JP5000088B2 - 誘電体磁器組成物の製造方法と磁器コンデンサの製造方法 - Google Patents

誘電体磁器組成物の製造方法と磁器コンデンサの製造方法 Download PDF

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本発明は、磁器コンデンサの誘電体材料として好適な耐還元性を有する誘電体磁器組成物の製造方法と、該製造方法で製造した誘電体磁器組成物と、これを誘電体層とした磁器コンデンサに関するものである。
近年、小型大容量化した磁器コンデンサが開発されており、このようなものとして、Ba、Ti、及びZrの酸化物を主成分とするセラミックに、PtやPdを電極として形成したセラミックコンデンサが知られている。しかしながら、PtやPdは極めて高価な電極であるため、比抵抗が小さく高融点で低価格という点から、Niなどの卑金属を内部電極に用いるようになってきている。
しかしながら、Niには、酸化性雰囲気中の高温焼成により酸化され、電極としての機能を消失したり、酸化物としてセラミック中に溶け込み、コンデンサの性能を劣化させるという問題があった。また、このNiの酸化を防止しようとして、焼成雰囲気中の酸素分圧を下げたり、水素を含む焼成雰囲気にすると、セラミックが還元され、半導体化するという問題があった。
そこで、還元性ないしは低酸素分圧の雰囲気中で焼成しても半導体化や絶縁抵抗の劣化が生じない、充分な耐還元性を有し、しかも誘電体として良好な特性を有するセラミックの開発および実用化が進められてきた。
本発明者らは、このような市場の要望にあって、最大比誘電率が高く、誘電体磁器組成物を構成する焼結体の結晶粒径が小さく、還元雰囲気中低温で焼成可能な誘電体磁器組成物と磁器コンデンサの開発を進めてきた。
例えば、本発明者らは、基本主成分として、Ba、Ti、及びZrの酸化物が、副成分として、Re(ReはY、Dy、及びCeからなる群から選択される少なくとも1種以上の希土類元素)、Mg、Mn、Si、及びCaの酸化物が含有されている焼結体からなる誘電体磁器組成物と磁器コンデンサを開発し、この誘電体磁器組成物では、焼結体の結晶粒径が2μm以下になることを達成している。
上記磁器コンデンサは、図2に示す製造工程に沿って作製される。まず、基本主成分の原料を混合して焼成した後(工程(a))、これに副成分の原料であるCa成分及び他の副成分原料を調合し(工程(b)および工程(g))、これらを混合・粉砕(工程(h))し、スラリーとする。
このスラリーに有機溶剤、バインダ、可塑剤を加えて、混合し、グリーンシートを成形する(工程(i))。このグリーンシートの片面に、内部電極を印刷し(工程(j))、これを複数枚厚み方向に重ね合わせ、加圧して積層体とし(工程(k))、切断(工程(l))、有機バインダ除去(工程(m))、焼成・再酸化(工程(n))、端子電極取付(工程(o))を経て、磁器コンデンサを製造している。
上記製造方法は、誘電体磁器組成物及び磁器コンデンサの通常の製造方法として、一般的に知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−342066号公報
ところで、本発明者らは、上記誘電体磁器組成物を製造する際に検討した結果、図2に示す通常の製造方法ではなく、新たな製造方法を用いると、上記誘電体磁器組成物及び磁器コンデンサの品質、特に加速寿命がより向上することを見出した。
本発明は、加速寿命が100時間以上、最大比誘電率が10,000以上、誘電体磁器組成物を構成する焼結体の結晶粒径が2μm以下であって、還元雰囲気中1250℃以下の低温で焼成可能な誘電体磁器組成物を製造する方法と該製造方法で製造した誘電体磁器組成物を成形してなる磁器コンデンサを提供することを目的とする。
かかる課題を解決するため、
