JP2003306726A - 金属チタン製造方法 - Google Patents

金属チタン製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属チタン製造還元工程において反応容器抜
熱能力ネックによる生産性阻害要因の影響を低減する方
法を提供する。 【解決手段】 反応容器中の反応浴面下100mmより
深い浴液中に攪拌力を与えて浴面直下に存在する薄い循
環流を増厚することにより浴面温度の低減、並びに、浴
上ガス層中での還元反応を抑制することで、反応容器へ
の熱負荷集中を回避する。反応容器内の溶融マグネシウ
ムおよび溶融マグネシウム塩化物からなる反応浴液の表
面の上方から、液状又はミスト状の四塩化チタンを供給
して反応させ金属チタン微粒子を生成させ、その際、該
反応浴液の浴面下より100mmより深い領域の少なく
とも一部において、上方向の反応浴液流速を発生または
増大するように反応浴液に攪拌力を与えることにより、
浴面直下で浴面に垂直方向の反応浴液循環流を発生、あ
るいは拡大することを特徴とする金属チタンの製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、チタン鉱石を塩化
し四塩化チタンを生成させこれを還元することにより金
属チタンを製造するクロール法において、特に四塩化チ
タンを溶融マグネシウムにより還元する還元工程におい
て効率よく反応を行うことのできる金属チタンの製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】チタン鉱石から金属チタンを製造する工
程のうち、中間生成物である四塩化チタンから金属チタ
ンを得る還元工程については、いわゆるクロール法が工
業的に最も一般的に採用されている。クロール法におけ
るチタン還元方法を図22を使って説明する。
【0003】予めチタン鉱石は塩化して常温で液体であ
る四塩化チタンに加工した後、密閉された還元反応容器
1に四塩化チタン液供給管8を通して反応容器1内下部
に予め蓄えらた溶融マグネシウムを主成分とする平均温
度800℃程度の反応浴液2上に滴下する。次いで反応
容器内での化学反応によりマグネシウムが二塩化マグネ
シウムに、四塩化チタンが金属チタンに化学変化するこ
とにより高純度の金属チタンを得る。
【0004】金属チタンは微粒子として反応容器底部に
沈降した後互いに焼結してポーラス状のスポンジチタン
塊4を形成する。また、副生物である二塩化マグネシウ
ムは、比重がマグネウムより大きいため、容器底部に沈
降して二塩化マグネシウム浴3を形成する。二塩化マグ
ネシウム浴は、適宜、二塩化マグネシウム排出管9を通
して容器外に排出することにより、反応浴液表面位置を
一定範囲に維持する。所定の四塩化チタン滴下累積量に
達した後、反応浴液及び二塩化マグネシウムを容器外に
排出し、さらにスポンジチタン4は、その空隙に残留し
た浴液を加熱真空分離した後、製品として容器外に取り
出す。近年の代表的な大型還元反応装置の場合、反応容
器の大きさは、直径約2m高さ約5m四塩化チタン供給
管8出口から反応浴面までの距離は約1mに達し、1回
のバッチ生産で10トン弱のスポンジチタンが製造され
ている。四塩化チタン供給管8は、供給管出口での閉塞
を回避するため、通常、出口部を含めて直径20mm以
上のものが用いられており、四塩化チタン液の滴下範囲
を拡大するために先端を広げた形状の場合もある。これ
に対して、四塩化チタン液供給量は高々250kg/m
2・hrであるため、供給管内を四塩化チタン液が完全
に満たすことはなく、流れは管内壁の一部に沿って流下
し、気液二相流として分散化する。このため、供給系の
元圧は数万Pa程度あったとしても吐出時の大きな圧力
損失により供給系元圧に相当する運動量を吐出後の四塩
化チタンが維持することは困難であり、四塩化チタン供
給管8から吐出された後の四塩化チタン液は、ほぼ自由
落下する多数の四塩化チタン液滴7として反応浴面6上
の半径数百mmの範囲に分散して落下する。
【0005】四塩化チタンから金属チタンが生成する際
には強い発熱を伴うため、反応容器からの抜熱が製造上
の重要課題である。反応容器1からの抜熱は反応容器1
外壁への空気噴流吹き付け等による冷却等によりなされ
るが、反応浴液面6近傍に相当する反応容器1外壁部に
熱負荷が集中する、即ち、より大量の冷却噴流流量を必
要とすることが知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】工業的な大型反応容器
は通常、鋼製であり、鉄−チタン合金の共晶温度は、約
1080℃であるため、反応容器内壁温度がこの温度を
超えると反応容器壁面が溶出して反応容器寿命を著しく
短縮するとともに、溶出鉄分が製品チタンを汚染するた
め問題であった。従って、反応容器壁温度をこの温度以
下に維持するために、四塩化チタン供給流量は上限を設
けざるを得ず、これが、従来操業での生産性ネックの最
大要因であり、過去、生産性を向上させるための取り組
みが多数なされてきた。
【0007】例えば、特開平7−41880号公報は、
容器外壁をミスト冷却することにより抜熱の促進を図ろ
うとしたものである。また、特許第2883905号公
報では、反応容器内に冷却管を挿入することにより冷却
促進を図ろうとしたものである。これらの発明は、冷却
という面ではそれなりの効果をあげているが、高価な付
帯設備を必要とするうえ、効果が極めて限定的であるた
め抜本的な対策とはなりえない。これらの方法により根
本的に冷却効率を改善するためには、広い伝熱面積を確
保するという構造上の改善が必要であるが強度上、大き
な熱抵抗体である伝熱壁厚を大きく設定しなければなら
ず、これによってまた伝熱効率が低下してしまうという
問題があった。
【0008】また、浴面近傍での反応容器壁への熱負荷
集中が生産性向上をより困難にしていることに着目し
て、特開平7−41881号公報は、多数の開口を有し
たチタン管を浴液に挿入し、この開口から浴中にアルゴ
ンガスを吐出することにより浴を攪拌して浴の均温化を
図ろうとしたものである。しかし、この特開平7−41
881号公報ではアルゴンガスの浴中吹き込みにより単
に「マグネシウム浴が攪拌されることにより、浴内の熱
伝達、温度分布が改善されるので、四塩化チタンの滴下
速度を大きくして生産性を上げ」との記載しかなく、反
応容器壁への熱負荷集中に決定的な影響を与える浴液表
面温度やアルゴンガスの浴中吹き込み深さ等についての
条件も一切不明である。実際、本件発明者による詳細な
実機調査からの知見では、実機反応浴液中には強い循環
流が存在することが確認されており、単にアルゴンガス
を浴中に吐出させただけでは攪拌増強効果はほとんど発
生しないのみならず、浴中でアルゴンガス気泡中にマグ
ネシウム蒸気が充満し、これが浴上気体5に放出された
後、四塩化チタン蒸気と浴上気体中で反応するためかえ
って反応浴面6温度が上昇して生産性を阻害する現象が
観察された。即ち、浴中に吐出される不活性ガスは、そ
の吐出される浴中での位置及び供給ガス量により反応容
器内での温度差を縮小する場合と拡大する場合のいずれ
もあり得え、不活性ガスの浴中吐出が浴温均一化効果を
与えるとは一概にはいえない。
【0009】また、同様に浴液の攪拌を図ることを目的
として、特開平7−252549号公報は、浴中に四塩
化チタン液供給管を挿入し、二塩化マグネシウム浴中に
四塩化チタンを吐出して浴中で四塩化チタンが蒸発する
ことにより気泡を形成させ、二塩化マグネシウムの上方
に存在するマグネシウム主体の反応浴液と化学反応さ
せ、この際、上昇する気泡により副次的に浴液を攪拌さ
せようとするものである。しかしながら、特開平7−2
52549号公報は、浴面近傍での大量の化学反応発熱
に由来して発生しうる浴面近傍の高温領域をガスバブリ
ング効果による攪拌効果により均温化することを意図し
ているものではない。この根拠は、特開平7−2525
49号公報の記載に「TiCl4を溶融MgCl2層に供
給すると、溶融Mg層の最下層から反応をはじめたTi
Cl4気泡が還元反応が完了するまで溶融Mgを上昇」
し、「還元反応を始め」、「ここで発生した反応熱は、
溶融Mgを介して溶融Mg層の上層に拡散するととも
に、生成したチタンの沈降およびMgCl2の下降によ
って溶融MgCl2層の下層にも熱伝導する。そのため
反応熱が局部的に発生するという事態は生じない」とあ
り、特開平7−252549号公報は、明らかに浴中で
四塩化チタンの反応が完了していることを意図してい
る。また、「更に、溶融MgCl2層および溶融Mg層
の温度分布は、供給されたTiCl4のガスバブリング
作用によって攪拌され、温度はさらに均一化の方向に向
かう」との記載が特開平7−252549号公報に存在
するが、特開平7−252549号公報では浴中でのガ
スバブリングによる浴液攪拌効果は、副次的なものであ
り、あくまでも浴中でほぼ均一に発熱して浴液温度差の
小さい浴液を前提としていることがわかる。さらに、特
開平7−252549号公報は、ガスバブリング条件及
びガスバブリングの浴液攪拌機構に関する具体的な記述
に欠け、また、特開平7−252549号公報は、元々
浴液温度分布の小さい浴液を前提としており、ガスバブ
リング単体での浴液温度均一化効果についても一切記載
がない。次に、特開平7−252549号公報の発明の
実機適用上の問題点は、従来作業条件相当の大きな四塩
化チタン供給流量の場合、浴液に放出された四塩化チタ
ン気泡を気泡上昇中に浴液中で完全に反応終了させるた
めには、長大な設備を必要とすることである。
【0010】以上述べたように、従来装置での反応容器
壁熱負荷集中緩和法はいずれも実機として広く工業的に
採用されうるものではない。これらの改良技術に共通す
る問題点は、浴面近傍に反応容器の熱負荷が集中するこ
とは操業事実として広く知られていても、この様な熱負
荷分布となる物理的原因の検討が充分になされていない
ため、効果的な改良を見出すことができなかったことで
ある。そこで、本件発明では課題を解決するため、実機
の反応場を詳細に検討して従来技術の物理現象としての
問題点を明確に解明した。
【0011】反応容器内部の軸方向流体温度分布を調査
した結果を図24に示す。既設実機操業では浴温度は浴
面で例えば1000℃程度の最高温度となり、浴面直下
で急速に平均浴温度まで低下する。即ち、浴面直下には
高温層が存在している。一方、浴上気体は、浴面から浴
上方300mmの浴面近傍領域で浴液を含めた反応容器
内での最高温度を示す。絶えず周囲の反応容器から冷却
を受けているにもかかわらず、浴上気体温度が高温を維
