以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る画像読取装置、画像読取方法および画像形成装置の実施の形態を詳細に説明する。なお、以下の各実施形態では、画像読取装置の一例として、光電変換素子(イメージセンサ)を使用している画像読取装置を例に挙げて説明するが、これに限定されるものではなく、画像読取装置であればいずれにも適用することができる。
本実施形態に係る画像読取装置は、例えばデジタル複写機、デジタル複合機、ファクシミリ装置等の画像形成装置に搭載されるスキャナ装置あるいは単体のスキャナ装置である。画像読取装置は、光源からの照射光によって被写体である原稿を照明し、その原稿からの反射光を光電変換素子で受光した信号に処理を行い、原稿の画像データを読み取ることができる。
図1は、画像読取装置の構成例を示す図である。図1に示すように、画像読取装置1は、画像読取部100と、自動原稿給送装置200とを備える。画像読取部100は、コンタクトガラス101と、光源102および第1反射ミラー103を含む第1キャリッジ106と、第2反射ミラー104および第3反射ミラー105を含む第2キャリッジ107と、レンズユニット108と、光電変換素子109と、基準部材110と、シートスルー(連続)読取用スリット111とを備えている。
コンタクトガラス101は、スキャン読み取りモードの時に原稿を載置する透明部材である。スキャン読み取りモードとは、コンタクトガラス101上に置かれた原稿に対して、後述する第1キャリッジ106と第2キャリッジ107を、図1に示す、矢示A方向(副走査方向)へ移動させながらその原稿の下面の画像を読み取るモードである。
第1キャリッジ106は、原稿露光用の光源102および第1反射ミラー103を有し、画像読取の副走査方向である矢示A方向に移動可能である。光源102はいずれの読み取りモードでも、読取動作を開始する前に点灯する。
第2キャリッジ107は、第2反射ミラー104および第3反射ミラー105を有し、同じく画像読み取りの副走査方向である矢示A方向に、第1キャリッジ106の移動速度の1/2の速度で移動可能である。それによって、第1キャリッジ106と第2キャリッジ107とが移動中に、光源102から光電変換素子109までの光路長を常に一定に保つようにする。
光電変換素子109に結像するためのレンズユニット108と光電変換素子109は、上述した第1キャリッジ106と第2キャリッジ107と共に、読取光学系を構成する。光電変換素子109の詳細については後述する。
基準部材110は、読取光学系等による各種の歪みを補正する。基準部材110は、例えば、シェーディング補正用のシェーディングデータを得るために、原稿の画像データを読み取る前に読み取られる基準部材(白板)であり、後述する背景板112と同様に、画像読み取りの主走査方向に沿って設けた下面が白色の細長い板状の部材である。すなわち、光源102の光量変動を補正するシェーディング補正を行うために、予め光電変換素子109で基準部材(白板)110を読み取って画像データの濃淡の基準となる白基準データを取得する。白基準データを取得する基準部材110は、請求項の「白基準部材」に対応する。なお、以下では基準部材110を「白板110」と表記することがある。また、白基準データを「白板データ」と表記することがある。なお、本実施形態においては、間欠シェーディングを実行する時のレベル補正では、白板110読み取りのための動作を原稿読み取りの数分ごとに1回、または数枚ごとに1回というように省略して実行する。また、本実施形態では、基準部材110を白板110と背景板112の2つに区分して説明するが、これに限ることはなく、基準部材110としては、白板110又は背景板112のどちらか一方のみを用いることができる。また、基準部材110を1つだけ設けるようにしてもよい。
シートスルー読取用スリット111は、シートスルー読み取りモードの時に、後述する自動原稿給送装置200によって連続的に順次搬送されてくる原稿を読み取るための窓であり、シートスルー原稿読取位置を中心に主走査方向に沿って設けられている。シートスルー読み取りモードとは、原稿を原稿台から1枚ずつ読取位置へ搬送する自動原稿給送装置200によって給送される原稿を副走査方向(矢示A方向)に搬送しながら、光源を含む読取光学系と光電変換素子とで、その画像を読み取るモードである。シートスルー読み取りモードでは、読取光学系は所定の読取位置から移動しない。なお、主走査方向とは、自動原稿給送装置200によって原稿が搬送される方向と交差する方向であり、副走査方向とは、原稿が搬送される方向と同じ方向のことを示す。
自動原稿給送装置200は、原稿を連続的に搬送する自動原稿給送手段である。自動原稿給送装置200は、「原稿搬送部」に対応する。以下、自動原稿給送装置200を、ADF(Auto Document Feeder)200と表記する。ADF200は、画像読取部100の上部に搭載されており、ADF200をコンタクトガラス101に対して開閉できるように、図示しないヒンジ等を介して連結している。
ADF200は、原稿トレイ201と、給送ローラ202とを備えている。原稿トレイ201は、複数枚の原稿からなる原稿束を載置可能な原稿載置台である。給送ローラ202は、原稿トレイ201に載置された原稿束から原稿を1枚ずつ分離してシートスルー読取用スリット111へ向けて自動給送する、図示しない分離・給送手段に含まれるものである。なお、以下では給送ローラ202の光源102に対向する面を「背景板112」と表記する。なお、背景板112は、請求項の「基準部材」に対応する。
次に、画像読取装置1の原稿読み取り動作について説明する。上記のように構成された画像読取装置1において、原稿の画像面をスキャン(走査)して原稿の画像を読み取るスキャン読み取りモード時には、第1キャリッジ106および第2キャリッジ107が、図示しないステッピングモータによって矢示A方向(副走査方向)に原稿を走査する。このとき、コンタクトガラス101から光電変換素子109までの光路長を一定に維持するために、第2キャリッジ107は第1キャリッジ106の1/2の速度で移動する。同時に、コンタクトガラス101上にセットされた原稿の下面である画像面が第1キャリッジ106の光源102によって照明(露光)される。画像面からの反射光像が第1キャリッジ106の第1反射ミラー103、第2キャリッジ107の第2反射ミラー104および第3反射ミラー105、その後にレンズユニット108を経由して光電変換素子109へ順次送られて結像される。光電変換素子109の光電変換により信号が出力され、図示しない、後段の信号処理部によりデジタル信号に変換される。これによって、原稿の画像が読み取られ、デジタルの画像データが得られる。
