以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。
(実施の形態1)
図1は、原稿読取装置の内部構成を示す模式的断面図である。原稿読取装置は、スキャナ装置として構成されるか、又は複写機若しくは複合機の一部として構成されている。原稿読取装置は、原稿に記録された原稿画像を光学的に読み取る読取部1と、原稿を原稿搬送路Fに沿って自動的に搬送する自動原稿送り装置(以下、ADF(Auto Document Feeder)と言う)2とを備えている。またADF2は、搬送された原稿の裏面に記録された画像を読み取る裏面読取部3を内部に備えている。読取部1とADF2とは図示しないヒンジによって連結されており、ADF2はヒンジの回動によって読取部1に対して開閉可能となっている。
読取部1は、筐体10と、筐体10の上面に設けられた透明なガラス板からなるプラテン板11とを備え、筐体10内には、光源121及び第1ミラー122を有する光源ユニット12、第2ミラー131及び第3ミラー132を有するミラーユニット13、レンズ14並びにイメージセンサ15が設けられている。イメージセンサ15は線状にフォトダイオード等の受光素子が並んだライン状のCCDセンサで構成されており、光源121は、イメージセンサ15の長手方向に対応する主走査方向に白色光を発光する複数のLED(発光体)が線状に並んだLEDアレイで構成されている。また光源ユニット12及びミラーユニット13は、主走査方向に交差する副走査方向へ移動可能になっている。図1では、紙面に対して垂直な方向を主走査方向、左右方向を副走査方向としている。なお、イメージセンサ15はCIS(Contact Image Sensor)であってもよい。
ADF2は、複数の原稿を重ねて載置可能な原稿載置台21と、画像読取後の原稿が載置される排紙トレイ26とを備え、ADF2の下面は、読取部1のプラテン板11上に載置された原稿を上から押さえる押さえ板27となっている。押さえ板27は、ADF2が開いている場合にプラテン板11の上面を開放し、ADF2が閉じている場合にはプラテン板11を間に介して光源121と対峙している。またADF2は、内部に、原稿載置台21に載置された原稿を1枚ずつ内部へ呼び込む呼び込みローラ22、呼び込まれた原稿を原稿搬送路Fに沿って搬送する複数対の搬送ローラ23、給紙タイミングを調節するレジストローラ24、及び読み取り後の原稿を排紙トレイ26へ排出する排紙ローラ25を備えている。
裏面読取部3は、光源31、第1ミラー32、第2ミラー33、第3ミラー34、第4ミラー35、レンズ36及びイメージセンサ37を備えるユニット状に構成されている。ユニット状の裏面読取部3は、ADF2内で、略U字状に弧を描く原稿搬送路F内に収まるように配設されている。図1中には、読取部1及び裏面読取部3の内部での光路を破線で示している。
読取部1は、ユーザーが原稿をプラテン板11上に載置して原稿画像の読み取りを行う原稿固定方式と、ADF2によって自動的に原稿を搬送しながら原稿画像を読み取る原稿移動方式との両方式に対応している。原稿固定方式によって原稿画像を読み取る場合、光源ユニット12及びミラーユニット13は、まず、原稿固定方式による走査の開始位置に位置する。なお、走査の開始位置には、主走査方向に明るさが一様な白板である基準白板16が筐体10の上面に設けられている。その後、光源121が原稿に対して光を照射しながら、光源ユニット12は一定の速度で副走査方向へ移動し、同時にミラーユニット13は光源ユニット12の移動速度の1/2の移動速度で同じく副走査方向へ移動する。光源121から照射され原稿から反射した光は、第1ミラー122で反射してミラーユニット13へ入射し、ミラーユニット13の第2ミラー131及び第3ミラー132によって光路を180°変換される。第3ミラー132で反射した光はレンズ14を通ってイメージセンサ15に結像し、イメージセンサ15は結像した光を電気的な画像データに変換して出力する。イメージセンサ15が出力する画像データは、原稿画像を読み取った1ライン分の画像を表す画像データであり、光を受光した各受光素子に対応する各画素での明るさを示す画素値からなる。各画素値は、各受光素子が受光した光量に応じた値となる。
原稿移動方式によって原稿画像を読み取る場合、光源ユニット12及びミラーユニット13は原稿移動方式用の読取位置に位置し、ADF2によって読取位置の上部を通過するように原稿が搬送される。図1中には、光源ユニット12及びミラーユニット13が原稿移動方式用の読取位置に位置した状態を示している。読取位置では筐体10の上面は透明に構成されており、光源121は搬送される原稿に対して光を照射し、原稿の表面側から反射された光は、原稿固定方式と同様の経路を通ってイメージセンサ15に結像し、イメージセンサ15は光を電気的な画像データに変換する。
原稿読取装置は、読取部1及び裏面読取部3を利用して、原稿の両面を読み取ることができる。原稿の両面読み取りを行う場合は、裏面読取部3は、原稿搬送路Fを搬送される原稿の裏面側の画像を読み取る。具体的には、読取部1によって原稿の表面側が読み取られた後、該原稿は原稿搬送路Fに沿って排紙トレイ26へ向けて搬送される間に、裏面読取部3の光源31の下方を通過する。この際に光源31は原稿の裏面へ光を照射し、原稿の裏面で反射した光は、第1ミラー32、第2ミラー33、第3ミラー34及び第4ミラー35で順次反射した後、レンズ36を通ってイメージセンサ37に結像する。イメージセンサ37は結像した光を電気的な画像データに変換して出力する。
図2は、実施の形態1に係る原稿読取装置の電気的構成の主要部を示すブロック図である。原稿読取装置は、演算を行うCPU、演算に伴う情報を記憶するRAM、演算に必要なプログラムを記憶するROM等からなる制御部41を備え、制御部41は、原稿読取装置の各部の動作を制御する処理を行う。制御部41には、記憶部42が接続され、記憶部42には画像処理部43が接続されており、画像処理部43にはイメージセンサ15及びイメージセンサ37が接続されている。画像処理部43は、イメージセンサ15及びイメージセンサ37からのデータを取り込み、ページ単位で電気的な画像データを生成する処理を行う。記憶部42は、半導体メモリ、ハードディスク又は光ディスク等で構成されており、制御部41によって制御される制御中のデータ、及び各種の指示内容を記憶する。また記憶部41は、画像処理部43が生成した画像データ、及び画像データから変換された文字列のコードからなる文書を記憶する。
制御部41及び記憶部42には、原稿読取装置の外部にあるコンピュータ又はプリンタ等の外部機器と通信を行う通信部44が接続されている。通信部44は、画像処理部43が生成した画像データを外部機器へ送信する。また通信部44は、外部機器から送信されてきたデータを原稿読取装置で処理できるデータへ展開するためのメモリを備えている。操作パネル部49は、筐体10がADF2よりも突出した部分の上面に設けられており、原稿読取時の動作モードを指定する指示等の各種の指示を使用者の操作により受け付ける。
また原稿読取装置は、読取部駆動モータ48及びローラ駆動モータ46を備え、読取部駆動モータ48はドライバ47を介して制御部41に接続され、ローラ駆動モータ46はドライバ45を介して制御部41に接続されている。読取部駆動モータ48は、原稿固定方式によって原稿画像を読み取る場合に光源ユニット12及びミラーユニット13を適宜の速度で副走査方向に移動させるためのモータであり、制御部41からの制御により、ドライバ47によって駆動制御される。ローラ駆動モータ46は、原稿搬送路Fに配置された呼び込みローラ22、搬送ローラ23、レジストローラ24及び排紙ローラ25等の各ローラを駆動するモータであり、制御部41からの制御により、ドライバ45によって駆動制御される。