持できるのは、浴上気体中での反応発熱量が非常に大き
いからである。浴面及び浴上気体層での反応概念図を図
23に示す。反応容器1中に滴下された四塩化チタン液
滴7は、反応浴面6中の滴下直下点11に達すると蒸発
して浴上気体層中を流動する。この流動中に四塩化チタ
ンの一部は浴面のマグネシウム13に接触して還元され
る(これを「浴面反応」と定義する)。浴面反応しなか
った四塩化チタンは、浴上気体中12でマグネシウム蒸
気と反応して還元される(これを「浴上気体層中反応」
と定義する)。四塩化チタン蒸気とマグネシウムの気相
での反応は熱力学的に発生しにくいので、浴上気体中で
の還元反応は主として浴上気体中に浮遊する微粒子上で
発生すると考えられる。浴面で発生した反応発熱量の大
部分は、浴液側に伝達される。これは、気液界面で発生
した熱を伝えるべき周囲の分子密度が液相の方が気相よ
りも圧倒的に高いからである。一方、浴上気体層中での
反応発熱は、一定温度までは気体温度を上昇させた後、
大部分が放射熱の形で浴面6及び反応容器1内壁に伝達
されて浴液表面温度と反応容器内壁温度を高温に維持す
る。このため、従来技術では浴面近傍反応容器壁18に
熱負荷を集中する原因のひとつとなる。
【0012】浴面反応13と浴上気体中反応12の反応
量の比率を図7に示す。図7は横軸が反応浴液表面温度
であり、縦軸は、全反応速度に占める浴上気体中の反応
速度の比率を表す。従来技術での反応浴液表面温度条件
は1000℃程度の高温であり、滴下された四塩化チタ
ンの大部分が浴上気体中で反応する。これは、従来技術
での反応浴液表面6温度が高いため、図6に示したマグ
ネシウムの飽和蒸気圧は浴上気体圧力並みに高く、浴面
近傍から浴上気体層中に大量のマグネシウム蒸気が蒸発
して浴面上を覆う。大部分の四塩化チタン蒸気は、この
浴面上方のマグネシウム蒸気と反応する。この結果、四
塩化チタンは浴面に達する前に浴上気体との反応で消費
されてしまうため浴面反応はほとんど起こらないことに
なる。
【0013】この様な発熱分布の与えられた反応浴液の
流れ場を図25に示す。前述の様に浴面直下には高温領
域が存在するがこれは、浴液が静止していることを意味
しない。実際には、浴面直下には浴面垂直方向に薄い浴
面直下循環流14が存在し、この循環流の存在する範囲
での浴の均温化をもたらしている。直径1mから3m程
度の大型還元反応容器の場合、この浴面直下循環流14
の厚15は、約100mm以下である。「浴面直下循環
流厚み」15とは、浴面下の反応浴液が外部からの強制
力の付与、または、自然対流により攪拌されることによ
り発生し、かつ、浴面に接し、かつ、浴面に垂直方向に
時間平均的に循環する循環流の存在する反応浴液範囲の
浴面からの深さ方向長さのことである。浴面直下循環流
厚みを測定するためには、浴面下で浴流の局所時間平均
速度の浴中分布を測定、または、数値計算することによ
り求めることができ、浴流速度測定は、タフト型流速計
やカルマン渦流速計等の流速計を浴中に挿入することで
可能である。また、大型還元反応容器内の浴深さ1mか
ら5mの範囲で浴面直下循環流厚みは、浴深さの影響を
あまり受けない。従って浴面直下循環流厚みの約100
mm以下という値は従来技術において普遍的な値とみな
すことができる。浴面直下循環流14を駆動する力は、
第一に、反応容器近傍での冷却による浴液低温部、及び
これに対抗する、浴の非周辺部における反応発熱・浴上
気体からの放射入熱による浴液高温部との間の温度差に
基づく自然対流によるもの、第二に、図27に示す滴下
直下部11での孤立気泡(四塩化チタン蒸気+浴上気体
の浴中への捲き込みに由来するもの)20の上昇に基づ
く上向きの攪拌力17によるものである。滴下される四
塩化チタン液滴7はほぼ自由落下に近い低速であるた
め、浴液深く侵入することはできず、反応、または、蒸
発して浴面直下領域11から去る。四塩化チタン液滴が
最大でも浴面下100mm程度までしか浴中に侵入でき
ない結果、孤立気泡の発生部位も浴面下100mm以内
と浅い位置に限定される。また、浴面直下循環流14以
外にも浴中には循環流が多数存在しているが、浴面直下
循環流14と結合していない循環流を浴中深部循環流1
6と呼ぶ。浴中深部循環流のなかには例えば数十cm/
sに及ぶ非常に大きな上向き方向速度(図25 16
イ)を有するものも存在するが、浴面直下循環流の温度
分布にほとんど影響を与えることはなく、浴面直下循環
流挙動は、主に浴面近傍での入・出熱量分布及び四塩化
チタンの滴下状態に支配される。
【0014】従来技術で浴面直下循環流厚15が薄くな
る原因を図26を使って説明する。浴面直下の反応容器
1内壁近傍の等温線を高温から順にイ、ロ、ハ、ニと表
示する。反応容器内壁により浴液は冷却される結果、浴
面直下の最高温部は、容器半径方向のより内側領域での
浴液温度に比べて低くなる(イ)ため自然対流により、
浴液は反応容器内壁に沿って下向きに流れる力がはたら
く。次に、この流れに引かれて、浴表面の高温領域が反
応容器内壁近傍に流入してより低温の周囲浴液と混合す
る結果、反応容器内壁面近傍は必ずしもより内側領域よ
りも低温でなくなり(ロ)この時点で下向き駆動力は発
生しなくなるが、反応容器内壁近傍では惰性により未だ
下向き流れが残留する。さらに容器下方の反応容器内壁
近傍領域では上方から壁面に沿って流入する高温浴液に
よって、遂にはこの領域の温度がより内側領域よりも高
温となり(ハ)、内壁面近傍では逆に上向きの駆動力が
発生して循環流のこれ以上の沈降を阻止するようにな
る。この位置で循環流は最早、反応容器内壁に沿って下
降できなくなり、反応容器内側方向に流れの向きを転じ
るのである。即ち、浴面直下の浴液は、他より極めて高
温であるため浴液の沈降に強く抵抗する一方で、反応容
器の冷却及び四塩化チタン滴下に由来する強い攪拌力が
常に付与されているため、薄く、高速の循環流が浴面直
下に形成されるのである。実際、浴面直下に付与されて
いる密度差(温度差)に基づく攪拌力は数百Nに達する
と推定される。従って、浴面直下循環流中に攪拌力を与
えて攪拌増強しようとした場合、少なくとも循環流駆動
力並みの数百Nの付加力でなければ得られる効果は小さ
いといえる。
【0015】本発明は、上記のような従来技術における
反応容器壁への熱負荷集中を緩和することにより、四塩
化チタン供給流量を増大させ、結果としてスポンジチタ
ンの生産効率を向上させることを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の実機
の反応場の解析結果をもとに鋭意検討した結果、従来技
術に残された問題を解決するに至り、本発明を完成し
た。
【0017】即ち本発明の金属チタンの製造方法は、第
1発明として、反応容器内の溶融マグネシウムおよび溶
融マグネシウム塩化物からなる反応浴液の表面の上方か
ら、液状又はミスト状の四塩化チタンを供給して反応さ
せ金属チタン微粒子を生成させ、その際、該反応浴液の
浴面下より100mmより深い領域の少なくとも一部に
おいて、上方向の反応浴液流速を発生または増大するよ
うに反応浴液に攪拌力を与えることにより、浴面直下で
浴面に垂直方向の反応浴液循環流を発生または増強する
ことを特徴とする。
【0018】次に、第1発明の方法において、第2発明
として、浴液平均温度を770℃以上、かつ、浴面での
最高温度が950℃以下に設定することを特徴とする。
【0019】次に、第1発明の方法において、第3発明
として、攪拌力を与える手段として反応浴液中にスクリ
ュを挿入し、このスクリュを回転させることを特徴とす
る。
【0020】次に、第1発明方法において、第4発明と
して、攪拌力を与える手段として反応浴液中に棒状、ま
たは、へら状構造体を挿入し、この構造体を回転、また
は、揺動、または、昇降させることを特徴とする。
【0021】次に、第1発明において、第5発明とし
て、攪拌力を与える手段として反応浴液中に気体吐出口
を設け、この吐出口より、反応浴液との間で反応しない
気体を反応浴中に吐出することを特徴とする。
【0022】次に、第1発明において、第6発明とし
て、攪拌力を与える手段として、並びに、チタン塩化物
を反応浴液に供給する手段として反応浴液の浴面上方に
浴面に向けて設置したノズルを通して、背圧の与えられ
たチタン塩化物を反応浴液中へ吹き込み、浴面下100
mmより深く到達させることを特徴とする。
【0023】次に、第6発明において、第7発明とし
て、チタン塩化物液供給ノズルの最小内径を1mmから
10mmの範囲とし、かつ、ノズル出口またはノズル出
口近傍においてノズル軸方向に1mm以上の長さでノズ
ル断面形状及びノズル断面積が一定に保たれる領域を有
する形状のノズルを使用し、かつ、ノズル入口と出口の
静圧差を100,000Paから5,000,000P
aの範囲とし、かつ、ノズル先端と浴面間の距離を50
mmから2000mmの範囲とすることを特徴とする。
【0024】次に、第1発明において、第8発明とし
て、攪拌力を与える手段として反応容器外部から反応浴
液に電磁力による攪拌力を付与することを特徴とする。
【0025】
【発明の実施の形態】まず、第1発明と従来技術との差
異の要点を述べる。従来技術では反応浴液内部で浴面か
ら深さ方向に100mm以下の長さの狭い範囲において
のみ反応浴液の浴面垂直方向循環流が存在し、浴面近傍
の反応容器に化学反応発熱による熱負荷が集中するため
生産性を阻害していた。これに対して、第1発明におい
て攪拌機能を有した装置を用いて反応浴液に外部から攪
拌力を与えることにより浴面下に存在する浴面直下循環
流厚を100mmより大きな長さで発生させ、反応浴液
温度分布を減少させて反応容器への熱負荷集中を緩和す
ると同時に反応容器内最高温度を低下させることが可能
となり、結果として従来技術よりも高い生産性を可能に
する。さらに、従来技術で反応浴液浴面直下に100m
m以下の薄い循環流が存在する現象自身がこれまで知ら
れておらず、本件発明者により今回初めて明らかにされ
たものであり、本件発明は、この事実に基づいて効果的
に生産性を向上させる手段をみいだした点に特徴があ
る。以下、本発明の方法を詳細に説明する。
【0026】図1を用いて、第1発明の作用を説明す
る。従来技術で浴面近傍での反応容器壁に熱負荷が集中
する原因は、第一に、浴面直下に薄い循環流が存在し、
この循環流中に熱がこもりやすいこと、第二に、浴液・
浴上気体とも浴面近傍で極めて高温になることである。
従って、浴面直下循環流厚15を増大させてやれば少な
くともこの循環流の範囲では浴は均温化し、この循環流
に接して循環流から直接に抜熱可能な反応容器壁面積も
増大するので、循環流中の温度と浴の平均温度の差を小
