JP3845036B2 - 金属チタン製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、チタン鉱石を塩化し四塩化チタンを生成させこれを還元することにより金属チタンを製造するクロール法において、特に四塩化チタンを溶融マグネシウムにより還元する還元工程において効率よく反応を行うことのできる金属チタンの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
チタン鉱石から金属チタンを製造する工程のうち、中間生成物である四塩化チタンから金属チタンを得る還元工程については、いわゆるクロール法が工業的に最も一般的に採用されている。クロール法におけるチタン還元方法を図16を使って説明する。
【0003】
予めチタン鉱石は塩化して常温で液体である四塩化チタンに加工した後、密閉された還元反応容器1に四塩化チタン液供給管8を通して反応容器1内下部に予め蓄えらた溶融マグネシウムを主成分とする平均温度800℃程度の反応浴液2上に滴下する。次いで反応容器内での化学反応によりマグネシウムが二塩化マグネシウムに、四塩化チタンが金属チタンに化学変化することにより高純度の金属チタンを得る。
【0004】
金属チタンは微粒子として反応容器底部に沈降した後互いに焼結してポーラス状のスポンジチタン塊4を形成する。また、副生物である二塩化マグネシウムは、比重がマグネウムより大きいため、容器底部に沈降して二塩化マグネシウム浴3を形成する。二塩化マグネシウム浴は、適宜、二塩化マグネシウム排出管9を通して容器外に排出することにより、反応浴液表面位置を一定範囲に維持する。所定の四塩化チタン滴下累積量に達した後、反応浴液及び二塩化マグネシウムを容器外に排出し、さらにスポンジチタン4は、その空隙に残留した浴液を加熱真空分離した後、製品として容器外に取り出す。近年の代表的な大型還元反応装置の場合、反応容器の大きさは、直径約2m高さ約5m四塩化チタン供給管8出口から反応浴面までの距離は約1mに達し、1回のバッチ生産で10トン弱のスポンジチタンが製造されている。四塩化チタン供給管8は、供給管出口での閉塞を回避するため、通常、出口部を含めて直径20mm以上のものが用いられており、四塩化チタン液の滴下範囲を拡大するために先端を広げた形状の場合もある。これに対して、四塩化チタン液供給量は高々250kg/m2・hrであるため、供給管内を四塩化チタン液が完全に満たすことはなく、流れは管内壁の一部に沿って流下し、気液二相流として分散化する。このため、供給系の元圧は数万Pa程度あったとしても吐出時の大きな圧力損失により供給系元圧に相当する運動量を吐出後の四塩化チタンが維持することは困難であり、四塩化チタン供給管8から吐出された後の四塩化チタン液は、ほぼ自由落下する多数の四塩化チタン液滴7として反応浴面6上の半径数百mmの範囲に分散して落下する。
【0005】
四塩化チタンから金属チタンが生成する際には強い発熱を伴うため、反応容器からの抜熱が製造上の重要課題である。反応容器1からの抜熱は反応容器1外壁への空気噴流吹き付け等による冷却等によりなされるが、反応浴液面6近傍に相当する反応容器1外壁部に熱負荷が集中する、即ち、より大量の冷却噴流流量を必要とすることが知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
工業的な大型反応容器は通常、鋼製であり、鉄−チタン合金の共晶温度は、約1080℃であるため、反応容器内壁温度がこの温度を超えると反応容器壁面が溶出して反応容器寿命を著しく短縮するとともに、溶出鉄分が製品チタンを汚染するため問題であった。従って、反応容器壁温度をこの温度以下に維持するために、四塩化チタン供給流量は上限を設けざるを得ず、これが、従来操業での生産性ネックの最大要因であり、過去、生産性を向上させるための取り組みが多数なされてきた。
【0007】
例えば、特開平7−41880号公報は、容器外壁をミスト冷却することにより抜熱の促進を図ろうとしたものである。また、特許第2883905号公報では、反応容器内に冷却管を挿入することにより冷却促進を図ろうとしたものである。これらの発明は、冷却という面ではそれなりの効果をあげているが、高価な付帯設備を必要とするうえ、効果が極めて限定的であるため抜本的な対策とはなりえない。これらの方法により根本的に冷却効率を改善するためには、広い伝熱面積を確保するという構造上の改善が必要であるが強度上、大きな熱抵抗体である伝熱壁厚を大きく設定しなければならず、これによってまた伝熱効率が低下してしまうという問題があった。
【0008】
また、浴面近傍での反応容器壁への熱負荷集中が生産性向上をより困難にしていることに着目して、特開平7−41881号公報は、多数の開口を有したチタン管を浴液に挿入し、この開口から浴中にアルゴンガスを吐出することにより浴を攪拌して浴の均温化を図ろうとしたものである。しかし、この特開平7−41881号公報ではアルゴンガスの浴中吹き込みにより単に「マグネシウム浴が攪拌されることにより、浴内の熱伝達、温度分布が改善されるので、四塩化チタンの滴下速度を大きくして生産性を上げ」との記載しかなく、反応容器壁への熱負荷集中に決定的な影響を与える浴液表面温度やアルゴンガスの浴中吹き込み深さ等についての条件も一切不明である。実際、本件発明者による詳細な実機調査からの知見では、実機反応浴液中には強い循環流が存在することが確認されており、単にアルゴンガスを浴中に吐出させただけでは攪拌増強効果はほとんど発生しないのみならず、浴中でアルゴンガス気泡中にマグネシウム蒸気が充満し、これが浴上気体5に放出された後、四塩化チタン蒸気と浴上気体中で反応するためかえって反応浴面6温度が上昇して生産性を阻害する現象が観察された。即ち、浴中に吐出される不活性ガスは、その吐出される浴中での位置及び供給ガス量により反応容器内での温度差を縮小する場合と拡大する場合のいずれもあり得え、不活性ガスの浴中吐出が浴温均一化効果を与えるとは一概にはいえない。
【0009】
また、同様に浴液の攪拌を図ることを目的として、特開平7−252549号公報は、浴中に四塩化チタン液供給管を挿入し、二塩化マグネシウム浴中に四塩化チタンを吐出して浴中で四塩化チタンが蒸発することにより気泡を形成させ、二塩化マグネシウムの上方に存在するマグネシウム主体の反応浴液と化学反応させ、この際、上昇する気泡により副次的に浴液を攪拌させようとするものである。しかしながら、特開平7−252549号公報は、浴面近傍での大量の化学反応発熱に由来して発生しうる浴面近傍の高温領域をガスバブリング効果による攪拌効果により均温化することを意図しているものではない。この根拠は、特開平7−252549号公報の記載に「TiCl4を溶融MgCl2層に供給すると、溶融Mg層の最下層から反応をはじめたTiCl4気泡が還元反応が完了するまで溶融Mgを上昇」し、「還元反応を始め」、「ここで発生した反応熱は、溶融Mgを介して溶融Mg層の上層に拡散するとともに、生成したチタンの沈降およびMgCl2の下降によって溶融MgCl2層の下層にも熱伝導する。そのため反応熱が局部的に発生するという事態は生じない」とあり、特開平7−252549号公報は、明らかに浴中で四塩化チタンの反応が完了していることを意図している。また、「更に、溶融MgCl2層および溶融Mg層の温度分布は、供給されたTiCl4のガスバブリング作用によって攪拌され、温度はさらに均一化の方向に向かう」との記載が特開平7−252549号公報に存在するが、特開平7−252549号公報では浴中でのガスバブリングによる浴液攪拌効果は、副次的なものであり、あくまでも浴中でほぼ均一に発熱して浴液温度差の小さい浴液を前提としていることがわかる。さらに、特開平7−252549号公報は、ガスバブリング条件及びガスバブリングの浴液攪拌機構に関する具体的な記述に欠け、また、特開平7−252549号公報は、元々浴液温度分布の小さい浴液を前提としており、ガスバブリング単体での浴液温度均一化効果についても一切記載がない。次に、特開平7−252549号公報の発明の実機適用上の問題点は、従来作業条件相当の大きな四塩化チタン供給流量の場合、浴液に放出された四塩化チタン気泡を気泡上昇中に浴液中で完全に反応終了させるためには、長大な設備を必要とすることである。
