JP2023070039A - 不純物除去方法、アルミニウム系合金の製造方法及びアルミニウム系合金材の製造方法 - Google Patents

不純物除去方法、アルミニウム系合金の製造方法及びアルミニウム系合金材の製造方法 Download PDF

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Abstract

Figure 2023070039000001
【課題】本発明は、環境負荷の低減を図りつつ、アルミニウム又はアルミニウム合金中に混入している不純物を効率的に除去することが可能な不純物除去方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の一態様に係る不純物除去方法は、アルミニウム又はアルミニウム合金と不純物とを含む溶湯に、この溶湯におけるMgの含有量が5質量%以上18質量%以下となるようにMg又はMg合金を混合する混合工程と、上記混合工程後の上記溶湯を530℃以上700℃以下の範囲で保持する保持工程と、上記保持工程で生成される金属間化合物を上記溶湯から又は上記溶湯中で分離する分離工程とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、不純物除去方法、アルミニウム系合金の製造方法及びアルミニウム系合金材の製造方法に関する。
アルミニウムは、リサイクル性に優れており、アルミ缶、ダイカスト製品をはじめとするアルミニウム展伸材からなる多くのアルミニウム製品が廃却後に再溶解されて新しい製品にリサイクルされている。アルミニウムは、地金製造時に大量の炭酸ガス(CO)を発生するが、アルミニウム製品のリサイクルを行うことで地金の使用量を低減でき、炭酸ガスの削減を促進できる。
廃却後のアルミニウム製品には不純物が付着しており、リサイクルを繰り返すことで不純物元素の濃度が次第に高くなる。そのため、アルミニウム製品は、より成分規格の緩い製品へカスケードリサイクルされることが一般的である。
一方で、廃却後のアルミニウム製品については、不純物を除去したうえで水平リサイクルを行うことや、一部の元素を除去して異なる組成の製品へリサイクルすることが望まれる場合がある。
アルミニウム又はアルミニウム合金溶湯から不純物を除去する技術については多く報告されており、例えばFeを除去する技術として、不純物であるFeを含む溶湯に、所定量のMg、Zn及びMnを含有させたうえで、この溶湯からFe化合物を晶出させる技術が提案されている(特許文献1参照)。
また、アルミニウム又はアルミニウム合金溶湯における不純物濃度を低減する技術として、アルミニウム地金を製造する工程で三層式電解精製法や偏析法を用いる技術が開示されている(非特許文献1参照)。
特開2019-77895号公報
近藤ら、まてりあ、1994、Vol.33、No.1、62-68
しかしながら、特許文献1に記載されている技術によると、溶湯に比較的多くのMgを添加することを要するため、不純物除去後の溶湯を希釈する手間が大きくなる。また、Mgを添加するにあたってMg地金を製造する場合には、この地金の製造時に大量の炭酸ガスを排出することになる。さらに、特許文献1に記載されている技術では、添加したMnが不純物として溶湯中に含まれるため、不純物を効果的に除去できるとは言い難い。
また、非特許文献1に記載されている技術によると、原理的に不純物を除去することは可能であるが、不純物元素を多く含むスクラップを精錬する方法としては歩留まりが低くなるおそれがある。また、三層式電解精製法は電力コストの高い地域では採算性が悪く、偏析法は原料の不純物濃度が高いほど収率が低下するおそれがある。
このように、上記従来技術は、市中から回収した不純物を多く含むアルミニウムスクラップをリサイクルする方法等としては十分ではない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、環境負荷の低減を図りつつ、アルミニウム又はアルミニウム合金中に混入している不純物を効率的に除去することが可能な不純物除去方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る不純物除去方法は、アルミニウム又はアルミニウム合金と不純物とを含む溶湯に、この溶湯におけるMgの含有量が5質量%以上18質量%以下となるようにMg又はMg合金を混合する混合工程と、上記混合工程後の上記溶湯を530℃以上700℃以下の範囲で保持する保持工程と、上記保持工程で生成される金属間化合物を上記溶湯から又は上記溶湯中で分離する分離工程とを備える。
