JP2008205343A - 積層型サーミスタの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】半導体セラミック層とNi系金属から構成される内部電極とが交互に積層されるとともに、内部電極と電気的に接続された外部電極とを有し、正の抵抗温度特性を有する積層型サーミスタの製造方法において、半導体セラミック層を(Ba1-w−xSrwREx )α TiO3+βSiO2+zMnO・・・組成式(1)で示される化合物を含む焼結体から構成し、半導体セラミック層のBa、Sr、RE、Ti、Siに関する原料を所定温度で加熱保持して仮焼体を得た後、得られた仮焼体を粉砕する。そして、得られた粉砕粉末に、半導体セラミック層のMnに関する原料およびバインダを添加するようにした。半導体セラミック層のMnに関する原料は仮焼体を粉砕する際に添加してもよい。
【選択図】なし
Description
PTCサーミスタは、チタン酸バリウム(BaTiO3)を主成分とし微量の希土類元素等を添加して導電性をもたせた半導体磁器と電極とを備えて構成されており、例えば回路の過電流保護素子として、あるいは温度センサ等として広く利用されている。この半導体磁器としては、特許文献1に開示されたものが知られており、微量添加される希土類元素等は半導体化剤と称される。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、高いPTC特性を備えつつ、積層型PTCサーミスタの低抵抗化を図るための技術を提供することを目的とする。
(1)これまで単なる焼結助剤として考えられていたSiO2は、Baサイト/Tiサイトのmol比と相関があり、両者が特定の関係にあるときに、低抵抗率と高いPTC特性を兼備することができる。
(2)PTCサーミスタの主成分をなすチタン酸バリウム(BaTiO3)のBaサイトおよびTiサイトの各々を所定の半導体化剤で所定量だけ置換することにより、低抵抗率と高いPTC特性を兼備することができる。
(3)所定量のMnを他の原料を仮焼した後に添加することにより、低抵抗率と高いPTC特性を兼備することができる。しかも、この手法を採用することによって、上記(1)、さらには上記(2)により得られる低抵抗率と高いPTC特性を阻害することがない。
0≦w≦0.3
0.002≦x≦0.008
0<z<0.001
1.02≦α≦1.1
2.35α−2.39<β<2.35α−2.32
0≦w≦0.3
0.001≦x+y≦0.005
0.2≦y/(x+y)≦0.8
0<z<0.001
1.02≦α≦1.1
2.35α−2.39<β<2.35α−2.32
上記した組成式(1)または組成式(2)において、0.0001≦z≦0.0007であることが好ましい。zをこの範囲とすることにより、より高いPTC特性を得つつ室温抵抗率を低減することができる。
本発明において、半導体セラミック層を構成する積層体の空隙率は5〜25%であることが好ましい。
また積層体は1180〜1280℃で焼結されることが好ましい。
図1は、本実施の形態における積層型サーミスタの構成を示す断面図である。
積層型サーミスタ1は直方体状のもので、半導体セラミック層2とNi系金属からなる内部電極3とを交互に積層して積層体を形成し、この積層体を一体焼成して本体4が構成されている。この本体4は、上記積層体を還元雰囲気中にて高温焼成した後、低温の酸化処理を施すことによって形成されたものである。
(Ba1−w−xSrwREx)αTiO3+βSiO2+zMnO…(1)
(Ba1−w−xSrwREx)α(Ti1−yTMy)O3+βSiO2+zMnO…(2)
組成式(1)において、REは、Y、La、Ce、Sm、Er、Nd、Dyからなる群から選択される少なくとも1種の元素である。組成式(2)において、REは、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、DyおよびErなる群から選択される少なくとも1種の元素である。また、組成式(2)におけるTMは、V、NbおよびTaからなる群から選択される少なくとも1種の元素である。
以下、組成式(1)、組成式(2)について順次説明する。
0≦w≦0.3、
0.002≦x≦0.008、
0<z<0.001、
1.02≦α≦1.1、
βは、1.02≦α≦1.1の範囲において2.35α−2.39<β[mol]<2.35α−2.32。
