JPH09287035A - 高純度スポンジチタン製造用反応容器 - Google Patents

高純度スポンジチタン製造用反応容器

Info

Publication number
JPH09287035A
JPH09287035A JP9974196A JP9974196A JPH09287035A JP H09287035 A JPH09287035 A JP H09287035A JP 9974196 A JP9974196 A JP 9974196A JP 9974196 A JP9974196 A JP 9974196A JP H09287035 A JPH09287035 A JP H09287035A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carbon
stainless steel
steel
reaction vessel
surface side
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP9974196A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3384926B2 (ja
Inventor
Hideki Fujii
秀樹 藤井
Hiroyuki Katayama
裕之 片山
Seiichi Soeda
精一 添田
Masanori Yamaguchi
雅憲 山口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Toho Titanium Co Ltd
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Toho Titanium Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp, Toho Titanium Co Ltd filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP09974196A priority Critical patent/JP3384926B2/ja
Publication of JPH09287035A publication Critical patent/JPH09287035A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3384926B2 publication Critical patent/JP3384926B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacture And Refinement Of Metals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、安価な汎用材を使用し、しかも、C
r系炭化物生成による割れを抑制するとともにクリープ
変形を抑制することにより、使用可能回数を増加させ、
高純度スポンジチタンの製造コスト低減を可能とする、
高純度スポンジチタン製造に用いられる反応容器を提供
する。 【解決手段】四塩化チタンと金属マグネシウムを反応さ
せ、残留した塩化マグネシウムと未反応金属マグネシウ
ムを分離除去してスポンジチタンを製造する工程に用い
られる反応容器において、円筒部の内面側が炭素鋼で、
外面側がステンレス鋼であり、かつ、使用前の状態にお
いて、炭素鋼の炭素含有量が、ステンレス鋼の炭素含有
量の1.0〜1.8倍であることを特徴とする、高純度
スポンジチタン製造用反応容器。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、四塩化チタンと金
属マグネシウムを反応させ、残留した塩化マグネシウム
と未反応金属マグネシウムを分離除去してスポンジチタ
ンを製造する工程に用いられる反応容器に関するもので
ある。さらに詳しくは、不純物元素であるNiおよびC
rの含有量を抑制した高純度スポンジチタン製造用の反
応容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】スポンジチタンの製造工程は、四塩化チ
タンと金属マグネシウムを高温で反応させ、スポンジチ
タンと塩化マグネシウムを生成させる反応工程と、さら
に、塩化マグネシウムと未反応の金属マグネシウムを、