一方、原稿を自動給送して原稿の画像を読み取るシートスルー読み取りモード時には、第1キャリッジ106および第2キャリッジ107が、シートスルー読取用スリット111の下側へ移動する。その後、原稿トレイ201に載置された原稿が給送ローラ202によって矢示B方向(副走査方向)へ自動給送され、シートスルー読取用スリット111の位置において原稿が走査される。このとき、自動給送される原稿の下面(画像面)が第1キャリッジ106の光源102によって照明される。画像面からの反射光像が第1キャリッジ106の第1反射ミラー103、第2キャリッジ107の第2反射ミラー104および第3反射ミラー105、その後にレンズユニット108を経由して光電変換素子109へ順次送られて結像される。光電変換素子109の光電変換によりデジタル信号に変換されて出力され、図示しない、後段の画像処理部によりデジタル信号に変換される。これによって、原稿の画像が読み取られ、デジタルの画像データが得られる。
上記のようにして画像の読取が完了した原稿は、図示しない排出口に排出される。なお、スキャン読み取りモード時、またはシートスルー読み取りモード時の画像読取前に開始された光源102による照明により、白板110からの反射光が光電変換素子109でデジタル信号に変換される。それによって、白板110が読み取られ、その読み取り結果(白基準データ)に基づいて原稿の画像読取時のシェーディング補正を行う。なお、間欠シェーディングを実行する時のレベル補正では、白板110読み取りのための動作を原稿読み取りの数分ごとに1回、または数枚ごとに1回というように省略して実行する。
次に、画像読取部100の機能構成例について説明する。図2は、本実施形態に係る画像読取装置の画像読取部の機能構成例を説明するブロック図である。
画像読取部100は、光源102と、光電変換素子109と、分布生成部11と、レベル補正係数算出部12と、シェーディング補正部13と、原稿検知センサ14とを含む。
画像読取部100は、光源102からの照射光によって被写体(原稿、白板110、背景板112など)を照明し、その被写体からの反射光を光電変換素子109で電気信号に光電変換を行い、デジタル信号として出力する。光電変換素子109から出力されたデジタル信号の中で背景板112を読み取った背景板データは、分布生成部11、レベル補正係数算出部12、シェーディング補正部13へ伝送され、分布生成部11、レベル補正係数算出部12、シェーディング補正部13を形成する回路によって、各々の処理が行われる。また、光電変換素子109から出力されたデジタル信号の中で原稿を読み取った原稿データ及び白板110を読み取った白基準(白板)データは、シェーディング補正部13へと伝送され、シェーディング補正部13を形成する回路によって、各々の処理が行われる。最終的にシェーディング補正部13でシェーディング補正を行った原稿データは、その後、図示しない、後段処理部に伝送される。後段処理部では、ドット補正や色補正等の各種補正や、変倍等、その他、画像処理が行われるが、一般的な処理と同様のため詳細説明は省略する。
また、原稿検知センサ14は、図1では図示していないが、ADF200内部にあり、原稿がシートスルー読取用スリット111に搬送された場合に原稿の先端部及び後端部を検知して原稿検知信号F_deを出力する。
光源102は、上述したとおり、被写体の読み取り面に対して被写体露光用の光を照射する。
次に、光電変換素子について説明する。図3は、光電変換素子の機能構成例を示すブロック図である。図3に示すように、光電変換素子109は、主走査方向に並ぶ所定数(複数)の受光素子20と、タイミング生成部21と、画素信号出力部22とを含む。なお、所定数は任意である。光電変換素子109は、光源102から被写体(例えば、原稿、白板110、背景板112など)に光を照射して被写体からの反射光を光電変換し、被写体の画像データを読み取る。光電変換素子109は、受光素子20が主走査方向に複数個配列された、例えばCMOS(Complementary MOS)等のイメージセンサから構成される。受光素子20は、光検出器として働く半導体のダイオードである。光電変換素子109内には、複数の受光素子20が主走査画素の数分(0画素〜n画素)配列されている。各画素に相当する受光素子20で、光源102から被写体に照射された光の反射光を電気信号に変換(光電変換)し、電荷を蓄積する。その後、蓄積電荷は図示していない、増幅器やA/D変換器等での処理を経て、デジタル信号として、画素信号出力部22へ伝送される。受光素子20としては、例えばフォトダイオード等を用いることができる。また、半導体のイメージセンサである固体撮像素子としては、光を検出して電荷を発生させるフォトダイオードを光電変換素子に使用するCMOSイメージセンサ、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ等を用いることができる。CMOSイメージセンサでは、フォトダイオードごとに変換された電荷を増幅して出力する。
タイミング生成部21は、信号伝達のタイミング制御信号を生成する。タイミング生成部21から出力される、slsyncは主走査1ラインの同期クロック、mclkは1画素の同期クロック、swは原稿と次の原稿との間である紙間(原稿間)と、原稿読取り期間を切り替える為のゲート信号である。なお、sw信号は原稿検知センサ14の出力信号F_deと同期してsw信号が生成される。タイミング生成部21は、画像データの画素毎の信号を出力する周期を決定する同期信号slsyncを生成する。