Baの一部をSrで置換することによりキュリー温度を変動させることができる。但し、wが増加するにつれてキュリー温度が低下し、wが0.3を超えるとキュリー温度と室温との差が小さくなるため、wの上限は0.3とする。本発明においては、25℃における抵抗率R25℃(以下、R25℃または室温抵抗率ということがある)の2倍に抵抗率がなる温度をキュリー温度と定義する。
キュリー温度は、PTCサーミスタの用途に応じて調整する必要がある。例えば、電池パック内にPTCサーミスタを入れて電池セルの温度を検出する場合があるが、電池パックに要求されるキュリー温度は80〜90℃である。よって、本発明のPTCサーミスタを電池パック用に用いる場合には、wを0.05≦w≦0.075の範囲とすればよい。また後述する実施例で示すように、所定量のSrでBaサイトの一部を置換することにより、Srで置換しない場合よりもPTC特性を向上させることができる。高いキュリー温度を得たい場合には、wは、0≦w≦0.25の範囲とすることが好ましく、さらには0.05≦w≦0.15とすることが好ましい。PTC特性を重視する場合には、wは、0.05≦w≦0.3の範囲とすることが好ましく、さらには0.1≦w≦0.3とすることが好ましい。
REは半導体化剤として機能し、組成式(1)において、その量を示すxは、0.002≦x≦0.008の範囲とする。この範囲で、高いPTC特性を得ることができる。これに対し、xが0.002未満では、半導体セラミック層2を構成する磁器を半導体化させることが困難である。また、xが0.008を超えると、室温抵抗率が高くなるとともに、PTC特性が低下してしまう。
xは、0.002≦x≦0.006の範囲とすることが好ましく、さらには0.003≦x≦0.005とすることが好ましい。REのなかでは室温抵抗率が低く、かつPTC特性が高いという理由から、Y、Smが特に好ましい。
本発明において、MnOは、PTC特性を向上させるのに有効である。ただし、zが0.001molを超えると室温抵抗率が高くなりすぎてPTC特性が得られず、温度の上昇に対して抵抗が減少するNTC(Negative Temperature Coefficient)特性を示す。そこで本発明は組成式(1)において、MnO量を示すzを0<z<0.001とする。zは、0.0001≦z≦0.0007の範囲とすることが好ましく、さらには0.0002≦z≦0.0007とすることが好ましい。
BaサイトとTiサイトのmol比を示すαが1.02未満またはαが1.1を超えると、室温抵抗率が高くなり、PTC特性が劣化してしまう。したがって、本発明のαは1.02≦α≦1.1とする。αは1.02≦α≦1.08の範囲とすることが好ましく、さらには1.02≦α≦1.05とすることが好ましい。
SiO2は焼結助剤として機能するが、BaサイトとTiサイトのmol比と相関があり、両者が特定の関係にあるときに、低抵抗率と高いPTC特性を兼備することができる。すなわち、αおよびβを2.35α−2.39<β<2.35α−2.32に制御することにより、室温抵抗率およびPTC特性を積層型サーミスタ1として好ましい値とすることができる。この式において、1.02≦α≦1.1である。
組成式(2)において、w、x、y、z、β(いずれもmol)、およびα(BaサイトとTiサイトのmol比)はそれぞれ以下を満足する。
0≦w≦0.3
0.001≦x+y≦0.005
0.2≦y/(x+y)≦0.8、
0<z<0.001、
1.02≦α≦1.1、
βは、1.02≦α≦1.1の範囲において2.35α−2.39<β[mol]<2.35α−2.32。
BaサイトのREによる置換量およびTiサイトのTMによる置換量の合計を示すx+yが少なくなると室温抵抗率が高く、かつPTCジャンプが小さくなる傾向にある。また、x+yが多くなるとPTCジャンプが小さくなる。そこで本発明では、0.001≦x+y≦0.005とする。好ましいx+yは0.002≦x+y≦0.005、さらに好ましいx+yは0.002≦x+y≦0.004である。
組成式(1)によれば、25℃における抵抗率R25℃(以下、R25℃または室温低効率ということがある)を1×104Ωcm以下、以下の式(3)によるPTCジャンプ(桁数)を1.6以上、さらには2.6以上とすることができる。
PTCジャンプ=Log10(R200℃/R25℃)…(3)
