JP2008190024A - スポンジチタンの製造方法 - Google Patents

スポンジチタンの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2008190024A
JP2008190024A JP2007028968A JP2007028968A JP2008190024A JP 2008190024 A JP2008190024 A JP 2008190024A JP 2007028968 A JP2007028968 A JP 2007028968A JP 2007028968 A JP2007028968 A JP 2007028968A JP 2008190024 A JP2008190024 A JP 2008190024A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
reaction vessel
titanium
reaction
magnesium
molten magnesium
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2007028968A
Other languages
English (en)
Inventor
Masami Hirota
正巳 広田
Takahiro Yamabe
崇博 山部
Hidekazu Fukazawa
英一 深澤
Naofumi Nakahara
直文 中原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toho Titanium Co Ltd
Original Assignee
Toho Titanium Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toho Titanium Co Ltd filed Critical Toho Titanium Co Ltd
Priority to JP2007028968A priority Critical patent/JP2008190024A/ja
Publication of JP2008190024A publication Critical patent/JP2008190024A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Manufacture And Refinement Of Metals (AREA)

Abstract

【課題】クロール法による高純度スポンジチタンの製造方法であって、高い純度を維持しつつ、従来にも増して歩留まりの高い高純度スポンジチタンの製造方法を提供する。
【解決手段】四塩化チタンのマグネシウム還元によるスポンジチタンの製造方法において、反応容器に溶融マグネシウムを満たし、還元反応が進行する溶融マグネシウム浴の反応面近傍と接する反応容器の壁面の平均温度を塩化マグネシウムの融点以下に保持し、四塩化チタンを溶融マグネシウム浴に供給することを特徴とするスポンジチタンの製造方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、クロール法による高純度スポンジチタンの効率的な製造方法に関する。
高純度チタンは、近年の電子化やハイテク化の影響を受けてICを構成する積層電極間のバリアー材として好適に用いられている。このバリアー材として要求される高純度チタンは、その純度が高いほど好ましく、4N5あるいは5Nレベルの純度が好ましいと言われている。ここで4N5とは、ガス成分を除いて99.995%以上を、5Nとは、99.999%以上の純度を有することを意味する。
前記したような高純度スポンジチタンは、一般的によく知られているクロール法や、それ以外の電解法、ヨード法といった方法で製造する技術が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。電解法やヨード法で製造される金属チタンは結晶性に優れており緻密な金属チタンを製造することができるという特徴を備えている。しかしながら、生産性の点で問題があり、大量生産のための方法としては改良の余地が残されている。
一方、大量生産に向いたクロール法においては、いわゆる「中心部採取」と呼ばれている高純度スポンジチタンの製造方法が知られている。この方法は、クロール法により製造されたスポンジチタン塊のうち、反応容器壁からの鉄やニッケル汚染の少ない中心部のみを選択的に採取することを特徴とするものである(例えば、特許文献3参照)。
しかしながら、前記クロール法による中心部採取といわれる手法では、高純度チタンとして採取できる部位が限られているために歩留まりが悪く、スポンジチタンの価格が高価にならざるを得ないという点で改善の余地が残されている。
また、前記の方法によりスポンジチタン塊の中心部から採取されたスポンジチタンであっても鉄ニッケル等の不純物がしばしば高くなる場合があった。その際には、高純度チタンの歩留まりがさらに低下するという事態を招くこともあり、安定した高純度スポンジチタンの製造方法が望まれている。
