JP2008150466A - プロピレン系ブロック共重合体の気相連続製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】特定の固体触媒成分を用いて、内部に水平軸回りに回転する撹拌機を有する横型反応器による第一工程及び第二工程からなり、第一工程又は第二工程中に電子供与体化合物を添加することを特徴とするプロピレン系ブロック共重合体の気相連続製造方法による。
【選択図】なし
Description
また、この不具合を解消する別の方法として、第二工程の重合槽に入る前の第一工程の重合槽からの移送流路への添加(例えば、特許文献2、3)も試みられている。しかしながら、移送流路への添加は、流通するポリマー量が重合槽内のポリマー量と比較すると格段に少ないため、電子供与性化合物の添加量も極少量で、なおかつ、重合槽の様な機械的攪拌もないため、添加する電子供与性化合物が均一に反応せず、結果としてゲル、フィッシュアイの低減に関しては十分な効果が得られていない。
下記の成分(A)及び成分(B)からなる触媒の存在下、プロピレンまたはプロピレンとエチレンを含む他のαオレフィンとを重合させてプロピレンの単独重合体またはプロピレンと他のαオレフィンとの共重合体を得る第一工程と、該第一工程で得られた重合反応物の存在下、プロピレンとエチレンを含む他のαオレフィンとを共重合体反応系へ供給してプロピレンと他のαオレフィンとを共重合させる第二工程とからなり、
その際、第一工程または第二工程のいずれか、あるいは両方で、キラー剤として下記の成分(C)を添加することを特徴とするプロピレン系ブロック共重合体の気相連続製造方法が提供される。
成分(A):次の成分(A1)、(A2)、及び(A3)を接触処理してなる固体触媒成分
成分(A1):チタン、マグネシウム及びハロゲンを必須成分として含有する固体成分
成分(A2):ビニルシラン化合物
成分(A3):アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物、及び/又は、少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物を接触処理してなる固体触媒成分
成分(B):有機アルミニウム化合物
成分(C):電子供与体化合物
[CH2=CH−]mSiXnR1 j(OR2)k …(1)
(式中、Xはハロゲンを表し、R1は水素若しくは炭化水素基を表し、R2は水素若しくは炭化水素基若しくは有機ケイ素基を表し、m≧1、0≦n≦3、0≦j≦3、0≦k≦2、m+n+j+k=4である。)
R3R4 aSi(OR5)b …(2)
(式中、R3は炭化水素基若しくはヘテロ原子含有炭化水素基を表す。R4は水素、ハロゲン、炭化水素基及びヘテロ原子含有炭化水素基から選ばれる任意の遊離基を表し、R5は炭化水素基を表し、0≦a≦2、1≦b≦3、a+b=3である。)
本発明の製造方法により、ゲルやフィッシュアイが低減されたプロピレン系ブロック共重合体が得られることから、外観の優れた射出成形品や押し出し成形品を得ることが可能である。加えて、パウダー流動性が優れ、パウダー中の塊量も少ないことから、品質的に安定したプロピレン系ブロック共重合体の供給が可能となる。
本発明のプロピレン系ブロック共重合体の気相連続製造方法を、触媒、第一工程及び第二工程等について、以下に、具体的かつ詳細に説明する。
本発明で用いる触媒においては、プロピレン系ブロック共重合体用の触媒として、(A1)チタン、マグネシウム、ハロゲンを必須成分として含有する固体成分、(A2)ビニルシラン化合物及び(A3)アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物(A3a)、及び/又は、少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(A3b)を接触させてなる固体触媒成分(A)を用いることを特徴とする。この際、本発明の効果を損なわない範囲で、有機アルミニウム化合物(B)、有機ケイ素化合物(C’)、及び、少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(D)、などの任意成分を用いることが出来る。
本発明で用いる固体触媒成分(A)は以下の成分(A1)〜(A3)を接触させてなるものである。この際本発明の効果を損なわない範囲で、有機アルミニウム化合物(A4)の様な他の任意成分を任意の方法で接触させても良い。以下に各構成成分を詳述する。
本発明において、固体成分(A1)としては、チタン(A1a)、マグネシウム(A1b)、ハロゲン(A1c)を必須成分として含有し、任意成分として電子供与体(A1d)を用いることが出来る。ここで、「必須成分として含有する」という事は、挙示の三成分以外に、本発明の効果を損なわない範囲で任意の成分を任意の形態で含んでも良いという事を示すものである。チタン、マグネシウム、ハロゲンを必須成分として含有する固体成分自体は公知のものであり、以下に詳述する。
チタン源となるチタン化合物としては、任意のものを用いることが出来る。代表的な例としては特開平3−234707号公報に開示されている化合物を挙げることが出来る。チタンの価数に関しては、4価、3価、2価、0価の任意の価数を持つチタン化合物を用いることが出来るが、好ましくは4価および3価のチタン化合物、更に好ましくは4価のチタン化合物を用いる事が望ましい。
3価のチタン化合物の具体例としては、三塩化チタンに代表されるハロゲン化チタン化合物類を挙げることが出来る。三塩化チタンは、水素還元型、金属アルミニウム還元型、金属チタン還元型、有機アルミニウム還元型、など、公知の任意の方法で製造された化合物を用いることが出来る。
上記のチタン化合物類は単独で用いるだけではなく、複数の化合物を併用する事も可能である。また、上記チタン化合物類の混合物や平均組成式がそれらの混合された式となる化合物(例えば、Ti(OBu)mCl4−m;0<m<4などの化合物)、また、フタル酸エステル等のその他の化合物との錯化物(例えば、Ph(CO2Bu)2・TiCl4などの化合物)、などを用いる事が出来る。
