JP4134836B2 - アルミニウムまたはアルミニウム合金の精製方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、不純物として鉄(Fe)、シリコン(Si)、包晶系元素、およびその他の不可避的含有元素を含むアルミニウムまたはアルミニウム合金を精製するためのアルミニウムまたはアルミニウム合金の精製方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、不純物としてFe、Si、包晶系元素、およびその他の不可避的含有元素を含むアルミニウムまたはアルミニウム合金を精製するためのアルミニウムまたはアルミニウム合金の精製方法として、例えば、以下の方法が開示されている。
【0003】
(α)特開平8−295958号公報に開示されているように、不純物としてFeを含むアルミニウムまたはアルミニウム合金の溶湯中で、Fe酸化物およびアルミニウム酸化物以外の酸化物、好ましくはMgO,TiO2,MnO2,SiO2,ZnO等の存在下、および酸化性ガスの共存下に、前記FeからFeを含有する複合酸化物を形成してこれを除去することによりアルミニウムまたはアルミニウム合金を精製する方法。
【0004】
(β)特開平7−207368号公報に開示されているように、不純物としてチタニウム(Ti)を含むアルミニウムまたはアルミニウム合金溶湯中に、カルシウム(Ca)酸化物、バリウム(Ba)酸化物、マグネシウム(Mg)酸化物、マンガン(Mn)酸化物、鉛(Pb)酸化物の中から選択される少なくとも1種の酸化物を添加し、不純物Tiとこれらの酸化物との複合酸化物を形成させてこれを分離する工程を含む方法。
【0005】
(γ)特公昭61−36568号特許公報に開示されているように、偏析凝固法を用いたアルミニウムの精製法であって、溶解したアルミニウムを保持するための保持容器の上部外周を冷却し、この保持容器の上部内周にアルミニウムの初晶を晶出させ、この保持容器内で内周と略同径で、少なくとも1つの通液孔を有し、前記初晶を掻き取るための初晶掻取板を周期的に上下動させて前記初晶を掻き取り、かつ前記保持容器の下部に沈積した前記初晶を押し固め、アルミニウムの結晶を成長させることを特徴とし、アルミニウムの結晶の堆積高さが前記保持容器の冷却された部分の下部に達した時点でアルミニウムの精製を終了させ、その後、アルミニウムの凝固物を前記保持容器から取り出して所望の純度に応じて所要部位でこのアルミニウムの凝固物を切断する方法。
【0006】
(δ)特公平3−22453号公報に開示されているように、内側を冷却した物体をその内部に浸すことによって、外側を加熱した容器内で融点近くに保持されている容量の液体金属を順繰りに結晶化させる。このとき、その結晶化の速度を、冷却流体流、ルツボの外側の加熱効果力およびルツボの熱絶縁との共同作用によって調節する。次に、このようにして形成された比較的小さな結晶を掻き落とし、液体金属を含有する容器底部に収集し、ピストンによって容器底部を圧縮してこの比較的小さな結晶を焼結し、比較的大きな結晶とする。比較的多くの不純物を含有する留分が液体状の上澄みを構成している時に、この留分を排出するように容器を傾注することにより、比較的多くの不純物を含有する液体留分から比較的大きな結晶を含有する精製留分を分離する方法。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来のアルミニウムまたはアルミニウム合金の精製方法には、以下のような問題点があった。
(い)前記(α)の方法によるアルミニウムまたはアルミニウム合金の溶湯中の残留Feは、0.1質量%、すなわち1000質量ppmと不純物濃度のレベルが比較的高く、偏析凝固法を用いたアルミニウムの精製法に比べて精製効果は不充分である。
【0008】