図3は、実施の形態1に係る画像処理部43の内部構成を示すブロック図である。イメージセンサ37からの画像データは、増幅器431bで増幅され、A/D変換器432bによってデジタル信号に変換された後、シェーディング補正部433でシェーディング補正が行われる。シェーディング補正が行われた画像データは、画像データ生成部434bへ入力される。イメージセンサ37が出力する画像データは、1ライン分の画像を表す画像データであり、画像データ生成部434bは、シェーディング補正部433からの画像データを蓄積し、ページ単位で画像データを生成する処理を行う。画像データ生成部434bが生成した画像データは、記憶部42に記憶される。
シェーディング補正部433には、シェーディング補正を行うために必要なシェーディング補正データを記憶するシェーディング補正データ記憶部435bが接続されている。シェーディング補正データは、明るさが一様な標準の白色画像を読み取ったときにイメージセンサ37が出力する画像データに応じたデータである。イメージセンサ37が出力する画像データが表す1ライン分の画像に含まれる画素Aでのシェーディング補正データS(A)は、予め定められている定数をRとし、白色画像を読み取ったときの画素Aでの画素値をUとすると、S(A)=R/Uである。原稿画像をイメージセンサ37で読み取ったときの画素Aでの画素値にシェーディング補正データS(A)を乗ずることにより、シェーディング補正部433はシェーディング補正を行う。標準の白色画像をイメージセンサ37で読み取ってシェーディング補正データを作成する処理は例えば原稿読取装置の製造時に行われ、シェーディング補正データ記憶部435bは、イメージセンサ37が有する複数の画素毎にシェーディング補正データを記憶する。
イメージセンサ15からの画像データは、増幅器431aで増幅され、A/D変換器432aによってデジタル信号に変換された後、補正処理部435及びマーカ検出部438へ入力される。また光源121が基準白板16へ光を照射して基準白板16で反射した反射光を受光したイメージセンサ15からの画像データは、A/D変換後にシェーディング補正データ算出部439へ入力される。シェーディング補正データ算出部439は、基準白板16からの反射光を受光したイメージセンサ15が出力する画像データに含まれる画素値Uから、画素値に対応する画像Aでのシェーディング補正データS(A)=R/Uの計算を行うことにより、イメージセンサ15が出力する画像データが表す1ライン分の画像に含まれる複数の画素毎にシェーディング補正データを算出する。シェーディング補正データ算出部439は、補正処理部435に接続されており、シェーディング補正データ算出部439は算出したシェーディング補正データを補正処理部435へ入力する。
マーカ検出部438は、イメージセンサ15が出力する画像データに含まれる画素値を順に比較し、1ライン分の画像に含まれる画素中で周囲の画素との画素値の差が所定値以上となる画素を検出することにより、光源の特定部分から発光した光に応じた画素値に対応するマーカ画素を検出する処理を行う。マーカ検出部438はズレ量算出部437に接続されており、ズレ量算出部437は、マーカ画素となる画素の1ライン分の画像上での位置変化を算出することにより、光源121の主走査方向への位置ズレ量を画素数に換算して算出する処理を行う。例えば、ズレ量算出部437は、光源ユニット12がホームポジションに位置している状態でのマーカ画素の番号を、マーカ検出部438が検出したマーカ画素の番号から減算することにより、画素数の単位で、光源121の主走査方向への位置ズレ量を算出する。マーカ検出部438及びズレ量算出部437は、本発明におけるズレ検出手段に相当する。マーカ検出部438は、補正処理部435に接続されており、マーカ検出部438は算出した位置ズレ量を補正処理部435へ入力する。
図4は、実施の形態1に係る補正処理部435の内部構成を示すブロック図である。A/D変換器432aによってデジタル信号に変換されたイメージセンサ15からの画像データは、分離部(分離手段)51へ入力される。分離部51は、複数の画素値でなる画像データを、画像データが表す画像上での空間周波数のうちで低空間周波数に対応する低周波数画像データ、高空間周波数に対応する高周波数画像データ、及び中間空間周波数に対応する中間周波数画像データに分離する処理を行う。ここで、画像データが表す1ライン分の画像の長さをLとし、N1 ,N2 をN1 <N2 である所定の自然数であるとして、低空間周波数は所定の第1空間周波数(N1 /L)以下の空間周波数であり、高空間周波数は所定の第2空間周波数(N2 /L)以上の空間周波数であり、中間空間周波数は第1空間周波数(N1 /L)から第2空間周波数(N2 /L)までの空間周波数である。
図5は、イメージセンサ15が出力した画像データの例を示す模式的特性図であり、縦軸は画像データに含まれる画素値を示し、横軸は画素値に対応する画素の画素番号を示す。図中には、明るさ一様の白色画像を読み取った場合の画像データを示している。画像データは明るさ一様の白色画像を表しているので、理想的には画素値は一定になるはずである。しかしながら、光源121の輝度ムラ、レンズ14を含む光学系の光学特性による周辺減光、及びイメージセンサ15上の受光素子間での感度のバラツキ等の原因により、画素値は不均一となっている。具体的には、分離部51は、まず、画像データに対して離散フーリエ変換(直交変換)を行う。0以上N−1以下の整数であるkを用いて空間周波数をk/L(k=0,1,…,N−1)とする。kは、個々の空間周波数の大きさに対応する数値である。離散フーリエ変換の式は、Nを画像データに含まれる画素値の数とし、n(n=0,1,…,N−1)を画素番号とし、fn を画素値とし、Fk (k=0,1,…,N−1)を空間周波数成分とし、jを虚数とした下記(1)式で表される。
図6は、離散フーリエ変換の結果の例を示す模式的特定図であり、横軸はkを示し、縦軸は空間周波数成分Fk の絶対値を示す。空間周波数成分Fk は、値がk/Lである空間周波数に対応する空間周波数成分である。k=0では空間周波数の値も0であり、この場合の空間周波数成分F0 は直流成分である。k=1,2,…の空間周波数成分F1 ,F2 ,…は、夫々に値が1/L,2/L,…である空間周波数に対応する。k=1付近の空間周波数成分は、図5に示す画像データにおいて、中央の画素付近で画素値が大となり、両端の画素近傍で画素値がより小となっていることに対応する。この画素値の変動は、光源121が有限の大きさをもっているために照射する光が不均一になっていること、及び光をイメージセンサ15へ集光させるレンズ14の特性により周辺減光が生じていることに起因している。即ち、この画素値の変動は、1ライン分の画像全体でほぼ1周期となる。また、光源121に含まれるLEDの数をMとして、k=M付近の空間周波数成分は、光源121が線発光を行う構造ではなく個々に点発光を行う複数のLEDを並べた構造であることによる光源121の輝度ムラに起因して、イメージセンサ15が受光する光量がLEDの数だけ主走査方向に変動することに対応する。即ち、この光量の変動はLED1個当たりにほぼ1周期となる。また、k=N/2付近の空間周波数成分は、イメージセンサ15上に並んだ受光素子間での受光感度のバラツキに起因して、隣接する画素間で画素値が変動することに対応する。隣接する画素間での画素値の変動は、隣接する画素2個あたりにほぼ1周期となる。