【0010】
以上述べたように、従来装置での反応容器壁熱負荷集中緩和法はいずれも実機として広く工業的に採用されうるものではない。これらの改良技術に共通する問題点は、浴面近傍に反応容器の熱負荷が集中することは操業事実として広く知られていても、この様な熱負荷分布となる物理的原因の検討が充分になされていないため、効果的な改良を見出すことができなかったことである。そこで、本件発明では課題を解決するため、実機の反応場を詳細に検討して従来技術の物理現象としての問題点を明確に解明した。
【0011】
反応容器内部の軸方向流体温度分布を調査した結果を図18に示す。既設実機操業では浴温度は浴面で例えば1000℃程度の最高温度となり、浴面直下で急速に平均浴温度まで低下する。即ち、浴面直下には高温層が存在している。一方、浴上気体は、浴面から浴上方300mmの浴面近傍領域で浴液を含めた反応容器内での最高温度を示す。絶えず周囲の反応容器から冷却を受けているにもかかわらず、浴上気体温度が高温を維持できるのは、浴上気体中での反応発熱量が非常に大きいからである。浴面及び浴上気体層での反応概念図を図17に示す。反応容器1中に滴下された四塩化チタン液滴7は、反応浴面6中の滴下直下点11に達すると蒸発して浴上気体層中を流動する。この流動中に四塩化チタンの一部は浴面のマグネシウム13に接触して還元される(これを「浴面反応」と定義する)。浴面反応しなかった四塩化チタンは、浴上気体中12でマグネシウム蒸気と反応して還元される(これを「浴上気体層中反応」と定義する)。四塩化チタン蒸気とマグネシウムの気相での反応は熱力学的に発生しにくいので、浴上気体中での還元反応は主として浴上気体中に浮遊する微粒子上で発生すると考えられる。浴面で発生した反応発熱量の大部分は、浴液側に伝達される。これは、気液界面で発生した熱を伝えるべき周囲の分子密度が液相の方が気相よりも圧倒的に高いからである。一方、浴上気体層中での反応発熱は、一定温度までは気体温度を上昇させた後、大部分が放射熱の形で浴面6及び反応容器1内壁に伝達されて浴液表面温度と反応容器内壁温度を高温に維持する。このため、従来技術では浴面近傍反応容器壁18に熱負荷を集中する原因のひとつとなる。
【0012】
浴面反応13と浴上気体中反応12の反応量の比率を図7に示す。図7は横軸が反応浴液表面温度であり、縦軸は、全反応速度に占める浴上気体中の反応速度の比率を表す。従来技術での反応浴液表面温度条件は1000℃程度の高温であり、滴下された四塩化チタンの大部分が浴上気体中で反応する。これは、従来技術での反応浴液表面6温度が高いため、図6に示したマグネシウムの飽和蒸気圧は浴上気体圧力並みに高く、浴面近傍から浴上気体層中に大量のマグネシウム蒸気が蒸発して浴面上を覆う。大部分の四塩化チタン蒸気は、この浴面上方のマグネシウム蒸気と反応する。この結果、四塩化チタンは浴面に達する前に浴上気体との反応で消費されてしまうため浴面反応はほとんど起こらないことになる。
【0013】
この様な発熱分布の与えられた反応浴液の流れ場を図19に示す。前述の様に浴面直下には高温領域が存在するがこれは、浴液が静止していることを意味しない。実際には、浴面直下には浴面垂直方向に薄い浴面直下循環流14が存在し、この循環流の存在する範囲での浴の均温化をもたらしている。直径1mから3m程度の大型還元反応容器の場合、この浴面直下循環流14の厚15は、約100mm以下である。「浴面直下循環流厚み」15とは、浴面下の反応浴液が外部からの強制力の付与、または、自然対流により攪拌されることにより発生し、かつ、浴面に接し、かつ、浴面に垂直方向に時間平均的に循環する循環流の存在する反応浴液範囲の浴面からの深さ方向長さのことである。浴面直下循環流厚みを測定するためには、浴面下で浴流の局所時間平均速度の浴中分布を測定、または、数値計算することにより求めることができ、浴流速度測定は、タフト型流速計やカルマン渦流速計等の流速計を浴中に挿入することで可能である。また、大型還元反応容器内の浴深さ1mから5mの範囲で浴面直下循環流厚みは、浴深さの影響をあまり受けない。従って浴面直下循環流厚みの約100mm以下という値は従来技術において普遍的な値とみなすことができる。浴面直下循環流14を駆動する力は、第一に、反応容器近傍での冷却による浴液低温部、及びこれに対抗する、浴の非周辺部における反応発熱・浴上気体からの放射入熱による浴液高温部との間の温度差に基づく自然対流によるもの、第二に、図21に示す滴下直下部11での孤立気泡(四塩化チタン蒸気+浴上気体の浴中への捲き込みに由来するもの)20の上昇に基づく上向きの攪拌力17によるものである。滴下される四塩化チタン液滴7はほぼ自由落下に近い低速であるため、浴液深く侵入することはできず、反応、または、蒸発して浴面直下領域11から去る。四塩化チタン液滴が最大でも浴面下100mm程度までしか浴中に侵入できない結果、孤立気泡の発生部位も浴面下100mm以内と浅い位置に限定される。また、浴面直下循環流14以外にも浴中には循環流が多数存在しているが、浴面直下循環流14と結合していない循環流を浴中深部循環流16と呼ぶ。浴中深部循環流のなかには例えば数十cm/sに及ぶ非常に大きな上向き方向速度(図19 16 イ)を有するものも存在するが、浴面直下循環流の温度分布にほとんど影響を与えることはなく、浴面直下循環流挙動は、主に浴面近傍での入・出熱量分布及び四塩化チタンの滴下状態に支配される。
【0014】
従来技術で浴面直下循環流厚15が薄くなる原因を図20を使って説明する。浴面直下の反応容器1内壁近傍の等温線を高温から順にイ、ロ、ハ、ニと表示する。反応容器内壁により浴液は冷却される結果、浴面直下の最高温部は、容器半径方向のより内側領域での浴液温度に比べて低くなる(イ)ため自然対流により、浴液は反応容器内壁に沿って下向きに流れる力がはたらく。次に、この流れに引かれて、浴表面の高温領域が反応容器内壁近傍に流入してより低温の周囲浴液と混合する結果、反応容器内壁面近傍は必ずしもより内側領域よりも低温でなくなり(ロ)この時点で下向き駆動力は発生しなくなるが、反応容器内壁近傍では惰性により未だ下向き流れが残留する。さらに容器下方の反応容器内壁近傍領域では上方から壁面に沿って流入する高温浴液によって、遂にはこの領域の温度がより内側領域よりも高温となり(ハ)、内壁面近傍では逆に上向きの駆動力が発生して循環流のこれ以上の沈降を阻止するようになる。この位置で循環流は最早、反応容器内壁に沿って下降できなくなり、反応容器内側方向に流れの向きを転じるのである。即ち、浴面直下の浴液は、他より極めて高温であるため浴液の沈降に強く抵抗する一方で、反応容器の冷却及び四塩化チタン滴下に由来する強い攪拌力が常に付与されているため、薄く、高速の循環流が浴面直下に形成されるのである。実際、浴面直下に付与されている密度差(温度差)に基づく攪拌力は数百Nに達すると推定される。従って、浴面直下循環流中に攪拌力を与えて攪拌増強しようとした場合、少なくとも循環流駆動力並みの数百Nの付加力でなければ得られる効果は小さいといえる。
【0015】
本発明は、上記のような従来技術における反応容器壁への熱負荷集中を緩和することにより、四塩化チタン供給流量を増大させ、結果としてスポンジチタンの生産効率を向上させることを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の実機の反応場の解析結果をもとに鋭意検討した結果、従来技術に残された問題を解決するに至り、本発明を完成した。
【0017】
