JP3237438B2 - アルミニウムスクラップの精製方法 - Google Patents
アルミニウムスクラップの精製方法Info
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- JP3237438B2 JP3237438B2 JP3010995A JP3010995A JP3237438B2 JP 3237438 B2 JP3237438 B2 JP 3237438B2 JP 3010995 A JP3010995 A JP 3010995A JP 3010995 A JP3010995 A JP 3010995A JP 3237438 B2 JP3237438 B2 JP 3237438B2
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- cooling
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- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P10/00—Technologies related to metal processing
- Y02P10/20—Recycling
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- Manufacture And Refinement Of Metals (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶解原料に含まれてい
る不純物を晶出分離し、純度の高いα−Al晶を選択的
に晶出成長させることによりアルミニウムスクラップを
精製する方法に関する。
る不純物を晶出分離し、純度の高いα−Al晶を選択的
に晶出成長させることによりアルミニウムスクラップを
精製する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム溶湯に含まれているFe等
の不純物を分離除去するため、Mnを添加し、Mnと不
純物との間で金属間化合物を生成させ、晶出した金属間
化合物を分離する方法が採用されている。たとえば、特
公昭57−2134号公報ではAl−Mn系金属間化合
物を添加し、特公昭59−12731号公報ではMn又
はAl−MnとMg又はAl−Mgとを併用添加してい
る。何れの方法においても、不純物の一部であるFe
は、Al−Fe−Mn系金属間化合物として分離除去さ
れる。Mn系等の添加材を使用した精製方法では、Fe
及びMnの除去ができるだけであり、得られた精製アル
ミニウムのFe濃度も0.5重量%程度が限界である。
しかも、Mnの添加によって不純物を分離除去すると
き、過剰量のMn添加を必要とすることから、精製後の
アルミニウム材料に多量のMnが含まれる。
の不純物を分離除去するため、Mnを添加し、Mnと不
純物との間で金属間化合物を生成させ、晶出した金属間
化合物を分離する方法が採用されている。たとえば、特
公昭57−2134号公報ではAl−Mn系金属間化合
物を添加し、特公昭59−12731号公報ではMn又
はAl−MnとMg又はAl−Mgとを併用添加してい
る。何れの方法においても、不純物の一部であるFe
は、Al−Fe−Mn系金属間化合物として分離除去さ
れる。Mn系等の添加材を使用した精製方法では、Fe
及びMnの除去ができるだけであり、得られた精製アル
ミニウムのFe濃度も0.5重量%程度が限界である。
しかも、Mnの添加によって不純物を分離除去すると
き、過剰量のMn添加を必要とすることから、精製後の
アルミニウム材料に多量のMnが含まれる。
【0003】また、特開昭57−82437号公報で紹
介されている方法でアルミニウム原料を精製すると、初
晶として金属間化合物が晶出する系では晶出するアルミ
ニウムの結晶強度が弱い。そのため、冷却管の回転速度
が外周速2.5〜8m/秒まで上昇すると、冷却体表面
に晶出したアルミニウムの一部が離脱して溶湯に移行
し、見掛け上の凝固速度が低下する。最悪の場合、凝固
体の成長可能な厚さに上限が加わる事態も生じる。しか
も、初晶として晶出する金属間化合物の晶出温度は、α
−Alの凝固点に比較して通常数十℃高い。そのため、
不純物は、アルミニウムの晶出に先立って、金属間化合
物として冷却体表面に晶出凝固する。この凝固層は、そ
の上に晶出する精製アルミニウムの純度を低下させる原
因になるため、原理的にも実用的にも精製工程に問題を
含む。
介されている方法でアルミニウム原料を精製すると、初
晶として金属間化合物が晶出する系では晶出するアルミ
ニウムの結晶強度が弱い。そのため、冷却管の回転速度
が外周速2.5〜8m/秒まで上昇すると、冷却体表面
に晶出したアルミニウムの一部が離脱して溶湯に移行
し、見掛け上の凝固速度が低下する。最悪の場合、凝固
体の成長可能な厚さに上限が加わる事態も生じる。しか
も、初晶として晶出する金属間化合物の晶出温度は、α
−Alの凝固点に比較して通常数十℃高い。そのため、
不純物は、アルミニウムの晶出に先立って、金属間化合
物として冷却体表面に晶出凝固する。この凝固層は、そ
の上に晶出する精製アルミニウムの純度を低下させる原
因になるため、原理的にも実用的にも精製工程に問題を
含む。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、このよ
うな問題を解消すべく、溶湯から不純物を金属間化合物
として予め晶出分離する工程を組み込むことにより、冷
却体表面に晶出するアルミニウムに不純物が混入するこ
とを回避し、高歩留りで精製アルミニウムを得る方法を
