JP3873177B2 - 金属の精製装置およびこれを用いた金属の精製方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、偏析凝固の原理を利用し、共晶不純物を含むアルミニウム等の金属を精製してより高純度の金属を製造する装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえばアルミニウムの精製装置として、溶融アルミニウム保持るつぼと、垂直中空回転軸と、垂直中空回転軸の下端に固定状に設けられかつ内部空間が垂直中空回転軸の内部空間と連通した有底筒状の中空回転冷却体と、中空回転冷却体内にこの中空回転冷却体と一緒に回転するように配置されかつ周壁に冷却流体吹出口が形成された筒状冷却流体吹出部材と、冷却流体吹出部材内に冷却流体を供給する冷却流体供給手段とを備えており、中空回転冷却体が下方に向かって細くなったテーパ状となされたものが知られている(特開平9−48607号公報参照)。
【0003】
この装置を用いてのアルミニウムの精製方法は、溶融アルミニウム保持るつぼ内に入れられた溶融アルミニウム中に、中空回転冷却体を、その上部が溶融アルミニウムの液面と同一高さ位置に来るように溶融アルミニウム中に浸漬し、冷却流体吹出部材の冷却流体吹出口から冷却流体を吹き出しながら、中空回転軸および中空回転冷却体を垂直軸線の回りに回転させ、中空回転冷却体の外周面に溶融アルミニウムよりも高純度のアルミニウムを晶出させる方法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の装置では、冷却流体吹出部材が中空回転冷却体と一緒に回転するので、冷却流体吹出部材の吹出口から吹き出された冷却流体による中空回転冷却体の周壁の冷却が均一に行われず、中空回転冷却体の外周面における周方向の各部での冷却速度が不均一になる。したがって、中空回転冷却体の外周面に晶出する高純度アルミニウム塊の純度がその周方向の各部において不均一になり、得られた高純度アルミニウムの品質が低下するという問題があった。また、中空回転冷却体の外周面における周方向の各部での冷却速度が不均一になるので、中空回転冷却体外周面への高純度アルミニウムの晶出時の凝固速度もその周方向の各部で異なり、作業の初期段階においては高純度アルミニウムが晶出した部分と晶出しない部分とが混在し、その結果先に晶出した高純度アルミニウムが中空回転冷却体から脱落し、生産トラブルが発生するおそれがあった。さらに、中空回転冷却体の外周面における周方向の各部での冷却速度が不均一になるので、その外周面に晶出した高純度アルミニウム塊の形状はいびつなものとなり、その結果中空回転冷却体の高速回転を阻害して生産効率が低下するという問題があった。
【0005】
また、従来の方法では、中空回転冷却体を、その上部が溶融アルミニウムの液面と同一高さ位置に来るように溶融アルミニウム中に浸漬し、冷却流体吹出部材の冷却流体吹出口から冷却流体を吹き出しながら、中空回転軸および中空回転冷却体を垂直軸線の回りに回転させるので、液面との接触部分の径が大きくなり、回転時の抵抗が大きくなって中空回転冷却体に振れが発生したり、溶融アルミニウムが飛散したりして、生産トラブルの原因となるという問題があった。また、中空回転冷却体の振れや溶融アルミニウムの飛散を防止して上記問題を解決するには、中空回転冷却体の周速を低くしなければならず、生産効率が低下するとともに、得られる精製アルミニウムの純度を高くすることができないという問題があった。
【0006】
この発明の目的は、上記問題を解決し、高品質の高純度金属を、トラブルが発生することなくかつ効率良く生産することができる金属の精製装置およびこれを用いた金属の精製方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段と発明の効果】