真空引きしながら高温加熱することにより、スポンジチ
タンから分離する分離工程の2種類の工程を1サイクル
(回)の工程としている。
【0003】この二つの工程は同一の反応容器を用いて
連続して行われるが、反応容器は一連の工程中に様々な
過酷な環境に曝され変形や侵食を受ける。例えば、外面
側は高温酸化により損耗し、内面側は、溶融金属マグネ
シウムとの反応や溶融塩化マグネシウムによる腐食、さ
らには製造されたスポンジチタンとの相互拡散により損
耗する。
【0004】また700〜1050℃の高温域に加熱さ
れ、1回の工程中に数十時間以上の長時間に渡って保持
され、さらに冷却され、この間に容器の自重や、内容物
による荷重、さらには熱応力などの影響でクリープ変形
などの塑性変形も受ける。
【0005】そのため、それに極力耐えうる素材を用い
る必要があり、耐食性と耐熱性を兼ね備えたSUS30
4やSUS316などのオーステナイト系ステンレス鋼
が主に使用されてきた。このようなステンレス鋼は、N
iやCrを多量に含有していることから、必然的にこれ
らの元素が、微量ではあるが、製造されたスポンジチタ
ン中にも含有されてしまう。
【0006】多くのチタン製品では、このような微量の
汚染は許容される範囲内であり特に問題とはならない
が、耐クリープ特性が要求される用途や半導体製造用途
に使用される場合、さらに生体材料として使用される場
合等、一部の特殊な用途においては、微量汚染でも有害
となる場合があり、このような製品向けには、より高純
度のスポンジチタンを製造する必要がある。
【0007】このような高純度スポンジチタンを製造す
るには、反応容器として、内面側がNiやCrをほとん
ど含有しない炭素鋼からなり、外面側がSUS304や
SUS316などのオーステナイト系ステンレス鋼から
なる二層構造の容器が使用されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記二重構造の反応容
器は、内面側に炭素鋼を肉盛り溶接したり、SUS30
4やSUS316と炭素鋼のクラッド材を用いて製造さ
れるが、炭素はCrとの親和性が強いため、高温域での
使用中に炭素鋼中の炭素がCrを含むステンレス鋼側へ
拡散流入し、その結果、ステンレス鋼中に脆いCr系炭
化物が多量に生成し、使用中に割れを生じるという問題
点があった。
【0009】これを改善する方法が、特開昭62−286537
号公開特許公報に開示されており、それによると、ステ
ンレス鋼よりも炭素濃度の低い低炭素鋼を使用すること
により、ステンレス鋼側の炭素濃度の上昇が抑制され、
Cr系炭化物の生成も抑制することができるというもの
である。確かに、このような技術を用いれば、クロム系
炭化物の生成は抑制され、割れも生じにくくなり、より
多くの回数繰り返し使用できるので、寿命が長くなる。
【0010】しかし、元来オーステナイト系ステンレス
鋼中の炭素濃度は低く抑えられており、これよりもさら
に低い炭素濃度の炭素鋼は、安価で利用しやすい汎用材
料とはいえず、特別に素材を製造する必要があり、容器
製造コストが高くなりその結果スポンジチタンの製造コ
ストも高くなるという問題点があった。
【0011】また、このような方法を採用しても、二重
構造起因の複雑な応力状態によりクリープ挙動が助長さ
れ、使用中に反応容器の変形が大きくなり、そのため、
容器の繰り返し使用回数が制限されるという問題点は解
決されない。
【0012】本発明は、上記の問題点に鑑み、安価な汎
用材を使用し、しかも、Cr系炭化物生成による割れを
抑制するとともにクリープ変形を抑制することにより使
用可能回数を増加させ、その結果、高純度スポンジチタ
ンの製造コスト低減を可能とする、高純度スポンジチタ
ン製造に用いられる反応容器を提供することを目的とし
ている。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明は、 (1)四塩化チタンと金属マグネシウムを反応させ、残
留した塩化マグネシウムと未反応金属マグネシウムを分
離除去してスポンジチタンを製造する工程に用いられる
反応容器において、円筒部の内面側が炭素鋼で、外面側
がステンレス鋼であり、かつ、使用前の状態において、
炭素鋼の炭素含有量が、ステンレス鋼の炭素含有量の
1.0〜1.8倍であることを特徴とする、高純度スポ
ンジチタン製造用反応容器。
【0014】(2)前記(1)記載の反応容器におい
て、外面側が17〜20重量%のCrと7〜13重量%