開発し、特願平5−204082号として提案した。提
案した方法では、不純物の一部が金属間化合物の初晶と
して晶出する組成をもつアルミニウム溶湯を精製容器に
収容し、α−Alの凝固点から最高でも10℃高い温度
範囲に溶湯を保持することにより金属間化合物を晶出さ
せ精製容器の底部に沈降させる。その後、溶湯に回転冷
却体を浸漬し、回転冷却体を回転させながら溶湯を冷却
して精製アルミニウムを凝固体として回転冷却体の表面
に成長させる。本発明は、この方法を更に発展させたも
のであり、初晶の沈降分離工程及びα−Al晶の晶出成
長工程において温度,冷却時間等の操業条件を制御する
ことにより、α−Al晶を効率よく成長させ、高生産性
で精製アルミニウムを得ることを目的とする。
うな問題を解消すべく、溶湯から不純物を金属間化合物
として予め晶出分離する工程を組み込むことにより、冷
却体表面に晶出するアルミニウムに不純物が混入するこ
とを回避し、高歩留りで精製アルミニウムを得る方法を
開発し、特願平5−204082号として提案した。提
案した方法では、不純物の一部が金属間化合物の初晶と
して晶出する組成をもつアルミニウム溶湯を精製容器に
収容し、α−Alの凝固点から最高でも10℃高い温度
範囲に溶湯を保持することにより金属間化合物を晶出さ
せ精製容器の底部に沈降させる。その後、溶湯に回転冷
却体を浸漬し、回転冷却体を回転させながら溶湯を冷却
して精製アルミニウムを凝固体として回転冷却体の表面
に成長させる。本発明は、この方法を更に発展させたも
のであり、初晶の沈降分離工程及びα−Al晶の晶出成
長工程において温度,冷却時間等の操業条件を制御する
ことにより、α−Al晶を効率よく成長させ、高生産性
で精製アルミニウムを得ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の精製方法は、そ
の目的を達成するため、不純物の一部としてFe、M
n、Crを含有するAl−Si系のアルミニウム合金ス
クラップを溶解し、その溶湯を保持炉又は精製炉で68
0〜600℃の温度範囲を0.1〜8時間かけて冷却す
ることにより前記Fe、Mn、Crをアルミニウム合金
中のAl及びSiとで金属間化合物を形成させて炉底に
沈降分離させた後、溶湯温度を更に下降させ、溶湯温度
が600〜570℃の範囲で、溶湯に浸漬している回転
冷却体を冷媒で冷却することにより回転冷却体の表面に
α−Al晶を晶出成長させることを特徴とする。α−A
l晶の晶出に際しては、α−Al晶の晶出物から不純物
の濃縮液が分離されるように、また不純物となる金属間
化合物がα−Al晶に取り込まれないように、回転冷却
体の回転数,回転冷却体に供給する冷媒の流量,精製中
の溶湯の冷却速度が制御される。
の目的を達成するため、不純物の一部としてFe、M
n、Crを含有するAl−Si系のアルミニウム合金ス
クラップを溶解し、その溶湯を保持炉又は精製炉で68
0〜600℃の温度範囲を0.1〜8時間かけて冷却す
ることにより前記Fe、Mn、Crをアルミニウム合金
中のAl及びSiとで金属間化合物を形成させて炉底に
沈降分離させた後、溶湯温度を更に下降させ、溶湯温度
が600〜570℃の範囲で、溶湯に浸漬している回転
冷却体を冷媒で冷却することにより回転冷却体の表面に
α−Al晶を晶出成長させることを特徴とする。α−A
l晶の晶出に際しては、α−Al晶の晶出物から不純物
の濃縮液が分離されるように、また不純物となる金属間
化合物がα−Al晶に取り込まれないように、回転冷却
体の回転数,回転冷却体に供給する冷媒の流量,精製中
の溶湯の冷却速度が制御される。
【0006】本発明に従った精製方法は、たとえば図1
に示す設備構成の装置を使用して実施される。精製容器
10としては、黒鉛製のルツボ或いは黒鉛とSiCとを
混合焼成したルツボが通常使用される。ルツボ本体11
を外容器12に入れ、蓋体13を装着する。蓋体13に
は、温度制御用のバーナ14を取り付けても良い。精製
容器10の外周には、加熱機構20が外容器12を取り
囲んで配置されている。加熱機構20は、内周側にヒー
タ21を取り付けた耐火れんが製のヒータブロック22
〜24を備え、各ヒータブロック22〜24の熱量が独
立して制御されるものが好ましい。精製容器10の底部
にも、ヒータブロック25を配置する。精製されるアル
ミニウムスクラップは、精製容器10に装入した後、ヒ
ータブロック22〜25からの加熱によって溶解され、
α−Alの凝固点より僅かに高い温度に保持される。
に示す設備構成の装置を使用して実施される。精製容器
10としては、黒鉛製のルツボ或いは黒鉛とSiCとを
混合焼成したルツボが通常使用される。ルツボ本体11
を外容器12に入れ、蓋体13を装着する。蓋体13に
は、温度制御用のバーナ14を取り付けても良い。精製
容器10の外周には、加熱機構20が外容器12を取り
囲んで配置されている。加熱機構20は、内周側にヒー
タ21を取り付けた耐火れんが製のヒータブロック22
〜24を備え、各ヒータブロック22〜24の熱量が独
立して制御されるものが好ましい。精製容器10の底部
にも、ヒータブロック25を配置する。精製されるアル
ミニウムスクラップは、精製容器10に装入した後、ヒ
ータブロック22〜25からの加熱によって溶解され、
α−Alの凝固点より僅かに高い温度に保持される。
【0007】溶融状態に保持された溶湯Mに、回転冷却
体30が浸漬される。回転冷却体30は、軸方向にガス
通路をもつ内管31の先端部近傍に外管32を嵌め合せ
ている。内管31は、蓋体13を貫通して上方に延び、
カップリング33を介しモータ34の出力軸35に接続
されている。モータ33から延びたアーム36は、モー
タ37で回転される送りネジ38に嵌挿されている。こ