(ろ)前記(β)の方法によるアルミニウムまたはアルミニウム合金の溶湯中の残留Tiは、0.02質量%以下と不純物濃度のレベルが比較的高く、精製効果は不充分である。
【0009】
(は)前記(γ)の方法は、FeやSi等の除去にある程度有効であるが、精製部に数%の母液部が残留し、これに起因してFeやSi等の不純物レベルはせいぜい5から10質量ppmまでしか到達しなかった。また、精製終了後、本体が凝固後に取り出すため、製品部分と固化母液部分とをソー等の切断機で切断する必要があった。
【0010】
(に)前記(δ)の方法は、アルミニウムまたはアルミニウム合金の高純度精製品を得るには、精製後不純物含有液体部分を排出するために、圧縮・加熱操作が不可避であり、このような操作が比較的複雑でかつ長時間を要するため、コスト増加を招いていた。
【0011】
本発明は、前記の現状に鑑み、不純物としてFe、Si、包晶系元素およびその他の不可避的含有元素を含むアルミニウムまたはアルミニウム合金を効率よく、工業的規模で精製することが可能なアルミニウムまたはアルミニウム合金の精製方法の提供を課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決した本発明の第1の態様は、不純物としてFe、Si、包晶系元素およびその他の不可避的含有元素を含むアルミニウムまたはアルミニウム合金を精製する方法において、下記の2工程を含むことを特徴とするアルミニウムまたはアルミニウム合金の精製方法である。
(A)溶湯を保持容器に収容し、この保持容器の上部付近を冷却してアルミニウム初晶を晶出させ、この初晶を物理的手段で剥離させて保持容器下部に沈積せしめ、沈積した初晶を保持容器内周断面全面に渡り均一に押し固めて、結晶成長させると共に保持容器内部にコンパクトに詰め込む結晶詰込工程。
(B)前記結晶を詰め込んだ保持容器を傾動逆転して、母液に存在する残留不純物と、アルミニウム結晶の間隙に存在する残留不純物とを含む溶湯を重力の作用で溶湯のまま分離して排出する非包晶系物質排出工程。
【0014】
前記課題を解決した本発明の第2の態様は、前記第1の態様において、前記非包晶系物質排出工程で、結晶を詰め込んだ保持容器を傾動逆転し、当該逆転位置の保持時間を5分以内として元の位置に戻すことを特徴とするアルミニウムまたはアルミニウム合金の精製方法である。
【0015】
前記課題を解決した本発明の第3の態様は、前記第1または第2の態様において、前記結晶詰込工程で、初晶を押し固める圧力が40000から110000Paであることを特徴とするアルミニウムまたはアルミニウム合金の精製方法である。なお、以下ではアルミニウム、または、アルミニウム合金を単に「アルミニウム」という。
【0016】
(作用)
前記第1の態様のように構成すれば、以下のような作用がある。
前記結晶詰込工程では、アルミニウム結晶を保持するための保持容器の上部内壁に晶出した比較的小さなアルミニウム結晶は、この結晶を掻き取るための掻取板等によって物理的に剥離され、前記保持容器の底部に沈積する。このアルミニウム結晶は、このアルミニウム結晶を押圧するための押圧板による容器内の横断面全面への比較的均一な押圧、および前記保持容器の底部からの加熱、または前記保持容器の側面の各レベルでの適切な温度調整によって、底部から垂直上方に向けて、また、外周部から中心方向へ向けて、前記アルミニウム結晶の再溶解、再結晶化が進行するようになる。
その際、前記保持容器の各断面レベルでは、前記押圧板による上部からの比較的均一な押圧、前記保持容器の外周部からの加熱により、不純物を含有する不純物含有液が、順次に底部から上部へ向けて、また、外縁部から中心部へ向けて移動する。
このようにして精製されたアルミニウム結晶は、当該中心部またはその上部近傍では、再溶解した前記不純物含有液が僅かに残留し、その他の結晶部分では、Fe,Si等が数質量ppm未満に抑えられて成る高純度アルミニウムとなる。