のNiを含有するステンレス鋼、あるいは16〜19重
量%のCrと10〜16重量%のNiと1.2〜3重量
%のMoを含有するステンレス鋼であることを特徴とす
る、高純度スポンジチタン製造用反応容器。
【0015】(3)前記(1)または(2)記載の反応
容器において、内面側が肉盛り溶接された炭素鋼から成
ることを特徴とする、高純度スポンジチタン製造用反応
容器。
【0016】(4)前記(1)または(2)記載の反応
容器において、外面側と内面側が、ステンレス鋼と炭素
鋼からなるクラッド材により形成されることを特徴とす
る、高純度スポンジチタン製造用反応容器。である。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明者等は、ステンレス鋼と炭
素鋼を接合した場合の界面近傍における金属学的現象を
詳細に観察するとともに、Cr系炭化物生成による割れ
の生成挙動について詳細に解析した結果、下記の知見を
得た。
【0018】すなわち、炭素は炭素鋼側からCr濃度の
高いステンレス鋼側へ拡散流入するが、1000℃付近
で数十時間流入した時に、最も高濃度の炭素がステンレ
ス鋼と炭素鋼の境界部付近に濃化し、最も高密度にCr
系炭化物が生成する。これは、実際の反応容器の使用条
件に当てはめると、1〜2回のスポンジチタン製造工程
に相当する時間である。
【0019】しかし、それ以上の時間保持すると、炭素
は境界部から遠方のステンレス鋼内部にまで拡散し、ス
テンレス鋼中の平均の炭素濃度は上昇するものの、境界
部近傍での炭素濃度は、先の最高値よりは低くなり、こ
の領域におけるCr系炭化物密度は減少に転ずる。
【0020】以上の知見は、最も割れを生じやすい状
態、すなわち、最もCr系炭化物密度の高い状態である
1000℃で数十時間使用した後の状態において割れが
生じていなければ、その後の使用においては割れが生じ
ることはなく、長期間、多回数にわたって反応容器の使
用が可能であることを示している。
【0021】本発明者等は、引き続いて、ステンレス鋼
と炭素鋼の境界部に最もCr系炭化物が多量に生成した
状態における機械的性質について詳細な検討を行った結
果、使用前の状態で、炭素鋼の炭素濃度がステンレス鋼
中の炭素濃度の1.8倍以内であれば、使用中に最も高
密度にCr系炭化物が生成した状態においても、実際に
反応容器が使用中に受ける荷重や環境変化に十分耐え、
割れは全く生じないことがわかった。
【0022】そればかりか、使用前の状態で、炭素鋼の
炭素濃度がステンレス鋼中の炭素濃度の1.0〜1.8倍
の範囲であれば、使用中に炭素濃度の上昇したステンレ
ス鋼は、炭素の固溶体強化および割れを生じない程度に
生成したCr系炭化物の効果で耐クリープ特性が向上
し、ステンレス鋼よりも炭素濃度の低い炭素鋼とステン
レス鋼を組み合わせた場合よりも、使用中の変形が抑制
され、むしろ寿命が長くなるという利点をも有している
ことがわかった。
【0023】炭素鋼の炭素濃度がステンレス鋼中の炭素
濃度の1.0倍未満の場合、流入する炭素量が少ないた
め、ステンレス鋼の耐クリープ特性の向上は不十分で、
長寿命化は達成できない。
【0024】本発明は上記知見をもとになされたもので
あり、本発明(1)では、四塩化チタンと金属マグネシ
ウムを反応させ、残留した塩化マグネシウムと未反応金
属マグネシウムを分離除去してスポンジチタンを製造す
る工程に用いられる反応容器において、円筒部の内面側
が炭素鋼で、外面側がステンレス鋼であり、かつ、使用
前の状態において、炭素鋼の炭素含有量が、ステンレス
鋼の炭素含有量の1.0〜1.8倍であることとした。
【0025】すなわち、内側面がNiやCrをほとんど
含有しない炭素鋼とすることで、これらの不純物を低減
した高純度スポンジチタンが製造でき、使用中にCr系
炭化物生成による割れを生じることもなく長期間の使用
が可能で、しかも、ステンレス鋼と同程度あるいはそれ
よりも炭素濃度の高い安価な汎用鋼種を使用しているの
で、反応容器の製造コストも下がり、スポンジチタン製
造コストの低減が達成できる。
【0026】さらに耐クリープ特性も向上しているの
で、使用中の変形が抑制され、寿命が長くなり、スポン
ジチタンの製造コストをさらに低減することができる。
【0027】ここで、炭素鋼の炭素含有量が、ステンレ
ス鋼の炭素含有量の1.0〜1.8倍であることとした
のは、先に述べたとおり、1.8倍超では、Cr系炭化
物の生成量が多すぎて、使用中に割れを生じ、反応容器
