以下、適宜図面が参照されて本発明の実施形態が説明される。なお、本実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係るスキャナ10の外観構成を示す斜視図であり、原稿カバー17が開かれた状態を示す。
スキャナ10(本発明に係る画像読取装置の一例)は、原稿の画像を読み取るスキャナ機能を有するものである。本実施形態においては、スキャナ機能のみを有するスキャナ10を例に本発明が説明される。ただし、本発明に係る画像読取装置は、スキャナ10に限定されるものではない。本発明に係る画像読取装置は、コピー機やファクシミリ機、複数の機能を有する複合機(Multi Function Device)として実現されてもよい。
図1に示されるように、スキャナ10は、原稿台11を備える。原稿台11は、フラットベッドスキャナ(FBS:Flat Bed Scanner)として機能するものである。原稿台11は、略直方体の筐体15を有する。筐体15の内部にはラインセンサ40(図2及び図3参照)が設けられている。スキャナ10では、このラインセンサ40により原稿の画像が読み取られる。
図1に示されるように、スキャナ10は、原稿カバー17を備える。原稿カバー17は、後述の第2ガラス20(本発明の第2透過部材の一例)に載置された原稿を第2ガラス20に密着させるものである。原稿カバー17は、原稿台11に対して開閉自在に設けられている。具体的には、原稿カバー17は、原稿台11の背面側の蝶番(不図示)を介して原稿台11と回動可能に連結されている。この原稿カバー17は、自動原稿搬送機構(ADF:Auto Document Feeder)28を備えている。
図2は、本発明の第1実施形態に係るスキャナ10における搬送路12の一部を示す模式断面図である。
図1及び図2に示されるように、ADF28は、原稿トレイ22に載置された原稿を搬送路12を通じて排紙トレイ23へ搬送するものである。すなわち、搬送路12は、原稿が搬送される経路である。なお、図2においては、原稿トレイ22と搬送路12における原稿トレイ22側の一部が省略されている。原稿トレイ22(図1参照)及び排紙トレイ23(図2参照)は、原稿トレイ22を上側として上下二段となるように原稿カバー17に設けられている。搬送路12は、縦断面視において横向き略U字形状となるようにADF28の内部に設けられている。搬送路12は、ADF28本体を構成する部材やガイド板、ガイドリブ等により、原稿が通過可能な所定幅の通路として連続的に形成されている。この搬送路12により原稿トレイ22及び排紙トレイ23が連結されている。
搬送路12には、原稿を搬送する複数のローラ73(図4参照)が配設されている。図には示されていないが、ローラ73は、所謂ピックアップローラ、分離ローラ、搬送ローラ、及び排紙ローラから構成される。これらの各ローラ73には、単一のモータ72(図4参照)から駆動力が伝達される。各ローラ73の回転力が原稿に伝達され、原稿が原稿トレイ22から排紙トレイ23へ向けて搬送路12に沿って搬送される。図2に示されるように、搬送路12の途中には、第1ガラス18(本発明の第1透過部材の一例)が設けられている。原稿カバー17が閉じられた状態において、原稿トレイ22に載置された原稿は、ADF28により搬送路12に沿って搬送されて第1ガラス18上を通過する。その際、原稿は、第1ガラス18の下方に待機するラインセンサ40によりその画像が読み取られる。原稿は、さらに搬送されて排紙トレイ23へ排出される。
図1に示されるように、筐体15の一部を構成する上カバー16の天面には、第1ガラス18及び第2ガラス20が配設されている。第1ガラス18は、透明なガラス板やアクリル板等からなる透過板である。原稿トレイ22に原稿が載置されて原稿の読取開始が指示されると、ラインセンサ40が第1ガラス18と対向する位置(例えば図6参照)に配置される。原稿トレイ22上の原稿は、ADF28により搬送路12に沿って搬送される。その過程で、第1ガラス18上を搬送される原稿の画像が第1ガラス18を通してラインセンサ40により読み取られる。
第2ガラス20(図1参照)は、原稿台11をFBSとして使用する場合に原稿が載置されるものである。第2ガラス20は、透明なガラス板やアクリル板等からなる透過板である。第2ガラス20に原稿が載置されて原稿の読取開始が指示されると、ラインセンサ40が第2ガラス20に対向して原稿の副走査方向(矢印38で示される方向)へ移動される。その過程で、第2ガラス20上の原稿の画像が第2ガラス20を通してラインセンサ40により読み取られる。
原稿台11の天面における第1ガラス18と第2ガラス20との間には、区画部材51(図1及び図2参照)が設けられている。区画部材51は、第1ガラス18及び第2ガラス20と同様にスキャナ10の奥行き方向(矢印39で示される方向)に延設された長尺の部材である。図2に示されるように、区画部材51は、スキャナ10の幅方向の断面が略L字形状のものである。第1ガラス18は、その短手方向の一端(図2における右側)が区画部材51により支持されている。区画部材51は、第2ガラス20に原稿を載置する際に原稿の位置決め基準として用いられる。区画部材51には、中央位置やA4(日本工業規格A列4番)サイズ、B5(日本工業規格B列5番)サイズ等の各種原稿サイズの両端位置を示す表示が記されている。原稿は、区画部材51に記された中央位置を基準として第2ガラス20に載置される。
第1ガラス18及び第2ガラス20は、原稿カバー17が開かれることによりその上面が露出される(図1参照)。原稿カバー17が閉じられることにより、第1ガラス18及び第2ガラス20を含む原稿台11の上面全体が原稿カバー17に覆われる。原稿カバー17の下面には、第2ガラス20を覆う原稿押さえ19(図1参照)が設けられている。原稿押さえ19は、第2ガラス20上に載置された原稿を押さえるために、スポンジ及び白板等から構成されている。原稿カバー17が閉じられると、第2ガラス20に載置された原稿は、原稿カバー17により原稿押さえ19を介して第2ガラス20へ向けて押圧される。また、第1ガラス18は、原稿台11の上面に設けられているので、原稿カバー17が閉じられることにより搬送路12の一部を構成する。このため、ADF28は、原稿台11に対して原稿カバー17が閉じられた状態で使用される。
図3は、原稿台11の内部構成を示す平面図である。なお、図3においては、上カバー16が取り外された状態が示されている。
図3に示されるように、原稿台11における筐体15の内部には、画像読取ユニット14が設けられている。画像読取ユニット14は、第1ガラス18又は第2ガラス20を通して原稿を読み取るものである。画像読取ユニット14は、ラインセンサ40、キャリッジ41、ガイドシャフト42、及びベルト駆動機構43から構成される。
ラインセンサ40は、光源から原稿へ光照射して原稿からの反射光を主走査ライン毎に読み取るものである。ラインセンサ40としては、焦点距離が短い読取デバイスが使用される。本実施形態においては、ラインセンサ40は、いわゆる密着型のイメージセンサ(CIS:Contact Image Sensor)である。図には示されていないが、ラインセンサ40は、光源、レンズ、及び受光素子を備える。ラインセンサ40は、光源から第1ガラス18又は第2ガラス20を通して原稿に光を照射する。すなわち、ラインセンサ40は、ADF28により搬送される原稿に第1ガラス18を通して光を照射し、又は第2ガラス20に載置された原稿に第2ガラス20を通して光を照射する。ラインセンサ40は、原稿からの反射光をレンズにより受光素子に集光して電気信号(画像信号)に変換する。これにより、原稿の画像が得られる。ラインセンサ40の受光素子は、例えばチップ単位で原稿の主走査方向(矢印39で示される方向)に並べて配置されている。ラインセンサ40の光源及びレンズは、この受光素子と同方向に配列されている。
キャリッジ41は、その上側にラインセンサ40を搭載する(図2参照)。筐体15の内部には、その幅方向(図3における左右方向)にわたってガイドシャフト42が架設されている。キャリッジ41は、このガイドシャフト42と嵌合している。キャリッジ41は、ベルト駆動機構43により駆動されてガイドシャフト42上を矢印38で示される方向へ移動する。キャリッジ41の長手方向の両端に対応するキャリッジ41の上面には、ローラ30(図2及び図3参照)が設けられている。各ローラ30は、キャリッジ41の移動方向(矢印38で示される方向)に転動可能な状態でキャリッジ41にそれぞれ軸支されている。各ローラ30は、キャリッジ41の上面から均等に上方へ突出している。筐体15の上面側には、ガイド部材34(図2参照)が設けられている。ガイド部材34は、キャリッジ40の移動方向に延設された細長の平板部材である。このガイド部材34は、ローラ30が移動する軌跡に沿うように配置されている。各ローラ30は、ガイド部材34(図2参照)の裏面に当接する。これにより、ラインセンサ40の上面と第2ガラス20の裏面との間に一定の間隙が形成される。この一定の間隙により、ラインセンサ40の焦点が第2ガラス20の上面に一致している。各ローラ30の転動により、キャリッジ41がガイド部材34に沿って円滑に移動される。ラインセンサ40がキャリッジ41に搭載されているので、ラインセンサ40は、第1ガラス18又は第2ガラス20に対向して移動される。
ベルト駆動機構43(図3参照)は、駆動ベルト44、駆動プーリ45、及び従動プーリ46から構成される。図3に示されるように、駆動プーリ45及び従動プーリ46は、筐体15の幅方向の両端にそれぞれ設けられている。駆動ベルト44は、内側に歯が設けられた無端環状のものであり、駆動プーリ45と従動プーリ46との間に張架されている。駆動プーリ45の軸には、CR(キャリッジ)モータ65(本発明の駆動部に相当する:図4参照)から駆動力が伝達される。駆動プーリ45の回転により駆動ベルト44が周運動し、キャリッジ41に搭載されたラインセンサ40が第1ガラス18又は第2ガラス20に対向して移動される。なお、CRモータ65としては例えばステッピングモータが用いられる。スキャナ10の幅方向(矢印39で示される方向)におけるラインセンサ40の位置は、CRモータ65のステップ数を測定することによって監視される。