【0017】
前記非包晶系物質排出工程では、前記結晶詰込工程でSi,Fe,Cu,Zn,Ga,B等の元素が濃縮した母液を、アルミニウムの溶湯のまま分離する。このとき、アルミニウムの溶湯に含まれている前記母液と、アルミニウム結晶の間隙とに存在する残留不純物とが共に排出される。
【0018】
また、前記第1の態様では、前記非包晶系物質排出工程において、前記アルミニウムの結晶を詰め込んだ保持容器を傾動、逆転することで、前記残留不純物を含む溶湯を排出する。このとき、アルミニウムの結晶上部の結晶の間隙に存在する残留不純物も、前記保持容器の中心部およびその上部近傍に存在しているので、母液と共に速やかに排出される。一方、前記高純度のアルミニウムの結晶部分は、前記精製工程(結晶詰込工程)で押圧された結果、前記保持容器の内部に緊着しているため、傾動、逆転の運動によっても、当該結晶部分が剥離、落下することがない。
【0019】
前記第2の態様のように構成すれば、前記保持容器内の不純物を比較的高濃度に含有する母液は、この保持容器内の結晶堆積物の結晶の隙間に押し出されて存在するようになるので第1の態様における傾動逆転により速やかに母液のほとんど全てが排出され、5分程度以内で逆転保持した後に正位置に復帰させることによりアルミニウムの固液分離が完了することとなる。
【0020】
前記第3の態様における数値限定理由は下記のとおりである。
アルミニウム初晶を押し固める圧力が40000Pa未満であると、アルミニウムまたはアルミニウム合金を精製するための装置に含まれる略同径の円板とルツボとの接触抵抗により、目的とする底部堆積物への押圧圧力が所要以下に減少するため、この底部堆積物が有する結晶粒界からの母液の押し出しが不充分となる。
一方、アルミニウム初晶を押し固める圧力が110000Paを超えると、アルミニウムまたはアルミニウム合金を精製するための装置に含まれる支持棒や円板が損傷する恐れがあり、また、前記円板の通液孔に比較的小さな結晶から成る堆積物が固着する恐れがある。したがって、アルミニウム初晶を押し固める圧力は、40000Paから110000Paとする。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、添付の図面および具体的な実施例を参照して、以下に詳細に説明する。
図1は、第1の精製装置の一実施の形態の概略構成を示す模式的縦断面図、兼系統図であり、図2は、第2の精製装置の一実施の形態の概略構成を示す模式的縦断面図である。
【0022】
第1の精製装置は、図1に示すように、黒鉛、不定形耐火物または耐火レンガで内張りされ、原料溶湯MMを保持する第1の保持容器1と、この保持容器1中の原料溶湯MMにボロンおよび/またはボロン含有化合物を添加するボロン添加手段2と、前記第1の保持容器中の溶湯に酸化性気体含有ガスとしての空気や炭酸ガス等を吹き込むガス吹き込み手段3とを備える。
【0023】
ガス吹き込み手段3は、黒鉛支持管3aの下端に、ガス吐出口3bを備えた円板および攪拌翼3cを備え、酸化性気体含有ガスが前記黒鉛支持管3aを通って下端のガス吐出口3bより溶湯中に吹き込まれ、攪拌翼3cにより微細化された気泡が溶湯内に拡散する。
黒鉛支持管3aの上端には毎分0から1200回転の回転速度で水平回転可能なようにロータリアクチュエータ4が接続されている。このロータリアクチュエータ4は、正逆転可能で、正逆転を繰り返すことにより第1の保持容器1内の溶湯表面を乱さないようになっている。
ガス吹き込み手段3の上部には、ロータリジョイント5を介して、酸化性気体含有ガス源6から途中に圧力調整弁8を介設したガス配管7が接続されている。
【0024】