マグネシウム源となるマグネシウム化合物としては、任意のものを用いることが出来る。代表的な例としては、特開平3−234707号公報に開示されている化合物を挙げることが出来る。一般的には、塩化マグネシウムに代表されるハロゲン化マグネシウム化合物類、ジエトキシマグネシウムに代表されるアルコキシマグネシウム化合物類、金属マグネシウム、酸化マグネシウムに代表されるオキシマグネシウム化合物類、水酸化マグネシウムに代表されるヒドロキシマグネシウム化合物類、ブチルマグネシウムクロライドに代表されるグリニャール化合物類、ブチルエチルマグネシウムに代表される有機金属マグネシウム化合物類、炭酸マグネシウムやステアリン酸マグネシウムに代表される無機酸及び有機酸のマグネシウム塩化合物類、及びそれらの混合物や平均組成式がそれらの混合された式となる化合物(例えば、Mg(OEt)mCl2−m;0<m<2などの化合物)、などを用いる事が出来る。この中で特に好ましいのは、塩化マグネシウム、ジエトキシマグネシウム、金属マグネシウム、ブチルマグネシウムクロライドである。
ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、沃素、及びそれらの混合物を用いる事が出来る。この中で塩素が特に好ましい。
ハロゲンは上記のチタン化合物類及び/又はマグネシウム化合物から供給されるのが一般的であるが、その他の化合物より供給することも出来る。代表的な例としては、四塩化ケイ素に代表されるハロゲン化ケイ素化合物類、塩化アルミニウムに代表されるハロゲン化アルミニウム化合物類、1,2−ジクロロエタンやベンジルクロライドに代表されるハロゲン化有機化合物類、トリクロロボランに代表されるハロゲン化ボラン化合物類、五塩化リンに代表されるハロゲン化リン化合物類、六塩化タングステンに代表されるハロゲン化タングステン化合物類、五塩化モリブデンに代表されるハロゲン化モリブデン化合物類、などを挙げることが出来る。これらの化合物は単独で用いるだけでなく、併用する事も可能である。この中で、四塩化ケイ素が特に好ましい。
固体成分(A1)は、任意成分として電子供与体を含有しても良い。電子供与体(A1d)の代表的な例としては、特開2004−124090号公報に開示されている化合物を挙げることが出来る。一般的には、有機酸及び無機酸並びにそれらの誘導体(エステル、酸無水物、酸ハライド、アミド)化合物類、エーテル化合物類、ケトン化合物類、アルデヒド化合物類、アルコール化合物類、アミン化合物類、などを用いることが望ましい。
エステルの構成要素であるアルコールとしては、脂肪族及び芳香族アルコールを用いることが出来る。これらのアルコールの中でも、エチル基、ブチル基、イソブチル基、ヘプチル基、オクチル基、ドデシル基、等の炭素数1から20の脂肪族の遊離基からなるアルコールが好ましい。更に好ましくは炭素数2から12の脂肪族の遊離基からなるアルコールが望ましい。また、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、等の脂環式の遊離基からなるアルコールを用いる事も出来る。
アミドの構成要素であるアミンとしては、脂肪族及び芳香族アミンを用いることが出来る。これらのアミンの中でも、アンモニア、エチルアミンやジブチルアミンに代表される脂肪族アミン、アニリンやベンジルアミンに代表される芳香族の遊離基を分子内に有するアミン、などを好ましい化合物として例示する事が出来る。
電子供与体として用いることの出来るアルデヒド化合物としては、プロピオンアルデヒドに代表される脂肪族アルデヒド化合物類、ベンズアルデヒドに代表される芳香族アルデヒド化合物類、などを例示する事が出来る。
チタン化合物類の使用量は、使用するマグネシウム化合物類の使用量に対してモル比(チタン化合物のモル数/マグネシウム化合物のモル数)で、好ましくは0.0001から1,000の範囲内であり、特に好ましくは0.01から10の範囲内が望ましい。マグネシウム化合物類及びチタン化合物類以外にハロゲン源となる化合物を使用する場合は、その使用量はマグネシウム化合物類及びチタン化合物類の各々がハロゲンを含むか含まないかに関わらず、使用するマグネシウム化合物類の使用量に対してモル比(ハロゲン源となる化合物のモル数/マグネシウム化合物のモル数)で、好ましくは0.01から1,000の範囲内であり、特に好ましくは0.1から100の範囲内が望ましい。
固体成分(A1)を調製する際に任意成分として電子供与体を用いる場合の使用量は、使用するマグネシウム化合物の量に対してモル比(電子供与体のモル数/マグネシウム化合物のモル数)で、好ましくは0.001から10の範囲内であり、特に好ましくは0.01から5の範囲内が望ましい。
接触温度は、−50から200℃程度、好ましくは0から100℃である。接触方法としては、回転ボールミルや振動ミルなどによる機械的な方法、並びに、不活性希釈剤の存在下に撹拌により接触させる方法、などを例示することが出来る。
[−Si(H)(R)−O−]q …(1)
(ここで、Rは炭素数1から10程度の炭化水素基であり、qはこのポリマーケイ素化合物の粘度が1から100センチストークス程度となるような重合度を示す。)
具体的な化合物の例としては、メチルハイドロジェンポリシロキサン、フェニルハイドロジェンポリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、等を挙げることが出来る。また、必要に応じて電子供与体等の任意成分を接触させても良い。この際、任意成分はハロゲンを含有するチタン化合物類及び/又はハロゲンを含有するケイ素化合物類と同時に接触させても良いし、別々に接触させても良い。
本発明に用いられるビニルシラン化合物(A2)としては、特開平3−234707号公報及び特開2003−292522号公報に開示された化合物等を用いることが出来る。これらのビニルシラン化合物はモノシラン(SiH4)の水素原子の少なくとも一つがビニル基類で置換され、残りの水素原子の一部ないし全部がその他の遊離基に置き換えられた構造を持つ化合物であり、下記一般式(2)で表すことが出来る。
[CH2=CH−]mSiXnR1 j(OR2)k …(2)
(一般式(2)中、Xはハロゲンを表す。R1は水素若しくは炭化水素基を表す。R2は水素若しくは炭化水素基若しくは有機ケイ素基を表す。m≧1,0≦n≦3,0≦j≦3,0≦k≦2,m+n+j+k=4である。)
一般式(2)中、Xはハロゲンを表し、フッ素、塩素、臭素、沃素、などを例示する事が出来る。複数存在する場合はお互いに同一であっても異なっても良い。この中で、塩素が特に好ましい。nはハロゲンの数を表し、0以上3以下の値を取る。より好ましくは、nの値は0以上2以下である事が望ましく、特に好ましくは0である。