ADF28により搬送される原稿は、第1ガラス18に沿って移動される。原稿は、第1ガラス18の下方に配置されたラインセンサ40によりその画像が第1ガラス18を通して読み取られる。このため、第1ガラス18の上面には、ラインセンサ40による原稿の読取面25(図2参照)が構成される。ここで、読取面25は、第1ガラス18におけるラインセンサ40の読取領域である。つまり、第1ガラス18上を通過する原稿は、第1ガラス18の上面における読取領域25においてラインセンサ40によりその画像が読み取られる。図2に示されるように、読取面25は、ラインセンサ40が移動する平面(図3の紙面に平行な面:以下、「移動面」とも称される。)に対して傾斜されている。本実施形態においては、読取面25は、搬送路12における原稿の搬送方向上流側(図2における左側)よりも下流側(図2における右側)が移動面から離間されている(図2参照)。このため、搬送中の原稿は、第1ガラス18に当接して押し付けられる。その結果、第1ガラス18に対する原稿の浮きが原因でラインセンサ40の上面と読取面25との相対距離が変化することが防止される。
ラインセンサ40は、CRモータ65から付与される駆動力により、第1ガラス18と対向して移動される。CRモータ65の駆動は、後述の制御部55(図4参照)により制御される。この制御部55が本発明の制御部、演算部、決定部に相当する。上述のように、第1ガラス18における読取面25は、移動面に対して傾斜されている。制御部55は、CRモータ65を駆動させてラインセンサ40(キャリッジ41)を矢印38で示される方向へ移動させる。ラインセンサ40の位置に応じて、読取面25の位置が第1ガラス18の短手方向に移動する(図6参照)。これにより、制御部55は、第1ガラス18における原稿の読取面25とラインセンサ40との相対距離(以下、「第1相対距離」とも称される。)を変更する(図6中のD1〜D3参照)。ラインセンサ40の駆動源であるCRモータ65を利用して第1相対距離が変更されるので、簡易な構成で第1相対距離を変更することが可能である。すなわち、第1相対距離を変更するための部材を新たに追加することなく第1相対距離が容易に変更される。第1相対距離が変更されることにより、原稿の読取面25に対してラインセンサ40のピントを変更して、ADF28により搬送される原稿を読み取ることができる。
なお、移動面に対する読取面25の傾斜角は、特に限定されるものではない。ただし、傾斜角は、ラインセンサ40のMTF(Modulation Transfer Function)特性に基づいて設定されることが好ましい。傾斜角を大きくすると、ラインセンサ40の移動に対する第1相対距離の変化が大きくなる。逆に、傾斜角を小さくすると、ラインセンサ40の移動による第1相対距離の変化は小さくなる。したがって、ラインセンサ40としてピントが合う範囲が非常に狭い読取デバイスを使用する場合には、傾斜角を小さめに設定することが好ましい。逆に、ラインセンサ40としてピントが合う範囲が割と広い読取デバイスを使用する場合には、傾斜角を大きめに設定してもよい。また、読取面25は、搬送路12における原稿の搬送方向下流側よりも上流側が移動面から離間されていてもよい。ただし、読取面25に対する原稿の浮きを防止するために、読取面25は、原稿の搬送方向上流側よりも下流側が移動面から離間されていることが好ましい。
図2に示されるように、第1ガラス18の上方にはプラテン49が設けられている。プラテン49は、第1ガラス18と対向する面が第1ガラス18に沿ってスキャナ10の奥行き方向(矢印39で示される方向)に延設されている。プラテン49は、ADF28を構成する部材(不図示)にコイルバネ35を介して取り付けられている。図には示されていないが、プラテン49の長手方向の両端には、第1ガラス18へ向けて突出する凸部が設けられている。この凸部により、原稿カバー17が閉じられた際に第1ガラス18とプラテン49とが所定の間隔を隔てて対向配置される。所定の間隔は、原稿の厚さよりも若干長く設定されている。このため、原稿は、その移動がプラテン49に規制されることなく第1ガラス18に沿って円滑に搬送される。
図1及び図2に示されるように、第1ガラス18を挟んで第2ガラス20の反対側には、基準部材37が設けられている。基準部材37は、上カバー16の裏面に設けられている。この基準部材37は、ラインセンサ40の明度基準としてラインセンサ40によりその画像が読み取られるものである。すなわち、基準部材37は、ラインセンサ40の光量調整や白基準データ90〜92(図5参照)の取得に用いられる。なお、光量調整及び白基準データ90〜92の取得については後に詳述される。基準部材37は、ラインセンサ40の主走査方にラインセンサ40と略同じ長さを有する薄膜帯状の部材であり、ラインセンサ40と対向する面が白色のものである。基準部材37は、上カバー16に形成された傾斜部48の裏面に貼設されている。傾斜部48は、移動面に対して第1ガラス18と同じ傾斜角で傾斜されている。このため、基準部材37の読取面27は、第1ガラス18と略同じ角度で移動面に対して傾斜されている。ここでの読取面27は、基準部材37の裏面全体を指すものではなく、基準部材37においてラインセンサ40により読み取られる面を意味する。なお、図2に示されるように、第1ガラス18及び基準部材37は、スキャナ10の幅方向に対して線対称に傾斜されている。
制御部55は、CRモータ65を駆動させてラインセンサ40(キャリッジ41)を移動させることにより、基準部材37の読取面27とラインセンサ40との相対距離(以下、「第2相対距離」とも称される。)を変更する。ラインセンサ40の駆動源であるCRモータ65を利用して第2相対距離が変更されるので、簡易な構成で第2相対距離を変更することが可能である。すなわち、ラインセンサ40と基準部材37との第2相対距離を変更するための部材を新たに追加することなく第2相対距離が容易に変更される。第2相対距離が変更されることにより、ラインセンサ40のピントを変更して、読取面27を読み取ることができる。
図1に示されるように、スキャナ10の正面上部には、操作パネル13が設けられている。操作パネル13は、各種情報を表示する液晶ディスプレイ、ユーザが情報を入力する入力キー等から構成される。スキャナ10は、この操作パネル13からの操作入力に基づいて動作する。第2ガラス20に載置された原稿、或いは、原稿トレイ22に載置された原稿の読み取り開始を指示するユーザの操作入力は、この操作パネル13から行われる。なお、スキャナ10は、操作パネル13からの指示のほか、コンピュータに接続されて該コンピュータからスキャナドライバ等を介して送信される指示によっても動作される。
図4は、スキャナ10の制御部55の構成例を示すブロック図である。図5は、画像処理回路79の構成例を示すブロック図である。
制御部55は、スキャナ10の全体動作を制御する。図4に示されるように、制御部55は、CPU(Central Processing Unit)56、ROM(Read Only Memory)57、RAM(Random Access Memory)58、及びEEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)59を主とするマイクロコンピュータとして構成されている。この制御部55は、バス60を介してモータ制御回路124、モータ制御回路125、読取制御回路126、画像処理制御回路127、パネル制御回路128、及びセンサ入力回路129に接続されている。
ROM57は、CPU56によってスキャナ10の各種動作を制御する制御プログラム等を格納する。RAM58は、CPU56により制御プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記憶する記憶領域又は作業領域である。図5に示されるように、RAM58は、第1光量調整値101、第2光量調整値102、第3光量調整値103、第1白基準データ90、第2白基準データ91、第3白基準データ92等のデータを記憶する。これらのデータについては、後に詳述される。
RAM58は、読取モード情報24(図4参照)を記憶する。読取モード情報24は、操作パネル13からの操作入力に基づいて制御部55が設定した原稿の読取モードを示す情報である。ADF28により搬送される原稿の読み取りは、この読取モード情報24に基づいて行われる。本実施形態においては、制御部55は、通常モード、モアレ低減モード、及びぼかしモードのいずれかを設定する。通常モードは、制御部55が第1相対距離をラインセンサ40の焦点距離に略一致させた状態でラインセンサ40により第1ガラス18を通して原稿を読み取る読取モードである。換言すれば、通常モードは、第1ガラス18における原稿の読取面25にラインセンサ40のピント(焦点)を合わせた状態で原稿を読み取る読取モードである。モアレ低減モード及びぼかしモードは、制御部55が第1相対距離をラインセンサ40の焦点距離と異ならせた状態でラインセンサ40により第1ガラス18を通して原稿を読み取る読取モードである。なお、モアレ低減モードとぼかしモードとは、第1相対距離が大きく異なる。モアレ低減モードは、ラインセンサ40のピントを第1ガラス18における原稿の読取面25から若干ずらした状態で原稿を読み取る読取モードである。ぼかしモードは、ラインセンサ40のピントを読取面25から若干ずらした状態で原稿の一部の領域(後述のぼかし領域外)を読み取り、ラインセンサ40のピントを読取面25から大きくずらした状態で原稿の残りの領域(後述のぼかし領域内)を読み取る読取モードである。
なお、読取モード情報24は、操作パネル13からの操作入力に代えて、コンピュータから送信される指示に基づいて設定されてもよい。また、本実施形態においては、通常モードとモアレ低減モードとぼかしモードとの3つの読取モードを有する形態について説明するが、通常モードとモアレ低減モードとの2つの読取モードを有する形態、又は通常モードとぼかしモードとの2つの読取モードを有する形態であってもよい。