R200℃:200℃における抵抗率
R25℃:25℃における抵抗率
また、組成式(2)によれば、R25℃を1×103Ωcm以下、以下の式(4)によるPTCジャンプ(桁数)を4以上とすることができる。
PTCジャンプ=Log10(R250℃/R25℃)…(4)
R250℃:250℃における抵抗率
R25℃:25℃における抵抗率
上記した積層型サーミスタ1を作製するには、原料を配合した後に仮焼し、得られた仮焼体を粉砕してスラリーを作製する。そして、そのスラリーを用いて半導体セラミック層用グリーンシートを作製した後、グリーンシートの上面に内部電極用ペーストを印刷して内部電極3を形成する。次いで、グリーンシートを積層して得られた積層体を焼結し、得られた本体4に対して酸化処理(熱処理)を施すのである。本発明は、上記組成式(1)または組成式(2)の組成を採用するとともに、Mnに関する原料を、Mn以外の原料を仮焼粉砕した後または/および仮焼粉砕時に添加することを特徴としている。
以下、各工程について詳述する。
本発明において、Mnの全部を後添加することが好ましいが、Mnの総量の60%以上を後添加することを条件として、0.0001mol未満のMnを配合時に添加することを本発明は許容する。この程度の量であれば、Mnを前添加することによる室温抵抗率上昇という影響が小さいからである。
酸化処理後の本体4の左端面4aおよび右端面4bに外部電極用ペーストを塗布した後、大気中、550〜650℃で焼き付けて外部電極5を形成して外部電極5と内部電極3の一端面3aとを電気的に接続することにより、図1に示した積層型サーミスタ1を得ることができる。外部電極用ペーストとしては、例えばAgペーストやAg−Pdペーストを用いることができる。
(Ba0.772Sr0.223Y0.005)1.02TiO3+0.05SiO2
(Ba0.772Sr0.223Y0.005)1.02TiO3+0.05SiO2+zMnO
溶剤:粉末100重量部に対して50重量部配合した。
バインダ:粉末100重量部に対して5重量部配合した。
可塑剤:粉末100重量部に対して2.5重量部配合した。
内部電極の一端面が半導体セラミック層の左端部、右端部に交互に露出するようグリーンシートを積層し、その上面および下面に、内部電極が形成されていないグリーンシートを重ね、これをプレスで積層方向に加圧、圧着した。圧着体をカッターで切断し、2mm×1.2mm×1.2mmの積層体を得た。
積層体を大気中、600℃で2時間加熱保持してバインダを除去した後、還元雰囲気中、1200℃で2時間、積層体を焼結し、焼結体を得た。還元雰囲気は水素と窒素の混合雰囲気とし、水素と窒素の比率は1:99とした。
続いて焼結体を大気中、800℃で2時間加熱保持することにより、酸化処理を行った。なお、酸素濃度は0.2%とした。酸化処理後の焼結体の左端面および右端面にAgペーストを塗布した後、大気中650℃で焼き付けて外部電極を形成し、図1に示した構成を有する積層型サーミスタを得た。得られた積層型サーミスタについて、室温抵抗率およびPTCジャンプを求めた。その結果を表1の「Mn後添加」の欄に示す。なお、PTCジャンプは式(3)に基づき求めた。
Mnを配合時に添加した以外は上記実施例1と同様の条件で積層型サーミスタを作製した後、同様の条件で室温抵抗率およびPTCジャンプを求めた。その結果を表1の「Mn前添加」の欄に示す。
したがって、低い室温抵抗率および高いPTC特性を兼備するには、Mnを後添加するとともに、組成式(1)におけるMn量、つまりzを0<z<0.001、さらには0.0001≦z≦0.0007、より好ましくは0.0002≦z≦0.0007とすることが好ましい。
(Ba0.772Sr0.223Y0.005)αTiO3+βSiO2+0.0005MnO
得られた積層型サーミスタについて、実施例1と同様に、室温抵抗率を測定した。その結果を表2の「Mn後添加」の欄に示す。
Mnを配合時に添加した以外は上記実施例2と同様の条件で積層型サーミスタを作製した後、同様の条件で室温抵抗率を測定した。その結果を表2の「Mn前添加」の欄に示す。
但し、試料No.23〜26のように、αが1.02未満またはαが1.10を超えると、室温抵抗率が高くなる。したがって、本発明ではαは1.02≦α≦1.1とする。αは1.02≦α≦1.08の範囲とすることが好ましく、さらには1.02≦α≦1.05とすることが好ましい。