周辺減光に起因する画素値の変動に対応する低空間周波数成分を得るためには、第1空間周波数(N1 /L)は、1/L以上で、(M/L)より小である必要がある。また受光感度のバラツキに起因して隣接する画素間で画素値が変動することに対応する高周波数成分を得るためには、第2空間周波数(N2 /L)は、(M/L)より大きく、(N/2L)以下である必要がある。なお、原稿読取装置の構成上、光源121に含まれるLEDに発光した光がイメージセンサ15へ入射されないLEDがある場合は、LEDの数Mは、光源121に含まれるLEDの内でイメージセンサ15が受光する光を発光するLEDの数である。また、画像データに含まれる画素値に、シェーディング補正の計算に利用しない画素値がある場合は、計算で利用する画素値の数がNの値となる。なお、Mは2以上の整数、Lは正の実数であり、制御部41又は分離部51は、予め定められたN1 、N2 、N及びLの値を記憶している。空間周波数(M/L)の値は、好ましくは0.1〜1cysle/mm、より好ましくは0.1〜0.2cysle/mmであり、この(M/L)の値が中間空間周波数の範囲に含まれるように、N1 及びN2 の値が定められている。
分離部51は、次に、離散フーリエ変換により計算した空間周波数成分を、低空間周波数に対応する低周波数成分、高空間周波数に対応する高周波数成分、及び中間空間周波数に対応する中間周波数成分に分類する。分離部51は、次に、低周波数成分、高周波数成分及び中間周波数成分に対して逆離散フーリエ変換(逆直交変換)を行う。逆離散フーリエ変換の式は、fn ’を各画素に対応する値とし、nをn=0,1,…,N−1とした下記(2)〜(4)式で表される。
(2)式は、低空間周波数成分に対する逆離散フーリエ変換の式であり、分離部51は(2)式によりN個の値fn ’(n=0,1,…,N−1)からなる低周波数画像データを計算する。また(3)式は、高空間周波数成分に対する逆離散フーリエ変換の式であり、分離部51は(3)式によりN個の値fn ’(n=0,1,…,N−1)からなる高周波数画像データを計算する。また(4)式は、中間空間周波数成分に対する逆離散フーリエ変換の式であり、分離部51は(4)式によりN個の値fn ’(n=0,1,…,N−1)からなる中間周波数画像データを計算する。
図7は、逆離散フーリエ変換の結果の例を示す模式的特定図であり、横軸は画素番号を示し、縦軸は各画素に対応する値を示す。図7では、図5に示す画像データから離散フーリエ変換及び逆離散フーリエ変換により得られたデータを示す。図7(a)は低周波数画像データを示し、直流成分の値と、周辺減光に起因して両端で小さくなる値との和でなる。図7(b)は高周波数画像データを示し、イメージセンサ15上の受光感度のバラツキに起因して隣接する画素間で変動する値でなる。図7(c)は中間周波数画像データを示し、光源121の輝度ムラに起因してLEDの数Mの回数変動する値でなる。
分離部51は、画像データのシェーディング補正を行うシェーディング補正部52a,52b,52cに接続されている。分離部51は、画像データを分離した低周波数画像データをシェーディング補正部52aへ入力し、高周波数画像データをシェーディング補正部52cへ入力し、中間周波数画像データをシェーディング補正部52bへ入力する。
また補正処理部435はシェーディング補正データ分離部55を備えており、シェーディング補正データ算出部439からのシェーディング補正データはシェーディング補正データ分離部55へ入力される。シェーディング補正データ分離部55は、シェーディング補正データ算出部439から入力された複数のシェーディング補正データでなるデータ列に対して、分離部51と同様の離散フーリエ変換及び逆離散フーリエ変換を行うことにより、低空間周波数に対応する低周波数用シェーディング補正データ(低周波数用基準データ)、高空間周波数に対応する高周波数用シェーディング補正データ(高周波数用基準データ)及び中間空間周波数に対応する中間周波数用シェーディング補正データ(中間周波数用基準データ)のデータ列を計算する。シェーディング補正データ分離部55は、各空間周波数用のシェーディング補正データを記憶するシェーディング補正データ記憶部56a,56b,56cに接続されている。シェーディング補正データ分離部55は、計算した画素毎の高周波数用シェーディング補正データ、低周波数用シェーディング補正データ及び中間周波数用シェーディング補正データを、夫々にシェーディング補正データ記憶部56a,56b,56cへ入力する。
シェーディング補正データ記憶部56cは、画素毎の高周波数用シェーディング補正データを各画素に関連付けて記憶し、シェーディング補正データ記憶部56aは、画素毎の低周波数用シェーディング補正データを各画素に関連付けて記憶し、シェーディング補正データ記憶部56bは、画素毎の中間周波数用シェーディング補正データを各画素に関連付けて記憶する。例えば、シェーディング補正データ記憶部56a,56b,56cでは、各画素の番号と各空間周波数用のシェーディング補正データとが互いに関連付けられて記憶されている。
シェーディング補正データ記憶部56cはシェーディング補正部52cに接続されており、シェーディング補正データ記憶部56aはシェーディング補正部52aに接続されている。シェーディング補正部52cは、各画素に関連付けられた高周波数用シェーディング補正データをシェーディング補正部52cから読み出し、高周波数画像データに含まれる各画素に対応する値に読み出した高周波数用シェーディング補正データを乗ずることにより、シェーディング補正を行う。またシェーディング補正部52aは、各画素に関連付けられた低周波数用シェーディング補正データをシェーディング補正部52aから読み出し、低周波数画像データに含まれる各画素に対応する値に読み出した低周波数用シェーディング補正データを乗ずることにより、シェーディング補正を行う。
シェーディング補正データ記憶部56bは変更部54に接続されており、ズレ量算出部437からの位置ズレ量は変更部54へ入力される。ズレ量算出部437は算出した位置ズレ量を変更部54へ入力し、変更部54は各画素に関連付けて記憶された中間周波数用シェーディング補正データをシェーディング補正データ記憶部56bから読み出す。更に変更部54は、中間周波数画像データに含まれる各値に対応させるべき中間周波数用シェーディング補正データを、ズレ量算出部437が算出した位置ズレ量だけ画像上で位置をずらした画素に関連付けられた中間周波数用シェーディング補正データへ変更する処理を行う。変更部54はシェーディング補正部52bに接続されており、シェーディング補正部52bは、中間周波数画像データに含まれる各値に、変更部54が変更した中間周波数用シェーディング補正データを乗ずることによって、シェーディング補正を行う。
また補正処理部435は加算部53を備えており、シェーディング補正部52a,52b,52cは加算部53に接続されている。シェーディング補正部52a,52b,52cは、シェーディング補正を行った結果である各画素に係る低周波数補正値、高周波数補正値及び中間周波数補正値を加算部53へ入力する。加算部53は、入力された各画素に係る低周波数補正値、高周波数補正値及び中間周波数補正値を加算することにより、イメージセンサ15からの画像データをシェーディング補正した画像データを計算する。
補正処理部435でシェーディング補正が行われた画像データは、画像データ生成部434aへ入力される。画像データ生成部434aは、補正処理部435の加算部53からシェーディング補正後の1ライン分の画像データを入力され、入力された画像データを蓄積し、ページ単位で画像データを生成する処理を行う。画像データ生成部434aが生成した画像データは、記憶部42に記憶される。