即ち本発明の金属チタンの製造方法は、第1発明として、クロール法の還元工程におけるバッチ式の金属チタンの製造方法であって、反応容器内の溶融マグネシウムを主成分とする反応浴液の表面の上方から、液状又はミスト状の四塩化チタンを供給して反応させ金属チタン微粒子を生成させると共に、更に、前記四塩化チタンの供給とは別系統で前記反応浴液の浴面上方に浴面に向けて設置したノズルを通して、背圧の与えられた四塩化チタンを反応浴液中へ吹き込み、浴面下100mmより深く到達させることにより、前記反応浴液の浴面下より100mmより深い領域の少なくとも一部において、上方向の反応浴液流速を発生または増大するように反応浴液に攪拌力を与えることにより、浴面直下で浴面に垂直方向の反応浴液循環流を発生または増強することを特徴とする。
【0018】
次に、第1発明の方法において、第2発明として、浴液平均温度を770℃以上、かつ、浴面での最高温度が950℃以下に設定することを特徴とする。
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
次に、第1発明又は第2発明において、第3発明として、チタン塩化物液供給ノズルの最小内径を1mmから10mmの範囲とし、かつ、ノズル出口またはノズル出口近傍においてノズル軸方向に1mm以上の長さでノズル断面形状及びノズル断面積が一定に保たれる領域を有する形状のノズルを使用し、かつ、ノズル入口と出口の静圧差を100,000Paから5,000,000Paの範囲とし、かつ、ノズル先端と浴面間の距離を50mmから2000mmの範囲とすることを特徴とする。
【0024】
【0025】
【発明の実施の形態】
まず、第1発明と従来技術との差異の要点を述べる。従来技術では反応浴液内部で浴面から深さ方向に100mm以下の長さの狭い範囲においてのみ反応浴液の浴面垂直方向循環流が存在し、浴面近傍の反応容器に化学反応発熱による熱負荷が集中するため生産性を阻害していた。これに対して、第1発明において攪拌機能を有した装置を用いて反応浴液に外部から攪拌力を与えることにより浴面下に存在する浴面直下循環流厚を100mmより大きな長さで発生させ、反応浴液温度分布を減少させて反応容器への熱負荷集中を緩和すると同時に反応容器内最高温度を低下させることが可能となり、結果として従来技術よりも高い生産性を可能にする。さらに、従来技術で反応浴液浴面直下に100mm以下の薄い循環流が存在する現象自身がこれまで知られておらず、本件発明者により今回初めて明らかにされたものであり、本件発明は、この事実に基づいて効果的に生産性を向上させる手段をみいだした点に特徴がある。以下、本発明の方法を詳細に説明する。
【0026】
図1を用いて、第1発明の作用を説明する。
従来技術で浴面近傍での反応容器壁に熱負荷が集中する原因は、第一に、浴面直下に薄い循環流が存在し、この循環流中に熱がこもりやすいこと、第二に、浴液・浴上気体とも浴面近傍で極めて高温になることである。従って、浴面直下循環流厚15を増大させてやれば少なくともこの循環流の範囲では浴は均温化し、この循環流に接して循環流から直接に抜熱可能な反応容器壁面積も増大するので、循環流中の温度と浴の平均温度の差を小さくすることができる。図2に示す様に、一旦、浴面直下と浴液平均の温度差が大きく減少すると、浴面直下の相対的に高温領域から冷却反応容器壁1近傍部へ持ち込まれる熱量供給が減少するため、反応容器内壁近傍浴液が反応容器中心領域よりも常に低温となる(図2中び等温線イ・ロ)。この結果、浴面から反応容器壁に沿って下降する流れ14に対して、従来装置でみられたような温度分布に基づく上向き抵抗力は発生しにくくなり、この下降流14は、より深い位置まで到達すること、即ち、浴面直下循環流厚15を厚くすることが可能になる。つまり、従来装置には反応容器壁1の強冷却という自然対流を駆動するための強い潜在力を元々備わっているので、浴面直下と浴平均での温度差を緩和させられれば、浴面直下循環流14は急速にその厚15を増大させることができる。
【0027】
この様に浴面直下循環流厚みを増大させるためには、浴面直下の高温で低密度な領域が有する沈降への抵抗力に打ち勝つだけの攪拌力17を外部から浴液に供給して浴液の一部の領域で上向き流れ21を発生、または、増強することが有効である。
【0028】
そこで、本発明者らは、詳細な実機流れ場を検討した結果、攪拌力が浴面直下循環流を拡大・強化させるための攪拌力付与位置の条件を見出した。これを図4で説明する。浴液の流動が全くなく、熱伝導のみにより熱輸送が行われる場合、即ち、浴液を一様な固体とみなして浴内熱輸送を数値解析によりシミュレーションした結果、浴液表面温度と浴平均温度の差の予測値は約200℃となる(図4点ロ)。これに対し、従来装置で浴面直下循環流厚15は、実機浴流測定結果より100mm弱程度存在し、この循環流内で浴液は熱を比較的速やかに輸送するので浴液表面温度と浴平均温度の差の実測値は例えば100℃強程度に減少する(図4点イ)。このことは、従来技術における浴面直下循環流が浴液表面温度低下に対して一定の効果を有することの有力な証明のひとつである。しかし、従来技術における浴液表面温度と浴平均温度の差100℃強という値は、反応容器への熱負荷集中防止の観点からは依然過大なものである。
【0029】
次に従来装置に外部から攪拌力を付与して浴面直下循環流厚15を拡大すると、循環流厚みの増大に伴い、浴液表面温度と浴平均温度の差は急速に減少して、最終的にはほぼ0に達する。ここで、例えば浴面から100mm以内の位置に弱い攪拌力というような不適切な攪拌力付与条件の場合には浴液表面温度と浴平均温度差はほととんど減少しない。100mmという深さの境界的意義について説明する。従来技術においても四塩化チタンを浴上から自由落下させて浴面に衝突させていたため、四塩化チタン液滴は若干は浴面下に侵入し、攪拌力を発生していた。調査の結果、従来技術におけるこの攪拌深さは100mmを超えることはないことが判明した。従って、100mmより浅い領域への攪拌力付与は、従来技術において自然に発生する攪拌力に比べて十分大きくなければ攪拌増強効果は顕著とならない。これに対して、従来滴下の及ばない浴面下100mmを越える位置での攪拌力付与にはこの様な制約がないため、付与した攪拌力と強い相関をもった攪拌効果が得られる。攪拌により浴液表面温度差が改善しない場合には浴面直下循環流厚みも従来装置での厚みに近い値にとどまる。即ち、浴液の均温化は、浴面直下循環流厚みを従来装置での最大値である100mmを超えることができて初めて効果が発現するといえる。このことを工業的に適用するためにより明確に定義すると、「浴面直下循環流に含まれる反応浴液の浴面下100mmを超える深さの領域の一部において、上方向の反応浴液流速を時間平均的に発生、または、拡大、または、増大させる」ということになる。従来技術において、この100mmという浴面直下循環流厚みは、広い操業条件範囲、例えば、滴下流量5kg/m2・hrから500kg/m2・hrの範囲、また、平均浴温800℃から1000℃の範囲、また、容器直径1mから3mの範囲でこの値を超えることはないという普遍的な値であることを本件発明者は見出した。
【0030】
次に、浴面直下循環流厚15を増大させるための具体的な攪拌力付与位置について図5で説明する。実機浴流及び浴温度測定結果を用いた計算結果から、従来装置では浴面直下に例えば数十N程度の自然対流に基づく駆動力が与えられていて、100mm以下の浴面直下循環流厚15が維持されている。従って、この自然対流による駆動力よりも充分に大きな攪拌力、例えば10000Nを外部から付与すると攪拌力付与位置によらずに浴面直下循環流の拡大、並びに、その結果として得られる、浴液表面温度と浴液平均温度の差の減少効果が得られる(図5線ロ)。この場合、攪拌力付与位置が浴面下100mm以内であっても、浴面下100mmより深い範囲に上向き流れが発生し、浴面直下循環流が拡大したことになる。同じ攪拌付与力である場合、この浴液均温化効果は攪拌力付与位置が深いほど高い。一方、浴液に付与する攪拌力が例えば数N程度と小さい場合、攪拌力を付与する位置の深さによって攪拌力の浴液均温化効果に与える影響は大きく変化する(図5線イ)。まず、攪拌力付与深さが浴面から100mm以内の場合、攪拌力に比べてはるかに大きい自然対流の駆動力が同じ領域に作用しており、攪拌力付与の効果は、単に自然対流の駆動力が数%程度上昇した程度の影響に過ぎないため、顕著な攪拌増強効果は得られない。