第2の精製装置は、図2に示すように、ステンレス鋼製容器17の内壁に接して黒鉛ルツボ16が設けられてアルミニウムの溶湯を保持する第2の保持容器10を構成している。黒鉛製支持棒11の下端には、通液孔22を配設した掻取押圧板としての黒鉛円板21が取り付けられ、この黒鉛円板21の外径は黒鉛ルツボ16の内径と略同径で、黒鉛製支持棒11に連結した図示せぬ駆動装置により、ルツボ16の内周に沿って上下動する。
【0025】
ステンレス鋼製容器17の外周上部には上部加熱部18が設けられ、次に断熱性耐火物19で囲繞されたステンレス鋼製冷却部20が取り付けられ、冷却用空気が導入され、内部を循環し、冷却後排出口から排出される。このステンレス鋼製冷却部20に対応した黒鉛ルツボ16の内周面がアルミニウム結晶晶出面を形成する。
【0026】
ステンレス鋼製容器17の外側の側壁部および底部を囲んで分割加熱部23が配設され、発熱体を取り付けた各々のセグメントは、図示せぬ入力温度調整機で高温加熱部が必要に応じて移動するように構成されている。
【0027】
次に、前記第1の精製装置の操作法、作用、および包晶系物質分離工程の実施の形態について述べる。すなわち、この包晶系物質分離工程は、下記の(a1)〜(a5)の段階を含む。
(a1)アルミニウムまたはアルミニウム合金の所定の量の原料溶湯MMを第1の保持容器1に容れる段階。
(a2)ボロンおよび/またはボロン含有化合物添加手段2により、保持容器1の中の原料溶湯MMにボロンおよび/またはボロン含有化合物を添加する段階。
(a3)酸化性気体含有ガス吹き込み手段3をロータリアクチュエータ4で、所定の回転速度例えば毎分400回転の回転速度で正逆回転させながら、下端部のガス吐出口3bから原料溶湯MM中に酸化性気体含有ガスを吹き込み、攪拌翼3cで気泡を微細化して溶湯中に拡散させる段階。
(a4)酸化性気体含有ガスの吹き込みを所定の時間行った後、酸化性気体含有ガスの吹き込みを停止する段階。
(a5)溶湯表面に浮上した包晶系元素ボライド吸着滓を、掻き上げて分離し、排出する段階。
【0028】
次に、前記第2の精製装置の操作法、作用、および本発明の結晶詰込工程および非包晶系物質排出工程の実施の形態について述べる。
前記第2の精製装置を用い、包晶系物質分離工程で精製したアルミニウムの溶湯を黒鉛ルツボ16に入れる。アルミニウムの結晶を押圧して掻き取るための掻取押圧板として、黒鉛円板21を下端に設けた黒鉛製支持棒11をセットする。
【0029】
また、冷却用空気をステンレス鋼製冷却部20に流しながら、アルミニウム初晶25を黒鉛ルツボ16の内周面に晶出させる。黒鉛円板21をステンレス鋼製冷却部20付近で周期的に上下運動させ、アルミニウム初晶25を掻き落とし、ルツボ底部に沈積させる。一定時間後黒鉛円板21で底部堆積物を均一に押圧する。押圧面下方に位置する加熱部23の各セグメントを、図示せぬ入力温度調整機の作用によって順次調節する。
以上の操作を堆積物がステンレス鋼製冷却部20の下部付近の高さに達するまで続ける。この際堆積物の外周の一部が溶解する程度に、またその他の部分を、これより低温に保持するように、図示せぬ入力温度調整機の作用により、加熱部23の各セグメントによる加熱を行う。また、上部の溶湯が凝固しないように、上部加熱部18により加熱する。
【0030】
アルミニウム初晶の堆積高さが、ステンレス鋼製冷却部20の直下部に達した後に空気による冷却を中止し、黒鉛円板21を抜き出す。
【0031】
次に、第2の保持容器10(ステンレス製鋼製容器17および黒鉛ルツボ16)を、図示せぬ傾動手段により、傾動させ、上部液を重力の作用で分離し、排出する。その後、数時間放冷し、精製物を黒鉛ルツボ16から取り出し、製品として倉入れする。
【0032】
