JP4365480B2 - 高純度シリコンの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高純度シリコンの製造方法に関し、特に太陽電池等に用いられる高純度シリコンを得る製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
太陽電池に使用されるシリコンは、一般に、含有するFeやAl等の不純物は少ないほどよく、純度99.9999%以上という高純度が要求されている。このことから、従来、シリコンの精製方法としては、図7,8に示されたものがある(特開平9―48607号公報)。この精製方法は、不活性ガス雰囲気下で粗製シリコン中に中空回転冷却体4を浸漬し、この中空回転冷却体4の外周面にシリコンを晶出させることにより、純度99.9%以上の高純度シリコンを得るようにしている。
【0003】
特開平9―48607号公報の精製方法は、より詳しくは、次のようにして高純度シリコンを得ている。すなわち、予め、坩堝2内に粗製シリコンを入れておき、不活性ガス供給管7から、溶解炉1内に不活性ガスを供給して、溶解炉1内を不活性ガス雰囲気にする。次いで、ヒータ5により粗製シリコンを溶解して溶融シリコンSとし、この溶融シリコンSを凝固温度を越えた温度に加熱保持しておく。次いで、冷却流体洪給管17を通して中空回転冷却体4の内周壁に向かって冷却流体を吹出して、その中空回転冷却体4を冷却しながらその中空回転冷却体4の周面に精製シリコン6を晶出させる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような精製装置を用いて、太陽電池等に要求されるような99.9999%以上の精製シリコンを製造する場合、装置の製造条件の設定範囲が広範であり、高純度シリコンを効率よく精製することが困難であった。
【0005】
本発明の目的は、上述の課題を解決して、太陽電池等に使用される高純度シリコンを効率良く得ることができる高純度シリコンの製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明の高純度シリコンの製造方法は、
溶融シリコンを収容する坩堝と、垂直状の中空回転軸およびこの中空回転軸の下端に固定された中空回転冷却体からなって上記中空回転軸の内部空間と上記中空回転冷却体の内部空間とが連通している回転冷却装置と、上記中空回転冷却体内に冷却流体を供給する冷却流体供給手段とを備え、上記坩堝内に入れられた溶融シリコン中に中空回転冷却体を浸漬して、上記中空回転軸を回転させることにより中空回転冷却体を回転させると共に、上記冷却流体供給手段により中空回転冷却体の内部に冷却流体を供給して、上記溶融シリコン中に位置する中空回転冷却体の外周面に、高純度シリコンを晶出させる精製装置を用いて、
上記溶融シリコンの温度を1414〜1600℃にして、上記中空回転冷却体の外周面に高純度シリコンを晶出させ、
上記冷却流体は、窒素ガスであり、上記中空回転冷却体に導入される上記窒素ガスの流量が、溶融シリコンに浸漬している中空回転冷却体の晶出部の単位面積当たり0.6〜3.8(m 3 /秒)/m 2 である状態で、上記中空回転冷却体の外周面に高純度シリコンを晶出させることを特徴としている。
【0007】
上記溶融シリコンの融液温度を1414〜1600℃の範囲に保持しているのは、1414℃未満であるとシリコンの凝固が始まり、一方、1600℃以上の溶融温度を保持しても、既に、平衡分配係数になっていて、効果がなくて、電力コストが大きくなるだけであるからである。また、必要以上の温度にまで耐久し得る設備を備えることは、製造コストを高めることになるので、好ましくない。
