JPH10102158A - アルミニウムの精製方法 - Google Patents

アルミニウムの精製方法

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JPH10102158A
JPH10102158A JP25277196A JP25277196A JPH10102158A JP H10102158 A JPH10102158 A JP H10102158A JP 25277196 A JP25277196 A JP 25277196A JP 25277196 A JP25277196 A JP 25277196A JP H10102158 A JPH10102158 A JP H10102158A
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hollow rotary
cooling body
aluminum
rotary cooling
boron
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JP25277196A
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Susumu Cho
進 張
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 純度99.9999wt%以上の超高純度ア
ルミニウムを得る。 【解決手段】 包晶元素を含む溶融アルミニウムS中
に、ホウ素を、その添加量が、グラム当量比で包晶元素
1に対して100以上となるように添加する第1工程を
含む。ホウ素を添加した溶融アルミニウム中Sに中空回
転冷却体5を浸漬するとともに、中空回転冷却体5内に
冷却流体を供給しながらこの中空回転冷却体5を回転さ
せることにより、中空回転冷却体5の表面にホウ素を含
むアルミニウム塊を晶出させる第2工程を含む。第2工
程で得られたアルミニウム塊を溶融させ、ホウ素を含む
溶融アルミニウムS中に中空回転冷却体5を浸漬すると
ともに、中空回転冷却体5内に冷却流体を供給しながら
この中空回転冷却体5を回転させることにより、中空回
転冷却体5の表面にアルミニウム塊を晶出させる第3工
程を含む。第2工程の後第3工程を少なくとも1回行
う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、Ti、V、Zr
等の包晶元素を含むアルミニウムを精製してより高純度
のアルミニウム、特にVLSIやULSI等における配
線を形成するためのスパッタリングターゲットのような
電子材料として用いられる純度が99.9999wt%
レベルの超高純度アルミニウムを得るのに適したアルミ
ニウムの精製方法に関する。
【0002】この明細書において、「包晶元素」という
語は、アルミニウムと包晶を生成する元素を意味するも
のとする。
【0003】
【従来の技術】アルミニウム中に含まれる不純物として
は、Fe、Si、Mg、Cu等の共晶元素(アルミニウ
ムと共晶を生成する元素を意味する)や、Ti、V、Z
r等の包晶元素がある。
【0004】ところで、共晶元素を含むアルミニウムを
精製して高純度アルミニウムを得るには、偏析凝固の原
理を利用して溶融アルミニウムが凝固するさいの初晶を
選択的に回収すればよいことは知られている。たとえ
ば、偏析凝固の原理を利用した共晶元素を含むアルミニ
ウムの精製方法の1つは、精製すべき溶融アルミニウム
を凝固温度を越えた温度に保持しておき、溶融アルミニ
ウム中に中空回転冷却体を浸漬し、中空回転冷却体内に
冷却流体を供給するとともに、中空回転冷却体を回転さ
せながら、その外周面にアルミニウムを晶出させる方法
である。このような方法で高純度アルミニウムを得るこ
とができるのは、共晶元素の平衡偏析係数が1よりも小
さいためである。
【0005】ところが、包晶元素の平衡偏析係数は1よ
りも大きいために、上記のような方法で、包晶元素を含
