JP5302645B2 - Alスクラップの精製方法 - Google Patents

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Description

本発明は、特にアルミニウム(以下、「Al」と称す)スクラップから不純物元素としてのシリコン(以下、「Si」と称す)を高い割合で除去し、かつ、Al晶出物の回収率が高いAlスクラップの精製方法に関するものである。
近年、クラッド材などの生産量が増加し、それに伴う屑の量が増加している。しかし、クラッド材は、組成の異なる数種類のAl合金を重ねて作成するため、上記屑から製品への単純なリサイクルは困難である。そこで、上記屑(Alスクラップ)を精製し、不純物元素が取り除かれた再利用可能なAl材を作成する技術が望まれている。
上記要望に応える技術として、いくつかの方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、容器にSiを0.5〜10wt%含むAl合金スクラップ溶湯を収容し、溶湯の液相線以下でかつ固相線以上の温度まで溶湯のほぼ全域を20℃/min以下の速度で冷却させてAl晶出物を発生させ、次いで容器の上部から押し固め板を下降させて、Al晶出物の集積体と濃化液相とを形成し、次いで押し固め板の下部面に対し2〜15MPaの圧力に相当する荷重を押し固め板に付与することで押し固めたAl晶出物を残りの液相部分から分離して回収するAlスクラップの精製方法が開示されている。また、回収されたAl晶出物および/または残りの液相部分を、他の原料Al溶湯と混合することを特徴とするAlスクラップの再利用方法も開示されている。
また、特許文献2には、精製しようとする金属溶湯を冷却して初晶粒子を発生させ、初晶粒子を含む固相率0.3未満の金属溶湯を得る工程と、この初晶粒子を含む固相率0.3未満の金属溶湯を成形型に供給し、成形型内で冷却しながら、初晶粒子と濃化溶湯が混在する所定の断面形状の固相率0.3〜0.7の成形体を連続的に製造する工程と、得られた成形体に圧力を加えて初晶粒子塊と濃化溶湯とに分離して回収する工程、を含む金属の精製方法とこの方法を実現するユニットを備えた金属の精製装置が開示されている。
特開平07−54061号公報 特許第3490808号公報
しかしながら、上記特許文献1、2に開示された技術には、以下のような問題点が存在する。
すなわち、特許文献1に記載のAlスクラップの精製方法に関する技術は、Siの除去率とAl晶出物の回収率とが相反する関係にあり、高いSiの除去率と高いAl晶出物の回収率を同時に満足させることができない。したがって、例えば高いSiの除去率となる条件でAlスクラップの精製を行った場合には、Al合金スクラップ溶湯から高いAl晶出物の回収率となるAl精製体を得るまでに極めて時間がかかり、生産性が悪い。
また、特許文献2に記載の金属の精製方法は、連続的に精製する方法ではあるが、流動性のない半固化成形体に圧力を加えて固液分離するため、分離効率が低い。すなわち、Siの除去率が低くなる。また、この方法では、精製物の重量が精製しようとする金属溶湯(原料)のほぼ50%までしか得られない。
以上のような問題点を克服できるAlスクラップの精製方法が、これまでに存在しなかった。
本発明の目的は、Alスクラップから高いSiの除去率と高いAl晶出物の回収率を同時に満足するAl精製体を得ることができ、かつ、高い効率性と高い生産性が実現できるAlスクラップの精製方法を提供することにある。
この目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の発明は、
容器内にAlスクラップ溶湯を収容し、このAlスクラップ溶湯を液相線以下でかつ固相線以上の温度まで冷却させて、前記Alスクラップ溶湯内にAl晶出物を発生させる工程と、前記Al晶出物を含むAlスクラップ溶湯が収容された前記容器の上部から押し固め板を下降させて、前記Al晶出物の集積体と濃化液相とを形成する工程と、前記押し固め板により前記Al晶出物の集積体に所定圧力を付与することで、圧搾された前記Al晶出物と残りの液相部分とに分離する工程と、前記押し固め板を前記残りの液相部分より上方に上昇させる工程とを有した第1段階の精製工程と、