EEPROM59は、電源オフ後も保持すべき各種設定やフラグ等を格納する。本実施形態においては、EEPROM59は、第1位置31、第2位置32、及び第3位置33を格納する。これらの位置情報は、RAM58に設定される読取モード情報24に対してラインセンサ40が配置される副走査方向の読取位置を示す情報である。第1位置31は、読取面25に対してラインセンサ40のピントが合う読取位置である。第2位置32は、読取面25からラインセンサ40のピントが若干ずれた読取位置である。第3位置33は、読取面25からラインセンサ40のピントが第2位置32に比べてさらにずれた読取位置である。
図6は、ラインセンサ40の読取位置を例示した模式断面図であり、(A)は第1位置31に対応する読取位置、(B)は第2位置32に対応する読取位置、(C)は第3位置33に対応する読取位置を示す。
RAM58の読取モード情報24が通常モードに設定され、ADF28により搬送される原稿が読み取られる。原稿は、ラインセンサ40が第1位置31に対応する読取位置(図6(A)参照)に配置された状態でその画像が読取面25において読み取られる。第1位置31は、読取面25に対してラインセンサ40のピントが合う位置なので、解像度の高い鮮明な原稿の画像が得られる。すなわち、通常モードは、モアレが発生しにくい写真原稿などを読み取るのに適した読取モードである。
RAM58の読取モード情報24がモアレ低減モードに設定され、ADF28により搬送される原稿が読み取られる。原稿は、ラインセンサ40が第2位置32に対応する読取位置(図6(B)参照)に配置された状態でその画像が読取面25において読み取られる。第2位置32は、ラインセンサ40のピントが読取面25からずらされた位置なので、モアレの発生が抑制された原稿の画像が得られる。すなわち、モアレ低減モードは、モアレが発生しやすい網点原稿を読み取るのに適した読取モードである。
RAM58の読取モード情報24がぼかしモードに設定され、ADF28により搬送される原稿が読み取られる。原稿は、ラインセンサ40が第2位置32に対応する読取位置(図6(B)参照)に配置された状態で後述のぼかし領域外の画像が読み取られる。また、その原稿は、ラインセンサ40が第3位置33に対応する読取位置(図6(C)参照)に配置された状態で残りの領域(ぼかし領域内)の画像が読み取られる。これにより、ぼかし領域外の画像に対してモアレの発生が抑制され、ぼかし領域内の画像が識別不能なまでにぼかされた原稿の画像が得られる。すなわち、ぼかしモードは、原稿の一部の領域をぼかして読み取るのに適した読取モードである。第1位置31、第2位置32、及び第3位置33の決定方法、各読取モードにおける原稿の読取動作については、後に詳述される。
第1ガラス18を通してラインセンサ40に読み取られた原稿の画像(画像データ)は、後述のフィルタ処理回路85(図5参照)により強調(鮮鋭化)処理される。EEPROM59には、この強調処理に使用される係数(強調係数)75,76が記憶されている。第1係数75、及び第2係数76については後に詳述される。
図4に示されるように、モータ制御回路124には、駆動回路71が接続されている。モータ制御回路125には、駆動回路66が接続されている。読取制御回路126には、ラインセンサ40及びAFE(Analog Front End)回路78が接続されている。画像処理制御回路127には、画像処理回路79が接続されている。パネル制御回路128には、操作パネル13が接続されている。センサ入力回路129には、原稿検出センサ36が接続されている。
駆動回路71は、モータ72を駆動させるものである。モータ72は、正逆双方向に回転可能に構成されている。駆動回路71は、モータ制御回路124からの出力信号を受けて、モータ72を回転させるパルス信号を生成する。このパルス信号に基づいて、モータ72が回転される。モータ72は、ローラ73に駆動力を付与するものであり、ADF28における駆動源である。制御部55は、駆動回路71により生成されたパルス信号のパルス数をカウントする。これにより、モータ72のステップ数がカウントされる。カウントされたステップ数は、RAM58に一時的に記憶される。
画像読取ユニット14は、原稿の読取動作を実行して、原稿の画像を画像信号として出力するものである。画像読取ユニット14は、ラインセンサ40、キャリッジ41、CRモータ65、及び駆動回路66を有する。駆動回路66は、モータ制御回路125から入力される相励磁信号等に基づいて、CRモータ65に駆動信号を通電する。CRモータ65は、例えばステッピングモータである。CRモータ65は、駆動信号を受けて回転する。これにより、キャリッジ41が往復動される。また、駆動回路66は、ラインセンサ40の光源を点灯させるための動作電流の調整等も行う。また、制御部55は、ROM57に格納されている制御プログラムに基づいて画像読取ユニット14を制御することにより、原稿の読取動作の他、光量調整値101,102,103や白基準データ90,91,92の取得等を行う。
ラインセンサ40は、第2ガラス20に載置された原稿、又はADF28により第1ガラス18上を搬送される原稿に光源から光を照射してその原稿画像を1ライン毎に読み取る。読み取られた画像は、画像信号(画像データ)としてラインセンサ40からAFE回路78へ出力される。
ラインセンサ40は、原稿が載置された第2ガラス20に対向してキャリッジ41により移動される。この過程において、ラインセンサ40は、光源から第2ガラス20を通して原稿へ光照射して原稿からの反射光を1ラインの画像信号として出力する動作を繰り返す。これにより、第2ガラス20に載置されている原稿全体の画像が得られる。
ラインセンサ40は、キャリッジ41により移動されて第1ガラス18と対向する位置に配置される。この状態で、原稿トレイ22に載置された原稿は、ADF28により搬送路12に沿って搬送される。この過程において、ラインセンサ40は、光源から第1ガラス18を通して原稿へ光照射して原稿からの反射光を1ラインの画像信号として出力する動作を繰り返す。これにより、第1ガラス18上を通過する原稿全体の画像が得られる。
AFE回路78は、ラインセンサ40から出力されたアナログの各画像信号をサンプルホールドし、サンプルホールドされた画像信号をデジタル変換するとともにシリアル化する。デジタル変換は、ラインセンサ40から出力されたアナログの画像信号を所定ビット数のデジタルコードからなるデジタル信号に変換する処理である。このデジタル変換は、アナログ/デジタル変換器により行われる。AFE回路78に入力されたアナログの画像信号は、例えば8ビット(256階調:0〜255)のデジタルの画像信号として画像処理回路79へ出力される。
図5に示されるように、画像処理回路79は、サンプリング回路81、暗補正回路82、シェーディング補正回路83、γ補正回路84、フィルタ処理回路85、解像度変換回路86、色変換処理回路87、及び2値化処理回路88から構成される。
サンプリング回路81は、AFE回路78から出力された画像信号をサンプリングする。暗補正回路82は、ラインセンサ40の受光素子間のばらつきを補正するために、サンプリング回路81から出力された画像信号を補正する。この画像信号の補正は、RAM58に記憶されている黒基準データに基づいて行われる。黒基準データは、ラインセンサ40が光源を消灯させた状態で図外の基準部材を読み取って得られるデータである。
シェーディング補正回路83は、暗補正回路82から出力された画像信号をシェーディング補正するものである。シェーディング補正が行われることにより、ラインセンサ40の受光素子間及び光源のばらつきが補正される。シェーディング補正回路83によるシェーディング補正は、白基準データ90,91,92のいずれかに基づいて行われる。ラインセンサ40が第1位置31に対応する読取位置に配置された状態で読み取られた原稿の画像信号は、第1白基準データ90に基づいてシェーディング補正される。ラインセンサ40が第2位置32に対応する読取位置に配置された状態で読み取られた原稿の画像信号は、第2白基準データ91に基づいてシェーディング補正される。ラインセンサ40が第3位置33に対応する読取位置に配置された状態で読み取られた原稿の画像信号は、第3白基準データ92に基づいてシェーディング補正される。
フィルタ処理回路85は、原稿の画像信号に対して強調(鮮鋭化)処理を行うものである。強調処理は、原稿の画像信号の濃淡変化を強調する処理である。強調処理は、2次微分値などを注目画素から減算することで行われる。フィルタ処理回路85は、以下に示す式1の演算式に基づいて原稿の画像信号を強調処理する。
式1の演算式において、g(x,y)は、強調処理後の画像データである。f(x,y)は、フィルタ処理回路85へ入力される入力画像データである。hは、フィルタ係数である。注目画素から2次微分値を減算するhを以下の式2に示す。
式2の演算式において、kを大きくすることによって減算する2次微分値が大きくなり強調度合いが強くなる。このため、kを強調係数とする。本実施形態においては、ラインセンサ40が配置される読取位置(第1位置31〜第3位置33)に応じて強調係数kが変更される。原稿の画像信号がラインセンサ40を第1位置31に対応する読取位置に配置した状態で得られたものである場合、強調係数kには第1係数75が使用される。原稿の画像信号がラインセンサ40を第2位置32に対応する読取位置に配置した状態で得られたものである場合、強調係数kには第2係数76が使用される。係数75,76は、第2係数76が第1係数75よりも大きくなるように設定されている。
なお、γ補正回路84、解像度変換回路86、色変換処理回路87、2値化処理回路88は周知のものであり、詳細な説明は省略する。