また、タイミング生成部21は、後述する画素信号出力部22が、先の原稿を読み込んでから次の原稿を読み込むまでの第1期間で一部の受光素子20が背景板112からの反射光を画素毎に光電変換した信号を出力する場合、所定数の受光素子20から選択された一部の受光素子20が背景板112からの反射光を画素毎に光電変換した信号を出力する周期を、第2期間で所定数の受光素子20が画素毎に光電変換した信号を全て出力する周期よりも短く設定した同期信号を生成する。すなわち、先の原稿を読み込んでから次の原稿を読み込むまでの第1期間で背景板データから一部の画素信号を出力する周期を、原稿を読み込む第2期間で原稿データから全ての画素信号を出力する周期よりも短く設定した同期信号を生成する。これにより、背景板データから全ての画素信号を出力しないで、一部の画素信号のみを出力するため、時間を短縮することができる。
また、タイミング生成部21は、第1期間で所定数の受光素子20から選択された一部の受光素子20が背景板112からの反射光を画素毎に光電変換した信号を出力する周期である第1周期設定と、第2期間で所定数の受光素子20が画素毎に光電変換した信号を全て出力する周期である第2周期設定とを保持する。第1周期設定と第2周期設定は、後述する画素信号出力部22にて切り替えられる。なお、第1周期設定、第2周期設定は、予め任意に設定される。
画素信号出力部22では、読み出す任意の画素(任意の出力する画素信号)が設定され、画像データであるdataが出力される。画素信号出力部22の詳細な説明は後述する。
上記処理により、1ラインの画像データを原稿ライン分、複数回行うことで、1次元のラインセンサ(例えば、CMOSイメージセンサ等)により2次元の読取データを取得することができる。
次に、画素信号出力部22について説明する。画素信号出力部22は、複数の原稿を連続的に読み込む場合に、先の原稿を読み込んでから次の原稿を読み込むまでの第1期間で、主走査方向に並ぶ所定数の受光素子の一部の受光素子が背景板112からの反射光を画素毎に光電変換した信号を出力する。そして、出力する画素の信号数に応じた周期で画素毎の信号を出力する。つまり、第1期間は、背景板112を読み込む場合に対応し、画素信号出力部22は、背景板112を読み込む場合には一部の受光素子が背景板112からの反射光を画素毎に光電変換した信号を出力する。
また、画素信号出力部22は、第1期間以外である第2期間で、主走査方向に並ぶ所定数の受光素子が画素毎に光電変換した信号を全て出力する。そして、出力する画素の信号数に応じた周期で画素毎の信号を出力する。つまり、第2期間は、原稿を読み込む場合に対応し、画素信号出力部22は、原稿を読み込む場合には主走査方向に並ぶ所定数の受光素子が画素毎に光電変換した信号を全て出力する。
なお、所定数の受光素子20から選択された一部の受光素子20は、主走査方向に対して任意の間隔で選択される。ここで、任意の間隔とは、主走査方向の中央部の受光素子20の間隔が粗く、主走査方向の両側端部の受光素子20の間隔が密であること、または、主走査方向に対して等間隔であること、のどちらかを示す。なお、これに限らず、選択される一部の受光素子20の間隔は任意に設定することができる。
また、画素信号出力部22は、複数の原稿を連続的に読み込む場合に、先の原稿を読み込んでから次の原稿を読み込むまでの第1期間で一部の受光素子20が背景板112からの反射光を画素毎に光電変換した信号を出力することを選択する。また、画素信号出力部22は、第2期間で原稿を読み込む場合に、主走査方向に並ぶ所定数の受光素子が画素毎に光電変換した信号を全て出力することを選択する。
また、画素信号出力部22は、第1期間で所定数の受光素子20から選択された一部の受光素子20が背景板112からの反射光を画素毎に光電変換した信号を出力する第1信号出力設定と、第2期間で所定数の受光素子20が画素毎に光電変換した信号を全て出力する第2信号出力設定とを保持する。そして、画素信号出力部22は、それぞれの設定を変更する場合には、上記のタイミング生成部21が保持する第1周期設定、第2周期設定に対して、第1信号出力設定と第1周期設定とを同時に変更し、第2信号出力設定と第2周期設定とを同時に変更する。
図4は、画素信号出力部の機能構成例を示す図である。図4に示すように、画素信号出力部22は、レジスタ31と、セレクタ32とを含む。レジスタ31は、画素信号出力部22へ伝送された全ての画素信号の中から読み出す画素(出力する信号)の設定を、予め格納する記憶素子である。なお、以下では、受光素子20が画素毎に光電変換した信号を出力する時の「出力する信号の設定」を、「読み出す画素の設定」とも表記する。
レジスタ31に予め格納されている、読み出す画素の設定としては、図4に示すように、例えば、(1)通常読取り用として、主走査方向の画素0画素〜n画素すべてを読み出す設定、すなわち、主走査方向に並ぶ所定数の受光素子20が画素毎に光電変換した信号を全て出力する設定である。また、例えば、(2)基準部材(背景板112)である背景板データ読取り用として、主走査方向の画素0画素〜n画素のなかで、任意の画素のみを読み出す設定、すなわち、所定数の受光素子20から選択された一部の受光素子20が背景板112からの反射光を画素毎に光電変換した信号を出力する設定である。以上の2種類の設定が一例として示される。
また、読み出す画素の設定と共に、ライン同期信号であるslsyncも上記(1)、(2)それぞれの設定に対応付けられたライン同期信号(slsync)の設定が予め格納されている。ここで、ライン同期信号とは、出力する信号数に応じて画素毎に光電変換した信号を出力する周期を決定する同期信号のことを示す。なお、読み出す画素の設定、及び対応付けられたライン同期信号の各設定は、任意に設定することができる。
セレクタ32は、レジスタ31に格納されている、読み出す画素の設定(出力する信号の設定)を切り替える。セレクタ32は、タイミング生成部21から出力されたsw信号が入力されることで、読み出す画素の設定の切り替えを行う。セレクタ32は、sw信号の入力により、読み出す画素の設定を高速に切り替えることができる。なお、sw信号は上記の原稿検知センサ14の出力信号F_deと同期してsw信号が生成されるので、例えば原稿がシートスルー読取用スリット111に搬送された場合に原稿の先端部及び後端部を検知した出力信号F_deと同期してsw信号が生成される。これにより、例えば、原稿の先端部を検知した場合、原稿を読み取るモードである上記の(1)通常読取り用として、主走査方向の画素0画素〜n画素すべてを読み出す設定が選択される。また、例えば、原稿の後端部を検知した場合、原稿と次の原稿との間である紙間で背景板112を読み取るモードである上記の(2)基準部材(背景板112)である背景板データ読取り用として、主走査方向の画素0画素〜n画素のなかで、任意の画素のみを読み出す設定が選択される。
