol比)は、以下を満足することを特徴とする積層型サーミスタの製造方法。
    0≦w≦0.3
    0.001≦x+y≦0.005
    0.2≦y/(x+y)≦0.8
    0≦z≦0.0015
    1.02≦α≦1.1
    2.35α−2.39<β<2.35α−2.32
  6. 前記Ni系金属材料はNi粉末であり、前記BaTiO系材料はBaTiO粉末であることを特徴とする請求項4または5に記載の積層型サーミスタの製造方法。
  7. 前記積層体は1180〜1280℃で焼結されることを特徴とする請求項4〜6に記載の積層型サーミスタの製造方法。
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