JP2007254671A - ポリプロピレンの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた製品品質を備えた高MFRのポリプロピレンを高い生産性で製造する方法の提供。
【解決手段】反応熱を主として液化プロピレンの気化熱により除去する気相法プロセスによってポリプロピレンを製造する方法において、下記の成分(A1)、(A2)、及び(A3)を接触処理してなる固体触媒成分(A)を用いることを特徴とするポリプロピレンの製造方法。
成分(A1):チタン、マグネシウム及びハロゲンを必須成分として含有する固体成分
成分(A2):ビニルシラン化合物
成分(A3):アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物、及び/又は、少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリプロピレンの製造方法に関し、更に詳しくは、特定の気相法プロセスと特定の固体触媒成分を用いることにより、高い生産性でポリプロピレン、とりわけMFRの高いポリプロピレンを製造する方法に関するものである。
ポリプロピレンは、剛性や耐熱性などの機械的物性が良好であり、比較的安価に製造することが可能なことから広い用途に適用されている。代表的な用途の一つとして、自動車のバンパーなどの射出成形用途が挙げられるが、近年、射出成形工程の生産性を向上させるためにポリプロピレンのMFRを高くすることが望まれてきている。
一方、ポリプロピレンの製造プロセスに関しては、工程の簡略化と生産コストの低減及び生産性の向上などの観点で技術改良が続けられてきた。ポリプロピレンが工業的に製造され始めた当時は触媒の性能が低く、得られたポリプロピレンから触媒残さやアタクチックポリマーを除去する工程が必要であり、溶媒を用いたスラリー法などのプロセスが主体であった。その後触媒性能が格段に進歩するにつれ、現在では気相法プロセスが主流となっている。各種気相法プロセスの中でも液化プロピレンの潜熱を利用して重合熱を除去する方法は、小さな設備で大きな除熱能力を持つ事が出来る点で優位性のあるものである。
液化プロピレンの蒸発潜熱を利用して重合熱を除去する形式のオレフィンの気相重合槽として、水平軸回りに回転する撹拌機を有する横型反応器が知られている。
一般的に、重合反応により触媒粒子はポリマー粒子へと徐々に成長していく。横型反応器で重合を行う場合、重合によるポリプロピレンの生成と機械的な撹拌の2つの力により、これらの粒子は徐々に成長しながら反応器の軸方向に沿って進んでいく。そのため、反応器の上流から下流に向かって、成長度すなわち滞留時間のそろった粒子が経時的に並ぶ事になる。すなわち、横型反応器ではフローパターンがピストンフロー型となり、完全混合槽を数台直列に並べた場合と同程度に滞留時間分布を狭くする効果がある。これは、その他の重合反応器には見られない優れた特徴であり、単一の反応器で2個、3個又はそれ以上の反応器と同等な固体混合度を容易に達成することができる点で経済的に有利である。
ポリプロピレンの製造を行う際に、液化プロピレンの蒸発潜熱を利用して重合熱の除去を行い、かつ、水平軸回りに回転する撹拌機を有する横型筒状反応器を用いる手法は、上記の様な優れた特徴を有している。
この様に、液化プロピレンの潜熱を利用した気相法プロセスは、優れた特徴を有しているが、近年望まれているMFRの高いポリプロピレンを製造する場合には生産性の面で解決すべき課題を抱えている。液化プロピレンの潜熱を利用する場合、重合槽からガスを抜き出し、熱交換器で冷却する事により液化させ、再び重合槽へ戻すのが一般的な方法である。ガスが液化する温度(露点)は圧力およびガスの組成に依存するため、プロピレン単独の露点に対して、プロピレンに水素やエチレンなどの露点の低いガス成分を混合していくと、混合量の増加に従って露点が低下する。熱交換器の冷却能力は設備によって決まるものであり、同一設備を使用する場合にはガス成分の露点が低くなるほどガスを液化させる能力が低下、すなわち、除熱能力が低下してしまう。一方で、ポリプロピレンを製造する場合には、連鎖移動反応を起こす能力のある水素を分子量調節剤として用いるのが一般的である。よりMFRの高い、すなわち、より分子量の低いポリプロピレンを製造するためには、より高濃度の水素を用いる必要がある。故に、液化プロピレンの潜熱を利用する気相法プロセスでは、高MFRのポリプロピレンを製造しようとすると、除熱の問題から生産性が落ちてしまう問題が発生するのである。
触媒を改良することにより、この課題を解決する方法が幾つか提案されている。例えば、助触媒として有機アルミニウム成分とアルモキサンを併用する方法(例えば、特許文献1参照。)、助触媒として有機アルミニウム成分と有機亜鉛成分を併用する方法(例えば、特許文献2参照。)、ハロゲン含有成分を固体触媒に担持する方法(例えば、特許文献3参照。)、アミノ基を有する有機ケイ素化合物を用いる方法(例えば、特許文献4、5、6参照。)、分岐若しくは脂環式炭化水素基とアミノ基を併せ持つ特定の有機ケイ素化合物を使用する方法(例えば、特許文献7、8参照。)等が提案されている。
しかしながら、発明者等が知る限りでは、高MFRのポリプロピレンの生産性という意味では、未だ充分な性能を示すものはなく、更なる改良技術の開発が望まれている。
特開平7−25927号公報 特開平8−66710号公報 特開2000−7725号公報 特開平8−3215号公報 特開2004−315742号公報 特開2005−48045号公報 特開平8−100019号公報 特開平8−157519号公報
本発明は、かかる従来技術の状況において、優れた製品品質を備えた高MFRのポリプロピレンを高い生産性で製造する方法を実現することを発明の課題とするものである。
本出願人は、プロピレン向けの重合触媒として、特定のビニルシラン化合物を用いると高立体規則性かつ高活性な触媒を得ることが出来る事を見いだし、特許出願を行っている。この手法は立体規則性と活性に関しては高い改良効果を示すものであるが、スラリー重合法などにおいては特に高MFRのプロピレン系重合体の生産性を改良する効果は見いだされていなかった。ところが、本発明者等がこの手法に関して各種プロセスへの応用手法を鋭意検討した所、主に液化プロピレンの潜熱を用いて除熱を行う気相法プロセスと組み合わせた場合、高MFRのプロピレン系重合体の生産性を著しく高める事が出来る事実を見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、反応熱を主として液化プロピレンの気化熱により除去する気相法プロセスによってポリプロピレンを製造する方法において、下記の成分(A1)、(A2)、及び(A3)を接触処理してなる固体触媒成分(A)を用いることを特徴とするポリプロピレンの製造方法が提供される。
成分(A1):チタン、マグネシウム及びハロゲンを必須成分として含有する固体成分
成分(A2):ビニルシラン化合物
成分(A3):アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物、及び/又は、少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、気相法プロセスが、攪拌機を有する反応器で重合を行なうことを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレンの製造方法が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、ポリプロピレンが、MFR50g/10分以上のプロピレン単独重合体であることを特徴とするポリプロピレンの製造方法が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1又は2の発明において、ポリプロピレンが、主としてプロピレンからなる重合体成分のMFRが50g/10分以上であるプロピレンとエチレン及び/又は炭素数4〜10のα−オレフィンとのブロック共重合体であることを特徴とするポリプロピレンの製造方法が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、ビニルシラン化合物(A2)が、下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とするポリプロピレンの製造方法が提供される。
[CH=CH−]SiX (OR …(2)
(式中、Xはハロゲンを表し、Rは水素若しくは炭化水素基を表し、Rは水素若しくは炭化水素基若しくは有機ケイ素基を表し、m≧1、0≦n≦3、0≦j≦3、0≦k≦2、m+n+j+k=4である。)
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物が、下記一般式(3)で表される化合物であることを特徴とするポリプロピレンの製造方法。
Si(OR …(3)
(式中、Rは炭化水素基若しくはヘテロ原子含有炭化水素基を表す。Rは水素、ハロゲン、炭化水素基及びヘテロ原子含有炭化水素基から選ばれる任意の遊離基を表し、Rは炭化水素基を表し、0≦a≦2、1≦b≦3、a+b=3である。)
また、本発明の第7の発明によれば、第1〜6のいずれかの発明において、固体触媒成分(A)が予備重合されていることを特徴とするポリプロピレンの製造方法が提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、第1〜7のいずれかの発明において、触媒活性が、30,000gPP/g触媒以上であることを特徴とするポリプロピレンの製造方法が提供される。
また、本発明の第9の発明によれば、第1〜8のいずれかの発明において、気相法プロセスが、内部に水平軸周りに回転する攪拌機を有する横型反応器を用いて重合することを特徴とするポリプロピレンの製造方法が提供される。
また、本発明の第10の発明によれば、第1〜9のいずれかの発明において、パーオキサイドを用いないことを特徴とするポリプロピレンの製造方法が提供される。
本発明のポリプロピレンの製造法を用いれば、高MFRのポリプロピレンを高い生産性で製造することが出来る。また、触媒活性が非常に高いので、製造コストも低減することが可能である。加えて、得られるポリプロピレンの立体規則性が高いので、剛性が高く、べたつきの少ない高品質な製品を得ることが出来る。こうして得られたポリプロピレンは、特に自動車部品や家電部品に代表される射出成形用途に好適に用いることが出来る。
本発明を、以下に、触媒、製造プロセス及び条件、ポリプロピレン、ポリプロピレンの用途について、具体的かつ詳細に説明する。
[I]触媒
本発明においては、ポリプロピレン用の触媒として、(A1)チタン、マグネシウム、ハロゲンを必須成分として含有する固体成分、(A2)ビニルシラン化合物及び(A3)アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物(A3a)、及び/又は、少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(A3b)を接触させてなる固体触媒成分(A)を用いることを特徴とする。この際、本発明の効果を損なわない範囲で、有機アルミニウム化合物(B)、有機ケイ素化合物(C)、及び、少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(D)、などの任意成分を用いることが出来る。
1.固体触媒成分(A)
本発明で用いる固体触媒成分(A)は以下の(A1)〜(A3)を接触させてなるものである。この際本発明の効果を損なわない範囲で、有機アルミニウム化合物(A4)の様な他の任意成分を任意の方法で接触させても良い。以下に各構成成分を詳述する。
(1)固体成分(A1)
本発明において、固体成分(A1)としては、チタン(A1a)、マグネシウム(A1b)、ハロゲン(A1c)を必須成分として含有し、任意成分として電子供与体(A1d)を用いることが出来る。ここで、「必須成分として含有する」という事は、挙示の三成分以外に、本発明の効果を損なわない範囲で任意の成分を任意の形態で含んでも良いという事を示すものである。チタン、マグネシウム、ハロゲンを必須成分として含有する固体成分自体は公知のものであり、以下に詳述する。
(A1a)チタン