上記処理により、画素信号出力部22からは、sw信号の入力により切り替えて選択された設定に応じた、ライン周期信号であるslsync信号と画像データであるdataとが出力される。
このように、画素信号出力部22では、主走査方向の画素の数分だけ配列された複数の受光素子20で被写体に照射された光の反射光を電気信号に変換し、デジタル信号として伝送された画素信号を出力する。画素信号を出力する場合、レジスタ31に予め格納されている読み出す画素の設定(出力する信号の設定)をセレクタ32により選択し、設定された読み出し画素(出力する画素信号)のみ読み出される。
次に、上記の読み出す画素の設定(1)、(2)における画素読み出しの具体的なタイミング例について説明する。図5Aおよび図5Bは、画素信号出力部からの各信号のタイミングを説明する図である。
まず、sw信号は、通常時(以下、「原稿読取り時」のことを示す。)は、原稿検知センサ14の出力信号F_deと同期して、sw=Lとなっている。図5Aに示すように、sw=Lの時の設定は、上記の(1)主走査方向の画素0画素〜n画素すべてを読み出す設定である。すなわち、原稿を読み込んで原稿の画像データを取得する設定である。sw=Lの時のslsyncの設定は、data 1ラインの0画素〜n画素すべてを読み出す期間(光信号蓄積時間)に同期している(図5Aに示す通常読取り動作時)。
次に、設定された主走査方向の画素のライン数分を読み取った後、すなわち、1枚分の原稿の画像データを読み取った後、原稿検知センサ14の出力信号F_deと同期して、sw=Lから、sw=Hに切り替わり、原稿と次の原稿の間(原稿間)である紙間の読み取り期間となる。このときのsw=Hの時の設定は、上記の(2)主走査方向の画素0画素〜n画素のなかで、任意の画素のみを読み出す設定である。すなわち、紙間において、背景板112を読み込んで経時の背景板データを取得する設定である。図5Bに示す例では、上記(2)の設定の一例として、読み出す画素をdataの0、2、4、・・・、nと、偶数画素目のみを読み出す。つまり、原稿読取り時の全ての画素数を読み出すよりも、読み出す画素数は1/2となる。それと共に、sw=Hの時のslsyncの設定は、data 1ラインの0画素〜n画素から偶数画素のみ読み出す期間(光信号蓄積時間)は、上記(1)の設定と比較して1/2の期間である。このように、sw=Hの設定では、任意の画素を読み出す周期を1/2に短縮できる(図5Bに示す背景板読取り動作時)。
図5Bの例は、偶数画素目(1画素置きの間隔)の読み出しの場合の例であるが、例えば2画素置きの間隔で読み出した場合では、ライン周期slsyncは上記(1)の設定と比較して1/3の期間に短縮できる。また、例えば、3画素置きの間隔で読み出した場合では、slsyncは上記(1)の設定と比較して1/4の期間に短縮できる。同様に4〜n画素置きの間隔で読み出す場合では、1/4〜1/nの期間に短縮することが可能である。
また、読み出し画素は、レジスタ31設定によって任意で設定できるため、上記のような一定間隔ではなく、主走査方向の画素で一部に粗密をつけて、間隔を決定してもよい。例えば、均一濃度の画像読み取りの際、読み取って得られる画像データは主走査方向に見た場合、レンズや光源の特性等から、主走査方向の中央部より主走査方向の両端部の読み取りレベルが低くなる傾向がある。そのため、LEDを使用した光源では、中心部に比べ、両端部にLEDチップを密に並べる等の工夫がされていることがある。連続読み取り時における、主走査方向の経時での光量分布変動は、発熱による光量低下が大きく起因していることから、例えば、上記のLED光源構成によると、両端部の方が、中心部より、光量分布変動が大きいということになる。その場合は、背景板データの読み出し画素も、それに対応して変動の大きい両端部を密に、変動が少ない中心部は粗にといったように、読み出し画素を光量の変動に応じて粗密を付けることで、補正精度を向上させることができる。
このように、連続して原稿を読み取る場合、背景板読み取り動作時では、ライン周期を短縮して任意の画素のみを読み出すことによって、大幅に生産性の時間を短縮できる、という有利な効果を奏することができる。
次に、分布生成部11について説明する。図6は、分布生成部について説明する図である。図6に示すように、分布生成部11は、補間回路41を含む。補間回路41は、請求項の「補間部」に対応する。分布生成部11には、画素信号出力部22から出力されたdata(画像データ)のうち、背景板112の画像データは分布生成部11の補間回路41に入力される。なお、図2では図示していないが、画素信号出力部22では、sw信号によりセレクタ32で切り替えを行って、dataのなかで、背景板112の画像データを分布生成部11に出力する。
補間回路41は、画素信号出力部22から読み出された一部の画素信号を用いて、読み出されていない残りの画素信号を算出(補間)して背景板データの主走査方向の1ライン全ての画素信号を生成する。読み出されていない残りの画素信号を算出(補間)する方法として、例えば、前後の読み出された画素信号を用いて、線形補間により残りの画素信号を算出(補間)することができる。また、画素信号の補間方法として、例えば、キュービック法など一般に用いられる方法を適用することができる。
また、読み取りモードによって、例えば、原稿データが文字の場合、原稿データが写真の場合などで補間方法を変えるようにしてもよい。なお、画素信号の補間には、一般的な補間方法を用いることができるが、計算量が少なく、かつ、分布の近似形成が可能な線形補間が好ましい。