第2の精製装置は前記のように構成し、本発明のアルミニウムの精製方法の結晶詰込工程および非包晶系物質排出工程は前記のような構成を有するので、比較的広い晶出面が得られ、かつ周期的に晶出面が更新されて晶出速度が低下しない。また、効果的にアルミニウムの溶湯が攪拌され、かつ突き固めに際し、アルミニウムの結晶間の不純物が通液孔から上方へ押し出されるので、精製されたアルミニウムの純度も比較的高純度で、不純物含有液が結晶の上部間隙に押し上げられ、簡単に排出できる。また、本発明の方法では、堆積結晶の突き固めを一枚の円板で行うので、構造、操作が極めて簡単であり、装置の故障の恐れがない。
【0033】
【実施例】
本発明に係るアルミニウムの精製方法の包晶系物質分離工程の実施例を以下に説明する。
内径が800mm、内部高さが1000mm、溶湯深さが800mmの略前記図1に準じた第1の精製装置を使用し、Tiを30質量ppm、Vを50質量ppm含むアルミニウム溶湯1.0tを第1の保持容器1に入れて、ボロン母合金を1.3kg添加した後、工業用エアーを80l/minの流量で20分間吹き込んだ。その結果、Tiを1質量ppm、Vを1質量ppm含むアルミニウム溶湯が得られた。
比較のために前記と同じ条件で、工業用エアーの代わりにアルゴンガスを吹き込む実験を行った。その結果、Tiを7質量ppm、Vを23質量ppm含むアルミニウム溶湯が得られた。
なお、前記の実験におけるTiおよびVの除去速度は下記式1に示す一次反応速度式で表され、除去速度係数kは、下記表1に示すとおりとなった。
C=C0e-kt …………式1
ここで、前記式1中の各変数は、以下のように表される。
C :時間t分後の濃度(質量ppm)
C0:初期濃度(質量ppm)
k :除去速度係数
t :反応時間(min)
【0034】
【表1】
【0035】
前記表1から、アルゴンガスを吹き込んだ比較例に対して、エアーを吹き込んだ本発明に係る実施例では除去速度定数kが、Tiの場合で2.6倍、Vの場合で5.5倍と非常に大きく、その結果、所定時間(例えば、20分)後の到達Ti濃度および到達V濃度が前記したとおり非常に低くなっている。
【0036】
次に、本発明に係るアルミニウムの精製方法の結晶詰込工程の実施例を以下に説明する。
内径560mm、高さ1300mmの黒鉛ルツボを収容した図2に準じた本発明に係る第2の精製装置を使用し、Fe濃度が200ppm、Si濃度が200ppmのアルミニウム原料溶湯500kgを黒鉛ルツボに入れて溶解し、アルゴン雰囲気下で操作した。
【0037】
通液孔を備えた黒鉛円板で、アルミニウム初晶を掻き落とし、周期的に圧力99000Paで押圧を行った。
12時間掛けて溶湯の55%を凝固させた後、黒鉛ルツボを傾動、逆転させて不純物の濃縮された溶湯部分を除去した。こうして得られた製品凝固塊から厚み20mmの縦スライスを取り、図3から図4に示すように直径方向に3分割、縦方向に6分割し、発光分析にて各スライスの不純物濃度を分析し、濃度分布を調査した。
その調査結果を図3および図4に示した。
【0038】
図3〜図4から分かるように、Fe,Siの各元素共に、あまり大きな濃度偏析がなく、極めて低い濃度まで低下していることが分かる。
以上、本発明に好適な実施例に基づいて本発明を説明したが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく本発明の技術的な思想に基づく限りにおいて適宜に変形することが可能である。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したとおり構成される本発明のアルミニウムの精製方法によれば、以下の優れた効果を奏する。
【0040】
(1)請求項1の発明によれば、第2の精製装置を用いた結晶詰込工程により、Fe,Si等の不純物が数質量ppm未満の高純度アルミニウム結晶が得られる。さらに、母液を分離して排出する非包晶系物質排出工程により、前記結晶詰込工程でSi,Fe,Cu,Zn,Ga,B等の濃縮した母液を排出し、高純度のアルミニウム結晶が製品として得られる。