れにより、回転冷却体30は、精製容器10の内部で昇
降自在に回転する。外管32は、図示するように底面側
が閉塞されており、内管31の下端との間にギャップ3
9を形成する。内管31から送り込まれた冷却媒体g
は、ギャップ39を経て外管32から放出される。或い
は、内管31及び外管32の二重間構造に代え、所定の
ガス通路を形成した黒鉛ブロックを使用することもでき
る。
体30が浸漬される。回転冷却体30は、軸方向にガス
通路をもつ内管31の先端部近傍に外管32を嵌め合せ
ている。内管31は、蓋体13を貫通して上方に延び、
カップリング33を介しモータ34の出力軸35に接続
されている。モータ33から延びたアーム36は、モー
タ37で回転される送りネジ38に嵌挿されている。こ
れにより、回転冷却体30は、精製容器10の内部で昇
降自在に回転する。外管32は、図示するように底面側
が閉塞されており、内管31の下端との間にギャップ3
9を形成する。内管31から送り込まれた冷却媒体g
は、ギャップ39を経て外管32から放出される。或い
は、内管31及び外管32の二重間構造に代え、所定の
ガス通路を形成した黒鉛ブロックを使用することもでき
る。
【0008】冷却媒体gには、空気,非酸化性ガス,霧
状の水分を含む空気等が使用される。冷却媒体gの流動
により、外管32の管壁を介して溶湯Mが冷却される。
溶湯Mの温度が下がるとき、初晶が金属間化合物の系で
は、先ず回転冷却体30を冷却する前に溶湯の温度を下
げ、たとえばAl−Si−Fe−Mn系金属間化合物を
炉底に沈降させる。金属間化合物の晶出に伴って、残り
の溶湯Mが純化され、温度が更に下がる。そして、回転
冷却体30を冷却すると、α−Al晶の晶出が始まる。
α−Al晶が晶出する際、α−Al晶と溶湯Mとの界面
に排出されるSi,Fe,Cu等の不純物は、回転冷却
体30の回転によってα−Al晶から分離され、溶湯M
に比較して比重が大きな金属間化合物Iとして溶湯M中
を落下する。沈降分離した金属間化合物Iは、回転冷却
体30の回転で生じる溶湯Mの撹拌流により、ルツボ本
体11の底部中央に溜る。
状の水分を含む空気等が使用される。冷却媒体gの流動
により、外管32の管壁を介して溶湯Mが冷却される。
溶湯Mの温度が下がるとき、初晶が金属間化合物の系で
は、先ず回転冷却体30を冷却する前に溶湯の温度を下
げ、たとえばAl−Si−Fe−Mn系金属間化合物を
炉底に沈降させる。金属間化合物の晶出に伴って、残り
の溶湯Mが純化され、温度が更に下がる。そして、回転
冷却体30を冷却すると、α−Al晶の晶出が始まる。
α−Al晶が晶出する際、α−Al晶と溶湯Mとの界面
に排出されるSi,Fe,Cu等の不純物は、回転冷却
体30の回転によってα−Al晶から分離され、溶湯M
に比較して比重が大きな金属間化合物Iとして溶湯M中
を落下する。沈降分離した金属間化合物Iは、回転冷却
体30の回転で生じる溶湯Mの撹拌流により、ルツボ本
体11の底部中央に溜る。
【0009】本発明者等の調査・研究によるとき、α−
Al晶の晶出は、溶湯Mが600〜570℃の温度に達
した段階で最も効率よく進行することが判った。そこ
で、600〜570℃まで溶湯Mが降温したとき、溶湯
Mに回転冷却体30を浸漬し、或いはすでに浸漬してい
る回転冷却体30に冷却媒体gを供給する。これによ
り、溶湯Mから晶出したα−Al晶は、外管32の周囲
に凝固体として成長する。溶湯Mの温度及びα−Al晶
の成長速度は、冷却媒体gの流量制御によって最適に維
持される。回転冷却体としては、図2に示すように内管
41に外管42を嵌め合わせた二重管構造を採用するこ
ともできる。内管41及び外管42の下端部には、共に
半径方向に広がったフランジ43,44が取り付けられ
ており、フランジ43には複数のオリフィス45が形成
されている。図2の場合には、内管41及び外管42を
ステンレス鋼製としたが、所定のガス通路を形成した黒
鉛ブロックを使用することもできる。
Al晶の晶出は、溶湯Mが600〜570℃の温度に達
した段階で最も効率よく進行することが判った。そこ
で、600〜570℃まで溶湯Mが降温したとき、溶湯
Mに回転冷却体30を浸漬し、或いはすでに浸漬してい
る回転冷却体30に冷却媒体gを供給する。これによ
り、溶湯Mから晶出したα−Al晶は、外管32の周囲
に凝固体として成長する。溶湯Mの温度及びα−Al晶
の成長速度は、冷却媒体gの流量制御によって最適に維
持される。回転冷却体としては、図2に示すように内管
41に外管42を嵌め合わせた二重管構造を採用するこ
ともできる。内管41及び外管42の下端部には、共に
半径方向に広がったフランジ43,44が取り付けられ
ており、フランジ43には複数のオリフィス45が形成
されている。図2の場合には、内管41及び外管42を
ステンレス鋼製としたが、所定のガス通路を形成した黒
鉛ブロックを使用することもできる。
【0010】フランジ43及び44は、円形状になって
おり、周縁部に円筒状の断熱材46が取り付けられてい
る。また、断熱材46の底面には、フランジ43から一
定の間隔を保った底壁47が取り付けられている。空
気,不活性ガス等の冷却媒体gは、供給口51から外管
42に送り込まれ、内管41と外管42との間に形成さ
れた環状通路52を経て、フランジ44と43との間に
形成された分配室53に導入される。次いで、冷却媒体
gは、オリフィス45,45・・を経て冷却室54に流
入する。このとき、冷却媒体gは、環状通路52から内
容積の大きな分配室53に一旦流入した後で冷却室に送
り込まれるため、半径方向に関する流量分布が均一化さ
れる。冷却室54内の冷却媒体gは、底壁47を介して
溶湯Mを冷却する。冷却媒体gの抜熱能が底壁47の面