一般式(2)中、R1は水素若しくは炭化水素基を表し、好ましくは水素若しくは炭素数1から20の炭化水素基、より好ましくは水素若しくは炭素数1から12の炭化水素基から選ばれる任意の遊離基を表す。好ましいR1の例としては、水素、メチル基やブチル基に代表されるアルキル基、シクロヘキシル基に代表されるシクロアルキル基、フェニル基に代表されるアリール基、などを挙げる事が出来る。特に好ましいR1の例としては、水素、メチル基、エチル基、フェニル基、などを挙げる事が出来る。jはR1の数を表し、0以上3以下の値を取る。より好ましくは、jの値は1以上3以下である事が望ましく、更に好ましくは2以上3以下であり、特に好ましくは2である。jが2以上である場合、複数存在するR1はお互いに同一であっても異なっても良い。
(A3a)アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物
本発明で用いられるアルコキシ基を有する有機ケイ素化合物(A3a)としては、特開2004−124090号公報に開示された化合物等を用いることが出来る。一般的には、下記一般式(3)にて表される化合物を用いることが望ましい。
R3R4 aSi(OR5)b …(3)
(一般式(3)中、R3は炭化水素基若しくはヘテロ原子含有炭化水素基を表す。R4は水素、ハロゲン、炭化水素基及びヘテロ原子含有炭化水素基から選ばれる任意の遊離基を表す。R5は炭化水素基を表す。0≦a≦2,1≦b≦3,a+b=3である。)
R3として用いることの出来る炭化水素基は、一般に炭素数1から20、好ましくは炭素数3から10のものである。R3として用いることの出来る炭化水素基の具体的な例としては、n−プロピル基に代表される直鎖状脂肪族炭化水素基、i−プロピル基やt−ブチル基に代表される分岐状脂肪族炭化水素基、シクロペンチル基やシクロヘキシル基に代表される脂環式炭化水素基、フェニル基に代表される芳香族炭化水素基、などを挙げる事が出来る。より好ましくは、R3として分岐状脂肪族炭化水素基若しくは脂環式炭化水素基を用いる事が望ましく、とりわけ、i−プロピル基、i−ブチル基、t−ブチル基、テキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、などを用いることが望ましい。
R3がヘテロ原子含有炭化水素基である場合は、ヘテロ原子が、窒素、酸素、硫黄、リン、ケイ素から選ばれる事が望ましく、とりわけ、窒素又は酸素である事が望ましい。R3のヘテロ原子含有炭化水素基の骨格構造としては、R3が炭化水素基である場合の例示から選ぶことが望ましい。とりわけ、N,N−ジエチルアミノ基、キノリノ基、イソキノリノ基、などが好ましい。
R4として用いることの出来るハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、沃素、などを例示する事が出来る。R4が炭化水素基である場合は、一般に炭素数1から20、好ましくは炭素数1から10のものである。R4として用いることの出来る炭化水素基の具体的な例としては、メチル基やエチル基に代表される直鎖状脂肪族炭化水素基、i−プロピル基やt−ブチル基に代表される分岐状脂肪族炭化水素基、シクロペンチル基やシクロヘキシル基に代表される脂環式炭化水素基、フェニル基に代表される芳香族炭化水素基、などを挙げる事が出来る。中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、などを用いることが望ましい。
R4がヘテロ原子含有炭化水素基である場合は、R3がヘテロ原子含有炭化水素基である場合の例示から選ぶことが望ましい。とりわけ、N,N−ジエチルアミノ基、キノリノ基、イソキノリノ基、などが好ましい。
aの値が2の場合、二つあるR4は同一であっても異なっても良い。また、aの値に関わらず、はR4とR3同一であっても異なっても良い。
これらの有機ケイ素化合物類は単独で用いるだけでなく、複数の化合物を併用することも出来る。
本発明で用いられる少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(A3b)としては、特開平3−294302号公報および特開平8−333413号公報に開示された化合物等を用いることが出来る。一般的には、下記一般式(4)にて表される化合物を用いることが望ましい。
R8O−C(R7)2−C(R6)2−C(R7)2−OR8 …(4)
(一般式(4)中、R6及びR7は水素、炭化水素基及びヘテロ原子含有炭化水素基から選ばれる任意の遊離基を表す。R8は炭化水素基若しくはヘテロ原子含有炭化水素基を表す。)
R6として用いることの出来る炭化水素基は、一般に炭素数1から20、好ましくは炭素数1から10のものである。R6として用いることの出来る炭化水素基の具体的な例としては、n−プロピル基に代表される直鎖状脂肪族炭化水素基、i−プロピル基やt−ブチル基に代表される分岐状脂肪族炭化水素基、シクロペンチル基やシクロヘキシル基に代表される脂環式炭化水素基、フェニル基に代表される芳香族炭化水素基、などを挙げる事が出来る。より好ましくは、R6として分岐状脂肪族炭化水素基若しくは脂環式炭化水素基を用いる事が望ましく、とりわけ、i−プロピル基、i−ブチル基、i−ペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、などを用いることが望ましい。
二つのR6は結合して一つ以上の環を形成しても良い。この際、環構造中に2個又は3個の不飽和結合を含むシクロポリエン系構造を取る事も出来る。また、他の環式構造と縮合していても良い。単環式、複環式、縮合の有無に関わらず、環上に炭化水素基を置換基として1つ以上有していても良い。環上の置換基は、一般に炭素数1から20、好ましくは炭素数1から10のものである。具体的な例としては、n−プロピル基に代表される直鎖状脂肪族炭化水素基、i−プロピル基やt−ブチル基に代表される分岐状脂肪族炭化水素基、シクロペンチル基やシクロヘキシル基に代表される脂環式炭化水素基、フェニル基に代表される芳香族炭化水素基、などを挙げる事が出来る。
一般式(4)中、R8は炭化水素基若しくはヘテロ原子含有炭化水素基を表す。具体的には、R8はR6が炭化水素基である場合の例示から選ぶ事が出来る。好ましくは、炭素数1から6の炭化水素基である事が望ましく、更に好ましくはアルキル基である事が望ましい。最も好ましくはメチル基である。
R6からR8がヘテロ原子含有炭化水素基である場合は、ヘテロ原子が、窒素、酸素、硫黄、リン、ケイ素から選ばれる事が望ましい。また、R6からR8が炭化水素基であるかヘテロ原子含有炭化水素基であるかに関わらず、任意にハロゲンを含んでいても良い。R6からR8がヘテロ原子及び/又はハロゲンを含む場合、その骨格構造は炭化水素基である場合の例示から選ばれる事が望ましい。また、R6からR8の八個の置換基はお互いに同一であっても異なっても良い。