図8は、実施の形態1に係る読取部1の筐体10の上面を示す模式的平面図である。筐体10の上面には、光源121からの光が通過する矩形状のプラテン板11が配置されており、プラテン板11が占める範囲は、原稿読取時に原稿が載置される原稿範囲となる。筐体10の上面では、プラテン板11の周囲にもスペースがあり、プラテン板11が占める範囲以外のスペースは、原稿読取時に原稿が載置される範囲の外側である原稿範囲外となる。プラテン板11の外側には、主走査方向を長手方向とした矩形の基準白板16が配置されている。基準白板16は主走査方向に明るさが一様な白板であり、基準白板16の真下は開口部又は透明部となっており、筐体10内部から基準白板16に光が照射可能である。読取部1は、光源ユニット12が原稿固定方式による走査の開始位置にある状態で光源121からの光が基準白板16に照射されるように構成されている。
図9は、実施の形態1に係る光源ユニット12の内部を示す模式的断面図である。図中には光路を破線で示している。光源ユニット12には、光源121が発光した光を反射して第1ミラー122へ入射する反射板123が備えられている。図10は、実施の形態1に係る光源121及び反射板123の位置関係を示す模式図である。光源121は、複数のLEDが線状に並んで構成されており、プラテン板11の主走査方向の長さよりも長くなっており、プラテン板11に載置された原稿に対して光を照射できる原稿範囲よりも外側の原稿範囲外へ光を照射する部分(範囲外照射部分)を含んでいる。図8には、光源121を破線で示しており、平面視でプラテン板11が占める範囲である原稿範囲に加えて、原稿範囲の外側の原稿範囲外にまで光源121が形成されている。反射板123は、矩形に形成され、長手方向を光源121の長手方向と平行にして、光源121から原稿範囲外へ照射された光が入射する位置に配置されている。光源121から原稿範囲へ照射される光は反射板123には入射しないようになっている。
図11は、実施の形態1に係る反射板123の反射面を示す模式図である。反射板123の反射面は、光源121からの光を反射し易いように、鏡面又は白色面に構成されている。更に、反射面の主走査方向の一箇所に、黒ラインが形成された特異部分が設けられている。特異部分では、反射板123の他の部分に比べて反射率が小さく(例えば1/10以下)、特異部分では光はほとんど反射しないようになっている。
次に、以上の構成でなる本実施の形態に係る原稿読取装置の動作を説明する。図12は、原稿固定方式で原稿画像を読み取る際に原稿読取装置が行う処理の手順を示すフローチャートである。図13は、処理中にイメージセンサ15が出力する画像データを示す模式的特性図であり、横軸は画像データに含まれる画素値に対応する画素の番号を示し、縦軸は画素値を示す。プラテン板11に原稿が載置された状態で、制御部41は、まず、ドライバ47に読取部駆動モータ48を駆動させて、光源ユニット12及びミラーユニット13を開始位置に配置させる(S101)。光源ユニット12の上側には、基準白板16が位置している。制御部41は、光源121に光を基準白板16へ照射させ、画像処理部43はシェーディング補正データを作成する処理を行う(S102)。
ステップS102では、光源121が照射した光は反射板123及び基準白板16で反射し、反射光はイメージセンサ15で受光され、イメージセンサ15は受光した光量に応じた画素値を順に出力する。イメージセンサ15から出力された画素値でなる画像データは、増幅器431aで増幅され、A/D変換器432aでデジタル信号に変換された後、マーカ検出部438及びシェーディング補正データ算出部439へ入力される。
図13(a)は、光源ユニット12が開始位置にある状態でイメージセンサ15が出力する画像データを示す。画素値の分布は、イメージセンサ15が受光する光量の主走査方向の分布にほぼ対応する。光源121から照射された光の内、反射板123の特異部分に照射された光は反射光量が他の光に比べて著しく少なくなる。イメージセンサ15が受光する光量の分布中で、反射板123の特異部分で反射した光の光量が占める部分は、他の部分よりも光量が著しく小さく(例えば1/10以下)なったマーカ部分となる。従って、イメージセンサ15が出力する画像データに含まれる画素値に対応する画素の中には、画素値がマーカ部分の光量に応じた値となって他よりも著しく小さくなった画素が存在する。この画素の内、画素番号が最小の画素をマーカ画素とする。ステップS102では、マーカ検出部438は、後述するようにマーカ画素の画素番号を特定し、ズレ量算出部437は、光源ユニット12が開始位置にある状態でのマーカ画素の画素番号を記憶する。
更にステップS102では、シェーディング補正データ算出部439は、画素Aでの画素値をU、予め定められている定数をRとして画素Aでのシェーディング補正データS(A)をS(A)=R/Uと計算することにより、画像データに含まれる各画素値に対応する各画素でのシェーディング補正データを算出する。シェーディング補正データ算出部439は、算出したシェーディング補正データをシェーディング補正データ分離部55へ入力する。シェーディング補正データ分離部55は、各画素でのシェーディング補正データでなるデータ列に対して、離散フーリエ変換及び逆離散フーリエ変換を行うことにより、低周波数用シェーディング補正データ、高周波数用シェーディング補正データ及び中間周波数用シェーディング補正データのデータ列を計算する。シェーディング補正データ分離部55は、計算した画素毎の高周波数用シェーディング補正データ、低周波数用シェーディング補正データ及び中間周波数用シェーディング補正データを、夫々にシェーディング補正データ記憶部56a,56b,56cへ入力する。シェーディング補正データ記憶部56a,56b,56cは、高周波数用シェーディング補正データ、低周波数用シェーディング補正データ、中間周波数用シェーディング補正データを各画素に関連付けて記憶する。
ステップS102が終了した後は、制御部41は、ドライバ47に読取部駆動モータ48を駆動させて、光源ユニット12及びミラーユニット13を副走査方向へ移動させることにより、原稿画像の最初の1ライン分を読み取れる位置へ光源ユニット12を移動させる(S103)。制御部41は、光源121に光をプラテン板11上の原稿へ照射させ、受光したイメージセンサ15は受光した光量に応じた画素値を順に出力し、画像処理部43はイメージセンサ15から出力された複数の画素値でなる画像データを取得する(S104)。画像データは、増幅器431aで増幅され、A/D変換器432aでデジタル信号に変換された後、マーカ検出部438及び補正処理部435へ入力される。
図13(b)は、光源ユニット12が開始位置から移動した状態でイメージセンサ15が出力する画像データを示す。光源ユニット12が副走査方向へ移動する際には、組立誤差等のために光源ユニット12の位置が主走査方向に変動する。このため、光源121上の特定の点から出た光を受光するイメージセンサ15上の受光位置は、光源ユニット12の位置の変動に伴って変動する。即ち、イメージセンサ15が受光する光量の分布が変化し、反射板123は光源ユニット12内で光源121と共に移動するので、マーカ部分の光を受光するイメージセンサ15上の位置が変化する。従って、マーカ部分の光量に応じた画素値に対応するマーカ画素は、イメージセンサ15が出力する画像データが表す1ライン分の画像上で元のマーカ画素とは位置が異なる別の画素となる。
マーカ検出部438は、次に、イメージセンサ15から出力された画像データに含まれる各画素値を、最初の画素値から順次比較し、画素値に対応する画素の内で隣接する画素との画素値の差が予め定められた所定量以上となる画素を、マーカ画素であると特定する(S105)。ズレ量算出部437は、次に、マーカ検出部438が特定したマーカ画素の画素番号から、光源ユニット12が開始位置にあった状態でのマーカ画素の画素番号を減算することにより、特定したマーカ画素と光源ユニット12が開始位置にあった状態でのマーカ画素との間の画素数xを、位置ズレ量xとして算出する(S106)。位置ズレ量xは、光源ユニット12が開始位置にある状態での光源121の位置(基準位置)から光源121の位置が主走査方向へずれた位置ズレ量を、イメージセンサ15が出力する画像データが表す1ライン分の画像に含まれる画素の数を単位として定めた量である。ズレ量算出部437は、算出した位置ズレ量xを変更部54へ入力する。