【0041】
(2)請求項1の発明によれば、前記非包晶系物質排出工程では、前記結晶詰込工程でSi,Fe,Cu,Zn,Ga,B等の濃縮した母液を、前記結晶を詰め込んだ保持容器を傾動、逆転することにより前記母液を分離して排出するので、前記母液と結晶間隙に存在する残留不純物とが共に速やかに排出される。一方、結晶部分は、前記精製工程(結晶詰込工程)で押圧された結果、保持容器内に緊着しているため、前記溶湯のまま分離され、排出されても、当該結晶部分が剥離または落下して、排出されることがない。
【0042】
(3)請求項2の発明によれば、前記保持容器内の不純物を高濃度に含有する母液は、この保持容器内部の結晶堆積物の最上部の結晶隙間に押し出されて存在するようになるので第2の態様における傾動逆転により速やかに母液のほとんど全てが排出され、5分以内の逆転保持後に正位置に復帰させることにより固液分離が完了することとなる。
【0043】
(4)請求項3の発明によれば、目的とする底部堆積物への押圧圧力が適切であるため、底部堆積物を適切に押圧し、再結晶させることができると共に、支持棒や円板の損傷や、また、円板の通液孔に小結晶堆積物が固着する等の恐れがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の精製装置の一実施の形態の概略構成を示す模式的縦断面図兼系統図である。
【図2】 第2の精製装置の一実施の形態の概略構成を示す模式的縦断面図である。
【図3】 本発明方法による精製後の凝固塊の縦スライス中のFe濃度を示す図である。
【図4】 本発明方法による精製後の凝固塊の縦スライス中のSi濃度を示す図である。
【符号の説明】
1 第1の保持容器、2 ボロンおよび/またはボロン含有化合物添加手段、3 ガス吹き込み手段、3b ガス吐出口、3c 攪拌羽根、4 ロータリアクチュエータ、5 ロータリジョイント、6 酸化性気体含有ガス供給源、7 気体配管、8 圧力調整弁、10 第2の保持容器、11 黒鉛製支持棒、16 黒鉛ルツボ、17 ステンレス鋼製容器、18 上部加熱部、19 断熱性耐火物、20 ステンレス鋼製冷却部、21 黒鉛円板(掻取押圧板)、22 通液孔、23 加熱部、25 アルミニウム初晶、MM 原料溶湯
Claims (3)
- 不純物としてFe、Si、包晶系元素およびその他の不可避的含有元素を含むアルミニウムまたはアルミニウム合金を精製する方法において、下記の2工程を含むことを特徴とするアルミニウムまたはアルミニウム合金の精製方法。
(A)溶湯を保持容器に収容し、この保持容器の上部付近を冷却してアルミニウム初晶を晶出させ、この初晶を物理的手段で剥離させて保持容器下部に沈積せしめ、沈積した初晶を保持容器内周断面全面に渡り均一に押し固めて、結晶成長させると共に保持容器内部にコンパクトに詰め込む結晶詰込工程。
(B)前記結晶を詰め込んだ保持容器を傾動逆転して、母液に存在する残留不純物と、アルミニウム結晶の間隙に存在する残留不純物とを含む溶湯を重力の作用で溶湯のまま分離して排出する非包晶系物質排出工程。 - 前記非包晶系物質排出工程において、結晶を詰め込んだ保持容器を傾動逆転し、当該逆転位置の保持時間を5分以内として元の位置に戻すことを特徴とする請求項1に記載のアルミニウムまたはアルミニウム合金の精製方法。
- 前記結晶詰込工程において、初晶を押し固める圧力が40000から110000Paであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のアルミニウムまたはアルミニウム合金の精製方法。
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