さくすることができる。図2に示す様に、一旦、浴面直
下と浴液平均の温度差が大きく減少すると、浴面直下の
相対的に高温領域から冷却反応容器壁1近傍部へ持ち込
まれる熱量供給が減少するため、反応容器内壁近傍浴液
が反応容器中心領域よりも常に低温となる(図2中び等
温線イ・ロ)。この結果、浴面から反応容器壁に沿って
下降する流れ14に対して、従来装置でみられたような
温度分布に基づく上向き抵抗力は発生しにくくなり、こ
の下降流14は、より深い位置まで到達すること、即
ち、浴面直下循環流厚15を厚くすることが可能にな
る。つまり、従来装置には反応容器壁1の強冷却という
自然対流を駆動するための強い潜在力を元々備わってい
るので、浴面直下と浴平均での温度差を緩和させられれ
ば、浴面直下循環流14は急速にその厚15を増大させ
ることができる。
【0027】この様に浴面直下循環流厚みを増大させる
ためには、浴面直下の高温で低密度な領域が有する沈降
への抵抗力に打ち勝つだけの攪拌力17を外部から浴液
に供給して浴液の一部の領域で上向き流れ21を発生、
または、増強することが有効である。
【0028】そこで、本発明者らは、詳細な実機流れ場
を検討した結果、攪拌力が浴面直下循環流を拡大・強化
させるための攪拌力付与位置の条件を見出した。これを
図4で説明する。浴液の流動が全くなく、熱伝導のみに
より熱輸送が行われる場合、即ち、浴液を一様な固体と
みなして浴内熱輸送を数値解析によりシミュレーション
した結果、浴液表面温度と浴平均温度の差の予測値は約
200℃となる(図4点ロ)。これに対し、従来装置で
浴面直下循環流厚15は、実機浴流測定結果より100
mm弱程度存在し、この循環流内で浴液は熱を比較的速
やかに輸送するので浴液表面温度と浴平均温度の差の実
測値は例えば100℃強程度に減少する(図4点イ)。
このことは、従来技術における浴面直下循環流が浴液表
面温度低下に対して一定の効果を有することの有力な証
明のひとつである。しかし、従来技術における浴液表面
温度と浴平均温度の差100℃強という値は、反応容器
への熱負荷集中防止の観点からは依然過大なものであ
る。
【0029】次に従来装置に外部から攪拌力を付与して
浴面直下循環流厚15を拡大すると、循環流厚みの増大
に伴い、浴液表面温度と浴平均温度の差は急速に減少し
て、最終的にはほぼ0に達する。ここで、例えば浴面か
ら100mm以内の位置に弱い攪拌力というような不適
切な攪拌力付与条件の場合には浴液表面温度と浴平均温
度差はほととんど減少しない。100mmという深さの
境界的意義について説明する。従来技術においても四塩
化チタンを浴上から自由落下させて浴面に衝突させてい
たため、四塩化チタン液滴は若干は浴面下に侵入し、攪
拌力を発生していた。調査の結果、従来技術におけるこ
の攪拌深さは100mmを超えることはないことが判明
した。従って、100mmより浅い領域への攪拌力付与
は、従来技術において自然に発生する攪拌力に比べて十
分大きくなければ攪拌増強効果は顕著とならない。これ
に対して、従来滴下の及ばない浴面下100mmを越え
る位置での攪拌力付与にはこの様な制約がないため、付
与した攪拌力と強い相関をもった攪拌効果が得られる。
攪拌により浴液表面温度差が改善しない場合には浴面直
下循環流厚みも従来装置での厚みに近い値にとどまる。
即ち、浴液の均温化は、浴面直下循環流厚みを従来装置
での最大値である100mmを超えることができて初め
て効果が発現するといえる。このことを工業的に適用す
るためにより明確に定義すると、「浴面直下循環流に含
まれる反応浴液の浴面下100mmを超える深さの領域
の一部において、上方向の反応浴液流速を時間平均的に
発生、または、拡大、または、増大させる」ということ
になる。従来技術において、この100mmという浴面
直下循環流厚みは、広い操業条件範囲、例えば、滴下流
量5kg/m2・hrから500kg/m2・hrの範
囲、また、平均浴温800℃から1000℃の範囲、ま
た、容器直径1mから3mの範囲でこの値を超えること
はないという普遍的な値であることを本件発明者は見出
した。
【0030】次に、浴面直下循環流厚15を増大させる
ための具体的な攪拌力付与位置について図5で説明す
る。実機浴流及び浴温度測定結果を用いた計算結果か
ら、従来装置では浴面直下に例えば数十N程度の自然対
流に基づく駆動力が与えられていて、100mm以下の
浴面直下循環流厚15が維持されている。従って、この
自然対流による駆動力よりも充分に大きな攪拌力、例え
ば10000Nを外部から付与すると攪拌力付与位置に
よらずに浴面直下循環流の拡大、並びに、その結果とし
て得られる、浴液表面温度と浴液平均温度の差の減少効
果が得られる(図5線ロ)。この場合、攪拌力付与位置
が浴面下100mm以内であっても、浴面下100mm
より深い範囲に上向き流れが発生し、浴面直下循環流が
拡大したことになる。同じ攪拌付与力である場合、この
浴液均温化効果は攪拌力付与位置が深いほど高い。一
方、浴液に付与する攪拌力が例えば数N程度と小さい場
合、攪拌力を付与する位置の深さによって攪拌力の浴液
均温化効果に与える影響は大きく変化する(図5線
イ)。まず、攪拌力付与深さが浴面から100mm以内
の場合、攪拌力に比べてはるかに大きい自然対流の駆動
力が同じ領域に作用しており、攪拌力付与の効果は、単
に自然対流の駆動力が数%程度上昇した程度の影響に過
ぎないため、顕著な攪拌増強効果は得られない。次に、
100mmよりもやや深い領域に攪拌力を付与した場
合、付与位置が深くなるにつれて急速に浴面直下循環流
厚みは拡大し、浴液表面温度と浴平均温度の差も減少し
て顕著な攪拌増強効果が発現する。この様に小さい攪拌
力が浴面循環流厚みに大きな影響を与える理由は、次の
通りである。即ち、まず、浴面直下循環流下方の相対的
に低温な領域の浴液が攪拌力により上昇して浴面に達す
るため、浴面の平均温度が若干低下する。次に、浴面直
下循環流によって浴面からの浴液が流入する反応容器近
傍領域への入熱量が浴液表面温度低下により減少するた
め反応容器内壁に沿って下降する循環流部分はより深い
位置まで沈降可能となる。さらに、浴面直下循環流の主
たる抜熱部である反応容器内壁に沿った流れがより長く
なる結果、内壁近傍の浴面直下循環流は一層冷却された
後、循環流により再び浴面近傍に輸送されるため、浴面
平均温度が益々低下するといった一連の浴面直下循環流
拡大プロセスが作用する。つまり、この深さ範囲に付与
された攪拌力は、従来装置が本来有していた自然対流の
駆動力を効果的に浴均温化に作用させるためのトリガと
して働くだけであるので、比較的小さい力でも攪拌増強
効果を発揮できるのである。しかし、数N程度の小さい
攪拌力付与位置を更に深く設定して例えば浴面から2m
以上の深い浴位置とした場合、最早、この攪拌力により
生成された上昇流れは浴面直下循環流と結合することは
なく、浴中深部循環流16の一部となる。その結果、攪
拌力は浴面直下循環流厚みにほとんど影響を与えること
はなくなり、浴液の攪拌増強効果は再び消失する。
【0031】浴面直下循環流厚15を拡大するために必
要な攪拌力の具体的な値については、攪拌力付与位置ほ
ど単純には整理できない。なぜならば、他の条件が同じ
であれば攪拌付与力が大きい程、攪拌増強力が強くなる
傾向であることは確かであるものの、浴液均温化効果が
発現し始める最小攪拌力の値は、浴の温度分布、攪拌力
の付与位置及び付与形態、反応容器の冷却等の条件差に
より、非常に大きな幅で変動する。例えば、従来装置に
対し攪拌力を付与するに際して、化学反応させる前から
攪拌を開始して厚い浴面直下循環流を予め形成させてお
き、反応中も一度も浴面直下に高温領域を形成させない
場合と、一旦、浴面直下での高温領域が安定して形成さ
れた後に、この循環流厚み攪拌力により拡大しようとし
た場合の比較では、所要最低攪拌力は例えば数十から数
百倍の差となる。従って、付与する攪拌力は実機での浴
液均温化状況を観察して適宜設定する必要がある。例え
ば、浴面からの入熱が無く、かつ、温度分布のほとんど
存在しない浴液の場合、数Nの攪拌力付与により浴液全
体に大きな単一循環流を生成することができるが、25
0kg/m2・hの四塩化チタン滴下の場合、数十から
数百N程度の攪拌力の付与が浴面直下での大きな循環流
形成のために必要となる。
【0032】従来技術での四塩化チタン最大滴下流量で
の浴液温度分布図3線Aに、同一滴下量で第1発明を適
用した場合の浴液温度分布を図3線Bに示す。従来技術
の場合、浴面直下に高温部が集中しており、ここでの最
高温度を約1080℃のチタン−鉄共晶温度以下にする
ことが最大滴下流量制約要因である。これに対し、同一
滴下流量での第1発明の浴液温度分布では、浴液平均温
度は従来技術並みの値であるが、浴液が均温化されてい
るためその最高温度はチタン−鉄共晶温度を大幅に下ま
わる約800℃に低下する。尚、このときの攪拌力付与
条件は、浴面下300mmの位置に10N相当のもので
ある。浴温上限まで余裕があるので、第1発明では四塩
化チタン滴下流量を従来技術よりも増大することが可能
である。
【0033】第1発明を実現するためには、浴液速度分
布を測定することにより浴面直下循環流厚15を求め、
これを浴液攪拌装置の操作量にフィードバックすること
により所定の浴面直下循環流厚となる様に制御してもよ
いし、また、浴液攪拌装置操作量と作業条件と浴面直下
循環流厚の関係を予め求めておき、実操業での個別設定
時には所要とされる浴面直下循環量厚範囲となる様、こ
の関係から求められた浴液攪拌装置操作量を設定しても
よい。
【0034】ここで、「上向き」の流れといっているの
は、容器縦軸方向であるところの上下方向いずれかの向
きの流れのことを単に意味しており、必ずしも付与する
攪拌力が「上向き」である必要はない。なぜならば、本
件発明が対象とする様な密閉容器内流れは、浴液内部の
一部で時間平均的「下向き」流れを発生させた場合、同
じ水平断面内を通過する速度分布の積分値が時間平均的
に0とならなければならないため、この断面内のいずれ
かの位置では逆に時間平均的「上向き」の流れが発生す
るからである。但し、本発明者の調査の結果、浴液の狭
い範囲に「上向き」攪拌力を集中させることが、少ない
付加力で攪拌を増進させることに対して有効であること
が判明したので、設備的な制約などない限り、「上向
き」に攪拌力を与えることが一般に有利である。また、
浴液の一部の領域で上向き流れ21を発生、または、増
強して浴面直下の循環流を拡大・増強するということ
は、実質的には、この「上向き流れ」21が浴面直下循
環流の一部を形成することを意味する。なぜならば、浴
