JP3809544B2 - 金属の精製装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、偏析凝固の原理を利用し、共晶不純物を含むアルミニウム、ケイ素等の金属を精製してより高純度の金属を得る精製装置に関し、特に純度が99.999wt%や99.9999wt%レベルの超高純度の金属を得るのに適した精製装置に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
従来、金属の精製装置として、溶解炉と、溶解炉内に配置された溶融金属保持るつぼと、溶融金属保持るつぼ内の溶融金属を加熱する加熱手段と、垂直状中空回転軸と、中空回転軸の下端に、内部空間が中空回転軸の内部空間と連通するように取付けられた中空回転冷却体と、中空回転冷却体内に冷却流体を供給する手段とを備えているものが知られている(特公平3−65415号公報参照)。上記公報には記載されていないが、このような精製装置は、加熱手段を有するとともにるつぼを収容する溶解炉を備えている。
【0003】
ところで、従来のような構成を有する装置において、近年では、中空回転軸が、ステンレス鋼等の金属からなる上部構成部材と、SiO2 、Al2 O3 を主成分とするセラミックスであるルミボード(商品名、ニチアス社製)からなる下部構成部材とで形成されるようになっている。これは、中空回転軸の下端部が溶融金属中に浸漬されるので、中空回転軸の下端部に耐熱衝撃性、耐熱性および断熱性を要求されるからである。中空回転軸の下端部に、耐熱衝撃性および耐熱性の他に断熱性が要求されるのは、次の理由による。すなわち、断熱性を有していないと、その内部を流れる冷却流体により外周面の温度が精製すべき金属の凝固点よりも低下させられ、中空回転軸の溶融金属中に浸漬されている下端部外周面にも金属が晶出するが、るつぼ内の溶融金属の液面からの熱放射により、液面近傍の溶融金属の温度は他の部分よりも低くなっており、中空回転軸の下端部外周面には回転冷却体の外周面に比べて金属が晶出し易くなっている。そのため、中空回転軸の下端部外周面への金属の晶出速度が回転冷却体の外周面よりも速くなり、この部分には回転冷却体の外周面に比べて多くの金属が晶出する。その結果、回転冷却体の外周面に充分な量の高純度金属が晶出する前に回転冷却体を効果的に回転させることができなくなり、1回の精製作業における高純度金属の回収量が少なくなって作業の能率が悪くなるからである。
【0004】
しかしながら、ルミボードは、強度が小さく寿命が短いので、頻繁に交換する必要があってコストが高くなるとともに、交換作業が面倒になるという問題がある。しかも、強度が小さいために、最適の形状に成形することが困難であるという問題がある。
【0005】
また、最近では、上述したような精製装置を使用して純度99.999wt%や99.9999wt%レベルの超高純度金属を得ることが要求されているが、この場合、ルミボードが溶融金属と接触することによるわずかな溶融金属の汚染によっても上記のような超高純度金属を得ることができなくなる。さらに、上述したような精製装置を使用して上記のような超高純度金属を得る場合には、大気による溶融金属の汚染を防止する目的で溶解炉の上端開口が蓋により密閉されたり、あるいは密閉した上でさらに溶解炉内が真空雰囲気や不活性ガス雰囲気とされるが、ルミボードは気密性が十分ではないので次のような問題が生じる。すなわち、溶解炉の上端開口が蓋により密閉されたままの場合、冷却流体が中空回転軸の下部構成部材の周壁を通過して漏洩し、溶解炉内に残存していた空気が乱され、その結果この空気中の微小な塵埃が溶融金属中に侵入することによって溶融金属汚染され、上記のような超高純度金属を得ることができなくなるとともに、漏洩した冷却流体によっても溶融金属が汚染され、上記のような超高純度金属を得ることができなくなる。また、溶解炉の上端開口が蓋により密閉された上でさらに溶解炉内が真空雰囲気や不活性ガス雰囲気とされている場合、中空回転軸の下部構成部材の周壁を通過して漏洩した冷却流体によっても溶融金属が汚染され、上記のような超高純度金属を得ることができなくなる。