この発明による金属の精製装置は、溶融金属保持るつぼと、垂直中空軸と、垂直中空軸の下端に固定状に設けられかつ内部空間が垂直中空軸の内部空間と連通した有底筒状の中空冷却体と、中空冷却体内に配置されかつ周壁に冷却流体吹出口が形成された筒状冷却流体吹出部材と、冷却流体吹出部材内に冷却流体を供給する冷却流体供給手段とを備えており、溶融金属保持るつぼ内に入れられた溶融金属中に中空冷却体を浸漬し、冷却流体吹出部材の冷却流体吹出口から冷却流体を吹き出しながら、中空冷却体の外周面に溶融金属よりも高純度の金属を晶出させる金属の精製装置であって、中空軸内に冷却流体供給管が配置され、冷却流体吹出部材が冷却流体供給管の下端部に設けられ、冷却流体吹出部材の下端に内向きフランジが設けられ、内向きフランジの内周縁に上方にのびる冷却流体排出管が設けられ、中空冷却体と冷却流体吹出部材とが垂直軸線の回りに相対的に回転させられるようになっており、冷却流体が、冷却流体供給管内における冷却流体排出管の周りの部分を流れて冷却流体吹出部材内に送り込まれ、冷却流体吹出部材の冷却流体吹出口から吹出されるとともに、冷却流体排出管内を流れて送り出されるようになっているものである。
【0008】
この発明の金属の精製装置によれば、中空冷却体と冷却流体吹出部材とが垂直軸線の回りに相対的に回転させられるようになっているので、中空冷却体を溶融金属保持るつぼ内に入れられた溶融金属中に浸漬し、冷却流体吹出部材の冷却流体吹出口から冷却流体を吹き出しながら、中空回転冷却体と冷却流体吹出部材とを垂直軸線の回りに相対的に回転させることにより、吹き出された冷却流体によって中空冷却体の周壁を均一に冷却することができ、その結果中空冷却体の外周面における周方向の各部での冷却速度が均一になる。したがって、中空冷却体の外周面に晶出する高純度金属塊の純度をその周方向の各部において均一にすることができ、高品質の高純度金属を得ることができる。また、中空冷却体の外周面における周方向の各部での冷却速度が均一になるので、中空冷却体外周面への高純度金属の晶出時の凝固速度もその周方向の各部で均一になり、中空冷却体の外周面全体にわたって高純度金属が晶出し、作業の初期段階においても晶出した高純度金属の脱落を防止することが可能になって、生産トラブルの発生を防止できる。さらに、中空冷却体の外周面における周方向の各部での冷却速度が均一になるので、その外周面に晶出した高純度金属塊の外形はほぼ円形になるとともに径方向の厚さは均一になり、その結果中空冷却体を回転させる場合の高速回転を可能にし、生産効率が向上するとともに、得られる精製金属の純度を高くすることができる。
【0009】
上記金属の精製装置において、冷却流体吹出口が、冷却流体吹出部材の周壁に周方向に間隔をおいて複数形成された上下方向にのびるスリットからなることが好ましい。この場合、冷却流体吹出口から吹き出された冷却流体によって、中空冷却体の周壁を一層均一に冷却することができる。
【0010】
この発明による金属の精製方法は、上述した金属の精製装置を用いた金属の精製方法であって、垂直中空軸の下端部における中空冷却体の外径よりも外径の小さい部分が、溶融金属保持るつぼ内に入れられた溶融金属の液面と同一高さ位置に来るように中空冷却体を溶融金属中に浸漬し、冷却流体吹出部材を静止させておくとともに、垂直中空軸および中空冷却体を垂直軸線の回りに回転させ、この状態で冷却流体吹出部材の冷却流体吹出口から冷却流体を吹き出して中空冷却体の外周面に高純度金属を晶出させることを特徴とするものである。
【0011】
この発明の金属の精製方法によれば、垂直中空軸の下端部における中空冷却体の外径よりも外径の小さい部分が、溶融金属保持るつぼ内に入れられた溶融金属の液面と同一高さ位置に来るように中空冷却体を溶融金属中に浸漬し、冷却流体吹出部材を静止させておくとともに、垂直中空軸および中空冷却体を垂直軸線の回りに回転させるので、液面との接触部分の径が従来の方法の場合に比べて小さくなり、回転時の抵抗が小さくなる。したがって、垂直中空軸および中空冷却体に振れが発生したり、溶融金属が飛散したりするのを防止することができ、その結果生産トラブルの発生を防止できる。また、垂直中空軸および中空冷却体に振れが発生したり、溶融金属が飛散したりするのを防止することができるので、垂直中空軸および中空回転冷却体の周速を高くすることができ、生産効率が向上するとともに、得られる精製金属の純度を高くすることができる。
【0012】
この発明による金属の精製方法において、垂直中空軸における溶融金属の液面と同一高さ位置に来る部分の周速を4.5m/秒以上とし、中空冷却体の外周面への高純度金属の晶出時の凝固速度を30mm/10分以上とすることがある。
【0013】
また、この発明による金属の精製方法において、精製すべき金属はアルミニウムであることが好ましい。
【0014】
この発明によるアルミニウムは、上述したいずれかの方法により精製されたものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。この実施形態は、この発明による精製装置を高純度アルミニウムを製造する方法に適用したものである。