面直下循環流と無関係な位置に上向き流れを発生させて
浴中深部循環流16を形成・強化したとしても、その様
な循環流は浴面直下循環流の拡大にはほとんど寄与しな
いことを本発明者は見出したからである。
【0035】また、本明細書において、浴面直下「循環
流」と呼ぶ場合の「循環流」は、浴流れを時間平均した
流れが循環していることを意味している。これは、瞬時
には浴面直下循環流中により小さな循環流が多数存在
し、大きな循環流を形成しているようにみえない場合も
多いことによるものである。しかし、この様に一見、大
きな循環流を形成していない様にみえる流れでも、長く
ても数分程度の時間平均で浴流速度分布を測定してみる
と、浴面直下に大きな循環流がはっきりと認識でき、浴
面とこの循環流内部との熱輸送を促進していることを本
発明者は見出した。
【0036】また、「浴面直下」とは、反応浴液中で浴
面に最も近い、浴面垂直方向循環流の存在する範囲のこ
とを指し、例えば従来技術でいえば、浴面から浴面下1
00mm以内の深さ範囲領域に対応する。
【0037】また、「反応浴液表面」とは反応容器内に
おいて容器中に貯留された反応浴液層と浴上気体層の界
面のことを意味し、文脈上、誤解を与える可能性の余地
がない場合には単に「浴面」とよぶことにする。
【0038】また、請求項1「反応浴液の浴面下100
mmより深い領域の一部において」の「一部」とは、浴
面垂直方向断面に少なくとも浴面面積の0.1%以上の
面積を有する反応浴液中の領域のことを指す。0.1%
という値の根拠は、これより狭い領域で上方向反応浴液
流速を時間平均的に発生させたとしても、流れの運動量
が過小なため、必ずしも浴面直下循環流拡大による浴均
温化効果を示さないことによる。浴面垂直方向の領域長
さに関しては、攪拌力を付与する装置により所要領域長
さは大きく異なるので特に規定しない。
【0039】また、第1発明において、浴面直下の循環
流を「拡大」とは循環流厚みを増大させること、または
循環流中の最大流速を増大させること(この場合を以下
「増強」ということがある。)、「発生」とは還元反応
開始時の温度分布の小さい浴液に攪拌力を与えて循環流
を生起することを意味する。「拡大」「増強」「発生」
は、それぞれ異なる概念であり、厳密には同時に成立す
るとは限らない。しかし、「拡大」「増強」「発生」
は、いずれも多くの場合、攪拌力の付与により効果が増
大する傾向にあるので、本発明において循環流の「拡
大」効果があるというときは、特に断らない限り、「増
強」や「発生」効果も存在すること意味することにす
る。
【0040】次に、第2発明の作用を説明する。まず、
本件発明と従来技術との差異の要点を述べる。従来技術
では、反応浴液温度の作業条件は、容器鋼とチタンの共
晶温度である1080℃未満とされており、反応浴液表
面温度に関してはこの上限温度直下での作業が指向され
ていた。これは、従来作業では浴液に攪拌力を与えてい
ないため、生産性を上昇させるためには浴液表面温度の
上昇が避けられなかったためである。これに対し、第2
発明では反応浴液に攪拌力を与える前提で浴液表面温度
作業条件の上限値を新たに950℃に設定することによ
り、反応容器内での熱負荷集中の大きな原因となる浴上
気体層中反応量を低減して反応容器への熱負荷集中を緩
和するとともに反応容器内最高温度を低下させ、従来技
術よりも高い生産性、並びに、容器寿命延長の両立を可
能にすることが特徴である。さらに、浴液表面温度が9
50℃を超える高温の場合、化学反応は、浴上気体層反
応主体となるため浴面近傍の反応容器に熱負荷が集中す
るという現象自身もこれまで知られておらず、本発明者
により今回初めて明らかにされたものであり、本発明
は、この事実に基づいて効果的に生産性向上と容器寿命
延長を両立させる手段を見出した点に特徴がある。以
下、詳細に説明する。
【0041】第2発明は、第1発明の方法を前提に浴上
気体層中反応発熱量を抑制するための方法である。従来
技術で浴上気体中反応発熱の比率が高くなる原因は、前
述の様に、浴液表面温度が1000℃以上の高温である
ためマグネシウムの浴上気体層中への蒸発とそこでの還
元反応、即ち、浴上気体層中反応が大量に発生するため
である。従来技術では、浴を積極的に均温化する手段が
存在せず、四塩化チタン滴下流量も最大生産性を目指し
た操業を指向していたため、浴液表面温度を常時、上限
温度直下に設定することは避けられない作業条件であっ
た。これに対し、第2発明は、第1発明による浴液攪拌
力を浴液に付与して浴液表面温度を低温側に制御するこ
とが可能であることを利用して、浴上気体層中反応速度
の全反応速度に対する比率が充分小さく、浴上気体層中
反応が反応の主経路でない操業条件範囲に浴液表面温度
を設定することにより、浴上方での反応容器内壁への熱
負荷を減少させるものである。ここで、浴上気体層中反
応が反応の主経路でない操業とは、図7に示す「浴上気
体中反応発熱量/全反応発熱量」が30%以下となる条
件とした。特に30%という値を選択した理由は、図7
に示す様に、浴上気体中反応発熱がこの割合を超える
と、わずかな温度上昇で浴上気体中反応発熱の比率が急
上昇してこの反応が反応主経路となるため、浴液表面温
度制御が困難になるためである。
【0042】第2発明において、「浴上気体中反応発熱
量/全反応発熱量」を30%以下とする具体的な条件
は、浴面での最高温度を950℃以下に維持することで
ある。図6に示す様に、この温度以下では、従来装置で
の作業条件に比べてマグネシム蒸気圧が充分低いため、
図7に示す様に「浴上気体中反応発熱量/全反応発熱
量」が30%以下に維持されるのである。この浴面での
最高温度を950℃以下に維持するという条件は、広い
操業条件範囲、例えば、四塩化チタン滴下流量が5kg
/m2・hrから500kg/m2・hrの範囲で有効で
ある特徴的な値であることを本発明者は見出した。
【0043】浴上気体層中反応発熱量比率を低下させる
ことにより、四塩化チタンの還元反応は浴面での表面反
応が主体となる。浴面反応での発熱は、より熱の伝わり
やすい浴液側に大部分が流入する。液側に流入した熱量
は、第1発明の効果により速やかに浴深部に輸送される
ので、浴温が局所で極端に高温になることや浴中反応容
器壁への熱負荷が集中することはない。また、図3に示
す様に、従来技術(図3線A)では浴上気体中発熱に起
因する極端な高温部が浴上気体層に存在するが、第2発
明(図3線B)では浴上気体中での発熱が元々小さいた
め、浴上気体層中に極端な高温部は存在せず、浴上方の
反応容器内壁への熱負荷が低減される。浴面最高温度を
常に950℃以下に設定することにより、従来技術での
四塩化チタン最大滴下流量の2倍の滴下流量を平均的に
滴下しても反応容器への熱負荷集中は従来技術並みに抑
制できることを本件発明者は確認した。この様に浴液表
面温度を従来技術より低く設定することにより浴液・浴
上気体ともに極端に高温な領域を形成させないことが可
能になったのは、従来技術における四塩化チタン還元反
応が主として浴上気体中の反応によること、並びに、浴
上気体層中反応がマグネシウム蒸気圧、即ち、浴液表面
温度の上昇とともに急激に促進され、特に浴液表面温度
950℃を超えるとこの効果が顕著になることを本発明
者が初めて見出したことに基づくものである。尚、反応
浴液均温化が生産性向上のために有利であることを第1
発明で示したが、浴液均温化の観点から、第2発明にお
ける反応浴液平均温度の望ましい上限値は、反応浴液表
面温度上限値と等しい950℃である。
【0044】また、第1発明の効果により、効果的に浴
を冷却することができるため、従来並みの四塩化チタン
供給流量の場合、浴平均温度を低温まで設定可能であ
る。このことは、反応容器寿命、並びに、成品チタン汚
染の観点から有利な操業条件である。しかし、実機操業
上、浴の平均温度が770℃未満に低下すると、反応容
器内で局部的にマグネシウム融点以下となる領域が発生
し、浴の流動性低下、並び二塩化マグネシウムの排出困
難などの問題が発生するため、浴平均温度は770℃以
上を維持しなければならないことを本発明者は見出し
た。例えば、浴温度を平均770℃に設定した場合、反
応容器の寿命を従来技術の1.5倍に延長できる。第2
発明の作用をまとめると、浴液平均温度を770℃以
上、かつ、浴面での最高温度が950℃以下に設定する
ことにより、従来技術の2倍の生産性、または、従来技
術以上の製品品質及び設備寿命を確保できる。尚、第2
発明における反応浴液表面温度の望ましい下限値は、反
応浴液平均温度下限値と同様の理由により770℃であ
る。
【0045】ここで、「反応浴液平均温度」とは、ある
瞬間での反応容器内の反応浴液全体についての空間平均
温度のことを意味する。また、「反応浴液表面温度」と
は、浴液と浴上ガス層との界面の浴液側温度のことであ
る。反応浴液表面及び反応浴液平均温度は、ともに浴面
及び浴中に熱電対などの測温装置を挿入し、そこでの温
度を測定することにより得ることができる。反応浴液表
面温度及び反応浴液平均温度の設定方法は、浴液温度測
定値を反応容器の加熱・冷却装置に対してフィードバッ
クし、反応容器への入出熱を制御することにより、浴温
を所定範囲内に維持してもよいし、また、反応容器の加
熱・冷却装置特性と作業条件と浴温の関係を予め求めて
おき、実操業での個別温度設定時には浴温が所定範囲内
となる様に、この関係から求めた反応容器加熱・冷却装
置への設定値とし、反応容器への入出熱を変化させるこ
とにより実現できる。
【0046】次に、第3発明を図8を用いて説明する。
第1発明、または、第2発明のいずれかの方法において
反応浴液2中にスクリュ22を挿入されている。スクリ
ュ22は、伝導軸23に接続し、伝導軸23は反応容器
外部にひきだされ、電気モータ等のアクチュエータ25
により回転力をスクリュに伝導する。伝導軸23は可動
設備であるため、伝導軸が反応容器を貫通する部分には
外気の反応浴液への侵入を防ぐためのシール装置24を
設置する。スクリュ22が回転することにより、浴液に
攪拌力が与えられるが、浴面直下循環流厚みを拡大でき
る大きさの攪拌力をスクリュが浴液に付与することによ
り、浴液の均温化効果が得られる。スクリュは、反応容
器軸近傍の浴面下100mmから2000mmの範囲に
設置し、攪拌力の向きを垂直上向きに設定することが最
も小さな攪拌力で浴面直下循環流厚み拡大効果がえられ
る条件である。
【0047】第3発明を実現する際には、浴流速度分布
の測定値から浴面直下循環流厚みを求め、これを攪拌装
置操作量にフィードバックして所定の浴面直下循環流厚
みとなる様に制御してもよいし、また、攪拌装置操作量