【0006】
この発明の目的は、上記問題を解決した金属の精製装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段と発明の効果】
請求項1の発明による金属の精製装置は、溶融金属保持るつぼと、溶融金属保持るつぼ内の溶融金属を加熱する加熱手段と、垂直状中空回転軸と、中空回転軸の下端に、内部空間が中空回転軸の内部空間と連通するように取付けられた中空回転冷却体と、中空回転冷却体内に冷却流体を供給する手段とを備えており、るつぼ内に入れられた溶融金属中に中空回転冷却体を浸漬し、中空回転軸を回転させることにより中空回転冷却体を回転させるとともに、冷却流体供給手段により中空回転冷却体の内部に冷却流体を供給しながら、その外周面に、より純度の高い金属を晶出させる金属の精製装置であって、中空回転軸における下端から所定長さ部分が、黒鉛製筒状体と、黒鉛製筒状体の内周面を覆う断熱材と、断熱材の内周面を覆う金属製カバーとにより形成されているものである。
【0008】
この発明の金属の精製装置によれば、溶融金属に直接接触する筒状体が黒鉛製であるので、十分な耐熱衝撃性および耐熱性が得られる。また、黒鉛はアルミニウム、ケイ素等の溶融金属と反応しないので、溶融金属の汚染が防止される。さらに、黒鉛の強度はルミボードに比べて大きいので、寿命が長くなる。したがって、従来のルミボードからなる下部構成部材の場合と比較して交換回数が少なくなり、コストが安くなるとともに交換作業が簡単になる。しかも、黒鉛の強度はルミボードに比べて大きいので、最適な形状に成形することができる。
【0009】
また、黒鉛製筒状体の内周面が断熱材で覆われているので、黒鉛製筒状体の外周面における溶融金属中に浸漬されている部分への金属の晶出が防止される。したがって、このような金属の晶出に起因する問題、すなわち1回の精製作業における高純度金属の回収量が少なくなることによる作業能率の低下が防止される。さらに、断熱材の内周面が金属製カバーにより覆われているので、断熱材の脱落による断熱性の低下が防止され、黒鉛製筒状体の外周面における溶融金属中に浸漬されている部分への金属の晶出が確実に防止される。
【0010】
請求項2の発明による金属の精製装置は、請求項1の金属の精製装置において、溶融金属保持るつぼが、上端が開口するとともにこの開口が蓋で密閉された溶解炉内に配置され、中空回転軸が、上部構成部材と、黒鉛製筒状体、断熱材および金属製カバーよりなる下部構成部材とで形成され、下部構成部材が溶解炉内に存在しているものである。この場合、黒鉛製筒状体は気密性が十分であるから、冷却流体が中空回転軸の周壁を通過して漏洩することが防止され、溶解炉の上端開口が蓋により密閉されたままの場合であっても、溶解炉内に残存していた空気が乱されることはなく、その結果この空気中の微小な塵埃が溶融金属中に侵入することによる溶融金属の汚染される。しかも、漏洩した冷却流体による溶融金属の汚染が防止される。また、溶解炉の上端開口が蓋により密閉された上でさらに溶解炉内が真空雰囲気や不活性ガス雰囲気とされている場合であっても、中空回転軸の周壁を通過して漏洩した冷却流体による溶融金属の汚染が防止される。したがって、上記のような純度99.999wt%や99.9999wt%レベルの超高純度金属を得ることが可能になる。
【0011】
請求項3の発明による金属の精製装置は、請求項2の金属の精製装置において、中空回転軸の上部構成部材が、中空回転軸における上端から溶解炉の蓋よりも下方の部分までを構成しており、上部構成部材の下端部が溶解炉の蓋に形成された貫通穴に通され、上部構成部材の下端部外周面と貫通穴の内周面との間がパッキンにより密封されているものである。