チタン源となるチタン化合物としては、任意のものを用いることが出来る。代表的な例としては特開平3−234707号公報に開示されている化合物を挙げることが出来る。チタンの価数に関しては、4価、3価、2価、0価の任意の価数を持つチタン化合物を用いることが出来るが、好ましくは4価および3価のチタン化合物、更に好ましくは4価のチタン化合物を用いる事が望ましい。
4価のチタン化合物の具体例としては、四塩化チタンに代表されるハロゲン化チタン化合物類、テトラブトキシチタンに代表されるアルコキシチタン化合物類、テトラブトキシチタンダイマー(BuO)Ti−O−Ti(OBu)に代表されるTi−O−Ti結合を有するアルコキシチタンの縮合化合物類、ジシクロペンタジエニルチタニウムジクロライドに代表される有機金属チタン化合物類、などを挙げることが出来る。この中で、四塩化チタンとテトラブトキシチタンが特に好ましい。
3価のチタン化合物の具体例としては、三塩化チタンに代表されるハロゲン化チタン化合物類を挙げることが出来る。三塩化チタンは、水素還元型、金属アルミニウム還元型、金属チタン還元型、有機アルミニウム還元型、など、公知の任意の方法で製造された化合物を用いることが出来る。
上記のチタン化合物類は単独で用いるだけではなく、複数の化合物を併用する事も可能である。また、上記チタン化合物類の混合物や平均組成式がそれらの混合された式となる化合物(例えば、Ti(OBu)Cl4−m;0<m<4などの化合物)、また、フタル酸エステル等のその他の化合物との錯化物(例えば、Ph(COBu)・TiClなどの化合物)、などを用いる事が出来る。
(A1b)マグネシウム
マグネシウム源となるマグネシウム化合物としては、任意のものを用いることが出来る。代表的な例としては、特開平−234707号公報に開示されている化合物を挙げることが出来る。一般的には、塩化マグネシウムに代表されるハロゲン化マグネシウム化合物類、ジエトキシマグネシウムに代表されるアルコキシマグネシウム化合物類、金属マグネシウム、酸化マグネシウムに代表されるオキシマグネシウム化合物類、水酸化マグネシウムに代表されるヒドロキシマグネシウム化合物類、ブチルマグネシウムクロライドに代表されるグリニャール化合物類、ブチルエチルマグネシウムに代表される有機金属マグネシウム化合物類、炭酸マグネシウムやステアリン酸マグネシウムに代表される無機酸及び有機酸のマグネシウム塩化合物類、及びそれらの混合物や平均組成式がそれらの混合された式となる化合物(例えば、Mg(OEt)Cl2−m;0<m<2などの化合物)、などを用いる事が出来る。この中で特に好ましいのは、塩化マグネシウム、ジエトキシマグネシウム、金属マグネシウム、ブチルマグネシウムクロライドである。
(A1c)ハロゲン
ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、沃素、及びそれらの混合物を用いる事が出来る。この中で塩素が特に好ましい。
ハロゲンは上記のチタン化合物類及び/又はマグネシウム化合物から供給されるのが一般的であるが、その他の化合物より供給することも出来る。代表的な例としては、四塩化ケイ素に代表されるハロゲン化ケイ素化合物類、塩化アルミニウムに代表されるハロゲン化アルミニウム化合物類、1,2−ジクロロエタンやベンジルクロライドに代表されるハロゲン化有機化合物類、トリクロロボランに代表されるハロゲン化ボラン化合物類、五塩化リンに代表されるハロゲン化リン化合物類、六塩化タングステンに代表されるハロゲン化タングステン化合物類、五塩化モリブデンに代表されるハロゲン化モリブデン化合物類、などを挙げることが出来る。これらの化合物は単独で用いるだけでなく、併用する事も可能である。この中で、四塩化ケイ素が特に好ましい。
(A1d)電子供与体
固体成分(A1)は、任意成分として電子供与体を含有しても良い。電子供与体(A1d)の代表的な例としては、特開2004−124090号公報に開示されている化合物を挙げることが出来る。一般的には、有機酸及び無機酸並びにそれらの誘導体(エステル、酸無水物、酸ハライド、アミド)化合物類、エーテル化合物類、ケトン化合物類、アルデヒド化合物類、アルコール化合物類、アミン化合物類、などを用いることが望ましい。
電子供与体として用いる事の出来る有機酸化合物としては、フタル酸に代表される芳香族多価カルボン酸化合物類、安息香酸に代表される芳香族カルボン酸化合物類、2−n−ブチル−マロン酸の様な2位に一つ又は二つの置換基を有するマロン酸や2−n−ブチル−コハク酸の様な2位に一つ又は二つの置換基若しくは2位と3位にそれぞれ一つ以上の置換基を有するコハク酸に代表される脂肪族多価カルボン酸化合物類、プロピオン酸に代表される脂肪族カルボン酸化合物類、ベンゼンスルホン酸やメタンスルホン酸に代表される芳香族及び脂肪族のスルホン酸化合物類、などを例示する事が出来る。これらのカルボン酸化合物類及びスルホン酸化合物類は、芳香族・脂肪族に関わらず、マレイン酸の様に分子中の任意の場所に任意の数だけ不飽和結合を有しても良い。
電子供与体として用いることの出来る有機酸の誘導体化合物としては、上記有機酸のエステル、酸無水物、酸ハライド、アミド、などを例示する事が出来る。
エステルの構成要素であるアルコールとしては、脂肪族及び芳香族アルコールを用いることが出来る。これらのアルコールの中でも、エチル基、ブチル基、イソブチル基、ヘプチル基、オクチル基、ドデシル基、等の炭素数1から20の脂肪族の遊離基からなるアルコールが好ましい。更に好ましくは炭素数2から12の脂肪族の遊離基からなるアルコールが望ましい。また、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、等の脂環式の遊離基からなるアルコールを用いる事も出来る。
酸ハライドの構成要素であるハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、沃素、等を用いる事が出来る。中でも、塩素が最も好ましい。多価有機酸のポリハライドの場合は複数のハロゲンが同一であっても異なっていても良い。
アミドの構成要素であるアミンとしては、脂肪族及び芳香族アミンを用いることが出来る。これらのアミンの中でも、アンモニア、エチルアミンやジブチルアミンに代表される脂肪族アミン、アニリンやベンジルアミンに代表される芳香族の遊離基を分子内に有するアミン、などを好ましい化合物として例示する事が出来る。
電子供与体として用いることの出来る無機酸化合物としては、炭酸、リン酸、ケイ酸、硫酸、硝酸、などを例示することが出来る。これらの無機酸の誘導体化合物としては、エステルを用いることが望ましい。テトラエトキシシラン(ケイ酸エチル)、テトラブトキシシラン(ケイ酸ブチル)、などを具体例として挙げることが出来る。
電子供与体として用いることの出来るエーテル化合物としては、ジブチルエーテルに代表される脂肪族エーテル化合物類、ジフェニルエーテルに代表される芳香族エーテル化合物類、2−イソプロピル−2−イソブチル−1,3−ジメトキシプロパンや2−イソプロピル−2−イソペンチル−1,3−ジメトキシプロパンの様な2位に一つ又は二つの置換基を有する1,3−ジメトキシプロパンに代表される脂肪族多価エーテル化合物類、9,9−ビス(メトキシメチル)フルオレン、に代表される芳香族の遊離基を分子内に有する多価エーテル化合物類、などを例示する事が出来る。多価エーテル化合物類の好ましい例は、本明細書中の少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(D)の例示からから選ぶことが出来る。
電子供与体として用いることの出来るケトン化合物としては、メチルエチルケトンに代表される脂肪族ケトン化合物類、アセトフェノンに代表される芳香族ケトン化合物類、2,2,4,6,6−ペンタメチル−3,5−ヘプタンジオンに代表される多価ケトン化合物類、などを例示することが出来る。
電子供与体として用いることの出来るアルデヒド化合物としては、プロピオンアルデヒドに代表される脂肪族アルデヒド化合物類、ベンズアルデヒドに代表される芳香族アルデヒド化合物類、などを例示する事が出来る。
電子供与体として用いることの出来るアルコール化合物としては、ブタノールや2−エチルヘキサノールに代表される脂肪族アルコール化合物類、フェノール、クレゾールに代表されるフェノール誘導体化合物類、グリセリンや1,1’−ビ−2−ナフトールに代表される脂肪族若しくは芳香族の多価アルコール化合物類、などを例示することが出来る。
電子供与体として用いることの出来るアミン化合物としては、ジエチルアミンに代表される脂肪族アミン化合物類、2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジンに代表される窒素含有脂環式化合物類、アニリンに代表される芳香族アミン化合物類、ピリジンに代表される窒素原子含有芳香族化合物類、1,3−ビス(ジメチルアミノ)−2,2−ジメチルプロパンに代表される多価アミン化合物類、などを例示することが出来る。
また、電子供与体として用いることの出来る化合物として、上記の複数の官能基を同一分子内に含有する化合物を用いることも出来る。その様な化合物の例として、酢酸−(2−エトキシエチル)や3−エトキシ−2−t−ブチルプロピオン酸エチルに代表されるアルコシ基を分子内に有するエステル化合物類、2−ベンゾイル−安息香酸エチルに代表されるケトエステル化合物類、(1−t−ブチル−2−メトキシエチル)メチルケトンに代表されるケトエーテル化合物類、N,N−ジメチル−2,2−ジメチル−3−メトキシプロピルアミンに代表されるアミノエーテル化合物類、エポキシクロロプロパンに代表されるハロゲノエーテル化合物類、などを挙げることが出来る。
これらの電子供与体は、単独で用いるだけでなく、複数の化合物を併用することも出来る。これらの中で好ましいのは、フタル酸ジブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジヘプチルに代表されるフタル酸エステル化合物類、フタロイルジクロライドに代表されるフタル酸ハライド化合物類、2−n−ブチル−マロン酸ジエチルの様な2位に一つ又は二つの置換基を有するマロン酸エステル化合物類、2−n−ブチル−コハク酸ジエチルの様な2位に一つ又は二つの置換基若しくは2位と3位にそれぞれ一つ以上の置換基を有するコハク酸エステル化合物類、2−イソプロピル−2−イソブチル−1,3−ジメトキシプロパンや2−イソプロピル−2−イソペンチル−1,3−ジメトキシプロパンの様な2位に一つ又は二つの置換基を有する1,3−ジメトキシプロパンに代表される脂肪族多価エーテル化合物類、9,9−ビス(メトキシメチル)フルオレンに代表される芳香族の遊離基を分子内に有する多価エーテル化合物類、などである。
本発明における固体成分(A1)を構成する各成分の使用量の量比は、本発明の効果を損なわない範囲で任意のものでありうるが、一般的には、次の範囲内が好ましい。
チタン化合物類の使用量は、使用するマグネシウム化合物類の使用量に対してモル比(チタン化合物のモル数/マグネシウム化合物のモル数)で、好ましくは0.0001から1,000の範囲内であり、特に好ましくは0.01から10の範囲内が望ましい。マグネシウム化合物類及びチタン化合物類以外にハロゲン源となる化合物を使用する場合は、その使用量はマグネシウム化合物類及びチタン化合物類の各々がハロゲンを含むか含まないかに関わらず、使用するマグネシウム化合物類の使用量に対してモル比(ハロゲン源となる化合物のモル数/マグネシウム化合物のモル数)で、好ましくは0.01から1,000の範囲内であり、特に好ましくは0.1から100の範囲内が望ましい。
固体成分(A1)を調製する際に任意成分として電子供与体を用いる場合の使用量は、使用するマグネシウム化合物の量に対してモル比(電子供与体のモル数/マグネシウム化合物のモル数)で、好ましくは0.001から10の範囲内であり、特に好ましくは0.01から5の範囲内が望ましい。
本発明における固体成分(A1)は、上記の構成する各成分を上記の量比で接触して得られる。各成分の接触条件は、酸素を存在させないことが必要であるものの、本発明の効果を損なわない範囲で任意の条件を用いることが出来る。一般的には、次の条件が好ましい。
接触温度は、−50から200℃程度、好ましくは0から100℃である。接触方法としては、回転ボールミルや振動ミルなどによる機械的な方法、並びに、不活性希釈剤の存在下に撹拌により接触させる方法、などを例示することが出来る。
固体成分(A1)の調製の際には、中間及び/又は最後に不活性溶媒で洗浄を行っても良い。好ましい溶媒種としては、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素化合物、トルエンなどの芳香族炭化水素化合物、及び、1,2−ジクロロエチレンやクロロベンゼンなどのハロゲン含有炭化水素化合物、などを例示することが出来る。