パネル制御回路128は、制御部55からの指示をもとに、操作パネル13の液晶ディスプレイを制御する信号を生成する。また、パネル制御回路128は、操作パネル13から入力された情報を制御部55へ伝えるインターフェース回路を備える。
センサ入力回路129は、原稿検出センサ36(図4参照)からの出力信号(センサ信号)をノイズ除去して所定の出力先へ出力する。原稿検出センサ36は、原稿トレイ22(図1参照)における原稿の有無を検出するものであり、原稿トレイ22の所定位置に配置されている。原稿検出センサ36は、本実施形態においてはメカニカルセンサである。この原稿検出センサ36は、透過型の光センサ(フォトインタラプタ)及び回動可能に軸支された遮蔽部材を備える。フォトインタラプタは、光を出射する発光部、及び発光部から出射された光を受光する受光部が対向配置されたものである。原稿検出センサ36は、このフォトインタラプタの受光部に光が受光されたことに基づいてセンサ信号を出力する。遮蔽部材が発光部と受光部との間の光路を遮断する位置にある状態では、発光部から出射された光が遮蔽部材により遮蔽されて受光部により受光されない。遮蔽部材が検出されているので、原稿検出センサ36はOFF状態にある。原稿トレイ22に原稿が載置されると、原稿が遮蔽部材に当接して遮蔽部材が回動される。これにより、遮蔽部材がフォトインタラプタの光路を遮断する位置から離脱する。このため、発光部から出射した光が受光部により受光される。すなわち、原稿検出センサ36はON状態となる。このように、原稿トレイ22に原稿が載置されることで原稿検出センサ36の状態が変化するので、制御部55は、センサ入力回路129から出力されるセンサ信号に基づいて、原稿トレイ22における原稿の有無を判断することができる。
読取位置を設定する処理は、電源投入時に行われるか、ユーザによって所定の操作入力が行われるなど、予め定められたタイミングで実行される。また、読取位置を設定する処理は、前回の読取位置の設定処理から所定の時間が経過するか、又は、所定の時間が経過した後に電源が投入された場合に実行されてもよい。図7〜図10は、スキャナ10において電源投入時に読取位置を設定する処理が行われる場合の処理の手順を示すフローチャートである。なお、以下のフローチャートに基づいて説明するスキャナ10の処理は、ROM57に格納されている制御プログラムに基づいて制御部55が発行する命令に従って行われる。
制御部55は、操作パネル13からユーザによって所定の操作入力が行われたか否かに基づいて、スキャナ10の電源が投入されたか否かを判断する(S1)。電源が投入されていないと制御部55が判断した場合、(S1:NO)、待機状態となる。制御部55は、スキャナ10の電源が投入されたと判断した場合(S1:YES)、各モードの読取位置が記憶されているか否かを判断する(S2)。具体的には、制御部55は、第1位置31、第2位置32、及び第3位置33がEEPROM59に記憶されているか否かを判断する。読取位置が全て記憶されていると制御部55が判断した場合(S2:YES)、処理が終了される。
制御部55は、第1位置31、第2位置32、及び第3位置33のいずれか1つでも記憶されていないものがあると判断した場合(S2:NO)、第1位置31が記憶されているか否かを判断する(S3)。制御部55は、EEPROM59に第1位置31が記憶されていないと判断した場合(S3:NO)、第1テスト原稿98の載置を促す旨を報知する(S4)。例えば、制御部55は、「原稿トレイに第1テスト原稿をセットしてください」などのメッセージを操作パネル13に表示させる。
図11は、第1テスト原稿98の一例を示す模式図である。図12は、ラインセンサ40の読取位置が変更される様子を示す模式断面図である。
図11に示されるように、第1テスト原稿98は、白と黒の縞パターン(本発明の所定のパターンの一例)が150lpi(line per inch)のピッチで記録されたものである。第1テスト原稿98は、パターンの配列方向(図11における左右方向)がスキャナ10の奥行き方向(矢印39で示される方向)と一致するように原稿トレイ22に載置される。なお、白黒のパターンのピッチは150lpiに限定されるものではなく、ラインセンサ40の性能などに応じて適宜変更されてもよい。
制御部55は、第1テスト原稿98が原稿トレイ22に載置されたか否かを原稿検出センサ36(図4参照)から出力されるセンサ信号に基づいて判断する(S5)。第1テスト原稿98が原稿トレイ22に載置されていないと制御部55が判断した場合(S5:NO)、ステップS4の処理が継続される。制御部55は、原稿トレイ22に第1テスト原稿98が載置されたと判断した場合(S5:YES)、CRモータ65(図4参照)を制御してラインセンサ40を読取開始位置へ移動させる(S6)。読取開始位置は、第1ガラス18に対するラインセンサ40の読取可能範囲(図2参照)の左端である(図12(A)参照)。制御部55は、モータ72(図4参照)を制御して第1テスト原稿98を搬送路12に沿って所定量搬送する。これにより、第1テスト原稿98に記録されている白黒のパターンが第1ガラス18の上方に配置される。そして、制御部55は、ラインセンサ40により第1ガラス18を通して第1テスト原稿98を読み取る(S7)。このステップS7の処理では、第1テスト原稿98の画像が1ライン分或いは数ライン分読み取られる。制御部55は、ステップS7の処理によって読み取られた第1テスト原稿98の画像信号、及び以下に示す式3の演算式に基づいてMTF値を求める(S8)。
式3の演算式において、Imaxは、入力画像の最高濃度である。換言すれば、Imaxは、第1テスト原稿98に記録された画像の最高濃度の理論値である。Iminは、入力画像の最低濃度である。換言すれば、Iminは、第1テスト原稿98に記録された画像の最低濃度の理論値である。Dmaxは、出力画像の最高濃度である。Dminは、出力画像の最低濃度である。
制御部55は、ステップS8の処理に続いて、第1設定数(本実施形態においては6個)のMTF値を取得したか否かを判断する(S9)。制御部55は、6個のMTF値を取得していないと判断した場合(S9:NO)、CRモータ65を制御してラインセンサ40を読取終了位置(図12参照)側へ第1距離だけ移動させる(S10)。このステップS10の処理が行われることにより、ラインセンサ40の読取位置が変更される。換言すれば、第1相対距離が変更される。第1ガラス18における読取面25は、原稿の搬送方向上流側よりも下流側がラインセンサ40の移動面から離間されている。このため、ラインセンサ40が移動されるに伴って、第1相対距離が大きくなる。なお、読取終了位置は、第1ガラス18に対するラインセンサ40の読取可能範囲(図2参照)の右端である(図12(C)参照)。
ステップS10の処理によってラインセンサ40の読取位置が変更された後、ラインセンサ40がその読取位置に配置された状態でステップS7及びステップS8の処理が行われる。制御部55は、ステップS7、ステップS8、及びステップS10の処理を順に繰り返すことにより、第1相対距離が相異なる複数(本実施形態においては6つ)の位置で第1テスト原稿98を第1ガラス18を通して読み取る動作をラインセンサ40に実行させる。そして、制御部55は、この動作で得られた第1テスト原稿98の画像信号に基づいて6箇所の位置毎にMTF値を求める。
図13は、第1テスト原稿98を読み取って得られたMTF特性を示す図である。
図13(A)において、横軸は、CRモータ65を駆動させてラインセンサ40を移動させることにより変化する、ラインセンサ40と第1ガラス18における第1テスト原稿98の読取面25との相対距離、すなわち第1相対距離を示している。縦軸は、MTF値を示している。図13(A)には、第1相対距離が相異なる6箇所の読取位置に対応するMTF値が示されている。横軸の「1」は、ラインセンサ40が読取開始位置に配置された状態(図12(A)参照)におけるラインセンサ40と第1テスト原稿98との第1相対距離に対応している。横軸の「6」は、ラインセンサ40が読取終了位置に配置された状態(図12(C)参照)におけるラインセンサ40と第1テスト原稿98との第1相対距離に対応している。図13(A)に示されるように、MTF曲線68において横軸が「3.1」の第1相対距離に対応する読取位置(図12(B)参照)にラインセンサ40が配置された状態で得られた画像信号のMTF値が最も大きい。
本実施形態においては、6個のMTF値を取得するために読取開始位置と読取終了位置との間でラインセンサ40の読取位置が6箇所に変更されるように、上記の第1距離が設定されている。第1距離は、読取開始位置から読取終了位置までの距離、及び第1設定数に基づいて設定される。なお、取得するMTF値の数は6個に限定されるものではなく、第1距離を変更して例えば10個のMTF値を取得するようにしてもよい。
制御部55は、6個のMTF値を取得したと判断した場合(S9:YES)、MTF値が最大となる読取位置を仮読取位置に決定する(S11)。具体的には、制御部55は、ステップS8〜ステップS10の処理を繰り返して求めた6個のMTF値からMTF曲線68(図13(A)参照)を求める。MTF値からMTF曲線68を求める方法は周知であるため、ここではその方法の説明は省略する。制御部55は、MTF曲線68からMTF値が最大となるラインセンサ40の位置を仮読取位置に決定する。ここでは、図13(A)のMTF特性において横軸が「3.1」で表される第1相対距離に対応するMTF値が最大である。したがって、制御部55は、横軸が「3.1」で表される第1相対距離となるラインセンサ40の読取位置(図12(B)参照)を仮読取位置に決定する。なお、MTF曲線68を求めることなく仮読取位置を決定してもよい。すなわち、制御部55は、6個のMTF値の中からその値が最大となるものを判断し、そのMTF値に対応するラインセンサ40の読取位置を仮読取位置に決定してもよい。仮読取位置は、RAM58の所定領域に一時的に記憶される。