むアルミニウムの精製を行うと、中空回転冷却体の外周
面に晶出したアルミニウム中の包晶元素濃度は、元の溶
融アルミニウム中の包晶元素濃度よりも高くなってしま
うという問題があった。
【0006】そこで、このような問題を解決した包晶元
素を含むアルミニウムの精製方法として、本出願人は、
先に、精製すべき溶融アルミニウム中にホウ素を添加
し、ついでこの溶融アルミニウム中に中空回転冷却体を
浸漬するとともに、中空回転冷却体内に冷却流体を供給
しながらこの中空回転冷却体を回転させることにより、
中空回転冷却体の表面に高純度アルミニウムを晶出させ
る方法を提案している(特公昭59−44374号公報
参照)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
方法では、上記公報の実施例に見られるように、精製後
のアルミニウム中の包晶元素量はppmレベルであり、
純度99.9999wt%以上の超高純度アルミニウム
を得ることはできなかった。
【0008】そこで、本発明者等が、種々実験、研究を
重ねた結果、純度99.9999wt%以上の超高純度
アルミニウムを得ることを目的としてアルミニウム中の
包晶元素量を減少させるには、添加するホウ素量が重要
なポイントになることを見出だして本発明を完成したの
である。
【0009】この発明の目的は、上記問題を解決し、精
製後のアルミニウム中の包晶元素量を極めて微量にし、
これにより純度99.9999wt%以上の超高純度ア
ルミニウムを得ることのできるアルミニウムの精製方法
を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明によるアルミニ
ウムの精製方法は、包晶元素を含む溶融アルミニウム中
に、ホウ素を、その添加量が、グラム当量比で包晶元素
1に対して100以上となるように添加する第1工程
と、ホウ素を添加した溶融アルミニウム中に中空回転冷
却体を浸漬するとともに、中空回転冷却体内に冷却流体
を供給しながらこの中空回転冷却体を回転させることに
より、中空回転冷却体の表面にホウ素を含むアルミニウ
ム塊を晶出させる第2工程と、第2工程で得られたアル
ミニウム塊を溶融させ、ホウ素を含む溶融アルミニウム
中に中空回転冷却体を浸漬するとともに、中空回転冷却
体内に冷却流体を供給しながらこの中空回転冷却体を回
転させることにより、中空回転冷却体の表面にアルミニ
ウム塊を晶出させる第3工程とを含み、第2工程の後第
3工程を少なくとも1回行うことを特徴とするものであ
る。
【0011】この発明の方法の第1工程において、包晶
元素を含む溶融アルミニウム中にホウ素を添加すると、
ホウ素が、Ti、V、Zr等の包晶元素と反応してTi
2、VB2 、ZrB2 等の不溶性金属ホウ化物を生成
する。ここで、ホウ素の添加量を、グラム当量比で包晶
元素1に対して100以上に限定したのは、これが10
0未満であると、ホウ素と包晶元素との反応が十分には
行われず、単独で残存する包晶元素が多くなり、包晶元
素の除去率が低下するからである。なお、ホウ素は、A
l−B母合金として添加してもよい。
【0012】この発明の方法の第2工程において、ホウ
素を添加した溶融アルミニウム中に中空回転冷却体を浸
漬するとともに、中空回転冷却体内に冷却流体を供給し
ながらこの中空回転冷却体を回転させると、第1工程で
生成した溶融アルミニウム中の不溶性金属ホウ化物は、
中空回転冷却体の回転により生じる遠心力によって、凝
固界面から遠ざけられて溶融アルミニウム全体に分散さ
せられ、中空回転冷却体の外周面に晶出するアルミニウ
ム塊中に混入することはない。また、添加されたホウ素
は共晶元素であるから、上述した偏析凝固の原理により
除去されるが、添加量が多いために、完全には除去され
ず、少量のホウ素は中空回転冷却体の外周面に晶出した
アルミニウム塊中に残ることになる。
【0013】また、第2工程において、中空回転冷却体
を回転させるさいの周速は、2000〜15000mm