さらに、近年では従来にも増して高純度スポンジチタンに対する純度の要求が高まっておりさらなる改善が求められている。以上述べたように、歩留まりを高いレベルに維持しつつ、従来に比べて更に品位の高い高純度スポンジチタンの製造方法が望まれている。
特開平9−071890号公報 特開平3−215633号公報 特開2000−309833号公報
本発明は、クロール法による高純度スポンジチタンの製造方法であって、高い純度を維持しつつ、従来にも増して歩留まりの高い高純度スポンジチタンを製造する方法の提供を目的としている。
かかる実情に鑑みて鋭意検討を重ねてきたところ、四塩化チタンのマグネシウム還元によりスポンジチタンを製造する方法において、前記還元反応が進行する反応面近傍(ここで、「反応面近傍」とは、溶融マグネシウム浴に四塩化チタンを滴下する際の、四塩化チタンと反応する溶融マグネシウム浴面もしくはその近傍を指している。)と接する反応容器の壁面の平均温度(ここでいう「平均温度」とは、操業中のバラツキを含めた経時的平均温度をいい、以降、特に断りがない限り「温度」という文言は、前記の「平均温度」を指すものとする。)を塩化マグネシウムの融点以下の温度範囲に保持することにより、前記方法で製造される高純度スポンジチタンの純度を高い水準に維持しつつ、前記高純度スポンジチタンの歩留まりを従来にも増して高めることができることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
即ち、本発明は、四塩化チタンのマグネシウム還元によるスポンジチタンの製造方法において、反応容器に溶融マグネシウムを満たし、還元反応が進行する溶融マグネシウム浴の反応面近傍と接する反応容器の壁面の平均温度を塩化マグネシウムの融点以下に保持し、四塩化チタンを溶融マグネシウム浴に供給することを特徴とするものである。
また、本発明は、前記四塩化チタンとマグネシウムとの還元反応に先立って、反応容器壁面に固体の塩化マグネシウム層を形成させておくことを特徴とするものである。
更には、反応容器の壁面に塩化マグネシウム層を形成させるに先立って、反応容器内に溶融マグネシウムを供給して保持し、反応容器内面のニッケルを予め溶出させておくことを特徴とするものである。
更には、ニッケルを溶出した溶融マグネシウムに四塩化チタンを滴下してスポンジチタンを生成し、前記スポンジチタンで精製した溶融マグネシウムを四塩化チタンの還元剤として用いることを特徴とするものである。
また、前記のスポンジチタンで精製した溶融マグネシウムを反応容器内面に含まれるにニッケルの溶出剤として用いることを特徴とするものである。
前記した本発明に従ってスポンジチタンを製造することにより、反応容器の中心部から容器壁近辺の周縁部にかけて、鉄やニッケル汚染の少ない高純度スポンジチタンを効率よく製造することができる。
本発明に係るスポンジチタンの製造方法に従うことにより、純度の高いスポンジチタンを効率よく製造でき、その結果、高純度チタンを歩留まり良く製造できるという効果を奏するものである。
本発明の好ましい実施形態について図面を用いて以下に説明する。
図1は、本発明のスポンジチタン製造方法を実施するために用いる好適な装置構成例を表しており、符号1は、反応容器である。反応容器1には、金属マグネシウムが満たされており、反応容器1の外周を取り囲む断熱壁2の内面に取り付けられたヒーター3によって加熱され、溶融状態に保たれている。反応容器1の上方には蓋4が取り付けられ、外気から遮断されている。蓋4には、四塩化チタン供給管5が取り付けられており、ここから四塩化チタンが反応容器1内に供給される。反応容器1の底部には、塩化マグネシウム抜き出し管6が取り付けられており、金属マグネシウムと四塩化チタンの反応によってスポンジチタンと共に副生する塩化マグネシウムを系外に抜き出すことができる。
なお、図1では、上層に金属マグネシウム、下層に塩化マグネシウムが描かれているが、これは反応途中の状態を模式的に示している。反応初期においては反応容器1全体が金属マグネシウムで満たされており、反応の進行と共に副生する塩化マグネシウムが沈降して図1に示す状況となる。塩化マグネシウム抜き出し管6は、このように沈降した塩化マグネシウムを抜き出すために供される。
反応容器1の外周面には、熱電対7が取り付けられており、反応容器1の温度を検知する。また、断熱壁2には、冷却用空気供給口8が形成されており、マグネシウムと四塩化チタンの反応が進行する反応面近傍のみを選択的に冷却することができる。熱電対7で反応面近傍の温度を検知しつつ、冷却用空気供給口8から空気を供給することによって、反応面近傍に接する反応容器壁を適切な温度範囲に制御することができる。