【0012】
請求項4の発明による金属の精製装置は、請求項1〜3のうちのいずれかの金属の精製装置において、中空回転軸内に垂直状の冷却流体供給管が配置されるとともに、冷却流体供給管の下端が回転冷却体内に位置させられ、冷却流体供給管の下端部における回転冷却体内に位置している所定長さ部分が拡管されるとともにその下端開口が塞がれることにより、冷却流体吹出し部が設けられ、冷却流体吹出し部の周壁に、複数の冷却流体吹出し口が形成され、中空回転軸の内周面と冷却流体供給管の外周面との間の部分が冷却流体排出路となされ、冷却流体供給管の上端がロータリジョイントを介して冷却流体供給源に接続されるとともに、冷却流体排出路の上端がロータリジョイントの冷却流体送出口に接続されているものである。
【0013】
請求項5の発明による金属の精製方法は、請求項1〜4のうちのいずれかの装置を使用し、溶融金属保持るつぼ内に入れられた溶融金属中に中空回転冷却体を浸漬するとともに、黒鉛製筒状体の下端部を溶融金属中に浸漬し、中空回転軸を 回転させることにより中空回転冷却体を回転させるとともに、冷却流体供給手段により中空回転冷却体の内部に冷却流体を供給しながら、その外周面に、より純度の高い金属を晶出させるものである。
【0014】
請求項6の発明による金属の精製方法は、請求項2〜4のうちのいずれかの装置を使用し、溶解炉内を真空雰囲気としておき、溶融金属保持るつぼ内に入れられた溶融金属中に中空回転冷却体を浸漬するとともに、黒鉛製筒状体の下端部を溶融金属中に浸漬し、中空回転軸を回転させることにより中空回転冷却体を回転させるとともに、冷却流体供給手段により中空回転冷却体の内部に冷却流体を供給しながら、その外周面に、より純度の高い金属を晶出させるものである。
【0015】
請求項7の発明による金属の精製方法は、請求項6の金属の精製方法において、溶解炉内を真空雰囲気とする代わりに、不活性ガス雰囲気とするものである。
【0016】
請求項8の発明による金属の精製方法は、請求項5〜7のうちのいずれかの金属の精製方法において、中空回転冷却体の回転時の周速が、3000〜10000mm/secであるものである。
【0017】
請求項9の発明による高純度金属は、請求項5〜8のうちのいずれかに記載された方法により精製され、純度が99.999 wt %や99.9999 wt %レベルであるものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0019】
図1および図2において、金属の精製装置は、上端が開口するとともにこの開口が蓋(2) で密閉された溶解炉(1)と、溶解炉(1)内に配置された溶融金属保持るつぼ(3)と、溶解炉(1)の蓋(2)を貫通して配された垂直状中空回転軸(4)と、中空回転軸(4)の下端に、内部空間が中空回転軸(4)の内部空間と連通するように取付けられた中空回転冷却体(5)とを備えている。
【0020】
溶解炉(1)および蓋(2)は耐火物により形成されている。溶解炉(1)の周壁内周面に沿ってヒータ(6)(加熱手段)が配置されている。蓋(2)の中央部には貫通穴(7)が形成されており、中空回転軸(4)はこの貫通穴(7)に通されている。るつぼ(3)は、溶融金属(S)とほとんど反応せずかつ溶融金属(S)を汚染することのない物質により形成されている。たとえば、溶融金属(S)がアルミニウムの場合にはるつぼ(3)は黒鉛で形成され、溶融金属(S)がケイ素の場合にはるつぼ(3)は黒鉛またはアルミナで形成されている。
【0021】