内で均一化されているので、冷却された溶湯Mから底壁
47の下面に万遍なくα−Alが晶出する。溶湯Mとの
熱交換によって昇温した冷却媒体gは、冷却室54から
内管41内の排気通路55を経て、排気孔56から系外
に排出される。
おり、周縁部に円筒状の断熱材46が取り付けられてい
る。また、断熱材46の底面には、フランジ43から一
定の間隔を保った底壁47が取り付けられている。空
気,不活性ガス等の冷却媒体gは、供給口51から外管
42に送り込まれ、内管41と外管42との間に形成さ
れた環状通路52を経て、フランジ44と43との間に
形成された分配室53に導入される。次いで、冷却媒体
gは、オリフィス45,45・・を経て冷却室54に流
入する。このとき、冷却媒体gは、環状通路52から内
容積の大きな分配室53に一旦流入した後で冷却室に送
り込まれるため、半径方向に関する流量分布が均一化さ
れる。冷却室54内の冷却媒体gは、底壁47を介して
溶湯Mを冷却する。冷却媒体gの抜熱能が底壁47の面
内で均一化されているので、冷却された溶湯Mから底壁
47の下面に万遍なくα−Alが晶出する。溶湯Mとの
熱交換によって昇温した冷却媒体gは、冷却室54から
内管41内の排気通路55を経て、排気孔56から系外
に排出される。
【0011】先ず初晶の金属間化合物を炉底に晶出沈降
させた後、回転冷却体30に冷却媒体gを流し、α−A
l晶が回転冷却体30の表面で凝固する際に不純物元素
や晶出する金属間化合物Iを溶湯Mに拡散させる周速で
回転する。過度に大きな回転速度では、回転冷却体30
の回転によって発生する渦が大きくなり、歩留り低下の
原因となるアルミニウムの酸化が進行するばかりでな
く、溶湯Mの飛散によって安全上及び操業上の不都合を
生じる。また、凝固したα−Al層が遠心力によって溶
湯M中に飛散し、凝固効率が悪化する。回転冷却体30
の回転速度は、具体的には外周速0.2〜8m/秒の範
囲で選定とすることが好ましい。また、溶湯Mの表面に
浮遊している酸化皮膜の巻込みを防止する上では回転冷
却体30の一方向回転が好ましいが、回転冷却体30を
周期的に交互回転させることもできる。α−Al晶が設
定厚みまで成長したとき、冷却媒体gの供給及び回転冷
却体30の回転を止め、モータ37を回転させて回転冷
却体30をルツボ本体11から取り出す。その後、直ち
に精製容器10全体を傾動させ、残りの溶湯M及び炉底
に堆積した金属間化合物Iを排出する。次いで、回転冷
却体30の周面(図1)や底壁47(図2)上に晶出し
たα−Al晶を、精製炉の側に配置している精製メタル
回収炉に移し、溶解して回収する。α−Al晶が晶出成
長した凝固体は、機械的な掻取りによっても分離回収さ
れる。
させた後、回転冷却体30に冷却媒体gを流し、α−A
l晶が回転冷却体30の表面で凝固する際に不純物元素
や晶出する金属間化合物Iを溶湯Mに拡散させる周速で
回転する。過度に大きな回転速度では、回転冷却体30
の回転によって発生する渦が大きくなり、歩留り低下の
原因となるアルミニウムの酸化が進行するばかりでな
く、溶湯Mの飛散によって安全上及び操業上の不都合を
生じる。また、凝固したα−Al層が遠心力によって溶
湯M中に飛散し、凝固効率が悪化する。回転冷却体30
の回転速度は、具体的には外周速0.2〜8m/秒の範
囲で選定とすることが好ましい。また、溶湯Mの表面に
浮遊している酸化皮膜の巻込みを防止する上では回転冷
却体30の一方向回転が好ましいが、回転冷却体30を
周期的に交互回転させることもできる。α−Al晶が設
定厚みまで成長したとき、冷却媒体gの供給及び回転冷
却体30の回転を止め、モータ37を回転させて回転冷
却体30をルツボ本体11から取り出す。その後、直ち
に精製容器10全体を傾動させ、残りの溶湯M及び炉底
に堆積した金属間化合物Iを排出する。次いで、回転冷
却体30の周面(図1)や底壁47(図2)上に晶出し
たα−Al晶を、精製炉の側に配置している精製メタル
回収炉に移し、溶解して回収する。α−Al晶が晶出成
長した凝固体は、機械的な掻取りによっても分離回収さ
れる。
【0012】
【作用】本発明では、不純物の一部が金属間化合物の初
晶として晶出する組成をもつアルミニウム合金を精製す
る際、先ず金属間化合物を晶出分離し、次いでα−Al
晶を回転冷却体上に晶出成長させる。金属間化合物の沈
降分離工程では、保持炉又は精製炉に収容しているアル
ミニウム合金溶湯を680〜600℃の温度範囲を0.
1〜8時間かけて冷却することにより、初晶として晶出
する金属間化合物を炉底に沈降分離させる。沈降分離し
た金属間化合物は、精製作業終了後に残湯と共に炉外に
排出される。したがって、この工程は、溶解炉,保持
炉,精製炉の何れを使用することも可能である。一般に
アルミニウムスクラップの溶解温度は、750℃以上で
あり、各合金元素が完全に溶解する。溶解後に、溶湯温
度を徐々に降下させ、680〜600℃に溶湯温度が達
したとき、AlFeMnSi系やAlFeMnCrSi
系等の金属間化合物が初晶として晶出を開始する。本発
明者等の実験によるとき、この温度範囲における処理で
は、Cu,Ti,Zn,Mg等が金属間化合物として沈
降分離される割合は非常に小さく、Fe,Mn及びCr
が主として除去された。また、Si含有量も前記金属間
化合物の生成に伴って減少し、その後の精製効率を上げ
てアルミニウム合金スクラップを再利用し易いものとし
ている。
晶として晶出する組成をもつアルミニウム合金を精製す
る際、先ず金属間化合物を晶出分離し、次いでα−Al
晶を回転冷却体上に晶出成長させる。金属間化合物の沈
降分離工程では、保持炉又は精製炉に収容しているアル
ミニウム合金溶湯を680〜600℃の温度範囲を0.