これらの少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(A3b)は単独で用いるだけでなく、複数の化合物を併用することも出来る。また、固体成分(A1)中の任意成分(A1d)として用いられる多価エーテル化合物と同一であっても異なっても良い。
本発明における固体触媒成分(A)は、固体成分(A1)、ビニルシラン化合物(A2)、並びに、(A3)アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物、及び/又は、少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物を接触させてなるものであるが、本発明の効果を損なわない範囲で他の任意成分を任意の方法で接触させても良い。この様な任意成分の例として、有機アルミニウム化合物(A4)を挙げることが出来る。
本発明において固体触媒成分(A)を調製する際の任意成分として用いられる有機アルミニウム化合物(A4)としては、特開2004−124090号公報に開示された化合物等を用いることが出来る。一般的には、下記一般式(5)にて表される化合物を用いることが望ましい。
R9 cAlXd(OR10)e …(5)
(一般式(5)中、R9は炭化水素基を表す。Xはハロゲン若しくは水素を表す。R10は炭化水素基若しくはAlによる架橋基を表す。c≧1、0≦d≦2、0≦e≦2、c+d+e=3である。)
一般式(5)中、Xはハロゲン若しくは水素である。Xとして用いる事の出来るハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、沃素、などを例示することが出来る。この中で、塩素が特に好ましい。
一般式(5)中、R10は炭化水素基若しくはAlによる架橋基である。R10が炭化水素基である場合には、R9の炭化水素基の例示と同じ群からR7を選択することが出来る。また、有機アルミニウム化合物(E’)としてメチルアルモキサンに代表されるアルモキサン化合物類を用いることも可能であり、その場合R7はAlによる架橋基を表す。
有機アルミニウム化合物(A4)は単独の化合を用いるだけでなく、複数の化合物を併用することも出来る。
本発明における固体触媒成分(A)は、(A1)固体成分、(A2)ビニルシラン化合物、並びに、(A3)アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物、及び/又は、少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物を接触させてなるものである。この際、本発明の効果を損なわない範囲で(A4)有機アルミニウム化合物等の他の任意成分を任意の方法で接触させても良い。固体触媒成分(A)の各構成成分の接触条件は、酸素を存在させない事が必要であるものの、本発明の効果を損なわない範囲で任意の条件を用いることが出来る。一般的には、次の条件が好ましい。
ビニルシラン化合物(A2)の使用量は、固体成分(A1)を構成するチタン成分に対するモル比(ビニルシラン化合物(A2)のモル数/チタン原子のモル数)で、好ましくは0.001から1,000の範囲内であり、特に好ましくは0.01から100の範囲内が望ましい。
アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物(A3a)を用いる場合の使用量は、固体成分(A1)を構成するチタン成分に対するモル比で(アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物(A3a)のモル数/チタン原子のモル数)で、好ましくは0.01から1,000の範囲内であり、特に好ましくは0.1から100の範囲内が望ましい。
少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(A3d)を用いる場合の使用量は、固体成分(A1)を構成するチタン成分に対するモル比(少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(A3d)のモル数/チタン原子のモル数)で、好ましくは0.01から1,000の範囲内であり、特に好ましくは0.1から100の範囲内が望ましい。
任意成分として有機アルミニウム化合物(A4)を用いる場合の使用量は、固体成分(A1)を構成するチタン成分に対するアルミニウムの原子比(アルミニウム原子のモル数/チタン原子のモル数)で、好ましくは0.1から100の範囲内であり、特に好ましくは1から50の範囲内が望ましい。
手順(ii):(A1)固体成分に(A3)アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物及び/又は少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物を接触させた後、(A2)ビニルシラン化合物を接触させる方法
手順(iii):全ての化合物を同時に接触させる方法
などを例示することが出来る。この中でも、手順(i)及び手順(iii)が好ましい。
手順(v):(A1)固体成分に(A2)ビニルシラン化合物、(A3)アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物及び/又は少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物を接触させ、その後に(A4)有機アルミニウム化合物を接触させる方法
手順(vi):全ての化合物を同時に接触させる方法
などが好ましい。(A4)有機アルミニウム化合物についても上記と同様に複数回接触させる事が出来る。この際、複数回用いる(A4)有機アルミニウム化合物がお互いに同一であっても異なっても良い。
本発明の触媒において任意成分として用いられる有機アルミニウム化合物(B)としては、特開2004−124090号公報に開示された化合物等を用いることが出来る。好ましくは、固体触媒成分(A)を調製する際の任意成分である有機アルミニウム化合物(A4)における例示と同じ群から選択する事が出来る。この際、有機アルミニウム化合物(B)と有機アルミニウム化合物(A4)が同一であっても異なっても良い。
有機アルミニウム化合物(B)は単独の化合を用いるだけでなく、複数の化合物を併用することも出来る。