本発明の一態様に係る不純物除去方法は、環境負荷の低減を図りつつ、アルミニウム又はアルミニウム合金中に混入している不純物を効率的に除去することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る不純物除去方法を示すフロー図である。 図2は、本発明の一実施形態に係るアルミニウム系合金の製造方法を示すフロー図である。 図3は、図2のアルミニウム系合金の製造方法とは異なる形態に係るアルミニウム系合金の製造方法を示すフロー図である。 図4は、本発明の一実施形態に係るアルミニウム系合金材の製造方法を示すフロー図である。
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
本発明の一態様に係る不純物除去方法は、アルミニウム又はアルミニウム合金と不純物とを含む溶湯に、この溶湯におけるMgの含有量が5質量%以上18質量%以下となるようにMg又はMg合金を混合する混合工程と、上記混合工程後の上記溶湯を530℃以上700℃以下の範囲で保持する保持工程と、上記保持工程で生成される金属間化合物を上記溶湯から又は上記溶湯中で分離する分離工程とを備える。
当該不純物除去方法は、上記混合工程で上記溶湯におけるMgの含有量を上記範囲内に制御することによって上記溶湯の液相線温度を適切に下げることができるので、上記保持工程で上記溶湯を上記範囲内の温度に保持することにより、アルミニウム及びMgを含む溶湯(Al-Mg系溶湯)中に上記不純物を含む金属間化合物を生成することができる。当該不純物除去方法は、アルミニウムのリサイクルを図ることでアルミニウム地金の製造量を低減できることに加え、上記溶湯におけるMgの含有量を上記範囲内に抑えることでMg地金の製造量を低減できるので、これらの地金の製造に起因する炭酸ガスの発生量を少なくすることができる。その結果、当該不純物除去方法は、環境負荷の低減を図ることができる。
上記保持工程における上記溶湯の保持時間としては3分以上が好ましい。このように、上記保持工程における上記溶湯の保持時間を上記下限以上とすることで、上記不純物を容易かつ確実に除去することができる。
上記不純物が、Cr、Ti、V及びZrよりなる群から選択される少なくとも1種であるとよい。このように、上記不純物が、Cr、Ti、V及びZrよりなる群から選択される少なくとも1種であることによって、上記混合工程におけるMgの添加量を抑えつつ、上記不純物を上記溶湯から容易に除去することができる。
本発明の別の一態様に係るアルミニウム系合金の製造方法は、当該不純物除去方法を用い、上記分離工程によって上記金属間化合物が分離された後の溶湯を鋳造する鋳造工程を備える。
当該アルミニウム系合金の製造方法は、当該不純物除去方法を用いているので、アルミニウムのリサイクルを図ることができる。
当該アルミニウム系合金の製造方法は、上記鋳造工程前に、上記分離工程によって上記金属間化合物が分離された後の溶湯の成分を調整する成分調整工程を備えるとよい。このように、上記鋳造工程前に、上記分離工程によって上記金属間化合物が分離された後の溶湯の成分を調整する成分調整工程を備えることによって、アルミニウムのリサイクルをより容易に行うことができる。
本発明のさらに別の一態様に係るアルミニウム系合金材の製造方法は、当該アルミニウム系合金の製造方法を用い、上記鋳造工程を経て得られたアルミニウム系合金を塑性加工する塑性加工工程を備える。
当該アルミニウム系合金材の製造方法は、当該不純物除去方法を用いているので、アルミニウムのリサイクルを図ることができる。