1〜8時間かけて冷却することにより、初晶として晶出
する金属間化合物を炉底に沈降分離させる。沈降分離し
た金属間化合物は、精製作業終了後に残湯と共に炉外に
排出される。したがって、この工程は、溶解炉,保持
炉,精製炉の何れを使用することも可能である。一般に
アルミニウムスクラップの溶解温度は、750℃以上で
あり、各合金元素が完全に溶解する。溶解後に、溶湯温
度を徐々に降下させ、680〜600℃に溶湯温度が達
したとき、AlFeMnSi系やAlFeMnCrSi
系等の金属間化合物が初晶として晶出を開始する。本発
明者等の実験によるとき、この温度範囲における処理で
は、Cu,Ti,Zn,Mg等が金属間化合物として沈
降分離される割合は非常に小さく、Fe,Mn及びCr
が主として除去された。また、Si含有量も前記金属間
化合物の生成に伴って減少し、その後の精製効率を上げ
てアルミニウム合金スクラップを再利用し易いものとし
ている。
【0013】たとえば、Si:7.4重量%,Fe:
0.8重量%,Cu:2.5重量%,Mn:0.3重量
%,Mg:0.3重量%及びZn:0.3重量%を含む
Al合金溶湯を徐冷し、示差走査熱量計で熱分析したと
ころ、図3に示すように冷却時間の経過に伴って発生熱
量が変化した。図3では、発生熱量の位置が晶出物の晶
出温度に相当し、平衡状態図及び金属組織の観察によっ
て晶出物を同定した。図3にみられるように、最初に6
24.0℃でAlFeMnSi系金属間化合物が溶湯中
に晶出し、α−Al晶の晶出は595.9℃で始まって
いる。そして、Al−Si共晶が567.4℃で、Al
SiCuMg系金属間化合物が509.4℃で晶出して
いる。
0.8重量%,Cu:2.5重量%,Mn:0.3重量
%,Mg:0.3重量%及びZn:0.3重量%を含む
Al合金溶湯を徐冷し、示差走査熱量計で熱分析したと
ころ、図3に示すように冷却時間の経過に伴って発生熱
量が変化した。図3では、発生熱量の位置が晶出物の晶
出温度に相当し、平衡状態図及び金属組織の観察によっ
て晶出物を同定した。図3にみられるように、最初に6
24.0℃でAlFeMnSi系金属間化合物が溶湯中
に晶出し、α−Al晶の晶出は595.9℃で始まって
いる。そして、Al−Si共晶が567.4℃で、Al
SiCuMg系金属間化合物が509.4℃で晶出して
いる。
【0014】図3から、α−Al晶の晶出が始まる60
0℃以上の温度でAlFeMnSi系金属間化合物を炉
底に沈降分離させるとき、晶出したα−Al晶に含まれ
るFe,Mn等の不純物が抑制されることが判る。Al
FeMnSi系金属間化合物の沈降分離は、0.1〜8
時間,好ましくは4〜6時間の範囲で行われる。このと
き、溶湯温度を徐々に下げても、或いは680〜600
℃の範囲にある一定温度に維持する何れの方式を採用す
ることもできる。処理時間が0.1時間より短いと、A
lFeMnSi系金属間化合物が十分に分離されず、得
られたα−Al晶に持ち込まれることがある。逆に、8
時間以上の時間をかけても、処理時間の長期化に伴った
効果が得られず、熱消費量の増大を招く。また、Al−
Si共晶の晶出が開始する570℃以上の温度でα−A
lの晶出成長を終了させるとき、得られた精製Alに含
まれるSi,Cu,Mg等の不純物含有量が抑制され
る。α−Al晶の晶出温度は、Si濃度によっても変化
するが、600〜570℃の範囲でα−Al晶の晶出を
開始し終了させるとき、全溶解量に対して約40%の回
収率で精製アルミニウムが得られる。
0℃以上の温度でAlFeMnSi系金属間化合物を炉
底に沈降分離させるとき、晶出したα−Al晶に含まれ
るFe,Mn等の不純物が抑制されることが判る。Al
FeMnSi系金属間化合物の沈降分離は、0.1〜8
時間,好ましくは4〜6時間の範囲で行われる。このと
き、溶湯温度を徐々に下げても、或いは680〜600
℃の範囲にある一定温度に維持する何れの方式を採用す
ることもできる。処理時間が0.1時間より短いと、A
lFeMnSi系金属間化合物が十分に分離されず、得
られたα−Al晶に持ち込まれることがある。逆に、8
時間以上の時間をかけても、処理時間の長期化に伴った
効果が得られず、熱消費量の増大を招く。また、Al−
Si共晶の晶出が開始する570℃以上の温度でα−A
lの晶出成長を終了させるとき、得られた精製Alに含
まれるSi,Cu,Mg等の不純物含有量が抑制され
る。α−Al晶の晶出温度は、Si濃度によっても変化
するが、600〜570℃の範囲でα−Al晶の晶出を
開始し終了させるとき、全溶解量に対して約40%の回
収率で精製アルミニウムが得られる。
【0015】α−Al晶の晶出成長に際しては、回転冷
却体30への冷却媒体gの供給を開始し、回転冷却体3
0の周面(図1)又は底壁47(図2)に晶出したα−
Al晶を成長させる。α−Al晶は、回転冷却体30の
回転によって純度が高められる。このとき、α−Al晶
の純度を上げるために、α−Al晶の晶出速度(凝固速
度)が30〜300mm/時の範囲に維持されるよう
に、回転冷却体30の回転数、回転冷却体30への冷却
媒体gの供給量,精製中溶湯Mの冷却速度等を制御する
ことが好ましい。30mm/時より遅い晶出速度では、
純度はよいものの、生産性に劣る。逆に300mm/時
を超える晶出速度では、不純物元素の混入がみられ、得
られる精製アルミニウムの純度が低下する。
却体30への冷却媒体gの供給を開始し、回転冷却体3
0の周面(図1)又は底壁47(図2)に晶出したα−
Al晶を成長させる。α−Al晶は、回転冷却体30の
回転によって純度が高められる。このとき、α−Al晶
の純度を上げるために、α−Al晶の晶出速度(凝固速
度)が30〜300mm/時の範囲に維持されるよう
に、回転冷却体30の回転数、回転冷却体30への冷却
媒体gの供給量,精製中溶湯Mの冷却速度等を制御する
ことが好ましい。30mm/時より遅い晶出速度では、
純度はよいものの、生産性に劣る。逆に300mm/時
を超える晶出速度では、不純物元素の混入がみられ、得
られる精製アルミニウムの純度が低下する。
【0016】実施例1 内径430mm及び高さ720mmの黒鉛製ルツボを図
1に示す精製装置に装着し、溶湯を精製した。回転冷却