上記中空回転冷却体に導入される窒素ガスの流量を上記中空回転冷却体の晶出部の単位面積当たり0.6〜3.8(m 3 /秒)/m 2 に設定しているのは、0.001〜0.6(m 3 /秒)/m 2 の範囲において、急激に分配係数が小さくなって、0.6(m 3 /秒)/m 2 を越えると分配係数はなだらかに変化する。したがって、0.6(m 3 /秒)/m 2 より窒素ガス流量が少ないと、窒素ガス流量が不安定になれば、分配係数が大きく変化して、つまりは、不純物除去の効果が大きく変動して、シリコン精製塊の品質が変わり易くなるので、0.6(m 3 /秒)/m 2 以上にしているのである。また、3.8(m 3 /秒)/m 2 よりも大きくしても、分配係数が殆ど小さくならないからである。したがって、上記窒素ガスの流量を0.6〜3.8(m 3 /秒)/m 2 に設定しているのである。
上記窒素ガスは、ヘリウムガスやアルゴンガスに比べて安価で、それらと略同等あるいはそれ以上の冷却能力を有する。したがって、上記窒素ガスは中空回転冷却体を冷やすのに最も適している。
【0008】
1実施形態の高純度シリコンの製造方法は、上記溶融シリコンの温度を1420〜1470℃にして、上記中空回転冷却体の外周面に高純度シリコンを晶出させることを特徴としている。
【0009】
上記溶融シリコンの温度は、1420℃以下では分配係数が大きくて精製効果が少なく、一方、1470℃以上では平衡分配係数に達していて、これよりも高い温度では精製効果が頭打ちになるからである。したがって、溶融シリコンの融液温度は1420〜1470℃にするのが最も好ましいのである。
【0010】
1実施形態の発明の高純度シリコンの製造方法は、上記中空回転冷却体の外周面の周速が0.004〜4.00m/秒になるようにして、上記中空回転冷却体の外周面に高純度シリコンを晶出させることを特徴としている。
【0011】
上記中空回転冷却体の回転時の外周面の周速を0.004〜4.00m/秒にしているのは、0.004m/秒未満であれば、精製の効果が少なく、4.00m/秒を越えても不純物濃度の減少は頭打ちとなるからである。また、上記周速度が4.00m/秒を越えて過度に大きくすると、中空回転軸の回転装置も4.00m/秒に耐久する設備が必要となり、設備費が高価となるので好ましくない。
【0012】
1実施形態の高純度シリコンの製造方法は、上記中空回転冷却体の外周面の周速が0.1〜2.20m/秒になるようにして、上記中空回転冷却体の外周面に高純度シリコンを晶出させることを特徴としている。
【0013】
上記中空回転冷却体の回転時の外周面の周速を0.1〜2.20m/秒にしているは、0.1m/秒未満であれば、不純物濃度が比較的高く、0.1m/秒以上になると不純物濃度が急激に低下し、2.20m/秒を越えても不純物の減少は頭打ちとなるからである。また、上記周速度が2.20m/秒を越えて過度に大きくすると、中空回転冷却体の外周面に晶出した高純度シリコンが水平断面に対して真ん丸でなかった場合、溶融シリコンを坩堝の外側へ飛び散らせてしまう危険性が大きくなるので、好ましくない。
【0014】
1実施形態の高純度シリコンの製造方法は、上記中空回転冷却体の最下部の水平面に対する外周面の垂直断面の角度が60〜90度である状態で、上記中空回転冷却体の外周面に高純度シリコンを晶出させることを特徴としている。
【0015】
上記中空回転冷却体の最下部の水平面に対する外周面の垂直断面の角度を60〜90度にしているのは、60度よりも小さい角度であると、不純物濃度の観点から好ましくないことに加えて、中空回転冷却体4の上部の径が極端に大きくなって、装置の構造上も好ましくなく、また、90度よりも大きい角度になると、中空回転冷却体4の晶出部のシリコン精製塊を外しにくくなって、製造工程上好ましくないからである。
【0016】
1実施形態の高純度シリコンの製造方法は、上記中空回転冷却体の最下部の水平面に対する外周面の垂直断面の角度が80〜90度である状態で、上記中空回転冷却体の外周面に高純度シリコンを晶出させることを特徴としている。