本発明における固体成分(A1)の調製方法としては任意の方法を用いることが出来る。具体的には、下記の特許に開示された方法を例示する事が出来る。なお、本発明は下記例示により何ら制限されるものではない。
(i)塩化マグネシウムに代表されるハロゲンを含有するマグネシウム化合物類にチタン含有化合物類を接触させる方法。必要に応じて電子供与体やハロゲン化ケイ素化合物等の任意成分を接触させても良い。この際、任意成分はチタン含有化合物類と同時に接触させても良いし、別々に接触させても良い。
(ii)塩化マグネシウムに代表されるハロゲンを含有するマグネシウム化合物類をアルコール化合物類、エポキシ化合物類、及び、リン酸エステル化合物類等を用いて溶解し、四塩化チタンに代表されるハロゲンを含有するチタン化合物類と接触させる方法。ハロゲンを含有するチタン化合物類と接触させる前に、スプレードライや冷却した炭化水素溶媒等の貧溶媒へ滴下する方法などを用いて粒子形成を行っても良い。また、必要に応じて電子供与体やハロゲン化ケイ素化合物等の任意成分を接触させても良い。この際、任意成分はハロゲンを含有するチタン化合物類と同時に接触させても良いし、別々に接触させても良い。
(iii)塩化マグネシウムに代表されるハロゲンを含有するマグネシウム化合物類とテトラブトキシチタンに代表されるアルコキシ基含有チタン化合物類及び特定のポリマーケイ素化合物成分を接触させて得られる固体成分に、四塩化チタンに代表されるハロゲンを含有するチタン化合物類及び/又は四塩化ケイ素に代表されるハロゲンを含有するケイ素化合物類を接触させる方法。このポリマーケイ素化合物としては、下記一般式(1)で示されるものが適当である。
[−Si(H)(R)−O−]q …(1)
(ここで、Rは炭素数1から10程度の炭化水素基であり、qはこのポリマーケイ素化合物の粘度が1から100センチストークス程度となるような重合度を示す。)
具体的な化合物の例としては、メチルハイドロジェンポリシロキサン、フェニルハイドロジェンポリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、等を挙げることが出来る。また、必要に応じて電子供与体等の任意成分を接触させても良い。この際、任意成分はハロゲンを含有するチタン化合物類及び/又はハロゲンを含有するケイ素化合物類と同時に接触させても良いし、別々に接触させても良い。
(iv)ジエトキシマグネシウムに代表されるアルコキシ基含有マグネシウム化合物類をテトラブトキシチタンに代表されるアルコキシ基含有チタン化合物類と接触させた後、ハロゲン化剤又は四塩化チタンに代表されるハロゲンを含有するチタン化合物類と接触させる方法。必要に応じて電子供与体等の任意成分を接触させても良い。この際、任意成分はハロゲン化剤又はハロゲンを含有するチタン化合物類と同時に接触させても良いし、別々に接触させても良い。
(v)ジエトキシマグネシウムに代表されるアルコキシ基含有マグネシウム化合物類に四塩化チタンに代表されるハロゲンを含有するチタン化合物類と接触させる方法。必要に応じて電子供与体やハロゲン化ケイ素化合物等の任意成分を接触させても良い。この際、任意成分はハロゲンを含有するチタン化合物類と同時に接触させても良いし、別々に接触させても良い。
(vi)金属マグネシウムにアルコール及び必要に応じて沃素に代表される沃素含有化合物類を接触させた後、四塩化チタンに代表されるハロゲンを含有するチタン化合物類と接触させる方法。必要に応じて電子供与体やハロゲン化ケイ素化合物等の任意成分を接触させても良い。この際、任意成分はハロゲンを含有するチタン化合物類と同時に接触させても良いし、別々に接触させても良い。
(vii)ブチルマグネシウムクロライドに代表されるグリニャー試薬等の有機マグネシウム化合物類とチタン含有化合物類を接触させる方法。チタン含有化合物類としては、テトラブトキシチタンに代表されるアルコキシ基含有チタン化合物類や四塩化チタンに代表されるハロゲンを含有するチタン化合物類などを用いることが出来る。必要に応じて電子供与体、テトラエトキシシランに代表されるアルコキシ基含有ケイ素化合物、及び、ハロゲン化ケイ素化合物等の任意成分を接触させても良い。この際、任意成分はチタン含有化合物と同時に接触させても良いし、別々に接触させても良い。
(2)ビニルシラン化合物(A2)
本発明に用いられるビニルシラン化合物(A2)としては、特開平2−34707号公報及び特開2003−292522号公報に開示された化合物等を用いることが出来る。これらのビニルシラン化合物はモノシラン(SiH)の水素原子の少なくとも一つがビニル基類で置換され、残りの水素原子の一部ないし全部がその他の遊離基に置き換えられた構造を持つ化合物であり、下記一般式(2)で表すことが出来る。
[CH=CH−]SiX (OR …(2)
(一般式(2)中、Xはハロゲンを表す。Rは水素若しくは炭化水素基を表す。Rは水素若しくは炭化水素基若しくは有機ケイ素基を表す。m≧1,0≦n≦3,0≦j≦3,0≦k≦2,m+n+j+k=4である。)
一般式(2)中、mはビニル基の数を表し、1以上4以下の値を取る。より好ましくは、mの値は1又は2である事が望ましく、特に好ましくは2である。
一般式(2)中、Xはハロゲンを表し、フッ素、塩素、臭素、沃素、などを例示する事が出来る。複数存在する場合はお互いに同一であっても異なっても良い。この中で、塩素が特に好ましい。nはハロゲンの数を表し、0以上3以下の値を取る。より好ましくは、nの値は0以上2以下である事が望ましく、特に好ましくは0である。
一般式(2)中、Rは水素若しくは炭化水素基を表し、好ましくは水素若しくは炭素数1から20の炭化水素基、より好ましくは水素若しくは炭素数1から12の炭化水素基から選ばれる任意の遊離基を表す。好ましいRの例としては、水素、メチル基やブチル基に代表されるアルキル基、シクロヘキシル基に代表されるシクロアルキル基、フェニル基に代表されるアリール基、などを挙げる事が出来る。特に好ましいRの例としては、水素、メチル基、エチル基、フェニル基、などを挙げる事が出来る。jはRの数を表し、0以上3以下の値を取る。より好ましくは、jの値は1以上3以下である事が望ましく、更に好ましくは2以上3以下であり、特に好ましくは2である。jが2以上である場合、複数存在するRはお互いに同一であっても異なっても良い。
一般式(2)中、Rは水素若しくは炭化水素基若しくは有機ケイ素基を表す。Rが炭化水素基である場合は、Rと同一の化合物群から選択する事が出来る。Rが有機ケイ素基である場合は、炭素数1から20の炭化水素基を有する有機ケイ素基である事が好ましい。Rとして用いることの出来る有機ケイ素基の具体的な例としては、トリメチルシリル基に代表されるアルキル基含有ケイ素基、ジメチルフェニルシリル基に代表されるアリール基含有ケイ素基、ジメチルビニルシリル基に代表されるビニル基含有ケイ素基、およびプロピルフェニルビニルシリル基の様なそれらを組み合わせてなるケイ素基、などを挙げる事が出来る。kはRの数を表し、0以上2以下の値を取る。ビニルトリエトキシシランの様にkの値が3に相当する化合物の場合では、本発明におけるビニルシラン化合物(A2)としての性能は発現せず、本発明におけるアルコキシ基を有する有機ケイ素化合物(A3c)としての性能を発現するため好ましくない。これは、構造的に近いt−ブチルトリエトキシシランと同じ様に振る舞うためと考えられる(後述する通り、このt−ブチルトリエトキシシランは本発明におけるアルコキシ基を有する有機ケイ素化合物(A3c)として有効である)。より好ましくは、kの値は0以上1以下である事が望ましく、特に好ましくは0である。kの値が2である場合、二つのRはお互いに同一であっても異なっても良い。また、kの値に関わらず、RとRは同一であっても異なっても良い。
これらのビニルシラン化合物類は、単独で用いるだけでなく、複数の化合物を併用することも出来る。好ましい化合物の例としては、CH=CH−SiMe、[CH=CH−]SiMe、CH=CH−Si(Cl)Me、CH=CH−Si(Cl)Me、CH=CH−SiCl、[CH=CH−]Si(Cl)Me、[CH=CH−]SiCl、CH=CH−Si(Ph)Me、CH=CH−Si(Ph)Me、CH=CH−SiPh、[CH=CH−]Si(Ph)Me、[CH=CH−]SiPh、CH=CH−Si(H)Me、CH=CH−Si(H)Me、CH=CH−SiH、[CH=CH−]Si(H)Me、[CH=CH−]SiH、CH=CH−SiEt、CH=CH−SiBu、CH=CH−Si(Ph)(H)Me、CH=CH−Si(Cl)(H)Me、 CH=CH−Si(Me)(OMe)、CH=CH−Si(Me)(OSiMe)、CH=CH−Si(Me)−O−Si(Me)−CH=CH、などを挙げることが出来る。これらの中でも、CH=CH−SiMe、[CH=CH−]SiMe、がより好ましく、[CH=CH−]SiMeが最も好ましい。
(3)(A3)アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物(A3a)、及び/又は、少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(A3b)
(A3a)アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物
本発明で用いられるアルコキシ基を有する有機ケイ素化合物(A3a)としては、特開2004−124090号公報に開示された化合物等を用いることが出来る。一般的には、下記一般式(3)にて表される化合物を用いることが望ましい。
Si(OR …(3)
(一般式(3)中、Rは炭化水素基若しくはヘテロ原子含有炭化水素基を表す。Rは水素、ハロゲン、炭化水素基及びヘテロ原子含有炭化水素基から選ばれる任意の遊離基を表す。Rは炭化水素基を表す。0≦a≦2,1≦b≦3,a+b=3である。)
一般式(3)中、Rは炭化水素基若しくはヘテロ原子含有炭化水素基を表す。
として用いることの出来る炭化水素基は、一般に炭素数1から20、好ましくは炭素数3から10のものである。Rとして用いることの出来る炭化水素基の具体的な例としては、n−プロピル基に代表される直鎖状脂肪族炭化水素基、i−プロピル基やt−ブチル基に代表される分岐状脂肪族炭化水素基、シクロペンチル基やシクロヘキシル基に代表される脂環式炭化水素基、フェニル基に代表される芳香族炭化水素基、などを挙げる事が出来る。より好ましくは、Rとして分岐状脂肪族炭化水素基若しくは脂環式炭化水素基を用いる事が望ましく、とりわけ、i−プロピル基、i−ブチル基、t−ブチル基、テキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、などを用いることが望ましい。
がヘテロ原子含有炭化水素基である場合は、ヘテロ原子が、窒素、酸素、硫黄、リン、ケイ素から選ばれる事が望ましく、とりわけ、窒素又は酸素である事が望ましい。Rのヘテロ原子含有炭化水素基の骨格構造としては、Rが炭化水素基である場合の例示から選ぶことが望ましい。とりわけ、N,N−ジエチルアミノ基、キノリノ基、イソキノリノ基、などが好ましい。
一般式(3)中、Rは水素、ハロゲン、炭化水素基若しくはヘテロ原子含有炭化水素基を表す。
として用いることの出来るハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、沃素、などを例示する事が出来る。Rが炭化水素基である場合は、一般に炭素数1から20、好ましくは炭素数1から10のものである。Rとして用いることの出来る炭化水素基の具体的な例としては、メチル基やエチル基に代表される直鎖状脂肪族炭化水素基、i−プロピル基やt−ブチル基に代表される分岐状脂肪族炭化水素基、シクロペンチル基やシクロヘキシル基に代表される脂環式炭化水素基、フェニル基に代表される芳香族炭化水素基、などを挙げる事が出来る。中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、などを用いることが望ましい。
がヘテロ原子含有炭化水素基である場合は、Rがヘテロ原子含有炭化水素基である場合の例示から選ぶことが望ましい。とりわけ、N,N−ジエチルアミノ基、キノリノ基、イソキノリノ基、などが好ましい。
aの値が2の場合、二つあるRは同一であっても異なっても良い。また、aの値に関わらず、はRとR同一であっても異なっても良い。