の使用ができなくなってしまうからであり、1.0倍未
満では、反応容器の製造コストが高くなる上に、ステン
レス鋼への炭素の流入量が少ないため、ステンレス鋼の
耐クリープ特性の向上が不十分となるからである。
【0028】本発明(2)では、本発明(1)記載の反
応容器において、外面側が17〜20重量%のCrと7
〜13重量%のNiを含有するステンレス鋼、あるいは
16〜19重量%のCrと10〜16重量%のNiと
1.2〜3重量%のMoを含有するステンレス鋼である
こととした。
【0029】外面側をこのように規定したCr,Ni含
有ステンレス鋼、またはCr,Ni,Mo含有ステンレ
ス鋼とすることによって、特に耐酸化損耗特性、耐クリ
ープ変形特性が向上し、高純度スポンジチタン製造可能
回数を増加させることができる。なお、このようなC
r,NiおよびMo含有量で規定されたステンレス鋼と
しては、SUS304,SUS316およびこれらを基
本組成とする鋼種がこれに相当する。
【0030】さて、本発明(3)では、本発明(1)あ
るいは(2)記載の反応容器において、内面側が肉盛り
溶接された炭素鋼からなることとした。すなわち、ステ
ンレス鋼を用いて制作された反応容器の内面側に、ステ
ンレス鋼の炭素含有量の1.0〜1.8倍の炭素含有量
の炭素鋼を肉盛り溶接した反応容器である。
【0031】肉盛り溶接法は、施工方法も簡単で、施工
コストも安く、2種類の材料の界面近傍の接合具合も良
好であり、炭素鋼からステンレス鋼への炭素の拡散流入
を均一にかつ確実に行うことができる。
【0032】また、本発明(4)では、本発明(1)あ
るいは(2)記載の反応容器において、外面側と内面側
が、ステンレス鋼と炭素鋼からなるクラッド鋼により形
成されることとした。すなわち、ステンレス鋼の炭素含
有量の1.0〜1.8倍の炭素含有量の炭素鋼とステン
レス鋼のクラッド材を用いて製作された反応容器であ
る。
【0033】内面側と外面側をクラッド材とすることに
よって、2種類の材料の界面近傍の接合具合が良好とな
り、炭素鋼からステンレス鋼への炭素の流入拡散を均一
にかつ確実に行うことができる。なお、クラッド材の製
造は、爆着法によって製造することもできるし、圧延法
によって製造することもできる。あるいは、爆着後圧延
して製造することも可能である。
【0034】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳しく説
明する。表1の「外面側材料」の欄に示した材質と炭素
含有量のステンレス鋼と、「内面側材料」の欄に示した
炭素含有量の炭素鋼からなる反応容器を作製し、実際の
スポンジチタン製造工程に適用し、容器の使用可能回数
を調べた。
【0035】容器の作製にあたっては、表1の「施工方
法」の欄に示したように、外面側材料と内面側材料のク
ラッド材を用いる方法、あるいは、外面側材料を用いて
製作した反応容器内側に内面側材料を肉盛り溶接して反
応容器を製作する方法を採用した。クラッド材を用いる
場合には、爆着クラッド材、圧延クラッド材、爆着後圧
延したクラッド材のいずれかを用いた。
【0036】各々のどの方法を用いたかは、表1中「施
工方法」欄に記載した通りである。また、上記いずれの
方法を用いて作製した場合でも、使用前の状態におい
て、外面側材料は25mmの厚さで、内面側材料は12
mmの厚さとした。
【0037】上記反応容器は、スポンジチタン製造工程
1回が終了するごとに、超音波探傷法により内部の割れ
の有無を判定した。そして、容器の使用可能回数は下記
の3つの状態のいずれかが発生した時の使用回数で定義
した。すなわち、これ以上の容器の使用が安全上問題が
あると判断された時の使用回数、あるいは、物理的に使
用が困難となった時の使用回数である。
【0038】その3つの状態とは、 1.「従来の技術」の項で説明した使用中の損耗挙動に
より、容器の厚さがこれ以上使用すると危険と判断され
る厚さである20mmにまで減じた場合 2.使用中の変形が矯正できない程度にまで大きくな
り、物理的に使用不能となった場合 3.超音波探傷法によって割れが発見され、これ以上使
用すると危険と判断される場合 である。
【0039】さて、上記容器を用いてスポンジチタンを
製造し、使用可能回数を測定した結果を表1の「使用可
能回数」欄に示す。
【0040】試験番号1は、外面側材料に16.5Cr鋼(S
US430)を、内面側には外面側材料であるステンレ
ス鋼の炭素含有量よりも低い炭素含有量の炭素鋼(炭素