体30としては、外径100mmの黒鉛管を使用した。
α−Alの凝固点が約595℃のアルミニウムスクラッ
プ原料溶湯35kgをルツボに装入し、750℃に加熱
した。溶融が完了した時点で、溶湯Mに回転冷却体30
を湯面下300の位置まで浸漬し、自然放冷により溶湯
Mを徐々に610℃まで冷却した。そして、610℃の
一定温度に保持し、保持時間が成分変動に及ぼす影響を
調査した。なお、この段階では、回転冷却体30に冷却
媒体gを供給しなかった。
1に示す精製装置に装着し、溶湯を精製した。回転冷却
体30としては、外径100mmの黒鉛管を使用した。
α−Alの凝固点が約595℃のアルミニウムスクラッ
プ原料溶湯35kgをルツボに装入し、750℃に加熱
した。溶融が完了した時点で、溶湯Mに回転冷却体30
を湯面下300の位置まで浸漬し、自然放冷により溶湯
Mを徐々に610℃まで冷却した。そして、610℃の
一定温度に保持し、保持時間が成分変動に及ぼす影響を
調査した。なお、この段階では、回転冷却体30に冷却
媒体gを供給しなかった。
【0017】
【表1】
【0018】調査結果を表1に示す。なお、表1には、
精製後の残湯を撹拌して750℃まで昇温し、炉底に沈
降した金属間化合物を溶かし込んだものを分析した結果
も併せ示す。残湯成分を出発原料の成分と比較すると、
Fe及びMn含有量が上がっていることから、610℃
に保持することによりFe及びMnを含む金属間化合物
が溶湯から分離されていることが判る。成分が異なるア
ルミニウムスクラップを使用して同様な実験を繰り返し
たところ、平均してSiは0.1〜0.3重量%,Fe
は0.25重量%,Mnは0.15重量%,Crは0.
02〜0.03重量%程度低下した。他方、Ti,Z
n,Mgは、610℃保持によっても濃度がほとんど変
化しなかった。また、同様な条件の下で、溶湯を600
℃に保持したときの保持時間が濃度変動に与えた影響を
表2に示す。この場合にも、表1と同様にFe,Cr、
Mn及びSiの含有量が低下した。なお、表2中には、
表1と同様に精製後の残湯を撹拌して750℃まで昇温
し、炉底に沈降した金属間化合物を溶かし込んだものを
分析した結果を併せて示した。また、参考として、回転
冷却体表面に晶出させた精製品の組成をも併せて示し
た。
精製後の残湯を撹拌して750℃まで昇温し、炉底に沈
降した金属間化合物を溶かし込んだものを分析した結果
も併せ示す。残湯成分を出発原料の成分と比較すると、
Fe及びMn含有量が上がっていることから、610℃
に保持することによりFe及びMnを含む金属間化合物
が溶湯から分離されていることが判る。成分が異なるア
ルミニウムスクラップを使用して同様な実験を繰り返し
たところ、平均してSiは0.1〜0.3重量%,Fe
は0.25重量%,Mnは0.15重量%,Crは0.
02〜0.03重量%程度低下した。他方、Ti,Z
n,Mgは、610℃保持によっても濃度がほとんど変
化しなかった。また、同様な条件の下で、溶湯を600
℃に保持したときの保持時間が濃度変動に与えた影響を
表2に示す。この場合にも、表1と同様にFe,Cr、
Mn及びSiの含有量が低下した。なお、表2中には、
表1と同様に精製後の残湯を撹拌して750℃まで昇温
し、炉底に沈降した金属間化合物を溶かし込んだものを
分析した結果を併せて示した。また、参考として、回転
冷却体表面に晶出させた精製品の組成をも併せて示し
た。
【0019】
【0020】AlFeMnSi系の金属間化合物を61
0℃×5時間の保持によって沈降分離した後、冷却媒体
gとして空気を1,000リットル/分の流量で回転冷
却体30に供給しながら、回転冷却体を200rpmの
速度で回転し、600〜570℃の間を25時間かけて
冷却速度57℃/時で冷却した。この冷却によって、回
転冷却体30の周面にα−Al晶が30mmの厚みで成
長した。得られたα−Al晶を成分分析したところ、S
i:3.85重量%,Fe:0.20重量%,Cu:
1.58重量%,Ti:0.04重量%,Mn:0.0
8重量%,Cr:0.01重量%,Zn:0.42重量
%,Mg:0.21重量%であった。実施例2 また、α−Al晶の晶出成長過程における操作条件のう
ち、回転冷却体30の回転速度が精製アルミニウムの成
分に及ぼす影響を、図1に示す装置を使用し調査した。
使用したアルミニウムスクラップは、760℃で溶解し
た段階では表3に示す組成をもっていた。この溶湯を6
10℃で5時間保持したところ、表3に示すようにS
i,Fe,Cu及びMnの濃度が低下していた。
0℃×5時間の保持によって沈降分離した後、冷却媒体
gとして空気を1,000リットル/分の流量で回転冷
却体30に供給しながら、回転冷却体を200rpmの
速度で回転し、600〜570℃の間を25時間かけて
冷却速度57℃/時で冷却した。この冷却によって、回
転冷却体30の周面にα−Al晶が30mmの厚みで成
長した。得られたα−Al晶を成分分析したところ、S
i:3.85重量%,Fe:0.20重量%,Cu:
1.58重量%,Ti:0.04重量%,Mn:0.0
8重量%,Cr:0.01重量%,Zn:0.42重量
%,Mg:0.21重量%であった。実施例2 また、α−Al晶の晶出成長過程における操作条件のう
ち、回転冷却体30の回転速度が精製アルミニウムの成
分に及ぼす影響を、図1に示す装置を使用し調査した。
使用したアルミニウムスクラップは、760℃で溶解し
た段階では表3に示す組成をもっていた。この溶湯を6
10℃で5時間保持したところ、表3に示すようにS
i,Fe,Cu及びMnの濃度が低下していた。
【0021】
【表3】
【0022】次いで、アルミニウム合金溶湯を、種々の
回転数で外径100mmの回転冷却体を回転させなが
ら、600〜570℃の範囲を0.2〜3時かけて冷却
した。なお、冷却媒体である空気の流量は、1,000
リットル/分の一定値に維持した。得られた精製アルミ
ニウムは、回転冷却体の回転数に応じて表4に示すよう
に合金成分の濃度が異なっていた。なお、表4の最終行
に記載の「610℃×5時間処理後の分析値」は、溶湯
を600℃以下に下げて回転冷却体にアルミニウムを精
製付着させる前のアルミニウム合金溶湯組成を示すもの