また、Mnを後添加した場合でも、βが本発明が推奨する範囲外となると、室温抵抗率が1.0×104を超える。
同様に、βの値が0.24molと同一である試料No.18と試料No.21とを比較すると、αが1.10である試料No.21については室温抵抗率が低くかつPTC特性が高いが、αが1.08である試料No.18については室温抵抗率が高すぎ、PTC特性ではなくNTC特性を示した。つまり、0.24molというSiO2添加量はαが1.08の場合には多すぎるが、モル比Baサイト/Tiサイトが1.10の場合には適量であるといえる。
したがって、βは単独で決定すべきではなく、αに応じて決定すべきである。本発明者が表3の結果を整理した結果、所望の室温抵抗率およびPTC特性を兼備した試料については、2.35α−2.39<β<2.35α−2.32(但し、1.02≦α≦1.1)を満足することを確認した。
(Ba0.995−wSrwY0.005)1.02TiO3+0.05SiO2となるように原料粉末の秤量を行うとともに、仮焼粉砕後にMn(NO3)2・6H2Oを添加し最終組成が下記組成となるように調整した以外は、実施例1と同様にして積層型サーミスタを作製した。得られた積層型サーミスタについて、実施例1と同様に、室温抵抗率を測定し、かつPTCジャンプを求めた。その結果を表4に示す。
(Ba0.995−wSrwY0.005)1.02TiO3+0.05SiO2+0.0005MnO
BaCO3、TiO2、SrCO3、SiO2、REの酸化物を(Ba0.777−xSr0.223REx)1.00TiO3+0.05SiO2または(Ba0.777−xSr0.223REx)1.02TiO3+0.05SiO2の組成になるように原料の秤量を行うとともに、仮焼粉砕後にMn(NO3)2・6H2Oを添加し最終組成が下記組成となるように調整した。そしてxの値を0.003mol、0.005molまたは0.010molとした以外は、実施例1と同様にして積層体を作製した。なお、REとしては本発明が推奨するLa、Nd、Sm、Yの他、比較例としてYbを使用した。
(Ba0.777−xSr0.223REx)1.00TiO3+0.05SiO2+0.0005MnO
(Ba0.777−xSr0.223REx)1.02TiO3+0.05SiO2+0.0005MnO
酸化処理後の焼結体の左端面および右端面にAgペーストを塗布した後、大気中、600℃で焼き付けて外部電極を形成し、図1に示した構成を有する積層型サーミスタを得た。得られた積層型サーミスタについて、実施例1と同様に、室温抵抗率を測定し、かつPTCジャンプを求めた。また密度を測定した。また積層型サーミスタのキュリー温度およびPTCジャンプを求めた。それらの結果を表5に示す。
なお、1300℃で還元焼成した場合には、各試料とも高い密度を示すが、1.0以上のPTCジャンプを得ることはできなかった。1300℃で還元焼成した場合には、焼結体が緻密であるためにその後に酸化処理を施したとしても、酸素が焼結体の内部に浸透しにくく、酸化処理が十分に進行しないためであると推察される。
BaCO3、TiO2、SrCO3、SiO2、REの酸化物を(Ba0.772Sr0.223RE0.005)αTiO3+βSiO2の組成になるようにそれぞれ秤量し、仮焼粉砕後にMn(NO3)2・6H2Oを添加し最終組成が下記組成となるように調整した以外は、実施例1と同様の条件で積層型サーミスタを作製した。得られた積層型サーミスタについて、室温抵抗率を測定した。その結果を表6の「Mn後添加」の欄に示す。
(Ba0.772Sr0.223RE0.005)αTiO3+βSiO2+0.0005MnO
Mnを配合時に添加した以外は上記実施例5と同様の条件で積層型サーミスタを作製した後、同様の条件で室温抵抗率を測定した。その結果を表6の「Mn前添加」の欄に示す。
Mnを後添加した本発明の試料についてPTCジャンプを測定したところ、1.6〜3.2の値を示した。したがって、REとしてSm、La、Ce、Er、Nd、Dyを用いた場合にも、本発明が推奨する組成を採用し、かつMnを後添加することにより、室温抵抗率が低く、PTC特性が高いPTCサーミスタを得ることができることが確認できた。