図8に示されるように、制御部55は、ステップS11の処理を行った後、仮読取位置から読取開始位置側へ第1距離の半分戻った位置へラインセンサ40を移動させる(S13)。具体的には、制御部55は、CRモータ65をステップS10の処理とは逆方向に回転させて、読取終了位置に配置されているラインセンサ40を上記半分戻った位置へ移動させる。制御部55は、ステップS7の処理と同様に第1テスト原稿98を読み取る(S14)。そして、制御部55は、ステップS14の処理によって再び読み取った第1テスト原稿98の画像信号に基づいて、ステップS8の処理と同様にMTF値を求める(S15)。
制御部55は、第1設定数(ここでは6個)のMTF値を取得したか否かを判断する(S16)。このステップS16の処理は、ステップS9の処理と同様に行われる。制御部55は、6個のMTF値を取得していないと判断した場合(S16:NO)、CRモータ65を制御してラインセンサ40を読取終了位置側へ第2距離だけ移動させる(S17)。この第2距離は、本実施形態においては第1距離の約20%に設定されている。このため、ステップS17の処理が行われることにより、ラインセンサ40の読取位置がステップS10の処理に比べて細かく変更される。
ステップS17の処理によってラインセンサ40の読取位置が変更された後、ラインセンサ40がその読取位置に配置された状態でステップS14及びステップS15の処理が行われる。制御部55は、ステップS14、ステップS15、及びステップS17の処理を繰り返すことにより、仮読取位置の前後において、第1相対距離が相異なる複数(ここでは6つ)の位置で第1テスト原稿98を第1ガラス18を通して読み取る動作をラインセンサ40に実行させる。そして、制御部55は、この動作で得られた第1テスト原稿98の画像信号に基づいて6箇所の位置毎にMTF値を求める。
図13(B)において、横軸は、仮読取位置「3.1」の前後でラインセンサ40を移動させることにより変化する、ラインセンサ40と第1テスト原稿98との第1相対距離を示している。縦軸は、MTF値を示している。図13(B)には、第1相対距離が相異なる仮読取位置の前後における6箇所の読取位置に対応するMTF値が示されている。
制御部55は、6個のMTF値を取得したと判断した場合(S16:YES)、MTF値が最大となる読取位置を第1位置31に決定する(S18)。具体的には、制御部55は、ステップS14〜ステップS17の処理を繰り返して求めた6個のMTF値からMTF曲線69(図13(B)参照)を求める。制御部55は、求めたMTF曲線69からMTF値が最大となるラインセンサ40の位置を第1位置31に決定する。ここでは、図13(B)のMTF特性において横軸が「3.4」で表される第1相対距離に対応するMTF値が最大である。したがって、制御部55は、横軸が「3.4」で表される第1相対距離D1(図6(A)参照)となるラインセンサ40の読取位置(図6(A)参照)を第1位置31に決定する。第1位置31は、通常モードに対する読取位置を示す情報である。この第1位置31は、EEPROM59に記憶される。これにより、読取モードが通常モードに設定された場合、ラインセンサ40が第1ガラス18を通して原稿を読み取る際にCRモータ65により第1位置31に対応する読取位置に配置される。
制御部55は、第1位置31がEEPROM59に記憶されていると判断した場合(S3:YES)、又はステップS18の処理を行った場合、EEPROM59に第2位置32が記憶されているか否かを判断する(S21)。制御部55は、EEPROM59に第2位置32が記憶されていないと判断した場合(S21:NO)、第2テスト原稿99の載置を促す旨を報知する(S22)。例えば、制御部55は、「原稿トレイに第2テスト原稿をセットしてください」などのメッセージを操作パネル13に表示させる。
図14は、第2テスト原稿99の一例を示す模式図である。
図14に示されるように、第2テスト原稿99は、白と黒の縞パターンが75lpiのピッチで記録されたものである。第2テスト原稿99は、パターンの配列方向(図14における左右方向)がスキャナ10の奥行き方向(矢印39で示される方向)と一致するように原稿トレイ22に載置される。なお、白黒の縞パターンのピッチは75lpiに限定されるものではなく、ラインセンサ40の性能などに応じて適宜変更されてもよい。
制御部55は、第2テスト原稿99が原稿トレイ22に載置されたか否かを原稿検出センサ36(図4参照)から出力されるセンサ信号に基づいて判断する(S23)。第2テスト原稿99が原稿トレイ22に載置されていないと制御部55が判断した場合(S23:NO)、ステップS22の処理が継続される。制御部55は、原稿トレイ22に第2テスト原稿99が載置されたと判断した場合(S23:YES)、ステップS6の処理と同様に、ラインセンサ40を読取開始位置へ移動させる(S24)。制御部55は、モータ72を制御して第2テスト原稿99を搬送路12に沿って所定量搬送する。これにより、第2テスト原稿99に記録されている白黒のパターンが第1ガラス18の上方に配置される。そして、制御部55は、ラインセンサ40により第1ガラス18を通して第2テスト原稿99を読み取る(S25)。制御部55は、ステップS25の処理によって読み取られた第2テスト原稿99の画像信号、及び上記式3の演算式に基づいてMTF値を求める(S26)。
制御部55は、第2設定数(本実施形態においては11個)のMTF値を取得したか否かを判断する(S27)。制御部55は、11個のMTF値を取得していないと判断した場合(S27:NO)、CRモータ65を制御してラインセンサ40を読取終了位置(図12(C)参照)側へ第3距離だけ移動させる(S28)。これにより、ラインセンサ40と第2テスト原稿99との第1相対距離が変更される。なお、第3距離は、読取開始位置から読取終了位置までの距離、及び第3設定数に基づいて設定される距離である。したがって、例えば第2設定数が変更されれば、それに応じて変更される。
ステップS28の処理によってラインセンサ40の読取位置が変更された後、ラインセンサ40がその読取位置に配置された状態でステップS25及びステップS26の処理が行われる。制御部55は、ステップS25、ステップS26、及びステップS28の処理を繰り返すことにより、第1相対距離が相異なる複数(ここでは11)の位置で第2テスト原稿99を第1ガラス18を通して読み取る動作をラインセンサ40に実行させる。そして、制御部55は、この動作で得られた第2テスト原稿99の画像信号に基づいて11箇所の位置毎にMTF値を求める。
図15は、第2テスト原稿99を読み取って得られたMTF特性を示す図である。
図15において、横軸は、CRモータ65を駆動させてラインセンサ40を移動させることにより変化する、ラインセンサ40と第1ガラス18における第2テスト原稿99の読取面25との相対距離、すなわち第1相対距離を示している。縦軸は、MTF値を示している。図15には、第1相対距離が相異なる11箇所の読取位置に対応するMTF値が示されている。
制御部55は、11個のMTF値を取得したと判断した場合(S27:YES)、MTF値の最大値を求める(S29)。具体的には、制御部55は、ステップS25〜ステップS28の処理を繰り返して求めた11個のMTF値からMTF曲線63(図15参照)を求める。そして、制御部55は、MTF曲線63のピークを判断してMTF値の最大値を求める。ここでは、図15に示されるように、横軸が「3.5」で表される第1相対距離に対応するMTF値が最大値となる。
制御部55は、MTF値がステップS29の処理で求めた最大値未満であり、且つ最大値の80%(本発明における所定の閾値の一例)以上となる位置を第2位置32に決定する(S30)。具体的には、制御部55は、ステップS29で求めた最大値の80%となるMTF値を求める。例えば、最大値が1である場合、MTF値は0.8となる。制御部55は、求めたMTF値(ここでは0.8)に対応するラインセンサ40の位置を判断する。図15から明らかなように、MTF値が0.8となるラインセンサ40の位置はMTF値が最大値となる位置を挟んで2つ存在する。換言すれば、2つの同じMTF値が求められている。制御部55は、これを条件として、そのMTF値に対応する第1相対距離がより短い読取位置(図6(B)参照)を第2位置32と決定する。ここで、第1相対距離がより長い読取位置を第2位置32に設定すると、第1ガラス18に対して原稿の浮きが生じた場合に、ラインセンサ40の光源から原稿に照射される光の光量が大きく低下する。第1相対距離がより短い読取位置が第2位置32に決定されることにより、第1ガラス18に対して原稿の浮きが生じた場合に、読み取られた原稿の画像が極端に不明瞭になることが防止される。第2位置32は、モアレ低減モードに対する読取位置である。第2位置32は、EEPROM59に記憶される。これにより、読取モードがモアレ低減モードに設定された場合、ラインセンサ40が第1ガラス18を通して原稿を読み取る際にCRモータ65により第2位置32に対応する読取位置に配置される。図6(B)に示されるように、第1相対距離がD2となる読取位置にラインセンサ40が配置される。なお、MTF値の最大値の80%は、所定の閾値の一例であり、モアレの程度などに応じて適宜変更されてもよい。
制御部55は、第2位置32が記憶されていると判断した場合(S21:YES)、又はステップS30の処理を行った後に、第3位置33(図4参照)がEEPROM59に記憶されているか否かを判断する(S32)。第3位置33が記憶されていると制御部55が判断した場合(S32:YES)、処理が終了される。制御部55は、第3位置33が記憶されていないと判断した場合(S32:NO)、第3テスト原稿(不図示)の載置を促す旨を報知する(S33)。例えば、制御部55は、「原稿トレイに第3テスト原稿をセットしてください」などのメッセージを操作パネル13に表示させる。なお、第3テスト原稿は、白と黒の縞パターンが例えば50lpiのピッチで記録されたものである。