請求項1にかかる発明は、組成式Ba(Ti1−xZr)O(ただし、xは0.05〜0.15、Ba/(Ti1−xZr)比は0.99〜1.01)で表される基本主成分と、副成分とを有する誘電体磁器組成物を製造する方法であって、前記基本主成分の原料であるBa、Ti、及びZr化合物を混合して焼成した基本主成分焼結体に、副成分の原料のうちのCa化合物を添加し、仮焼した後、残りの副成分の原料を添加し、次いで、これを、還元雰囲気で焼成することを特徴とする誘電体磁器組成物の製造方法である。
請求項2にかかる発明は、前記誘電体磁器組成物が、基本主成分100mol部に対して、前記副成分のうちCaの酸化物を、Caに換算して0.5〜3.0mol部の含有量となるように前記Ca化合物を添加する請求項1記載の誘電体磁器組成物の製造方法である。
請求項3にかかる発明は、前記仮焼の温度が、950〜1200℃である請求項1又は2記載の誘電体磁器組成物の製造方法である。
請求項4にかかる発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法により製造した誘電体磁器組成物である。
請求項5にかかる発明は、請求項4に記載の誘電体磁器組成物を成形してなるシートと、該シートの両面に形成した電極とを備えたことを特徴とする磁器コンデンサである。
請求項6にかかる発明は、請求項4に記載の誘電体磁器組成物を成形してなるシートと、該シートの片面に形成した電極とを複数積層してなることを特徴とする磁器コンデンサである。
請求項7にかかる発明は、前記電極が、Ni又はNiを主体とする合金からなる請求項5又は6に記載の磁器コンデンサである。
請求項8にかかる発明は、請求項4に記載の誘電体磁器組成物をグリーンシートとした後、該グリーンシートの両面に電極を形成し、次いで、これを1150〜1250℃の温度で還元雰囲気にて焼成することを特徴とする磁器コンデンサの製造方法である。
請求項9にかかる発明は、請求項4に記載の誘電体磁器組成物をグリーンシートとした後、該グリーンシートの片面に電極を形成し、次いで、これを複数枚厚み方向に重ね合わせ、加圧して積層体とし、この積層体を1150〜1250℃の温度で還元雰囲気にて焼成することを特徴とする磁器コンデンサの製造方法である。
本発明によれば、副成分原料をCa化合物と残りの成分に分けて、まずCa化合物のみを基本主成分焼結体に添加して仮焼することにより、加速寿命が100時間以上、最大比誘電率が10,000以上、誘電体磁器組成物を構成する焼結体の結晶粒径が2μm以下であって、還元雰囲気中1250℃以下の低温で焼成することのできる誘電体磁器組成物及び該誘電体磁器組成物を成形してなる磁器コンデンサを得ることができる。
[誘電体磁器組成物]
本発明の誘電体磁器組成物は、組成式Ba(Ti1−xZr)O(ただし、xは0.05〜0.15、Ba/(Ti1−xZr)比は0.99〜1.01)で表される基本主成分と、副成分とを有するものである。この誘電体磁器組成物は、基本主成分として、Ba、Ti、及びZrの酸化物が、副成分として、Ca酸化物及びRe、Mg、Mn、Siの酸化物が含有されている焼結体からなるのが好ましい。ここで、ReはY、Dy、及びCeからなる群から選択される少なくとも1種以上の希土類元素であるのが好ましく、Yがより好ましい。
また、この誘電体磁器組成物は、基本主成分100mol部に対して、前記副成分のうちCa酸化物を、Caに換算して0.5〜3.0mol部含有するのが好ましい。Caの含有量が0.5〜3.0mol部の範囲内にあると、誘電体磁器組成物を構成する焼結体の結晶粒径を2μm以下にすることができ、かつ焼結性を向上させ、緻密な焼結体を作製することができる。
Ca酸化物以外の残りの副成分の含有量は、基本主成分100mol部に対して、Reの酸化物を、Reに換算して0.3〜1.0mol部、Mgの酸化物を、Mgに換算して0.3〜1.0mol部、Mnの酸化物を、Mnに換算して0.1〜0.5mol部、Siの酸化物を、Siに換算して1.0〜2.0mol部の割合で含有するのが好ましい。