本発明においては触媒として固体触媒成分(A)、有機アルミニウム化合物(B)及び電子供与体化合物(C)を用いることが必須要件であるが、本発明の効果を損なわない範囲で、下記に説明する有機ケイ素化合物(D1)、及び、少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(D2)、その他の化合物(E)の任意成分を用いることが出来る。
本発明の触媒において任意成分として用いられる有機ケイ素化合物(D1)としては、特開2004−124090号公報に開示された化合物等を用いることが出来る。好ましくは、固体触媒成分(A)において用いられるアルコキシ基を有する有機ケイ素化合物(A3a)における例示と同じ群から選択する事が出来る。この際、アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物(A3a)と任意成分として用いられる有機ケイ素化合物(D1)が同一であっても異なっても良い。
有機ケイ素化合物(D1)は単独の化合物を用いるだけでなく、複数の化合物を併用することも出来る。
本発明の触媒において任意成分として用いられる少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(D2)としては、好ましくは、固体触媒成分(A)において用いられる少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(A3b)における例示と同じ群から選択する事が出来る。この際、固体触媒成分(A)を調製する際に用いられる少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(A3b)と触媒の任意成分として用いられる少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(D2)が同一であっても異なっても良い。
少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(D2)は単独の化合物を用いるだけでなく、複数の化合物を併用することも出来る。
本発明の効果を損なわない限り、上記有機ケイ素化合物(D1)、及び、少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(D2)以外の成分を触媒の任意成分として用いる事が出来る。例えば、特開2004−124090号公報に開示された様に、分子内にC(=O)N結合を有する化合物(E)を用いることにより、CXSの様な非晶性成分の生成を抑制することが出来る。この場合、テトラメチルウレア、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1−エチル−2−ピロリジノン、などを好まし例として挙げることが出来る。また、ジエチル亜鉛の様なAl以外の金属原子を持つ有機金属化合物を用いることも出来る。
発明の触媒における任意成分の使用量は、本発明の効果を損なわない範囲で任意のものでありうるが、一般的には、次の範囲内が好ましい。
有機ケイ素化合物(D1)を用いる場合の使用量は、固体触媒成分(A)を構成するチタン成分に対するモル比(有機ケイ素化合物(D1)のモル数/チタン原子のモル数)で、好ましくは0.01から10,000の範囲内であり、特に好ましくは0.5から500の範囲内が望ましい。
少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(D2)を用いる場合の使用量は、固体触媒成分(A)を構成するチタン成分に対するモル比(少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(D2)のモル数/チタン原子のモル数)で、好ましくは0.01から10,000の範囲内であり、特に好ましくは0.5から500の範囲内が望ましい。
分子内にC(=O)N結合を有する化合物(E)を用いる場合の使用量は、固体触媒成分(A)を構成するチタン成分に対するモル比(分子内にC(=O)N結合を有する化合物(E)のモル数/チタン原子のモル数)で、好ましくは0.001から1,000の範囲内であり、特に好ましくは0.05から500の範囲内が望ましい。
第一工程または第二工程のいずれか、あるいは両方で、または、第1段重合槽の下流1/3から第2段重合槽の上流1/3に添加する電子供与体化合物(成分(C))は触媒成分のひとつとして用いられる電子供与体とは異なり、ショートパス粒子を失活させる目的で使用される電子供与体化合物である。成分(C)としては、通常は酸素、窒素、リンあるいは硫黄を含有する有機化合物である。
1.予備重合工程
本発明における重合触媒成分(A)は、本重合で使用する前に予備重合処理して用いることが好ましい。重合プロセスに先立って、予め少量のポリマーを触媒周囲に生成させることによって、触媒がより均一となり、微粉の発生量を抑えることができる。
これらは単独のみならず、他のα−オレフィンとの2種以上の混合物であってもよい。また、その重合に際して生成するポリマーの分子量を調節するために水素等の分子調節剤を併用することもできる。
固体触媒成分(A)若しくは固体成分(A1)1グラムあたりの基準で、予備重合量は0.001から100gの範囲内であり、好ましくは0.1から50g、更に好ましくは0.5から10gの範囲内が望ましい。予備重合時の反応温度は−150から150℃、好ましくは0から100℃である。そして、予備重合時の反応温度は本重合のときの重合温度よりも低くする事が望ましい。反応は、一般的に撹拌下に行うことが好ましく、そのとき不活性溶媒を存在させることもできる。重合触媒成分(A)の予備重合処理に用いられる不活性溶剤は、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカンおよび流動パラフィン等の液状飽和炭化水素やジメチルポリシロキサンの構造を持ったシリコンオイル等重合反応に著しく影響を及ぼさない不活性溶剤である。これらの不活性溶剤は1種の単独溶剤または2種以上の混合溶剤のいずれでもよい。これらの不活性溶剤の使用に際しては重合に悪影響を及ぼす水分、イオウ化合物等の不純物を取り除いた後で使用することが好ましい。
さらに、上記各成分の接触の際、もしくは接触の後に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどの重合体やシリカ、チタニアなどの無機酸化物固体を共存させることも可能である。