一般式(3)中、Rは炭化水素基を表す。Rとして用いることの出来る炭化水素基は、一般に炭素数1から20、好ましくは炭素数1から10、更に好ましくは炭素数1から5のものである。Rとして用いることの出来る炭化水素基の具体的な例としては、メチル基やエチル基に代表される直鎖状脂肪族炭化水素基、i−プロピル基やt−ブチル基に代表される分岐状脂肪族炭化水素基、などを挙げることが出来る。中でも、メチル基とエチル基が最も好ましい。bの値が2以上である場合、複数存在するRは同一であっても異なっても良い。
本発明で用いられるアルコキシ基を有する有機ケイ素化合物(A3a)の好ましい例としては、t−Bu(Me)Si(OMe)、t−Bu(Me)Si(OEt)、t−Bu(Et)Si(OMe)、t−Bu(n−Pr)Si(OMe)、c−Hex(Me)Si(OMe)、c−Hex(Et)Si(OMe)、c−PenSi(OMe)、 i−PrSi(OMe)、i−BuSi(OMe)、i−Pr(i−Bu)Si(OMe)、n−Pr(Me)Si(OMe)、t−BuSi(OEt)、(EtN)Si(OMe)、EtN−Si(OEt)
Figure 2007254671
などを挙げることが出来る。
これらの有機ケイ素化合物類は単独で用いるだけでなく、複数の化合物を併用することも出来る。
(A3b)少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物
本発明で用いられる少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(A3b)としては、特開平3−294302号公報および特開平8−333413号公報に開示された化合物等を用いることが出来る。一般的には、下記一般式(4)にて表される化合物を用いることが望ましい。
O−C(R−C(R−C(R−OR …(4)
(一般式(4)中、R及びRは水素、炭化水素基及びヘテロ原子含有炭化水素基から選ばれる任意の遊離基を表す。Rは炭化水素基若しくはヘテロ原子含有炭化水素基を表す。)
一般式(4)中、Rは水素、炭化水素基及びヘテロ原子含有炭化水素基から選ばれる任意の遊離基を表す。
として用いることの出来る炭化水素基は、一般に炭素数1から20、好ましくは炭素数1から10のものである。Rとして用いることの出来る炭化水素基の具体的な例としては、n−プロピル基に代表される直鎖状脂肪族炭化水素基、i−プロピル基やt−ブチル基に代表される分岐状脂肪族炭化水素基、シクロペンチル基やシクロヘキシル基に代表される脂環式炭化水素基、フェニル基に代表される芳香族炭化水素基、などを挙げる事が出来る。より好ましくは、Rとして分岐状脂肪族炭化水素基若しくは脂環式炭化水素基を用いる事が望ましく、とりわけ、i−プロピル基、i−ブチル基、i−ペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、などを用いることが望ましい。
二つのRは結合して一つ以上の環を形成しても良い。この際、環構造中に2個又は3個の不飽和結合を含むシクロポリエン系構造を取る事も出来る。また、他の環式構造と縮合していても良い。単環式、複環式、縮合の有無に関わらず、環上に炭化水素基を置換基として1つ以上有していても良い。環上の置換基は、一般に炭素数1から20、好ましくは炭素数1から10のものである。具体的な例としては、n−プロピル基に代表される直鎖状脂肪族炭化水素基、i−プロピル基やt−ブチル基に代表される分岐状脂肪族炭化水素基、シクロペンチル基やシクロヘキシル基に代表される脂環式炭化水素基、フェニル基に代表される芳香族炭化水素基、などを挙げる事が出来る。
一般式(4)中、Rは水素、炭化水素基及びヘテロ原子含有炭化水素基から選ばれる任意の遊離基を表す。具体的には、RはRの例示から選ぶ事が出来る。好ましくは水素である。
一般式(4)中、Rは炭化水素基若しくはヘテロ原子含有炭化水素基を表す。具体的には、RはRが炭化水素基である場合の例示から選ぶ事が出来る。好ましくは、炭素数1から6の炭化水素基である事が望ましく、更に好ましくはアルキル基である事が望ましい。最も好ましくはメチル基である。
からRがヘテロ原子含有炭化水素基である場合は、ヘテロ原子が、窒素、酸素、硫黄、リン、ケイ素から選ばれる事が望ましい。また、RからRが炭化水素基であるかヘテロ原子含有炭化水素基であるかに関わらず、任意にハロゲンを含んでいても良い。RからRがヘテロ原子及び/又はハロゲンを含む場合、その骨格構造は炭化水素基である場合の例示から選ばれる事が望ましい。また、RからRの八個の置換基はお互いに同一であっても異なっても良い。
本発明で用いられる少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(A3b)の好ましい例としては、2,2−ジイソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジイソブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジイソブチル−1,3−ジエトキシプロパン、2−イソブチル−2−イソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−イソペンチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジシクロペンチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジシクロヘキシル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2−tert−ブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2−メチル−2−フェニル−1,3−ジメトキシプロパン、9,9−ビス(メトキシメチル)フルオレン、9,9−ビス(メトキシメチル)−1,8−ジクロロフルオレン、9,9−ビス(メトキシメチル)−2,7−ジシクロペンチルフルオレン、9,9−ビス(メトキシメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロフルオレン、1,1−ビス(1’−ブトキシエチル)シクロペンタジエン、1,1−ビス(α−メトキシベンジル)インデン、1,1−ビス(フェノキシメチル)−3,6−ジシクロヘキシルインデン、1,1−ビス(メトキシメチル)ベンゾナフテン、7,7−ビス(メトキシメチル)−2,5−ノボルナジネン、などを挙げる事が出来る。中でも、2,2−ジイソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジイソブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソブチル−2−イソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−イソペンチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジシクロペンチル−1,3−ジメトキシプロパン、9,9−ビス(メトキシメチル)フルオレン、が特に好ましい。
これらの少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(A3b)は単独で用いるだけでなく、複数の化合物を併用することも出来る。また、固体成分(A1)中の任意成分(A1d)として用いられる多価エーテル化合物と同一であっても異なっても良い。
(4)(A4)有機アルミニウム化合物
本発明における固体触媒成分(A)は、固体成分(A1)、ビニルシラン化合物(A2)、並びに、(A3)アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物、及び/又は、少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物を接触させてなるものであるが、本発明の効果を損なわない範囲で他の任意成分を任意の方法で接触させても良い。この様な任意成分の例として、有機アルミニウム化合物(A4)を挙げることが出来る。
本発明において固体触媒成分(A)を調製する際の任意成分として用いられる有機アルミニウム化合物(A4)としては、特開2004−124090号公報に開示された化合物等を用いることが出来る。一般的には、下記一般式(5)にて表される化合物を用いることが望ましい。
AlX(OR10 …(5)
(一般式(5)中、Rは炭化水素基を表す。Xはハロゲン若しくは水素を表す。R10は炭化水素基若しくはAlによる架橋基を表す。c≧1、0≦d≦2、0≦e≦2、c+d+e=3である。)
一般式(5)中、Rは炭化水素基であり、好ましくは炭素数1から10、更に好ましくは炭素数1から8、特に好ましくは炭素数1から6、のものを用いることが望ましい。Rの具体的な例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基、オクチル基、などを挙げることが出来る。この中で、メチル基、エチル基、イソブチル基、が最も好ましい。
一般式(5)中、Xはハロゲン若しくは水素である。Xとして用いる事の出来るハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、沃素、などを例示することが出来る。この中で、塩素が特に好ましい。
一般式(5)中、R10は炭化水素基若しくはAlによる架橋基である。R10が炭化水素基である場合には、Rの炭化水素基の例示と同じ群からRを選択することが出来る。また、有機アルミニウム化合物(E’)としてメチルアルモキサンに代表されるアルモキサン化合物類を用いることも可能であり、その場合RはAlによる架橋基を表す。
有機アルミニウム化合物(A4)として用いる事の出来る化合物の例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムエトキサイド、メチルアルモキサン、などを挙げることが出来る。中でも、トリエチルアルミニウムとトリイソブチルアルミニウムが好ましい。
有機アルミニウム化合物(A4)は単独の化合を用いるだけでなく、複数の化合物を併用することも出来る。
2. 固体触媒成分(A)の調製方法
本発明における固体触媒成分(A)は、(A1)固体成分、(A2)ビニルシラン化合物、並びに、(A3)アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物、及び/又は、少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物を接触させてなるものである。この際、本発明の効果を損なわない範囲で(A4)有機アルミニウム化合物等の他の任意成分を任意の方法で接触させても良い。固体触媒成分(A)の各構成成分の接触条件は、酸素を存在させない事が必要であるものの、本発明の効果を損なわない範囲で任意の条件を用いることが出来る。一般的には、次の条件が好ましい。
接触温度は、−50から200℃程度、好ましくは−10から100℃、更に好ましくは0から70℃、とりわけ好ましくは10℃から60℃である。接触方法としては、回転ボールミルや振動ミルなどによる機械的な方法、並びに、不活性希釈剤の存在下に撹拌により接触させる方法、などを例示することが出来る。好ましくは、不活性希釈剤の存在下に撹拌により接触させる方法を用いることが望ましい。
本発明における固体触媒成分(A)を構成する各成分の使用量の量比は、本発明の効果を損なわない範囲で任意のものでありうるが、一般的には、次の範囲内が好ましい。
ビニルシラン化合物(A2)の使用量は、固体成分(A1)を構成するチタン成分に対するモル比(ビニルシラン化合物(A2)のモル数/チタン原子のモル数)で、好ましくは0.001から1,000の範囲内であり、特に好ましくは0.01から100の範囲内が望ましい。
アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物(A3a)を用いる場合の使用量は、固体成分(A1)を構成するチタン成分に対するモル比で(アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物(A3a)のモル数/チタン原子のモル数)で、好ましくは0.01から1,000の範囲内であり、特に好ましくは0.1から100の範囲内が望ましい。