補正処理部435は、次に、画像データのシェーディング補正処理を行う(S107)。図14は、シェーディング補正処理のサブルーチンでの処理の手順を示すフローチャートである。分離部51は、A/D変換部432aから入力された画像データに対して、前述の如き離散フーリエ変換を施すことにより、画像データが表す1ライン分の画像上での各空間周波数に対応する空間周波数成分を計算する(S21)。分離部51は、次に、計算した空間周波数成分を、第1空間周波数(N1 /L)以下の低空間周波数に対応する低周波数成分と、第2空間周波数(N2 /L)以上の高空間周波数に対応する高周波数成分と、第1空間周波数(N1 /L)より大きく第2空間周波数(N2 /L)より小さい中間空間周波数に対応する中間周波数成分とに分類する(S22)。分離部51は、次に、前述の如く、低周波数成分に対して逆離散フーリエ変換を施すことにより低周波数画像データを計算し、高周波数成分に対して逆離散フーリエ変換を施すことにより高周波数画像データを計算し、中間周波数成分に対して逆離散フーリエ変換を施すことにより中間周波数画像データを計算する(S23)。分離部51は、計算した低周波数画像データをシェーディング補正部52aへ入力し、高周波数画像データをシェーディング補正部52cへ入力し、中間周波数画像データをシェーディング補正部52bへ入力する。
シェーディング補正部52aは、各画素に関連付けられた低周波数用シェーディング補正データをシェーディング補正部52aから読み出し、低周波数画像データに含まれる各画素に対応する値に読み出した低周波数用シェーディング補正データを乗じてシェーディング補正を行うことにより、各画素に係る低周波数補正値を計算する(S24)。シェーディング補正部52cは、各画素に関連付けられた高周波数用シェーディング補正データをシェーディング補正部52cから読み出し、高周波数画像データに含まれる各画素に対応する値に読み出した高周波数用シェーディング補正データを乗じてシェーディング補正を行うことにより、各画素に係る高周波数補正値を計算する(S25)。
変更部54は、シェーディング補正部52bで行うシェーディング補正において中間周波数画像データに含まれる各値に対応させるべき中間周波数用シェーディング補正データを、各値に対応する画素からズレ量算出部437が算出した位置ズレ量xだけ画像上で位置をずらした画素に関連付けられた中間周波数用シェーディング補正データへ変更する(S26)。ステップS26では、変更部54は、各画素に関連付けて記憶された中間周波数用シェーディング補正データをシェーディング補正データ記憶部56bから読み出し、画素Aに中間周波数用シェーディング補正データS(A−x)を対応させてシェーディング補正部52bへ入力する。ここで、S(A−x)は、シェーディング補正データ記憶部56bが記憶する中間周波数用シェーディング補正データの内、画像データが表す1ライン分の画像上で画素Aから画素数xだけ位置がずれた画素(A−x)に関連付けられた中間周波数用シェーディング補正データである。具体的には、例えば、変更部54は、画素Aの画素番号及び中間周波数用シェーディング補正データS(A−x)を互いに対応させてシェーディング補正部52bへ入力する。
シェーディング補正部52bは、分離部51から入力された中間周波数画像データに含まれる各値に、変更部54から各値に対応する画素に対応させて入力された中間周波数用シェーディング補正データを乗じてシェーディング補正を行うことにより、各画素に係る中間周波数補正値を計算する(S27)。ステップS27では、シェーディング補正部52bは、中間周波数画像データに含まれる画素Aでの値P(A)に中間周波数用シェーディング補正データS(A−x)を乗ずることにより、中間周波数補正値Q(A)=P(A)・S(A−x)を計算する。シェーディング補正部52a,52b,52cは、計算した各画素に係る低周波数補正値、高周波数補正値及び中間周波数補正値を加算部53へ入力する。加算部53は、入力された各画素に係る低周波数補正値、高周波数補正値及び中間周波数補正値を画素毎に加算することにより、イメージセンサ15からの画像データをシェーディング補正した画像データを計算する(S28)。補正処理部435は、シェーディング補正が行われた画像データを画像データ生成部434aへ入力し、ステップS107のシェーディング補正のサブルーチンを終了し、処理をメインの処理へ戻す。画像データ生成部434bは、補正処理部435から入力されたライン単位の画像データを蓄積する。
制御部41は、次に、プラテン板11に載置された原稿に記録された原稿画像の走査が最後まで完了したか否かを判定する(S108)。走査が最後まで完了していない場合は(S108:NO)、制御部41は、ドライバ47に読取部駆動モータ48を駆動させて、光源ユニット12及びミラーユニット13を副走査方向へ移動させることにより、光源ユニット12を1ライン分移動させる(S109)。制御部41は、次に、処理をステップS104へ戻し、次の1ライン分の原稿画像を読み取る処理を行う。
ステップS108で走査が完了している場合は(S108:YES)、画像データ生成部434bは、ライン単位で蓄積した画像データから、ページ単位での画像データを生成する(S110)。画像データ生成部434bは、生成したページ単位の画像データを記憶部42へ出力し、記憶部42は画像データを記憶する。制御部41は、次に、ドライバ47に読取部駆動モータ48を駆動させて、光源ユニット12及びミラーユニット13を開始位置へ戻し(S111)、処理を終了する。
以上詳述した如く、本発明においては、画像原稿を読み取るために光源ユニット12を副走査方向へ移動させる各位置で、光源121の位置が主走査方向へずれる位置ズレ量を、原稿画像を読み取った1ライン分の画像に含まれる画素の数を単位として検出する。また、イメージセンサ15が出力する画像データを低周波数画像データ、高周波数画像データ、及び中間周波数画像データに分離し、低周波数画像データ及び高周波数画像データに対して、低周波数用シェーディング補正データ及び高周波数用シェーディング補正データを用いてシェーディング補正を行う。更に、中間周波数画像データに対するシェーディング補正を行う際に、中間周波数画像データに含まれる各値に対して、各値に対応する画素から画像上で位置ズレ量だけずれた画素に関連付けられた中間周波数用シェーディング補正データを対応させてシェーディング補正を行う。
予め各画素に関連付けて記憶されたシェーディング補正データは、光源121が基準位置にある状態でイメージセンサ15が受光した光量の分布に応じて定められたものであり、光源121の位置が主走査方向へずれた場合は、イメージセンサ15が受光する光量の分布が変化する。但し、光量の分布の内の低空間周波数成分は、直流成分とレンズ14を含む光学系の光学特性により周辺減光が生じていることに起因した成分とであり、光源121の位置が主走査方向へずれたとしてもほとんど変化しない。また光量の分布の内の高空間周波数成分は、イメージセンサ15上に並んだ受光素子間での受光感度のバラツキに起因した成分であり、この成分も、光源121の位置が主走査方向へずれたとしてもほとんど変化しない。これらに対し、光量の分布の内の中間空間周波数成分は、複数のLEDでなる光源121の輝度ムラに起因しており、光源121の主走査方向の位置が変動することに伴って変化する。