【0016】
図1はこの発明による金属の精製装置の全体構成を示し、図2〜図5はその要部の構成を示す。
【0017】
図1において、アルミニウムの精製装置は、溶融アルミニウム保持るつぼ(1) と、垂直中空回転軸(2) (垂直中空軸)と、垂直中空回転軸(2) の下端に固定状に設けられかつ内部空間が垂直中空回転軸(2) の内部空間と連通した有底筒状の中空回転冷却体(3) (中空冷却体)と、中空回転冷却体(3) 内に配置された筒状の冷却流体吹出部材(4) と、冷却流体吹出部材(4) 内に冷却流体を供給する冷却流体供給手段とを備えている。
【0018】
るつぼ(1) は黒鉛のようなアルミニウムとの反応が少なく、溶融アルミニウムの汚染が少ない物質により形成されている。るつぼ(1) は、ヒータ(5) を有する溶解炉(図示略)内に配置されている。
【0019】
中空回転軸(2) は、下端がるつぼ(1) の上端よりも上方に位置する筒状の上部構成部材(6) と、上部構成部材(6) の下端に、筒状の連結部材(7) を介して連結された筒状の下部構成部材(8) とよりなる。上部構成部材(6) および連結部材(7) はたとえばステンレス鋼等の金属からなり、下部構成部材(8) は黒鉛のようなアルミニウムとの反応が少なく、溶融アルミニウムの汚染が少ない物質により形成されている。中空回転軸(2) は、溶解炉の上方において、固定部(9) に対して上下動自在に設けられた保持部材(11)に、図示しない軸受を介して回転自在に支持されており、回転駆動手段(12)により回転させられるようになっている。回転駆動手段(12)は、保持部材(11)に上向きに取付けられた電動機(13)と、電動機(13)の軸(13a) の周囲に固定されたベルト車(14)と、中空回転軸(2) の周囲に固定されたベルト車(15)と、両ベルト車(14)(15)に掛け渡されたベルト(16)とよりなる。
【0020】
図2および図3に示すように、中空回転軸(2) の上部構成部材(6) の下端開口の周縁には内向きフランジ(6a)および外向きフランジ(6b)がそれぞれ一体に形成されている。内向きフランジ(6a)の内周縁に、周方向に間隔をおいて複数の切欠き(17)が形成されている。また、内向きフランジ(6a)の内周縁に黒鉛製リング(18)が嵌め止められており、切欠き(17)の開口部がこのリング(18)によって塞がれることにより複数の冷却流体通過孔(19)が形成されている。また、図4に示すように、上部構成部材(6) の内周面の上端部にめねじ部(21)が形成されている。
【0021】
図2に示すように、連結部材(7) の上端開口の周縁には内向きフランジ(7a)および外向きフランジ(7b)がそれぞれ一体に形成されている。内向きフランジ(7a)には、上部構成部材(6) の内向きフランジ(6a)の冷却流体通過孔(19)と合致するように、複数の冷却流体通過孔(22)が形成されている。また、内向きフランジ(7a)の内周縁の径は、リング(18)の内径よりも若干大きくなっている。外向きフランジ(7b)に、上部構成部材(6) の外向きフランジ(6b)が、図示しないボルト、ナット等の緊結手段により固定されている。また、連結部材(7) の内周面の下端部にめねじ部(23)が形成されている。
【0022】
図2に示すように、下部構成部材(8) の上端部におねじ部(24)が形成されており、このおねじ部(24)が連結部材(7) のめねじ部(23)にねじ嵌められることによって下部構成部材(8) が連結部材(7) に固定され、これにより、下部構成部材(8) が連結部材(7) を介して上部構成部材(6) に連結されている。下部構成部材(8) の下端部に下拡がり状のテーパ部(8a)が形成され、テーパ部(8a)よりも下方の部分におねじ部(25)が形成されている。
【0023】
図2および図5に示すように、中空回転冷却体(3) は、有底でかつ下方に向かって狭くなったテーパ筒状である。中空回転冷却体(3) は、熱伝導性が良く、しかも溶融アルミニウムと反応しないでこれを汚染することのないような材料、たとえば黒鉛により形成されている。中空回転冷却体(3) の内周面の上端部にめねじ部(26)が形成されている。そして、中空回転軸(2) の下部構成部材(8) のおねじ部(25)が、中空回転冷却体(3) のめねじ部(26)にねじ嵌められることにより、中空回転冷却体(3) が中空回転軸(2) に固定されている。なお、中空回転冷却体(3) の上端部の外径は、下部構成部材(8) のテーパ部(8a)の大端径と等しくなっており、中空回転冷却体(3) の上端面が下部構成部材(8) のテーパ部(8a)の下端面に接している。