前記容器内に収容された残りの液相部分を液相線以下でかつ固相線以上の温度まで冷却させて、前記残りの液相部分内にAl晶出物を発生させる工程と、前記Al晶出物を含む残りの液相部分が収容された前記容器の上部から押し固め板を下降させて、前記Al晶出物の集積体と濃化液相とを形成する工程と、前記押し固め板により前記Al晶出物の集積体に所定圧力を付与することで、圧搾された前記Al晶出物と残りの液相部分とに分離する工程と、前記押し固め板を前記残りの液相部分より上方に上昇させる工程とを有した一連の工程を前記第1段階の精製工程の次に連続して繰り返し、圧搾された前記Al晶出物が積層したAl精製体を回収する第2段階の精製工程と、
を備えたことを特徴とするAlスクラップの精製方法である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記Alスクラップ溶湯内と前記残りの液相部分内にAl晶出物を発生させる工程には、攪拌冷却が用いられる。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記所定圧力は、1MPa以下(但し、ゼロは含まない)であり、かつ、前記圧力の保持時間は、3〜5分である。
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記第1段階の精製工程の次に連続して繰り返される前記一連の工程は、前記圧搾された前記Al晶出物が積層して得られたAl精製体のAl晶出物回収率が70〜80%に達するまで行われる。
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記Alスクラップ溶湯と前記残りの液相部分を液相線以下でかつ固相線以上の温度まで冷却させた場合に、前記Alスクラップ溶湯と前記残りの液相部分に発生するAl晶出物の発生量はそれぞれ固相率0.3未満である。
以上のように、本発明に係るAlスクラップの精製方法は、
容器内にAlスクラップ溶湯を収容し、このAlスクラップ溶湯を液相線以下でかつ固相線以上の温度まで冷却させて、前記Alスクラップ溶湯内にAl晶出物を発生させる工程と、前記Al晶出物を含むAlスクラップ溶湯が収容された前記容器の上部から押し固め板を下降させて、前記Al晶出物の集積体と濃化液相とを形成する工程と、前記押し固め板により前記Al晶出物の集積体に所定圧力を付与することで、圧搾された前記Al晶出物と残りの液相部分とに分離する工程と、前記押し固め板を前記残りの液相部分より上方に上昇させる工程とを有した第1段階の精製工程と、
前記容器内に収容された残りの液相部分を液相線以下でかつ固相線以上の温度まで冷却させて、前記残りの液相部分内にAl晶出物を発生させる工程と、前記Al晶出物を含む残りの液相部分が収容された前記容器の上部から押し固め板を下降させて、前記Al晶出物の集積体と濃化液相とを形成する工程と、前記押し固め板により前記Al晶出物の集積体に所定圧力を付与することで、圧搾された前記Al晶出物と残りの液相部分とに分離する工程と、前記押し固め板を前記残りの液相部分より上方に上昇させる工程とを有した一連の工程を前記第1段階の精製工程の次に連続して繰り返し、圧搾された前記Al晶出物が積層したAl精製体を回収する第2段階の精製工程と、
を備えたことを特徴とする。
以上のような構成であるため、本発明は、Alスクラップから高いSiの除去率と高いAl晶出物の回収率を同時に満足するAl精製体を得ることができ、かつ、高い効率性と高い生産性が実現できる。
以下、本発明について、実施形態を例示しつつ、詳細に説明する。
(本発明に係るAlスクラップの精製方法の構成)
本発明に係るAlスクラップの精製方法は、
容器内にAlスクラップ溶湯を収容し、このAlスクラップ溶湯を液相線以下でかつ固相線以上の温度まで冷却させて、前記Alスクラップ溶湯内にAl晶出物を発生させる工程と、前記Al晶出物を含むAlスクラップ溶湯が収容された前記容器の上部から押し固め板を下降させて、前記Al晶出物の集積体と濃化液相とを形成する工程と、前記押し固め板により前記Al晶出物の集積体に所定圧力を付与することで、圧搾された前記Al晶出物と残りの液相部分とに分離する工程と、前記押し固め板を前記残りの液相部分より上方に上昇させる工程とを有した第1段階の精製工程と、