本発明の重合工程は、第1段重合(第一工程)および第2段重合(第二工程)の二段階よりなる。第1段重合および第2段重合はこの順序(第1段→第2段)で実施する。
本発明によるプロピレン系ブロック共重合体の製造は、内部に水平軸回りに回転する撹拌機を有する横型反応器を各工程で少なくとも1槽、全体として少なくとも2槽以上用いて、連続式によって実施する。
軸118は反応器10の下流端14の中へ延び、攪拌の為の翼が反応器10内で取り付けられている。攪拌翼はポリマー粒子を反応器10内でその中へ導入される他物質と混合する。
反応器10の上流部配管1および2より導入された触媒成分は、攪拌翼にてポリマー粒子と混合されながら、重合を開始する。重合の際、発生する重合熱は、頂部配管17から供給される原料液化プロピレンの蒸発潜熱により除去される。未反応のプロピレンガスは配管13にて反応系外へ出され、凝縮器15にてその一部分が凝縮され、気液分離槽11で液相と気相へ分離される。液相部は重合熱除去のため配管17へ導入され、気相部は、分子量調節のための水素等と混合され、反応器10底部に設置された配管18を経由して供給される。
そのため横型反応槽は、完全混合槽型の反応槽に比べ、反応槽1台当たりの槽数が高く、特に反応槽出口付近に存在する比較的滞留時間の短い粒子(ショートパス粒子)の濃度は非常に少ないものとなる。よって、これまで以上のゲル・フィッシュアイの低減を目的としている本発明においては、横型反応器にて実施することが必須となる。
第一段重合(第一工程)は、実質気相状態で、プロピレン単独、あるいはプロピレンとα−オレフィンとの混合物を固体触媒成分(A)、成分(B)および必要に応じて電子供与体(C’)の存在下で、連続重合させて、結晶性のプロピレン重合体を製造する工程である。α−オレフィンとしてはエチレンが一般的である。この第一段重合では、プロピレン単独重合体またはα−オレフィン含量7重量%以下のプロピレン・α−オレフィン共重合体を形成させる。第1段重合でプロピレン・α−オレフィン重合体中のα−オレフィン含量が7重量%を越えると、最終共重合体の嵩密度が低下し、低結晶性重合体の副生量が大幅に増大する。
滞留時間は重合槽の構成や製品インデックスに合わせて任意に調整する事が出来る。一般的には、30分から10時間の範囲内で設定される。
第二段階重合(第二工程)は、プロピレンとα−オレフィンとの混合物を一つ以上の重合槽で重合させて、ゴム状重合体を製造する工程である。α−オレフィンとしては、エチレンが好ましい。この第二段階重合ではプロピレン/α−オレフィンの重合比(重量比)が90/10〜10/90、好ましくは80/20〜20/80、特に好ましくは70/30〜30/70の割合であるプロピレンのゴム状重合体を製造する。ただし、この工程での重合量は、全重合量の15重量%以上、好ましくは20重量%以上、更に好ましくは25重量%以上であり、90重量%以下、好ましくは70重量%以下、更に好ましくは50重量%以下である。重合量が過小な場合はプロピレン系ブロック共重合体の衝撃強度が低下し、過大な場合はプロピレン系ブロック共重合体のパウダー流動性が著しく悪化し、系内からの抜出しトラブルの発生や系内への付着が発生する。
また、第二段階重合では、エチレン以外の他のコモノマーを共存させてもよい。
本願記載の特定の触媒を使用した場合、触媒活性が高く、プロピレン系ブロック重合体を高い生産性で製造することができるが、第二工程での触媒活性も高くなるため、ゲルやフィッシュアイが発生する頻度も高くなる。
従って、成分(C)の添加は、ショートパス粒子を選択的に、かつ効率的に失活させる必要があり、少なくとも第2段重合工程の前半までに添加することが必要となる。
成分(C)の効果としては、通常滞留粒子に対してはその一部分を失活させるのに対し、ショートパス粒子は完全に失活させる特性を持っている。これは粒子の粒径の違いによるものである。
第二工程に対応する重合槽の最上流末端から下流方向へ1/3までの間への成分(C)の添加は、共重合の早い段階でショートパス粒子を選択的に失活させる効果を有する。この部分は、第二工程全体の重合量の20〜60重量%を重合する部分であり、この範囲に成分(C)を添加すれば、最小限の成分(C)添加にてショートパス粒子の失活が可能であり、成分(C)添加による第二工程の活性低下を最小限に抑えることができる。
このように、ゲル低減や重合槽への付着防止を目的として、成分(C)を特定の位置に添加する製造方法は、重合様式を横型反応器としたことで初めて実現できたものである。
第二工程に2つ以上の重合槽を用いる場合は、第二工程に用いられる重合槽の長さの合計に対して最上流から下流方向へ1/3までの間に添加される。
また、標準状態で液体である成分(C)の場合は、反応槽へ直接添加するか、あるいは不活性炭化水素溶媒、液体状モノマーに溶解希釈して供給することもできる。この場合、反応槽の頂部或いは底部より導入しても良いが、成分(C)の分散と言う点では、頂部から添加することが好ましい好ましく、更にはスプレーノズル等を用いれば、より成分(C)の分散性を高めることができる。
1.プロピレン系ブロック共重合体の特性
本発明の製造方法により得られるプロピレン系ブロック共重合体は、ゲルやフィッシュアイの発生が少なく、かつ高衝撃強度を有するという特性を持つ。そのため、射出成形分野や押出し成形分野で用いられ、特に自動車用材料に好適である。
特に、第二工程での重合量が、全重合量に対して20重量%より多いことが、耐衝撃性の理由から好ましい。25重量%以下であると、衝撃強度が低下するため、好ましくない。
本発明における各物性値の測定方法を以下に示す。
a)MFR(単位:g/10分):JIS−K6921の方法に従い、230℃、21.18Nの条件で測定した。
b)α−オレフィン含有率(重量%):赤外線吸収スペクトル法により測定した。
c)製品パウダー中の塊(重量%):プロピレン系ブロック共重合体のパウダーを約200gサンプリングし、目開き3360μmの篩にて塊を分離し、その割合を求めた。
d)パウダーの流動性:ホソカワミクロン社製パウダーテスターを使用して、パウダーのゆるみ見掛け比重と固め見掛け比重をそれぞれ測定し、下記(式1)より圧縮度を求め、パウダー流動性の良悪の指標とした。圧縮度の値が高いほどパウダーの流動性が悪い。
1)固体成分の調製