Ca酸化物以外の残りの副成分の含有量を上記範囲内とすることにより、誘電体磁器組成物を構成する焼結体の結晶粒径を2μm以下にすることができ、かつ焼結性を向上させ、緻密な焼結体を作製することができ、誘電体磁器組成物の最大比誘電率を10,000以上とすることができる。
この誘電体磁器組成物は、基本主成分の原料であるBa、Ti、及びZr化合物を混合して焼成した基本主成分焼結体に、副成分の原料のうちのCa化合物を添加し、仮焼した後、残りの副成分の原料を添加し、次いで、これを、還元雰囲気で焼成して製造する。この製造方法について、以下に詳説する。
図1は、本発明に係る誘電体磁器組成物及び該誘電体磁器組成物を成形してなる磁器コンデンサの製造方法の一例を示す工程図である。
図1の工程(a)に示すように、まず平均粒子径1μm以下、好ましくは0.2μm以下の基本主成分焼結体を作製する。具体的には、基本主成分の原料であるBa、Ti、及びZr化合物を各々秤量する。Ba、Ti、及びZrの化合物としては、酸化物、炭酸化物、水酸化物が挙げられるが、そのなかでも、BaCO、TiO、ZrOが好ましい。
基本主成分の各原料を、組成式Ba(Ti1−xZr)Oのxが0.05〜0.15、Ba/(Ti1−xZr)比が0.99〜1.01の範囲内となるように計算して秤量し、調合する。次いで、これら基本主成分の原料をボールミルに入れ、水を加え湿式で約20時間混合・粉砕を行い、スラリーとし、脱水・乾燥し、1000〜1200℃、好ましくは1100℃にて2時間焼成する。
その後、これを粉砕・整粒して、平均粒子径1μm以下、好ましくは0.2μm以下の基本主成分焼結体を形成する。基本主成分焼結体の平均粒子径を1μm以下とすることにより、最終的な誘電体磁器組成物を構成する焼結体の結晶粒径を2μm以下にすることができる。
次いで、副成分の原料のうち、基本主成分100mol部に対してCa含有量が0.5〜3.0mol部となるように、Ca化合物を計算して秤量し調合する(工程(b))。Ca化合物としては、酸化物、炭酸化物、水酸化物が挙げられるが、そのなかでも、CaCOが好ましい。
基本主成分焼結体に、Ca化合物を添加し、水を加え湿式で約20時間混合・粉砕を行い、スラリーとする(工程(c))。
得られたスラリーを脱水・乾燥し(工程(d))、好ましくは950〜1200℃、より好ましくは1000℃にて、1時間仮焼する(工程(e))。仮焼温度を950〜1200℃とすることにより、仮焼不良を防止することができ、かつ仮焼結体の平均粒子径を小さく抑えることができるため、最終的な焼成の温度を1150〜1250℃とすることができる。その結果、成形した磁器コンデンサの加速寿命を100時間以上とすることができ、かつ最大比誘電率を10,000以上とすることができる。
その後、これを粉砕・整粒して、平均粒子径1μm以下、好ましくは0.2μm以下の仮焼結体を形成する(工程(f))。仮焼結体の平均粒子径を1μm以下とすることにより、最終的な誘電体磁器組成物を構成する焼結体の結晶粒径を2μm以下にすることができる。
次いで、基本主成分100mol部に対して、Re含有量が0.3〜1.0mol部、Mg含有量が0.3〜1.0mol部、Mn含有量が0.1〜0.5mol部、Si含有量が1.0〜2.0mol部となるように、残りの副成分の原料であるRe化合物、Mg化合物、Mn化合物、Si化合物を、各々計算して秤量し調合する(工程(g))。Re、Mg、Mn、Siの化合物としては、酸化物、炭酸化物、水酸化物が挙げられるが、そのなかでも、Re、MgO、Mn、SiOが好ましい。
上記仮焼結体に、残りの副成分の原料を添加し、水を加え湿式で約20時間混合・粉砕を行い、スラリーとする(工程(h))。このスラリーを脱水し、120℃で6時間加熱し、乾燥させる。