次に、100mmよりもやや深い領域に攪拌力を付与した場合、付与位置が深くなるにつれて急速に浴面直下循環流厚みは拡大し、浴液表面温度と浴平均温度の差も減少して顕著な攪拌増強効果が発現する。この様に小さい攪拌力が浴面循環流厚みに大きな影響を与える理由は、次の通りである。即ち、まず、浴面直下循環流下方の相対的に低温な領域の浴液が攪拌力により上昇して浴面に達するため、浴面の平均温度が若干低下する。次に、浴面直下循環流によって浴面からの浴液が流入する反応容器近傍領域への入熱量が浴液表面温度低下により減少するため反応容器内壁に沿って下降する循環流部分はより深い位置まで沈降可能となる。さらに、浴面直下循環流の主たる抜熱部である反応容器内壁に沿った流れがより長くなる結果、内壁近傍の浴面直下循環流は一層冷却された後、循環流により再び浴面近傍に輸送されるため、浴面平均温度が益々低下するといった一連の浴面直下循環流拡大プロセスが作用する。つまり、この深さ範囲に付与された攪拌力は、従来装置が本来有していた自然対流の駆動力を効果的に浴均温化に作用させるためのトリガとして働くだけであるので、比較的小さい力でも攪拌増強効果を発揮できるのである。しかし、数N程度の小さい攪拌力付与位置を更に深く設定して例えば浴面から2m以上の深い浴位置とした場合、最早、この攪拌力により生成された上昇流れは浴面直下循環流と結合することはなく、浴中深部循環流16の一部となる。その結果、攪拌力は浴面直下循環流厚みにほとんど影響を与えることはなくなり、浴液の攪拌増強効果は再び消失する。
【0031】
浴面直下循環流厚15を拡大するために必要な攪拌力の具体的な値については、攪拌力付与位置ほど単純には整理できない。なぜならば、他の条件が同じであれば攪拌付与力が大きい程、攪拌増強力が強くなる傾向であることは確かであるものの、浴液均温化効果が発現し始める最小攪拌力の値は、浴の温度分布、攪拌力の付与位置及び付与形態、反応容器の冷却等の条件差により、非常に大きな幅で変動する。例えば、従来装置に対し攪拌力を付与するに際して、化学反応させる前から攪拌を開始して厚い浴面直下循環流を予め形成させておき、反応中も一度も浴面直下に高温領域を形成させない場合と、一旦、浴面直下での高温領域が安定して形成された後に、この循環流厚み攪拌力により拡大しようとした場合の比較では、所要最低攪拌力は例えば数十から数百倍の差となる。従って、付与する攪拌力は実機での浴液均温化状況を観察して適宜設定する必要がある。例えば、浴面からの入熱が無く、かつ、温度分布のほとんど存在しない浴液の場合、数Nの攪拌力付与により浴液全体に大きな単一循環流を生成することができるが、250kg/m2・hの四塩化チタン滴下の場合、数十から数百N程度の攪拌力の付与が浴面直下での大きな循環流形成のために必要となる。
【0032】
従来技術での四塩化チタン最大滴下流量での浴液温度分布図3線Aに、同一滴下量で第1発明を適用した場合の浴液温度分布を図3線Bに示す。従来技術の場合、浴面直下に高温部が集中しており、ここでの最高温度を約1080℃のチタン−鉄共晶温度以下にすることが最大滴下流量制約要因である。これに対し、同一滴下流量での第1発明の浴液温度分布では、浴液平均温度は従来技術並みの値であるが、浴液が均温化されているためその最高温度はチタン−鉄共晶温度を大幅に下まわる約800℃に低下する。尚、このときの攪拌力付与条件は、浴面下300mmの位置に10N相当のものである。浴温上限まで余裕があるので、第1発明では四塩化チタン滴下流量を従来技術よりも増大することが可能である。
【0033】
第1発明を実現するためには、浴液速度分布を測定することにより浴面直下循環流厚15を求め、これを浴液攪拌装置の操作量にフィードバックすることにより所定の浴面直下循環流厚となる様に制御してもよいし、また、浴液攪拌装置操作量と作業条件と浴面直下循環流厚の関係を予め求めておき、実操業での個別設定時には所要とされる浴面直下循環量厚範囲となる様、この関係から求められた浴液攪拌装置操作量を設定してもよい。
【0034】
ここで、「上向き」の流れといっているのは、容器縦軸方向であるところの上下方向いずれかの向きの流れのことを単に意味しており、必ずしも付与する攪拌力が「上向き」である必要はない。なぜならば、本件発明が対象とする様な密閉容器内流れは、浴液内部の一部で時間平均的「下向き」流れを発生させた場合、同じ水平断面内を通過する速度分布の積分値が時間平均的に0とならなければならないため、この断面内のいずれかの位置では逆に時間平均的「上向き」の流れが発生するからである。但し、本発明者の調査の結果、浴液の狭い範囲に「上向き」攪拌力を集中させることが、少ない付加力で攪拌を増進させることに対して有効であることが判明したので、設備的な制約などない限り、「上向き」に攪拌力を与えることが一般に有利である。また、浴液の一部の領域で上向き流れ21を発生、または、増強して浴面直下の循環流を拡大・増強するということは、実質的には、この「上向き流れ」21が浴面直下循環流の一部を形成することを意味する。なぜならば、浴面直下循環流と無関係な位置に上向き流れを発生させて浴中深部循環流16を形成・強化したとしても、その様な循環流は浴面直下循環流の拡大にはほとんど寄与しないことを本発明者は見出したからである。
【0035】
また、本明細書において、浴面直下「循環流」と呼ぶ場合の「循環流」は、浴流れを時間平均した流れが循環していることを意味している。これは、瞬時には浴面直下循環流中により小さな循環流が多数存在し、大きな循環流を形成しているようにみえない場合も多いことによるものである。しかし、この様に一見、大きな循環流を形成していない様にみえる流れでも、長くても数分程度の時間平均で浴流速度分布を測定してみると、浴面直下に大きな循環流がはっきりと認識でき、浴面とこの循環流内部との熱輸送を促進していることを本発明者は見出した。
【0036】
また、「浴面直下」とは、反応浴液中で浴面に最も近い、浴面垂直方向循環流の存在する範囲のことを指し、例えば従来技術でいえば、浴面から浴面下100mm以内の深さ範囲領域に対応する。
【0037】
また、「反応浴液表面」とは反応容器内において容器中に貯留された反応浴液層と浴上気体層の界面のことを意味し、文脈上、誤解を与える可能性の余地がない場合には単に「浴面」とよぶことにする。
【0038】
また、請求項1「反応浴液の浴面下100mmより深い領域の一部において」の「一部」とは、浴面垂直方向断面に少なくとも浴面面積の0.1%以上の面積を有する反応浴液中の領域のことを指す。0.1%という値の根拠は、これより狭い領域で上方向反応浴液流速を時間平均的に発生させたとしても、流れの運動量が過小なため、必ずしも浴面直下循環流拡大による浴均温化効果を示さないことによる。浴面垂直方向の領域長さに関しては、攪拌力を付与する装置により所要領域長さは大きく異なるので特に規定しない。
【0039】
また、第1発明において、浴面直下の循環流を「拡大」とは循環流厚みを増大させること、または循環流中の最大流速を増大させること(この場合を以下「増強」ということがある。)、「発生」とは還元反応開始時の温度分布の小さい浴液に攪拌力を与えて循環流を生起することを意味する。「拡大」「増強」「発生」は、それぞれ異なる概念であり、厳密には同時に成立するとは限らない。しかし、「拡大」「増強」「発生」は、いずれも多くの場合、攪拌力の付与により効果が増大する傾向にあるので、本発明において循環流の「拡大」効果があるというときは、特に断らない限り、「増強」や「発生」効果も存在すること意味することにする。
【0040】