である。表4から、回転数が大きくなるほどFe,C
u,Mg等の不純物濃度は低下する傾向であることがわ
かった。他方、Mn,Cr,Zn等が回転数による影響
をあまり受けず、Tiは逆に濃縮されている。このよう
に大きな回転数がFe,Cu,Mg等の濃度低下に有効
なことは、凝固界面に濃縮される不純物が金属間化合物
となって溶湯中に拡散されることによるものと推察され
る。実施例3 また、α−Al晶の晶出成長過程における操作条件のう
ち、冷却媒体の流量等の冷却条件が精製アルミニウムの
成分に及ぼす影響を、同じく図1に示す装置を使用し調
査した。使用したアルミニウムスクラップは、実施例2
で使用したものと同じもので、表3に示す組成をもつも
のである。回転冷却体30に送り込む空気(冷却媒体
g)の供給量を変え、空気の流量が精製結果に及ぼす影
響を調査した。調査結果を表5に示す。なお、表5の最
終行に記載の「610℃×5時間処理後の分析値」は、
前記表4と同じく、回転冷却体にアルミニウムを精製付
着させる前のアルミニウム合金溶湯組成を示すものであ
る。
回転数で外径100mmの回転冷却体を回転させなが
ら、600〜570℃の範囲を0.2〜3時かけて冷却
した。なお、冷却媒体である空気の流量は、1,000
リットル/分の一定値に維持した。得られた精製アルミ
ニウムは、回転冷却体の回転数に応じて表4に示すよう
に合金成分の濃度が異なっていた。なお、表4の最終行
に記載の「610℃×5時間処理後の分析値」は、溶湯
を600℃以下に下げて回転冷却体にアルミニウムを精
製付着させる前のアルミニウム合金溶湯組成を示すもの
である。表4から、回転数が大きくなるほどFe,C
u,Mg等の不純物濃度は低下する傾向であることがわ
かった。他方、Mn,Cr,Zn等が回転数による影響
をあまり受けず、Tiは逆に濃縮されている。このよう
に大きな回転数がFe,Cu,Mg等の濃度低下に有効
なことは、凝固界面に濃縮される不純物が金属間化合物
となって溶湯中に拡散されることによるものと推察され
る。実施例3 また、α−Al晶の晶出成長過程における操作条件のう
ち、冷却媒体の流量等の冷却条件が精製アルミニウムの
成分に及ぼす影響を、同じく図1に示す装置を使用し調
査した。使用したアルミニウムスクラップは、実施例2
で使用したものと同じもので、表3に示す組成をもつも
のである。回転冷却体30に送り込む空気(冷却媒体
g)の供給量を変え、空気の流量が精製結果に及ぼす影
響を調査した。調査結果を表5に示す。なお、表5の最
終行に記載の「610℃×5時間処理後の分析値」は、
前記表4と同じく、回転冷却体にアルミニウムを精製付
着させる前のアルミニウム合金溶湯組成を示すものであ
る。
【0023】実施例4 更に、精製時間を40分に設定し、回転冷却体30の回
転数及び空気の供給量が処理結果や精製品の濃度に及ぼ
す影響を、同じく図1に示す装置を使用し調査した。使
用したアルミニウムスクラップは、実施例2で使用した
ものと同じもので、表3に示す組成をもつものである。
調査結果を表6に示す。なお、表6の最終行に記載の
「610℃×5時間処理後の分析値」は、前記表4と同
じく、回転冷却体にアルミニウムを精製付着させる前の
アルミニウム合金溶湯組成を示すものである。表6か
ら、冷却速度の上昇に伴って精製重量が増加し、精製さ
れたアルミニウムの純度は回転冷却体30の回転数に依
存していることが読み取れる。しかし、回転数の上昇
は、精製重量を減少させる方向に作用している。これ
は、高速回転するほど、回転冷却体30の周面に晶出成
長したα−Al晶が遠心力で溶湯M中に飛散するためで
あると推察される。この場合、冷却媒体gの供給量を多
くすることにより、回転冷却体30の周面にα−Al晶
を積極的に固着させる必要がある。
転数及び空気の供給量が処理結果や精製品の濃度に及ぼ
す影響を、同じく図1に示す装置を使用し調査した。使
用したアルミニウムスクラップは、実施例2で使用した
ものと同じもので、表3に示す組成をもつものである。
調査結果を表6に示す。なお、表6の最終行に記載の
「610℃×5時間処理後の分析値」は、前記表4と同
じく、回転冷却体にアルミニウムを精製付着させる前の
アルミニウム合金溶湯組成を示すものである。表6か
ら、冷却速度の上昇に伴って精製重量が増加し、精製さ
れたアルミニウムの純度は回転冷却体30の回転数に依
存していることが読み取れる。しかし、回転数の上昇
は、精製重量を減少させる方向に作用している。これ
は、高速回転するほど、回転冷却体30の周面に晶出成
長したα−Al晶が遠心力で溶湯M中に飛散するためで
あると推察される。この場合、冷却媒体gの供給量を多
くすることにより、回転冷却体30の周面にα−Al晶
を積極的に固着させる必要がある。
【0024】
【表4】
【0025】
【表5】
【0026】
【表6】
【0027】表5〜6から明らかなように、600〜5
70℃でアルミニウム合金溶湯を精製するとき、単位時
間当りの生産量が最も大きい操業条件がある。そこで、
目標とする純度が定まると、その目標純度に応じて回転
冷却体30の回転数,冷却媒体gの流量,精製中の溶湯
の冷却速度等を相関的に制御することにより、必要とす
る純度をもった精製アルミニウムが高生産性で得られる
ことが判る。
70℃でアルミニウム合金溶湯を精製するとき、単位時
間当りの生産量が最も大きい操業条件がある。そこで、
目標とする純度が定まると、その目標純度に応じて回転
冷却体30の回転数,冷却媒体gの流量,精製中の溶湯
の冷却速度等を相関的に制御することにより、必要とす
る純度をもった精製アルミニウムが高生産性で得られる
ことが判る。
【0028】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、初晶が金属間化合物である組成をもつアルミニウム
スクラップの溶湯を偏析凝固させアルミニウムを精製す
るとき、680〜600℃の温度範囲を0.1〜8時間
かけて冷却することによりSi,Fe,Mn,Cr等の
不純物を金属間化合物として溶湯から沈降分離した後、
600〜570℃の温度範囲でα−Al晶を回転冷却体
の表面に晶出成長させている。そして、溶湯温度が57
0℃を下回る状態になったとき、回転冷却体の表面に付