当該アルミニウム系合金材の製造方法は、上記分離工程によって上記金属間化合物が分離された後の溶湯の成分を調整する成分調整工程を備えるとよい。このように、上記分離工程によって上記金属間化合物が分離された後の溶湯の成分を調整する成分調整工程を備えることによって、アルミニウムのリサイクルをより容易に行うことができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳説する。なお、本明細書に記載の数値については、記載された上限値と下限値との一方のみを採用すること、或いは上限値と下限値を任意に組み合わせることが可能である。
[不純物除去方法]
当該不純物除去方法は、アルミニウム又はアルミニウム合金に混入した際に除去が困難な不純物をAl-Mg系溶湯から除去する。当該不純物除去方法は、JIS-A5000系の必須元素であるMgを溶湯に含有させ、この溶湯を530℃以上700℃以下の範囲に保持することで不純物の共晶化を促し、生成した金属間化合物を上記溶湯から分離することで上記不純物を除去する。当該不純物除去方法は、上記金属間化合物を生成させるために敢えて不要な不純物を混合することを要せず、かつ歩留まりを向上できる。当該不純物除去方法を用いることで、上記溶湯におけるMgの濃度を抑えつつ、例えばJIS-A5000系の許容値以下に不純物濃度を低減することができる。
アルミニウムの展伸材から展伸材への水平リサイクルを実現するためには、不純物を展伸材の許容濃度以下に低減できることが求められる。このような観点において、当該不純物除去方法によると、アルミニウム又はアルミニウム合金に混入し、除去が困難な不純物の濃度を、例えば0.2質量%以下に低減することができる。
当該不純物除去方法は、図1に示すように、アルミニウム又はアルミニウム合金と不純物とを含む溶湯に、この溶湯におけるMgの含有量が5質量%以上18質量%以下となるようにMg又はMg合金を混合する混合工程S1と、混合工程S1後の上記溶湯を530℃以上700℃以下の範囲で保持する保持工程S2と、保持工程S2で生成される金属間化合物を上記溶湯から又は上記溶湯中で分離する分離工程S3とを備える。なお、当該不純物除去方法では、上記溶湯は、Mg等の酸化を防止する観点から、不活性雰囲気下で保持してもよい。また、上記溶湯には、Mg等の酸化を防止する観点から、微量(例えば30質量ppm程度)のBe(ベリリウム)を添加してもよく、フラックスを散布してもよい。
〔不純物〕
当該不純物除去方法で除去する不純物としては、特に限定されるものではないが、例えば遷移金属元素が挙げられる。アルミニウム製品には不純物として遷移金属元素が付着することがあり、リサイクルを繰り返すことで不純物の濃度は高くなりやすい。また、アルミニウム製品は、用途の拡大に伴って、強度、剛性、耐熱性等を付与すべく遷移金属元素を添加して使用することが考えられる。一方で、遷移金属元素は一般に精錬による除去が困難である。
本発明者らは、主としてこのような遷移金属元素の除去方法について検討を行い、溶湯におけるMgの含有量を抑えつつ、この溶湯から効率的に除去できる元素を探索した。その結果、本発明者らは、上記遷移金属元素の中でも、上記不純物としては、Cr(クロム)、Ti(チタン)、V(バナジウム)及びZr(ジルコニウム)よりなる群から選択される少なくとも1種が好適であるとの知見を得た。
Cr、Ti、V及びZrは、アルミニウム合金の添加元素や、結晶粒微細化材、地金等に含まれる元素として容易に混入する。これらの元素は、アルミニウムと結合して生成する安定化合物の晶出温度がアルミニウムの液相線温度よりも高いため、液相からの除去が容易であると共に、上記溶湯にMgが混合されることによって活量が高くなることでより高温での化合物化が可能となる。すなわち、Cr、Ti、V及びZrは、FeやMnと比較して化合物の生成温度が高いことに加え、上記溶湯にMgを混合することでアルミニウムの液相線温度は低くなるのに対し、Cr、Ti、V及びZrの化合物生成温度は高くなる。そのため、当該不純物除去方法は、上記不純物がCr、Ti、V及びZrよりなる群から選択される少なくとも1種であることによって、混合工程S1におけるMgの添加量を抑えつつ、保持工程S2で金属間化合物を容易に生成することができるので、上記不純物を上記溶湯から容易に除去することができる。