次に、第2発明の作用を説明する。まず、本件発明と従来技術との差異の要点を述べる。従来技術では、反応浴液温度の作業条件は、容器鋼とチタンの共晶温度である1080℃未満とされており、反応浴液表面温度に関してはこの上限温度直下での作業が指向されていた。これは、従来作業では浴液に攪拌力を与えていないため、生産性を上昇させるためには浴液表面温度の上昇が避けられなかったためである。これに対し、第2発明では反応浴液に攪拌力を与える前提で浴液表面温度作業条件の上限値を新たに950℃に設定することにより、反応容器内での熱負荷集中の大きな原因となる浴上気体層中反応量を低減して反応容器への熱負荷集中を緩和するとともに反応容器内最高温度を低下させ、従来技術よりも高い生産性、並びに、容器寿命延長の両立を可能にすることが特徴である。さらに、浴液表面温度が950℃を超える高温の場合、化学反応は、浴上気体層反応主体となるため浴面近傍の反応容器に熱負荷が集中するという現象自身もこれまで知られておらず、本発明者により今回初めて明らかにされたものであり、本発明は、この事実に基づいて効果的に生産性向上と容器寿命延長を両立させる手段を見出した点に特徴がある。以下、詳細に説明する。
【0041】
第2発明は、第1発明の方法を前提に浴上気体層中反応発熱量を抑制するための方法である。従来技術で浴上気体中反応発熱の比率が高くなる原因は、前述の様に、浴液表面温度が1000℃以上の高温であるためマグネシウムの浴上気体層中への蒸発とそこでの還元反応、即ち、浴上気体層中反応が大量に発生するためである。従来技術では、浴を積極的に均温化する手段が存在せず、四塩化チタン滴下流量も最大生産性を目指した操業を指向していたため、浴液表面温度を常時、上限温度直下に設定することは避けられない作業条件であった。これに対し、第2発明は、第1発明による浴液攪拌力を浴液に付与して浴液表面温度を低温側に制御することが可能であることを利用して、浴上気体層中反応速度の全反応速度に対する比率が充分小さく、浴上気体層中反応が反応の主経路でない操業条件範囲に浴液表面温度を設定することにより、浴上方での反応容器内壁への熱負荷を減少させるものである。ここで、浴上気体層中反応が反応の主経路でない操業とは、図7に示す「浴上気体中反応発熱量/全反応発熱量」が30%以下となる条件とした。特に30%という値を選択した理由は、図7に示す様に、浴上気体中反応発熱がこの割合を超えると、わずかな温度上昇で浴上気体中反応発熱の比率が急上昇してこの反応が反応主経路となるため、浴液表面温度制御が困難になるためである。
【0042】
第2発明において、「浴上気体中反応発熱量/全反応発熱量」を30%以下とする具体的な条件は、浴面での最高温度を950℃以下に維持することである。図6に示す様に、この温度以下では、従来装置での作業条件に比べてマグネシム蒸気圧が充分低いため、図7に示す様に「浴上気体中反応発熱量/全反応発熱量」が30%以下に維持されるのである。この浴面での最高温度を950℃以下に維持するという条件は、広い操業条件範囲、例えば、四塩化チタン滴下流量が5kg/m2・hrから500kg/m2・hrの範囲で有効である特徴的な値であることを本発明者は見出した。
【0043】
浴上気体層中反応発熱量比率を低下させることにより、四塩化チタンの還元反応は浴面での表面反応が主体となる。浴面反応での発熱は、より熱の伝わりやすい浴液側に大部分が流入する。液側に流入した熱量は、第1発明の効果により速やかに浴深部に輸送されるので、浴温が局所で極端に高温になることや浴中反応容器壁への熱負荷が集中することはない。また、図3に示す様に、従来技術(図3線A)では浴上気体中発熱に起因する極端な高温部が浴上気体層に存在するが、第2発明(図3線B)では浴上気体中での発熱が元々小さいため、浴上気体層中に極端な高温部は存在せず、浴上方の反応容器内壁への熱負荷が低減される。浴面最高温度を常に950℃以下に設定することにより、従来技術での四塩化チタン最大滴下流量の2倍の滴下流量を平均的に滴下しても反応容器への熱負荷集中は従来技術並みに抑制できることを本件発明者は確認した。この様に浴液表面温度を従来技術より低く設定することにより浴液・浴上気体ともに極端に高温な領域を形成させないことが可能になったのは、従来技術における四塩化チタン還元反応が主として浴上気体中の反応によること、並びに、浴上気体層中反応がマグネシウム蒸気圧、即ち、浴液表面温度の上昇とともに急激に促進され、特に浴液表面温度950℃を超えるとこの効果が顕著になることを本発明者が初めて見出したことに基づくものである。尚、反応浴液均温化が生産性向上のために有利であることを第1発明で示したが、浴液均温化の観点から、第2発明における反応浴液平均温度の望ましい上限値は、反応浴液表面温度上限値と等しい950℃である。
【0044】
また、第1発明の効果により、効果的に浴を冷却することができるため、従来並みの四塩化チタン供給流量の場合、浴平均温度を低温まで設定可能である。このことは、反応容器寿命、並びに、成品チタン汚染の観点から有利な操業条件である。しかし、実機操業上、浴の平均温度が770℃未満に低下すると、反応容器内で局部的にマグネシウム融点以下となる領域が発生し、浴の流動性低下、並び二塩化マグネシウムの排出困難などの問題が発生するため、浴平均温度は770℃以上を維持しなければならないことを本発明者は見出した。例えば、浴温度を平均770℃に設定した場合、反応容器の寿命を従来技術の1.5倍に延長できる。第2発明の作用をまとめると、浴液平均温度を770℃以上、かつ、浴面での最高温度が950℃以下に設定することにより、従来技術の2倍の生産性、または、従来技術以上の製品品質及び設備寿命を確保できる。尚、第2発明における反応浴液表面温度の望ましい下限値は、反応浴液平均温度下限値と同様の理由により770℃である。
【0045】
ここで、「反応浴液平均温度」とは、ある瞬間での反応容器内の反応浴液全体についての空間平均温度のことを意味する。また、「反応浴液表面温度」とは、浴液と浴上ガス層との界面の浴液側温度のことである。反応浴液表面及び反応浴液平均温度は、ともに浴面及び浴中に熱電対などの測温装置を挿入し、そこでの温度を測定することにより得ることができる。反応浴液表面温度及び反応浴液平均温度の設定方法は、浴液温度測定値を反応容器の加熱・冷却装置に対してフィードバックし、反応容器への入出熱を制御することにより、浴温を所定範囲内に維持してもよいし、また、反応容器の加熱・冷却装置特性と作業条件と浴温の関係を予め求めておき、実操業での個別温度設定時には浴温が所定範囲内となる様に、この関係から求めた反応容器加熱・冷却装置への設定値とし、反応容器への入出熱を変化させることにより実現できる。
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
次に、第1発明について、従来技術との差違の要点を説明する。従来技術と本件発明は、ともに、反応浴液上方から四塩化チタンを供給するとともに浴面下に循環流を形成するものである。異なるのは、従来技術では滴下される四塩化チタン液が供給管出口直前において常圧の不安定な二相流状態であり、低速の自由落下液滴として浴面に分散的に達するため四塩化チタン液が浴中深く達することはなく、浴面直下循環流厚15は、100mm以下に留まる。これに対し、本件発明では供給する四塩化チタン液に高い背圧を与え、かつ、吐出部直前でノズルで液を絞り、整流化することにより、ノズル内の吐出直前においても四塩化チタンを単相流に維持したまま噴射し、浴面に収束して高速で衝突させることにより浴面下100mmを越える深さまで四塩化チタンを到達させ、浴面直下循環流厚15を100mmを超える厚みとすることで浴液をより均温化することができる。以下、詳細に説明する。
【0052】