/sec、特に5000〜10000mm/secであ
ることが好ましい。
【0014】なお、第1工程および第2工程において
は、溶融アルミニウムは凝固点を越えた温度に加熱保持
しておく。
【0015】この発明の方法の第3工程において、第2
工程で得られたアルミニウム塊を溶融させ、ホウ素を含
む溶融アルミニウム中に中空回転冷却体を浸漬するとと
もに、中空回転冷却体内に冷却流体を供給しながらこの
中空回転冷却体を回転させることにより、中空回転冷却
体の表面にアルミニウム塊を晶出させると、第2工程で
得られたアルミニウム塊中に残っていたホウ素が、偏析
凝固の原理により除去される。
【0016】第2工程の後第3工程を2回以上繰り返し
て行うと、ホウ素の除去効率が一層高まってより高純度
のアルミニウムを得ることができる。
【0017】なお、精製すべき溶融アルミニウム中に、
包晶元素の他にFe、Si、Mg、Cu等の共晶元素が
含まれていたとしても、上記第2工程および第3工程に
おいて、偏析凝固の原理によって除去される。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を、
図面を参照して説明する。
【0019】図1および図2は、この発明の方法を実施
する装置を示す。
【0020】図1および図2において、アルミニウムの
精製装置は、上端が開口するとともにこの開口が蓋(2)
で密閉された溶解炉(1) と、溶解炉(1) 内に配置された
溶融アルミニウム保持るつぼ(3) と、溶解炉(1) の蓋
(2) を貫通して配された垂直状中空回転軸(4) と、中空
回転軸(4) の下端に、内部空間が中空回転軸(4) の内部
空間と連通するように取付けられた中空回転冷却体(5)
とを備えている。
【0021】溶解炉(1) および蓋(2) は耐火物により形
成されている。溶解炉(1) の周壁内周面に沿ってヒータ
(6) が配置されている。蓋(2) の中央部には貫通穴(7)
が形成されており、中空回転軸(4) はこの貫通穴(7) に
通されている。るつぼ(3) は、溶融アルミニウム(S) と
ほとんど反応せずかつ溶融アルミニウム(S) を汚染する
ことのない物質、たとえば黒鉛で形成されている。
【0022】中空回転軸(4) は上部構成部材(8) とその
下端に連結された下部構成部材(9)とよりなり、溶解炉
(1) の上方に配置された上下動自在の保持部材(図示
略)に回転自在に保持され、同じく図示しない回転駆動
手段により回転させられるようになっている。上部構成
部材(8) は、中空回転軸(4) における上端から溶解炉
(1) の蓋(2) よりも若干下方の部分までを構成してお
り、その下端部が溶解炉(1)の蓋(2) の貫通穴(7) に通
されている。そして、上部構成部材(8) の下端部外周面
と貫通穴(7) の内周面との間がパッキン(12)により密封
されている。上部構成部材(8) は、たとえばステンレス
鋼等の金属により筒状に形成されており、その下端部の
内周面にめねじ部(11)が形成されている。
【0023】中空回転軸(4) の下部構成部材(9) は、黒
鉛製筒状体(13)と、黒鉛製筒状体(13)の内周面を覆う断
熱材(14)と、断熱材(14)の内周面を覆う金属製カバー(1
5)とにより形成されている。断熱材(14)は、たとえばセ
ラミックファイバーからなる。金属製カバー(15)は、た
とえばステンレス鋼からなる。黒鉛製筒状体(13)の上端
部における蓋(2) よりも上方に位置する部分に上広がり
状のテーパ部(16)が形成され、テーパ部(16)よりも上方
の部分の外周面におねじ部(17)が形成されている。そし
て、このおねじ部(17)が上部構成部材(8) の下端部のめ
ねじ部(11)にねじ嵌められることにより、下部構成部材
(9) が上部構成部材(8) の下端に連結されている。下部
構成部材(9) のテーパ部(16)の上端面が上部構成部材
(8) の下端面に接している。また、黒鉛製筒状体(13)の
下端部には下広がり状のテーパ部(18)が形成され、テー