(混合工程)
混合工程S1では、例えば上記不純物を含むアルミニウムスクラップを溶解することで得られた溶湯にMg又はMg合金を混合する。
混合工程S1では、アルミニウム又はアルミニウム合金と上記不純物とを含む溶湯に対し、JIS-A5000系のアルミニウム合金等における必須元素であるMgを含有させる。上記溶湯がMgを含有することで、Al-Mg系溶湯中において上記不純物を含む金属間化合物の生成が促進される。当該不純物除去方法は、上記金属間化合物を生成させるために敢えて不要な不純物を溶湯中に過剰に溶解することを要しない。また、Mgは不純物ではないため、当該不純物除去方法は、Mgを除去するための工程を設けることを要しない。そのため、当該不純物除去方法では、例えば上記不純物が除去された後の溶湯を必要に応じて希釈してアルミニウムリサイクルに供することができる。なお、上記不純物が除去された後の溶湯の希釈手順(希釈工程)については後述する。混合工程S1で混合するMg合金としては、例えばJIS-MC5、JIS-MDC2A等が挙げられる。
混合工程S1でMg又はMg合金を混合する効果としては、例えば以下の(a)及び(b)が挙げられる。
(a)液相線温度が下がることで上記溶湯を低温で保持でき、上記金属間化合物の生成が促進される。
(b)Mgが不純物元素の活量を増加させることで、上記金属間化合物の生成が促進される。
当該不純物除去方法は、上記(a)及び(b)の一方又は両方の効果によって、上記不純物を上記溶湯中で金属間化合物化することができる。
上述のように、混合工程S1では、上記溶湯におけるMgの含有量が5質量%以上18質量%以下となるようにMg又はMg合金を混合する。混合工程S1後の上記溶湯におけるMgの含有量の下限としては、7.5質量%が好ましい。一方、上記含有量の上限としては、15質量%が好ましく、12質量%がより好ましい。また、上記含有量の上限としては、11質量%未満がさらに好ましい。上記含有量が上記下限に満たないと、上記溶湯の液相線温度を十分に低くすることができないおそれがある。逆に、上記含有量が上記上限を超えると、分離工程S3によって上記不純物が除去された後の溶湯におけるMg濃度が大きくなることで、Mgの希釈に要するコストが大きくなるおそれや、環境負荷が高くなるおそれがある。
(保持工程)
保持工程S2では、混合工程S1後に冷却された上記溶湯中に上記金属間化合物を生成させる。
保持工程S2における上記溶湯の保持温度の下限としては、上述のように530℃であり、550℃が好ましく、575℃がより好ましい。一方、上記保持温度の上限としては、上述のように700℃であり、650℃が好ましく、640℃がより好ましく、625℃がさらに好ましい。上記溶湯から上記金属間化合物を効率よく生成するためには、保持工程S2では、上記溶湯を低温の液相に保持することが望ましい。上記保持温度が上記上限を超えると、上記金属間化合物の生成効率が不十分となるおそれがある。逆に、上記保持温度が上記下限に満たないと、上記溶湯中のアルミニウムが凝固するおそれや、上記金属間化合物の生成速度が遅くなるおそれがある。
保持工程S2における上記溶湯の保持時間の下限としては、3分が好ましく、5分がより好ましく、10分がさらに好ましい。上記保持時間が上記下限に満たないと、上記金属間化合物を十分に生成し難くなるおそれがある。一方、上記保持時間の上限としては、180分が好ましく、120分がより好ましく、60分がさらに好ましい。当該不純物除去方法は、上記保持時間を上記上限以下とすることで、上記溶湯の温度制御に要する燃料コストが過剰になることを抑制することができる。また、当該不純物除去方法は、上記保持時間が上記上限以下であっても、上記金属間化合物を十分に生成することができる。そのため、後述の分離工程S3によって上記金属間化合物が分離された後の溶湯をアルミニウムのリサイクルに供することで、炭酸ガスの排出量を低減することができる。
(分離工程)