本発明では、光源121の位置に依存した変化がほとんどない低周波数画像データ及び高周波数画像データに対しては通常のシェーディング補正を行うことにより、画像データの低空間周波数成分及び高空間周波数成分に対して正確なシェーディング補正を行うことができる。その一方で、本発明では、光源121の位置が主走査方向へずれた状態で得られた中間周波数画像データに含まれる各値に対して、光源121の位置ズレ量だけ画像上で位置がずれた画素に関連付けられた中間周波数用シェーディング補正データを対応させる。これにより、同じ光量分布の元で得られた画像データの値とシェーディング補正データとを対応させることができ、画像データの中間周波数成分に対して正確なシェーディング補正を行うことができる。画像データに含まれる各空間周波数成分に対して正確なシェーディング補正を行うことができるので、本発明の原稿読取装置では、光源ユニット12が副走査方向へ移動する際に光源121の主走査方向の位置が変動する場合であっても、シェーディング補正を正確に行い、明るさのムラの発生を抑制した画像データを生成することが可能である。
また前述したように、本発明においては、光源121がLEDアレイであっても、光源121の輝度ムラに起因する明るさのムラが画像データに発生することを抑制することが可能である。光源121にLEDアレイを用いた原稿読取装置は、光源121に冷陰極管を用いた原稿読取装置に比べてコストを低減することができるので、本発明においては、生成する画像データの画質を低下させることなく原稿読取装置のコストを低減することが可能となる。
(実施の形態2)
実施の形態2においては、光源121の主走査方向への位置ズレ量を記憶しておき、記憶した位置ズレ量を用いてシェーディング補正を行う形態を示す。本実施の形態に係る原稿読取装置の内部構成は、図1に示した実施の形態1の場合と同様であり、その説明を省略する。図15は、実施の形態2に係る原稿読取装置の電気的構成の主要部を示すブロック図である。原稿読取装置は、光源ユニット12の副走査方向の位置を検出する副走査位置検出部411を備える。副走査位置検出部411は、ドライバ47への制御信号に基づき、光源ユニット12の副走査方向の位置を検出し、検出した光源ユニット12の副走査方向の位置を画像処置部43へ入力する処理を行う。例えば光源ユニット12を1ライン分移動させるための制御信号が10パルスに相当するのであれば、副走査位置検出部411は、制御信号のパルスをカウントして光源ユニット12の副走査方向の位置を検出して画像処理部43へ入力する。原稿読取装置のその他の電気的構成は、図2に示した実施の形態1と同様であり、対応する部分に同符号を付してその説明を省略する。
図16は、実施の形態2に係る画像処理部43の内部構成を示すブロック図である。ズレ量算出部437は、ズレ量記憶部4310に接続されており、ズレ量記憶部4310は補正処理部435に接続されている。更にズレ量記憶部4310には、副走査位置検出部411が接続されている。ズレ量記憶部4310は、副走査位置検出部411が検出した光源ユニット12の副走査方向の位置を入力され、ズレ量算出部437が算出した位置ズレ量を入力され、光源ユニット12の副走査方向の位置と光源121の主走査方向への位置ズレ量とを互いに関連付けて記憶する。画像処理部43のその他の構成は、図3に示した実施の形態1の場合と同様であり、対応する部分に同符号を付してその説明を省略する。また本実施の形態に係る補正処理部435の内部構成は、図4に示した実施の形態1の場合と同様である。但し、変更部54は、ズレ量記憶部4310から位置ズレ量を入力される構成となっている。
本実施の形態においては、原稿読取装置の製造時又はメンテナンス時等の特定のタイミングで、光源121の主走査方向への位置ズレ量を検出するズレ検出処理を行う。また原稿読取装置は、反射板123を外した状態で、記憶した位置ズレ量を用いてシェーディング補正を行いながら原稿を読み取る処理を行う。
図17は、実施の形態2に係る原稿読取装置が行うズレ検出処理の手順を示すフローチャートである。ズレ検出処理を実行する際には、例えばプラテン板11にダミーの原稿を載置しておけばよい。反射板123を光源ユニット12内に装着した状態で、制御部41は、ドライバ47に読取部駆動モータ48を駆動させて、光源ユニット12及びミラーユニット13を開始位置に配置させる(S301)。制御部41は、光源121に光を基準白板16へ照射させ、画像処理部43は光源ユニット12が開始位置に配置された状態でのマーカ画素を特定する処理を行う(S302)。ステップS302では、光源121が照射した光は反射板123及び基準白板16で反射し、反射光はイメージセンサ15で受光され、イメージセンサ15は複数の画素値でなる画像データを出力する。イメージセンサ15から出力された画像データは、マーカ検出部438へ入力される。マーカ検出部438は、マーカ画素の画素番号を特定し、ズレ量算出部437は、光源ユニット12が開始位置にある状態でのマーカ画素の画素番号を記憶する。
制御部41は、次に、ドライバ47に読取部駆動モータ48を駆動させて、光源ユニット12及びミラーユニット13を副走査方向へ移動させることにより、原稿画像の最初の1ライン分を読み取れる位置へ光源ユニット12を移動させる(S303)。制御部41は、光源121に光を照射させ、受光したイメージセンサ15は受光量に応じた画素値を出力し、画像処理部43はイメージセンサ15から出力された複数の画素値でなる画像データを取得する(S304)。イメージセンサ15からの画像データは、マーカ検出部438へ入力される。
マーカ検出部438は、次に、イメージセンサ15から出力された画像データに含まれる各画素値を順次比較することにより、マーカ画素を特定する(S305)。ズレ量算出部437は、マーカ検出部438が特定したマーカ画素の画素番号から、光源ユニット12が開始位置にあった状態でのマーカ画素の画素番号を減算することにより、位置ズレ量を算出する(S306)。副走査位置検出部411は、光源ユニット12の副走査方向の位置を検出し、検出した光源ユニット12の副走査方向の位置をズレ量記憶部4310へ入力する。ズレ量記憶部4310は、副走査位置検出部411が検出した光源ユニット12の副走査方向の位置と、ズレ量算出部437が算出した位置ズレ量とを互いに関連付けて記憶する(S307)。
制御部41は、次に、原稿範囲の走査が最後まで完了したか否かを判定する(S308)。走査が最後まで完了していない場合は(S308:NO)、制御部41は、ドライバ47に読取部駆動モータ48を駆動させて、光源ユニット12及びミラーユニット13を副走査方向へ移動させることにより、光源ユニット12を1ライン分移動させる(S309)。制御部41は、次に、処理をステップS304へ戻し、次の位置における位置ズレ量を検出する処理を行う。ステップS308で走査が完了している場合は(S308:YES)、制御部41は、ドライバ47に読取部駆動モータ48を駆動させて、光源ユニット12及びミラーユニット13を開始位置へ戻し(S310)、処理を終了する。
図18は、実施の形態2に係る原稿読取装置が原稿を読み取る処理の手順を示すフローチャートである。プラテン板11に原稿が載置された状態で、制御部41は、ドライバ47に読取部駆動モータ48を駆動させて、光源ユニット12及びミラーユニット13を開始位置に配置させる(S401)。制御部41は、次に、光源121に光を基準白板16へ照射させ、画像処理部43はシェーディング補正データを作成する処理を行う(S402)。光源121が照射した光は反射板123及び基準白板16で反射し、反射光はイメージセンサ15で受光され、イメージセンサ15から出力された画像データは、シェーディング補正データ算出部439へ入力される。シェーディング補正データ算出部439は、各画素でのシェーディング補正データを算出し、シェーディング補正データをシェーディング補正データ分離部55へ入力する。シェーディング補正データ分離部55は、各画素に係る低周波数用シェーディング補正データ、高周波数用シェーディング補正データ及び中間周波数用シェーディング補正データを計算し、シェーディング補正データ記憶部56a,56b,56cへ入力する。シェーディング補正データ記憶部56a,56b,56cは、高周波数用シェーディング補正データ、低周波数用シェーディング補正データ、中間周波数用シェーディング補正データを各画素に関連付けて記憶する。