【0024】
図2および図5に示すように、冷却流体吹出部材(4) は、中空回転軸(2) の下部構成部材(8) 内に配置され、かつ上端が下部構成部材(8) よりも若干上方に突出するとともに下端が中空回転冷却体(3) 内の下部に位置する冷却流体供給管(27)の下端部に一体に形成されている。すなわち、冷却流体供給管(27)の下端部における中空回転冷却体(3) 内に位置する部分に外向きフランジ(27a) を介して冷却流体吹出部材(4) が形成されている。冷却流体吹出部材(4) の周壁には、その周方向に間隔をおいて複数形成された上下方向にのびるスリットからなる冷却流体吹出口(28)が形成されている。冷却流体供給管(27)の上端部は下部構成部材(8) よりも若干上方に突出しており、中空回転軸(2) の連結部材(7) の内周に嵌め止められて下部構成部材(8) の上端面に載っている黒鉛製リング状シール部材(29)内に回転自在に嵌めら入れており、このシール部材(29)により連結部材(7) の内周面と冷却流体供給管(27)の外周面との間がシールされている。なお、冷却流体供給管(27)の上端と連結部材(7) の内向きフランジ(7a)との間には若干の隙間が形成されており、これにより連結部材(7) 内の上端部に空間(31)が形成されている。
【0025】
図2に示すように、冷却流体吹出部材(4) の下端に、外向きフランジ(27a) の幅よりも大きい内向きフランジ(4a)が一体に形成され、内向きフランジ(4a)の内周縁に上方にのびる冷却流体排出管(32)が一体に形成されている。冷却流体排出管(32)は中空回転軸(2) の上部構成部材(6) の下端に嵌め止められた黒鉛製リング(18)に回転自在に通されており、その上端は中空回転軸(2) の上端よりも上方に突出している。また、図4に示すように、冷却流体排出管(32)の外周面の上端部におねじ部(33)が形成されている。
【0026】
そして、中空回転軸(2) の上部構成部材(6) と冷却流体排出管(32)との間の部分が冷却流体供給用通路(30)となっている。
【0027】
中空回転軸(2) の上端部および冷却流体排出管(32)の上端部はロータリジョイント(34)に接続されている。ロータリジョイント(34)は、上端が閉鎖されるとともに下端が開口した筒状ボディ(35)と、ボディ(35)の上端に取り付けられたエルボ(42)と、ボディ(35)内に軸受(36)により回転自在に支持された、たとえばステンレス鋼よりなる垂直状回転管(37)とを備えている。
【0028】
ボディ(35)の上端閉鎖壁(35a) の中央部に上方に突出した円柱状部分(38)が一体に形成されており、上端閉鎖壁(35a) および円柱状部分(38)を上下方向に貫通するようにねじ孔(39)が形成されている。そして、このねじ孔(39)に冷却流体排出管(32)の上端部のおねじ部(33)がねじ嵌められることにより、冷却流体排出管(32)がロータリジョイント(34)に接続されている。また、ボディ(35)の周壁(35b) の上端部に冷却流体導入口(44)が形成されている。円柱状部分(38)の外周面におねじ部(41)が形成され、このおねじ部(41)にエルボ(42)がねじ止められていおり、これにより冷却流体送出口(43)が形成されている。
【0029】
回転管(37)の上端は冷却流体導入口(44)よりも下方に位置しており、その上端面にはボディ(35)の周壁(35b) 内に嵌められ、かつ回転管(37)とボディ(35)の周壁(35b) との間をシールする黒鉛製シールリング(45)が載っている。シールリング(45)の内径は、冷却流体排出管(32)の外径よりも大きくなっており、ここに冷却流体通過部(46)が形成されている。また、回転管(37)と冷却流体排出管(32)との間の部分が冷却流体通過部(46)および冷却流体供給用通路(30)に連なった冷却流体供給用通路(40)となっている。また、回転管(37)の下端はボディ(35)よりも下方に突出しており、回転管(37)のボディ(35)よりも下方に突出した部分の外周面におねじ部(47)が形成され、このおねじ部(47)が中空回転軸(2) の上部構成部材(6) の上端部内周面に形成されためねじ部(21)にねじ嵌められることにより、中空回転軸(2) の上端部がロータリジョイント(34)に接続されている。