前記容器内に収容された残りの液相部分を液相線以下でかつ固相線以上の温度まで冷却させて、前記残りの液相部分内にAl晶出物を発生させる工程と、前記Al晶出物を含む残りの液相部分が収容された前記容器の上部から押し固め板を下降させて、前記Al晶出物の集積体と濃化液相とを形成する工程と、前記押し固め板により前記Al晶出物の集積体に所定圧力を付与することで、圧搾された前記Al晶出物と残りの液相部分とに分離する工程と、前記押し固め板を前記残りの液相部分より上方に上昇させる工程とを有した一連の工程を前記第1段階の精製工程の次に連続して繰り返し、圧搾された前記Al晶出物が積層したAl精製体を回収する第2段階の精製工程と、
を備えたことを特徴とする。
以上のような構成であるため、本発明は、Alスクラップから高いSiの除去率(以下、「Si除去率」と称す。定義は、後述する。)と高いAl晶出物の回収率(以下、「Al回収率」と称す。定義は、後述する。)を同時に満足するAl精製体を得ることができ、かつ、高い効率性と高い生産性が実現できる。
以下に、上記構成に至った理由について詳述する。
本発明者は、如何にしたらAlスクラップから高いSi除去率と高いAl回収率を同時に満足するAl精製体を得ることができ、かつ、高い効率性と高い生産性が実現できるAlスクラップの精製方法を提供できるのか基礎に立ち返って鋭意研究を行った。
まず初めに、Al−5%Si(重量%の意味、以下同じ)合金の溶湯を用い、Al回収率が30%となるように、この溶湯を液相線以下でかつ固相線以上の温度まで冷却させて溶湯内にAl晶出物の集積体を発生させた。このAl晶出物の集積体に圧力を付与し、圧搾されたAl晶出物内のSi除去率を調べた。その結果を図1に示す。
Al回収率=圧搾されたAl晶出物の体積/初期溶湯の体積×100 … (1)
Si除去率=(初期溶湯のSi濃度−圧搾されたAl晶出物のSi濃度)/初期溶湯のSi濃度×100 … (2)
図1より、付与圧力が1MPa以上になると、Si除去率が約45%以上になることが分かる。これは、付与圧力を瞬間だけ与え、保持しない場合(保持時間ゼロ)のデータである。しかし、付与圧力が1MPaでも保持時間を3分、10分と増加させると、Si除去率がそれぞれ約65%、約67%と増加する(図示せず)。このように付与圧力が1MPaで、保持時間が3分になると、保持しない場合に比べてSi除去率が著しく増加し、図1に示す付与圧力が4MPaの場合のSi除去率約63%を超える高いSi除去率が得られた。しかし、上述したように、保持時間を3分から10分と増加させても、もはや著しい増加は認められない。また、上述したような傾向は、付与圧力が1MPa以下のような比較的低圧力の場合にも認められた。したがって、付与圧力が1MPa以下のような比較的低圧力の場合の保持時間は、生産性を勘案すると、3〜5分が好ましい。
次に、上記溶湯を用い、この溶湯を液相線以下でかつ固相線以上の温度の範囲で変化させ冷却させて溶湯内にAl晶出物の集積体を発生させた。このAl晶出物の集積体に1MPaと4MPaの圧力をそれぞれ付与し(図1同様に保持時間ゼロで)、圧搾されたAl晶出物のSi除去率とAl回収率との関係を調べた。その結果を図2に示す。
図2より、付与圧力が1MPa、4MPaのいずれの場合にも、Al回収率が低くなればSi除去率は高くなることが分かる。また、付与圧力が4MPaより1MPaの方が、その変化の割合が高く、付与圧力が1MPaの場合でも急激に付与圧力が4MPaのSi除去率に近づく傾向を示す。しかし、いずれにしてもSi除去率を高めるとAl回収率が低くなってしまう。したがって、上記溶湯からのAl回収率を高めたければ、上記溶湯から圧搾されたAl晶出物を除いた濃化液相が凝固するのを待って、再び加熱し溶湯を形成し、この溶湯を液相線以下でかつ固相線以上の温度まで冷却させて溶湯内にAl晶出物の集積体を発生させ、このAl晶出物の集積体に圧力を加え、圧搾する操作を繰り返すのが当業者の技術常識とされていた。しかし、この精製方法では、プロセスが分断され連続しないため、著しく生産性が低くなってしまう。また、最初から加熱し直し溶湯を再び作成しなければならないため、効率が悪い。