制御部55は、第3テスト原稿が原稿トレイ22に載置されたか否かを判断する(S34)。このステップS34の処理は、ステップS5の処理と同様に行われる。第3テスト原稿が原稿トレイ22に載置されていないと制御部55が判断した場合(S34:NO)、ステップS33の処理が継続される。制御部55は、原稿トレイ22に第3テスト原稿が載置されたと判断した場合(S34:YES)、ステップS6の処理と同様に、ラインセンサ40を読取開始位置へ移動させる(S35)。制御部55は、モータ72を制御して第3テスト原稿を搬送路12に沿って所定量搬送する。これにより、第3テスト原稿に記録されている白黒のパターンが第1ガラス18の上方に配置される。そして、制御部55は、ラインセンサ40により第1ガラス18を通して第3テスト原稿を読み取る(S36)。制御部55は、ステップS36の処理によって読み取られた第3テスト原稿の画像信号、及び上記式3の演算式に基づいてMTF値を求める(S37)。
制御部55は、第3設定数(例えば8個)のMTF値を取得したか否かを判断する(S38)。制御部55は、8個のMTF値を取得していないと判断した場合(S38:NO)、CRモータ65を制御してラインセンサ40を読取終了位置(図12(C)参照)側へ第4距離だけ移動させる(S39)。これにより、ラインセンサ40と第1ガラス18における第2テスト原稿99の読取面25との第1相対距離が変更される。なお、第4距離は、読取開始位置から読取終了位置までの距離、及び第3設定数に基づいて設定される。
ステップS39の処理によってラインセンサ40の読取位置が変更された後、ラインセンサ40がその読取位置に配置された状態でステップS36及びステップS37の処理が行われる。制御部55は、ステップS36、ステップS37、及びステップS39の処理を繰り返すことにより、第1相対距離が相異なる複数(ここでは8)の位置で第3テスト原稿を第1ガラス18を通して読み取る動作をラインセンサ40に実行させる。そして、制御部55は、この動作で得られた第3テスト原稿の画像信号に基づいて8箇所の位置毎にMTF値を求める。
制御部55は、8個のMTF値を取得したと判断した場合(S38:YES)、MTF値の最大値を求める(S40)。このステップS40の処理は、ステップS29の処理と同様に行われる。すなわち、ステップS40の処理は、ステップS36〜ステップS39の処理を繰り返して求めた8個のMTF値からMTF曲線を求め、そのピークに対応するMTF値を判断することにより行われる。
制御部55は、MTF値がステップS40の処理で求めた最大値の20%未満となる位置を第3位置33に決定する(S41)。具体的には、制御部55は、ステップS40で求めた最大値の20%となるMTF値を求める。例えば、最大値が1である場合、MTF値は0.2となる。制御部55は、求めたMTF値(ここでは0.2)に対応するラインセンサ40の位置を判断する。ステップS37の処理で得られたMTF値から求めたMTF曲線は、MTF曲線68(図13(A)参照)やMTF曲線63(図15参照)と同様に、中央にピークを有する曲線である。このため、MTF曲線から2つの同じMTF値が求められる。制御部55は、第1相対距離がより短い読取位置(図6(C)参照)を第3位置33と決定する。第3位置33は、ぼかしモードに対する読取位置である。第3位置33は、EEPROM59に記憶される。これにより、読取モードがぼかしモードに設定された場合、ラインセンサ40が第1ガラス18を通して原稿のぼかし領域を読み取る際にCRモータ65により第3位置33に対応する読取位置に配置される。図6(C)に示されるように、第1相対距離がD3となる読取位置にラインセンサ40が配置される。なお、本実施形態においては、読取モードがぼかしモードに設定された場合、原稿のぼかし領域外の画像は、ラインセンサ40が第2位置32に対応する読取位置に配置された状態で読み取られる。すなわち、ぼかしモードでは、ADF28により搬送される原稿がその読取中にラインセンサ40の読取位置を変更して読み取られる。ぼかしモードによる原稿の読み取りについては、後に詳述される。
このように、第1テスト原稿98(図11参照)は、第1ガラス18を通してラインセンサ40により読み取られる。ラインセンサ40は、CRモータ65により第1ガラス18に対して移動される。第1ガラス18に対するラインセンサ40の位置が変更され、ラインセンサ40により第1テスト原稿98が読み取られる。これにより、ラインセンサ40が配置された位置毎に第1テスト原稿98の画像信号が得られる。これらの画像信号に基づいてラインセンサ40の位置毎にMTF値が求められる(図13参照)。各MTF値に基づいて通常モードに対する読取位置(図6(A)参照)を示す情報である第1位置31が決定される。同様に、第2テスト原稿99(図14参照)を用いてモアレ低減モードに対する読取位置(図6(B)参照)を示す情報である第2位置32が決定される。また、第3テスト原稿を用いてぼかしモードに対する読取位置(図6(C)参照)を示す情報である第3位置33が決定される。
このように、制御部55は、通常モード、モアレ低減モード、又はぼかしモードにおいてCRモータ65によりラインセンサ40が配置される読取位置を、読取位置を変更して求めた各MTF値に基づいてモード毎に決定する。
なお、第1テスト原稿98、第2テスト原稿99、及び第3テスト原稿の3枚の原稿に代えて、第1位置31〜第3位置33の各位置を決定するための3つのパターンが記録された1枚のテスト原稿を用いて第1位置31〜第3位置33を決定してもよい。この場合、3つのパターンがスキャナ10の奥行き方向(矢印39で示される方向)に並んで記録されたテスト原稿を使用する。制御部55は、テスト原稿の主走査方向における読取範囲を変更して各パターンの画像を個別に読み取る。そして、制御部55は、得られたそれぞれの画像に基づいて第1位置31〜第3位置33を決定する。この場合、ユーザがテスト原稿を原稿トレイ22に載置する手間が軽減される。また、3つのパターンが原稿の搬送方向に並んで記録されたテスト原稿を使用してもよい。この場合、テスト原稿を搬送することにより、第1ガラス18上に配置されるパターンを変更して各パターンの画像を個別に読み取るようにすればよい。
また、本実施形態においては、第1位置31〜第3位置33を決定するために3つのパターンを使用する形態について説明したが、これらの読取位置を決定するために使用する所定のパターンは1つであってもよい。例えば、第2テスト原稿99及び第3テスト原稿を用いることなく第1テスト原稿98のみを用いて第1位置31〜第3位置33を決定してもよい。この場合、制御部55は、第1テスト原稿98のパターンを読み取って得られたMTF特性の最大値に対応する読取位置を第1位置31に決定する。そして、制御部55は、その最大値の例えば80%となるMTF値に対応する読取位置を第2位置32に決定し、最大値の例えば50%となるMTF値に対応する読取位置を第3位置33に決定する。すなわち、第1位置31〜第3位置33を決定するために使用するパターンの数は任意である。
図16〜図18は、ADF28により搬送される原稿を読み取る際にスキャナ10において行われる処理の手順を示すフローチャートである。
制御部55は、原稿検出センサ36から出力されるセンサ信号に基づいて、原稿トレイ22に原稿が載置されたか否かを判断する(S50)。原稿トレイ22に原稿が載置されていないと制御部55が判断した場合(S50:NO)、待機状態となる。制御部55は、原稿トレイ22に原稿が載置されたと判断した場合(S50:YES)、操作パネル13からの所定操作により読取モードが選択されたか否かを判断する(S51)。制御部55は、読取モードが選択されていないと判断した場合(S51:NO)、読取モードの選択を促す旨を報知する(S52)。具体的には、制御部55は、例えば「読取モードを選択してください」などのメッセージ、及び選択可能な読取モード(本実施形態においては、通常モード、モアレ低減モード、ぼかしモード)を操作パネル13に表示させる。このステップS52の処理は、ステップS51の処理で読取モードが選択されたと制御部55により判断されるまで継続される。制御部55は、読取モードが選択されたと判断した場合(S51:YES)、その情報を読取モード情報24(図4参照)としてRAM58に格納する(S53)。このように、制御部55は、通常モード、モアレ低減モード、又はぼかしモードの選択を受け付けていずれかのモードをRAM58に設定する。なお、読取モードが選択されることなく原稿の読取開始が指示された場合に例えば通常モードが設定されるように、読取モードのデフォルトとして通常モードを設定しておいてもよい。
制御部55は、操作パネル13からの所定の操作入力の有無に基づいて原稿の読取開始命令が入力されたか否かを判断する(S54)。原稿の読取開始命令が入力されていないと制御部55が判断した場合(S54:NO)、処理がステップS54へ戻される。制御部55は、読取開始命令が入力されたと判断した場合(S54:YES)、読取モードが通常モード、モアレ低減モード、及びぼかしモードのいずれに設定されたかをRAM58に記憶されている読取モード情報24に基づいて判断する(S55)。
制御部55は、読取モードが通常モードに設定されていると判断した場合(S55:通常モード)、基準部材37(図2参照)に対してラインセンサ40を第1位置31に対応する読取位置へ移動させる(S56)。この読取位置は、CRモータ65の駆動により基準部材37の下方へ移動されたラインセンサ40と基準部材37の読取面25との相対距離(第2相対距離)が、第1位置31に配置されたラインセンサ40と第1ガラス18における原稿の読取面25との相対距離(第1相対距離)と略等しくなる位置である。例えば、第1ガラス18に対するラインセンサ40の読取位置と、それに対応する基準部材37に対するラインセンサ40の読取位置とを対応付けて予め記憶しておくことにより、第1相対距離と第2相対距離とを略一致させることができる。すなわち、基準部材37と読取面25までの距離を一致させることが可能となる。ラインセンサ40の光源から第1ガラス18における読取面25に照射された光と、ラインセンサ40の光源から基準部材37の読取面27に照射された光との光量差が生じることが防止される。