この際、上記反応容器壁の温度を塩化マグネシウムの融点(714℃)以下の温度範囲に保持することにより、還元反応で副生した塩化マグネシウムの一部を前記反応容器1の内面の冷却部分に固相(以下、単に「塩化マグネシウムライニング層」と呼ぶ場合がある。)として析出生成させることができる。このように反応容器壁の内面に塩化マグネシウムライニング層を形成させることにより、溶融状態にある金属マグネシウムや塩化マグネシウムが直接容器壁に接触することはなく、反応容器から溶融マグネシウム中へのニッケルの溶出を効果的に抑制できるという効果を奏するものである。また、前記の反応容器壁内面に塩化マグネシウムライニング層を形成させることにより、反応容器内で生成するスポンジチタンへの鉄汚染も効果的に抑制できるという効果を奏するものである。
次に、本発明を実施するにあたり、構成要素の好ましい例について詳細に説明する。
本発明に係るスポンジチタンの製造方法に用いる反応容器1は、ニッケル含有率の低い炭素鋼で内張りしたステンレス鋼を用いることが好ましい。このような反応容器を用いることにより、前記容器内で生成されるスポンジチタン中へのニッケルの拡散汚染を効果的に抑制することができるからである。
本発明においては、前記反応容器1内に四塩化チタンの還元剤であるニッケル含有率の低い溶融マグネシウムを装入することが好ましい。具体的には、ニッケル含有率を1ppm以下、より好ましくは、0.6ppm以下に調整した溶融マグネシウムを用いることが好ましい。前記したようなニッケル含有率の低い溶融マグネシウムを用いることにより、反応容器内で製造されるスポンジチタンの中心部においてもニッケル含有率を低レベルに維持できるという効果を奏するものである。
反応容器1の壁面温度は、前記反応容器1の外壁面に配設した熱電対7にて温度を検知しつつ、反応容器1を収容した加熱炉に配設したヒーター5の出力を制御することにより目標温度に維持することができる。
前記の反応容器1の温度が安定したところで、反応容器1内に装入保持した溶融マグネシウム浴面に向かって反応容器1の頂部に配設した四塩化チタン供給管5より液状の四塩化チタンの供給を開始する。
液状四塩化チタンの供給開始と共に、溶融マグネシウムの反応面近傍では、四塩化チタンと溶融マグネシウムとの反応により多量の反応熱が発生して前記反応域の温度が上昇するために、前記反応域近傍に対応して配設されているヒーター3による加熱を断つと共に、前記反応域近傍に設けた冷却用空気供給口8より空気を反応容器1の外面に吹き付けて前記反応域に対応した反応容器外面の温度を塩化マグネシウムの融点以下に保持することが好ましい。
ただし、塩化マグネシウム抜き出し管6の温度が塩化マグネシウムの融点以下となってしまうと、抜き出し管内にて塩化マグネシウムが凝固して抜き出しに支障を来すので、塩化マグネシウム抜き出し管6の温度は塩化マグネシウムの融点以下にならないように、図2に示すような冷却用空気の流れを遮断するようなカバー9を局所的に配設しておくことが好ましい。前記のカバー9を設けることにより塩化マグネシウム抜き出し管4の温度を塩化マグネシウムの融点以上に保持することができる。その結果、反応域で副生した塩化マグネシウムを円滑に系外に抜き出すことができる。
前記したような温度範囲に反応容器1の外面温度を制御することにより、前記反応域で副生した塩化マグネシウムが反応容器1の内面に達すると壁面に凝固熱を放出させて固化させることが好ましい。
一方、反応域の中心部は、四塩化チタンと溶融マグネシウムとの反応で発生する反応熱を利用して、溶融マグネシウムのみならず塩化マグネシウムも溶融状態で存在させるように運転することが好ましい。前記したような状態に反応域を維持することにより、四塩化チタンと溶融マグネシウムを効率よく反応させることができるという効果を奏する。
即ち、反応域の中心部が塩化マグネシウムの融点以上であって、反応域の周辺部が塩化マグネシウムの融点以下となるようないわゆる「山形」の温度分布を形成させることができるように運転することが望ましい。
前記の温度分布は、四塩化チタンの供給速度を適宜選択することにより実現することができる。このような四塩化チタンの供給速度は、反応容器の直径が、1.5m〜2.0mの範囲においては、反応域単位面積当たり50Kg/m・H〜160Kg/m・Hの範囲から選択することに前記した山形の温度分布を形成させることができる。
四塩化チタンの供給速度が前記の下限以下になると、反応域中央部の温度が塩化マグネシウムの融点を割り込み、操業の中断あるいは停止に追い込まれて好ましくない。
一方、前記四塩化チタンの上限を超えると逆に反応域に対応した反応容器1の壁面温度を塩化マグネシウムの融点以下に保持するためには、従来に比べて大掛かりな冷却設備が必要となり実用的ではないからである。但し、前記した反応容器1の空冷設備に代えて、冷却能力の優れたミスト冷却設備を具備することができれば冷却能力が増加するために前記した四塩化チタンの供給速度を更に高めることができる。
また、前記溶融マグネシウム浴面上に供給する四塩化チタンの供給領域は、できるだけ中心部に限定して供給することが好ましい。具体的には、反応容器の断面に対して10%〜30%の領域に限定して四塩化チタンを供給することが好ましい。