次いで、これに、トルエン−エタノール混合溶剤、ポリビニルブチラール系バインダ、及び可塑剤を加えて、適度な粘度になるまで混合する。この混合物を、好ましくは1150〜1250℃、より好ましくは1170〜1220℃の温度で還元雰囲気にて焼成し、誘電体磁器組成物を製造する。上記温度範囲のような低温で焼成することにより、誘電体磁器組成物を構成する焼結体中の結晶粒の成長を抑制でき、焼結体の結晶粒径を2μm以下とすることができる。
また、焼成する還元雰囲気は、窒素ガス95.99〜99.94体積%、水素ガス0.05〜4体積%、水0.01〜0.05体積%であるのが好ましい。焼成を還元雰囲気下で行うことにより、Niのような卑金属電極と共に焼成しても、電極の酸化を防止することができる。
本発明の製造方法では、副成分原料をCa化合物と残りの成分に分けて、まずCa化合物のみを基本主成分焼結体に添加して仮焼することにより、基本主成分焼結体の表面にCa成分を拡散させることができる。このため、図2に示す従来法のように副成分を一度に全部添加して焼成する場合と比べ、Ca成分の部分的な偏析を抑制することができ、その結果、成形した磁器コンデンサの加速寿命を100時間以上に向上させることができる。
また、先にCa化合物のみを基本主成分焼結体に添加して仮焼することにより、仮焼結体の成分が、Ba、Ca、Ti、及びZrの酸化物を基本主成分とする、いわゆるBCTZ系セラミックに近いものとなり、これに残りの副成分を添加することになるため、従来法で製造した場合よりも磁器コンデンサの性質をより向上させることができる。
[磁器コンデンサ]
本発明の磁器コンデンサは、上記誘電体磁器組成物を成形してなるシートと、該シートの両面に形成した電極とから概略構成されている。これは、本発明で製造した誘電体磁器組成物を単層型の磁器コンデンサに適用した一例である。
シートの両面に形成する電極は、端子電極の役割を果たすものであり、Cu、Ni、W、Mo等の金属若しくはこれらの合金、In−Ga、Ag、Ag−10Pd合金等、または、カーボン、グラファイト、カーボンとグラファイトの混合物等を用いることができる。そのなかでも、誘電体磁器組成物の焼成温度を1150〜1250℃とする観点から、Ni又はNiを主体とする合金が好ましい。
この電極は、上記材料からなる粉末に、有機バインダ、分散剤、有機溶剤、必要に応じて還元剤等を所定量加えた後に混練し、所定の粘度とした導電ペーストを、所定のパターンに印刷して、還元雰囲気中で焼成して、形成することができる。
この単層型磁器コンデンサは、本発明に係る誘電体磁器組成物をグリーンシートとした後、該グリーンシートの両面に電極を形成し、次いで、これを1150〜1250℃の温度で還元雰囲気にて焼成して製造する。
また、本発明の磁器コンデンサは、上記誘電体磁器組成物を成形してなるシートと、該シートの片面に形成した電極とを複数積層してなるものである。図3は、本発明に係る磁器コンデンサAの一実施形態を示す断面図であり、積層型の磁器コンデンサに適用した一例である。
図3において、本実施形態の磁器コンデンサAは、符号11,11・・・で示す本発明に係る誘電体磁器組成物を成形してなるシートと、このシート11,11・・・の片面に形成した薄厚の内部電極12,12・・・と、内部電極12,12・・・と垂直方向のシート11,11・・・端面に設けられた端子電極13,14とから概略構成されている。本実施形態の磁器コンデンサAが、上記単層型磁器コンデンサと異なる点は、電極を有するシートが1枚ではなく、複数枚積層して構成された点である。
内部電極12,12・・・及び端子電極13,14には、上記単層型磁器コンデンサと同様の電極材料を使用することができる。そのなかでも、内部電極12,12・・・にはNi又はNiを主体とする合金を、端子電極13,14にはCuを用いるのが好ましい。