上述した図1、2に示すデータ等を踏まえ、本発明者は、当業者においても想到し得ない下記のような2段階の精製工程を連続して行うAlスクラップの精製方法を見出した。
すなわち、第1段階の精製工程は、
容器内にAlスクラップ溶湯を収容し、このAlスクラップ溶湯を液相線以下でかつ固相線以上の温度まで冷却させて、前記Alスクラップ溶湯内にAl晶出物を発生させる工程(これにより、所定の高いSi除去率が得られる)と、前記Al晶出物を含むAlスクラップ溶湯が収容された前記容器の上部から押し固め板を下降させて、前記Al晶出物の集積体と濃化液相とを形成する工程と、前記押し固め板により前記Al晶出物の集積体に所定圧力を付与することで、圧搾された前記Al晶出物と残りの液相部分とに分離する工程と、前記押し固め板を前記残りの液相部分より上方に上昇させる工程とから構成される(なお、この段階では、まだ目標とする所定の高いAl回収率は得られていない。)。
次の第2段階の精製工程は、
前記第1段階の精製工程の後、前記残りの液相部分を一旦凝固させることなく(すなわち、液相線以上の温度を保ち)、連続して前記容器内に収容された残りの液相部分を液相線以下でかつ固相線以上の温度まで冷却させて、前記残りの液相部分内にAl晶出物を発生させる工程(これにより、所定の高いSi除去率が得られる)と、前記Al晶出物を含む残りの液相部分が収容された前記容器の上部から押し固め板を下降させて、前記Al晶出物の集積体と濃化液相とを形成する工程と、前記押し固め板により前記Al晶出物の集積体に所定圧力を付与することで、圧搾された前記Al晶出物と残りの液相部分とに分離する工程と、前記押し固め板を前記残りの液相部分より上方に上昇させる工程とを有した一連の工程を繰り返し、圧搾された前記Al晶出物が積層したAl精製体を回収する(これにより、目標とする所定の高いAl回収率(合計)が得られる。)第2段階の精製工程とから構成される。
以上のような本発明に係るAlスクラップの精製方法を用いることで、下記のような作用効果を奏する。
すなわち、本発明に係るAlスクラップの精製方法の全工程の途中で一度も全体を凝固させることがないため、プロセスが分断されることなく連続して所定のプロセスを繰り返すことが可能となる。したがって、Alスクラップから高いSi除去率と高いAl回収率を同時に満足するAl精製体を得ることができ、かつ、高い効率性と高い生産性が実現できる。
また、前記Alスクラップ溶湯内と前記残りの液相部分内にAl晶出物を発生させる工程において、液が静止した状態で冷却させるよりも攪拌冷却させる方が、Al晶出物の集積体に所定圧力を付与することで、圧搾されたAl晶出物と残りの液相部分とに分離する工程において、圧搾されるAl晶出物から液相部分を排出させる経路が複雑にならないため、より好ましい。何故ならば、液が静止した状態で冷却させた場合は、発生するAl晶出物の形状がデンドライトになるが、攪拌冷却させた場合は、発生するAl晶出物の形状が丸くなるからである。
また、前記押し固め板により前記Al晶出物の集積体に所定圧力を付与することで、圧搾された前記Al晶出物と残りの液相部分とに分離する工程において、例えば前記所定圧力が1MPa以下(但し、ゼロは含まない)と比較的低い圧力場合には、前記圧力の保持時間を3〜5分程度にするのがより好ましい。何故ならば、前記保持時間を保つことで、比較的低い圧力の場合でも圧搾されるAl晶出物から液相部分を十分に排出することが可能で、高いSi除去率を達成できるからである。また、これにより、高い生産性も維持できる。また、前記押し固め板には通液孔が明けられているのが好ましい。これにより、圧搾時の液相排出が速やかに進行する。
また、前記第1段階の精製工程の次に連続して繰り返される一連の工程は、前記圧搾された前記Al晶出物が積層して得られたAl精製体のAl回収率(合計)が例えば、70〜80%に達するまで行われれば、十分な精製が実現できたことになる。何故ならば、Al精製体のAl回収率(合計)が70〜80%に達した場合の残りの液相部分は、不純物元素が極めて濃化しており、切り捨てる部分であるためである。また、この残りの20〜30%の部分は、鋳物原料として再利用される。