以上述べたように、四塩化チタンと溶融マグネシウムとの反応面から反応容器の外面に向かって山形の温度分布を形成し、しかも前記反応容器の外面温度を塩化マグネシウムの融点以下に保持することにより、反応面で生成するスポンジチタン中への反応容器を構成する内壁面からのニッケルや鉄の汚染を効果的に抑制できる。
その結果、還元反応終了後に生成するスポンジチタン塊からの高純度チタン部位の採取率を従来に比べてよりいっそう高めることができるという効果を奏するものである。
以上、本発明を実施することにより、純度の高いスポンジチタンを歩留まりよく製造できることを説明したが、例えば純度が5Nあるいは5N以上の高純度スポンジチタンを製造する場合には、前記した方法をもってしても対応できない場合がある。このような場合には、以下に述べる方法が有効である。
即ち、反応容器1に溶融マグネシウムを供給するに先立って、前記反応容器1の内面に予め塩化マグネシウムライニング層を形成させておく方法である。上述した溶融マグネシウムと四塩化チタンの還元反応の進行に伴って副生する塩化マグネシウムを利用して反応の進行とともに反応容器内壁にライニング層を形成させる方法では、ライニング層が形成されるまでに短時間に反応容器1からのニッケルが溶解してスポンジチタンを汚染するが、この方法によれば、前記塩化マグネシウムライニング層を反応容器1の内面に予め形成させておくことにより、溶融マグネシウムと反応容器1が最初から隔離されているので、反応容器1からの不純物汚染をも効果的に抑制することができるという効果を奏するものである。
反応容器1は、内面にニッケルの含有率の少ない炭素鋼で内張りがされているものの、数100ppm程度のニッケルが含有されており、これが反応開始に先立って反応容器1に供給された溶融マグネシウムへのニッケル汚染を助長する原因になり得る。
よって前記したように、四塩化チタンとの還元反応を開始するに先立って、反応容器1の内面に塩化マグネシウムライニング層を形成させておくことが反応容器1から溶融マグネシウムへのニッケル汚染を抑制する上で好ましい態様である。
反応容器1の内面への塩化マグネシウムライニング層の形成方法であるが、反応容器1に、まず初めに溶融マグネシウムではなく、溶融塩化マグネシウムを装入した後、直ぐにこれ系外に排出させることにより、反応容器1の内面に塩化マグネシウムライニング層を形成させることができる。
前記のような操作を行うことで溶融マグネシウムと反応容器1との直接接触を回避することができる。また、反応開始から反応終了まで反応容器1の外面温度を塩化マグネシウムの融点以下に制御しておくことにより、反応容器1内で生成するスポンジチタンと反応容器1の内面との直接接触をも回避することができるという効果を奏する。
よって、前記の態様に従って製造されたスポンジチタンは、反応容器1と接する外周部のみならず、中心部においてもニッケル含有率が低いという従来にはない効果を奏するもものである。
また、還元反応の終了後にスポンジチタンを反応容器1から押し抜く際、スポンジチタンと反応容器が直接接触する従来の方法では、スポンジチタンが反応容器に融着している場合があり、取り出すためには多大な押圧力が必要とされたが、本発明によれば、前記反応容器1の内面に塩化マグネシウムライニング層を形成させておくことにより、反応容器とスポンジチタンの間の潤滑剤としても機能させることができる。その結果、従来のスポンジチタンの製法に比べて遥かに小さな力でスポンジチタンを抜き出すことができ、スポンジチタンの抜き出し装置を小型化できるという効果を奏するものである。加えて、スポンジチタンの抜き出しに要する時間も削減できるという効果を奏するものである。
更には、反応容器1内に塩化マグネシウムライニング層を形成させておくことにより反応容器1から容易に押し抜くことができるために、従来に見られたスポンジチタン塊の表面と反応容器1の内面との摺動摩擦による発熱による酸化や窒化も効果的に抑制することができる。その結果、反応容器1から抜き出されたスポンジチタン塊の表面ハツリ作業も軽微に済ませることができるという効果を奏するものである。
これは、スポンジチタン塊の歩留まり向上を意味するのみならず、ハツリ作業時間を削減できるという省力化の効果をもたらすものである。
前記したハツリ作業とは、反応容器1の内面に形成させた塩化マグネシウム層の一部がスポンジチタン塊の表面に混入する場合がありこれを除去するための作業を意味している。固相の塩化マグネシウムは、白色であるために目視により容易に検出することができ、軽微なハツリ作業で分離除去することができる。
塩化マグネシウムは、スポンジチタンに混入すると塩素含有率を高めてしまい好ましくないとされているために、スポンジチタン塊の中心部から高純度スポンジチタンを採取するに先立って前記のハツリ作業により、固相の塩化マグネシウムを分離・除去しておくことが好ましい。
前記したような操作を行うことにより、反応容器1の内部に供給する溶融マグネシウムおよび塩化マグネシウムと反応容器1との接触を理論上回避することができる筈である。しかしながら、実操業においては、予想外の出来事が発生する場合があり、反応開始に先立って反応容器1の内面に形成させた固相の塩化マグネシウム層が剥離する場合も想定される。