本実施形態の磁器コンデンサAは、本発明に係る誘電体磁器組成物をグリーンシートとした後、該グリーンシートの片面に電極を形成し、次いで、これを複数枚厚み方向に重ね合わせ、加圧して積層体とし、この積層体を1150〜1250℃の温度で還元雰囲気にて焼成して製造する。図1に示した本発明に係る誘電体磁器組成物及び該誘電体磁器組成物を成形してなる磁器コンデンサの製造方法の一例を示す工程図を用いて、具体的に説明する。
本発明に係る誘電体磁器組成物を製造するまでの工程(a)〜(h)と同様にして、スラリーを製造する。このスラリーを脱水し、120℃で6時間加熱し、乾燥して粉体とする。
次いで、この粉体に、トルエン−エタノール混合溶剤、ポリビニルブチラール系バインダ、及び可塑剤を加えて、適度な粘度になるまで混合し、ドクターブレード法により、焼成後の厚さが2〜7μmとなるようにグリーンシートを成形する(工程(i))。
このグリーンシートの片面に、Ni又はNiを主体とする合金からなる内部電極12を印刷する(工程(j))。次いで、これを複数枚厚み方向に重ね合わせ、加圧して積層体とする(工程(k))。
この積層体を所定の大きさに切断した後(工程(l))、空気中で加熱して有機バインダを除去する(工程(m))。次いで、1150〜1250℃の還元雰囲気にて2時間焼成した後、窒素ガス雰囲気中にて1000℃で1時間再酸化処理する(工程(n))。この焼成時の温度を1150〜1250℃とすることにより、Ni又はNiを主体とする合金からなる内部電極12の熱による溶解を抑制することができる。
次いで、内部電極12,12・・・と垂直方向の積層体の端面に、端子電極13,14としてCu、Ag等を塗布し、磁器コンデンサAを製造する(工程(m))。
この磁器コンデンサは、誘電体磁器組成物を構成する焼結体の結晶粒径が2μm以下であるため、誘電体磁器組成物を成形してなる焼成後のシートの厚さを薄くすることができ、一層あたりに配列できる粒子数が多くなるため、最大比誘電率を10,000以上とすることができる。
以下、実施例により、本発明をさらに詳しく説明する。本発明は、下記実施例に何ら制限されるものではない。
[実施例1]
基本主成分焼結体には、BaCO、TiO、ZrOから水熱法で合成した平均粒子径0.2μmの組成式Ba(Ti1−xZr)Oで表される粉体を用いた。式中のxは0.05〜0.15、Ba/(Ti1−xZr)比は0.99〜1.01であった。
この基本主成分100mol部に対して、Ca含有量が0.5mol部になるように、炭酸カルシウムを計算して秤量し、調合した。基本主成分焼結体とともに、この炭酸カルシウムをボールミルに入れ、水を加え湿式で約20時間混合・粉砕し、スラリーとした。このスラリーを脱水・乾燥し、1000℃にて1時間仮焼した後、粉砕して平均粒子径1μm以下の仮焼結体となるように整粒した。
基本主成分100mol部に対して、Y含有量が0.5mol部、Mg含有量が0.5mol部、Mn含有量が0.1mol部、Si含有量が1.5mol部となるように、Y、MgO、Mn、SiOの粉末を、各々計算して秤量し調合した。上記仮焼結体とこれらの副成分原料とをボールミルに入れ、トルエン−エタノール混合溶剤、ポリビニルブチラール系バインダ、及び可塑剤を加えて、適度な粘度になるまで混合し、ドクターブレード法により、厚さ約7μmのグリーンシートを成形した。
このグリーンシート上に、Ni粉末からなる内部電極用導電ペーストを用いて、電極を所定形状にスクリーン印刷した後、これを6枚積層し、さらにその外側に電極なしのグリーンシートを数枚重ねて、熱圧着して一体化し、有効誘電体層が5層からなる積層体を作製した。
この積層体を空気中で加熱して有機バインダを除去した後、1200℃の還元雰囲気にて2時間焼成した後、窒素ガス雰囲気中にて1000℃で1時間再酸化処理した。次いで、内部電極と垂直方向の積層体の端面に、端子電極としてCuを焼付け、図3に示す積層セラミックコンデンサを作製した。焼成後における積層セラミックコンデンサの有効誘電体層一層当たりの厚さは、4μmであった。