【0017】
上記中空回転冷却体の最下部の水平面に対する外周面の垂直断面の角度を80〜90度としているのは、上記角度が80度以上になると不純物の濃度が低くなり、90度よりも大きい角度になると、中空回転冷却体4の晶出部のシリコン精製塊を外しにくくなって、製造工程上好ましくないからである。
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
1実施形態の高純度シリコンの製造方法は、上記中空回転冷却体に晶出させた高純度シリコンを引き上げる速度は、5〜70cm/分であることを特徴としている。
【0027】
中空回転冷却体に晶出させたシリコン精製塊を溶融シリコンから引き上げる時の引き上げ速度を5〜70cm/分にすると、シリコン精製塊の不純物濃度が低くなることが実験によって分かった。99%程度の金属級シリコンを溶融すると、坩堝の湯面に不純物が浮遊している。シリコン精製塊を溶融シリコンから引き上げる際、引き上げ速度を過度に遅くすると、上記の湯面に浮遊している不純物がシリコン精製塊に付着してシリコン精製塊の純度を悪化させてしまうからである。したがって、この付着は引き上げ速度を5〜70cm/分にすることにより低減させることができる。
【0028】
1実施形態の高純度シリコンの製造方法は、上記中空回転冷却体に晶出させた高純度シリコンを引き上げる速度は、10〜60cm/分であることを特徴としている。
【0029】
中空回転冷却体に晶出させたシリコン精製塊を溶融シリコンから引上げる時の引き上げ速度を10〜60cm/分にすると、シリコン精製塊の不純物濃度が安定に極めて低くなることが実験によって分かった。99%程度の金属級シリコンを溶融すると、坩堝の湯面に不純物が浮遊している。シリコン精製塊を溶融シリコンから引き上げる際、引き上げ速度を過度に遅くすると、上記の湯面に浮遊している不純物がシリコン精製塊に付着してシリコン精製塊の純度を悪化させてしまうからである。この付着は引上げ速度を10〜60cm/分で引上げることにより低減させることができる。
【0030】
1実施形態の発明の高純度シリコンの製造方法は、上記高純度シリコンの製造方法を少なくとも2回以上繰り返すことを特徴としている。
【0031】
上記高純度シリコンの製造方法を少なくとも2回以上繰り返すことによって、極めて純度の高いシリコンを簡単、安価に得ることができる。
【0032】
【発明の実施形態】
以下、本発明を図示の実施形態により詳細に説明する。本実施形態は図7,8に示す金属シリコンの精製装置を用いる。
【0033】
図7,8に示すように、上記精製装置は、密閉状の溶解炉1と、この溶解炉1内に配置されて溶融シリコンSを収容する坩堝2と、上記溶解炉1の頂壁1aの貫通穴18を貫通する垂直状の中空回転軸3と、この中空回転軸3の下端に固定されると共に内部空間が上記中空回転軸3の内部空間と連通する中空回転冷却体4とを備えている。
【0034】
上記溶解炉1は耐火物により形成している。また、上記溶解炉1の頂壁1aには、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスを溶解炉1内に供給する不活性ガス供給管7と、溶解炉1内を真空引きする真空排気管30を貫通させて取り付けている。また、上記溶解炉1の頂壁1aの貫通穴18と中空回転軸3の外周面との間は、例えば、オイルシールとして用いられている合成ゴムを用いたパッキン9により密封している。
【0035】
上記坩堝2は、石英、黒鉛あるいはアルミナのようなシリコンとの反応が少なくて、溶融シリコンSに対する汚染が少ない物質により形成している。上記坩堝2は、溶解炉1の底壁1c上に置かれた耐火物からなる坩堝台8上に載置している。上記坩堝2の外周面に沿ってヒータ5を配置している。
【0036】