と作業条件と循環流厚みの関係を予め求めておき、実機
での個別設定時には所要浴面直下循環流厚範囲となる
様、攪拌装置操作量をこの関係から求めて設定してもよ
い。
【0048】次に、第4発明を図9を用いて説明する。
第1発明から第3発明のいずれかの方法において、浴液
中に棒状、または、へら状構造体である攪拌棒26を挿
入する。この攪拌棒26は、反応容器内部または外部に
おいて、回転可能な支点に接続し、エアシリンダなどの
アクチュエータ25により攪拌棒は浴中で揺動、また
は、回転して浴液を攪拌し、浴液を均温化する。攪拌棒
の支点は反応容器の一部であっても良いし、反応容器を
貫通して容器の外部にあっても良い。但し、反応容器の
外部に支点が存在する場合には、攪拌棒が反応容器を貫
通する箇所にシール装置24が必要である。浴中での攪
拌棒の揺動により、浴中には容器半径方向、または、周
方向の流れが主として発生するが、浴面直下での軸方向
流れも発生・増大される。これは、攪拌棒により生成さ
れた半径方向流れの一部が容器壁面で転流する際に容器
軸方向の成分も発生させることや、攪拌棒により供給さ
れる乱流エネルギの効果である。反応容器軸近傍の浴面
下100mmから2000mmの範囲に設置することが
効果的である。攪拌棒の先端は攪拌棒の形状は、必ずし
も棒状やへら状でなくても効率的に浴液に攪拌力を伝達
できればよいのであり、開口を有する平板、ひも状、螺
旋形など様々な形態があり得る。一例として図10に先
端に先端に円盤を接続した攪拌棒26を上下に往復動さ
せる形態のものを示した。図10では攪拌棒は反応容器
外に設置されたアクチュエータ25に接続されて浴中で
円盤が上下に往復動することにより、軸方向の攪拌力を
浴液に付与する装置である。円盤の流体抵抗は円盤移動
速度の2乗に比例するので、円盤上昇時は素早く、円盤
下降時は緩慢に設定すると時間平均的に上向き攪拌力を
与えることができる。第4発明による浴面直下循環流厚
拡大効果の確認は、「発明が解決しようとする課題」に
記載した浴流速度測定と同様の方法により可能である。
【0049】第4発明を実現する際には、浴流速度分布
の測定値から浴面直下循環流厚を求め、これを攪拌装置
操作量にフィードバックして所定の浴面直下循環流厚み
となる様に制御してもよいし、また、攪拌装置操作量と
作業条件と循環流厚みの関係を予め求めておき、実機で
の個別設定時には所要浴面直下循環流厚範囲となる様、
攪拌装置操作量をこの関係から求めて設定してもよい。
【0050】次に、第5発明を図11を用いて説明す
る。第1発明から第4発明いずれかの方法において、反
応浴液2中に反応容器外部を貫通させた攪拌気体供給管
27を挿入し、この攪拌気体供給管27の浴中部分に気
体吐出口を設け、この吐出口より、反応浴液と反応しな
い気体を反応浴中に吐出する。ここで、反応浴液と反応
しないしない気体とは、例えばアルゴン等の不活性ガ
ス、或いは、浴液との反応性が比較的低く、実質上浴液
と反応しないとみなせるメタン等の有機ガス、窒素、一
酸化炭素、二酸化炭素、または、水素等のいずれかの気
体のことである。浴液と反応しない気体を浴中に放出す
るため、反応容器外部での攪拌気体供給管はガスボンベ
37及びコンプレッサ36に接続されており、背圧が与
えられ、配管途中にガス流量、または、圧力の調整弁3
5が設置されている。吐出された気体は浴中で気泡2
8、または、浴面に貫通する蒸気柱を形成して浴中を上
昇する。この気泡28の上昇に伴い浴液に付与される駆
動力と蒸気中を上昇する気体が蒸気柱周囲の浴液に与え
るせん断力に基づく駆動力により浴液には攪拌力を与え
ることができる。吐出された不活性ガスは最終的には浴
上気体中に放出蓄積されるので、適宜、放出ガスは反応
容器外に放出されなければならない。このため、費用の
観点から投入ガス量は最小化すべきである。また、浴中
に放出された気泡内にはマグネシウムが盛んに蒸発し、
マグネシウム蒸気を大量に含んだ気泡が浴上気体層中に
放出される結果、四塩化チタン蒸気と浴上気体中で反応
するため、浴上気体の温度が上昇して浴面上方反応容器
内壁への熱負荷を上昇させる。従って、反応容器熱負荷
集中の観点からも、投入ガス量を最小限とすべきであ
る。本件発明者は、浴中への不活性ガス吹き込みの詳細
な実機化検討の結果、浴中での気体吹き込み口を浴面下
100mmから2000mmの範囲に設定することによ
り、例えば、0.001から0.1Nl/秒といった比
較的少ないガス投入量で浴面直下循環流14厚みの拡大
効果、即ち、浴液均温化効果を得られることを見出し
た。この様に少ないガス量で大きな浴液攪拌効果の得ら
れる理由は、次の通りである。第一に、既に述べた様に
ここで与える攪拌力は、浴面直下循環流を拡大するトリ
ガとして働くのみなので小さい力でよいからである。第
二に、少ない投入ガス流量で高い攪拌力を与えるために
は、浴中でのガス形状を蒸気柱ではなく気泡状にするこ
と、並びに、気泡径を極力小さく設定することが一般に
有効であるが、本件発明では、浴面下100mmから2
000mm範囲でガスを投入し、かつ、ガス供給口出口
径が1mmから50mmの範囲、かつ、投入ガス流量を
0.001から0.1Nl/秒の範囲で作業することに
より、浴中で細かい気泡状で投入ガスを浮上させること
ができるからである。図11では攪拌気体供給管は直管
で浴面に対して斜めに挿入されているが、管形状は、曲
がり管であってかまわないし、攪拌ガス吐出口も管端部
だけではなく、管側面に開口を設けてもよいし、開口の
数も1個でも複数でもかまわない。さらに、本管から別
の管を分岐させて、その管の開口部から攪拌気体を吐出
しても良いし、開口の先端にノズルを設けてもかまわな
い。これら管形状条件は、主として実機をエンジニアリ
ングするうえで、対象となる個々の設備毎の特殊性に対
して最も効率的なものを選択すれば良い性質のものであ
る。また、アルゴンガス投入流量も、浴中を浮上する気
体が蒸気柱状となくことなく、気泡を形成する様に適宜
設定すれば良い。浴中蒸気形状を測定する方法は、例え
ば、2つの電極を浴中に挿入し、電極間の電気抵抗変化
により求めることができる。これは、浴液に比べて、蒸
気の電気抵抗は著しく大きいことを利用して電極間の蒸
気の存在を認識する方法である。蒸気が気泡形状の場合
には電極間抵抗は気泡通過による抵抗低下は、間欠的に
発生するのみであるが、蒸気柱内に存在する電極では少
なくとも数秒に渡り連続した低抵抗期間が検出される。
【0051】次に、第6発明について、従来技術との差
違の要点を説明する。従来技術と本件発明は、ともに、
反応浴液上方から四塩化チタンを供給するとともに浴面
下に循環流を形成するものである。異なるのは、従来技
術では滴下される四塩化チタン液が供給管出口直前にお
いて常圧の不安定な二相流状態であり、低速の自由落下
液滴として浴面に分散的に達するため四塩化チタン液が
浴中深く達することはなく、浴面直下循環流厚15は、
100mm以下に留まる。これに対し、本件発明では供
給する四塩化チタン液に高い背圧を与え、かつ、吐出部
直前でノズルで液を絞り、整流化することにより、ノズ
ル内の吐出直前においても四塩化チタンを単相流に維持
したまま噴射し、浴面に収束して高速で衝突させること
により浴面下100mmを越える深さまで四塩化チタン
を到達させ、浴面直下循環流厚15を100mmを超え
る厚みとすることで浴液をより均温化することができ
る。以下、詳細に説明する。
【0052】第6発明を図12を用いて説明する。第1
発明から第5発明いずれかを前提として、反応浴液の浴
面6上方に浴面6に向けて設置されたノズル29を通し
て、背圧のかけられた四塩化チタン液を浴面6に対して
噴射する。ノズル29に背圧を与えるために四塩化チタ
ン供給管8は、反応容器外部でポンプ33及び四塩化チ
タン液タンク34に接続されており、配管途中に液流
量、または、液圧力の調整弁35が設置されている。噴
射された四塩化チタン液噴流30は浴面6に到達すると
浴中に侵入し、浴中の噴流周囲に洞穴状塩化チタン塩化
物蒸気膜31を形成する。この洞穴状塩化チタン塩化物
蒸気膜31の反応浴2中での最深到達距離であるところ
の浴面からの蒸気膜侵入深さ32を浴面下100mmを
超えた深さに到達させることにより、浴液攪拌増強効果
が得られ、浴面直下循環流厚15は増大する。ここで、
ノズル中心軸と浴面のなす角は特に規定しないが、噴射
四塩化チタンの浴面からの侵入深さ32が充分確保でき
る様、適宜設定する。この浴液攪拌増強効果が得られる
機構を図13を用いて説明する。四塩化チタン供給管8
及び四塩化チタン噴射ノズル29は、内部を四塩化チタ
ン液で満たされ、例えば数十万Paといった比較的大き
な背圧が与えられている。ここで、「背圧」と呼ぶのは
ノズル出口と入口の静圧差のことである。第6発明にお
いてノズル出口静圧は、反応容器内気体圧力に等しく、
容器内への外気侵入防止のために通常、大気圧より数万
Pa程度高く設定する。ここに示した配管及びノズル内
部は、常に四塩化チタン液で満たされており、ノズル出
口では背圧は、四塩化チタン噴流の運動量に大部分が変
換される。第6発明において吐出された四塩化チタン噴
流30は、単相の液噴流であるか、液滴の集合である二
相流型噴流のいずれかであるが、ノズル先端から浴面間
距離が例えば2000mm以下と比較的短い場合には、
吐出時に噴流に与えられた運動量はほとんど減衰するこ
となく浴面6に衝突する。この衝突により、浴面はおし
広げられて噴流は浴面より深い位置に到達することがで
きる。噴流先端部では四塩化チタン液が激しく蒸発する
ことにより噴流と浴液の間に洞穴状塩化チタン塩化物蒸
気膜31を形成し、噴流と浴液が直接接触混合すること
を妨げる。この蒸気膜中のチタン塩化物ガス(四塩化チ
タン蒸気及び中間生成物であるチタン低級塩化物ガス)
は、一部は浴面で反応吸収されるが、残りは、浴上気体
5中に放出される。洞穴状塩化チタン塩化物蒸気膜から
浴上気体中に放出されるガスの流速は例えば数百m/秒
と極めて早いため、洞穴状塩化チタン塩化物蒸気膜の浴
液表面に強いせん断力を与えつづける。これが、浴液に
上向きの攪拌力を付与する第1の駆動力となる。この
他、第2の駆動力が存在する。これは、洞穴状塩化チタ
ン塩化物蒸気膜が形成される際、多くの場合、蒸発した
四塩化チタンの一部が、洞穴状塩化チタン塩化物蒸気膜
と一体化できず、浴中に孤立した気泡として放出され、
反応浴中を上昇する。この孤立気泡20の上昇により浴
液に対して上向きの力が与えられることによるものであ
る。浴中への侵入深さ32が時間平均的に100mmよ
り大きくなるように四塩化チタン噴射条件を設定する
と、この第1及び第2の駆動力により容易に数十Nの攪