この積層セラミックコンデンサについて、以下のように評価した。
(1)最大比誘電率(ピークε)
積層セラミックコンデンサを恒温槽に入れ、−30℃から85℃まで温度変化させ、1kHz、1Vrmsの条件で静電インピーダンスアナライザーを用いて容量を測定し、この測定によって得られた容量、誘電体磁器組成物の厚み、電極面積とから最大比誘電率(ピークε)を算出した。
(2)誘電体磁器組成物の結晶粒径(μm)
結晶粒径は、電極を形成する前の誘電体磁器組成物の表面を無作為に選び、これを走査型電子顕微鏡で5,000倍または10,000倍に拡大して写真撮影し、これらの写真から40個の結晶粒子をランダムに選んで、切片法により大きさを測定して、その平均値を求めた。
(3)加速寿命(hour)
加速寿命は、150℃の温度で20Vrmsの直流電界下にて絶縁抵抗が1×10Ωcmになるまでの時間を測定した。
これらの評価結果を、表1に各々示す。このコンデンサは、最大比誘電率が10,000以上、加速寿命が100時間以上、誘電体磁器組成物を構成する焼結体の結晶粒径が2μm以下の良好なものであった。
Figure 0005000088
[実施例2〜4]
Ca含有量を1.0mol部(実施例2)、2.0mol部(実施例3)、3.0mol部(実施例4)とした以外は、実施例1と同様にして積層セラミックコンデンサを作製し、実施例1と同様に評価した。その評価結果を、表1に各々示す。これらのコンデンサは、最大比誘電率が10,000以上、加速寿命が100時間以上、誘電体磁器組成物を構成する焼結体の結晶粒径が2μm以下の良好なものであった。
[比較例1]
実施例1と同じ基本主成分焼結体に、Ca含有量が0.5mol部になるように、炭酸カルシウムを計算して秤量し添加した後、Y含有量が0.5mol部、Mg含有量が0.5mol部、Mn含有量が0.1mol部、Si含有量が1.5mol部となるように、Y、MgO、Mn、SiOの粉末を、各々計算して秤量し添加した。
これらをボールミルに入れ、トルエン−エタノール混合溶剤、ポリビニルブチラール系バインダ、及び可塑剤を加えて、適度な粘度になるまで混合し、ドクターブレード法により、厚さ約7μmのグリーンシートを成形し、実施例1と同様にして積層セラミックコンデンサを作製し、実施例1と同様に評価した。その評価結果を、表1に各々示す。このコンデンサは、カルシウムが基本主成分と充分に固溶できずに偏析を起こし、加速寿命が100時間に満たないものであった。
[比較例2〜3]
Ca含有量を1.0mol部(比較例2)、2.0mol部(比較例3)とした以外は、比較例1と同様にして積層セラミックコンデンサを作製し、比較例1と同様に評価した。その評価結果を、表1に各々示す。これらのコンデンサは、カルシウムが基本主成分と充分に固溶できずに偏析を起こし、加速寿命が100時間に満たないものであった。
[実施例5〜6]
Ca含有量を1.0mol部とし、炭酸カルシウム添加後の仮焼温度を950℃(実施例5)、1200℃(実施例6)とした以外は、実施例1と同様にして積層セラミックコンデンサを作製し、実施例1と同様に評価した。その評価結果を、表2に各々示す。これらのコンデンサは、最大比誘電率が10,000以上、加速寿命が100時間以上、誘電体磁器組成物を構成する焼結体の結晶粒径が2μm以下の良好なものであった。
Figure 0005000088
[比較例4〜5]
炭酸カルシウム添加後の仮焼温度を900℃(比較例4)、1250℃(比較例5)とした以外は、実施例5〜6と同様にして積層セラミックコンデンサを作製し、実施例5〜6と同様に評価した。その評価結果を、表2に各々示す。比較例4のコンデンサでは、仮焼温度が低いため、加速寿命が100時間に満たないものであった。また、比較例5のコンデンサでは、焼結性が低下し、最大比誘電率が10,000に満たず、加速寿命も100時間に満たないものであった。