撹拌装置を備えた容量10Lのオートクレーブを充分に窒素で置換し、精製したトルエン2Lを導入した。ここに、室温で、Mg(OEt)2を200g、TiCl4を1L添加した。温度を90℃に上げて、フタル酸ジ−n−ブチルを50ml導入した。その後、温度を110℃に上げて3hr反応を行った。反応生成物を精製したトルエンで充分に洗浄した。次いで、精製したトルエンを導入して全体の液量を2Lに調整した。室温でTiCl4を1L添加し、温度を110℃に上げて2hr反応を行った。反応生成物を精製したトルエンで充分に洗浄した。次いで、精製したトルエンを導入して全体の液量を2Lに調整した。室温でTiCl4を1L添加し、温度を110℃に上げて2hr反応を行った。反応生成物を精製したトルエンで充分に洗浄した。更に、精製したn−ヘプタンを用いて、トルエンをn−ヘプタンで置換し、固体成分(A1)のスラリーを得た。このスラリーの一部をサンプリングして乾燥した。分析したところ、固体成分(A1)のTi含量は2.7wt%であった。
次に、撹拌装置を備えた容量20Lのオートクレーブを充分に窒素で置換し、上記固体成分(A1)のスラリーを固体成分(A1)として100g導入した。精製したn−ヘプタンを導入して、固体成分(A1)の濃度が25g/Lとなる様に調整した。SiCl4を50mlを加え、90℃で1hr反応を行った。反応生成物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄した。
その後、精製したn−ヘプタンを導入して液レベルを4Lに調整した。ここに、ジメチルジビニルシランを30ml、(i−Pr)2Si(OMe)2を30ml、Et3Alのn−ヘプタン希釈液をEt3Alとして80g添加し、40℃で2hr反応を行った。反応生成物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄し、得られたスラリーの一部をサンプリングして乾燥した。分析したところ、固体成分にはTiが1.2wt%、(i−Pr)2Si(OMe)2が8.8wt%含まれていた。
上記で得られた固体成分を用いて、以下の手順により予備重合を行った。上記のスラリーに精製したn−ヘプタンを導入して、固体成分の濃度が20g/Lとなる様に調整した。スラリーを10℃に冷却した後、Et3Alのn−ヘプタン希釈液をEt3Alとして10g添加し、280gのプロピレンを4hrかけて供給した。プロピレンの供給が終わった後、更に30min反応を継続した。次いで、気相部を窒素で充分に置換し、反応生成物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄した。得られたスラリーをオートクレーブから抜き出し、真空乾燥を行って固体触媒成分(A)を得た。この固体触媒成分(A)は、固体成分1gあたり2.5gのポリプロピレンを含んでいた。分析したところ、この固体触媒成分(A)のポリプロピレンを除いた部分には、Tiが1.0wt%、Mgが17.5wt%、(i−Pr)2Si(OMe)2が8.2wt%含まれていた。
添付した図3に示したフローシートによって説明する。攪拌羽根を有する横形重合器(L/D=3.7、内容積100リットル)に上記予備活性化処理した固体触媒(A)を0.30g/hr、有機アルミ化合物としてトリエチルアルミニウムを固体触媒(A)中のMgに対してAl/Mgモル比が5となるよう連続的に供給した。反応温度65℃、反応圧力2.0MPa、攪拌速度35rpmの条件を維持しながら、重合器内の気相中の水素濃度を表1に示した水素/プロピレンモル比に維持するように、水素ガスを循環配管302より連続的に供給して、第1段重合体のMFRを調節した。
生成した第1段重合の重合体は、重合体の保有レベルが反応容積の50容量%となる様に配管311を通して重合器10から連続的に抜き出し、第2重合工程の重合器20に供給した。この時、配管311から重合体の一部を間欠的に採取して、MFRおよび触媒単位重量当たりの重合体収量を測定する試料とした。触媒単位重量当たりの重合体収量は、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP法)により測定した重合体中のMg含有量から算出した。
攪拌羽根を有する横形重合器20(L/D=3.7、内容積100リットル)に第1段重合槽からのプロピレン重合体、および配管35よりエチレン−プロピレン混合ガスを連続的に供給し、エチレンとプロピレンの共重合を行った。反応条件は攪拌速度25rpm、温度60℃、圧力1.9MPaであり、気相のガス組成を表1に示すエチレン/プロピレンモル比および水素/エチレンモル比に調整した。プロピレン−エチレン共重合体の重合量を調節するための重合活性抑制剤として酸素、およびエチレン/プロピレン共重合体の分子量を調節するための水素ガスを配管38よりそれぞれ供給した。
第2重合工程で生成したプロピレン系ブロック共重合体組成物は、重合体の保有レベルが反応容積の50容量%となる様に配管313を通して重合器20から連続的に抜き出した。
プロピレン系ブロック共重合体組成物の生産速度は15.1/hrであった。
成分(C)の添加位置を9a(第1段重合槽の上流末端より79%の位置の頂部)とした以外は実施例1に準拠して実施した。結果を表1に示す。
成分(C)の添加位置9bを第二段重合槽の上流末端より30%の頭頂部とし、成分(C)添加量と成分(B)添加量の比を1.5とした以外は実施例1に準拠して実施した。結果を表1に示す。
成分(C)添加量と成分(B)添加量の比を3.0とした以外は実施例1に準拠して実施した。結果を表1に示す。
成分(C)添加量と成分(B)添加量の比を1.0とし、第二段重合体の重合比率を35%とした以外は実施例1に準拠して実施した。結果を表1に示す。
(1)固体触媒成分の調製
1)予備重合
実施例1で得られた固体成分(A1)を用いて、以下の手順により予備重合を行った。上記のスラリーに精製したn−ヘキサンを導入して、固体成分(A1)の濃度が20g/Lとなる様に調整した。スラリーを室温で、Et3Alのn−ヘキサン希釈液をEt3Alとして10g、iPr2Si(Me)2のn−ヘキサン希釈液をとして2.3g添加し、200gのプロピレンを4hrかけて供給した。プロピレンの供給が終わった後、更に30min反応を継続した。次いで、気相部を窒素で充分に置換し、触媒(A)を得た。この触媒1gあたり2.2gのポリプロピレンを含んでいた。また、予備重合後の触媒(A)の平均粒径は60μmであった。
2)プロピレン系ブロック共重合体の重合
固体触媒(A)を0.63g/hr、有機アルミ化合物としてトリエチルアルミニウムおよび有機ケイ素化合物としてジイソプロピルジメトキシシランを、Al/Mgモル比が5、Al/Siモル比が9となるよう連続的に供給した以外は実施例2に準拠して実施した。結果を表1に示す。