中空回転軸(4)は上部構成部材(8)とその下端に連結された下部構成部材(9)とよりなり、溶解炉(1)の上方に配置された上下動自在の保持部材(図示略)に回転自在に保持され、同じく図示しない回転駆動手段により回転させられるようになっている。上部構成部材(8)は、中空回転軸(4)における上端から溶解炉(1)の蓋(2)よりも若干下方の部分までを構成しており、その下端部が溶解炉(1)の蓋(2)の貫通穴(7)に通されている。そして、上部構成部材(8)の下端部外周面と貫通穴(7)の内周面との間がパッキン(12)により密封されている。上部構成部材(8)は、たとえばステンレス鋼等の金属により筒状に形成されており、その下端部の内周面にめねじ部(11)が形成されている。
【0022】
中空回転軸(4)の下部構成部材(9)は、黒鉛製筒状体(13)と、黒鉛製筒状体(13)の内周面を覆う断熱材(14)と、断熱材(14)の内周面を覆う金属製カバー(15)とにより形成されている。断熱材(14)は、たとえばセラミックファイバーからなる。金属製カバー(15)は、たとえばステンレス鋼からなる。黒鉛製筒状体(13)の上端部における蓋(2)よりも下方に位置する部分に上広がり状のテーパ部(16)が形成され、テーパ部(16)よりも上方の部分の外周面におねじ部(17)が形成されている。そして、このおねじ部(17)が上部構成部材(8)の下端部のめねじ部(11)にねじ嵌められることにより、下部構成部材(9)が上部構成部材(8)の下端に連結されている。下部構成部材(9)のテーパ部(16)の上端面が上部構成部材(8)の下端面に接している。また、黒鉛製筒状体(13)の下端部には下広がり状のテーパ部(18)が形成され、テーパ部(18)よりも下方の部分の外周面におねじ部(19)が形成されている。
【0023】
中空回転冷却体(5)は、有底でかつ下方に向かって狭まったテーパ筒状である。中空回転冷却体(5)は、熱伝導性が良く、しかも溶融金属(S)を汚染することのない材料、たとえば黒鉛で形成されている。中空回転冷却体(5)の内周面における上端から所定間隔をおいた部分に、全周にわたって環状段部(21)が形成されており、中空回転冷却体(5)の内周面における環状段部(21)よりも上方の部分にめねじ部(22)が形成されている。そして、中空回転軸(4)の下部構成部材(9)のおねじ部(19)が中空回転冷却体(5)のめねじ部(22)にねじ嵌められることにより、中空回転冷却体(5)が中空回転軸(4)の下部構成部材(9)に固定されている。なお、中空回転冷却体(5)の上端部の外径は、中空回転軸(4)の下部構成部材(9)の下部テーパ部(18)の大端径と等しくなっており、下部構成部材(9)の下端面が中空回転冷却体(5)の段部(21)上面に接しているとともに、中空回転冷却体(5)の上端面が下部構成部材(9)のテーパ部(18)の下端面に接している。
【0024】
中空回転軸(4)内に垂直状の冷却流体供給管(23)が配置されている。冷却流体供給管(23)の下端は回転冷却体(5)内に位置している。冷却流体供給管(23)の下端部における回転冷却体(5)内に位置している所定長さ部分が拡管されるとともにその下端開口が塞がれることにより、冷却流体吹出し部(24)が設けられている。冷却流体吹出し部(24)の周壁に、複数の冷却流体吹出し口(25)が形成されている。なお、中空回転軸(4)の内周面と冷却流体供給管(23)の外周面との間の部分が冷却流体排出路(26)となされている。図示は省略したが、冷却流体供給管(23)の上端はロータリジョイントを介して冷却流体供給源に接続されている。また、冷却流体排出路(26)の上端はロータリジョイントの冷却流体送出口に接続されている。
【0025】
このような精製装置を用いての金属の精製は、次のようにして行われる。
【0026】
予めるつぼ(3)内に精製すべき金属を入れ、溶解炉(1)の上端開口を蓋(2)により密閉しておく。密閉後、場合によっては、図示しない真空排気管により溶解炉(1)内を真空引きして真空雰囲気とするか、あるいは真空引き後、図示しない不活性ガス供給管から溶解炉(1)内に不活性ガスを供給して溶解炉(1)内を不活性ガス雰囲気とする。そして、ヒータ(6)により金属を加熱し溶解させて溶融金属(S)とし、これを凝固温度を越えた温度に加熱保持しておく。溶融金属(S)は、別途溶解してからるつぼ(3)内に入れてもよい。