分離工程S3では、例えば保持工程S2で生成した上記金属間化合物を上記溶湯から分離する。分離工程S3では、上記金属間化合物を保持工程S2後に上記溶湯から分離することで、上記不純物を上記溶湯から除去する。分離工程S3における上記金属間化合物の分離手順は、上記金属間化合物の存在形態等によって選択することができる。例えば、上記金属間化合物が数十μm程度の微粒子状である場合には、フラックスに付着させる方法、耐火物製フィルタで濾過する方法、上記溶湯中に沈殿させて上澄みのみを回収する方法等を用いることができる。
また、分離工程S3では、保持工程S2で生成した上記金属間化合物を上記溶湯中で分離してもよい。上記金属間化合物を上記溶湯中で分離する手順としては、例えば上記金属間化合物を上記溶湯中に沈殿させた後、この溶湯を凝固させる方法が挙げられる。なお、上記溶湯を凝固させた後は、上記金属間化合物が凝集している部分を切除することで、上記不純物を除去することができる。
(希釈工程)
上記分離工程によって上記金属間化合物が除去された後の溶湯(Al-Mg合金溶湯)は、不純物濃度の低いアルミニウム溶湯に対して、Al-Mg中間合金として使用することができる。
また、上記希釈工程では、上記溶湯を真空下で保持することで蒸気圧の大きいMgを蒸発させ、上記溶湯におけるMgの濃度を低くすることも可能である。さらに、Mg除去用のフラックスを用いることで、Mg濃度が低いAl-Mg系溶湯とすることも可能である。
なお、上述の混合工程S1、保持工程S2、分離工程S3に、上記希釈工程を加えたアルミニウムのリサイクル方法は、本発明の一実施形態である。
<利点>
当該不純物除去方法は、混合工程S1で上記溶湯におけるMgの含有量を上記範囲内に制御することによって上記溶湯の液相線温度を適切に下げることができるので、保持工程S2で上記溶湯を上記範囲内の温度に保持することにより、アルミニウム及びMgを含む溶湯(Al-Mg系溶湯)中に上記不純物を含む金属間化合物を生成することができる。当該不純物除去方法は、アルミニウムのリサイクルを図ることでアルミニウム地金の製造量を低減できることに加え、上記溶湯におけるMgの含有量を上記範囲内に抑えることでMg地金の製造量を低減できるので、これらの地金の製造に起因する炭酸ガスの発生量を少なくすることができる。その結果、当該不純物除去方法は、環境負荷の低減を図ることができる。
当該不純物除去方法は、JIS-A5000系をはじめとするアルミニウム合金等で必須の元素であるMgを上記溶湯に含有させて不純物元素の化合物化を促し、生成した上記金属間化合物を上記溶湯から分離することにより、上記不純物元素の除去を行う。当該不純物除去方法は、従来除去困難とされている不純物元素を、Mgと共存させることで効率よく除去することによって、上記不純物元素の濃度をアルミニウム板に配合可能な濃度まで低減できる。この際、上記溶湯におけるMgの含有量を低く抑えることで、アルミニウム板の製造に使用する地金量を低減することができる。従って、当該不純物除去方法によると、難リサイクル性のスクラップをアルミニウム地金の代替として使用することができると共に、炭酸ガスの排出量を低減することができる。
[アルミニウム系合金の製造方法]
次に、図2及び図3を参照して、当該不純物除去方法を用いたアルミニウム系合金の製造方法について説明する。当該アルミニウム系合金の製造方法は、例えばAl-Mg系合金を製造する。当該アルミニウム系合金の製造方法は、分離工程S3によって上記金属間化合物が分離された後の溶湯を鋳造する鋳造工程を備える。また、当該アルミニウム系合金の製造方法は、上記鋳造工程前に、上記分離工程によって上記金属間化合物が分離された後の溶湯の成分を調整する成分調整工程を備える。
当該アルミニウム系合金の製造方法は、分離工程S3後に、上記鋳造工程を1回のみ行ってもよく、複数回行ってもよい。また、上記鋳造工程を複数回行う場合、上記成分調整工程は、任意の鋳造工程の前に行うことができる。さらに、上記成分調整工程は、複数回にわたって行うことも可能である。例えば図2では、分離工程S3後に、成分調整工程S4及び鋳造工程S5をこの順で各1回行っている。また、図3では、分離工程S3後に、鋳造工程(第1鋳造工程S6)と、成分調整工程S7と、鋳造工程(第2鋳造工程S8)とをこの順で行っている。但し、上記鋳造工程及び上記成分調整工程の回数及び順序は、図2及び図3の構成に限定されるものではない。以下、上記成分調整工程及び上記鋳造工程の各工程について詳説する。