制御部41は、次に、ドライバ47に読取部駆動モータ48を駆動させて、光源ユニット12及びミラーユニット13を副走査方向へ移動させることにより、原稿画像の最初の1ライン分を読み取れる位置へ光源ユニット12を移動させる(S403)。制御部41は、光源121に光をプラテン板11上の原稿へ照射させ、受光したイメージセンサ15は画素値を出力し、画像処理部43はイメージセンサ15から出力された複数の画素値でなる画像データを取得する(S404)。イメージセンサ15からの画像データは、補正処理部435へ入力される。副走査位置検出部411は、ドライバ47への制御信号に基づき、光源ユニット12の副走査方向の位置を検出する(S405)。副走査位置検出部411は、検出した光源ユニット12の副走査方向の位置をズレ量記憶部4310へ入力し、ズレ量記憶部4310は、入力された光源ユニット12の副走査方向の位置に関連付けて記憶している位置ズレ量を読み出す(S406)。ズレ量記憶部4310は、読み出した位置ズレ量を補正処理部435の変更部54へ入力する。
補正処理部435は、次に、画像データのシェーディング補正処理を行う(S407)。シェーディング補正処理のサブルーチンでの処理の手順は、図14のフローチャートで示した実施の形態1の場合と同様である。補正処理部435は、シェーディング補正処理によりシェーディング補正が行われた画像データを画像データ生成部434aへ入力し、画像データ生成部434bは、補正処理部435から入力されたライン単位の画像データを蓄積する。
制御部41は、次に、プラテン板11に載置された原稿に記録された原稿画像の走査が最後まで完了したか否かを判定する(S408)。走査が最後まで完了していない場合は(S408:NO)、制御部41は、ドライバ47に読取部駆動モータ48を駆動させて、光源ユニット12及びミラーユニット13を副走査方向へ移動させることにより、光源ユニット12を1ライン分移動させる(S409)。制御部41は、次に、処理をステップS404へ戻し、次の1ライン分の原稿画像を読み取る処理を行う。
ステップS408で走査が完了している場合は(S408:YES)、画像データ生成部434bは、ライン単位で蓄積した画像データから、ページ単位での画像データを生成する(S410)。画像データ生成部434bは、生成したページ単位の画像データを記憶部42へ出力し、記憶部42は画像データを記憶する。制御部41は、次に、ドライバ47に読取部駆動モータ48を駆動させて、光源ユニット12及びミラーユニット13を開始位置へ戻し(S411)、処理を終了する。
以上詳述した如く、本実施の形態においては、光源ユニット12を副走査方向へ移動させる際に光源121の位置が主走査方向へずれる位置ズレ量を予め検出し、光源121の副走査方向の位置に関連付けて位置ズレ量を記憶しておき、原稿画像を読み取る際に、記憶してある位置ズレ量を用いて、中間周波数画像データのシェーディング補正を行う。光源121の位置の主走査方向への変動は、組立誤差等のほぼ静的な条件に起因するので、ほぼ再現性がある。即ち、光源ユニット12の副走査方向の位置と光源121の位置が主走査方向へずれる位置ズレ量との関係はほぼ固定されており、光源ユニット12の副走査方向の位置に対する位置ズレ量を予め検出して記憶しておけば、光源ユニット12の副走査方向の位置を検出することで位置ズレ量を知ることができる。従って、本実施の形態においても、予め検出して記憶してある位置ズレ量を用いて、シェーディング補正を正確に行い、明るさのムラの発生を抑制した画像データを生成することが可能である。
また本実施の形態においては、原稿画像の読み取りを行う度に位置ズレ量を検出する必要がないので、実施の形態1に比べて、原稿画像を読み取る際に行う処理が減少し、より高速で原稿画像の読み取りを行うことができる。
なお、本実施の形態においては、反射板123を用いてズレ検出処理を行う形態を示したが、本発明は、位置ズレ量を検出する方法を限定するものではない。例えば、本発明の原稿読取装置は、製造時に、光源121が副走査方向の各位置にある状態での主走査方向への位置ズレ量を測定器により測定されてあり、測定結果の位置ズレ量をズレ量記憶部4310に記憶してある形態であってもよい。この形態の原稿読取装置は、反射板123、マーカ検出部438、及びズレ量算出部437を備えていない。この形態の原稿読取装置は、ズレ検出処理を行うことなく、図18のフローチャートに示した処理と同様の処理を実行することにより、原稿画像の読み取りを行う。この形態においても、予め記憶してある位置ズレ量を用いて、シェーディング補正を正確に行い、明るさのムラの発生を抑制した画像データを生成することが可能である。この形態においては、反射板123、マーカ検出部438、及びズレ量算出部437を省くことができるので、原稿読取装置の構成を簡素化することができる。またこの形態では、光源121が原稿範囲外へ光を照射する部分を含む必要がないので、光源121の主走査方向への長さを短くして、より原稿読取装置を小型化することが可能となる。
(実施の形態3)
実施の形態3においては、第1空間周波数(N1 /L)及び第2空間周波数(N2 /L)を自動で設定する処理を行う形態を示す。本実施の形態に係る原稿読取装置の内部構成は、図1に示した実施の形態1の場合と同様であり、その説明を省略する。また本実施の形態に係る原稿読取装置の電気的構成の主要部、及び画像処理部43の内部構成は、図2及び図3に示した実施の形態1の場合と同様であり、それらの説明を省略する。
図19は、実施の形態3に係る補正処理部435の内部構成を示すブロック図である。補正処理部435は、第1空間周波数(N1 /L)及び第2空間周波数(N2 /L)を設定する空間周波数設定部57を備えている。空間周波数設定部57は、A/D変換器432aからデジタル信号に変換された画像データを入力され、シェーディング補正データ算出部439からシェーディング補正データを入力される構成となっている。空間周波数設定部57は、シェーディング補正データを記憶し、シェーディング補正データを用いて画像データのシェーディング補正を行い、シェーディング補正の結果に基づいて、第1空間周波数(N1 /L)及び第2空間周波数(N2 /L)を計算する処理を行う。また空間周波数設定部57は、計算した第1空間周波数(N1 /L)及び第2空間周波数(N2 /L)を分離部51及びシェ−デング補正データ分離部55へ入力する構成となっている。分離部51は、入力された第1空間周波数(N1 /L)及び第2空間周波数(N2 /L)を用いて画像データの分離を行い、シェ−デング補正データ分離部55は、第1空間周波数(N1 /L)及び第2空間周波数(N2 /L)を用いてシェーディング補正データの分離を行う。補正処理部435のその他の内部構成は、図4に示した実施の形態1の場合と同様であり、対応する部分に同符号を付してその説明を省略する。
本実施の形態においては、原稿読取装置の製造時又はメンテナンス時等の特定のタイミングで、第1空間周波数(N1 /L)及び第2空間周波数(N2 /L)を設定する処理を行う。第1空間周波数及び第2空間周波数を設定する際には、白色原稿等、反射率が実質的に均一な原稿をプラテン板11に載置しておき、この原稿を読み込むことで設定の処理を行う。なお、押さえ板27のプラテン板11に対向する部分を白色面に構成しておき、プラテン板11に原稿を載置せずにADF2を閉じ、押さえ板27の白色面を原稿として読み込むことにより、設定の処理を行ってもよい。