少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(A3d)を用いる場合の使用量は、固体成分(A1)を構成するチタン成分に対するモル比(少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(A3d)のモル数/チタン原子のモル数)で、好ましくは0.01から1,000の範囲内であり、特に好ましくは0.1から100の範囲内が望ましい。
任意成分として有機アルミニウム化合物(A4)を用いる場合の使用量は、固体成分(A1)を構成するチタン成分に対するアルミニウムの原子比(アルミニウム原子のモル数/チタン原子のモル数)で、好ましくは0.1から100の範囲内であり、特に好ましくは1から50の範囲内が望ましい。
(A1)固体成分、(A2)ビニルシラン化合物、並びに、(A3)アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物、及び/又は、少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物の接触手順に関しては、任意の手順を用いることが出来る。具体的な例としては、下記の手順(i)〜手順(iii)が挙げられる。
手順(i):(A1)固体成分に(A2)ビニルシラン化合物を接触させた後、(A3)アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物及び/又は少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物を接触させる方法
手順(ii):(A1)固体成分に(A3)アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物及び/又は少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物を接触させた後、(A2)ビニルシラン化合物を接触させる方法
手順(iii):全ての化合物を同時に接触させる方法
などを例示することが出来る。この中でも、手順(i)及び手順(iii)が好ましい。
また、(A1)固体成分に対して、(A2)ビニルシラン化合物、(A3)アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物及び/又は少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物、のいずれも任意の回数接触させる事も出来る。この際、(A2)ビニルシラン化合物、(A3)アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物及び/又は少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物、のいずれも複数回の接触で用いる化合物がお互いに同一であっても異なっても良い。任意成分として有機アルミニウム化合物(A4)を用いる場合も、上記と同様に任意の順序で接触させる事が出来る。この中でも、下記の手順(iv)〜手順(vi)が挙げられる。
手順(iv):(A1)固体成分に(A2)ビニルシラン化合物を接触させた後、(A3)アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物及び/又は少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物を接触させ、更に(A4)有機アルミニウム化合物を接触させる方法
手順(v):(A1)固体成分に(A2)ビニルシラン化合物、(A3)アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物及び/又は少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物を接触させ、その後に(A4)有機アルミニウム化合物を接触させる方法
手順(vi):全ての化合物を同時に接触させる方法
などが好ましい。(A4)有機アルミニウム化合物についても上記と同様に複数回接触させる事が出来る。この際、複数回用いる(A4)有機アルミニウム化合物がお互いに同一であっても異なっても良い。
固体触媒成分(A)の調製の際には、中間及び/又は最後に不活性溶媒で洗浄を行っても良い。好ましい溶媒種としては、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素化合物、トルエンなどの芳香族炭化水素化合物、及び、1,2−ジクロロエチレンやクロロベンゼンなどのハロゲン含有炭化水素化合物、などを例示することが出来る。
3.触媒におけるその他の任意成分
本発明においては触媒として固体触媒成分(A)を用いることが必須要件であるが、本発明の効果を損なわない範囲で、下記に説明する有機アルミニウム化合物(B)、有機ケイ素化合物(C)、及び、少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(D)、などの任意成分を用いることが出来る。
(B)有機アルミニウム化合物
本発明の触媒において任意成分として用いられる有機アルミニウム化合物(B)としては、特開2004−124090号公報に開示された化合物等を用いることが出来る。好ましくは、固体触媒成分(A)を調製する際の任意成分である有機アルミニウム化合物(A4)における例示と同じ群から選択する事が出来る。この際、有機アルミニウム化合物(B)と有機アルミニウム化合物(A4)が同一であっても異なっても良い。
有機アルミニウム化合物(B)は単独の化合を用いるだけでなく、複数の化合物を併用することも出来る。
(C)有機ケイ素化合物
本発明の触媒において任意成分として用いられる有機ケイ素化合物(C)としては、特開2004−124090号公報に開示された化合物等を用いることが出来る。好ましくは、固体触媒成分(A)において用いられるアルコキシ基を有する有機ケイ素化合物(A3a)における例示と同じ群から選択する事が出来る。この際、アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物(A3a)と任意成分として用いられる有機ケイ素化合物(C)が同一であっても異なっても良い。
有機ケイ素化合物(C)は単独の化合を用いるだけでなく、複数の化合物を併用することも出来る。
(D)少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物
本発明の触媒において任意成分として用いられる少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(D)としては、特開平3−294302号公報および特開平8−333413号公報に開示された化合物等を用いることが出来る。好ましくは、固体触媒成分(A)において用いられる少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(A3b)における例示と同じ群から選択する事が出来る。この際、固体触媒成分(A)を調製する際に用いられる少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(A3b)と触媒の任意成分として用いられる少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(D)が同一であっても異なっても良い。
少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(D)は単独の化合を用いるだけでなく、複数の化合物を併用することも出来る。
(E)その他の化合物
本発明の効果を損なわない限り、上記有機アルミニウム化合物(B)、有機ケイ素化合物(C)、及び、少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(D)以外の成分を触媒の任意成分として用いる事が出来る。例えば、特開2004−124090号公報に開示された様に、分子内にC(=O)N結合を有する化合物(E)を用いることにより、CXSの様な非晶性成分の生成を抑制することが出来る。この場合、テトラメチルウレア、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1−エチル−2−ピロリジノン、などを好まし例として挙げることが出来る。また、ジエチル亜鉛の様なAl以外の金属原子を持つ有機金属化合物を用いることも出来る。
4. 任意成分の使用量
発明の触媒における任意成分の使用量は、本発明の効果を損なわない範囲で任意のものでありうるが、一般的には、次の範囲内が好ましい。
有機アルミニウム化合物(B)を用いる場合の使用量は、固体触媒成分(A)を構成するチタン成分に対するモル比(有機アルミニウム化合物(B)のモル数/チタン原子のモル数)で、好ましくは1から1,000の範囲内であり、特に好ましくは10から500の範囲内が望ましい。
有機ケイ素化合物(C)を用いる場合の使用量は、固体触媒成分(A)を構成するチタン成分に対するモル比(有機ケイ素化合物(C)のモル数/チタン原子のモル数)で、好ましくは0.01から10,000の範囲内であり、特に好ましくは0.5から500の範囲内が望ましい。
少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(D)を用いる場合の使用量は、固体触媒成分(A)を構成するチタン成分に対するモル比(少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(D)のモル数/チタン原子のモル数)で、好ましくは0.01から10,000の範囲内であり、特に好ましくは0.5から500の範囲内が望ましい。
分子内にC(=O)N結合を有する化合物(E)を用いる場合の使用量は、固体触媒成分(A)を構成するチタン成分に対するモル比(分子内にC(=O)N結合を有する化合物(E)のモル数/チタン原子のモル数)で、好ましくは0.001から1,000の範囲内であり、特に好ましくは0.05から500の範囲内が望ましい。
5. 予備重合
本発明における固体触媒成分(A)は、本重合で使用する前に予備重合されていても良い。重合プロセスに先立って、予め少量のポリマーを触媒周囲に生成させることによって、触媒がより均一となり、微粉の発生量を抑えることができる。
予備重合におけるモノマーとしては、特開2004−124090号公報に開示された化合物等を用いることが出来る。具体的な化合物の例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1、などに代表されるオレフィン類、スチレン、α−メチルスチレン、アリルベンゼン、クロロスチレン、などに代表されるスチレン類似化合物、及び、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、2,6−オクタジエン、ジシクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、1,9−デカジエン、ジビニルベンゼン類、などに代表されるジエン化合物類、などを挙げる事が出来る。中でも、エチレン、プロピレン、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1、スチレン、ジビニルベンゼン類、などが特に好ましい。
固体触媒成分(A)として予備重合されたものを用いる場合には、固体触媒成分(A)の調製手順において任意の手順で予備重合を行うことが出来る。例えば、(A1)固体成分を予備重合した後に、(A2)ビニルシラン化合物、並びに、(A3)アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物及び/又は少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物を接触させる事が出来る。また、(A1)固体成分、(A2)ビニルシラン化合物、並びに、(A3)アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物及び/又は少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物を接触させた後に予備重合を行うことも出来る。更に、(A1)固体成分、(A2)ビニルシラン化合物、並びに、(A3)アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物及び/又は少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物を接触させる際に同時に予備重合を行っても良い。