以上の結果から、本発明の製造方法によれば、加速寿命が100時間以上、最大比誘電率が10,000以上、誘電体磁器組成物を構成する焼結体の結晶粒径が2μm以下の磁器コンデンサが得られることが確認された。
本発明に係る誘電体磁器組成物及び該誘電体磁器組成物を成形してなる磁器コンデンサの製造方法の一例を示す工程図である。 従来法による誘電体磁器組成物及び該誘電体磁器組成物を成形してなる磁器コンデンサの製造方法の一例を示す工程図である。 本発明に係る磁器コンデンサAの一実施形態を示す断面図であり、積層型の磁器コンデンサに適用した一例である。
符号の説明
A 磁器コンデンサ
11 誘電体磁器組成物を成形してなるシート


Claims (6)

  1. 組成式Ba(Ti1−xZr)O(ただし、xは0.05〜0.15、Ba/(Ti1−xZr)比は0.99〜1.01)で表される基本主成分と、副成分とを有する誘電体磁器組成物を製造する方法であって、
    前記基本主成分の原料であるBa、Ti、及びZr化合物を混合して焼成した基本主成分焼結体に、副成分の原料のうちのCa化合物を添加し、950〜1200℃の温度で仮焼した後、
    残りの副成分の原料を添加し、次いで、これを、還元雰囲気で焼成して製造されることを特徴とする誘電体磁器組成物の製造方法。
  2. 前記誘電体磁器組成物が、基本主成分100mol部に対して、前記副成分のうちCaの酸化物を、Caに換算して0.5〜3.0mol部の含有量となるように前記Ca化合物を添加する請求項1記載の誘電体磁器組成物の製造方法。
  3. 組成式Ba(Ti 1−x Zr )O (ただし、xは0.05〜0.15、Ba/(Ti 1−x Zr )比は0.99〜1.01)で表される基本主成分と、副成分とを有する誘電体磁器組成物を備えた磁器コンデンサを製造する方法であって、
    前記基本主成分の原料であるBa、Ti、及びZr化合物を混合して焼成した基本主成分焼結体に、副成分の原料のうちのCa化合物を添加し、950〜1200℃の温度で仮焼した後、
    残りの副成分の原料を添加し、誘電体磁器組成物グリーンシートを成形した後、該グリーンシートの両面に電極を形成し、
    次いで、これを1150〜1250℃の温度で還元雰囲気にて焼成することを特徴とする磁器コンデンサの製造方法。
  4. 組成式Ba(Ti 1−x Zr )O (ただし、xは0.05〜0.15、Ba/(Ti 1−x Zr )比は0.99〜1.01)で表される基本主成分と、副成分とを有する誘電体磁器組成物を備えた磁器コンデンサを製造する方法であって、
    前記基本主成分の原料であるBa、Ti、及びZr化合物を混合して焼成した基本主成分焼結体に、副成分の原料のうちのCa化合物を添加し、950〜1200℃の温度で仮焼した後、
    残りの副成分の原料を添加し、誘電体磁器組成物グリーンシートを成形した後、該グリーンシートの片面に電極を形成し、
    次いで、これを複数枚厚み方向に重ね合わせ、加圧して積層体とし、
    この積層体を1150〜1250℃の温度で還元雰囲気にて焼成することを特徴とする磁器コンデンサの製造方法。
  5. 前記誘電体磁器組成物が、基本主成分100mol部に対して、前記副成分のうちCaの酸化物を、Caに換算して0.5〜3.0mol部の含有量となるように前記Ca化合物を添加する請求項3に記載の磁器コンデンサの製造方法。
  6. 前記誘電体磁器組成物が、基本主成分100mol部に対して、前記副成分のうちCaの酸化物を、Caに換算して0.5〜3.0mol部の含有量となるように前記Ca化合物を添加する請求項4に記載の磁器コンデンサの製造方法。
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