図20は、実施の形態3に係る原稿読取装置が第1空間周波数及び第2空間周波数を設定する処理の手順を示すフローチャートである。反射率が実質的に均一な原稿がある状態で、制御部41は、ドライバ47に読取部駆動モータ48を駆動させて、光源ユニット12及びミラーユニット13を開始位置に配置させる(S501)。制御部41は、次に、光源121に光を基準白板16へ照射させ、画像処理部43はシェーディング補正データを作成する処理を行う(S502)。光源121が照射した光は反射板123及び基準白板16で反射し、反射光はイメージセンサ15で受光され、イメージセンサ15から出力された画像データは、シェーディング補正データ算出部439へ入力される。シェーディング補正データ算出部439は、各画素でのシェーディング補正データを算出し、シェーディング補正データを空間周波数設定部57へ入力する。空間周波数設定部57は、入力されたシェーディング補正データを各画素に関連付けて記憶する。
制御部41は、次に、ドライバ47に読取部駆動モータ48を駆動させて、光源ユニット12及びミラーユニット13を副走査方向へ移動させることにより、原稿画像の最初の1ライン分を読み取れる位置へ光源ユニット12を移動させる(S503)。制御部41は、光源121に光を原稿へ照射させ、受光したイメージセンサ15は画素値を出力し、画像処理部43はイメージセンサ15から出力された複数の画素値でなる画像データを取得する(S504)。イメージセンサ15からの画像データは、A/D変換部432aから空間周波数設定部57へ入力される。空間周波数設定部57は、各画素に関連付けて記憶してあるシェーディング補正データを用いて、入力された画像データに含まれる各画素値に対してシェーディング補正を行う(S505)。空間周波数設定部57は、次に、シェーディング補正後の画素値をfn (n=0,1,…,N−1)として(1)式を用いて離散フーリエ変換を行うことにより、空間周波数成分Fk (k=0,1,…,N−1)を計算する(S506)。空間周波数設定部57は、次に、計算した空間周波数成分の絶対値|Fk |を、空間周波数別に、画像データを取得する都度積算する(S507)。
制御部41は、次に、原稿の走査が最後まで完了したか否かを判定する(S508)。走査が最後まで完了していない場合は(S508:NO)、制御部41は、ドライバ47に読取部駆動モータ48を駆動させて、光源ユニット12及びミラーユニット13を副走査方向へ移動させることにより、光源ユニット12を1ライン分移動させる(S509)。制御部41は、次に、処理をステップS504へ戻し、次の1ライン分の原稿を読み取る処理を行う。
ステップS509で走査が完了している場合は(S509:YES)、制御部41は、ドライバ47に読取部駆動モータ48を駆動させて、光源ユニット12及びミラーユニット13を開始位置へ戻す(S510)。走査が完了した段階では、空間周波数設定部57により、原稿からライン毎に取得した全ての画像データに渡って空間周波数成分の絶対値を積算した積算値が計算されている。光源121の位置が主走査方向へずれる位置ズレが発生しないのであれば、直流成分以外の空間周波数成分の絶対値は、ゼロ又は非常に小さい値となるはずである。しかし、位置ズレが発生しているのであれば、光源121の輝度ムラに起因して、空間周波数成分の絶対値がある程度の大きさとなる空間周波数が発生することとなる。空間周波数設定部57は、次に、(1/L)以上の空間周波数の内、空間周波数成分の絶対値の積算値が予め定められた所定値以上となる空間周波数を抽出する(S511)。空間周波数設定部57は、次に、抽出した空間周波数の下限値を第1空間周波数(N1 /L)に設定し、抽出した空間周波数の上限値を第2空間周波数(N2 /L)に設定し(S512)、第1空間周波数及び第2空間周波数を設定する処理を終了する。なお、空間周波数成分の絶対値の積算値が所定値以上となる空間周波数がない場合は、予め定めてある値を第1空間周波数及び第2空間周波数に設定すればよい。
空間周波数設定部57は、設定した第1空間周波数(N1 /L)及び第2空間周波数(N2 /L)を、分離部51及びシェーディング補正データ分離部55へ入力する。分離部51及びシェーディング補正データ分離部55は、入力された第1空間周波数及び第2空間周波数を記憶し、記憶した第1空間周波数及び第2空間周波数を用いて処理を実行する。第1空間周波数及び第2空間周波数を設定した後は、原稿読取装置は、設定した第1空間周波数及び第2空間周波数を用いて、図12のフローチャートに示す処理を実行する。なお、本実施の形態の原稿読取装置は、実施の形態2に係る原稿読取装置の補正処理部435の内部構成を図19に示した構成とし、第1空間周波数及び第2空間周波数を設定した後は、設定した第1空間周波数及び第2空間周波数を用いて、図17及び図18のフローチャートに示す処理を実行する形態であってもよい。
以上説明したように、本実施の形態においては、第1空間周波数(N1 /L)及び第2空間周波数(N2 /L)を自動で設定する処理を行う。光源121の位置が主走査方向へずれる位置ズレ量は、個々の原稿読取装置によって異なるので、第1空間周波数及び第2空間周波数で自動で設定することにより、個々の原稿読取装置に適切な中間空間周波数の範囲を定めることができる。従って、本実施の形態においては、容易に適切な中間空間周波数の範囲を定め、シェーディング補正をより正確に行い、明るさのムラの発生をより確実に抑制した画像データを生成することが可能である。なお、本実施の形態においては、第1空間周波数及び第2空間周波数を設定する処理を補正処理部435内の空間周波数設定部57で行う形態を示したが、これは一例であり、処理の主体は制御部41等のその他の構成物であってもよい。
なお、以上の実施の形態1〜3においては、原稿固定方式で原稿を読み取る都度、基準白板16を用いてシェーディング補正データを更新する形態を示したが、これに限るものではなく、本発明の原稿読取装置は、予め記憶してあるシェーディング補正データを用いてシェーディング補正を行う形態であってもよい。例えば、原稿読取装置は、製造時に作成したシェーディング補正データをシェーディング補正データ記憶部435aに記憶しておき、記憶してあるシェーディング補正データを用いてシェーディング補正を行う形態であってもよい。また原稿読取装置は、一定の時間が経過するまで又は原稿の読み取りを所定回数行うまで同一のシェーディング補正データを用いてシェーディング補正を行い、一定の時間が経過するか又は原稿の読み取りを所定回数行った都度、シェーディング補正データを更新する形態であってもよい。
また実施の形態1〜3で示したシェーディング補正データの具体的内容、及びシェーディング補正の具体的処理内容は一例であり、他の方法を用いてシェーディング補正を行ってもよい。例えば、本発明の原稿読取装置は、白色画像を読み取った画素Aでの画素値をUとして、画素Aでのシェーディング補正データS(A)をS(A)=Uとし、原稿画像をイメージセンサ37で読み取ったときの画素値をシェーディング補正データで除することによりシェーディング補正を行ってもよい。また実施の形態1〜3では、直交変換として離散フーリエ変換を用いた例を示したが、本発明の原稿読取装置は、離散コサイン変換等、その他の直交変換を用いて処理を実行する形態であってもよい。また本発明の原稿読取装置は、実施の形態1〜3で説明した画像処理部43での処理の一部又は全部をソフトウェアを用いて実行する形態であってもよい。
また実施の形態1〜3では、読取部1の他にADF2及び裏面読取部3を備えた原稿読取装置を示したが、本発明の原稿読取装置は、ADF2及び裏面読取部3のいずれか一方又は両方を備えていない形態であってもよい。