固体触媒成分(A)若しくは固体成分(A1)と上記のモノマーとの反応条件は、本発明の効果を損なわない範囲で任意の条件を用いることが出来る。一般的には、以下の範囲内が好ましい。
固体触媒成分(A)若しくは固体成分(A1)1グラムあたりの基準で、予備重合量は0.001から100gの範囲内であり、好ましくは0.1から50g、更に好ましくは0.5から10gの範囲内が望ましい。予備重合時の反応温度は−150から150℃、好ましくは0から100℃である。そして、予備重合時の反応温度は本重合のときの重合温度よりも低くする事が望ましい。反応は、一般的に撹拌下に行うことが好ましく、そのときヘキサン、ヘプタン等の不活性溶媒を存在させることもできる。
予備重合は複数回行っても良く、この際用いるモノマーは同一であっても異なっても良い。また、予備重合後にヘキサン、ヘプタン等の不活性溶媒で洗浄を行う事も出来る。
[II]製造プロセス及び重合条件
ポリプロピレンの製造プロセスとしては、主に液化プロピレンの潜熱を用いて除熱を行う気相法プロセスである限り任意のプロセスを用いる事が出来る。
本発明において、気相法とは液が全く存在しない事を意味しない。重合を行う相が実質的に気相であれば良く、本発明の効果を阻害しない範囲で液が存在しても良い。この液としては、除熱のための液化プロピレンだけでなく、ヘキサンなどの不活性炭化水素成分を例示することが出来る。
混合様式としては、流動床を用いる方法、攪拌機を用いる方法、のどちらを用いても良い。攪拌機を用いる場合には、攪拌機を備えた流動床を用いる事も来る。攪拌機は攪拌軸が鉛直方向を向いていても、水平方向を向いていても良い。攪拌翼の形状としては、パドル、ヘリカル、など任意のものを用いることが出来る。このうち、攪拌軸を水平方向に向けて、パドル翼を用いる方法が最も好ましい。
重合槽の並び方については、本発明の効果を阻害しない限り任意の方法を用いることが出来る。重合槽は一つでも複数でも良い。槽数を増やすことなく滞留時間分布を更に狭くする方法として、重合槽の中にパウダーの移動を制限する堰を設けることも出来る。堰の形態としては、重合槽に固定された固定堰を用いても良いし、回転軸に固定された回転堰を用いても良い。重合槽が複数の場合には、直列に繋いでも良いし、並列に繋いでも良い。特にプロピレンとその他のモノマーとのブロック共重合体を製造する場合には、少なくとも直列に繋がった2個の重合槽を含む並び方にする事が望ましい。
重合方法としては、バッチ法と連続法のどちらを用いても良いが、生産性の観点から連続法を用いることが望ましい。特に好まし例としては、2〜4個の重合槽を直列に繋いで連続法で重合する方法を例示することが出来る。
液化プロピレンの潜熱を用いて除熱を行う方法としては任意の方法を用いる事が出来る。液化プロピレンの潜熱を用いて除熱を行う為には、実質的に液の状態にあるプロピレンを重合槽に供給すればよい。フレッシュな液化プロピレンを重合槽に供給する事も出来るが、一般的にはリサイクルプロピレンを用いる事が望ましい。リサイクルプロピレンを用いる一般的な手順は以下に例示される。重合槽からプロピレンを含むガスを抜き出し、そのガスを冷却して少なくとも一部を液化させ、液化した成分の少なくとも一部を重合槽に供給する。この際、液化する成分はプロピレンを含む必要があるが、ブテンに代表されるコモノマー成分やイソブタンに代表される不活性炭化水素成分を含んでいても良い。
液化プロピレンの供給方法は、実質的に液の状態にあるプロピレンを重合槽に供給するものである限り任意の方法を用いる事が出来る。ポリプロピレン粒子のベッドに供給しても良いし、気相部に供給しても良い。気相部に供給する場合は、重合槽内部の気相部に供給しても良いし、リサイクルガスラインに供給しても良い。特に、攪拌軸を水平方向に向ける攪拌混合槽の場合には、重合槽内部の気相部に供給する事が望ましい。
本発明において、主に液化プロピレンの潜熱を用いて除熱を行うという事は、液化プロピレンの潜熱だけを用いて除熱を行う事を意味しない。本発明の効果を阻害しない限り、他の除熱方法を併用することが出来る。具体的には、重合槽に備え付けたジャケットを用いて除熱する方法、重合槽からガスの一部を抜き出して熱交換器により冷却し再びガスを重合槽に戻す方法、などを例示する事が出来る。ただし、本願発明においては、液化プロピレンの潜熱を用いた除熱が主体である必要がある。具体的には、少なくとも一つの重合槽において、除熱量の少なくとも半分を液化プロピレンの潜熱を用いて除熱する必要がある。
温度や圧力の様な重合条件は、本発明の効果を阻害しない限り任意に設定する事が出来る。具体的には、重合温度は、好ましくは0℃以上、更に好ましくは30℃以上、特に好ましくは40℃以上であり、好ましくは100℃以下、更に好ましくは90℃以下、特に好ましくは80℃以下である。重合圧力は好ましくは1200kPa以上、更に好ましくは1400kPa以上、特に好ましくは1600kPa以上であり、好ましくは4200kPa以下、更に好ましくは3500kPa以下、特に好ましくは3000kPa以下である。ただし、重合圧力は重合温度におけるプロピレンの蒸圧力より低く設定するべきではない。
滞留時間は重合槽の構成や製品インデックスに合わせて任意に調整することが出来る。一般的には、30分から5時間の範囲内で設定される。
本発明の重合触媒やその他の任意成分は、公知の方法を用いて重合槽に供給することが出来る。重合触媒についてはそのまま粉末状で重合槽に供給してもよいが、ヘキサンやミネラルオイル等の不活性溶媒を用いて希釈した上で供給しても良い。
本発明の触媒は非常に活性が高いので、希釈した上で重合槽へ供給する方が好ましい。特に、エチレンプロピレンランダム共重合体等を製造する際には極めて活性が高くなり、希釈が不充分だとファウリング等のトラブルを起こす可能性がある。この様な場合には、任意成分である有機ケイ素化合物(C)、少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(D)、及び、分子内にC(=O)N結合を有する化合物(E)から選ばれる化合物、からなる群の少なくとも一つを用いることが有効である。固体触媒成分を重合槽に供給する前にこれらの任意成分を接触させると、ファウリング防止効果が更に高くなり好ましい。この際、両成分の接触方法は任意であるが、固体触媒成分を重合槽へ供給するラインへ任意成分を供給するか、若しくは、固体触媒成分を不活性溶媒により希釈した所へ任意成分を添加する事が好ましい。
[III]ポリプロピレン
本発明を用いることにより得られるポリプロピレンは、製造コストが低く、成形性と品質に優れたものである。特に、MFRの高いポリプロピレンに関して、高品質で安価に製造する方法が本発明中に開示されている。
また、本発明を用いることにより得られるポリプロピレンは、冷キシレン可溶分(CXS)等の指標により表される非晶性成分が少ないため、発煙、目やに、型汚れ、樹脂焼けなどの成形トラブルを起こしにくい特徴がある。非晶性成分が少ない事により成形品の結晶性も高く、剛性に優れている。更に、高い融点も示し、耐熱性にも優れている。
さらに、本発明を用いることにより得られるポリプロピレンは、プロピレンの単独重合体(i)及びプロピレンとその他のモノマーとの共重合体である。共重合体としては、ランダム共重合体(ii)であってもブロック共重合体(iii)であっても良い。各重合体について詳細に説明する。
(i)プロピレンの単独重合体
本発明におけるポリプロピレンがプロピレン単独重合体である場合、MFRは50g/10分以上である事が好ましく、より好ましくはMFRが50/10分以上1,000/10分以下、更に好ましくは60/10分以上800/10分以下、最も好ましくは100/10分以上500/10分以下である。CXSは、3重量%以下が好ましく、より好ましくは0.1重量%以上2重量%以下であり、更に好ましくは0.2重量%以上1.5重量%以下である。
ここでCXSは、以下の手法で測定された値として定義される。
試料(約5g)を140℃のp−キシレン(300ml)中に一度完全に溶解させる。その後23℃まで冷却し、23℃で12時間ポリマーを析出させる。析出したポリマーを濾別した後、濾液からp−キシレンを蒸発させる。p−キシレンを蒸発させた後に残ったポリマーを100℃で2時間減圧乾燥する。乾燥後のポリマーを秤量し、試料に対する重量%としてCXSの値を得る。
MFRを調整するためには、連鎖移動剤である水素の重合槽における濃度を調整すれば良い。水素濃度を高くすればポリプロピレン単独重合体のMFRが高くなり、逆も又同様である。本発明の触媒を用いると、比較的水素濃度の低い条件でMFRを高くする事が出来るだけでなく、高MFRでも立体規則性が高くCXSの低いポリプロピレンを製造する事が出来る特徴がある。本発明で規定した範囲内で更にCXSを下げるためには、任意成分である有機ケイ素化合物(C)、少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(D)、及び、分子内にC(=O)N結合を有する化合物(E)から選ばれる化合物、からなる群の少なくとも一つを用いることが有効である。これらの任意成分の使用量が多いほど、CXSの低いポリプロピレン単独重合体を得ることが出来る。
(ii)ランダム共重合体
本発明におけるポリプロピレンがプロピレンとその他のモノマーとのランダム共重合体である場合、その他のモノマーはエチレン及び/又は炭素数4−10のαオレフィンである事が望ましい。より好ましくは、エチレン及び/又は1−ブテンが望ましく、最も好ましくはエチレンである。ランダム共重合体におけるプロピレン以外のモノマー単位の含量は、10重量%以下である事が望ましい。より好ましくは0.01重量%以上8重量%以下、更に好ましくは0.05重量%以上6重量%以下、とりわけ好ましくは0.1重量%以上5重量%以下が望ましい。
ここで、その他のモノマーの含量は任意の分析手法により求めることが出来る。具体的な例としては、赤外分光分析法(IR)、核磁気共鳴分析法(NMR)、などを挙げることが出来る。
ここで、本発明のランダム共重合体で用いるプロピレン以外のモノマーとしては、特に限定はされないが、炭素数2〜12のオレフィン、特に炭素数2〜12のα−オレフィンが好ましく用いられる。具体的には、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン等が挙げられ、なかでも、エチレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンを用いることがより好ましく、これらのオレフィンは1種のみならず2種以上を用いることも可能である。
MFRを調整するためには、ポリプロピレン単独重合体の場合と同様に、連鎖移動剤である水素の重合槽における濃度を調整すれば良い。本発明の触媒を用いると、比較的水素濃度の低い条件でMFRを高くする事が出来るだけでなく、高MFRかつ高コモノマー含量でもべとつき成分の少ないポリプロピレンを製造する事が出来る特徴がある。また、ポリプロピレン単独重合体のCXSを低下させる方法と同様の方法を用いる事により、べとつき成分の量を一層低下する事が出来る。
コモノマー含量を調整するためには、コモノマーの重合槽における濃度を調整すればよい。
(iii)ブロック共重合体
本発明におけるポリプロピレンがプロピレンとその他のモノマーとのブロック共重合体である場合、その他のモノマーはエチレン及び/又は炭素数4−10のαオレフィンである事が望ましい。より好ましくは、その他のモノマーはエチレン及び/又は1−ブテンである事が望ましく、最も望ましいのはエチレンである。
ここで、ブロック共重合体とは、主としてプロピレンからなる重合体成分とプロピレンとその他のモノマーとのランダム共重合体成分とのブレンドを意味し、一般的にはそれぞれの成分に対応する条件で順次重合を行うことにより、反応器中でそれぞれの成分をブレンドする手法を用いて製造される。
主としてプロピレンからなる重合体成分は、プロピレンの単独重合体であってもプロピレンとその他のモノマーとのランダム共重合体であっても良い。主としてプロピレンからなる重合体成分がプロピレンとその他のモノマーとのランダム共重合体である場合、ランダム共重合体におけるプロピレン以外のモノマー単位の含量が10重量%以下である事が望ましい。更に好ましくはプロピレン以外のモノマー単位の含量が5重量%以下であり、特に好ましくは3重量%以下である事が望ましい。最も好ましくは、主としてプロピレンからなる重合体成分がプロピレンの単独重合体である事が望ましい。