制御部55は、第1光量調整値101及び第1白基準データ90(図5参照)を取得する(S57)。制御部55は、ラインセンサ40の光源に最初は小さい光量で基準部材37の読取面27へ向けて光照射させる。そして、制御部55は、ラインセンサ40の受光素子からの出力が所定値となるまで光源の光量を段階的に増加させ、受光量が所定値となったときの光量を第1光量調整値101として取得する。すなわち、第1光量調整値101は、ラインセンサ40の受光素子の受光量が所定値となる光源の光量である。続いて、制御部55は、ラインセンサ40の光源から第1光量調整値101の光量で基準部材37の読取面27に光を照射する。そして、制御部55は、読取面27からの反射光をラインセンサ40の受光素子で電気信号に変換して第1白基準データ90を取得する。このステップS57の処理によって取得された第1光量調整値101及び第1白基準データ90は、RAM58に格納される。
制御部55は、ADF28により搬送される原稿を第1位置31に対応する読取位置に配置されたラインセンサ40により読み取る(S58)。具体的には、制御部55は、基準部材37に対向配置されたラインセンサ40をCRモータ65を制御して第1位置31に対応する読取位置(図6(A)参照)へ移動させる。そして、制御部55は、第1位置31に対応する読取位置において第1ガラス18上を搬送される原稿を読み取る動作をラインセンサ40に実行させる。これにより、第1ガラス18における原稿の読取面25にラインセンサ40のピントをほぼ合わせた状態で原稿の画像が読み取られる。このため、ラインセンサ40が他の位置に配置されて原稿が読み取られる場合に比べて明瞭な原稿の画像が得られる。このようにして読み取られた原稿の画像(画像信号)は、AFE回路78、サンプリング回路81、及び暗補正回路82に処理される。
シェーディング補正回路83は、暗補正回路82で処理された原稿の画像をステップS57の処理で取得された第1白基準データ90に基づいてシェーディング補正する(S59)。フィルタ処理回路85は、シェーディング補正された原稿の画像をEEPROM59に記憶されている第1係数75に基づいて強調処理する(S60)。このように、フィルタ処理回路85は、通常モードで得られた原稿の画像を第1係数75で強調処理する。強調処理された原稿の画像は、解像度変換回路86、色変換処理回路87、及び2値化処理回路88に処理された後にRAM58の所定領域に格納される。
制御部55は、読取モードがモアレ低減モードに設定されていると判断した場合(S55:モアレ低減モード)、基準部材37(図2参照)に対してラインセンサ40を第2位置32に対応する読取位置へ移動させる(S61)。この読取位置は、CRモータ65の駆動により基準部材37の下方へ移動されたラインセンサ40と基準部材37の読取面25との第2相対距離が、第2位置32に対応する読取位置に配置されたラインセンサ40と第1ガラス18における原稿の読取面25との第1相対距離と略等しくなる位置である。
制御部55は、第2光量調整値102及び第2白基準データ91(図5参照)を取得する(S62)。このステップS62の処理は、基準部材37に対するラインセンサ40の読取位置が異なる点を除いてステップ57の処理と同様に行われる。このステップS62の処理によって取得された第2光量調整値102及び第2白基準データ91は、RAM58に格納される。
制御部55は、ADF28により搬送される原稿を第2位置32に対応する読取位置に配置されたラインセンサ40により読み取る(S63)。具体的には、制御部55は、基準部材37に対向配置されたラインセンサ40をCRモータ65を制御して第2位置32に対応する読取位置(図6(B)参照)へ移動させる。そして、制御部55は、第2位置32に対応する読取位置において第1ガラス18上を搬送される原稿を読み取る動作をラインセンサ40に実行させる。これにより、第1ガラス18における原稿の読取面25からラインセンサ40のピントを若干ずらした状態で原稿の画像が読み取られる。このようにして読み取られた原稿の画像(画像信号)は、AFE回路78、サンプリング回路81、及び暗補正回路82に処理される。
シェーディング補正回路83は、暗補正回路82で処理された原稿の画像をステップS62の処理で取得された第2白基準データ91に基づいてシェーディング補正する(S64)。フィルタ処理回路85は、シェーディング補正された原稿の画像をEEPROM59に記憶されている第2係数76に基づいて強調処理する(S65)。このように、フィルタ処理回路85は、モアレ低減モードで得られた原稿の画像を第2係数76で強調処理する。なお、第2係数76は、第1係数75よりも大きい値の係数である。このため、ステップS63の処理で読み取られた原稿の画像は、ステップS58の処理で読み取られた原稿の画像よりも強調される。モアレ低減モードで原稿が読み取られることにより、モアレの発生が抑制され且つ画像がぼやけることが防止される。強調処理された原稿の画像は、解像度変換回路86、色変換処理回路87、及び2値化処理回路88に処理された後にRAM58の所定領域に格納される。
制御部55は、読取モードがぼかしモードに設定されていると判断した場合(S55:ぼかしモード)、操作パネル13からの所定操作の有無に基づいてぼかし領域を指定する情報が入力されたか否かを判断する(S66)。ここで、ぼかし領域は、ADF28により搬送される原稿の読取領域のうち、ぼかして読み取る領域である。制御部55は、ぼかし領域を指定する情報が入力されていないと判断した場合(S66:NO)、ぼかし領域の指定を促す旨を報知する(S67)。例えば、制御部55は、「ぼかし領域を指定してください」等のメッセージを操作パネル13に表示させる。このステップS67の処理は、ステップS66の処理においてYESと判断されるまで継続される。
制御部55は、ぼかし領域を指定する情報が入力されたと判断した場合(S66:YES)、原稿における読取領域をぼかし領域内とぼかし領域外との区画する(S68)。このように、制御部55は、外部から入力された情報に基づいて、ADF28により搬送される原稿におけるラインセンサ40の読取領域を複数の領域(ここでは2つの領域)に区画する。
制御部55は、基準部材37に対してラインセンサ40を第2位置32に対応する読取位置へ移動させる(S69)。制御部55は、ステップS62の処理と同様に、第2光量調整値102及び第2白基準データ91を取得する(S70)。取得された第2光量調整値102及び第2白基準データ91は、RAM58に格納される。制御部55は、基準部材37に対してラインセンサ40を第3位置33に対応する読取位置へ移動させる(S71)。なお、この読取位置は、CRモータ65の駆動により基準部材37の下方へ移動されたラインセンサ40と基準部材37の読取面25との第2相対距離が、第3位置33に対応する読取位置に配置されたラインセンサ40と第1ガラス18における原稿の読取面25との第1相対距離と略等しくなる位置である。制御部55は、ステップS57の処理と同様に、第3光量調整値103及び第3白基準データ92を取得する(S72)。取得された第3光量調整値103及び第3白基準データ92は、RAM58に格納される。
図18に示されるように、制御部55は、ADF28により搬送される原稿を第2位置32に対応する読取位置に配置されたラインセンサ40により読み取る(S74)。具体的には、制御部55は、基準部材37に対向配置されたラインセンサ40をCRモータ65を制御して第2位置32に対応する読取位置(図6(B)参照)へ移動させる。そして、制御部55は、第2位置32に対応する読取位置において第1ガラス18上を搬送される原稿を読み取る動作をラインセンサ40に実行させる。これにより、第1ガラス18における原稿の読取面25からラインセンサ40のピントを若干ずらした状態で原稿の画像が読み取られる。
制御部55は、ADF28により搬送される原稿のぼかし領域が第1ガラス18における読取面25(図6(C)参照)に到達したか否かを判断する(S75)。このステップS75の判断は、ステップS68により区画されたぼかし領域の情報、及びADF28による原稿の搬送が開始されてからのモータ72(図4参照)のステップ数に基づいて判断される。ぼかし領域が到達していないと判断した場合(S75:NO)、制御部55は、原稿が第1ガラス18上を通過したか否かを判断する(S76)。原稿が第1ガラス18上を通過していないと制御部55が判断した場合(S76:NO)、処理がS74へ戻される。
制御部55は、ぼかし領域が到達したと判断した場合(S75:YES)、ADF28により搬送される原稿を第3位置33に対応する読取位置(図6(C)参照)に配置されたラインセンサ40により読み取る(S77)。具体的には、制御部55は、第2位置32に配置されているラインセンサ40をCRモータ65を制御して第3位置33に対応する読取位置へ移動させる。そして、制御部55は、第3位置33に対応する読取位置において第1ガラス18上を搬送される原稿を読み取る動作をラインセンサ40に実行させる。これにより、第1ガラス18における原稿の読取面25からラインセンサ40のピントを極端にずらした状態で原稿の画像が読み取られる。
このように、制御部55は、ぼかしモードに対する読取位置を複数の領域(本実施形態においては、ぼかし領域内とぼかし領域外)毎に決定する。そして、制御部55は、ぼかしモードにおける搬送される原稿の読取中に、領域(ぼかし領域内とぼかし領域外)毎にラインセンサ40の位置を変更する。これにより、領域によってラインセンサ40の解像力が変更されて原稿が読み取られる。その結果、得られた原稿の画像は、一部の領域で画像がぼかされたものとなる。