鋼の炭素含有量が、ステンレス鋼の炭素含有量の1.0
倍未満)を使用した場合である。この場合、45回使用
した時に、クリープ変形による容器形状の変化が矯正で
きない程度にまで大きくなり、これ以上の使用が不可能
となった。
【0041】これに対し、本発明1の実施例で、内面側
の炭素鋼の炭素含有量が外面側のステンレス鋼(16.5Cr
鋼)の炭素含有量の1.5倍であった試験番号2は、5
6回の使用が可能であった。
【0042】これは、炭素含有量比が適正であったた
め、使用中に割れを生ずるような高密度のCr系炭化物
が界面近傍に生成せず、また、炭素鋼側からステンレス
鋼側に流入した炭素の固溶体強化および割れを生じない
程度に生成したCr系炭化物の効果で、耐クリープ特性
が向上し、使用中の容器の変形が抑制された結果であ
る。
【0043】この炭素鋼は、比較例である試験番号1で
使用した極低炭素鋼に比べると、安価で入手しやすく、
しかも上述のように、反応容器の耐クリープ特性向上効
果を誘発し、高純度スポンジチタン製造コストの低減を
可能とするものである。
【0044】試験番号3は、外面側材料に17.1Cr-4.3Ni
-6.1Mn鋼(SUS201)を、内面側には外面側材料であ
るステンレス鋼の炭素含有量よりも低い炭素含有量の炭
素鋼(炭素鋼の炭素含有量が、ステンレス鋼の炭素含有
量の1.0倍未満)を使用した場合である。この場合、
49回使用した時に、クリープ変形による容器形状の変
化が矯正できない程度にまで大きくなり、これ以上の使
用が不可能となった。
【0045】これに対し、本発明1の実施例で、内面側
の炭素鋼の炭素含有量が外面側のステンレス鋼(17.1Cr
-4.3Ni-6.1Mn鋼)の炭素含有量の1.5倍であった試験
番号4は、58回の使用が可能であった。
【0046】これも、炭素含有量比が適正であったた
め、使用中に割れを生ずるような高密度のCr系炭化物
が界面近傍に生成せず、また、炭素鋼側からステンレス
鋼側に流入した炭素の固溶体強化および割れを生じない
程度に生成したCr系炭化物の効果で、耐クリープ特性
が向上し、使用中の容器の変形が抑制された結果であ
る。
【0047】試験番号5および6は、外面側材料に16.7
Cr+12.0Ni+2.1Mo鋼(SUS316)を、内面側には外面
側材料であるステンレス鋼の炭素含有量よりも低い炭素
含有量の炭素鋼(炭素鋼の炭素含有量が、ステンレス鋼
の炭素含有量の1.0倍未満)を使用した場合である。
この場合、52〜54回使用した時に、クリープ変形に
よる容器形状の変化が矯正できない程度にまで大きくな
り、これ以上の使用が不可能となった。
【0048】これに対し、本発明2の実施例で、内面側
の炭素鋼の炭素含有量が外面側のステンレス鋼(16.7Cr
+12.0Ni+2.1Mo鋼)の炭素含有量の1.0〜1.8倍で
あった試験番号7〜9は、いずれも65回以上の使用が
可能であった。
【0049】これは、先に説明した試験番号1〜4の場
合と同様に、炭素含有量比が適正であったため、使用中
に割れを生ずるような高密度のCr系炭化物が界面近傍
に生成せず、また、炭素鋼側からステンレス鋼側に流入
した炭素の固溶体強化および割れを生じない程度に生成
したCr系炭化物の効果で、耐クリープ特性が向上し、
使用中の容器の変形が抑制された結果である。
【0050】特に、試験番号8および9では、容器の変
形抑制効果はきわめて大きく、使用可能回数が70回に
とどまったのは、使用中の容器の損耗により、容器の厚
さが20mmに達したためである。
【0051】さて、試験番号10および11は、内面側
の炭素鋼の炭素含有量が外面側のステンレス鋼(16.7Cr
+12.0Ni+2.1Mo鋼)の炭素含有量の1.8倍を越えた場
合であり、2回使用した時点で、炭素鋼側からステンレ
ス鋼側に流入し界面近傍に濃化した炭素濃度が著しく高
くなり、界面近傍に高密度のCr系炭化物が生成し、2
回使用した時点で割れが検出され、これ以上の使用が不
可能となった。
【0052】試験番号7〜9に示した本発明2の実施例
は、容器の作製に当たっては、16.7Cr+12.0Ni+2.1Mo鋼
と炭素鋼からなる爆着クラッド材を用いており、本発明
4の実施例でもある。
【0053】この爆着クラッド材以外でも、圧延クラッ
ド材あるいは爆着後圧延したクラッド材を用いて製造し
た試験番号12あるいは13においても、70回の使用
可能回数が得られており(使用中の容器の損耗により、