第1発明図8を用いて説明する。反応浴液の浴面6上方に浴面6に向けて設置されたノズル29を通して、背圧のかけられた四塩化チタン液を浴面6に対して噴射する。ノズル29に背圧を与えるために四塩化チタン供給管8は、反応容器外部でポンプ33及び四塩化チタン液タンク34に接続されており、配管途中に液流量、または、液圧力の調整弁35が設置されている。噴射された四塩化チタン液噴流30は浴面6に到達すると浴中に侵入し、浴中の噴流周囲に洞穴状塩化チタン塩化物蒸気膜31を形成する。この洞穴状塩化チタン塩化物蒸気膜31の反応浴2中での最深到達距離であるところの浴面からの蒸気膜侵入深さ32を浴面下100mmを超えた深さに到達させることにより、浴液攪拌増強効果が得られ、浴面直下循環流厚15は増大する。ここで、ノズル中心軸と浴面のなす角は特に規定しないが、噴射四塩化チタンの浴面からの侵入深さ32が充分確保できる様、適宜設定する。この浴液攪拌増強効果が得られる機構を図9を用いて説明する。四塩化チタン供給管8及び四塩化チタン噴射ノズル29は、内部を四塩化チタン液で満たされ、例えば数十万Paといった比較的大きな背圧が与えられている。ここで、「背圧」と呼ぶのはノズル出口と入口の静圧差のことである。第1発明においてノズル出口静圧は、反応容器内気体圧力に等しく、容器内への外気侵入防止のために通常、大気圧より数万Pa程度高く設定する。ここに示した配管及びノズル内部は、常に四塩化チタン液で満たされており、ノズル出口では背圧は、四塩化チタン噴流の運動量に大部分が変換される。第1発明において吐出された四塩化チタン噴流30は、単相の液噴流であるか、液滴の集合である二相流型噴流のいずれかであるが、ノズル先端から浴面間距離が例えば2000mm以下と比較的短い場合には、吐出時に噴流に与えられた運動量はほとんど減衰することなく浴面6に衝突する。この衝突により、浴面はおし広げられて噴流は浴面より深い位置に到達することができる。噴流先端部では四塩化チタン液が激しく蒸発することにより噴流と浴液の間に洞穴状塩化チタン塩化物蒸気膜31を形成し、噴流と浴液が直接接触混合することを妨げる。この蒸気膜中のチタン塩化物ガス(四塩化チタン蒸気及び中間生成物であるチタン低級塩化物ガス)は、一部は浴面で反応吸収されるが、残りは、浴上気体5中に放出される。洞穴状塩化チタン塩化物蒸気膜から浴上気体中に放出されるガスの流速は例えば数百m/秒と極めて早いため、洞穴状塩化チタン塩化物蒸気膜の浴液表面に強いせん断力を与えつづける。これが、浴液に上向きの攪拌力を付与する第1の駆動力となる。この他、第2の駆動力が存在する。これは、洞穴状塩化チタン塩化物蒸気膜が形成される際、多くの場合、蒸発した四塩化チタンの一部が、洞穴状塩化チタン塩化物蒸気膜と一体化できず、浴中に孤立した気泡として放出され、反応浴中を上昇する。この孤立気泡20の上昇により浴液に対して上向きの力が与えられることによるものである。浴中への侵入深さ32が時間平均的に100mmより大きくなるように四塩化チタン噴射条件を設定すると、この第1及び第2の駆動力により容易に数十Nの攪拌力が得られ、かつ、浴面直下循環流厚15の拡大に効果が発生することを本発明者は見出した。浴中への侵入深さ32が増大するに従って、浴面直下循環流厚み拡大効果は急速に増大する。尚、第1発明における様な揮発性液噴流の高温液面への高圧噴射による攪拌効果が第1及び第2の駆動力によること自身も本発明者がはじめて見出した事である。
【0053】
第1発明のこの他の作用として、浴中に形成された蒸気膜や蒸気泡中のチタン塩化物ガスは、浴中侵入深さが例えば300mm以上と大きい場合には、単に、浴液攪拌による浴液の均温化効果のみならず、四塩化チタン蒸気が浴上気体層中に放出するまでにかなりの割合で浴中で反応が進行するため、浴上気体中へのチタン塩化物ガス放出量の減少する効果が発生する。浴上気体中へのチタン塩化物ガス放出量が減少すると浴上気体中での反応及び浴面での反応量が減少するため、浴上気体層中での反応の全反応に対する割合が一層低下して浴面近傍反応容器壁への熱負荷集中を緩和する。同時に、ガスバブリング効果により、反応生成物に起因して浴面に発生する表面膜を破壊し、浴面での反応効率を向上させ、より大きな四塩化チタン滴下流量まで対応可能となる。
【0054】
第1発明スクリュー、へら状の攪拌棒、及び反応浴液と反応しない気体の反応浴液中への吐出、等の他の浴液攪拌手法と比較した場合の利点は、第1に、浴を攪拌するために生成したスポンジチタン塊の汚染の懸念や、成長するスポンジチタン塊との物理的干渉の存在しうる、攪拌棒・四塩化チタン供給管や不活性ガス供給管を浴液中に投入する必要がないこと、第2に、浴面上方から浴中に四塩化チタンを供給する際に高速の液滴を浴面に打ち込むため、浴上からのガス吹き込み法等に比べて、容易に高い衝突圧が得られて大量に飛沫を発生させることなく、大きな浴中侵入深さを達成できること、第3に設備が他の攪拌法に比べて比較的的簡素に構成できることなどが挙げられる。
【0055】
次に、従来技術との違いをより詳細に説明する。まず、反応容器内への四塩化チタン吐出直前状態で、本件発明が高速単相流を維持するのに対し、従来技術では低速二相流となってしまう原因は、従来技術では滴下配管閉塞防止の観点から吐出管口径が20mm以上と大きいのに対し、本件発明ではノズルで流れを絞る結果、ノズル吐出径が10mm程度以下と小さいことである。これは、配管系及びノズル内部が常に四塩化チタン液で満たされるための条件は、ノズル流量に対してノズル内径が充分に小さいことが必要であるからである。なぜならば、ノズル内径がノズル流量に対して過大な場合、ノズル内での液流れはノズル内を満たした単相流として一様に遅く流れるよりも、ノズル内の一部のみを高速で流通し、他の部分は気体で満たされる二相流状態の方が運動量的に安定となるからである。また、ノズル流量は作業条件により予め定められているので、配管系及びノズル内部を常に四塩化チタン液で満たすためのノズル内径には最大値が存在することになる。従来技術での四塩化チタン最大供給流量250kg/m2Hr、かつ、従来技術での四塩化チタン滴下背圧条件に対応する配管系及びノズル内部が常に四塩化チタン液で満たすためのノズル内径最大値は、実験の結果、約12mmであり、従来技術に採用されてきた吐出管径より遥かに小さい。また、実験結果より同一流量でノズル内径をより小さくする、即ち、流れをより絞るほど流れは安定化して二相流化しにくくなる。ノズル背圧を上昇させることはノズル流量を増大させる効果があるので、従来技術最大流量並みで作業する場合にノズル背圧を上昇させるためには少なくともこの内径12mm以下のノズルを適用する必要がある。管内で一旦、二相流化した流れは、周囲気体との抵抗、供給管壁や他の液滴との衝突により、単相流に比べて運動量を消費しやすく、二相流化後、例えば2m以内で当初有していた運動量の大部分を失う。従来技術においても、四塩化チタン供給管の元圧をポンプにより10万Pa程度を有するものが存在したが、供給途中での管内二相流化により運動量を失うため、供給管吐出口においてはいずれも常圧低速流となってしまっていた。また、これ以上、四塩化チタン供給管元圧を上昇させても徒に途中配管での圧力損失を増加させるのみであり、最終的な吐出流速に与える影響は小さいため、元圧の極端な高圧化は試みられなかった。これに対し、本件発明では、四塩化チタン吐出直前に至るまで、途中配管内は常に四塩化チタンで満たされた単相流状態であり、途中配管での圧力損失は従来技術に比較して極めて小さい。従って、四塩化チタン供給元圧を上昇させることにより最終的な吐出速度を上昇させることができるので、本件発明ではノズル高背圧条件による四塩化チタン液の高速噴射が可能となった。
【0056】
また、従来技術と本件発明で反応容器内への四塩化チタン吐出時の液状態の違いは、浴面に形成される蒸気膜形状の両者の差の原因ともなる。従来技術では、不安定な二相流液滴として四塩化チタンが滴下されるため、液滴は落下中に更に分散し、浴面の広い範囲に落下する。この結果、従来技術で浴面に形成される蒸気膜形状は、浅く広いなべ底型となり、浴面からの侵入深さ32を確保するのには不利である。一方、本件発明では、ノズルから吐出された四塩化チタンは、吐出前に単相流として整流化されており、吐出後の乱れが小さく直進性が高いので噴流が浴面の狭い範囲に収束して衝突する。この結果、本件発明で浴面に形成される蒸気膜形状は、深く狭い洞穴型となり、浴面からの侵入深さ32を確保し易い。
【0057】