補間回路41は、第1期間で一部の受光素子20が背景板112からの反射光を画素毎に光電変換した信号を出力する場合に、背景板112からの反射光を画素毎に光電変換した一部の受光素子20が出力した信号を所定数の受光素子の信号、すなわち、主走査方向の1ライン全ての画素信号とするように補間する。
また、補間回路41は、第1期間で選択された一部の受光素子20が背景板112からの反射光を画素毎に光電変換して出力した信号を用いて、線形補間により選択されていない残りの受光素子20の信号を算出して、所定数である主走査方向の1ライン全ての信号の分布データを生成する。
これにより、背景板データにおいて、画素毎に光電変換した信号を全て出力する必要がないため、主走査方向の1ライン全ての画素信号から任意の画素信号を出力する(読み出す)周期を1/2以下に短縮することができる。
図7A及び図7Bは、分布生成部における背景板データの主走査方向の1ライン全ての画素信号の分布データ生成について説明する図である。図7A及び図7Bに示すように、分布生成部11は、背景板データの主走査方向の読み出されていない(出力されていない)残りの画素信号を線形補間により算出して主走査方向の1ライン全ての画素信号の分布データを生成する。図7A及び図7Bの例では、初期背景板レベル(画素信号レベル)と、経時背景板レベル(経時で低下した画素信号レベル)とを示している。図7A及び図7Bにおいて、横軸は主走査方向の主走査画素(pix)を示し、縦軸は主走査方向の画素信号レベル(digit/8bit)を示している。
図7Aの例では、背景板データの主走査方向の偶数画素目のみを読み出して主走査方向の1ライン全ての画素信号の分布データを生成した一例である。分布生成部11は、背景板データの主走査方向の1ライン全ての画素信号から一部の画素(偶数画素目のみ)を読み出し、読み出されていない残りの画素信号(この例では、奇数画素目)の補間を行って背景板データの主走査方向の1ライン全ての画素信号の分布データを生成する。この例では、画素信号の補間には線形補間を用いている。図7Aの例において、1画素目の画素信号レベルをX1、X1に隣接する読み出した画素信号レベルをX0、X2とした場合、X1の値は、下記式(1)で算出される。
X1=(X0+X2)×1/2 ・・・(1)
同様にして、3画素目及び5画素目の画素信号レベルであるX3、X5は、
X3=(X2+X4)×1/2
X5=(X4+X6)×1/2
で算出される。
上記のようにして、読み出された一部の画素信号を用いて、読み出されていない残りの画素信号を算出(補間)して背景板データの主走査方向の1ライン全ての画素信号の分布データを生成する。
図7Bの例では、上述した光源の光量分布変動に応じて、背景板データの主走査方向の読み出し画素に粗密をつけて読み出して主走査方向の1ライン全ての画素信号の分布データを生成した一例である。分布生成部11は、背景板データの主走査方向の1ライン全ての画素信号から、主走査方向の中央部分を粗に、主走査方向の両端部分を密に画素を読み出し、読み出されていない(出力されていない)残りの画素信号(この例では、1画素目〜m−1画素目)の補間を行って背景板データの主走査方向の1ライン全ての画素信号の分布データを生成する。この例では、画素信号の補間には線形補間を用いている。図7Bの例では、補間する画素信号を1画素目〜m−1画素目とする。図7Bの例において、1画素目の画素信号レベルをX1、X1の直前に隣接する読み出した画素信号レベルをX0、m画素目の画素信号レベルをXmとした場合、X1の値は、下記式(2)で算出される。
X1=(Xm−X0)×1/m+X0 ・・・(2)
同様にして、2画素目及び3画素目の画素信号レベルであるX2、X3は、
X2=(Xm−X0)×2/m+X0
X3=(Xm−X0)×3/m+X0
で算出される。
上述したように、読み出されていない残りの画素信号を算出する線形補間は下記一般的式(3)で表される。
Xl={(Xm−Xk)/(m−k)}×(l−k)+Xk ・・・(3)
(ただし、k<l<m、l:補間する画素の画素信号レベル、k,m:隣り合う読み出し画素)
なお、光源の経時での光量分布変動において、一般に数画素で経時背景板のデータの読取レベルが急激に変化することはなく、おおよそ、経時で主走査方向の画素信号の分布データはなだらかに変化する。そのため、読み出し画素の間隔は、数画素〜数十画素とすることで十分な精度で補正を行うことができる。
以上説明したように、背景板112の画像データでは、主走査方向の1ライン全ての画素信号を読み出す必要がなく、読み出された一部の画素信号を用いて、読み出されていない残りの画素信号を算出して背景板データの主走査方向の1ライン全ての画素信号の分布データを生成するため、背景板データの主走査方向の1ライン全ての画素信号の分布データを得ることができる。これにより、背景板データにおいて、主走査方向の1ライン全ての画素信号から任意の画素信号を読み出す(出力する)周期を1/2以下に短縮することができるため、背景板の読み取り時間を短縮することができる。
次に、レベル補正係数算出部12について説明する。レベル補正係数算出部12は、最初の原稿読み取り前に背景板112からの反射光を画素毎に光電変換した全ての信号(初期背景板データ)と、補間回路41が生成した主走査方向の1ライン全ての信号の分布データ(経時背景板データ)とを用いて、原稿の画像データを補正するためのレベル補正係数を算出する。
レベル補正係数算出部12は、算出されたレベル補正係数が、設定された閾値の範囲内でない場合は、算出されたレベル補正係数を用いずに、閾値の範囲内にある直前のレベル補正係数を用いる。
図8は、レベル補正係数算出部の機能構成例を示す図である。図8に示すように、レベル補正係数算出部12は、レジスタ51と除算器52と比較器53とを含む。レジスタ51は、1枚目の原稿読み取り前に予め読み取った背景板112の初期背景板データhdata0を格納する。また、レジスタ51は、後述する、予め任意に設定されたレベル補正係数の閾値h_limを格納する。除算器52は、初期背景板データhdata0と、経時で読み取った背景板112の経時背景板データhdataとを用いて、経時での読み取り値(画素信号レベル)の減衰率の逆数である、主走査方向の画素信号の分布データのレベル補正値(以下、レベル補正係数と表記する。)h_coを、下記式(4)により算出する。