このような場合には、反応容器1の内部に保持されている溶融マグネシウムや反応容器1の反応域で生成するスポンジチタンと反応容器1とが直接接触する場合もあり、前記の方法においても対応することができず、生成スポンジチタンへのニッケル汚染を進行させる場合がある。
しかしながら、このような場合においても以下のような反応容器1に対する事前処理を進めておくことにより、反応容器1からのニッケル汚染を効果的に抑制することができる。
即ち、反応容器1の内部に、比較的純度の高い溶融マグネシウムを装入した後、前記溶融マグネシウム中のニッケル値がほぼ平衡に達するまで保持することを好ましい態様とするものである。前記した状況になるまで反応容器1を保持した後、反応容器1から排出させることにより、反応容器1の内面近傍に存在するニッケル含有率を効果的に低下させることができる。
その結果、前記の方法で反応容器1の内面に形成させた塩化マグネシウムの固相が一部消滅したとしても、反応容器1から溶融マグネシウムあるいはスポンジチタン中へのニッケル拡散を効果的に抑制することができるという効果を奏するものである。
前記の純度の高い溶融マグネシウムは、ニッケル汚染の少ない溶融塩電解槽で製造することにより製造することができるが、純度の低い溶融マグネシウムを精製することによっても製造することができる。
前記した溶融マグネシウムの精製に用いる容器は、内面をカーボンで内張りしておくことが好ましい。カーボンの中でも表面が緻密な品種を選択しておくことが好ましい。カーボンは溶融マグネシウムへの耐食性が良好であり前記した処理には好適な材質である。また、前記雰囲気は、不活性ガスに維持しておくことが好ましい。前記した不活性ガス雰囲気に保持しておくことにより、前記カーボンの損傷を抑制することができる。
ただし、前記カーボンは、四塩化チタンとの反応で生成されるスポンジチタンには侵食されるため、前記溶融マグネシウム浴面に供給する四塩化チタンは、浴面近傍のみにスポンジチタンが生成する量を限定的に供給することが好ましい。
前記の方法で精製された溶融マグネシウムは、反応容器1の内面近傍に存在するニッケルの洗浄に再利用することができる。
また、前記した方法に従って予め内面に塩化マグネシウムをコーティングさせた反応容器1内に溶融マグネシウムを仕込んだ後、溶融マグネシウムの浴面近傍のみにスポンジチタンが生成する程度の四塩化チタンを予備滴下して、溶融マグネシウム中の不純物を前記スポンジチタンに吸着分離して反応容器1の底部に沈降分離させることができる。その結果、四塩化チタンの還元剤として用いる溶融マグネシウムに起因する高純度スポンジチタンへの不純物汚染を更に抑制することができる。
また、反応容器1の製作段階において、ニッケル含有率の低い鋼材を選択しておき、その鋼材を用いて反応容器1を構成しておくことにより、更にニッケル汚染の少ないスポンジチタンを製造することができる。
前記したように本発明に従うことにより、反応容器1からスポンジチタン中へのニッケル汚染を効果的に抑制することができる。また、反応容器内で生成するスポンジチタンへの鉄汚染も効果的に抑制できるという効果を奏するものである。その結果、歩留まりよく高純度チタンを製造できるという効果を奏するものである。
[実施例1]
図1に示した装置および以下の条件にてスポンジチタンを製造し、反応容器内で生 成されたスポンジチタン塊中から純度の高いスポンジチタンを採取した。
1)反応容器
壁面構造:内面を炭素鋼で内張りしたステンレス鋼(SUS316)
大きさ:φ1500×5000L(mm)
2)反応容器外面平均温度:695℃
3)溶融マグネシウム中のニッケル値:0.6ppm
[実施例2]
反応開始前から反応容器壁面に塩化マグネシウムライニング層を設けた点を除いて、実施例1と同じ条件でスポンジチタンを製造した。
[比較例1]
実施例1において、反応容器外面の平均温度を800℃に設定した点を除いて、同じ条件下でスポンジチタンを製造した。
前記の実施例および比較例により採取された4N5および5Nレベルのスポンジチタン歩留まりを表1に示した。表1に示した数値は、従来の方法で製造されたスポンジチタンの歩留まりを100とした場合の値である。
実施例1〜2において製造された高純度スポンジチタン(4N5)の歩留りは、比較例1に比べて10〜20%改善されている。
ここで注目すべき点は5Nレベルの高純度スポンジチタンの歩留まりである。ここに示したように5Nレベルの高純度スポンジチタンの歩留まりは、従来の方法で製造した比較例1に比べて100%以上改善されており本発明の優れた効果が示されている。
Figure 2008190024
高純度チタン製造の低コスト化に寄与することができる。
本発明のスポンジチタンの製造方法に用いるスポンジチタンの製造装置の模式断面図である。 図1のスポンジチタンの製造装置における水平方向での断面図である。
符号の説明
1 反応容器
2 断熱壁
3 ヒーター
4 蓋
5 四塩化チタン供給管
6 塩化マグネシウム抜き出し管
7 熱電対
8 冷却用空気供給口
9 カバー