【0027】
ついで、冷却流体供給源からロータリジョイントを経て中空回転軸(4)内の冷却流体供給管(23)に冷却流体を送り込み、冷却流体吹出し部(24)の吹出し口(25)から中空回転冷却体(5)の周壁に向かって冷却流体を吹出しながら、回転駆動手段により中空回転軸(4)を介して中空回転冷却体(5)を回転させ、偏析凝固の原理により中空回転冷却体(5)の外周面に高純度の金属を晶出させる。中空回転冷却体(5)の回転により、凝固界面から液相中に排出された不純物を凝固界面から遠ざける液相全体に分散させながら凝固を進めることができる。したがって、平衡偏析係数に近い値の偏析係数で支配されて凝固が進行し、中空回転冷却体(5)の外周面に、短時間に高純度の金属が晶出する。なお、中空回転冷却体(5)の回転時の周速は、3000〜10000mm/sec、特に4000〜7000mm/secであることが好ましい。下限値未満であれば、精製の効果が少なく、上限値を越えると金属の固相が中空回転冷却体(5)の外周面に付着しにくくなるおそれがあるからである。
【0028】
このとき、中空回転軸(4)の下部構成部材(9)における下部テーパ部(18)の下半部が溶融金属(S)中に浸漬されるが、下部構成部材(9)の外周部は黒鉛製であるので、アルミニウム、ケイ素等の溶融金属と反応せず、溶融金属(S)の汚染が防止される。また、黒鉛製筒状体(13)の内周面を覆う断熱材(14)の働きにより、黒鉛製筒状体(13)外周面への金属の晶出が防止される。さらに、黒鉛製筒状体(13)は気密性が十分であるから、冷却流体が中空回転軸(4)の下部構成部材(9)の周壁を通過して漏洩することが防止され、溶解炉(1)の上端開口が蓋(2)により密閉されたままの場合であっても、溶解炉(1)内に残存していた空気が乱されることはなく、その結果この空気中の微小な塵埃が溶融金属(S)中に侵入することによる溶融金属(S)の汚染される。しかも、漏洩した冷却流体による溶融金属(S)の汚染が防止される。また、溶解炉(1)の上端開口が蓋(2)により密閉された上でさらに溶解炉(1)内が真空雰囲気や不活性ガス雰囲気とされている場合であっても、中空回転軸(4)の下部構成部材(9)の周壁を通過して漏洩した冷却流体による溶融金属(S)の汚染が防止される。したがって、純度99.999wt%や99.9999wt%レベルの超高純度金属を得ることが可能になる。
【0029】
【実施例】
以下、この発明の装置を用いて行ったアルミニウムの精製の具体的実施例について述べる。
【0030】
るつぼ(3)内に粗製アルミニウム塊を入れ、溶解炉(1)の上端開口を蓋(2)で密閉した後、粗製アルミニウム塊をヒータ(6)により溶融するとともに、660℃に加熱保持しておいた。また、中空回転冷却体(5)の上端の外径を150mm、下端の外径を90mmとしておいた。そして、冷却流体供給源から毎分1000リットルの冷却流体をロータリジョイントを経て中空回転軸(4)内の冷却流体供給管(23)に冷却流体を送り込み、冷却流体吹出し部(24)の吹出し口(25)から中空回転冷却体(5)の周壁に向かって冷却流体を吹出しながら、中空回転軸(4)を介して中空回転冷却体(5)を、回転数800rpmで回転させた。このような操作を10分間行なったところ、中空回転冷却体(5)の外周面に6kgの精製アルミニウム塊が形成されていた。
【0031】
粗製アルミニウム中の不純物量および精製アルミニウム中の不純物量はそれぞれ表1に示す通りであった。
【0032】
【表1】
表1から明らかなように、精製アルミニウム中の不純物量は、粗製アルミニウム中の不純物量に比べて大幅に減少している。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による金属の精製装置を示す垂直断面図である。