70回使用時に容器の厚さが限界厚さの20mmにまで
薄くなった)、本発明2あるいは4の効果が十分達成さ
れている。
【0054】また、外面側材料である16.7Cr+12.0Ni+2.
1Mo鋼を用いて反応容器を作製し、その内側に内面側材
料である炭素鋼を肉盛り溶接した試験番号14でも、使
用可能回数は68回の高い値が得られており、本発明2
あるいは3の効果が十分に達成されている。
【0055】さて、試験番号15は、外面側材料に18.5
Cr+9.3Ni鋼(SUS304)を、内面側には外面側材料
であるステンレス鋼(18.5Cr+9.3Ni鋼)の炭素含有量より
も低い炭素含有量の炭素鋼(炭素鋼の炭素含有量が、ス
テンレス鋼の炭素含有量の1.0倍未満)を使用した場
合である。この場合、45回使用した時に、クリープ変
形による容器形状の変化が矯正できない程度にまで大き
くなり、これ以上の使用が不可能となった。
【0056】これに対し、本発明2の実施例で、内面側
の炭素鋼の炭素含有量が外面側のステンレス鋼(18.5Cr
+9.3Ni鋼)の炭素含有量の1.0〜1.8倍であった試
験番号16および17は、いずれも60回以上の使用が
可能であった。
【0057】しかし、内面側の炭素鋼の炭素含有量が外
面側のステンレス鋼(18.5Cr+9.3Ni鋼)の炭素含有量の
1.8倍を越えた試験番号18では、2回使用した時点
で、割れが検出され、これ以上の使用が不可能であっ
た。
【0058】このように、内面側に安価な汎用炭素鋼を
使用しても、炭素含有量が適正であれば、高純度スポン
ジチタン製造用反応容器の内面側材料として十分使用で
きるばかりか、耐クリープ特性向上効果と併せて、スポ
ンジチタン製造コストの低減が可能となる。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように、本発明により、安
価な汎用材を使用し、しかも、Cr系炭化物生成による
割れを抑制するとともに使用可能回数を増加させ、その
結果、高純度スポンジチタンの製造コスト低減を可能と
する、高純度スポンジチタン製造に用いられる反応容器
を提供することができる。
【0060】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 添田 精一 東京都千代田区大手町二丁目6番3号 新 日本製鐵株式会社内 (72)発明者 山口 雅憲 神奈川県茅ヶ崎市茅ヶ崎三丁目3番5号 東邦チタニウム株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】四塩化チタンと金属マグネシウムを反応さ
    せ、残留した塩化マグネシウムと未反応金属マグネシウ
    ムを分離除去してスポンジチタンを製造する工程に用い
    られる反応容器において、円筒部の内面側が炭素鋼で、
    外面側がステンレス鋼であり、かつ、使用前の状態にお
    いて、炭素鋼の炭素含有量が、ステンレス鋼の炭素含有
    量の1.0〜1.8倍であることを特徴とする、高純度
    スポンジチタン製造用反応容器。
  2. 【請求項2】請求項1記載の反応容器において、外面側
    が17〜20重量%のCrと7〜13重量%のNiを含
    有するステンレス鋼、あるいは16〜19重量%のCr
    と10〜16重量%のNiと1.2〜3重量%のMoを
    含有するステンレス鋼であることを特徴とする、高純度
    スポンジチタン製造用反応容器。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載の反応容器におい
    て、内面側が肉盛り溶接された炭素鋼から成ることを特
    徴とする、高純度スポンジチタン製造用反応容器。
  4. 【請求項4】請求項1または2記載の反応容器におい
    て、外面側と内面側が、ステンレス鋼と炭素鋼からなる
    クラッド材により形成されることを特徴とする、高純度
    スポンジチタン製造用反応容器。
JP09974196A 1996-04-22 1996-04-22 高純度スポンジチタン製造用反応容器 Expired - Lifetime JP3384926B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP09974196A JP3384926B2 (ja) 1996-04-22 1996-04-22 高純度スポンジチタン製造用反応容器