Claims (7)

  1. 四塩化チタンのマグネシウム還元によるスポンジチタンの製造方法において、
    反応容器に溶融マグネシウムを満たし、
    上記還元反応が進行する溶融マグネシウム浴の反応面近傍と接する反応容器の壁面の平均温度を塩化マグネシウムの融点以下に保持し、
    上記四塩化チタンを上記溶融マグネシウム浴の反応面近傍に供給することを特徴とするスポンジチタンの製造方法。
  2. 前記還元反応が進行する反応面の中央部の平均温度を塩化マグネシウムの融点以上に保持することを特徴とする請求項1に記載のスポンジチタンの製造方法。
  3. 前記還元反応に先立って、前記反応容器内面に固体の塩化マグネシウム層を形成させておくことを特徴とする請求項1に記載のスポンジチタンの製造方法。
  4. 前記反応容器内面に固体の塩化マグネシウム層を形成させた後、四塩化チタンの還元剤である溶融マグネシウムを供給することを特徴とする請求項3に記載のスポンジチタンの製造方法。
  5. 前記反応容器の内面に固体の塩化マグネシウム層を形成させるに先立って、前記反応容器内に溶融マグネシウムを供給して保持した後、抜き出すことを特徴とする請求項4に記載のスポンジチタンの製造方法。
  6. 前記反応容器内面と接触させて反応容器内面からニッケルを溶出させた溶融マグネシウムをカーボン製の容器に抜き出した後、溶融マグネシウム浴面に四塩化チタンを滴下することにより、溶融マグネシウム浴面近傍のみにスポンジチタンを生成させるとともに溶融マグネシウム中に沈降させて溶融マグネシウムを精製した後、精製された溶融マグネシウムを四塩化チタンの還元剤として用いることを特徴とする請求項5に記載のスポンジチタンの製造方法。
  7. 前記四塩化チタンの滴下により生成したスポンジチタンによって精製された前記溶融マグネシウムを、前記反応容器内面のニッケル溶出剤として再利用することを特徴とする請求項6に記載のスポンジチタンの製造方法。
JP2007028968A 2007-02-08 2007-02-08 スポンジチタンの製造方法 Pending JP2008190024A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007028968A JP2008190024A (ja) 2007-02-08 2007-02-08 スポンジチタンの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007028968A JP2008190024A (ja) 2007-02-08 2007-02-08 スポンジチタンの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2008190024A true JP2008190024A (ja) 2008-08-21