【図2】図1の一部を省略した部分拡大図である。
【符号の説明】
(3) 溶融金属保持るつぼ
(4) 中空回転軸
(5) 中空回転冷却体
(6) ヒータ(加熱手段)
(9) 下部構成部材
(13) 黒鉛製筒状体
(14) 断熱材
(15) 金属製カバー
(23) 冷却流体供給管(冷却流体供給手段)
(S) 溶融金属
Claims (9)
- 溶融金属保持るつぼと、溶融金属保持るつぼ内の溶融金属を加熱する加熱手段と、垂直状中空回転軸と、中空回転軸の下端に、内部空間が中空回転軸の内部空間と連通するように取付けられた中空回転冷却体と、中空回転冷却体内に冷却流体を供給する手段とを備えており、るつぼ内に入れられた溶融金属中に中空回転冷却体を浸漬し、中空回転軸を回転させることにより中空回転冷却体を回転させるとともに、冷却流体供給手段により中空回転冷却体の内部に冷却流体を供給しながら、その外周面に、より純度の高い金属を晶出させる金属の精製装置であって、
中空回転軸における下端から所定長さ部分が、黒鉛製筒状体と、黒鉛製筒状体の内周面を覆う断熱材と、断熱材の内周面を覆う金属製カバーとにより形成されている金属の精製装置。 - 溶融金属保持るつぼが、上端が開口するとともにこの開口が蓋で密閉された溶解炉内に配置され、中空回転軸が、上部構成部材と、黒鉛製筒状体、断熱材および金属製カバーよりなる下部構成部材とで形成され、下部構成部材が溶解炉内に存在している請求項1記載の金属の精製装置。
- 中空回転軸の上部構成部材が、中空回転軸における上端から溶解炉の蓋よりも下方の部分までを構成しており、上部構成部材の下端部が溶解炉の蓋に形成された貫通穴に通され、上部構成部材の下端部外周面と貫通穴の内周面との間がパッキンにより密封されている請求項2記載の金属の精製装置。
- 中空回転軸内に垂直状の冷却流体供給管が配置されるとともに、冷却流体供給管の下端が回転冷却体内に位置させられ、冷却流体供給管の下端部における回転冷却体内に位置している所定長さ部分が拡管されるとともにその下端開口が塞がれることにより、冷却流体吹出し部が設けられ、冷却流体吹出し部の周壁に、複数の冷却流体吹出し口が形成され、中空回転軸の内周面と冷却流体供給管の外周面との間の部分が冷却流体排出路となされ、冷却流体供給管の上端がロータリジョイントを介して冷却流体供給源に接続されるとともに、冷却流体排出路の上端がロータリジョイントの冷却流体送出口に接続されている請求項1〜3のうちのいずれかに記載の金属の精製装置。
- 請求項1〜4のうちのいずれかに記載の装置を使用し、溶融金属保持るつぼ内に入れられた溶融金属中に中空回転冷却体を浸漬するとともに、黒鉛製筒状体の下端部を溶融金属中に浸漬し、中空回転軸を回転させることにより中空回転冷却体を回転させるとともに、冷却流体供給手段により中空回転冷却体の内部に冷却流体を供給しながら、その外周面に、より純度の高い金属を晶出させる金属の精製方法。
- 請求項2〜4のうちのいずれかに記載の装置を使用し、溶解炉内を真空雰囲気としておき、溶融金属保持るつぼ内に入れられた溶融金属中に中空回転冷却体を浸漬するとともに、黒鉛製筒状体の下端部を溶融金属中に浸漬し、中空回転軸を回転させることにより中空回転冷却体を回転させるとともに、冷却流体供給手段により中空回転冷却体の内部に冷却流体を供給しながら、その外周面に、より純度の高い金属を晶出させる金属の精製方法。
- 請求項6記載の金属の精製方法において、溶解炉内を真空雰囲気とする代わりに、不活性ガス雰囲気とする金属の精製方法。
- 中空回転冷却体の回転時の周速が、3000〜10000mm/secである請求項5〜7のうちのいずれかに記載の金属の精製方法。
- 請求項5〜8のうちのいずれかに記載された方法により精製され、純度が99.999wt%や99.9999wt%レベルである高純度金属。
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