拌力が得られ、かつ、浴面直下循環流厚15の拡大に効
果が発生することを本発明者は見出した。浴中への侵入
深さ32が増大するに従って、浴面直下循環流厚み拡大
効果は急速に増大する。尚、第6発明における様な揮発
性液噴流の高温液面への高圧噴射による攪拌効果が第1
及び第2の駆動力によること自身も本発明者がはじめて
見出した事である。
【0053】第6発明のこの他の作用として、浴中に形
成された蒸気膜や蒸気泡中のチタン塩化物ガスは、浴中
侵入深さが例えば300mm以上と大きい場合には、単
に、浴液攪拌による浴液の均温化効果のみならず、四塩
化チタン蒸気が浴上気体層中に放出するまでにかなりの
割合で浴中で反応が進行するため、浴上気体中へのチタ
ン塩化物ガス放出量の減少する効果が発生する。浴上気
体中へのチタン塩化物ガス放出量が減少すると浴上気体
中での反応及び浴面での反応量が減少するため、浴上気
体層中での反応の全反応に対する割合が一層低下して浴
面近傍反応容器壁への熱負荷集中を緩和する。同時に、
ガスバブリング効果により、反応生成物に起因して浴面
に発生する表面膜を破壊し、浴面での反応効率を向上さ
せ、より大きな四塩化チタン滴下流量まで対応可能とな
る。
【0054】第6発明を他の浴液攪拌手法と比較した場
合の利点は、第1に、浴を攪拌するために生成したスポ
ンジチタン塊の汚染の懸念や、成長するスポンジチタン
塊との物理的干渉の存在しうる、攪拌棒・四塩化チタン
供給管や不活性ガス供給管を浴液中に投入する必要がな
いこと、第2に、浴面上方から浴中に四塩化チタンを供
給する際に高速の液滴を浴面に打ち込むため、浴上から
のガス吹き込み法等に比べて、容易に高い衝突圧が得ら
れて大量に飛沫を発生させることなく、大きな浴中侵入
深さを達成できること、第3に設備が他の攪拌法に比べ
て比較的的簡素に構成できることなどが挙げられる。
【0055】次に、従来技術との違いをより詳細に説明
する。まず、反応容器内への四塩化チタン吐出直前状態
で、本件発明が高速単相流を維持するのに対し、従来技
術では低速二相流となってしまう原因は、従来技術では
滴下配管閉塞防止の観点から吐出管口径が20mm以上
と大きいのに対し、本件発明ではノズルで流れを絞る結
果、ノズル吐出径が10mm程度以下と小さいことであ
る。これは、配管系及びノズル内部が常に四塩化チタン
液で満たされるための条件は、ノズル流量に対してノズ
ル内径が充分に小さいことが必要であるからである。な
ぜならば、ノズル内径がノズル流量に対して過大な場
合、ノズル内での液流れはノズル内を満たした単相流と
して一様に遅く流れるよりも、ノズル内の一部のみを高
速で流通し、他の部分は気体で満たされる二相流状態の
方が運動量的に安定となるからである。また、ノズル流
量は作業条件により予め定められているので、配管系及
びノズル内部を常に四塩化チタン液で満たすためのノズ
ル内径には最大値が存在することになる。従来技術での
四塩化チタン最大供給流量250kg/m2Hr、か
つ、従来技術での四塩化チタン滴下背圧条件に対応する
配管系及びノズル内部が常に四塩化チタン液で満たすた
めのノズル内径最大値は、実験の結果、約12mmであ
り、従来技術に採用されてきた吐出管径より遥かに小さ
い。また、実験結果より同一流量でノズル内径をより小
さくする、即ち、流れをより絞るほど流れは安定化して
二相流化しにくくなる。ノズル背圧を上昇させることは
ノズル流量を増大させる効果があるので、従来技術最大
流量並みで作業する場合にノズル背圧を上昇させるため
には少なくともこの内径12mm以下のノズルを適用す
る必要がある。管内で一旦、二相流化した流れは、周囲
気体との抵抗、供給管壁や他の液滴との衝突により、単
相流に比べて運動量を消費しやすく、二相流化後、例え
ば2m以内で当初有していた運動量の大部分を失う。従
来技術においても、四塩化チタン供給管の元圧をポンプ
により10万Pa程度を有するものが存在したが、供給
途中での管内二相流化により運動量を失うため、供給管
吐出口においてはいずれも常圧低速流となってしまって
いた。また、これ以上、四塩化チタン供給管元圧を上昇
させても徒に途中配管での圧力損失を増加させるのみで
あり、最終的な吐出流速に与える影響は小さいため、元
圧の極端な高圧化は試みられなかった。これに対し、本
件発明では、四塩化チタン吐出直前に至るまで、途中配
管内は常に四塩化チタンで満たされた単相流状態であ
り、途中配管での圧力損失は従来技術に比較して極めて
小さい。従って、四塩化チタン供給元圧を上昇させるこ
とにより最終的な吐出速度を上昇させることができるの
で、本件発明ではノズル高背圧条件による四塩化チタン
液の高速噴射が可能となった。
【0056】また、従来技術と本件発明で反応容器内へ
の四塩化チタン吐出時の液状態の違いは、浴面に形成さ
れる蒸気膜形状の両者の差の原因ともなる。従来技術で
は、不安定な二相流液滴として四塩化チタンが滴下され
るため、液滴は落下中に更に分散し、浴面の広い範囲に
落下する。この結果、従来技術で浴面に形成される蒸気
膜形状は、浅く広いなべ底型となり、浴面からの侵入深
さ32を確保するのには不利である。一方、本件発明で
は、ノズルから吐出された四塩化チタンは、吐出前に単
相流として整流化されており、吐出後の乱れが小さく直
進性が高いので噴流が浴面の狭い範囲に収束して衝突す
る。この結果、本件発明で浴面に形成される蒸気膜形状
は、深く狭い洞穴型となり、浴面からの侵入深さ32を
確保し易い。
【0057】第6発明が、他の浴液への攪拌力付与方法
と異なる点は、四塩化チタン液噴流により浴液を攪拌す
るため、攪拌力の付与と同時に原料である四塩化チタン
液の供給も行うことである。この第6発明における四塩
化チタン供給の役割は、様々なレベルで実現できる。ま
ず、図12は、従来技術での四塩化チタン滴下管8と攪
拌力付与装置として別系統に四塩化チタン液噴射ノズル
29を設置した構成であり、四塩化チタンの主たる供
給、即ち、主供給は、従来技術での四塩化チタン滴下管
8により行われる。この設備構成の場合、四塩化チタン
の主供給と浴攪拌のための四塩化チタンの供給条件をそ
れぞれ独立に最適設定することができ、操業条件設定の
自由度が高い。これに対して、図14の設備構成では、
第6発明における四塩化チタン主供給と浴攪拌を同一の
四塩化チタン噴射ノズルで実施することにより設備を簡
素化したものである。これは、四塩化チタン主供給と攪
拌用四塩化チタン供給を両立させる最適操業条件を厳密
に設定することで実現可能である。また、図14の設備
構成では、四塩化チタンの全供給量を浴攪拌に適用する
ことができるので、供給四塩化チタンの一部しか攪拌に
用いない構成に比べてより大きな攪拌効果を得易い。い
ずれの構成とすべきかについては、必要とされる攪拌効
果、作業の容易性や設備費等を総合的に考慮してエンジ
ニアリング的に判断すべき問題である。
【0058】第6発明の実施において、浴面からの侵入
深さを確認する方法は、例えば、反応浴中に2本の電極
を挿入し、電極間の電流変化の空間分布を測定すること
により求めることができる。これは、四塩化チタンの浴
中への侵入とともに発生した蒸気が電極間に存在すると
電極間電気抵抗が著しく大きくなることを利用して蒸気
を検出する方法である。
【0059】次に第7発明の作用について説明する。第
7発明は、第6発明において、具体的な作業条件を規定
したものである。第6発明の原理は、大きな衝突圧で四
塩化チタン液を浴面に衝突させれば、浴中で浴面から1
00mmより深い位置に蒸気膜が形成され、これに伴っ
て浴面直下循環流厚みが増大するというものであり、こ
の原理自身は常に正しいといえる。しかし、高い噴流衝
突圧を与えるために単に高圧・大口径・ノズル近接化を
図ることは、浴面での大量の飛沫発生を招き、浴面上方
の機器・構造物をこの飛沫で汚染する。この様な機器・
構造物表面の汚染物は、機器・構造物表面から溶出した
鉄などの不純物を大量に含んでおり、これら汚染物は、
四塩化チタン還元操業中にしばしば、浴面に落下し、成
品チタンにとり込まれるため、成品チタンの純度を問題
とする様な高級チタン金属製造時には、この様な浴液飛
沫発生を極力避ける必要がある。本件発明者は、詳細な
第6発明の実機化条件の検討から、第7発明において、
浴面からの飛沫発生量を最小にし、かつ、浴攪拌に必要
な浴中への侵入深さを満足するための、ノズル内径・ノ
ズル背圧・ノズル−浴面間距離・ノズル形状の各作業条
件を見出した。以下、作業条件ごとに具体的に説明す
る。尚、これら4つの作業条件範囲であれば、各作業条
件の任意の組み合わせで浴面直下循環流厚みの拡大効果
が得られるが、循環流厚み拡大効果の大きさは、組み合
わせ条件により当然異なる。即ち、ノズル内径はより大
径に、ノズル背圧はより高圧に、ノズル−浴面間距離は
より近く、ノズル出口近傍での直管部はより長く作業条
件を設定することが、循環流厚み増大効果をより強化す
る方法である。
【0060】第一に、図16を用いて、ノズル内径の影
響を説明する。ノズル内径が1mm未満の場合、噴流が
細すぎて浴中の洞穴型蒸気膜中で安定して噴流を維持す
ることができないため所要侵入深さである浴面下100
mmを満足できない。一方、ノズル内径が大きくなるに
つれて浴面に衝突する四塩化チタン噴流の断面積が増大
するため、この噴流の浴中侵入により浴面・浴中から排
除される浴液量も増大し、浴面での浴液飛沫発生量・飛
沫液滴径・飛沫飛散範囲が急激に増大する。ノズル内径
が10mmを超えると飛沫の発生は特に顕著であり、直
径10mm以上の大型飛沫が容器壁に直接飛散・付着す
るようになり、容器成分の溶出によるチタン成品の汚染
は、高級チタン金属における一般的な品質許容範囲を維
持できなくなる。ノズル内径が10mmを超えた場合の
飛沫発生は、他の3作業条件範囲内のいかなる設定にお
いてもこれを許容範囲に抑制することはできないため、
この様なノズル内径条件は適用不可能である。従って、
ノズル内径は、1mmから10mmが適切な作業可能範
囲である。
【0061】第二に、図17を用いて、ノズル背圧の影
響を説明する。噴流の吐出される反応容器内浴上気体
は、数万Pa程度のやや正圧であるので、ノズル背圧と
ノズル出口圧の静圧差を作業条件の定義とした。ノズル
−浴面間距離が1000mm程度以下の場合、ノズル背
圧は、四塩化チタン液噴流30が浴面に衝突する時点で
の最大衝突力をほぼ一義的に定める。また、浴中への侵
入深さ32は、[衝突力]/[衝突断面積]で定義され
るところの四塩化チタン液噴流30衝突圧が洞穴状チタ
ン塩化物蒸気膜が周囲浴液から受ける静圧を大きく超え
る浴中深さまで四塩化チタン液噴流が侵入することはあ