Family

ID=39750389

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007028968A Pending JP2008190024A (ja) 2007-02-08 2007-02-08 スポンジチタンの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2008190024A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101219181B1 (ko) * 2012-01-06 2013-01-09 한국기계연구원 스폰지 티타늄 제조장치 및 이를 이용한 스폰지 티타늄 제조방법
KR101332766B1 (ko) * 2011-12-12 2013-11-26 (주)옥산아이엠티 스폰지 티타늄 제조설비의 반응로
CN105970152A (zh) * 2016-07-08 2016-09-28 朝阳金达钛业股份有限公司 对生产海绵钛新反应器进行渗钛的方法
JPWO2017002385A1 (ja) * 2015-06-30 2018-04-19 東邦チタニウム株式会社 接続管、前記接続管を含んでなるスポンジチタン製造装置、前記装置を使用するスポンジチタンの製造方法及び前記方法によって製造されるスポンジチタン
WO2018179993A1 (ja) * 2017-03-31 2018-10-04 東邦チタニウム株式会社 スポンジチタン及びスポンジチタンの製造方法並びにチタンインゴット又はチタン合金インゴットの製造方法
JP2020139186A (ja) * 2019-02-27 2020-09-03 東邦チタニウム株式会社 スポンジチタンの製造方法
JP2020180358A (ja) * 2019-04-26 2020-11-05 東邦チタニウム株式会社 スポンジチタンの製造方法、及びチタン加工品又は鋳造品の製造方法。

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS579847A (en) * 1980-06-19 1982-01-19 Hiroshi Ishizuka Manufacturing apparatus for metallic titanium
JPS60110823A (ja) * 1983-11-22 1985-06-17 Mitsubishi Metal Corp 高融点高靭性金属製造用反応容器
JPS6112838A (ja) * 1984-06-28 1986-01-21 Hiroshi Ishizuka スポンジチタン製造装置
JPH09287035A (ja) * 1996-04-22 1997-11-04 Nippon Steel Corp 高純度スポンジチタン製造用反応容器
JP2003306726A (ja) * 2002-04-19 2003-10-31 Nippon Steel Corp 金属チタン製造方法
JP2005089830A (ja) * 2003-09-18 2005-04-07 Toho Titanium Co Ltd スポンジチタンの製造方法

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS579847A (en) * 1980-06-19 1982-01-19 Hiroshi Ishizuka Manufacturing apparatus for metallic titanium
JPS60110823A (ja) * 1983-11-22 1985-06-17 Mitsubishi Metal Corp 高融点高靭性金属製造用反応容器
JPS6112838A (ja) * 1984-06-28 1986-01-21 Hiroshi Ishizuka スポンジチタン製造装置
JPH09287035A (ja) * 1996-04-22 1997-11-04 Nippon Steel Corp 高純度スポンジチタン製造用反応容器
JP2003306726A (ja) * 2002-04-19 2003-10-31 Nippon Steel Corp 金属チタン製造方法
JP2005089830A (ja) * 2003-09-18 2005-04-07 Toho Titanium Co Ltd スポンジチタンの製造方法