また、前記Alスクラップ溶湯と前記残りの液相部分を液相線以下でかつ固相線以上の温度まで冷却させた場合に、前記Alスクラップ溶湯と前記残りの液相部分に発生するAl晶出物の発生量をそれぞれ固相率0.3未満にするのがより好ましい。何故ならば、固相率0.3未満にすることで、圧搾されるAl晶出物から液相部分を効率的に排出することができるためである。これにより、1回の圧力付与でのSi除去率も高まる。
以下、本発明のAlスクラップの精製方法の一実施例について、図面を参照しながら説明する。
(実施例)
図3は本発明の一実施例のAlスクラップの精製方法のプロセスを時系列的に説明するための模式図であって、(a)は容器1内にAlスクラップ溶湯2を収容した状態を示す図、(b)はAlスクラップ溶湯2を液相線以下でかつ固相線以上の温度まで冷却させて、Alスクラップ溶湯2内にAl晶出物3aを発生させる工程図、(c)はAl晶出物3aを含むAlスクラップ溶湯2が収容された容器1の上部から押し固め板4を下降させて、Al晶出物3aの集積体と濃化液相とを形成させ、押し固め板4によりAl晶出物3aの集積体に所定圧力を付与することで、圧搾されたAl晶出物(以下、「回収固相5a」と称す)と残りの液相部分6aとに分離する工程図、(d)は容器1内に収容された(c)に示された残りの液相部分6aを液相線以下でかつ固相線以上の温度まで冷却させて、残りの液相部分6a内にAl晶出物3bを発生させる工程図、(e)はAl晶出物3bを含む残りの液相部分6aが収容された容器1の上部から押し固め板4を下降させて、Al晶出物3bの集積体と濃化液相とを形成させ、押し固め板4によりAl晶出物3bの集積体に所定圧力を付与することで、圧搾されたAl晶出物(以下、「回収固相5b」と称す)と残りの液相部分6bとに分離する工程図、(f)は容器1内に収容された(e)に示された残りの液相部分6bを液相線以下でかつ固相線以上の温度まで冷却させて、残りの液相部分6b内にAl晶出物3cを発生させる工程図、(g)はAl晶出物3cを含む残りの液相部分6bが収容された容器1の上部から押し固め板4を下降させて、Al晶出物3cの集積体と濃化液相とを形成させ、押し固め板4によりAl晶出物3cの集積体に所定圧力を付与することで、圧搾されたAl晶出物(以下、「回収固相5c」と称す)と残りの液相部分6cとに分離する工程図である。なお、図3(c)と図3(d)の間には、押し固め板4を上昇させて、押し固め板4を容器1外へ取り出す工程があるが、ここでは図示を省略する。同じく、図3(e)と図3(f)の間には、押し固め板4を上昇させて、押し固め板4を容器1外へ取り出す工程があるが、ここでは図示を省略する。また、図3(g)の後にも、押し固め板4を上昇させて、押し固め板4を容器1外へ取り出す工程があるが、ここでは図示を省略する。
図4は図3に示すプロセスを用いた時のAl−Siの模式平衡状態図である。
以下に、本実施例のAlスクラップの精製方法のプロセスを時系列的に詳細に説明する。図3(a)において、容器1は内径130mm、高さ225mmの円筒型の黒鉛製であり、この容器1の周囲にはヒータ(図示せず)と冷却装置(図示せず)が配設されている。また、この容器1の中にはAl−1.6%Si−0.1%Feの成分(この組成を初期組成Cで示す)からなる5kgの合金(Alスクラップ)が溶解され収容されている(Alスクラップ溶湯2の高さをhで示す)。
図3(b)において、Alスクラップ溶湯2を攪拌しながら、図4に示す液相線以下でかつ固相線以上の温度T(640℃(下記表1参照))まで上記ヒータと冷却装置を調節しながら冷却させて、Alスクラップ溶湯2内にAl晶出物3a(初晶濃度:Cs1(図4参照))を発生させる。
Figure 0005302645
図3(c)において、上記温度T(ここでは、この温度を圧搾温度と称す。上記表1参照)でAl晶出物3aを含むAlスクラップ溶湯2が収容された容器1の上部から外径120mmの鉄製の押し固め板4をゆっくり下降させて、Al晶出物3aの集積体と濃化液相とを形成させ、続けて押し固め板4によりAl晶出物3aの集積体に所定圧力(3.9MPa)を3分間付与すること(圧搾回数:1回目、上記表1参照)で、圧搾されたAl晶出物(高さhの回収固相5a)と残りの液相部分6a(液相濃度:CL1(図4参照))とに分離する。この後、押し固め板4を上昇させて、押し固め板4を容器1外へ取り出す。以上の工程をまとめて、上述の第1段階の精製工程という。