上記中空回転軸3は、例えば、黒鉛により形成している。上記中空回転軸3は、溶解炉1の上方において、固定部10に対して上下動自在な回転軸保持アーム11に、図示しない軸受けを介して回転自在に支持している。そして、上記中空回転軸3は回転駆動手段12により回転するようになっている。上記回転駆動手段12は、回転軸保持アーム11に取り付けられたモータ13と、このモータ13の出力軸13aに固定したベルト車14と、中空回転軸3に固定したベルト車15と、このベルト車14,15に掛け渡したベルト16とから構成していて、中空回転軸3を所定の速度で回転させることができるようになっている。
【0037】
上記中空回転冷却体4は、図8に示すように、有底の筒状であり、熱伝導性が良く、しかも溶融シリコンSと反応しないで、これを汚染することの無い材料、たとえば窒化シリコンや黒鉛等により形成している。上記中空回転軸3の内部には筒状の金属、セラミックスあるいは黒鉛から形成された冷却流体供給管17を配置して、この冷却流体供給管17の下端外周に冷却流体吹出し部材32の下端を連結する一方、上記冷却流体吹出し部材32の上端を中空回転軸3の内周面の下端に連結している。上記冷却流体供給管17の下端部の外周面と冷却流体吹出し部材32の内周面との間に導かれた冷却流体を、冷却流体吹出し部材32の吹出し口25から中空回転冷却体4の内壁に向けて吹き付けて、中空回転冷却体4の内壁を冷却して、高純度シリコン晶出部20に高純度シリコン6を晶出させるようにしている。
【0038】
上記精製装置を用いて、高純度シリコンを次のようにして製造している。
【0039】
予め、坩堝2内に、精製すべき粗製シリコン(金属級シリコン、純度2‐Nine)6.0kgを入れておき、真空排気管30から溶解炉1内を真空引きした後、不活性ガス供給管7から溶解炉1内に不活性ガスを供給して溶解炉1内を不活性ガス雰囲気にする。こうすると、溶解炉1内を完璧な不活性ガス雰囲気とすることができる。
【0040】
そして、ヒータ5により粗製シリコンを加熱し溶解して、溶融シリコンSとし、この溶融シリコンSの融液温度を1414〜1600℃の範囲に保持するように必要に応じて加熱する。これは1414℃未満であるとシリコンの凝固が始まり、一方、1600℃以上の溶融温度を保持しても、既に、平衡分配係数になっていて、効果がなくて、電力コストが高くなるだけであるからである。また、必要以上の温度にまで耐久し得る設備を備えることは、製造コストを高めることになるので、好ましくない。また、上記中空回転冷却体4を溶融シリコンSに浸漬する前の融液温度と精製効果の関係について詳細に検討した結果を図1に示す。図1より、1420℃以下では分配係数が大きくて精製効果が少なく、一方、1470℃以上では平衡分配係数に達していて、これよりも高い温度では精製効果が頭打ちになることが分かる。この結果から、溶融シリコンSの融液温度は1420〜1470℃にするのが最も好ましいことが分かる。
【0041】
上記溶融シリコンSは不活性ガス雰囲気下におかれる。溶融粗製シリコンは別途溶解してから坩堝2内へ入れてもよいし、溶解炉1に原料投入口を別途設置し、原料シリコンを原料投入口から供給して坩堝2内へ入れてもよい。
【0042】
次いで、図7のロータリージョイント19に形成された冷却流体導入口21に、図示しない冷却流体用配管から冷却流体を供給して、図8に示すように、中空回転軸3の内周面と冷却流体供給管17の外周面との間の冷却流体通路に冷却流体を送り込んで、冷却流体吹出し部材32の吹出し口25から中空回転冷却体4の内壁に向かって冷却流体を吹出しながら、回転駆動手段12により中空回転軸3を介して中空回転冷却体4を回転させて、偏析凝固の原理により中空回転冷却体4の外周面(シリコン晶出部)20に高純度の精製シリコン6を晶出させる。上記中空回転冷却体4の回転により、凝固界面から液相中に排出された不純物を凝固界面から遠ざけて液相全体に分散させながら、高純度のシリコンの凝固を進めることができる。したがって、平衡偏析係数に近い値の偏析係数で溶融シリコンSの凝固が進行するから、中空回転冷却体4の外周面に、短時間に高純度の精製シリコン6を晶出させることができる。