プロピレンとその他のモノマーとのランダム共重合体成分は、ランダム共重合体におけるプロピレン単位の含量が10重量%以上90重量%以下である事が望ましい。より好ましくは、プロピレン単位の含量が15重量%以上85重量%以下であり、特に好ましくは20重量%以上80重量%以下である事が望ましい。最も好ましくは、プロピレン単位の含量が30重量%以上70重量%以下である。
ブロック共重合体における主としてプロピレンからなる重合体成分とプロピレンとその他のモノマーとのランダム共重合体成分との量比については、任意の値を取ることが出来る。好ましくは、ブロック共重合体におけるプロピレンとその他のモノマーとのランダム共重合体成分の含量が2重量%以上95重量%以下である事が望ましい。より好ましくは、ブロック共重合体におけるプロピレンとその他のモノマーとのランダム共重合体成分の含量が2重量%以上85重量%以下であり、特に好ましくは5重量%以上75重量%以下である事が望ましい。最も好ましくは、ブロック共重合体におけるプロピレンとその他のモノマーとのランダム共重合体成分の含量が10重量%以上65重量%以下である事が望ましい。
プロピレンとその他のモノマーとのブロック共重合体のMFRは30g/10分以上である事が望ましい。より好ましくはMFRが40g/10分以上1,000g/10分以下、更に好ましくは50g/10分以上500g/10分以下である事が望ましい。MFRが低すぎると射出成形性などが劣り、高すぎると衝撃強度などの物性に悪影響を与える。
主としてプロピレンからなる重合体成分のMFRは50g/10分以上である事が望ましい。より好ましくはMFRが50g/10分以上1,000g/10分以下、更に好ましくは60g/10分以上800g/10分以下、最も好ましくは100g/10分以上500g/10分以下である事が望ましい。CXSは3重量%以下であり、好ましくは0.1重量%以上2重量%以下であり、更に好ましくは0.2重量%以上1.5重量%以下である。
プロピレンとその他のモノマーとのランダム共重合体成分は、任意のMFRとする事が出来る。具体的には、ブロック共重合体のMFR、主としてプロピレンからなる重合体成分のMFR、及び、主としてプロピレンからなる重合体成分とプロピレンとその他のモノマーとのランダム共重合体成分との量比、とのバランスでランダム共重合体成分のMFRは一意的に決まる。従って、上記三つの値を望みの値に制御する手法として、ランダム共重合体のMFRを望ましい値に制御するのが常法である。
MFRの調整法は、プロピレン単独重合体の場合及びプロピレンとその他のモノマーとのランダム共重合体の場合と同様である。主としてプロピレンからなる重合体成分のCXSについては、プロピレン単独重合体の場合と同様に調整する事が出来る。プロピレンとその他のモノマーとのランダム共重合体成分におけるコモノマー含量については、プロピレンとその他のモノマーとのランダム共重合体の場合と同様に調整することが出来る。ブロック共重合体におけるプロピレンとその他のモノマーとのランダム共重合体成分の含量については、公知の任意の方法を用いて調整することが出来る。具体的には、プロピレンとその他のモノマーとのランダム共重合体成分の含量を高くするためには、その成分を製造する重合槽の圧力や滞留時間を長くして活性を高めればよい。逆もまた同様である。
なお、本発明を用いることにより高MFRのポリプロピレンを高い生産性で製造する事が出来るため、本発明におけるポリプロピレンは、CR処理しなくても良い点で従来法より優れている。従来の製造方法では高MFRのポリプロピレンを高い生産性で製造することが困難であるため、低いMFRのポリプロピレンを(高い生産性で)製造し、この低いMFRのポリプロピレンを造粒工程などにおいて過酸化物などのラジカル発生剤で処理する事によりMFRを高くする手法が一般に用いられている。通常この過酸化物などによる処理をCR処理と呼ぶ。このCR処理を行うとポリプロピレンのMFRを高くすることが出来るが、過酸化物などの分解物が副生するため臭い・色相・味などの点でポリプロピレンの品質が低下する点に問題がある。また、プロピレンとその他のモノマーとのブロック共重合体を用いてCR処理を行うと、ランダム共重合体成分が架橋してゲルを生成しやすい点も問題である。故に、CR処理を行うことなく高MFRのポリプロピレンを高い生産性で製造する事が出来る本発明は、従来技術に比して高い優位性を示すものである。
[IV]ポリプロピレンの用途
本発明を用いて製造されたポリプロピレンは、任意の用途に用いることが出来る。中でも、高MFRのポリプロピレンが望ましい分野に対して好適に用いることが出来る。特に好ましい例としては、射出成形、射出圧縮成形、繊維、などの成形分野を挙げることが出来る。
より具体的な用途としては、雑貨品に代表される一般射出用材料、バンパーやインストルメンタルパネル等に代表される自動車用材料、冷蔵庫や掃除機の筐体等に代表される家電用材料、ゼリーの容器等に代表される透明食品包装材料、ヨーグルト容器等に代表される耐衝撃性食品包装材料、カップ麺容器等に代表される耐熱食品包装材料、衛生製品用不織布等に代表される繊維用材料、サポーター等に代表される伸縮性繊維用材料、などに好ましく用いることが出来る。
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。本発明における各物性値の測定方法を以下に示す。
(1)MFR:タカラ社製メルトインデクサーを用い、JIS−K6921に基づき、230℃、21.18Nの条件で評価した。
(2)ポリマー嵩密度:パウダー試料の嵩密度をASTM D1895−69に準ずる装置を使用し測定した。
(3)CXS:試料(約5g)を140℃のp−キシレン(300ml)中に一度完全に溶解させた。その後23℃まで冷却し、23℃で12時間ポリマーを析出させた。析出したポリマーを濾別した後、濾液からp−キシレンを蒸発させた。p−キシレンを蒸発させた後に残ったポリマーを100℃で2時間減圧乾燥した。乾燥後のポリマーを秤量し、試料に対する重量%としてCXSの値を得た。
(4)エチレン含量の定量:共重合体中の平均エチレン含量については、下記の手順に従って赤外分光光度計を用いて測定した。
(i)サンプルの調製
試料を加熱加圧プレスにより厚さ500μのシートに成形した。プレス条件は、温度190℃、予熱時間2分、加圧圧力50MPa、加圧時間2分とした。
(ii)赤外分光光度計による吸光度の測定
上記にて得られたシートを用い、以下の条件にて吸収量を測定した。
装置:島津FTIR−8300
分解能:4.0cm−1
測定範囲:4,000〜400cm−1
吸光度ピーク面積算出範囲:700〜760cm−1
(iii)エチレン含量の計算
予めNMRでエチレン含量を定量してあるサンプルを用いて検量線を作成し、この検量線に基づいてエチレン含量を計算した。
(5)Ti含量:試料を精確に秤量し、加水分解した上で比色法を用いて測定した。予備重合後の試料については、予備重合ポリマーを除いた重量を用いて含量を計算した。
(6)ケイ素化合物含量:試料を精確に秤量し、メタノールで分解した。ガスクロマトグラフィーを用いて標準サンプルと比較する事により、得られたメタノール溶液中のケイ素化合物濃度を求めた。メタノール中のケイ素化合物濃度と試料の重量から、試料に含まれるケイ素化合物の含量を計算した。予備重合後の試料については、予備重合ポリマーを除いた重量を用いて含量を計算した。
(実施例1)
(1)固体成分の調製
撹拌装置を備えた容量10Lのオートクレーブを充分に窒素で置換し、精製したトルエン2Lを導入した。ここに、室温で、Mg(OEt)を200g、TiClを1L添加した。温度を90℃に上げて、フタル酸ジ−n−ブチルを50ml導入した。その後、温度を110℃に上げて3hr反応を行った。反応生成物を精製したトルエンで充分に洗浄した。次いで、精製したトルエンを導入して全体の液量を2Lに調整した。室温でTiClを1L添加し、温度を110℃に上げて2hr反応を行った。反応生成物を精製したトルエンで充分に洗浄した。次いで、精製したトルエンを導入して全体の液量を2Lに調整した。室温でTiClを1L添加し、温度を110℃に上げて2hr反応を行った。反応生成物を精製したトルエンで充分に洗浄した。更に、精製したn−ヘプタンを用いて、トルエンをn−ヘプタンで置換し、固体成分(A1)のスラリーを得た。このスラリーの一部をサンプリングして乾燥した。分析したところ、固体成分(A1)のTi含量は2.7wt%であった。
次に、撹拌装置を備えた容量20Lのオートクレーブを充分に窒素で置換し、上記固体成分(A1)のスラリーを固体成分(A1)として100g導入した。精製したn−ヘプタンを導入して、固体成分(A1)の濃度が25g/Lとなる様に調整した。SiCl4を50mlを加え、90℃で1hr反応を行った。反応生成物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄した。
その後、精製したn−ヘプタンを導入して液レベルを4Lに調整した。ここに、ジメチルジビニルシランを30ml、(i−Pr)Si(OMe)を30ml、EtAlのn−ヘプタン希釈液をEtAlとして80g添加し、40℃で2hr反応を行った。反応生成物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄し、得られたスラリーの一部をサンプリングして乾燥した。分析したところ、固体成分にはTiが1.2wt%、(i−Pr)Si(OMe)が8.8wt%含まれていた。
(2)予備重合
上記で得られた固体成分を用いて、以下の手順により予備重合を行った。上記のスラリーに精製したn−ヘプタンを導入して、固体成分の濃度が20g/Lとなる様に調整した。スラリーを10℃に冷却した後、EtAlのn−ヘプタン希釈液をEtAlとして10g添加し、280gのプロピレンを4hrかけて供給した。プロピレンの供給が終わった後、更に30min反応を継続した。次いで、気相部を窒素で充分に置換し、反応生成物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄した。得られたスラリーをオートクレーブから抜き出し、真空乾燥を行って固体触媒成分(A)を得た。この固体触媒成分(A)は、固体成分1gあたり2.5gのポリプロピレンを含んでいた。分析したところ、この固体触媒成分(A)のポリプロピレンを除いた部分には、Tiが1.0wt%、(i−Pr)Si(OMe)が8.2wt%含まれていた。
(3)プロピレンの重合
添付した図1に示したフローシートによって説明する。2台の重合槽を用いる気相重合反応器を用いた。2台の重合器1及び10は、内径D:340mm、長さL:1260mm、回転軸の径:90mm、内容積:110dmの攪拌機を備えた連続式横型気相重合器(長さ/直径=3.7)である。
重合器1内を置換後、500μm以下の重合体粒子を除去したポリプロピレン粉末(平均粒径1500μm)を25kg導入し、上記で得られた固体触媒成分(A)をn−ヘキサンスラリーとして重合器1内に連続的に供給した。固体触媒成分(A)の供給速度は、ポリプロピレンの生産レートが一定の値となる様に調節した。またトリエチルアルミニウムの15重量%n−ヘキサン溶液を触媒成分(A)中のTi原子1モルに対し、モル比が100となるように連続的に供給した。また、重合器1内の水素濃度のプロピレン濃度に対する比が0.08となるように水素を、重合器1内の圧力が2.2MPa、温度が65℃を保つようにプロピレンモノマーをそれぞれ重合器1内に供給した。重合器1から排出される未反応ガスは、未反応ガス抜き出し配管4を通して反応器系外に抜き出し、冷却・凝縮させて液化プロピレンと混合ガスに分離した。混合ガスはリサイクルガス配管2を通して重合器1に戻した。また、プロピレン重合体の分子量を調節するための水素ガスも配管2より供給した。反応器系外で凝縮させた液化プロピレンは、フレッシュな原料プロピレンと一緒に原料混合ガス供給配管3から供給した。重合熱は、この配管3から供給する液化プロピレンの気化熱により除去した。
重合器1内で生成したポリプロピレンは、重合体の保有レベルが反応容積の50容量%となる様に重合体抜き出し配管5を通して重合器1から連続的に抜き出し、第2重合工程の重合器10に供給した。