制御部55は、ぼかし領域が第3位置33の読取位置に対応する第1ガラス18の読取面25(図6(C)参照)を通過したか否かを判断する(S78)。このステップS78の判断は、ステップS68の処理で区画されたぼかし領域の情報、及びADF28による原稿の搬送が開始されてからのモータ72のステップ数に基づいて行われる。ぼかし領域が通過していないと制御部55が判断した場合(S78:NO)、ステップS77の処理が継続される。ぼかし領域が通過したと制御部55が判断した場合(S78:YES)、処理がステップS76へ進められる。制御部55は、原稿が第1ガラス18上を通過したと判断した場合(S76:YES)、原稿の読み取りが完了したと判断する。
ステップS74及びステップS77の処理によって読み取られた原稿の画像(画像信号)は、AFE回路78、サンプリング回路81、及び暗補正回路82に処理される。ステップS76の処理で制御部55がYESと判断した場合、シェーディング補正回路83は、ぼかし領域外の画像をステップS70の処理によって取得された第2白基準データ91に基づいてシェーディング補正する(S79)。また、シェーディング補正回路83は、ぼかし領域内の画像をステップS72の処理によって取得された第3白基準データ92に基づいてシェーディング補正する(S80)。
フィルタ処理回路85は、シェーディング補正されたぼかし領域外の画像をEEPROM59に記憶されている第2係数76(図5参照)に基づいて強調処理する(S81)。強調処理されたぼかし領域内の画像、及びぼかし領域外の画像は、解像度変換回路86、色変換処理回路87、及び2値化処理回路88に処理された後にRAM58の所定領域に格納される。
ぼかしモードでは、操作パネル13からぼかし領域を指定する情報が入力される。ADF28により搬送される原稿の読取領域は、この情報に基づいてぼかし領域内とぼかし領域外とに区画される。ぼかしモードでは、ラインセンサ40の読取位置が区画された領域毎に決定される。本実施形態においては、ぼかし領域外を読み取るラインセンサ40の読取位置が第2位置32に決定され、ぼかし領域内を読み取るラインセンサ40の読取位置が第3位置33に決定される。このため、原稿におけるぼかし領域内の読取中と、ぼかし領域外の読取中とでは、ラインセンサ40の読取位置が変更される。これにより、ぼかし領域内とぼかし領域外とでは、ラインセンサ40の解像力が変更して原稿が読み取られる。その結果、得られた原稿の画像は、全体としてモアレの発生が抑制され、且つ一部の領域で画像がぼかされたものとなる。
以上説明したように、スキャナ10は、通常モード、モアレ低減モード、又はぼかしモードに設定される。通常モードでは、ラインセンサ40は、制御部55により第1相対距離がラインセンサ40の焦点距離と略一致する位置に配置される。ラインセンサ40のピントがあった状態で原稿が読み取られるので、鮮明な原稿の画像が得られる。モアレ低減モードやぼかしモードでは、ラインセンサ40は、制御部55により第1相対距離がラインセンサ40の焦点距離と異なる位置に配置される。ラインセンサ40の解像力を低下させた状態で原稿が読み取られるので、通常モードに比べて、モアレの発生が抑制された原稿の画像や、画像をぼかした原稿の画像が得られる。なお、読取モードの切り替えは、操作パネル13からの操作入力に基づいて行われる。すなわち、ユーザの選択に応じてラインセンサ40の解像力が容易に変更される。
上記3つの読取モードのいずれかが設定されることにより、CRモータ65が制御部55により駆動されて、第1ガラス18における原稿の読取面25とラインセンサ40との第1相対距離が変更される。すなわち、ラインセンサ40の駆動源を利用して第1相対距離が変更される。このため、搬送される原稿を読み取るラインセンサ40と原稿の読取面25との第1相対距離を変更するための駆動機構を追加することなく、モアレの発生を抑制した高画質な画像読み取りを行うことができる。
なお、ここでは、原稿のぼかし領域外が第2位置32に対応する読取位置に配置されたラインセンサ40により読み取られる形態について説明したが、原稿のぼかし領域外は、第1位置31に対応する読取位置に配置されたラインセンサ40により読み取られてもよい。すなわち、原稿におけるぼかし領域外の画像が通常モードと同じように読み取られてもよい。この場合、原稿の画像に対するシェーディング補正には、第2白基準データ91に代えて第1白基準データ90が使用される。また、原稿の画像に対する強調処理には、第2係数76に代えて第1係数75が使用される。
本実施形態に係る第2ガラス20は、スキャナ10の高さ方向に上下動可能に構成されたものでもよい。
図19は、第2ガラス20の昇降機構110を示す模式図である。
図19に示されるように、昇降機構110は、固定部材111と、スライド部材112と、支持部材113,114と、コイルバネ115,116,117,118とを備える。第2ガラス20は、スキャナ10の奥行き方向(矢印39で示される方向)の両端に支持部材113,114が固定されている。固定部材111は、コイルバネ115,116を介して支持部材113を支持する。この固定部材111は、筐体15に固定されている。スライド部材112は、コイルバネ117,118を介して支持部材114を支持する。このスライド部材112は、筐体15に対してスキャナ10の奥行き方向へスライド可能に設けられている。スライド部材112には、図外のモータからの駆動力が伝達される。スライド部材112は、この駆動力を受けてスライド移動する。固定部材111及びスライド部材112には、第2ガラス20へ向けて下る傾斜面118,119が設けられている。支持部材113には、傾斜面118と平行な当接面120が形成されている。支持部材114には、傾斜面119と平行な当接面121が形成されている。
スライド部材112は、モータからの駆動力を受けて固定部材111に近接する方向(図19の左方向)へスライド移動する。支持部材113が傾斜面118により押し上げられると共に支持部材114が傾斜面119により押し上げられ、第2ガラス20が上昇する。コイルバネ115,117は、第2ガラス20の上昇に伴って収縮され、第2ガラス20を下方へ押し下げるバネ力を蓄える。コイルバネ116,118は、第2ガラス20の上昇に伴って伸張され、第2ガラス20を下方へ引き下げるバネ力を蓄える。スライド部材112は、モータが逆回転されることにより固定部材111から離間する方向(図19の右方向)へスライド移動する。支持部材113,114がコイルバネ115〜118が蓄えたバネ力によって傾斜面118,119に沿って下方へ移動し、第2ガラス20が下降する。
上述のように、第1ガラス18における原稿の読取面25は、ラインセンサ40の移動面に対して傾斜されている。このため、ラインセンサ40の移動に伴ってラインセンサ40対応する読取面25の高さが変化する。第2ガラス20を上下動させて第2ガラス20の上面と読取面25の高さとを一致させることにより、FBSにおいても読取モードを変更して第2ガラス20に載置された原稿を読み取ることが可能である。すなわち、FBSにおいても、上述の通常モード、モアレ低減モード、及びぼかしモードによる原稿の読み取りが可能である。
[第2実施形態]
以下に、本発明の第2実施形態が説明される。第2実施形態は、第1ガラス18及びその周辺の構成、基準部材37及びその周辺の構成が異なるほかは、第1実施形態と同様の構成であるので、これら以外の構成の説明は省略される。
図20及び図21は、本発明の第2実施形態に係るスキャナ10における搬送路12の一部を示す模式断面図である。
本発明の第2の実施形態に係るスキャナ10においては、第1ガラス18及び基準部材37がラインセンサ40の移動面と平行に設けられている。また、ガイド部材34の裏面には、第1ガラス18に対して原稿の搬送方向上流側及び下流側に第1スペーサ94が設けられている。この第1スペーサ94は、ラインセンサ40が第1ガラス18と対向した状態でラインセンサ40と第1ガラス18との間に介在する。第1スペーサ94は、ラインセンサ40が移動する方向(図20の矢印38で示される方向)に厚みが階段状に変化するものである。第1スペーサ94は、ADF28により搬送される原稿の搬送方向上流側から下流側へ向けて段階的に厚みが増す段差部26が形成されている。一方、キャリッジ41は、ローラ30が設けられている長手方向の両端に段差部50を有する。段差部50は、段差部26に対応して、ADF28により搬送される原稿の搬送方向下流側から上流側へ向けて段階的に高くなるように形成されている。
ガイドシャフト42は、上方へ付勢された状態で筐体15に上下動可能に支持されている。キャリッジ41は、キャリッジ41の段差部50が段差部26を昇降するように矢印38で示される方向に移動する。例えば、キャリッジ41は、原稿の搬送方向下流側から上流側へ向けて移動する(図20及び図21参照)。これにより、キャリッジ41に搭載されているラインセンサ40の高さが変化する。その結果、ラインセンサ40と、第1ガラス18における原稿の読取面25との相対距離である第1相対距離がD5からD6へ変更される。なお、図20及び図21には第1相対距離が2段階に変更されるように第1スペーサ94に2段の段差部26が設けられているが、段差部26の段数を増加させて第1相対距離が3段階以上に変更されるようにしてもよい。
第2スペーサ96は、スキャナ10の幅方向(矢印38で示される方向)における基準部材37の両側に設けられている。第2スペーサ96は、ラインセンサ40が基準部材37と対向した状態でラインセンサ40と基準部材37との間に介在する。第2スペーサ96は、第1スペーサ94と同形状のものである。すなわち、第2スペーサ96は、ラインセンサ40が移動する方向(矢印38で示される方向)に厚みが階段状に変化するものである。ラインセンサ40が基準部材37に対向して移動されることにより、ラインセンサ40と基準部材37における読取面との第2相対距離が段階的に変更される。
図22は、第1スペーサ104及び第2スペーサ106を示す模式断面図である。
本発明における第1スペーサ及び第2スペーサは、第1スペーサ94及び第2スペーサ96に限定されるものではない。すなわち、本発明における第1スペーサ及び第2スペーサは、図22に示されるように、ラインセンサ40が移動する方向にその厚みがくさび状に変化する第1スペーサ104及び第2スペーサ106であってもよい。