【0030】
このロータリジョイント(34)は、ボディ(35)に冷却流体導入口(44)と冷却流体送出口(43)とを有する、いわば複穴式である。図示は省略したが、ロータリジョイント(34)のボディ(35)の冷却流体導入口(44)に冷却流体送入管が接続され、エルボ(42)の冷却流体送出口(43)に冷却流体送出管が接続されている。
【0031】
そして、冷却流体送入管、冷却流体送入口(44)、ボディ(35)内の上部空間、シールリング(45)の冷却流体通過部(46)、2つの冷却流体供給用通路(40)(30)、2つの冷却流体通過孔(19)(22)、連結部材(7) 内の上部空間(31)および冷却流体供給管(27)が、冷却流体吹出部材(4) 内に冷却流体を供給する冷却流体供給手段を構成している。
【0032】
このような精製装置を用いてのアルミニウムの精製は、次のようにして行われる。
【0033】
予めるつぼ(1) 内に、精製すべきアルミニウムを入れておき、ヒータ(5) によりアルミニウムを加熱し溶融させて溶融アルミニウム(S) とし、これを凝固温度を越えた温度に加熱保持しておく。溶融アルミニウム(S) は、別途精製すべきアルミニウムを溶解してからるつぼ(1) 内に入れてもよい。
【0034】
ついで、中空回転軸(2) の下部構成部材(8) の下端部におけるテーパ部(8a)よりも上方の部分が、るつぼ(1) 内に入れられた溶融アルミニウム(S) の液面と同一高さ位置に来るように中空回転冷却体(3) を溶融アルミニウム(S) 中に浸漬する。ついで、冷却流体送入管から冷却流体送入口(44)、ボディ(35)内の上部空間、シールリング(45)の冷却流体通過部(46)、冷却流体供給用通路(40)(30)、冷却流体通過孔(19)(22)、連結部材(7) 内の上部空間(31)および冷却流体供給管(27)を経て冷却流体吹出部材(4) 内に冷却流体を送り込み、冷却流体吹出部材(4) の吹出口(28)から中空回転冷却体(3) の周壁に向かって冷却流体を吹出しながら、回転駆動手段(12)により中空回転軸(2) を介して中空回転冷却体(3) を回転させ、偏析凝固の原理により中空回転冷却体(3) の外周面に高純度の精製アルミニウムを晶出させる。このとき、リング(18)が冷却流体排出管(32)に対して回転するとともに、リング(29)が冷却流体供給管(27)に対して回転し、冷却流体吹出部材(4) は静止している。中空回転冷却体(3) の回転により、凝固界面から液相中に排出された不純物を凝固界面から遠ざけて液相全体に分散させながら凝固を進めることができるので、平衡偏析係数に近い値の偏析係数で支配されて凝固が進行し、中空回転冷却体(3) の外周面に、短時間に高純度アルミニウムが晶出する。なお、中空回転軸(2) における溶融アルミニウム(S) の液面と同一高さ位置に来る部分の周速は4.5m/秒以上であり、回転冷却体(3) の外周面への高純度アルミニウムの晶出時の凝固速度を30mm/10分以上であることが好ましい。
【0035】
中空回転冷却体(3) の周壁に向かって吹出されてその外周面を冷却し、るつぼ(1) 内に保持されている溶融アルミニウム(S) の有する熱により加熱された冷却流体は、冷却流体排出管(32)の下端開口からその内部に入り、冷却流体排出管(32)内を上方に流れ、ロータリジョイント(34)のエルボ(42)の冷却流体送出口(43)を通って冷却流体送出管に送出される。
【0036】
上記実施形態においては、回転冷却体(3) が垂直軸線の回りに回転し、冷却流体吹出部材(4) が静止することにより、両者が相対的に垂直軸線の回りに回転するようになっているが、これとは逆に、冷却流体吹出部材(4) が垂直軸線の回りに回転し、中空冷却体(3) が静止することにより、両者が相対的に垂直軸線の回りに回転するようになっていてもよい。
【0037】
【実施例】
以下、図1〜図5に示すこの発明の装置を用いて行った具体的実施例について説明する。
【0038】
実施例1