BaCO3、TiO2、SrCO3、SiO2、RE酸化物としてのY2O3、TM酸化物としてのNb2O5を(Ba0.7755Sr0.223Y0.0015)1.02(Ti0.9985Nb0.0015)O3+0.05SiO2の組成になるようにそれぞれ秤量し、1150℃で仮焼を行った後にMn(NO3)2・6H2Oを添加し最終組成が下記組成となるように調整した以外は、実施例1と同様にして積層型サーミスタを作製した。得られた積層型サーミスタについて、実施例1と同様に、室温抵抗率を測定した。また式(4)に基づきPTCジャンプを求めた。その結果を表7に示す。
(Ba0.7755Sr0.223Y0.0015)1.02(Ti0.9985Nb0.0015)O3+0.05SiO2+zMnO
したがって、組成式(2)を採用する場合も、低い室温抵抗率および高いPTC特性を兼備するには、Mn量、つまりzは0<z<0.001、さらには0.0001≦z≦0.0007、より好ましくは0.0002≦z≦0.0007とすることが好ましい。
Mn(NO3)2・6H2Oを配合時に添加(前添加)するとともに仮焼後にも添加(後添加)し、最終組成が下記組成となるように調整した以外は、実施例6と同様にして積層型サーミスタを作製した。得られた積層型サーミスタについて、実施例6と同様に、室温抵抗率を測定し、かつPTCジャンプを求めた。その結果を表8に示す。
(Ba0.7755Sr0.223Y0.0015)1.02(Ti0.9985Nb0.0015)O3+0.05SiO2+(z1+z2)MnO
z1:Mnの前添加量
z2:Mnの後添加量
RE酸化物、TM酸化物を以下の通りとし、最終組成が下記組成となるように調整した以外は、実施例6と同様にして積層型サーミスタを作製した。また、下記組成の2.35α−2.39および2.35α−2.32は、各々0.007、0.077となり、β=0.05であるから、2.35α−2.39<β<2.35α−2.32を満足する。
Ba0.772Sr0.223REx)1.02(Ti1−yTMy)O3+0.05SiO2+0.0005MnO
RE(x)、TM(y):表9、表10
RE酸化物:Y2O3、Gd2O3、La2O3、Ce2O3、Pr2O3、Sm2O3、Dy2O3、Er2O3、Nd2O3
TM酸化物:Nb2O5、V2O5、Ta2O5
x+y(mol)が0.001未満(No.28〜30)か、0.005を超えると(No.43〜46)では、PTCジャンプが4未満の特性となってしまう。これに対して、x+yが0.001〜0.005の範囲(No.31、33〜38、40、41)にあると、室温抵抗率が1.0×103Ωcm以下、かつPTCジャンプが4以上の特性を得ることができる。x+yは0.003近傍が最も好ましい。
y/(x+y)についてみると、y/(x+y)が0.2未満または0.8を超える(No.32、39)と、PTCジャンプが4未満の特性となってしまう。これに対して、y/(x+y)が0.2〜0.8の範囲(No.33〜38、40、41)にあると、室温抵抗率が1.0×103Ωcm以下、かつPTCジャンプが4以上の特性を得ることができる。
下記の組成となるように原料を秤量した以外は、実施例6と同様にして積層型サーミスタを作製した。
(Ba0.772Sr0.223REx)α(Ti1−yTMy)O3+βSiO2+0.0005MnO
x=0.0015、y=0.0015(x+y=0.0030、y/(x+y)=0.5)
得られた積層型サーミスタについて、実施例6と同様に、室温抵抗率、PTCジャンプを求め、また、焼結体の空隙率を測定した。その結果を表11に示す。
同様に、βの値が0.24molと同一であるNo.106とNo.109とを比較すると、αが1.10であるNo.109については室温抵抗率が低く、かつPTCジャンプが4とPTC特性も高いが、αが1.08であるNo.106については室温抵抗率が高く、PTCジャンプが1と低い。
(Ba0.995−x−wSrwYx)1.02(Ti1−yNby)O3+0.05SiO2+0.0005MnO
x=0.0015、y=0.0015(x+y=0.0030、y/(x+y)=0.5)
Claims (7)
- 半導体セラミック層とNi系金属から構成される内部電極とが交互に積層されるとともに、前記内部電極と電気的に接続された外部電極とを有し、正の抵抗温度特性を有する積層型サーミスタの製造方法であって、
前記半導体セラミック層は(Ba1-w−xSrwREx)αTiO3+βSiO2+zMnO・・・組成式(1)で示される化合物を含む焼結体から構成され、