第1発明が、スクリュー、へら状の攪拌棒、及び反応浴液と反応しない気体の反応浴液中への吐出、等の他の浴液への攪拌力付与方法と異なる点は、四塩化チタン液噴流により浴液を攪拌するため、攪拌力の付与と同時に原料である四塩化チタン液の供給も行うことである。この第1発明における四塩化チタン供給の役割は、様々なレベルで実現できる。まず、図8は、従来技術での四塩化チタン滴下管8と攪拌力付与装置として別系統に四塩化チタン液噴射ノズル29を設置した構成であり、四塩化チタンの主たる供給、即ち、主供給は、従来技術での四塩化チタン滴下管8により行われる。この設備構成の場合、四塩化チタンの主供給と浴攪拌のための四塩化チタンの供給条件をそれぞれ独立に最適設定することができ、操業条件設定の自由度が高い。
【0058】
第1発明の実施において、浴面からの侵入深さを確認する方法は、例えば、反応浴中に2本の電極を挿入し、電極間の電流変化の空間分布を測定することにより求めることができる。これは、四塩化チタンの浴中への侵入とともに発生した蒸気が電極間に存在すると電極間電気抵抗が著しく大きくなることを利用して蒸気を検出する方法である。
【0059】
次に第3発明の作用について説明する。第3発明は、第1発明において、具体的な作業条件を規定したものである。第1発明の原理は、大きな衝突圧で四塩化チタン液を浴面に衝突させれば、浴中で浴面から100mmより深い位置に蒸気膜が形成され、これに伴って浴面直下循環流厚みが増大するというものであり、この原理自身は常に正しいといえる。しかし、高い噴流衝突圧を与えるために単に高圧・大口径・ノズル近接化を図ることは、浴面での大量の飛沫発生を招き、浴面上方の機器・構造物をこの飛沫で汚染する。この様な機器・構造物表面の汚染物は、機器・構造物表面から溶出した鉄などの不純物を大量に含んでおり、これら汚染物は、四塩化チタン還元操業中にしばしば、浴面に落下し、成品チタンにとり込まれるため、成品チタンの純度を問題とする様な高級チタン金属製造時には、この様な浴液飛沫発生を極力避ける必要がある。本件発明者は、詳細な第1発明の実機化条件の検討から、第3発明において、浴面からの飛沫発生量を最小にし、かつ、浴攪拌に必要な浴中への侵入深さを満足するための、ノズル内径・ノズル背圧・ノズル−浴面間距離・ノズル形状の各作業条件を見出した。以下、作業条件ごとに具体的に説明する。尚、これら4つの作業条件範囲であれば、各作業条件の任意の組み合わせで浴面直下循環流厚みの拡大効果が得られるが、循環流厚み拡大効果の大きさは、組み合わせ条件により当然異なる。即ち、ノズル内径はより大径に、ノズル背圧はより高圧に、ノズル−浴面間距離はより近く、ノズル出口近傍での直管部はより長く作業条件を設定することが、循環流厚み増大効果をより強化する方法である。
【0060】
第一に、図11を用いて、ノズル内径の影響を説明する。ノズル内径が1mm未満の場合、噴流が細すぎて浴中の洞穴型蒸気膜中で安定して噴流を維持することができないため所要侵入深さである浴面下100mmを満足できない。一方、ノズル内径が大きくなるにつれて浴面に衝突する四塩化チタン噴流の断面積が増大するため、この噴流の浴中侵入により浴面・浴中から排除される浴液量も増大し、浴面での浴液飛沫発生量・飛沫液滴径・飛沫飛散範囲が急激に増大する。ノズル内径が10mmを超えると飛沫の発生は特に顕著であり、直径10mm以上の大型飛沫が容器壁に直接飛散・付着するようになり、容器成分の溶出によるチタン成品の汚染は、高級チタン金属における一般的な品質許容範囲を維持できなくなる。ノズル内径が10mmを超えた場合の飛沫発生は、他の3作業条件範囲内のいかなる設定においてもこれを許容範囲に抑制することはできないため、この様なノズル内径条件は適用不可能である。従って、ノズル内径は、1mmから10mmが適切な作業可能範囲である。
【0061】
第二に、図12を用いて、ノズル背圧の影響を説明する。噴流の吐出される反応容器内浴上気体は、数万Pa程度のやや正圧であるので、ノズル背圧とノズル出口圧の静圧差を作業条件の定義とした。ノズル−浴面間距離が1000mm程度以下の場合、ノズル背圧は、四塩化チタン液噴流30が浴面に衝突する時点での最大衝突力をほぼ一義的に定める。また、浴中への侵入深さ32は、[衝突力]/[衝突断面積]で定義されるところの四塩化チタン液噴流30衝突圧が洞穴状チタン塩化物蒸気膜が周囲浴液から受ける静圧を大きく超える浴中深さまで四塩化チタン液噴流が侵入することはありえない。つまり、浴中へのある所要侵入深さに対するノズル背圧には物理的な下限値が存在する。本件発明における浴面直下循環流厚み拡大効果を発揮するための所要侵入深さは満足する条件は、ノズル入口−出口圧力差が100,000Pa以上である。また、ノズル入口−出口圧力差が5,000,000Paを超えると浴面での飛沫発生により操業不可能となった。従って、ノズル入口−出口静圧差については100,000Paから5,000,000Paが適切な作業条件である。
【0062】
第三に、図13を用いて、ノズル−浴面間距離の影響を説明する。吐出された噴流は飛行するに従って衝突断面積が大きくなるため衝突圧が低下する。前述のノズル衝突圧と浴中への侵入深さの関係から、本発明における浴面直下循環流厚み拡大効果を発揮するための所要侵入深さは満足する条件に関しては、浴ノズル先端−浴面間距離が2000mm以下であることを本発明者は見出した。一方、ノズル先端−浴面間距離が50mm未満となると飛沫の発生が著しくなり、ノズル、または、ノズル覆いに飛沫への付着が多くなるため、作業を継続できなくなる。従って、ノズル先端−浴面間距離は、50mmから2000mmが適切な作業条件範囲である。
【0063】
第四に、図15を用いて、ノズル形状の影響を説明する。単相の液噴射ノズルとして代表的なものは、ノズル出口近傍でのノズル内断面積がノズル出口に向けて次第に拡大する形状であり、かつ、噴射液を液滴化・分散化することを目的とするノズル、即ち、スプレノズル、並びに、ノズル出口近傍にノズル出口に向けて断面積がほぼ一定を保つ直射ノズルがあげられる。本件発明者が得た知見によると、第1発明に対して、ノズルテーパ角が10°を超える汎用スプレノズルを適用した場合、浴面衝突断面積が増大するため浴中への所要侵入深さを満足するためには、直射ノズルに比べて比較的大きなノズル背圧・供給液流量が必要となり、浴面からの飛沫発生に対して不利である。従って、ノズル形状として、直射ノズルを適用することが作業条件である。直射ノズルの断面形状を図14を使って説明する。上流から供給された四塩化チタン液は、直射ノズル内で流れの進行とともに絞られ、高速化する。この際、ノズル背圧は、液流れの運動量に変換される。絞られた後の液流れは、ノズル出口直前に設けられたノズル出口直管部で整流化されるとともにノズル出口の外部気体との圧力と一致する方向にノズル内流れの静圧を減少する。このノズル出口直管部の具体的な効果は、第1に、吐出噴流の乱流強度を減少させて吐出後の噴流飛散を防ぐこと、第2に、静圧を運動量に変換する場として機能することにより、吐出時の噴流静圧を吐出先のガス圧に一致させて、吐出時の噴流−ガス間静圧差に基づく爆裂的噴流分散を防止することである。尚、直射ノズルの断面形状は、必ずしも円形である必要はなく、例えば反応容器形状に応じて、楕円形や矩形断面でもかまわない。また、直射ノズルの出口にノズル出口欠損による吐出噴流の不均一化を防止するための面取り加工を施す場合も存在するが、面取りが例えば1mm以下と小さい場合には、このノズルも実質的に直射ノズルと同様の噴流特性を発揮するので、直射ノズルの一種とみなせる。また、単に四塩化チタン供給管壁にキリ通し孔を設けてこの孔から液を噴射する場合もあり得るが、キリ通し孔の深さが1mm程度以上存在すれば、孔を通過する際の噴流整流化が期待でき、これも一種の直射ノズルである。つまり、ノズル出口近傍に直管部を有することが液噴流の噴流半径方向への広がりが小さく直進性にとって有利である。そこで、図15に示すこのノズル出口近傍直管部長さと浴液中への侵入深さの関係を調査した結果、ノズル出口近傍直管部長さが1mm未満の場合、急激に四塩化チタン液噴流の直進性が悪化して浴中への侵入深さを減少させることを見出した。この1mmという値は、ノズル内径作業条件範囲である1mmから10mmの直射ノズルに対して、普遍的な限界値であることを本発明者は見出した。ノズル出口近傍直管部長さは長いほど整流化効果が上昇するが、直管部長さが極端に長大な場合には直管部での圧力損失により作業費増となる。結論として、ノズル出口近傍直管部長さは、1mm以上設定することが適切な作業条件範囲である。尚、ここではノズル出口近傍に直管部を有する直射ノズルについての最適操業条件を述べたが、断面積がノズル吐出口側に次第に狭くなる先細ノズル、または、ノズル吐出口側に次第に広くなる末広ノズルに関しても、テーパ角が30°(先細ノズル)、または、10°(末広ノズル)以下と小さい場合には直射ノズルに近い性能を示す。これは、先細ノズル、または、末広ノズルというノズル形状が高性能を与えているわけではなく、単にノズルテーパ角が小さいのでテーパの影響が小さい、即ち、直射ノズルに近い形状であることによるものであり、作動原理及びその効果に関して、直射ノズルに述べたものとなんら変わりない。従って、本発明は、これらテーパ角の小さい先細ノズル及び末広ノズルを包含している。