るつぼ(1) 内に、不純物としてSi90ppm(重量基準。以下同じ)、Fe90ppm、Cu20ppm、Mn10ppmを含むアルミニウム塊を入れ、これをヒータ(5) により溶融するとともに、680℃に加熱保持しておいた。また、中空回転軸(2) の下部構成部材(8) の下端部におけるテーパ部(8a)よりも上方の部分の外径を200mmとしておいた。そして、冷却流体吹出部材(4) の吹出口(28)から中空回転冷却体(3) の周壁に向かって冷却流体を吹出ながら、回転駆動手段(12)により中空回転軸(2) を介して中空回転冷却体(3) を回転させ、偏析凝固の原理により中空回転冷却体(3) の外周面に高純度の精製アルミニウムを晶出させた。このとき、中空回転軸(2) における溶融アルミニウムの液面と同一高さ位置に来る部分の周速を6.5m/秒としておいた。このような操作を10分間行なったところ、中空回転冷却体(3) の外周面に25kgの精製アルミニウム塊が形成されていた。中空冷却体(3) の外周面への高純度アルミニウムの晶出時の凝固速度は30mm/10分であった。この精製アルミニウム塊中の不純物濃度はSi16ppm、Fe8ppm、Cu1ppm、Mn4ppmであった。
【0039】
実施例2
不純物としてSi150ppm、Fe190ppm、Cu20ppm、Mn10ppmを含む精製すべきアルミニウム塊を用い、上記実施例1と同様にして精製アルミニウム塊を得た。この精製アルミニウム塊中の不純物濃度はSi32ppm、Fe24ppm、Cu1ppm、Mn4ppmであった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明による金属の精製装置の全体構成を示す一部を切欠いた正面図である。
【図2】 この発明による金属の精製装置の下部の構成を示す垂直断面図である。
【図3】 図2のIII−III線断面図である。
【図4】 この発明による金属の精製装置の上部の構成を示す垂直断面図である。
【図5】 この発明による金属の精製装置の下部の構成を示す一部切欠き斜視図である。
【符号の説明】
(1):溶融アルミニウム保持るつぼ(溶融金属保持るつぼ)
(2):垂直中空回転軸(垂直中空軸)
(3):中空回転冷却体(中空冷却体)
(4):冷却流体吹出部材
(28):冷却流体吹出口
(S):溶融アルミニウム(溶融金属)
Claims (6)
- 溶融金属保持るつぼと、垂直中空軸と、垂直中空軸の下端に固定状に設けられかつ内部空間が垂直中空軸の内部空間と連通した有底筒状の中空冷却体と、中空冷却体内に配置されかつ周壁に冷却流体吹出口が形成された筒状冷却流体吹出部材と、冷却流体吹出部材内に冷却流体を供給する冷却流体供給手段とを備えており、溶融金属保持るつぼ内に入れられた溶融金属中に中空冷却体を浸漬し、冷却流体吹出部材の冷却流体吹出口から冷却流体を吹き出しながら、中空冷却体の外周面に溶融金属よりも高純度の金属を晶出させる金属の精製装置であって、
中空軸内に冷却流体供給管が配置され、冷却流体吹出部材が冷却流体供給管の下端部に設けられ、冷却流体吹出部材の下端に内向きフランジが設けられ、内向きフランジの内周縁に上方にのびる冷却流体排出管が設けられ、中空冷却体と冷却流体吹出部材とが垂直軸線の回りに相対的に回転させられるようになっており、冷却流体が、冷却流体供給管内における冷却流体排出管の周りの部分を流れて冷却流体吹出部材内に送り込まれ、冷却流体吹出部材の冷却流体吹出口から吹出されるとともに、冷却流体排出管内を流れて送り出されるようになっている金属の精製装置。 - 冷却流体吹出口が、冷却流体吹出部材の周壁に周方向に間隔をおいて複数形成された上下方向にのびるスリットからなる請求項1記載の金属の精製装置。
- 請求項1または2記載の装置を用いた金属の精製方法であって、垂直中空軸の下端部における中空冷却体の外径よりも外径の小さい部分が、溶融金属保持るつぼ内に入れられた溶融金属の液面と同一高さ位置に来るように中空冷却体を溶融金属中に浸漬し、冷却流体吹出部材を静止させておくとともに、垂直中空軸および中空冷却体を垂直軸線の回りに回転させ、この状態で冷却流体吹出部材の冷却流体吹出口から冷却流体を吹き出して中空冷却体の外周面に高純度金属を晶出させることを特徴とする金属の精製方法。
- 垂直中空軸における溶融金属の液面と同一高さ位置に来る部分の周速を4.5m/秒以上とし、中空冷却体の外周面への高純度金属の晶出時の凝固速度を30mm/10分以上とする請求項3記載の金属の精製方法。
- 精製すべき金属がアルミニウムである請求項3または4記載の金属の精製方法。
- 請求項3〜5のうちのいずれかに記載の方法により精製されたアルミニウム。
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