(成分調整工程)
上記成分調整工程では、分離工程S3を経て上記不純物が除去された溶湯の成分を調整する。上記成分調整工程では、上記溶湯に、アルミニウム地金、合金元素等を添加する。上記成分調整工程で、アルミニウム地金及び合金元素を添加することで、後述のアルミニウム系合金材の製造方法によってJIS-A5000系のアルミニウム合金材を製造しやすくなる。また、上記成分調整工程では、上記溶湯を希釈することで、この溶湯の成分を調整することも可能である。さらに、上記成分調整工程を複数回行う場合には、各回において添加する成分を変えることも可能である。
(鋳造工程)
上記鋳造工程では、分離工程S3を経て上記不純物が除去された溶湯を鋳造する。当該アルミニウム系合金の製造方法は、上述の分離工程S3後の溶湯がMgを含んでいるとともに、この溶湯から不純物が除去されている。そのため、上記鋳造工程は、Al-Mg系合金を鋳造するのに適している。
<利点>
当該アルミニウム系合金の製造方法は、当該不純物除去方法を用いているので、アルミニウムのリサイクルを図ることができる。また、当該アルミニウム系合金の製造方法は、上記成分調整工程を備えるので、アルミニウムのリサイクルをより容易に行うことができる。
[アルミニウム系合金材の製造方法]
当該アルミニウム系合金材の製造方法は、上述のアルミニウム系合金の製造方法を用いて行う。図4に示すように、当該アルミニウム系合金材の製造方法は、鋳造工程S5を経て得られたアルミニウム系合金を塑性加工する塑性加工工程S9を備える。なお、図4では、一例として図2のアルミニウム系合金の製造方法を用いたアルミニウム系合金材の製造方法を示している。但し、当該アルミニウム系合金材の製造方法は、図3のアルミニウム系合金の製造方法を用いて行ってもよく、上述の成分調整工程を備えないアルミニウム系合金の製造方法を用いて行ってもよい。
当該アルミニウム系合金材の製造方法は、分離工程S3によって上記金属間化合物が分離された後の溶湯の成分を調整する成分調整工程を備えていてもよい。当該アルミニウム系合金材の製造方法が、上記成分調整工程を備える場合、当該アルミニウム系合金材の製造方法は、この成分調整工程後にさらに鋳造工程を行い、この鋳造工程で得られたアルミニウム系合金に対して上記塑性加工工程を行えばよい。この成分調整工程は、上述した当該アルミニウム系合金の製造方法における成分調整工程と同様の手順で行うことができる。当該アルミニウム系合金材の製造方法は、上記成分調整工程を備えることで、得られるアルミニウム系合金材の組成を容易に制御することができる。その結果、アルミニウムのリサイクルをより容易に行うことができる。
(塑性加工工程)
上記塑性加工工程では、アルミニウム系合金に対して塑性加工を行い、アルミニウム系合金材を製造する。上記塑性加工としては、例えば熱間加工及び冷間加工が挙げられる。また、具体的な加工手段としては、例えば圧延、押出、鍛造が挙げられる。上記塑性加工工程では、必要に応じてアルミニウム系合金に熱処理を施してもよい。この熱処理としては、例えば均質化熱処理、溶体化熱処理、時効処理が挙げられる。
上記塑性加工工程では、例えばAl-Mg系合金材を製造する。中でも、上記塑性加工工程では、JIS-A5000系のアルミニウム合金材を製造することが好ましい。つまり、当該アルミニウム系合金材の製造方法は、JIS-A5000系のアルミニウム合金材の製造方法として好適に用いられる。当該アルミニウム系合金材の製造方法は、上述の分離工程S3後の溶湯がJIS-A5000系の必須元素であるMgを含んでいるとともに、この溶湯から不純物が除去されている。そのため、当該アルミニウム系合金材の製造方法は、JIS-A5000系のアルミニウム合金材の製造方法として用いやすい。
<利点>
当該アルミニウム系合金材の製造方法は、当該不純物除去方法を用いているので、アルミニウムのリサイクルを図ることができる。
[その他の実施形態]