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101332766B1 (ko) * 2011-12-12 2013-11-26 (주)옥산아이엠티 스폰지 티타늄 제조설비의 반응로
KR101219181B1 (ko) * 2012-01-06 2013-01-09 한국기계연구원 스폰지 티타늄 제조장치 및 이를 이용한 스폰지 티타늄 제조방법
JPWO2017002385A1 (ja) * 2015-06-30 2018-04-19 東邦チタニウム株式会社 接続管、前記接続管を含んでなるスポンジチタン製造装置、前記装置を使用するスポンジチタンの製造方法及び前記方法によって製造されるスポンジチタン
CN105970152A (zh) * 2016-07-08 2016-09-28 朝阳金达钛业股份有限公司 对生产海绵钛新反应器进行渗钛的方法
WO2018179993A1 (ja) * 2017-03-31 2018-10-04 東邦チタニウム株式会社 スポンジチタン及びスポンジチタンの製造方法並びにチタンインゴット又はチタン合金インゴットの製造方法
JPWO2018179993A1 (ja) * 2017-03-31 2019-04-04 東邦チタニウム株式会社 スポンジチタン及びスポンジチタンの製造方法並びにチタンインゴット又はチタン合金インゴットの製造方法
CN110462072A (zh) * 2017-03-31 2019-11-15 东邦钛株式会社 海绵钛和海绵钛的制造方法以及钛铸锭或钛合金铸锭的制造方法
CN110462072B (zh) * 2017-03-31 2021-12-10 东邦钛株式会社 海绵钛和海绵钛的制造方法以及钛铸锭或钛合金铸锭的制造方法
JP2020139186A (ja) * 2019-02-27 2020-09-03 東邦チタニウム株式会社 スポンジチタンの製造方法
JP7220098B2 (ja) 2019-02-27 2023-02-09 東邦チタニウム株式会社 スポンジチタンの製造方法
JP2020180358A (ja) * 2019-04-26 2020-11-05 東邦チタニウム株式会社 スポンジチタンの製造方法、及びチタン加工品又は鋳造品の製造方法。
JP7301590B2 (ja) 2019-04-26 2023-07-03 東邦チタニウム株式会社 スポンジチタンの製造方法、及びチタン加工品又は鋳造品の製造方法。

Similar Documents

Publication Publication Date Title
AU2002335251B2 (en) Method and apparatus for smelting titanium metal
JP2008190024A (ja) スポンジチタンの製造方法
US8157885B2 (en) Continuous production of metallic titanium and titanium-based alloys
KR910001489B1 (ko) 질코늄 또는 하프늄의 제조방법
US20110217225A1 (en) Method and Apparatus for Refining Metallurgical Grade Silicon to Produce Solar Grade Silicon
JP5183498B2 (ja) ケイ素の電解製造及び精練方法
JP2005199354A (ja) 金属の製造又は精製用の装置及び関連方法
US4242175A (en) Silicon refining process
JP4510769B2 (ja) Ti又はTi合金の製造方法及び装置
JP2020139187A (ja) チタン粉の製造方法、スポンジチタンの製造方法、チタン粉および、ガス収集装置
JP4134836B2 (ja) アルミニウムまたはアルミニウム合金の精製方法
JP4904067B2 (ja) 金属マグネシウムの精製方法およびこれを用いた金属タンタルの製造方法
US7753986B2 (en) Titanium processing with electric induction energy
JP2021004399A (ja) スポンジチタンの製造方法
CN208346240U (zh) 一种低氧高纯钛锭的电子束熔炼装置
JP2784324B2 (ja) チタンの製造方法
JPS5942060B2 (ja) 金属Tiの製造方法
WO2011099208A1 (ja) シリコン真空溶解法
JP4441278B2 (ja) 金属チタンの製造装置
JPS6137338B2 (ja)
JPS6112837A (ja) 金属チタンの製造法
JPS591646A (ja) 金属Tiの製造方法
JP7385486B2 (ja) スポンジチタンの製造方法
RU2612867C2 (ru) Способ плавки высокореакционных металлов и сплавов на их основе и устройство для его осуществления
JP2023050955A (ja) スポンジチタンの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100210

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100216

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100402

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20100402

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101125

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20110315