h_co=hdata0/hdata ・・・(4)
(ただし、一枚目の読取り時は、hdata=hdata0である)
比較器53は、後述するゴミ検知用に使用するものである。比較器53は、レジスタ51に予め任意に設定されて格納されているレベル補正係数の閾値h_limと、上記式(4)を用いて各画素から算出されたレベル補正係数h_coを比較する。比較器53は、除算器52で算出されたレベル補正係数h_coと、予めレジスタ51に保持した閾値h_limとを比較して、レベル補正係数h_coが閾値の範囲内ならば、比較器53からのレベル補正係数h_coを出力し、レベル補正係数h_coが閾値の範囲外ならば、比較器53からのレベル補正係数h_coは、閾値の範囲内である直前に算出されたレベル補正係数h_coを出力する。
図9は、背景板112にゴミや汚れが付着した場合のレベル補正係数について説明する図である。図9の例では、初期背景板レベル(画素信号レベル)と、経時背景板レベル(経時で低下した画素信号レベル)とを示している。図9において、横軸は主走査方向の主走査画素(pix)を示し、縦軸は主走査方向の画素信号レベル(digit/8bit)を示している。
背景板112は、原稿搬送経路にあるため、原稿を搬送中に背景板112にゴミや汚れが付着してしまうことがある。図9の上側に示すように、1枚目の原稿読み取り前に予め読み取った背景板112の初期背景板レベルは、ゴミや汚れが付着していない状態である。経時で原稿を搬送中に背景板112にゴミや汚れが付着してしまった場合、図9の下側に示すように、経時背景板レベルでは、背景板112ゴミ混入部分の数画素分の画素信号レベルが低くなっている。図9に示す、経時背景板レベルの状態において、上記式(4)を用いて、レベル補正係数h_coを算出すると、背景板112ゴミ混入部分の画素信号レベルは、その前後の画素信号レベルよりも高い値のレベル補正係数となってしまうので、補正後の出力画像では背景板112ゴミ混入部分は縦スジとなって表れてしまう。なお、図9の吹出部分で示す矢印↑はそれぞれの画素におけるレベル補正係数値を表している。
そのため、ゴミや汚れを検知するために、予めレベル補正係数に閾値を設定して、レベル補正係数が、予め設定した任意の閾値の範囲内から外れて範囲外となるレベル補正係数値があった場合には、閾値の範囲外のレベル補正係数値を用いずに、閾値の範囲外となる直前の画素のレベル補正係数、すなわち、閾値の範囲内にある直前のレベル補正係数値を用いることで、ゴミや汚れによる誤った補正を防止することができる。
従って、レベル補正係数算出部12に比較器53の構成を含むことによって、メモリ等を増やすことなく、ゴミや汚れを検知することができるため、誤ったレベル補正を防止することができる。
次に、シェーディング補正部13について説明する。シェーディング補正部13は、補間回路41が補間した所定数の信号に基づいてシェーディング補正を行う。また、シェーディング補正部13は、最初の原稿読み取り前に白板110からの反射光を画素毎に光電変換した全ての信号(白基準データ)と、レベル補正係数算出部12で算出したレベル補正係数とを用いて、原稿の画像データに対してシェーディング補正を行う。
また、シェーディング補正部13は、レベル補正係数算出部12で算出されたレベル補正係数が、予め設定された任意の閾値の範囲内でない場合は、算出されたレベル補正係数を用いずに、閾値の範囲内にある直前のレベル補正係数を用いる。
図10は、シェーディング補正部の機能構成例を示す図である。図10に示すように、シェーディング補正部13は、レジスタ61と、除算器62と、乗算器63と、レジスタ64とを含む。レジスタ61は、1枚目の原稿読み取り前に予め読取った白基準(白板)データwdataを格納する。除算器62は、原稿データdataと白基準(白板)データwdataとを用いて画素毎に正規化を行う。乗算器63は、レベル補正係数算出部12で出力されたレベル補正係数h_coと、予めレジスタ64に格納されてある量子化レベル数を、除算器62で正規化した原稿データに乗算することで、最終的な出力画像データodataを算出する。レジスタ64は、上述のとおり、予め設定された量子化レベル数を格納する。
上記の最終的な原稿データは下記式(5)で算出できる。
odata=(data/wdata)×1023×h_co ・・・(5)
(なお、1023は10ビットでの量子化レベル数である)
なお、図2では、図8に示したレベル補正係数算出部12と、図10に示したシェーディング補正部13とを分離した構成としているが、レベル補正係数算出部12はシェーディング補正部13に含まれる構成とすることができる。
次に、本実施形態に係る画像読取装置1の動作例について説明する。図11は、画像読取装置の原稿の連続読み取り処理動作の一例を示すフローチャート図である。なお、以下の例では、間欠シェーディングを実行する時のレベル補正する際の原稿の連続読み取り処理動作の一例を示す。図11に示すように、画像読取装置1は、シートスルー読み取りモード時では、画素信号出力部22のレジスタ31の読み出す画素の設定を、初期設定として、図4で示した(1)通常読取り用に設定する(ステップS11)。
次に、原稿のスキャンが1枚目の原稿読み取りであるか否かを判定する(ステップS12)。読み取り原稿が1枚目である場合(ステップS12:Yes)、画像読取装置1は、第1キャリッジ106を白板(白基準部材)110の下まで移動させる(ステップS13)。画像読取装置1は、白板110を読み取って白基準データを取得してシェーディング補正部13のレジスタ61に保持する(ステップS14)。その後、キャリッジ106をホームポジションまで移動させる(ステップS15)。
次に、背景板112を読み取り、初期の背景板データを取得してレベル補正係数算出部12のレジスタ51に保持する(ステップS16)。次に、画像読取装置1は、レベル補正係数算出部12で初期背景板データと経時背景板データとを用いてレベル補正係数を算出する(ステップS17)。ここで、1枚目の読取り時は、図8で説明したように、レベル補正係数は「1」となる。