パ部(18)よりも下方の部分の外周面におねじ部(19)が形
成されている。
【0024】中空回転冷却体(5) は、有底でかつ下方に
向かって狭まったテーパ筒状である。中空回転冷却体
(5) は、熱伝導性が良く、しかも溶融アルミニウム(S)
を汚染することのない材料、たとえば黒鉛で形成されて
いる。中空回転冷却体(5) の内周面における上端から所
定間隔をおいた部分に、全周にわたって環状段部(21)が
形成されており、中空回転冷却体(5) の内周面における
環状段部(21)よりも上方の部分にめねじ部(22)が形成さ
れている。そして、中空回転軸(4) の下部構成部材(9)
のおねじ部(19)が中空回転冷却体(5) のめねじ部(22)に
ねじ嵌められることにより、中空回転冷却体(5) が中空
回転軸(4) の下部構成部材(9) に固定されている。な
お、中空回転冷却体(5) の上端部の外径は、中空回転軸
(4) の下部構成部材(9) の下部テーパ部(18)の大端径と
等しくなっており、下部構成部材(9)の下端面が中空回
転冷却体(5) の段部(21)上面に接しているとともに、中
空回転冷却体(5) の上端面が下部構成部材(9) のテーパ
部(18)の下端面に接している。
【0025】中空回転軸(4) 内に垂直状の冷却流体供給
管(23)が配置されている。冷却流体供給管(23)の下端は
回転冷却体(5) 内に位置している。冷却流体供給管(23)
の下端部における回転冷却体(5) 内に位置している所定
長さ部分が拡管されるとともにその下端開口が塞がれる
ことにより、冷却流体吹出し部(24)が設けられている。
冷却流体吹出し部(24)の周壁に、複数の冷却流体吹出し
口(25)が形成されている。なお、中空回転軸(4) の内周
面と冷却流体供給管(23)の外周面との間の部分が冷却流
体排出路(26)となされている。図示は省略したが、冷却
流体供給管(23)の上端はロータリジョイントを介して冷
却流体供給源に接続されている。また、冷却流体排出路
(26)の上端はロータリジョイントの冷却流体送出口に接
続されている。
【0026】このような装置を用いての包晶元素を含む
アルミニウムの精製は、次のようにして行われる。
【0027】予め、包晶元素を含む精製すべきアルミニ
ウム中の包晶元素量を調べておき、このアルミニウムを
溶解した後、溶融アルミニウム(S) をるつぼ(3) 内に入
れ、溶融アルミニウム(S) 中に、ホウ素を、その添加量
が、グラム当量比で包晶元素1に対して100以上とな
るように添加する。そして、ヒータ(6) により溶融アル
ミニウム(S) を凝固温度を越えた温度に加熱保持してお
く。ついで、溶解炉(1) の上端開口を蓋(2) により密閉
するとともに、中空回転冷却体(5) を溶融アルミニウム
(S) 中に浸漬する。溶解炉(1) の上端開口を密閉した
後、場合によっては、図示しない真空排気管により溶解
炉(1) 内を真空引きして真空雰囲気とするか、あるいは
真空引き後、図示しない不活性ガス供給管から溶解炉
(1) 内に不活性ガスを供給して溶解炉(1) 内を不活性ガ
ス雰囲気とする。
【0028】ついで、冷却流体供給源からロータリジョ
イントを経て中空回転軸(4) 内の冷却流体供給管(23)に
冷却流体を送り込み、冷却流体吹出し部(24)の吹出し口
(25)から中空回転冷却体(5) の周壁に向かって冷却流体
を吹出しながら、回転駆動手段により中空回転軸(4) を
介して中空回転冷却体(5) を回転させる。こうして、生
成した溶融アルミニウム(S) 中の不溶性金属ホウ化物
を、中空回転冷却体(5)の回転により生じる遠心力によ
って、凝固界面から遠ざけて溶融アルミニウム(S) 全体
に分散させつつ、中空回転冷却体(5) の外周面に所定量
のアルミニウム塊を晶出させる。これにより、晶出する
アルミニウム塊中に金属ホウ化物が混入することが防止
される。また、添加されたホウ素は共晶元素であるか
ら、過剰のホウ素は上述した偏析凝固の原理により除去