上記実施形態は、本発明の構成を限定するものではない。従って、上記実施形態は、本明細書の記載及び技術常識に基づいて上記実施形態各部の構成要素の省略、置換又は追加が可能であり、それらは全て本発明の範囲に属するものと解釈されるべきである。
例えば当該不純物除去方法は、保持工程S2で上記金属間化合物を生成するにあたって、上記溶湯を攪拌してもよい。但し、当該不純物除去方法は、上記溶湯を攪拌しなくても上記金属間化合物を容易に生成することができる。
当該アルミニウム系合金の製造方法は、上記成分調整工程を備える構成に限定されない。例えば当該アルミニウム系合金の製造方法が上記成分調整工程を備えない場合、当該アルミニウム系合金の製造方法によって得られたアルミニウム系合金を中間合金とし、この中間合金に対して別途で成分調整を行うことも可能である。
以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。
[No.1からNo.6]
Mg及び表1に示す不純物元素が表1の含有量で含まれるように、A5052、Al-5%Cr、Al-5%Ti、Al-5%V、Al-5%Zr、純Mg及び純Alを黒鉛坩堝に溶解して溶湯を調製した。続いて、この溶湯を表1の保持温度まで冷却し、表1の保持時間のあいだ静置保持した。その後、炉の電源を切って上記溶湯を凝固させ、得られた鋳塊の上部から一部を採取してICP発光分光分析法にて不純物濃度を測定した。この測定結果を表1に示す。なお、上記鋳塊において、不純物元素を含む化合物は下部に沈殿していると考えられるため、表1の測定結果はAl-Mg合金部分における不純物の含有量を意味していると考えられる。
[No.7及びNo.8]
Mg及び表1に示す不純物元素が表1の含有量で含まれるように、A5052及び純MgをSi-C坩堝に溶解して溶湯を調製した。続いて、この溶湯を表1の保持温度まで冷却し、表1の保持時間のあいだ静置保持した。その後、坩堝を傾動させて残湯が溶解量の10質量%以上20質量%以下になるように上澄みのみを出湯させ、出湯後にこの上澄みを凝固させて固体発光分光分析法にて不純物濃度を測定した。この測定結果を表1に示す。
Figure 2023070039000002
表1に示すように、溶湯におけるMgの含有量を5質量%以上18質量%以下とし、この溶湯を530℃以上700℃以下の温度で保持することで、不純物としてのCr、Ti、V及びZrを除去できることが分かる。
以上説明したように、本発明の一態様に係る不純物除去方法は、アルミニウム又はアルミニウム合金中に混入した不純物を除去するのに適している。

Claims (7)

  1. アルミニウム又はアルミニウム合金と不純物とを含む溶湯に、この溶湯におけるMgの含有量が5質量%以上18質量%以下となるようにMg又はMg合金を混合する混合工程と、
    上記混合工程後の上記溶湯を530℃以上700℃以下の範囲で保持する保持工程と、
    上記保持工程で生成される金属間化合物を上記溶湯から又は上記溶湯中で分離する分離工程と
    を備える不純物除去方法。
  2. 上記保持工程における上記溶湯の保持時間が3分以上である請求項1に記載の不純物除去方法。
  3. 上記不純物が、Cr、Ti、V及びZrよりなる群から選択される少なくとも1種である請求項1又は請求項2に記載の不純物除去方法。
  4. 請求項1又は請求項2に記載の不純物除去方法を用い、
    上記分離工程によって上記金属間化合物が分離された後の溶湯を鋳造する鋳造工程を備えるアルミニウム系合金の製造方法。
  5. 上記鋳造工程前に、上記分離工程によって上記金属間化合物が分離された後の溶湯の成分を調整する成分調整工程を備える請求項4に記載のアルミニウム系合金の製造方法。
  6. 請求項4に記載のアルミニウム系合金の製造方法を用い、
    上記鋳造工程を経て得られたアルミニウム系合金を塑性加工する塑性加工工程を備えるアルミニウム系合金材の製造方法。
  7. 上記分離工程によって上記金属間化合物が分離された後の溶湯の成分を調整する成分調整工程を備える請求項6に記載のアルミニウム系合金材の製造方法。
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