成分(C)を添加せずに、プロピレン系ブロック共重合体を製造した以外は実施例1に準拠して実施した。結果を表1に示す。
成分(C)を添加せずに、プロピレン系ブロック共重合体を製造した以外は実施例5に準拠して実施した。結果を表1に示す。
成分(C)を第1段重合工程から第二段重合工程の間の移送流路に添加した以外は実施例1に準拠して実施した。結果を表1に示す。
従って、実施例はプロピレン系ブロック共重合体の製造方法において、本発明の製造方法の特定事項である、横型反応器にて特定の固体触媒を用いてプロピレン系ブロック共重合体を製造する上で、特定の電子供与化合物を添加することは、ゲルや塊の減少およびパウダーの流動性を良好に保つという点で、優れた結果が得られていると言える。
3、5:原料プロピレン補給配管
4、6:原料補給配管(水素など)
7、38:(重合)活性抑制剤添加用配管
8、9a、9b、9c:成分(C)供給配管
10:重合器(第1重合工程)
11、21:気液分離槽
12、24:反応器上流末端
13、23、34、37:未反応ガス抜出し配管
14、22:反応器下流末端
15、25:凝縮機
16、26:圧縮機
17、27、33、36:原料液化プロピレン補給配管
118、228:軸
18、28、302、305:原料混合ガス供給配管
20:重合器(第2重合工程)
30:脱ガス槽
32、39、311、313:重合体抜出し配管
35、312:重合体供給配管
Claims (12)
- 内部に水平軸回りに回転する撹拌機を有する横型反応器を用いて気相法によりプロピレン系ブロック共重合体を連続的に製造する方法であって、
下記の成分(A)及び成分(B)からなる触媒の存在下、プロピレンまたはプロピレンとエチレンを含む他のαオレフィンとを重合させてプロピレンの単独重合体またはプロピレンと他のαオレフィンとの共重合体を得る第一工程と、該第一工程で得られた重合反応物の存在下、プロピレンとエチレンを含む他のαオレフィンとを共重合体反応系へ供給してプロピレンと他のαオレフィンとを共重合させる第二工程とからなり、
その際、第一工程または第二工程のいずれか、あるいは両方で、キラー剤として下記の成分(C)を添加することを特徴とするプロピレン系ブロック共重合体の気相連続製造方法。
成分(A):次の成分(A1)、(A2)、及び(A3)を接触処理してなる固体触媒成分
成分(A1):チタン、マグネシウム及びハロゲンを必須成分として含有する固体成分
成分(A2):ビニルシラン化合物
成分(A3):アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物、及び/又は、少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物を接触処理してなる固体触媒成分
成分(B):有機アルミニウム化合物
成分(C):電子供与体化合物 - 成分(C)は、第一工程に対応する重合槽の最下流末端から上流方向へ1/3までの間、または第二工程に対応する重合槽の最上流末端から下流方向へ1/3までの間のいずれか、あるいは両方で、添加することを特徴とする請求項1に記載のプロピレン系ブロック共重合体の気相連続製造方法。
- 成分(C)は、第二工程に対応する重合槽の最上流末端から下流方向へ1/3までの間に添加することを特徴とする請求項1又は2に記載のプロピレン系ブロック共重合体の気相連続製造方法。
- 添加される成分(C)の総量が、成分(B)に対して0.5〜20倍モルであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のプロピレン系ブロック共重合体の気相連続製造方法。
- 成分(C)が、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン又は酢酸メチルから選ばれる少なくとも一種の化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のプロピレン系ブロック共重合体の気相連続製造方法。
- 成分(A2)のビニルシラン化合物が、下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のプロピレン系ブロック共重合体の気相連続製造方法。
[CH2=CH−]mSiXnR1 j(OR2)k …(1)
(式中、Xはハロゲンを表し、R1は水素若しくは炭化水素基を表し、R2は水素若しくは炭化水素基若しくは有機ケイ素基を表し、m≧1、0≦n≦3、0≦j≦3、0≦k≦2、m+n+j+k=4である。) - 成分(A3)のアルコキシ基を有する有機ケイ素化合物が、下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のプロピレン系ブロック共重合体の気相連続製造方法。
R3R4 aSi(OR5)b …(2)
(式中、R3は炭化水素基若しくはヘテロ原子含有炭化水素基を表す。R4は水素、ハロゲン、炭化水素基及びヘテロ原子含有炭化水素基から選ばれる任意の遊離基を表し、R5は炭化水素基を表し、0≦a≦2、1≦b≦3、a+b=3である。) - 固体触媒成分(A)が、予備重合されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のプロピレン系ブロック共重合体の気相連続製造方法。
- 第一工程での触媒活性が、15,000gPP/h・g触媒以上であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のプロピレン系ブロック共重合体の気相連続製造方法。
- 第二工程に、標準状態で気体である重合活性抑制剤を添加することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のプロピレン系ブロック共重合体の気相連続製造方法。
- 第一工程におけるプロピレン単独重合体またはプロピレンと他のαオレフィンとの共重合体が、230℃、21.18Nで測定したMFRが50g/10分以上であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のプロピレン系ブロック共重合体の気相連続製造方法。
- 第二工程での重合量が、全重合量に対して20重量%より多いことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のプロピレン系ブロック共重合体の気相連続製造方法。
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