されるが、添加量が過剰であるために、完全には除去さ
れず、少量のホウ素は中空回転冷却体(5) の外周面に晶
出したアルミニウム塊中に残ることになる。なお、中空
回転冷却体(5) の回転時の周速は、2000〜1500
0mm/sec、特に5000〜10000mm/se
cであることが好ましい。下限値未満であればTiB2
等の不溶性金属ホウ化物が中空回転冷却体(5) の外周面
に晶出するアルミニウム塊中に巻き込まれるおそれがあ
り、上限値を越えるとアルミニウムの固相が中空回転冷
却体(5) の外周面に付着しにくくなるおそれがあるから
である。
【0029】ついで、蓋(2) を外して溶解炉(1) の上端
開口を開き、外周面にアルミニウム塊が晶出した中空回
転冷却体(5) を溶解炉(1) から出し、中空回転冷却体
(5) の外周面に晶出したアルミニウム塊を回収する。
【0030】このような作業を繰り返して回収したアル
ミニウム塊の量が所定量に達すれば、これらのアルミニ
ウム塊を溶融させる。ついで、この溶融アルミニウム
(S) を、別個用意した溶解炉(1) のるつぼ(3) 内に入れ
る。そして、溶解炉(1) の上端開口を蓋(2) で閉じると
ともに、中空回転冷却体(5) を溶融アルミニウム(S) 中
に浸漬した後、場合によっては、図示しない真空排気管
により溶解炉(1) 内を真空引きして真空雰囲気とする
か、あるいは真空引き後、図示しない不活性ガス供給管
から溶解炉(1) 内に不活性ガスを供給して溶解炉(1) 内
を不活性ガス雰囲気とする。そして、ヒータ(6) により
溶融アルミニウム(S) を凝固温度を越えた温度に加熱保
持しておく。
【0031】ついで、冷却流体供給源からロータリジョ
イントを経て中空回転軸(4) 内の冷却流体供給管(23)に
冷却流体を送り込み、冷却流体吹出し部(24)の吹出し口
(25)から中空回転冷却体(5) の周壁に向かって冷却流体
を吹出しながら、回転駆動手段により中空回転軸(4) を
介して中空回転冷却体(5) を回転させ、偏析凝固の原理
により中空回転冷却体(5) の外周面に高純度アルミニウ
ムを晶出させる。中空回転冷却体(5) の回転により、凝
固界面から液相中に排出されたホウ素を凝固界面から遠
ざける液相全体に分散させながら凝固を進めることがで
きる。したがって、平衡偏析係数に近い値の偏析係数で
支配されて凝固が進行し、中空回転冷却体(5) の外周面
に、短時間に高純度のアルミニウム金属が晶出する。な
お、中空回転冷却体(5) の回転時の周速は、3000〜
10000mm/sec、特に4000〜7000mm
/secであることが好ましい。下限値未満であれば、
精製の効果が少なく、上限値を越えると金属の固相が中
空回転冷却体(5) の外周面に付着しにくくなるおそれが
あるからである。したがって、純度99.9999wt%
レベルの超高純度アルミニウムを得ることが可能にな
る。
【0032】
【実施例】以下、この発明の方法で行ったアルミニウム
の精製の具体的実施例について述べる。
【0033】るつぼ(3) 内にTi濃度が1800ppb
である精製すべき溶融アルミニウム(S) を50kg入
れ、溶融アルミニウム(S) 中にホウ素をAl−B母合金
として添加した後、ヒータ(6) により溶融アルミニウム
(S) を670℃に加熱保持しておいた。ついで、溶解炉
(1) の上端開口を蓋(2) により密閉するとともに、中空
回転冷却体(5) を溶融アルミニウム(S) 中に浸漬した。
また、中空回転冷却体(5) の上端の外径を150mm、
下端の外径を90mmとしておいた。そして、冷却流体
供給源から毎分1000リットルの冷却流体をロータリ
ジョイントを経て中空回転軸(4) 内の冷却流体供給管(2
3)に冷却流体を送り込み、冷却流体吹出し部(24)の吹出
し口(25)から中空回転冷却体(5) の周壁に向かって冷却
流体を吹出しながら、中空回転軸(4) を介して中空回転
冷却体(5) を、回転数1000rpmで回転させた。こ
のような操作を7分間行なったところ、中空回転冷却体