りえない。つまり、浴中へのある所要侵入深さに対する
ノズル背圧には物理的な下限値が存在する。本件発明に
おける浴面直下循環流厚み拡大効果を発揮するための所
要侵入深さは満足する条件は、ノズル入口−出口圧力差
が100,000Pa以上である。また、ノズル入口−
出口圧力差が5,000,000Paを超えると浴面で
の飛沫発生により操業不可能となった。従って、ノズル
入口−出口静圧差については100,000Paから
5,000,000Paが適切な作業条件である。
【0062】第三に、図18を用いて、ノズル−浴面間
距離の影響を説明する。吐出された噴流は飛行するに従
って衝突断面積が大きくなるため衝突圧が低下する。前
述のノズル衝突圧と浴中への侵入深さの関係から、本発
明における浴面直下循環流厚み拡大効果を発揮するため
の所要侵入深さは満足する条件に関しては、浴ノズル先
端−浴面間距離が2000mm以下であることを本発明
者は見出した。一方、ノズル先端−浴面間距離が50m
m未満となると飛沫の発生が著しくなり、ノズル、また
は、ノズル覆いに飛沫への付着が多くなるため、作業を
継続できなくなる。従って、ノズル先端−浴面間距離
は、50mmから2000mmが適切な作業条件範囲で
ある。
【0063】第四に、図20を用いて、ノズル形状の影
響を説明する。単相の液噴射ノズルとして代表的なもの
は、ノズル出口近傍でのノズル内断面積がノズル出口に
向けて次第に拡大する形状であり、かつ、噴射液を液滴
化・分散化することを目的とするノズル、即ち、スプレ
ノズル、並びに、ノズル出口近傍にノズル出口に向けて
断面積がほぼ一定を保つ直射ノズルがあげられる。本件
発明者が得た知見によると、第6発明に対して、ノズル
テーパ角が10°を超える汎用スプレノズルを適用した
場合、浴面衝突断面積が増大するため浴中への所要侵入
深さを満足するためには、直射ノズルに比べて比較的大
きなノズル背圧・供給液流量が必要となり、浴面からの
飛沫発生に対して不利である。従って、ノズル形状とし
て、直射ノズルを適用することが作業条件である。直射
ノズルの断面形状を図19を使って説明する。上流から
供給された四塩化チタン液は、直射ノズル内で流れの進
行とともに絞られ、高速化する。この際、ノズル背圧
は、液流れの運動量に変換される。絞られた後の液流れ
は、ノズル出口直前に設けられたノズル出口直管部で整
流化されるとともにノズル出口の外部気体との圧力と一
致する方向にノズル内流れの静圧を減少する。このノズ
ル出口直管部の具体的な効果は、第1に、吐出噴流の乱
流強度を減少させて吐出後の噴流飛散を防ぐこと、第2
に、静圧を運動量に変換する場として機能することによ
り、吐出時の噴流静圧を吐出先のガス圧に一致させて、
吐出時の噴流−ガス間静圧差に基づく爆裂的噴流分散を
防止することである。尚、直射ノズルの断面形状は、必
ずしも円形である必要はなく、例えば反応容器形状に応
じて、楕円形や矩形断面でもかまわない。また、直射ノ
ズルの出口にノズル出口欠損による吐出噴流の不均一化
を防止するための面取り加工を施す場合も存在するが、
面取りが例えば1mm以下と小さい場合には、このノズ
ルも実質的に直射ノズルと同様の噴流特性を発揮するの
で、直射ノズルの一種とみなせる。また、単に四塩化チ
タン供給管壁にキリ通し孔を設けてこの孔から液を噴射
する場合もあり得るが、キリ通し孔の深さが1mm程度
以上存在すれば、孔を通過する際の噴流整流化が期待で
き、これも一種の直射ノズルである。つまり、ノズル出
口近傍に直管部を有することが液噴流の噴流半径方向へ
の広がりが小さく直進性にとって有利である。そこで、
図20に示すこのノズル出口近傍直管部長さと浴液中へ
の侵入深さの関係を調査した結果、ノズル出口近傍直管
部長さが1mm未満の場合、急激に四塩化チタン液噴流
の直進性が悪化して浴中への侵入深さを減少させること
を見出した。この1mmという値は、ノズル内径作業条
件範囲である1mmから10mmの直射ノズルに対し
て、普遍的な限界値であることを本発明者は見出した。
ノズル出口近傍直管部長さは長いほど整流化効果が上昇
するが、直管部長さが極端に長大な場合には直管部での
圧力損失により作業費増となる。結論として、ノズル出
口近傍直管部長さは、1mm以上設定することが適切な
作業条件範囲である。尚、ここではノズル出口近傍に直
管部を有する直射ノズルについての最適操業条件を述べ
たが、断面積がノズル吐出口側に次第に狭くなる先細ノ
ズル、または、ノズル吐出口側に次第に広くなる末広ノ
ズルに関しても、テーパ角が30°(先細ノズル)、ま
たは、10°(末広ノズル)以下と小さい場合には直射
ノズルに近い性能を示す。これは、先細ノズル、また
は、末広ノズルというノズル形状が高性能を与えている
わけではなく、単にノズルテーパ角が小さいのでテーパ
の影響が小さい、即ち、直射ノズルに近い形状であるこ
とによるものであり、作動原理及びその効果に関して、
直射ノズルに述べたものとなんら変わりない。従って、
本発明は、これらテーパ角の小さい先細ノズル及び末広
ノズルを包含している。
【0064】ここでノズルの「テーパ角」といっている
のは、ノズル軸方向にノズル内壁勾配にそって延長した
仮想面がノズル軸と交差してなす角度のことであり、先
細ノズル、末広ノズル、スプレノズルのいずれについて
も鋭角で表記する。即ち、先細ノズルではノズル内壁を
ノズル前方に延長してノズル中心軸となす角であり、末
広ノズルではノズル内壁をノズル後方に延長してノズル
中心軸となす角とする。先細ノズル及び末広ノズルの直
管部に対応する部分は、ノズル内部で先に述べた範囲の
小さなテーパ角度を連続して有する区間とする。
【0065】また、請求項7「ノズル出口近傍におい
て」の「近傍」とは、ノズル吐出側先端から概ね10m
m以内の領域のことを指す。但し、ノズル吐出側先端で
の軸方向断面積変化が急激な場合、例えば45°角面取
りがノズル先端に付与されている場合には、面取り部長
さがノズル先端から1mmを大きく超えると噴射液は広
く分散し、噴流直進性が著しく低下するので、この場合
には「近傍」とはノズル先端から1mm以内ということ
になる。この様に「近傍」とは噴流直進性が維持される
領域としてノズル条件毎に適宜設定されるものである。
【0066】次に第8発明の作用について図21を用い
て説明する。第1発明から第7発明のいずれかにおいて
反応容器1の周囲に鉄心に電線を巻いたコイル38をめ
ぐらせる。このコイルに交流電流を通電するとコイル周
囲に周期変動する電磁波が発生する。この周期変動する
電磁波は、反応容器内の電気伝導体であるマグネシウム
浴液に電磁誘導力、即ち、当業者でいうところのピンチ
力39として作用し、コイル水平断面相当位置のマグネ
シウム浴液を半径方向内側に向けて移動させる。このピ
ンチ力が駆動する半径方向のマグネシウム液流れは、反
応容器軸心部で合流して上下に流れの向きを転じ、反応
容器内の上下に循環流を形成する。本発明者による調査
の結果、コイルを設置する高さとして、反応容器内浴面
下100mmから浴深さ方向に2000mmの範囲とし
た場合、ピンチ力により生じた上部の循環流は従来操業
で存在する浴面直下の循環流と合体し、浴面直下循環流
厚みを拡大させ、浴温度を均一化させると同時に浴液表
面温度を低下させる効果のあることを発見した。また、
作業中に浴面は変動するので、ピンチ力を付与するコイ
ル38は、浴面位置の変動に対応して浴高さ方向に移動
させる、または、高さ方向にコイルを多数設置して最適
な位置のものをその都度選択して使用することで、安定
した浴攪拌効果を得ることができる。
【0067】
【実施例】この章では、従来技術での四塩化チタン最高
流量相当条件であるところの250kg/m2・hrで
の実施例を示す。
【0068】実施例1 まず、第1から第3発明の実施例を説明する。容器直径
2m、高さ5mのチタン還元反応装置において、反応浴
液中の浴面下50mmから500mmの範囲での固定位
置に、容器軸心から容器半径方向に400mmの位置に
最大推力100N相当のステンレス鋼性スクリュ22を
スクリュ回転軸が容器軸と平行になるように設置し、こ
のスクリュ22を反応容器外部に設置された電動モータ
25によりステンレンス鋼製シャフト23を介して回転
させることによりスクリュ22前後での上向きの浴液流
れを発生させた。容器軸方向のスクリュ設置位置が浴面
下50mmの場合にはスクリュ推力100Nを付与し
た。この結果、浴面直下循環流厚15が1m以上となっ
たことを浴流速度分布測定により確認した。また、浴温
分布測定結果から、浴液内での温度差が200℃から3
0℃に減少し、浴が均温化するとともに、浴面での最高
温度が1050℃から940℃に低下したことも確認し
た。浴面下500mmの位置にスクリュを設置した場合
にはスクリュ推力1Nを付与することにより、同様の効
果が得られた。また、シャフト23のシール機構24と
してラビリンスシールを設置し、容器内圧が常に弱い正
圧となるように制御することにより、外気の反応容器内
への流入を防止した。
【0069】実施例2 第4発明の実施例を説明する。容器直径2m、高さ5m
のチタン還元反応装置において、反応浴液中の浴面下で
容器軸心から容器半径方向に400mmの位置に、軸心
が容器軸と平行になるように攪拌棒26を設置した。次
に、この攪拌棒26の先端が浴面下100mmから浴面
下500mmの範囲での固定位置を中心に50mmから
500mmの範囲での固定長ストロークで容器軸と平行
に往復運動するように、容器外部に設置され、攪拌棒に
直結されたエアシリンダ25の動作位置と往復周期を制
御した。攪拌棒はステンレス鋼製であり、その先端に
は、攪拌効果を増大させるために、直径200mm厚み
25mmのステンレス鋼製円盤を容器軸と垂直になるよ
うに溶接設置した。攪拌棒往復周期1〜60秒の範囲、
かつ、攪拌棒往復ストローク100mmから500mm
の範囲では、浴面直下循環流厚15は、浴面から攪拌棒
の到達する最深位置までの距離の約2倍となり、浴が均
温化した。攪拌棒ストローク100mm未満の場合、攪
拌棒ストロークが短くなるにつれて浴面直下循環流厚み
は、急激に低下した。シール機構24の構成は、第2発
明と同様である。
【0070】実施例3 第5発明の実施例を説明する。容器直径2m、高さ5m
のチタン還元反応装置において、内径10mm長さ3m
のステンレス鋼管に管外壁表面にアルミナ溶射したもの
を攪拌気体供給管27として使用し、その一端を浴液に
浸漬させ、他端を容器外部に引き出し、攪拌気体供給ゴ
ム管に接続する。アルミナ溶射は、管表面の溶出低減と
浴中析出物の付着量低減を目的として実施した。付着量