【0064】
ここでノズルの「テーパ角」といっているのは、ノズル軸方向にノズル内壁勾配にそって延長した仮想面がノズル軸と交差してなす角度のことであり、先細ノズル、末広ノズル、スプレノズルのいずれについても鋭角で表記する。即ち、先細ノズルではノズル内壁をノズル前方に延長してノズル中心軸となす角であり、末広ノズルではノズル内壁をノズル後方に延長してノズル中心軸となす角とする。先細ノズル及び末広ノズルの直管部に対応する部分は、ノズル内部で先に述べた範囲の小さなテーパ角度を連続して有する区間とする。
【0065】
また、請求項7「ノズル出口近傍において」の「近傍」とは、ノズル吐出側先端から概ね10mm以内の領域のことを指す。但し、ノズル吐出側先端での軸方向断面積変化が急激な場合、例えば45°角面取りがノズル先端に付与されている場合には、面取り部長さがノズル先端から1mmを大きく超えると噴射液は広く分散し、噴流直進性が著しく低下するので、この場合には「近傍」とはノズル先端から1mm以内ということになる。この様に「近傍」とは噴流直進性が維持される領域としてノズル条件毎に適宜設定されるものである。
【0066】
【0067】
【実施例】
この章では、従来技術での四塩化チタン最高流量相当条件であるところの250kg/m2・hrでの実施例を示す。
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
実施例
第1発明の実施例を説明する。容器直径2m、高さ5mのチタン還元反応装置において、浴面上方に浴面から50mmから2000mmの範囲での固定位置に、容器軸心から容器半径方向に200mmの位置に四塩化チタン供給ノズル29を浴面に垂直対向設置した。四塩化チタン液は、供給タンクからポンプにより所定圧力まで昇圧された後、四塩化チタン供給管8及びノズル29を通して四塩化チタン液噴流30として浴面に向けて吐出される。ノズルは、安価で靭性の高いステンレス鋼性、または、耐熱・耐付着物性の高いアルミナ焼結体を用い、内径は1mmから10mmの範囲での円筒断面ノズル(直射ノズル)とし、ノズル出口の直管部長さを1mm〜10mmとした。さらに、ノズル背圧は、100,000Paから5,000,000Paの範囲で設定した。その結果、浴面直下循環流厚15は、どの条件でも500mm以上となり、浴が均温化した。
【0072】
【0073】
【0074】
比較例
従来装置での従来技術で最大流量時であるところの250kg/m2・hでの反応容器内温度分布を図10線Aに示す。ここで、本発明での線Bと比較して浴面近傍に高温領域が存在するので、従来技術は、限界生産性の点で不利である。
【0075】
【発明の効果】
本件発明を適用することにより、反応容器中への四塩化チタン供給流量を増大させることができ、金属チタン生産性を大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1発明における浴液流れ場の概念図である。
【図2】 第1発明における浴液温度分布の概念図である。
【図3】 第1発明における容器軸方向の浴液温度分布の概念図である。
【図4】 浴面直下循環流による浴液温度均一化効果の概念図である。
【図5】 外部攪拌力付与位置による浴液温度均一化効果の概念図である。
【図6】 マグネシウムの蒸気圧に関する従来装置と第1発明の比較概念図である。
【図7】 反応発熱に関する従来装置と第1発明の比較概念図である。
【図8】 第1発明の概念図である。
【図9】 第1発明における四塩化チタン滴下直下部での現象の概念図である。
【図10】 本発明の効果の概念図である。
【図11】 第3発明におけるノズル内径の影響の概念図である。
【図12】 第3発明におけるノズル入口−出口静圧差の影響の概念図である。
【図13】 第3発明におけるノズル先端−浴面間距離の影響の概念図である。
【図14】 第3発明におけるノズル内断面形状の概念図である。
【図15】 第3発明におけるノズル内出口直管部長さの影響の概念図である。
【図16】 従来法によるチタン還元装置の概念図である。
【図17】 従来装置おける反応部位の概念図である。
【図18】 従来装置おける容器軸方向の浴液温度分布の概念図である。
【図19】 従来装置おける浴液流れ場の概念図である。
【図20】 従来装置おける浴液温度分布の概念図である。
【図21】 従来装置おける四塩化チタン滴下直下部での現象の概念図である。
【符号の説明】
1… 反応容器壁
2… 反応浴液
3… 二塩化マグネシウム浴液
4… スポンジチタン塊
5… 浴上気体
6… 浴面
7… 四塩化チタン液滴
8… 四塩化チタン液供給管
9… 二塩化マグネシウム排出管
10… チタン塩化物蒸気流
11… 四塩化チタン滴下直下部
12… 浴上気体還元反応部
13… 浴面還元反応部
14… 浴面直下循環流
15… 浴面直下循環流厚
16… 浴中深部循環流
17… 攪拌力
18… 反応容器壁熱負荷集中部
19… 浴面下100mm深さ位置
20… チタン塩化物浴中孤立気泡
21… 上向き反応浴液流れ
22… スクリュ
23… 伝導軸
24… シール機構
25… アクチュエータ
26… 攪拌棒
27… 攪拌気体供給管
28… 攪拌気体気泡
29… ノズル
30… 四塩化チタン液噴流
31… 洞穴状チタン塩化物蒸気膜
32… 浴面からの侵入深さ
33… ポンプ
34… 四塩化チタンタンク
35… 調整弁
36… コンプレッサ
37… アルゴンガスボンベ
38… コイル
39… ピンチ力

Claims (3)

  1. クロール法の還元工程におけるバッチ式の金属チタンの製造方法であって、反応容器内の溶融マグネシウムを主成分とする反応浴液の表面の上方から、液状又はミスト状の四塩化チタンを供給して反応させ金属チタン微粒子を生成させると共に、更に、前記四塩化チタンの供給とは別系統で前記反応浴液の浴面上方に浴面に向けて設置したノズルを通して、背圧の与えられた四塩化チタンを反応浴液中へ吹き込み、浴面下100mmより深く到達させることにより、前記反応浴液の浴面下より100mmより深い領域の少なくとも一部において、上方向の反応浴液流速を発生または増大するように反応浴液に攪拌力を与えることにより、浴面直下で浴面に垂直方向の反応浴液循環流を発生、あるいは拡大することを特徴とする金属チタンの製造方法。
  2. 前記反応浴液平均温度を770℃以上、かつ、前記浴面での最高温度が950℃以下に設定することを特徴とする請求項1に記載の金属チタンの製造方法。
  3. 前記ノズルの最小内径が1mmから10mmであって、また該ノズルの出口またはノズルの出口近傍においてノズル軸方向に1mm以上の長さでノズル断面形状及びノズル断面積が一定に保たれる領域を有し、かつ、ノズルの入口と出口の静圧差を100,000Paから5,000,000Paの範囲とし、かつ、ノズル先端と浴面間の距離を50mmから2000mmの範囲とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の金属チタンの製造方法。
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