【0043】
上記中空回転冷却体4の回転時の外周面の周速度は、図2から分かるように、0.004m/秒以上とするのが好ましい。より好ましくは、0.1〜2.20m/秒である。0.004m/秒未満であれば、精製の効果が少なく、2.20m/秒を越えても不純物の減少は頭打ちとなるからである。また、上記周速度が2.20m/秒を越えて過度に大きくすると、中空回転冷却体の外周面に晶出した高純度シリコンが水平断面図に対して真ん丸でなかった場合、溶融シリコンを坩堝の外側へ飛び散らせてしまう危険性が大きくなるので、好ましくない。
【0044】
また、図6に示す中空回転冷却体4の最下部の水平面に対する外周面(晶出面)の垂直断面の角度(テーパ角度)31と不純物濃度との関係を検討した結果を図3に示している。この結果から、中空回転冷却体のテーパ角度31は60〜90度、特に、80〜90度とするのが好ましいことが分かる。60度よりも小さい角度であると、不純物濃度の観点から好ましくないことに加えて、中空回転冷却体4の上部の径が極端に大きくなって、装置の構造上も好ましくない。90度よりも大きい角度になると、中空回転冷却体4の晶出部20のシリコン精製塊6を外しにくくなって、製造工程上好ましくないからである。
【0045】
上記中空回転冷却体4に導入される冷却ガスとしての窒素ガスの流量は、溶融シリコンSに浸漬している晶出部20の単位面積に対する流量は、0.6〜3.8(m3/秒)/m2がよい。図4に上記晶出部20の単位面積当たりの冷却ガスの流量とFe(鉄)、Al(アルミニウム)について不純物の分配係数の関係を示している。図4より、0.001〜0.6(m3/秒)/m2の範囲において、急激に分配係数が小さくなり、つまり不純物除去の効果が大きくなる。したがって、0.6(m3/秒)/m2より冷却ガス流量が少ないと、冷却流量が不安定になれば、分配係数が大きく変化し、つまりは、不純物除去の効果が大きく変動して、シリコン精製塊6の品質が変わり易くなるので、0.6(m3/秒)/m2以上が好ましい。
【0046】
上述の実施例では、冷却ガスとして窒素ガスを用いた。参考例として、中空回転冷却体4を酸化させない不活性ガス、例えばアルゴン、ヘリウム等を下表に示す。
【0047】
【表1】
冷却ガス種とFe、Al分配係数
【0048】
表1はFeおよびAlの分配係数を夫々8×10-4、8×10-3とするに必要なガス流量を示している。
【0049】
窒素ガスでは、2.33×10-3m3/秒(=140L/分)を必要とするのに対して、ヘリウムガスでは9.17×10-4m3/秒(=55L/分)の流量で窒素と同等の能力である。しかし、窒素ガスの方がヘリウムガスに比べ安価であるので、窒素ガスの方がより好ましい。同様に、アルゴンガスでは3.52×10-2m3/秒(=211L/分)が必要となる。アルゴンガスを使用した場合は、窒素ガスよりも多量に必要である。これもヘリウムと同様に、窒素ガスの方がアルゴンガスに比べ安価であるので、窒素ガスの方がより好ましい。ここでは、一実施例として、各単体ガスについて記述したが、2種類以上の混合ガスを用いても良い。
【0050】
以上の方法により中空回転冷却体4に晶出させたシリコン精製塊6を溶融シリコンSから引上げる時の引上げ速度についても、詳細に検討をおこなった。図5にその検討結果を示す。図5より、引上げ速度は5〜70cm/分、より好ましくは10〜60cm/分以上で引上げるのがよい。これは、99%程度の金属級シリコンを溶融すると、坩堝の湯面に不純物が浮遊していて、シリコン精製塊6を溶融シリコンSから引上げる際、引き上げ速度を過度に遅くすると、上記不純物がシリコン精製塊6に付着して、シリコン精製塊6の純度を悪化させてしまうからである。この付着は引上げ速度を5〜70cm/分、より好ましくは10〜60cm/分で引上げることにより低減させることができる。