前記半導体セラミック層のBa、Sr、RE、Ti、Siに関する原料を所定温度で加熱保持して仮焼体を得る工程aと、
前記工程aで得られた前記仮焼体を粉砕する工程bと、
前記工程bで得られた粉砕粉末にバインダを添加し、前記半導体セラミック層形成用のシートを形成する工程cと、
前記工程cで得られた前記半導体セラミック層形成用のシートと前記内部電極用材料とが交互に積層された積層体を得る工程と、
前記積層体を還元雰囲気中で焼結し、前記焼結体を得る工程と、
前記焼結体を酸化雰囲気中で熱処理する工程と、を備え、
前記半導体セラミック層のMnに関する原料を前記工程bおよび前記工程cの少なくともいずれかの工程で添加するとともに、
前記組成式(1)において、
前記REは、Y、La、Ce、Sm、Er、Nd、Dyからなる群から選択される少なくとも1種で表されるとともに、
w、x、z、β(いずれもmol)、およびα(Baサイト/Tiサイトのmol比)は、以下を満足することを特徴とする積層型サーミスタの製造方法。
0≦w≦0.3
0.002≦x≦0.008
0<z<0.001
1.02≦α≦1.1
2.35α−2.39<β<2.35α−2.32 - 半導体セラミック層とNi系金属から構成される内部電極とが交互に積層されるとともに、前記内部電極と電気的に接続された外部電極とを有し、正の抵抗温度特性を有する積層型サーミスタの製造方法であって、
前記半導体セラミック層は(Ba1−w−xSrwREx)α(Ti1−yTMy)O3+βSiO2+zMnO…組成式(2)で示される化合物を含む焼結体から構成され、
前記半導体セラミック層のBa、Sr、RE、Ti、TM、Siに関する原料を予め定められた温度で加熱保持して仮焼体を得る工程aと、
前記工程aで得られた前記仮焼体を粉砕する工程bと、
前記工程bで得られた粉砕粉末にバインダを添加し、前記半導体セラミック層形成用のシートを形成する工程cと、
前記工程cで得られた前記半導体セラミック層形成用のシートと前記内部電極用材料とが交互に積層された積層体を得る工程と、
前記積層体を還元雰囲気中で焼結し、前記焼結体を得る工程と、
前記焼結体を酸化雰囲気中で熱処理する工程と、を備え、
前記半導体セラミック層のMnに関する原料を前記工程bおよび前記工程cの少なくともいずれかの工程で添加するとともに、
前記組成式(2)において、
前記REは、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、DyおよびErからなる群から選択される少なくとも1種の元素、
前記TMは、V、NbおよびTaからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、
w、x、y、z、β(いずれもmol)、およびα(Baサイト/Tiサイトのmol比)は、以下を満足することを特徴とする積層型サーミスタの製造方法。
0≦w≦0.3
0.001≦x+y≦0.005
0.2≦y/(x+y)≦0.8
0<z<0.001
1.02≦α≦1.1
2.35α−2.39<β<2.35α−2.32 - 前記工程aにおいて、前記半導体セラミック層のMn以外の原料と、Mnに関する原料の一部であってMnO換算で0.0001mol未満の原料とを予め定められた温度で加熱保持して前記仮焼体を得るとともに、
前記工程bまたは前記工程cにおいて、前記半導体セラミック層のMnに関する原料の残部を添加することを特徴とする請求項1または2に記載の積層型サーミスタの製造方法。 - 前記工程bまたは前記工程cにおいて、Mnに関する原料の全部を添加することを特徴とする請求項1または2に記載の積層型サーミスタの製造方法。
- 前記組成式(1)または前記組成式(2)において、0.0001≦z≦0.0007であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の積層型サーミスタの製造方法。
- 前記半導体セラミック層を構成する前記積層体の空隙率は5〜25%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の積層型サーミスタの製造方法。
- 前記積層体は1180〜1280℃で焼結されることを特徴とする請求項1〜6に記載の積層型サーミスタの製造方法。
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