次に、連続読み取りの原稿搬送が始まり、上述したADF200内の原稿検知センサ14により原稿が検知され(ステップS18)、出力信号F_deと同期してswが生成される。画像読取装置1は、sw信号により画素信号出力部22のレジスタ31の読み出す画素の設定を、図4で示した(1)通常読取り用に設定する(ステップS19)。ここで、1枚目の読取り時は、初期設定と同じ設定となる。次に、原稿の読み取りを行う(ステップS20)。
次に、画像読取装置1は、シェーディング補正部13で、読み取った原稿データに対して、白基準データと算出したレベル補正係数値とを用いてシェーディング補正を行う(ステップS21)。次に、画像読取装置1は、次の原稿があるか否かを判定する(ステップS22)。次の原稿が無い場合(ステップS22:No)、処理を終了する。次の原稿がある場合(ステップS22:Yes)、ステップS12に移行して処理を継続する。
ステップS12に戻り、読み取り原稿が1枚目で無い場合(ステップS12:No)、画像読取装置1は、画素信号出力部22のレジスタ31の読み出す画素の設定を、図4で示した(2)背景板読取り用に切り替えて設定する(ステップS23)。次に、画像読取装置1は、背景板112を読み取り、経時の背景板データを取得する(ステップS24)。次に、画像読取装置1は、取得した経時の背景板データを用いて、分布生成部11で、画素信号出力部22から読み出された一部の画素信号を用いて、読み出されていない残りの画素信号を算出(補間)して背景板データの主走査方向の1ライン全ての画素信号の分布データを生成する(ステップS25)。
次に、ステップS17に移行して、ステップS17以降の処理を継続する。すなわち、画像読取装置1は、レベル補正係数算出部12で初期背景板データと経時背景板データとを用いてレベル補正係数を算出する(ステップS17)。次に、連続読み取りの原稿搬送が始まり、上述したADF200内の原稿検知センサ14により原稿が検知され(ステップS18)、出力信号F_deと同期してswが生成される。画像読取装置1は、sw信号により画素信号出力部22のレジスタ31の読み出す画素の設定を、図4で示した(1)通常読取り用に切り替えて設定する(ステップS19)。つまり、読み取り原稿が2枚目以降では、このステップS19で画素信号出力部22のレジスタ31の読み出す画素の設定を、(2)背景板読取り用から(1)通常読取り用に切り替える。
次に、原稿の読み取りを行う(ステップS20)。次に、画像読取装置1は、シェーディング補正部13で、読み取った原稿データに対して、白基準データと算出したレベル補正係数値とを用いてシェーディング補正を行う(ステップS21)。次に、画像読取装置1は、次の原稿があるか否かを判定する(ステップS22)。
なお、画素信号出力部22のレジスタ31の読み出す画素の設定の切り替えは、ステップS20で原稿の読み取りが終了した時に、原稿検知センサ14が原稿の後端部を検知して出力する出力信号F_deと同期して生成されたsw信号により、原稿と次の原稿との間である紙間と判定して、(2)背景板読取り用に切り替えて設定することもできる。この場合、ステップS20とステップS21の間に上記の(2)背景板読取り用に切り替えて設定する処理が行われ、ステップS12(No)の次のステップS23の処理は不要で、ステップS24以降の処理が行われる。
以上の処理を画像読取装置1に実行させることにより、レベル補正する際に背景板データの一部の画素信号を用いて、読み出されていない残りの画素信号を算出(補間)して背景板データの主走査方向の1ライン全ての画素信号の分布データを生成するため、背景板112の読み取り時間を大幅に短縮することができる、という有利な効果を奏する。
次に、本実施形態の画像読取装置1を搭載した画像形成装置300について説明する。図12は、本実施形態に係る画像形成装置の機構部の構成例を示す図である。図12に示すように、画像形成装置300は、図1に示した画像読取装置1を搭載した、例えばデジタル複写機を一例として説明する。図12の例では、画像読取部100とADF400とを含んで画像読取装置1を構成している。画像形成装置300は、原稿を載置するコンタクトガラス101の上部にADF400が設けられており、このADF400をコンタクトガラス101に対して開閉できるように、図示しないヒンジ等を介して連結している。なお、ADF400は、図1に示すADF200と同じである。
ADF400は、複数の原稿からなる原稿束を載置可能な原稿載置台としての原稿トレイ401を備えている。また、図示しない操作部上のプリントキーの押下により、原稿トレイ401に画像面を上にして載置された原稿束から原稿を1枚ずつ分離して自動給送し、シートスルー読取用スリット111又はコンタクトガラス101へ向けて搬送する給送ローラ402および搬送ベルト403を含む分離・給送手段も備えている。給送ローラ402又は搬送ベルト403によって給送された原稿は、図1で説明したように画像読取りが行われた後、搬送ベルト403および排送ローラ404によってADF400の上面に排出される。
画像読取部100は、コンタクトガラス101と、光源102および第1反射ミラー103を含む第1キャリッジ106と、第2反射ミラー104および第3反射ミラー105を含む第2キャリッジ107と、レンズユニット108と、光電変換素子109と、基準部材110と、シートスルー(連続)読取用スリット111とを備えている。
ここで、ADF400によって原稿をコンタクトガラス101の読取位置に搬送する場合の図示しないコントローラおよびADF400の動作について説明する。ADF400の給送モータはコントローラからの出力信号によって駆動されるようになっており、コントローラは、操作部上のプリントキーの押下によって発生した給送スタート信号が入力されると、給送モータを正・逆転駆動するようになっている。給送モータが正転駆動されると、給送ローラ402が時計方向に回転して原稿束から最上位に位置する原稿が自動給送され、シートスルー読取用スリット111又はコンタクトガラス101へ向けて搬送される。この原稿の先端が原稿検知センサ405によって検知されると、コントローラは原稿検知センサ405からの出力信号に基づいて給送モータを逆転駆動させる。これにより、後続する原稿が進入するのを防止して分離されないようになっている。