【0051】
ところで、2Nのシリコンを太陽電池級6Nレベルに到達させるには、以上述べた方法を多数回繰り返すことにより容易に達成できることはいうまでもない。
【0052】
また、上記実施形態においては、この発明による製造方法がシリコンに適用されているが、例えば99.9999wt%の純度を有する超高純度アルミニウムの精製に適用することもできる。
【0053】
【発明の効果】
以上より明らかなように、請求項1の発明の高純度シリコンの製造方法は、溶融シリコンの温度を1414〜1600℃にしているので、1414℃未満でおこるシリコンの凝固を防止でき、かつ、1600℃以下の溶融温度に保持して、電力コストを低減できる。
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
この発明の高純度シリコンの製造方法は、中空回転冷却体に導入される窒素ガスの流量を、溶融シリコンに浸漬している晶出部の単位面積に対して0.6〜3.8(m3/秒)/m2に設定しているので、分配係数が安定して小さく、不純物除去の効果を安定して大きくでき、かつ、エネルギーのロスが少ない。
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】
【図面の簡単な説明】
【図1】 中空回転冷却体の浸漬前に保持されるシリコン融液の温度と不純物元素の分配係数との関係を示す図である。
【図2】 中空回転冷却体の周速度と不純物濃度の関係を示す図である。
【図3】 中空回転冷却体のテーパ角度と不純物濃度の関係を示す図である。
【図4】 中空回転冷却体に導入される冷却ガス流量と不純物濃度の関係を示す図である。
【図5】 中空回転冷却体に晶出したシリコン精製塊の引き上げ速度とシリコン精製塊に取り込まれる不純物濃度との関係を示す図である。
【図6】 中空回転冷却体の最下部面に対する角度を示す図である。
【図7】 本発明の高純度シリコンの精製方法に使用した精製装置の全体構成を示す一部を切り欠いた正面図である。
【図8】 図7の精製装置の下部の拡大図である。
【符号の説明】
1 溶解炉 1a 頂壁
1b 側壁 1c 底壁
2 坩堝 3 中空回転軸
4 中空回転冷却体 5 ヒータ
6 高純度シリコン 17 冷却流体供給管
17a 側面 20 晶出部
S 溶融シリコン
Claims (1)
- 溶融シリコンを収容する坩堝と、垂直状の中空回転軸およびこの中空回転軸の下端に固定された中空回転冷却体からなって上記中空回転軸の内部空間と上記中空回転冷却体の内部空間とが連通している回転冷却装置と、上記中空回転冷却体内に冷却流体を供給する冷却流体供給手段とを備え、上記坩堝内に入れられた溶融シリコン中に中空回転冷却体を浸漬して、上記中空回転軸を回転させることにより中空回転冷却体を回転させると共に、上記冷却流体供給手段により中空回転冷却体の内部に冷却流体を供給して、上記溶融シリコン中に位置する中空回転冷却体の外周面に、高純度シリコンを晶出させる精製装置を用いて、
上記溶融シリコンの温度を1414〜1600℃にして、上記中空回転冷却体の外周面に高純度シリコンを晶出させ、
上記冷却流体は、窒素ガスであり、上記中空回転冷却体に導入される上記窒素ガスの流量が、溶融シリコンに浸漬している中空回転冷却体の晶出部の単位面積当たり0.6〜3.8(m 3 /秒)/m 2 である状態で、上記中空回転冷却体の外周面に高純度シリコンを晶出させることを特徴とする高純度シリコンの製造方法。
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1999
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