低減効果は、金属管表面と反応浴液が直接接触する場合
には金属中を電荷が移動し易いため、管表面がチタン還
元反応の触媒として機能して管表面での反応及びチタン
析出を促進してしまうことによるものである。攪拌気体
供給管27は、容器上部の開口部を上下にスライドさせ
ることにより、浴液への浸漬深さを変更することができ
る。容器上部の開口と攪拌気体供給管27外壁間の隙間
は、ろう付けにより塞いだ。攪拌気体としてチタン及び
マグネシウムと反応しないアルゴンガスを使用し、アル
ゴンガスボンベからコンプレッサにより所定の圧力まで
昇圧させた後、攪拌気体供給管27を通して浴液中に放
出される。供給されるアルゴンガスが概ね0.1kg/
秒以下の場合には、浴液中でアルゴンは主として気泡2
8を形成して浴液中を上昇した。これを超える供給量の
場合、浴中アルゴンガスは、攪拌気体供給管27吐出口
と浴面が直結した形状の単相のガス膜を形成し、浴中攪
拌力は主として、この単相ガス膜に合流できずにこのガ
ス膜周囲で孤立気泡を形成した部分のガスにより与えら
れていた。攪拌気体供給管27の浴液浸漬深さが500
mmの場合、0.01kg/秒以上のアルゴンガスを供
給した結果、浴面直下循環流厚15が1m以上となるこ
とを浴流測定により確認し、浴温度測定結果より浴面最
高温度が低下するとともに浴内が均温化することも確認
した。浴液浸漬深さが50mm以下の場合、吐出アルゴ
ンガスが容易に浴面と直結し易く、浴液中での孤立気泡
を形成しがたいため、浴攪拌増強効果はほとんど得られ
なかった。また、浴中に放出されたアルゴンガスは浴上
気体として容器内に蓄積されるので、容器内圧が所定限
界値を超えた場合には適宜、浴上気体を水洗による排気
処理を施した後、大気中に排出した。
【0071】実施例4 第6、第7発明の実施例を説明する。容器直径2m、高
さ5mのチタン還元反応装置において、浴面上方に浴面
から50mmから2000mmの範囲での固定位置に、
容器軸心から容器半径方向に200mmの位置に四塩化
チタン供給ノズル29を浴面に垂直対向設置した。四塩
化チタン液は、供給タンクからポンプにより所定圧力ま
で昇圧された後、四塩化チタン供給管8及びノズル29
を通して四塩化チタン液噴流30として浴面に向けて吐
出される。ノズルは、安価で靭性の高いステンレス鋼
性、または、耐熱・耐付着物性の高いアルミナ焼結体を
用い、内径は1mmから10mmの範囲での円筒断面ノ
ズル(直射ノズル)とし、ノズル出口の直管部長さを1
mm〜10mmとした。さらに、ノズル背圧は、10
0,000Paから5,000,000Paの範囲で設
定した。その結果、浴面直下循環流厚15は、どの条件
でも500mm以上となり、浴が均温化した。
【0072】実施例5 実施例1において四塩化チタン供給量を従来技術での最
大流量の2倍の500kg/m2・hrに設定し、実験
を行った。このときの反応容器内温度分布を図15の線
Cに示す。
【0073】実施例6 四塩化チタン供給量を従来技術での最大流量である25
0kg/m2・hr時の2倍に設定した場合の反応容器
内温度分布例を図15の線Cに示す。本発明装置での従
来技術での最大流量時の反応容器内温度分布例である図
15線Bに比べると、線Cは、容器内での反応発熱が増
大したために全般的に高めの温度になっている。しか
し、従来装置における従来技術での最大流量時の反応容
器内温度分布例である図15線Aと比べると、線Cの最
大温度は、線Aの最大温度よりもはるかに低いため、連
続して操業を実施することができる。
【0074】比較例 従来装置での従来技術で最大流量時であるところの25
0kg/m2・hでの反応容器内温度分布を図15線A
に示す。ここで、本発明での線B及び線Cと比較して浴
面近傍に高温領域が存在するので、従来技術は、限界生
産性の点で不利である。
【0075】
【発明の効果】本件発明を適用することにより、反応容
器中への四塩化チタン供給流量を増大させることがで
き、金属チタン生産性を大幅に向上させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1発明における浴液流れ場の概念図である。
【図2】第1発明における浴液温度分布の概念図であ
る。
【図3】第1発明における容器軸方向の浴液温度分布の
概念図である。
【図4】浴面直下循環流による浴液温度均一化効果の概
念図である。
【図5】外部攪拌力付与位置による浴液温度均一化効果
の概念図である。
【図6】マグネシウムの蒸気圧に関する従来装置と第1
発明の比較概念図である。
【図7】反応発熱に関する従来装置と第1発明の比較概
念図である。
【図8】第3発明の概念図である。
【図9】第4発明の概念図である。
【図10】第4発明の概念図である。
【図11】第5発明の概念図である。
【図12】第6発明の概念図である。
【図13】第6発明における四塩化チタン滴下直下部で
の現象の概念図である。
【図14】第6発明の概念図である。
【図15】本発明の効果の概念図である。
【図16】第7発明におけるノズル内径の影響の概念図
である。
【図17】第7発明におけるノズル入口−出口静圧差の
影響の概念図である。
【図18】第7発明におけるノズル先端−浴面間距離の
影響の概念図である。
【図19】第7発明におけるノズル内断面形状の概念図
である。
【図20】第7発明におけるノズル内出口直管部長さの
影響の概念図である。
【図21】第8発明の概念図である。
【図22】従来法によるチタン還元装置の概念図であ
る。
【図23】従来装置おける反応部位の概念図である。
【図24】従来装置おける容器軸方向の浴液温度分布の
概念図である。
【図25】従来装置おける浴液流れ場の概念図である。
【図26】従来装置おける浴液温度分布の概念図であ
る。
【図27】従来装置おける四塩化チタン滴下直下部での
現象の概念図である。
【符号の説明】
1… 反応容器壁 2… 反応浴液 3… 二塩化マグネシウム浴液 4… スポンジチタン塊 5… 浴上気体 6… 浴面 7… 四塩化チタン液滴 8… 四塩化チタン液供給管 9… 二塩化マグネシウム排出管 10… チタン塩化物蒸気流 11… 四塩化チタン滴下直下部 12… 浴上気体還元反応部 13… 浴面還元反応部 14… 浴面直下循環流 15… 浴面直下循環流厚 16… 浴中深部循環流 17… 攪拌力 18… 反応容器壁熱負荷集中部 19… 浴面下100mm深さ位置 20… チタン塩化物浴中孤立気泡 21… 上向き反応浴液流れ 22… スクリュ 23… 伝導軸 24… シール機構 25… アクチュエータ 26… 攪拌棒 27… 攪拌気体供給管 28… 攪拌気体気泡 29… ノズル 30… 四塩化チタン液噴流 31… 洞穴状チタン塩化物蒸気膜 32… 浴面からの侵入深さ 33… ポンプ 34… 四塩化チタンタンク 35… 調整弁 36… コンプレッサ 37… アルゴンガスボンベ 38… コイル 39… ピンチ力
フロントページの続き (72)発明者 山口 雅憲 神奈川県茅ヶ崎市茅ヶ崎3丁目3番5号 東邦チタニウム株式会社内 (72)発明者 加藤 健一 神奈川県茅ヶ崎市茅ヶ崎3丁目3番5号 東邦チタニウム株式会社内 (72)発明者 安保 重男 神奈川県茅ヶ崎市茅ヶ崎3丁目3番5号 東邦チタニウム株式会社内 Fターム(参考) 4K001 AA27 BA08 DA11 GB05

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 反応容器内の溶融マグネシウムおよび溶
    融マグネシウム塩化物からなる反応浴液の表面の上方か
    ら、液状又はミスト状の四塩化チタンを供給して反応さ
    せ金属チタン微粒子を生成させ、その際、該反応浴液の
    浴面下より100mmより深い領域の少なくとも一部に
    おいて、上方向の反応浴液流速を発生または増大するよ
    うに反応浴液に攪拌力を与えることにより、浴面直下で
    浴面に垂直方向の反応浴液循環流を発生、あるいは拡大
    することを特徴とする金属チタンの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記反応浴液平均温度を770℃以上、
    かつ、前記浴面での最高温度が950℃以下に設定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の金属チタンの製造方
    法。
  3. 【請求項3】 前記反応浴液中にスクリュを挿入し、こ
    のスクリュを回転させることにより反応浴液に攪拌力を
    与えることを特徴とする請求項1に記載の金属チタンの
    製造方法。
  4. 【請求項4】 前記反応浴液中に棒状、または、へら状
    構造体を挿入し、この構造体を回転、または、揺動、ま
    たは、昇降させることにより反応浴液に攪拌力を与える
    ことを特徴とする請求項1に記載の金属チタンの製造方
    法。
  5. 【請求項5】 前記反応浴液中に気体吐出口を設け、こ
    の吐出口より、反応浴液との間で反応しない気体を反応
    浴中に吐出することにより反応浴液に攪拌力を与えるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の金属チタンの製造方
    法。
  6. 【請求項6】 前記反応浴液の浴面上方に浴面に向けて
    設置したノズルを通して、背圧の与えられた四塩化チタ
    ンを反応浴液中へ吹き込み、浴面下100mmより深く
    到達させることにより四塩化チタンを供給するとともに
    反応浴液に攪拌力を与えることを特徴とする請求項1に
    記載の金属チタンの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記ノズルの最小内径が1mmから10
    mmであって、また該ノズルの出口またはノズルの出口
    近傍においてノズル軸方向に1mm以上の長さでノズル
    断面形状及びノズル断面積が一定に保たれる領域を有
    し、かつ、ノズルの入口と出口の静圧差を100,00
    0Paから5,000,000Paの範囲とし、かつ、
    ノズル先端と浴面間の距離を50mmから2000mm
    の範囲とすることを特徴とする請求項6に記載の金属チ
    タンの製造方法。
  8. 【請求項8】 前記反応容器外部から反応浴液に電磁力
    による攪拌力を付与することにより反応浴液に攪拌力を
    与えることを特徴とする請求項1に記載の金属チタンの
    製造方法。
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