コントローラは、原稿検知センサ405が原稿の後端を検知したとき、この検知時点からの図示しない搬送ベルトモータの回転パルスを計数し、回転パルスが所定値に達したときに、搬送ベルト403の駆動を停止して搬送ベルト403を停止することにより、原稿をコンタクトガラス101上の読取位置に停止させる。更に、原稿検知センサ405によって原稿の後端が検知された時点で、給送モータを再び駆動して、後続する原稿を上述したように分離して自動給送させる。そして、コンタクトガラス101に向けて搬送させ、この原稿が原稿検知センサ405によって検知された時点からの給送モータのパルスが所定パルスに到達したときに、給送モータを停止させて次の原稿を先出し待機させる。
そして、原稿がコンタクトガラス101上の読取位置に停止したとき、原稿の画像読取が行なわれる。この画像読取が終了すると、その旨を示す信号がコントローラに入力されるため、コントローラは、この信号により、搬送ベルトモータを正転駆動して、搬送ベルト403によって原稿をコンタクトガラス101から排送ローラ404へ向けて搬出させる。
このように、ADF400にある原稿トレイ401に原稿の画像面を上にして置かれた原稿束は、プリントキーの押下によって一番上の原稿から自動給送され、例えばコンタクトガラス101上の読取位置に搬送される。その読取位置に搬送されて停止した原稿は、画像の読取後、搬送ベルト403等によって排出口から排出される。更に、原稿トレイ401に次の原稿が有ることが検知された場合、前の原稿と同様に次の原稿が自動給送され、コンタクトガラス101上に搬送される。
給紙トレイである第1トレイ301、第2トレイ302、第3トレイ303に積載された転写紙(用紙)は、各々第1給紙ユニット311、第2給紙ユニット312、第3給紙ユニット313によって給紙され、縦搬送ユニット314によって像担持体であるドラム状の感光体(感光体ドラム)315に当接する位置まで搬送される。なお、実際には各トレイ301〜303のうちのいずれか1つが選択され、そこから転写紙が給紙される。また、転写紙以外の記録媒体を使用することもできる。
一方、画像読取部100によって読み取った画像データは、画像形成手段であるプリンタ内の書き込みユニット350からのレーザ光により、図示しない帯電ユニットにより予め帯電された感光体315の表面に書き込まれて(その表面が露光されて)、その部分が現像ユニット327を通過することにより、そこにトナー画像が形成される。その作像を行う現像ユニット327および帯電ユニット等が作像手段を構成する。
選択された給紙トレイ301〜303から給紙された転写紙は、感光体315の回転と等速で搬送ベルト316によって搬送されながら、感光体315上のトナー画像が転写される。更に、定着ユニット317にてトナー画像を定着され、排紙ユニット318によって機外の排紙トレイ319に排紙される。このとき、例えばフェースダウン(転写紙をページ順に揃えるため画像面を下向きにする)排紙のために、一方の面にトナー画像が形成された転写紙を反転したい場合、その転写紙は排紙ユニット318により両面入紙搬送路320に搬送され、反転ユニット321でスイッチバック反転された後、反転排紙搬送路322を通って排紙トレイ319に排出される。
また、転写紙の両面に画像を形成する場合には、一方の面に画像が形成された転写紙は排紙ユニット318により両面入紙搬送路320に搬送され、反転ユニット321でスイッチバック反転された後、両面搬送ユニット323に送られる。
両面搬送ユニット323に送られた転写紙は、再び感光体315に作像されたトナー画像を転写するために、両面搬送ユニット323から再給紙され、再度縦搬送ユニット314によって感光体315に当接する位置まで搬送される。そして、他方の面にトナー画像が転写された後、定着ユニット317によってトナー画像が定着され、排紙ユニット318によって排紙トレイ319に排出される。
感光体315、搬送ベルト316、定着ユニット317、排紙ユニット318、現像ユニット327は、図示しないメインモータによって駆動され、各給紙ユニット311〜313はメインモータの駆動力が各々給紙クラッチによって伝達されて駆動される。縦搬送ユニット314は、そのメインモータの駆動力が中間クラッチを介して伝達されて駆動される。
書き込みユニット350は、レーザ出力ユニット351、結像レンズ352、ミラー353で構成され、レーザ出力ユニット351の内部には、レーザ光源であるレーザダイオードと、レーザ光を走査する回転多面鏡(ポリゴンミラー)又は振動ミラーを備えている。レーザ出力ユニット351より照射されるレーザ光は、ポリゴンミラー又は振動ミラーで偏向され、結像レンズ352を通り、ミラー353で折り返されて感光体315の表面上に集光結像する。
このように、本実施形態の画像形成装置(デジタル複写機)300によれば、本実施形態の画像読取装置1を備え、連続した複数枚複写時のレベル補正において、光源の局所的な光量変動に対応でき、かつ読み取り速度の向上を図り、画像を形成することが可能となる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述の各実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。本発明は、上述の各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述の各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。また、以上の各実施形態および変形例は任意に組み合わせることも可能である。
なお、上述の各実施形態の画像読取装置1が実行される制御プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
さらに、上述の各実施形態の画像読取装置1が実行される制御プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、上述の各実施形態の画像読取装置1が実行される制御プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。