図3(d)において、容器1の下層に回収固相5aが収容され、さらに回収固相5aの上部にある液相部分6aを攪拌しながら、図4に示す液相線以下でかつ固相線以上の温度T2(634℃(上記表1参照))まで上記ヒータと冷却装置を調節しながら冷却させて、残りの液相部分6a内にAl晶出物3b(初晶濃度:Cs2(図4参照))を発生させる。
図3(e)において、回収固相5aの上部にあるAl晶出物3bを含む残りの液相部分6aが収容された容器1の上部から押し固め板4を下降させて、Al晶出物3bの集積体と濃化液相とを形成させ、押し固め板4によりAl晶出物3bの集積体に所定圧力(3.9MPa)を3分間付与すること(圧搾回数:2回目、上記表1参照)で、圧搾されたAl晶出物(高さh2の回収固相5b)と残りの液相部分6b(液相濃度:CL2(図4参照))とに分離する。この後、押し固め板4を上昇させて、押し固め板4を容器1外へ取り出す。
図3(f)において、容器1の下層に回収固相5a、5bが収容され、さらに回収固相5bの上部にある残りの液相部分6bを攪拌しながら、図4に示す液相線以下でかつ固相線以上の温度T3(628℃(上記表1参照))まで上記ヒータと冷却装置を調節しながら冷却させて、残りの液相部分6b内にAl晶出物3c(初晶濃度:Cs3(図4参照))を発生させる。
図3(g)において、回収固相5a、5bの上部にあるAl晶出物3cを含む残りの液相部分6bが収容された容器1の上部から押し固め板4を下降させて、Al晶出物3cの集積体と濃化液相とを形成させ、押し固め板4によりAl晶出物3cの集積体に所定圧力(3.9MPa)を3分間付与すること(圧搾回数:3回目、上記表1参照)で、圧搾されたAl晶出物(高さh3の回収固相5c)と残りの液相部分6c(液相濃度:CL3(図4参照))とに分離する。この後、押し固め板4を上昇させて、押し固め板4を容器1外へ取り出す。以上の工程をまとめて、上述の第2段階の精製工程という。上記第1段階の精製工程において形成された残りの液相部分6aの全体を一旦凝固させることなく(すなわち、液相線以上の温度を保ったまま)、連続して上記第2段階の精製工程が行われる。また、上記第2段階の精製工程において形成された残りの液相部分6bの全体を一旦凝固させることなく(すなわち、液相線以上の温度を保ったまま)、再び図3(f)に示す工程以下を繰り返す。これを試験No.1(本発明例(上記表1参照))とする。
また、比較例として、試験No.1と同一の初期組成Cを有するAlスクラップ溶湯2を用いて、上記表1に示すように1回の圧搾回数(すなわち、上記第1段階の精製工程(図3(a)〜図3(c)に示す工程)のみ)で、圧搾温度のみ3種類変化させて実施したものをそれぞれ試験No.2〜5とした。
上記試験No.1〜5に関して、それぞれSi除去率とAl回収率を求めた。
その結果、試験No.2〜5(比較例)に関しては、Si除去率が50.8〜59.8%と目標とする所定の高いSi除去率(45%以上)が得られたが、Al回収率が19.3〜55.7%と目標とする所定の高いAl回収率(70%以上)を達成することができなかった(上記表1参照)。
しかし、試験No.1に関しては、Si除去率が49.6〜62.5%と目標とする所定の高いSi除去率(45%以上)が得られ、Al回収率も71.4%と目標とする所定の高いAl回収率(合計70%以上)を達成することができた(上記表1参照)。ここで、試験No.1のSi除去率とAl回収率に関しては、上述した式(1)、式(2)以外の定義も必要であるため、この点について下記に説明する。
「Al回収率に関して」
Al回収率=圧搾されたAl晶出物体積(図3(g)に示す高さhの回収固相5a、高さh2の回収固相5bと高さh3の回収固相5cの合計体積)/初期溶湯(図3(a)に示す高さhのAlスクラップ溶湯2)の体積×100 … (3)
「Si除去率に関して」
圧搾回数:1回目については、式(1)に従う。
圧搾回数:2回目については、下記式(4)に従う。
Si除去率=(液相部分6aのSi濃度−回収固相5bのSi濃度)/液相部分6aのSi濃度×100 … (4)
圧搾回数:3回目については、下記式(5)に従う。