(5)の外周面に2kgのアルミニウム塊が形成されてい
た。
【0034】最後に、アルミニウム塊中のTi濃度をG
D−MS(GLOW DISCHARGE MASSSPECTROSCOPY )で測
定した。
【0035】このような実験を、Tiに対するホウ素の
添加量をグラム当量比で種々変更して行った。その結果
を図3に示す。図3から明らかなように、精製アルミニ
ウム塊中の残存Ti量は、ホウ素の添加量が、グラム当
量比でTiに対して100以上になると急激に減少する
ことが分かる。また、ホウ素の添加量が、グラム当量比
でTiに対して120になれば、GD−MSにより検出
不能の5ppb以下にすることができることが分かる。
【0036】なお、上記具体的実施例においては、この
発明の第2工程までしか行っていないが、これはTi含
有量の減少に寄与するのは第2工程までであり、第3工
程がTi含有量の減少には何等寄与しないからである。
【0037】
【発明の効果】この発明のアルミニウムの精製方法によ
れば、上述のように、包晶元素を含む溶融アルミニウム
中に、ホウ素を、その添加量が、グラム当量比で包晶元
素1に対して100以上となるように添加する第1工程
と、ホウ素を添加した溶融アルミニウム中に中空回転冷
却体を浸漬するとともに、中空回転冷却体内に冷却流体
を供給しながらこの中空回転冷却体を回転させることに
より、中空回転冷却体の表面にホウ素を含むアルミニウ
ム塊を晶出させる第2工程とを含むので、包晶元素の残
存量を、極めて微量にすることができる。さらに、第2
工程で得られたアルミニウム塊を溶融させ、ホウ素を含
む溶融アルミニウム中に中空回転冷却体を浸漬するとと
もに、中空回転冷却体内に冷却流体を供給しながらこの
中空回転冷却体を回転させることにより、中空回転冷却
体の表面にアルミニウム塊を晶出させる第3工程を含
み、第2工程の後第3工程を少なくとも1回行うことを
特徴とするものであるから、過剰に添加されたホウ素を
効果的に減少させることができる。したがって、純度9
9.9999wt%レベルの超高純度アルミニウムを得
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の方法を実施する装置の1具体例を示
す垂直断面図である。
【図2】図1の一部を省略した部分拡大図である。
【図3】実施例の結果を示す得られた精製アルミニウム
中のTi量とホウ素の添加量(グラム当量比)との関係
を表すグラフである。
【符号の説明】
(5) 中空回転冷却体 (S) 溶融アルミニウム

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 包晶元素を含む溶融アルミニウム中に、
    ホウ素を、その添加量が、グラム当量比で包晶元素1に
    対して100以上となるように添加する第1工程と、ホ
    ウ素を添加した溶融アルミニウム中に中空回転冷却体を
    浸漬するとともに、中空回転冷却体内に冷却流体を供給
    しながらこの中空回転冷却体を回転させることにより、
    中空回転冷却体の表面にホウ素を含むアルミニウム塊を
    晶出させる第2工程と、第2工程で得られたアルミニウ
    ム塊を溶融させ、ホウ素を含む溶融アルミニウム中に中
    空回転冷却体を浸漬するとともに、中空回転冷却体内に
    冷却流体を供給しながらこの中空回転冷却体を回転させ
    ることにより、中空回転冷却体の表面にアルミニウム塊
    を晶出させる第3工程とを含み、第2工程の後第3工程
    を少なくとも1回行うことを特徴とするアルミニウムの
    精製方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2001107154A (ja) * 1999-09-03 2001-04-17 Norsk Hydro Asa 液体の処理装置
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