着しているα−Al層をCu,Mg等の不純物を含む残
湯から分離し、精製アルミニウムを得ている。このよう
にして本発明によるとき、アルミニウム溶湯の冷却過程
で晶出する金属間化合物の影響を受けることなく、純度
の高い精製アルミニウムが安定操業条件の下で得られ
る。
は、初晶が金属間化合物である組成をもつアルミニウム
スクラップの溶湯を偏析凝固させアルミニウムを精製す
るとき、680〜600℃の温度範囲を0.1〜8時間
かけて冷却することによりSi,Fe,Mn,Cr等の
不純物を金属間化合物として溶湯から沈降分離した後、
600〜570℃の温度範囲でα−Al晶を回転冷却体
の表面に晶出成長させている。そして、溶湯温度が57
0℃を下回る状態になったとき、回転冷却体の表面に付
着しているα−Al層をCu,Mg等の不純物を含む残
湯から分離し、精製アルミニウムを得ている。このよう
にして本発明によるとき、アルミニウム溶湯の冷却過程
で晶出する金属間化合物の影響を受けることなく、純度
の高い精製アルミニウムが安定操業条件の下で得られ
る。
【図1】 本発明に従った精製方法を実施する精製装置
の一例
の一例
【図2】 本発明に従った精製方法を実施する精製装置
の他の例
の他の例
【図3】 冷却時間の経過に従って異なる晶出物が溶湯
から晶出することを示したグラフ
から晶出することを示したグラフ
M:溶湯 α−Al:精製された晶出物 I:金属
間化合物 g:冷却媒体 10:精製容器 20:加熱機構 30:回転冷却
体
間化合物 g:冷却媒体 10:精製容器 20:加熱機構 30:回転冷却
体
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−105940(JP,A) 特開 昭64−73027(JP,A) 特開 昭60−190531(JP,A) 特開 昭63−162823(JP,A) 特開 平5−295465(JP,A) 特開 平6−299265(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22B 1/00 - 61/00 C22C 1/02
Claims (2)
- 【請求項1】 不純物の一部としてFe、Mn、Crを
含有するAl−Si系のアルミニウム合金スクラップを
溶解し、その溶湯を保持炉又は精製炉で680〜600
℃の温度範囲を0.1〜8時間かけて冷却することによ
り前記Fe、Mn、Crをアルミニウム合金中のAl及
びSiとで金属間化合物を形成させて炉底に沈降分離さ
せた後、溶湯温度を更に下降させ、溶湯温度が600〜
570℃の範囲で、溶湯に浸漬している回転冷却体を冷
媒で冷却することにより回転冷却体の表面にα−Al晶
を晶出成長させることを特徴とするアルミニウムスクラ
ップの精製方法。 - 【請求項2】 請求項1記載のα−Al晶を晶出させる
とき、不純物濃縮液がα−Al晶の晶出物から溶湯中に
拡散されるように回転冷却体の回転数,回転冷却体に供
給する冷媒の流量,精製中の溶湯の冷却速度を制御する
アルミニウムスクラップの精製方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3010995A JP3237438B2 (ja) | 1995-01-26 | 1995-01-26 | アルミニウムスクラップの精製方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3010995A JP3237438B2 (ja) | 1995-01-26 | 1995-01-26 | アルミニウムスクラップの精製方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08199257A JPH08199257A (ja) | 1996-08-06 |
JP3237438B2 true JP3237438B2 (ja) | 2001-12-10 |
Family
ID=12294619
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3010995A Expired - Fee Related JP3237438B2 (ja) | 1995-01-26 | 1995-01-26 | アルミニウムスクラップの精製方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3237438B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101340938B1 (ko) | 2012-01-13 | 2013-12-13 | 한국기술교육대학교 산학협력단 | 원심분리를 이용한 알루미늄-실리콘 합금 내 철 성분의 저감 방법과 이를 이용하여 제조된 알루미늄-실리콘 합금 |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5128167B2 (ja) * | 2007-04-18 | 2013-01-23 | 昭和電工株式会社 | 金属精製方法、金属精製装置、精製金属、鋳造品、金属製品及び電解コンデンサ |
JP6667485B2 (ja) * | 2017-10-20 | 2020-03-18 | 株式会社豊田中央研究所 | Al合金の再生方法 |
-
1995
- 1995-01-26 JP JP3010995A patent/JP3237438B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101340938B1 (ko) | 2012-01-13 | 2013-12-13 | 한국기술교육대학교 산학협력단 | 원심분리를 이용한 알루미늄-실리콘 합금 내 철 성분의 저감 방법과 이를 이용하여 제조된 알루미늄-실리콘 합금 |
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH08199257A (ja) | 1996-08-06 |
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