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP09974196A JP3384926B2 (ja) 1996-04-22 1996-04-22 高純度スポンジチタン製造用反応容器

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH09287035A true JPH09287035A (ja) 1997-11-04
JP3384926B2 JP3384926B2 (ja) 2003-03-10

Family

ID=14255448

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP09974196A Expired - Lifetime JP3384926B2 (ja) 1996-04-22 1996-04-22 高純度スポンジチタン製造用反応容器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3384926B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003020992A1 (fr) * 2001-09-03 2003-03-13 Sumitomo Titanium Corporation Recipient de reaction a utiliser dans la production d'une eponge en titane, plaque de bouclier thermique placee dans ce recipient, et procede de production d'une eponge en titane
JP2008190024A (ja) * 2007-02-08 2008-08-21 Toho Titanium Co Ltd スポンジチタンの製造方法
CN102021352A (zh) * 2011-01-12 2011-04-20 洛阳双瑞万基钛业有限公司 一种用于制取高疏松度海绵钛的装置
CN114559715A (zh) * 2022-01-25 2022-05-31 德阳市金工机械制造有限公司 一种复合板、海绵钛反应器及其制备工艺

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003020992A1 (fr) * 2001-09-03 2003-03-13 Sumitomo Titanium Corporation Recipient de reaction a utiliser dans la production d'une eponge en titane, plaque de bouclier thermique placee dans ce recipient, et procede de production d'une eponge en titane
JP2008190024A (ja) * 2007-02-08 2008-08-21 Toho Titanium Co Ltd スポンジチタンの製造方法
CN102021352A (zh) * 2011-01-12 2011-04-20 洛阳双瑞万基钛业有限公司 一种用于制取高疏松度海绵钛的装置
CN114559715A (zh) * 2022-01-25 2022-05-31 德阳市金工机械制造有限公司 一种复合板、海绵钛反应器及其制备工艺

Also Published As

Publication number Publication date
JP3384926B2 (ja) 2003-03-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0365884B1 (en) Corrosion resistant nickel-base alloy
JP5984213B2 (ja) 溶接性に優れる被覆管用オーステナイト系Fe−Ni−Cr合金
CA1194346A (en) Corrosion resistant high strength nickel-base alloy
CA2443545C (en) Method of producing stainless steels having improved corrosion resistance
CN104411850B (zh) 双相不锈钢
JP3384926B2 (ja) 高純度スポンジチタン製造用反応容器
JP5372467B2 (ja) 耐水素脆化特性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼
JPH09166290A (ja) ステンレス鋼製高圧ガス容器及びその製造方法
CA3019554A1 (en) Welding structure member
JP3102604B2 (ja) 複合管とその製法
KR102499653B1 (ko) 용가재를 사용하여 용접함으로써 FeCrAl 합금을 FeNiCr 합금으로 접합시키는 방법
JP5880338B2 (ja) 金属材料およびボイラ用材料
JP2003503594A (ja) Ni−Cr−Mo−Feオーステナイト合金
JP3411805B2 (ja) 耐食性に優れたフィン及びヒレ用鉄鋼材料
JP3432072B2 (ja) スポンジチタン製造に用いられる反応容器およびその製造方法
JPH0635615B2 (ja) 溶接部の耐食性にすぐれたフエライト系ステンレス鋼材の製法
JPH0426937B2 (ja)
JP3442940B2 (ja) 25Cr肉盛溶接用被覆アーク溶接棒
JPH06256843A (ja) 強度、靱性および耐食性に優れた2相ステンレス溶接鋼管の製造方法
JP3466303B2 (ja) 原子炉圧力容器の肉盛り溶接用ニッケル基合金およびそれを使った原子炉圧力容器
JP2637039B2 (ja) 海水及び塩化物を含有する流体用弁の弁座
JPH08283914A (ja) ベローズ用フェライト系ステンレス鋼板
Nicolio et al. Duplex alloys: challenging corrosion in the new millennium
JPH0790373A (ja) 耐硝酸性に優れたMo含有オーステナイト系ステンレス鋼の製造法
JP3608422B2 (ja) 低サイクル疲労強度に優れた高耐食鋼管コイルおよびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20021210

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081227

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081227

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091227

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101227

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111227

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121227

Year of fee payment: 10

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121227

Year of fee payment: 10

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121227

Year of fee payment: 10

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121227

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131227

Year of fee payment: 11

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term