Si除去率=(液相部分6bのSi濃度−回収固相5cのSi濃度)/液相部分6bのSi濃度×100 … (5)
このように本願発明のAlスクラップの精製方法を用いることで、Alスクラップから高いSi除去率と高いAl回収率を同時に満足するAl精製体を得ることができ、かつ、高い効率性と高い生産性が実現できる。
なお、本実施例では、第2段階の精製工程において圧搾回数を2回繰り返す例について説明したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、目標とする所定のSi除去率と目標とする所定のAl回収率(合計)に応じて、圧搾回数を少なくとも1回以上行えばよい。
なお、本実施例においては、押し固め板4によりAl晶出物3a、3b、3cの集積体にそれぞれ所定圧力を付与し、回収固相5a、5b、5cと残りの液相部分6a、6b、6cにそれぞれ分離した後、押し固め板4を上昇させて、押し固め板4を容器1外へ取り出す例について説明したが、必ずしもこれに限定されるものではない。すなわち、押し固め板4は、上記分離が行われた後、残りの液相部分6a、6b、6cより上方に上昇されていればよい。
本発明の基礎データとなる圧搾されたAl晶出物のSi除去率と加える圧力との関係を示す図である。 本発明の基礎データとなる2種類の圧力をそれぞれ付与した場合の圧搾されたAl晶出物のSi除去率とAl回収率との関係を示す図である。 本発明の一実施例のAlスクラップの精製方法のプロセスを時系列的に説明するための模式図である。 図3に示すプロセスを用いた時のAl−Siの模式平衡状態図である。
符号の説明
1 容器
2 Alスクラップ溶湯
3a、3b、3c Al晶出物
4 押し固め板
5a、5b、5c 回収固相
6a、6b、6c 残りの液相部分

Claims (5)

  1. 容器内にAlスクラップ溶湯を収容し、このAlスクラップ溶湯を液相線以下でかつ固相線以上の温度まで冷却させて、前記Alスクラップ溶湯内にAl晶出物を発生させる工程と、前記Al晶出物を含むAlスクラップ溶湯が収容された前記容器の上部から押し固め板を下降させて、前記Al晶出物の集積体と濃化液相とを形成する工程と、前記押し固め板により前記Al晶出物の集積体に所定圧力を付与することで、圧搾された前記Al晶出物と残りの液相部分とに分離する工程と、前記押し固め板を前記残りの液相部分より上方に上昇させる工程とを有した第1段階の精製工程と、
    前記容器内に収容された残りの液相部分を液相線以下でかつ固相線以上の温度まで冷却させて、前記残りの液相部分内にAl晶出物を発生させる工程と、前記Al晶出物を含む残りの液相部分が収容された前記容器の上部から押し固め板を下降させて、前記Al晶出物の集積体と濃化液相とを形成する工程と、前記押し固め板により前記Al晶出物の集積体に所定圧力を付与することで、圧搾された前記Al晶出物と残りの液相部分とに分離する工程と、前記押し固め板を前記残りの液相部分より上方に上昇させる工程とを有した一連の工程を前記第1段階の精製工程の次に連続して繰り返し、圧搾された前記Al晶出物が積層したAl精製体を回収する第2段階の精製工程と、
    を備えたことを特徴とするAlスクラップの精製方法。
  2. 前記Alスクラップ溶湯内と前記残りの液相部分内にAl晶出物を発生させる工程には、攪拌冷却が用いられる請求項1に記載のAlスクラップの精製方法。
  3. 前記所定圧力は、1MPa以下(但し、ゼロは含まない)であり、かつ、前記圧力の保持時間は、3〜5分である請求項1に記載のAlスクラップの精製方法。
  4. 前記第1段階の精製工程の次に連続して繰り返される前記一連の工程は、前記圧搾された前記Al晶出物が積層して得られたAl精製体のAl晶出物回収率が70〜80%に達するまで行われる請求項1に記載のAlスクラップの精製方法。
  5. 前記Alスクラップ溶湯と前記残りの液相部分を液相線以下でかつ固相線以上の温度まで冷却させた場合に、前記Alスクラップ溶湯と前記残りの液相部分に発生するAl晶出物の発生量はそれぞれ固相率0.3未満である請求項1に記載のAlスクラップの精製方法。
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