重合器10内に、第1重合工程からの重合体、プロピレンガスを連続的に供給し、プロピレンの重合を行った。反応条件は、温度65℃、圧力2.0MPaとした。重合器10から排出される未反応ガスは、未反応ガス抜き出し配管8を通して反応器系外に抜き出し、冷却・凝縮させて液化プロピレンと混合ガスに分離した。混合ガスはリサイクルガス配管7を通して重合器10に戻した。また、プロピレン重合体の分子量を調節するための水素ガスも配管7より供給した。この時、水素濃度のプロピレン濃度に対する比が重合器1内の値と同一となる様に調節した。反応器系外で凝縮させた液化プロピレンは、フレッシュな原料プロピレンと一緒に原料混合ガス配管6から供給した。重合熱は、この配管6から供給する液化プロピレンの気化熱により除去した。
第2重合工程で生成したプロピレンは、重合体の保有レベルが反応容積の60容量%となる様に重合体抜き出し配管9を通して重合器10から連続的に抜き出した。抜き出したパウダーは、ガス回収機12でガス類を分離し、パウダー部は回収系に抜き出した。
ポリプロピレンの生産レートは15kg/hr、重合器1内の平均滞留時間は1.6hr、重合器10内の平均滞留時間は1.0hrであった。生産レートを固体触媒成分(A)の供給速度(ただし予備重合ポリマーは除く)で割った値として活性を求めた所、50,000g−PP/g−触媒であった。
得られたポリプロピレンを分析した所、MFRは120g/10min、CXSは1.6wt%であった。ポリプロピレン粒子のBDを測定した所、0.45g/mlであった。
(実施例2〜5)
実施例1の固体触媒成分(A)を用いて、表1に示す重合条件を用いた以外は実施例1と同様にして重合を行った。この際、実施例4と実施例5については、重合器1内に表中に記載したケイ素化合物を連続的に供給した。結果を表1に示す。
(実施例6)
実施例1に準拠して、プロピレン単独重合体の代わりにプロピレンエチレンブロック共重合体の製造を行った。この際、重合器1では実施例1と同様にしてプロピレンのホモ重合を行い、重合器10ではプロピレンモノマーの代わりにプロピレンとエチレンの混合ガスを用いてプロピレンとエチレンの共重合を行った。最終的な製品におけるプロピレンエチレン共重合体の含量は、最終的な生産ペースと、重合器1における生産ペースから求めた。また、重合器10で製造したプロピレンエチレン共重合体におけるエチレン含量は、最終的な製品のエチレン含量と、最終的な製品におけるプロピレンエチレン共重合体の含量から計算した。重合条件及び結果を表2に示す。
(実施例7)
(1)固体成分の調製
撹拌装置を備えた容量10Lのオートクレーブを充分に窒素で置換し、精製したn−ヘプタン2Lを導入した。更に、MgClを250g、Ti(O−n−Bu)を1.8L添加して、95℃で2hr反応を行った。反応生成物を40℃に冷却し、メチルハイドロジェンポリシロキサン(20センチストークスのもの)を500ml添加した。40℃で5hr反応を行った後、析出した固体生成物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄した。
次いで、精製したn−ヘプタンを導入して、上記固体生成物の濃度が200g/Lとなる様に調整した。ここに、SiClを300ml添加して、90℃で3hr反応を行った。反応生成物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄し、反応生成物の濃度が100g/Lとなる様に精製したn−ヘプタンを導入した。ここへ、フタル酸ジクロライド30mlを精製したn−ヘプタン270mlに混合した液を添加し、90℃で1hr反応を行った。反応生成物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄し、反応生成物の濃度が200g/Lとなる様に精製したn−ヘプタンを導入した。ここへ、TiClを1L添加し、95℃で3hr反応を行った。反応生成物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄し、固体成分(A1)のスラリーを得た。このスラリーの一部をサンプリングして乾燥した。分析したところ、固体成分(A1)のTi含量は2.5wt%であった。
次に、撹拌装置を備えた容量20Lのオートクレーブを充分に窒素で置換し、上記固体成分(A1)のスラリーを固体成分(A1)として100g導入した。精製したn−ヘプタンを導入して、固体成分(A1)の濃度が20g/Lとなる様に調整した。ここに、トリメチルビニルシランを20ml、(t−Bu)(Me)Si(OMe)を20ml、EtAlのn−ヘプタン希釈液をEtAlとして50g添加し、30℃で2hr反応を行った。反応生成物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄し、得られたスラリーの一部をサンプリングして乾燥した。分析したところ、固体成分にはTiが含2.1wt%、(t−Bu)(Me)Si(OMe)が7.4wt%含まれていた。
(2)予備重合
上記で得られた固体成分を用いて、以下の手順により予備重合を行った。上記のスラリーに精製したn−ヘプタンを導入して、固体成分の濃度が10g/Lとなる様に調整した。スラリーを10℃に冷却した後、EtAlのn−ヘプタン希釈液をEtAlとして10g添加し、150gのプロピレンを2hrかけて供給した。プロピレンの供給が終わった後、更に30min反応を継続した。次いで、気相部を窒素で充分に置換し、反応生成物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄した。得られたスラリーをオートクレーブから抜き出し、真空乾燥を行って固体触媒成分(A)を得た。この固体触媒成分(A)は、固体成分1gあたり1.2gのポリプロピレンを含んでいた。分析したところ、この固体触媒成分(A)のポリプロピレンを除いた部分には、Tiが1.7wt%、(t−Bu)(Me)Si(OMe)が6.8wt%含まれていた。
(3)プロピレンの重合
上記の固体触媒成分(A)を用いて、表1に示す重合条件を用いた以外は実施例1と同様にして重合を行った。結果を表1に示す。
(実施例8)
実施例7の固体触媒成分(A)を用いて、実施例6と同様にしてプロピレンエチレンブロック共重合体の製造を行った。重合条件及び結果を表2に示す。
(比較例1)
(1)固体触媒成分の調製
実施例1の固体成分(A1)を用いて、以下の手順により予備重合を行った。撹拌装置を備えた容量20Lのオートクレーブを充分に窒素で置換し、実施例1の固体成分(A1)のスラリーを固体成分(A1)として100g導入した。精製したn−ヘプタンを導入して、固体成分(A1)の濃度が20g/Lとなる様に調整した。スラリーを10℃に冷却した後、EtAlのn−ヘプタン希釈液をEtAlとして10g添加し、280gのプロピレンを4hrかけて供給した。プロピレンの供給が終わった後、更に30min反応を継続した。次いで、気相部を窒素で充分に置換し、反応生成物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄した。得られたスラリーをオートクレーブから抜き出し、真空乾燥を行って固体触媒成分(A)を得た。この固体触媒成分(A)は、固体成分1gあたり2.4gのポリプロピレンを含んでいた。分析したところ、この固体触媒成分(A)のポリプロピレンを除いた部分には、Tiが2.2wt%含まれていた。
(2)プロピレンの重合
上記の固体触媒成分(A)を用いて、表1に示す重合条件を用いた以外は実施例1と同様にして重合を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
比較例1の固体触媒成分(A)を用いて、実施例6と同様にしてプロピレンエチレンブロック共重合体の製造を行った。重合条件及び結果を表2に示す。
Figure 2007254671
Figure 2007254671
本発明を用いて製造されたポリプロピレンは、高MFRのポリプロピレンであるので、射出成形、射出圧縮成形、繊維、などの成形分野に用いることができ、特に、雑貨等の一般射出用材料、バンパーやインストルメンタルパネル等の自動車用材料、冷蔵庫や掃除機の筐体等の家電用材料、ゼリーの容器等の透明食品包装材料、ヨーグルト容器等の耐衝撃性食品包装材料、カップ麺容器等の耐熱食品包装材料、衛生製品用不織布等の繊維用材料、サポーター等の伸縮性繊維用材料などに好ましく用いることが出来る。
実施例および比較例で用いたポリプロピレンの製造プロセスを表す概略図である。
符号の説明
1 重合器(第1重合工程)
2 リサイクルガス配管
3 原料混合ガス配管
4 未反応ガス抜き出し配管
5 重合体抜き出し配管
6 原料混合ガス配管
7 リサイクルガス配管
8 未反応ガス抜き出し配管
9 重合体抜き出し配管
10 重合器(第2重合工程)
11 活性抑制剤添加用配管
12 ガス回収機
13 バグフィルター

Claims (10)

  1. 反応熱を主として液化プロピレンの気化熱により除去する気相法プロセスによってポリプロピレンを製造する方法において、
    下記の成分(A1)、(A2)、及び(A3)を接触処理してなる固体触媒成分(A)を用いることを特徴とするポリプロピレンの製造方法。
    成分(A1):チタン、マグネシウム及びハロゲンを必須成分として含有する固体成分
    成分(A2):ビニルシラン化合物
    成分(A3):アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物、及び/又は、少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物
  2. 気相法プロセスが、攪拌機を有する反応器で重合を行なうことを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレンの製造方法。
  3. ポリプロピレンが、MFR50g/10分以上のプロピレン単独重合体であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリプロピレンの製造方法。
  4. ポリプロピレンが、主としてプロピレンからなる重合体成分のMFRが50g/10分以上であるプロピレンとエチレン及び/又は炭素数4〜10のα−オレフィンとのブロック共重合体であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリプロピレンの製造方法。
  5. ビニルシラン化合物(A2)が、下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリプロピレンの製造方法。
    [CH=CH−]SiX (OR …(2)
    (式中、Xはハロゲンを表し、Rは水素若しくは炭化水素基を表し、Rは水素若しくは炭化水素基若しくは有機ケイ素基を表し、m≧1、0≦n≦3、0≦j≦3、0≦k≦2、m+n+j+k=4である。)
  6. アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物が、下記一般式(3)で表される化合物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリプロピレンの製造方法。
    Si(OR …(3)
    (式中、Rは炭化水素基若しくはヘテロ原子含有炭化水素基を表す。Rは水素、ハロゲン、炭化水素基及びヘテロ原子含有炭化水素基から選ばれる任意の遊離基を表し、Rは炭化水素基を表し、0≦a≦2、1≦b≦3、a+b=3である。)
  7. 固体触媒成分(A)が予備重合されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリプロピレンの製造方法。
  8. 触媒活性が、30,000gPP/g触媒以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリプロピレンの製造方法。
  9. 気相法プロセスが、内部に水平軸周りに回転する攪拌機を有する横型反応器を用いて重合することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリプロピレンの製造方法。
  10. パーオキサイドを用いないことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のポリプロピレンの製造方法。
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